(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065842
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】印刷制御プログラム、画像処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
G06F3/12 320
G06F3/12 356
G06F3/12 374
G06F3/12 303
G06F3/12 357
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174903
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】阮 竜竜
(57)【要約】
【課題】印刷対象データの処理に必要な記憶容量の算出精度を向上させ、当該必要な記憶容量に応じて印刷対象データを適正に処理できるようにする。
【解決手段】情報処理装置10は、印刷装置30と通信可能である。情報処理装置10は、受付処理と、設定処理と、算出処理と、画像処理とを実行する。受付処理は、印刷対象データの選択を受け付ける。設定処理は、印刷装置30での印刷に用いられる設定値を設定し、印刷の実行後もその設定値を保持する。算出処理は、過去の印刷実行時に用いられた設定値に基づいて所要容量を算出する。所要容量は、画像処理に必要な記憶部の容量である。画像処理は、受付処理により選択された印刷対象データに基づく所定の処理であり、所要容量が所定の実行要件を満たしている場合に実行される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
入力部と、
記憶部と、
印刷機能を有する印刷装置と通信可能に構成された通信部と、
制御部と、
を備えた情報処理装置における前記制御部が実行可能な印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、
前記印刷装置に印刷させる画像のデータである印刷対象データの選択を前記入力部を介して受け付ける受付処理と、
前記画像の印刷に用いられる設定値を設定し、且つ印刷実行後も当該印刷に用いられた前記設定値を保持する、設定処理と、
前記受付処理により選択された前記印刷対象データに基づく所定の画像処理に必要な前記記憶部の容量である所要容量を、前記設定処理により保持されている、過去の印刷実行時に用いられた前記設定値に基づいて算出する、算出処理と、
前記算出処理により算出された前記所要容量が所定の実行要件を満たしている場合に、前記設定処理により設定されている前記設定値に基づいて実行する、前記画像処理と、
を実行させる印刷制御プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷制御プログラムであって、
前記算出処理は、前記所要容量を、前記設定処理により保持されている、前回の印刷実行時に用いられた前記設定値に基づいて算出する、
印刷制御プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷制御プログラムであって、
前記算出処理は、前記所要容量を、前記印刷対象データが有する情報にさらに基づいて算出し、
前記印刷対象データが有する前記情報は、前記印刷対象データが示す画像の総ページ数、及び/または前記印刷対象データのファイルフォーマット、を含む、
印刷制御プログラム。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷制御プログラムであって、
前記記憶部は、前記画像処理で用いることが可能な記憶領域を有し、
前記実行要件は、前記記憶領域の空き容量が、前記算出処理により算出された前記所要容量以上である場合に、満たされる、
印刷制御プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷制御プログラムであって、
前記記憶部は、補助記憶装置を備え、
前記記憶領域は、前記補助記憶装置の少なくとも一部に割り当てられている、
印刷制御プログラム。
【請求項6】
請求項4に記載の印刷制御プログラムであって、
前記実行要件は、前記空き容量が予め設定された閾値以上である場合に満たされる、
印刷制御プログラム。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記画像処理は、前記受付処理により選択された前記印刷対象データのプレビュー用のプレビューデータを生成して前記記憶部に記憶し且つ当該プレビューデータに基づくプレビュー画像を前記表示部に表示することを含む、
印刷制御プログラム。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記画像処理は、前記受付処理により選択された前記印刷対象データに基づく画像を前記印刷装置で印刷させるための印刷用データを、前記設定処理により設定されている前記設定値に基づいて生成して前記記憶部に記憶することを含む、
印刷制御プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、さらに、
前記画像処理により生成された前記印刷用データを前記通信部を介して前記印刷装置へ送信する送信処理、
を実行させる、印刷制御プログラム。
【請求項10】
請求項1に記載の印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、さらに、
前記算出処理により算出された前記所要容量が前記実行要件を満たしていない場合に、前記実行要件を満たしていないことを報知する第1の報知処理、
を実行させる、
印刷制御プログラム。
【請求項11】
請求項1に記載の印刷制御プログラムであって、
前記算出処理は、過去の印刷実行時に用いられた前記設定値が保持されていない場合は、既定の前記設定値に基づいて前記所要容量を算出する、
印刷制御プログラム。
【請求項12】
請求項1に記載の印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、さらに、
前記設定値の変更要求を前記入力部を介して受け付ける変更要求受付処理、
を実行させ、
前記設定処理は、前記変更要求受付処理により前記変更要求が受け付けられたことに応じて、前記変更要求に基づいて前記設定値を変更し、
前記印刷制御プログラムは、前記変更要求受付処理により前記変更要求が受け付けられたことに応じて、変更後の前記設定値に基づいて、前記算出処理及び前記画像処理が実行されるように構成されている、
印刷制御プログラム。
【請求項13】
請求項7に記載の印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、さらに、
前記表示部に前記プレビュー画像が表示されている間に、前記設定値の変更要求を前記入力部を介して受け付ける変更要求受付処理、
を実行させ、
前記設定処理は、前記変更要求受付処理により前記変更要求が受け付けられたことに応じて、前記変更要求に基づいて前記設定値を変更し、
前記印刷制御プログラムは、前記変更要求受付処理により前記変更要求が受け付けられたことに応じて、変更後の前記設定値に基づいて前記算出処理及び前記画像処理が実行されるように構成されている、
印刷制御プログラム。
【請求項14】
請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記算出処理は、前記印刷対象データに基づく複数ページの画像のうちの所定ページ数の画像を対象とした前記画像処理に必要な前記所要容量を算出し、
前記画像処理は、前記複数ページの画像のうちの、前記空き容量を用いて前記印刷用データを生成可能な最大ページ数の画像を対象に、前記印刷用データを生成し、
前記印刷制御プログラムは、前記制御部に、さらに、
前記画像処理により生成された前記印刷用データを前記通信部を介して前記印刷装置へ送信する送信処理、
を実行させる、印刷制御プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、さらに、
前記複数ページの画像のうち前記画像処理で前記印刷用データが生成されなかった画像である未処理画像がある場合に、当該未処理画像が印刷されていないことを報知する第2の報知処理、
を実行させる、印刷制御プログラム。
【請求項16】
請求項14に記載の印刷制御プログラムであって、
前記画像処理は、前記送信処理による送信後、前記複数ページの画像のうちまだ前記印刷用データが生成されていない画像である未処理画像がある場合、当該未処理画像を対象に前記印刷用データを生成し、
前記送信処理は、前記未処理画像に対応した前記印刷用データが生成されたことに応じて当該印刷用データを前記通信部を介して前記印刷装置へ送信する、
印刷制御プログラム。
【請求項17】
印刷装置に印刷させる画像のデータである印刷対象データの選択を受け付けることと、
前記画像の印刷に用いられる設定値を設定且つ保持することと、
選択された前記印刷対象データに基づく所定の画像処理に必要な記憶部の容量である所要容量を、過去の印刷実行時に用いられて保持されている前記設定値に基づいて算出することと、
算出された前記所要容量が所定の実行要件を満たしている場合に前記画像処理を実行することと、
を備える、画像処理方法。
【請求項18】
表示部と、
入力部と、
記憶部と、
