(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065833
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/04 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
H02K5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174893
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】山之井 靖高
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605AA03
5H605BB05
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC06
5H605CC10
5H605EC01
5H605EC05
5H605EC11
5H605FF06
5H605GG18
(57)【要約】
【課題】モータ内部の気密性を向上する。
【解決手段】開口部11を有するモータケース10と、モータケース10内に設けられたロータ30と、モータケース10内のロータ30の周囲に設けられロータ30を回転駆動するステータ20と、開口部11を閉塞するように設けられた蓋体40と、蓋体40の外側領域41に設けられコネクタピン50が圧入方向Pに圧入されて取り付けられる圧入部44と、外側領域41に設けられコネクタピン50の周方向においてコネクタピン50全体が露出される凹部45と、外側領域41からモータケース10の開口部11を覆うコネクタカバー60と、が設けられ、凹部45には蓋体40の形成素材とは異なる形成素材が充填されるモータ1。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するモータケースと、
前記モータケース内に設けられたロータと、
前記モータケース内の前記ロータの周囲に設けられ、前記ロータを回転駆動するステータと、
前記開口部を閉塞するように設けられた蓋体と、
前記蓋体の外側領域に設けられコネクタピンが圧入方向に圧入されて取り付けられる圧入部と、
前記外側領域に設けられ前記コネクタピンの延設方向と交差する周方向において前記コネクタピン全体が露出される凹部と、
前記外側領域から前記モータケースの前記開口部を覆うコネクタカバーと、が設けられ、
前記凹部には前記蓋体の形成素材とは異なる形成素材が充填されることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記凹部に充填される素材は、前記コネクタカバーの形成素材と同一であることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記凹部には、前記蓋体の形成素材よりも密閉性の高い材料が充填されていることを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記圧入部は、前記延設方向における前記凹部の両側に設けられていることを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記コネクタピンは、一部が前記周方向に突出する突出部が設けられ、前記突出部が前記圧入部に圧入されることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記コネクタカバーの形成素材と前記圧入部の形成素材とは別の素材であることを特徴とするモータ。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記外側領域は、前記コネクタピンを延設方向と交差する並び方向に複数並べて配置し、
前記圧入部は、前記並び方向における前記コネクタピン同士の間に肉抜きされた前記延設方向に沿う壁部が設けられていることを特徴とするモータ。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記外側領域には、前記凹部が複数形成されていることを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1及び特許文献2で表されるように、様々なモータが使用されている。このうち、例えば、特許文献1で表されるように、気密性を要する場所に使用される密閉型のモータがある。特許文献1及び特許文献2で表されるようなモータにおいては、端子であるコネクタピンが設けられており、コネクタピンを設ける構造としては、例えば、特許文献3や特許文献4などで例示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-253136号公報
