IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社正興電機製作所の特許一覧

<>
  • 特開-航空障害灯点検システム 図1
  • 特開-航空障害灯点検システム 図2
  • 特開-航空障害灯点検システム 図3
  • 特開-航空障害灯点検システム 図4
  • 特開-航空障害灯点検システム 図5
  • 特開-航空障害灯点検システム 図6
  • 特開-航空障害灯点検システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065768
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】航空障害灯点検システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/20 20200101AFI20240508BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240508BHJP
   G08B 29/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H05B47/20
H05B47/19
G08B29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174784
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591212718
【氏名又は名称】株式会社正興電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】檜木 朋章
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】山尾 雄大
(72)【発明者】
【氏名】米谷 英明
【テーマコード(参考)】
3K273
5C087
【Fターム(参考)】
3K273PA02
3K273PA09
3K273QA35
3K273QA36
3K273QA37
3K273QA38
3K273RA13
3K273SA03
3K273SA04
3K273SA09
3K273SA10
3K273SA23
3K273SA32
3K273SA34
3K273SA35
3K273SA39
3K273SA46
3K273SA51
3K273SA52
3K273SA54
3K273TA15
3K273TA18
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA47
3K273TA54
3K273TA64
3K273TA67
3K273TA71
3K273TA72
3K273TA73
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA24
3K273UA27
5C087AA11
5C087BB20
5C087CC26
5C087DD17
5C087DD33
5C087EE02
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG66
5C087GG81
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】航空障害灯の点検の手間を抑制できる航空障害灯点検システムを提供する。
【解決手段】本発明は、地上に構築される構造物に設けられる航空障害灯の点検をする航空障害灯点検システム4であって、点検装置5と、点検装置と通信可能な通信装置6と、を備え、点検装置は航空障害灯の点灯状態に関する点灯情報を検出する検出部51と、検出部が検出した点灯情報に基づいて、航空障害灯の点灯に関する異常があるか否かを判定する処理をして処理結果を出力する処理部53と、通信装置と通信する通信部54と、を備え、通信装置は、通信部に対して点検開始信号を送信する送信部と、処理結果を受信する受信部と、受信部が受信した処理結果に関する結果情報を表示する表示部と、を備え、処理部は、通信部が点検開始信号を受信すると点灯情報に基づいて処理結果を出力し、通信部は、処理結果を受信部に送信する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に構築される構造物に設けられる航空障害灯の点検をする航空障害灯点検システムであって、
点検装置と、該点検装置と通信可能な通信装置と、を備え、
前記点検装置は
前記航空障害灯の点灯状態に関する点灯情報を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記点灯情報に基づいて、前記航空障害灯の点灯に関する異常があるか否かを判定する処理をして処理結果を出力する処理部と、
前記通信装置と通信する通信部と、を備え、
前記通信装置は、
前記通信部に対して点検開始信号を送信する送信部と、
前記処理結果を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記処理結果に関する結果情報を表示する表示部と、を備え、
前記処理部は、前記通信部が前記点検開始信号を受信すると前記点灯情報に基づいて前記処理結果を出力し、
前記通信部は、前記処理結果を前記受信部に送信する航空障害灯点検システム。
【請求項2】
前記航空障害灯は、光源となる灯器と、該灯器の点灯を制御する灯器制御部と、を備え、
前記検出部は、前記灯器制御部の制御に関する制御状態を示す制御状態情報を検出する制御検出部を備え、
前記処理部は、前記制御検出部が検出した前記制御状態情報に基づいて前記灯器制御部の制御に異常があるか否かを判定する処理をする請求項1に記載の航空障害灯点検システム。
【請求項3】
前記灯器制御部は、前記灯器の点灯を制御するための制御機器を少なくとも1つ備え、
前記制御検出部は、前記制御状態情報として、前記制御機器の状態を示す機器情報を検出可能に構成され、