印刷機能を有する印刷装置と通信可能に構成された通信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記印刷装置に印刷させる画像のデータである印刷対象データの選択を前記入力部を介して受け付ける受付処理と、
前記画像の印刷に用いられる設定値を設定し、且つ印刷実行後も当該印刷に用いられた前記設定値を保持する、設定処理と、
前記受付処理により選択された前記印刷対象データに基づく所定の画像処理に必要な前記記憶部の容量である所要容量を、前記設定処理により保持されている、過去の印刷実行時に用いられた前記設定値に基づいて算出する、算出処理と、
前記算出処理により算出された前記所要容量が所定の実行要件を満たしている場合に、前記設定処理により設定されている前記設定値に基づいて実行する、前記画像処理と、
を実行するように構成されている、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、印刷装置へ印刷データを供給する端末装置を開示している。この端末装置は、印刷データ1ページ分の処理に要する容量と記憶媒体の空き容量とに基づいてバンドメモリを決定を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷データの処理に要する容量の算出精度が低いと、実際には空き容量が所要容量を充足しているにもかかわらず、不要の処理が行われるか或いは印刷処理が効率的に行われない可能性がある。
【0005】
本開示の一局面は、印刷対象のデータの処理に必要な記憶容量の算出精度を向上させ、これにより、当該必要な記憶容量に応じて印刷対象のデータを適正に処理できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面は、印刷制御プログラムを提供する。印刷制御プログラムは、情報処理装置が実行可能なコンピュータプログラムである。情報処理装置は、表示部と、入力部と、記憶部と、通信部と、制御部とを備える。通信部は、印刷装置と通信可能である。印刷装置は印刷機能を有する。制御部は、印刷制御プログラムを実行可能である。
【0007】
印刷制御プログラムは、制御部に、受付処理と、設定処理と、算出処理と、前記画像処理とを実行させる。
受付処理は、印刷対象データの選択を入力部を介して受け付ける。印刷対象データは、印刷装置に印刷させる画像のデータである。
【0008】
設定処理は、印刷装置での画像の印刷に用いられる設定値を設定する。設定処理は、印刷装置による印刷の実行後も、当該印刷に用いられた設定値を保持する。
算出処理は、設定処理により保持されている、過去の印刷実行時に用いられた設定値に基づいて、所要容量を算出する。所要容量は、画像処理に必要な記憶部の容量である。
【0009】
画像処理は、受付処理により選択された印刷対象データに基づく所定の処理である。画像処理は、算出処理により算出された所要容量が所定の実行要件を満たしている場合に、設定処理により設定されている設定値に基づいて実行される。
【0010】
このような印刷制御プログラムが情報処理装置で実行されることで、印刷対象のデータの処理に必要な記憶容量の算出精度を向上させることができる。これにより、情報処理装置では、当該必要な記憶容量に応じて印刷対象のデータを適正に処理できるようにすることができる。
【0011】
算出処理は、所要容量を、設定処理により保持されている、前回の印刷実行時に用いられ記設定値に基づいて算出してもよい。
算出処理は、所要容量を、印刷対象データが有する情報にさらに基づいて算出してもよい。印刷対象データが有する情報は、印刷対象データが示す画像の総ページ数、及び/または印刷対象データのファイルフォーマット、を含んでいてもよい。
【0012】
前記印刷対象データが有する前記情報は、前記印刷対象データが示す画像の総ページ数、及び/または前記印刷対象データのファイルフォーマット、を含んでいてもよい。
記憶部は、画像処理で用いることが可能な記憶領域を有していてもよい。実行要件は、記憶領域の空き容量が算出処理により算出された所要容量以上である場合に満たされてもよい。
【0013】
記憶部は、補助記憶装置を備えていてもよい。記憶領域は、補助記憶装置の少なくとも一部に割り当てられていてもよい。
画像処理は、プレビューデータを生成して記憶部に記憶すること、及び、当該プレビューデータに基づくプレビュー画像を表示部に表示すること、を含んでいていてもよい。プレビューデータは、受付処理により選択された印刷対象データのプレビュー用のデータである。
【0014】
画像処理は、印刷用データを、設定処理により設定されている設定値に基づいて印刷用データを生成してその印刷用データを記憶部に記憶すること、を含んでいてもよい。印刷用データは、受付処理により選択された印刷対象データに基づく画像を印刷装置で印刷させるためのデータである。つまり、印刷装置は、この印刷用データに基づいて、当該印刷用データが示す画像を印刷する。
【0015】
本開示の別の一局面は、画像処理方法を提供する。画像処理方法は、
前記印刷装置に印刷させる画像のデータである印刷対象データの選択を受け付けることと、
前記画像の印刷に用いられる設定値を設定且つ保持することと、
選択された前記印刷対象データに基づく所定の画像処理に必要な記憶部の容量である所要容量を、過去の印刷実行時に用いられて保持されている前記設定値に基づいて算出することと、
算出された前記所要容量が所定の実行要件を満たしている場合に前記画像処理を実行することと、
を備える。このような画像処理方法は、上記の印刷制御プログラムと同様の効果を発揮できる。
【0016】
本開示のさらに別の一局面は、情報処理装置を提供する。情報処理装置は、前述の表示部と、前述の入力部と、前述の記憶部と、前述の通信部と、前述の制御部とを備える。制御部は、前述の受付処理と、前述の設定処理と、前述の算出処理と、前述の画像処理とを実行する。制御部は、これら各処理をプログラムに基づいて(即ちソフトウェア処理で)実行してもよいし、ハードウェア処理に基づいて(即ちワイヤードロジックその他の、ソフトウェアによらない方法で)実行してもよい。このような情報処理装置は、上記の印刷制御プログラムと同様の効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態の画像処理システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】第1実施形態のファイルサイズテーブルを示す説明図である。
【
図3】第1実施形態のホーム画面及びファイル選択画面を示す説明図である。
【
図4】第1実施形態のプレビュー画面及び設定情報一覧画面を示す説明図である。
【
図5】第1実施形態の印刷制御処理の一部のフローチャートである。
【
図6】第1実施形態の印刷制御処理の他の一部(
図5の続き)のフローチャートである。
【
図7】第2実施形態の印刷制御処理の一部のフローチャートである。
【
図8】第3実施形態の印刷制御処理の一部のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
(1)画像処理システムの概要
図1に示すように、本第1実施形態の画像処理システム1は、情報処理装置10と、画像処理装置30とを備える。
【0019】
情報処理装置10は、例えばスマートフォン、タブレット端末、モバイルパソコン、据え置き型のパソコンなどの、各種の情報処理装置のうちのいずれかの形態である。
画像処理装置30は、印刷機能を少なくとも有する。印刷機能は、印刷対象の画像を示す印刷用データを取得してその印刷用データが示す画像をシート状の被記録媒体に印刷する機能である。
【0020】
情報処理装置10は、画像処理装置30と互いに通信可能である。具体的には、本第1実施形態では、情報処理装置10は、画像処理装置30とAP5を介して無線通信可能である。「AP」はアクセスポイントの略称である。即ち、本第1実施形態の画像処理システム1は、いわゆるインフラストラクチャモードの無線LANによる無線通信が可能に構成されている。
【0021】
なお、情報処理装置10は、画像処理装置30と直接的に無線通信可能であってもよい。即ち、情報処理装置10は、画像処理装置30と、いわゆるアドホックモードの無線LANによる無線通信が可能であってもよい。また、情報処理装置10は、画像処理装置30と有線通信可能であってもよい。
【0022】
(2)画像処理装置の構成
図1に示すように、画像処理装置30は、制御部31と、記憶部32と、印刷部36と、通信部37とを備える。
【0023】
制御部31は、例えばCPUを有する。記憶部32は、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリを有する。即ち、本実施形態の画像処理装置30は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータを備えている。記憶部32には、各種のソフトウェアやデータが記憶されている。
【0024】
制御部31は、記憶部32に記憶された各種プログラムを実行することにより各種機能を実現する。制御部31により実現される各種機能には、前述の印刷機能が含まれる。なお、制御部31により実現される各種機能は、プログラムの実行によって(即ち、ソフトウェア処理によって)実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0025】
