(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065785
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ねじ及びねじの取付構造
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20240508BHJP
F16B 25/10 20060101ALI20240508BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20240508BHJP
E04C 2/292 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F16B35/00 T
F16B25/10 A
F16B5/02 V
E04C2/292
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174813
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香山 好雄
【テーマコード(参考)】
2E162
3J001
【Fターム(参考)】
2E162CA31
2E162CA35
2E162CB01
3J001FA02
3J001GA01
3J001GA06
3J001GA07
3J001GB01
3J001HA02
3J001JA01
3J001KA21
3J001KB04
(57)【要約】
【課題】薄厚の部材に対しても締結状態が安定しやすい、ねじ及びねじの取付構造を提供する。
【解決手段】ねじ1は、雄ねじ2が形成された軸部3と、頭部4を備える。軸部3は、先端側の第一部分30と、基端側の第二部分31と、その間に位置する中間部分32を含む。中間部分32の直径L1は、第二部分31に近い部分ほど大きい。雄ねじ2は、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bを含む。第一雄ねじ部2aは、部分30,32,31に設けられ、第二雄ねじ部2bは、部分32,31に設けられ、中間部分32に始端20が位置する。第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bのうち少なくとも一方の外径は、第二部分31において最大となる。ねじ1の取付構造は、ねじ1と、薄板と、ねじ1によって薄板に取り付けられる取付部材と、を備える。ねじ1の第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bが、薄板に食い込んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に雄ねじが形成された軸部と、
前記軸部の基端に設けられた頭部と、を備えたねじであって、
前記軸部は、
前記軸部の軸方向の先端側に位置する第一部分と、
前記軸方向の基端側に位置する第二部分と、
前記第一部分と前記第二部分の間に位置する中間部分と、を含み、
前記中間部分の直径は、前記軸方向において、前記第二部分に近い部分ほど大きく、
前記雄ねじは、
螺旋状に延びた第一雄ねじ部と、前記第一雄ねじ部に沿って螺旋状に延びた第二雄ねじ部とを含み、
前記第一雄ねじ部は、前記第一部分と前記中間部分と前記第二部分とに設けられ、
前記第二雄ねじ部は、前記中間部分と前記第二部分とに設けられ、前記中間部分に始端が位置し、
前記第一雄ねじ部と前記第二雄ねじ部のうち少なくとも一方の外径は、前記第二部分において最大となる、
ことを特徴とするねじ。
【請求項2】
前記第一雄ねじ部と前記第二雄ねじ部のそれぞれの外径は、前記第二部分において最大となる、
ことを特徴とする請求項1に記載のねじ。
【請求項3】
前記軸部の外径は、前記第二部分において最大となる、
ことを特徴とする請求項1に記載のねじ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のねじと、
薄板と、
前記薄板に取り付けられる取付部材と、を備えたねじの取付構造であって、
前記ねじの前記第一雄ねじ部と前記第二雄ねじ部が、前記薄板に食い込んでいる、
ことを特徴とするねじの取付構造。
【請求項5】
前記ねじの前記頭部のうち前記先端側を向く面が前記取付部材に当たっている、
ことを特徴とする請求項4に記載のねじの取付構造。
【請求項6】
前記ねじは、前記頭部の前記先端側を向く面に設けられたリブを備え、
前記リブが前記取付部材に当たっている、
ことを特徴とする請求項5に記載のねじの取付構造。
【請求項7】
前記ねじの前記第二部分における前記第一雄ねじ部と前記第二雄ねじ部が、前記薄板に食い込んでいる、
ことを特徴とする請求項6に記載のねじの取付構造。
【請求項8】
前記軸方向における前記第一雄ねじ部と前記第二雄ねじ部の隣接するねじ山の頂点間の距離は、前記薄板の厚みよりも短い、
ことを特徴とする請求項4に記載のねじの取付構造。
【請求項9】
前記薄板の厚みは、0.6mm以上1.6mm以下である、
ことを特徴とする請求項4に記載のねじの取付構造。
【請求項10】
前記薄板は、
一対の金属外皮の間に芯材を挟んだサンドイッチパネルの、前記金属外皮であり、
前記取付部材は、
前記一対の金属外皮を連結するように前記サンドイッチパネルに取り付けられる連結部材である、
ことを特徴とする請求項4に記載のねじの取付構造。
【請求項11】
前記薄板と前記取付部材の間に位置する板状の補強材を更に備え、
前記補強材は、前記薄板に貼り付けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のねじの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ねじ及びねじの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ねじが記載されている。このねじは、一端側(基端側)に形成された頭部と、他端側(先端側)に形成されたドリル部と、頭部とドリル部の間に形成された軸部と、を備える。軸部の外周面には、螺旋状のねじ部が形成されており、ねじ部が有するねじ山のピッチは一定となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のねじを用いて、薄厚の部材に別の部材を締結する際、薄厚の部材に一度に食い込むねじ山の数が少なくなるため、締結状態が安定しにくいおそれがある。
【0005】
