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特開2024-65821ポリエステル系支持体の回収方法およびポリエステル製品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065821
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ポリエステル系支持体の回収方法およびポリエステル製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20240508BHJP
   C08J 11/06 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B29B17/00
C08J11/06 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174871
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】池山 敬子
(72)【発明者】
【氏名】西崎 大起
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA22
4F401AB10
4F401AC20
4F401AD02
4F401BA13
4F401BB09
4F401CA14
4F401CA58
4F401CA78
4F401EA07
4F401EA59
(57)【要約】
【課題】ポリエステル系支持体上に少なくとも1層の塗布膜を有するポリエステル系基材から純度の高いポリエステル系支持体を、安全に、かつ採算性良く、短時間で効率的に回収する方法を提供すること。
【解決手段】ポリエステル系支持体上の少なくとも一部に少なくとも1層の塗布膜を有してなるポリエステル系基材から塗布膜を除去してポリエステル系支持体を回収する方法であって、ポリエステル系基材の少なくとも前記塗布膜を有する面に、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる第1の工程と、ポリエステル系基材にアルカリ性の処理液を接触させる第2の工程を含むポリエステル系支持体の回収方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル系支持体上の少なくとも一部に少なくとも1層の塗布膜を有してなるポリエステル系基材から前記塗布膜を除去して前記ポリエステル系支持体を回収する方法であって、
前記ポリエステル系基材の少なくとも前記塗布膜を有する面に、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる第1の工程と、前記第1の工程の後に前記ポリエステル系基材にアルカリ性の処理液を接触させる第2の工程とを含むことを特徴とするポリエステル系支持体の回収方法。
【請求項2】
前記第2の工程において、前記アルカリ性の処理液が、温度65℃以上100℃未満かつアルカリ濃度0.04質量%以上15質量%以下のアルカリ性の処理液であり、前記アルカリ性の処理液を、1秒以上180秒以下で接触させることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
【請求項3】
前記第1の工程の前に、前記ポリエステル系基材の少なくとも前記塗布膜を有する面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、火焔処理及び紫外線処理からなる群から選択される少なくとも1つの表面改質処理を実施することを特徴とする、請求項2に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
【請求項4】
前記第2の工程の後に、水による洗浄を実施することを特徴とする、請求項3に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
【請求項5】
前記第1の工程において、前記アルコールまたは前記アルコールを溶解した水溶液を、120秒以内で接触させることを特徴とする、請求項4に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
【請求項6】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノールからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項5に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
【請求項7】
前記ポリエステル系支持体を、長尺状のまま回収することを特徴とする、請求項6に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のポリエステル系支持体の回収方法で回収したポリエステル系支持体を、押し出し成形してポリエステル製品を製造するポリエステル製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル系支持体上の少なくとも一部に少なくとも1層の塗布膜を有してなるポリエステル系基材からポリエステル系支持体を回収する方法、およびポリエステル製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル系支持体は、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に多様な用途で用いられている。これらポリエステル系支持体の多くの表面には、片面または両面に、種々の機能を有する塗布膜が積層されている。
【0003】
上記ポリエステル系支持体が多様な用途で使用されていることに伴い、発生する廃棄対象物、使用済み品も多量になりつつあるのが現状であり、地球環境の悪化につながる。この問題を解消して、ポリエステル系支持体のリサイクルを図るために、ポリエステル系基材から塗布膜を除去することで、再びポリエステル系支持体として利用することが好ましい。
【0004】
このような技術として、例えば特許文献1および特許文献2が挙げられる。特許文献1には、基材フィルムと、前記基材フィルム上に形成された剥離層を有する剥離フィルムを、アルカリ性物質とアルコールとを含む溶液に接触させることによって上記剥離層を除去することが記載されている。特許文献2には、ポリエステルフィルムの表面に機能層を備える積層ポリエステルフィルムを、(a)アルカリ性化剤、及び(b)相溶化剤を含有する洗浄剤で洗浄し、機能層を除去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-291690号公報
