(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065858
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】WEB電話システム、WEB電話用サーバ装置およびWEB電話用プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/141 20220101AFI20240508BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H04L67/141
H04M11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174927
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】524042458
【氏名又は名称】THISIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下平 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】松川 雄輔
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201CA02
5K201EC06
5K201ED02
5K201ED06
(57)【要約】
【課題】この開示は、WEB経由での電話機能をユーザに提供する上で好適なWEB電話システムを提供することを目的とする。
【解決手段】IP電話を発信する発信端末100と、IP電話を受信する着信端末110と、Webサーバ140と、シグナリングサーバ150と、通知サーバ160とを備える。発信端末100は、IP電話で着信端末Bに発呼するためのURL(B)の入力を受けて、当該URL(B)の情報を含むA→B呼び出し(12)をWebサーバ140に送信する。Webサーバ140は、A→B呼び出しを受けて、予め登録されている着信端末110のIP電話登録情報をURL(B)に基づいて読み出し、端末特定識別子およびIP電話アプリを特定して、着信端末110の呼び出し要求(13)を通知サーバ160に送信する。着信端末110は、呼び出し信号(14)によりIP電話アプリを起動(15)して着信表示(16)を生じさせる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP電話を発信する発信端末Aと、
IP電話を受信する着信端末Bと、
前記発信端末Aおよび前記着信端末Bとネットワークを介して通信可能なWebサーバ並びにシグナリングサーバと、
前記Webサーバからの呼び出し要求に応えて前記着信端末に呼び出し信号を送信する通知サーバと、を備え、
前記発信端末Aは、
IP電話で前記着信端末Bに発呼するためのURL(B)の入力を受け付ける処理と、
前記URL(B)の入力を受けて、当該URL(B)の情報を含むA→B呼び出しを前記Webサーバに送信する処理と、を実行するように構成され、
前記Webサーバは、
前記A→B呼び出しを受けて、予め登録されている前記着信端末BのIP電話登録情報を前記URL(B)に基づいて読み出す処理と、
前記IP電話登録情報に含まれる端末特定識別子およびIP電話アプリを特定して、前記着信端末Bの呼び出し要求を、前記通知サーバに送信する処理と、を実行するように構成され、
前記着信端末Bは、
前記通知サーバから、前記IP電話アプリを指定した呼び出し信号を受け付ける処理と、
前記呼び出し信号を受けて、前記IP電話アプリを起動すると共に着信表示を生じさせる処理と、
前記着信表示に対する通話受諾の操作を受け付ける処理と、
前記通話受諾の操作を受けて前記Webサーバに通話の受諾通知を送信する処理と、を実行するように構成され、
前記Webサーバは、前記着信端末Bからの前記受諾通知を受けて、前記発信端末Aおよび前記着信端末Bの双方に、前記シグナリングサーバにおける両者の待ち合わせ領域を示すA-B待ち合わせ情報を送信する処理を更に実行するように構成され、
前記発信端末Aおよび前記着信端末Bは、
両者間にP2P経路を開設するために必要なSDPの情報を前記A-B待ち合わせ情報が示す前記待ち合わせ領域を介して交換する処理と、
前記SDPに基づいて開設されたP2P経路を介して音声信号を互いに授受する処理と、を更に実行するように構成されたWEB電話システム。
