IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特開-蓄圧式吐出具 図1
  • 特開-蓄圧式吐出具 図2
  • 特開-蓄圧式吐出具 図3
  • 特開-蓄圧式吐出具 図4
  • 特開-蓄圧式吐出具 図5
  • 特開-蓄圧式吐出具 図6
  • 特開-蓄圧式吐出具 図7
  • 特開-蓄圧式吐出具 図8
  • 特開-蓄圧式吐出具 図9
  • 特開-蓄圧式吐出具 図10
  • 特開-蓄圧式吐出具 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065845
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】蓄圧式吐出具
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20230101AFI20240508BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B05B11/00 102J
B65D47/34 100
B05B11/00 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174908
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB09
3E084HD01
3E084KA20
3E084KB06
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】ノズルから吐出される液体の霧質を安定させつつ作動時に液漏れを生じることを防止することが可能な蓄圧式吐出具を提供することである。
【解決手段】容器本体2の口部2aに装着して使用される蓄圧式吐出具1であって、ピストン22に設けられた当接部22dの下方に所定の間隔を空けて対向する被当接部51を備え、シリンダ室26に上下方向に移動自在に配置されるとともにピストン22が下死点にまで移動したときに被当接部51が当接部22dにより押されて下方に移動する駆動体50と、駆動体50の下端に下方に向けて突出して設けられ、ボール弁23の側方に配置されるとともに駆動体50が下方に移動したときに底壁21bに設けられた傾斜面21fに沿って径方向内側に弾性変形してボール弁23の中心位置よりも下方側に当接するように構成された押上げ片54と、を有することを特徴とする蓄圧式吐出具1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着して使用される蓄圧式吐出具であって、
前記口部に装着される装着部と、
底壁に流入口を備え、前記装着部に支持されたシリンダと、
流出口を軸心に備え、前記シリンダの内部に摺動自在に配置されて前記シリンダとともにシリンダ室を区画形成するピストンと、
前記シリンダ室に配置され、前記流入口を閉塞するボール弁と、
前記流出口に連なる流路と前記流路の先端に取り付けられたノズルとを備え、前記ピストンに接続されて前記ピストンとともに上下方向に移動自在の押下げ体と、
前記流路に設けられ、前記流路を遮断するとともに前記流路の内部が所定値以上の圧力となったときに作動して前記流路を開くバルブと、
前記ピストンに設けられた当接部の下方に所定の間隔を空けて対向する被当接部を備え、前記シリンダ室に上下方向に移動自在に配置されるとともに前記ピストンが下死点にまで移動したときに前記被当接部が前記当接部により押されて下方に移動する駆動体と、
前記駆動体の下端に下方に向けて突出して設けられ、前記ボール弁の側方に配置されるとともに前記駆動体が下方に移動したときに前記底壁に設けられた傾斜面に沿って径方向内側に弾性変形して前記ボール弁の中心位置よりも下方側に当接するように構成された押上げ片と、を有することを特徴とする蓄圧式吐出具。
【請求項2】
前記駆動体が、前記ピストンが下死点にまで移動したときに前記底壁に当接するストッパを備えている、請求項1に記載の蓄圧式吐出具。
【請求項3】
前記底壁が下方に向けて縮径する円錐台形状であり、前記底壁の内周面に形成された凹部に前記傾斜面が設けられている、請求項1に記載の蓄圧式吐出具。
