(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065779
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240508BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B41J29/38 501
B41J2/175 175
B41J2/175 119
B41J29/38 204
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174807
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 善一郎
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB04
2C056EB20
2C056EB45
2C056EC04
2C056EC26
2C056EC67
2C056KC01
2C061AP01
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ34
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】画像形成装置側のプログラムデータのバージョンが古い場合に適切な処理が行われる。
【解決手段】インクカートリッジ2の記憶部22には、そのインクカートリッジ2に対応可能なメインファームウェアのバージョンを示す対応バージョンデータが格納されている。また、記憶部22にはパターン1~3のいずれかを示す指示データが格納されている。プリンタ1の制御部90は、プリンタ1側のファームウェアバージョンデータとインクカートリッジ2側の対応バージョンデータとを照合し、メインファームウェアのバージョンがインクカートリッジ2に対応できない場合に、パターン1~3から指示データが示す処理を選択して実行する。パターン1~3の処理は、メッセージの表示内容及びインクカートリッジ2の利用態様の両方について互いに異なる処理である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤を貯留するカートリッジと、前記カートリッジが装着される画像形成装置とを備えている画像形成システムであって、
前記画像形成装置が、
ディスプレイと、
装着された前記カートリッジ内の着色剤を使用した画像形成動作を行う画像形成部と、
プログラムデータと前記プログラムデータのバージョンを示す装置側バージョンデータとを記憶する装置側記憶部と、
前記装置側記憶部が記憶する前記プログラムデータに従って前記画像形成動作及び前記プログラムデータのバージョンアップ動作を制御する制御部とを備えており、
前記カートリッジは、
前記プログラムデータについての前記カートリッジに対応可能なバージョンを示すカートリッジ側バージョンデータと、前記装置側バージョンデータが示すバージョンが前記対応可能なバージョンより古い場合に前記制御部に実行させる処理を指示する指示データとを記憶するカートリッジ側記憶部を備えており、
前記制御部は、
前記装置側バージョンデータが示すバージョンが前記対応可能なバージョンより古い場合に、前記カートリッジの利用態様、前記ディスプレイへの表示内容及び前記バージョンアップ動作の内容の少なくともいずれかが互いに異なる複数の処理から前記指示データが指示する処理を選択すると共に、選択した処理を実行することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記複数の処理に前記カートリッジの利用態様が互いに異なる2つの処理が含まれており、その2つの処理が、前記カートリッジの利用を可能とする処理及び前記カートリッジの利用を不可とする処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記複数の処理に前記カートリッジの利用態様が互いに異なる2つの処理が含まれており、その2つの処理が、前記カートリッジの純正品としての利用を可能とする処理及び前記カートリッジの非純正品としての利用を可能とする処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記複数の処理に前記ディスプレイへの表示内容が互いに異なる2つの処理が含まれており、その2つの処理が、互いに内容の異なるメッセージをディスプレイに表示する処理であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記カートリッジ側記憶部が、
第1の前記カートリッジ側バージョンデータ及び第1の前記指示データを記憶する第1の記憶領域と、前記第1のカートリッジ側バージョンデータが示すバージョンより新しいバージョンを示す第2の前記カートリッジ側バージョンデータ及び第2の前記指示データを記憶可能である第2の記憶領域とを含んでおり、
前記制御部は、
前記装置側バージョンデータが示すバージョンが前記対応可能なバージョンより古い場合の処理として、前記第2の記憶領域に前記第2のカートリッジ側バージョンデータ及び前記第2の指示データが記憶されているときには第1の選択処理を、前記第2の記憶領域に前記第2のカートリッジ側バージョンデータ及び前記第2の指示データの少なくともいずれかが記憶されていないときには第2の選択処理を実行し、
