(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065808
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240508BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G15/02 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174848
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 亮太
(72)【発明者】
【氏名】赤木 宏仁
(72)【発明者】
【氏名】山城 準
(72)【発明者】
【氏名】山路 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】井上 恵太
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H200FA18
2H200HA03
2H200HA30
2H200HB12
2H200HB48
2H200NA02
2H200PB05
2H270LA03
2H270LA04
2H270MA01
2H270MA14
2H270MB25
2H270MB43
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流に相当する物理量を取得することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】プリンタ1は、帯電ローラ52と、グランドに接続された感光体ドラム51と、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像に現像剤を担持させて静電潜像を現像する現像ローラ55と、トランス174の一端T1からの電圧に基づいて生成した帯電電圧CHGを帯電ローラ52に印加する帯電電圧印加回路170と、帯電電圧印加回路170により生成された帯電電圧CHGを、グランドの電位を基準として分圧して、現像電圧DEVを生成する現像電圧印加回路190と、トランス174の他端T2と接続され、トランス174の他端T2に向けて流れる帰還電流に応じた信号SirをCPU101に出力する帰還電流検出回路180と、帰還電流検出回路180からの信号Sirに基づいて帰還電流値を取得するCPU101と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電ローラと、
前記帯電ローラにより帯電された表面に静電潜像が形成される感光体ドラムであって、グランドに電気的に接続された感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面に形成された静電潜像に現像剤を担持させて静電潜像を現像する現像ローラと、
一端から電圧を出力するトランスを有し、前記電圧に基づいて帯電電圧を生成し、生成した前記帯電電圧を前記帯電ローラに印加する帯電電圧印加回路と、
前記現像ローラに現像電圧を印加する、前記グランドに電気的に接続された現像電圧印加回路であって、前記帯電電圧印加回路により生成された前記帯電電圧を、前記グランドの電位を基準として分圧して、前記現像電圧を生成する現像電圧印加回路と、
制御部と、
前記トランスの他端と電気的に接続された帰還電流検出回路であって、前記トランスの前記他端に向けて流れる帰還電流に応じた信号を前記制御部に出力する帰還電流検出回路と、
を備え、
前記制御部は、
前記帰還電流検出回路から出力された前記信号に基づいて前記帰還電流値を取得する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像電圧印加回路は、
前記制御部から入力される制御信号に応じて前記現像電圧を生成可能に構成され、
前記制御部は、
画像形成動作を実行する前に、
前記現像電圧印加回路が前記現像電圧が0Vとなるような前記制御信号を出力した状態で、前記帯電電圧印加回路に対して第1帯電電圧を生成させる第1印加制御を行って、前記帰還電流値を取得し、
前記第1印加制御時における前記帯電電圧印加回路から前記現像電圧印加回路に向けて流れる電流値と、前記第1印加制御において取得した前記帰還電流値と、に基づいて前記帯電ローラに流れる帯電電流値を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電電流の目標値が予め設定され、
前記制御部は、
決定した前記帯電電流値が前記目標値になっているか否かを判断し、前記目標値になっていない場合は、前記帯電電圧印加回路を制御して、前記目標値になるように前記帯電電圧印加回路から第2帯電電圧を生成させ、
画像形成動作を実行する際、
前記帯電電流値が前記目標値になった段階で、前記帯電電圧印加回路が生成する前記第2帯電電圧の下で、前記現像電圧印加回路による前記現像電圧の生成を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帰還電流の目標値が予め設定され、
前記現像電圧印加回路は、
前記制御部から入力される制御信号に応じて前記現像電圧を生成可能に構成され、
前記制御部は、
画像形成動作を実行する前に、
前記現像電圧印加回路が前記現像電圧が0Vとなるような前記制御信号を出力した
状態で、前記帯電電圧印加回路から第1帯電電圧を印加させる第1印加制御を行って、前記帰還電流値を取得し、
前記帰還電流値が前記目標値になっているか否かを判断し、前記目標値になっていない場合は、前記帯電電圧印加回路を制御して、前記目標値になるように前記帯電電圧印加回路から第2帯電電圧を生成させ、
画像形成動作を実行する際、
前記帰還電流値が前記目標値になった段階で、前記帯電電圧印加回路が生成する前記第2帯電電圧の下で、前記現像電圧印加回路による前記現像電圧の生成を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トランスは、
1次巻線と2次巻線とからなり、前記2次巻線の一端から前記電圧を出力し、前記2次巻線の他端は、前記帰還電流検出回路を介して前記グランドに電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電電圧印加回路は、
前記電圧を整流及び平滑して生成された直流電圧である前記帯電電圧を、前記帯電ローラに印加する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記帰還電流検出回路は、
電源と、前記電源と前記グランドとの間に直列に接続された第1抵抗及び第2抵抗と、を有し、
前記トランスの前記他端は、前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点と電気的に接続され、
前記制御部は、
前記電源の電源電圧が前記第1抵抗と前記第2抵抗とにより分圧された電圧に基づいて前記帰還電流値を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帰還電流検出回路は、
電源と、一端が前記電源と電気的に接続された第1抵抗と、を有し、
前記トランスの前記他端は、前記第1抵抗の他端と電気的に接続され、
前記制御部は、
前記電源によって前記第1抵抗に印加された電圧に基づいて前記帰還電流値を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記帰還電流検出回路は、
一端が前記グランドと電気的に接続された第2抵抗を有し、
前記トランスの前記他端は、前記第2抵抗の他端と電気的に接続され、
前記制御部は、
前記第2抵抗に印加された電圧を反転した電圧に基づいて前記帰還電流値を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記帯電電圧印加回路は、定電圧制御で駆動される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置は、モノクロ画像形成装置であり、