印刷部36は、制御部31に制御されて、被印刷媒体に画像を印刷することが可能に構成されている。印刷部36は、例えば、インクジェット方式またはレーザー方式などの各種の印刷方式のいずれかを用いて画像を印刷するように構成されている。
【0026】
制御部31は、印刷部36を制御することにより印刷機能を実現する。即ち、制御部31は、情報処理装置10から通信部37を介して印刷コマンドを受信すると、その印刷コマンドに含まれている印刷用データに基づいて、印刷部36に、当該印刷用データが示す画像を印刷させる。
【0027】
通信部37は、情報処理装置10との前述の無線通信または有線通信を実現するための通信インタフェースである。本第1実施形態では、通信部37は、前述の無線LANの通信方式で情報処理装置10と無線通信可能に構成されている。
【0028】
本第1実施形態の画像処理装置30は、さらに、表示部33と、入力部34と、読取部35とを備えていてもよい。
表示部33は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの、画像を表示可能な表示デバイスを有する。
【0029】
入力部34は、使用者による各種入力操作を受け付けるための入力用デバイスを有する。この入力用デバイスは、例えば、不図示の操作スイッチ、不図示のタッチパネルなどを含んでいてもよい。
【0030】
読取部35は、イメージセンサを備え、画像が記録された被記録媒体におけるその画像を読み取り、読み取った画像のデータを生成する。
(3)情報処理装置の構成
図1に示すように、情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、入力部14と、第1通信部15とを備える。
【0031】
制御部11は、例えばCPUを有する。記憶部12は、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリを有する。すなわち、情報処理装置10は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータを備えている。なお、NVRAMにおける「NV」は「Non Volatile」の略称である。
【0032】
記憶部12は、各種のプログラム及びデータを記憶する。本第1実施形態の記憶部12は、一例として、メインメモリ12aと、ストレージ12bとを備える。
メインメモリ12aは、いわゆる主記憶装置に該当するものである。メインメモリ12aは、例えば、前述のROM及びRAMを含んでいてもよい。
【0033】
ストレージ12bは、いわゆる補助記憶装置に該当するものである。ストレージ12bは、例えば、前述のフラッシュメモリ及び/またはNVRAMを含んでいてもよい。ストレージ12bは、ハードディスクまたはSSDを備えていてもよい。SSDは「Solid State Drive」の略称である。
【0034】
ストレージ12bには、OS(オペレーティングシステム)121と、印刷制御プログラム122とが記憶(詳しくはインストール)されている。OS121は、例えば、情報処理装置10のベンダにおいて予めインストールされてもよい。印刷制御プログラム122は、例えば、情報処理装置10のベンダにおいて予めインストールされてもよいし、情報処理装置10の使用者により任意にインストールされてもよい。
【0035】
ストレージ12bには、
図2に例示するファイルサイズテーブルも記憶される。ファイルサイズテーブルは、印刷制御プログラム122の実行時に使用される。より具体的には、ファイルサイズテーブルは、後述する所要容量Mnの算出の際に参照される。ファイルサイズテーブルは印刷制御プログラム122の一部であってもよい。
【0036】
制御部11は、記憶部12に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。本実施形態では、記憶部12は、プログラムを格納したnon-transitory computer readable storage mediumに該当する。なお、制御部11により実現される各種機能は、プログラムの実行によって実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0037】
印刷制御プログラム122は、制御部11が実行可能なコンピュータプログラムである。以下の説明では、印刷制御プログラム122のことを「アプリ122」と略称する。アプリ122は、情報処理装置10内の制御部11、記憶部12、表示部13、入力部14及び第1通信部15などの各種ハードウェアを利用して各種制御を実行する場合において、より詳しくは、OS121を介して当該各種ハードウェアにアクセスする。ただし、以下の説明では、アプリ122がOS121を介して当該各種ハードウェアにアクセスすることについては適宜省略して説明する。また、以下の説明では、プログラムを実行する主体(例えば情報処理装置10においては制御部11)のことを、単に当該プログラム名またはその略称で記載する場合がある。例えば、「アプリ122は」という記載は、詳しくは「アプリ122を実行している制御部11は」を意味する場合がある。
【0038】
アプリ122は、画像処理装置30を制御する。使用者は、例えば入力部14を介した所定の登録操作によって、アプリ122の制御対象として画像処理装置30を登録することができる。画像処理装置30がアプリ122に登録されることで、アプリ122が画像処理装置30を制御することができるようになる。以下の説明は、画像処理装置30がアプリ122に登録されていることを前提としている。
【0039】
使用者は、アプリ122を用いて、画像処理装置30を情報処理装置10から遠隔的に利用できる。アプリ122が実行可能な機能には、印刷制御機能が少なくとも含まれる。印刷制御機能は、画像処理装置30へ印刷コマンドを送信することによって、当該印刷コマンドに含まれる印刷用データが示す画像を画像処理装置30に印刷させることを含む。
【0040】
なお、本実施形態のアプリ122は、印刷制御機能の他に、さらに、スキャン制御機能を含む1つ以上の機能を有する。スキャン制御機能は、画像処理装置30にスキャン機能の実行を指示することによって、被記録媒体に記録されている画像を読み取らせ、その読み取られた画像のデータを第1通信部15を介して取得することを含む。
【0041】
ストレージ12bには、アプリ122が使用可能な記憶領域(以下、「画像処理領域」と称する)が設定されている。ストレージ12bの記憶領域の一部が画像処理領域に設定されていてもよいし、ストレージ12bの記憶領域の全てが画像処理領域に設定されていてもよい。画像処理領域は、換言すれば、制御部11がアプリ122を実行する際に用いる記憶領域である。
【0042】
表示部13は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの、画像を表示可能な表示デバイスを有する。
入力部14は、各種入力操作を受け付けるための入力用デバイスを有する。入力部14が有する入力用デバイスには、タッチパネル14aが含まれる。タッチパネル14aは、表示部13が有する表示デバイスにおける画像表示領域に重畳配置される。
【0043】
タッチパネル14aは、画像表示領域に対する、指示体による接触又は近接による指示操作を検出可能である。即ち、タッチパネル14aは、画像表示領域に対して指示体による指示操作が行われている場合に、その指示操作が行われている位置である指示位置を示す位置情報を出力可能に構成されている。本実施形態のタッチパネル14aは、指示体により指示操作が行われている間、位置情報を連続的又は周期的に出力するよう構成されている。
【0044】
なお、タッチパネル14aは、指示操作として接触のみ検出可能な構成であってもよいし、近接のみ検出可能な構成であってもよいし、接触及び近接の両方を検出可能な構成であってもよい。
【0045】
制御部11は、タッチパネル14aから出力される位置情報を取得し、その取得した位置情報に基づいて、指示体の指示操作の有無、指示操作が行われている場合における指示位置、指示操作が行われている場合における指示体による少なくとも一種類の特定の操作を検出することができる。
【0046】
制御部11が検出可能な特定の操作には、例えば、いわゆるタップ、フリック、ドラッグなどが含まれる。指示操作を行うことが可能な指示体の具体的態様は種々考えられ、例えば使用者の指先であってもよいし、スタイラスペンなどの特定の指示用デバイスであってもよい。
【0047】
第1通信部15は、画像処理装置30との前述の無線通信または有線通信を実現するための、通信インタフェースである。本第1実施形態では、第1通信部15は、前述の無線LANの通信方式で無線通信可能に構成されている。
【0048】
本実施形態の情報処理装置10は、さらに、第2通信部16と、音声入出力部17と、撮影部18と、メディアI/F19とを備えていてもよい。「I/F」はインタフェースの略称である。
【0049】
第2通信部16は、第1通信部15とは異なる通信方式での有線及び/または無線通信を行うための通信インタフェースである。第2通信部16は、例えば、携帯電話回線に接続可能であってもよい。また例えば、第2通信部16は、BluetoothあるいはNFCなどの各種無線通信方式のうちの少なくとも1つに対応していてもよい。なお、「Bluetooth」は登録商標である。「NFC」は「Near Field Communication」の略称である。
【0050】
