IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-フォークリフト 図1
  • 特開-フォークリフト 図2
  • 特開-フォークリフト 図3
  • 特開-フォークリフト 図4
  • 特開-フォークリフト 図5
  • 特開-フォークリフト 図6
  • 特開-フォークリフト 図7
  • 特開-フォークリフト 図8
  • 特開-フォークリフト 図9
  • 特開-フォークリフト 図10
  • 特開-フォークリフト 図11
  • 特開-フォークリフト 図12
  • 特開-フォークリフト 図13
  • 特開-フォークリフト 図14
  • 特開-フォークリフト 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006577
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】フォークリフト
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B66F9/24 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107612
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】岡部 大輔
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333FA12
3F333FA21
3F333FA23
3F333FD15
3F333FE04
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】差込孔からフォークを抜き出す際のフォークの差込部とパレットの対向面との接触を抑制できるフォークリフトを提供すること。
【解決手段】荷置き作業を実行するフォークリフトであって、昇降制御部は、荷置き作業において、フォークを後傾させた状態で昇降装置によってフォークを下降させている場合に、測距センサの検出値Dvが、第1規定値Lth1を上回るとき、昇降装置によるフォークの下降を停止させる停止処理S4,S10を実行する。傾動制御部は、停止処理S10の後に実行する処理であって、測距センサの検出値Dvが第2規定値を上回っていなければ、差込部の上面の全域がパレットから離れるまでフォークを前傾させるべく傾動装置を制御する前傾処理S12を実行し、停止処理S4,S10の後に差込部の上面の全域がパレットから離れているとき、前傾処理S12を実行しない。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
パレットを積載するフォークと、
前記フォークを昇降させる昇降装置と、
前記フォークを傾動させる傾動装置と、
前記昇降装置を制御する昇降制御部と、
前記傾動装置を制御する傾動制御部と、を備え、
前記フォークに前記パレットを積載した状態で前記昇降装置によって前記フォークを下降させることにより前記パレットを載置面に対して載置する荷置き作業を実行するフォークリフトであって、
前記パレットが前記載置面に載置されたときに前記フォークが差し込まれている孔を差込孔とし、前記フォークのうち前記差込孔に差し込まれる部分を差込部とし、前記差込部の端部から立設する部分を基部とすると、
前記基部に設けられており、検出対象までの距離を検出する測距センサを備え、
前記昇降制御部は、前記荷置き作業において、前記フォークを後傾させた状態で前記昇降装置によって前記フォークを下降させている場合に、前記測距センサの検出値が、前記基部と前記パレットとの当接時における前記検出対象としての前記パレットと前記測距センサとの間の距離を示す第1規定値を上回るとき、前記昇降装置による前記フォークの下降を停止させる停止処理を実行し、
前記傾動制御部は、前記停止処理の後に実行する処理であって、前記測距センサの検出値が、前記差込孔を形成する前記パレットの内面のうち前記差込部の上面に対向する対向面における前記基部から最も離れた縁と前記測距センサとの間の距離を示す第2規定値を上回っていなければ、前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れるまで前記フォークを前傾させるべく前記傾動装置を制御する前傾処理を実行し、前記停止処理の後に前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れているとき、前記前傾処理を実行しないことを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記フォークを前後に移動させる移動装置と、
ティルトセンサと、
前記移動装置を制御する移動制御部と、を備え、
前記昇降制御部及び前記移動制御部により前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れた後に引き抜き処理が実行され、
前記引き抜き処理は、前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れているときの前記ティルトセンサの検出結果に基づく前記フォークの傾斜角度で延びる前記差込部の目標軌道に沿って前記差込部が前記差込孔から抜き出されるように前記昇降制御部が前記昇降装置を制御し、且つ前記移動制御部が前記移動装置を制御する処理である、請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記フォークリフトは、リーチ型フォークリフトであって、
ティルトセンサを備え、
前記フォークは、前記昇降装置及び前記傾動装置により前記フォークと一体的に変位する取付部に取り付けられており、
前記傾動装置は、ティルトシリンダを含み、
前記ティルトシリンダは、作動油の給排に応じてシリンダチューブに対して出没するロッドであって、先端が前記取付部に接離するティルトロッドを有し、
前記ティルトロッドの先端が前記取付部を押圧するように前記ティルトロッドが前記シリンダチューブから突出することにより前記フォークは後傾するとともに、前記ティルトロッドの先端が前記取付部から離れるように前記ティルトロッドが前記シリンダチューブに没入することにより前記フォークは当該フォークの自重により前傾し、
前記傾動制御部は、前記荷置き作業において前記フォークが下降している間に前記フォークの傾斜角度が変化しないように前記傾動装置を制御しており、前記荷置き作業において前記測距センサの検出値が前記第1規定値となる前に前記ティルトセンサの検出結果に基づく前記フォークの前記傾斜角度が変化した場合、前記フォークの下降を停止させる、請求項1又は請求項2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
ティルトセンサを備え、
前記傾動制御部は、前記前傾処理の途中で前記ティルトセンサの検出結果に基づく前記フォークの傾斜角度が変化していない場合に前記前傾処理を終了する、請求項1又は請求項2に記載のフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークに積載されたパレットを搬送する特許文献1に記載されるようなフォークリフトが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6436553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォークを下降させることによりパレットが載置面に載置されたときにフォークが差し込まれている孔を差込孔とする。フォークのうち差込孔に差し込まれている部分を差込部とする。差込孔を形成するパレットの内面のうち差込部の上面に対向する面を対向面とする。
【0005】
ところで、差込部が対向面に接触していると、フォークを差込孔から抜き出すときに差込部が対向面に引っかかる虞がある。このため、フォークを差込孔から適切に抜き出すことが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するフォークリフトは、車体と、パレットを積載するフォークと、前記フォークを昇降させる昇降装置と、前記フォークを傾動させる傾動装置と、前記昇降装置を制御する昇降制御部と、前記傾動装置を制御する傾動制御部と、を備え、前記フォークに前記パレットを積載した状態で前記昇降装置によって前記フォークを下降させることにより前記パレットを載置面に対して載置する荷置き作業を実行するフォークリフトであって、前記パレットが前記載置面に載置されたときに前記フォークが差し込まれている孔を差込孔とし、前記フォークのうち前記差込孔に差し込まれる部分を差込部とし、前記差込部の端部から立設する部分を基部とすると、前記基部に設けられており、検出対象までの距離を検出する測距センサを備え、前記昇降制御部は、前記荷置き作業において、前記フォークを後傾させた状態で前記昇降装置によって前記フォークを下降させている場合に、前記測距センサの検出値が、前記基部と前記パレットとの当接時における前記検出対象としての前記パレットと前記測距センサとの間の距離を示す第1規定値を上回るとき、前記昇降装置による前記フォークの下降を停止させる停止処理を実行し、前記傾動制御部は、前記停止処理の後に実行する処理であって、前記測距センサの検出値が、前記差込孔を形成する前記パレットの内面のうち前記差込部の上面に対向する対向面における前記基部から最も離れた縁と前記測距センサとの間の距離を示す第2規定値を上回っていなければ、前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れるまで前記フォークを前傾させるべく前記傾動装置を制御する前傾処理を実行し、前記停止処理の後に前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れているとき、前記前傾処理を実行しない。
【0007】
上記構成によれば、パレットが載置面に接触した後にフォークが下降すると、基本的に差込部の基部側がパレットの対向面から離れる。すると、測距センサは、パレットにおける基部と対向する部位よりも離れた位置と自身との距離を検出する。よって、測距センサの検出値は、第1規定値を上回る。その結果、荷置き作業において測距センサの検出値が第1規定値を上回るとき、停止処理が実行される。すなわち、荷置き作業において少なくとも差込部の基部側がパレットから離れるときにフォークの下降が停止する。そして、停止処理後に測距センサの検出値が第2規定値を上回っていなければ、前傾処理が実行される。すなわち、差込部の基部側がパレットから離れており、且つ差込部の先端側がパレットを支持している状態のときに前傾処理が実行される。より詳しくは、測距センサの検出値が測距センサからパレットの対向面までの距離となるときに前傾処理が実行される。前傾処理は、差込部の上面の全域がパレットから離れるまで実行される。すなわち、前傾処理は、パレットの全体が載置面に載置され、且つ差込部の先端側がパレットから離れるまで実行される。前傾処理は、停止処理の後に差込部の上面の全域がパレットから離れているときに実行されない。よって、荷置き作業において、差込部がパレットの対向面に接触しないように停止処理及び前傾処理が行われる。したがって、差込孔からフォークを抜き出す際のフォークの差込部とパレットの対向面との接触を抑制できる。
【0008】
上記のフォークリフトにおいて、前記フォークを前後に移動させる移動装置と、ティルトセンサと、前記移動装置を制御する移動制御部と、を備え、前記昇降制御部及び前記移動制御部により前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れた後に引き抜き処理が実行され、前記引き抜き処理は、前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れているときの前記ティルトセンサの検出結果に基づく前記フォークの傾斜角度で延びる前記差込部の目標軌道に沿って前記差込部が前記差込孔から抜き出されるように前記昇降制御部が前記昇降装置を制御し、且つ前記移動制御部が前記移動装置を制御する処理であるとよい。
【0009】
上記構成によれば、引き抜き処理により、パレットの対向面に差込部が接触しない状態を維持しつつ、差込孔から差込部を抜き出すことができる。よって、対向面にフォークが引っかかることがなくなるため、差込孔からのフォークの引き抜きを好適に実行できる。
【0010】