前記帯電ローラ、前記感光体ドラム、前記帯電電圧印加回路、前記現像電圧印加回路及び前記帰還電流検出回路はそれぞれ、1色に対応する1つの帯電ローラ、感光体ドラム、帯電電圧印加回路、現像電圧印加回路及び帰還電流検出回路により構成される、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成装置は、カラー画像形成装置であり、
前記帯電ローラ、前記感光体ドラム、前記帯電電圧印加回路、前記現像電圧印加回路及び前記帰還電流検出回路はそれぞれ、複数の色に対応する複数の帯電ローラ、感光体ドラム、帯電電圧印加回路、現像電圧印加回路及び帰還電流検出回路により構成される、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、帯電ローラにより感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スコロトロン型帯電器を用いて感光体ドラムの表面を帯電するようにした画像形成装置が記載されている。この画像形成装置は、スコロトロン型帯電器を構成するグリッドに流れるグリッド電流を測定することで、その帯電器から感光体ドラムに向けて流れる帯電電流に相当する物理量を取得するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スコロトロン型帯電器に替えて帯電ローラを用いて感光体ドラムの表面を帯電するようにした場合、帯電ローラにはスコロトロン型帯電器のようなグリッドは存在しないので、グリッド電流を測定することで、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流に相当する物理量を取得することはできない。
【0005】
本願は、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流に相当する物理量を取得することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の画像形成装置は、帯電ローラと、帯電ローラにより帯電された表面に静電潜像が形成される感光体ドラムであって、グランドに電気的に接続された感光体ドラムと、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像に現像剤を担持させて静電潜像を現像する現像ローラと、一端から電圧を出力するトランスを有し、電圧に基づいて帯電電圧を生成し、生成した帯電電圧を帯電ローラに印加する帯電電圧印加回路と、現像ローラに現像電圧を印加する、グランドに電気的に接続された現像電圧印加回路であって、帯電電圧印加回路により生成された帯電電圧を、グランドの電位を基準として分圧して、現像電圧を生成する現像電圧印加回路と、制御部と、トランスの他端と電気的に接続された帰還電流検出回路であって、トランスの他端に向けて流れる帰還電流に応じた信号を制御部に出力する帰還電流検出回路と、を備え、制御部は、帰還電流検出回路から出力された信号に基づいて帰還電流値を取得する、ことを特徴とする。
【0007】
本願の画像形成装置では、帰還電流検出回路が検出する帰還電流は、トランスの一端から帯電ローラと感光体ドラムとグランドとを経由してトランスの他端に帰還する電流と、トランスの一端から現像電圧印加回路とグランドとを経由してトランスの他端に帰還する電流と、を加算した電流に相当する。したがって、このような帰還電流検出回路を備えることで、制御部は、帰還電流検出回路から出力された信号に基づいて帰還電流値を取得できるので、帰還電流に含まれる帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流に相当する物理量を取得することが可能となる。
【0008】
また、現像電圧印加回路は、制御部から入力される制御信号に応じて現像電圧を生成可能に構成され、制御部は、画像形成動作を実行する前に、現像電圧印加回路が現像電圧が
0Vとなるような制御信号を出力した状態で、帯電電圧印加回路に対して第1帯電電圧を生成させる第1印加制御を行って、帰還電流値を取得し、第1印加制御時における帯電電圧印加回路から現像電圧印加回路に向けて流れる電流値と、第1印加制御において取得した帰還電流値と、に基づいて帯電ローラに流れる帯電電流値を決定する、ことを特徴とする。
【0009】
第1印加制御時における帰還電流は、帯電電流と現像電流(固定値)とを加算した電流に相当する。現像電流(固定値)が固定の電流値であるのは、第1印加制御時における帯電電圧印加回路から現像電圧印加回路に向けて流れる現像電流は、現像電圧印加回路が現像電圧として0Vを出力しているときに、帯電電圧印加回路から現像電圧印加回路に向けて流れる現像電流であるからである。したがって、制御部は、現像電流値(固定値)と帰還電流値とに基づいて、帯電電流値を決定することができる。
【0010】
また、帯電電流の目標値が予め設定され、制御部は、決定した帯電電流値が目標値になっているか否かを判断し、目標値になっていない場合は、帯電電圧印加回路を制御して、目標値になるように帯電電圧印加回路から第2帯電電圧を生成させ、画像形成動作を実行する際、帯電電流値が目標値になった段階で、帯電電圧印加回路が生成する第2帯電電圧の下で、現像電圧印加回路による現像電圧の生成を行う、ことを特徴とする。
【0011】
これにより、画像形成動作を実行する際、帯電電流値が目標値になった段階で、帯電電圧印加回路が生成する第2帯電電圧の下で、現像電圧印加回路による現像電圧の生成が行われる。したがって、帯電電流の目標値として、所望の値とするものを予め設定しておけば、所望の値の帯電電流が帯電ローラと感光体ドラムとの間を流れた状態で画像形成動作を実行することが可能となる。
【0012】
また、帰還電流の目標値が予め設定され、現像電圧印加回路は、制御部から入力される制御信号に応じて現像電圧を生成可能に構成され、制御部は、画像形成動作を実行する前に、現像電圧印加回路が現像電圧が0Vとなるような制御信号を出力した状態で、帯電電圧印加回路から第1帯電電圧を印加させる第1印加制御を行って、帰還電流値を取得し、帰還電流値が目標値になっているか否かを判断し、目標値になっていない場合は、帯電電圧印加回路を制御して、目標値になるように帯電電圧印加回路から第2帯電電圧を生成させ、画像形成動作を実行する際、帰還電流値が目標値になった段階で、帯電電圧印加回路が生成する第2帯電電圧の下で、現像電圧印加回路による現像電圧の生成を行う、ことを特徴とする。
【0013】
これにより、画像形成動作を実行する際、帰還電流値が目標値になった段階で、帯電電圧印加回路が生成する第2帯電電圧の下で、現像電圧印加回路による現像電圧の生成が行われる。したがって、帰還電流の目標値として、帯電電流を所望の値とするものを予め設定しておけば、所望の値の帯電電流が帯電ローラと感光体ドラムとの間を流れた状態で画像形成動作を実行することが可能となる。
【0014】
また、トランスは、1次巻線と2次巻線とからなり、2次巻線の一端から電圧を出力し、2次巻線の他端は、帰還電流検出回路を介してグランドに電気的に接続される、ことを特徴とする。
【0015】
これにより、2次巻線の一端に印加された電圧により発生した電流は、2次巻線の一端から帯電ローラと感光体ドラムとグランドとを経由して帰還電流検出回路に流れ込んだ後、2次巻線の他端に帰還するとともに、2次巻線の一端から現像電圧印加回路とグランドとを経由して帰還電流検出回路に流れ込んだ後、2次巻線の他端に帰還するので、帰還電流検出回路は、帰還電流を正しく検出することが可能となる。
【0016】
また、帯電電圧印加回路は、電圧を整流及び平滑して生成された直流電圧である帯電電圧を、帯電ローラに印加する、ことを特徴とする。
【0017】
これにより、帯電電圧印加回路は帯電ローラを均一に帯電させることが可能となる。
【0018】
また、帰還電流検出回路は、電源と、電源とグランドとの間に直列に接続された第1抵抗及び第2抵抗と、を有し、トランスの他端は、第1抵抗と第2抵抗との接続点と電気的に接続され、制御部は、電源の電源電圧が第1抵抗と第2抵抗とにより分圧された電圧に基づいて帰還電流値を取得する、ことを特徴とする。
【0019】
これにより、帰還電流検出回路は、帰還電流を電圧に変換して制御部に出力するので、制御部は、電流値より扱い易い電圧値に基づいて帰還電流値を取得することが可能となる。
【0020】
