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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065837
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】電源異常検出回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/24 20060101AFI20240508BHJP
   H03K 5/26 20060101ALI20240508BHJP
   G06F 1/30 20060101ALI20240508BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20240508BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H02H3/24 Z
H03K5/26 F
G06F1/30 305
G01R19/165 K
H02J1/00 309E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174897
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 尚弘
【テーマコード(参考)】
2G035
5B011
5G004
5G165
5J039
【Fターム(参考)】
2G035AD25
2G035AD27
2G035AD50
2G035AD61
5B011GG03
5B011HH04
5G004AA04
5G004AB02
5G004BA08
5G004DB04
5G004DC07
5G165AA08
5G165BB01
5G165BB02
5G165EA01
5G165HA01
5G165MA04
5J039JJ05
5J039KK04
(57)【要約】
【課題】論理回路を用いて電源異常を検出可能な電源異常検出回路を提供する。
【解決手段】入力されたクロック信号の周波数を予め設定された第1の割合の周波数に分周して出力する第1の分周回路部と、電源電圧が通常電圧時には入力されたクロック信号の周波数を第1の割合の周波数に分周し、電源電圧が異常電圧時には入力された信号の周波数を第1の割合とは異なる第2の割合の周波数に分周して出力する第2の分周回路部と、第1の分周回路部の出力信号及び第2の分周回路部の出力信号の2つの信号の比較を行う比較回路部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたクロック信号の周波数を予め設定された第1の割合の周波数に分周して出力する第1の分周回路部と、
電源電圧が通常電圧時には入力されたクロック信号の周波数を前記第1の割合の周波数に分周し、電源電圧が異常電圧時には入力された信号の周波数を前記第1の割合とは異なる第2の割合の周波数に分周して出力する第2の分周回路部と、
前記第1の分周回路部の出力信号及び前記第2の分周回路部の出力信号の2つの信号の比較を行う比較回路部と、を備える
電源異常検出回路。
【請求項2】
前記第2の分周回路部は、動作電圧に応じて遅延時間が変化する遅延回路と、出力信号を前記遅延回路を介して入力するように構成された第1のフリップフロップ回路と、を備える
請求項1に記載の電源異常検出回路。
【請求項3】
前記遅延回路は、通常電圧時には前記第1のフリップフロップ回路に入力されたクロック信号の周波数の1周期以上2周期未満の遅延を発生させ、通常電圧より電圧が上昇した異常電圧時には前記第1のフリップフロップ回路に入力されたクロック信号の周波数の1周期未満の遅延を発生させる
請求項2に記載の電源異常検出回路。
【請求項4】
前記遅延回路は、通常電圧時には前記第1のフリップフロップ回路に入力されたクロック信号の周波数の1周期未満の遅延を発生させ、通常電圧より電圧が降下した異常電圧時には前記第1のフリップフロップ回路に入力されたクロック信号の周波数の1周期以上2周期未満の遅延を発生させる
請求項2に記載の電源異常検出回路。
【請求項5】
前記比較回路部は、
前記第1の分周回路部の出力信号及び前記第2の分周回路部の出力信号の排他的論理和演算を行う論理回路と、
前記論理回路から出力された信号と前記第1の分周回路部に入力された前記クロック信号とを同期させる第2のフリップフロップ回路と、を備える
請求項1から4のいずれか1項に記載の電源異常検出回路。
【請求項6】
前記比較回路部から前記2つの信号が異なる状態であることを示す信号が出力された場合に、電源電圧が異常電圧になったと判定する異常判定部を備える