【特許文献2】特開2022-95599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の方法では、回収されるポリエステル支持体は純度が高いものではなく、さらなる回収方法の改善が求められていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その課題は、ポリエステル系支持体上に少なくとも1層の塗布膜を有してなるポリエステル系基材から純度の高いポリエステル系支持体を、安全に、かつ採算性良く、短時間で効率的に回収する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は前記の課題を解決すべく検討を行った結果、アルカリ性物質とアルコールとを含む溶液を使用すると溶液温度をアルコールの沸点以上に上げることができないため、アルカリ処理が十分になされないことを発見した。そして、ポリエステル系基材にアルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させることでポリエステル系基材の表面を親水化した後、該ポリエステル系基材をアルカリ性の処理液で処理することにより所期の目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液にてポリエステル系基材の表面を親水化する第1の工程とアルカリ性の処理液で処理する第2の工程とに工程を分けることで、第1の工程と第2の工程を異なる温度で処理できる。第1の工程におけるポリエステル系基材の表面の親水化と第2の工程における塗布膜の除去をそれぞれ最適な温度条件で行うことで、ポリエステル系支持体の回収を短時間で効率的に行うことが可能となる。
【0010】
本発明の構成は以下のとおりである。
(1)ポリエステル系支持体上の少なくとも一部に少なくとも1層の塗布膜を有してなるポリエステル系基材から前記塗布膜を除去して前記ポリエステル系支持体を回収する方法であって、前記ポリエステル系基材の少なくとも前記塗布膜を有する面に、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる第1の工程と、前記第1の工程の後に前記ポリエステル系基材にアルカリ性の処理液を接触させる第2の工程とを含むことを特徴とするポリエステル系支持体の回収方法。
(2)前記第2の工程において、前記アルカリ性の処理液が、温度65℃以上100℃未満かつアルカリ濃度0.04質量%以上15質量%以下のアルカリ性の処理液であり、前記アルカリ性の処理液を、1秒以上180秒以下で接触させることを特徴とする、前記(1)に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
(3)前記第1の工程の前に、前記ポリエステル系基材の少なくとも前記塗布膜を有する面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、火焔処理及び紫外線処理からなる群から選択される少なくとも1つの表面改質処理を実施することを特徴とする、前記(2)に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
(4)前記第2の工程の後に、水による洗浄を実施することを特徴とする、前記(3)に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
(5)前記第1の工程において、前記アルコールまたは前記アルコールを溶解した水溶液を、120秒以内で接触させることを特徴とする、前記(4)に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
(6)前記アルコールが、メタノール、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノールからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、前記(5)に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
(7)前記ポリエステル系支持体を、長尺状のまま回収することを特徴とする、前記(6)に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
(8)前記(1)~(7)のいずれか1つに記載のポリエステル系支持体の回収方法で回収したポリエステル系支持体を、押し出し成形してポリエステル製品を製造するポリエステル製品の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によればポリエステル系支持体上の少なくとも一部に少なくとも1層の塗布膜を有してなるポリエステル系基材から塗布膜を効率的に除去できるので、従来廃棄されていた使用済みポリエステル系基材から、短時間で効率良く、純度の高いポリエステル系支持体を回収することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、特段の定めがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0013】
本発明のポリエステル系支持体の回収方法は、ポリエステル系支持体と該ポリエステル系支持体上の少なくとも一部に設けられた少なくとも1層の塗布膜とを含むポリエステル系基材から塗布膜を除去してポリエステル系支持体を回収する方法であって、ポリエステル系基材の少なくとも塗布膜を有する面に、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる第1の工程と、第1の工程の後に、ポリエステル系基材にアルカリ性の処理液を接触させる第2の工程とを有する。
【0014】
〈ポリエステル系支持体〉
本発明におけるポリエステル系支持体はポリエステル組成物を含んで形成される。ポリエステル組成物としては特に限定されるものではないが、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分を重縮合して得られるポリエステルが挙げられる。
【0015】
上記ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、鎖状脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸など種々のジカルボン酸成分を用いることができ、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などが挙げられる。
【0016】
上記ジオール成分としては、脂肪族グリコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。またジオール以外にもトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。
【0017】
ポリエステル系支持体は、ホモポリエステル系支持体であっても、共重合ポリエステル系支持体であってもよい。また、ポリエステル系支持体は、ジカルボン酸成分、ジオール成分以外の第3成分を共重合成分として含んでもよい。
【0018】
ポリエステル系支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを主たる構成成分とするポリエステル系支持体が好ましく用いられる。より好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。また、これらは、共重合ポリエステルであってもよい。
【0019】
ポリエステル系支持体は、ポリエステル組成物からなるものであってもよいし、組成物中にポリエステル以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、末端封鎖剤、酸化防止剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、可塑剤もしくは消泡剤等が挙げられる。
【0020】
ポリエステル系支持体は、市販のものを用いてもよいし、製造する場合は、例えば、以下の方法で作製できる。