音声入出力部17は、例えばマイク及びスピーカを備える。撮影部18は、いわゆるデジタルカメラとしての機能を担うものであり、静止画像または動画像を撮影してその画像を示す画像データを生成することができる。撮影部18で撮影された画像は、所定のファイルフォーマット(例えばJPEG)の写真データに変換されて、記憶部12保存される。
【0051】
アプリ122は、その保存された写真データの画像を画像処理装置30に印刷させることができる。即ち、使用者は、記憶部12に保存されている写真データを印刷対象データとして選択できる。印刷対象データとして写真データが選択されると、制御部11は、その写真データを印刷用データに変換し、その印刷用データを含む印刷コマンドを画像処理装置30へ送信する。これにより、その印刷用データが示す画像が被記録媒体に印刷される。
【0052】
メディアI/F19は、例えばUSBフラッシュメモリやSDカードなどの、各種の記憶メディアが着脱される。SDカードは登録商標である。制御部11は、メディアI/F19に装着された記憶メディアに対するデータの書き込み及び読み出しを制御可能である。アプリ122は、記憶メディアに保存されている各種ファイルの画像を画像処理装置30に印刷させることができる。即ち、使用者は、記憶メディアに保存されている、ドキュメントデータあるいは写真データを印刷対象データとして選択できる。記憶メディア内の何れかのデータが印刷対象データとして選択されると、制御部11は、その選択されたデータを印刷用データに変換し、その印刷用データを含む印刷コマンドを画像処理装置30へ送信する。これにより、その印刷用データが示す画像が被記録媒体に印刷される。
【0053】
(4)印刷制御機能の概要
アプリ122が有する印刷制御機能について、具体的に説明する。ここでは、印刷制御機能のうちの基本的な機能について説明する。
【0054】
情報処理装置10が起動すると、OS121が、表示部13の画面表示領域に待機画面(不図示)を表示する。待機画面は、例えば、情報処理装置10にインストールされているソフトウェアの選択を受け付けるための、ソフトウェア毎のアイコンが表示される。
【0055】
情報処理装置10にアプリ122がインストールされると、待機画面に、アプリ122に対応するアイコンが表示される。使用者は、当該アイコンをタップすることで、アプリ122を起動させることができる。なお、アプリ122は、使用者による当該アイコンのタップとは異なる方法で起動されてもよい。
【0056】
アプリ122が起動されると、アプリ122は、アプリ122が有する各種機能を実現するための各種処理を開始する。アプリ122は、起動すると、
図3に例示するように、表示部13の画面表示領域に、ホーム画面50を表示する。
【0057】
ホーム画面50は、アプリ122が有する各種機能のうちのいずれかを使用者に選択させるための画面である。ホーム画面50には、複数のアイコンが表示される。複数のアイコンは、アプリ122が有する各種機能がそれぞれ対応付けられている。
【0058】
図3に例示するように、複数のアイコンには、ドキュメントプリントアイコン51と、写真プリントアイコン52とが含まれる。ドキュメントプリントアイコン51及び写真プリントアイコン52はいずれも、印刷制御機能の実行をアプリ122に指示するためのアイコンである。
【0059】
なお、本第1実施形態のホーム画面50は、スキャンアイコン53を含む他の複数のアイコンが更に表示される。ホーム画面50は、戻りボタン56が更に表示される。戻りボタン56がタップされると、制御部11は、ホーム画面50が表示される直前に表示されていた画面を表示する。戻りボタン56は、ホーム画面50以外の他の画面にも表示される。
【0060】
ホーム画面50において、例えば使用者の指などの指示体100によってドキュメントプリントアイコン51または写真プリントアイコン52がタップされると(つまり印刷制御機能が選択されると)、アプリ122は、印刷対象ファイルの選択を受け付ける。印刷対象ファイルとは、画像処理装置30に印刷させる画像のデータ、即ち当該画像を示すデータである。印刷対象ファイルは、本開示における印刷対象データの一例に相当する。なお、以下の説明において「タップされる」とは、例えば指示体100によってタップされることを意味する。
【0061】
例えばドキュメントプリントアイコン51がタップされると、アプリ122は、
図3に例示するように、画面表示領域にファイル選択画面60を表示する。この場合のファイル選択画面60には、記憶部12及び/またはメディアカードに記憶されているドキュメントファイル(即ち文書ファイル)の一部または全てのファイル名が表示される。
図3は、第1ファイル61a、第2ファイル61b、第3ファイル61c及び第4ファイル61dのファイル名がリストアップされている状態を例示している。使用者は、表示されている各ドキュメントファイルの名称のうちのいずれかをタップすることで、印刷対象ファイルとして当該ドキュメントファイルを選択することができる。
【0062】
なお、本第1実施形態では、記憶部12及び/またはメディアカードに記憶されている全てのドキュメントファイルのファイルフォーマットが例えばPDFである。ただし、ドキュメントファイルのファイルフォーマットはPDFに限定されない。ドキュメントファイルのファイルフォーマットは、例えば、テキスト、HTMLその他の各種フォーマットであってもよい。
【0063】
ファイル選択画面60において、いずれかのドキュメントファイルが使用者に選択されると、アプリ122は、その選択されたドキュメントファイルを印刷対象ファイルに決定する。
【0064】
なお、ホーム画面50において写真プリントアイコン52がタップされた場合も、アプリ122は、画面表示領域にファイル選択画面60を表示する。ただしこの場合のファイル選択画面60には、記憶部12及び/またはメディアカードに保存されている写真ファイル(例えば拡張子がjpg、pngなどのファイル)のファイル名が一覧表示される。この場合も、使用者は、上述したドキュメントファイルの場合と同様に、いずれかの写真ファイルを印刷対象ファイルとして選択することができる。いずれかの写真ファイルが使用者に選択されると、アプリ122は、その選択された写真ファイルを印刷対象ファイルに決定する。
【0065】
ファイル選択画面60において印刷対象ファイルが選択されると、アプリ122は、
図4に例示するように、画面表示領域にプレビュー画面70を表示する。プレビュー画面70は、設定ボタン72と、プリントボタン73とを含む。
【0066】
設定ボタン72がタップされると、アプリ122は、
図4に例示する設定情報一覧画面80を画面表示領域に表示する。設定情報一覧画面80は、印刷設定情報を確認したり変更したりすることが可能な画面である。
【0067】
印刷設定情報とは、印刷対象ファイルが示す画像を画像処理装置30で印刷させる際に用いられる各種設定項目の設定値である。各種設定項目は、例えば、用紙サイズ、カラー/モノクロ設定、画質などを含む。
【0068】
用紙サイズは、画像を印刷させる被記録媒体のサイズである。アプリ122は画像処理装置30に対して用紙サイズを指定することができる。用紙サイズとして設定可能な設定値には、例えば、A4、レターその他の各種のサイズが含まれる。使用者は、これら各種のサイズのうちの1つを、用紙サイズの設定値として設定することができる。
【0069】
カラー/モノクロ設定は、画像をカラー(即ち多色)で印刷させるか、それともモノクロ(即ち単色)で印刷させるかを示す。使用者は、カラーおよびモノクロのうちの何れか一方を、カラー/モノクロ設定の設定値として設定することができる。
【0070】
画質は、画像を印刷させる際の当該画像の画質を示す。画質として設定可能な設定値には、例えば高画質、普通画質などが含まれる。使用者は、これら各種の画質のうちの1つを、画質の設定値として設定することができる。
【0071】
図4に例示するように、設定情報一覧画面80には、各種設定項目毎の複数の項目ボタンが表示される。本第1実施形態では、複数の項目ボタンには、
図4に例示するように、用紙サイズボタン81a、カラー/モノクロボタン81b、及び画質ボタン81cが含まれる。
【0072】
また、各項目ボタンには、対応する設定項目における現在設定されている設定値が表示される。
図4の例では、用紙サイズボタン81aに「A4」が表示されている。これは、用紙サイズとして「A4」が現在設定されていることを示す。また、カラー/モノクロボタン81bに「カラー」が表示されている。これは、カラー/モノクロ設定として設定値「カラー」が現在設定されていることを示す。また、画質ボタン81cに「標準」が表示されている。これは、画質として設定値「標準画質」が現在設定されていることを示す。
【0073】
各項目ボタンのうちのいずれかがタップされると、対応する設定項目の設定値を変更可能な設定変更画面(不図示)が表示部13に表示される。使用者は、その設定変更画面を介して設定値を変更することができる。設定変更画面で設定値が変更された後は、表示部13には、再び設定情報一覧画面80が表示される。このとき、各項目ボタンには、変更後の最新の設定値が反映される。例えば、用紙サイズが「レター」に変更された場合は、用紙サイズボタン81aに表示される設定値は、「A4」から「レター」に変更される。
【0074】
プレビュー画面70を表示したアプリ122は、さらに、第1の画像処理を行う。第1の画像処理は、(i)印刷対象ファイルのプレビューデータを生成すること、(ii)生成したプレビューデータを記憶部12の画像処理領域に記憶すること、及び(iii)生成したプレビューデータに基づくプレビュー画像71をプレビュー画面70に表示すること、を含む。
