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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065839
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20240508BHJP
   F21S 41/60 20180101ALI20240508BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240508BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240508BHJP
   F21S 43/239 20180101ALI20240508BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20240508BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20240508BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240508BHJP
   F21W 102/14 20180101ALN20240508BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240508BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240508BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20240508BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S41/60
F21S43/14
F21S43/237
F21S43/239
F21S43/245
F21S43/249
F21V8/00 310
F21V8/00 330
F21W102:14
F21W103:10
F21Y115:10
F21W105:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174900
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】檀浦 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 英恵
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA09
3K244BA50
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA04
3K244EA06
3K244EA08
3K244EA13
3K244EA24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】デザイン性に優れている車両用灯具を提供することにある。
【解決手段】この発明は、導光棒220U、220D(発光部)の端部分221U、221D(端発光部分)と中間部分222U、222D(中間発光部分)とを一体に構成したものである。これにより、この発明は、空間内に左右方向に配置されている導光棒220U、220D(発光部)の端部分221U、221D(端発光部分)と中間部分222U、222D(中間発光部分)とが連続して発光するので、不連続な発光と比較して、デザイン性に優れている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を車両の左右方向の両端に亘って形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記空間内の前記両端にそれぞれ配置されていて、第1ランプ機能の配光を前記ランプレンズから外部に出射させる第1ランプユニットと、
前記空間内に配置されていて、第2ランプ機能の配光を前記ランプレンズから外部に出射させる第2ランプユニットと、
を備え、
前記第2ランプユニットは、
前記空間内の前記両端にそれぞれ配置されている第2光源部と、
前記空間内の前記両端に亘って配置されていて、前記第2光源部からの光により発光して前記第2ランプ機能の配光を形成する発光部と、
を有し、
前記発光部は、
左右の前記第1ランプユニットの周囲の少なくとも一部をそれぞれ囲む端発光部分と、
左右の前記端発光部部分の間に前記左右方向に配置されていて、左右の前記端発光部分と一体に設けられている中間発光部分と、
を有する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記発光部は、導光部材から構成されていて、
前記導光部材は、
前記空間内の前記両端にそれぞれ配置されている入射部分と、
左右の前記入射部分とそれぞれ一体に設けられている端部分であって、左右の前記端発光部分と、
