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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006578
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電動制動装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/74 20060101AFI20240110BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20240110BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20240110BHJP
   F16D 131/02 20120101ALN20240110BHJP
   F16D 121/24 20120101ALN20240110BHJP
   F16D 125/48 20120101ALN20240110BHJP
【FI】
B60T13/74 G
F16D65/18
F16H1/06
F16D131:02
F16D121:24
F16D125:48
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107613
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】北原 康利
(72)【発明者】
【氏名】杉本 成
(72)【発明者】
【氏名】平田 聡
【テーマコード(参考)】
3D048
3J009
3J058
【Fターム(参考)】
3D048BB59
3D048CC49
3D048HH18
3D048HH58
3D048HH68
3J009DA17
3J009EA05
3J009EA11
3J009EA43
3J009FA03
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA63
3J058AA69
3J058AA78
3J058AA87
3J058BA67
3J058CC15
3J058FA06
(57)【要約】
【課題】電動制動装置に関して、回路部の配置を改善する。
【解決手段】電動制動装置10は、モータ軸部材13の回転を入力する入力ギヤ31と、入力ギヤ31の回転に応じて回転することができるように構成されているものでありアクチュエータ部に回転を伝達する出力ギヤ33と、を有する伝達機構30を備えている。電動制動装置10は、回路基板61と、回路基板61に実装されている実装部品62,63と、によって構成されている回路部60を備えている。電動制動装置10では、回路基板61に平行な仮想平面とモータ軸部材13の軸方向とが交差するように、回路基板61と電気モータ12とが配置されている。電動制動装置10では、出力ギヤは、回路基板61に平行な仮想平面のうち回路部60を通過する平面である特定平面P2と交わるように配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸部材を回転させる電気モータと、
前記電気モータにおける前記モータ軸部材の回転に応じて摩擦材を移動させることができ、車両の車輪と一体に回転する回転体に前記摩擦材を押圧することによって前記車輪に制動力を発生させるアクチュエータ部と、
前記モータ軸部材の回転運動を前記アクチュエータ部に伝達する伝達機構であって、前記モータ軸部材の回転を入力する入力ギヤと、該入力ギヤの回転に応じて回転することができるように構成され前記アクチュエータ部に回転を伝達する出力ギヤと、を有する伝達機構と、
前記電気モータを制御する回路部であって、回路基板と、該回路基板に実装されている実装部品と、を有して構成されている回路部と、を備える電動制動装置であって、
前記回路基板に平行な仮想平面と前記モータ軸部材の軸方向とが交差するように、前記回路基板と前記電気モータとが配置されているものであり、
前記出力ギヤは、前記仮想平面のうち前記回路部を通過する平面である特定平面と交わるように配置されている
電動制動装置。
【請求項2】
前記出力ギヤの軸部材の軸方向に直交する前記出力ギヤの面が前記回路基板と平行になるように、前記出力ギヤと前記回路基板とが配置されている
請求項1に記載の電動制動装置。
【請求項3】
前記特定平面は、前記回路部のうち前記実装部品を通過するものであり、
前記回路基板に対して前記モータ軸部材の軸方向にずれた位置に前記出力ギヤが配置されている
請求項2に記載の電動制動装置。