前記処理部は、前記制御検出部が検出した前記機器情報に基づいて前記灯器制御部の制御に異常があるか否かを判定する処理をする請求項2に記載の航空障害灯点検システム。
【請求項4】
前記灯器制御部は、前記灯器の断芯に関する情報を出力する断芯検知部を備え、
前記制御検出部は、前記断芯検知部の検知動作状態に関する検知状態情報を検出する検知状態検出部を備え、
前記処理部は、前記検知状態検出部が検出した前記検知状態情報に基づいて前記断芯検知部の動作状態に異常があるか否かを判定する処理をする請求項2に記載の航空障害灯点検システム。
【請求項5】
前記灯器制御部は、外部から電力供給を受けて動作するように構成され、
前記制御検出部は、前記灯器制御部に外部から電力が供給されているか否かに関する電源情報を検出する電源検出部を備え、
前記処理部は、前記電源検出部が検出した前記電源情報に基づいて、前記航空障害灯の電源供給に関して異常があるか否かを判定する処理をする請求項2に記載の航空障害灯点検システム。
【請求項6】
前記灯器制御部は、該灯器制御部に流れる電流を遮断する遮断器を備え、
前記制御検出部は、前記遮断器が電流を遮断したことを検出する遮断検出部を備え、
前記処理部は、前記遮断器が電流を遮断したことを前記遮断検出部が検出した場合に異常があると判定する処理をする請求項2に記載の航空障害灯点検システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空障害灯の点検をするための航空障害灯点検システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空障害灯の灯器の点検をするための装置として、特許文献1に記載の航空障害灯点検装置が知られている。航空障害灯点検装置は、外部の特定小電力無線送信機より送信された動作信号を受信可能な点灯信号受信器と、点灯信号への動作信号の受信に伴って、灯器を動作させることで灯器の故障を判断するための灯器故障検出手段及び自動点滅器の故障を判断する自動点滅器故障検出手段と、を備える。
【0003】
このような航空障害灯点検装置では、灯器故障検出手段及び自動点滅器故障検出手段が、灯器を連続点灯及び点滅点灯させる動作を行い、点検作業者が灯器の状態を目視確認することで、灯器の故障や自動点滅器の故障を判断することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-75670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような航空障害灯点検装置では、点検作業者が灯器を目視確認しなければ前記故障を判断することができないため、点検作業者が灯器を見ることができる場所に移動する必要があり、点検作業が手間になることがあった。
【0006】
そこで本発明は、航空障害灯の点検の手間を抑制できる航空障害灯点検システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の航空障害灯点検システムは、地上に構築される構造物に設けられる航空障害灯の点検をする航空障害灯点検システムであって、点検装置と、該点検装置と通信可能な通信装置と、を備え、前記点検装置は前記航空障害灯の点灯状態に関する点灯情報を検出する検出部と、前記検出部が検出した前記点灯情報に基づいて、前記航空障害灯の点灯に関する異常があるか否かを判定する処理をして処理結果を出力する処理部と、前記通信装置と通信する通信部と、を備え、前記通信装置は、前記通信部に対して点検開始信号を送信する送信部と、前記処理結果を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記処理結果に関する結果情報を表示する表示部と、を備え、前記処理部は、前記通信部が前記点検開始信号を受信すると前記点灯情報に基づいて前記処理結果を出力し、前記通信部は、前記処理結果を前記受信部に送信する。
【0008】
かかる構成によれば、点検装置と通信装置が通信可能であるとともに、検出部は、航空障害灯の点灯情報を検出し、該検出に基づいて処理部が判定をし、通信装置の表示部が処理結果を表示するので、点検作業者が通信装置を携行していれば灯器を目視確認することなく航空障害灯の点灯状態に関する異常の有無を把握することができる。よって、点検の手間を抑制できる。
【0009】
また、前記航空障害灯は、光源となる灯器と、該灯器の点灯を制御する灯器制御部と、を備え、前記検出部は、前記灯器制御部の制御に関する制御状態を示す制御状態情報を検出する制御検出部を備え、前記処理部は、前記制御検出部が検出した前記制御状態情報に基づいて前記灯器制御部の制御に異常があるか否かを判定する処理をするよう構成することもできる。
【0010】
かかる構成によれば、検出部が灯器制御部の制御状態情報を検出し、処理部は、検出結果に基づいて灯器制御部の制御に異常があるか否かを判定するので、灯器制御部の制御の異常の有無を把握することができる。
【0011】
また、前記灯器制御部は、前記灯器の点灯を制御するための制御機器を少なくとも1つ備え、前記制御検出部は、前記制御状態情報として、前記制御機器の状態を示す機器情報を検出可能に構成され、前記処理部は、前記制御検出部が検出した前記機器情報に基づいて前記灯器制御部の制御に異常があるか否かを判定する処理をするように構成することもできる。
【0012】
かかる構成によれば、検出部が制御機器の機器情報を検出し、処理部は、検出結果に基づいて灯器制御部の制御に異常があるか否かを判定するので、灯器制御部の制御の異常の有無を把握することができる。
【0013】
また、前記灯器制御部は、前記灯器の断芯に関する情報を出力する断芯検知部を備え、前記制御検出部は、前記断芯検知部の検知動作状態に関する検知状態情報を検出する検知状態検出部を備え、前記処理部は、前記検知状態検出部が検出した前記検知状態情報に基づいて前記断芯検知部の動作状態に異常があるか否かを判定する処理をするよう構成することもできる。