左右の前記端部分の間に前記左右方向に配置されていて、左右の前記端部分と一体に設けられている中間部分であって、前記中間発光部分と、
左右の前記入射部分にそれぞれ設けられていて、左右の前記第2光源部からの光をそれぞれ入射させる入射面と、
左右の前記端部分および前記中間部分に設けられていて、入射した前記光を反射させる反射面と、
左右の前記端部分および前記中間部分に設けられていて、反射した前記光を前記ランプレンズに向けて出射させる出射面と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記導光部材の左右の前記端部分は、前記ランプレンズ側から見て、前記第1ランプユニットの周囲を囲む円形をなしていて、
前記導光部材の前記中間部分は、前記ランプレンズ側から見て、直線形状をなしている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記発光部は、
前記導光部材と、
前記ランプレンズと前記導光部材との間に配置されていて、前記導光部材の前記出射面から出射した光を、入射して、前記ランプレンズに向けて拡散させて出射させるインナーレンズと、
から構成されていて、
前記インナーレンズは、
前記導光部材の左右の前記端部分にそれぞれ対向するレンズ端部分であって、左右の前記端発光部分と、
前記導光部材の前記中間部分に対向し、左右の前記レンズ端部分の間に前記左右方向に配置されていて、左右の前記レンズ端部分と一体に設けられているレンズ中間部分であって、前記中間発光部分と、
を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記導光部材の左右の前記端部分および前記インナーレンズの左右の前記レンズ端部分は、前記ランプレンズ側から見て、前記第1ランプユニットの周囲を囲む円形をなしていて、
前記導光部材の前記中間部分および前記インナーレンズの前記レンズ中間部分は、前記ランプレンズ側から見て、直線形状をなしている、
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記導光部材は、2本の導光棒から構成されていて、
2本の前記導光棒の長手方向は、前記左右方向に一致し、
2本の前記導光棒は、それぞれ、前記導光部材の前記入射部分、前記端部分、前記中間部分、前記入射面、前記反射面および前記出射面を有し、
2本の前記導光棒の前記端部分は、前記導光部材の前記端部分の円形を前記左右方向を境界として2分割した半円形をなし、
2本の前記導光棒の前記中間部分は、重なって、あるいは、並んで、配置されていて、直線形状をなしている、
ことを特徴とする請求項3または5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
2本の前記導光棒の前記端部分の分岐個所に配置されている導光体を備え、
前記導光体は、
前記ランプレンズ側から見て三角形をなしていて、
前記三角形の二つの辺に対応し、かつ、前記分岐個所に対向し、前記分岐個所からの漏れ光を入射させる二つの入射面と、
入射した前記漏れ光を反射させる反射面と、
反射した前記漏れ光を前記出射面からの前記光の出射方向と同じ方向に出射させる出射面と、
を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のランプユニットを統合化して複数のランプ機能を有する車両用灯具としては、たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3に示すものがある。
【0003】
特許文献1の車両用光学装置は、車両の前部に装備されるヘッドランプ(前照灯、HL)と、デイタイムランニングライト(DRL)と、情報表示ランプとを一体としたものである。特許文献2の車両用灯具は、車両の後部に装備される複数の車両用灯具を一体としたものである。特許文献3の車両用灯具は、車両の前部に装備される複数の車両用灯具を一体としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-59445号公報
【特許文献2】国際公開2019/155832号
【特許文献3】国際公開2021/168406号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる車両用灯具においては、デザイン性に優れている車両用灯具が求められている。
【0006】
この発明は、デザイン性に優れている車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、前記の課題を解決するため、空間を車両の左右方向の両端に亘って形成するランプハウジングおよびランプレンズと、前記空間内の前記両端にそれぞれ配置されていて、第1ランプ機能の配光を前記ランプレンズから外部に出射させる第1ランプユニットと、前記空間内に配置されていて、第2ランプ機能の配光を前記ランプレンズから外部に出射させる第2ランプユニットと、を備え、前記第2ランプユニットは、前記空間内の前記両端にそれぞれ配置されている第2光源部と、前記空間内の前記両端に亘って配置されていて、前記第2光源部からの光により発光して前記第2ランプ機能の配光を形成する発光部と、を有し、前記発光部は、左右の前記第1ランプユニットの周囲の少なくとも一部をそれぞれ囲む端発光部分と、左右の前記端発光部部分の間に前記左右方向に配置されていて、左右の前記端発光部分と一体に設けられている中間発光部分と、を有する、ことを特徴とする。