【請求項2】
前記URL(B)の入力を受け付ける処理は、前記URL(B)の情報が埋め込まれた二次元バーコードを読み取る処理を含む請求項1に記載のWEB電話システム。
【請求項3】
前記SDPの情報を交換する処理は、
前記発信端末Aと前記着信端末Bのうち、前記待ち合わせ領域に遅れて入室した方が、自身のSDPを含むオファーを他方に向けて送信する処理と、
前記発信端末Aと前記着信端末Bのうち、前記待ち合わせ領域に先に入室した方が、前記オファーに応えて、自身のSDPを含むアンサーを他方に向けて送信する処理と、
を含む請求項1または2に記載のWEB電話システム。
【請求項4】
発信端末Aおよび着信端末Bとネットワークを介して通信可能なWEB電話用サーバ装置であって、
前記発信端末Aからの送信信号を受け付ける処理と、
前記送信信号が、IP電話で前記着信端末Bに発呼するためのURL(B)を含むA→B呼び出しであるかを判別する処理と、
前記送信信号が前記A→B呼び出しであった場合に、予め登録されている前記着信端末BのIP電話登録情報を前記URL(B)に基づいて読み出す処理と、
前記IP電話登録情報に含まれる端末特定識別子およびIP電話アプリを特定して前記着信端末Bの呼び出し要求を通知サーバに送信して、当該通知サーバに、前記IP電話アプリを指定した呼び出し信号を前記着信端末Bに送信させる処理と、
前記着信端末Bから、通話の受諾を意味する受諾通知を受け付ける処理と、
前記着信端末Bからの前記受諾通知を受けて、前記発信端末Aおよび前記着信端末Bの双方に、シグナリングサーバにおける両者の待ち合わせ領域を示すA-B待ち合わせ情報を送信する処理と、
を実行するように構成されたWEB電話用サーバ装置。
【請求項5】
スマートフォンをIP電話の着信端末Bとして機能させるためのWEB電話用プログラムであって、
前記着信端末BとしてIP電話を着信するために必要なIP電話登録情報を自身のIP電話を発呼するためのURL(B)と結び付けさせるためにWebサーバに送信する処理と、
通知サーバからの呼び出し信号が、IP電話アプリに関する呼び出しであるか否かを判別する処理と、
前記呼び出し信号が、前記IP電話アプリに関する呼び出しである場合に、当該IP電話アプリを起動して通話受諾の操作を待ち受ける処理と、
前記通話受諾の操作が行われた場合に、前記Webサーバに向けて受諾通知を送信して、前記呼び出しの発信元である発信端末Aとシグナリングサーバで待ち合わせるためのA-B待ち合わせ情報を待ち受ける処理と、
前記Webサーバから前記A-B待ち合わせ情報を受信したら、前記シグナリングサーバの前記A-B待ち合わせ情報が示す待ち合わせ領域に入室して待機する処理と、
前記発信端末AのSDPの情報を含むオファーを、前記待ち合わせ領域を介して前記発信端末Aから受け取る処理と、
前記オファーに応えて、自身のSDPの情報を含むアンサーを、前記待ち合わせ領域を介して前記発信端末Aに送信する処理と、
前記SDPの交換後に、当該SDPに基づいて前記発信端末Aとの間にP2P経路を開設するための処理と、
を前記スマートフォンに実行させるためのプログラムを含むWEB電話用プログラム。
【請求項6】
IP電話を発信する発信端末と、IP電話を受信する少なくとも一つの着信端末とを通話可能に接続するWEB電話システムであって、
前記発信端末および前記着信端末とネットワークを介して通信可能なWebサーバ並びにシグナリングサーバと、
前記Webサーバからの呼び出し要求に応えて前記着信端末に呼び出し信号を送信する通知サーバと、を備え、
前記Webサーバは、
前記発信端末から、IP電話で前記着信端末に発呼するためのURLの入力を受け付ける処理と、
前記URLの入力を受けて、当該URLに紐づけられた前記少なくとも一つの着信端末呼び出しを送信する処理と、を実行するように構成され、
前記A→B呼び出しを受けて、予め登録されている前記着信端末の端末特定識別子情報を前記URLに基づいて読み出す処理と、
前記端末特定識別子情報に含まれる端末特定識別子を特定して、前記着信端末Bの呼び出し要求を、前記通知サーバに送信する処理と、を実行するように構成され、
前記通知サーバは、
前記着信端末に、前記IP電話アプリを指定した呼び出し信号を発する処理と、
前記Webサーバは、前記着信端末からの通話受諾を受信する処理と、を実行するように構成され、
