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特開2024-65774乗客コンベア点検システム、乗客コンベア点検装置、および乗客コンベア点検方法
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  • 特開-乗客コンベア点検システム、乗客コンベア点検装置、および乗客コンベア点検方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065774
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】乗客コンベア点検システム、乗客コンベア点検装置、および乗客コンベア点検方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240508BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174795
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三之宮 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 崇
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】乗客コンベアから取り外されたボルトを適切に管理し得る乗客コンベア点検システムを提供する。
【解決手段】ボルトの取り外し作業が行われたときの位置を示す第1の位置情報およびボルトの取り付け作業が行われるときの位置を示す第2の位置情報と、取り外し作業が行われたときの時刻を示す第1の時刻情報および取り付け作業が行われるときの時刻を示す第2の時刻情報と、の少なくとも一方を取得する取得部と、取得部により取得された第1の位置情報と第2の位置情報とが同一の場所を示す位置情報であるか否かを判定する第1の処理と、取得部により取得された第1の時刻情報と第2の時刻情報とがボルトを取り外してから取り付けるまでの時間を示す時間情報であるか否かを判定する第2の処理と、の少なくとも1つを行う判定部と、を設けるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトにより固定されるステップを備える乗客コンベアを点検するための乗客コンベア点検システムであって、
前記ボルトの取り外し作業が行われたときの位置を示す第1の位置情報および前記ボルトの取り付け作業が行われるときの位置を示す第2の位置情報と、前記取り外し作業が行われたときの時刻を示す第1の時刻情報および前記取り付け作業が行われるときの時刻を示す第2の時刻情報と、の少なくとも一方を取得する取得部と、
前記取得部により取得された第1の位置情報と第2の位置情報とが同一の場所を示す位置情報であるか否かを判定する第1の処理と、前記取得部により取得された第1の時刻情報と第2の時刻情報とが前記ボルトを取り外してから取り付けるまでの時間を示す時間情報であるか否かを判定する第2の処理と、の少なくとも1つを行う判定部と、
を備える乗客コンベア点検システム。
【請求項2】
前記ボルトの測定データに基づいて前記ボルトの個数を検出する検出部と、
点検が実施される予定のステップのボルトの個数を得るための作業情報を記憶する記憶部と、備え、
前記判定部は、前記作業情報から得られるボルトの個数と、前記検出部により検出されるボルトの個数とが一致するか否かを判定する、
請求項1に記載の乗客コンベア点検システム。
【請求項3】
前記ボルトを取り外してから取り付けるまでに要する時間である作業時間を得るための作業情報を記憶する記憶部を備え、
前記判定部は、
前記第1の処理に加えて、または、前記第1の処理を行うことなく、前記第2の処理を行い、
前記第2の処理では、前記第1の時刻情報の第1の時刻が前記第2の時刻情報の第2の時刻よりも前の時刻であり、かつ、前記第1の時刻から前記第2の時刻までの時間が前記作業情報から得られる作業時間内であるか否かを判定する、
請求項1に記載の乗客コンベア点検システム。
【請求項4】
前記判定部による判定の結果に応じて、前記ボルトの取り付け作業において用いられるアプリケーションを起動する起動部を備える、
請求項1に記載の乗客コンベア点検システム。
【請求項5】
前記ボルトの測定データに基づいて前記ボルトの個数を検出する検出部を備え、
前記ボルトは、前記ボルトの色と色相が反対側の色の収納部材に収納され、
前記測定データは、前記ボルトが収納されているときの前記収納部材の画像であり、
前記検出部は、前記画像の前記ボルトの色に基づいて前記ボルトの個数を検出する、
請求項1に記載の乗客コンベア点検システム。
【請求項6】
前記取得部を備える第1のコンピュータと、前記第1のコンピュータと通信可能に接続され、前記判定部を備える第2のコンピュータと、を含んで構成される、
請求項1に記載の乗客コンベア点検システム。
【請求項7】
ボルトにより固定されるステップを備える乗客コンベアを点検するための乗客コンベア点検装置であって、
前記ボルトの取り外し作業が行われたときの位置を示す第1の位置情報および前記ボルトの取り付け作業が行われるときの位置を示す第2の位置情報と、前記取り外し作業が行われたときの時刻を示す第1の時刻情報および前記取り付け作業が行われるときの時刻を示す第2の時刻情報と、の少なくとも一方を取得する取得部と、
前記取得部により取得された第1の位置情報と第2の位置情報とが同一の場所を示す位置情報であるか否かを判定する第1の処理と、前記取得部により取得された第1の時刻情報と第2の時刻情報とが前記ボルトを取り外してから取り付けるまでの時間を示す時間情報であるか否かを判定する第2の処理と、の少なくとも1つを行う判定部と、