【0008】
この発明の車両用灯具において、前記発光部は、導光部材から構成されていて、前記導光部材は、前記空間内の前記両端にそれぞれ配置されている入射部分と、左右の前記入射部とそれぞれ一体に設けられている端部分であって、左右の前記端発光部分と、左右の前記端部分の間に前記左右方向に配置されていて、左右の前記端部分と一体に設けられている中間部分であって、前記中間発光部分と、左右の前記入射部分にそれぞれ設けられていて、左右の前記第2光源部からの光をそれぞれ入射させる入射面と、左右の前記端部分および前記中間部分に設けられていて、入射した前記光を反射させる反射面と、左右の前記端部分および前記中間部分に設けられていて、反射した前記光を前記ランプレンズに向けて出射させる出射面と、を有する、ことが好ましい。
【0009】
この発明の車両用灯具において、前記導光部材の左右の前記端部分は、前記ランプレンズ側から見て、前記第1ランプユニットの周囲を囲む円形をなしていて、前記導光部材の前記中間部分は、前記ランプレンズ側から見て、直線形状をなしている、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用灯具において、前記発光部は、前記導光部材と、前記ランプレンズと前記導光部材との間に配置されていて、前記導光部材の前記出射面から出射した光を、入射して、前記ランプレンズに向けて拡散させて出射させるインナーレンズと、から構成されていて、前記インナーレンズは、前記導光部材の左右の前記端部分にそれぞれ対向するレンズ端部分であって、左右の前記端発光部分と、前記導光部材の前記中間部分に対向し、左右の前記レンズ端部分の間に前記左右方向に配置されていて、左右の前記レンズ端部分と一体に設けられているレンズ中間部分であって、前記中間発光部分と、を有する、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用灯具において、前記導光部材の左右の前記端部分および前記インナーレンズの左右の前記レンズ端部分は、前記ランプレンズ側から見て、前記第1ランプユニットの周囲を囲む円形をなしていて、前記導光部材の前記中間部分および前記インナーレンズの前記レンズ中間部分は、前記ランプレンズ側から見て、直線形状をなしている、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用灯具において、前記導光部材は、2本の導光棒から構成されていて、2本の前記導光棒の長手方向は、前記左右方向に一致し、2本の前記導光棒は、それぞれ、前記導光部材の前記入射部分、前記端部分、前記中間部分、前記入射面、前記反射面、前記繋面および前記出射面を有し、2本の前記導光棒の前記端部分は、前記導光部材の前記端部分の円形を前記左右方向を境界として2分割した半円形をなし、2本の前記導光棒の前記中間部分は、重なって、あるいは、並んで、配置されていて、直線形状をなしている、ことが好ましい。
【0013】
この発明の車両用灯具において、2本の前記導光棒の前記端部分の分岐個所に配置されている導光体を備え、前記導光体は、前記ランプレンズ側から見て三角形をなしていて、前記三角形の二つの辺に対応し、かつ、前記分岐個所に対向し、前記分岐個所からの漏れ光を入射させる二つの入射面と、入射した前記漏れ光を反射させる反射面と、反射した前記漏れ光を前記出射面からの前記光の出射方向と同じ方向に出射させる出射面と、を有する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明の車両用灯具は、デザイン性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態を示す非点灯時の正面図である。
図2図2は、ポジションランプの点灯時を示す正面図である。
図3図3は、ポジションランプとヘッドランプとの点灯時を示す正面図である。
図4図4は、主要構成部品を示す斜視図である。
図5図5は、主要構成部品を示す水平断面図(図1におけるV-V線断面図)である。
図6図6は、主要構成部品を示す鉛直断面図(図1におけるVI-VI線断面図)である。
図7図7は、主要構成部品を示す鉛直断面図(図1におけるVII-VII線断面図)である。
図8図8は、ポジションランプの点灯時を示す一部拡大正面図(図4におけるVIII部の拡大正面図)である。
図9図9は、ポジションランプの点灯時を示す一部拡大断面図(図8におけるIX-IX線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