また、帰還電流検出回路は、電源と、一端が電源と電気的に接続された第1抵抗と、を有し、トランスの他端は、第1抵抗の他端と電気的に接続され、制御部は、電源によって第1抵抗に印加された電圧に基づいて帰還電流値を取得する、ことを特徴とする。
【0021】
これにより、帰還電流検出回路は、帰還電流を電圧に変換して制御部に出力するので、制御部は、電流値より扱い易い電圧値に基づいて帰還電流値を取得することが可能となる。
【0022】
また、帰還電流検出回路は、一端がグランドと電気的に接続された第2抵抗を有し、トランスの他端は、第2抵抗の他端と電気的に接続され、制御部は、第2抵抗に印加された電圧を反転した電圧に基づいて帰還電流値を取得する、ことを特徴とする。
【0023】
これにより、帰還電流検出回路は、帰還電流を電圧に変換して制御部に出力するので、制御部は、電流値より扱い易い電圧値に基づいて帰還電流値を取得することが可能となる。
【0024】
また、帯電電圧印加回路は、定電圧制御で駆動される、ことを特徴とする。
【0025】
これにより、帯電電圧印加回路は、定電圧の帯電電圧を生成して、帯電ローラに印加することが可能となる。
【0026】
また、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置であり、帯電ローラ、感光体ドラム、帯電電圧印加回路、現像電圧印加回路及び帰還電流検出回路はそれぞれ、1色に対応する1つの帯電ローラ、感光体ドラム、帯電電圧印加回路、現像電圧印加回路及び帰還電流検出回路により構成される、ことを特徴とする。
【0027】
これにより、モノクロ画像形成装置についても、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流に相当する物理量を取得することが可能となる。
【0028】
また、画像形成装置は、カラー画像形成装置であり、帯電ローラ、感光体ドラム、帯電電圧印加回路、現像電圧印加回路及び帰還電流検出回路はそれぞれ、複数の色に対応する複数の帯電ローラ、感光体ドラム、帯電電圧印加回路、現像電圧印加回路及び帰還電流検出回路により構成される、ことを特徴とする。
【0029】
これにより、カラー画像形成装置についても、各帯電ローラから各感光体ドラムに流れ
る各帯電電流に相当する物理量を取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本願の第1実施形態に係るモノクロレーザプリンタの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1のモノクロレーザプリンタの制御構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のモノクロレーザプリンタの高圧電源装置の概略構成及び高圧電源装置に関連する接続構成を示す図である。
【
図4】
図1のモノクロレーザプリンタに含まれるASIC、特にCPUが実行する画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図3中の帰還電流検出回路に流れる帰還電流の推移の一例を示す図である。
【
図6】本願の第2実施形態に係るモノクロレーザプリンタに含まれるASIC、特にCPUが実行する画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】本願の第3実施形態に係る帰還電流検出回路の構成((a))及び本願の第4実施形態に係る帰還電流検出回路の構成((b))を示す図である。
【
図8】本願の第5実施形態に係る高圧電源装置の概略構成及び高圧電源装置に関連する接続構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1は、本願の第1実施形態に係るモノクロレーザプリンタ1の概略構成を示す断面図である。モノクロレーザプリンタ1は、画像形成装置の一例である。以下、モノクロレーザプリンタ1をプリンタ1と略して言う。プリンタ1は、装置本体2と、搬送部3と、画像形成部4と、定着器6と、操作パネルPAとを備えている。以下、説明の便宜上、
図1の矢印で示されるように、プリンタ1の上下方向、及び前後方向を定義する。
【0033】
装置本体2は、フロントカバー21と、供給トレイ31と、排出トレイ22と、搬送経路201と、再搬送経路202とを有している。フロントカバー21は、装置本体2の前面に開閉可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31は、装置本体2の下部に着脱可能な状態で取り付けられている。供給トレイ31には、シートPが載置される。シートPは、A4サイズ等の定型シートである。シートPは、例えば、普通紙、厚紙等の紙媒体であるが、これに限らず、OHPフィルムであってもよい。排出トレイ22は、装置本体2の上部に設けられ、排出トレイ22には、画像が形成されたシートPが載置される。
【0034】
搬送経路201は、供給トレイ31に載置されたシートPを、画像形成部4を経由して排出トレイ22へ向けて搬送するための経路である。再搬送経路202は、一方の面に画像が形成されたシートPを、搬送方向とは逆方向に搬送して、再び画像形成部4に向けて搬送するための経路である。再搬送経路202は、合流位置Cにおいて搬送経路201から分岐し、レジ前センサSE1の付近で搬送経路201に合流している。
【0035】
搬送部3は、ピックアップローラ33、分離ローラ34、レジストレーションローラ35、搬送ローラ36、排出ローラ85、再搬送ローラ38,39、及びメインモータ108(
図2参照)を有している。
【0036】
ピックアップローラ33は、シート押圧板32により上方に押し上げられた供給トレイ31内のシートPをピックアップして、搬送経路201に向けて搬送する。分離ローラ34は、ピックアップローラ33がピックアップしたシートPを1枚ずつ分離する。
【0037】
レジストレーションローラ35は、搬送経路201において画像形成部4よりも上流側に配置されている。レジストレーションローラ35は、シートPの前端の方向を揃えた後、シートPを画像形成部4へ向けて搬送する。搬送ローラ36は、定着器6を通過後のシートPを、排出ローラ85へ搬送する。
【0038】
排出ローラ85は、搬送経路201において合流位置Cよりも下流側に配置されている。排出ローラ85は、駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対である。
【0039】
排出ローラ85は、正転することで、シートPを排出トレイ22に排出する。正転は、シートPを搬送方向に搬送する回転であり、装置本体2の左右方向を軸として反時計方向の回転に相当する。
【0040】
また、排出ローラ85は、正転とは逆方向の回転である反転することで、シートPを再搬送経路202へ搬送する。反転は、シートPを搬送方向とは逆方向に搬送する回転であり、装置本体2の左右方向を軸として時計方向の回転に相当する。
【0041】
再搬送経路202には、再搬送ローラ38,39が配置されている。再搬送ローラ38,39は、再搬送経路202に搬送されたシートPを、画像形成部4に向けて搬送する。再搬送ローラ38,39によって、一方の面に画像形成が行われたシートPを、再搬送経路202を経由して画像形成部4へ向けて再搬送することで、シートPの両面に画像形成を行うことが可能となっている。
【0042】
画像形成部4は、シートPに画像を形成するものであり、装置本体2内に収容されている。画像形成部4は、ドラムカートリッジ5及びレーザユニット7を有している。ドラムカートリッジ5は、感光体ドラム51と、トナー収容部57と、供給ローラ56と、現像ローラ55と、帯電ローラ52と、転写ローラ53と、ピンチローラ54とを有している。ドラムカートリッジ5は、フロントカバー21を開けることにより、装置本体2から取り外すことが可能となっている。ドラムカートリッジ5のピンチローラ54は、レジストレーションローラ35と対向している。ピンチローラ54は、レジストレーションローラ35の回転に従動して回転し、レジストレーションローラ35とともにシートPを搬送する。
【0043】
感光体ドラム51は、メインモータ108(