【請求項4】
前記駆動体の下端に、前記押上げ片よりも下方への突出量が小さい複数の保持片が、前記押上げ片に対して周方向に間隔を空けて並べて設けられており、
前記押上げ片及び複数の前記保持片の内側に前記ボール弁が配置されている、請求項1に記載の蓄圧式吐出具。
【請求項5】
前記押下げ体を下方に向けて押し下げるトリガーを有する、請求項1~4の何れか1項に記載の蓄圧式吐出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口部に装着して使用される蓄圧式吐出具に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体の口部に装着されて使用される吐出具として、底壁に流入口を備えたシリンダと、流出口を軸心に備え、シリンダの内部に摺動自在に配置されてシリンダとともにシリンダ室を区画形成するピストンと、シリンダ室に配置され、流入口を閉塞するボール弁と、流出口に連なる流路と流路の先端に取り付けられたノズルとを備え、ピストンに接続されてピストンとともに上下方向に移動自在の押下げ体と、流路に設けられ、流路を遮断するとともに流路の内部が所定値以上の圧力となったときに作動して流路を開くバルブと、を有し、押下げ体が押下げ操作されると、ピストンが下降してシリンダ室及び流路の液体が所定の圧力にまで加圧され、これによりバルブが開いて液体が蓄圧された状態でノズルから外部にスプレー状に吐出されるように構成された、蓄圧式の吐出具が多く用いられている。
【0003】
従来、このような蓄圧式吐出具は、液体を吐出した後、シリンダ室及び流路の残圧を解除するために、シリンダの内周面に溝ないしリブを設け、ピストンが下死点にまで移動したときに当該溝ないしリブによりピストンのシールが解かれてシリンダ室の残圧がシリンダに設けた排出孔から容器本体の内部に排出されるように構成されるのが一般的であった(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3957960号公報
【特許文献1】実公昭61-904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の蓄圧式吐出具では、シリンダ室を容器の外部に対して隔離するためのピストンのシールをシリンダの内周面に設けた溝ないしリブで解くようにしているので、ピストンが下方に移動してシリンダ室を加圧する際に、不意にピストンのシールが解けてシリンダ室からの液漏れを生じる虞がある、という問題点があった。
【0006】
これに対し、シリンダの内周面に溝ないしリブを設けることなく、ピストンが下死点にまで移動したときにバルブを物理的に開いて残圧を解消する構成とすることが考えられる。しかし、この構成では、吐出の度に残圧がノズルから外部に排出されるため、吐出の最後に大粒の液体が吐出されるようになり、吐出される液体の霧質が低下する虞がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルから吐出される液体の霧質を安定させつつ作動時に液漏れを生じることを防止することが可能な蓄圧式吐出具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の蓄圧式吐出具は、容器本体の口部に装着して使用される蓄圧式吐出具であって、底壁に流入口を備えたシリンダと、流出口を軸心に備え、前記シリンダの内部に摺動自在に配置されて前記シリンダとともにシリンダ室を区画形成するピストンと、前記シリンダ室に配置され、前記流入口を閉塞するボール弁と、前記流出口に連なる流路と前記流路の先端に取り付けられたノズルとを備え、前記ピストンに接続されて前記ピストンとともに上下方向に移動自在の押下げ体と、前記流路に設けられ、前記流路を遮断するとともに前記流路の内部が所定値以上の圧力となったときに作動して前記流路を開くバルブと、前記ピストンに設けられた当接部の下方に所定の間隔を空けて対向する被当接部を備え、前記シリンダ室に上下方向に移動自在に配置されるとともに前記ピストンが下死点にまで移動したときに前記被当接部が前記当接部により押されて下方に移動する駆動体と、前記駆動体の下端に下方に向けて突出して設けられ、前記ボール弁の側方に配置されるとともに前記駆動体が下方に移動したときに前記底壁に設けられた傾斜面に沿って径方向内側に弾性変形して前記ボール弁の中心位置よりも下方側に当接するように構成された押上げ片と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の蓄圧式吐出具は、上記構成において、前記駆動体が、前記ピストンが下死点にまで移動したときに前記底壁に当接するストッパを備えているのが好ましい。