を備える乗客コンベア点検装置。
【請求項8】
ボルトにより固定されるステップを備える乗客コンベアを点検するための乗客コンベア点検方法であって、
取得部が、前記ボルトの取り外し作業が行われたときの位置を示す第1の位置情報および前記ボルトの取り付け作業が行われるときの位置を示す第2の位置情報と、前記取り外し作業が行われたときの時刻を示す第1の時刻情報および前記取り付け作業が行われるときの時刻を示す第2の時刻情報と、の少なくとも一方を取得することと、
判定部が、前記取得部により取得された第1の位置情報と第2の位置情報とが同一の場所を示す位置情報であるか否かを判定する第1の処理と、前記取得部により取得された第1の時刻情報と第2の時刻情報とが前記ボルトを取り外してから取り付けるまでの時間を示す時間情報であるか否かを判定する第2の処理と、の少なくとも1つを行うことと、
を含む乗客コンベア点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、乗客コンベアから取り外されたボルトを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレーター等の乗客コンベアは、建物内で人々を輸送する装置であり、都市空間において必須の装置である。乗客コンベアでは、ループ状に形成されたチェーンに対し、いくつかの固定部材を介して人が乗るステップが固定されている。そして、チェーンをスプロケットとよばれる歯車状の部材とかみ合わせ、スプロケットを回転させることで、乗客コンベアのステップは、駆動される。
【0003】
このような駆動機構を備える乗客コンベアにおいて、ステップは、利用者と接する部分であり、正常な状態を維持するために定期的に点検がなされている。点検において、作業者は、ステップを取り外して行うこともあり、その場合は、駆動部分に固定されたボルトを取り外して点検を実施し、点検の終了後には再度ボルトを用いてステップを固定する。このような作業においては、取り外されたボルトを確実に再度締結することが重要である。例えば、このようなボルトの着脱作業を管理する装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-84629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、予め登録したボルトの個数に対して、締結作業を行ったボルトの個数が一致するかを確認している。作業を実施するボルトの個数は、作業計画から算出することは可能である。しかしながら、現場の状態に応じて、当初予定していた作業を超えた作業を実施する場合は、上記特許文献1に記載の技術では、乗客コンベアから取り外されたボルトを管理できなくなってしまう。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、乗客コンベアから取り外されたボルトを適切に管理し得る乗客コンベア点検システム等を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、ボルトにより固定されるステップを備える乗客コンベアを点検するための乗客コンベア点検システムであって、前記ボルトの取り外し作業が行われたときの位置を示す第1の位置情報および前記ボルトの取り付け作業が行われるときの位置を示す第2の位置情報と、前記取り外し作業が行われたときの時刻を示す第1の時刻情報および前記取り付け作業が行われるときの時刻を示す第2の時刻情報と、の少なくとも一方を取得する取得部と、前記取得部により取得された第1の位置情報と第2の位置情報とが同一の場所を示す位置情報であるか否かを判定する第1の処理と、前記取得部により取得された第1の時刻情報と第2の時刻情報とが前記ボルトを取り外してから取り付けるまでの時間を示す時間情報であるか否かを判定する第2の処理と、の少なくとも1つを行う判定部と、を設けるようにした。
【0008】
上記構成によれば、例えば、ボルトの取り外しおよび取り付けに係る位置情報の整合性とボルトの取り外しおよび取り付けに係る時刻情報の整合性との少なくとも1つが判定されるので、乗客コンベアから取り外されたボルトを適切に管理することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乗客コンベアから取り外されたボルトを適切に管理し得る乗客コンベア点検システムを実現することができる。上記以外の課題、構成、および効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態による乗客コンベア点検システムに係る構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施の形態による点検装置に係る構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施の形態によるボルト収納シートの一例を示す図である。
図4】第1の実施の形態による作業情報の一例を示す図である。
図5】第1の実施の形態による作業情報の一例を示す図である。
図6】第1の実施の形態によるボルトの収納例を示す図である。
図7】第1の実施の形態によるボルトの検出に係る処理の一例を示す図である。
図8】第1の実施の形態による位置情報の整合性の判定に係る処理の一例を示す図である。
図9】第1の実施の形態による時刻情報の整合性の判定に係る処理の一例を示す図である。
図10】第2の実施の形態による乗客コンベア点検システムに係る構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(I)第1の実施の形態