上記のフォークリフトにおいて、前記フォークリフトは、リーチ型フォークリフトであって、ティルトセンサを備え、前記フォークは、前記昇降装置及び前記傾動装置により前記フォークと一体的に変位する取付部に取り付けられており、前記傾動装置は、ティルトシリンダを含み、前記ティルトシリンダは、作動油の給排に応じてシリンダチューブに対して出没するロッドであって、先端が前記取付部に接離するティルトロッドを有し、前記ティルトロッドの先端が前記取付部を押圧するように前記ティルトロッドが前記シリンダチューブから突出することにより前記フォークは後傾するとともに、前記ティルトロッドの先端が前記取付部から離れるように前記ティルトロッドが前記シリンダチューブに没入することにより前記フォークは当該フォークの自重により前傾し、前記傾動制御部は、前記荷置き作業において前記フォークが下降している間に前記フォークの傾斜角度が変化しないように前記傾動装置を制御しており、前記荷置き作業において前記測距センサの検出値が前記第1規定値となる前に前記ティルトセンサの検出結果に基づく前記フォークの前記傾斜角度が変化した場合、前記フォークの下降を停止させるとよい。
【0011】
上記構成によれば、荷置き作業において傾動制御部によりフォークの傾動が停止した状態でフォークが下降する。そして、フォークが下降しているとき、パレットと基部との当接した状態が維持されつつ、差込部の先端が差込孔を形成する面のうち下方に位置する下面に接触すると、測距センサの検出値が第1規定値を上回り得ない状態となる。この場合、ティルトロッドと取付部とが接離するため、フォークが更に下降すると、差込部の先端を支点としてフォークが傾動する。つまり、傾動制御部によりフォークの傾動を停止しているのに関わらず、測距センサの検出値が第1規定値を上回る前にフォークの傾斜角度が変化する。このような場合、傾動制御部は、フォークの下降を停止する。よって、荷置き作業においてフォークが意図しない挙動をしているとき、フォークの下降を好適に停止できる。
【0012】
上記のフォークリフトにおいて、ティルトセンサを備え、前記傾動制御部は、前記前傾処理の途中で前記ティルトセンサの検出結果に基づく前記フォークの傾斜角度が変化していない場合に前記前傾処理を終了するとよい。
【0013】
上記構成によれば、前傾処理の途中でフォークの傾斜角度が変化していない場合とは、フォークの傾斜角度が限界値に到達したときに差込部の先端が第1対向面に当接した状態で維持される場合である。すなわち、差込部の上面の全域がパレットから離れない状態となる。傾動制御部は、測距センサの検出値が第2規定値を上回り得ない状態となった段階で前傾処理を終了する。よって、フォークの傾斜角度が限界値に到達した状態で傾動制御部が前傾処理を継続し続けることがないため、制御装置の演算負荷を低下できる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、差込孔からフォークを抜き出す際のフォークの差込部とパレットの対向面との接触を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】フォークリフトの側面図である。
図2】フォークリフトのフォークの側面図である。
図3】フォークリフトの構成を示すブロック図である。
図4】フォークリフトの斜視図である。
図5】フォークリフトの荷置き作業の一例を示す概略図である。
図6】第1規定値を示すための概略図である。
図7】第2規定値を示すための概略図である。
図8】差込部の第1面の全域が第1対向面から離れた状態を示す概略図である。
図9】差込部の第1面の全域が第1対向面から離れた状態を示す概略図である。
図10】測距センサの検出値が第1規定値を上回り得ない状態を示す概略図である。
図11】測距センサの検出値が第2規定値を上回り得ない状態を示す概略図である。
図12】フォークリフトの制御装置の処理フローを示すフローチャートである。
図13】フォークリフトの制御装置が実行する引き抜き処理を示す図である。
図14】フォークリフトの制御装置が実行する引き抜き処理を示す図である。
図15】フォークリフトの制御装置の処理フローの変更例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、フォークリフトを具体化した実施形態を図1図14にしたがって説明する。
<フォークリフトの構成>
図1に示すように、フォークリフト10は、工場、港湾、及び商業施設等でパレットPを搬送する必要がある作業場で使用される。フォークリフト10は、パレットPを積載する荷取り作業を行った後、パレットPを搬送する。フォークリフト10は、パレットPを搬送した後、パレットPを載置する荷置き作業を行う。パレットPは、搬送物を収容する四角箱状の収容部Sと、収容部Sの四隅に設けられた脚部Lと、を備えている。パレットPは、メッシュパレットである。本実施形態のフォークリフト10は、リーチ型のフォークリフトである。
【0017】
フォークリフト10は、車体11と、リーチレグ12と、前輪13と、後輪14と、走行モータ15と、荷役装置20と、制御装置30と、を備えている。以下の説明において、車体11の前方向及び後方向を含む方向を第1方向Aとし、車体11の上方向及び下方向を含む方向を第2方向Bとする。車体11の左方向及び右方向を含む方向を第3方向Cとする。第1方向Aと第2方向Bとは直交している。第1方向Aと第3方向Cとは直交している。
【0018】
リーチレグ12は、車体11から車体11の前方向に延びている。リーチレグ12は、第3方向Cに互いに間隔をおいて二つ設けられている。前輪13は、一対のリーチレグ12の各々に設けられている。後輪14は、車体11に設けられている。後輪14は、例えば操舵輪であり、且つ走行モータ15により駆動する駆動輪である。走行モータ15が駆動することによりフォークリフト10は、第1方向Aに移動する。
【0019】
荷役装置20は、マスト21と、リフトブラケット22と、フォーク23と、を有している。フォークリフト10は、フォーク23を備えている。荷役装置20は、リーチシリンダ24と、リフトシリンダ25と、ティルトシリンダ26と、ティルトロッド27と、油圧装置40と、を有している。
【0020】
マスト21は、多段式のマストである。マスト21は、第3方向Cに間隔をおいて二つ設けられている。マスト21は、アウタマストと、ミドルマストと、インナマストとがスライド可能に係合されることにより構成されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、マスト21にはキャリッジ100が設けられている。キャリッジ100は、リフトブラケット22、フォーク23、フィンガバー28、回動軸29を含む。キャリッジ100は、マスト21のインナマストに図示しないチェーン機構を介して吊下げられている。
【0022】
図1に示すように、リフトブラケット22は、マスト21のインナマストに図示しないチェーン機構を介して吊下げられている。リフトブラケット22は、一対のマスト21の間に第2方向Bに昇降可能に設けられている。フィンガバー28は、第3方向Cに長手が延びるようにリフトブラケット22に取り付けられている。フォーク23は、第3方向Cに互いに間隔をおいて二つ設けられている。フォーク23は、リフトブラケット22に取り付けられる基部232と、基部232の先端から車体11の前方向に延びる差込部231とを有している。差込部231は、収容部Sの底部を支持する。差込部231は、板状をなしている。差込部231は、第1面231aと、第2面231bとを有している。第1面231aは、収容部Sの底部に対向する面である。第1面231aは、差込部231の上面である。第2面231bは、差込部231の厚さ方向で第1面231aとは反対側に位置する面である。基部232は、フォーク23のうち差込部231の端部から立設する部分である。
【0023】
回動軸29は、第3方向Cに軸線が延びるようにリフトブラケット22に設けられている。リフトブラケット22は、回動軸29に回動自在に支持されている。フォーク23及びリフトブラケット22は、回動軸29を回動中心として車体11の前方向又は車体11の後方向に回動自在である。
【0024】
リーチシリンダ24は、油圧シリンダである。リーチシリンダ24への作動油の給排によりマスト21が第1方向Aに移動する。フォーク23を含むキャリッジ100は、マスト21とともに第1方向Aに移動する。リーチシリンダ24によりマスト21とともにフォーク23が車体11の前方向に移動することをリーチアウトと呼称する。リーチシリンダ24によりマスト21とともにフォーク23が車体11の後方向に移動することをリーチインと呼称する。
【0025】
リフトシリンダ25は、油圧シリンダである。キャリッジ100は、リフトシリンダ25への作動油の給排によりマスト21の伸縮を伴ってマスト21に沿って第2方向Bに上昇又は下降する。フォーク23は、リフトブラケット22とともに第2方向Bに上昇又は下降する。
【0026】
ティルトシリンダ26は、油圧シリンダである。ティルトシリンダ26は、シリンダチューブ26aと、ティルトロッド27とを有している。ティルトロッド27は、ティルトシリンダ26への作動油の給排によりシリンダチューブ26aに対して出没するロッドである。
【0027】
図2に示すように、ティルトロッド27の先端27aは、フィンガバー28に接離可能である。換言すると、ティルトロッド27の先端27aは、フィンガバー28に固定されていない。
【0028】
ティルトロッド27がシリンダチューブ26aに対して最も没入した状態で、フォーク23及びリフトブラケット22は前傾する。フォーク23及びリフトブラケット22は、ティルトロッド27の支えがない状態において、フォーク23の前傾が最大となるように重心が設定されている。すなわち、ティルトロッド27の先端27aがフィンガバー28を離れるようにシリンダチューブ26aに没入することによりフォーク23は、フォーク23の自重により前傾する。
【0029】
ティルトシリンダ26への作動油の供給によってティルトロッド27がシリンダチューブ26aから突出する。ティルトロッド27の先端27aがフィンガバー28を押圧するようにティルトロッド27がシリンダチューブ26aから突出することにより、フォーク23は、リフトブラケット22及びフィンガバー28とともに後傾する。ティルトロッド27がシリンダチューブ26aに対して最大限突出した状態で、フォーク23の後傾が最大となる。
【0030】
すなわち、ティルトシリンダ26への作動油の給排によってフォーク23が傾動する。フォーク23は、フィンガバー28及びリフトブラケット22とともに傾動する。傾動は、上記前傾と上記後傾とを含む。前傾とは、フォーク23、リフトブラケット22及びフィンガバー28を車体11の前方向に傾動させる(フォーク23の先端が下がる)ことである。後傾とは、フォーク23、リフトブラケット22及びフィンガバー28を車体11の後方向に傾動させる(フォーク23の先端が上がる)ことである。フォーク23は、リフトブラケット22及びフィンガバー28とともに上昇、下降、前傾、後傾する。すなわち、リフトブラケット22及びフィンガバー28は、フォーク23と一体的に変位すると取付部である。フォーク23は、取付部に取り付けられている。
【0031】
フォーク23の傾斜角度θは、フォーク23が傾動したときの第1面231aと、水平方向に延びる仮想線との間の角度である。傾斜角度θの下限値を限界値θfmaxとする。限界値θfmaxは、フォーク23の前傾が最大となるときの第1面231aと、水平方向に延びる仮想線との間の角度である。限界値θfmaxは、負の値である。傾斜角度θの上限値を限界値θbmaxとする。限界値θbmaxは、フォーク23の後傾が最大となるときの第1面231aと、水平方向に延びる仮想線との間の角度である。限界値θbmaxは、正の値である。
【0032】
図3に示すように、油圧装置40は、リーチシリンダ24、リフトシリンダ25、及びティルトシリンダ26を含む油圧機器への作動油の給排を制御するための機構である。油圧装置40は、コントロールバルブ41と、荷役ポンプ42と、荷役モータ43と、を有している。コントロールバルブ41は、リーチシリンダ24、リフトシリンダ25、及びティルトシリンダ26への作動油の給排を制御する。コントロールバルブ41は、リーチシリンダ24、リフトシリンダ25、及びティルトシリンダ26へ作動油を給排する油路の開度を調整する電磁制御弁である。荷役ポンプ42は、コントロールバルブ41に作動油を吐出する。荷役モータ43は、荷役ポンプ42を駆動させる動力を発生させる。
【0033】
図1に示すように、リーチシリンダ24及び油圧装置40は、第1方向Aにおいてフォーク23を前後に移動させる移動装置である。リフトシリンダ25及び油圧装置40は、第2方向Bにフォーク23を昇降させる昇降装置である。ティルトシリンダ26及び油圧装置40は、フォーク23を傾動させる傾動装置である。傾動装置は、ティルトシリンダ26を含んでいる。フォークリフト10は、移動装置と、昇降装置と、傾動装置と、を備えている。
