(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065751
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】物品収容ポケット
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20240508BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
B60R7/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174767
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】古賀 善統
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088CA01
3D022CA01
3D022CB01
3D022CC02
(57)【要約】
【課題】大きさが異なる収納物に対応可能な物品収容ポケットを提供する。
【解決手段】
物品収容ポケットは、車内の内装パネルに形成される。物品収容ポケットは、内装パネルに形成された開口を備える。物品収容ポケットは、開口から内装パネルの内部へ延びるとともに互いに対向する一対の第1側面および第2側面を備える。物品収容ポケットは、第1側面の下部と第2側面の下部とを互いに接続している底面を備える。物品収容ポケットは、底面の一部から第1側面の少なくとも一部に亘って立設された壁形状のリブを備える。リブが第1側面から突出する突出高さは、底面に近づくに従って増大している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内の内装パネルに形成される物品収容ポケットであって、
前記内装パネルに形成された開口と、
前記開口から前記内装パネルの内部へ延びるとともに互いに対向する一対の第1側面および第2側面と、
前記第1側面の下部と前記第2側面の下部とを互いに接続している底面と、
前記底面の一部から前記第1側面の少なくとも一部に亘って立設された壁形状のリブと、
を備え、
前記リブが前記第1側面から突出する突出高さは、前記底面に近づくに従って増大している、
物品収容ポケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、車両の物品収容ポケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車内に配置された物品収容ポケットが開示されている。特許文献1の物品収容ポケットは、収容されている収納物の姿勢を一定に保持するための、サポート構造を備えている。当該サポート構造は、バネの付勢力により突出して配置されたサポート部材を有しており、大きさが異なる収納物にフレキシブルに対応可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の物品収容ポケットは、サポート部材、サポート部材を移動可能に支持する機構、バネなど、複数の部品が必要となるため、製造コストが高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の構成によると、物品収容ポケットに収納物が収容された場合に、収納物の下部における第1側面側の端部を、リブに当接させることができる。収納物の下部の第1側面側への移動を規制することで、位置を固定できる。これにより、物品収容ポケットに収容されているときの収納物の姿勢を、一定に保持することが可能となる。また、リブが第1側面から突出する突出高さが、底面に近づくに従って増大している形状を備えている。よって、収納物の下部の幅が大きくなることに応じて、収納物の下部がリブに当接する位置を上方に変化させることができる。これにより、収納物の下部の幅の大小に関わらず、下部の位置を確実に固定することが可能となる。構造が単純なリブによって、大きさが異なる収納物にフレキシブルに対応できるため、物品収容ポケットの製造コストを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1のII-II線における断面図(その1)である。
【
図3】
図1のII-II線における断面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(物品収容ポケット1の構造)
図1に、車両に形成されている物品収容ポケット1の概略斜視図を示す。
図2に、
図1のII-II線における断面図を示す。II-II線は、リブ15を通る線である。ここで、図面における方向FRは、車両の前後方向における前方を示す。また方向RHは、車両の左右方向(又は、幅方向)における右方を示す。また方向UPは、車両の上下方向における上方を示す。
【0008】
物品収容ポケット1は、インパネアッパー20に形成されている。インパネアッパー20は、車両の室内の前方側に設けられたインストルメントパネルの上面部分である。
物品収容ポケット1は、開口部10およびポケット本体2を備える。開口部10は、内装パネルであるインパネアッパー20に形成された開口である。ポケット本体2はインパネアッパー20の開口部10に取り付けられている。ポケット本体2は、インパネアッパー20と別体に形成されていてもよいし、インパネアッパー20に一体に形成されていてもよい。ポケット本体2は、たとえば樹脂性である。