以下、本発明の一実施の形態を詳述する。ただし、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
本実施の形態に係る乗客コンベア点検システムは、乗客コンベアのステップの締結に用いられるボルトの締結作業に係る位置および/または時刻の整合性に基づいて締結作業の実施可否を判定することを特徴とする。上記構成によれば、乗客コンベアから取り外されたボルトを適切に管理することができる。
【0013】
また、例えば、乗客コンベア点検システムは、ボルトの個数と、実施予定の作業において用いられるボルトの個数との整合性を確認し、確認した結果に基づいて締結作業の実施可否を判定する。上記構成では、締結作業の実施前に、ステップの締結に必要なボルトの個数を確実に把握できる。上記構成によれば、ステップの締結に必要なボルトの個数を確認する時間が削減でき、点検に伴う乗客コンベアの停止時間を削減でき、利用者が点検によって利用できない時間を減らすことができる。
【0014】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は、単数でも複数でも構わない。また、以下の説明では、図面において同一要素については、同じ番号を付し、説明を適宜省略する。
【0015】
図1において、100は、全体として第1の実施の形態による乗客コンベア点検システムを示す。
【0016】
乗客コンベア点検システム100は、エスカレーター、動く歩道等の乗客コンベアを点検するための点検装置101を含んで構成される。点検装置101は、ボルト収納シート102の画像を取得し、記憶部103に記憶されている作業情報104を入力し、ボルト収納シート102の画像と作業情報104とに基づいて乗客コンベアの点検に係る処理を実行する。
【0017】
より具体的には、点検装置101は、カメラ110、撮像位置取得部111、撮像時刻取得部112、抽出部113、検出部114、起動位置取得部115、起動時刻取得部116、判定部117、起動部118、およびアプリケーション部119(APP:Application)を備える。
【0018】
本実施の形態では、乗客コンベアから取り外されたボルトは、ボルト収納シート102に収納される。カメラ110は、ボルト収納シート102にボルトが収納された状態の画像を撮像する。撮像位置取得部111は、撮像時の位置を示す位置情報を取得し、カメラ110により撮像された画像に当該位置情報を紐づける(例えば、格納する)。撮像時刻取得部112は、撮像時の時刻を示す時刻情報を取得し、カメラ110により撮像された画像に当該時刻情報を紐づける(例えば、格納する)。以下では、撮像時の位置(撮像位置)と撮像時の時刻(撮像時刻)との少なくとも1つが紐づけられた画像を撮像データ120と記す。
【0019】
また、作業者は、点検対象の乗客コンベアにおけるボルトの締結作業時に、アプリケーション部119を起動して締結作業を行う際、撮像データ120を入力する。なお、撮像時、起動時等の適宜のタイミングにおいて、点検の作業に係る情報(当該乗客コンベアのシリアルNo.、当該作業の作業ID等)が入力される。抽出部113は、入力された撮像データ120のボルト収納シート102の画像からボルト収納シート102を示す領域(シート領域)を抽出する。検出部114は、シート領域内に写ったボルトの個数を検出する。なお、本実施の形態については、抽出部113および検出部114がアプリケーション部119の起動時に処理を行う構成に限らず、カメラ110の撮像時、例えば、撮像データ120が生成されたときに、抽出部113および検出部114が事前に処理を行う構成としてもよい。
【0020】
起動位置取得部115は、ボルトの締結作業時、例えばアプリケーション部119の起動時の位置(起動位置)を示す位置情報を取得する。起動時刻取得部116は、ボルトの締結作業時、例えばアプリケーション部119の起動時の時刻(起動時刻)を示す時刻情報を取得する。判定部117は、作業情報104に基づいて、撮像位置および撮像時刻と、起動位置および起動時刻との整合性を確認する。例えば、判定部117は、アプリケーション部119を起動することに問題があるか否かを判定する。起動部118は、判定部117による判定の結果に応じて、アプリケーション部119を起動する。アプリケーション部119は、ボルトの締結作業に係る処理を実施する。例えば、アプリケーション部119は、点検装置101が作業者の腕に取り付けられた後、トルクレンチを締める作業の振動、音等を取得し、ボルトが確実に締結されたことを検出する。
【0021】
図2は、点検装置101に係る構成の一例を示す図である。
【0022】
点検装置101は、スマートフォン、タブレット端末等のコンピュータである。点検装置101は、例えば、プロセッサ201と、主記憶装置202と、補助記憶装置203と、入力装置204と、出力装置205と、通信装置206と、撮像装置207とを備える。
【0023】
プロセッサ201は、演算処理を行う装置である。プロセッサ201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等である。
【0024】
主記憶装置202は、プログラム、データ等を記憶する装置である。主記憶装置202は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等である。ROMは、SRAM(Static Random Access Memory)、NVRAM(Non Volatile RAM)、マスクROM(Mask Read Only Memory)、PROM(Programmable ROM)等である。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。
【0025】