【0034】
図4に示すように、フォークリフト10は、フォークリフト10に搭乗する乗員が操作可能な操作部16を備えている。操作部16は、リーチ操作部161と、リフト操作部162と、ティルト操作部163と、アクセル操作部164と、を含む。
【0035】
リーチ操作部161は、中立位置から第1方向Aに前傾又は後傾可能なリーチレバーを含む。リーチレバーを中立位置から車体11の前方向に前傾させると、リーチ操作部161は、信号を制御装置30に出力する。当該信号が出力されると、マスト21とともにフォーク23が車体11の前方向に移動する。リーチレバーを中立位置から車体11の後方向に後傾させると、リーチ操作部161は、信号を制御装置30に出力する。当該信号が出力されると、マスト21とともにフォーク23が車体11の後方向に移動する。
【0036】
リフト操作部162は、中立位置から第1方向Aに前傾又は後傾可能なリフトレバーを含む。リフトレバーを中立位置から車体11の前方向に前傾させると、リフト操作部162は、信号を制御装置30に出力する。当該信号が出力されると、リフトブラケット22とともにフォーク23が下降する。リフトレバーを中立位置から車体11の後方向に後傾させると、リフト操作部162は、信号を制御装置30に出力する。当該信号が出力されると、リフトブラケット22とともにフォーク23が上昇する。
【0037】
ティルト操作部163は、中立位置から第1方向Aに前傾又は後傾可能なティルトレバーを含む。ティルトレバーを中立位置から車体11の前方向に前傾させると、ティルト操作部163は、信号を制御装置30に出力する。この信号が出力されると、ティルトロッド27がシリンダチューブ26aに没入されることによりフォーク23がリフトブラケット22及びフィンガバー28とともに前傾する。ティルトレバーを中立位置から車体11の後方向に後傾させると、ティルト操作部163は、信号を制御装置30に出力する。この信号が出力されると、ティルトロッド27がシリンダチューブ26aに対して突出することによりフォーク23がリフトブラケット22及びフィンガバー28とともに後傾する。
【0038】
アクセル操作部164は、中立位置から第1方向Aに前傾又は後傾可能なアクセルレバーを含む。アクセルレバーを中立位置から車体11の前方向に前傾させると、アクセル操作部164は、信号を制御装置30に出力する。この信号が出力されると、フォークリフト10が前進するように走行モータ15が駆動される。アクセルレバーを中立位置から車体11の後方向に後傾させると、アクセル操作部164は、信号を制御装置30に出力する。この信号が出力されると、フォークリフト10が後進するように走行モータ15が駆動される。
【0039】
図5に示すように、フォークリフト10は、フォーク23にパレットPを積載した状態でフォーク23を下降させることによりパレットPをトラックTの載置面TBに対して載置する荷置き作業を実行する。トラックTの停車位置A1は、予め決められている。フォークリフト10は、荷置き位置A2まで移動した後に荷置き作業を実行する。
【0040】
トラックTは、載置面TBと、側あおりSSと、後あおりRSと、タイヤT1と、を備えている。載置面TBには、パレットPが積まれる。側あおりSSは、載置面TBの側部に設けられている。側あおりSSは、トラックTの上方向及び下方向に回動可能である。後あおりRSは、載置面TBの後部に設けられている。後あおりRSは、トラックTの上方向及び下方向に回動可能である。トラックTの走行中などには、側あおりSS及び後あおりRSによって載置面TBが囲まれている。フォークリフト10が荷置き作業を行う際には、側あおりSS及び後あおりRSは、下方に回動させられており、側あおりSS及び後あおりRSはパレットPに向かい合わない。すなわち、フォークリフト10が荷置き作業を行う際には、側あおりSS及び後あおりRSは、フォークリフト10による荷置き作業を阻害しないように回動させられる。なお、フォークリフト10は、載置面TBに載置されたパレットPをフォーク23に積載する荷取り作業を実施してもよい。荷取り作業は、荷置き位置A2と同じ位置で行われてもよい。荷取り作業は、載置面TBとは異なる場所に載置されたパレットPをフォーク23に積載する作業であってもよい。
【0041】
パレットPが載置面TBに載置された状態で、載置面TB、脚部L、及び収容部Sに囲まれる孔である差込孔IHが形成されている。差込孔IHは、パレットPが載置面TBに載置された状態でフォーク23が差し込まれている孔である。差込部231は、フォーク23のうち差込孔IHに差し込まれた部分である。基部232は、フォーク23のうち差込孔IHに差し込まれない部分である。
【0042】
本実施形態では、フォークリフト10は、トラックTの側あおりSS側で荷置き作業を実行する。フォークリフト10の第1方向Aと、トラックTの車幅方向Tdとが一致している状態で荷置き作業が実行される。本実施形態の荷置き作業は、載置面TBが車幅方向Tdに沿って水平に延びていたり、車幅方向Tdに対して傾斜していたりする。載置面TBの車幅方向Tdに対する傾斜具合は、トラックTのサスペンション等の沈み具合により変化する。
【0043】
差込孔IHを形成する面は、第1対向面IH1と、第2対向面IH2とを有している。第1対向面IH1は、差込部231が差込孔IHに差し込まれた状態において、差込部231の第1面231aと対向している。第1対向面IH1は、差込孔IHを形成する面のうち上方に位置する面である。第1対向面IH1は、差込孔IHを形成するパレットPの内面のうち差込部231の第1面231aに対向する対向面である。第2対向面IH2は、差込部231が差込孔IHに差し込まれた状態において、差込部231の第2面231bと対向している。第2対向面IH2は、差込孔IHを形成する面のうち第1対向面IH1と対向する面である。本実施形態において、第2対向面IH2は、載置面TBである。すなわち、載置面TBは、差込孔IHを形成する面のうち下方に位置する下面である。
【0044】
図3に示すように、フォークリフト10は、補助記憶装置50と、環境センサ51と、を備えている。フォークリフト10は、測距センサ52と、車速センサ53と、リーチセンサ54と、リフトセンサ55と、ティルトセンサ56とを備えている。
【0045】
補助記憶装置50は、制御装置30が読み取り可能な情報を記憶している。補助記憶装置50としては、例えば、ハードディスクドライブや、ソリッドステートドライブが用いられる。補助記憶装置50には、地図情報が記憶されている。地図情報とは、フォークリフト10が用いられる環境の形状、広さ等、フォークリフト10の周辺環境の物理的構造に関する情報である。停車位置A1、及び荷置き位置A2等の位置は、地図情報中の座標として表される。地図情報は、フォークリフト10の用いられる環境を座標で示したデータである。地図情報は、フォークリフト10が用いられる周辺環境を予め把握できていれば、予め補助記憶装置50に記憶されていてもよい。地図情報を予め補助記憶装置50に記憶する場合、建築物の壁、柱など位置の変化しにくい物の座標を地図情報として記憶する。地図情報は、SLAM:Simultaneous Localization and Mappingによるマッピングにより作成されてもよい。マッピングは、例えば、環境センサ51によって得られた座標から局所地図を作成した後、この局所地図をフォークリフト10の自己位置に応じて組み合わせることによって行われる。環境センサ51は、フォークリフト10の後方に位置する物体と、フォークリフト10との相対位置を制御装置30に認識させることができるセンサである。環境センサ51としては、例えば、ミリ波レーダー、ステレオカメラ、LIDAR:Laser Imaging Detection and Rangingなどを用いることができる。
【0046】
図1及び図2に示すように、測距センサ52は、基部232に設けられている。差込部231にパレットPが積載されている状態において、パレットPは、基部232に当接している。測距センサ52は、パレットPが基部232に当接している状態でパレットPに当接しないように基部232に取り付けられている。測距センサ52は、基部232の第3方向Cにおける側面に取り付けられている。
【0047】
本実施形態の測距センサ52は、例えば、キーエンス社製のアンプ内蔵型TOFレーザセンサである。測距センサ52は、レーザ光が差込部231の第1面231aに沿って延びるように基部232に取り付けられる。測距センサ52は、レーザ光が差込部231の第1面231aに可能な限り近づいた状態となるように基部232に取り付けられる。本実施形態において、測距センサ52のレーザ光の光軸は、差込部231の第1面231aに平行である。測距センサ52は、差込部231にパレットPが積載されている状態において基部232に対向するパレットPの端面にレーザ光が照射できるように基部232に取り付けられている。測距センサ52のレーザ光のスポット径は、例えば4mmである。レーザ光のスポット径は、差込部231の基部232側とパレットPの第1対向面IH1とが当接した状態から離れた状態に変化したときに第1面231aと第1対向面IH1との間にレーザ光が進入できる大きさである。また、レーザ光のスポット径は、差込部231の第1面231aの全域が第1対向面IH1から離れたときに第1面231aと第1対向面IH1との間を通過できる大きさである。
【0048】
差込部231にパレットPが積載されている場合、測距センサ52は、自身から検出対象としてのパレットPまでの距離を検出する。差込部231の第1面231aの全域が第1対向面IH1から離れており、且つ差込部231が差込孔IHに差し込まれている場合、測距センサ52のレーザ光は、差込孔IHを通過する。この場合、測距センサ52は、自身から差込孔IHを通過したレーザ光が照射された検出対象までの距離を検出する。検出対象とは、レーザ光が照射される対象物である。測距センサ52は、検出した距離を検出値Dvとして制御装置30に出力する。
【0049】
測距センサ52の検出範囲は、フォーク23にパレットPが当接している状態において、測距センサ52とパレットPとの間の距離が検出できる範囲である。測距センサ52は、検出範囲に検出対象が存在しない場合、その旨を示す信号Sgを制御装置30に出力する。すなわち、測距センサ52は、差込孔IHを通過したレーザ光が照射される検出対象が検出範囲内に存在しない場合、信号Sgを制御装置30に出力する。
【0050】
図3に示すように、車速センサ53は、信号SVを制御装置30に出力する。リーチセンサ54は、信号SRを制御装置30に出力する。リフトセンサ55は、信号SLを制御装置30に出力する。ティルトセンサ56は、信号Sθを制御装置30に出力する。
【0051】
<制御装置の構成>
制御装置30は、CPUやGPU等のプロセッサ31と、RAM及びROM等からなる記憶部32と、を備えている。記憶部32は、処理をプロセッサ31に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部32、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置30は、ASIC:Application Specific Integrated CircuitやFPGA:Field Programmable Gate Array等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置30は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。なお、記憶部32に記憶されるプログラムコードや指令は、記憶部32に代えて補助記憶装置50に記憶されてもよい。
【0052】
制御装置30は、記憶部32に記憶されたプログラムコード又は指令に従い、走行モータ15及び油圧装置40を制御する。これにより、フォークリフト10が走行したり、リーチシリンダ24、リフトシリンダ25、及びティルトシリンダ26が動作したりする。このため、制御装置30は、移動装置、昇降装置、及び傾動装置を制御する。本実施形態のフォークリフト10は、基本的に乗員による操作が行われることがない。フォークリフト10は、制御装置30による移動装置、昇降装置、及び傾動装置の制御により自動で動作する無人フォークリフトである。本実施形態のフォークリフト10は、乗員による操作が行われる場合に操作部16の操作に応じてフォークリフト10が動作する有人式のフォークリフトとしても使用できる。
【0053】