前記第1の選択処理は、
前記装置側バージョンデータが示すバージョンが前記第1のカートリッジ側バージョンデータが示すバージョンより古い場合には前記第1の指示データに基づいて、前記装置側バージョンデータが示すバージョンが前記第1のカートリッジ側バージョンデータが示すバージョン以降であるが前記第2の対応可能バージョンが示すバージョンより古い場合には前記第2の指示データに基づいて、前記複数の処理からいずれかを選択する処理であり、
前記第2の選択処理は、
前記装置側バージョンデータが示すバージョンが前記第1のカートリッジ側バージョンデータが示すバージョンより古い場合に、前記第1の指示データに基づいて前記複数の処理からいずれかを選択する処理であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
画像形成動作を行う画像形成装置に装着されるカートリッジであって、
前記画像形成動作に使用される着色剤を貯留する貯留部と、
前記画像形成装置に記憶されたプログラムデータについての前記カートリッジに対応可能なバージョンを示すカートリッジ側バージョンデータと、前記記画像形成装置に記憶されたプログラムデータのバージョンが前記対応可能なバージョンより古い場合に前記画像形成装置に実行させる処理を指示する指示データとを記憶するカートリッジ側記憶部とを備えており、
前記指示データは、
前記画像形成装置に記憶されたプログラムデータのバージョンが前記対応可能なバージョンより古い場合に、前記カートリッジの利用態様、ディスプレイへの表示内容及び前記プログラムデータのバージョンアップ動作の内容の少なくともいずれかが互いに異なる複数の処理から前記画像形成装置が実行するべき処理を指示するデータであることを特徴とするカートリッジ。
【請求項7】
着色剤を貯留するカートリッジが装着される画像形成装置であって、
ディスプレイと、
装着された前記カートリッジ内の着色剤を使用した画像形成動作を行う画像形成部と、
プログラムデータと前記プログラムデータのバージョンを示す装置側バージョンデータとを記憶する装置側記憶部と、
前記装置側記憶部が記憶する前記プログラムデータに従って前記画像形成動作及び前記プログラムデータのバージョンアップ動作を行う制御部とを備えており、
前記制御部は、
前記プログラムデータのバージョンが、前記カートリッジに記憶されたカートリッジ側バージョンデータが示す前記カートリッジに対応可能なバージョンより古い場合に、前記カートリッジの利用態様、前記ディスプレイへの表示内容及び前記バージョンアップ動作の内容の少なくともいずれかが互いに異なる複数の処理から、前記カートリッジに記憶された指示データが指示する処理を選択すると共に、選択した処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に対して画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリンタに装着されたインクカートリッジのICメモリにプリンタのファームウェアのアップデート用ファイルがある場合に、そのアップデート用ファイルのバージョンがプリンタに実装されたファームウェアのバージョンより新しいときには、そのファイルを用いてプリンタのファームウェアをアップデートすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、カートリッジ側に記憶されたデータに基づいて画像形成装置(特許文献1のプリンタ)側のプログラムのバージョンが古いと判断された際に、それに応じた処理が一律に実行される。しかしながら、各バージョンにおいて採用されるカートリッジの仕様変更の内容はさまざまであり、画像形成装置側のプログラムが古いからといって一律に同じ処理を実行するだけでは、必ずしも適切な対応とはいえないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、画像形成装置側のプログラムデータのバージョンが古い場合に適切な処理が行われる画像形成システム、画像形成装置及びカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、着色剤を貯留するカートリッジと、前記カートリッジが装着される画像形成装置とを備えている画像形成システムであって、前記画像形成装置が、ディスプレイと、装着された前記カートリッジ内の着色剤を使用した画像形成動作を行う画像形成部と、プログラムデータと前記プログラムデータのバージョンを示す装置側バージョンデータとを記憶する装置側記憶部と、前記装置側記憶部が記憶する前記プログラムデータに従って前記画像形成動作及び前記プログラムデータのバージョンアップ動作を制御する制御部とを備えており、前記カートリッジは、前記プログラムデータについての前記カートリッジに対応可能なバージョンを示すカートリッジ側バージョンデータと、前記装置側バージョンデータが示すバージョンが前記対応可能なバージョンより古い場合に前記制御部に実行させる処理を指示する指示データとを記憶するカートリッジ側記憶部を備えており、前記制御部は、前記装置側バージョンデータが示すバージョンが前記対応可能なバージョンより古い場合に、前記カートリッジの利用態様、前記ディスプレイへの表示内容及び前記バージョンアップ動作の内容の少なくともいずれかが互いに異なる複数の処理から前記指示データが指示する処理を選択すると共に、選択した処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