例えば、ポリエステル組成物を真空乾燥した後、押し出し機に供給し、260~300℃で溶解し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度10~60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷却固化させて未延伸ポリエステル系支持体を作製する。未延伸ポリエステル系支持体を70~130℃に加熱されたロール間で縦方向に2.5~5倍延伸する。引き続き、連続的に70~150℃の加熱された熱風ゾーンで幅方向に2.5~5倍延伸し、続いて190~240℃の熱処理ゾーンに導き、5~40秒間の熱処理を施し、100~200℃の冷却ゾーンを経て結晶配向を完了させ、ポリエステル系支持体を得る。また、上記熱処理中に必要に応じて幅方向あるいは長手方向に0.1~12%の弛緩処理を施してもよい。
【0021】
上記ポリエステル系支持体の厚みは、特に限定されるものではないが、強度、剛性等といった取扱い性などを考慮すると、5μm以上500μm以下であることが好ましい。ポリエステル系支持体の厚みは、より好ましくは10μm以上200μm以下、特に好ましくは20μm以上100μm以下である。
【0022】
なお、本発明では、後記するポリエステル系支持体の回収においては、ポリエステル系基材が長尺状であっても、裁断された状態であってもよい。長尺状とは平面視で長辺の長さが短辺の長さ(幅)の2倍程度以上長いものをいう。長尺状であれば、長さは、例えば使用する装置などの種類などによっても相違するが、おおむね100m以上10000m以内とすることができ、破砕するなどせずに直接回収処理することができる。また、裁断された状態であれば、特に限定されるものではないが、例えば1mm以上10mm以内角に裁断したポリエステル系基材を回収処理することを意味する。
【0023】
本発明の方法によれば、長尺状で取り扱うのであれば、ロール状に巻き取られたポリエステル系基材に対し、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる第1の工程とアルカリ性の処理液を接触させる第2の工程とを直列で実施することができ、短時間で効率良く塗布膜を除去することができる。好ましくは、長尺状のポリエステル系基材を後記する表面改質処理を実施した後、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させ、さらにアルカリ性の処理液と接触させた後、後記する次工程(水洗、乾燥)にそのまま導入して、ロール状で巻き取ること、すなわちロールツーロール方式を行うことが推奨される。ロールツーロール方式は、複数のガイドロールを介して、ロール状に巻き取ったフレキシブルな基材を連続的に搬送し、搬送中に所定の処理を行い、再びロール状態に巻き取る巻出巻取式の搬送方法である。ロールツーロール方式で処理することで、一連の塗布膜除去工程を、連続して短時間で行うことができ、非常に効率的である。
【0024】
〈塗布膜〉
本発明におけるポリエステル系支持体は、その少なくとも一部に、少なくとも1層の塗布膜を有している。ここで塗布膜とは、ポリエステル系支持体に種々の機能を付与し得る膜であり、例えば、離型膜、粘着膜、ハードコート膜、易接着膜、帯電防止膜などが挙げられる。これらの塗布膜は、ポリエステル系支持体の少なくとも片面に有していればよく、両面に有していてもよい。さらに、塗布膜は単独で有していてもよいし、2種以上が積層されていてもよい。また、上記塗布膜は、単一の機能だけでなく複数の機能を有するものであってもよい。
【0025】
上記離型膜を構成する樹脂は、離型膜に一般に使用される樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系樹脂、メラミン樹脂や尿素樹脂などのアミノ樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記離型膜は、シリコーン、ワックスといった離型剤を含有してもよい。
【0026】
上記粘着膜を構成する樹脂は、粘着膜に一般に使用される粘着剤を含む。上記粘着剤の種類は特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。また、上記粘着膜は、タッキファイヤー(粘着付与樹脂)などを更に含有してもよい。
【0027】
上記ハードコート膜を構成する樹脂は、ハードコート膜に一般に使用される樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
上記易接着膜を構成する樹脂は、易接着膜に一般に使用される樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記帯電防止膜を構成する樹脂は、帯電防止膜に一般に使用される樹脂であれば特に限定されない。上記帯電防止膜は、さらに帯電防止剤を含有することが好ましい。上記帯電防止剤としては、例えば、ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性の界面活性剤(ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子、金属酸化物フィラー、カーボン系物質)などが挙げられる。これらの帯電防止剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
塗布膜は、特に限定されないが、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用い、ポリエステル系支持体上に形成できる。
【0031】
上記塗布膜の厚み(複数の機能膜を有する場合は、これらの合計厚み)は、0.005μm以上50μm以下であることが好ましい。所定の機能を有効に発揮させるためには、より好ましくは0.01μm以上である。一方、塗布膜の厚みが50μmを超えると、塗布膜の除去に時間を要する場合がある。
【0032】
〈ポリエステル系支持体の回収〉
本発明のポリエステル系支持体の回収方法は、ポリエステル系基材の少なくとも塗布膜を有する面に、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる第1の工程と、第1の工程の後にポリエステル系基材にアルカリ性の処理液を接触させる第2の工程とを有することに特徴がある。
【0033】
(第1の工程:アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる工程)
第1の工程では、ポリエステル系基材の少なくとも塗布膜を有する面に、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる。アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させることによって、アルコールがポリエステル系支持体の塗布膜に入り込み、ポリエステル系基材の表面を親水化する。第1の工程において、予めポリエステル系基材の表面を親水化した状態で、後記する第2の工程においてアルカリ性の処理液を接触させることで、アルカリ処理液の浸透が促進され、ポリエステル系支持体から塗布膜を、短時間で効率良く、除去しやすくなる。
【0034】
アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる方法は、ポリエステル系基材の少なくとも塗布膜を有する面がアルコールまたはアルコールを溶解した水溶液と接触できれば特に限定されない。例えば、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液の入った洗浄槽にポリエステル系基材を浸漬する方法、ポリエステル系基材にアルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を塗布する方法、ポリエステル系基材にアルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を噴霧する方法などが挙げられる。これらのうち、塗布膜へのアルコールまたはアルコールを溶解した水溶液の浸透性の点から、浸漬する方法が好ましい。
