(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065711
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】樹脂容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/64 20060101AFI20240508BHJP
B29C 49/06 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B29C49/64
B29C49/06
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174712
(22)【出願日】2022-10-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】594082648
【氏名又は名称】株式会社フロンティア
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 喜則
(72)【発明者】
【氏名】祢津 陽一
(72)【発明者】
【氏名】松屋 進悟
(72)【発明者】
【氏名】小原 和馬
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AG07
4F208AH55
4F208LA09
4F208LB01
4F208LG03
4F208LG16
4F208LG19
4F208LG29
4F208LG30
4F208LH10
4F208LJ14
4F208LJ15
4F208LJ23
4F208LJ29
4F208LN05
4F208LN23
(57)【要約】
【課題】ネジ部のないフランジ付きのプリフォームを、射出成形装置から延伸ブロー成形装置に移送する間にプリフォームの温度調整を行い、フランジ直下の位置からブロー成形あるいは延伸ブロー成形できる温度状態にできる樹脂容器の製造方法を提案する。
【解決手段】製造システム1を用いた樹脂容器100の製造方法では、射出成形装置2の雄型21から、射出成形された冷却後のプリフォーム200を、温調ポット51に真空吸引して受け入れ、そのフランジ230が温調ポット51のポット先端面53から露出し当該ポット先端面53から僅かに浮き上がった保持状態を形成する。温調ポット51はプリフォームの移送具として用いられ、プリフォーム200を落下させることなく移送すると共に、移送時間を利用してプリフォーム200の温度調整を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジ部が無く、底の付いた筒状の胴部の上端の開口部を取り囲むフランジを備えたプリフォームにおける前記フランジ直下の位置から前記胴部にブロー成形あるいは延伸ブロー成形を施して、前記フランジの部位が容器フランジとしてそのまま残り、前記胴部が前記容器フランジよりも大径の容器胴部に成形された樹脂容器を得る樹脂容器の製造方法であって、
熱可塑性樹脂製のプリフォームを射出成形し、射出成形後の前記プリフォームを射出成形型内で前記射出成形型の雌型から離型可能な温度まで冷却し、前記射出成形型の型開きを行って、冷却後の前記プリフォームを前記射出成形型の雄型に貼り付いた状態のまま前記射出成形型の雌型から取り出す射出成形工程と、
前記雄型から排出される前記プリフォームを真空吸引して温調ポットに受け入れて保持する受け入れ工程と、
前記温調ポットを、前記プリフォームを真空吸引して保持する保持状態を維持したまま、ブロー成形装置への引き渡し位置に移送する移送工程と、
前記温調ポットの移送中に、前記温調ポット内において、前記プリフォームをブロー成形が可能な温度状態にする温調工程と、
前記引き渡し位置において、前記プリフォームの真空吸引状態を解除して、前記プリフォームを温調ポットからブロー成形装置に引き渡す引き渡し工程と、
前記ブロー成形装置において、前記プリフォームにブロー成形あるいは延伸ブロー成形を施して、樹脂容器を形成するブロー成形工程と、
を備えており、
前記温調ポットは、前記プリフォームの前記フランジを除く部分を挿入可能な大きさのプリフォーム挿入部と、当該プリフォーム挿入部の挿入口が開口しているポット先端面とを備えており、
前記受け入れ工程では、
前記温調ポットを、当該温調ポットの前記プリフォーム挿入部の前記挿入口が前記雄型に貼り付いている前記プリフォームに対峙する受け入れ位置に移動し、
前記射出成形型の前記雄型から突き出される前記プリフォームを、前記温調ポットに真空吸引して、
前記プリフォームの前記フランジが前記温調ポットの前記ポット先端面に接触しない状態で当該ポット先端面から露出し、前記プリフォームの他の部分が前記温調ポット内に挿入された前記保持状態を形成し、
前記温調工程では、前記フランジが前記ポット先端面に接触しない前記保持状態を維持して、前記プリフォームにおける前記フランジ直下の位置からブロー成形あるいは延伸ブロー成形が行われるように、前記プリフォームの温度調整を行うことを特徴とする樹脂容器の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記プリフォーム挿入部には位置決め用内周面が形成され、当該位置決め用内周面に真空吸引用の吸引通路の口が開口しており、