請求項5に記載の電源異常検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源異常検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、直流出力電圧に応じてパルス幅変調された制御信号を平均化し、その出力を基準値と比較することにより電源の出力電圧の異常状態を検出する電源異常指示回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平06-083541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電源異常検出回路では、電源異常を検出するために、基準電圧回路、抵抗、及び、コンパレータ等で構成されるアナログ回路を搭載している。しかしながら、このようなアナログ回路は、回路の面積が大きくなり、さらに、ノイズの影響を受けやすい、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情を踏まえ、論理回路を用いて電源異常を検出可能な電源異常検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の電源異常検出回路は、入力されたクロック信号の周波数を予め設定された第1の割合の周波数に分周して出力する第1の分周回路部と、電源電圧が通常電圧時には入力されたクロック信号の周波数を前記第1の割合の周波数に分周し、電源電圧が異常電圧時には入力された信号の周波数を前記第1の割合とは異なる第2の割合の周波数に分周して出力する第2の分周回路部と、前記第1の分周回路部の出力信号及び前記第2の分周回路部の出力信号の2つの信号の比較を行う比較回路部と、を備える。
【0007】
第2態様の電源異常検出回路は、第1態様の電源異常検出回路において、前記第2の分周回路部は、動作電圧に応じて遅延時間が変化する遅延回路と、出力信号を前記遅延回路を介して入力するように構成された第1のフリップフロップ回路と、を備える。
【0008】
第3態様の電源異常検出回路は、第2態様の電源異常検出回路において、前記遅延回路は、通常電圧時には前記第1のフリップフロップ回路に入力されたクロック信号の周波数の1周期以上2周期未満の遅延を発生させ、通常電圧より電圧が上昇した異常電圧時には前記第1のフリップフロップ回路に入力されたクロック信号の周波数の1周期未満の遅延を発生させる。
【0009】
第4態様の電源異常検出回路は、第2態様の電源異常検出回路において、前記遅延回路は、通常電圧時には前記第1のフリップフロップ回路に入力されたクロック信号の周波数の1周期未満の遅延を発生させ、通常電圧より電圧が降下した異常電圧時には前記第1のフリップフロップ回路に入力されたクロック信号の周波数の1周期以上2周期未満の遅延を発生させる。
【0010】
第5態様の電源異常検出回路は、第1態様から第4態様のいずれか1項の電源異常検出回路において、前記比較回路部は、前記第1の分周回路部の出力信号及び前記第2の分周回路部の出力信号の排他的論理和演算を行う論理回路と、前記論理回路から出力された信号と前記第1の分周回路部に入力された前記クロック信号とを同期させる第2のフリップフロップ回路と、を備える。
【0011】
第6態様の電源異常検出回路は、第5態様の電源異常検出回路において、前記比較回路部から前記2つの信号が異なる状態であることを示す信号が出力された場合に、電源電圧が異常電圧になったと判定する異常判定部を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電源異常検出回路によれば、回路面積を抑えるとともにノイズの影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態の電源異常検出回路の回路構成を示す図である。
図2】上記電源異常検出回路における第2の分周回路部の詳細な回路構成を示す図である。
図3】フリップフロップ回路の真理値表である。
図4】上記電源異常検出回路の各部における信号の状態を示すタイミングチャートである。
図5】本発明の第2の実施形態の電源異常検出回路の回路構成を示す図である。
図6】上記電源異常検出回路の各部における信号の状態を示すタイミングチャートである。
図7】本発明の第3の実施形態の電源異常検出回路の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の電源異常検出回路1について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の電源異常検出回路1の回路構成を示す図である。図2は、第2の分周回路部の詳細な回路構成を示す図である。
【0015】
本実施形態の電源異常検出回路1は、通常電圧より電圧が上昇した場合に電源異常として検出する回路であって、電源異常検出回路1は、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路により構成される。
【0016】
電源異常検出回路1は、図1に示すように、第1の分周回路部10と、第2の分周回路部20と、比較回路部30と、異常判定部40と、を備える。
【0017】
第1の分周回路部10は、入力されたクロック信号の周波数を予め設定された第1の割合の周波数に分周して出力する。ここで、予め設定された第1の割合は、1/Nで表される。なお、Nは整数とする。本実施形態では、一例として、N=4とし、第1の割合を1/4とする。