【0035】
アルコールとしては、特に制限はなく、1価アルコールでも多価アルコールでもよく、低級アルコールでも高級アルコールでもよい。
【0036】
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルノール、デシルノール、ウンデシルノール、ドデシルノール、メトキシエタノール、メトキシプロパノール、メトキシブタノール、メトキシエトキシエタノール、エトキシエタノール、エトキシエトキシエタノール、エトキシプロパノール、エトキシブタノール、ブトキシエタノール、ブトキシプロパノール、ブトキシブタノールなどが挙げられる。
【0037】
多価アルコール系溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、グリセリン、ポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
【0038】
これらの中でも、メタノール、エタノール、1-プロパノール(ノルマルプロパノール)、2-プロパノール(イソプロパノール)のような1価の低級アルコールがより好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノールからなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましく、メタノール、エタノールが特に好ましい。
アルコールは、単独で使用してもよく、2種以上を併用することもできる。
【0039】
アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液の濃度としては、0.1質量%~100質量%であるのが好ましく、下限は30質量%以上がより好ましい。アルコール濃度が低すぎる場合、塗布膜を充分除去できない虞がある。アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液の濃度が30質量%以上であると、充分な塗布膜の除去効果が得られる。
【0040】
上記アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液は、塗布膜の除去効率を高めるため、助剤として界面活性剤やウルトラファインバブルを含んでいてもよい。界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤などを使用することができる。界面活性剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0042】
陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルピリジニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0043】
陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム塩などが挙げられる。
【0044】
アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液の温度としては、使用するアルコールによって調整すればよいが、50℃以下であることが好ましく、5~30℃の常温が更に好ましい。アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液の温度が高すぎる場合、アルコールが沸騰する虞がある。アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液の温度が50℃以下であると、アルコールの沸点以下であるため、塗布膜の除去効果が促進される。
【0045】
ポリエステル系基材とアルコールまたはアルコールを溶解した水溶液との接触時間としては、120秒以内であることが好ましく、0.001~60秒がより好ましく、0.001~10秒がさらに好ましく、0.1~10秒が特に好ましい。ポリエステル系基材とアルコールまたはアルコールを溶解した水溶液との接触時間が短すぎると塗布膜を充分除去できない虞があり、該接触時間が長過ぎると、装置サイズが大きくなり、経済性、操作性が悪化する虞がある。ポリエステル系基材とアルコールまたはアルコールを溶解した水溶液との接触時間が120秒以内であると、経済性、操作性がよく、塗布膜の除去効果を高めることができる。
【0046】
(表面改質処理)
アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液、さらに後記するアルカリ性の処理液との親和性を高める目的で、上記塗布膜の表面は表面改質処理を施してもよい。表面改質処理は特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができ、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、火焔処理、紫外線処理などが挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1つの処理を行うのが好ましい。
【0047】
表面改質処理を実施するのは、アルカリ性の処理液を接触させる第2の工程の実施前であればよいが、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液との親和性を高めるために、第1の工程の前で実施することがより好ましい。
【0048】
表面改質処理後のX線光電子分光法における分析にて、C-C結合、C-H結合の割合が0.1%以上減少していれば、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液、または後記するアルカリ性の処理液との親和性を高める効果を得ることができる。
【0049】
コロナ放電処理であれば処理強度は、10~1000Wmin/m以上であることが好ましく、20~200Wmin/mがより好ましく、40~120Wmin/mが更に好ましい。処理強度が高くなりすぎると、ポリエステル系支持体がダメージを受けやすくなる傾向があり、処理強度が弱すぎると後記のアルカリ処理の時間が長くなり、ポリエステル系支持体がダメージを受けやすくなる傾向がある。また、使用するコロナ放電機の電力密度は、4~20W/cmであれば、均一に表面処理を施すことができる。
【0050】
紫外線処理であれば照射強度は0.5~40mW/cmであることが好ましく、10~40mW/cmがより好ましく、15~40mW/cmが更に好ましい。照射強度が高すぎると、ポリエステル系支持体がダメージを受けやすくなる傾向があり、照射強度が弱すぎると後記のアルカリ処理の時間が長くなり、ポリエステル系支持体がダメージを受けやすくなる傾向がある。紫外線の照射時間は、3~210秒であることが好ましく、30~100秒がより好ましく、50~70秒が更に好ましい。紫外線の照射時間が長くなり過ぎると、装置のサイズを大きくする必要があるので製造コストが高くなり、またポリエステル系支持体がダメージを受けやすくなる傾向がある。紫外線の照射時間が短すぎると塗布膜を充分除去できない虞がある。また、照射する紫外線の波長は、10~400nm、即ち可視光線より短く軟X線より長い不可視光線の電磁波を使用することが好ましい。紫外線の発生源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等の公知のランプを用いることができ、低圧水銀灯を使用するのが好ましい。