【0075】
プレビュー画像71は、現在設定されている印刷設定情報に基づいて印刷対象ファイルが印刷された場合の印刷結果のプレビュー用の画像である。プレビューデータは、プレビュー画像71を示すデータである。したがって、プレビューデータは、現在設定されている印刷設定情報に基づいて生成される。プレビュー画面70にプレビュー画像71が表示されることにより、使用者は、印刷対象ファイルがどのように印刷されるのかを、実際に印刷する前に概ね把握することができる。印刷対象データが複数ページの画像を示している場合、プレビューデータは、複数ページのうちの1つ(例えば1ページ目)のみ生成されてもよいし、複数ページの全てが生成されてもよい。
【0076】
プレビュー画面70を表示したアプリ122は、さらに、第2の画像処理を行う。第2の画像処理は、(i)現在設定されている印刷設定情報に基づいて印刷用データを生成すること、及び(ii)生成した印刷用データを記憶部12の画像処理領域に記憶すること、を含む。
【0077】
印刷用データは、印刷対象データに基づく画像を印刷装置で印刷させるためのデータである。印刷用データは、PDLを用いて生成される。「PDL」は、「Page Description Language」(ページ記述言語)の略称である。使用されるPDLは、ファイルフォーマットや画像処理装置30の種類などに応じて異なり得る。
なお、本第1実施形態のアプリ122は、より詳しくは、第1,第2の画像処理の実行に先立って、まず、印刷対象データを所定の中間データに変換し、その中間データを画像処理領域に記憶する。そして、その中間データをもとに、第1,第2の画像処理を実行する。即ち、中間データから、プレビューデータ及び印刷用データを生成する。
【0078】
プリントボタン73は、使用者による印刷の実行指示を受け付けるためのボタンである。プリントボタン73がタップされると、アプリは、第2の画像処理で生成及び記憶された印刷用データを含む印刷コマンドを、第1通信部15を介して画像処理装置30へ送信する。これにより、画像処理装置30において、送信した印刷用データが示す画像が印刷される。
【0079】
アプリ122は、印刷用データの送信後も、当該印刷用データの生成に用いられた印刷設定情報を記憶部12に保持する。つまり、当該印刷用データの生成に用いられた印刷設定情報が、引き続き、印刷設定情報として設定され続ける。
【0080】
したがって、印刷実行後に再びファイル選択画面60に戻って別の印刷対象ファイルを選択した場合も、現在設定されている印刷設定情報、即ち直前の印刷実行時に用いられた印刷設定情報に基づいて、第1,第2の画像処理が行われ、プレビューデータ及び印刷用データが生成される。
【0081】
ただし、使用者により印刷設定情報が変更された場合は、変更される度に、その変更後の印刷設定情報に基づいてプレビューデータ及び印刷用データが生成され、画像処理領域に記憶されるプレビューデータ及び印刷用データが、当該新たに生成されたプレビューデータ及び印刷用データに更新される。
【0082】
なお、印刷設定情報が更新されても、直近の印刷実行時に用いられた印刷設定情報は保持されてもよい。また、直近の印刷実行時に用いられた印刷設定情報に限らず、過去の所定回数の印刷実行時のそれぞれで用いられた印刷設定情報が保持されてもよい。
【0083】
また、本第1実施形態では、印刷実行後にホーム画面50に戻っても、当該印刷に用いられた印刷設定情報が設定され続ける。また、アプリ122が終了されても、さらには情報処理装置10の電源がオフされて情報処理装置10自体が動作を停止しても、現在設定されている印刷設定情報が保持され続ける。そのため、アプリ122を一旦終了した後、あるいは情報処理装置10自体が動作を停止した後に再びアプリ122が起動した場合、アプリ122の終了時に設定されていた印刷設定情報が再び設定される。
【0084】
以上が印刷制御機能の基本的な流れであるが、本第1実施形態では、プレビュー画面70が表示された場合に、前述の第1の画像処理及び第2の画像処理が必ず実行されるとは限らない。本第1実施形態の特徴は、第1,第2の画像処理に必要な記憶部12の容量である所要容量Mnが所定の実行要件を満たしている場合に第1,第2の画像処理が実行されることにある。この特徴について具体的に説明する。
【0085】
(5)印刷制御機能の特徴
本第1実施形態では、前述の通りストレージ12bに画像処理領域が設定されているため、所要容量Mnは、ストレージ12bにおける必要な容量である。
【0086】
アプリ122は、前述の通り、中間データ、プレビューデータ及び印刷用データを、画像処理領域に記憶する。つまり、これら3つのデータが画像処理領域に同時に記憶された状態が生じ得る。そのため、本第1実施形態では、所要容量Mnは、中間データ、プレビューデータ及び印刷用データの記憶に必要な容量を含む。
【0087】
なお、所要容量Mnがこれら3つのデータの記憶に必要な容量を含むことはあくまで一例であり、所要容量Mnはどのような容量を含んでいてもよい。例えば、アプリ122が、プレビューデータと印刷用データとを同時に記憶しないような仕様を有している場合は、プレビューデータ及び印刷用データのうちの容量が大きいいずれか一方のみが所要容量Mnに含まれてもよい。この仕様は、例えば、まずプレビューデータを生成してプレビュー画像71を表示し、その後にプリントボタン73がタップ印刷の指示がなされるとプレビュー画像71を消去且つプレビューデータを記憶部12から消去して印刷用データを生成する、という仕様が考えられる。つまり、プレビュー画面70に遷移した場合に実行するのは第1の画像処理であって、第2の画像処理はプリントボタン73がタップされた場合に実行する、という仕様である。
【0088】
また例えば、3つのデータのうちのいずれか(例えば中間データ)がストレージ12bではなくメインメモリ12a(例えばRAM)に記憶されるように構成されている場合は、当該データは所要容量Mnから除外されてもよい。
【0089】
中間データ、プレビューデータ及び印刷用データのサイズは、印刷対象データに関連または依存する情報(以下、「対象データ情報」と称する)によって異なる。対象データ情報は、本第1実施形態では例えば、印刷対象データが示す画像の総ページ数と、印刷対象データのファイルフォーマットと、PDLとを含む。中間データ、プレビューデータ及び印刷用データのサイズは、印刷設定情報によっても異なる。
【0090】
そこで、アプリ122は、所要容量Mnを、記憶部12に保持されている、過去の印刷実行時に実際に用いられた印刷設定情報と、印刷対象データが有する情報である対象データ情報と、に基づいて算出(換言すれば推定)する。
【0091】
使用者が所望の印刷対象ファイルを印刷させようとする際には、過去と同じかまたは類似した印刷設定情報を用いて印刷させる可能性がある。例えば、A4サイズへの印刷を好む使用者であれば、当該使用者は、原則的に毎回A4サイズの被記録媒体に印刷させる可能性が高いことが想定される。また例えば、高画質での印刷を好む使用者であれば、当該使用者は、原則的に毎回高画質で印刷させる可能性が高いことが想定される。そのため、アプリ122は、今回これから行われようとしている印刷においても、過去の印刷実行時に実際に用いられた印刷設定情報が用いられることを想定(または推定)して、その想定のもとで、所要容量Mnを算出する。
【0092】
本第1実施形態では、前回の(即ち直近の)印刷実行時に用いられた印刷設定情報を用いて所要容量Mnを算出する。
ただし、所要容量Mnは、過去のどの印刷実行時に用いられた印刷設定情報に基づいて算出してもよい。例えば、規定回数前の印刷実行時に用いられた印刷設定情報を用いて算出してもよい。また例えば、過去の所定回数の印刷実行時に用いられた印刷設定情報から、設定項目毎に設定値の平均的な値(例えば平均値、中央値その他)を算出して、その平均的な値を用いて算出してもよい。
【0093】
また、使用者により印刷設定情報が変更された場合は、変更される度に、その変更後の印刷設定情報に基づいて、所要容量Mnが再計算されてもよい。
なお、過去の印刷設定情報は、印刷対象ファイルの種類(例えばファイルフォーマット)毎に保持されてもよい。そして、ファイル選択画面60で印刷対象ファイルが設定された場合に、その選択された印刷対象ファイルと同じファイルフォーマットの印刷対象ファイルが直近で印刷されたときに用いられた印刷設定情報が、今回の印刷設定情報として設定されてもよい。そして、その設定された印刷設定情報に基づいて所要容量Mnが算出されてもよい。
【0094】
対象データ情報は、総ページ数、ファイルフォーマット及びPDLに限定されない。対象データ情報は、総ページ数、ファイルフォーマット及びPDLとは異なる情報を含んでいてもよい。対象データ情報は、総ページ数、ファイルフォーマット及びまたはPDLを含んでいなくてもよい。
【0095】
なお、アプリ122は、過去の印刷実行時に用いられた印刷設定情報が保持されていない場合は、デフォルトの(即ち既定の)印刷設定情報に基づいて所要容量Mnを算出する。
本第1実施形態では、所要容量Mnの算出は、より具体的には、