【請求項4】
前記回路基板は、前記出力ギヤに向かい合うように配置される
請求項3に記載の電動制動装置。
【請求項5】
前記特定平面は、前記回路部のうち前記回路基板を通過するものである
請求項2に記載の電動制動装置。
【請求項6】
前記回路基板に対して前記モータ軸部材の軸方向にずれた位置に前記入力ギヤが配置され、前記回路基板は前記入力ギヤに向かい合うように配置される
請求項2~5のいずれか一項に記載の電動制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気モータと、回転体に摩擦材を押し付けるピストンと、電気モータの回転を変換してピストンを直線運動させる直動変換機構と、を備えている電動制動装置が開示されている。電動制動装置は、ハウジングの外に取り付けられているECUカバーと、ハウジングとECUカバーとの間に収容されているECU基板とによって構成されているECUを備えている。ECUは、電気モータの回転軸に沿って延びる軸線と直交する位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0004895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているようにECUがハウジングの外に取り付けられている電動制動装置では、電気モータの回転軸に沿って延びる方向においてECUカバーの分だけ電動制動装置が大きくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための電動制動装置は、モータ軸部材を回転させる電気モータと、前記電気モータにおける前記モータ軸部材の回転に応じて摩擦材を移動させることができ、車両の車輪と一体に回転する回転体に前記摩擦材を押圧することによって前記車輪に制動力を発生させるアクチュエータ部と、前記モータ軸部材の回転運動を前記アクチュエータ部に伝達する伝達機構であって、前記モータ軸部材の回転を入力する入力ギヤと、該入力ギヤの回転に応じて回転することができるように構成され前記アクチュエータ部に回転を伝達する出力ギヤと、を有する伝達機構と、前記電気モータを制御する回路部であって、回路基板と、該回路基板に実装されている実装部品と、を有して構成されている回路部と、を備える電動制動装置であって、前記回路基板に平行な仮想平面と前記モータ軸部材の軸方向とが交差するように、前記回路基板と前記電気モータとが配置されているものであり、前記出力ギヤは、前記仮想平面のうち前記回路部を通過する平面である特定平面と交わるように配置されていることをその要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、回路基板に平行な仮想平面のうち回路部を通過する特定平面と交わるように出力ギヤを配置していることで、仮想平面に交差するモータ軸部材の軸方向に出力ギヤと回路部とが重なる。この重なりによって、モータ軸部材の軸方向における電動制動装置の大きさが大きくなりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、電動制動装置の一実施形態を示す一部断面図である。
図2図2は、同電動制動装置を示す模式図である。
図3図3は、変更例の電動制動装置を示す模式図である。
図4図4は、別の変更例の電動制動装置を示す模式図である。
図5図5は、他の変更例の電動制動装置を示す模式図である。
図6図6は、さらに他の変更例の電動制動装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、電動制動装置の一実施形態である電動制動装置10について、図1図2を参照して説明する。
<電動制動装置>
電動制動装置10は、モータ軸部材13を回転させる電気モータ12を備えている。電動制動装置10は、電気モータ12におけるモータ軸部材13の回転に応じて摩擦材22を移動させることができ、車両の車輪と一体に回転する回転体21に摩擦材22を押圧することによって車輪に制動力を発生させるアクチュエータ部20を備えている。電動制動装置10は、モータ軸部材13の回転運動をアクチュエータ部20に伝達する伝達機構30を備えている。伝達機構30は、モータ軸部材13の回転を入力する入力ギヤ31と、入力ギヤ31の回転に応じて回転することができるように構成されているものでありアクチュエータ部20に回転を伝達する出力ギヤ33と、を有する。電動制動装置10は、電気モータ12を制御する回路部60であって、回路基板61と、回路基板61に実装されている実装部品と、を有して構成されている回路部を備えている。