上記事情に鑑みて、本開示は、薄厚の部材に対しても締結状態が安定しやすい、ねじ及びねじの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るねじは、外周面に雄ねじが形成された軸部と、前記軸部の基端に設けられた頭部と、を備える。前記軸部は、前記軸部の軸方向の先端側に位置する第一部分と、前記軸方向の基端側に位置する第二部分と、前記第一部分と前記第二部分の間に位置する中間部分と、を含む。前記中間部分の直径は、前記軸方向において、前記第二部分に近い部分ほど大きい。前記雄ねじは、螺旋状に延びた第一雄ねじ部と、前記第一雄ねじ部に沿って螺旋状に延びた第二雄ねじ部とを含む。前記第一雄ねじ部は、前記第一部分と前記中間部分と前記第二部分とに設けられ、前記第二雄ねじ部は、前記中間部分と前記第二部分とに設けられ、前記中間部分に始端が位置する。前記第一雄ねじ部と前記第二雄ねじ部のうち少なくとも一方の外径は、前記第二部分において最大となる。
【0007】
また、本開示の一態様に係るねじの取付構造は、前記のねじと、薄板と、前記ねじによって前記薄板に取り付けられる取付部材と、を備える。前記ねじの前記第一雄ねじ部と前記第二雄ねじ部が、前記薄板に食い込んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係るねじ及びねじの取付構造では、薄厚の部材に対しても締結状態が安定しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、本開示の実施形態1のねじを示す正面図であり、
図1Bは、同上のねじの第二雄ねじ部の図示を省略した正面図であり、
図1Cは、同上のねじの第一雄ねじ部の図示を省略した正面図である。
【
図2】
図2は、同上のねじの取付構造の一例を示す正面断面図である。
【
図3】
図3は、同上のねじの取付構造の他例を示す正面断面図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態2のねじの取付構造を示す側断面図である。
【
図6】
図6は、同上のねじの取付構造を用いたパネルユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
1.概要
図1A~Cに示す実施形態1のねじ1は、外周面に雄ねじ2が形成された軸部3と、軸部3の基端に設けられた頭部4と、を備える。軸部3は、軸部3の軸方向の先端側に位置する第一部分30と、軸方向の基端側に位置する第二部分31と、第一部分30と第二部分31の間に位置する中間部分32と、を含む。中間部分32の直径L1は、軸方向において、第二部分31に近い部分ほど大きい。雄ねじ2は、螺旋状に延びた第一雄ねじ部2aと、第一雄ねじ部2aに沿って螺旋状に延びた第二雄ねじ部2bとを含む。第一雄ねじ部2aは、第一部分30と中間部分32と第二部分31とに設けられ、第二雄ねじ部2bは、中間部分32と第二部分31とに設けられ、中間部分32に始端20が位置する。第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bのうち少なくとも一方の外径は、第二部分31において最大となる。
【0011】
また、
図2に示す実施形態1のねじの取付構造は、上記のねじ1と、薄板6と、ねじ1によって薄板6に取り付けられる取付部材7と、を備える。ねじ1の第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bが、薄板6に食い込んでいる。
【0012】
上記構成を備える実施形態1のねじ1及びねじ1の取付構造では、薄厚の部材(薄板6)と他の部材(取付部材7)とをねじ1で締結する際に、薄厚の部材に対してねじ1を軸部3の中間部分32までねじ込んだ場合には、薄厚の部材に形成された貫通孔の孔縁に対して、第一雄ねじ部2aだけでなく第二雄ねじ部2bの始端20も食い込ませることができる。またこのとき、薄厚の部材の孔縁に対してねじ1の軸部3の中間部分32の外周面を押し当てやすい。また、実施形態1のねじ1及びねじ1の取付構造では、薄厚の部材に対してねじ1を軸部3の第二部分31までねじ込んだ場合には、薄厚の部材に形成された貫通孔の孔縁に対して、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの両方を食い込ませることができるうえ、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bのうち少なくとも一方を、貫通孔の孔縁に対してより深く食い込ませることができる。そのため、一実施形態のねじ1及びねじ1の取付構造では、薄厚の部材に対してもねじ1が食い込みやすくて、締結状態が安定しやすい。
【0013】
2.詳細
続いて、
図1A~C、
図2に示す実施形態1のねじ1及びねじ1の取付構造について更に詳しく説明する。
【0014】
2-1.ねじ
図1A~Cに示すように、ねじ1は、外周面に雄ねじ2が形成された軸部3と、軸部3の基端に設けられた頭部4と、を備える。ねじ1は更に、軸部3の先端に設けられたドリル部5を備える。本実施形態では、ねじ1は、金属製のドリル付きタッピングビスである。ねじ1は、軸方向(詳しくは軸部3の中心軸に沿った方向)における長さが、例えば、22~24mmである。
【0015】
ドリル部5は、ねじ1の軸方向の先端側の端部に位置し、頭部4は、ねじ1の軸方向の基端側の端部に位置する。軸部3は、ドリル部5と頭部4の間に位置する。頭部4、軸部3、ドリル部5は、この順に、ねじ1の軸方向の基端側から先端側へと連続している。
【0016】
ドリル部5は、軸部3から軸方向の先端側に突出している。ドリル部5は、従来公知の構造である。ドリル部5は、切り刃50と切溝51とを有する。切り刃50は、ドリル部5の先端に形成されている。切り刃50は、ドリル部5の中心軸に対して、基端側の部分ほど中心軸から離れるように傾斜している。切溝51は、ドリル部5の外周面の一部に形成されている。本実施形態では、ドリル部5の外周面には、二つの切溝51が設けられている。二つの切溝51は、ドリル部5の中心軸を挟んで対向する位置に設けられている。ドリル部5の外径L2は、雄ねじ2の最小外径よりも短く、軸部3の最大直径と同じか、それよりも僅かに短い。
【0017】
頭部4は、軸方向の基端側を向く基端面40と、軸方向の先端側を向く座面41と、を有する。頭部4は、本実施形態では、円錐台状である。なお、頭部4は、円錐台状に限らず、用途に応じた他の形状であってもよい。
【0018】
基端面40は、円形状である。基端面40には、ねじ締め用の工具を係合するための係合穴(図示せず)が形成されている。
【0019】
座面41は、円錐台の外周面である。座面41には、突条の複数のリブ410が設けられている。複数のリブ410のそれぞれは、軸方向に沿って延びている。本実施形態では、座面41には、四つのリブ410が設けられている。四つのリブ410は、座面41の周方向に間隔をあけて配置されている。複数のリブ410が取付部材7に当たることで、ねじ1の緩む方向への回転が抑制される。