【0010】
本発明の蓄圧式吐出具は、上記構成において、前記底壁が下方に向けて縮径する円錐台形状であり、前記底壁の内周面に形成された凹部に前記傾斜面が設けられているのが好ましい。
【0011】
本発明の蓄圧式吐出具は、上記構成において、前記駆動体の下端に、前記押上げ片よりも下方への突出量が小さい複数の保持片が、前記押上げ片に対して周方向に間隔を空けて並べて設けられており、前記押上げ片及び複数の前記保持片の内側に前記ボール弁が配置されているのが好ましい。
【0012】
本発明の蓄圧式吐出具は、上記構成において、前記押下げ体を下方に向けて押し下げるトリガーを有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ノズルから吐出される液体の霧質を安定させつつ作動時に液漏れを生じることを防止することが可能な蓄圧式吐出具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る蓄圧式吐出具を備えた吐出容器の正面視での断面図である。
図2図1に示す蓄圧式吐出具の、ボール弁が設けられた部分の拡大断面図である。
図3図2に示すシリンダの、下端側部分の断面図である。
図4図3におけるA-A線に沿う断面図である。
図5図2に示す駆動体の、下端側部分の断面図である。
図6図2に示す駆動体の底面図である。
図7】駆動体が下方に移動して押上げ片の下端が傾斜面に当接した状態を示す断面図である。
図8図7に示す状態から駆動体がさらに下方に移動して押上げ片が傾斜面に沿って径方向内側に弾性変形を開始した状態を示す断面図である。
図9】ピストンが下死点にまで移動したときの押上げ片及びボール弁の状態を示す断面図である。
図10図1に示す蓄圧式吐出具の、液体を吐出している状態における正面視での断面図である。
図11図1に示す蓄圧式吐出具の、ピストンが下死点にまで移動した状態における正面視での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る蓄圧式吐出具1について、図面を参照しつつ詳細に例示説明する。
【0016】
なお、本明細書及び特許請求の範囲においては、上下方向は、蓄圧式吐出具1を図1に示す正立姿勢とした状態における上下方向を意味するものとする。また、径方向は、中心軸線Oを通り当該中心軸線Oに垂直な直線に沿う方向を意味するものとし、周方向は中心軸線Oを中心とした周方向を意味するものとする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る蓄圧式吐出具1は、容器本体2の口部2aに装着して使用される所謂ディスペンサーである。蓄圧式吐出具1と容器本体2とにより吐出容器3が構成される。蓄圧式吐出具1は、容器本体2に収納されている液体4を所定量ずつ分配して外部にスプレー状(霧状)に吐出させることができる。
【0018】
容器本体2は、例えば合成樹脂製のボトル容器であり、口部2aは、中心軸線Oを中心とした円筒状である。容器本体2は、その内部に液体4を内容物として収納することができる。
【0019】
蓄圧式吐出具1は、装着部10を備えている。本実施形態では、装着部10はキャップ状に構成され、容器本体2の口部2aにねじ結合により装着される。より具体的には、装着部10は、中心軸線Oを中心とした円筒状であり、ねじ結合によって口部2aの外側に装着されるように構成されている。なお、装着部10は、打栓(アンダーカット係合)により口部2aの外側に装着される構成であってもよい。
【0020】
蓄圧式吐出具1は、ポンプ20を備えている。ポンプ20は、シリンダ21、ピストン22及びボール弁23を備えている。