制御装置30は、自己位置推定処理を実行する。自己位置推定処理は、補助記憶装置50に記憶された地図情報上でのフォークリフト10の自己位置を推定するための処理である。制御装置30は、自己位置推定処理を実行しながら走行モータ15を制御することにより、荷置き位置A2にフォークリフト10を移動させることが可能である。自己位置推定処理は、例えば、走行モータ15の回転数を用いて自己移動量を推定するオドメトリを用いて行われてもよいし、ランドマークと地図情報とのマッチング結果から行われてもよい。また、これらを組み合わせて自己位置推定処理を実行してもよい。フォークリフト10が用いられる環境が屋外であれば、GPS:Global Positioning Systemを用いて自己位置を推定してもよい。なお、自己位置とは、車体11の一点を示す座標であり、例えば、車体11の水平方向の中央の座標である。
【0054】
制御装置30は、荷置き作業を実行する場合、荷置き位置A2にフォークリフト10を移動させる。制御装置30は、フォークリフト10が荷置き位置A2に移動した後、油圧装置40を制御することでマスト21をリーチアウトさせることによりフォーク23をトラックTの載置面TBの直上に配置する。制御装置30は、昇降装置を制御することによりフォーク23を下降させる。そして、パレットPが載置面TBに載置される。よって、制御装置30によって荷置き作業が自動で実現される。本実施形態の荷置き作業は、載置面TBが車幅方向Tdに対して傾斜している場合、又は載置面TBが車幅方向Tdに沿って延びている場合を想定して実行されるものとする。
【0055】
<判定部、及び模擬電圧値演算部>
制御装置30は、判定部34と、模擬電圧値演算部35と、を有している。
判定部34には、測距センサ52の検出値Dv又は信号Sgが入力される。判定部34は、検出値Dvが入力されている場合、検出値Dvが第1規定値Lth1、第2規定値Lth2を上回るか否かを判定する。第2規定値Lth2は、第1規定値Lth1よりも大きい。判定部34は、入力される検出値Dvを第1規定値Lth1及び第2規定値Lth2と比較することにより第1判定結果、第2判定結果、及び第3判定結果を出力する。判定部34は、信号Sgが入力されている場合、第4判定結果を出力する。判定部34は、荷置き作業においてフォーク23が下降し始めたときに上記の判定結果を模擬電圧値演算部35に出力する。
【0056】
<第1規定値、第2規定値、及び各判定結果>
図6に示すように、本実施形態のフォークリフト10は、荷置き作業において、フォーク23を後傾させる。より具体的には、荷置き作業において載置面TBの直上にフォーク23が配置された状態で、制御装置30は、油圧装置40を制御することでフォーク23を後傾させる。このとき、フォーク23は、傾斜角度θが限界値θbmaxまで後傾する。荷置き作業において、フォーク23が限界値θbmaxまで後傾された状態では、パレットPは、基部232に当接する。
【0057】
第1規定値Lth1は、フォーク23の基部232とパレットPとの当接時におけるパレットPと測距センサ52との間の距離を示す値である。具体的には、第1規定値Lth1は、差込部231にパレットPが積載されている状態において基部232に対向するパレットPの端面と測距センサ52との間の距離を示す値である。このとき、パレットPは、測距センサ52の検出対象である。
【0058】
図7に示すように、第2規定値Lth2は、第1対向面IH1の終端Peと測距センサ52との間の距離を示す値である。第1対向面IH1の終端Peは、第1対向面IH1のうち基部232から最も離れた縁である。第2規定値Lth2は、差込部231の基部232側とパレットPの第1対向面IH1とが当接した状態から離れた状態に変化したときに第1対向面IH1の終端Peと測距センサ52との間の距離の最大値である。第2規定値Lth2は、測距センサ52のレーザ光が第1対向面IH1の終端Peに照射されるときの測距センサ52の検出値Dvと同じ数値である。
【0059】
図8及び図9に示すように、第1判定結果は、測距センサ52の検出値Dvが第2規定値Lth2を上回っている場合を示している。第1判定結果は、測距センサ52の検出値Dvが第2規定値Lth2を上回っていると判定部34が判定した結果である。第1判定結果は、測距センサ52のレーザ光が差込孔IHを通過した後、測距センサ52の検出範囲内に存在するパレットP以外の検出対象Obに照射されている場合を示している。すなわち、測距センサ52のレーザ光がパレットPに照射されていない状態であるため、第1判定結果は、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れている場合を示している。
【0060】
図7に示すように、第2判定結果は、測距センサ52の検出値Dvが第2規定値Lth2を上回っておらず、且つ第1規定値Lth1を上回っている場合を示している。第2判定結果は、測距センサ52の検出値Dvが第2規定値Lth2を上回っておらず、且つ第1規定値Lth1を上回っていると判定部34が判定した結果である。第2判定結果は、差込部231の基部232側とパレットPの第1対向面IH1とが当接した状態から離れた状態に変化したときに測距センサ52のレーザ光が第1対向面IH1に照射されている場合を示している。すなわち、第2判定結果は、差込部231の基部232側がパレットPから離れており、且つパレットPの第1対向面IH1の終端Peが差込部231に支持されている場合を示している。
【0061】
図11に示すように、載置面TBが第1方向Aにおいてフォークリフト10から離れるほど下方に向けて延びており、且つ載置面TBの車幅方向Tdに対する角度が限界値θfmaxよりも大きくなる場合を想定する。この場合、フォーク23を前傾させたとき、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れる前にフォーク23の傾斜角度θが限界値θfmaxに到達する。すなわち、差込部231の基部232側がパレットPから離れつつ、フォーク23が前傾できなくなることにより、測距センサ52の検出値Dvが第2規定値Lth2を上回り得ない状態となる。これは、後述するが、第2判定結果が目標位置姿勢演算部37に入力されており、且つ目標位置姿勢演算部37に入力された傾斜角度θが変化していない場合である。
【0062】
図6に示すように、第3判定結果は、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回っていない場合を示している。第3判定結果は、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回っていないと判定部34が判定した結果である。第3判定結果は、パレットPと基部232とが当接した状態に維持されることにより、測距センサ52のレーザ光がパレットPにおける基部232に当接した部分に照射されている場合を示している。すなわち、第3判定結果は、パレットPが基部232から離れていない場合を示している。
【0063】
図10に示すように、荷置き作業において、載置面TBがフォークリフト10から離れるほど上方に向けて延びており、且つ載置面TBの車幅方向Tdに対する角度が限界値θbmaxよりも大きくなる場合を想定する。この場合、フォーク23を下降させたとき、パレットPと基部232とが当接した状態が維持されつつ、差込部231の先端が載置面TBに接触する。すなわち、パレットPと基部232とが当接した状態が維持されつつ、フォーク23が下降できなくなることにより、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回り得ない状態となる。これは、後述するが、第3判定結果が目標位置姿勢演算部37に入力されており、且つ目標位置姿勢演算部37に入力された高さPLが変化していない場合である。
【0064】
第4判定結果は、測距センサ52の検出値Dvが入力されている状態から信号Sgが入力される状態となったと判定部34が判定した結果である。第4判定結果は、測距センサ52のレーザ光が差込孔IHを通過した後、図8及び図9の記載される検出対象Obが測距センサ52の検出範囲内に存在しない場合を示している。測距センサ52のレーザ光がパレットPに照射されていない状態であるため、第4判定結果は、第1判定結果と同様に、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れている場合を示している。
【0065】
模擬電圧値演算部35は、位置姿勢演算部36と、目標位置姿勢演算部37と、を有している。位置姿勢演算部36には、信号SV,SR,SL,Sθが入力される。
位置姿勢演算部36は、信号SVに基づきフォークリフト10の車速を演算し、且つ当該車速に基づきフォークリフト10の移動量PVを演算する。車速センサ53は、フォークリフト10の車速に応じた信号SVを出力している。位置姿勢演算部36は、演算した移動量PVを目標位置姿勢演算部37に出力する。なお、車速センサ53は、フォークリフト10の車速を出力するセンサであってもよい。この場合、位置姿勢演算部36は、入力された車速に基づき移動量PVを演算してもよい。
【0066】
位置姿勢演算部36は、信号SRに基づきマスト21の移動量PRを演算する。リーチセンサ54は、リーチシリンダ24によるマスト21の移動量PRに応じた信号SRを出力している。位置姿勢演算部36は、演算した移動量PRを目標位置姿勢演算部37に出力する。なお、リーチセンサ54は、リーチシリンダ24によるマスト21の移動量PRを出力するセンサであってもよい。この場合、リーチセンサ54から出力された移動量PRは、目標位置姿勢演算部37に出力されてもよい。移動量PRは、リーチセンサ54の検出結果に基づく値であればよい。
【0067】
位置姿勢演算部36は、信号SLに基づきフォーク23の高さPLを演算する。リフトセンサ55は、リフトシリンダ25により上昇又は下降したフォーク23の高さPLに応じた信号SLを出力している。位置姿勢演算部36は、演算した高さPLを目標位置姿勢演算部37に出力する。なお、リフトセンサ55は、フォーク23の高さPLを検出するセンサであってもよい。この場合、リフトセンサ55から出力された高さPLは、目標位置姿勢演算部37に出力されてもよい。フォーク23の高さPLは、リフトセンサ55の検出結果に基づく値であればよい。
【0068】
位置姿勢演算部36は、信号Sθに基づきフォーク23の傾斜角度θを演算する。ティルトセンサ56は、ティルトシリンダ26により傾動したフォーク23の傾斜角度θに応じた信号Sθを出力している。位置姿勢演算部36は、演算した傾斜角度θを目標位置姿勢演算部37に出力する。なお、ティルトセンサ56は、フォーク23の傾斜角度θを検出するセンサであってもよい。この場合、ティルトセンサ56から出力された傾斜角度θは、目標位置姿勢演算部37に出力されてもよい。傾斜角度θは、ティルトセンサ56の検出結果に基づく値であればよい。
【0069】
目標位置姿勢演算部37には、移動量PV、移動量PR、高さPL、及び傾斜角度θが入力される。目標位置姿勢演算部37は、荷置き作業時に判定部34の判定結果が入力される。
【0070】
目標位置姿勢演算部37は、目標車両位置PV※を演算する。目標車両位置PV※は、入力された移動量PVに基づき演算される。目標車両位置PV※は、第1方向Aにおいてフォークリフト10が位置するべき目標の位置である。目標位置姿勢演算部37は、電圧値VV※を演算する。電圧値VV※は、目標車両位置PV※を達成するべくアクセル操作部164の操作状態に応じてアクセル操作部164から出力される信号の電圧値VVを模擬した値である。
【0071】
目標位置姿勢演算部37は、目標マスト位置PR※を演算する。目標マスト位置PR※は、入力された移動量PRに基づき演算される。目標マスト位置PR※は、第1方向Aにおいてマスト21が位置するべき目標の位置である。目標位置姿勢演算部37は、電圧値RV※を演算する。電圧値RV※は、目標マスト位置PR※を達成するべくリーチ操作部161の操作状態に応じてリーチ操作部161から出力される信号の電圧値RVを模擬した値である。
【0072】
目標位置姿勢演算部37は、目標フォーク高さPL※を演算する。目標フォーク高さPL※は、フォーク23の高さPLに基づき演算される。目標フォーク高さPL※は、第2方向Bにおいてフォーク23が位置するべき目標の位置である。目標位置姿勢演算部37は、電圧値LV※を演算する。電圧値LV※は、目標フォーク高さPL※を達成するべくリフト操作部162の操作状態に応じてリフト操作部162から出力される信号の電圧値LVを模擬した値である。
【0073】