【0020】
軸部3は、軸部3の軸方向の先端側に位置する第一部分30と、軸部3の軸方向の基端側に位置する第二部分31と、第一部分30と第二部分31の間に位置する中間部分32と、を含む。中間部分32の直径L1は、軸部3の軸方向において、第二部分31に近い部分ほど長い。なお、軸部3の軸方向は、ねじ1の軸方向と一致している。
【0021】
第一部分30の直径L3と第二部分31の直径L4は、軸方向にわたって一定である。直径L3は、直径L4よりも短い。直径L3は、ドリル部5の外径L2よりも短い。直径L4は、外径L2と同じか、またはそれよりも長い。中間部分32の直径L1は、軸方向において、第二部分31に近い部分ほど長い。直径L1は、直径L3よりも長く、かつ直径L4よりも短い。中間部分32は、円錐台状である。
【0022】
軸方向において、第二部分31は、第一部分30よりも長い。軸方向において、中間部分32は、第一部分30及び第二部分31よりも短い。中間部分32の軸方向における長さは、例えば、0.5mm以上2.0mm以下である。そのため、中間部分32の直径L1は、第二部分31に近づくにつれて急激に増加する。
【0023】
雄ねじ2は、軸部3の外周面に形成されている。雄ねじ2は、螺旋状に延びた第一雄ねじ部2aと、第一雄ねじ部2aに沿って螺旋状に延びた第二雄ねじ部2bとを含む。つまり、雄ねじ2は、二条ねじである。第一雄ねじ部2aは、第一部分30と中間部分32と第二部分31とに設けられ、第二雄ねじ部2bは、中間部分32と第二部分31とに設けられ、中間部分32に始端20が位置する。
【0024】
第一雄ねじ部2aは、第二部分31に位置する部分の外径L5が、第一部分30に位置する部分の外径L6よりも長い。ここで、外径とは、軸部3の中心軸に直交する方向における、一方側のねじ山の頂点から他方側のねじ山の頂点までの距離である。
【0025】
外径L5,L6のそれぞれは、軸方向にわたって一定である。第一雄ねじ部2aのうち、中間部分32に位置する部分は、第二部分31に近い部分ほど軸部3の中心軸からねじ山の頂点までの距離が長くなるように形成されている。なお、第一雄ねじ部2aのうち、中間部分32に位置する部分は、外径が外径L6よりも長く、かつ外径L5以下であればよく、軸方向にわたって一定であってもよい。
【0026】
第二雄ねじ部2bのうち、中間部分32に位置する部分は、第二部分31に近い部分ほど軸部3の中心軸からねじ山の頂点までの距離が長くなるように形成されている。第二雄ねじ部2bは、第二部分31に位置する部分の外径L7が、軸方向にわたって一定である。外径L7は、第一雄ねじ部2aの第二部分31に位置する部分の外径L5と同じ長さである。
【0027】
第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bのそれぞれは、軸方向にわたって、ピッチ(軸方向に隣接する2つのねじ山の頂点間の距離)が一定である。第一雄ねじ部2aのピッチと第二雄ねじ部2bのピッチとは同じである。第二雄ねじ部2bは、第一雄ねじ部2aの軸方向に隣接する2つのねじ山の中間地点に、第二雄ねじ部2bの1つのねじ山が位置するように、配置されている。そのため、雄ねじ2は、第一部分30における軸方向に隣接する2つのねじ山の頂点間の距離が、第二部分31における軸方向に隣接する2つのねじ山の頂点間の距離のおよそ2倍となっている。
【0028】
2-2.ねじの取付構造
続いて、
図2に示すねじ1の取付構造について説明する。
【0029】
ねじ1の取付構造は、上述したねじ1と、薄板6と、ねじ1によって薄板6に取り付けられる取付部材7と、を備える。ねじ1の取付構造は更に、薄板6と取付部材7の間に位置する板状の補強材8を備える。
【0030】
薄板6は、本実施形態では、金属製である。薄板6の厚みは、例えば、0.6mm以上1.6mm以下である。薄板6には、ねじ1のドリル部5によって削られることで貫通孔60が形成される。
【0031】
取付部材7は、薄板6よりも厚みの大きい板状の部材である。取付部材7は、本実施形態では、金属製である。取付部材7は、ねじ1を挿通するための挿通孔70を有する。挿通孔70には、ねじ1の頭部4を取付部材7の厚み内に収めるためのザグリ部71が形成されている。
【0032】
補強材8は、薄板6に貼り付けることで薄板6を補強する部材である。本実施形態では、補強材8は、金属製の板状の本体部80と、本体部80の厚み方向の片側に設けられた接着部材82と、本体部80の厚み方向の他側に設けられた断熱材81と、を有する。
【0033】
補強材8は、接着部材82の接着力によって薄板6に貼り付けられる。補強材8の断熱材81に、取付部材7が重ねられる。補強材8には、ねじ1のドリル部5によって削られることで貫通孔83が形成される。貫通孔83は、本体部80、接着部材82及び断熱材81のそれぞれに形成される。
【0034】
本実施形態のねじ1の取付構造では、軸方向における第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの隣接するねじ山の頂点間の距離L8は、薄板6の厚みよりも短くなっている。
【0035】
薄板6に補強材8を貼り付け、補強材8に取付部材7を重ねた状態で、取付部材7の挿通孔70にねじ1を挿入してねじ込み操作することで、薄板6と補強材8には貫通孔60,83が形成される。
【0036】
ねじ1の取付構造では、ねじ1の頭部4が取付部材7のザグリ部71に収まって複数のリブ410が取付部材7に当たり、ねじ1の軸部3の第二部分31が、薄板6の貫通孔60の内側と、補強材8の貫通孔83の内側に位置する。
【0037】
薄板6の貫通孔60の孔縁(つまり内周面)には、ねじ1の第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの両方が食い込んで、二条のタッピング溝が形成されている。補強材8の本体部80の貫通孔83の孔縁には、ねじ1の第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの両方が食い込んで、二条のタッピング溝が形成されている。
【0038】
つまり、ねじ1は、頭部4(詳しくは複数のリブ410)が取付部材7に当たった状態において、ねじ1の軸部3の第二部分31が薄板6に形成された貫通孔60の内側に位置するように、中間部分32の位置が設定されている。
【0039】
本実施形態では、軸方向における第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの隣接するねじ山の頂点間の距離L8が、薄板6の厚みよりも短いため、薄板6の貫通孔60の孔縁の周方向の少なくとも一部では、二条のタッピング溝が軸方向に並ぶように形成される。