この明細書および別紙の特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具1が車両10に搭載された車両搭載状態における前、後、上、下、左、右である。また、前後、上下、左右の各方向は、車両用灯具1が車両10に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。上下方向は、鉛直方向に平行であり、左右方向は、水平方向である。正面方向および背面方向において、車両用灯具1から光が出射される方向を正面方向とし、正面方向の反対方向を背面方向とする。
【0018】
なお、図面は、この発明にかかる、車両用灯具1を示す概略図であるから、この発明にかかる車両用灯具1の主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略する。また、ハッチングの一部が省略されている。
【0019】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用灯具1の構成について説明する。図4において、ランプハウジング2の図示は、省略されている。
【0020】
(車両用灯具1の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具1は、図1から図3に示すように、車両10の前面のグリル部分11に、左右に亘って、装備されている。したがって、この実施形態においては、正面方向が前方向(車両前方)であり、背面方向が後方向(車両後方)であり、左右方向が車両10の車幅方向である。なお、車両10は、電気自動車、ガソリン車、その他の形態の自動車である。
【0021】
車両用灯具1は、複数のランプユニットを統合化して複数のランプ機能を有する、いわゆる、統合化フロントランプユニット(UFL)である。車両用灯具1の平面視形状は、車両10の前面のグリル部分11の平面視形状に合わせて、図5に示すように、車幅方向の中央から左右の外側に行くに従って、前から後にかけてスラントしている。
【0022】
車両用灯具1は、図1から図7に示すように、ランプハウジング2およびランプレンズとしてのアウターレンズ3と、発光部としてのインナーレンズ4と、二つの第1ランプユニット100と、一つの第2ランプユニット200と、その他のランプユニット(図示せず)と、を備える。なお、その他のランプユニットとしては、デイタイムランニングランプ、ターンシグナルランプなどである。
【0023】
ランプハウジング2は、光不透過性の部材、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ABS、ASAなどの樹脂部材から、射出成形により、構成されている。アウターレンズ3は、光透過性の部材、たとえば、ポリカーボネート、アクリルなどの樹脂部材から、射出成形により、構成されている。アウターレンズ3は、素通しの場合と、プリズムなどの光学素子が設けられている場合がある。
【0024】
ランプハウジング2とアウターレンズ3とは、相互に固定されていて、ランプハウジング2とアウターレンズ3との内部には、空間(灯具空間、灯室)5が、車両10の左右方向の両端に亘って形成されている。すなわち、ランプハウジング2とアウターレンズ3の正面視形状は、車両10の前面のグリル部分11の左右両端に亘って、細長い形状をなしている。
【0025】
アウターレンズ3は、ランプハウジング2に対して、正面方向側に配置されている。アウターレンズ3は、左右方向の両端の端部分30と、二つの端部分30の間に二つの端部30分と一体に設けられている中間部分31と、を有する。二つの端部分30の上下幅は、中間部分31の上下幅よりも、広い。
【0026】
空間5内には、インナーレンズ4、二つの第1ランプユニット100、一つの第2ランプユニット200、および、その他のランプユニットが、それぞれ、配置されている。このインナーレンズ4、二つの第1ランプユニット100、一つの第2ランプユニット200、および、その他のランプユニットは、ランプハウジング2に、ブラケットなどの取付部材6を介して、あるいは、直接、取り付けられている。
【0027】
(第1ランプユニット100の説明)
第1ランプユニット100は、この例では、前照灯(ヘッドランプ)であって、第1ランプ機能の配光、すなわち、前照灯機能の配光を、インナーレンズ4を透過させてアウターレンズ3から外部に出射させる。前照灯機能の配光は、たとえば、配光可変タイプのハイビームである。
【0028】
第1ランプユニット100は、空間5の左右方向の両端にそれぞれ配置されている。第1ランプユニット100は、第1光源部(図示せず)と、レンズ部材101と、ハウジング部材102と、を有する。
【0029】
レンズ部材101とハウジング部材102とは、相互に固定されていて、レンズ部材101とハウジング部材102との内部には、灯室(図示せず)が形成されている。灯室内には、第1光源部が配置されている。第1光源部は、基板と、基板に実装されている複数個のLEDと、を有する。複数個のLEDは、制御部(図示せず)からの信号に基づいて、点灯消灯する。
【0030】