【特許文献2】特開2006-129551号公報
【特許文献3】特開2001-85120号公報
【特許文献4】特開2000-133370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、気密性を要する場所にコネクタピンを有する従来のモータを使用する場合においては、モータ内部の気密性が不十分となる場合があった。これは、一例としては、コネクタピンを取り付けている部分から気体が漏れることに起因する。このため、モータ内部の気密性を向上することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のモータは、開口部を有するモータケースと、前記モータケース内に設けられたロータと、前記モータケース内の前記ロータの周囲に設けられ、前記ロータを回転駆動するステータと、前記開口部を閉塞するように設けられた蓋体と、前記蓋体の外側領域に設けられコネクタピンが圧入方向に圧入されて取り付けられる圧入部と、前記外側領域に設けられ前記コネクタピンの延設方向と交差する周方向において前記コネクタピン全体が露出される凹部と、前記外側領域から前記モータケースの前記開口部を覆うコネクタカバーと、が設けられ、前記凹部には前記蓋体の形成素材とは異なる形成素材が充填されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、モータ内部の気密性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図1のモータからモータケースとコネクタカバーとサブカバーとを取り外した状態を表す斜視図である。
【
図4】
図1のモータのステータを表す斜視図である。
【
図5】
図4のステータの蓋体の外側領域の拡大斜視図である。
【
図7】
図5の外側領域に取り付けられるコネクタピンのつぶし部を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。まず、
図1から
図3を参照して、本発明の一実施例であるモータ1の概要について説明する。なお、以下の説明では、モータ軸31の軸線方向をZ方向とし、Z方向と直交するとともに互いに直交する方向をX方向及びY方向とする。ここで、Y方向は、コネクタピン50の延設方向に対応する。また、矢印の向く方向が+方向とし、その反対側を-方向とする。したがって、例えば、
図2においては+Z方向が上方向となる。
【0009】
本実施例のモータ1は、例えば自動2輪車などのエンジンの吸気量を調節する機構に適用することが可能なIACV(Intake Air Control Valve)モータである。ただし、本発明は、自動2輪車用のIACVモータに限定されない。本実施例のモータ1は、コイル21に流す電流を切り換えることによって回転磁界を作り、周方向に多極着磁したロータマグネット32を同期回転させるように構成されている。
【0010】
図1から
図3などで表されるように、本実施例のモータ1は、モータケース10と、ステータ20と、ロータ30と、コネクタカバー60と、移動部70と、を備えている。モータケース10は、
図2で表されるように、磁性金属(例えば鉄)によって+Z方向側が開口部11により大きく開口するカップ状になっており、-Z方向側もモータ軸31を通す開口部12が設けられている。また、ロータ30は、モータ軸31とモータ軸31の外周に同軸状に固定された円筒状のロータマグネット32とを有し、モータケース10内に設けられている。
【0011】
ステータ20は、
図2で表されるように、モータケース10内のロータ30の周囲に設けられ、ロータ30を回転駆動するよう構成されている。ステータ20は、
図2及び
図3で表されるように、コイル21、蓋体40及びボビン47などを有し、蓋体40及びボビン47などと一体的に構成されている。ここで、蓋体40は、開口部11を閉塞するように設けられている。蓋体40は、ロータ30の端部を支持する第1軸受部421を備え、樹脂で一体に形成されている。また、開口部12には第2軸受部422が備えられている。
【0012】
コネクタカバー60は、蓋体40の外側領域41からモータケース10の開口部11を覆うように樹脂で一体的に成形されるようになっており、組立の最終工程においてモールド成形(例えば射出成形)されることで、モータケース10の開口部11を気密にするようになっている。蓋体40は、外側領域41に、コネクタピン50が取り付けられている。蓋体40は、ステータ20を一体的に構成する樹脂によって当該ステータ20と一体的に形成され、
