(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065753
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】錠剤容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/04 20060101AFI20240508BHJP
A61J 1/03 20230101ALI20240508BHJP
【FI】
B65D83/04 G
A61J1/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174769
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】紅谷 翔太
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC15
4C047DD33
4C047DD34
4C047GG24
(57)【要約】
【課題】定量吐出態様と連続吐出態様とを簡単に切り替えて吐出させることができる錠剤容器を提供する。
【解決手段】底板4の周端から立設する胴周壁6を有する容器本体2と、この容器本体2の開口部Оに装着された栓盤22を備え、当該栓盤22の一部に吐出口24を開口させた中栓20と、この栓盤22を覆う天板12から、前記胴周壁6に外嵌する蓋周壁14を垂設させた蓋体10と、を具備する。前記栓盤22の下面側には、前記容器本体2内の錠剤Tを前記吐出口24へ導く錠剤導入路40を連設する。前記栓盤22の一部を、昇降可能な押釦を兼ねる邪魔板30に形成し、この邪魔板30を押し下げた状態で、錠剤導入路40の入口41への錠剤の進入を邪魔することで錠剤の定量吐出が可能であり、押し下げない状態で連続吐出が出来る。前記邪魔板30は栓盤22に設けた一対のスリット26,28の間に形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(4)の周端から立設する胴周壁(6)を有する容器本体(2)と、
この容器本体(2)の開口部(О)に装着された栓盤(22)を備え、当該栓盤(22)の一部に吐出口(24)を開口させた中栓(20)と、
この中栓(20)を閉蓋する蓋体(10)と、を具備し、
前記栓盤(22)の下面側には、前記容器本体(2)内の錠剤(T)を前記吐出口(24)へ導く錠剤導入路(40)が連設されており、
前記栓盤(22)の一部を、昇降可能な押釦を兼ねる邪魔板(30)に形成し、この邪魔板(30)を押し下げた状態で、前記錠剤導入路(40)の入口(41)への錠剤の進入を邪魔することで錠剤の定量吐出が可能であり、押し下げない状態で連続吐出が出来るように設けた錠剤容器。
【請求項2】
前記錠剤導入路(40)は、前記吐出口(24)の口縁より、側方(D)から見たときの横方向(C)下側へ突設する錠剤導入台(42)を含み、この錠剤導入台(42)の先端に前記入口(41)を開口したことを特徴とする、請求項1に記載の錠剤容器。
【請求項3】
前記胴周壁(6)は円筒状に形成されており、かつ、上方から見て、当該胴周壁(6)に沿って前記吐出口(24)及び前記錠剤導入台(42)が配備されていることを特徴とする、請求項2に記載の錠剤容器。
【請求項4】
前記錠剤導入路(40)は、前記錠剤導入台(42)の両側端部(48)から立設される一対の案内板(50)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の錠剤容器。
【請求項5】
前記邪魔板(30)は、前記吐出口(24)から相互に並行する一対のスリット(26,28)を前記栓盤(22)に設け、かつ、それら一対のスリット(26,28)の先端部(26e,28e)同士の間に弾性的な屈曲変形が可能な折曲げ線(32)を形成して、この折曲げ線(32)と前記一対のスリット(26,28)との内側の栓盤部分で前記邪魔板(30)を形成したことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の錠剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤容器として、相互に連続する錠剤収納部及び錠剤格納部を備え、この錠剤格納部に設けた吐出口を開閉するスライド式の蓋部を有しており、蓋部を開方向へ移動したときに、錠剤収納部及び錠剤格納部の連通が遮断されるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の錠剤容器は、錠剤格納部内に格納される一定数の錠剤を吐出することができるが、近年では定量吐出と通常の連続吐出を簡易に切り替えたいという要請があり、こうしたニーズには応えることができなかった。