図2参照)から伝達される駆動力により、時計方向に回転することで、シートPを搬送方向に搬送する。感光体ドラム51では、シートPを搬送方向に搬送する回転である正転は、時計方向である。トナー収容部57には、トナーが収容されている。供給ローラ56は、トナー収容部57内のトナーを現像ローラ55に供給する。帯電ローラ52は、感光体ドラム51の表面を一様に帯電させる。
【0044】
感光体ドラム51に対向する位置には、転写ローラ53が配置されている。転写ローラ53は、搬送経路201における感光体ドラム51との間に転写ニップTNを形成する。なお、転写ローラ53の代わりに、転写ベルトを用いてもよい。
【0045】
装置本体2は、その内部における上部に、レーザユニット7を有している。レーザユニット7は、ポリゴンミラー131(
図2参照)、レーザ発光部132(
図2参照)、図示しないレンズ及び反射鏡等を有している。レーザユニット7は、レーザ発光部132から出射される画像データに基づくレーザ光(
図1の二点鎖線参照)が、感光体ドラム51の表面で高速走査されることで、感光体ドラム51の表面を露光する。
【0046】
感光体ドラム51の表面は、レーザユニット7により露光されることで、画像データに基づく静電潜像が形成される。現像ローラ55は、感光体ドラム51の表面に形成された
静電潜像にトナーを供給することで、感光体ドラム51の表面にトナー像を形成する。
【0047】
転写ローラ53には、図示しない電圧印加部により転写電圧が印加される。転写ローラ53は、感光体ドラム51との間でシートPを搬送することで、感光体ドラム51の表面に形成されたトナー像を、転写ニップTNを通過するシートPに転写する。このようにして、シートPへの画像形成が行われる。
【0048】
搬送経路201において画像形成部4よりも下流側には、定着器6が配置されている。定着器6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62と、ヒータ63と、温度センサ64(
図2参照)とを有している。加熱ローラ61は、シートPを加熱する。加圧ローラ62は、加熱ローラ61との間でニップNを形成し、シートPを加圧する。加圧ローラ62は、メインモータ108の駆動力により、反時計方向に回転する。加圧ローラ62では、シートPを搬送方向に搬送する回転である正転は、反時計方向である。
【0049】
ヒータ63は、例えばハロゲンヒータであり、加熱ローラ61を加熱する。温度センサ64は、加熱ローラ61の近傍に設けられ、加熱ローラ61の温度を検出する。温度センサ64は、検出した温度に応じた信号を、CPU101へ出力する。
【0050】
定着器6は、加熱ローラ61によりシートPを加熱して、加圧ローラ62を回転させることにより、加熱ローラ61及び加圧ローラ62によりシートPを加圧しながら搬送することで、画像形成部4によりシートPに形成された画像をシートPに定着させる。
【0051】
なお、定着器6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62と、ヒータ63とを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、定着器6は、ヒータと、ヒータからの輻射熱を受けるニップ板と、ニップ板の周りを回転する加熱ベルトと、加圧ローラとを有する構成であってもよい。
【0052】
また、定着器6は、発熱パターンが形成された基板と、基板の周りを回転するベルトと、加圧ローラとを有し、基板及びベルトが接触する構成であってもよい。また、定着器6は、加熱ローラと、ヒータと、加圧ベルトとを有する構成であってもよい。
【0053】
次に、プリンタ1の制御構成について、
図2を参照して説明する。
図2に示すように、プリンタ1は、ASIC105、ROM102と、RAM103と、NVRAM104と、通信インターフェース(I/F)130とを更に備えている。
【0054】
ASIC105には、CPU101が搭載されている。CPU101は、制御部の一例であり、プリンタ1の各部に対する全般的な制御を行う。ASIC105は、ROM102、RAM103、NVRAM104、電磁クラッチ107、メインモータ108、レジ前センサSE1、レジ後センサSE2、排出センサSE3、操作パネルPA、通信I/F130、ドラムカートリッジ5、定着器6、及びレーザユニット7と電気的に接続されている。
【0055】
ROM102には、プリンタ1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。なお、
図4を用いて後述する画像形成処理は、制御プログラムに含まれる。
【0056】
RAM103は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及びジョブに含まれる画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU101は、ROM102から読み出した制御プログラムや、各種センサから出力される信号に従って、その処理結果をRAM103またはNVRAM104に記憶させながら、プリンタ1の各部を制御
する。
【0057】
メインモータ108は、搬送部3、加圧ローラ62、及びドラムカートリッジ5に駆動力を伝達する。CPU101がメインモータ108を正転駆動させると、加圧ローラ62、感光体ドラム51、現像ローラ55、ピックアップローラ33、及びレジストレーションローラ35に第1駆動力が伝達される。そして、加圧ローラ62、感光体ドラム51、現像ローラ55、ピックアップローラ33、及びレジストレーションローラ35は、シートPを搬送方向に搬送する向きに回転する。
【0058】
具体的には、加圧ローラ62は、反時計方向に回転する。感光体ドラム51は、時計方向に回転する。現像ローラ55は、反時計方向に回転する。ピックアップローラ33は、反時計方向に回転する。レジストレーションローラ35は、反時計方向に回転する。
【0059】
一方、CPU101が、メインモータ108を逆転駆動させても、加圧ローラ62、ドラムカートリッジ5、ピックアップローラ33及びレジストレーションローラ35には、第2駆動力が伝達されない構成となっている。
【0060】
また、CPU101は、メインモータ108を正転駆動させることで、排出ローラ85に第1駆動力を伝達して、排出ローラ85を反時計方向に回転させる。一方、CPU101は、メインモータ108を逆転駆動させることで、排出ローラ85に第2駆動力を伝達し、排出ローラ85を時計方向に回転させる。
【0061】
また、CPU101は、メインモータ108を正転駆動させることで、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39に第1駆動力を伝達し、時計方向に回転させる。一方、CPU101は、メインモータ108を逆転駆動させることで、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39に第2駆動力が伝達し、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39を時計方向に回転させる。
【0062】
電磁クラッチ107は、CPU101により制御される。CPU101は、電磁クラッチ107をオンすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達される状態にする一方、電磁クラッチ107をオフすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ33に伝達されない状態にする。
【0063】
レジ前センサSE1は、搬送経路201においてレジストレーションローラ35よりも上流側に配置され、シートPが通過することを検知するセンサである。レジ前センサSE1としては、シートPが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。レジ前センサSE1は、シートPが通過している状態でオン信号を出力し、シートPが通過していない状態でオフ信号を出力する。レジ前センサSE1による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0064】