【0051】
(第2の工程:アルカリ性の処理液を接触させる工程)
本発明のポリエステル系支持体の回収方法は、第1の工程の後にアルカリ性の処理液を接触させる第2の工程を行う。第1の工程でポリエステル系基材の表面を親水化させた後、親水性であるアルカリ性の処理液を接触させることで、ポリエステル系支持体または塗布膜へのアルカリ性の処理液の浸透が促進され、塗布膜を溶解、膨潤させて、ポリエステル系支持体と塗布膜との界面での結合を弱め、ポリエステル系支持体からアルカリ性の処理液に溶解する塗布膜を短時間で除去できる。
【0052】
本発明において、アルカリ処理液による処理は第1の工程の直後に行ってもよいし、所望時間を空けて行ってもよい。
【0053】
本発明に用いられるアルカリ性の処理液は、アルカリ性物質を溶解させた溶液を用いることができる。アルカリ性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム;ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アンモニウム;第二燐酸ナトリウム、第二燐酸カリウム、第二燐酸アンモニウム;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム;ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム等の無機アルカリ剤が挙げられる。これらのうちで好ましいのは、水酸化アルカリ金属塩であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。上記アルカリ性物質は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
アルカリ性物質を溶解させる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水が挙げられる。
【0055】
上記アルカリ性の処理液におけるアルカリ性物質の濃度は、0.01質量%以上15質量%以下であるのが好ましく、0.04質量%以上15質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。アルカリ性物質の濃度が高すぎる場合、ポリエステル系支持体がダメージを受けやすくなる傾向があり、該濃度が低すぎる場合、塗布膜を充分除去できない虞がある。アルカリ性物質の含有量が前記範囲であると、塗布膜の除去効果が得られ、かつポリエステル系支持体へのダメージを抑制できる。
【0056】
上記アルカリ性の処理液は、除去された塗布膜の再付着を防止し、塗布膜の除去効率を高めるため、助剤として界面活性剤やウルトラファインバブルを含んでいてもよい。界面活性剤としては、特に制限はないが、例えば、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤などを使用することができる。界面活性剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0058】
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルピリジニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0059】
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム塩などが挙げられる。
【0060】
上記アルカリ性の処理液には、本発明の効果を妨げない範囲でその他の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、pH調整剤、消泡剤等が挙げられる。
【0061】
ポリエステル系基材にアルカリ性の処理液を接触させる方法としては、浸漬法、超音波法、スプレー法、揺動法等の各種方法を採用することができる。
【0062】
上記アルカリ性の処理液の温度は、100℃未満であることが好ましく、65℃以上100℃未満がより好ましく、65~95℃がさらに好ましい。第2の工程におけるアルカリ性の処理液での処理時間を短縮するためには、アルカリ性の処理液の温度が高い方が良いため、第1の工程での処理温度以上の温度で行うことが好ましい。具体的に、アルカリ性の処理液の温度が65℃以上であると、ポリエステル系支持体の物理化学特性に変化を生じさせることがなく、また過剰な時間をかけずに不純物の少ない高品質のポリエステル系支持体を得ることができるので好ましい。また、アルカリ性の処理液の温度が100℃以上は、常圧では達成できないため設備の大型化につながる上、加熱によりポリエステル系支持体の加水分解や溶解などが発生するおそれがある。
【0063】
上記アルカリ性の処理液との接触時間は、0秒超700秒未満であるのが好ましく、0秒超600秒以下がより好ましく、0秒超180秒以下がさらに好ましく、0秒超120秒以下が特に好ましい。処理時間が長すぎる場合、ポリエステル系支持体がダメージを受けやすくなる傾向がある上、ポリエステル系支持体がアルカリ性の処理液に溶出するためアルカリ性の処理液を排水処理する際の負荷が大きくなる虞がある。アルカリ性の処理液との処理時間は、塗布膜が十分に溶解、膨潤できればよく、処理時間が短すぎる場合は塗布膜を充分除去できない虞があるので、1秒以上がより好ましく、5秒以上がさらに好ましい。アルカリ処理液での処理時間が前記範囲であると、塗布膜の除去効果が得られ、かつポリエステル系支持体へのダメージを抑制できる。
【0064】
本発明において、第2の工程におけるアルカリ性の処理液での処理は、ポリエステル系支持体や塗布膜の種類、厚みなどに応じて適宜適切に選択し得るが、不純物の少ない高品質のポリエステル系支持体を得るためには、例えば、100℃未満の温度に加熱された濃度0.01~15質量%のアルカリ性の処理液に、0秒超700秒未満の間接触させることが好ましく、温度65℃以上100℃未満かつアルカリ濃度0.04質量%以上15質量%以下のアルカリ性の処理液を用いて、ポリエステル系基材に1秒以上180秒以下で接触させるのがより好ましい。
【0065】
(水洗処理)
上記第2の工程の後、水洗処理を実施することが好ましい。水による洗浄は、上記処理後のポリエステル系支持体に微量に残留した塗布膜を除去し、上記処理後ポリエステル系支持体に残留するアルカリ性の処理液を除去するために行われる。
【0066】
上記水洗処理の温度は特に限定されるものではないが、例えば、約40℃以上100℃以内の温水で水洗すると、上記効果が一層有効に発揮される。
【0067】
水洗の方法としては、塗布膜を除去したポリエステル系支持体に対して水を噴霧する方法、ポリエステル系支持体を水槽に浸漬する方法などが挙げられる。水洗処理の際、ロールブラシ、マイクロバブル、水流などの物理洗浄を実施してもよい。
【0068】
(乾燥処理)
水洗の後には、ポリエステル系支持体上に残存した水を除去するために、乾燥処理を実施することが好ましい。
【0069】
乾燥時間は、好ましくは10秒以上5分以内である。乾燥時間が10秒未満では、乾燥が不十分となり、ブロッキングを起こしてしまう虞がある。より好ましくは30秒以上である。一方、乾燥時間が5分を超えると、ポリエステル系支持体が変形する虞がある。
【0070】
乾燥方法については特には限定されず、例えば熱風を吹き付ける熱風乾燥や非接触式のヒーターで加熱する加熱乾燥などが挙げられる。
【0071】