【0040】
2-3.作用効果
以上説明した本実施形態のねじ1では、取付部材7、補強材8及び薄板6に対してねじ1をねじ込んだ際に、ドリル部5によって薄板6の一部を削って貫通孔60を形成することができ、その後、貫通孔60の孔縁に第一部分30の第一雄ねじ部2aが食い込むことによってタッピング溝を形成することができる。その後、ねじ1の中間部分32が薄板6の貫通孔60に挿入されることで、貫通孔60の孔縁に第二雄ねじ部2bの始端20が食い込んで他のタッピング溝を形成することができる。またこのとき、薄板6の貫通孔60の孔縁に、ねじ1の中間部分32の外周面を押し当てる(嵌め込む)ことができる。その後、ねじ1の第二部分31が薄板6の貫通孔60に挿入されることで、薄板6の貫通孔60の孔縁に形成されたタッピング溝に、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bがより深く食い込む。またこのとき、薄板6の貫通孔60の孔縁に、ねじ1の第二部分31の外周面を押し当てる(嵌め込む)ことができる。
【0041】
このように、薄板6の貫通孔60の孔縁に対して、雄ねじ部2a,2bの両方が食い込むとともに、ねじ1の第二部分31の外周面が嵌まり込むため、薄板6に対するねじ1の掛かりを強くすることができて、薄板6と取付部材7との締結状態が安定しやすい。
【0042】
また、本実施形態のねじ1では、第二部分31における第一雄ねじ部2aの外径が、第一部分30における第一雄ねじ部2aの外径よりも大きい。そのため、本実施形態のねじ1では、薄板6の貫通孔60の孔縁に形成されたタッピング溝に対して、第二部分31における第一雄ねじ部2aがより深く食い込むことができて、薄板6に対するねじ1の掛かりをより強くすることができる。
【0043】
また、本実施形態のねじ1では、第二部分31では雄ねじ2が二条ねじであるため、補強材8に対するねじ1の掛かりも強くなっている。
【0044】
また、本実施形態のねじ1の取付構造では、軸方向における第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの隣接するねじ山の頂点間の距離L8が、薄板6の厚みよりも短いため、薄板6の貫通孔60の孔縁の周方向の少なくとも一部では、二条のタッピング溝が軸方向に並ぶように形成される。そのため、この二条のタッピング溝が軸方向に並ぶ部分では、薄板6へのねじ1の掛かりがより強くなる。
【0045】
したがって、本実施形態のねじ1は、薄板6及び補強材8とねじ1の頭部4とで取付部材7を挟み込む軸方向の力に加えて、薄板6及び補強材8に対してねじ1が強く食い込む径方向の力も加わる。そのため、本実施形態のねじ1は、薄板6、補強材8及び取付部材7から外れにくく(抜けにくく)て、締結状態が安定しやすい。
【0046】
3.変形例
以上説明した実施形態1のねじ1及びねじ1の取付構造の変形例について説明する。なお、以下に示す各変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0047】
ねじ1は、薄板6にかかる部分に、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bが位置し、かつ第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bのうちの少なくとも一方の外径が、第二部分31において最大となるものであればよく、
図1Aに示す構造に限定されない。
【0048】
第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの隣接するねじ山の頂点間の距離は、薄板6の厚みと同じであってもよいし、この厚みよりも長くてもよい。
【0049】
また、ねじ1は、ドリル部5を有さなくてもよく、第一部分30が、先端側が尖った円錐状に設けられてもよい。この場合、中間部分32の外周面の中心軸に対する傾きは、第一部分30の外周面の中心軸に対する傾きよりも大きくなるように設けられる。
【0050】
また、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bのそれぞれは、第二部分31に軸方向にわたって位置しなくてもよく、第二部分31の軸方向の一部(つまり先端側の部分)にのみ位置してもよい。
【0051】
また、第一雄ねじ部2aのピッチは、一定でなくてもよく、同様に、第二雄ねじ部2bのピッチも一定でなくてもよい。第二雄ねじ部2bは、第一雄ねじ部2aの隣接する2つのねじ山の間に、1つのねじ山が位置するように配置されればよく、第二雄ねじ部2bの1つのねじ山の位置は、第一雄ねじ部2aの隣接する2つのねじ山の間の中間地点に限定されない。
【0052】
また、ねじ1は、金属製に限らず、その他の硬質な材料で形成されてもよい。
【0053】
薄板6の厚みは、1.0m以上1.4mm以下に限らず、その他の寸法であってもよい。
【0054】
また、薄板6及び取付部材7は、金属製に限らず、その他の硬質な材料で形成されてもよい。
【0055】
また、補強材8は、上述した3層構造のものに限定されず、1層、2層又は4層以上の構造であってもよい。
【0056】
また、ねじ1の取付構造は、補強材8を備えなくてもよい。つまり、取付部材7は、薄板6に直接(つまり接する状態で)取り付けられてもよい。この場合も、第二部分31の雄ねじ部2a,2bの両方が薄板6の貫通孔60の孔縁に引っ掛かるため、薄板6に対するねじ1の掛かりが強くなる。
【0057】
また、取付部材7は、薄板6よりも厚みが大きくなくてもよく、薄板6と同じ厚み、または、薄板6よりも厚みが小さくてもよい。この場合、取付部材7は、挿通孔70を有さなくてもよく、ねじ1のドリル部5で貫通孔が設けられてもよい。
【0058】
また、ねじ1の取付構造は、
図2に示す構造に限定されない。例えば、ねじ1の取付構造は、
図3及び
図4に示す他例のように、ねじ1の頭部4が取付部材7のザグリ部71に収まって複数のリブ410が取付部材7に当たった状態において、ねじ1の軸部3の中間部分32が薄板6の貫通孔60の内側に位置してもよい。
【0059】
この場合、薄板6の貫通孔60の孔縁に対して、第一雄ねじ部2aが食い込むと共に、第二雄ねじ部2bの始端20が食い込む。またこのとき、薄板6の貫通孔60の孔縁には、ねじ1の中間部分32の外周面を押し当てる(嵌め込む)ことができる。
【0060】
これにより、ねじ1の取付構造の他例では、薄板6に対するねじ1の掛かりを強くすることができて、薄板6と取付部材7との締結状態が安定しやすい。