目標位置姿勢演算部37は、第1判定結果、第2判定結果、又は第4判定結果が入力されている場合、フォーク23の下降を停止させる電圧値LV※を演算する。目標位置姿勢演算部37は、第1判定結果、第2判定結果、又は第4判定結果が入力されている場合、電圧値LV※をリフト操作部162が操作されていないときの電圧値LVに置き換える。
【0074】
目標位置姿勢演算部37は、目標傾斜角度θ※を演算する。目標傾斜角度θ※は、入力された傾斜角度θに基づき演算される。目標傾斜角度θ※は、フォーク23が傾斜するべき目標の傾斜角度θである。目標位置姿勢演算部37は、電圧値θV※を演算する。電圧値θV※は、目標傾斜角度θ※を達成するべくティルト操作部163の操作状態に応じてティルト操作部163から出力される信号の電圧値θVを模擬した値である。
【0075】
目標位置姿勢演算部37は、第1判定結果、第3判定結果、又は第4判定結果が入力されている場合、フォーク23の傾動を停止させる電圧値θV※を演算する。目標位置姿勢演算部37は、第1判定結果、第3判定結果、又は第4判定結果が入力されている場合、電圧値θV※をティルト操作部163が操作されていないときの電圧値θVに置き換える。
【0076】
目標位置姿勢演算部37に第3判定結果が入力されている場合における電圧値LV※の演算について以下説明する。目標位置姿勢演算部37は、入力される傾斜角度θを監視している。目標位置姿勢演算部37は、傾斜角度θが変化していない場合、第2判定結果が入力されるまで、入力された高さPLに基づいて演算した目標フォーク高さPLから電圧値LV※を演算する。目標位置姿勢演算部37は、傾斜角度θが変化した場合、電圧値LV※をリフト操作部162が操作されていないときの電圧値LVに置き換える。目標位置姿勢演算部37は、第3判定結果が入力されており、且つフォーク23の傾動を停止させる電圧値θV※が演算されているときに傾斜角度θが変化した場合、フォーク23の下降を停止させる電圧値LV※を演算する。
【0077】
目標位置姿勢演算部37に第2判定結果が入力されている場合における電圧値θV※の演算について以下説明する。
目標位置姿勢演算部37は、リフト操作部162が操作されていないときの電圧値LVに電圧値LV※が一致していない場合、電圧値θV※をティルト操作部163が操作されていないときの電圧値θVに置き換える。目標位置姿勢演算部37は、リフト操作部162が操作されていないときの電圧値LVに電圧値LV※が一致していない場合、フォーク23の傾動を停止させる電圧値θV※を演算する。
【0078】
目標位置姿勢演算部37に第2判定結果が入力されており、且つリフト操作部162が操作されていないときの電圧値LVに電圧値LV※が一致している場合の電圧値θV※の演算について以下説明する。
【0079】
目標位置姿勢演算部37は、入力される傾斜角度θの変化を監視している。目標位置姿勢演算部37は、入力されている傾斜角度θが変化している場合、第1判定結果又は第4判定結果が入力されるまで、目標傾斜角度θ※を限界値θfmaxとして電圧値θV※を演算する。目標位置姿勢演算部37は、入力されている傾斜角度θが変化していない場合、電圧値θV※をティルト操作部163が操作されていないときの電圧値θVに置き換える。入力されている傾斜角度θが変化していない場合とは、傾斜角度θが限界値θfmaxに到達した場合である。目標位置姿勢演算部37は、入力されている傾斜角度θが変化していない場合、フォーク23がそれ以上前傾しないものとして、フォーク23の前傾を停止させる電圧値θV※を演算する。
【0080】
模擬電圧値演算部35は、フォークリフト10が自動で動作する場合に操作部16の操作を模擬的に実現するための電圧値VV※,RV※,LV※,θV※を演算する。
<内部コントローラ>
制御装置30は、内部コントローラ33を有している。内部コントローラ33は、走行モータ15及び油圧装置40の各々を動作させる指令値を演算している。
【0081】
フォークリフト10に乗員が搭乗している場合、内部コントローラ33には、リーチ操作部161の信号の電圧値RV、及びリフト操作部162の信号の電圧値LVが入力される。フォークリフト10に乗員が搭乗している場合、内部コントローラ33には、ティルト操作部163の信号の電圧値θV、及びアクセル操作部164の信号の電圧値VVが入力される。内部コントローラ33は、電圧値RV,LV,θVに基づいて油圧装置40を動作させる指令値を油圧装置40に出力する。内部コントローラ33は、電圧値VVに基づいて走行モータ15を動作させる指令値を走行モータ15に出力する。
【0082】
フォークリフト10に乗員が搭乗していない場合、目標位置姿勢演算部37は、演算した電圧値VV※,RV※,LV※,θV※を内部コントローラ33に出力する。フォークリフト10に乗員が搭乗していない場合、内部コントローラ33は、電圧値RV※,LV※,θV※に基づいて油圧装置40を動作させる指令値を油圧装置40に出力する。フォークリフト10に乗員が搭乗していない場合、内部コントローラ33は、電圧値VV※に基づいて走行モータ15を動作させる指令値を走行モータ15に出力する。模擬電圧値演算部35、及び内部コントローラ33は、昇降装置を制御する昇降制御部であり、傾動装置を制御する傾動制御部であり、且つ移動装置を制御する移動制御部である。フォークリフト10は、昇降制御部、傾動制御部、及び移動制御部を備えている。
【0083】
<荷置き作業における制御装置の処理>
図12に示すように、制御装置30が荷置き作業における処理を開始すると、制御装置30は、最初にステップS1を実行する。制御装置30は、ステップS1の処理において、後傾処理を実行する。以下、ステップS1の処理を後傾処理S1と記載する。後傾処理S1は、荷置き作業において、載置面TBの直上にフォーク23を配置した状態で、油圧装置40を制御することによりフォーク23の傾斜角度θを限界値θbmaxとする処理である。制御装置30は、後傾処理S1を実行すると、処理をステップS2へと進める。なお、後傾処理S1を実行したとき、図6のようにパレットPと基部232とが当接した状態となる。
【0084】
図12に示すように、制御装置30は、ステップS2の処理において、下降処理を実行する。以下、ステップS2の処理を下降処理S2と記載する。下降処理S2は、荷置き作業において昇降装置によってフォーク23を下降させる処理である。下降処理S2を開始した時点において、判定部34からは第3判定結果が出力されるとともに、フォーク23の高さPLが変化する。すなわち、目標位置姿勢演算部37は、フォーク23の傾動を停止させる電圧値θV※を演算するとともに、入力された高さPLに基づいて演算した目標フォーク高さPL※から電圧値LV※を演算する。そして、内部コントローラ33は、当該演算された電圧値θV※,LV※に基づいた指令値を油圧装置40に出力する。すなわち、下降処理S2は、目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される昇降制御部によってフォーク23を下降させる処理である。また、目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される傾動制御部は、荷置き作業においてフォーク23が下降している間にフォーク23の傾斜角度θが変化しないように傾動装置を制御している。制御装置30は、下降処理S2を実行すると、処理をステップS3へと進める。
【0085】
制御装置30は、ステップS3の処理において、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れているか否かを判定する。差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れているか否かは、判定部34から第1判定結果又は第4判定結果が出力されているか否かの判定でもある。制御装置30は、ステップS3処理において、判定部34から第1判定結果又は第4判定結果が出力されていると判定した場合(ステップS3:YES)には、処理をステップS4へと進める。制御装置30は、ステップS3の処理において、判定部34から第1判定結果又は第4判定結果が出力されていないと判定した場合(ステップS3:NO)には、処理をステップS6へと進める。
【0086】
ステップS3の処理が実行されているとき、下降処理S2は継続されている。下降処理S2によりフォーク23が下降し続けると、パレットPが載置面TBに接触し始める。例えば、図8に示すように、差込部231と平行に延びる載置面TBにパレットPが載置された状態でフォーク23が下降すると、測距センサ52のレーザ光が差込孔IHを通過する。このため、判定部34からは第1判定結果又は第4判定結果が出力される。ステップS3処理においてYESとなる場合とは、差込部231と平行に延びる載置面TBにパレットPが載置された場合である。
【0087】
図12に示すように、制御装置30は、ステップS4の処理において、停止処理を実行する。以下、ステップS4の処理を停止処理S4と記載する。停止処理S4は、下降処理S2を停止する処理である。停止処理S4を開始した時点では、判定部34から第1判定結果又は第4判定結果が出力されている。すなわち、目標位置姿勢演算部37は、フォーク23の傾動を停止させる電圧値θV※を演算するとともに、フォーク23の下降を停止させる電圧値PL※を演算する。そして、内部コントローラ33は、当該演算された電圧値θV※,LV※に基づいた指令値を油圧装置40に出力する。第1判定結果又は第4判定結果は、測距センサ52のレーザ光が差込孔IHを通過する場合を示しているため、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回ることと同義である。停止処理S4は、荷置き作業において、フォーク23を後傾させた状態で昇降装置によってフォーク23を下降させている場合に、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回るとき、昇降装置によるフォーク23の下降を停止させる処理である。停止処理S4は、目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される昇降制御部により実行される。制御装置30は、停止処理S4を実行すると、処理をステップS5へと進める。
【0088】
制御装置30は、ステップS6の処理において、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回るか否かを判定する。測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回るか否かは、判定部34から第2判定結果が出力されているか否かの判定でもある。ステップS6の処理が実行されているとき、下降処理S2は継続している。制御装置30は、ステップS6の処理において、判定部34から第2判定結果が出力されていると判定した場合(ステップS6:YES)には、処理をステップS10へと進める。ステップS6の処理においてYESとなる時点では、リフト操作部162が操作されていないときの電圧値LVに電圧値LV※が一致していない。このため、目標位置姿勢演算部37は、フォーク23の傾動を停止させる電圧値θV※を演算する。
【0089】
制御装置30は、ステップS6の処理において、判定部34から第2判定結果が出力されていないと判定した場合(ステップS6:NO)には、処理をステップS7へと進める。ステップS6の処理においてNOとなる場合とは、判定部34から第3判定結果が出力されている場合である。
【0090】
制御装置30は、ステップS10の処理において、停止処理を実行する。以下、ステップS10の処理は、停止処理S10と記載する。停止処理S10を開始した時点では、判定部34から第2判定結果が出力されている。すなわち、目標位置姿勢演算部37は、フォーク23の下降を停止させる電圧値PL※を演算する。そして、内部コントローラ33は、当該演算された電圧値LV※に基づいた指令値を油圧装置40に出力する。すなわち、停止処理S10は、荷置き作業において、フォーク23を後傾させた状態で昇降装置によってフォーク23を下降させている場合に、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回るとき、昇降装置によるフォーク23の下降を停止させる処理である。停止処理S10は、目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される昇降制御部により実行される。制御装置30は、停止処理S10を実行すると、処理をステップS11へと進める。
【0091】