【0005】
本発明の目的は、定量吐出態様と通常の連続吐出態様とを簡単に切り替えて吐出させることができる錠剤容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、底板4の周端から立設する胴周壁6を有する容器本体2と、
この容器本体2の開口部Оに装着された栓盤22を備え、当該栓盤22の一部に吐出口24を開口させた中栓20と、
この中栓20を閉蓋する蓋体10と、を具備し、
前記栓盤22の下面側には、前記容器本体2内の錠剤Tを前記吐出口24へ導く錠剤導入路40が連設されており、
前記栓盤22の一部を、昇降可能な押釦を兼ねる邪魔板30に形成し、この邪魔板30を押し下げた状態で、前記錠剤導入路40の入口41への錠剤の進入を邪魔することで錠剤の定量吐出が可能であり、押し下げない状態で連続吐出が出来るように設けた。
【0007】
本手段では、
図1(B)に示す如く、容器本体2の開口部Оに装着された栓盤22の下面側に、前記容器本体2内の錠剤Tを吐出口24へ導く錠剤導入路40を連設した。
また
図1(A)に示す如く、前記栓盤22の一部を、昇降可能な押釦を兼ねる邪魔板30に形成している。
そして、
図4(B)に示す如く、この邪魔板30を押し下げた状態で、前記錠剤導入路40の入口41への錠剤の進入を邪魔することで錠剤の定量吐出が可能であり、また
図4(A)に示す如く、邪魔板30を押し下げない状態で連続吐出が出来る。
この構造によれば、簡単な操作で定量吐出態様と通常の連続吐出態様とを選択することができ、便利である。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記錠剤導入路40は、前記吐出口24の口縁より、側方Dから見たときの横方向C下側へ突設する錠剤導入台42を含み、この錠剤導入台42の先端に前記入口41を開口した。
【0009】
本手段では、前記錠剤導入路40は、
図1(A)に矢示する前記吐出口24の口縁より、側方Dから見たとき(
図1(B)参照)の横方向C下側へ突設する錠剤導入台42を含む。そして、この錠剤導入台42の先端に前記入口41を開口している。
この構造によれば、前記横方向Cへ錠剤容器を振る操作により、容易に容器本体2内の錠剤を振り出すことができる。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記胴周壁6は円筒状に形成されており、かつ、上方から見て、当該胴周壁6に沿って前記吐出口24及び前記錠剤導入台42が配備されている。
【0011】
本手段では、前記胴周壁6は円筒状に形成されている。また、上方から見て、
図1(A)に示す如く、当該胴周壁6に沿って吐出口24及び錠剤導入台42が配備されている。
この構造によれば、吐出口24から錠剤を振り出す際に、
図3に示すように、胴周壁6の内面に沿って錠剤Tが錠剤導入台42付近に集まった状態で錠剤容器を振ることにより、容器本体2内の錠剤を使い切るまで錠剤を簡単に取り出すことができる。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記錠剤導入路40は、前記錠剤導入台42の両側端部48から立設される一対の案内板50を含む。
【0013】
本手段では、前記錠剤導入路40は、
図1(C)に示す如く、前記横方向Cから見て前記錠剤導入台42の両側端部48から立設される一対の案内板50を含む。
この構造によれば、
図4(A)に想像線で示す如く、入口41から吐出口24へ向かう途中の錠剤Tが、錠剤導入台42の幅方向(側方D)へ脱落することなく、錠剤を吐出口24から効率的に振り出すことができる。
【0014】
第5の手段は、第1の手段から第4の手段のいずれかを有し、かつ前記邪魔板30は、前記吐出口24から相互に並行する一対のスリット26,28を前記栓盤22に設け、かつ、それら一対のスリット26,28の先端部26e,28e同士の間に弾性的な屈曲変形が可能な折曲げ線32を形成して、この折曲げ線32と前記一対のスリット26,28との内側の栓盤部分で前記邪魔板30を形成した。
【0015】
本手段では、
図1(A)に示す如く、前記吐出口24から相互に並行する一対のスリット26,28を前記栓盤22に設けている。
また、それら一対のスリット26,28の先端部26e,28e同士の間に弾性的な屈曲変形が可能な折曲げ線32を形成している。
前記邪魔板30は、折曲げ線32と前記一対のスリット26,28との内側の栓盤部分で前記邪魔板30を形成している。