【0061】
(実施形態2)
続いて、
図5から
図7A,Bに示す実施形態2のねじ1の取付構造について説明する。以下では、本実施形態のねじ1の取付構造について、実施形態1のねじ1の取付構造と同様の構成については図中に同一の符号を付して詳しい説明を省略し、実施形態1のねじ1の取付構造と異なる構成については、詳しく説明する。
【0062】
本実施形態のねじ1は、実施形態1のねじ1と同じ構造である。本実施形態のねじ1の取付構造は、一対の金属外皮10,11の間に芯材12を挟んだサンドイッチパネル9の金属外皮10に対して、一対の金属外皮10,11を連結する連結部材13をねじ1で取り付けるための取付構造である。
【0063】
つまり、薄板6は、一対の金属外皮10,11の間に芯材12を挟んだサンドイッチパネル9の、金属外皮10である。取付部材7は、一対の金属外皮10,11を連結するように、サンドイッチパネル9に取り付けられる連結部材13である。補強材8は、金属外皮10と連結部材13との間での熱の移動を防ぐ断熱縁材14である。
【0064】
図5及び
図6には、サンドイッチパネル9に連結部材13及び断熱縁材14がねじ1で取り付けられたパネルユニット15が記載されている。なお、
図5は、
図6のD-D線における断面図である。パネルユニット15は、例えば、構造躯体の一部を構成する横架材(図示せず)に取り付けられる。
【0065】
サンドイッチパネル9は、矩形板状である。以下では、サンドイッチパネル9の厚み方向の片側を前側(屋外側)とし、その反対側を後側(屋内側)とし、サンドイッチパネル9の長手方向を上下方向とし、サンドイッチパネル9の短手方向を左右方向として、各構成について詳しく説明する。
【0066】
サンドイッチパネル9は、互いに対向する一対の金属外皮10,11と、一対の金属外皮10,11の間に位置する芯材12と、を有する。一対の金属外皮10,11は、屋外側に位置する屋外側外皮10と、屋内側に位置する屋内側外皮11である。屋外側外皮10は、芯材12の上下左右の側面120に沿う壁部101を含む。サンドイッチパネル9は、例えばビル等の高層用の建物の外壁として用いられる。
【0067】
サンドイッチパネル9は、例えば、上下方向の長さが、0.5~6.0mであり、左右方向の長さ(幅)が、0.2~1.5mであり、前後方向の長さ(厚み)が、50~150mmである。
【0068】
芯材12は、その全体形状が、矩形の板状である。全体形状が板状とは、1枚の板に限らず、複数の部材を1枚の板をなすように並べたものも含まれる。本実施形態では、芯材12は、断熱性を有する。芯材12は、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材をバインダー等でブロック状に固めた複数のブロック体を1枚の矩形板状に並べたものである。なお、芯材12は、ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の発泡系の有機材で形成されてもよいし、スチレンボード、ウレタンボード等であってもよい。
【0069】
図7A,Bに示すように、芯材12は、左右の側面120に凹条部121を有している。凹条部121は、芯材12の左右の側面120の前後方向の略中央部に上下方向の全長にわたって位置する。凹条部121には、石膏ボードや、珪酸カルシウムボードなどの板状部材と、アルカリアースシリケートブランケット(生体溶解性繊維)などの繊維状無機材料とで形成された耐火目地材(図示無し)が挿入される。なお、
図5に示すように、芯材12の上下の側面120は、凹条部121を有しておらず、フラットに設けられている。
【0070】
屋外側外皮10と屋内側外皮11のそれぞれは、金属板をロール加工やプレス加工などにより所望の形状に成形することによって得られる。金属板は、例えば、厚みが1.2mmである。金属板は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板等であるが、これらに限定されない。
【0071】
図5から
図7A,Bに示すように、屋外側外皮10は、後側に向けて開口した矩形の箱状である。屋外側外皮10は、芯材12の前面(屋外側面)を覆う矩形板状の本体部100と、芯材12の上下左右の4つの側面120に沿う4つの壁部101と、を有する。本体部100に対して4つの壁部101のそれぞれは、略直角である。上下の壁部101のそれぞれは、矩形の平板状である。左右の壁部101のそれぞれは、矩形の平板部102と、平板部102の後端から左右方向外側に略直角に突出した矩形板状の突出部103と、を有する。
【0072】
屋内側外皮11は、芯材12の後面(屋内側面)を覆う矩形板状の本体部110と、芯材12の左右の側面120に沿う左右の壁部111と、を有する。なお、屋内側外皮11は、芯材12の上下の側面120に沿う壁部を有していない。
【0073】
左右の壁部111のそれぞれは、本体部110の左右の縁から左右方向外側に平面視U字状に湾曲した湾曲部111aと、湾曲部111aの前端部から前側に突出した矩形状の平板部111bと、を有する。
【0074】
一対の金属外皮10,11のそれぞれは、本体部100,110が芯材12の前後の面に接着されて、芯材12と一体化している。屋外側外皮10の上下の壁部101と芯材12の上下の側面120との間には隙間が生じている。
【0075】
パネルユニット15は、正面視にて矩形枠状のパッキン16を更に備える。パッキン16は、直線状の4つのパッキン160と、L字状の4つのコーナーパッキン161と、を含む。
【0076】
直線状のパッキン160は、上下左右の壁部101のそれぞれに取り付けられる。パッキン160は、中空の筒状である。コーナーパッキン161は、4つ壁部101のうち隣接する2つの壁部101によって形成されるコーナー部分に取り付けられる。コーナーパッキン161は、L字状の中実なブロックである。パッキン160とコーナーパッキン161のそれぞれは、例えば合成ゴム製である。
【0077】
図5に示すように、断熱縁材14は、屋外側外皮10の上下の壁部101のそれぞれに取り付けられる。断熱縁材14は、屋外側外皮10の上下の壁部101の長手方向(つまり左右方向)に沿った長手方向を有する。断熱縁材14の長手方向の長さは、上下の壁部101の長手方向の長さと同じか、又はこの長さよりも短い。断熱縁材14は、長手方向に直交する断面の構造が、長手方向の全長にわたって一定である。
【0078】
断熱縁材14は、補強材8と同様に、本体部80、断熱材81、及び接着部材82を有する。本体部80、断熱材81、及び接着部材82は、長手方向の長さが互いに同じである。
【0079】