前記Webサーバは、前記着信端末からの前記受諾通知を受けて、前記発信端末および前記着信端末の双方に、前記シグナリングサーバにおける両者の待ち合わせ領域を示すA-B待ち合わせ情報を送信する処理を更に実行するように構成され、
前記発信端末Aおよび前記着信端末Bに対し、両者間にP2P経路を開設するために必要なSDPの情報を発信するように構成されたWEB電話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、WEB電話システム、WEB電話用サーバ装置およびWEB電話用プログラムに係り、特に、WEB経由での電話機能をユーザに提供する上で好適なWEB電話システム、WEB電話用サーバ装置およびWEB電話用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、WEBページを介してデータネットワークテレフォニー(DNT)通信を可能にするためのシステムが開示されている。WEBを経由するIP電話では、発信側のデバイスと受信側のデバイスに、互換性のあるIP電話用アプリケーション(以下、「IP電話アプリ」とする)のインストールを求めることが通常である。
【0003】
IP電話アプリには様々な種類が存在し、一般的に異なる種類のIP電話アプリ間では互換性が認められない。このため、様々なIP電話に対応するためには、IP電話に用いるデバイスに、様々なIP電話アプリをインストールしておくことが必要となる。
【0004】
特許文献1では、このような不都合を解決するためのシステムが提案されている。具体的には、このシステムによれば、IP電話の発信者が特定のWebページのリンクにアクセスすることで必要なIP電話アプリがダウンロードされ、事前に記憶されたいくつかの通話が終わった後に、そのIP電話アプリがアンインストールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の上記技術によれば、ユーザのデバイスに常にIP電話アプリをインストールしておく必要が解消される。このため、ユーザは、デバイスの記憶容量が無駄に消費されないメリットを享受することができる。
【0007】
しかしながら、IP電話を利用する度に、IP電話アプリのインストールとアンインストールが行われるとすれば、その処理に要する時間や手間に起因して、ユーザは煩らしさを感ずる。この点、特許文献1に記載の技術は、IP電話の利便性を高めるうえで、未だ改良の余地を残すものであった。
【0008】
この開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、発信側のデバイスに特別なIP電話アプリのインストールを求めることなくIP電話による通話を可能とするWEB電話システムを提供することを第一の目的とする。
また、この開示は、発信側のデバイスに特別なIP電話アプリのインストールを求めることなくIP電話による通話を可能とするWEB電話用サーバ装置を提供することを第二の目的とする。
また、この開示は、発信側のデバイスに特別なIP電話アプリのインストールを求めることなくIP電話による通話を可能とするWEB電話用プログラムを提供することを第三の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様は、上記の目的を達成するため、WEB電話システムであって、
IP電話を発信する発信端末Aと、
IP電話を受信する着信端末Bと、
前記発信端末Aおよび前記着信端末Bとネットワークを介して通信可能なWebサーバ並びにシグナリングサーバと、
前記Webサーバからの呼び出し要求に応えて前記着信端末に呼び出し信号を送信する通知サーバと、を備え、
前記発信端末Aは、
IP電話で前記着信端末Bに発呼するためのURL(B)の入力を受け付ける処理と、
前記URL(B)の入力を受けて、当該URL(B)の情報を含むA→B呼び出しを前記Webサーバに送信する処理と、を実行するように構成され、
前記Webサーバは、
前記A→B呼び出しを受けて、予め登録されている前記着信端末BのIP電話登録情報を前記URL(B)に基づいて読み出す処理と、
前記IP電話登録情報に含まれる電話番号およびIP電話アプリを特定して、前記着信端末Bの呼び出し要求を、前記通知サーバに送信する処理と、を実行するように構成され、
前記着信端末Bは、
前記通知サーバから、前記IP電話アプリを指定した呼び出し信号を受け付ける処理と、