レジ後センサSE2は、搬送経路201において定着器6よりも上流側、具体的には、レジストレーションローラ35と転写ローラ53との間に配置され、シートPが通過することを検知するセンサである。レジ後センサSE2は、レジ前センサSE1と同様の構成である。レジ後センサSE2による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0065】
排出センサSE3は、搬送経路201において定着器6と搬送ローラ36との間に配置され、シートPが通過することを検知する。排出センサSE3は、レジ前センサSE1と同様の構成である。排出センサSE3による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0066】
操作パネルPAは、装置本体2の上面に配置されている。操作パネルPAは、例えば、
タッチパッド及びディスプレイが一体として形成されたタッチパネルと、キーボタン部とを有している。操作パネルPAは、ユーザの操作を受け付け、受け付けた情報をCPU101へ出力する。
【0067】
通信I/F130は、LAN等のネットワークに接続され、プリンタ1用のドライバが組み込まれたPC等の外部装置との接続を可能にしている。CPU101は、通信I/F130を介して、印刷ジョブを受信可能である。印刷ジョブには、画像形成するための画像データ、画像形成に用いるシートPのサイズ及び種類等、シートPに画像を形成するために必要な各種情報が含まれている。
【0068】
次に、
図3を参照して、プリンタ1の本願に関連する電気的構成を説明する。
図3は、プリンタ1に内蔵される高圧電源装置160の概略的なブロック図及び高圧電源装置160に関連する接続構成を示している。
【0069】
高圧電源装置160は、上記ASIC105に接続された高圧電源基板162を有している。高圧電源基板162は、帯電電圧印加回路170と、帰還電流検出回路180と、現像電圧印加回路190とを有している。帯電電圧印加回路170には上記帯電ローラ52が接続され、現像電圧印加回路190には上記現像ローラ55が接続されている。
【0070】
帯電電圧印加回路170は、PWM信号制御回路171、トランスドライブ回路172、昇圧回路173、及び出力電圧検出回路178を有している。帯電電圧印加回路170は、帯電ローラ52に印加する帯電電圧CHGを生成する。
【0071】
PWM信号制御回路171は、例えば、抵抗及びコンデンサ(図示略)を含み、ASIC105のポートPWM1から出力されたPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)信号Sp1を平滑化し、平滑化したPWM信号Sp1をトランスドライブ回路172に供給する。トランスドライブ回路172は、例えば、PWM信号制御回路171から供給された平滑化後のPWM信号Sp1をドライブ用のトランジスタ(図示略)に供給し、昇圧回路173に発振電流を供給する。
【0072】
昇圧回路173のトランス174は、1次巻線174a、2次巻線174b、及び補助巻線174cを備えている。トランスドライブ回路172は、ドライブ用のトランジスタからトランス174の1次巻線174aに発振電流を供給する。トランス174は、発振電流のデューティ比に応じて、2次巻線174bから出力される出力電圧(帯電電圧CHG)の電圧値を変更する。例えば、トランス174は、PWM信号Sp1のデューティ比が大きくなればなるほど電圧値の大きな帯電電圧CHGを生成する。2次巻線174bには、整流ダイオード175、平滑コンデンサ176、及び出力抵抗177が接続されている。これにより、昇圧回路173は、トランス174の1次巻線174aに発生する電圧を昇圧及び整流し、帯電ローラ52に帯電電圧CHGとして印加する。
【0073】
また、出力電圧検出回路178は、トランス174の補助巻線174cと、トランスドライブ回路172との間に接続されている。出力電圧検出回路178は、例えば、平滑回路及び分圧抵抗(図示略)を有している。出力電圧検出回路178は、帯電電圧CHGの生成にともなって補助巻線174cに発生する出力電圧v1を検出する。出力電圧検出回路178は、出力電圧v1を平滑及び分圧して出力電圧検出信号Sv1としてトランスドライブ回路172に供給する。トランスドライブ回路172は、供給された出力電圧検出信号Sv1に基づいてトランス174の1次巻線174aに供給する発振電流を制御し、帯電電圧CHGを定電圧制御する。したがって、帯電電圧印加回路170は、定電圧制御で駆動される。
【0074】
帰還電流検出回路180は、電源Vcc、抵抗R1(「第1抵抗」の一例である。)、抵抗R2(「第2抵抗」の一例である。)及びコンデンサC1を有している。抵抗R1と抵抗R2は、直列接続され、電源Vccとグランドとの間に挿入されている。また、コンデンサC1は、抵抗R2と並列に接続されることによって、RCフィルタを構成している。抵抗R1と抵抗R2との接続点P1は、2次巻線174bの一端T1及び他端T2のうちの他端T2に接続されるとともに、ASIC105のポートA/D1に接続される。ASIC105は、ポートA/D1に入力されたアナログ信号Sirをアナログ・デジタル変換することによって得られたデジタル値により、帰還電流検出回路180の抵抗R1と抵抗R2との接続点P1に印加されている電圧値を取得することができる。
【0075】
また、現像電圧印加回路190は、PWM信号制御回路191及び演算増幅器OP1を有している。現像電圧印加回路190は、現像ローラ55に印加する現像電圧DEVを生成する。なお、PWM信号制御回路191は、上記PWM信号制御回路171と同様の構成であるので、その構成の説明は省略する。
【0076】
PWM信号制御回路191は、ASIC105のポートPWM2から出力されたPWM信号Sp2を平滑化し、平滑化したPWM信号Sp2を演算増幅器OP1の非反転入力(+)に供給する。そして、演算増幅器OP1反転入力(-)には、現像電圧DEVを分圧抵抗R16,R17で分圧した電圧と、演算増幅器OP1の出力を抵抗R15とコンデンサC12とからなるRC回路で帰還した電圧とが、閾値電圧Vthとして供給される。演算増幅器OP1は、PWM信号制御回路191からの平滑化したPWM信号Sp2と閾値電圧Vthとの差分が“0”になるような電圧を出力する。したがって、ASIC105は、演算増幅器OP1の基準電圧等を変更することができる。また、コンデンサC13は、抵抗R17と並列に接続されることによって、RCフィルタを構成している。
【0077】
演算増幅器OP1の出力は、抵抗R14を介して、例えばNPNトランジスタからなるトランジスタQ1のベースに供給されている。トランジスタQ1のベースにはさらに、抵抗R12と抵抗R13とにより分圧された現像電圧DEVが供給されている。また、トランジスタQ1のコレクタには、抵抗R11を介して現像電圧DEVが供給され、そのエミッタは、接地されている。なお、トランジスタQ1はバイポーラトランジスタに限られず、例えば、FETであってもよい。
【0078】
トランジスタQ1のベース電流は、演算増幅器OP1の出力によってその大きさが制御される。そして、トランジスタQ1のコレクタ抵抗の値は、ベース電流の大きさによって変化するので、トランジスタQ1は、可変抵抗として機能する。ここでいうコレクタ抵抗とは、コレクタ-エミッタ間電圧をコレクタ電流で割った抵抗値である。例えば、ベース電流を大きくすることで抵抗値が下がり、反対にベース電流を小さくすることで、抵抗値が上がる。これにより、コレクタ・エミッタ間電圧が変更される。
【0079】
このようにASIC105は、PWM信号Sp2のデューティ比を変更することによって、現像電圧DEVの値を所定の目標電圧値に変更することが可能となっている。なお、コンデンサC11は、現像電圧DEVにより充電される。
【0080】
現像電圧印加回路190は、上述のように現像ローラ55と接続され、さらに2次巻線174bの上記一端T1と抵抗R3を介して接続されている。そして、2次巻線174bの一端T1には、帯電電圧CHGが印加されるので、現像電圧DEVは、帯電電圧CHGをグランドの電位を基準として、抵抗R3とトランジスタQ1の可変抵抗とにより分圧したものとなる。
【0081】
ASIC105のポートA/D1に入力される信号Sirは、上述のように帰還電流検
出回路180の抵抗R1と抵抗R2との接続点P1に印加されている電圧値を示している。そして、電源Vccから接続点P1に向けて抵抗R1を流れる電流I_Returnは、2次