レンズ部材101は、第1光源部からの光(図示せず)をインナーレンズ4およびアウターレンズ3に向けて出射させる。第1光源部からの光は、レンズ部材101、インナーレンズ4およびアウターレンズ3を透過して外部に配光可変タイプのハイビームとして出射する。
【0031】
(第2ランプユニット200の説明)
第2ランプユニット200は、この例では、標識灯(ポジションランプ、クリアランスランプ)であって、第2ランプ機能の配光、すなわち、標識灯機能の配光を、インナーレンズ4を透過させてアウターレンズ3から外部に出射させる。
【0032】
第2ランプユニット200は、空間5内に配置されている。第2ランプユニット200は、二つの第2光源部210と、発光部としての導光部材(220U、220D)と、4個の導光体230と、を有する。
【0033】
(第2光源部210の説明)
第2光源部210は、空間5内の左右方向の両端にそれぞれ配置されている。第2光源部210は、この例では、第1ランプユニット100に対して、車両10の車幅方向の外側で、かつ、後側に、それぞれ配置されている。第2光源部210は、基板211と、LED212と、を有する。
【0034】
基板211は、ランプハウジング2に直接もしくは取付部材6を介して取り付けられている。LED212は、基板211の上下にそれぞれ実装されていて、制御回路など(図示せず)を介して電源(図示せず)に接続されている。
【0035】
(導光部材(220U、200D)の説明)
導光部材(220U、200D)は、この例では、上下に並んで設けられている2本の導光棒220U、220D(以下、「2本の」を省略して、単に「導光棒220U、220D」と称する場合がある)から構成されている。導光棒220U、220Dの長手方向は、左右方向に一致している。導光棒220U、220Dは、断面円形(図6および図7を参照)の丸棒形状をなしている。なお、図9においては、導光棒220U、220Dの湾曲部分(図8を参照)の断面図であるから、上下に長い長円形の断面形状をなす。導光棒220U、220Dは、光透過性の部材、たとえば、ポリカーボネート、アクリルなどの樹脂部材から、射出成形により、構成されている。
【0036】
導光棒220U、220Dは、左右の第2光源部210に跨って左右方向に配置されている。すなわち、発光部としての導光棒220U、220Dは、空間5内の左右両端に亘って配置されている。導光棒220U、220Dは、それぞれ、発光部の端発光部分としての端部分221U、221Dと、発光部の中間発光部分としての中間部分222U、222Dと、入射部分223U、223Dと、入射面224と、反射面225と、繋面226と、出射面227と、を有する。
【0037】
導光棒220U、220Dの平面視形状は、車両用灯具1の平面視形状に倣って、図5に示すように、車幅方向の中央から左右の外側に行くに従って、前から後にかけてスラントしている。これにより、導光棒220U、220Dの左右両端部分に対応する入射部分223U、223Dおよび端部分221U、221Dは、車幅方向の中央から左右の外側に行くに従って、前から後にかけてスラントして、回り込んでいる。
【0038】
入射部分223U、223Dは、導光棒220U、220Dの左右両端部分に設けられている。入射部分223U、223Dは、空間5内の左右両端にそれぞれ配置されていて、左右の第2光源部210の上下のLED212にそれぞれ対向している。
【0039】
端部分221U、221Dは、入射部分223U、223Dと一体に設けられている。端部分221U、221Dは、アウターレンズ3側から見て、第1ランプユニット100の周囲を囲む円形をなしている。すなわち、上の導光棒220Uの端部分221Uは、第1ランプユニット100の周囲の上半分を囲む半円形をなしている。下の導光棒220Dの端部分221Dは、第1ランプユニット100の周囲の下半分を囲む半円形をなしている。
【0040】
中間部分222U、222Dは、左右の端部分221U、221Dの間に左右方向に配置されていて、端部分221U、221Dと一体に設けられている。中間部分222U、222Dは、上下に、重なって、あるいは、並んで、配置されていて、直線形状をなしている。すなわち、上の導光棒220Uの中間部分222Uは、上の導光棒220Uの左右の端部分221Uの間に左右方向に直線上に配置されていて、直線形状をなしている。下の導光棒220Dの中間部分222Dは、下の導光棒220Dの左右の端部分221Dの間に左右方向に直線上に配置されていて、直線形状をなしている。
【0041】
入射面224は、左右の入射部分223U、223Dの端面(上下左右合計四つの端面)にそれぞれ設けられている。入射面224は、左右の第2光源部210の上下のLED212にそれぞれ対向している。入射面224は、LED212からの光Lを導光棒220U、220Dの内部に入射させる。
【0042】
反射面225は、端部分221U、221Dおよび中間部分222U、222Dの背面側に設けられている。反射面225は、入射した光Lを出射面227側に反射させる。反射面225は、複数のプリズムの反射面225から構成されている。一つのプリズムは、一つの反射面225と一つの繋面226とから形成されている。なお、一つのプリズムは、一つの反射面225と一つの繋面226と一つの段差面とから形成されている場合がある。