制御装置30は、ステップS7の処理において、フォーク23の傾斜角度θが変化しているか否かを判定する。ステップS7の処理は、目標位置姿勢演算部37が実行する。制御装置30は、フォーク23の傾斜角度θが変化していないと判定した場合(ステップS7:NO)には、処理をステップS6へと戻す。すなわち、制御装置30は、ステップS7の処理においてNOとなる場合、ステップS6の処理においてYESとなるまで下降処理S2を継続する。制御装置30は、ステップS7の処理においてNOとなる場合、判定部34が第2判定結果を出力するまで下降処理S2を継続する。
【0092】
制御装置30は、フォーク23の傾斜角度θが変化していると判定した場合(ステップS7:YES)には、処理をステップS8へと進める。ステップS7の処理においてYESとなる場合とは、図10に示すように、フォーク23を下降させたとき、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れる前に差込部231の先端が載置面TBに接触する場合である。この場合、ティルトロッド27とフィンガバー28とが接離可能であるため、フォーク23が更に下降すると、差込部231の先端を支点としてフォーク23が傾動する。つまり、目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される傾動制御部によりフォーク23の傾動を停止しているのに関わらず、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回る前にフォーク23の傾斜角度θが変化する。ステップS7の処理においてYESとなる場合とは、荷置き作業において測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1となる前にティルトセンサ56の検出結果に基づくフォーク23の傾斜角度θが変化した場合である。
【0093】
図12に示すように、制御装置30は、ステップS8の処理において、非常停止処理を実行する。以下、ステップS8の処理を非常停止処理S8と記載する。非常停止処理S8は、下降処理S2を停止する処理である。非常停止処理S8において、目標位置姿勢演算部37は、フォーク23の傾動を停止させる電圧値θV※を演算するとともに、フォーク23の下降を停止させる電圧値PL※を演算する。そして、内部コントローラ33は、当該演算された電圧値θV※,LV※に基づいた指令値を油圧装置40に出力する。非常停止処理S8は、目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される昇降制御部により実行される。昇降制御部は、ステップS7の処理においてYESとなる場合にフォーク23の下降を停止させる。制御装置30は、非常停止処理S8を実行すると、処理をステップS9へと進める。
【0094】
制御装置30は、ステップS9の処理において、異常処理を実行する。以下、ステップS9の処理を異常処理S9と記載する。異常処理S9は、荷置き作業における処理とは別フローの処理である。異常処理S9は、例えば、差込部231が載置面TBに接触している旨をフォークリフト10の外部に報知する処理であってもよいし、差込部231を載置面TBから離れるようにフォーク23を上昇させる処理であってもよい。異常処理S9の処理内容は、適宜変更してもよい。
【0095】
制御装置30は、ステップS11の処理において、ステップS3と同じ内容の処理を実行する。制御装置30は、ステップS11の処理においてNOとなる場合には、処理をステップS12へと進める。ステップS11が初めて実行された時点では、パレットPと基部232とが離れており、且つ差込部231が第1対向面IH1の終端Peを支持している状態となる。このため、ステップS11が初めて実行された時点では、判定部34が第2判定結果を出力しているため、制御装置30は、ステップS11の処理においてNOと判定する。
【0096】
制御装置30は、ステップS12の処理において、前傾処理を実行する。以下、ステップS12の処理を前傾処理S12と記載する。前傾処理S12は、停止処理S10の後に実行する処理である。前傾処理S12は、フォーク23を前傾させる処理である。前傾処理S12が初めて実行された時点において、フォーク23は限界値θbmaxで後傾している。このため、前傾処理S12が初めて実行された時点において、傾斜角度θは変化する。また、前傾処理S12が初めて実行された時点において、リフト操作部162が操作されていないときの電圧値LVに電圧値LV※が一致している。よって、前傾処理S12が初めて実行された場合、目標位置姿勢演算部37は、目標傾斜角度θ※を限界値θfmaxとして電圧値θV※を演算するとともに、フォーク23の下降を停止させる電圧値LV※を継続的に演算する。そして、内部コントローラ33は、当該演算された電圧値θV※,LV※に基づいた指令値を油圧装置40に出力する。前傾処理S12は、目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される傾動制御部により実行される。制御装置30は、前傾処理S12を実行すると、処理をステップS13へと進める。
【0097】
制御装置30は、ステップS13の処理において、フォーク23の傾斜角度θが変化していないか否かを判定する。ステップS13の処理は、目標位置姿勢演算部37が実行する。制御装置30は、フォーク23の傾斜角度θが変化していると判定した場合(ステップS13:NO)には、処理をステップS11へと戻す。すなわち、制御装置30は、ステップS13の処理においてNOとなる場合、ステップS11の処理においてYESとなるまで前傾処理S12を継続する。制御装置30は、ステップS13の処理においてNOとなる場合、判定部34が第1判定結果又は第4判定結果を出力するまで前傾処理S12を継続する。
【0098】
制御装置30は、フォーク23の傾斜角度θが変化していないと判定した場合(ステップS13:YES)には、処理をステップS14へと進める。ステップS13の処理においてYESとなる場合とは、図11に示すように、フォーク23を前傾させたとき、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れる前に傾斜角度θが限界値θfmaxに到達した場合である。ステップS13の処理においてYESとなる場合とは、前傾処理S12の途中でティルトセンサ56の検出結果に基づくフォーク23の傾斜角度θが変化していない場合である。
【0099】
図12に示すように、制御装置30は、ステップS14の処理において、終了処理を実行する。以下、ステップS14の処理を終了処理S14と記載する。終了処理S14は、前傾処理S12を終了する処理である。終了処理S14において、目標位置姿勢演算部37は、フォーク23の前傾を終了させる電圧値θV※を演算するとともに、フォーク23の下降を停止させる電圧値PL※を継続的に演算する。そして、内部コントローラ33は、当該演算された電圧値θV※,LV※に基づいた指令値を油圧装置40に出力する。終了処理S14は、目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される傾動制御部により実行される。傾動制御部は、ステップS13の処理においてYESとなる場合にフォーク23の前傾を終了させる。制御装置30は、終了処理S14を実行すると、処理を異常処理S9へと進める。
【0100】
制御装置30は、処理がステップS13からステップS11へと戻され、且つ判定部34が第1判定結果又は第4判定結果を出力していないと判定した場合(ステップS11:NO)には、前傾処理S12及びステップS13の処理を繰り返し実行する。制御装置30は、処理がステップS13からステップS11へと戻され、且つ判定部34が第1判定結果又は第4判定結果を出力していると判定した場合(ステップS11:YES)には、処理をステップS15へと進める。ステップS11の処理においてNOと判定される場合は、測距センサ52のレーザ光が第1対向面IH1に照射されている場合を示している。このため、ステップS11の処理においてNOと判定される場合は、測距センサ52の検出値Dvが第2規定値Lth2を上回っていない場合と同義である。前傾処理S12は、測距センサ52の検出値Dvが第2規定値Lth2を上回っていなければ、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れるまでフォーク23を前傾させるべく傾動装置を制御する処理である。
【0101】
制御装置30は、ステップS15の処理において、前傾処理S12を停止する。ステップS15の処理において、目標位置姿勢演算部37は、フォーク23の傾動を停止させる電圧値θV※を演算するとともに、フォーク23の下降を停止させる電圧値PL※を継続的に演算する。そして、内部コントローラ33は、当該演算された電圧値θV※,LV※に基づいた指令値を油圧装置40に出力する。すなわち、ステップS15の処理は、目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される傾動制御部により実行される。制御装置30は、ステップS15の処理を実行すると、処理をステップS5へと進める。
【0102】
制御装置30は、ステップS5の処理において、引き抜き処理を実行する。以下、ステップS5の処理を、引き抜き処理S5と記載する。引き抜き処理S5は、停止処理S4の後、又はステップS15の後に実行される。停止処理S4の後、又はステップS15の処理の後は、判定部34から第1判定結果又は第4判定結果が出力されている。よって、引き抜き処理S5は、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れた後に実行される処理である。制御装置30は、引き抜き処理S5を実行すると、荷置き作業における処理を終了する。
【0103】
上述した荷置き作業における処理において、停止処理S4の後、又はステップS15の処理の後は、前傾処理S12が実行されない。目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される傾動制御部は、停止処理S4,S10の後に差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れているとき、前傾処理S12を実行しない。
【0104】
<引き抜き処理>
引き抜き処理S5について以下説明する。
図3図13、及び図14に示すように、引き抜き処理S5は、フォーク23の差込部231が差込孔IHを形成する面である第1対向面IH1及び第2対向面IH2に接触しないように差込孔IHから引き抜く処理である。引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、電圧値VV※をアクセル操作部164が操作されていないときの電圧値VVに置き換える。引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、電圧値θV※をティルト操作部163が操作されていないときの電圧値θVに置き換える。すなわち、引き抜き処理S5が実行されているときは傾動装置及び走行モータ15は動作しない。
【0105】
引き抜き処理S5の開始時点において、目標位置姿勢演算部37は、ティルトセンサ56の検出結果に基づくフォーク23の傾斜角度θで延びる差込部231の目標軌道LGを演算する。目標位置姿勢演算部37は、目標軌道LGに沿って差込部231が差込孔IHから抜き出されるためのフォーク23の上昇速度Ps1又は下降速度Ps2を演算する。また、目標位置姿勢演算部37は、目標軌道LGに沿って差込部231が差込孔IHから抜き出されるためのリーチインの速度Rsを演算する。
【0106】
引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、演算された上昇速度Ps1又は下降速度Ps2を実現するための目標フォーク高さPL※を演算する。引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、上昇速度Ps1又は下降速度Ps2を実現する目標フォーク高さPL※に基づいて演算された電圧値LV※を内部コントローラ33に出力する。引き抜き処理S5において、内部コントローラ33は、当該電圧値LV※に応じた指令値を油圧装置40に出力する。
【0107】
