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特開2024-65805ロボット装置を用いた切削加工システム及び切削工具、切削加工方法
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  • 特開-ロボット装置を用いた切削加工システム及び切削工具、切削加工方法 図1
  • 特開-ロボット装置を用いた切削加工システム及び切削工具、切削加工方法 図2
  • 特開-ロボット装置を用いた切削加工システム及び切削工具、切削加工方法 図3
  • 特開-ロボット装置を用いた切削加工システム及び切削工具、切削加工方法 図4
  • 特開-ロボット装置を用いた切削加工システム及び切削工具、切削加工方法 図5
  • 特開-ロボット装置を用いた切削加工システム及び切削工具、切削加工方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065805
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ロボット装置を用いた切削加工システム及び切削工具、切削加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/00 20060101AFI20240508BHJP
   B23C 9/00 20060101ALI20240508BHJP
   B23C 3/12 20060101ALI20240508BHJP
   B23C 5/10 20060101ALI20240508BHJP
   B23B 27/14 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B23C3/00
B23C9/00 Z
B23C3/12 B
B23C3/12 C
B23C5/10 Z
B23B27/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174845
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】392035352
【氏名又は名称】株式会社豊電子工業
(71)【出願人】
【識別番号】000103367
【氏名又は名称】オーエスジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】松尾 大介
【テーマコード(参考)】
3C022
3C046
【Fターム(参考)】
3C022AA08
3C022AA10
3C022DD11
3C022KK04
3C022KK28
3C046AA13
3C046BB02
3C046CC05
(57)【要約】
【課題】多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いた切削加工システム及び切削加工方法において、アルミニウム合金、鉄、鋳鉄などの金属製の硬質ワークを加工する場合であっても、加工精度を保持しつつ、加工送り速度を高速化させ、高効率化を図る。
【解決手段】ロボット装置1は、ロボットアーム2と、筐体3とを有し、ロボットアーム2が、ロボットアーム2に取り付けられている切削工具5を回転させることで加工対象物であるワークWの切削加工を行う。そして、切削工具5の切刃11において、マージン幅14は0.1~0.3mm、外周二番角15は5~20°である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いてワークを切削加工する切削加工システムであって、
前記ロボットアームは、先端に装着した切削工具を回転させて前記ワークの切削加工が可能であり、
前記切削工具は、螺旋状に形成される複数の切刃からなる刃部と、前記刃部に連設されて前記ロボットアームに装着されるシャンク部とを有し、
前記刃部の全体形状は、先端に向かって先細りとなるテーパ状に形成されている一方、
切削加工時における前記ワークに対する前記切刃の外周接地面積が大きくなるように、各前記切刃のマージン幅が設定されていることを特徴とする切削加工システム。
【請求項2】
各前記切刃のマージン幅は、0.1~0.3mmの範囲で設定されていることを特徴とする請求項1に記載の切削加工システム。
【請求項3】
各前記切刃が鈍角となるように、各前記切刃には、前記マージン幅から連なり各前記切刃の逃げを形成する外周二番角が設定され、
前記外周二番角は、5~20°の範囲で設定されていることを特徴とする請求項1に記載の切削加工システム。
【請求項4】
前記刃部の軸線に対するテーパ角は、5~10°であることを特徴とする請求項1に記載の切削加工システム。
【請求項5】
前記切削工具の回転数は、20000rpm~70000rpmであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の切削加工システム。
【請求項6】
多関節構造のロボットアームを有してワークの切削加工に使用されるロボット装置の前記ロボットアームに装着される切削工具であって、
螺旋状に形成される複数の切刃からなる刃部と、前記刃部に連設されて前記ロボットアームに装着されるシャンク部とを有し、
前記刃部の全体形状は、先端に向かって先細りとなるテーパ状に形成されている一方、
切削加工時における前記ワークに対する前記切刃の外周接地面積が大きくなるように、各前記切刃のマージン幅が設定されていることを特徴とする切削工具。
【請求項7】
各前記切刃のマージン幅は、0.1~0.3mmの範囲で設定されていることを特徴とする請求項6に記載の切削工具。
【請求項8】
各前記切刃が鈍角となるように、各前記切刃には、前記マージン幅から連なり各前記切刃の逃げを形成する外周二番角が設定され、
前記外周二番角は、5~20°の範囲で設定されていることを特徴とする請求項6に記載の切削工具。