【0009】
電動制動装置10では、回路基板61に平行な仮想平面とモータ軸部材13の軸方向とが交差するように、回路基板61と電気モータ12とが配置されている。電動制動装置10では、出力ギヤは、回路基板61に平行な仮想平面のうち回路部60を通過する平面である特定平面P2と交わるように配置されている。
【0010】
図1は、電動制動装置10を示している。電動制動装置10は、ハウジング11を備えている。電動制動装置10は、アクチュエータ部20を備えている。
アクチュエータ部20は、車両の車輪と一体回転する回転体21に押し付けることのできる摩擦材22を備えている。回転体21は、たとえば、ブレーキディスクである。アクチュエータ部20は、摩擦材22を回転体21に押し付ける力が大きいほど大きな制動力を発生させることができる。
【0011】
電動制動装置10は、電気モータ12を備えている。図1には、電気モータ12のモータ軸部材13における軸心に沿った線を回転軸C1として表示している。回転軸C1が延びる方向は、モータ軸部材13の軸方向と一致している。すなわち、モータ軸部材13の軸方向とは、モータ軸部材13の軸心(axis)に沿って延びる両方向を意味する。
【0012】
アクチュエータ部20は、電気モータ12の回転運動を直線運動に変換する変換機構40を備えている。変換機構40は、たとえば、ねじ軸とナットとによって構成されている送りねじである。アクチュエータ部20は、回転体21に向かう端部に摩擦材22が取り付けられているピストン41を備えている。アクチュエータ部20は、電気モータ12の回転運動を変換機構40によって変換した直線運動によってピストン41、すなわち摩擦材22を移動させることができる。直線運動によってピストン41が移動される方向のうち一方は、ピストン41に取り付けられている摩擦材22を回転体21に近づける方向である。直線運動によってピストン41が移動される方向のうち他方は、ピストン41に取り付けられている摩擦材22を回転体21から離す方向である。
【0013】
アクチュエータ部20は、電気モータ12の回転運動を変換機構40に伝達する伝達機構30を備えている。伝達機構30は、減速機構を備えていてもよい。伝達機構30の一例を説明する。
【0014】
図1に示すように、伝達機構30は、ギヤ等の組み合わせによって構成されている。伝達機構30は、入力ギヤ31を備えている。入力ギヤ31は、モータ軸部材13に取り付けられている。伝達機構30は、出力ギヤ33を備えている。伝達機構30は、出力軸部材39を備えている。出力ギヤ33は、出力軸部材39に取り付けられている。
【0015】
伝達機構30は、中間ギヤ32を備えていてもよい。伝達機構30は、中間ギヤ32が取り付けられている中間軸部材38を備えていてもよい。たとえば、中間ギヤ32は、入力ギヤ31と咬み合うことのできる第1ギヤ部32aと、出力ギヤ33と咬み合うことのできる第2ギヤ部32bと、を備えている。中間ギヤ32では、第1ギヤ部32aと第2ギヤ部32bとが一体に回転する。中間ギヤ32の一例では、図1に示すように第1ギヤ部32aと第2ギヤ部32bとが一体に成形されている。たとえば、伝達機構30は、入力ギヤ31と咬み合うことのできる第1ギヤ部32aに相当する第1中間ギヤと、出力ギヤ33と咬み合うことのできる第2ギヤ部32bに相当する第2中間ギヤと、を備えていてもよい。複数の中間ギヤは、中間軸部材38に取り付けられているとよい。
【0016】
伝達機構30では、入力ギヤ31にはモータ軸部材13の回転が入力される。出力ギヤ33は、入力ギヤ31の回転に応じて回転することができる。出力ギヤ33は、出力軸部材39を介してアクチュエータ部20に回転を伝達する。より具体的には、入力ギヤ31と中間ギヤ32の第1ギヤ部32aとが咬み合うことで電気モータ12の回転運動をモータ軸部材13から中間軸部材38に伝達することができる。中間ギヤ32の第2ギヤ部32bと出力ギヤ33とが咬み合うことで電気モータ12の回転運動を中間軸部材38から出力軸部材39に伝達することができる。出力軸部材39は、変換機構40に連結されている。出力ギヤ33が出力軸部材39を回転させることによって変換機構40に回転運動が伝達される。図1には、出力軸部材39における軸心に沿った線を出力軸C2として表示している。
【0017】
なお、図1には、一つの中間ギヤ32を例示しているが、伝達機構30としては、入力ギヤ31から出力ギヤ33までの間に、回転運動の伝達に寄与する複数のギヤが介在していてもよい。
【0018】