前記呼び出し信号を受けて、前記IP電話アプリを起動すると共に着信表示を生じさせる処理と、
前記着信表示に対する通話受諾の操作を受け付ける処理と、
前記通話受諾の操作を受けて前記Webサーバに通話の受諾通知を送信する処理と、を実行するように構成され、
前記Webサーバは、前記着信端末Bからの前記受諾通知を受けて、前記発信端末Aおよび前記着信端末Bの双方に、前記シグナリングサーバにおける両者の待ち合わせ領域を示すA-B待ち合わせ情報を送信する処理を更に実行するように構成され、
前記発信端末Aおよび前記着信端末Bは、
両者間にP2P経路を開設するために必要なSDPの情報を前記A-B待ち合わせ情報が示す前記待ち合わせ領域を介して交換する処理と、
前記SDPに基づいて開設されたP2P経路を介して音声信号を互いに授受する処理と、を更に実行するように構成されていることが望ましい。
【0010】
また、第2の態様は、発信端末Aおよび着信端末Bとネットワークを介して通信可能なWEB電話用サーバ装置であって、
前記発信端末Aからの送信信号を受け付ける処理と、
前記送信信号が、IP電話で前記着信端末Bに発呼するためのURL(B)を含むA→B呼び出しであるかを判別する処理と、
前記送信信号が前記A→B呼び出しであった場合に、予め登録されている前記着信端末BのIP電話登録情報を前記URL(B)に基づいて読み出す処理と、
前記IP電話登録情報に含まれる電話番号およびIP電話アプリを特定して前記着信端末Bの呼び出し要求を通知サーバに送信して、当該通知サーバに、前記IP電話アプリを指定した呼び出し信号を前記着信端末Bに送信させる処理と、
前記着信端末Bから、通話の受諾を意味する受諾通知を受け付ける処理と、
前記着信端末Bからの前記受諾通知を受けて、前記発信端末Aおよび前記着信端末Bの双方に、シグナリングサーバにおける両者の待ち合わせ領域を示すA-B待ち合わせ情報を送信する処理と、
を実行するように構成されていることが望ましい。
【0011】
また、第3の態様は、スマートフォンをIP電話の着信端末Bとして機能させるためのWEB電話用プログラムであって、
前記着信端末BとしてIP電話を着信するために必要なIP電話登録情報を自身のIP電話を発呼するためのURL(B)と結び付けさせるためにWebサーバに送信する処理と、
通知サーバからの呼び出し信号が、IP電話アプリに関する呼び出しであるか否かを判別する処理と、
前記呼び出し信号が、前記IP電話アプリに関する呼び出しである場合に、当該IP電話アプリを起動して通話受諾の操作を待ち受ける処理と、
前記通話受諾の操作が行われた場合に、前記Webサーバに向けて受諾通知を送信して、前記呼び出しの発信元である発信端末Aとシグナリングサーバで待ち合わせるためのA-B待ち合わせ情報を待ち受ける処理と、
前記Webサーバから前記A-B待ち合わせ情報を受信したら、前記シグナリングサーバの前記A-B待ち合わせ情報が示す待ち合わせ領域に入室して待機する処理と、
前記発信端末AのSDPの情報を含むオファーを、前記待ち合わせ領域を介して前記発信端末Aから受け取る処理と、
前記オファーに応えて、自身のSDPの情報を含むアンサーを、前記待ち合わせ領域を介して前記発信端末Aに送信する処理と、
前記SDPの交換後に、当該SDPに基づいて前記発信端末Aとの間にP2P経路を開設するための処理と、
を前記スマートフォンに実行させるためのプログラムを含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
第1乃至第3の態様によれば、発信側のデバイスに特別なIP電話アプリをインストールする必要がないため、極めて利便性に優れたIP電話を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施の形態1のWEB電話システムの特徴的な機能を説明するための図である。
【
図2】本開示の実施の形態1のWEB電話システムで発信者が参照する二次元バーコードの一例を示す。
【
図3】本開示の実施の形態1のWEB電話システムの構成と、発信から着信までの処理の流れを説明するための図である。
【
図4】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、着信者が通話を許諾した後、発信者と着信者の待ち合わせが完了するまでの処理の流れを説明するための図である。
【