【0009】
ポケット本体2は、第1側面11、第2側面12、第3側面13、底面14、リブ15、を備える。第1側面11、第2側面12、第3側面13は、開口部10からインパネアッパー20の内部へ延びている。第1側面11は車両後方側の側面であり、第2側面12は車両前方側の側面である。第1側面11および第2側面12は、互いに対向する一対の側面である。第3側面13は、車両幅方向に配置された、互いに対向する一対の側面である。底面14は、第1側面11、第2側面12、第3側面13の下部を互いに接続している面である。
【0010】
リブ15は、壁形状を有している。リブ15は、底面14の一部から、第1側面11の少なくとも一部に亘って立設されている。具体的には、リブ15は、底面14の位置P1から、第1側面11の上端に位置する位置P2に亘って形成されている。リブ15が第1側面11から突出する突出高さは、底面14に近づくに従って(すなわち車両下方に進むに従って)増大している。本実施例では、11の上端部の位置P2において、突出高さが0である。また、底面14の位置P1において、突出高さが最大値であるH1である。換言すると、底面14において、第2側面12とリブ15とのなす開口が、最小開口幅Wminとなる。そして、位置P2から位置P1まで、突出高さが直線的に増大している。これにより、第2側面12と対向する領域に、テーパ面15tが形成されている。また
図1に示すように、リブ15は、第1側面11の車幅方向において、互いに離間して2つ配置されている。リブ15は、ポケット本体2と一体形成されていてもよいし、別体とされていてもよい。
【0011】
物品収容ポケット1には、収納物30が収納されている。なお
図1では、見易さのために収納物30を点線で示している。本実施例では、収納物30は板状形状を有している。収納物30の一例としては、スマートフォンやタブレット機器が挙げられる。
【0012】
(リブ15の作用)
図2および
図3を用いて、リブ15の作用を説明する。
図2は、収納物30の下部の幅W1(車両前後方向の幅)が、最小開口幅Wmin以下である場合の収納形態を示す図である。
図3は、収納物30の下部の幅W2が、最小開口幅Wminよりも大きい場合の収納形態を示す図である。
【0013】
図2を用いて、幅W1の収納物30が収容された場合の保持態様を説明する。この場合、収納物30の下面は、底面14に当接する。そして、収納物30の第1側面11側の端部30e1を、テーパ面15tの位置P1に当接させることができる(領域R1参照)。端部30e1の第1側面11側への移動(矢印Y1参照)を規制できるため、収納物30の下部位置を固定できる。これにより、物品収容ポケット1に収容されている収納物30の姿勢を、一定に保持することが可能となる。よって、水平面に対する収納物30の角度(傾斜角A1)を、一定に維持可能となる。車両走行等により振動が発生する場合や、収納物30へタッチ操作等を入力する場合においても、収納物30の傾斜角A1が変化することがないため、収納物30の視認性や取り扱い性を向上させることが可能となる。
【0014】
図3を用いて、幅W2を有する収納物30が収容された場合の保持態様を説明する。テーパ面15tによって、第2側面12とテーパ面15tとの間の開口幅(すなわち第2側面12とテーパ面15tとの間の、底面14に平行な方向の距離)は、底面14側へいくほど小さくなっている。従って、収納物30の下部の幅W2が大きくなることに応じて、収納物30下面の第1側面11側の端部30e2がテーパ面15tに当接する位置P3を、上方に変化させることができる。換言すると、開口幅を連続的に変化させているため、テーパ面15tの何れかの位置で、開口幅と収納物30の幅W2とを必ず一致させることができる。
図3の例では、収納物30の端部30e2を、テーパ面15tの途中の位置に当接させることができる(領域R2参照)。これにより、収納物30の下部の幅の大小に関わらず、収納物30の下部位置を確実に固定することが可能となる。構造が単純なリブ15によって、大きさが異なる収納物30にフレキシブルに対応できるため、物品収容ポケット1の製造コストを抑制することが可能となる。
【0015】
また、収納物30の姿勢のサポート部材を、壁形状のリブ15を用いて形成することで、サポート部材の体積を小さくすることができる。よって
図1に示すように、リブ15が形成されていない領域では、底面14の車両前後方向の幅の全面を使用することができる。物品収容ポケット1の収納容積を十分に確保することや、小さな収納物を取り出す際の作業性を向上させることが可能となる。
【0016】
(変形例)
【0017】
リブ15の上端の位置P2は、第1側面11の上端に限られず、第1側面11の上端よりも下側の位置であってもよい。
【0018】
リブ15の形状、配置位置、数などは、様々であって良い。例えばテーパ面15tは、直線状に限られず、曲面形状や階段形状であってもよい。また車両前方側の第2側面12に配置してもよい。
【0019】
物品収容ポケット1の配置位置は、インパネアッパー20に限られず、様々であってよい。例えば、センターコンソールやドアポケットの周辺に配置してもよい。
【符号の説明】
【0020】
1:物品収容ポケット 2:ポケット本体 10:開口部 11:第1側面 12:第2側面 14:底面 15:リブ 15t:テーパ面 20:インパネアッパー 30:収納物