補助記憶装置203は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、SSD(Solid State Drive)、光学式記憶装置等である。光学式記憶装置は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等である。補助記憶装置203に格納されているプログラム、データ等は、主記憶装置202に随時読み込まれる。
【0026】
入力装置204は、ユーザから情報を受け付けるユーザインターフェースである。入力装置204は、例えば、キーボード、マウス、カードリーダ、タッチパネル等である。
【0027】
出力装置205は、各種の情報を出力(表示出力、音声出力、印字出力等)するユーザインターフェースである。出力装置205は、例えば、各種情報を可視化する表示装置、音声出力装置(スピーカ)、印字装置等である。表示装置は、LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等である。
【0028】
通信装置206は、通信媒体を介して他の装置と通信する通信インターフェースである。通信装置206は、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Interface)モジュール、シリアル通信モジュール等である。通信装置206は、通信可能に接続する他の装置から情報を受信する入力装置として機能することもできる。また、通信装置206は、通信可能に接続する他の装置に情報を送信する出力装置として機能することもできる。
【0029】
撮像装置207は、例えば、カメラ110であり、撮像レンズ、撮像素子等を備え、撮像レンズにより結像する光学像を撮像素子により電気信号に変換する装置である。撮像装置207は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等で構成されている。
【0030】
点検装置101の機能(撮像位置取得部111、撮像時刻取得部112、抽出部113、検出部114、起動位置取得部115、起動時刻取得部116、判定部117、起動部118、およびアプリケーション部119等)は、例えば、プロセッサ201が補助記憶装置203に格納されたプログラムを主記憶装置202に読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。なお、点検装置101の1つの機能は、複数の機能に分けられていてもよいし、複数の機能は、1つの機能にまとめられていてもよい。また、点検装置101の機能の一部は、別の機能として設けられてもよいし、他の機能に含められていてもよい。また、点検装置101の機能の一部(例えば、抽出部113、検出部114、判定部117、起動部118、およびアプリケーション部119のうちの少なくとも1つ)は、点検装置101と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0031】
図3は、ボルト収納シート102の一例を示す図である。
【0032】
ボルト収納シート102は、青色であり、紙またはプラスチックにボルトを収納する穴が予め設けられているシートである。ボルト収納シート102は、ボルトが貫通して脱落しないように、穴がないシートと穴があけられたシートとが重ねられて貼り合わせて形成されている。ボルトが収納されていない状態では、穴があいているものの、一様に青色の見た目となっている。
【0033】
図4および図5は、記憶部103に記憶されている作業情報104の一例を示す図である。作業情報104は、点検装置101と通信可能な記憶部103に記憶されていてもよいし、点検装置101の補助記憶装置203に記憶されていてもよい。
【0034】
乗客コンベアテーブル400は、乗客コンベアに係る複数の項目の値を含むレコードを記憶する。より具体的には、乗客コンベアテーブル400は、乗客コンベア本体に関する情報として、シリアル番号401(シリアルNo.)と、施設402と、機種403と、速度404と、揚程405と、設置階406と、標準運転方向407と、設置場所408との情報が対応付けられたレコードを記憶する。
【0035】
シリアル番号401は、個々の乗客コンベアに割り当てられた一意の番号である。施設402は、乗客コンベアが設置される施設の名称である。機種403は、乗客コンベアの機種である。速度404は、乗客コンベアの速度(例えば、定格速度)である。揚程405は、乗客コンベアの階高である。設置階406は、乗客コンベアの設置階である。標準運転方向407は、乗客コンベアの標準運転方向である。設置場所408は、乗客コンベアの設置場所である。例えば、設置場所は、乗客コンベアが設置されている住所であってもよいし、緯度および経度であってもよいし、乗客コンベアの場所を示すその他の項目であってもよい。なお、乗客コンベアテーブル400には、上述した項目のうち一部の項目が含まれていなくてもよいし、乗客コンベアに係るその他の項目が含まれていてもよい。
【0036】
作業内容テーブル500は、乗客コンベアの点検に係る作業内容を示す複数の項目の値を含むレコードを記憶する。より具体的には、作業内容テーブル500は、作業内容に関する情報として、作業ID501と、標準作業時間502と、最大作業時間503と、手順書番号504(手順書No.)と、ステップ枚数505との情報が対応付けられたレコードを記憶する。
【0037】