【0014】
かかる構成によれば、検出部は検知状態情報を検出し、処理部は検出結果に基づいて断芯検知部の動作状態に異常があるか否かを判定するので、断芯検知部の動作状態の異常の有無を把握することができる。
【0015】
また、前記灯器制御部は、外部から電力供給を受けて動作するように構成され、前記制御検出部は、前記灯器制御部に外部から電力が供給されているか否かに関する電源情報を検出する電源検出部を備え、前記処理部は、前記電源検出部が検出した前記電源情報に基づいて、前記航空障害灯の電源供給に関して異常があるか否かを判定する処理をするよう構成することもできる。
【0016】
かかる構成によれば、検出部は電源情報を検出し、処理部は検出結果に基づいて航空障害灯の電源供給に関して異常があるか否かを判定するので、航空障害灯の電源供給に関しての異常の有無を把握することができる。
【0017】
また、前記灯器制御部は、該灯器制御部に流れる電流を遮断する遮断器を備え、前記制御検出部は、前記遮断器が電流を遮断したことを検出する遮断検出部を備え、前記処理部は、前記遮断器が電流を遮断したことを前記遮断検出部が検出した場合に異常があると判定する処理をするよう構成することもできる。
【0018】
かかる構成によれば、検出部は遮断器による電流の遮断を検出し、処理部は遮断器が電流を遮断したことを検出部が検出した場合に異常があると判定するので、遮断器が電流を遮断するような異常があるか否かを確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、航空障害灯の点検の手間を抑制できる航空障害灯点検システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る航空障害灯点検システムの概要を示す図である。
図2】同航空障害灯点検システムの概要を示すブロック図である。
図3】同航空障害灯点検システムの検出部及び点検される航空障害灯の対応関係を示すブロック図である。
図4】同航空障害灯点検システムの点検装置を示すブロック図である。
図5】同航空障害灯点検システムの通信装置を示す概要図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る航空障害灯点検システムの概要を示す図である。
図7】同航空障害灯点検システムの通信装置を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る航空障害灯点検システム4について図1乃至図5を参照して説明する。
【0022】
はじめに、本実施形態の航空障害灯点検システム4によって点検される航空障害灯1について図1乃至図3を参照して説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、航空障害灯1は、航行する航空機に対して地上に構築された構造物の存在を表示するための装置であり、本実施形態では、塔構造物T(送電用鉄塔)に設置されている。具体的に、航空障害灯1は、光源となる灯器11と、灯器11の点灯を制御する灯器制御部2と、を備える。本実施形態の航空障害灯1は、灯器11及び灯器制御部2の両方が主として商用電源から電力供給を受ける、配電線受電型の航空障害灯1である。
【0024】
灯器11は、構造物に複数設けられ、発光することで航行する航空機に対して構造物の存在を表示する装置である。具体的に、灯器11は、構造物の上端部分及び上下方向の中途部分に配置される。また、灯器11は、電力が供給された状態において、常時点灯、所定周期での点滅点灯、所定周期で閃光を発する点灯のいずれかの態様で点灯をするように構成されている。本実施形態の灯器11は、電力が供給された状態において常時点灯するように構成されており、後述する開閉器24が断続的に灯器11に電力供給をするように動作する場合には点滅するように点灯する。
【0025】
灯器制御部2は、灯器11の点灯に関する制御を行い、本実施形態では、灯器11に対する電力の供給を制御することで、灯器11の点灯に関する制御を行う。また、灯器制御部2は、灯器11の点灯を制御するための制御機器を少なくとも1つ備える。本実施形態で、灯器制御部2は、供給される電流を遮断する制御機器としての遮断器21と、航空障害灯1が設置された環境に関する情報を発する制御機器としての点滅器22と、点滅器22が発した情報又は外部から送信された情報を受信し、灯器11を点灯又は消灯させるための情報を発する制御機器としての点灯指令部23と、点灯指令部23が発した情報に基づいて灯器11に電力を供給するための回路を開閉する制御機器としての開閉器24と、灯器11の断芯に関する情報を出力する断芯検知部25と、を備える。このような灯器制御部2は、構造物に設けられた制御盤の内部に配置されており、商用電源から交流電源の供給を受けて動作するように構成されている。また、灯器制御部2は、外部電源からの電力供給が途絶した場合に、灯器11及び灯器制御部2に対して一時的に電力供給をする予備電源(図示しない)を備える。
【0026】
遮断器21は、外部電源から灯器制御部2に過電流が流れた場合に、電路を開放し、外部電源から灯器制御部2への電流を遮断する制御機器である。例えば、遮断器21は、遮断器21よりも負荷側の電路において地絡や短絡、漏電などが発生し、過電流が流れた場合に、電路を開放する。即ち、遮断器21は、通常の状態(過電流が流れない状態)では電路を閉じ、過電流が流れた場合に電路を開くように構成された制御スイッチである。
【0027】
点滅器22は、灯器11が設置された環境に関する情報を発する制御機器である。本実施形態の点滅器22は、灯器11が設置された環境における明るさに関する情報を発する。本実施形態の点滅器22は、灯器11が設置された環境の明るさを検知する照度センサを備え、該照度センサで検知された照度(明るさ)が所定の照度を下回る間、照度が所定の照度を下回る旨の情報を発する。また、点滅器22は、照度センサが検知した照度が所定の値を下回った場合に、ONになり、照度センサが検知した照度が所定の値を上回った場合にOFFとなるスイッチを有し、ONの場合に照度が所定の照度を下回る旨の情報を発するように構成されている。即ち、点滅器22は、明るさに応じてON又はOFFになるスイッチを有する制御スイッチである。本実施形態の点滅器22は、リレー回路によって照度が所定の照度を下回る旨の情報(信号)を発するように構成されている。