対応可能なバージョンを示すカートリッジ側バージョンデータがカートリッジに記憶されている。そして、そのカートリッジ側バージョンデータと装置側バージョンデータとの照合の結果に応じて画像形成装置の制御部が処理を選択する。よって、プログラムデータのバージョンがそのカートリッジに対応可能であるかどうかが適切に判定された上で処理が選択される。
【0008】
また、装置側バージョンデータのバージョンが対応可能なバージョンでないとされた場合に、カートリッジに記憶された指示データが示す処理が複数の処理から選択される。選択の対象となる複数の処理は、カートリッジの利用態様、ディスプレイへの表示内容及びバージョンアップ動作の内容の少なくともいずれかが互いに異なる処理である。このため、カートリッジの仕様変更の内容に適切に応じた処理の選択が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1のプリンタのタッチパネルディスプレイに表示されるメッセージである。
【
図3】
図1の制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】本発明の別の一実施形態に係るプリンタシステムに用いられるインクカートリッジの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
本発明の好適な一実施形態である第1の実施形態に係るプリンタシステム100について
図1~
図3を参照しつつ、以下に説明する。プリンタシステム100は、プリンタ1と、プリンタ1に装着されるインクカートリッジ2とを有している。プリンタ1は、インクカートリッジ2から、インク貯留部21に収容されたインク(本発明の「着色剤」に相当する)の供給を受ける。また、プリンタ1は、インターネット等の通信ネットワークを通じて外部システム900と通信可能である。
【0011】
図1に示すように、プリンタ1(本発明の「画像形成装置」に相当する)は、用紙供給部60、画像形成部70、タッチパネルディスプレイ80及び制御部90を有している。用紙供給部60、画像形成部70及びタッチパネルディスプレイ80は、制御部90と電気的に接続しており、制御部90の制御により動作する。
【0012】
用紙供給部60は、画像形成用の印刷用紙を収容可能である。用紙供給部60は、印刷用紙を搬送する搬送機構を通じて画像形成部70へと印刷用紙を供給する。画像形成部70は、用紙供給部60から供給される印刷用紙に対してインクカートリッジ2から供給されるインクを付着させることで、PC等の外部装置から受け取った画像データに対応する画像を印刷用紙上に形成する(本発明の「画像形成動作」に相当する)。
【0013】
タッチパネルディスプレイ80は、文字や画像等を画面に表示する。また、タッチパネルディスプレイ80は、画面に指等が接触するとその接触位置を検出し、検出結果を制御部90に送信する。これにより、タッチパネルディスプレイ80を通じて各種のユーザ入力が実行される。
【0014】
制御部90は、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶デバイスからなる記憶部92、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備えている。記憶部92(本発明の「装置側記憶部」に相当する)には、CPU91及びASICが実行するプログラムデータや各種の変数値を示すデータ等が格納されている。ハードウェアであるCPU91は、記憶部92に格納されたソフトウェアであるプログラムデータ等に従って各種の処理を実行する。以下、CPU91が各種の処理を実行することを制御部90が各種の処理を実行するものとして記載する場合がある。
【0015】
プログラムデータには、メインファームウェアのプログラムを示すデータと、ファームアップデータのプログラムを示すデータとが含まれている。各種の変数値を示すデータには、ファームウェアバージョンデータ及びカウンタデータが含まれている。
【0016】
メインファームウェアは、用紙供給部60、画像形成部70等の各部の動作を制御するためのアプリケーションである。メインファームウェアには、その提供元により適宜のタイミングで、機能の改良・追加やバグフィックス等を目的としたバージョンアップが実施される。最新バージョンのメインファームウェアのプログラムデータは外部システム900を通じて配布される。ファームウェアバージョンデータ(本発明の「装置側バージョンデータ」に相当する)は、現時点のメインファームウェアのバージョンを示すデータである。
【0017】
ファームアップデータは、メインファームウェアのアップデート(本発明の「バージョンアップ動作」に相当する)のためのアプリケーションである。ファームアップデータに従った制御部90の処理により、外部システム900からアップデート情報が取得され、ファームウェアバージョンデータが示すバージョンと照合される。その結果、メインファームウェアのアップデートが可能かどうかが判定される。アップデートが可能と判定された場合には、タッチパネルディスプレイ80を通じたユーザ入力により、アップデートを実行する旨のユーザからの指示があったときに、メインファームウェアのアップデートの処理が制御部90によって実行される。このアップデートの処理において、外部システム900から最新のバージョンのメインファームウェアのプログラムデータが取得され、記憶部92のメインファームウェアのプログラムデータが取得されたデータに更新される。