作業ID501は、個々の作業に割り当てられたIDである。標準作業時間502は、作業に要する標準的な時間である。最大作業時間503は、作業に要する最大の時間である。手順書番号504は、作業に係る手順書の番号である。ステップ枚数505は、作業において取り外される予定のステップの枚数である。なお、ステップに用いられるボルトの個数は一定であるので、ステップの枚数をもとに、当該ステップを固定するためのボルトの個数が算出される。付言するならば、作業内容テーブル500には、上述した項目のうち一部の項目が含まれていなくてもよいし、作業において取り外される予定のステップに用いられるボルトの総数等、作業内容に係るその他の項目が含まれていてもよい。
【0038】
図6および図7は、ボルトの検出方法を説明するための図である。図6は、ボルト収納シート102におけるボルトの収納例を示す図である。図7は、ボルトの検出に係る処理の一例を示す図である。
【0039】
図6に示すように、乗客コンベアから取り外されたボルト600は、ボルト収納シート102の穴の部分に収納される。
【0040】
ボルト収納シート102は、ボルト収納シート102の色とボルト600の色との色相の差が明確となるように構成されている。この点、ボルト収納シート102の色としては、ボルト600の色と反対側の色が用いられることが好適である。例えば、ボルト600の色が黄土色(黄色)である場合、ボルト収納シート102の色は、青色が用いられる。
【0041】
次に、ボルト収納シート102に収納されたボルト600の検出手順について図7を用いて説明する。
【0042】
ステップS701では、抽出部113は、ボルト600を検出するための領域として、ボルト収納シート102の色に基づいて撮像データ120内からシート領域を抽出する。なお、撮像時には、画面に広くボルト収納シート102が映るようにガイダンスが行われるため、画像内でボルト収納シート102が一定以上の面積を占めている。
【0043】
ステップS702では、検出部114は、シート領域に対して、色相に基づいて画像の2値化を実施する。
【0044】
ステップS703では、検出部114は、画像の膨張処理および収縮処理を実施する。
【0045】
ステップS704では、検出部114は、一定以上の密集度と大きさとを持つエリアを1つの領域とし、領域の数を計数(カウント)する。
【0046】
ステップS705では、検出部114は、領域の数をボルト600の個数として判定部117に出力する。
【0047】
例えば、判定部117は、検出部114により検出されたボルトの個数を受け取ると、作業内容テーブル500からステップ枚数505を読み出し、読み出したステップ枚数505から点検が実施される予定のステップのボルトの個数を算出する。判定部117は、算出したボルトの個数と、検出されたボルトの個数とが一致するか否かを判定し、判定した結果を起動部118に出力する。なお、判定部117は、判定の結果を、出力装置205を介して出力(表示出力、音声出力等)してもよいし、通信装置206を介して他のコンピュータに出力してもよい。
【0048】
次に、作業者による作業の整合性の判定について図8および図9を用いて説明する。
【0049】
図8は、位置情報の整合性の判定に係る処理の一例を示す図である。
【0050】
ステップS801では、判定部117は、撮像データ120に格納された位置情報(撮像位置)を取得する。
【0051】
ステップS802では、判定部117は、現在の位置情報、本例ではアプリケーション部119を起動しようとした時点での位置情報(起動位置)を起動位置取得部115から取得する。
【0052】
なお、位置情報は、緯度、経度、高度といった絶対位置情報であってもよいし、撮像時または起動時に取得した予め定められた起点の位置からの位置を示す相対位置情報であってもよい。
【0053】
ステップS803では、判定部117は、作業情報104から乗客コンベア位置(例えば、乗客コンベアテーブル400の揚程405、設置場所408等の位置情報)を取得する。
【0054】
ステップS804では、判定部117は、撮像時の位置情報および起動時の位置情報が同一の場所を示す位置情報であるか否かを判定する。判定部117は、同一の場所であると判定した場合、ステップS805に処理を移し、同一の場所でないと判定した場合、ステップS806に処理を移す。
【0055】
例えば、判定部117は、撮像位置と起動位置と乗客コンベア位置とが、予め定められた許容誤差内であるか否かを判定する。また、例えば、判定部117は、乗客コンベア位置から所定の範囲内に撮像位置と起動位置とが含まれるか否かを判定してもよい。また、例えば、判定部117は、乗客コンベア位置を用いることなく、撮像位置と起動位置との差が許容誤差内であるか否かを判定してもよい。
【0056】
ステップS805では、判定部117は、整合性に問題がないことを示す情報(位置許可情報)を起動部118に出力し、処理を終了する。
【0057】
ステップS806では、判定部117は、整合性に問題があることを示す情報(位置不許可情報)を起動部118に出力し、処理を終了する。
【0058】
なお、判定部117は、判定の結果(位置許可情報、位置不許可情報等)を、出力装置205を介して出力してもよいし、通信装置206を介して他のコンピュータに出力してもよい。
【0059】
図9は、時刻情報の整合性の判定に係る処理の一例を示す図である。
【0060】
ステップS901では、判定部117は、撮像データ120に格納された時刻情報(撮像時刻)を取得する。
【0061】
ステップS902では、判定部117は、現在の時刻情報、本例ではアプリケーション部119を起動しようとした時点での時刻情報(起動時刻)を起動時刻取得部116から取得する。
【0062】
ステップS903では、判定部117は、作業情報104から作業時間(例えば、作業内容テーブル500の標準作業時間502、最大作業時間503等の情報)を取得する。作業時間は、ボルトを取り外してから取り付けるまでの時間を示す時間情報である。作業時間は、標準作業時間502からの一定範囲の時間であってもよいし、最大作業時間503であってもよいし、標準作業時間502および最大作業時間503の少なくとも1つが用いられて算出される時間であってもよい。