【0018】
第1の分周回路部10は、具体的には、1/2分周回路として機能するフリップフロップ回路を含む分周回路11を備える。分周回路11は、1/2分周回路として機能するフリップフロップ回路が、予め設定された第1の割合に応じた数だけ多段接続された回路である。本実施形態では第1の割合を1/4としているため、1/2分周回路として機能するフリップフロップ回路が2段接続された構成となっている。分周回路11を構成するフリップフロップ回路は、例えばエッジトリガ型D(Delay)フリップフロップ回路を用いることができる。
【0019】
第2の分周回路部20は、電源電圧が通常電圧時には入力されたクロック信号の周波数を第1の割合の周波数に分周し、電源電圧が異常電圧時には入力された信号の周波数を第1の割合とは異なる第2の割合の周波数に分周して出力する。
【0020】
第2の分周回路部20は、具体的には、入力されたクロック信号の周波数を1/(N/4)の割合の周波数に分周して出力する分周回路21と、動作電圧に応じて遅延時間が変化する遅延回路22と、出力信号を遅延回路22を介して入力するように構成されたフリップフロップ回路23と、フリップフロップ回路23の出力信号を反転させるNOT回路24と、を備える。
【0021】
分周回路21は、1/2分周回路として機能するフリップフロップ回路が、1/(N/4)の分周回路となるように多段接続された回路である。分周回路21を構成するフリップフロップ回路は、例えばエッジトリガ型Dフリップフロップ回路を用いることができる。
【0022】
本実施形態では、N=4とし、第1の割合を1/4としているため、分周回路21における分周の割合は、1/(4/4)=1となり、入力されたクロック信号の周波数の分周が行われない。そのため、分周回路21は省略される。
【0023】
なお、仮に、N=8とし、第1の割合を1/8とした場合には、分周回路21における分周の割合は、1/(8/4)=1/2となり、分周回路21として、1/2分周回路が接続される。
【0024】
遅延回路22は、通常電圧時にはフリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数の1周期以上2周期未満の遅延を発生させ、通常電圧より電圧が上昇した異常電圧時にはフリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数の1周期未満の遅延を発生させる。
【0025】
遅延回路22は、動作電圧により遅延時間が変化する回路であればどのような構成でもよく、例えば、MOS-FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)リレー回路等の、インバータを含むリレー回路により構成される。
【0026】
フリップフロップ回路23は、一例として、エッジトリガ型Dフリップフロップ回路であり、詳細には、図2に示すように、信号入力用の端子D、クロック信号入力用の端子CLK、出力端子Q、及び、反転出力端子-Qの4つの入出力端子を備える。
【0027】
端子CLKには、分周回路21から出力されたクロック信号が入力される。なお、本実施形態では、N=4とし、第1の割合を1/4としているため、上記の通り分周回路21は省略される。そのため、端子CLKには、分周回路21を介さずにクロック信号がそのまま入力される。
【0028】
端子Dには、出力端子Qから出力された信号が、NOT回路24及び遅延回路22を介して入力される。
【0029】
図3は、フリップフロップ回路23の真理値表である。図3に示すように、フリップフロップ回路23は、クロック信号の立ち上がりエッジにおいて端子Dに入力された信号の値を取り込み、その他の状態では出力を保持した状態とする。
【0030】
上記のように構成されたフリップフロップ回路23は、通常電圧時には、遅延回路22における遅延時間がフリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数の1周期以上の時間となり、フリップフロップ回路23においてセットアップ不良が発生する。
【0031】
その結果、フリップフロップ回路23において、クロック信号の2パルスに1回の割合で、クロック信号の立ち上がりエッジ毎に出力が反転するため、フリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数が1/4となる。
【0032】
また、通常電圧より電圧が上昇した異常電圧時には、遅延回路22における遅延時間がフリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数の1周期未満の時間となり、セットアップ不良が解消される。
【0033】
その結果、フリップフロップ回路23において、クロック信号の立ち上がりエッジ毎に出力が反転するため、フリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数が1/2となる。