【0028】
点灯指令部23は、点滅器22又は後述するように外部(例えば点検装置5)から入力された情報に基づいて灯器11を点灯又は消灯させる情報を発する。具体的に、点灯指令部23は、点滅器22から照度が所定の照度を下回る旨の情報が入力された場合、又は、外部から灯器11を点灯させる旨の情報が入力された場合に、灯器11を点灯させる情報を発する。また、点灯指令部23は、点滅器22又は外部からの入力されなくなった場合に、灯器11を消灯させる情報を発する。本実施形態の点灯指令部23は、点滅器22と連動して動作するリレー回路を有し、点滅器22のスイッチがONになった場合に、灯器11を点灯させる情報(信号)を発するように構成されている。
【0029】
開閉器24は、灯器11に電流を供給する回路を開閉する制御機器であり、本実施形態では無接点開閉器である。具体的に、開閉器24は、他の制御機器が発した情報に基づいて灯器11に電流を供給する回路を開閉するように構成されており、本実施形態では、点灯指令部23の発した情報に基づいて灯器11に電力を供給する回路を開閉するように構成されている。開閉器24は、回路は回路を開くことで灯器11への電力供給を遮断する状態となり、回路を閉じることで灯器11に電力を供給する状態となる。具体的に、開閉器24は、点灯指令部23が灯器11を点灯させる情報を発した場合に回路を閉じ(灯器11に電力を供給し)、点灯指令部23が灯器11を点灯させる情報を発していない場合に回路を開く(灯器11に電力を供給しない)状態となる。
【0030】
断芯検知部25は、灯器11の点灯に関する状態を検知し、灯器11の断芯に関する情報を出力する。具体的に断芯検知部25は、灯器11の点灯状態に関する情報を取得するセンサ部分と、該センサ部分が取得した情報に基づいて灯器11が断芯しているか否か及び灯器11の累積点灯時間を判定して結果を出力する制御部分と、を備える。そして、断芯検知部25は、灯器11が断芯していると判定した場合には、断芯情報を出力し、灯器11が累積で所定時間以上点灯していると判定した場合には時間超過情報を出力する。断芯検知部25は、複数の灯器11のそれぞれについて、点灯状態に関する情報の取得及び結果の出力を行う。本実施形態の断芯検知部25は、灯器11に供給される電力から灯器11の点灯状態に関する情報を取得するように構成されているが、このような構成に限らず、例えば、灯器11の点灯によって発生する光を感知することで、灯器11の点灯状態に関する情報を取得する構成とすることもできる。なお、断芯とは、白熱電球としての灯器11に設けられる発光体(フィラメント)が切断することのみならず、例えば、LED照明としての灯器11において、経年劣化などで発光させるための部品が故障することを含む。即ち、断芯とは、灯器11が発光できなくなるような異常全般を指す。
【0031】
断芯検知部25は、灯器制御部2に供給される電力を変換した電力によって動作するように構成されており、具体的には、コンバータ26によって直流に変換された電力で動作する。コンバータ26は、交流の電力を直流に変換する機器である。また、断芯検知部25に電力を供給する回路は、遮断器21と開閉器24の間で分岐するように構成されており、開閉器24の動作にかかわらず断芯検知部25には電力が供給されるように構成されている。即ち、本実施形態の断芯検知部25には、通常の状態(各機器及び外部からの電力供給に異常がない場合)において、常時電力が供給される。
【0032】
以上のような構成の航空障害灯1では、設置環境における明るさが所定の明るさ以下になった場合(例えば、夜間や雨天の場合)に、点滅器22が、照度が所定の照度を下回る旨の情報を発し、該情報を受信した点灯指令部23が灯器11を点灯させる情報を発する。そして、開閉器24が回路を閉じて、灯器11に電力供給をする状態とすることで、灯器11が点灯する。また、航空障害灯1では、設置環境における明るさが所定の明るさ以上になった場合(例えば、昼間)には、点滅器22及び点灯指令部23が情報を発さず、開閉器24が回路を開き、灯器11に電力供給をしない状態となることで、灯器11が消灯する。
【0033】
次に、上記航空障害灯1を点検する航空障害灯点検システム4について図1乃至図5を参照して説明する。図1及び図2に示すように、航空障害灯点検システム4は、点検装置5と、該点検装置5と通信可能な通信装置6と、を備える。
【0034】
図4に示すように、点検装置5は、航空障害灯1の点灯状態に関する点灯情報を検出する検出部51と、検出部51が検出した点灯情報を保持する状態保持部52と、点灯情報に基づいて、航空障害灯1の点灯に関する異常があるか否かを判定する処理をして処理結果を出力する処理部53と、通信装置6と通信する通信部54と、を備える。このような点検装置5は、例えば鉄塔に配置される制御盤に設けられ、外部電源(具体的には商用電源)から電力供給を受ける。本実施形態の点検装置5は、灯器制御部2と一体として構成されており、灯器制御部2と同一の電源から電力供給されるように構成されている。
【0035】