図2で表されるように、コネクタカバー60が取り付けられた際にコネクタピン50がコネクタカバー60内に配置された状態となる。コネクタピン50の基端部は、ステータ20におけるコイル21と接続されている。
【0013】
そして、例えば、ステータ20と蓋体40とをボビン47を成形する樹脂で一体的に構成するに際し、複数のヨークを金型内にインサートした状態でボビン47と蓋体40を同時に射出成形(インサート射出成形)することができる。その上で、ボビン47にコイル21を巻き付け、そのコイル21の端部をコネクタピン50の端子に巻回し半田付けや溶接等で接続することで、蓋体40と一体化されたステータ20を得ることができる。ただし、蓋体40とステータ20とが一体化された構成でなくてもよく、蓋体40とステータ20とが別体で構成されていてもよい。
【0014】
蓋体40には、コネクタピン50の端子の配置を可能とする空間部48が設けられている。この空間部48は、
図2で表されるサブ蓋体43を蓋体40に取り付けることによって蓋体40内に形成され、サブ蓋体43を外すことによって外部に開放されるようになっている。すなわち、サブ蓋体43は、コネクタピン50の端子に対応する部分に空間部48を形成すべく、蓋体40の一構成要素として蓋体40に着脱自在に設けられており、コネクタピン50の端子を露出させることによってコネクタピン50の端子へのコイル21の巻回、接続等を可能とし、コネクタピン50の端子を覆うことによりこれを保護するようになっている。また、蓋体40は、サブ蓋体43を取り付けることによって、モータケース10における開口部11の全体を閉塞するようになっている。
【0015】
ロータ30は、モータケース10の開口部11からモータケース10内に挿入されており、ロータ30の中心に固定されたモータ軸31が、第1軸受部421及び第2軸受部422もしくはどちらか一方に回転自在に嵌合している。また、ステータ20は、ロータ30の外周面に近接した状態となるように、モータケース10の周壁部に嵌合されている。
【0016】
移動部70は、自動2輪車などのエンジンの吸気量を調節する機構に本実施例のモータ1が使用された場合の弁として使用することができ、モータ軸31が回転することに伴ってZ方向に沿って移動する。
図2で表されるように、移動部70にはねじりコイル71が取り付けられており、移動部70はねじりコイル71による押圧力によりモータケース10に向けて+Z方向に押圧されている。モータ軸31が回転することに伴ってねじりコイル71の押圧力に抗って移動部70は-Z方向に移動可能な構成となっている。移動部70がZ方向に沿って移動することで、例えば、ガソリンエンジンの混合気流量調整弁としての役割などを担うことができる。
【0017】
以下に、
図4から
図7を参照して、本実施例のモータ1の要部である蓋体40及びコネクタピン50の詳細構成について説明する。なお、蓋体40及びコネクタピン50の形状がわかりやすいように、
図4及び
図5では凹部45に充填する密閉材料Mが省略して表されており、
図6では凹部45に充填する密閉材料Mが透明化して表されている。なお、密閉材料Mは、コネクタカバー60をモールド成形する際にコネクタカバー60を形成する材料が流れ込むことで形成される。上記のように、本実施例のモータ1の蓋体40には、外側領域41に、コネクタピン50が取り付けられている。本実施例のモータ1は、開口部12及び開口部11を介してモータケース10とコネクタカバー60との間の領域に至った気流が蓋体40の外側領域41とコネクタカバー60との密閉性を向上することで外部に漏れ出ることを抑制することが可能な構成となっている。
【0018】
図4から
図6で表されるように、本実施例の蓋体40の外側領域41には、コネクタピン50が+Z方向に対応する圧入方向Pに圧入されて取り付けられる圧入部44と、コネクタピン50の延設方向(Y方向)と交差する周方向においてコネクタピン50全体が露出される凹部45と、が設けられている。なお、凹部45には、圧入部44の形成素材(すなわち、本実施例の場合はステータ20の形成素材)よりも密閉性の高い密閉材料M(
図6参照)が充填されている。ここで、外側領域41とコネクタカバー60とは、圧入部44においてコネクタピン50がコネクタカバー60の下面部材61(
図2参照)により圧入方向Pに押圧されることで密閉される。なお、下面部材61は、密閉材料Mに対応し、圧入部44の溝(X方向に隣接する壁部46同士の間)に入り込んでコネクタピン50を押圧可能な構成となっている。さらに、外側領域41とコネクタカバー60とは、上記のように凹部45において密閉性の高い密閉材料M(本実施例の場合はコネクタカバー60の形成素材)が充填されることで密閉されている。