図1に示すように、電動制動装置10は、制動力維持機構50を備えていてもよい。制動力維持機構50は、アクチュエータ部20によって付与されている制動力を維持することができる。たとえば、制動力維持機構50は、ラチェット機構として機能する。
【0019】
制動力維持機構50の一例を説明する。制動力維持機構50は、モータ軸部材13に取り付けられているラチェット歯車51を備えている。たとえば、ラチェット歯車51は、入力ギヤ31と一体に成形されている。他の例としてラチェット歯車51は、入力ギヤ31とは別体としてモータ軸部材13に取り付けられていてもよい。制動力維持機構50は、係合部52およびアクチュエータ53を備えている。係合部52は、ラチェット歯車51の歯に咬み合う爪形状を有している。アクチュエータ53は、係合部52をラチェット歯車51に咬み合わせることができる。制動力維持機構50は、係合部52をラチェット歯車51に咬み合わせることでラチェット歯車51を回り止めすることができる。制動力維持機構50は、ラチェット歯車51を回り止めすることによって、制動力を維持させることができる。制動力維持機構50は、係合部52とラチェット歯車51との咬み合いを解消させることによって制動力の維持を解除することができる。
【0020】
電動制動装置10は、回路部60を備えている。回路部60は、電気モータ12の回転運動を制御する処理回路を有している。回路部60は、回路基板61と、回路基板61に実装されている実装部品とを備えている。たとえば、回路部60は、ハウジング11内に収容されている。図1には、モータ軸部材13における軸心に沿った線である回転軸C1と、回路部60とが交差するように、回路部60が取り付けられている例を示している。より具体的には、回転軸C1と、回路基板61とが直交するように、回路部60が配置されている。
【0021】
電動制動装置10は、回路部60からの放熱のための熱伝導部材を備えていてもよい。たとえば、熱伝導部材は、回路基板61とハウジング11との間に介在するように回路部60およびハウジング11に接触した状態で取り付けることができる。
【0022】
<回路部>
図1には、回路部60が備える実装部品として、小型実装部品62を示している。小型実装部品62は、回路基板61における表面からの高さが低い部品である。図1に示すように、回路部60は、実装部品として大型実装部品63を備えていてもよい。大型実装部品63は、回路基板61における表面からの高さが相対的に高い部品である。
【0023】
回路部60が備える実装部品は、回路基板61における一方の面と他方の面とのどちらの面に実装されていてもよい。図1には、回路基板61のうち電気モータ12を向いている方の面に小型実装部品62および大型実装部品63が実装されている例を示している。
【0024】
大型実装部品63としては、たとえば、コネクタ、ヒートシンク、コンデンサ等が挙げられる。コネクタの具体例としては、ヘッダ、ソケット、プラグ等がある。
小型実装部品62は、たとえば、モータ軸部材13の回転角を検出するための回転角センサにおけるセンサ部である。図1には、回転角センサを構成する被検出部であるマグネット14がモータ軸部材13に取り付けられている例を示している。この場合に小型実装部品62は、図1に示すようにマグネット14と向かい合う位置に配置されている。その他、小型実装部品62としては、たとえば、チップ抵抗器、表面実装される集積回路等が挙げられる。
【0025】
<伝達機構>
電動制動装置10が備える伝達機構30をより詳細に説明する。
図1に示すように、入力ギヤ31、中間ギヤ32および出力ギヤ33は、円筒歯車である。モータ軸部材13、中間軸部材38および出力軸部材39は、モータ軸部材13の軸心と中間軸部材38の軸心と出力軸部材39の軸心とが平行になるように配置されている。
【0026】
図1に示すように、中間ギヤ32は、中間軸部材38の軸方向において第2ギヤ部32bが第1ギヤ部32aよりも電気モータ12から離れた位置にあるように取り付けられている。すなわち、出力ギヤ33は、モータ軸部材13の軸方向において、入力ギヤ31よりも電気モータ12から離れた位置に取り付けられている。言い換えれば、モータ軸部材13の軸方向において電気モータ12から近い順に入力ギヤ31と出力ギヤ33とが並ぶように伝達機構30が備える各ギヤが咬み合って配置されている。
【0027】
図1に示すように、モータ軸部材13の軸方向において、入力ギヤ31に対して電気モータ12とは反対側の方向に、回路部60を収容するためにハウジング11内に区画されている収容部19が設けられている。出力ギヤ33に対して変換機構40から電気モータ12に近づく方向に、ハウジング11内に区画されている収容部19が設けられている。