【請求項9】
前記刃部の軸線に対するテーパ角は、5~10°であることを特徴とする請求項6に記載の切削工具。
【請求項10】
多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いてワークを切削加工する切削加工方法であって、
前記ロボットアームに、請求項6乃至9に記載の切削工具を装着し、前記切削工具を回転させて前記ワークを切削加工することを特徴とする切削加工方法。
【請求項11】
前記切削工具の回転数は、20000rpm~70000rpmであることを特徴とする請求項10に記載の切削加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いて、加工対象のワークにミーリング加工、バリ取り加工、トリミング加工、面取り加工、横引き旋削加工などの切削加工を行う切削加工システム及び切削工具、切削加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切削加工を行う際に、マシニングセンタなどの工作機械を用いた手法が広く知られている。しかし、工作機械による切削加工は、加工対象のワークにアプローチできる範囲が限定的であるため、加工の動作自由度向上が求められている。また、工作機械の設置には、広大なスペースが必要であるため省スペース化が求められている。
そこで、動作自由度の向上及び省スペース化を課題とする多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いた切削加工システムが考案されている。例えば、特許文献1に記載の多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いた切削加工システムは、工具からロボットのアームに負荷される力に基づいてアームを制御する力制御と、アームに取付けられた倣いガイドと機械加工物側に設置される倣い型とを接触させながらアームを移動させる外形倣い加工の併用によって、ロボットアームによる外形トリム加工等の重切削機械加工を行うことができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2018/123251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いた切削加工システムにおいて、樹脂及びガラスなどの非金属物をワークとする場合、切削加工を高速化してもワークが軟質あるいは脆質であり、ワークからの反力が小さくその影響を受けにくい。そのため、比較的スムーズに切削加工を行うことが可能である。
一方、アルミニウム合金、鉄などの金属ワークとなる場合、ワークからの反力が大きくなりその影響を受けやすい。多関節構造のロボットアームはその特性上、工作機械に比べて剛性が低いため、ワークからの反力に耐えられなくなると、びびり振動が発生して加工精度に影響を及ぼしたり、途中停止したりして安定した加工ができなくなってしまう。よって、切削加工を高速化することは容易ではなかった。
近年では、多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いた切削加工分野においては、動作自由度の向上及び省スペース化以外にも、更に、切削加工の高能率化が強く望まれているのが現状である。
加えて、工作機械であれば、高速高送り加工のためには、エンドミル等の切削工具の加工熱や摩擦熱による発熱を減らすために、加工時におけるワークに対する外周接地面積を減らす工具形状、すなわち、刃先先端を鋭利にして切削力を高めた工具形状とすることが一般的である。それに対して、多関節構造のロボットアームを用いたロボットシステムにおいて、切削加工を高速化するために、刃先先端を鋭利にして切削力を高めた工具を用いても、ロボットアームの剛性不足により鋭利さによる切削力を活かしきれず、びびり振動の発生やワークに刃先が食い込むことによる途中停止の原因となる。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題に鑑み、ロボット装置を用いた切削加工システム及び切削加工方法は、螺旋状に形成される四枚の切刃からなる刃部を有し、マージン幅が0.1~0.3mmの範囲で設定されて、外周二番角が5~20°の範囲で設定される切削工具を用いることで、切刃のワークへの外周接地面積が増加する。そのため、切れ刃の加工物への食い込みが生じなくなり、再生びびり振動の減衰作用も伴うようになる。したがって、アルミニウム合金、鉄、鋳鉄などの金属製の硬質ワークを加工する場合であっても、ロボットアームにかかるワークからの反力の影響を強めることなく切削加工時の回転数を高くすることが可能である。よって、加工精度を保持しつつ、加工送り速度を高速化させることができ、切削加工システム及び切削加工方法の高能率化を図ることができる。また、回転数を高くすることで、切削速度が増加して、切りくず生成時のせん断角が大きくなり、切りくずは薄くなるので、せん断変形に要する切削力の反作用である反力を抑制するという付随効果も生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る切削加工システムは、多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いてワークを切削加工する切削加工システムであって、ロボットアームは、先端に装着した切削工具を回転させてワークの切削加工が可能であり、切削工具は、螺旋状に形成される複数の切刃からなる刃部と、刃部に連設されてロボットアームに装着されるシャンク部とを有し、刃部の全体形状は、先端に向かって先細りとなるテーパ状に形成されている一方、切削加工時におけるワークに対する切刃の外周接地面積が大きくなるように、各切刃のマージン幅が設定されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、各切刃のマージン幅は、0.1~0.3mmの範囲で設定されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、各切刃が鈍角となるように、各切刃には、マージン幅から連なり各切刃の逃げを形成する外周二番角が設定され、外周二番角は、5~20°の範囲で設定されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、刃部の軸線に対するテーパ角は、5~10°であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4に記載の発明において、切削工具の回転数は、20000rpm~70000rpmであることを特徴とする。