本体部80は、例えば、厚みが0.8mmのメッキ鋼板を曲げ加工することで形成される。本体部80は、例えば、一対の金属外皮10,11を構成する金属板と同じ材料で形成される。断熱材81は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の断熱性を有する部材である。本実施形態では、断熱材81は、シート状である。断熱材81の厚みは、例えば2mmである。断熱材81は、両面テープ等によって、本体部80に貼り付けられている。接着部材82は、例えば厚みが2mmのブチルテープである。
【0080】
連結部材13は、サンドイッチパネル9を構造躯体の一部に取り付けるための取付材17,18の一部(詳しくはパネル固定板17a,18a)で構成されている。
【0081】
取付材17,18は、サンドイッチパネル9の後面の下端部に固定される下取付材17と、サンドイッチパネル9の後面の上端部に固定される上取付材18である。取付材17,18は、構造躯体の横架材へのサンドイッチパネル9の取り付けに用いられる。
【0082】
下取付材17は、サンドイッチパネル9の後面の下端部に固定される側面視L字状の三つのパネル固定板17aと、左右両端の二つのパネル固定板17aに取り付けられる二つの側面視略Z字状の取付板17bと、を有する。
【0083】
三つのパネル固定板17aは、金属製であり、例えば金属板を折り曲げて形成されている。三つのパネル固定板17aは、ねじ1によって、サンドイッチパネル9に固定される。パネル固定板17aは、例えば、厚みが、6.0mmであり、パネル固定板17aを形成する金属板は、一対の金属外皮10,11を形成する金属板よりも厚みが大きい。
【0084】
三つのパネル固定板17aは、左右方向に間隔をおいて配置されている。三つのパネル固定板17aのそれぞれは、屋内側外皮11の本体部110に対して平行な縦片170と、縦片170の下端部から前側に延び、屋外側外皮10の下側の壁部101に対して平行な横片171と、を有する。縦片170が屋内側外皮11の本体部110の下端部にねじ1で固定され、横片171が屋外側外皮10の下側の壁部101にねじ1で固定される。
【0085】
縦片170と横片171のそれぞれは、ねじ1を挿通するための挿通孔を有し、挿通孔には、ねじ1の頭部4を収めるためのザグリ部が形成されている。縦片170と横片171のそれぞれには、複数の挿通孔が左右方向に間隔をおいて、配置されている。
【0086】
二つの取付板17bは、金属製である。二つの取付板17bは、ねじ1とは別の固定具19によって、固定板17aの縦片170に固定される。取付板17bは、三つのパネル固定板17aのうち、左右両端に位置する二つのパネル固定板17aにそれぞれ固定されている。二つの取付板17bは、構造躯体の一部である横架材に引っ掛けられる。
【0087】
上取付材18は、サンドイッチパネル9の後面の上端部に固定される側面視L字状の二つのパネル固定板18aと、二つのパネル固定板18aのそれぞれに取り付けられる二つの矩形板状の取付板18bと、を有する。
【0088】
二つのパネル固定板18aは、金属製である。二つのパネル固定板18aのそれぞれは、例えば金属板を折り曲げて形成されている。パネル固定板18aは、例えば、厚みが、6mmであり、パネル固定板18aを形成する金属板は、一対の金属外皮10,11を形成する金属板よりも厚みが大きい。
【0089】
二つのパネル固定板18aは、左右方向に間隔をおいて配置されている。二つのパネル固定板18aは、左右方向における位置が、左右両端の二つのパネル固定板17aと同じである。二つのパネル固定板18aのそれぞれは、屋内側外皮11の本体部110に対して平行な縦片180と、縦片180の上端部から前側に延び、屋外側外皮10の上側の壁部101に対して平行な横片181と、を有する。縦片180が屋内側外皮11の本体部110の上端部にねじ1で固定され、横片181の前端部が屋外側外皮10の上側の壁部101にねじ1で固定される。
【0090】
縦片180と横片181のそれぞれは、ねじ1を挿通するための挿通孔を有し、挿通孔には、ねじ1の頭部4を収めるためのザグリ部が形成されている。縦片180と横片181のそれぞれには、複数の挿通孔が左右方向に間隔をおいて、配置されている。
【0091】
二つの取付板18bは、金属製である。二つの取付板18bは、ねじ1とは別の固定具19によって、固定板18aの縦片180に固定される。取付板18bは、二つのパネル固定板18aにそれぞれ固定されている。
【0092】
本実施形態では、三つのパネル固定板17aと二つのパネル固定板18aのそれぞれが、屋外側外皮10の壁部101と屋内側外皮11の本体部110とを連結する連結部材13を構成している。そして、パネル固定板17a,18aが、取付部材7を構成している。
【0093】
以上説明したサンドイッチパネル9には、下記のようにして、断熱縁材14と連結部材13がねじ1で取り付けられる。
【0094】
すなわち、まず、サンドイッチパネル9の上下の壁部101に断熱縁材14が貼り付けられ、断熱縁材14にパネル固定板17a,18aの横片171,181が重ねられる。次いで、横片171,181の挿通孔にねじ1を挿入して、ねじ1を断熱縁材14と上下の壁部101にねじ込む。
【0095】
上下の壁部101に対してねじ1をねじ込んだ際に、ドリル部5によって上下の壁部101の一部を削って貫通孔60を形成することができ、その後、貫通孔60の孔縁に第一部分30の第一雄ねじ部2aが食い込むことによってタッピング溝を形成することができる。その後、ねじ1の中間部分32が上下の壁部101の貫通孔60に挿入されることで、貫通孔60の孔縁に第二雄ねじ部2bの始端20が食い込んで他のタッピング溝を形成することができる。またこのとき、上下の壁部101の貫通孔60の孔縁に、ねじ1の中間部分32の外周面を押し当てる(嵌め込む)ことができる。その後、ねじ1の第二部分31が薄板6の貫通孔60に挿入されることで、貫通孔60の孔縁に形成されたタッピング溝に、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bがより深く食い込む。またこのとき、薄板6の貫通孔60の孔縁に、ねじ1の第二部分31の外周面を押し当てる(嵌め込む)ことができる。
【0096】
このように、上下の壁部101の貫通孔60の孔縁に対して、雄ねじ部2a,2bの両方が食い込むとともに、ねじ1の第二部分31の外周面が嵌まり込むため、上下の壁部101に対するねじ1の掛かりを強くすることができて、上下の壁部101とパネル固定板17a,18aの横片171,181との締結状態が安定しやすい。
【0097】