【0018】
カウンタデータは、プリンタ1において、互換品のインクカートリッジが使用された累積回数を示すデータである。また、記憶部92は、プログラム実行時に必要なデータを一時的に記憶する。このデータには、PC等の外部装置から送信されたり記録媒体から読み出されたりした画像データが含まれる。
【0019】
ところで、本実施形態に係るインクカートリッジ2は、その提供元により適宜のタイミングで仕様変更がなされる。インクカートリッジ2の仕様変更には、ユーザへのポイント付与機能の追加といった比較的影響度の低いものや、インク貯留部21に収容されるインクの量の変更といった比較的影響度の高いもの等、様々な変更が含まれ得る。
【0020】
インクカートリッジ2の仕様変更にプリンタ1を対応させるために、メインファームウェアのバージョンアップにおいて、インクカートリッジ2の仕様変更に応じた機能の追加や改良がなされる。これに応じ、ユーザがプリンタ1のメインファームウェアのアップデートを実行すると、上記の通りファームアップデータの機能によりメインファームウェアが最新バージョンに更新される。これによって、プリンタ1がインクカートリッジ2の最新の仕様に対応できるようになる。しかしながら、ユーザがこのアップデートの実行を指示していない状態において、新規のインクカートリッジ2がプリンタ1に装着された際に、そのインクカートリッジ2の仕様にメインファームウェアが対応できないとすると、そのインクカートリッジ2についてどのような処理がなされるべきかという問題が生じる。
【0021】
そこで、本実施形態に係るプリンタシステム100は、対応できないインクカートリッジ2がプリンタ1に装着された場合に適切な処理を実行するように、以下のように構成されている。まず、インクカートリッジ2には記憶部22が設置されている。記憶部22(本発明の「カートリッジ側記憶部」に相当する)は、インクカートリッジ2がプリンタ1に装着された際に、プリンタ1側に設置された読み取り部によって読み取り可能なICチップからなる。記憶部22には、対応バージョンデータ及び指示データが格納されている。対応バージョンデータ(本発明の「カートリッジ側バージョンデータ」に相当する)は、当該インクカートリッジ2に対応可能なメインファームウェアのバージョンを示す。指示データは、プリンタ1のメインファームウェアのバージョンが対応バージョンデータが示すバージョンより古い場合に、プリンタ1において実行されるべき処理のパターン番号を示す。なお、記憶部22にはポイントデータが格納されている場合がある。ポイントデータはユーザへのポイント付与に用いられる。
【0022】
一方、制御部90は、プリンタ1のメインファームウェアに従って以下の処理を実行する。インクカートリッジ2が装着されると、制御部90は、記憶部22の対応バージョンデータ及び指示データを読み取り、読み取った対応バージョンデータが示すバージョンと、プリンタ1の記憶部92に格納されたファームウェアバージョンデータのバージョンとを照合する。その照合の結果、現時点のメインファームウェアのバージョンが、対応バージョンデータの示すバージョンより古いことが判明した場合には、制御部90は、下記パターン1~パターン3(本発明の「複数の処理」に相当する)のうち、読み取った指示データが示すパターン番号の処理を選択して実行する。
【0023】
パターン1は、装着されたインクカートリッジ2を、純正品としてでなく、非純正品の互換品として使用可能とする処理である。具体的な処理としては、インクカートリッジ2の装着時に、このような処理がなされる旨及びメインファームウェアのアップデートを促すメッセージがタッチパネルディスプレイ80に表示される。
図2(a)の「ファームウェアをアップデートするか、非純正品として使用してください。」は、このようなメッセージの一例である。また、記憶部92のカウンタデータが示す累積回数が1つ増加され、その後は、インクカートリッジ2が画像形成部70による画像形成に通常通り使用される。
【0024】
パターン2は、アップデートを促すメッセージが発せられるが、装着されたインクカートリッジ2を通常通りに使用可能とする処理である。具体的な処理としては、インクカートリッジ2の装着時に、メインファームウェアのアップデートをユーザに促すメッセージがタッチパネルディスプレイ80に表示される。
図2(b)の「ファームウェアのアップデートを前提としたカートリッジです。アップデートを推奨します。」は、このようなメッセージの一例である。その後は、インクカートリッジ2が画像形成部70による画像形成に通常通り使用される。パターン1と異なり、カウンタデータは更新されない。
【0025】
パターン3は、メインファームウェアのアップデートがなされるまで、装着されたインクカートリッジ2を使用不可能とする処理である。具体的な処理としては、インクカートリッジ2の装着時に、メインファームウェアのアップデートをユーザに強く促すメッセージがタッチパネルディスプレイ80に表示される。