【0043】
出射面227は、端部分221U、221Dおよび中間部分222U、222Dの正面側に設けられている。出射面227は、円筒面の一部の曲面からなる。出射面227は、反射した光Lを、拡散光として、インナーレンズ4側に向けて出射させる。出射面227には、微細な凹凸面を設けても良い。
【0044】
(導光体230の説明)
導光体230は、図4図8および図9に示すように、上下の導光棒220U、220Dの端部分221U、221Dの分岐個所228U、228D(4箇所の分岐個所228U、228D)にそれぞれ配置されている。導光棒220U、220Dの分岐個所228U、228Dは、緩やかな円弧形状、すなわち、緩曲線(曲率半径が大きい曲線)で湾曲している。これは、導光棒220U、220Dの導光方向を曲げる時に、急曲線(曲率半径が小さい曲線)とした場合、導光棒220U、220Dの内部の光が外部に出て損失してしまう場合があり、そこで、緩曲線として、導光棒220U、220Dの内部の光の損失を抑制するためのものである。ここで、導光棒220U、220Dの分岐個所228U、228Dを緩やかな円弧形状に湾曲させると、導光棒220U、220Dの分岐個所228U、228Dにおいて、アウターレンズ3側から見て三角形の隙間が発生する。この隙間は、無発光部分となる場合がある。このため、導光棒220U、220Dの分岐個所228U、228Dの三角形の隙間に導光体230を配置する。
【0045】
導光体230は、導光棒220U、220Dと同様に、光透過性の部材、たとえば、ポリカーボネート、アクリルなどの樹脂部材から、射出成形により、構成されている。導光体230は、アウターレンズ3側から見て三角形をなしている。導光体230は、五つの面、三角形の正面と、三角形の背面と、三角形の3辺に対応する細長い長方形の三つの側面と、からなる。導光体230は、二つの入射面231と、反射面232と、繋面233と、出射面234と、を有する。
【0046】
二つの入射面231は、三つの側面のうち二つの側面に設けられている。二つの入射面231は、三角形の二つの辺に対応し、かつ、分岐個所228U、228Dに対向している。入射面231は、分岐個所228U、228Dからの漏れ光L1を導光体230の内部に入射させる。
【0047】
反射面232と繋面233は、三角形の背面に設けられている。反射面232は、入射した漏れ光L1を出射面234側に反射させる。反射面232と繋面233は、複数のプリズムの反射面232と繋面233から構成されている。一つのプリズムは、一つの反射面232と一つの繋面233とから形成されている。なお、一つのプリズムは、一つの反射面232と一つの繋面233と一つの段差面とから形成されている場合がある。
【0048】
出射面234は、三角形の正面に設けられている。出射面234は、反射した漏れ光L1を、導光棒220U、220Dの出射面227からの光Lの出射方向同じ方向に出射させる。出射面234は、導光棒220U、220Dの出射面227と同様に、曲面とし、あるいは、微細な凹凸面を設けて、反射した漏れ光L1を、拡散光として、インナーレンズ4側に向けて出射させても良い。
【0049】
(インナーレンズ4の説明)
インナーレンズ4は、光透過性の部材、たとえば、ポリカーボネート、アクリルなどの樹脂部材から、射出成形により、構成されている。インナーレンズ4は、アウターレンズ3と、導光棒220U、220Dおよび導光体230との間に配置されている。インナーレンズ4は、導光棒220U、220Dの出射面227からの光L、および、導光体230の出射面234からの漏れ光L1を、背面で入射し、正面からアウターレンズ3に向けて拡散させて出射させる。なお、インナーレンズ4の正面は、曲面からなり、もしくは、微細な凹凸面が設けられていて、光Lおよび漏れ光L1を拡散光として出射するものである。
【0050】
インナーレンズ4は、端発光部分としての左右のレンズ端部分40と、中間発光部分としてのレンズ中間部分41と、を有する。インナーレンズ4の平面視形状は、導光棒220U、220Dの平面視形状、および、車両用灯具1の平面視形状に倣って、図5に示すように、車幅方向の中央から左右の外側に行くに従って、前から後にかけてスラントしている。これにより、インナーレンズ4の左右両端部分に対応するレンズ端部分40は、車幅方向の中央から左右の外側に行くに従って、前から後にかけてスラントして、回り込んでいる。
【0051】
レンズ端部分40は、導光棒220U、220Dの端部分221U、221Dに対向している。レンズ端部分40は、導光棒220U、220Dの端部分221U、221Dと同様に、アウターレンズ3側から見て、第1ランプユニット100の周囲を囲む円形をなしている。
【0052】
レンズ中間部分41は、導光棒220U、220Dの中間部分222U、222Dに対向している。レンズ中間部分41は、左右のレンズ端部分40の間に左右方向に配置されていて、レンズ端部分40と一体に設けられている。レンズ中間部分41は、導光棒220U、220Dの中間部分222U、222Dと同様に、アウターレンズ3側から見て、直線形状をなしている。