また、本実施形態のねじ1では、第二部分31における第一雄ねじ部2aの外径が、第一部分30における第一雄ねじ部2aの外径L6よりも大きい。そのため、本実施形態のねじ1では、上下の壁部101の貫通孔60の孔縁に形成されたタッピング溝に対して、第二部分31における第一雄ねじ部2aがより深く食い込むことができて、上下の壁部101に対するねじ1の掛かりをより強くすることができる。
【0098】
また、本実施形態のねじ1では、第二部分31において雄ねじ2が二条ねじであるため、断熱縁材14に対するねじ1の掛かりも強くなっている。
【0099】
本実施形態では、サンドイッチパネル9の屋内側外皮11の本体部110には、パネル固定板17a,18aの縦片170,180が重ねられる。次いで、縦片170,180の挿通孔にねじ1を挿入して、屋内側外皮11の本体部110にねじ1をねじ込む。
【0100】
本体部110に対してねじ1をねじ込んだ際に、ドリル部5によって本体部110の一部を削って貫通孔を形成することができ、その後、貫通孔の孔縁に第一部分30の第一雄ねじ部2aが食い込むことによってタッピング溝を形成することができる。その後、ねじ1の中間部分32が本体部110の貫通孔に挿入されることで、貫通孔の孔縁に第二雄ねじ部2bの始端20が食い込んで他のタッピング溝を形成することができる。その後、ねじ1の第二部分31が本体部110の貫通孔に挿入されることで、貫通孔の孔縁の二条のタッピング溝に雄ねじ部2a,2bがそれぞれ食い込む。またこのとき、本体部110の貫通孔の孔縁に、ねじ1の第二部分31の外周面を押し当てる(嵌め込む)ことができる。
【0101】
このように、本体部110の貫通孔の孔縁に対して、雄ねじ部2a,2bの両方が食い込むとともに、ねじ1の第二部分31の外周面が嵌まり込むため、本体部110に対するねじ1の掛かりを強くすることができる。そのため、本実施形態のねじ1の取付構造では、本体部110とパネル固定板17a,18aの縦片170,180との締結状態も安定しやすい。
【0102】
以上から、本実施形態のパネルユニット15では、金属外皮10,11が薄くても、パネル固定板17a,18aを金属外皮10,11に固定するねじ1が外れにくくて、より信頼性の高いパネルユニット15とすることができる。
【0103】
実施形態2のねじ1及びねじ1の取付構造についても、上述した実施形態1のねじ1及びねじ1の取付構造と同様の変形例を適宜採用可能である。
【0104】
(まとめ)
以上説明した実施形態1,2及びその変形例のように、第一態様のねじ1は、下記の構成を備える。
【0105】
すなわち、第一態様のねじ1は、外周面に雄ねじ2が形成された軸部3と、軸部3の基端に設けられた頭部4と、を備える。軸部3は、軸部3の軸方向の先端側に位置する第一部分30と、軸方向の基端側に位置する第二部分31と、第一部分30と第二部分31の間に位置する中間部分32と、を含む。中間部分32の直径L1は、軸方向において、第二部分31に近い部分ほど大きい。雄ねじ2は、螺旋状に延びた第一雄ねじ部2aと、第一雄ねじ部2aに沿って螺旋状に延びた第二雄ねじ部2bとを含む。第一雄ねじ部2aは、第一部分30と中間部分32と第二部分31とに設けられ、第二雄ねじ部2bは、中間部分32と第二部分31とに設けられ、中間部分32に始端20が位置する。第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bのうち少なくとも一方の外径は、第二部分31において最大となる。
【0106】
上記構成を備える第一態様のねじ1では、薄厚の部材と他の部材とをねじ1で締結する際に、薄厚の部材に対してねじ1を軸部3の中間部分32までねじ込んだ場合には、薄厚の部材に形成された孔縁に対して、第一雄ねじ部2aだけでなく第二雄ねじ部2bの始端20も食い込ませることができる。またこのとき、薄厚の部材の孔縁に対してねじ1の軸部3の中間部分32の外周面を押し当てやすい。また、第一態様のねじ1では、薄厚の部材に対してねじ1を軸部3の第二部分31までねじ込んだ場合には、薄厚の部材に形成された貫通孔の孔縁に対して、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの両方を食い込ませることができるうえ、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bのうち少なくとも一方を、貫通孔の孔縁に対してより深く食い込ませることができる。そのため、第一態様のねじ1では、薄厚の部材に対してもねじ1が食い込みやすくて、締結状態が安定しやすい。
【0107】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第二態様のねじ1は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0108】
すなわち、第二態様のねじ1では、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bのそれぞれの外径は、第二部分31において最大となる。
【0109】
上記構成を備える第二態様のねじ1では、薄厚の部材の孔縁に形成されたタッピング溝に対して、第二部分31における第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの両方をより深く食い込ませることができる。そのため、第二態様のねじ1では、薄厚の部材に対してもねじ1の第二部分31の雄ねじ2が更に食い込みやすくて、締結状態が更に安定しやすい。
【0110】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第三態様のねじ1は、第一又は第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0111】
すなわち、第三態様のねじ1では、軸部3の外径は、第二部分31において最大となる。
【0112】
上記構成を備える第三態様のねじ1では、薄厚の部材の孔縁に対してねじ1の軸部3の第二部分31の外周面を押し当てやすくて、締結状態が更に安定しやすい。
【0113】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第四態様のねじ1の取付構造は、下記の構成を備える。
【0114】
すなわち、第四態様のねじ1の取付構造は、第一から第三のいずれか1つの態様のねじ1と、薄板6と、ねじ1によって薄板6に取り付けられる取付部材7と、を備える。ねじ1の第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bが、薄板6に食い込んでいる。
【0115】