図2(c)の「ファームウェアをアップデートしないと使用できません。」は、このようなメッセージの一例である。その後は、インクカートリッジ2の使用が禁止され、したがって、画像形成部70による画像形成が不可能となる。この状態は、メインファームウェアのアップデートが実行されるまで継続する。メインファームウェアのアップデートが実行されると、その後は、インクカートリッジ2が画像形成部70による画像形成に通常通り使用される。
【0026】
パターン1~3は、以上の通り、インクカートリッジ2の装着時にタッチパネルディスプレイ80に表示されるメッセージが互いに異なる。また、パターン1及び2は、いずれもインクカートリッジ2を使用可能とするが、前者は非純正品として使用可能とし、後者は純正品として使用可能とする。パターン3は、パターン1及び2とは異なり、インクカートリッジ2の使用を禁止する。つまり、パターン1~3は、インクカートリッジ2の利用態様が互いに異なる。
【0027】
パターン1~3を実行するプログラムデータは、いずれのバージョンのメインファームウェアにも含まれている。つまり、メインファームウェアがいずれのバージョンであっても、同じパターン番号のパターンについては同じ処理が実行される。
【0028】
その他、プリンタ1のメインファームウェアのバージョンがポイント付与機能に対応している場合、制御部90は、装着されたインクカートリッジ2の記憶部22に格納されたポイントデータを読み取り、読み取ったポイントデータを外部システム900に送信する。外部システム900は、事前にユーザ登録がなされていることを条件に、プリンタ1から受信したポイントデータに対応するポイントをそのユーザに付与する。
【0029】
【0030】
上記表1は、インクカートリッジ2において、仕様変更により世代が更新されていく状況と、各世代のインクカートリッジ2に対するメインファームウェアの対応状況等との関係の一例を示す。表1の「カートリッジの世代」はインクカートリッジ2の世代を示し、「仕様変更の概要」は仕様変更の主な内容を示す。仕様変更の概要のうち「ポイント対応1」「ポイント対応2」は、ポイント付与機能、すなわち、そのインクカートリッジ2の購入によりポイントが付与される機能に対応したことを意味する。「再生品認識」は、インクカートリッジ2が再生品であるか否かを判定可能な機能に対応したことを意味する。なお、本実施形態において「再生品」とは、使用済みのインクカートリッジ2にインクが再充填され、再利用可能となった純正品を意味する。「非再生品」とは、再充填ではなく最初のインクの充填がなされた純正品を意味する。「純正品」とは、インクカートリッジ2の提供元がプリンタ1の提供元と同じであるものを意味する。「非純正品」とは、インクカートリッジ2の提供元がプリンタ1の提供元と異なるもの(互換品等)を意味する。
【0031】
表1の「インク量変更」は、インクカートリッジ2のインク貯留部21に初期状態で収容されているインクの量が変更になったことを意味する。「再生/非再生」は、仕様変更が再生品及び非再生品のいずれに適用されるかを示す。例えば、第2世代の「ポイント対応1」の仕様変更は再生品及び非再生品の両方に関する仕様変更である。また、第5世代の「ポイント対応2」の仕様変更は非再生品のみに関する仕様変更である。つまり、ポイント対応1では、再生品及び非再生品の両方に対してポイントが付与されるのに対し、ポイント対応2では、非再生品のみに対してポイントが付与される。
【0032】
表1の「対応バージョン」は、対応可能なメインファームウェアのバージョンがいずれであるかを示す。バージョンは、A、B、C、D、E及びFの5つあり、この順序の先頭にあるものほど古いバージョンに相当する。バージョンAは初期バージョンである。バージョンBは、上記ポイント対応1の仕様変更に対応させたバージョンである。バージョンCは、上記再生品認識の仕様変更に対応させたバージョンである。バージョンDは、上記インク量変更の仕様変更に対応させたバージョンである。バージョンFは、上記ポイント対応2の仕様変更に対応させたバージョンである。表1の「パターン」は、メインファームウェアのバージョンが対応バージョンより古い場合に選択されるべき処理のパターン番号(1~3のいずれか)を示す。
【0033】
表1の「対応バージョン」及び「パターン」は、記憶部22に格納される対応バージョンデータ及び指示データが示す内容にそれぞれに相当する。例えば、第1世代の再生品及び非再生品であるインクカートリッジ2のいずれの記憶部22にも、対応バージョンデータとして「A」が、指示データとして「--」(有効な値がないことを示す)が格納されている。第1世代のインクカートリッジ2がプリンタ1に装着された場合には、プリンタ1のメインファームウェアのバージョンがいずれであっても、パターン1~3のいずれも実行されない。これは、第1世代のインクカートリッジ2には仕様変更がないためである。
【0034】
また、第2世代の再生品及び非再生品の純正品であるインクカートリッジ2のいずれの記憶部22にも、対応バージョンデータとして「B」が、指示データとして「2」が格納されている。したがって、第2世代のインクカートリッジ2がプリンタ1に装着された場合には、プリンタ1のメインファームウェアのバージョンがBより古い(つまり、Aである)ときにパターン2の処理が実行される。これは、メインファームウェアがポイント対応1の仕様変更に対応していなくても、インクカートリッジ2の純正品としての使用に問題が生じるおそれが低いためである。
【0035】