図2に示すファイルサイズテーブルを参照して行われる。ファイルサイズテーブルには、各設定項目の設定値及び対象データ情報の異なる組合せ毎に、1ページの画像あたりのおおよそのデータサイズが対応付けられている。ここでいうデータサイズは、例えば、1ページあたりのプレビューデータ及び印刷用データの合計サイズであってもよいし、1ページあたりのプレビューデータまたは印刷用データのサイズであってもよい。データサイズの単位は例えば[MB](メガバイト)である。
【0096】
制御部11は、ファイルサイズテーブルを参照して所要容量Mnをどのように算出してもよい。例えばデータサイズが1ページあたりのプレビューデータ及び印刷用データの合計サイズであると仮定する。そして、総ページ数が例えば10ページ、ファイルフォーマットがJPEG、PDLが第1PDLであるとする。また、前回の印刷実行時に使用されて現在もそのまま保持されている印刷設定情報は、例えば、用紙サイズがA4、カラー/モノクロ設定がカラー、画質が高画質であるとする。この例は、
図2のファイルサイズテーブルにおける最上段の組合せに該当する。そのため、1ページあたりのファイルサイズは3[MB]である。そこで、制御部11は、その3[MB]に総ページ数の10を乗じて30[MB]を算出し、これに、中間データの保存に要する容量をさらに加算することで、所要容量Mnを算出してもよい。
【0097】
アプリ122は、プレビュー画面70への遷移後、上記のようにして所要容量Mnを算出する。そして、算出された所要容量Mnが所定の実行要件を満たしている場合に、第1,第2の画像処理を実行する。
【0098】
本第1実施形態では、実行要件は、基本的には、画像処理領域の空き容量Maが、算出された所要容量Mn以上である場合に、満たされる。なお、後述するように、空き容量Maが十分に大きい場合、具体的には予め設定された閾値より大きい場合は、算出された所要容量Mnに関係なく実行要件が満たされる。
【0099】
(6)印刷制御処理
上記のような印刷制御機能を実現するために制御部11(より詳しくはCPU)が実行する印刷制御処理について、
図5及び
図6を参照して説明する。制御部11は、前述の待機画面においてアプリ122の起動が指示されると、
図5及び
図6に示す印刷制御処理を実行する。
【0100】
制御部11は、印刷制御処理を開始すると、S110で、表示部13にホーム画面50を表示する。S120では、制御部11は、使用者による印刷制御機能の選択を受け付ける。具体的には、ドキュメントプリントアイコン51または写真プリントアイコン52のタップを受け付ける。
【0101】
ドキュメントプリントアイコン51または写真プリントアイコン52がタップされると、制御部11は、S130で、表示部13にファイル選択画面60を表示する。S140では、使用者による印刷対象ファイルの選択を受け付ける。
【0102】
ファイル選択画面60で印刷対象ファイルが選択されると、制御部11は、S150で、表示部13にプレビュー画面70を表示する。なお、S150に遷移した時点では、プレビュー画像71はまだ表示されない。
【0103】
制御部11は、S160で、前回の印刷設定情報、即ち、前回の印刷実行時における印刷用データの生成に用いられた印刷設定情報が、保持されているか否か判断する。なお、ここでいう前回の印刷設定情報は、前述の通り、選択された印刷対象ファイルと同じファイルフォーマットの印刷対象ファイルが直近で印刷されたときに用いられた印刷設定情報であってもよい。前回の印刷設定情報が保持されていない場合は、本処理はS180に進む。
【0104】
S180では、制御部11は、デフォルトの印刷設定情報を、現在の印刷設定情報として設定する。S180の処理後は制御部11はS190に進む。なお、前回の印刷設定情報が保持されていないケースとして、例えば、アプリ122が情報処理装置10にインストールされて初めてアプリ122が起動されたケースが考えられる。
【0105】
S160で、前回の印刷設定情報が保持されている場合は、本処理はS170に進む。S170では、制御部11は、記憶部12に保持されている前回の印刷設定情報を読み込んで、現在の印刷設定情報として設定する。S170の処理後は制御部11はS190に進む。
【0106】
S190では、制御部11は、所要容量Mnを算出する。具体的には、制御部11は、S170またはS180で設定された印刷設定情報(即ち、前回の印刷実行時に用いられた印刷設定情報またはデフォルトの印刷設定情報)と、前述の対象データ情報とに基づいて、所要容量Mnを算出する。
【0107】
S200では、制御部11は、使用者による、設定情報一覧画面80への遷移要求がなされたか否かを判断する。ここでいう遷移要求とは、本第1実施形態では、設定ボタン72がタップされることを意味する。
【0108】
設定情報一覧画面80への遷移要求がなされていない場合は、本処理はS240(
図6参照)へ進む。設定情報一覧画面80への遷移要求がなされた場合は、本処理はS210へ進む。
【0109】
S210では、制御部11は、表示部13に設定情報一覧画面80を表示する。S220では、制御部11は、使用者による、設定情報一覧画面80に対する設定値の変更を受け付ける。S230では、制御部11は、S220で設定値の変更が受け付けられた場合に、対応する設定項目の現在の設定値をその変更された設定値に更新する。S230の処理後は本処理はS240に進む。
【0110】
なお、設定情報一覧画面80が表示された後、設定値が変更されることなく戻りボタン56がタップされると、制御部11は再びプレビュー画面70を表示する。
S240では、制御部11は、印刷設定情報が変更されたか否か、即ちS220~S230の処理によっていずれかの設定値が変更されたか否か、を判断する。印刷設定情報が変更されていない場合は、本処理はS290に進む。印刷設定情報が変更された場合は、本処理はS250に進む。
【0111】
S250では、制御部11は、プレビューデータを生成済みか否か判断する。プレビューデータが生成されていない場合は本処理はS270に進む。プレビューデータが既に生成されている場合、即ちプレビュー画像71が既に表示されている場合は、制御部11は、S260で、現在生成されているプレビューデータ及び表示されているプレビュー画像71を、削除する。S260の処理後は本処理はS270に進む。
【0112】
S270では、制御部11は、S240で実行されたと判断された印刷設定情報の変更が、所要容量Mnが増加する方向の変更であるか否かを判断する。所要容量Mnが増加する方向の変更には、例えば、画質の設定値が標準画質から高画質に変更されること、用紙サイズの設定値が現在の設定値よりも大きいサイズに変更されること、カラー/モノクロの設定値がモノクロからカラーに変更されること、などが挙げられる。
【0113】
所要容量Mnが増加する方向の変更がなされていない場合は、本処理はS200に移行する。所要容量Mnが増加する方向の変更がなされた場合は、本処理はS280に移行する。
【0114】
S280では、制御部11は、変更された印刷設定情報に基づいて、所要容量Mnを再計算する。再計算後は本処理はS200に移行する。
S290では、制御部11は、ストレージ12b(詳しくは画像処理領域)の空き容量Maを取得する。
【0115】
S300では、制御部11は、空き容量Maが閾値より大きいか否か判断する。閾値は、例えば、通常想定される所要容量Mnの最大値よりも大きい値が設定されている。つまり、一般的な使い方であれば所要容量Mnが超える可能性がないか若しくは低いような、十分に大きい容量が、閾値に設定されている。
【0116】
S300で、空き容量が閾値以下である場合は、制御部11は、S340で、空き容量Maが所要容量Mn未満か否か判断する。空き容量Maが所要容量未満である場合、即ち実行要件を満たしていない場合は、制御部11は、第1,第2の画像処理を実行することなく、S350で、エラー報知を行う。
【0117】
具体的には、例えば空き容量Maが不足していることを示すメッセージを表示部13に表示するなどして、実行要件が満たされないことを使用者に報知する。尚、制御部11は、他の方法でエラー報知を行ってもよい。例えば、制御部11は、音声入出力部17を介して、音声にて使用者へエラー報知を行ってもよい。また、エラー報知は、空き容量Maの不足分を含んでいてもよい。つまり、あとどの程度の容量が空けば実行要件を満たすのかを、使用者に報知してもよい。S350の処理後は、本処理は一旦終了し、再びS110から再開される。
【0118】
S340で、空き容量Maが所要容量Mn以上である場合は、本処理はS310に進む。S310では、制御部11は、第1,第2の画像処理を実行する。つまり、プレビューデータ及び印刷用データを生成し、画像処理領域に記憶する。そして、プレビューデータに基づくプレビュー画像71をプレビュー画面70に表示する。S310は、さらに、前述の中間データを生成する処理も含む。
【0119】
S300で、空き容量Maが閾値より大きい場合も、制御部11は、S310に進み、S310の処理を実行する。
S310の処理後、制御部11は、S320で、使用者による印刷開始の指示がなされたか否か判断する。印刷開始の指示は、プリントボタン73のタップを含む。印刷開始の指示がなされていない場合は、本処理はS200に移行する。印刷開始の指示がなされた場合は、本処理はS330に進む。
【0120】
S330では、制御部11は、画像処理装置30へ印刷を指示する。具体的には、制御部11は、前述の印刷コマンドを第1通信部15を介して画像処理装置30へ送信する。これにより、画像処理装置30にて、その印刷コマンドに含まれている印刷用データに基づく画像が印刷される。
【0121】
(7)第1実施形態の効果