【0053】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0054】
第1ランプユニット100の第1光源部と第2ランプユニット200の第2光源部210が消灯状態にある時は、図1に示すように、第1ランプユニット100と第2ランプユニット200とは、発光していない。
【0055】
第2ランプユニット200の第2光源部210を点灯する。すると、図2に示すように、第2ランプユニット200は、発光する(図2および図3中の斜め格子模様の部分を参照)。すなわち、LED212からの光Lは、導光棒220U、220Dの入射面224から導光棒220U、220Dの内部に入射する。入射した光Lは、導光棒220U、220Dの導光作用により、導光棒220U、220Dの内部を進みながら、反射面225で出射面227側に反射する。反射した光Lは、出射面227からインナーレンズ4に向けて出射する。
【0056】
ここで、図8および図9に示すように、導光棒220U、220Dの内部を進む光Lの一部は、漏れ光L1として、導光棒220U、220Dの分岐個所228U、228Dから外部に出射する。漏れ光L1は、導光体230の入射面231から導光体230の内部に入射する。入射した漏れ光L1は、導光体230の導光作用により、導光体230の内部を進みながら、反射面232で出射面234側に反射する。反射した漏れ光L1は、出射面234からインナーレンズ4に向けて出射する。
【0057】
導光棒220U、220Dの端部分221U、221Dおよび中間部分222U、222Dの出射面227から出射した光L、および、導光体230の出射面234から出射した漏れ光L1は、標識灯機能の配光として、インナーレンズ4のレンズ端部分40およびレンズ中間部分41を透過し、かつ、アウターレンズ3を透過して、外部に出射する。
【0058】
これにより、導光棒220U、220Dの端部分221U、221Dおよび中間部分222U、222Dとインナーレンズ4のレンズ端部分40およびレンズ中間部分41とは、発光部の端発光部分および中間発光部分として、発光する。
【0059】
第1ランプユニット100の第1光源部を、第2光源部210の点灯と同時に、点灯する。すると、図3に示すように、第1ランプユニット100は、第2ランプユニット200は、発光する(図3中の黒塗りの部分を参照)。すなわち、第1光源部からの光は、配光可変タイプのハイビームとして、第1ランプユニット100のレンズ部材101を透過し、導光棒220U、220Dの端部分221U、221Dの円形の内部空間、および、インナーレンズ4のレンズ端部分40の円形の内部空間を通り、かつ、アウターレンズ3を透過して、外部に出射する。
【0060】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0061】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、左右方向に延長する空間5内に第1ランプユニット100と第2ランプユニット200とを統合化して配置したものであって、この第2ランプユニット200において、導光棒220U、220D(発光部)の端部分221U、221D(端発光部分)と中間部分222U、222D(中間発光部分)とを一体に構成したものである。これにより、この実施形態にかかる車両用灯具1は、空間5内に左右方向に配置されている導光棒220U、220D(発光部)の端部分221U、221D(端発光部分)と中間部分222U、222D(中間発光部分)とが連続して発光するので、不連続な発光と比較して、デザイン性に優れている
【0062】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、導光棒220U、220Dとアウターレンズ3との間にインナーレンズ4を配置し、導光棒220U、220Dの端部分221U、221D、中間部分222U、222Dとインナーレンズ4(発光部)のレンズ端部分40(端発光部分)、レンズ中間部分41(中間発光部分)とを対向させた、ものである。これにより、この実施形態にかかる車両用灯具1は、導光棒220U、220Dの端部分221U、221Dおよび中間部分222U、222Dの出射面227から出射した光Lを、インナーレンズ4(発光部)のレンズ端部分40(端発光部分)およびレンズ中間部分41(中間発光部分)で拡散させるものであるから、発光部の端発光部分および中間発光部分の発光が拡散されて、発光部のデザイン性を向上させることができる。
【0063】
この実施形態にかかる車両用灯具1において、導光棒220U、220Dの端部分221U、221Dおよびインナーレンズ4のレンズ端部分40は、アウターレンズ3側から見て、第1ランプユニット100の周囲を囲む円形をなしていて、導光棒220U、220Dの中間部分222U、222Dおよびインナーレンズ4のレンズ中間部分41は、アウターレンズ3側から見て、直線形状をなしているものである。このように、この実施形態にかかる車両用灯具1は、円形の端発光部分と直線形状の中間発光部分との組み合わせにより、デザイン性をさらに向上させることができる。