引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、演算されたリーチインの速度Rsを実現するための目標マスト位置PR※を演算する。引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、リーチインの速度Rsを実現する目標マスト位置PR※に基づいて演算された電圧値RV※を内部コントローラ33に出力する。引き抜き処理S5において、内部コントローラ33は、当該電圧値RV※に応じた指令値を油圧装置40に出力する。このため、引き抜き処理S5では、マスト21がリーチインしつつも、フォーク23は上昇速度Ps1で上昇、又は下降速度Ps2で下降する。よって、引き抜き処理S5では、目標軌道LGに沿って差込部231が差込孔IHから抜き出される。
【0108】
引き抜き処理S5は、目標軌道LGに沿って差込部231が差込孔IHから抜き出されるように目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される昇降制御部が昇降装置を制御する処理である。引き抜き処理S5は、目標軌道LGに沿って差込部231が差込孔IHから抜き出されるように目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される移動制御部が移動装置を制御する処理である。引き抜き処理S5は、昇降制御部及び移動制御部により実行される。
【0109】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用を説明する。
パレットPが載置面TBに接触した後にフォーク23が下降すると、基本的に差込部231の基部232側がパレットPの第1対向面IH1から離れる。すると、測距センサ52は、パレットPにおける基部232と対向する部位よりも離れた位置と自身との距離を検出する。よって、測距センサ52の検出値Dvは、第1規定値Lth1を上回る。その結果、荷置き作業において測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回るとき、停止処理S4,S10が実行される。すなわち、荷置き作業において少なくとも差込部231の基部232側がパレットPから離れるときにフォーク23の下降が停止する。そして、停止処理S10後に測距センサ52の検出値Dvが第2規定値Lth2を上回っていなければ、前傾処理S12が実行される。すなわち、差込部231の基部232側がパレットPから離れており、且つ差込部231の先端側がパレットPを支持している状態のときに前傾処理S12が実行される。より詳しくは、測距センサ52の検出値Dvが測距センサ52からパレットPの第1対向面IH1までの距離となるときに前傾処理S12が実行される。前傾処理S12は、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れるまで実行される。すなわち、前傾処理S12は、パレットPの全体が載置面TBに載置され、且つ差込部231の先端側がパレットPから離れるまで実行される。前傾処理S12は、停止処理S4,S10の後に差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れているときに実行されない。よって、荷置き作業において、差込部231がパレットPの第1対向面IH1に接触しないように停止処理S4,S10及び前傾処理S12が行われる。したがって、差込孔IHからフォーク23を抜き出す際のフォーク23の差込部231とパレットPの第1対向面IH1との接触を抑制できる。そして、引き抜き処理S5を実行することにより差込部231が第1対向面IH1に接触することなく差込孔IHから抜き出される。
【0110】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)停止処理S4,S10及び前傾処理S12を実行することにより、差込孔IHからフォーク23を抜き出す際のフォーク23の差込部231とパレットPの第1対向面IH1との接触を抑制できる。
【0111】
(2)引き抜き処理S5により、第1対向面IH1に差込部231が接触しない状態を維持しつつ、差込孔IHから差込部231を抜き出すことができる。よって、第1対向面IH1にフォーク23が引っかかることがなくなるため、差込孔IHからのフォーク23の引き抜きを好適に実行できる。
【0112】
(3)荷置き作業において傾動制御部によりフォーク23の傾動が停止した状態でフォーク23が下降する。そして、図10に示すように、フォーク23が下降しているとき、パレットPと基部232との当接した状態が維持されつつ、差込部231の先端が載置面TBに接触すると、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回り得ない状態となる。この場合、フォーク23が更に下降すると、差込部231の先端を支点としてフォーク23が傾動する。つまり、傾動制御部によりフォーク23の傾動を停止しているのに関わらず、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回る前にフォーク23の傾斜角度θが変化する。このような場合、傾動制御部は、非常停止処理S8を実行することによりフォーク23の下降を停止する。よって、荷置き作業においてフォーク23が意図しない挙動をしているとき、フォーク23の下降を好適に停止できる。
【0113】
(4)前傾処理S12の途中でフォーク23の傾斜角度θが変化していない場合とは、フォーク23の傾斜角度θが限界値θfmaxに到達したときに差込部231の先端が第1対向面IH1に当接した状態で維持される場合である。すなわち、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れない状態となる。目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33により構成される傾動制御部は、測距センサ52の検出値Dvが第2規定値Lth2を上回り得ない状態となった段階で前傾処理S12を終了する。よって、フォーク23の傾斜角度θが限界値θfmaxに到達した状態で傾動制御部が前傾処理S12を継続し続けることがないため、制御装置30の演算負荷を低下できる。
【0114】
(5)荷置き作業において、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れたことを検出する手段として、例えばフォーク23に歪ゲージを取り付けることが考えられる。しかし、パレットPに荷が無い場合、又はパレットPに積載される荷が軽い場合、歪ゲージから出力される信号の変化が小さくなるため、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れたことを検出しづらい。
【0115】
その点、本実施形態では、測距センサ52の検出結果に応じて差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れたことを検出できる。よって、パレットPに積載される荷の重量に影響を受けずに、差込部231が第1対向面IH1及び第2対向面IH2に接触しない状態を実現できる。
【0116】
[変更例]
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0117】
○ ティルトロッド27の先端27aは、フィンガバー28ではなく、リフトブラケット22に接離可能であってもよい。ティルトロッド27の先端27aは、取付部に接離可能であれば、接離する対象は適宜変更してもよい。
【0118】
○ フォークリフト10は、カウンタ型のフォークリフトであってもよい。この場合、フォーク23の傾動は、ティルトシリンダ26の油圧の変化によってマスト21が傾動することにより実現されてもよい。このように変更する場合、リフトブラケット22は、マスト21に固定されており、且つフォーク23はリフトブラケット22に固定されているとよい。フォーク23は、マスト21に対して傾動する余地がないようにリフトブラケット22に固定されていてもよい。
【0119】
上記のカウンタ型のフォークリフト10が採用された場合、制御装置30は、ステップS7の処理において、フォーク23の高さPLが変化していないか否かを判定してもよい。このように変更する場合、目標位置姿勢演算部37は、入力される高さPLを監視している。制御装置30は、第3判定結果が入力されており、且つ目標位置姿勢演算部37に入力された高さPLが変化していると判定した場合(ステップS7:NO)、処理をステップS6へと戻す。
【0120】
制御装置30は、第3判定結果が入力されており、且つ目標位置姿勢演算部37に入力された高さPLが変化していないと判定した場合(ステップS7:YES)には、処理をステップS8へと進める。本変更例のステップS7の処理においてYESとなる場合とは、図10に示すように、フォーク23を下降させたとき、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れる前に差込部231の先端が載置面TBに接触する場合である。この場合、フォーク23がマスト21に対して傾動する余地がないようにリフトブラケット22に固定されているため、フォーク23が更に下降すると、差込部231の先端が載置面TBに押し付けられる。このとき、昇降制御部は、非常停止処理S8を実行することによりフォーク23の下降を停止させる。このため、測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回り得ない状態でのフォーク23の下降が継続されることが抑制される。その結果、差込部231の先端が載置面TBに必要以上に押し付けられることを抑制できる。ひいては、フォーク23に必要以上に応力が発生することを抑制できる。なお、差込部231の先端が載置面TBに当接したときに載置面TBに押し付けられ過ぎないようにすることを目的として、差込部231の先端が載置面TBに当接したときにフォーク23がマスト21に対して若干傾動できるように変更してもよい。このように変更する場合、ステップS7の処理としては、本実施形態に記載されるステップS7の処理を実行するとよい。
【0121】
○ 制御装置30が実行する処理からステップS3の処理及び停止処理S4を省略してもよい。この場合、以下のように変更するとよい。
図15に示すように、ステップS6の処理の段階で、既に差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れている場合は、ステップS11の処理においてYESとなる場合である。この場合は、ステップS15の処理において目標位置姿勢演算部37がフォーク23の傾動を停止させる電圧値θV※を継続的に演算する。前傾処理S12を継続している状態でステップS11の処理においてYESとなる場合、本実施形態と同様にフォーク23の傾動を停止させる電圧値θV※を演算する。
【0122】
○ 制御装置30が実行する処理からステップS13,S14,S9の処理を省略してもよい。すなわち、前傾処理S12を実行すると、必ずステップS11の処理へ戻るように変更してもよい。この場合、図11に示すように、フォーク23の傾斜角度θが限界値θfmaxに到達したか否かを判定するため、例えば、制御装置30にカウンタを新たに追加してもよい。そして、前傾処理S12からステップS11の処理へ戻った回数をカウンタがカウントする。カウンタのカウント数が所定の回数となったときにフォーク23の傾斜角度θが限界値θfmaxに到達したと判定してもよい。すなわち、カウンタのカウント数により測距センサ52の検出値Dvが第2規定値Lth2を上回り得ないか否かを判定してもよい。
【0123】
○ 制御装置30が実行する処理からステップS7,S8,S9の処理を省略してもよい。すなわち、ステップS6の処理においてNOとなる場合、ステップS6の処理においてYESとなるまで下降処理S2を継続させてもよい。この場合、図10に示すように、パレットPと基部232とが当接した状態が維持されつつ、差込部231の先端が載置面TBに接触しているか否かを判定するため、例えば、制御装置30にカウンタを新たに追加してもよい。そして、ステップS6の処理を繰り返した回数をカウンタがカウントする。カウンタのカウント数が所定の回数となったときにパレットPと基部232とが当接した状態が維持されつつ、差込部231の先端が載置面TBに接触していると判定してもよい。すなわち、カウンタのカウント数により測距センサ52の検出値Dvが第1規定値Lth1を上回り得ないか否かを判定してもよい。
【0124】
○ 制御装置30が実行する処理から、引き抜き処理S5を割愛してもよい。すなわち、差込部231を差込孔IHから抜き出す作業は、フォークリフト10の乗員によって行われるように変更してもよい。
【0125】
○ 荷置き作業において、後傾処理S1は省略してもよい。荷置き作業において、フォーク23を後傾させる作業は、乗員により実行されてもよい。なお、荷置き作業において、最初にフォーク23を限界値θbmaxまで後傾させることに限らず、限界値θbmaxよりも小さな値でフォーク23を後傾させてもよい。