この構造によれば、簡易な構成で定量吐出態様及び連続吐出態様の切り替えができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、定量吐出態様と連続吐出態様とを簡単に切り替えて吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る錠剤容器の構造を示し、同図(A)は平面図、同図(B)はI(B)-I(B)方向から見た断面図、同図(C)はI(C)-I(C)方向から見た断面図である。
【
図2】
図1に示す錠剤容器の主要部材(中栓)の構造を示し、同図(A)は当該中栓の下面図、同図(B)はII(B)- II(B)方向から見た側面図、同図(C)はII(C)-II(C)方向から見た側面図である。
【
図3】
図1に示す錠剤容器を振る作業の説明図である。
【
図4】
図1に示す容器から錠剤を吐出する作業の各段階の説明図であり、同図(A)は一個の錠剤が錠剤格納部内に入った段階を、同図(B)は邪魔板を押し下げた段階を、同図(C)は錠剤を吐出口から吐出する段階をそれぞれ描いている。同図(C)中、実線は連続吐出態様を、想像線は定量吐出態様を、それぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から
図4は、本発明の実施形態に係る錠剤容器を示している。
この錠剤容器は、容器本体2と、蓋体10と、中栓20とで形成している。
容器本体2及び蓋体10は、例えば金属又は合成樹脂で形成することができ、中栓20は、例えば合成樹脂で形成することができる。
なお、本実施形態では、錠剤容器に扁平な錠剤Tを収納しているが、扁平でない錠剤を収納させても構わない。
【0019】
容器本体2は、
図1(C)に示す如く、底板4の周端から胴周壁6を立設してなる。
図示例の容器本体2は、円板状の底板4から円筒状の胴周壁6を起立しているが、その形状は適宜変更することができる。
また図示例では、前記底板4は、外周部4aに比べて中央部4bを高く隆起させている。
また
図1(C)に示す如く、前記胴周壁6の上半部6bは下半部6aより僅かに小径に形成されており、下半部6aと上半部6bとの間には段差部qが形成されている。これらの構造は適宜変更することができる。
また胴周壁6の上端部には、内リブ部8を周設している。
本実施形態の容器本体2は、金属製の缶本体であり、前述の内リブ部8は、胴周壁の上縁部分を内巻き加工して形成している。これらの構造は適宜変更することができる。
【0020】
蓋体10は、後述の栓盤22の上面を覆う天板12と、この天板12の周端から垂設され、前記胴周壁6(図示例では上半部6b)に外嵌された蓋周壁14とを有する。
前記蓋周壁14の外面の下端部には、指掛け用リブ16が周設されている。
【0021】
中栓20は、
図2(B)に示す如く、栓盤22と、錠剤導入路40とを備える。
本実施形態の中栓20は、全体として一体に成形されており、金型成形することができる。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
【0022】
前記栓盤22は、容器本体2の開口部Оを覆う水平盤であり、前記胴周壁6に対応した形状(図示例では略円盤状)に形成されている。
その栓盤22の周縁部23は、前記内リブ部8の上に載置されている。
また、当該周縁部23の内側で、前記栓盤22の裏面からは、前記内リブ部8の内側に嵌着する嵌合部36が垂設されている。前記栓盤22は、内リブ部8への嵌合部36の嵌着により容器本体2の開口部に装着されている。図示例の嵌合部36は、嵌合筒部に形成されており、この嵌合筒部の外面下端には、内リブ部8の下側に係止する係止リブrが周設されている。
【0023】
前記栓盤22には、
図1(A)に示す如く、上方から見て前記胴周壁6に沿って配置された吐出口24が開口されている。
ここで「沿って」という用語は、胴周壁6の側近くに寄っているという意味であり、胴周壁6との間に距離を存して向かい合う形態、及び、胴周壁6と隣接している形態の双方を含む。
吐出口24が胴周壁6に沿って配置されているから、
図4(C)に示す如く、吐出口24を下側にして錠剤容器を横倒しにするときに、この錠剤容器の直下に掌(図示せず)を添えることにより、吐出口24から吐出される錠剤を確実に掌で受け止めることができる。
図示例の吐出口24は、
図1(A)に示す如く、周方向Cに横長の長方形に形成されているが、その形状は適宜変更することができる。
その長方形の一対の短辺のうちの一方端縁25Aには、後述の錠剤導入台42が連設されており、また他方端縁25Bには、後述の邪魔板30が連続している。
【0024】
前記栓盤22には、昇降可能な押釦を兼ねる邪魔板30が形成されている。
この邪魔板30は、錠剤導入台42への錠剤の進入を邪魔する(或いは規制する)というシャッターの役割を有する。