【0034】
従って、フリップフロップ回路23は、通常電圧時には1/4分周回路として機能し、通常電圧より電圧が上昇した異常電圧時には1/2分周回路として機能する可変分周回路となる。
【0035】
出力端子Qから出力され、NOT回路24により反転された信号は、第2の分周回路部20の出力信号として、比較回路部30に出力される。
【0036】
比較回路部30は、第1の分周回路部10の出力信号及び第2の分周回路部20の出力信号の2つの信号の比較を行う。
【0037】
比較回路部30は、具体的には、入力された2つの信号の排他的論理和演算を行うXOR回路31と、XOR回路31から出力された信号とクロック信号とを同期させるためのフリップフロップ回路32と、を備える。
【0038】
異常判定部40は、比較回路部30から2つの信号が異なる状態であることを示す信号が出力された場合に、電源電圧が異常電圧になったと判定する。異常判定部40は、例えばメモリに格納されたプログラムに基づいて所定の処理を実行するプロセッサにより構成される。
【0039】
次に、本実施形態の電源異常検出回路1の作用について説明する。図4は、本実施形態の電源異常検出回路1の各部における信号の状態を示すタイミングチャートである。
【0040】
ここでは、電源異常検出回路1の動作電圧として、低電圧電源から供給される電圧VDD1が供給されるものとする。電圧VDD1は、一例として、基準電圧1.2Vであり、基準電圧1.2Vを挟んで±0.2Vの範囲、すなわち、1.0Vから1.4Vまでの範囲を通常電圧とする。
【0041】
本実施形態の電源異常検出回路1は、通常電圧より電圧が上昇した場合、すなわち電圧VDD1が1.4Vを上回った場合に、異常電圧時として検出する。
【0042】
以下の説明では、第1の分周回路部10及び第2の分周回路部20に入力される前のクロック信号を、基準クロック信号と呼称する。
【0043】
図4に示すように、通常電圧時には、第1の分周回路部10の出力信号、及び、第2の分周回路部20の出力信号の2つの信号は、同相であり、かつ、基準クロック信号に対して1/4の周波数となる。
【0044】
従って、これら2つの信号に対してXOR回路31により排他的論理和演算を行った結果の信号では、ロウ信号が連続して出力されることになる。また、XOR回路31から出力された信号を基準クロック信号と同期させて比較回路部30から出力される信号についても、ロウ信号が連続して出力されることになる。
【0045】
これに対して、通常電圧より電圧が上昇した異常電圧時には、第1の分周回路部10の出力信号は基準クロック信号に対して1/4の周波数となり、第2の分周回路部20の出力信号は基準クロック信号に対して1/2の周波数となる。
【0046】
従って、これら2つの信号に対してXOR回路31により排他的論理和演算を行った結果の信号では、2つの信号の値が異なる領域においてハイ信号が出力され、2つの信号の値が同じ領域においてロウ信号が出力されることになる。また、XOR回路31から出力された信号を基準クロック信号と同期させて比較回路部30から出力される信号についても、XOR回路31から出力された信号が、そのままの形でシフトして出力されることになる。
【0047】
そのため、異常判定部40において、比較回路部30から2つの信号が異なる状態であることを示す信号として、ロウとハイを周期的に繰り返す信号が出力された場合に、電源電圧が異常電圧になったと判定することにより、電圧が異常に上昇する電源電圧の異常を検出することができる。
【0048】
このように、本実施形態の電源異常検出回路1によれば、基準電圧回路、抵抗、及び、コンパレータ等で構成されるアナログ回路を搭載せずに、論理回路を用いて電源異常を検出することができる。そのため、回路面積を抑えることができ、さらに、ノイズの影響を抑えることが可能となる。
【0049】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の電源異常検出回路2について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態の電源異常検出回路2の回路構成を示す図である。
【0050】
第1の実施形態の電源異常検出回路1は、通常電圧より電圧が上昇した場合に電源異常として検出する回路であった。これに対し、本実施形態の電源異常検出回路2は、通常電圧より電圧が降下した場合に電源異常として検出する回路である。
【0051】
本実施形態の電源異常検出回路2は、第1の実施形態の電源異常検出回路1と比較して、第2の分周回路部20の構成が異なる以外は同様の構成であるため、第2の分周回路部20以外の要素については、構成の説明を省略する。
【0052】
本実施形態の電源異常検出回路2における第2の分周回路部20は、通常電圧時には入力されたクロック信号の周波数を第1の割合の周波数に分周し、異常電圧時には入力された信号の周波数を第1の割合とは異なる第2の割合の周波数に分周して出力する。
【0053】