図5】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、発信者と着信者が相互の接続情報を交換する様子を示す図である。
【
図6】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、発信者と着信者の間にP2P経路が開通した様子を示す図である。
【
図7】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、発信者と着信者の間にP2P経路が開通した状態で、発信者が着信者に電話の取り次ぎを依頼した後、引継ぎ者に着信が生ずるまでの処理の流れを説明するための図である。
【
図8】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、引継ぎ者が通話を受諾した後、着信者と引継ぎ者の待ち合わせが完了するまでの処理の流れを説明するための図である。
【
図9】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、着信者と引継ぎ者が相互の接続情報を交換する様子を示す図である。
【
図10】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、発信者と着信者の間に加えて、着信者と引継ぎ者との間にもP2P経路が開通した様子を示す図である。
【
図11】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、着信者が引き継ぎの依頼を発した後、発信者と引継ぎ者の待ち合わせに必要な情報が着信者に提供されるまでの処理の流れを説明するための図である。
【
図12】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、発信者と引継ぎ者の待ち合わせに必要な情報が着信者に提供された後、発信者と引継ぎ者の待ち合わせが完了するまでの処理の流れを説明するための図である。
【
図13】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、発信者と引継ぎ者が相互の接続情報を交換する様子を示す図である。
【
図14】本開示の実施の形態1のWEB電話システムにおいて、発信者と引継ぎ者との間にP2P経路が開通した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
[実施の形態1の機能]
図1は、本開示の実施の形態1のWEB電話システムの機能を説明するための図である。本実施形態のWEB電話システムはスマートフォン100を別のスマートフォン110もしくは120と接続するシステムである。スマートフォン100は、IP電話の発信者Aが所有するデバイスである。
【0015】
図1に示す例には、更に二台のスマートフォン110、120が含まれている。スマートフォン110は、IP電話の着信者Bが所有するデバイスである。また、スマートフォン120は、着信者Bの取り次ぎを経て、発信者Aからの電話を引き継ぐ引継ぎ者Cが所有するデバイスである。発信者Aは、着信者Bと引継ぎ者Cが所属する同じ企業、同じチームの顧客であるとの想定である。
【0016】
着信者Bのスマートフォン110と、引継ぎ者Cのスマートフォン120には、IP電話アプリ(図中に「THIS IS App」と例示)がインストールされている。一方、発信者Aのスマートフォン100には、一般的なアプリケーションであるWEBブラウザと二次元バーコードスキャナはインストールされているが、本実施例専用のIP電話アプリはインストールされていない。
【0017】
図1に示す例では、先ず、発信者Aから着信者Bと引継ぎ者Cが所属している企業に向けてIP電話が発呼されている。着信者Bのスマートフォン110と引継ぎ者Cのスマートフォン120には、予め当該企業固有のURL(チーム)が設定されている。本実施形態のWEB電話システムは、発信者Aが、WEBブラウザ上でそのURL(チーム)にアクセスするとスマートフォン100からスマートフォン110及びスマートフォン120への発呼が生ずるように構成されている。URL(チーム)に外部からのアクセスがあると、URL(チーム)に紐づけられたスマートフォンの端末特定識別子が格納された端末特定識別子情報を読み出し、格納された端末特定識別子に合致するすべてのスマートフォンへの発呼が生じる。スマートフォン110とスマートフォン120のどちらも着信を受諾することができるが、この場合、着信者Bが先に着信の受諾操作をおこなったとすると、これに応じて、スマートフォン100とスマートフォン110との間で接続情報が交換され、AとBの両者間での通話が開始され、スマートフォン120への発呼は解除されるように構成されている。