上記構成を備える第四態様のねじ1の取付構造では、薄板6と取付部材7とをねじ1で締結する際に、薄板6に対してねじ1を軸部3の中間部分32までねじ込んだ場合には、薄板6に形成された貫通孔60の孔縁に対して、第一雄ねじ部2aだけでなく第二雄ねじ部2bの始端20も食い込ませることができる。またこのとき、薄板6の孔縁に対してねじ1の軸部3の中間部分32の外周面を押し当てやすい。また、第四態様のねじ1の取付構造では、薄板6に対してねじ1を軸部3の第二部分31までねじ込んだ場合には、薄板6に形成された貫通孔60の孔縁に対して、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの両方を食い込ませることができるうえ、第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bのうち少なくとも一方を、薄板6の貫通孔60の孔縁に対してより深く食い込ませることができる。そのため、第四態様のねじ1の取付構造では、薄板6に対してもねじ1が食い込みやすくて、締結状態が安定しやすい。
【0116】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第五態様のねじ1の取付構造は、第四態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0117】
すなわち、第五態様のねじ1の取付構造では、ねじ1の頭部4のうち先端側を向く面が取付部材7に当たっている。
【0118】
上記構成を備える第五態様のねじ1の取付構造では、ねじ1の頭部4が取付部材7に当たることで、頭部4との摩擦によってねじ1の緩み止めが行えて、締結状態が更に安定しやすい。
【0119】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第六態様のねじ1の取付構造は、第五態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0120】
すなわち、第六態様のねじ1の取付構造では、ねじ1は、頭部4の前記先端側を向く面に設けられたリブ410を備える。リブ410が取付部材7に当たっている。
【0121】
上記構成を備える第六態様のねじ1の取付構造では、リブ410が取付部材7に当たることで、リブ410によってねじ1の緩み止めが行えて、締結状態が更に安定しやすい。
【0122】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第七態様のねじ1の取付構造は、第四から第六のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0123】
すなわち、第七態様のねじ1の取付構造では、ねじ1の第二部分31における第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bが、薄板6に食い込んでいる。
【0124】
上記構成を備える第七態様のねじ1の取付構造では、薄板6の貫通孔60の孔縁に対して、第二雄ねじ部2bが巻く方向に長く(つまり第二雄ねじ部2bの始端20だけが引っ掛かる状態に比べて長く)引っ掛かりやすくて、締結状態がより安定しやすい。
【0125】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第八態様のねじ1の取付構造は、第四から第七のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0126】
すなわち、第八態様のねじ1の取付構造では、前記軸方向における第一雄ねじ部2aと第二雄ねじ部2bの隣接するねじ山の頂点間の距離L8は、薄板6の厚みよりも短い。
【0127】
上記構成を備える第八態様のねじ1の取付構造では、薄板6の貫通孔60の孔縁の周方向の少なくとも一部で、第一雄ねじ部2aによって形成されるタッピング溝と第二雄ねじ部2bによって形成されるタッピング溝とが軸方向に並ぶ。そのため、第八態様のねじ1の取付構造では、二条のタッピング溝が軸方向に並ぶ部分では、薄板6へのねじ1の掛かりがより強くなるため、締結状態が更に安定しやすい。
【0128】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第九態様のねじ1の取付構造は、第四から第八のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0129】
すなわち、第九態様のねじ1の取付構造では、薄板6の厚みは、0.6mm以上1.6mm以下である。
【0130】
上記構成を備える第九態様のねじ1の取付構造では、厚みが0.6mm以上1.6mm以下といった薄厚の薄板6であってもねじ1が食い込みやすくて、締結状態が安定しやすい。
【0131】
また、上述した実施形態2及びその変形例のように、第十態様のねじ1の取付構造は、第四から第九のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0132】
すなわち、第十態様のねじ1の取付構造では、薄板6は、一対の金属外皮10,11の間に芯材12を挟んだサンドイッチパネル9の、金属外皮10である。取付部材7は、一対の金属外皮10,11を連結するようにサンドイッチパネル9に取り付けられる連結部材13である。
【0133】
上記構成を備える第十態様のねじ1の取付構造では、サンドイッチパネル9の金属外皮10と連結部材13とをねじ1によって安定して締結することができるため、サンドイッチパネル9が風を受けるなどして揺れてもねじ1が緩みにくい。
【0134】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例のように、第十一態様のねじ1の取付構造は、第四から第十のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0135】
すなわち、第十一態様のねじ1の取付構造は、薄板6と取付部材7の間に位置する板状の補強材8を更に備える。補強材8は、薄板6に貼り付けられている。
【0136】
上記構成を備える第十一態様のねじ1の取付構造では、薄板6だけでなく補強材8に対しても雄ねじ部2a,2bの両方を食い込ませることができるため、締結状態が更に安定しやすい。
【0137】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0138】
1 ねじ
2 雄ねじ
2a 第一雄ねじ部
2b 第二雄ねじ部
20 始端
3 軸部
30 第一部分
31 第二部分
32 中間部分
4 頭部
410 リブ
6 薄板
7 取付部材
8 補強材
9 サンドイッチパネル
10 金属外皮
11 金属外皮
12 芯材
13 連結部材
L8 距離