(複数回処理)
上記の表面改質処理工程、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる第1の工程、アルカリ性の処理液を接触させる第2の工程は、複数回行ってもよい。複数回処理を行うことで、ポリエステル系支持体が固有粘度の低下などのダメージを受けることなく、短時間での処理が可能となる。
【0072】
〈回収したポリエステル系支持体の成形〉
本発明のポリエステル製品の製造方法は、上記ポリエステル系支持体の回収方法で回収したポリエステル系支持体を押し出し成形してポリエステル製品を製造することを含む。
【0073】
具体的には、回収したポリエステル系支持体は一旦ペレット化した後、溶融押出し等によって、ポリエステルフィルムなどの各種のポリエステル製品に成形することができる。
ポリエステル製品としては特に限定されるものではなく、通常のポリエステル用途に用いることができ、ポリエステルフィルム、ペットボトル、ポリエステル繊維、ポリエステルシート、ポリエステル容器などを製造することもできる。例えば、ポリエステルフィルムとして使用することができる。
【0074】
ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、通常は10~50μmの範囲内で適宜設定することができる。また、必要に応じて塗布膜を形成することができる。例えば、離型膜、粘着膜、ハードコート膜、易接着膜、帯電防止膜などが挙げられる。また、回収したポリエステル系支持体からも、塗布膜を除去し、再度ポリエステル系支持体を回収し、押し出し成形してポリエステル製品を製造することができる。再度回収したポリエステル系支持体から製造されるポリエステル製品としても、特に限定されるものではなく、通常のポリエステル用途に用いることができ、例えば、上記したのと同様のポリエステルフィルム、ペットボトル、ポリエステル繊維、ポリエステルシート、ポリエステル容器などが挙げられる。
【0075】
以上のとおり、本明細書には次の構成が開示されている。
<1>ポリエステル系支持体上の少なくとも一部に少なくとも1層の塗布膜を有してなるポリエステル系基材から前記塗布膜を除去して前記ポリエステル系支持体を回収する方法であって、前記ポリエステル系基材の少なくとも前記塗布膜を有する面に、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液を接触させる第1の工程と、前記第1の工程の後に前記ポリエステル系基材にアルカリ性の処理液を接触させる第2の工程とを含むことを特徴とするポリエステル系支持体の回収方法。
<2>前記第2の工程において、前記アルカリ性の処理液が、温度65℃以上100℃未満かつアルカリ濃度0.04質量%以上15質量%以下のアルカリ性の処理液であり、前記アルカリ性の処理液を、1秒以上180秒以下で接触させることを特徴とする、前記<1>に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
<3>前記第1の工程の前に、前記ポリエステル系基材の少なくとも前記塗布膜を有する面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、火焔処理及び紫外線処理からなる群から選択される少なくとも1つの表面改質処理を実施することを特徴とする、前記<1>又は<2>に記載のポリエステル系支持体の回収方法。
<4>前記第2の工程の後に、水による洗浄を実施することを特徴とする、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載のポリエステル系支持体の回収方法。
<5>前記第1の工程において、前記アルコールまたは前記アルコールを溶解した水溶液を、120秒以内で接触させることを特徴とする、前記<1>~<4>のいずれか1つに記載のポリエステル系支持体の回収方法。
<6>前記アルコールが、メタノール、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノールからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、前記<1>~<5>のいずれか1つに記載のポリエステル系支持体の回収方法。
<7>前記ポリエステル系支持体を、長尺状のまま回収することを特徴とする、前記<1>~<6>のいずれか1つに記載のポリエステル系支持体の回収方法。
<8>前記<1>~<7>のいずれか1つに記載のポリエステル系支持体の回収方法で回収したポリエステル系支持体を、押し出し成形してポリエステル製品を製造するポリエステル製品の製造方法。
【実施例0076】
以下、実施例に基づき、本発明の実施態様をさらに詳細に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。なお、本発明による塗布膜除去方法の有用性は、塗布膜の除去能で表すことができる。以下では特に断りのない限り、「%」は質量%を、「部」は質量部を意味する。
【0077】
(塗布膜の除去評価)
各特性は次のようにして測定した。
【0078】
1.処理性の評価
回収したポリエステル系支持体を細かく裁断した後、溶融プレス機で円柱状に成型し、蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「3270型」)を用いてケイ素(Si)の含有量を測定した。蛍光X線測定法により、あらかじめ作成した蛍光X線強度の検量線からSi含有量を定量した。
本発明の処理性を、得られたSi含有量に基づいて、以下の基準で評価した。なお、「◎」、「○」及び「△」が合格であり、「×」が不合格である。
〔評価基準〕
◎(優良):Siの含有量が検出下限(100ppm)以下
○(良好):Siの含有量が100ppm超300ppm未満
△(可) :Siの含有量が300ppm以上500ppm未満
×(不可):Siの含有量が500ppm以上
【0079】
2.ポリエステル系支持体へのダメージの評価
回収したポリエステル系支持体から得たペレット0.1gをo-クロロフェノール10mlに加え、100℃、30分で溶解させた後、ウベローデ型粘度計を用いて25℃における固有粘度(処理後のペレットの固有粘度)を測定した。
また、塗布膜を積層する前のポリエステルから得たペレットを用いて、同様に25℃における固有粘度(処理前のペレットの固有粘度)を測定した。
処理前のペレットの固有粘度に対し、処理したペレットの固有粘度を比較し、以下の基準で評価した。なお、「○」及び「△」が合格であり、「×」が不合格である。
〔評価基準〕
○(良好):処理前のペレットの固有粘度と比較し、処理後のペレットの固有粘度が0.005未満の低下
△(可) :処理前のペレットの固有粘度と比較し、処理後のペレットの固有粘度が0.005以上0.01未満の低下
×(不可):処理前のペレットの固有粘度と比較し、処理後のペレットの固有粘度が0.01以上の低下
【0080】
3.アルカリ性の処理液での処理時間の評価
第2の工程にて使用したアルカリ性の処理液での処理時間を以下の基準で評価した。なお、「◎」、「○」及び「△」が合格であり、「×」が不合格である。
〔評価基準〕
◎(優良):アルカリ性の処理液での処理時間が120秒以下
○(良好):アルカリ性の処理液での処理時間が120秒超300秒未満
△(可) :アルカリ性の処理液での処理時間が300秒以上700秒未満
×(不可):アルカリ性の処理液での処理時間が700秒以上
【0081】
(試料フィルムの作製)
次のとおり、離型膜、粘着膜又はハードコート膜を有する積層ポリエステルフィルムA~Cを、試料フィルムとして用意した。