【0028】
<回路部の配置>
図1および図2を用いて、回路部60、伝達機構30および電気モータ12の位置関係について詳細に説明する。図2は、電動制動装置10を模式的に示している。図2では、伝達機構30については、入力ギヤ31および出力ギヤ33を除く構成の図示を省略している。
【0029】
図2には、仮想平面P1を表す二点鎖線を表示している。仮想平面P1は、回路基板61に平行な仮想平面であり且つモータ軸部材13と交差する仮想平面である。すなわち、図2では、回路基板61に平行な仮想平面のうちモータ軸部材13と交差する一つの平面を仮想平面P1として例示している。
【0030】
図2には、特定平面P2を表す二点鎖線を表示している。特定平面P2は、回路基板61に平行な仮想平面であり且つ回路部60を通過する仮想平面である。たとえば、特定平面P2は、回路部60のうち回路基板61を通過することなく実装部品を通過する仮想平面である。特定平面P2の一例は、回路部60のうち大型実装部品63を通過する仮想平面である。特定平面P2としては、回路部60のうち小型実装部品62を通過する仮想平面でもよい。
【0031】
回路部60と出力ギヤ33との位置関係について説明する。
電動制動装置10では、出力ギヤ33は、特定平面P2と交わるように配置されている。言い換えれば、特定平面P2に実装部品と出力ギヤ33とが配置されている。たとえば、出力ギヤ33は、出力ギヤ33のうち出力軸部材39の軸心に直交する面が回路基板61と平行になるように配置されている。この場合には、図2に示すように、出力軸C2は、特定平面P2と直交する。また、この場合には、出力ギヤ33のうち出力軸部材39の軸心に直交する面が特定平面P2上にあるように出力ギヤ33を配置することができる。
【0032】
なお、出力ギヤ33は、出力軸C2が延びる方向において、回路部60とは向かい合っていない。すなわち、電動制動装置10が備える回路基板61の大きさは、出力軸C2が延びる方向において、回路基板61と出力ギヤ33とが向かい合うことのない大きさである。
【0033】
出力ギヤ33は、モータ軸部材13の軸方向のうち入力ギヤ31から回路部60に向かう方向において、回路基板61よりも電気モータ12から離れた位置に突出していないことが好ましい。
【0034】
回路部60と入力ギヤ31との位置関係について説明する。
電動制動装置10では、回路基板61に対してモータ軸部材13の軸方向にずれた位置に入力ギヤ31が配置されている。たとえば、モータ軸部材13の軸方向において、電気モータ12、入力ギヤ31、回路基板61が順に並んでいる。入力ギヤ31は、回転軸C1が延びる方向において、回路部60と向かい合っている。
【0035】
入力ギヤ31は、回路基板61に実装されている実装部品と向かい合っていてもよい。図1および図2に示す例では、回路基板61に実装されている小型実装部品62と入力ギヤ31とがモータ軸部材13の軸方向において向かい合っている。入力ギヤ31は、回路基板61と向かい合っていてもよい。
【0036】
なお、入力ギヤ31は、図1および図2に示すように、回路基板61に実装されている大型実装部品63とはモータ軸部材13の軸方向において向かい合っていないことが好ましい。言い換えれば、大型実装部品63は、回転軸C1とは交差しない位置に配置されていることが好ましい。
【0037】
電動制動装置10では、大型実装部品63に関して回路基板61における表面からの高さを変更した場合でも、以下のように大型実装部品63を配置することができる。すなわち、大型実装部品63の大きさを変更した場合でも大型実装部品63を配置することができる。
【0038】
大型実装部品63に関して、大型実装部品63のうち回路基板61から最も離れている端部は、回転軸C1上における点を通過して且つ回転軸C1と直交する平面と同一平面上にあるといえる。回転軸C1上における上記点は、たとえば、入力ギヤ31と回路基板61との間における点である。回転軸C1上における上記点は、入力ギヤ31と回路基板61との間で入力ギヤ31に近い位置における点でもよいし、入力ギヤ31と回路基板61との間で回路基板61に近い位置における一点でもよい。回転軸C1上における上記点は、たとえば、入力ギヤ31内の点でもよい。換言すれば、回転軸C1と直交する方向において、大型実装部品63と入力ギヤ31とが向かい合っていてもよい。回転軸C1上における上記点は、たとえば、モータ軸部材13内の点でもよい。換言すれば、回転軸C1と直交する方向において、大型実装部品63とモータ軸部材13とが向かい合っていてもよい。回転軸C1上における上記点は、たとえば、電気モータ12内の点でもよい。換言すれば、回転軸C1と直交する方向において、大型実装部品63と電気モータ12とが向かい合っていてもよい。