また、第3世代の再生品の純正品であるインクカートリッジ2の記憶部22には、対応バージョンデータとして「C」が、指示データとして「1」が格納されている。したがって、第3世代の再生品のインクカートリッジ2がプリンタ1に装着された場合には、プリンタ1のメインファームウェアのバージョンがCより古い(つまり、A又はBである)ときにパターン1の処理が実行される。これは、第3世代の仕様変更として再生品の純正品であるか否かを認識可能であるという仕様が採用されたからである。つまり、メインファームウェアがバージョンC以降である場合には、再生品の純正品であると正しく認識できる。したがって、その場合には、そのインクカートリッジ2を純正品として通常通り使用可能である。一方で、メインファームウェアがバージョンCより古い場合には、再生品の純正品であると正しく認識できない。このため、第3世代の再生品のインクカートリッジ2を純正品として使用できる保証がなく、非純正品(互換品)として使用することが適切だからである。
【0036】
また、第4世代の再生品であるインクカートリッジ2の記憶部22には、対応バージョンデータとして「D」が、指示データとして「3」が格納されている。したがって、第4世代の再生品のインクカートリッジ2がプリンタ1に装着された場合には、プリンタ1のメインファームウェアのバージョンがDより古い(つまり、A~Cのいずれかである)ときにパターン3の処理が実行される。これは、プリンタ1にそのインクカートリッジ2が装着された際に、メインファームウェアがこの仕様変更に対応していないバージョンであるために、例えば初期のインク量が非再生品におけるインク量と異なることにより、インクカートリッジ2に関する想定外の処理がなされるといった重大な影響がもたらされるおそれがある。このため、第4世代の仕様変更に対しては、メインファームウェアがこれに対応していない場合に、そのアップデートを実行するまでインクカートリッジ2の使用を禁止することが適切だからである。
【0037】
また、第5世代の非再生品であるインクカートリッジ2の記憶部22には、対応バージョンデータとして「F」が、指示データとして「2」が格納されている。したがって、第5世代の非再生品のインクカートリッジ2がプリンタ1に装着された場合には、プリンタ1のメインファームウェアのバージョンがFより古い(つまり、A~Eのいずれかである)ときにパターン2の処理が実行される。これは、メインファームウェアがポイント対応2の仕様変更に対応していなくても、インクカートリッジ2の純正品としての使用に問題が生じるおそれが低いためである。
【0038】
以下、インクカートリッジ2がプリンタ1に装着された際に制御部90が実行する処理の流れの一例について
図3を参照しつつ説明する。
【0039】
まず、S1において、制御部90は、装着されたインクカートリッジ2の記憶部22から対応バージョンデータを読み出す。次に、制御部90は、S1で読み出した対応バージョンデータが示すバージョンと、制御部90の記憶部92に格納されたファームウェアバージョンデータが示すメインファームウェアのバージョンとを照合する。そして、制御部90は、メインファームウェアのバージョンが、対応バージョン以降であるか否かを判定し(S2)、対応バージョン以降であると判定すると(S2、Yes)、一連の処理を終了する。つまり、カウンタデータが更新されることなく、インクカートリッジ2が通常通り使用可能となる。
【0040】
一方、S2において、メインファームウェアのバージョンが対応バージョンより古いと判定すると(S2、No)、制御部90は、インクカートリッジ2の記憶部22から指示データを読み出す(S3)。次に、制御部90は、パターン1~3の処理のうち、S3で読み出した指示データが示すパターン番号の処理を実行する(S4)。そして、制御部90は、一連の処理を終了する。
【0041】
以上説明した本実施形態によると、対応可能なメインファームウェアのバージョンを示す対応バージョンデータがインクカートリッジ2に格納されている。そして、その対応バージョンデータとプリンタ1側の記憶部92のファームウェアバージョンデータとの照合の結果、メインファームウェアのバージョンが対応可能バージョンより古い場合に制御部90が処理を選択する。よって、メインファームウェアのバージョンがそのインクカートリッジ2に対応可能であるかどうかが適切に判定された上で処理が選択される。
【0042】
また、メインファームウェアのバージョンがそのインクカートリッジ2に対応可能でない場合には、インクカートリッジ2の記憶部22に記憶された指示データが示すパターン番号の処理がパターン1~3の処理から選択される。パターン1~3は、上記の通り、インクカートリッジ2の装着時にタッチパネルディスプレイ80に表示されるメッセージが互いに異なると共に、インクカートリッジ2の利用態様が互いに異なる処理である。このため、インクカートリッジ2の仕様変更の内容に適切に応じた処理の選択が可能である。
【0043】
また、本実施形態によると、選択の対象となるパターン1~3の処理に、インクカートリッジ2の使用を可能とする処理(パターン1及び2)と使用を不可とする処理(パターン3)とが含まれている。このため、メインファームウェアのバージョンがインクカートリッジ2に対応していなくても、状況によっては、インクカートリッジ2の使用を不可にしたほうがよいとき(例えば、表1の第4世代)と、インクカートリッジ2の仕様変更に非対応のままの使用を許容できるとき(例えば、表1の第2世代、第3世代及び第5世代)との両方があり得る場合に、適切な処理が選択可能である。