【0021】
シリンダ21は、中心軸線Oを中心とした円筒状の外形を有するシリンダ本体21aと、シリンダ本体21aの下端に一体に連なる底壁21bとを有している。シリンダ本体21aの上端にはさらにフランジ部21cが一体に連ねて設けられており、フランジ部21cが装着部10と口部2aの上端面との間に挟持されることで、シリンダ21は容器本体2の内部に吊り下げ保持されている。なお、符号24は、口部2aの上端面とフランジ部21cとの間を液密に密閉するシール部材である。
【0022】
底壁21bは下方に向けて縮径する円錐台形状となっており、その軸心には中心軸線Oを中心とした円形の流入口21dが設けられている。図2に示すように、底壁21bの内周面(上向きの面)には、中心軸線Oを中心とした円環状であるとともに下方に向けて凹む凹部21eが形成されており、凹部21eの底面は下方に向けて縮径するように傾斜する傾斜面21fとなっている。
【0023】
図1に示すように、フランジ部21cの上面には中心軸線Oを中心とした円筒状の筒体部21gが一体に設けられており、筒体部21gにはキャップ25が嵌合固定されている。キャップ25は中心軸線Oを中心とした円筒状の支持筒部25aを有している。
【0024】
シリンダ21の下端側部分にはバネ支持部21hが一体に設けられている。より具体的には、図3図4に示すように、シリンダ21の底壁21bからシリンダ本体21aの内面に亘って、それぞれ板状となる5つのバネ支持部21hが凹部21eの径方向外側において周方向に等間隔に並べて設けられている。
【0025】
図1に示すように、底壁21bには、流入口21dに接続されて容器本体2の底部にまで延びるチューブ21iが接続されている。
【0026】
ピストン22は流出口22aを軸心に備えた円筒状となっており、シリンダ21の内部に摺動自在に配置されている。より具体的には、ピストン22は、シリンダ21の内径に対応した外径の円環状のピストン本体22bと、ピストン本体22bに一体に連なるとともに上方に向けて延びる連結筒部22cとを有している。ピストン本体22bはシリンダ21の内部に摺動自在に配置され、シリンダ21とともにシリンダ室26を区画形成している。連結筒部22cは支持筒部25aの内側に配置されて支持筒部25aに上下動自在に支持されるとともに支持筒部25aの上端から上方に突出している。
【0027】
ピストン22の連結筒部22cの下端とバネ支持部21hとの間にはスプリング27が配置されている。ピストン22は、スプリング27により付勢されて、ピストン本体22bが支持筒部25aの下端にシール材を介して当接する上死点(図1に示す位置)に保持されている。
【0028】
図2に示すように、ボール弁23は流入口21dよりも大径の球状となっており、シリンダ室26の内部に配置されている。ボール弁23は、自重により、流入口21dの周囲における底壁21bに全周に亘って当接して流入口21dを閉塞している。ボール弁23は、図2に示す位置から径方向ないし上方に移動可能となっている。ボール弁23は、シリンダ室26から流入口21dを通した外部への液体4の流出を阻止するとともに、シリンダ室26が負圧になったときに径方向ないし上方に移動して流入口21dを開き、流入口21dを通して容器本体2の内部の液体4をシリンダ室26の内部に流入させるように作動する。
【0029】
図1に示すように、ピストン22には押下げ体30が接続されている。本実施形態では、押下げ体30は、本体部31とステム部32とを有している。
【0030】
本体部31は、内部に液体4の流路31aを備えた筒状となっており、基端に対して先端が僅かに上方に位置するように斜めに配置されている。本体部31の先端には、流路31aに連なるノズル33が取り付けられている。ノズル33は吐出口33aを備えており、流路31aから圧送されてきた液体4を吐出口33aから外部にスプレー状(霧状)に吐出させることができる。
【0031】