【0063】
ステップS904では、撮像時刻と起動時刻とが作業時間内であるか否かを判定する。例えば、判定部117は、起動時刻が撮像時刻以降であり、かつ、撮像時刻から起動時刻までの経過時間が作業時間内であるか否かを判定する。判定部117は、作業時間内であると判定した場合、ステップS905に処理を移し、作業時間内でないと判定した場合、ステップS906に処理を移す。
【0064】
このような時刻の判定は、測定データ(例えば、撮像データ120)の選定ミスを回避するための仕組みでもある。同一の現場に複数の乗客コンベアが設置されている場合、同日に複数の乗客コンベアで作業を実施する場合も存在する。その場合、1台目の作業時には同日の測定データは存在しないので問題ないが、2台目以降の作業においては、同日の測定データが存在することになる。測定データが取得された時刻に対し、作業量を鑑みて起動時刻までに長い時間が経過している場合には、その測定データは2台目のものではなく1台目のものである可能性もある。このような不適切な測定データの指定を回避するために、このような時刻に基づく判定が必要となる。
【0065】
ステップS905では、判定部117は、整合性に問題がないことを示す情報(時刻許可情報)を起動部118に出力し、処理を終了する。
【0066】
ステップS906では、判定部117は、整合性に問題があることを示す情報(時刻不許可情報)を起動部118に出力し、処理を終了する。
【0067】
なお、判定部117は、判定の結果(時刻許可情報、時刻不許可情報等)を、出力装置205を介して出力してもよいし、通信装置206を介して他のコンピュータに出力してもよい。
【0068】
また、起動部118は、作業が予定されているボルトの個数と、検出されたボルトの個数とが一致すると判定部117により判定され、判定部117から位置許可情報および時刻許可情報を受け取った場合、アプリケーション部119を起動する。他方、起動部118は、作業が予定されているボルトの個数と、検出されたボルトの個数とが一致しないと判定部117により判定された場合、または、判定部117から位置不許可情報若しくは時刻不許可情報を受け取った場合、アプリケーション部119を起動できない旨を出力する。
【0069】
付言するならば、判定部117は、例えば、位置情報の整合性の判定と、時刻情報の整合性の判定の少なくとも1つを行い、作業が予定されているボルトの個数と、検出されたボルトの個数とが一致するか否かの判定を行わなくてもよい。
【0070】
また、上述の処理は、作業者が所持する点検装置101内で全てを実施してもよいし、測定データ(画像、撮像位置、撮像時刻、撮像データ120等)が点検装置101からサーバ装置に伝達され、各種の処理(抽出部113、検出部114、判定部117、および起動部118の各々が実行する処理のうち少なくとも1つ)がサーバ装置において実施され、その結果が点検装置101に伝送されてもよい。
【0071】
また、本実施の形態において、位置情報としては、屋外である場合、GPS(Global Positioning System)、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)といったGNSS(Global Navigation Satellite System)に基づく情報を用いてもよい。また、屋内である場合、WiFi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)の信号強度に基づき推定された位置情報、ビーコン等により取得された位置情報等を用いてもよい。また、高さ情報については、高度計により取得された情報を用いてもよいし、気圧計に基づき相対的な位置変動が推定された情報を用いてもよい。また、屋内である場合、無線LANの信号強度に基づき推定された建屋内の何階にいるかという情報、ビーコン等により取得された情報等を用いてもよい。
【0072】
付言するならば、位置情報には、GNSSによる緯度および経度の情報と、WiFi、ビーコン等の無線通信部に基づく情報と、気圧計に基づく測定時の相対的な高さ変動に関する情報と、加速度センサに基づく測定時の相対的な位置変動に関する情報と、のいずれか1つ以上が含まれる。
【0073】
また、本実施の形態においては、乗客コンベア点検システムは、ボルト収納シートにおけるボルト検出のために色相に基づき判定をしているが、色相ではなくコントラスト、彩度等の他の画像的特徴に基づき抽出してもよい。また、乗客コンベア点検システムは、機械学習によって予めボルトの画像を学習したうえでボルトの個数を測定してもよい。
【0074】
また、本実施の形態において、乗客コンベア点検システムは、ボルトの個数を測定する際に、画像を用いなくてもよい。この場合、二次元コードがボルトに貼られ、乗客コンベア点検システムは、当該二次元コードを読み取ることでボルトの個数を測定してもよい。また、ボルトにセンサが埋め込まれ、乗客コンベア点検システムは、当該センサからの信号に基づいてボルトの個数を測定してもよい。
【0075】
本実施の形態によれば、乗客コンベアの点検を適切に行うことができる。
【0076】
(II)第2の実施の形態
本実施の形態は、位置情報および/または時刻情報の整合性が確認された後に、作業者がボルトの個数を修正できる点が第1の実施の形態と主に異なる。本実施の形態では、第1の実施の形態と同じ構成については同じ符号を用いて、その説明を適宜に省略する。
【0077】