以上説明した第1実施形態によれば、印刷対象データの処理に必要な所要容量Mnの算出精度を向上させることができる。ひいては、中間データの生成および第1,第2の画像処理に必要な空き容量Maがあるか否かの判定精度が高まる。
【0122】
これにより、アプリ122は、所要容量Mnに応じて印刷対象データを適正に処理することができる。例えば、本来は空き容量Maが足りているにもかかわらず容量不足と判断されること、ひいては、印刷できない或いは印刷するためには本来不要であるはずの設定変更がユーザに強いられること、が抑制される。
【0123】
(8)用語の対応
画像処理装置30は本開示における印刷装置の一例に相当する。ストレージ12bは本開示における補助記憶装置の一例に相当する。ストレージ12bにおける画像処理領域は本開示における記憶領域の一例に相当する。
【0124】
S130~S140の処理は本開示における受付処理の一例に相当する。S230の処理は本開示における設定処理の一例に相当する。第1,第2の画像処理を含むS310の処理は本開示における画像処理の一例に相当する。S190及びS280の処理はいずれも本開示における算出処理の一例に相当する。S340で否定判定されてS310に移行すること、及びS300で肯定判定されてS310に移行することは、本開示における、所要容量が所定の実行要件を満たしている場合の一例に相当する。S330の処理は本開示における送信処理の一例に相当する。S350の処理は本開示における第1の報知処理の一例に相当する。S200~S220の処理は本開示における変更要求受付処理の一例に相当する。
【0125】
[2.第2実施形態]
第2実施形態では、印刷制御処理の変形例について、
図7を参照して説明する。第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、第1実施形態との相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0126】
第2実施形態の印刷制御処理において第1実施形態と異なるのは、S290の後の処理である。S110~S290の処理は、第1実施形態と同じであるため、
図7においては、S290よりも前の処理については図示を省略している。
【0127】
また、第2実施形態では、S190(
図5参照)及びS280(
図6参照)において、所定ページ数の印刷に必要な所要容量Mn1が算出される。所定ページ数を印刷するための所要容量Mn1には、例えば、中間データと、所定ページ数分あるいは1ページ目のみのプレビューデータと、所定ページ数分の印刷用データとを記憶するための容量が含まれる。
【0128】
本第2実施形態では、所定ページ数は、例えば1ページである。そのため、本第2実施形態では、S190及びS280では、1ページの印刷に必要な所要容量Mn1が算出される。
【0129】
S290の後の処理について、
図7を参照して説明する。制御部11は、S290の処理後、S410に進む。S410では、制御部11は、空き容量Maが、現在算出されている所要容量Mn1より大きいか否か判断する。空き容量Maが所要容量Mn1以下である場合は、本処理はS470に移行する。S470では、制御部11は、印刷を実行できないことを示すエラー報知を行う。具体的には、空き容量Maが不足していて印刷できないことを示すメッセージを表示部13に表示してもよい。S470の処理後はS200(
図5参照)に移行する。
【0130】
S410で、空き容量Maが所要容量Mn1より大きい場合は、本処理はS420に移行する。S420では、制御部11は、第1実施形態のS310(
図6参照)と基本的に同様に、第1,第2の画像処理を実行する。ただし、本第2実施形態では、印刷用データについては、現在の空き容量Maを用いて生成可能な最大ページ数分の印刷用データを生成する。プレビューデータを全ページ分生成するように構成されている場合は、現在の空き容量Maを用いて生成可能な最大ページ数分のプレビューデータ及び印刷用データを生成する。そして、生成したプレビュー画像71を表示する。複数ページのプレビューデータが生成されている場合は、そのうちの1ページ分のプレビュー画像71が表示される。使用者は、表示されるプレビュー画像71を、複数ページのプレビュー画像のいずれかに切り替えることができる。
【0131】
S430では、制御部11は、第1実施形態のS320と同様、使用者による印刷開始の指示がなされたか否か判断する。印刷開始の指示がなされていない場合は、本処理はS200に移行する。印刷開始の指示がなされた場合は、本処理はS440に進む。
【0132】
S440では、制御部11は、画像処理装置30へ印刷を指示する。具体的には、制御部11は、S420で生成されたページ数の印刷用データを含む印刷コマンドを第1通信部15を介して画像処理装置30へ送信する。これにより、画像処理装置30にて、印刷用データが生成されたページ数の画像が印刷される。
【0133】
S450では、制御部11は、印刷対象データの全ページの印刷が完了したか否か判断する。この判断は、換言すれば、S420で全ページ分の印刷用データが生成されたか否かの判断であると言える。
【0134】
全ページの印刷が完了した場合、つまりS420で全ページ分の印刷用データが生成された場合は、制御部11は、本処理を一旦終了し、再びS110から再開する。全ページの印刷が完了していない場合、つまりS420で全ページのうちの一部のページの印刷用データが生成された場合は、本処理はS460に進む。S460では、制御部11は、印刷対象ファイルの印刷が全ページ分完了していないことのエラー報知を行う。つまり、空き容量Maに応じて最大限可能なページ数のみ印刷されたこと、あるいは印刷されていないページが存在していること、などを使用者に報知する。
【0135】
このような第2実施形態によれば、少なくとも所定ページ数分(本第2実施形態では例えば1ページ分)の空き容量Maがあれば、その空き容量Maを用いて印刷可能な最大ページ数分の印刷を行うことができる。
【0136】
[3.第3実施形態]
第3実施形態では、印刷制御処理の変形例について、
図8を参照して説明する。第3実施形態は、基本的な構成は第2実施形態と同様であるため、第2実施形態との相違点について以下に説明する。なお、第2実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0137】
第3実施形態の印刷制御処理において第2実施形態と異なるのは、S440の後の処理である。S110~S440の処理は、第2実施形態と同じであるため、
図8においては、S290よりも前の処理については説明を省略する。
【0138】
S440の後の処理について、
図8を参照して説明する。制御部11は、S440の処理後、S610に進む。S610では、制御部11は、印刷済みの印刷用データを記憶部12から削除する。そして、S620で、制御部11は、印刷対象データのうちまだ印刷されていないページがあるか否か判断する。すでに全ページ印刷が完了している場合は、制御部11は、本処理を一旦終了し、再びS110から処理を再開する。まだ印刷されていないページがある場合は、本処理はS630に進む。
【0139】
S630では、制御部11は、まだ印刷されていないページのうち、現在の空き容量Maを用いて生成可能な最大ページ数の印刷用データを生成して、記憶部12の画像処理領域に記憶する。そして、S640で、制御部11は、S630で生成した印刷用データの印刷を実行するように画像処理装置30に指示する。具体的には、制御部11は、S630で生成された印刷用データを含む印刷コマンドを第1通信部15を介して画像処理装置30へ送信する。これにより、画像処理装置30にて、S630で生成された印刷用データに基づくページ数分の画像が印刷される。
【0140】
S650では、制御部11は、S640で送信されて印刷が実行された印刷用データを記憶部12から削除する。そして、S620に移行する。S620への移行後、依然として印刷されていないページが残っている場合は、本処理は再びS630以降に進む。
【0141】
このような第2実施形態によれば、少なくとも所定ページ数分(本第3実施形態では例えば1ページ分)の空き容量Maがあれば、その空き容量Maを用いて、印刷対象データの画像を全ページ分印刷することができる。
【0142】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0143】
(1)所要容量は、印刷設定情報及び対象データ情報に基づいてどのような方法で算出されてもよい。所要容量は、
図2に例示したようなファイルサイズテーブルを用いずに算出されてもよい。例えば設定値x,y,z,・・・および対象データ情報W1,W2,・・・を変数とする関数F(x,y,z,W1,W2,・・・)を用意し、その関数Fを用いて算所要容量を出してもよい。
【0144】
(2)印刷設定情報は、どのような、あるいはいくつの、設定項目を有していていもよい。それら設定項目の各々は、どのような、あるいはいくつの、設定値の選択肢が用意されていてもよい。
【0145】
(3)印刷制御機能を選択させるためのユーザインタフェースとして、上記実施形態では、ドキュメントプリントアイコン51及び写真プリントアイコン52を例示した。しかし、当該ユーザインタフェースは、これら各アイコン51,52のうちの一方のみであってもよいし、これら各アイコン51,52の機能が集約された1つのアイコンであってもよいし、これら各アイコン51,52以外の他のアイコンがあってもよい。