【0019】
このように、本実施例のモータ1は、圧入部44と凹部45との両方でコネクタピン50の周囲を密閉することで、モータ1の内部の気密性を向上することができる構成となっている。圧入部44にコネクタピン50を圧入する際に、圧入部44において隙間ができる可能性があるが、コネクタピン50の周囲を凹部45において密閉材料Mで密閉することで、モータ1の内部の気密性を向上することができる。なかでも、圧入部44の形成素材よりも密閉性の高い密閉材料Mが凹部45に充填される構成とすることで、特に、モータ1の内部の気密性を向上することができる。ここで、本実施例について別の表現をすると、本実施例のコネクタカバー60は、外側領域41からモータケース10の開口部11を覆い、凹部45には蓋体40の形成素材とは異なる形成素材が充填されている。なお、凹部45に充填される密閉材料Mに対応する部分を残りのコネクタカバー60の形成素材とは別の素材で形成してもよく、その場合、密閉材料Mを残りのコネクタカバー60の形成素材よりも密閉性の高い材料とすることが好ましい。
【0020】
ここで、本実施例のモータ1においては、圧入部44の形成素材及び凹部45に充填される密閉材料M(コネクタカバー60の形成素材)はいずれも樹脂であり、凹部45に充填される密閉材料Mは圧入部44の形成素材よりも粘弾性の低い樹脂となっている。すなわち、本実施例のモータ1は、凹部45において、凹部45及びコネクタピン50の形状に合わせて追従しやすい密閉性の高い材料を用いて密閉することができており、特に、モータ1の内部の気密性を向上することができている。なお、「粘弾性の低い」とは、「硬度の低い」または「粘度の低い」と言い換えることが可能である。
【0021】
また、
図4から
図6で表されるように、本実施例のモータ1においては、圧入部44として圧入部44a及び圧入部44bとを有し、圧入部44は1つのコネクタピン50に対して2カ所設けられている。別の観点から説明すると、本実施例のモータ1においては、圧入部44はコネクタピン50の延設方向における凹部45の両側に設けられている。すなわち、本実施例のモータ1においては、密閉性の高い凹部45の両側においてさらに圧入部44で密閉することができ、特に、モータ内部の気密性を向上することができる。圧入部44は1つのコネクタピン50に対して2カ所設けられているため、コネクタピン50の寸法精度をより高めることができる。
【0022】
なお、外側領域41に凹部45が複数形成されていてもよい。このような構成とすることで、コネクタピン50の全周が覆われる部分が多くなるので、気密性が向上される。また、大きく1か所に凹部45を形成する場合に比べ、複数箇所に凹部45を設けることにより、コネクタカバー60を射出成形する際の押圧によってコネクタピン50が変形する虞を回避することができる。
【0023】
ここで、本実施例のモータ1においては、コネクタカバー60の形成素材と圧入部44の形成素材とは別の素材である。コネクタカバー60は密閉性の高いものが好ましく用いられ、圧入部44は耐久性が強く剛性の高いものが好ましく用いられるが、コネクタカバー60の形成素材と圧入部44の形成素材とを別の素材で構成することで、各々において特に好ましい素材を使用することができる。例えば、ステータ20は昇温しやすいので高温に耐え得る素材で形成されることが好ましいが、ステータ20すなわち圧入部44を高温に耐え得る素材で形成し、コネクタカバー60を成型しやすい別の素材で形成することなどが可能である。
【0024】
また、
図4から
図6で表されるように、本実施例のモータ1においては、コネクタピン50を4本有している。別の観点から説明すると、本実施例のモータ1においては、外側領域41はコネクタピン50を延設方向と交差する並び方向(X方向)に複数並べて配置している。そして、圧入部44は並び方向におけるコネクタピン50同士の間に肉抜きされた延設方向に沿う壁部46が設けられている。コネクタピン50同士の間に肉抜きされた延設方向に沿う壁部46が設けられる構成とすることで、壁部46の弾性変形が容易になることから、壁部46をコネクタピン50の形状に追従しやすくすることができ、特に、モータ1の内部の気密性を向上することができる。
【0025】
また、本実施例のモータ1においては、
図7などで表されるように各々のコネクタピン50は一部が周方向に突出する突出部53が設けられ、
図4から
図6で表されるように突出部53が圧入部44(圧入部44a)に圧入される構成となっている。このように、一部が周方向に突出する突出部53を圧入部44に圧入する構成とすることで、コネクタピン50を圧入部44に容易に圧入できるとともに、コネクタピン50を圧入部44に確りと位置決めして固定することができる。