【0039】
<作用および効果>
本実施形態の作用および効果について説明する。
電動制動装置10では、特定平面P2と交わるように出力ギヤ33を配置していることで、回路基板61に平行な仮想平面に対して垂直方向である回転軸C1の方向において回路部60と出力ギヤ33とが重なる。この重なりによって、モータ軸部材13の軸方向における電動制動装置10の大きさが大きくなりにくい。特定平面P2と交わるように出力ギヤ33を配置していることで、たとえば、回路基板61の表面に対する垂直方向において、回路部60と出力ギヤ33とが離れた位置に配置されにくい。このため、回路基板61の表面に対する垂直方向において、回路部60が、電気モータ12から離れた位置に配置されにくい。これによって、モータ軸部材13の軸方向における電動制動装置10の大きさが大きくなりにくい。
【0040】
電動制動装置10では、回路部60をハウジング11内に収容することができる。これによって、ハウジング11とは別体のケース等に実装部品を有する回路基板61を収容したものをハウジング11の外に取り付ける場合と比較して、モータ軸部材13の軸方向に電動制動装置10が大きくなりにくい。
【0041】
電動制動装置10では、回路基板61のうち電気モータ12を向く方の面に配置した大型実装部品63と、入力ギヤ31と、が向かい合わないようにしている。これによって、モータ軸部材13の軸方向における電動制動装置10の大きさが大きくなることを軽減しつつ、大型実装部品63を配置することができる。
【0042】
電動制動装置10では、回路基板61に対してモータ軸部材13の軸方向にずれた位置に入力ギヤ31が配置されている。モータ軸部材13の軸方向において回路部60と入力ギヤ31とが向かい合っているため、回路基板61の表面が広がる方向には入力ギヤ31を配置していない。これによって、回路基板61の表面が広がる方向において電動制動装置10が大きくなることを抑制できる。回路基板61の表面が広がる方向とは、回転軸C1の延びる方向と直交する方向に対応する。
【0043】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0044】
・上記実施形態では、モータ軸部材13の軸方向において、電気モータ12、入力ギヤ31、回路基板61が順に並ぶようにした構成を例示した。電気モータ12、入力ギヤ31および回路基板61の位置関係は、これに限らない。たとえば、図3に示すような構成でもよい。
【0045】
図3は、電動制動装置110を示す。電動制動装置110は、モータ軸部材113の軸心に沿った線である回転軸C11が延びる方向において、入力ギヤ131、電気モータ112、回路基板161が順に並ぶよう構成している。図3には、回路基板161に実装されている小型実装部品162と大型実装部品163とを例示している。
【0046】
こうした電動制動装置110においても、回路基板161に平行な仮想平面と回転軸C11とが交差するように、回路基板161と電気モータ112とが配置されている。図3には、回路基板161に平行な仮想平面のうちモータ軸部材113と交差する仮想平面P11を図示している。
【0047】
電動制動装置110においても、回路基板161に平行な仮想平面であり且つ回路部160を通過する仮想平面である特定平面P12と交わるように出力ギヤ133を配置することができる。
【0048】
たとえば、図3には、特定平面P12と交わるように配置している出力ギヤ133を例示している。出力ギヤ133における出力軸部材の軸心と直交する面は、回路基板161と平行に配置されている。出力軸部材の軸心に沿った線である出力軸C12は、特定平面P12と直交している。
【0049】
図3に示すような入力ギヤ131および出力ギヤ133を備える伝達機構130の一例は、入力ギヤ131に咬み合うギヤと出力ギヤ133に咬み合うギヤとを、モータ軸部材113の軸方向に長さのある軸によって連結した中間ギヤ部132を備えている。図3に示す例のように、出力軸C12の延びる方向における伝達機構130の長さが電気モータ112の長さよりも長くてもよい。
【0050】
・上記実施形態では、回路基板61に平行な仮想平面であり且つ実装部品を通過する仮想平面を特定平面P2とする例を示した。これに替えて、図3に例示するように、回路基板161の表面に平行な仮想平面であり且つ回路基板161を通過する仮想平面を特定平面P12としてもよい。すなわち、図3に示すように特定平面P12に出力ギヤ133と回路基板161とが配置されていてもよい。こうした構成によれば、特定平面P12に回路基板161と出力ギヤ133とを並べて配置することができる。このように配置できることから、電動制動装置における回路基板と出力ギヤ以外の部品を配置する自由度を向上させることができる。