巻線174bの一端T1から帯電ローラ52に流れ、感光体ドラム51を介してグランドに流れる帯電電流I_CHGと、2次巻線174bの一端T1から抵抗R3を経由して現像ローラ55に流れ、感光体ドラム51を介してグランドに流れる現像電流と、2次巻線174bの一端T1から抵抗R3を経由して現像電圧印加回路190を介してグランドに流れる現像電流I_DEVとの和に一致する。したがって、現像電圧DEVを0Vとした場合、2次巻線174bの一端T1から抵抗R3を経由して現像ローラ55に流れ、感光体ドラム51を介してグランドに流れる現像電流は、ほぼ電流が流れず、ゼロとなる。
電流I_Return ≒ 帯電電流I_CHG + 現像電流I_DEV
つまり、電流I_Returnは、帯電電圧印加回路170及び現像電圧印加回路190からの
帰還電流の値を示しているので、以下、電流I_Returnを帰還電流I_Returnと言う。そして、信号Sirは、電源Vccから抵抗R1×電流I_Returnにより示される電圧分だけ
降下した電圧を示すので、ASIC105は、信号Sirに基づいて帰還電流I_Return
の値を取得することができる。
【0082】
本願の目的は、[発明が解決しようとする課題]欄で上述したように、帯電ローラ52から感光体ドラム51に流れる帯電電流I_CHGに相当する物理量を取得することである。上述のように現像電圧DEVを0Vとした場合、帰還電流I_Return = 帯電電流I_CHG + 現像電流I_DEV であるので、現像電流I_DEVが、少なくとも固定値であれば、ASIC105は、帰還電流I_Returnに基づいて帯電電流I_CHGに相当する物理量を取得する
ことができる。
【0083】
そこで、ASIC105が現像電圧印加回路190に対して現像電圧DEVが0VとなるようなPWM信号Sp2を出力することにより、現像電圧印加回路190が出力する現像電圧DEVを0Vにする。これにより、現像電流I_DEVは、帯電電圧CHG/R3となり、固定値となるので、ASIC105は、帰還電流I_Returnに基づいて帯電電流I_CHGに相当する物理量を取得することができる。
【0084】
以上のように構成されたプリンタ1が実行する制御処理を、
図4及び
図5に基づいて詳細に説明する。
【0085】
図4は、ASIC105、特にCPU101が実行する画像形成処理の手順を示している。この画像形成処理は、プリンタ1が印刷ジョブや印刷命令を受信したときなどに起動される。以降、各処理の説明において、ステップを「S」と表記する。
【0086】
図4において、まずCPU101は、 帯電電圧CHGが、例えば1kVとなるような
PWM信号Sp1をASIC105の上記ポートPWM1から出力する(S10)。これにより、帯電電圧印加回路170は、1kVの帯電電圧CHGを生成し、帯電ローラ52に印加する。なお、“1kV”の電圧値は、「第1帯電電圧」の一例であり、“1kV”に限らず、他の電圧値を採用してもよい。
【0087】
次にCPU101は、現像電圧DEVが0VとなるようなPWM信号Sp2をASIC105のポートPWM2から出力する(S12)。これにより、現像電圧印加回路190は、現像電圧DEVとして0Vを出力する。
【0088】
次にCPU101は、例えば100msec間待機する(S14)。ここで、“100msec”は、CPU101がPWM信号Sp1,Sp2を出力してから、実際に帯電電圧印加回路170及び現像電圧印加回路190がそれぞれ、PWM信号Sp1,Sp2に応じた帯電電圧CHG及び現像電圧DEVを出力するまでの時間差以上の時間として設定
されたものである。つまり、PWM信号Sp1,Sp2の出力後100msec間待機すれば、帯電電圧印加回路170は、1kVの帯電電圧CHGを生成し、現像電圧印加回路190は、0Vの現像電圧DEVを生成する。なお、“100msec”は、上記時間差に応じてより短い時間を用いるようにしてもよいし、より長い時間を用いるようにしてもよい。
【0089】
次にCPU101は、ASIC105の上記ポートA/D1から上記信号Sirの値を読み取り(S16)、読み取った信号Sirの値が設定値Aと同じであるか否かを判断する(S18)。ここで、設定値Aは、このときの帰還電流I_Returnの目標値、つまり、
帯電電流I_CHGと現像電流I_DEV(固定値)とを加算した電流の目標値が、帰還電流検出回路180の抵抗R1に流れたときに接続点P1に印加される電圧値である。なお、設定値Aは、予め決定され、例えばNVRAM104に記憶されているとすると、S18では、CPU101は、設定値AをNVRAM104から読み出して使用する。
【0090】
図5は、帰還電流I_Returnの推移の一例を示している。
図5において、時刻t0は、
上記S10~S14の処理が実行された後の時刻を示している。帰還電流I_Returnの値
が90μAであるのは、帰還電流I_Returnの目標値に達していない状態を示している。
【0091】
上記S18の判断において、信号Sirの値≠設定値Aの場合(S18:NO)、CPU101は、信号Sirの値が設定値Aに近づくようにPWM信号Sp1を制御した(S20)後、処理を上記S18に戻す。そして、CPU101は、信号Sirの値が設定値Aと同じになるまで、S20の処理を繰り返し、信号Sirの値=設定値Aになると(S18:YES)、CPU101は、処理をS22に進める。
図5中、時刻t1は、上記S20の処理が実行された後、上記S18の判断で“YES”となった時刻を示している。
【0092】
S22では、CPU101は、現像電圧DEVが、例えば300VとなるようなPWM信号Sp2をASIC105のポートPWM2から出力する。これにより、現像電圧印加回路190は、300Vの現像電圧DEVを生成し、現像ローラ55に印加する。
図5中、時刻t2は、S22の処理が実行された時刻(から所定時間経過した後の時刻)を示している。
【0093】
次にCPU101は、上述のようにしてシートPに画像形成を実行する(S24)。そして、シートPへの画像形成が終了すると、CPU101は、上記S12と同様にして、現像電圧DEVが0VとなるようなPWM信号Sp2をASIC105のポートPWM2から出力し(S26)、さらに、帯電電圧CHGが0VとなるようなPWM信号Sp1をASIC105のポートPWM1から出力した(S28)後、画像形成処理を終了する。
図5中、時刻t3は、S26,S28の処理が実行された時刻(から所定時間経過した後の時刻)を示している。
【0094】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1は、帯電ローラ52と、帯電ローラ52により帯電された表面に静電潜像が形成される感光体ドラム51であって、グランドに電気的に接続された感光体ドラム51と、感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像に現像剤を担持させて静電潜像を現像する現像ローラ55と、一端T1から電圧を出力するトランス174を有し、電圧に基づいて帯電電圧CHGを生成し、生成した帯電電圧CHGを帯電ローラ52に印加する帯電電圧印加回路170と、現像ローラ55に現像電圧DEVを印加する、グランドに電気的に接続された現像電圧印加回路190であって、帯電電圧印加回路170により生成された帯電電圧CHGを、グランドの電位を基準として分圧して、現像電圧DEVを生成する現像電圧印加回路190と、CPU101と、トランス174の他端T2と電気的に接続された帰還電流検出回路180であって、トランス174の他端T2に向けて流れる帰還電流に応じた信号SirをCPU101に出力する帰
還電流検出回路180と、を備えている。
【0095】
そして、CPU101は、帰還電流検出回路180から出力された信号Sirに基づいて帰還電流値を取得する。ちなみに、本実施形態において、CPU101は、「制御部」の一例である。
【0096】
このように、本実施形態のプリンタ1では、現像電圧DEVを0Vとした場合、帰還電流検出回路180が検出する信号Sirに基づく帰還電流I_Returnは、トランス174