ここで、撮像状態、その他の影響により、検出部114により検出されたボルトの個数が実状と異なっていることが明らかな場合、その後の作業が実施されないことは問題となる。この点、図10に示すように、乗客コンベア点検システム1000の点検装置1001は、修正部1010と確認部1020とを備える。修正部1010は、作業者により入力された数値に基づいて、ボルトの個数を修正する。確認部1020は、責任者(管理者)によって確認された結果を受け付けて入力する。
【0078】
図10は、乗客コンベア点検システム1000に係る構成の一例を示す図である。
【0079】
修正部1010は、位置、時刻等の整合性は問題ないものの、作業情報104(作業対象のステップ枚数505)に基づいて算出されたボルトの個数と、実際のボルトの個数とが異なる場合に用いられる。修正部1010によりボルトの個数が修正された場合、作業者が任意で入力した数値が実情と乖離しているときは問題となる。このため、作業時の撮像データ120と、検出されたボルトの個数と、修正されたボルトの個数とは、責任者によって適切であるかが確認され、責任者によって確認された結果が確認部1020を介して入力される。
【0080】
なお、確認部1020については、作業者が所持する点検装置1001に設けられていてもよいし、通信可能に接続された遠隔地にある端末、サーバ装置等のコンピュータに設けられていてもよいし、通信可能に接続された同じ場所にある別端末(例えば、責任者が所持する端末)に設けられていてもよい。
【0081】
確認部1020は、修正されたボルトの個数に問題ないことを確認した場合、責任者により確認されたことを示す情報を起動部118に出力する。この場合、起動部118は、アプリケーション部119を起動する。
【0082】
本実施の形態によれば、ボルトの個数の誤検出を修正して確認することができ、実情に即した点検を確実に実施できるようになる。
【0083】
(III)付記
上述の実施の形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
【0084】
上述の実施の形態においては、本発明を乗客コンベア点検システムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0085】
また、上述の実施の形態において、プログラムの一部またはすべては、プログラムソースから、点検装置を実現するコンピュータのような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、ネットワークで接続されたプログラム配布サーバまたはコンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。また、上述の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0086】
また、上述の実施の形態において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部または一部が1つのテーブルであってもよい。
【0087】
また、上述の実施の形態において、説明の便宜上、乗客コンベア点検システムに係る情報を、テーブルを用いて説明したが、データ構造はテーブルに限定されるものではない。乗客コンベア点検システムに係る情報は、XML(Extensible Markup Language)、YAML(YAML Ain't a Markup Language)、ハッシュテーブル、木構造等、テーブル以外のデータ構造によって表現されてもよい。
【0088】
また、上述の実施の形態において、情報の出力は、ディスプレイへの表示に限るものではない。情報の出力は、スピーカによる音声出力であってもよいし、ファイルへの出力であってもよいし、印刷装置による紙媒体等への印刷であってもよいし、プロジェクタによるスクリーン等への投影であってもよいし、その他の態様であってもよい。
【0089】
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0090】
上述した実施の形態は、例えば、以下の特徴的な構成を備える。
【0091】
(1)
ボルトにより固定されるステップを備える乗客コンベアを点検するための乗客コンベア点検システム(乗客コンベア点検システム100、乗客コンベア点検システム1000等)であって、上記ボルトの取り外し作業が行われたときの位置を示す第1の位置情報(ボルト収納シート102の画像の撮像時の位置情報、ボルト収納シート102の画像からボルトが検出されたときの位置情報等)および上記ボルトの取り付け作業が行われるときの位置を示す第2の位置情報(例えば、起動時の位置情報)と、上記取り外し作業が行われたときの時刻を示す第1の時刻情報(ボルト収納シート102の画像の撮像時の時刻情報、ボルト収納シート102の画像からボルトが検出されたときの時刻情報等)および上記取り付け作業が行われるときの時刻を示す第2の時刻情報(例えば、起動時の時刻情報)と、の少なくとも一方を取得する取得部(撮像位置取得部111、撮像時刻取得部112、起動位置取得部115、起動時刻取得部116、点検装置101、回路等)と、上記取得部により取得された第1の位置情報と第2の位置情報とが同一の場所を示す位置情報であるか否かを判定する第1の処理(例えば、図8に示す処理)と、上記取得部により取得された第1の時刻情報と第2の時刻情報とが上記ボルトを取り外してから取り付けるまでの時間を示す時間情報であるか否かを判定する第2の処理(例えば、図9に示す処理)と、の少なくとも1つを行う判定部(判定部117、点検装置101、回路、点検装置101と通信可能な他のコンピュータ等)と、を備える。
【0092】
上記構成によれば、例えば、ボルトの取り外しおよび取り付けに係る位置情報の整合性とボルトの取り外しおよび取り付けに係る時刻情報の整合性との少なくとも1つが判定されるので、乗客コンベアから取り外されたボルトを適切に管理することができる。