【0044】
また、本実施形態によると、選択の対象となるパターン1~3の処理に、インクカートリッジ2の純正品としての使用を可能とする処理(パターン2)と非純正品としての使用を可能とする処理(パターン1)とが含まれている。このため、メインファームウェアのバージョンがインクカートリッジ2に対応していないことから、インクカートリッジ2の使用自体は許容されるが、純正品か非純正品かをプリンタ1が正しく判定できないことが想定される場合(例えば、メインファームウェアのバージョンが第3世代に対応していない場合)に、適切な処理が選択可能である。
【0045】
[第2の実施形態]
本発明の別の一実施形態である第2の実施形態に係るプリンタシステム100’について説明する。プリンタシステム100’は、第1の実施形態に係るプリンタシステム100と多くの構成を共通に有している。このため、以下においては、プリンタシステム100と異なる構成について主に説明する。また、プリンタシステム100と共通の構成について同じ符号を用いると共に、その説明を適宜省略する。
【0046】
プリンタシステム100’においてプリンタシステム100と異なるのは、インクカートリッジ2、プリンタ1及び制御部90の代わりにインクカートリッジ2’、プリンタ1’及び制御部90’が用いられていることである。インクカートリッジ2’は、
図4に示すように記憶部22’を有している。記憶部22’には、対応バージョンデータ(1)及び(2)からなる2つの対応バージョンデータを記憶可能な記録領域(本発明の「第1の記憶領域」に相当する)と、指示データ(1)及び(2)からなる2つの指示データを記憶可能な記憶領域(本発明の「第2の記憶領域」に相当する)とが確保されている。対応バージョンデータ(1)及び(2)(本発明の「第1のカートリッジ側バージョンデータ」「第2のカートリッジ側バージョンデータ」に相当する)は、いずれも、第1の実施形態に係る対応バージョンデータと同様、インクカートリッジ2’に対応可能なメインファームウェアのバージョンを示す。指示データ(1)及び(2)(本発明の「第1の指示データ」「第2の指示データ」に相当する)は、いずれも、第1の実施形態に係る指示データと同様、メインファームウェアのバージョンが対応可能でない場合に選択されるべきパターン番号を示す。対応バージョンデータ(2)及び指示データ(2)は、それぞれ、有効な値を有している場合と有していない場合がある。本実施形態では、対応バージョンデータ(2)及び指示データ(2)の一方が有効な値を有している場合には他方も有しており、一方が有効な値を有していない場合には他方も有していない。
【0047】
制御部90’は、インクカートリッジ2’がプリンタ1’に装着された際に、まず、記憶部22’から対応バージョンデータ(1)を読み出す。そして、対応バージョンデータ(1)とプリンタ1’側のファームウェアバージョンデータとを照合し、対応バージョンデータ(1)が示すバージョンよりメインファームウェアのバージョンが古いと判定すると、記憶部22’から指示データ(1)を読み出すと共にその指示データ(1)が示すパターン番号の処理を実行する。
【0048】
一方、メインファームウェアのバージョンが、対応バージョンデータ(1)が示すバージョン以降であると判定した場合、制御部90’は、対応バージョンデータ(2)を記憶部22’から読み出す。そして、制御部90’は、対応バージョンデータ(2)がある、つまり、対応バージョンデータ(2)が対応バージョンの値を有している場合には、対応バージョンデータ(2)とプリンタ1’側のファームウェアバージョンデータとを照合し、対応バージョンデータ(2)が示すバージョンよりメインファームウェアのバージョンが古いと判定すると、記憶部22’から指示データ(2)を読み出すと共にその指示データ(2)が示すパターン番号の処理を選択して実行する。対応バージョンデータ(2)があるときに以上のようにパターン1~3のいずれかが選択される処理が、本発明の「第1の選択処理」に相当する。
【0049】
制御部90’は、対応バージョンデータ(2)がない、つまり、対応バージョンデータ(2)が有効な値を有していない場合には、パターン1~3のいずれも実行せず、そのインクカートリッジ2’を通常通り使用可能とする。つまり、対応バージョンデータ(2)がない場合には、対応バージョンデータ(1)の内容のみに基づいてパターン1~3のいずれかが選択される。この選択処理は、本発明の「第2の選択処理」に相当する。
【0050】
【0051】
上記表2は、インクカートリッジ2’において、仕様変更により世代が更新されていく状況と、各世代のインクカートリッジ2’に対するメインファームウェアの対応状況等との関係の別の一例を示す。表2の第6世代は、再生品に対するポイント付与機能の追加であるポイント対応3の仕様変更が適用されたインクカートリッジ2’に相当する。この仕様変更に対しては、バージョンFの次のバージョンであるバージョンGにおいて対応がなされている。
【0052】
表2は、インクカートリッジ2’の第1~第6世代について、仕様変更の概要、再生/非再生、対応バージョン(1)、パターン(1)、対応バージョン(2)及びパターン(2)の項目を含んでいる。対応バージョン(1)、パターン(1)、対応バージョン(2)及びパターン(2)は、対応バージョンデータ(1)、指示データ(1)、対応バージョンデータ(2)及び指示データ(2)にそれぞれ対応する。