前記温調ポットの前記プリフォーム挿入部に挿入される前記プリフォームの前記胴部の底面を、前記位置決め用内周に当接させることで、前記フランジのフランジ裏面が前記ポット先端面から離れた状態に前記プリフォームを位置決めし、
前記位置決め用内周面に当接した前記プリフォームの前記底面によって前記吸引通路の口を塞ぐことで、前記プリフォームを前記位置決め用内周面に真空吸引して前記プリフォーム挿入部に保持する樹脂容器の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記ブロー成形装置は、
樹脂容器成形用のキャビティを形成するブロー成形型と、
ブローノズルのノズル口が開口するコア先端面を備えたブローノズルコアと、
前記ブローノズル内を同軸に延びる延伸ロッドと、
を備えており、
前記コア先端面には、前記プリフォームの前記フランジの内周縁に当接する位置決め用の環状凸部が形成されており、
前記ブローノズルコアは、前記コア先端面が、前記ブロー成形型における前記キャビティの開口が位置する型先端面に当接する前進位置および当該前進位置から後退した後退位置に移動可能であり、
前記引き渡し工程では、
前記引き渡し位置において前記温調ポットに保持されている前記プリフォームの前記フランジを、前記後退位置にある前記ブローノズルコアの前記コア先端面に対峙させ、
前記温調ポットを前記ブローノズルコアに向けて移動させて、前記プリフォームの前記フランジの内周縁に、前記コア先端面の前記環状凸部を当接させることで、前記プリフォームを前記コア先端面に位置決め、
前記温調ポットによる前記プリフォームの真空吸引を解除し、代わりに、前記ブローノズルコアによって前記プリフォームを真空吸引して保持する樹脂容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形によって、筒状あるいはカップ状のプリフォーム(パリソン、一次予備成形品)を形成し、プリフォームを成形樹脂のガラス転移点以上の温度状態にし、この温度状態のプリフォームをブロー成形あるいは延伸ブロー成形して樹脂容器を形成する樹脂容器の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明の製造方法によって製造される樹脂容器は、筒状あるいはカップ状の底付きの容器胴部と、容器胴部の上端の開口部の全周に亘って形成された平滑な天面を備えた薄肉の環状の容器フランジとを備え、開口部の外周面にネジ部が付いていないものである。また、当該樹脂容器の製造に用いるプリフォームも、筒状あるいはカップ状の底付きの胴部と、胴部の上端の開口部の全周に亘って形成された平滑な天面を備えた環状のフランジとを備え、開口部の外周面にネジ部が付いていないものであり、当該プリフォームのフランジ直下の位置からブロー成形あるいは延伸ブロー成形が施されて容器胴部が形成され、容器胴部の上端の環状フランジは、プリフォームの環状フランジがそのまま熱変形等を受けることなく残っている部位である。
【背景技術】
【0002】
樹脂容器の中には、乳酸飲料等の容器として用いられているものがある。このような樹脂容器では、上記のように、その底付きの容器胴部の上端の開口部の外周には、キャップ取付け用のネジが付いておらず、開口部の全周を取り囲む状態に薄肉の環状フランジが付いている。樹脂容器の開口部の密閉は、アルミニウム箔等のフィルムを、ヒートシール等の方法で環状フランジの天面に貼り付けることによって行われる。この種の樹脂容器は、一般に、真空成形、射出ブロー成形によって製造されている。環状フランジは、平滑性が要求され、また、バリなどでシール性を損なわれないことが要求される。
【0003】
この種の樹脂容器を、二軸延伸ブロー成形、例えばホットパリソン法(1ステージ法)によって製造する場合の工程は次のようになる。射出成形装置において射出成形され冷却されたプリフォームを、温調部に移送して延伸ブロー成形に適した温度状態に制御し、次に温調部から延伸ブロー成形装置に移送してプリフォームを延伸ブローする工程を経て、樹脂容器が製造される(特許文献1~3)。この場合、一般的なPETボトルなどのネジ付きの口部を備えた容器の製造システムにおいて使用されるような、口部外周面の凹部形状を利用して機械的係合によりプリフォームの口部を把持する構造のプリフォーム移送具あるいは容器移送具を使用できない。すなわち、口部にネジ部の付いた容器では、ネジ部あるいはネジ部の下側のサポートリングを利用して、プリフォームの口部を把持できるので、射出成形型から取り出されたプリフォームの口部を把持して、温調部に移送し、温度調整後のプリフォームをブロー成形型に移送し、ブロー成形により得られた容器を回収部に送り出すことができる。これに対して、実質的に口部の部分が無く、底の付いた容器胴部の上端の開口部に環状フランジが形成され、開口部の外周にはネジ部の付いていない樹脂容器では、このようなプリフォーム移送具あるいは移送機構を用いて、射出成形型からエジェクトされるプリフォームの上端部を把持することができず、したがって、プリフォームを、射出成形型から、温調部、ブロー成形型、および回収部を経由する搬送路に沿って、高速かつ確実に移動させることが困難である。