本実施形態において、前記邪魔板30は、前記吐出口24の近傍の栓盤部分を押下げ可能に切り割してなり、栓盤22の残りの部分と一体に形成されている。もっとも、前述の役割を果たすことができれば、どのような構造でも構わない。
図示例の邪魔板30は、
図1(A)に示す如く、前記吐出口24の他方端縁25Bから相互に並行して延びる一対のスリット26、28と、これらスリットの先端部26e、28e同士の間に形成した折曲げ線32との内側に画成されている。
ここで「並行」とは、相互に並んで延びていればよく、平行(2直線がどこまで延ばしても交わらない状態)である必要はない。
図示例では、前記胴周壁6に対応して内側スリット26及び外側スリット28が円弧状に並んで延びている。もっとも、これらの形状は適宜変更することができる。
前記折曲げ線32は、邪魔板30の基部であり、弾性的な屈曲変形が可能である。
邪魔板30は、
図4(B)に示す如く、その折曲げ線32を中心として、前記邪魔板30を、弾性に抗して押下げることが可能に形成している。
そして、当該邪魔板30を押し下げると、その邪魔板30の先部34が錠剤導入台42の入口41へ進入しようとする錠剤Tを上側から押え付け、その進入を邪魔する。
【0025】
前記錠剤導入路40は、前記栓盤22の下面に連設されており、その入口41から進入した錠剤Tを前記吐出口24へ導く役割を有する。
本実施形態の錠剤導入路40は、
図2(B)に示すように、錠剤導入台42と、一対の案内板50(50A、50B)と、延長板部52とを含む。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
本実施形態では、前記錠剤導入路40は、
図2(A)に示すように、上方から見て、前記円筒状の胴周壁6に沿って形成されており、かつ、その入口41は周方向C(吐出口24付近での胴周壁6の周方向)に向けて開口している。
このような構造とした理由を説明すると、錠剤導入路40を円筒状の胴周壁6に沿って配置したから、容器本体2内の錠剤の残数が少なくなったときに、吐出口24側を下寄りに錠剤容器を少し傾けることにより、
図3に示すように、錠剤が自重により、胴周壁6及び底板4に沿って錠剤導入路40側に集まり、これら錠剤を錠剤導入路40の入口41に取り込み易くなる。
そして、入口41を前記周方向Cに向けたから、
図3に矢示するように当該周方向Cに振る操作により、吐出口24付近の胴周壁6の周方向Cに振ることにより、それら錠剤Tを入口41に進入させることができる。
【0026】
前記錠剤導入台42は、容器本体2内の錠剤Tを吐出口24へ導く台座である。
本実施形態において、前記錠剤導入台42は、
図2(B)に示す如く、前記吐出口24の一方端縁25Aより、側方(本実施形態では胴周壁6の径方向D)から見たときの横方向(本実施形態では周方向C)の下側へ突設している。
そして突設方向の先端部を前述の錠剤導入路40の入口41として、周方向Cから前記入口41へ進入する錠剤Tが前記錠剤導入台42の上面を摺動して前記吐出口24に至るように形成している。
なお、「側方から見たとき」とは、例えば錠剤導入路40の入口41の開口方向と直交する向きから見たとき(
図1(B)参照)という程度の意味である。
そして、「横方向の下側へ」とは、本明細書において、錠剤導入台42の基端部(吐出口24)に対して錠剤導入台42の先端部(入口41)が横方向Cに離れた位置にあり、かつ、下側(図示例では他方端縁25Bの下側)に在る形態で突出していることを意味するものとする。
従って、錠剤導入台42の基端部と先端部との途中の部分が水平状態から逸脱していても構わない。
本実施形態の錠剤導入台42は、錠剤Tが入口41に横方向(錠剤容器の正立状態での横方向)から進入して、吐出口24から縦方向(錠剤容器の正立状態での縦方向)に出るように、錠剤の進行方向を変更する方向変換部を兼ねている。
図示例において、前記錠剤導入台42は、
図2(C)に示す如く、前記一方端縁25Aから下方へ延びる垂直板部44と、中間部である屈曲部45と、前記底板4に漸近する水平板部46とからなり、側方Dから見て全体として滑らかなカーブ形状に形成されている。
こうした形状とすることにより、前述の錠剤の方向転換が速やかに行われるように形成している。もっともこの形状は適宜変更することができる。
錠剤導入台42の幅(図示例では径方向Dの幅)は、
図1(A)に点線で示す錠剤の短径と同程度又はそれ以上とするとよい。
【0027】
前記一対の案内板50は、
図1(C)に示す如く、錠剤導入台42の幅方向(径方向)の両側端部48から起立している。
具体的には、胴周壁6の径方向に、相互に同形である内側案内板50Aと外側案内板50Bとが相互に対峙するように配設されている。
これら一対の案内板50の上端は、前記吐出口24の縁部付近で栓盤22側に連設している。