【0053】
表2中、第1世代~第5世代における仕様変更の概要及び再生/非再生の内容は表1と同様である。第1世代~第5世代における対応バージョン(2)及びパターン(2)の内容は表1の対応バージョン及びパターンと同様である。第1世代~第5世代における対応バージョン(2)及びパターン(2)は「--」(有効な値がないことに相当する)である。これにより、制御部90’は、第1世代~第5世代のインクカートリッジ2’がプリンタ1’に装着された際に、メインファームウェアのバージョンが、対応バージョンデータ(1)が示すバージョン以降である場合に、対応バージョンデータ(2)の内容が「--」であることに応じ、パターン1~3のいずれも実行せず、そのインクカートリッジ2’を通常通り使用可能とする。
【0054】
表2において、第6世代の仕様変更の概要及び再生/非再生の内容は「ポイント対応3」及び「再生」であり、再生品に対してポイントが付与される仕様変更に相当する。この場合、メインファームウェアのバージョンがDより古いとき、D~Fのとき、及びFの次のバージョンであるG以降のときのいずれであるかによって選択すべき処理を異なったものとする必要がある。これに応じ、表2では、第6世代の対応バージョン(1)のDについてパターン(1)が3となっているのに対し、第6世代の対応バージョン(2)のGについてパターン(2)が2となっている。すなわち、第6世代のインクカートリッジ2’がプリンタ1’に装着された際に、制御部90’は、メインファームウェアのバージョンがDより古いときにはパターン3(
図2(c)のメッセージ表示且つインクカートリッジ2’の使用禁止)を実行する。また、制御部90’は、メインファームウェアのバージョンがD~Fのいずれかであるときにはパターン2(
図2(b)のメッセージ表示且つインクカートリッジ2’の純正品としての使用許可)を実行する。メインファームウェアのバージョンがG以降であるときには、制御部90’は、パターン1~3のいずれも実行せず、インクカートリッジ2’を通常通り使用可能とする。
【0055】
本実施形態によると、インクカートリッジ2’の複数回の仕様変更の中で、メインファームウェアのバージョンが過去のある仕様変更に対応していないときと、メインファームウェアのバージョンがその後の別の仕様変更に対応していないときとで異なる処理を選択したほうがよい状況に適切に対応可能である。例えば、上記表2に示すように、重大な仕様変更がなされた第4世代の後に、それより軽度の仕様変更がなされた第6世代が適用されたケースが、そのような状況に該当する。
【0056】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
例えば、上述の実施形態では、メインファームウェアのバージョンがインクカートリッジ2に対応していない場合に選択対象となるパターン1~3の処理が、タッチパネルディスプレイ80への表示内容及びインクカートリッジ2の利用態様のいずれについても互いに異なる処理である。これに対し、アップデートの動作内容(本発明の「バージョンアップ動作の内容」に相当する)が互いに異なる複数の処理が選択対象となってもよい。例えば、選択対象となる複数の処理の1つは、インクカートリッジ2が装着された際に、メインファームウェアのバージョンがインクカートリッジ2に対応していないと判定されると、自動的に外部システム900から最新バージョンのメインファームウェアを取得して記憶部92の内容を更新する処理であってもよい。また、選択対象となる複数の処理の別の1つは、ユーザに対してアップデートを行ってよいかどうかを問い合わせるメッセージをタッチパネルディスプレイ80に表示させ、これに対して許容するユーザ入力があった場合に上記のようなアップデートを行う処理であってもよい。選択対象となる複数の処理のさらに別の1つは、メッセージの表示のみを行う処理であってもよい。
【0058】
また、上述の実施形態において、選択対象となるパターン1~3は、タッチパネルディスプレイ80への表示内容、インクカートリッジ2の利用態様及びアップデートの動作内容という3つの項目のうち、前2つの項目について互いに異なる処理である。これに対し、選択対象となる複数の処理は、上記3つの項目の少なくともいずれかが互いに異なる処理であればよい。例えば、複数の処理における任意の2つの処理が、上記3つの項目のいずれか1つについて互いに異なっていてもよいし、上記3つの項目のいずれか2つについて互いに異なっていてもよいし、上記3つの項目の全てについて互いに異なっていてもよい。
【0059】
加えて、上述の各実施形態においては、印刷用紙にインクを付着させるプリンタに対して本発明を適用する場合について説明した。本発明は、ヘッドからインクを吐出するインクジェット式のその他の画像形成装置、例えば、複合機やコピー機などに適用されてもよい。また、インクジェット方式でインクを印刷用紙に付着させる代わりに、トナー(本発明の「着色剤」に相当する)を印刷用紙に付着させることで画像記録処理を実行するレーザー式の画像形成装置に適用されてもよい。この場合、画像形成装置にはトナーを収容するトナーカートリッジ(本発明の「カートリッジ」に相当する)が着脱可能に装着される。
【符号の説明】
【0060】
1、1’ プリンタ
2、2’ インクカートリッジ
22、22’ 記憶部
70 画像形成部
80 タッチパネルディスプレイ
90、90’ 制御部
92 記憶部
100 プリンタシステム