【0064】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、導光部材(220U、220D)が、2本の導光棒220U、220Dから構成されているものであるから、半円形の端部分221U、221Dで第1ランプユニット100の周囲を囲む円形を正確にかつ容易に形成することができ、しかも、中間部分222U、222Dを重なってあるいは並んで配置させることにより、直線形状を正確にかつ容易に形成することができる。これにより、この実施形態にかかる車両用灯具1は、発光部の円形の端発光部分および直線形状の中間発光部分を正確にかつ容易に形成することができ、発光部のデザイン性をさらに向上させることができる。
【0065】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、2本の導光棒220U、220Dの端部分221U、221Dの分岐個所228U、228Dに導光体230を配置したものであるから、分岐個所228U、228Dから漏れた漏れ光L1を、導光体230により、アウターレンズ3に向けて出射させて、再利用することができる。これにより、この実施形態にかかる車両用灯具1は、発光部の発光効率を向上させることができるので、発光部のデザイン性をさらに向上させることができる。しかも、この実施形態にかかる車両用灯具1は、2本の導光棒220U、220Dの分岐個所228U、228Dの隙間に配置した導光体230により、隙間の無発光部分を発光部分とすることができるので、円形の端発光部分と直線形状の中間発光部分とを一体に発光させることができ、発光部のデザイン性をさらに向上させることができる。
【0066】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、第1ランプユニット100として、配光可変タイプのハイビームを出射させる前照灯(ヘッドランプ)を使用する例であり、また、第2ランプユニット200として、標識灯(ポジションランプ、クリアランスランプ)を使用する例である。しかしながら、この発明においては、第1ランプユニットとして、前照灯(ヘッドランプ)以外、たとえば、ストップランプなどに使用しても良いし、また、第2ランプユニットとして、標識灯(ポジションランプ、クリアランスランプ)以外、たとえば、テールランプなどに使用しても良い。この場合、第1ランプユニットおよび第2ランプユニットは、車両10の後面側に装備される。
【0067】
また、前記の実施形態においては、導光棒220U、220Dとアウターレンズ3との間にインナーレンズ4を配置したものである。しかしながら、この発明においては、インナーレンズ4を配置しなくても良い。この場合においては、アウターレンズ3に、導光棒220U、220Dから出射する光Lおよび導光体230から出射する漏れ光L1を拡散させる光学素子を設けても良い。
【0068】
さらに、前記の実施形態においては、導光棒220U、220Dの2本の中間部分222U、222Dを重なってあるいは並んで配置させるものである。しかしながら、この発明においては、中間部分222U、222Dを、2本の導光棒220U、220Dのいずれか1本の中間部分を使用するものであっても良い。
【0069】
さらにまた、前記の実施形態においては、第1ランプユニット100の全周囲を囲む円形の端部分221U、221Dを使用するものである。しかしながら、この発明においては、第1ランプユニット100の周囲の一部を囲む端部分を使用するものであっても良い。
【0070】
さらにまた、前記の実施形態においては、導光体230を使用するものである。しかしながら、この発明においては、導光体230を使用しなくても良い。
【0071】
なお、この発明は、前記の実施形態、変形例により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
1 車両用灯具
2 ランプハウジング
3 アウターレンズ(ランプレンズ)
30 端部分
31 中間部分
4 インナーレンズ(発光部)
40 レンズ端部分(端発光部分)
41 レンズ中間部分(中間発光部分)
5 空間
6 取付部材
10 車両
11 前面のグリル部分
100 第1ランプユニット
101 レンズ部材
102 ハウジング部材
200 第2ランプユニット
210 第2光源部
211 基板
212 LED
220U、220D 導光棒(導光部材、発光部)
221U、221D 端部分(端発光部分)
222U、222D 中間部分(中間発光部分)
223U、223D 入射部分
224 入射面
225 反射面
226 繋面
227 出射面
228U、228D 分岐個所
230 導光体
231 入射面
232 反射面
233 繋面
234 出射面
L 光
L1 漏れ光

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9