【0004】
本発明者等は、生産効率を低下させることなくプリフォームの温度調整を行うことができ、ネジ部の無いフランジ付きの口部を備えたプリフォームを射出成形型、温調部、ブロー成形部を含む各部を経由させて高速搬送して効率よくネジ部の無いフランジ付きの口部を備えた樹脂容器を製造できる樹脂容器の製造方法を提案している(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/142043号
【特許文献2】国際公開第2017/073685号
【特許文献3】特開2020-37273号公報
【特許文献4】特許第6798745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1(A)には、底付きの容器胴部の上端の開口部に環状フランジが形成されたネジ部の無い樹脂容器の例を示してある。この樹脂容器100は、例えば乳飲料用容器であり、底付きの円筒状の容器胴部110と、容器胴部110の上端の容器開口部120の全周を取り囲む薄肉環状の容器フランジ130とを備えている。容器フランジ130の外径に比べて、容器胴部110の外径が大きく、容器胴部110の上側部分は、容器開口部120に向けて外径が漸減している円錐台形状をした肩部分となっており、その上側部分が上方に開口した小径の容器開口部120である。容器フランジ130のフランジ天面131は、平面、緩やかな凸曲面などの平滑な面形状をしており、フランジ肉厚は例えば0.5mm~2mmの範囲である。容器胴部110における容器フランジ130の下側の外周面部分には、ネジ部は形成されておらず、サポートリング等も付いていない。
【0007】
樹脂容器100において、容器フランジ130が形成されている部分は延伸ブロー成形が施されていない部位であり、容器フランジ130以外の容器胴部110の部分は延伸ブロー成形が施されている部位である。例えば、容器フランジ130のフランジ裏面132の直下の位置から容器胴部110に延伸ブロー成形が施される。例えば、フランジ裏面132から0.5mmから3mmまでの位置から下側の容器胴部110に、延伸ブロー成形が施される。なお、樹脂容器100に内容物を充填した後に、容器フランジ130のフランジ天面131にヒートシール等の方法により貼り付けたアルミニウム箔等のフィルム(図示せず)によって、容器開口部120が密閉される。
【0008】
樹脂容器100の製造に用いる射出成形品であるプリフォーム200はブロー成形あるいは延伸ブロー成形可能な熱可塑性樹脂の射出成形品である。プリフォーム200は、
図1(B)に示すように、底付きの円筒状の胴部210と、この胴部210の上端の開口部220の全周を取り囲む状態に形成された円環状のフランジ230とを備えている。フランジ230は、プリフォーム200における最大外径の部位である。胴部210に延伸ブロー成形が施されて、樹脂容器100の容器胴部110が形成される。フランジ230の部位は、延伸ブロー成形が施されることなく、そのまま、樹脂容器100の容器フランジ130となる。
【0009】
プリフォーム200の延伸ブロー成形時には、
図1(C)に想像線で示すように、胴部210は、フランジ230の直下の部位から延伸ブローされ、フランジ230よりも大径に成形される。プリフォーム200を移送するために保持する場合、そのために用いる保持具300は、プリフォーム200のフランジ230の部位を保持するしかない。しかし、延伸ブロー成形が施されないフランジ230の部分のみでプリフォーム200を保持することは非常に困難であり、プリフォーム200が保持具300から落下する等のおそれがある。
図1(D)に示すように、フランジ外周面233を逆テーパにして、保持具300によるプリフォームの保持力を高めることが考えられる。しかし、フランジ230の冷却過程での収縮によって、やはり落下する等のおそれがあり、プリフォームを確実に保持できない。
図1(E)に示すように、プリフォーム200のフランジ直下の胴部210の部位を外側から保持具300により把持してブロー成形型内にセットすると、フランジ直下から胴部210を延伸ブローすることができない。また、フランジ直下の胴部210の部位を外側から把持した状態で温調部にプリフォーム200を設置した場合には、把持されている胴部上端部分をブロー成形に適した温度に調整できないおそれがある。1ステージ法により、このような形状の樹脂容器100を製造する場合には、プリフォーム200を確実に保持でき、また、プリフォーム200の落下などの不具合の発生を抑制するためにプリフォーム200の受け渡し回数をできるだけ少なくすることが望ましい。
【0010】
本発明の目的は、射出成形により、ネジ部の付いていないフランジ付きのプリフォームを形成し、このプリフォームから樹脂容器を延伸ブロー成形するにあたり、プリフォームを確実に保持でき、プリフォームの移送とその温度調整とを同時に行うことができ、また、プリフォームを、そのフランジ直下の位置からブロー成形あるいは延伸ブロー成形できるように加熱、温度調整を行うことのできる樹脂容器の製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、