図3及び図4に示すように、検出部51は、航空障害灯1に設けられて、航空障害灯1における灯器11の点灯状態に関する点灯情報を検出する。本実施形態の検出部51は、灯器制御部2に設けられて、灯器11の点灯のための灯器制御部2の制御状態に関する制御状態情報を検出する制御検出部である。本実施形態で検出部51は、点灯情報として、航空障害灯1を構成する各機器の動作状態又は電力供給に関する状態を検出する。検出部51は、電源検出部としての第一検出部511と、遮断検出部としての第二検出部512と、点滅検出部としての第三検出部513と、検知状態検出部としての第四検出部514と、灯器電流検出部としての第五検出部515と、を備える。このような各検出部51は、灯器制御部2の制御機器に設けられて、該制御機器の状態を示す機器情報を検出する、又は、灯器制御部2の回路内に配置されて、航空障害灯1の各機器に供給される電力を検出するように構成されている。本実施形態で機器情報を検出する検出部51は、機器情報として、制御スイッチの状態に関するスイッチ情報を検出する。
【0036】
第一検出部511は、外部電源からの電力供給がされているか否かに関する電源情報を検出する。具体的に、第一検出部511は、灯器制御部2におけるもっとも電源側に配置されており、外部電源から灯器制御部2に対して電力供給がされているか否かを検出する。即ち、第一検出部511は、遮断器21が電力を遮断しているか否かにかかわらず、外部電源から灯器制御部2に対して電力供給が行われているか否かを検出できるように構成されている。本実施形態の第一検出部511は、外部電源から供給される電力を検出可能であるとともに、外部電源から灯器制御部2への電力供給が途絶えたときに、信号を発するように構成されており、具体的には、電力供給を検出した場合にスイッチがOFFになり、電力供給を検出しない場合にスイッチがONになる、ブレーク接点を有する電力センサである。
【0037】
第二検出部512は、遮断器21が電流を遮断したことを検出する。具体的に、第二検出部512は、制御スイッチとしての遮断器21の動作を検出し、遮断器21が電路を開放した場合(電流を遮断した場合)に信号を発するように構成されたセンサである。本実施形態の第二検出部512は、遮断器21の電路の開閉に係る制御スイッチと連動して動作するスイッチを備え、遮断器21が電路を閉じている間はスイッチがOFFとなり、遮断器21が電路を開いた場合に第二検出部512のスイッチがONとなって信号を発するように構成されている。即ち、第二検出部512は、制御スイッチの状態に関するスイッチ情報を検出するように構成されている。
【0038】
第三検出部513は、点滅器22の動作状態を検出する。具体的に、第三検出部513は、点滅器22が制御スイッチとしての点滅器22の動作を検出し、照度が所定の照度を下回る旨の情報を点滅器22が発しない間に亘って信号を発するように構成されたセンサである。本実施形態の第三検出部513は、点滅器22の情報の発したことを検出可能であるとともに、照度が所定の照度を下回る旨の情報を点滅器22が発したことを検出した場合にスイッチがOFFになり、照度が所定の照度を下回る旨の情報を点滅器22が発したことを検出しない場合(発しない場合)にスイッチがONになる、ブレーク接点を有する。具体的に、第三検出部513は、点滅器22のリレーと連動して動作するように構成されている。即ち、第三検出部513は、制御スイッチ(点滅器22のリレーのスイッチ)の状態に関するスイッチ情報を検出するように構成されている。
【0039】
第四検出部514は、断芯検知部25の動作状況に関する検知状態情報を検出する。また、第四検出部514は、断芯検知部25が適切に動作できる状態であるか否かを検出可能である。具体的に、第四検出部514は、断芯検知部25に電力供給がされているか否かを検出可能である。本実施形態の第四検出部514は、遮断器21と断芯検知部25の間に配置された電力センサであり、具体的には、コンバータ26と断芯検知部25の間に配置されている。第四検出部514は、コンバータ26で変換されて断芯検知部25に供給される電力を検出可能であるとともに、断芯検知部25への電力供給が途絶えたときに、信号を発するように構成されており、具体的には、電力供給を検出した場合にスイッチがOFFになり、電力供給を検出しない場合にスイッチがONになる、ブレーク接点を有する電力センサである。
【0040】
第五検出部515は、灯器11に供給される電力を検出する。具体的に、第五検出部515は、灯器11と開閉器24の間に配置された電力センサである。本実施形態の第五検出部515は、各灯器11に供給される電力の電流を計測可能であり、計測した結果を出力する。
【0041】
図4に示すように、状態保持部52は、検出部51が検出した結果を保持するように構成されている。本実施形態の状態保持部52は、検出部51が信号を発した場合に、リセット入力がされるまで当該信号を保持するように構成されている。具体的に、状態保持部52は、検出部51が信号を発した場合に、常に当該信号を保持する異常状態保持部521と、検出部51が検出した航空障害灯1の点灯状態に関する信号(点灯情報)が所定の条件を満たした場合にのみ信号を保持する故障状態保持部522と、を備える。
【0042】
異常状態保持部521は、検出部51が検出した結果を保持するように構成されている。本実施形態の異常状態保持部521は、検出部51が信号を発した場合に、当該信号を保持するように構成されている。具体的に、異常状態保持部521は、第一検出部511、第二検出部512又は第四検出部514が信号を発した場合に、当該信号を保持する。即ち、異常状態保持部521は、航空障害灯1において、電力供給が途絶えるような状態(各機器への電力供給がない状態又は外部電源の入力が遮断されている状態)を検出部51が検出した場合に、検出結果を保持する。このような異常状態保持部521は、一度検出部51から信号が入力された場合に、その後検出部51からの信号が途絶えたとしても、リセット入力がされるまでは当該信号を保持するように構成されている。さらに、本実施形態の異常状態保持部521は、断芯検知部25が断芯情報を発した場合に、当該断芯情報を保持する。
【0043】