【0007】
請求項6に記載の発明は、多関節構造のロボットアームを有してワークの切削加工に使用されるロボット装置のロボットアームに装着される切削工具であって、螺旋状に形成される複数の切刃からなる刃部と、刃部に連設されてロボットアームに装着されるシャンク部とを有し、刃部の全体形状は、先端に向かって先細りとなるテーパ状に形成されている一方、切削加工時におけるワークに対する切刃の外周接地面積が大きくなるように、各切刃のマージン幅が設定されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、各切刃のマージン幅は、0.1~0.3mmの範囲で設定されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、各切刃が鈍角となるように、各切刃には、マージン幅から連なり各切刃の逃げを形成する外周二番角が設定され、外周二番角は、5~20°の範囲で設定されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、刃部の軸線に対するテーパ角は、5~10°であることを特徴とする。
【0008】
請求項10に記載の発明は、多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いてワークを切削加工する切削加工方法であって、ロボットアームに、請求項6乃至9に記載の切削工具を装着し、切削工具を回転させてワークを切削加工することを特徴とする切削加工方法。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、切削工具の回転数は、20000rpm~70000rpmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アルミニウム合金、鉄、鋳鉄などの金属製の硬質ワークを加工する場合であっても、ワークに対する外周接地面積が敢えて増加する設定の切削工具をロボットシステムに組み込んでいる。そのため、ロボットアームにかかるワークからの反力の影響を強めることなく切削加工時の回転数を高くすることが可能である。よって、加工精度を保持しつつ、加工送り速度を高速化させることができ、切削加工システムの高能率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るロボット装置の斜視図である。
図2】実施形態における切削工具の側面図である。
図3】実施形態における切削工具の刃先を正面視した拡大図である。
図4図3におけるA部分拡大図である。
図5】実施形態における切削工具の回転数が20000rpmである際の負荷電流を表したグラフである。
図6】実施形態における切削工具の回転数が40000rpmである際の負荷電流を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態(以下、本実施例)を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に関するロボット装置1の一例を示した説明図である。
ロボット装置1は、ロボットアーム2と、筐体3とを有し、加工対象物であるワークWを切削加工する。ここでは、切削加工として、ミーリング加工、バリ取り加工、トリミング加工、面取り加工、横引き旋削加工などがあげられる。
【0012】
ロボットアーム2は、多関節構造になっており、可動域において自在に操作可能である。また、ロボットアーム2は、フローティング機構を有するスピンドル4と、スピンドル4に取り付けられ、ワークWを切削加工するための切削工具5とを有する。そして、ロボットアーム2は、切削工具5を回転させてワークWを切削加工する。スピンドル4が有しているフローティング機構は、傾動型であって、スピンドル4に取り付けられた切削工具5がワークWに合わせて傾いて、切削加工動作を安定させる。切削工具5の構造は追って記述する。
【0013】
筐体3は、ロボットアーム2が接続されているとともに、ワークWを配置するための作業台6と、ロボットアーム2の動作を所定の加工プログラムに基づいて制御する制御部7とを有する。
ワークWの材質としては、アルミニウム合金、鉄、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄等の金属の他、切削加工の対象となる材質であれば、任意の材質、例えば非金属物質である樹脂等を切削加工の対象とすることができる。
【0014】
図2及び図3は、切削工具5の構造を示す説明図であって、図2は側面図、図3は刃先を正面視した図である。図4は、図3におけるA部分拡大図である。
切削工具5は螺旋状に形成される四枚の切刃11からなる刃部12と、刃部12に連設されて、ロボットアーム2に装着されるシャンク部13とを有するエンドミルである。刃部12は、先端に向かって先細りとなるテーパ状に形成されている。
【0015】