ネジ部が無く、底の付いた筒状の胴部の上端の開口部を取り囲むフランジを備えたプリフォームにおける前記フランジ直下の位置から前記胴部にブロー成形あるいは延伸ブロー成形を施して、前記フランジの部位が容器フランジとしてそのまま残り、前記胴部が前記容器フランジよりも大径の容器胴部に成形された樹脂容器を得る樹脂容器の製造方法であって、
熱可塑性樹脂製の前記プリフォームを射出成形し、射出成形後の前記プリフォームを射出成形型内で前記射出成形型の雌型から離型可能な温度(通常は、前記熱可塑性樹脂のガラス転移点以下の温度)まで冷却し、前記射出成形型の型開きを行って、冷却後の前記プリフォームを前記射出成形型の雄型に貼り付いた状態のまま前記射出成形型の雌型から取り出す射出成形工程と、
前記雄型から排出される前記プリフォームを真空吸引して温調ポットに受け入れて保持する受け入れ工程と、
前記温調ポットを、前記プリフォームを真空吸引して保持する保持状態を維持したまま、ブロー成形装置への引き渡し位置に移送する移送工程と、
前記温調ポットの移送中に、前記温調ポット内において、前記プリフォームをブロー成形が可能な温度状態にする温調工程と、
前記引き渡し位置において、前記プリフォームの真空吸引状態を解除して、前記プリフォームを温調ポットからブロー成形装置に引き渡す引き渡し工程と、
前記ブロー成形装置において、前記プリフォームにブロー成形あるいは延伸ブロー成形を施して、樹脂容器を形成するブロー成形工程と、
を備えており、
前記温調ポットは、前記プリフォームの前記フランジを除く部分を挿入可能な大きさのプリフォーム挿入部の挿入口が開口したポット先端面を備えており、
前記受け入れ工程では、
前記温調ポットを、当該温調ポットの前記プリフォーム挿入部の前記挿入口が、前記雄型に貼り付いている前記プリフォームに対峙する受け入れ位置に移動し、
前記射出成形型の前記雄型から突き出される前記プリフォームを、前記温調ポットに真空吸引して、
前記プリフォームの前記フランジが前記温調ポットの前記ポット先端面に接触しない状態で当該ポット先端面から露出し、前記プリフォームの他の部分が前記温調ポットの前記プリフォーム挿入部に挿入された前記保持状態を形成し、
前記温調工程では、前記フランジが前記ポット先端面に接触しない前記保持状態を維持して、前記プリフォームにおける前記フランジ直下の位置からブロー成形あるいは延伸ブロー成形が行われるように、前記プリフォームの温度調整を行うことを特徴としている。
【0012】
本発明では、ブロー成形されないフランジが温調ポットのポット先端面から外部に露出していると共に、当該ポット先端面から僅かに離れた(浮き上がった)状態で、プリフォームを真空吸引により温調ポットに保持している。プリフォームを、温調ポットから落下させてしまうことなく、確実に、射出成形装置からブロー成形装置への引き渡し位置に移送できる。また、プリフォームのフランジはポット先端面から浮き上がっているので、移送時間を利用して行われる温調において、温調ポットからの熱によるフランジの変形等を回避あるいは抑制できる。プリフォームのフランジがそのままの状態で残る樹脂容器の容器フランジは、変形等を受けることなくフランジ天面の平滑性等が維持される。よって、フランジ天面のヒートシール性等を確保できる。
【0013】
また、温調ポットをプリフォームの移送具として用いているので、プリフォーム移送具を別途用いる場合に比べて、プリフォームの受け渡し回数を少なくでき、樹脂容器の製造システムもコンパクトな構成にできる。
【0014】
ここで、フランジをポット先端面から僅かに浮き上がった保持状態を形成するためには、例えば前記プリフォーム挿入部内に位置決め用内周面を形成し、当該位置決め用内周面に真空吸引用の吸引通路の口を開口させておく。前記温調ポットの前記プリフォーム挿入部に挿入される前記プリフォームの前記胴部の底面を、前記位置決め用内周に当接させることで、前記フランジのフランジ裏面が前記ポット先端面から離れた状態(浮き上がった状態)で前記プリフォームを位置決めできる。また、前記位置決め用内周面に当接した前記プリフォームの前記底面によって前記吸引通路の口が塞がれて、前記プリフォームを前記位置決め用内周面に真空吸引して前記プリフォーム挿入部に保持することができる。
【0015】
本発明において、ブロー成形装置として次の構成のものを用いることができる。
すなわち、ブロー成形装置は、
樹脂容器成形用のキャビティを形成するブロー成形型と、
ブローノズルのノズル口が開口するコア先端面を備えたブローノズルコアと、
前記ブローノズル内を同軸に延びる延伸ロッドと、
を備え、
前記コア先端面に、前記プリフォームの前記フランジの内周縁に当接する位置決め用の環状凸部が形成されている。
また、前記ブローノズルコアは、前記コア先端面が、前記ブロー成形型における前記キャビティの開口が位置する型先端面に当接する前進位置および当該前進位置から後退した後退位置に移動可能である。