の一端T1から帯電ローラ52と感光体ドラム51とグランドとを経由してトランス174の他端T2に帰還する帯電電流I_CHGと、トランス174の一端T1から現像電圧印加回路190とグランドとを経由してトランスの他端T2に帰還する現像電流I_DEVと、を加算した電流に相当する。したがって、このような帰還電流検出回路180を備えることで、CPU101は、帰還電流検出回路180から出力された信号Sirに基づいて帰還電流I_Returnの値を取得できるので、帰還電流I_Returnに含まれる帯電ローラ52から感光体ドラム51に流れる帯電電流I_CHGに相当する物理量を取得することが可能となる。
【0097】
また、現像電圧印加回路190は、CPU101から入力される制御信号に応じて現像電圧DEVを生成可能に構成され、CPU101は、画像形成動作を実行する前に、現像電圧印加回路190が現像電圧DEVとして0Vを出力した状態で、帯電電圧印加回路170に対して1kVの帯電電圧CHGを生成させる第1印加制御を行って、帰還電流I_Returnの値を取得し、第1印加制御時における帯電電圧印加回路170から現像電圧印加
回路190に向けて流れる現像電流I_DEVの値と、第1印加制御において取得した帰還電流I_Returnの値と、に基づいて帯電ローラ52に流れる帯電電流I_CHGの値を決定する
。ちなみに、1kVの帯電電圧CHGは、「第1帯電電圧」の一例である。
【0098】
第1印加制御時における帰還電流I_Returnは、帯電電流I_CHGと現像電流I_DEV(固
定値)とを加算した電流に相当する。現像電流I_DEV(固定値)が固定の電流値であるのは、第1印加制御時における帯電電圧印加回路170から現像電圧印加回路190に向けて流れる現像電流I_DEVは、現像電圧印加回路190が現像電圧DEVとして0Vを出力したときに、帯電電圧印加回路170から現像電圧印加回路190に向けて流れる現像電流I_DEVであるからである。したがって、CPU101は、現像電流I_DEVの値(固定値)と帰還電流I_Returnの値とに基づいて、帯電電流I_CHGの値を決定することができる
。
【0099】
また、帯電電流I_CHGが所望の値となるような帰還電流の目標電流値が予め設定されている。現像電圧印加回路190は、CPU101から入力される制御信号に応じて現像電圧DEVを生成可能に構成され、CPU101は、画像形成動作を実行する前に、現像電圧印加回路190が現像電圧DEVとして0Vを出力した状態で、帯電電圧印加回路170から第1帯電電圧を印加させる第1印加制御を行って、信号Sirの値から換算することによって帰還電流値を取得し、帰還電流値が目標電流値になっているか否かを判断し、目標電流値になっていない場合は、帯電電圧印加回路170を制御して、目標電流値になるように帯電電圧印加回路170から第2帯電電圧を生成させ、画像形成動作を実行する際、帰還電流値が目標電流値になった段階で、帯電電圧印加回路170が生成する第2帯電電圧の下で、現像電圧印加回路190による現像電圧DEVの生成を行う。ちなみに、帰還電流の目標電流値は、「目標値」の一例である。
【0100】
これにより、画像形成動作を実行する際、帰還電流値が目標電流値になった段階で、帯電電圧印加回路170が生成する第2帯電電圧の下で、現像電圧印加回路190による現像電圧DEVの生成が行われる。したがって、帰還電流の目標電流値として、帯電電流I
_CHGを所望の値とするものを予め設定しておけば、所望の値の帯電電流I_CHGが帯電ローラ52と感光体ドラム51との間を流れた状態で画像形成動作を実行することが可能となる。
【0101】
また、トランス174は、1次巻線174aと2次巻線174bとからなり、2次巻線174bの一端T1から電圧を出力し、2次巻線174bの他端T2は、帰還電流検出回路180を介してグランドに電気的に接続される。
【0102】
これにより、現像電圧DEVを0Vとした場合、2次巻線174bの一端T1に印加された電圧により発生した電流は、2次巻線174bの一端T1から帯電ローラ52と感光体ドラム51とグランドとを経由して帰還電流検出回路180に流れ込んだ後、2次巻線174bの他端T2に帰還するとともに、2次巻線174bの一端T1から現像電圧印加回路190とグランドとを経由して帰還電流検出回路180に流れ込んだ後、2次巻線174bの他端T2に帰還するので、帰還電流検出回路180は、帰還電流I_Returnに応
じた信号Sirを正しく検出し、その信号SirをASIC105に出力することが可能となる。
【0103】
また、帯電電圧印加回路170は、電圧を整流及び平滑して生成された直流電圧である帯電電圧CHGを、帯電ローラ52に印加する。
【0104】
これにより、帯電電圧印加回路170は帯電ローラ52を均一に帯電させることが可能となる。
【0105】
また、帰還電流検出回路180は、電源と、電源Vccとグランドとの間に直列に接続された抵抗R1及び抵抗R2と、を有し、トランス174の他端T2は、抵抗R1と抵抗R2との接続点と電気的に接続され、CPU101は、電源Vccの電源電圧が抵抗R1と抵抗R2とにより分圧された電圧に基づいて帰還電流I_Returnの値を取得する。ちな
みに、抵抗R1は、「第1抵抗」の一例である。抵抗R2は、「第2抵抗」の一例である。
【0106】
これにより、帰還電流検出回路180は、帰還電流I_Returnを電圧に変換してASI
C105に出力するので、CPU101は、電流値より扱い易い電圧値に基づいて帰還電流I_Returnの値を取得することが可能となる。
【0107】
また、帯電電圧印加回路170は、定電圧制御で駆動される。
【0108】
これにより、帯電電圧印加回路170は、定電圧の帯電電圧CHGを生成して、帯電ローラ52に印加することが可能となる。
【0109】
また、プリンタ1は、モノクロレーザプリンタであり、帯電ローラ52、感光体ドラム51、帯電電圧印加回路170、現像電圧印加回路190及び帰還電流検出回路180はそれぞれ、1色に対応する1つの帯電ローラ、感光体ドラム、帯電電圧印加回路、現像電圧印加回路及び帰還電流検出回路により構成される。ちなみに、モノクロレーザプリンタは、「モノクロ画像形成装置」の一例である。
【0110】
これにより、モノクロレーザプリンタ1についても、帯電ローラから感光体ドラムに流れる帯電電流に相当する物理量を取得することが可能となる。
【0111】
(第2実施形態)
次に、本願の第2実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態で説明
した画像形成処理(
図4参照)の一部を変更して構成しているので、変更する部分を中心に説明し、それ以外の部分の説明は適宜省略する。また、本実施形態のハードウェアは、上記
図1~
図3に記載のハードウェアをそのまま用いるものとする。
【0112】
図6は、本実施形態のプリンタ1のASIC105、特にCPU101が実行する画像形成処理の手順を示している。
図6の画像形成処理は、
図4の画像形成処理のS16~S20の処理を変更した点のみが異なっている。したがって、
図6中、
図4と同様の処理には同一符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0113】
図6において、CPU101は、帯電電流I_CHGを取得する(S30)。上記第1実施形態で説明したように、S12の処理によって現像電圧DEVが0Vである場合、帰還電流I_Return = 帯電電流I_CHG + 現像電流I_DEV であるので、帯電電流I_CHG = 帰還電流I_Return - 現像電流I_DEV となる。そして、このとき現像電流I_DEV(固定値)= 帯電電圧CHG/R3であるので、帰還電流I_Return の値を取得できれば、帯電
電流I_CHG を取得することができる。さらに、帰還電流I_Return は、上記第1実施形
態で説明したように、ポートA/D1に入力された信号Sirに基づいて取得できるので、CPU101は、帯電電流I_CHG を取得することができる。
【0114】
次にCPU101は、取得した帯電電流I_CHG の値が設定値Bと同じであるか否かを
判断する(S32)。ここで、設定値Bは、このときの帯電電流I_CHG の目標値を示し
ている。なお、設定値Bは、予め決定され、例えばNVRAM104に記憶されているとすると、S32では、CPU101は、設定値BをNVRAM104から読み出して使用する。