ステム部32は、ピストン22の連結筒部22cよりも小径の中心軸線Oを中心とした円筒状となっており、その上端において本体部31に一体に連なっている。ステム部32の内部は、本体部31の流路31aに連なる液体4の流路32aとなっている。ステム部32の下端側部分は、ピストン22の連結筒部22cに嵌合固定されている。これにより、押下げ体30は、ステム部32においてピストン22に接続されて、第1の位置(図1に示す位置、ピストン22が上死点となる位置)と第1の位置よりも下方の第2の位置(図11に示す位置、ピストン22が下死点となる位置)との間で上下方向に移動自在となっている。
【0032】
本体部31は、流路31aの途中に円環状の弁座部31bを備えている。また、本体部31の内部にはバルブ34が配置されている。バルブ34は流路31aより小径の円柱状となっており、弁座部31bに接近離反する方向に移動自在となっている。本体部31の基端には収容部31cが設けられている。収容部31cには、バルブ34の基端に設けられた隔離ピストン35が摺動自在に配置されており、収容部31cの基端側の開口は蓋体36で閉塞されている。隔離ピストン35と蓋体36との間にはスプリング37が配置されている。バルブ34はスプリング37によりノズル33の側に向けて付勢されている。これにより、バルブ34は、シール部34aが弁座部31bに当接して流路31aを遮断している。また、流路31aの内部が所定値以上の圧力となると、隔離ピストン35がスプリング37を圧縮させつつノズル33から離れる方向に作動し、これによりバルブ34のシール部34aが弁座部31bから離間して流路31aが開かれる。
【0033】
キャップ25は、一対の支持壁部28(図1においては一方の支持壁部28のみを示している。)を有している。一対の支持壁部28はキャップ25から図1中で右斜め上方に向けて延びる、中心軸線Oに平行な板状となっている。一対の支持壁部28の間には連結壁29が設けられ、連結壁29を介して一対の支持壁部28は互いに連結されている。
【0034】
本実施形態では、蓄圧式吐出具1は、押下げ体30を下方に向けて押し下げるトリガー40を有し、トリガー40の引き操作によりポンプ20が作動する所謂トリガー式となっている。
【0035】
より具体的には、トリガー40は、くの字形状を有し、その一端側において回動軸41により支持壁部28に回動自在(揺動自在)に支持されている。トリガー40の他端側部分は、使用者により引き操作される操作部42となっている。操作部42は、回動軸41に対して中心軸線Oを挟んだ反対側に配置されている。また、トリガー40は、回動軸41と操作部42との間において押下げ体30の外周面に回動軸43によって回動自在に係止されている。
【0036】
図1に示すように、シリンダ室26の内部には駆動体50が配置されている。駆動体50は中心軸線Oを中心とした棒状となっており、シリンダ室26に上下方向に移動自在に配置されている。駆動体50は、上向きの面として構成された被当接部51を備えている。被当接部51は、ピストン22の連結筒部22cの内周面に径方向内側に向けて突出して設けられた当接部22dの下方に所定の間隔を空けて対向している。また、駆動体50は、被当接部51から上方に向けて延びる案内軸部52を一体に備えている。案内軸部52は当接部22dの軸心を貫通し、ピストン22に支持されている。なお、液体4は、当接部22dの内周面と案内軸部52の外周面との間の隙間を通って流れることができる。案内軸部52の上端には係止部53が一体に設けられている。係止部53が当接部22dの上面に係止されることで、ピストン22が上死点(図1に示す位置)にあるときに、駆動体50はその下端が底壁21bに接しない所定位置に保持されている。一方、ピストン22が下死点にまで移動すると、被当接部51が当接部22dにより押され、駆動体50は図1に示す位置から下方に移動する。
【0037】
図2に示すように、駆動体50の下端には、下方に向けて突出する押上げ片54が一体に設けられている。より具体的には、図2図5図6に示すように、駆動体50の下端にはボール弁23よりも僅かに大きい半球状の凹部55が形成されており、凹部55の径方向外側に、周方向に延びる円弧状の押上げ片54が一体に設けられている。
【0038】
ピストン22が上死点にあり押下げ体30が第1の位置にあるときには、図2に示すように、押上げ片54はボール弁23の側方に配置されており、その下端は傾斜面21fの上方に傾斜面21fに対して第1の位置と第2の位置との間の上下方向距離よりも小さい間隔を空けて配置されている。