【0051】
・上記実施形態では、図1および図2に示したように、回転軸C1が延びる方向において、出力ギヤ33と回路部60とが向かい合っていない構成を例示した。出力ギヤと回路部との位置関係は、これに限らない。たとえば、図4に示すような構成でもよい。
【0052】
図4は、電動制動装置210を示す。図4に示すように、伝達機構230が備える出力ギヤ233は、出力軸C22が延びる方向において、回路部260と向かい合っていてもよい。たとえば、出力ギヤ233は、出力軸C22が延びる方向において、回路基板261と向かい合っていてもよい。すなわち、電動制動装置210は、以下のように構成されていてもよい。電動制動装置210が備える回路基板261は、出力ギヤ233の軸部材における軸心に沿った線である出力軸C22が延びる方向において回路基板261と出力ギヤ233とが向かい合うように、電動制動装置10における回路基板61と比較して拡張されている。言い換えれば、電動制動装置210では、回路基板261に対してモータ軸部材213の軸方向にずれた位置に出力ギヤ233が配置されている。この変更例では、図1および図2に示した上記実施形態に比べて、基板面積を広げることができる。なお、出力ギヤ233と回路部260との間には、出力ギヤ233および回路部260とは異なる部材が配置されていてもよい。また、この変更例に関して、出力ギヤにおける出力軸部材を保持すべく、回路基板261に貫通孔を設け、その貫通孔に通した出力軸部材をハウジングで保持してもよい。
【0053】
図4に示す電動制動装置210においても、回路基板261に平行な仮想平面と回転軸C21とが交差するように、回路基板261と電気モータ212とが配置されている。図4には、回路基板261に平行な仮想平面のうちモータ軸部材213と交差する仮想平面P21を図示している。入力ギヤ231は、回転軸C21の延びる方向において小型実装部品262と向かい合っている。
【0054】
なお、図4には、回路基板261に平行な仮想平面であり、且つ、小型実装部品262に比して高さのある大型実装部品263を通過する仮想平面を特定平面P22として示している。こうした電動制動装置210によれば、回路基板261を大きくする余地をハウジング内に確保することができる。
【0055】
・伝達機構は、入力ギヤの軸と出力ギヤの軸とが交差する機構を備えていてもよい。図5を用いて一例を説明する。
図5は、伝達機構330を備える電動制動装置310を示す。伝達機構330は、入力ギヤ331と出力ギヤ333とによって構成されている傘歯車を備えている。すなわち、電動制動装置310では、回転軸C31と出力軸C32とが交わっている。回転軸C31と出力軸C32とは、図5に示すように直交していてもよい。なお、電動制動装置310において、電気モータ312、入力ギヤ331および回路部360の位置関係は、上記実施形態における電動制動装置10と共通している。図5には、回路基板361に実装されている小型実装部品362と大型実装部品363とを例示している。
【0056】
こうした電動制動装置310においても、回路基板361に平行な仮想平面と回転軸C31とが交差するように、回路基板361と電気モータ312とが配置されている。図5には、回路基板361に平行な仮想平面のうちモータ軸部材313と交差する仮想平面P31を図示している。
【0057】
電動制動装置310においても、回路基板361に平行な仮想平面であり且つ回路部360を通過する仮想平面である特定平面P32と交わるように出力ギヤ333を配置することができる。
【0058】
・上記変更例では、回転軸C31と出力軸C32とが直交するように構成されている傘歯車を有する伝達機構330を例示した。伝達機構としては、回転軸C31と出力軸C32とがねじれの位置にあるように構成されていてもよい。すなわち、伝達機構は、ハイポイドギヤを備えていてもよい。伝達機構は、ウォームおよびウォームホイールによって構成されている機構を備えていてもよい。
【0059】
・伝達機構は、遊星歯車機構を備えていてもよい。図6を用いて一例を説明する。
図6は、伝達機構430を備える電動制動装置410を示す。伝達機構430は、遊星歯車機構を備えている。具体的には、伝達機構430は、サンギヤに対応する入力ギヤ431を備えている。伝達機構430は、出力ギヤ433を備えている。出力ギヤ433は、プラネタリギヤおよびキャリアに対応する。伝達機構430は、リングギヤ432を備えている。リングギヤ432は、固定されている。