故障状態保持部522は、検出部51が検出した結果が所定条件を満たす場合に、信号を保持するように構成されている。具体的に、故障状態保持部522は、第三検出部513が発する信号が所定条件を満たす場合に、当該信号を保持するように構成されている。本実施形態の故障状態保持部522は、第三検出部513が所定時間(例えば24時間)以上連続で信号を発している場合に、当該信号を保持するように構成されている。即ち、故障状態保持部522は、第三検出部513の信号に基づいて、点滅器22が所定時間(例えば24時間)以上連続でOFFの場合(照度が所定の照度を下回る旨の情報を発さない場合)に第三検出部513が発した信号を保持する。このような故障状態保持部522は、検出部51が発した信号が一度所定条件を満たした場合に、その後検出部51からの信号が途絶えたとしても、リセット入力がされるまでは当該信号を保持するように構成されている。
【0044】
処理部53は、検出部51が検出した点灯情報に基づいて、航空障害灯1の点灯に関する異常があるか否かを判定する処理をして処理結果を出力するコンピュータである。本実施形態で、処理部53は、検出部51が検出した制御状態情報に基づいて灯器制御部2の制御に異常があるか否かを判定する処理をする。具体的に、処理部53は、検出部51が発した信号に基づいて航空障害灯1の点灯に関する異常があるか否かを判定する。処理部53の判定に関する具体的な処理内容は後述する。また、処理部53は、断芯検知部25が検知した灯器11の断芯に関する情報に基づいて灯器11の点灯に関する状態を判断して出力する。処理部53は、処理結果を通信部54に対して出力するとともに、処理結果に基づいて灯器11を点灯させる指示を行い、灯器11を点灯させる旨の情報を点灯指令部23に対して出力する。
【0045】
また、処理部53は、処理部53自身の処理動作が正常であるか否かを自己診断するように構成されている。具体的に、処理部53は、処理部53自身を構成する各機器について、処理動作に関する異常が発生しているか否かを判断する。本実施形態では、処理部53は自己診断として、処理部53を構成するコンピュータのROMやRAMの異常の有無を判定する。また、処理部53は自己診断として、CPUのリスタート回数を計測して、リスタート回数に関する情報を保持する。本実施形態の処理部53は、自己診断の結果として、ROM又はRAMの異常の有無及びCPUのリスタート回数に関する情報を出力する。
【0046】
通信部54は、通信装置6と通信可能な部位であり、本実施形態では通信部54と無線通信可能である。また、通信部54は、通信装置6からの点検開始に関する点検開始信号の受信、及び、通信装置6に対する処理結果の送信を行う。通信部54は、点検開始信号を受信した場合に、処理部53に対して点検のための処理を開始させる信号を送信する。
【0047】
図2及び図5に示すように、通信装置6は、通信部54に対して点検開始信号を送信する送信部61と、処理結果を受信する受信部62と、受信部62が受信した処理結果に関する結果情報を表示する表示部63と、を備える。本実施形態の通信装置6は、携行可能な無線通信機器である。
【0048】
送信部61は、通信部54に対して点検開始信号を送信するように構成された部位である。本実施形態の送信部61は、操作部611を備え、該操作部611に、点検開始に関する入力がされた場合に点検開始信号を送信するように構成されている。本実施形態の操作部611は、「点検開始」と記載された押しボタンであり、押下されると点検開始信号を送信するように構成されている。なお、このような構成に限らず、例えば、点検対象の航空障害灯1に対応する点検装置5と無線通信可能な程度に近づいた場合に、自動で点検開始信号を送信するように構成することもできる。
【0049】
受信部62は、通信部54が送信した処理結果を受信するように構成された部位である。本実施形態の受信部62は、送信部61が点検開始情報を送信した後に、処理結果の受信を待機する待機状態となる。また、受信部62は、処理結果を受信した場合に、当該受信した情報を表示部63に対して出力する。
【0050】
図5に示すように、表示部63は、受信部62が受信した処理結果に関する結果情報を表示する。具体的に、表示部63は、航空障害灯1に異常がない旨の表示である正常表示と、航空障害灯1に異常がある旨の表示である異常表示と、を行う。本実施形態の表示部63は、複数の発光部631を備え、結果情報に対応した発光部631が発光することで結果情報を表示する。具体的に、表示部63は、正常表示に対応した発光部631である正常表示部631aと、異常表示に対応した発光部631である異常状態表示部(断芯表示部631b、故障表示部631c、及び、異常表示部631d)と、を備える。また、異常状態表示部は、表示する異常の種類に対応して複数設けられる。本実施形態の異常状態表示部は、灯器11の断芯に関する異常を表示する断芯表示部631bと、灯器制御部2の制御機器の故障に関する表示をする故障表示部631cと、灯器制御部2に異常な状態が発生したことに関する表示をする異常表示部631dと、を備える。本実施形態の故障表示部631cは、点滅器22の故障に関する表示をする。正常表示部631aは、「異常なし」と記載された部分に隣接して配置される発光部631であり、断芯表示部631bは、「断芯」と記載された部分に隣接して配置される発光部631であり、故障表示部631cは、「点滅器故障」と記載された部分に隣接して配置される発光部631であり、異常表示部631dは、「制御盤異常」と記載された部分に隣接して配置される発光部631である。
【0051】
以上のような構成の航空障害灯点検システム4による航空障害灯1の点検について説明する。
【0052】
航空障害灯点検システム4は、航空障害灯1を常時監視し、航空障害灯1の点灯情報を取得する。具体的に航空障害灯点検システム4では、検出部51が航空障害灯1の点灯状態について常時監視し、検出部51が所定の状態を検出した場合に信号を発する。また、検出部51が検出した信号を、状態保持部52が保持する。具体的に、航空障害灯1に関して、全体又は一部の機器で電力供給が途絶した場合には、第一検知部、第二検知部又は第四検知部が電力供給の途絶を検知して信号を発し、当該信号を異常状態保持部521が保持する。また、航空障害灯1に関して、照度が所定の照度を下回る旨の情報を点滅器22が発していない場合には、第三検出部513が上記状態を検出して信号を発し、当該信号が所定時間(24時間)以上連続する場合に、第三検出部513が発した信号を故障状態保持部522が保持する。さらに、航空障害灯点検システム4では、第五検出部515が検出した灯器11への電力の供給状況に関する情報が処理部53に都度入力される。また、航空障害灯点検システム4では、断芯検知部25が発した時間超過情報が処理部53に入力される。