図5に示すように、第2の分周回路部20は、入力されたクロック信号の周波数を1/(N/2)の割合の周波数に分周して出力する分周回路21と、動作電圧に応じて遅延時間が変化する遅延回路22と、出力信号を遅延回路22を介して入力するように構成されたフリップフロップ回路23と、フリップフロップ回路23の出力信号を反転させるNOT回路24と、を備える。
【0054】
分周回路21は、1/2分周回路として機能するフリップフロップ回路が、1/(N/2)の分周回路となるように多段接続された回路である。分周回路21を構成するフリップフロップ回路は、例えばエッジトリガ型Dフリップフロップ回路を用いることができる。
【0055】
本実施形態では、N=2とし、第1の割合を1/2とする。そのため、分周回路21における分周の割合は、1/(2/2)=1となり、入力されたクロック信号の周波数の分周が行われない。そのため、分周回路21は省略される。
【0056】
なお、仮に、N=4とし、第1の割合を1/4とした場合には、分周回路21における分周の割合は、1/(4/2)=1/2となり、分周回路21として、1/2分周回路が接続される。
【0057】
遅延回路22は、通常電圧時にはフリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数の1周期未満の遅延を発生させ、通常電圧より電圧が降下した異常電圧時にはフリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数の1周期以上2周期未満の遅延を発生させる。
【0058】
遅延回路22は、動作電圧により遅延時間が変化する回路であればどのような構成でもよく、例えば、MOS-FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)リレー回路等の、インバータを含むリレー回路により構成される。
【0059】
フリップフロップ回路23は、第1の実施形態と同様に、エッジトリガ型Dフリップフロップ回路である。
【0060】
上記のように構成されたフリップフロップ回路23は、通常電圧時には、遅延回路22における遅延時間がフリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数の1周期未満の時間となり、フリップフロップ回路23においてセットアップ不良が発生しない。
【0061】
その結果、フリップフロップ回路23において、クロック信号の立ち上がりエッジ毎に出力が反転するため、フリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数が1/2となる。
【0062】
また、通常電圧より電圧が降下した異常電圧時には、遅延回路22における遅延時間がフリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数の1周期以上の時間となり、セットアップ不良が発生する。
【0063】
その結果、フリップフロップ回路23において、クロック信号の2パルスに1回の割合で、クロック信号の立ち上がりエッジ毎に出力が反転するため、フリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数が1/4となる。
【0064】
従って、フリップフロップ回路23は、通常電圧時には1/2分周回路として機能し、通常電圧より電圧が降下した異常電圧時には1/4分周回路として機能する可変分周回路となる。
【0065】
次に、本実施形態の電源異常検出回路2の作用について説明する。図6は、本実施形態の電源異常検出回路2の各部における信号の状態を示すタイミングチャートである。
【0066】
ここでは、電源異常検出回路2の動作電圧として、高電圧電源から供給される電圧VDD2が供給されるものとする。電圧VDD2は、一例として、基準電圧3.3Vであり、基準電圧3.3Vを挟んで±0.2Vの範囲、すなわち、3.1Vから3.5Vまでの範囲を通常電圧とする。
【0067】
本実施形態の電源異常検出回路1は、通常電圧より電圧が降下した場合、すなわち電圧VDD2が3.1Vを下回った場合に、異常電圧時として検出する。
【0068】
図6に示すように、通常電圧時には、第1の分周回路部10の出力信号、及び、第2の分周回路部20の出力信号の2つの信号は、同相であり、かつ、基準クロック信号に対して1/2の周波数となる。
【0069】
従って、これら2つの信号に対してXOR回路31により排他的論理和演算を行った結果の信号では、ロウ信号が連続して出力されることになる。また、XOR回路31から出力された信号を基準クロック信号と同期させて比較回路部30から出力される信号についても、ロウ信号が連続して出力されることになる。
【0070】
これに対して、通常電圧より電圧が降下した異常電圧時には、第1の分周回路部10の出力信号は基準クロック信号に対して1/2の周波数となり、第2の分周回路部20の出力信号は基準クロック信号に対して1/4の周波数となる。
【0071】