【0093】
(2)
上記ボルトの測定データに基づいて上記ボルトの個数を検出する検出部(抽出部113、検出部114、点検装置101、回路、点検装置101と通信可能な他のコンピュータ等)と、点検が実施される予定のステップのボルトの個数を得るための作業情報(作業情報104、作業内容テーブル500等)を記憶する記憶部(記憶部103、補助記憶装置203、点検装置101、点検装置101と通信可能な他のコンピュータ等)と、を備え、上記判定部は、上記作業情報から得られるボルトの個数と、上記検出部により検出されるボルトの個数とが一致するか否かを判定する。
【0094】
上記構成では、点検が実施される予定のステップのボルトの個数と、検出されたボルトの個数とが一致するか否かが判定されるので、ボルトの取り付け作業が予定通りに行われることを管理することができる。
【0095】
(3)
上記ボルトを取り外してから取り付けるまでに要する時間である作業時間を得るための作業情報(作業情報104、作業内容テーブル500等)を記憶する記憶部(記憶部103、補助記憶装置203、点検装置101、点検装置101と通信可能な他のコンピュータ等)を備え、上記判定部は、上記第1の処理に加えて、または、上記第1の処理を行うことなく、上記第2の処理を行い、上記第2の処理では、上記第1の時刻情報の第1の時刻が上記第2の時刻情報の第2の時刻よりも前の時刻であり、かつ、上記第1の時刻から上記第2の時刻までの時間が上記作業情報から得られる作業時間内であるか否かを判定する(例えば、図9参照)。
【0096】
上記構成によれば、例えば、ボルトを取り外してから取り付けるまでの時間が適切であるか否かが判定されるので、ボルトの取り付けの作業が予め定められた作業時間内に開始されることを管理することができる。
【0097】
(4)
上記乗客コンベア点検システムは、上記判定部による判定の結果に応じて、上記ボルトの取り付け作業において用いられるアプリケーション(例えば、アプリケーション部119)を起動する起動部(起動部118、点検装置101、回路、点検装置101と通信可能な他のコンピュータ等)を備える。
【0098】
上記構成では、例えば、位置情報または時刻情報の整合性があると判定された場合に、ボルトの取り付け作業において用いられるアプリケーションが起動されるので、位置情報または時刻情報の整合性がないときにボルトの取り付け作業が開始される事態を回避することができる。
【0099】
(5)
乗客コンベア点検システムは、上記ボルトの測定データに基づいて上記ボルトの個数を検出する検出部(抽出部113、検出部114、点検装置101、回路、点検装置101と通信可能な他のコンピュータ等)を備え、上記ボルトは、上記ボルトの色と色相が反対側の色の収納部材(例えば、ボルト収納シート102)に収納され、上記測定データは、上記ボルトが収納されているときの上記収納部材の画像であり、上記検出部は、上記画像の上記ボルトの色に基づいて上記ボルトの個数を検出する(例えば、図7参照)。
【0100】
上記構成では、例えば、ボルトの色と色相が反対側の色の収納部材にボルトが収納されるので、ボルトの個数を高精度に検出でき、乗客コンベアから取り外されたボルトの個数を正確に管理することができる。
【0101】
(6)
乗客コンベア点検システムは、上記取得部を備える第1のコンピュータと、上記第1のコンピュータと通信可能に接続され、上記判定部を備える第2のコンピュータと、を含んで構成される。
【0102】
上記構成によれば、例えば、判定部の処理が高性能なコンピュータで実行される場合、第1のコンピュータの負荷を低減することができると共に、判定部の処理を高速化することができる。
【0103】
上記乗客コンベア点検システムは、作業者が利用可能な第1のコンピュータと、責任者が利用可能な第2のコンピュータとを含んで構成されていてもよい。この場合、上記第1のコンピュータは、上記取得部と、上記判定部とを備え、上記第2のコンピュータは、上記ボルトの個数が責任者により確認された結果を受け付ける確認部(確認部1020、点検装置1001等)を備える。また、上記第1のコンピュータは、作業者による修正を受け付ける修正部(修正部1010、点検装置1001等)を備えてもよいし、上記第2のコンピュータは、責任者による修正を受け付ける修正部を備えてもよい。
【0104】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【0105】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数または順序を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は、文脈毎に用いられ、1つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0106】
「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という形式におけるリストに含まれる項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができると理解されたい。同様に、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」の形式においてリストされた項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができる。
【符号の説明】
【0107】
100……乗客コンベア点検システム、101……点検装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10