【0053】
航空障害灯1の点検をする作業者は、通信装置6の操作部611を操作して点検を開始させる。操作部611が操作されると、通信装置6の送信部61が点検装置5の通信部54に対して点検開始情報を送信する。通信部54は、点検開始情報を受信すると、処理部53に対して点検のための処理を開始させる旨の信号を発する。
【0054】
点検開始の信号を受けた処理部53は、航空障害灯1の点灯に関する異常の有無について判定する処理をする。処理部53は、検出部51が検出した航空障害灯1の点灯情報に基づいて航空障害灯1の点灯に関する異常の有無を判定する。具体的に、処理部53は、状態保持部52が保持する信号に基づいて航空障害灯1の点灯に関する異常の有無を判定する。本実施形態の処理部53は、状態保持部52が信号を保持している場合、又は、時間超過情報が入力されている場合に航空障害灯1の点灯に関する異常があると判定し、状態保持部52が信号を保持していない場合に航空障害灯1の点灯に関する異常がないと判定する。さらに、処理部53は、異常があると判定する場合において、異常の種類を判定する。具体的に、処理部53は、異常状態保持部521が信号を保持している場合には、灯器制御部2に異常な状態が発生していると判断し、故障状態保持部522が信号を保持している場合には、灯器制御部2の制御機器に故障が発生していると判断し、時間超過情報が入力されている場合には、灯器11が断芯していると判断する。そして、処理部53は、上記各判断の結果を処理結果として出力する。なお、処理部53は、異常が複数ある場合には、複数の異常が発生していると判断する。例えば、異常状態保持部521及び故障状態保持部522の両方が信号を保持している場合には、灯器制御部2に異常な状態が発生しているとともに灯器制御部2の制御機器に故障が発生していると判断する。処理部53の処理結果は送信部61に出力され、通信部54は、処理結果を通信装置6に送信する。また、処理部53は、第五検知部から入力された灯器11に対する電流供給の状況に関する情報に基づいて、灯器11への電力供給に異常があるか否かを判定する。例えば、各灯器11に流れる電流のばらつきが大きい場合や、過電流が流れている場合、所定時間(例えば24時間)以上連続して電流が流れていない場合などに、灯器11への電力供給に異常があると判断し、灯器制御部2に異常な状態が発生していると判断する。
【0055】
また、処理部53は、上記処理結果に基づいて、灯器11を点灯させるための指令を発する。具体的に、処理部53は、処理結果によって異なる点灯パターンで灯器11を点灯させるように指令を発する。本実施形態で、制御部は、航空障害灯1の点灯に関する異常がないと判定した場合には、灯器11を点滅させる点灯パターンに関する指令を発し、航空障害灯1の点灯に関する異常があると判断した場合には、灯器11を連続点灯させる(点滅させない)点灯パターンに関する指令を発する。処理部53が発した灯器11を点灯させるための指令は、外部入力として点灯指令部23に入力され、点灯指令部23が開閉器24を開閉するための情報を発することで、処理部53が発した指令に従って灯器11が点灯する。
【0056】
通信部54が処理結果を通信装置6に送信すると、送信された処理結果を受信部62が受信して、受信した情報(処理結果)を表示部63に出力する。処理結果が入力された表示部63は、入力された処理結果に対応する表示をする。本実施形態では、処理結果に対応した発光部631を発光させて、処理結果を表示する。具体的に、表示部63は、処理結果が航空障害灯1の点灯に関する異常がないと判定である場合には、正常表示部631aを発光させ、航空障害灯1の点灯に関する異常があるとの判定である場合には、断芯表示部631b、故障表示部631c、及び、異常表示部631dのうち、異常の種類に対応した発光部631を発光させる。
【0057】
航空障害灯1の点検をする作業者は、表示部63の表示に基づいて航空障害灯1の異常の有無を判断し、必要に応じて追加の点検作業や修理作業を行う。例えば、表示部63が正常表示をした場合には、作業者は、航空障害灯1に異常が発生していないと判断して点検作業を終了する。また、表示部63が異常表示をした場合には、作業者は、航空障害灯1についての追加の点検作業及び機器の修理作業を行う。そして、追加の点検作業及び機器の修理作業が完了してから状態保持部52に対してリセット入力をして、状態保持部52の信号の保持を解消する。
【0058】
以上のような構成の航空障害灯点検システム4によれば、点検装置5と通信装置6が通信可能であるとともに、検出部51は、航空障害灯1の点灯情報を検出し、該検出に基づいて処理部53が判定をし、通信装置6の表示部63が処理結果を表示するので、点検作業者が通信装置6を携行していれば灯器11を目視確認することなく航空障害灯1の点灯状態に関する異常の有無を把握することができる。よって、点検の手間を抑制できる。
【0059】
また、検出部51が灯器制御部2の制御状態情報を検出し、処理部53は、検出結果に基づいて灯器制御部2の制御に異常があるか否かを判定するので、灯器制御部2の制御の異常の有無を把握することができる。
【0060】
さらに、検出部51が制御機器の機器情報を検出し、処理部53は、検出結果に基づいて灯器制御部2の制御に異常があるか否かを判定するので、灯器制御部2の制御の異常の有無を把握することができる。
【0061】