【0016】
この場合、前記引き渡し工程では、
前記引き渡し位置において前記温調ポットに保持されている前記プリフォームの前記フランジを、前記後退位置にある前記ブローノズルコアの前記コア先端面に対峙させ、
前記温調ポットを前記ブローノズルコアに向けて移動させて、前記プリフォームの前記フランジの内周縁に、前記コア先端面の前記環状凸部を当接させることで、前記プリフォームを前記コア先端面に位置決めし、
前記温調ポットによる前記プリフォームの真空吸引を解除し、代わりに、前記ブローノズルコアによって前記プリフォームを真空吸引して保持する。
【0017】
本発明では、プリフォームにおけるブロー成形されないフランジの部位を利用して、ブロー成形装置のブローノズルコアのコア先端面に位置決めし、ブローノズルコアに真空吸引することで、プリフォームをブローノズルコアに保持している。プリフォームを保持したブローノズルコアを前進位置に移動させることでプリフォームがブロー成形型のキャビティ内にセットされてプリフォームが延伸ブローされる。フランジの部分を利用して、プリフォームの引き渡し、および、真空吸引によるプリフォームの保持状態を形成できる。よって、プリフォームを、温調ポットからブローノズルコアの側に確実に引き渡すことができ、また、ブローノズルコアに引き渡されたプリフォームを落下させることなく確実にブロー成形型に送り込むことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の樹脂容器の製造方法では、射出成形装置から取り出されたネジ部の無いフランジ付きのプリフォームを、温調ポットをプリフォーム移送具として利用して、延伸ブロー成形装置に移送している。また、温調ポットは、真空吸引によりプリフォームを保持すると共に、プリフォームに対して、フランジがポット先端面から露出し当該ポット先端面から僅かに離れた(浮き上がった)状態で、温度調整を施している。本発明によれば、フランジの熱変形等を回避あるいは抑制でき、かつ、フランジ直下の位置からブロー成形あるいは延伸ブロー成形できるように、プリフォームの加熱、温度コントールを行うことができる。また、ネジ部の無いプリフォームを確実に保持した状態で移送でき、プリフォームの移送と温調が同時に行われるので、温調工程のための時間を別途設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(A)は樹脂容器の形状を示す説明図であり、(B)はプリフォームの断面形状を示す説明図であり、(C)、(D)、(E)は保持具によるプリフォームの保持形態を示す説明図である。
【
図2】本発明を適用した射出延伸ブロー成形による樹脂容器の製造システムの全体構成を示す説明図である。
【
図3】
図1の製造システムの動作を示す説明図である。
【
図4】射出成形装置の説明図であり、温調ポットへプリフォームを引き渡す状態を示す。
【
図6A】延伸ブロー成形装置の説明図であり、温調ポットからプリフォームが引き渡される状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明の樹脂容器の製造方法を適用した射出延伸ブロー成形により樹脂容器を製造する樹脂容器の製造システムの実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明を実施の形態に限定されることを意図したものではない。例えば、以下に述べる樹脂容器の製造システムは、
図1(B)に示す形状のプリフォームを射出成形し、これを二軸延伸ブローして
図1(A)に示す形状の樹脂容器を製造するものであるが、製造される樹脂容器の形状、プリフォームの形状として異なる形状のものであってもよいことは勿論である。また、移送機構として多軸ステージ機構、スカラーロボット等、各種の機構を用いることができる。
【0021】
(樹脂容器の製造システムの全体構成)
図2を参照して説明すると、樹脂容器の製造システム1(以下、単に「製造システム1」と言う。)は、プリフォーム200を成形するための1個取り、あるいは多数個取りの射出成形型20を備えた射出成形装置2と、延伸ブロー成形可能な温度状態に制御されたプリフォーム200に延伸ブロー成形を施して樹脂容器100を形成する1個取りあるいは多数個取りのブロー成形型31を備えた延伸ブロー成形装置3と、延伸ブロー成形された樹脂容器100を回収する容器回収部4とを備えている。また、製造システム1は、射出成形されたプリフォーム200の温度調整を行う1個あるいは複数個の温調ポット51をプリフォーム移送具として用いるプリフォーム移送装置5と、各部の駆動を制御する制御装置6とを備えている。
【0022】
射出成形装置2と延伸ブロー成形装置3とは、例えば、製造システム1の幅方向Xに一定の間隔を開けて並列配置されており、それぞれ長さ方向Yに型開き・型締め動作が行われる。プリフォーム移送装置5は、複数個、本例では4個の温調ポット51が搭載された温調ユニット50(図においては、1個の温調ポットのみを示す。)と、当該温調ユニット50を移動させる三軸ステージ等の移動機構(図示を省略し、温調ユニット50の移動経路を太線で示す。)を備えている。移動機構によって、温調ポット51のそれぞれは、待機位置51A、プリフォームの受入れ位置51B、プリフォームの引き渡し位置51Cに移動する。制御装置6の制御の下で、温調ポット51の移動、射出成形型20の開閉動作、延伸ブロー成形型31の開閉動作などが同期をとって予め定めたシーケンスに従って行われる。