【0060】
遊星歯車機構の一例として、図6には、モータ軸部材413の軸心と、出力ギヤ433のキャリアに連結されている出力軸部材における軸心と、が同一軸上にある構成を示している。すなわち、モータ軸部材413の軸心に沿った線である回転軸C41上に、出力軸部材における軸心が配置されている。
【0061】
電動制動装置410は、図6に示すように、貫通孔461aが形成されている回路基板461を備えていてもよい。貫通孔461aには、伝達機構430が挿入されていてもよい。
【0062】
こうした電動制動装置410においても、回路基板461に平行な仮想平面と回転軸C41とが交差するように、回路基板461と電気モータ412とが配置されている。図6には、回路基板461に平行な仮想平面のうちモータ軸部材413と交差する仮想平面P41を図示している。
【0063】
電動制動装置410では、回路基板461に平行な仮想平面であり且つ回路部460を通過する仮想平面である特定平面P42と交わるように出力ギヤ433を配置することができる。
【0064】
なお、図6に示す構成では、回路基板461の表面のうち、電気モータ412を向いている面とは反対側の面に実装部品462が取り付けられている例を示している。
また、図6に示す構成では、特定平面P42には入力ギヤ431も配置されている。すなわち、入力ギヤ431と出力ギヤ433と回路基板461とが特定平面P42に交わるように配置されている。
【0065】
・上記変更例では、回路基板461に形成されている貫通孔461aに伝達機構430が挿入されている構成を例示した。貫通孔461aが形成されている回路基板461に替えて、複数枚に分割された回路基板を採用することもできる。複数の回路基板は、たとえば、全ての回路基板が同一平面上に配置されている。隣り合う回路基板の間には間隔を空けてもよい。隣り合う回路基板の間に伝達機構を配置することもできる。
【0066】
・電気モータとして、図6に例示するような扁平モータを採用することもできる。以下の構成を備える電気モータを扁平モータという。扁平モータは、モータ軸部材の軸心に沿った方向において平たい。具体的には、モータ軸部材の軸心に沿った方向における電気モータの長さが短くされている。一方で、モータ軸部材の軸心と直交する方向においては電気モータの長さが長くされている。
【0067】
・上記実施形態では、伝達機構30として入力ギヤ31と出力ギヤ33との間に中間ギヤ32が介在する構成を例示した。伝達機構としては、入力ギヤと出力ギヤとが直接咬み合う構成でもよい。
【0068】
・上記実施形態では、ハウジング11内の収容部19に回路部60を配置した例を示した。回路部60がハウジング11内に配置されていることは必須の構成ではない。
・上記実施形態では、モータ軸部材13の軸方向において、入力ギヤ31と回路部60とが向かい合っている構成を例示した。入力ギヤ31と回路部60との間には、入力ギヤ31および回路部60とは異なる部材が配置されていてもよい。
【0069】
・上記実施形態では、モータ軸部材13の軸方向において、入力ギヤ31と回路部60とが向かい合っている構成を例示した。すなわち、回路基板61に対してモータ軸部材13の軸方向にずれた位置に入力ギヤ31が配置されている構成を例示した。入力ギヤ31と回路部60とが向かい合うことは必須の構成ではない。また、モータ軸部材13と回路部60とが向かい合うことも必須の構成ではない。電動制動装置における回路基板と電気モータと入力ギヤとの位置関係としては、回路基板61に平行な仮想平面と回転軸C1とが交差するように、回路基板61と電気モータ12とが配置されていればよい。
【0070】
・上記実施形態では、回転軸C1と回路部60とが交差している例として、回転軸C1と回路基板61とが直交するようにした構成を示した。回転軸C1と回路基板61とは斜めに交わっていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…電動制動装置
11…ハウジング
12…電気モータ
13…モータ軸部材
19…収容部
20…アクチュエータ部
21…回転体
22…摩擦材
30…伝達機構
31…入力ギヤ
32…中間ギヤ
33…出力ギヤ
40…変換機構
60…回路部
61…回路基板
62…小型実装部品
63…大型実装部品
P1…仮想平面
P2…特定平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6