また、検出部51は検知状態情報を検出し、処理部53は検出結果に基づいて断芯検知部25の動作状態に異常があるか否かを判定するので、断芯検知部25の動作状態の異常の有無を把握することができる。
【0062】
さらに、検出部51は電源情報を検出し、処理部53は検出結果に基づいて航空障害灯1の電源供給に関して異常があるか否かを判定するので、航空障害灯1の電源供給に関しての異常の有無を把握することができる。
【0063】
また、検出部51は遮断器21による電流の遮断を検出し、処理部53は遮断器21が電流を遮断したことを検出部51が検出した場合に異常があると判定するので、遮断器21が電流を遮断するような異常があるか否かを確認することができる。
【0064】
さらに、検出部51は、灯器11への電力供給の状況を検出し、処理部53は、検出部51が検出した灯器11への電力供給の状況に基づいて灯器11への電力供給に関して異常があるか否かを判定する処理をする。よって、灯器11に適切に電流が供給されていない場合に異常を判定することができる。
【0065】
また、検出部51は、制御スイッチの動作状態に関するスイッチ情報を検出し、処理部53は検出部51が検出したスイッチ情報に基づいて灯器制御部2の制御の異常の有無を判断する処理をする。よって、灯器制御部2の制御の異常の有無を把握することができる。
【0066】
さらに、点検装置5は、検出部51の検出結果を保持する状態保持部52を備え、処理部53は、点検開始信号を受信した場合に、状態保持部52が、保持する検出結果に基づいて灯器制御部2に異常があるか否かを判定する処理をする。よって、前回の点検から今回の点検までの検出結果を保持し、該検出結果に基づいて異常を判定して出力できるので、例えば、一時的に異常が発生し、その後に異常が解消したとしても、当該異常を把握できる。
【0067】
また、灯器制御部2は、灯器11の断芯を検知する断芯検知部25を備え、断芯検知部25は、灯器11の断芯を検知すると処理部53に断芯信号を送信するように構成され、処理部53は、断芯信号を受信すると、灯器11に異常があると判定する。よって、検出部51の検出と断芯検知部25の検知の両方に基づいて航空障害灯1の異常を判断できる。
【0068】
さらに、処理部53は、処理部53自身の異常を検知する自己診断を実行可能に構成され、自己診断の結果を処理結果として出力する。よって、自己診断の結果によって、処理部53の異常の有無を判断できるので、異常のある処理部53の処理結果を表示部63が表示することで、航空障害灯1の異常が見逃されることを抑制することができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0070】
例えば、航空障害灯1として、塔構造物T(送電用鉄塔)に設けられる航空障害灯1を例に説明したが、このような構成に限らず、高層ビルや煙突、クレーンのような重機などの構造物に設けられる航空障害灯1に本発明を適用することもできる。
【0071】
また、灯器制御部2は、設置環境の明るさに応じて灯器11が点灯又は消灯するように灯器11を制御する場合について説明したが、このような構成に限らず、灯器11が常時点灯するように制御することや、時間で灯器11の点灯及び消灯を制御する構成とすることもできる。
【0072】
さらに、点検装置5が灯器制御部2と一体として設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、灯器制御部2とは別体として設けられる構成を採用することもできる。このような構成を採用する場合には、例えば、検知部を灯器制御部2に対して装着するような構成とすることもできる。
【0073】
また、本発明の他の実施形態として、図6及び図7に示すような航空障害灯点検システム4を採用することもできる。本実施形態の航空障害灯点検システム4では、点検装置5は、灯器11を撮像する撮像部Cを備え、処理部53は、処理結果を灯器11の点灯で表示させるように灯器制御部2に対して灯器11の点灯に関する信号を送信するとともに、撮像部Cの撮像した灯器11の映像を通信装置6に対して処理結果として送信する。通信装置6には、表示部63として、撮像部Cが撮像した灯器11の映像を表示可能な表示画面632を設け、処理結果として灯器11の映像を表示するように構成することもできる。このような構成によれば、灯器11の実際の点灯状態を遠隔から確認できる。また、処理結果を表示部63に文字情報などで表示する構成とすることもできる。
【0074】
さらに、通信装置6は、図示したような装置に限らず、例えば、汎用の機器(ノート型コンピュータやタブレット型コンピュータ等)にアプリケーションをインストールすることで、通信装置6とする構成とすることもできる。このような構成の場合、操作部611は、コンピュータの画面上に設けられた仮想のボタンとして構成するとともに、コンピュータの画面を表示部63として構成できる。
【0075】
また、処理部53は、各検出部51の検出結果に基づいて異常があると判断する場合に、航空障害灯1におけるどの機器やどの電路で異常が発生しているかを判断し、出力する構成とすることもできる。例えば、各検出部51のそれぞれに対応して状態保持部52を設け、状態保持部52が保持する信号の組み合わせに基づいて航空障害灯1におけるどの機器やどの電路で異常が発生しているかを判断する構成とすることもできる。このような構成において、表示部63は、航空障害灯1におけるどの機器やどの電路で異常が発生しているかを表示可能に構成することができる。
【符号の説明】
【0076】
1…航空障害灯、11…灯器、2…灯器制御部、21…遮断器、22…点滅器、23…点灯指令部、24…開閉器、25…断芯検知部、26…コンバータ、4…航空障害灯点検システム、5…点検装置、51…検出部、52…状態保持部、53…処理部、54…通信部、6…通信装置、61…送信部、611…操作部、62…受信部、63…表示部、631…発光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7