【0082】
<フィルムA:シリコーン系離型膜を有するフィルム>
1.塗布膜を有するポリエステル系支持体の作製
ポリエステル系支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製“ルミラー”T60、厚さ38μm、固有粘度0.61)を準備した。該フィルムの片面に、バーコーターで、硬化型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製LTC-350Bを100部、同社製硬化剤SRX-212を0.8部含む)の5%トルエン溶液をコーティングし、トンネルオーブン中にて100℃で加熱して離型フィルムを作製し、巻き取った。
【0083】
2.セラミックスラリーと導電性ペーストの塗布
上記の離型フィルムの離型層面に、下記組成からなるセラミックスラリーを、ブレードコーターで均一に塗布した。これをトンネルオーブンにて85℃で乾燥して、離型フィルム上に厚さ20μmのセラミック層を形成した。次に、該セラミック層上に下記組成の導電性ペーストをスクリーン印刷し、80℃で10分間乾燥させて電極を形成した後、20℃にて1時間放置した。
《セラミックスラリー組成》
セラミック粉体(チタン酸バリウム) :100部
バインダー(ポリビニルブチラール) : 10部
可塑剤(フタル酸ジオクチル) : 5部
溶剤(トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)):100部
《導電性ペースト組成》
Ni系粉末 : 90部
有機ビヒクル : 10部
ターピネオール : 30部
【0084】
3.セラミック膜と内部電極の剥離
上記のセラミック層と電極を形成した離型フィルム上に、セラミック層と電極を形成した部分の塗布膜にのみ10cm×10cmの形状にスリットを入れた後、真空吸着機でセラミック層と電極を吸引して離型フィルムから剥離させ、フィルムAを得た。なお、フィルムAの離型層表面には、一部剥離できなかったセラミック層と電極が付着した状態であった。
【0085】
<フィルムB:アクリル系粘着膜を有するフィルム>
ポリエステル系支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製“ルミラー”R56、厚さ31μm、固有粘度0.62)を準備した。該フィルムの片面に、アクリル系粘着膜を10μmコーティングし粘着膜を有するフィルムBを作製した。
【0086】
<フィルムC:アクリル系ハードコート膜を有するフィルム>
ポリエステル系支持体としてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製“ルミラー”T60、厚さ38μm、固有粘度0.61)を準備した。下記組成からなるアクリル系ハードコート溶液を、ブレードコーターで、前記フィルムの片面上に、厚さ9μmのアクリル系ハードコート膜となるように均一に塗布した。続けて、紫外線を照射して硬化させ、アクリル系ハードコート膜を有するフィルムCを作製した。
《アクリル系ハードコート溶液》
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート : 95部
2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート : 5部
光重合開始剤(イルガキュア184、BASF(株)製): 4部
溶剤(メチルエチルケトン) :100部
【0087】
[実施例1]
(表面改質処理)
試料フィルムとしてシリコーン系離型膜を有するフィルム(フィルムA)を用い、フィルムAの離型膜側表面を、コロナ放電処理装置で、電力密度8W/cm、処理強度60Wmin/mでコロナ放電処理を行った。試料フィルムの大きさは、幅15cm、長さ150cmの長尺状である。
【0088】
(第1の工程)
25℃に設定したメタノール50%を含むアルコール水溶液を底の浅い容器に入れ、コロナ放電処理をした試料フィルムの塗布膜面のみを、アルコール水溶液の液面に1秒接触させた。試料フィルム1gあたりアルコール水溶液0.25gがフィルム表面上に付着していた。
【0089】
(第2の工程)
3%の水酸化ナトリウムと0.03%の非イオン性界面活性剤(富士フイルム和光純薬株式会社製「ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル」)の混合水溶液1000mlを80℃まで加熱した。そこに、第1の工程後の試料フィルムを45秒浸漬させ、処理することにより、離型層を除去し、検体フィルム(回収ポリエステル系支持体)を得た。検体フィルムを用いて、上記した「処理性の評価」を行った。
【0090】
(水洗・乾燥・ペレット化)
検体フィルム(回収ポリエステル系支持体)を水の入った水槽に45秒浸漬させた後、熱風を吹き付けることで乾燥させた。乾燥後の検体フィルムを粉砕し、押出機に投入して溶融、ペレット化した。得られたペレットを用いて、上記した「ポリエステル系支持体へのダメージの評価」を行った。
【0091】
(ポリエステルフィルムの製造)
検体フィルムから得たペレットを150℃で3時間乾燥し、押し出し機に供給し、285℃で溶融押し出しを行い、静電印加された20℃のキャストドラム上にキャストし未延伸シートを得た。この未延伸シートを90℃に加熱された延伸ロールによって長手方向に3.1倍延伸し、次いでテンター式延伸機によって120℃で幅方向に3.7倍延伸し、その後230℃で熱固定してロールに巻き取った。
【0092】
[実施例2]
用いた試料フィルムを、アクリル系粘着膜を有するフィルム(フィルムB)としたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0093】
[実施例3]
用いた試料フィルムを、アクリル系ハードコート膜を有するフィルム(フィルムC)としたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0094】
[実施例4]
表面改質処理としてコロナ放電処理を実施した後、用いた試料フィルムを、5mm×5mmのフレーク状に裁断したこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0095】
[実施例5]
表面改質処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0096】
[実施例6]
表面改質処理として、紫外線照射装置で30mW/cmの照射強度で60秒間紫外線照射を行ったこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0097】
[実施例7]
フィルム裏面への離型膜の転写が発生するため、表面改質処理としてコロナ放電処理をフィルム両面に実施し、第1の工程でコロナ放電処理をした試料フィルムの両面にアルコール水溶液を接触させたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0098】
[実施例8]
第1の工程で使用したメタノールをエタノールに替えたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0099】
[実施例9]
第1の工程で使用したメタノールを1-プロパノールに替えたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0100】
[実施例10]
第1の工程で使用したメタノールを2-プロパノールに替えたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0101】