【0018】
図1に示す例では、発信者Aが所望する電話の相手が、着信者Bではなく引継ぎ者Cであったため、着信者Bが引き継ぎ操作を行って通話相手を着信者Bから引き継ぎ者Cに受け渡している。引継ぎ者Cのスマートフォン120は、予め固有のURL(C)が設定されている。本実施形態のWEB電話システムは、着信者Bが、発信者Aとの通話中に引継ぎ者の固有URL(C)にアクセスすると、その通話を維持したままスマートフォン110からスマートフォン120への発呼が生ずるように構成されている。また、本実施形態のWEB電話システムは、引継ぎ者Cが引き継ぎを受諾すると、スマートフォン100とスマートフォン120との間で接続情報が交換されて、発信者Aと引継ぎ者Cとの通話が可能となるように構成されている。着信者Bのスマートフォン110は発信者Aのスマートフォン100と引継ぎ者Cのスマートフォン120の両方と同時に通話状態となり、着信者Bは、引継ぎ者Cとの通話が開始されたことを確認して、自己の通話を切断することができる。
【0019】
図2は、本実施形態において、発信者Aが参照する二次元バーコードの一例を示す。より具体的には、
図2は、二次元バーコードとしてQRコード(登録商標)を印刷した名刺であるカード130を示している。この二次元バーコードには、URL(チーム)の情報が埋め込まれている。発信者Aは、カード130を所持していれば、スマートフォン100で二次元バーコードを読み取るだけで、着信者Bと引継ぎ者Cが所属するチームの登録された全員への発呼を同時に生じさせることができる。もちろん、名刺に記載するQRコードは、チームのものでも良いし、着信者Bに固有のURL(B)でも良いし、それらの両方でも良い。URL(チーム)は、当該チームの電話番号でいうところの、代表番号に相当するものである。着信の転送先は、URL(チーム)に紐づけられていない、図示しない別のスマートフォンに紐づけられたURL(D)でも良いし、別のチームのURL(チーム2)でも良い。
【0020】
以上説明した通り、本実施形態のWEB電話システムによれば、発信者Aのスマートフォン100は、特定のURLにブラウザからアクセスしているだけであって、スマートフォン100に特別なIP電話アプリをインストールする必要がない。また、着信者BのURL(B)が埋め込まれたカード130を所持していれば、発信者Aは、その二次元バーコードを読み取るだけで、簡単に着信者B個人、もしくは所属チーム全体への発呼を生じさせることができる。このため、自身のURLを埋め込んだ二次元バーコードを印刷した名刺を顧客である発信者Aに配布しておけば、顧客が自身にIP電話を発呼する際の手間を大幅に省くことができる。もちろん、このURLは通常のURLであるので、発信者Aのスマートフォン100にアクセル履歴として記憶されるし、お気に入り登録しておくことで、容易に再通話することもできる。また、URLは通常のURLであるので、QRコードからのアクセスでなくても、アドレスの手入力や、文字認識、会社Webサイトからのリンク等でも良い。
【0021】
また、本実施形態のWEB電話システムによれば、「THIS IS App」をインストールしたスマートフォン110、120を所持する者同士であれば。着信した電話を、簡単に他者に受け渡すことができる。ビジネスのシーンでは、受け取った電話を関係者に取り次ぐ必要が頻繁に生ずる。本実施のWEB電話システムによれば、そのような要求にも応えることができる。以上の点より、本実施のWEB電話システムは、会社等の組織がビジネスのために用いるコミュニケーションツールとして高い有用性を備えている。また、本実施形態のWEB電話システムによれば、顧客に知らせるのは、自己のスマートフォンに紐づけられたURLだけであるので、例えば企業の社員であるBとCが個人的に保有するスマートフォンを紐づけておくこともできる。企業の従業員であるBとCは、個人的に保有するプライベートのスマートフォンをURL(チーム)、URL(B)、URL(C)に登録したとしても、顧客に開示される情報は当該URLだけであるので、個人的な電話番号のような固有アドレスが開示されることがない。社員にプライベートのスマートフォンに加えて社用のスマートフォンの両方を持たせておく必要がなくなる。企業から見ても、当該社員が退職、異動する等しても、URL(チーム)に紐づけるスマートフォンを引き継いだ社員のものに入れ替えるだけで、顧客に配布した名刺に記載されたURL(チーム)は引き続き活用できるので、重要な顧客とのネットワークを従業員の退職や異動によって失う事がない。