【0023】
図3を参照して、製造システム1の概略動作を説明する。製造システム1の射出成形装置2の射出成形型20において、熱可塑性樹脂の射出成形品であるプリフォーム200が射出成形される(射出成形工程)。射出成形されたプリフォーム200は、射出成形型20内において、当該射出成形型の雌型から離型可能な温度、本例では、熱可塑性樹脂のガラス転移点以下の温度まで冷却される(冷却工程)。射出成形型20の型開きが行われ、冷却後のプリフォーム200が射出成形型20の雄型21に貼り付いた状態のまま雌型22から取り出される。
【0024】
プリフォーム移送装置5は、温調ポット51を、待機位置51Aから、型開きされた射出成形型20の間の受け入れ位置51Bに移動する。射出成形型20の雄型21からエジェクトされる(突き出される)プリフォーム200を、受け入れ位置51Bにおいて、真空吸引して温調ポット51に受け入れて保持する(エジェクト・受け入れ工程)。プリフォーム移送装置5は、プリフォーム200を保持した温調ポット51を、プリフォーム200の真空吸引状態を維持したまま、延伸ブロー成形装置3への引き渡し位置51Cに向けて移送する(移送工程)。温調ポット51は、移送中において、保持されているプリフォーム200がブロー成形に適した温度状態となるように、プリフォーム200に熱を加える(温調工程)。
【0025】
プリフォーム移送装置5は、引き渡し位置51Cにおいて、プリフォーム200の真空吸引状態を解除して、プリフォーム200を温調ポット51から延伸ブロー成形装置3の側に引き渡す(引き渡し工程)。ブロー成形に適した温度状態のプリフォーム200を受け取った延伸ブロー成形装置3は、型締めを行い、ブロー成形型31にセットされたプリフォーム200に二軸延伸ブロー成形を施して、樹脂容器100を成形する(型締め・延伸ブロー工程)。この後は、ブロー成形型31の型開きが行われ、成形された樹脂容器100は、ブロー成形型31から落下して下側に位置する容器回収部4に回収される(型開き・容器回収工程)。
【0026】
(射出成形装置)
図4は射出成形型20の説明図であり、温調ポット51へプリフォーム200を引き渡す状態を示す。
図3、
図4を主に参照して説明すると、射出成形装置2は、一般的な多数個取りの射出成形装置と同様に構成されている。射出成形装置2の射出成形型20は、固定ダイプレートに取り付けた雌型22と移動ダイプレートに取り付けた雄型21とを備えている。例えば、射出成形型20は、4個取りの金型である。射出成形型20の型閉め状態において、各組の雄型21と雌型22の間に、プリフォーム200を射出成形するためのキャビティが形成される。雄型21と雌型22の内部には、5℃から20℃に設定された冷却水が循環する循環路が形成されている。型閉め状態において、溶融状態の熱可塑性樹脂が雄型21と雌型22の間のキャビティに射出されて、プリフォーム200が射出成形される。プリフォーム200の温度が成形樹脂のガラス転移点よりも低い温度まで冷却されると、雄型21が型締め位置から型開き位置まで、雌型22に対して後退する。プリフォーム200は、雌型22から離型され、雄型21に付いた状態で型開き位置まで移動する。次に、ストリッパプレートによって、雄型21からプリフォーム200がその軸線方向にエジェクトされ(突き出され)、プリフォーム受け入れ位置51Bに位置している温調ポット51に引き渡される。なお、所定の時間をおいて、エジェクトエアーを噴出させることで、プリフォーム200を雄型21から確実にエジェクトさせる場合もある。
【0027】
(温調ポット)
図5は温調ポット51を示す説明図である。
図3~
図5を参照して説明すると、温調ポット51は、温調ユニット50に対して長さ方向Yに向けて水平に取り付けられており、その内部にはプリフォーム挿入部52が形成されている。温調ポット51のポット先端面53は、断熱プレート54によって規定されている。断熱プレート54の中心には、プリフォーム挿入部52の挿入口55が開口している。断熱プレート54の挿入口55の内周面の内径は、フランジ230の外径よりも小さく、プリフォーム200のフランジ直下の胴部の部位の外周面に当接可能であり、プリフォーム挿入部52には、プリフォーム200のフランジ230を除く部分が挿入される。
【0028】
プリフォーム挿入部52の内部において、その底面部分には、挿入されるプリフォーム200の底面に当接して、プリフォーム200の挿入方向(軸方向)の位置決めを行う位置決め用底面56が形成されている。プリフォーム200の底部が位置決め用底面56に当接した位置決め状態では、フランジ230のフランジ裏面232がポット先端面53から僅かに離れた(浮き上がった)状態が形成される。また、温調ポット51の内部には、そのプリフォーム挿入部52の位置決め用底面56に開口する吸引通路57が形成されている。