【0146】
(4)上記各実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、いずれかの実施形態の構成の少なくとも一部を、他の実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0147】
[5.本明細書が開示する技術思想]
本明細書は、以下の技術思想を開示していると理解されてよい。
[項目1]
表示部と、
入力部と、
記憶部と、
印刷機能を有する印刷装置と通信可能に構成された通信部と、
制御部と、
を備えた情報処理装置における前記制御部が実行可能な印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、
前記印刷装置に印刷させる画像のデータである印刷対象データの選択を前記入力部を介して受け付ける受付処理と、
前記画像の印刷に用いられる設定値を設定し、且つ印刷実行後も当該印刷に用いられた前記設定値を保持する、設定処理と、
前記受付処理により選択された前記印刷対象データに基づく所定の画像処理に必要な前記記憶部の容量である所要容量を、前記設定処理により保持されている、過去の印刷実行時に用いられた前記設定値に基づいて算出する、算出処理と、
前記算出処理により算出された前記所要容量が所定の実行要件を満たしている場合に、前記設定処理により設定されている前記設定値に基づいて実行する、前記画像処理と、
を実行させる印刷制御プログラム。
[項目2]
項目1に記載の印刷制御プログラムであって、
前記算出処理は、前記所要容量を、前記設定処理により保持されている、前回の印刷実行時に用いられた前記設定値に基づいて算出する、
印刷制御プログラム。
[項目3]
項目1または項目2に記載の印刷制御プログラムであって、
前記算出処理は、前記所要容量を、前記印刷対象データが有する情報にさらに基づいて算出し、
前記印刷対象データが有する前記情報は、前記印刷対象データが示す画像の総ページ数、及び/または前記印刷対象データのファイルフォーマット、を含む、
印刷制御プログラム。
[項目4]
項目1~項目3のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記記憶部は、前記画像処理で用いることが可能な記憶領域を有し、
前記実行要件は、前記記憶領域の空き容量が、前記算出処理により算出された前記所要容量以上である場合に、満たされる、
印刷制御プログラム。
[項目5]
項目4に記載の印刷制御プログラムであって、
前記記憶部は、補助記憶装置を備え、
前記記憶領域は、前記補助記憶装置の少なくとも一部に割り当てられている、
印刷制御プログラム。
[項目6]
項目4または項目5に記載の印刷制御プログラムであって、
前記実行要件は、前記空き容量が予め設定された閾値以上である場合に満たされる、
印刷制御プログラム。
[項目7]
項目1~項目6のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記画像処理は、前記受付処理により選択された前記印刷対象データのプレビュー用のプレビューデータを生成して前記記憶部に記憶し且つ当該プレビューデータに基づくプレビュー画像を前記表示部に表示することを含む、
印刷制御プログラム。
[項目8]
項目1~項目7のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記画像処理は、前記受付処理により選択された前記印刷対象データに基づく画像を前記印刷装置で印刷させるための印刷用データを、前記設定処理により設定されている前記設定値に基づいて生成して前記記憶部に記憶することを含む、
印刷制御プログラム。
[項目9]
項目8に記載の印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、さらに、
前記画像処理により生成された前記印刷用データを前記通信部を介して前記印刷装置へ送信する送信処理、
を実行させる、印刷制御プログラム。
[項目10]
項目1~項目9のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、さらに、
前記算出処理により算出された前記所要容量が前記実行要件を満たしていない場合に、前記実行要件を満たしていないことを報知する第1の報知処理、
を実行させる、
印刷制御プログラム。
[項目11]
項目1~項目10のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記算出処理は、過去の印刷実行時に用いられた前記設定値が保持されていない場合は、既定の前記設定値に基づいて前記所要容量を算出する、
印刷制御プログラム。
[項目12]
項目1~項目11のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、さらに、
前記設定値の変更要求を前記入力部を介して受け付ける変更要求受付処理、
を実行させ、
前記設定処理は、前記変更要求受付処理により前記変更要求が受け付けられたことに応じて、前記変更要求に基づいて前記設定値を変更し、
前記印刷制御プログラムは、前記変更要求受付処理により前記変更要求が受け付けられたことに応じて、変更後の前記設定値に基づいて、前記算出処理及び前記画像処理が実行されるように構成されている、
印刷制御プログラム。
[項目13]
項目7に記載の印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、さらに、
前記表示部に前記プレビュー画像が表示されている間に、前記設定値の変更要求を前記入力部を介して受け付ける変更要求受付処理、
を実行させ、
前記設定処理は、前記変更要求受付処理により前記変更要求が受け付けられたことに応じて、前記変更要求に基づいて前記設定値を変更し、
前記印刷制御プログラムは、前記変更要求受付処理により前記変更要求が受け付けられたことに応じて、変更後の前記設定値に基づいて前記算出処理及び前記画像処理が実行されるように構成されている、
印刷制御プログラム。
[項目14]
項目4~項目6のいずれか1項に記載の印刷制御プログラムであって、
前記算出処理は、前記印刷対象データに基づく複数ページの画像のうちの所定ページ数の画像を対象とした前記画像処理に必要な前記所要容量を算出し、
前記画像処理は、前記複数ページの画像のうちの、前記空き容量を用いて前記印刷用データを生成可能な最大ページ数の画像を対象に、前記印刷用データを生成し、
前記印刷制御プログラムは、前記制御部に、さらに、
前記画像処理により生成された前記印刷用データを前記通信部を介して前記印刷装置へ送信する送信処理、
を実行させる、印刷制御プログラム。
[項目15]
項目14に記載の印刷制御プログラムであって、
前記制御部に、さらに、
前記複数ページの画像のうち前記画像処理で前記印刷用データが生成されなかった画像である未処理画像がある場合に、当該未処理画像が印刷されていないことを報知する第2の報知処理、
を実行させる、印刷制御プログラム。
[項目16]
項目14に記載の印刷制御プログラムであって、
前記画像処理は、前記送信処理による送信後、前記複数ページの画像のうちまだ前記印刷用データが生成されていない画像である未処理画像がある場合、当該未処理画像を対象に前記印刷用データを生成し、
前記送信処理は、前記未処理画像に対応した前記印刷用データが生成されたことに応じて当該印刷用データを前記通信部を介して前記印刷装置へ送信する、
[項目17]
前記印刷装置に印刷させる画像のデータである印刷対象データの選択を受け付けることと、
前記画像の印刷に用いられる設定値を設定且つ保持することと、
選択された前記印刷対象データに基づく所定の画像処理に必要な記憶部の容量である所要容量を、過去の印刷実行時に用いられて保持されている前記設定値に基づいて算出することと、
算出された前記所要容量が所定の実行要件を満たしている場合に前記画像処理を実行することと、
を備える、画像処理方法。
[項目18]
表示部と、
入力部と、
記憶部と、
印刷機能を有する印刷装置と通信可能に構成された通信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記印刷装置に印刷させる画像のデータである印刷対象データの選択を前記入力部を介して受け付ける受付処理と、
前記画像の印刷に用いられる設定値を設定し、且つ印刷実行後も当該印刷に用いられた前記設定値を保持する、設定処理と、
前記受付処理により選択された前記印刷対象データに基づく所定の画像処理に必要な前記記憶部の容量である所要容量を、前記設定処理により保持されている、過去の印刷実行時に用いられた前記設定値に基づいて算出する、算出処理と、
前記算出処理により算出された前記所要容量が所定の実行要件を満たしている場合に、前記設定処理により設定されている前記設定値に基づいて実行する、前記画像処理と、
を実行するように構成されている、
情報処理装置。
【符号の説明】
【0148】
1…画像処理システム、10…情報処理装置、11…制御部、12…記憶部、12b…ストレージ、13…表示部、14…入力部、14a…タッチパネル、15…第1通信部、16…第2通信部、30…画像処理装置、51…ドキュメントプリントアイコン、52…写真プリントアイコン、60…ファイル選択画面、70…プレビュー画面、71…プレビュー画像、72…設定ボタン、73…プリントボタン、80…設定情報一覧画面、122…印刷制御プログラム。