従って、これら2つの信号に対してXOR回路31により排他的論理和演算を行った結果の信号では、2つの信号の値が異なる領域においてハイ信号が出力され、2つの信号の値が同じ領域においてロウ信号が出力されることになる。また、XOR回路31から出力された信号を基準クロック信号と同期させて比較回路部30から出力される信号についても、XOR回路31から出力された信号が、そのままの形でシフトして出力されることになる。
【0072】
そのため、異常判定部40において、比較回路部30から2つの信号が異なる状態であることを示す信号として、ロウとハイを周期的に繰り返す信号が出力された場合に、電源電圧が異常電圧になったと判定することにより、電圧が異常に降下する電源電圧の異常を検出することができる。
【0073】
このように、本実施形態の電源異常検出回路2によっても、基準電圧回路、抵抗、及び、コンパレータ等で構成されるアナログ回路を搭載せずに、論理回路を用いて電源異常を検出することができる。そのため、回路面積を抑えることができ、さらに、ノイズの影響を抑えることが可能となる。
【0074】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態の電源異常検出回路3について説明する。図7は、本発明の第3の実施形態の電源異常検出回路3の回路構成を示す図である。
【0075】
第3の実施形態の電源異常検出回路1は、第1の実施形態の電源異常検出回路1と同様に、通常電圧より電圧が上昇した場合に電源異常として検出する回路であるが、第1の実施形態の電源異常検出回路1と比較して、電源異常を検出する際の電圧を可変とした点が異なる。
【0076】
本実施形態の電源異常検出回路3は、第1の実施形態の電源異常検出回路1と比較して、第2の分周回路部20の構成が異なる以外は同様の構成であるため、第2の分周回路部20以外の要素については、構成の説明を省略する。
【0077】
本実施形態の電源異常検出回路3における第2の分周回路部20は、通常電圧時には入力されたクロック信号の周波数を第1の割合の周波数に分周し、異常電圧時には入力された信号の周波数を第1の割合とは異なる第2の割合の周波数に分周して出力する。
【0078】
図7に示すように、第2の分周回路部20は、入力されたクロック信号の周波数を1/(N/4)の割合の周波数に分周して出力する分周回路21と、出力信号を遅延回路22を介して入力するように構成されたフリップフロップ回路23と、フリップフロップ回路23の出力信号を反転させるNOT回路24と、動作電圧に応じて遅延時間が変化する複数の遅延回路25a、25b、…25nと、複数の遅延回路25a、25b、…25nから入力された信号のうちの1つの信号を出力するセレクタ26と、を備える。
【0079】
複数の遅延回路25a、25b、…25nは、各々遅延時間が変化する電圧が異なる。例えば、電源異常検出回路3の動作電圧として、低電圧電源から供給される電圧VDD1が供給されるものとする。電圧VDD1は、一例として、基準電圧1.2Vとする。
【0080】
この場合、遅延回路25aは、電圧VDD1が1.3V未満の状態ではフリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数の1周期未満の遅延を発生させ、電圧VDD1が1.3V以上の状態ではフリップフロップ回路23に入力されたクロック信号の周波数の1周期以上2周期未満の遅延を発生させるように構成される。すなわち、遅延回路25aは、1.3Vを境界電圧として遅延時間が変化する。
【0081】
また、遅延回路25bは、1.4Vを境界電圧として遅延時間が変化する。同様に、境界電圧を0.1Vずつ上昇させた複数の遅延回路が設けられる。
【0082】
このような構成として、セレクタ26から出力させる信号の入力元の遅延回路を任意の遅延回路に切り替えることにより、電圧が異常に上昇する電源電圧の異常を検出する際の、電源電圧の値を切り替えることができる。
【0083】
例えば、遅延回路25aから入力された信号をセレクタ26から出力するようにした場合、電圧VDD1が1.3V以上となった場合に、電源電圧の異常として検出される。また、遅延回路25bから入力された信号をセレクタ26から出力するようにした場合、電圧VDD1が1.4V以上となった場合に、電源電圧の異常として検出される。
【0084】
なお、複数の遅延回路を設ける態様としては、上記のように通常電圧より電圧が上昇した場合に電源異常として検出する回路に限らず、通常電圧より電圧が降下した場合に電源異常として検出する回路に適用してもよい。
【0085】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【符号の説明】
【0086】
1、2、3 電源異常検出回路
10 分周回路部
11 分周回路
20 分周回路部
21 分周回路
22 遅延回路
23 フリップフロップ回路
24 NOT回路
25a、25b、…25n 遅延回路
26 セレクタ
30 比較回路部
31 XOR回路
32 フリップフロップ回路
40 異常判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7