[実施例11~12]
第1の工程におけるアルコール水溶液との接触時間を表2記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0102】
[実施例13~15]
第1の工程におけるアルコール水溶液のアルコール濃度を表3記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0103】
[実施例16~17]
第1の工程におけるアルコール水溶液の温度を表3記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0104】
[実施例18]
第2の工程におけるアルカリ性の処理液の温度を表4記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0105】
[実施例19]
第2の工程におけるアルカリ性の処理液の温度をメタノールの沸点以上の温度である65℃に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0106】
[実施例20]
第2の工程におけるアルカリ性の処理液の温度を50%メタノール水溶液の沸点以上の温度である95℃に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0107】
[実施例21~23]
第2の工程におけるアルカリ性の処理液の濃度と接触時間を表4記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0108】
[実施例24~25]
第2の工程におけるアルカリ性の処理液の濃度と接触時間を表5記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0109】
[実施例26]
第2の工程におけるアルカリ性の処理液を水酸化カリウムに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0110】
[実施例27]
第1の工程におけるアルコール水溶液の接触時間と、第2の工程におけるアルカリ性の処理液の温度と濃度と接触時間を表5記載の条件に変更した以外は実施例26と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0111】
[実施例28]
表面処理を行わなかったこと、第1の工程におけるアルコール水溶液の温度と接触時間、並びに、第2の工程におけるアルカリ性の処理液と温度と濃度と接触時間を表5記載の条件に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。なお、アルカリ性の処理液は、5%の水酸化カリウムと5%の水酸化ナトリウムと0.03%の非イオン性界面活性剤(富士フイルム和光純薬株式会社製「ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル」)の混合水溶液を用いた。
【0112】
[比較例1~2]
試料フィルムに、第1の工程を実施することなく、実施例1と同様の表面改質処理、第2の工程を実施した後、実施例1と同様に水洗、乾燥し、ポリエステルフィルムを作製した。なお、比較例1は、第2の工程における処理時間を45秒で行い、比較例2は、第2の工程における処理時間を900秒で行った。
【0113】
[比較例3]
試料フィルムに、第1の工程を実施することなく、実施例1と同様の表面改質処理、第2の工程を実施した後、実施例1と同様に水洗、乾燥し、ポリエステルフィルムを作製した。なお、比較例3は、第2の工程における水酸化ナトリウムの濃度を25%とし、処理時間を45秒で行った。
【0114】
[比較例4]
試料フィルムに、第2の工程を実施することなく、実施例1と同様の表面改質処理、第1の工程を実施した後、実施例1と同様に水洗、乾燥し、ポリエステルフィルムを作製した。
【0115】
[比較例5]
試料フィルムに、第1の工程を実施することなく、実施例1と同様の表面改質処理、第2の工程を実施した後、実施例1と同様に水洗、乾燥し、ポリエステルフィルムを作製した。なお、アルカリ処理液は、4.76%の水酸化カリウムと47.6%のエタノールを含む混合水溶液を用い、処理温度を25℃、処理時間を45秒で行った。
【0116】
[比較例6]
試料フィルムに、表面改質処理および第1の工程を実施することなく、実施例1と同様の第2の工程を実施した後、実施例1と同様に水洗、乾燥し、ポリエステルフィルムを作製した。なお、アルカリ処理液は、5%の水酸化カリウムと5%の水酸化ナトリウムと50%のエタノールを含む混合水溶液を用い、処理温度を60℃、処理時間を45秒で行った。
【0117】
[比較例7]
表7に示すように、第2の工程を実施した後に、第1の工程を実施するように順序を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。
【0118】
[比較例8]
試料フィルムに、第1の工程を実施することなく、第2の工程を表8記載の条件で行った以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製した。なお、アルカリ性の処理液は、3%の水酸化ナトリウムと0.03%の非イオン性界面活性剤(富士フイルム和光純薬株式会社製「ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル」)と50%のメタノールを50%含む混合水溶液を用いた。
【0119】
実施例1~28、比較例1~8について、評価した結果を下記表1~表8に記載した。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
【表7】
【0127】
【表8】
【0128】
表1~表8より、本発明の方法によれば、少なくとも1層の塗布膜を有するポリエステル系支持体から、塗布膜を除去することが可能であり、ポリエステル系支持体の回収およびこのポリエステル系支持体を原料の一部とするポリエステル製品を製造することができた。
【0129】
また、実施例1の結果から、表面改質処理、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液に接触させる第1の工程、アルカリ性の処理液を接触させる第2の工程を実施することで、固有粘度の低下などのダメージを受けることなく、短時間での塗布層除去も可能であることが分かった。
【0130】
これに対し、第1の工程を実施しない比較例1,2,3では、短時間での塗布膜の除去ができなかった。また、第1の工程を実施しないで第2の工程におけるアルカリ性の処理液にエタノール50%を添加した温度25℃のアルカリ処理液を用いて実施した比較例5においても、短時間での塗布膜の除去ができなかった。さらに、表面改質処理および第1の工程を実施しないで第2の工程におけるアルカリ性の処理液にエタノール50%を添加した温度60℃のアルカリ処理液を用いて実施した比較例6においても、短時間での塗布膜の除去ができなかった。
【0131】
以上のように、本発明の方法によれば、アルコールまたはアルコールを溶解した水溶液に接触させる第1の工程とアルカリ性の処理液を接触させる第2の工程を実施すれば、塗布層を除去することができ、ポリエステル系支持体の回収およびこのポリエステル系支持体を原料の一部とするポリエステル製品を製造することが可能である。また、表面改質処理を実施した後、第1の工程と第2の工程を実施することで、固有粘度の低下などのダメージを受けることなく、短時間で効率的に塗布膜の除去も可能となり、極めて有用である。