【0126】
○ 荷置き作業において、下降処理S2は省略してもよい。荷置き作業において、フォーク23の下降は、乗員により実行されてもよい。荷置き作業において、乗員がリフト操作部162の操作によりフォーク23を下降させているときに、停止処理S4,S10が実行された場合、乗員によるリフト操作部162の操作に関わらず、フォーク23の下降が停止される。
【0127】
○ 荷置き作業において、引き抜き処理S5においてマスト21がリーチインされていたが、例えば、走行モータ15によりフォークリフト10を後進させてもよい。すなわち、走行モータ15を移動装置としてもよい。走行モータ15を移動装置とする場合、引き抜き処理S5におけるマスト21のリーチインの動作は、フォークリフト10の後進に置き換わる。そして、マスト21のリーチインの速度Rsは、フォークリフト10の後進の速度に置き換わる。
【0128】
引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、電圧値RV※をリーチ操作部161が操作されていないときの電圧値RVに置き換える。すなわち、引き抜き処理S5が実行されているとき、マスト21はリーチアウト又はリーチインしない。
【0129】
引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、演算されたフォークリフト10の後進の速度を実現するための目標車両位置PV※を演算する。引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、演算されたフォークリフト10の後進の速度を実現する目標車両位置PV※に基づいて演算された電圧値VV※を内部コントローラ33に出力する。引き抜き処理S5において、内部コントローラ33は、当該電圧値VV※に応じた指令値を走行モータ15に出力する。
【0130】
○ 走行モータ15、リーチシリンダ24、及び油圧装置40を移動装置としてもよい。走行モータ15、リーチシリンダ24、及び油圧装置40を移動装置とする場合、引き抜き処理S5では、マスト21のリーチインの動作だけでなくフォークリフト10の後進が追加される。そして、引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、目標軌道LGに沿って差込部231を差込孔IHから引き抜くためのリーチインの速度Rs及びフォークリフト10の後進の速度を演算する。そして、引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、演算されたリーチインの速度Rsを実現するための目標マスト位置PR※を演算する。引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、リーチインの速度Rsを実現する目標マスト位置PR※に基づいて演算された電圧値RV※を内部コントローラ33に出力する。引き抜き処理S5において、内部コントローラ33は、当該電圧値RV※に応じた指令値を油圧装置40に出力する。
【0131】
引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、演算されたフォークリフト10の後進の速度を実現するための目標車両位置PV※を演算する。引き抜き処理S5において、目標位置姿勢演算部37は、演算されたフォークリフト10の後進の速度を実現する目標車両位置PV※に基づいて演算された電圧値VV※を内部コントローラ33に出力する。引き抜き処理S5において、内部コントローラ33は、当該電圧値VV※に応じた指令値を走行モータ15に出力する。
【0132】
○ 差込孔IHは、パレットPに形成された孔であってもよい。この場合、差込孔IHを形成する面のうち下方に位置する下面を載置面TBに代替して、パレットPにより形成される第2対向面IH2としてもよい。
【0133】
○ 目標位置姿勢演算部37及び内部コントローラ33は、昇降制御部、傾動制御部、移動制御部を兼ねていたが、これに限らない。例えば、昇降制御部、傾動制御部、及び移動制御部を個別に採用してもよい。具体的には、制御装置30は、目標位置姿勢演算部37に代替して、電圧値VV※を演算する車両移動量演算部、電圧値RV※を演算するリーチ移動量演算部、電圧値LV※を演算するリフト位置演算部、電圧値θV※を演算する傾斜角度演算部、を有しているとよい。この場合、リフト位置演算部及び内部コントローラ33は、昇降制御部である。傾斜角度演算部及び内部コントローラ33は、傾動制御部である。リーチ移動量演算部及び内部コントローラ33は、移動制御部である。また、上記変更例によれば、車両移動量演算部及び内部コントローラ33を移動制御部としてもよいし、車両移動量演算部、リーチ移動量演算部、及び内部コントローラ33を移動制御部としてもよい。
【0134】
○ リフト位置演算部、内部コントローラ33、CPU、及びメモリを備える処理回路を昇降制御部としてもよい。傾斜角度演算部、内部コントローラ33、CPU、及びメモリを備えるECUを傾動制御部としてもよい。リーチ移動量演算部、内部コントローラ33、CPU、及びメモリを備えるECUを移動制御部としてもよい。車両移動量演算部、内部コントローラ33、CPU、及びメモリを備えるECUを移動制御部としてもよい。リーチ移動量演算部、車両移動量演算部、内部コントローラ33、CPU、及びメモリを備えるECUを移動制御部としてもよい。すなわち、昇降制御部、傾動制御部、移動制御部を独立したECUとしてもよい。そして、制御装置30は、各々独立したECUを含んで構成されていてもよい。
【0135】
○ 測距センサ52は、TOFレーザセンサであれば適宜変更してもよい。
○ 測距センサ52は、例えば超音波センサであってもよい。ただし、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れている場合、測距センサ52の超音波がパレットPや差込部231に干渉されずに差込孔IHを通過するセンサであればよい。また、差込部231の基部232側とパレットPとが離れており、且つ差込部231の先端側がパレットPを支持しているときに、測距センサ52の超音波が第1対向面IH1にのみ照射されるセンサであればよい。
【0136】
○ 測距センサ52は、TOFレーザセンサや超音波センサ以外のセンサであってもよい。しかし、差込部231の基部232側とパレットPとが離れていない場合や、差込部231の第1面231aの全域がパレットPから離れている場合、差込部231の基部232側とパレットPとが離れており、且つ差込部231の先端側がパレットPを支持している場合を第1規定値Lth1及び第2規定値Lth2により区別できる検出値Dvを出力するセンサであればよい。
【0137】
○ フォークリフト10は、トラックTの後ろあおりRS側で荷置き作業を実行してもよい。すなわち、フォークリフト10の第1方向Aと、トラックTの前後方向とが一致している状態で荷置き作業が実行されてもよい。本変更例における荷置き作業は、載置面TBがトラックTの前後方向に沿って水平に延びていたり、トラックTの前後方向に対して傾斜していたりする。載置面TBのトラックTの前後方向に対する傾斜具合は、トラックTのサスペンション等の沈み具合により変化する。
【0138】
○ パレットPはトラックTに載置されることに限らない。例えば、載置面TBを工場の倉庫におけるパレット置き場としてもよい。このように変更する場合、載置面TBは、フォークリフト10の第1方向Aに対して水平に延びていたり、第1方向Aに対して傾斜していたりする。
【0139】
[付記]
実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[1]車体と、パレットを積載するフォークと、前記フォークを昇降させる昇降装置と、前記フォークを傾動させる傾動装置と、前記昇降装置を制御する昇降制御部と、前記傾動装置を制御する傾動制御部と、を備え、前記フォークに前記パレットを積載した状態で前記昇降装置によって前記フォークを下降させることにより前記パレットを載置面に対して載置する荷置き作業を実行するフォークリフトであって、前記パレットが前記載置面に載置されたときに前記フォークが差し込まれている孔を差込孔とし、前記フォークのうち前記差込孔に差し込まれる部分を差込部とし、前記差込部の端部から立設する部分を基部とすると、前記基部に設けられており、検出対象までの距離を検出する測距センサを備え、前記昇降制御部は、前記荷置き作業において、前記フォークを後傾させた状態で前記昇降装置によって前記フォークを下降させている場合に、前記測距センサの検出値が、前記基部と前記パレットとの当接時における前記検出対象としての前記パレットと前記測距センサとの間の距離を示す第1規定値を上回るとき、前記昇降装置による前記フォークの下降を停止させる停止処理を実行し、前記傾動制御部は、前記停止処理の後に実行する処理であって、前記測距センサの検出値が、前記差込孔を形成する前記パレットの内面のうち前記差込部の上面に対向する対向面における前記基部から最も離れた縁と前記測距センサとの間の距離を示す第2規定値を上回っていなければ、前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れるまで前記フォークを前傾させるべく前記傾動装置を制御する前傾処理を実行し、前記停止処理の後に前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れているとき、前記前傾処理を実行しないことを特徴とするフォークリフト。
【0140】
[2]前記フォークを前後に移動させる移動装置と、ティルトセンサと、前記移動装置を制御する移動制御部と、を備え、前記昇降制御部及び前記移動制御部により前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れた後に引き抜き処理が実行され、前記引き抜き処理は、前記差込部の上面の全域が前記パレットから離れているときの前記ティルトセンサの検出結果に基づく前記フォークの傾斜角度で延びる前記差込部の目標軌道に沿って前記差込部が前記差込孔から抜き出されるように前記昇降制御部が前記昇降装置を制御し、且つ前記移動制御部が前記移動装置を制御する処理である、[1]に記載のフォークリフト。
【0141】
[3]前記フォークリフトは、リーチ型フォークリフトであって、ティルトセンサを備え、前記フォークは、前記昇降装置及び前記傾動装置により前記フォークと一体的に変位する取付部に取り付けられており、前記傾動装置は、ティルトシリンダを含み、前記ティルトシリンダは、作動油の給排に応じてシリンダチューブに対して出没するロッドであって、先端が前記取付部に接離するティルトロッドを有し、前記ティルトロッドの先端が前記取付部を押圧するように前記ティルトロッドが前記シリンダチューブから突出することにより前記フォークは後傾するとともに、前記ティルトロッドの先端が前記取付部から離れるように前記ティルトロッドが前記シリンダチューブに没入することにより前記フォークは当該フォークの自重により前傾し、前記傾動制御部は、前記荷置き作業において前記フォークが下降している間に前記フォークの傾斜角度が変化しないように前記傾動装置を制御しており、前記荷置き作業において前記測距センサの検出値が前記第1規定値となる前に前記ティルトセンサの検出結果に基づく前記フォークの前記傾斜角度が変化した場合、前記フォークの下降を停止させる、[1]又は[2]に記載のフォークリフト。
【0142】
[4]ティルトセンサを備え、前記傾動制御部は、前記前傾処理の途中で前記ティルトセンサの検出結果に基づく前記フォークの傾斜角度が変化していない場合に前記前傾処理を終了する、[1]~[3]のいずれか一項に記載のフォークリフト。
【符号の説明】
【0143】
10…フォークリフト、11…車体、23…フォーク、26…ティルトシリンダ、26a…シリンダチューブ、27…ティルトロッド、27a…ティルトロッドの先端、30…制御装置、52…測距センサ、55…リフトセンサ、56…ティルトセンサ、231…差込部、231a…上面としての第1面、232…基部、Dv…測距センサの検出値、Lth1…第1規定値、Lth2…第2規定値、PL…フォークの高さ、θ…傾斜角度、P…パレット、TB…載置面、IH…差込孔、IH1…対向面としての第1対向面、Pe…第1対向面における基部から最も離れた縁としての終端、Ob…検出対象、LG…目標軌道、S4,S10…停止処理、S5…引き抜き処理、S12…前傾処理。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15