【0029】
プリフォーム200を、その底側から挿入口55を介してプリフォーム挿入部52に挿入すると、その底面がプリフォーム挿入部52の内部の位置決め用底面56に当接する。この状態において、プリフォーム200の底面によって位置決め用底面56に開口している吸引通路57の口が封鎖され、プリフォーム200のフランジ直下の小径の胴部外周面部分が、挿入口55の内周面に当接して、挿入口55が塞がれた状態になる。また、プリフォーム挿入部52の内周面に対して、プリフォーム200は、その底部を除き、微小な隙間を介して対峙した状態になる。一方、プリフォーム200のフランジ230は、ポット先端面53から露出しており、そのフランジ裏面232は、ポット先端面53から僅かに離れた浮き上がり状態になる。
【0030】
この構成の温調ポット51が、プリフォーム受け入れ位置51Bにおいて、射出成形型20の雄型21に同軸に対峙した状態で、不図示の真空吸引機構によって、温調ポット51のプリフォーム挿入部52を真空吸引することで、雄型21からエジェクトされたプリフォーム200を温調ポット51のプリフォーム挿入部52に吸引できる。真空吸引されたプリフォーム200は、上記のように、その底面が位置決め用底面56に当たり、吸引通路57を封鎖するので、プリフォーム200は、プリフォーム挿入部52に真空吸引によって確実に保持された状態になる。
【0031】
プリフォーム移送装置5は、真空吸引状態を維持しながら、プリフォーム200を保持した温調ポット51を、プリフォームの受け入れ位置51Bから待機位置51Aを経由する移動経路に沿って移動して、プリフォーム200を延伸ブロー成形装置3に引き渡す引き渡し位置51Cに向けて移送する。
【0032】
ここで、温調ポット51の内部には、プリフォーム挿入部52を取り囲む状態に、バンドヒーター、熱媒の循環路などの加熱機構が配置されている。本例ではバンドヒーターが配置されている。バンドヒーターからの輻射熱によってプリフォーム200が温調される。温調ポット51の外部に露出しているフランジ230以外の胴部210の全体を、均一に加熱して、ガラス転移点以上の延伸ブロー成形に適した温度状態にできる。本例では、プリフォーム移送具を兼用している温調ポット51が受け入れ位置51Bから引き渡し位置51Cに移送される間に、プリフォーム200の胴部210が延伸ブロー成形に適した温度状態となるように調整される。
【0033】
温調状態、すなわち、プリフォーム200が温調ポット51に真空吸引により保持された状態では、上記のように、プリフォーム200のフランジ230が、ポット先端面53から僅かに浮き上がった状態に保持される。これにより、延伸ブロー成形が施されないフランジ230が加熱されることを確実に防止あるいは抑制できる。
【0034】
(延伸ブロー成形装置)
図6Aは延伸ブロー成形装置3の説明図であり、温調ポット51からプリフォーム200が引き渡される状態を示す。
図6Bは延伸ブロー成形装置3の延伸ブロー成形時の状態を示す説明図である。
図3、
図6A、
図6Bを主に参照して延伸ブロー成形装置3について説明する。
【0035】
延伸ブロー成形装置3は、長さ方向Yに開口した水平姿勢の状態で4個のブロー成形型31が配列された構成の成形型ユニット30、ブロー成形型31のそれぞれに対応して4組の延伸ブロー機構が搭載された延伸ブローユニット32を備えている。成形型ユニット30に搭載されているブロー成形型31は開閉型であり、例えば幅方向Xに開閉する。ブロー成形型31には樹脂容器成形用のキャビティ33が形成され、キャビティ開口34が、ブロー成形型31における延伸ブローユニット32の側を向く型先端面35に開口している。
【0036】
延伸ブローユニット32に搭載されている延伸ブロー機構は、エアー吹き込み用のブローノズル36が形成されているブローノズルコア37と、ブローノズル36内に同軸に配置した延伸ロッド38を備えている。ブローノズルコア37のコア先端面40は、ブローノズル36のノズル口が開口しており、ノズル口を通って延伸ロッド38が前方に突出する。また、コア先端面40には、ノズル口を取り囲む状態に、プリフォーム200のフランジ230の内周縁に差し込み可能な位置決め用の環状凸部41が形成されている。環状凸部41の外周を取り囲む状態にフランジ挟持面42が形成されている。
【0037】
(温調ポットから延伸ブロー成形装置へのプリフォームの引き渡し)
延伸ブローユニット32は、ブロー成形型31から所定の距離だけ後退した後退位置32A(
図6A)と、ブローノズルコア37のコア先端面40がブロー成形型31の型先端面35に当接する前進位置32B(
図6B)に移動可能である。後退位置32Aにおいて、引き渡し位置51Bに位置決めされた温調ポット51から、温度調整された状態のプリフォーム200を受け取る。
【0038】