【0039】
この状態から、ピストン22が上死点から下死点の近傍にまで移動すると、図7に示すように、駆動体50がピストン22に押されて下方に移動し、押上げ片54の下端が、ボール弁23の側方において底壁21bに設けられた傾斜面21fに当接する。
【0040】
図7に示す状態からピストン22がさらに下方に移動すると、図8に示すように、駆動体50がピストン22に押されてさらに下方に移動し、押上げ片54の下端が、ボール弁23の側方において底壁21bに設けられた傾斜面21fに沿って径方向内側に向けて移動し、これにより押上げ片54が径方向内側に向けて弾性変形する。
【0041】
そして、図8に示す状態からピストン22がさらに下方に移動して下死点に達すると、図9に示すように、駆動体50がピストン22に押されてさらに下方に移動し、押上げ片54がさらに径方向内側に向けて弾性変形して、ボール弁23の中心位置よりも下方側に当接する。これにより、ボール弁23は、押上げ片54により径方向外側且つ斜め上方に向けて押されて流入口21dからずれ、流入口21dが僅かに開かれる。
【0042】
図5図6に示すように、駆動体50の下端に、押上げ片54よりも下方への突出量が小さい複数の保持片56を、押上げ片54に対して周方向に間隔を空けて並べて設けた構成とすることもできる。本実施形態では、それぞれ周方向に延びる円弧状の3つの保持片56が、凹部55の径方向外側において押上げ片54に対して周方向に間隔を空けて並べて設けられている。保持片56の駆動体50の下端からの突出高さは、ピストン22が上死点から下死点にまで移動して駆動体50がピストン22に押されて下方に移動したときに、傾斜面21fに当接しない突出高さである。
【0043】
駆動体50の下端に、押上げ片54よりも下方への突出量が小さい複数の保持片56を、押上げ片54に対して周方向に間隔を空けて並べて設けた構成とした場合には、図2に示すように、ボール弁23は、押上げ片54及び複数の保持片56の内側に配置される。このとき、ボール弁23は、押上げ片54及び複数の保持片56の内側において径方向且つ上方に所定の範囲で移動可能となっている。
【0044】
図2図5図6に示すように、駆動体50は、ピストン22が下死点にまで移動したときに底壁21bに当接するストッパ57を備えた構成とすることもできる。本実施形態では、駆動体50の下端部における外周面に、径方向外側に向けて突出する5つのストッパ57が一体且つ周方向に等間隔に並べて設けられている。5つのストッパ57は、それぞれ底壁21bの傾斜に対応した傾斜を有するストッパ面57aを有している。ピストン22が下死点にまで移動すると、図9に示すように、ストッパ面57aが底壁21bに当接することで駆動体50のさらなる下方への移動が規制される。すなわち、ストッパ面57aが底壁21bに当接することで、駆動体50ないしピストン22の下死点が規定される。
【0045】
図10に示すように、上記構成を有する蓄圧式吐出具1は、使用者により操作部42が装着部10に接近する方向に引き操作されると、押下げ体30がトリガー40により駆動されて第1の位置(図1に示す位置)から下方に向けて押し下げられる。押下げ体30が下方に向けて押し下げられると、ステム部32とともにピストン22が下方に移動し、これによりシリンダ室26が加圧されてポンプ20は吐出動作する。このとき、ボール弁23は、流入口21dを閉じた状態である。ポンプ20が吐出動作すると、容器本体2の内部からシリンダ室26に吸引された液体4が流出口22aから流路32a、31aに向けて圧送される。流路32a、31aに液体4が圧送されて所定値以上の圧力となるとバルブ34が開き、流路31aからノズル33に液体4が圧送されて吐出口33aから外部にスプレー状(霧状)に吐出される。
【0046】
図10に示す状態から、使用者により操作部42が装着部10に接近する方向にさらに引き操作されると、図11に示すように、押下げ体30が第2の位置にまで押し下げられ、ピストン22は下死点となる。ピストン22が下死点となると、吐出口33aからの液体4の吐出に伴い流路31a、31bないしシリンダ室26の内部の圧力が低下してバルブ34が閉じる。