そして、アルミニウム合金等の金属であるワークWを高い回転数で切削加工する際に、ワークWからロボットアーム2へ生じる反力を低減するために、切削工具5のマージン幅14が広く取られている。マージン幅14は、図4に示すように切刃11に連なり逃げが付いていない部分の幅である。マージン幅14は、0.1~0.3mmであることが好ましく、0.1~0.25mmであることがより好ましい。マージン幅14が広く取られることで、十分な外周接地面積が得られ、切削加工時における剛性の向上に繋がり、びびり振動を抑制できるため、高速加工が可能となる。
【0016】
また、外周二番角15は、切刃11が鈍角になるように角度がつけられている。外周二番角15は、マージン幅14に連なり、切刃11の逃げ角である。外周二番角15は、5~20°であることが好ましく、10~15°であることがより好ましい。外周二番角15が上記の寸法であって、切刃11が鈍角になることで、必要な切削力を確保したうえで、刃の厚みが増し、切削加工時における切削工具5の剛性が向上して、びびり振動を抑制できるため、高速加工が可能となる。
【0017】
また、刃部12のねじれの向きは、切刃11の向きと逆になっていることが好ましい。すなわち、右刃左ねじれ、又は左刃右ねじれとなっていることが好ましい。この場合、切削加工時に切削工具5をスピンドル4側に押し返す力が発生するため、切削工具5の離脱を防止できると共に主軸剛性が向上する。また、切りくずが切削工具5の先端側に排出されるため、切りくずの回収が容易となる。
また、切削工具5において、軸径16がφ1~3mm、シャンク径17がφ8~12mm、テーパ角18が5~10°、ねじれ角19が20~50°であることがより好ましい。
【0018】
以下、ワークWがアルミニウム合金(ADC12)である場合において、本実施例のロボット装置1が実際にワークWを切削加工(バリ取り加工)する際の実測結果に基づいて説明する。
尚、以下の実測結果を計測した際の切削工具5は、螺旋状に形成される4枚の切刃11からなり、切刃11の向きが右刃であって、刃部12のねじれの向きが左であるエンドミルである。また、実測結果を計測した際の切削工具5の寸法は、各切刃11のマージン幅14が0.12mm、各切刃11の外周二番角15が15°、軸径16がφ1.5mm、テーパ角18が8.5°、ねじれ角19が45°である。
【0019】
まず、ロボット装置1の切削加工時において、切削工具5がワークWから受ける抵抗によって生じる負荷電流を表すグラフを図5及び図6に示す。図5は、切削工具5の回転数が20000rpmである場合、図6は、切削工具5の回転数が40000rpmである場合を示す。また、図5及び図6において、0~1000msの範囲における電流値は、スピンドル開始時において発生する負荷によるものである。したがって、切削加工の影響による負荷電流ではないため、以下の説明において考慮しない。
【0020】
図5及び図6から、ロボット装置1による切削加工は、切削工具5の回転数が20000rpm及び40000rpmである場合において、電流過負荷によって止まらずに、ワークWに切削工具5が安定して接地しており、最後まで加工ができていることがわかる。
具体的な加工送り速度は、切削工具5の回転数が20000rpmの場合、直線部では450mm/s、堰部では75mm/s、曲線部では225mm/sである。また、加工送り速度は、切削工具5の回転数が40000rpmの場合、直線部では600mm/s、堰部では100mm/s、曲線部では300mm/sである。
尚、上述した実測結果を計測した際に切削除去をしたワークWのバリは、直線部及び曲線部において、厚みが0.1~0.5mmであった。また、上述した実測結果を計測した際に切削除去をしたワークWのバリは、堰部において、厚みが1.0~3.0mmであった。
【0021】
上述したような、実施形態におけるロボット装置1を用いた切削加工システム及び切削加工方法は、螺旋状に形成される四枚の切刃11からなる刃部12を有し、マージン幅14が0.1~0.3mmの範囲で設定されて、外周二番角15が5~20°の範囲で設定される切削工具5を用いることで、切刃11のワークWへの外周接地面積が増加する。そのため、アルミニウム合金、鉄、鋳鉄などの金属製の硬質ワークWを加工する場合であっても、ロボットアーム2にかかるワークWからの反力の影響を強めることなく切削加工時の回転数を高くすることが可能である。よって、加工精度を保持しつつ、加工送り速度を高速化させることができ、切削加工システム及び切削加工方法の高能率化を図ることができる。
【0022】
なお、本発明に係る多関節構造のロボットアームを有するロボット装置を用いた切削加工システムは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、切削加工システムの全体的な構成は勿論、切削工具に係る構成等についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0023】
例えば、ロボットアームに取り付けられる切削工具は、本実施例において螺旋状に形成される4枚の切刃を有しているが、2枚又は3枚の切刃であっても良い。
また、制御部は、ロボット装置と別体である構造であっても良い。例えばコンピュータ等の外部装置を制御部とすることがあげられる。
また、実施形態において回転数が20000~40000rpmの範囲で切削加工しているが、回転数が70000rpmまでの範囲であれば、任意の回転数で切削加工を行うことができる。
【符号の説明】
【0024】
1・・ロボット装置、2・・ロボットアーム、3・・筐体、4・・スピンドル、5・・切削工具、6・・作業台、7・・制御部、11・・切刃、12・・刃部、13・・シャンク部、14・・マージン幅、15・・外周二番角、16・・軸径、17・・シャンク径、18・・テーパ角、19・・ねじれ角、W・・ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6