温調ポット51を引き渡し位置51Cに位置決めすると、後退位置32Aに待機しているブローノズルコア37に、プリフォーム200を保持した状態の温調ポット51のホット先端面が同軸に対峙する。この状態で、プリフォーム移送装置5は、温調ポット51をブローノズルコア37に接近する方向に押し出す。ブローノズルコア37の環状凸部41が、プリフォーム200の開口部220に同軸に差し込まれ、位置決めされる。温調ポット51による真空吸引状態を解除し、代わりに、ブローノズルコア37にプリフォーム200を真空吸引して保持する。温調ポット51をブローノズルコア37から後退する方向に移動させる。ブローノズルコア37の側にプリフォーム200が引き渡され、ブローノズルコア37にプリフォーム200が真空吸引により保持される。
【0039】
ブローノズルコア37にプリフォーム200が真空吸引により保持された後は、延伸ブローユニット32は前進位置32Bに移動する。
図6Bに示すように、プリフォーム200は、ブロー成形型31の型先端面35に開口するキャビティ33内に挿入され、ブローノズルコア37のコア先端面40のフランジ挟持面42と、型先端面35との間に、プリフォーム200のフランジ230が挟持される。このようにして、プリフォーム200がブロー成形型31内にセットされた後は、延伸ロッド38がノズル口からプリフォーム200内に突入すると共に、圧縮エアーがプリフォーム200内にブローされる。プリフォーム200のフランジ直下の位置から胴部210が二軸延伸ブローされて、樹脂容器100が成形される。この後は、ブロー成形型31の型開きが行われ、ブローノズルコア37がブロー成形型31から後退する。樹脂容器100が自重により落下して、下方に位置する容器回収部4に回収される。
【0040】
本例の製造システム1では、ネジ部が無いフランジ付きのプリフォーム200から樹脂容器100を製造している。通常のPETボトル等を製造するためのプリフォームと異なり、ネジ部付きの口部を外周側から把持して、プリフォームの移送、引き渡しを行う機構を用いることが困難であるが、本例では、射出成形型20における型開き後の雄型21に食い付いているプリフォーム200に対して、プリフォーム移送具としても用いる温調ポット51を同軸に対峙させ、雄型21からエジェクトされたプリフォーム200を温調ポット51に受け入れ、真空引きして温調ポット51に保持している。ネジ部の付いていないフランジ付きのプリフォーム200を射出成形型20から温調ポット51に受け入れる動作を確実に行うことができる。
【0041】
また、真空吸引力によって、ブロー成形が施されないプリフォーム200のフランジ230の部分が温調ポット51のポット先端面53から露出し、当該ポット先端面53から離れて僅かに浮き上がった状態で、プリフォーム200が温調ポット51に保持される。温調ポット51からプリフォーム200を落下させることなく、プリフォーム200の移送を確実に行うことができる。
【0042】
さらに、プリフォーム200を保持した温調ポット51から延伸ブロー成形装置3の側に引き渡す引き渡し位置51Cに移送されるまでの間において、温調ポット51に保持しているプリフォーム200に温度調整が施される。プリフォーム移送具を別途、配置する必要がなく、また、温調を行うための場所を別途、確保する必要がないので、システムをコンパクトに構成することができる。また、温調状態においては、プリフォーム200のフランジ230がポット先端面53から僅かに離れた浮き上がった状態に保持される。延伸ブロー成形が施されないフランジ230の部位に熱が加わることを可能な限り防止あるいは抑制され、フランジの熱変形等を回避あるいは抑制でき、かつ、フランジ直下の位置からブロー成形あるいは延伸ブロー成形できるように、プリフォームの加熱、温度コントールを行うことができる。
【0043】
さらには、温調ポット51に保持されているプリフォーム200の開口部220に、延伸ブローユニット32の位置決め用の環状凸部41を挿入して真空吸引することで、プリフォーム200を温調ポット51から取り出して、延伸ブローユニット32に引き渡している。ネジ部の付いていないフランジ付きのプリフォーム200を温調ポット51から延伸ブロー成形装置3の側へ引き渡す動作を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0044】
1 樹脂容器の製造システム
2 射出成形装置
3 延伸ブロー成形装置
4 容器回収部
5 プリフォーム移送装置
6 制御装置
20 射出成形型
21 雄型
22 雌型
30 成形型ユニット
31 ブロー成形型
32 延伸ブローユニット
32A 後退位置
32B 前進位置
33 キャビティ
34 キャビティ開口
35 型先端面
36 ブローノズル
37 ブローノズルコア
38 延伸ロッド
40 コア先端面
41 環状凸部
42 フランジ挟持面
50 温調ユニット
51 温調ポット
51A 待機位置
51B 受入れ位置
51C 引き渡し位置
52 プリフォーム挿入部
53 ポット先端面
54 断熱プレート
55 挿入口
56 位置決め用底面
57 吸引通路
100 樹脂容器
110 容器胴部
120 容器開口部
130 容器フランジ
131 フランジ天面
132 フランジ裏面
200 プリフォーム
210 胴部
220 開口部
230 フランジ
232 フランジ裏面
233 フランジ外周面
X 幅方向
Y 長さ方向
Z 上下方向