【0047】
このとき、図9に示すように、ピストン22は下死点となったときには、押上げ片54が傾斜面21fに沿って径方向内側に向けて弾性変形して、ボール弁23の中心位置よりも下方側に当接することで、ボール弁23は、押上げ片54により径方向外側且つ斜め上方に向けて押されて流入口21dからずれ、流入口21dが僅かに開かれた状態となる。
【0048】
したがって、ピストン22が下死点となってバルブ34が閉じられると、流路31a、31bないしシリンダ室26の内部の残圧は、流入口21dから容器本体2の内部に排出される。
【0049】
このように、本実施形態の蓄圧式吐出具1では、駆動体50の下端に、下方に向けて突出してボール弁23の側方に配置される押上げ片54を設け、ピストン22が下死点となったときに押上げ片54が径方向内側に弾性変形してボール弁23を移動させ、流入口21dを開く構成としたので、ピストン22を常にシリンダ21の内周面に液密に当接する構成としつつ、流路31a、31bないしシリンダ室26の内部に残圧が生じることを防止することができる。したがって、液体4を吐出する際のポンプ20の作動時に、シリンダ室26からの液漏れが生じることを防止することができる。
【0050】
また、本実施形態の蓄圧式吐出具1では、駆動体50の下端に、下方に向けて突出してボール弁23の側方に配置される押上げ片54を設け、ピストン22が下死点となったときに押上げ片54が径方向内側に弾性変形してボール弁23を移動させ、流入口21dを開く構成としたので、ピストン22が下死点にまで移動したときにバルブ34を物理的に開いて残圧を解消する構成を設ける必要がない。これにより、液体4の吐出終わりにおける切れを抑止して、吐出口33aから吐出される液体4の霧質が低下することを防止することができる。
【0051】
さらに、本実施形態の蓄圧式吐出具1では、駆動体50を、ピストン22が下死点にまで移動したときに底壁21bに当接するストッパ57を備えた構成としたので、押上げ片54が過度に弾性変形して破損を生じることを防止することができる。
【0052】
さらに、本実施形態の蓄圧式吐出具1では、底壁21bを下方に向けて縮径する円錐台形状とし、底壁21bの内周面に形成された凹部21eに傾斜面21fを設けるようにしたので、押上げ片54を確実に傾斜面21fに案内されて径方向内側に弾性変形するようにして、ボール弁23を確実に開くことができる。
【0053】
さらに、本実施形態の蓄圧式吐出具1では、駆動体50の下端に、押上げ片54よりも下方への突出量が小さい複数の保持片56を、押上げ片54に対して周方向に間隔を空けて並べて設け、押上げ片54及び複数の保持片56の内側にボール弁23を配置するようにしたので、ボール弁23が流入口21dに対して過度に移動することを防止して、ボール弁23を逆止弁として確実に作動させることができる。
【0054】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 蓄圧式吐出具
2 容器本体
2a 口部
3 吐出容器
4 液体
10 装着部
20 ポンプ
21 シリンダ
21a シリンダ本体
21b 底壁
21c フランジ部
21d 流入口
21e 凹部
21f 傾斜面
21g 筒体部
21h バネ支持部
21i チューブ
22 ピストン
22a 流出口
22b ピストン本体
22c 連結筒部
22d 当接部
23 ボール弁
24 シール部材
25 キャップ
25a 支持筒部
26 シリンダ室
27 スプリング
28 支持壁部
29 連結壁
30 押下げ体
31 本体部
31a 流路
31b 弁座部
31c 収容部
32 ステム部
32a 流路
33 ノズル
33a 吐出口
34 バルブ
34a シール部
35 隔離ピストン
36 蓋体
37 スプリング
40 トリガー
41 回動軸
42 操作部
43 回動軸
50 駆動体
51 被当接部
52 案内軸部
53 係止部
54 押上げ片
55 凹部
56 保持片
57 ストッパ
57a ストッパ面
O 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11