図示例では、
図1(C)に示すように、前記内側案内板50Aの上端は前記栓盤22に連設され、他方、前記外側案内板50Bの上端は前記嵌合部36に連設されている。
前記一対の案内板50と錠剤導入台42との内部には、一個の錠剤だけを収納することが可能な容積を有する錠剤格納部Aが形成されている。
これら案内板及び錠剤導入台の構造は吐出口24を成形する際に金型の食い切りを利用して形成することができる。
本実施形態では、
図3に示す如く、錠剤導入路40の入口41の横幅iは錠剤Tの短径nより大きいが長径mよりは小さい。また、
図4(A)に示す如く、その入口41の高さhは錠剤Tの長径mより大きく、かつ、錠剤格納部Aの奥行きjも錠剤Tの長径mより大きい。
こうすることにより、錠剤は、
図4(A)に示す如く、錠剤容器の正立状態での縦向きの姿勢で、入口41から錠剤格納部A内に入るともに、その姿勢のままで吐出口24から外部へ吐出される。もっとも、これらの寸法は適宜変更することができる。
【0028】
前記延長板部52は、
図1(A)に示す如く、前記外側案内板50Bから周方向Cへ延設されている。
前記延長板部52の役割は、
図3に示す如く、錠剤Tを錠剤導入路40の入口41へ案内することである。
図示例の延長板部52は、上方から見て胴周壁6に対応して弧状に延びており、延長板部52の上端は、前記嵌合部36に連続している。
【0029】
前記構成において、
図3に示すように、錠剤導入路40の入口41が開口する向き(前述の横方向C)に錠剤容器を振ると、容器本体2内から一個の錠剤Tが入口41を通って錠剤格納部A内に入る。
なお、前述の如く、容積の制限により、最初の一個の錠剤しか錠剤格納部Aに入ることができないため、
図4(A)に示す如く、2番目の錠剤Tは入口41の外側に停止する。
定量吐出させたいときには、
図4(B)に示すように、前記錠剤格納部Aに一個の錠剤が入った後に、邪魔板30を押し下げる。そうすると、邪魔板30の先部34が前記2番目の錠剤の上部を押え付けることになる。
この状態で、
図4(C)に示すように、錠剤容器を横倒しにすると、錠剤格納部A内の錠剤は、吐出口24から外部へ吐出されるが、同図に想像線で示すように、2番目の錠剤Tは、邪魔板30の先部34で押さえ付けられているため、そのまま錠剤格納部Aに入ることができず、故に、吐出口24から吐出されることもない。これにより、一個のみの錠剤の定量吐出が可能となる。
通常の連続吐出をさせたいときには、
図4(A)に示すように、一個の錠剤が錠剤格納部Aに入った後に、前記邪魔板30を押すことなく、
図4(C)に示すように、錠剤容器を横倒しにする。
そうすると、錠剤格納部内の一個の錠剤Tが吐出口24から吐出された後に、錠剤格納部Aが空くので、2番目の錠剤が入口41から錠剤格納部Aを通って吐出口24から吐出される。
これにより、
図4(C)に実線で示すように複数の錠剤Tの連続吐出が可能である。
前述の通り、錠剤導入台42の形状はカーブ形状であるため、入口41から吐出口24に至る径路での錠剤の滑らかな移動が可能であり、図示はしないが、3番目以降の錠剤Tの吐出も迅速に行うことができる。
【0030】
前記構成及び作用によれば、容器本体2の開口部Оに装着された栓盤22の下面側に、前記容器本体2内の錠剤Tを前記吐出口24へ導く錠剤導入路40を連設し、前記栓盤22の一部を、昇降可能な押釦を兼ねる邪魔板30に形成したから、簡単な操作で定量吐出態様と通常の連続吐出態様とを選択することができる。
吐出口24から横方向Cの下側へ錠剤導入台42を突設したから、その横方向Cへ錠剤容器を振る操作により、容易に錠剤を振り出すことができる。
また円筒形の胴周壁6に沿って吐出口24及び錠剤導入台42を配備したから、容器本体2内の錠剤を使い切るまで錠剤を簡単に取り出すことができる。
【符号の説明】
【0031】
2…容器本体(缶本体) 4…底板 4a…外周部 4b…中央部 6…胴周壁
6a…下半部 6b…上半部 8…内リブ部
10…蓋体(缶蓋) 12…天板 14…蓋周壁 16…指掛け用リブ
20…中栓 22…栓盤 23…周縁部 24…吐出口 25A…一方端縁
25B…他方端縁 26…内側スリット
26e…先端部 28…外側スリット 28e…先端部
30…邪魔板 32…折曲げ線(基部) 34…押さえ部(先部) 36…嵌合部
40…錠剤導入路 41…入口 42…錠剤導入台 44…垂直板部 45…屈曲部
46…水平板部(当接端部) 48…側端部
50…案内板 50A…内側案内板 50B…外側案内板 52…延長板部
A…錠剤格納部 C…周方向(横方向) D…径方向(側方)
h…(入口の)高さ i…(入口の)横幅 j…(錠剤格納部の)奥行き
О…開口部 m…(錠剤の)長径 n…短径 q…段差部 r…係止リブ T…錠剤