【0026】
なお、本実施例のコネクタピン50は、延設方向に延びる基部51に対して2カ所に突出部53の形成領域52が設けられる構成である。そして、形成領域52のうちの一方のみが圧入部44に圧入される構成となっている。しかしながら、このような構成に限定されない。例えば、複数の形成領域52のいずれもが圧入部44に圧入される構成としてもよい。形成領域52が圧入部44に圧入される構成とすることで、コネクタピン50を圧入部44に圧入する際に、突出部53または圧入部44の構成部材の少なくとも一部をつぶしながら圧入することができ、特に、モータ1の内部の気密性を向上することができる。
【0027】
また、本実施例のモータ1はコネクタピン50を4本有している構成であるが、コネクタピン50の本数や形状、並びに、突出部53の有無や突出部53の形状などに特に限定は無い。さらには、圧入部44及び凹部45の形状や大きさなどについても特に限定はない。すなわち、凹部45は、周方向においてコネクタピン50の全体が露出される構成、別の表現をすると、密閉材料Mで周方向においてコネクタピン50の全体を密閉することができる構成になっていればよい。また、圧入部44は、コネクタピン50がコネクタカバー60により圧入方向Pに押圧されることで周方向において密閉される構成、別の表現をすると、コネクタカバー60の下面部材61(本実施例においては密閉材料M)が圧入部44に入り込んで外側領域41と下面部材61とで周方向においてコネクタピン50の全体を密閉することができる構成になっていればよい。
【0028】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0029】
最後に、本発明について包括的に以下に記載する。
【0030】
(1)
開口部を有するモータケースと、前記モータケース内に設けられたロータと、前記モータケース内の前記ロータの周囲に設けられ、前記ロータを回転駆動するステータと、前記開口部を閉塞するように設けられた蓋体と、前記蓋体の外側領域に設けられコネクタピンが圧入方向に圧入されて取り付けられる圧入部と、前記外側領域に設けられ前記コネクタピンの延設方向と交差する周方向において前記コネクタピン全体が露出される凹部と、前記外側領域から前記モータケースの前記開口部を覆うコネクタカバーと、が設けられ、前記凹部には前記蓋体の形成素材とは異なる形成素材が充填されることを特徴とするモータ。
【0031】
(2)
上記(1)に記載のモータにおいて、前記凹部に充填される素材は、前記コネクタカバーの形成素材と同一であることを特徴とするモータ。
【0032】
(3)
上記(1)に記載のモータにおいて、前記凹部には、前記蓋体の形成素材よりも密閉性の高い材料が充填されることを特徴とするモータ。
【0033】
(4)
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載のモータにおいて、前記圧入部は、前記延設方向における前記凹部の両側に設けられていることを特徴とするモータ。
【0034】
(5)
上記(1)から(4)のいずれか1つに記載のモータにおいて、前記コネクタピンは、一部が前記周方向に突出する突出部が設けられ、前記突出部が前記圧入部に圧入されることを特徴とするモータ。
【0035】
(6)
上記(1)から(5)のいずれか1つに記載のモータにおいて、前記コネクタカバーの形成素材と前記圧入部の形成素材とは別の素材であることを特徴とするモータ。
【0036】
(7)
上記(1)から(6)のいずれか1つに記載のモータにおいて、前記外側領域は、前記コネクタピンを延設方向と交差する並び方向に複数並べて配置し、前記圧入部は、前記並び方向における前記コネクタピン同士の間に肉抜きされた前記延設方向に沿う壁部が設けられていることを特徴とするモータ。
【0037】
(8)
上記(1)から(7)のいずれか1つに記載のモータにおいて、前記外側領域には、前記凹部が複数形成されていることを特徴とするモータ。
【符号の説明】
【0038】
1…モータ、10…モータケース、11…開口部、12…開口部、20…ステータ、21…コイル、30…ロータ、31…モータ軸、32…ロータマグネット、40…蓋体、41…外側領域、43…サブ蓋体、44…圧入部、44a…圧入部、44b…圧入部、45…凹部、46…壁部、47…ボビン、48…空間部、50…コネクタピン、51…基部、52…形成領域、53…突出部、60…コネクタカバー、61…下面部材、70…移動部、71…ねじりコイル、421…第1軸受部、422…第2軸受部、M…密閉材料