【0115】
S32の判断において、取得した帯電電流I_CHG の値≠設定値Bの場合(S32:N
O)、CPU101は、帯電電流I_CHG の値が設定値Bに近づくようにPWM信号Sp
1を制御した(S34)後、処理を上記S32に戻す。そして、CPU101は、帯電電流I_CHG の値が設定値Bと同じになるまで、S34の処理を繰り返し、帯電電流I_CHG の値=設定値Bになると(S32:YES)、CPU101は、処理をS22に進める。
【0116】
以上説明したように、帯電電流の設定値Bが予め設定され、CPU101は、決定した帯電電流値が設定値Bになっているか否かを判断し、設定値Bになっていない場合は、帯電電圧印加回路170を制御して、設定値Bになるように帯電電圧印加回路170から第2帯電電圧を生成させ、画像形成動作を実行する際、帯電電流値が設定値Bになった段階で、帯電電圧印加回路170が生成する第2帯電電圧の下で、現像電圧印加回路190による現像電圧DEVの生成を行う。ちなみに、設定値Bは、「目標値」の一例である。
【0117】
これにより、画像形成動作を実行する際、帯電電流I_CHGの値が設定値Bになった段階で、帯電電圧印加回路170が生成する第2帯電電圧の下で、現像電圧印加回路190による現像電圧DEVの生成が行われる。したがって、帯電電流I_CHGの設定値Bとして、所望の値とするものを予め設定しておけば、所望の値の帯電電流I_CHGが帯電ローラ52と感光体ドラム51との間を流れた状態で画像形成動作を実行することが可能となる。
【0118】
(第3実施形態)
次に、本願の第3実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態で説明した帰還電流検出回路180の一部を変更して構成しているので、変更する部分を中心に説明し、それ以外の部分の説明は適宜省略する。また、本実施形態のハードウェアは、帰還電流検出回路180を除き、上記
図1~
図3に記載のハードウェアをそのまま用いるものとする。
【0119】
図7(a)は、本実施形態のプリンタ1に内蔵される高圧電源装置160に含まれる帰還電流検出回路181の構成の一例を示す回路図である。
図7(a)の帰還電流検出回路181は、上記帰還電流検出回路180(
図3参照)から抵抗R2及びコンデンサC1を省略して構成したものである。CPU101は、この帰還電流検出回路181から出力され、ASIC105のポートA/D1に入力された信号Sirを読み取り、読み取った信号Sirに基づいて、抵抗R1を流れる帰還電流I_Returnの値を取得することができる
。
【0120】
このように、帰還電流検出回路180は、電源Vccと、一端が電源Vccと電気的に接続された抵抗R1と、を有し、トランス174の他端T2は、抵抗R1の他端と電気的に接続され、CPU101は、電源Vccによって抵抗R1に印加された電圧に基づいて帰還電流I_Returnの値を取得する。
【0121】
これにより、帰還電流検出回路181は、帰還電流I_Returnを電圧に変換してASI
C105に出力するので、CPU101は、電流値より扱い易い電圧値に基づいて帰還電流I_Returnの値を取得することが可能となる。
【0122】
(第4実施形態)
次に、本願の第4実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態で説明した帰還電流検出回路180の一部を変更して構成しているので、変更する部分を中心に説明し、それ以外の部分の説明は適宜省略する。また、本実施形態のハードウェアは、帰還電流検出回路180を除き、上記
図1~
図3に記載のハードウェアをそのまま用いるものとする。
【0123】
図7(b)は、本実施形態のプリンタ1に内蔵される高圧電源装置160に含まれる帰還電流検出回路182の構成の一例を示す回路図である。
図7(b)の帰還電流検出回路182は、上記帰還電流検出回路180(
図3参照)から電源Vcc及び抵抗R1を省略するとともに、反転回路182aを追加して構成したものである。帰還電流検出回路182では、帰還電流I_Returnは、グランドから2次巻線174bの他端T2に向けて流れ
るので、抵抗Rには負の電圧値が印加される。このため、反転回路182aにより負の電圧値を正の電圧値に反転させ、信号Sirとして、ポートA/D1に入力するようにしている。これにより、CPU101は、この帰還電流検出回路182から出力され、ASIC105のポートA/D1に入力された信号Sirを読み取り、読み取った信号Sirに基づいて、抵抗R1を流れる帰還電流I_Returnの値を取得することができる。
【0124】
このように、帰還電流検出回路180は、一端がグランドと電気的に接続された抵抗R2を有し、トランス174の他端T2は、抵抗R2の他端と電気的に接続され、CPU101は、抵抗R2に印加された電圧を反転した電圧に基づいて帰還電流I_Returnの値を
取得する。
【0125】
これにより、帰還電流検出回路182は、帰還電流I_Returnを電圧に変換してASI
C105に出力するので、CPU101は、電流値より扱い易い電圧値に基づいて帰還電流I_Returnの値を取得することが可能となる。
【0126】
(第5実施形態)
次に、本願の第5実施形態について説明する。上記第1~第4本実施形態に係る画像形成装置が、上述のようにモノクロレーザプリンタ1であったのに対し、本実施形態に係る画像形成装置は、カラーレーザプリンタ10である点が異なっている。
【0127】
図8は、本実施形態のカラーレーザプリンタ10に内蔵される高圧電源装置100の概
略構成及び高圧電源装置100に関連する接続構成を示している。
図9に示すように、カラーレーザプリンタ10は、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の4色にそれぞれ対応して、感光体ドラム51K,51Y,51M,51Cと、帯電ローラ52K,52Y,52M,52Cと、現像ローラ55K,55Y,55M,55Cと、を有している。そして、帯電ローラ52K,52Y,52M,52Cにはそれぞれ、帯電電圧印加回路170K,170Y,170M,170Cにより帯電電圧CHGK,CHGY,CHGM,CHGCが印加され、現像ローラ55K,55Y,55M,55Cには、現像電圧印加回路190K,190Y,190M,190Cにより現像電圧DEVK,DEVY,DWVM,DEVCが印加される。また、帰還電流検出回路180K,180Y,180M,180Cも、色毎に設けられ、それぞれ、帰還電流I_ReturnK,I_ReturnY,I_ReturnM,I_ReturnCを検出する。
【0128】
なお、本実施形態でのカラーレーザプリンタ10に対する制御処理は、上記第1~第4本実施形態においてモノクロレーザプリンタ1に対して実行した制御処理を各色に適用するだけで実現できるので、その説明は省略する。
【0129】
このように、本実施形態の画像形成装置は、カラーレーザプリンタ10であり、帯電ローラ、感光体ドラム、帯電電圧印加回路、現像電圧印加回路及び帰還電流検出回路はそれぞれ、複数の色に対応する複数の帯電ローラ52K,52Y,52M,52C、感光体ドラム51K,51Y,51M,51C、帯電電圧印加回路170K,170Y,170M,170C、現像電圧印加回路190K,190Y,190M,190C及び帰還電流検出回路180K,180Y,180M,180Cにより構成される。
【0130】
これにより、カラーレーザプリンタ10についても、各帯電ローラから各感光体ドラムに流れる各帯電電流に相当する物理量を取得することが可能となる。
【0131】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0132】
上記各実施形態では、モノクロレーザプリンタ1あるいはカラーレーザプリンタ10を例に挙げて説明したが、プリンタに限らず、複合機、ファクシミリ装置、コピー機などでもよい。
【符号の説明】
【0133】
1…プリンタ、51…感光体ドラム、52…帯電ローラ、55…現像ローラ、170…帯電電圧印加回路、174…トランス、174a…1次巻線、174b…2次巻線、180…帰還電流検出回路、190…現像電圧印加回路、R1,R2…抵抗。