【0022】
[実施の形態1の構成]
図3には、本開示の実施の形態1のWEB電話システムの全体構成が示されている。
図3に示すように、本実施のWEB電話システムは、上述した三台のスマートフォン100、110および120に加えて、Webサーバ140、シグナリングサーバ150および通知サーバ160を備えている。
【0023】
スマートフォン100、110および120は、CPU等のプロセッサ、ROM、RAM等を含むメモリ装置、ディスプレイ等の入出力インターフェースを備えている。同様に、Webサーバ140、シグナリングサーバ150および通知サーバ160も、プロセッサ、メモリ装置、入出力インターフェースなどの要素により構成されている。これらは何れも、メモリ装置に格納されているプログラムに沿ってプロセッサが必要な処理を実行することで、所望の機能を実現する。
【0024】
[実施の形態1における処理の流れ]
以下、
図3乃至
図14を参照して、本実施形態のWEB電話システムにおいて実行される処理の流れを説明する。尚、以下の説明では、スマートフォン100、110および120の使用者による操作には(S1)、(S2)等の符号を付し、操作に起因して生ずる現象、信号等には(11)、(12)のようにSを伴わない数値だけの符号を付することとする。
【0025】
[IP電話による通話の開始]
図3には、上記の構成に加えて、発信から着信までの処理の流れが示されている。
図3に示す例では、先ず、発信者Aにより、着信者Bが配布した名刺に記載されたURL(チーム)に向けた発信操作が行われる(S1)。発信操作は、例えば、発信者Aが、スマートフォン100により
図2に示すカード130のQRコード(商標名)をスキャンすることにより行われる。
【0026】
スマートフォン100は、上記の発信操作が行われると、先ず、Webサーバ140に対するWebソケットを開設する(11)。
【0027】
続いて、スマートフォン100は、URL(チーム)の情報を含むA→チーム全体呼び出しをWebサーバ140に送信する(12)。
【0028】
Webサーバ140には、IP電話アプリの利用者情報がIP電話登録情報として登録されている。本実施例においてはIP電話登録情報として、例えば、着信者Bについては、スマートフォン110の端末特定識別子(識別子は例えばIPアドレス、電話番号でも良く、これに限られない。)、IP電話アプリ「THIS IS App」で用いるURL(B)の情報などがリストとして登録されている。
【0029】
Webサーバ140は、A→チーム全体の呼び出しを受けると、そこに含まれているURL(チーム)により、その呼び出しが、URL(チーム)に紐づけられたスマートフォン110と120の両方に対するIP電話の呼び出しであることを認識する。そして、スマートフォン110と120の端末特定識別子を読み出して、その番号に対する「THIS IS App」の呼び出し要求を通知サーバ160に送信する(13)。
【0030】
通知サーバ160は、スマートフォン110、120を管理する通信キャリア(端末特定識別子が電話番号ではなくIPアドレスである場合はデータ通信管理企業等)が運営するサーバである。通知サーバ160には、端末特定識別子とアプリケーションを指定した呼び出し要求を受けると、その端末特定識別子を持つデバイスに、そのアプリケーションに関わるプッシュ通知を生じさせるための呼び出し信号を発する機能が備わっている。このため、Webサーバ140からの呼び出し要求を受信すると、通知サーバ160は、URL(チーム)に紐づけられたすべてのスマートフォン、この場合は110と120の2台に向けて「THIS IS App」に関わる呼び出し信号を送信する(14)。
【0031】
スマートフォン110と120は、通知サーバ160から上記の呼び出し信号を受け取ると、IP電話アプリ「THIS IS App」を起動する(15)。また、着信者Bと引継ぎ者Cに着信を知らせるための着信表示を生じさせる(16)。
【0032】
図4は、スマートフォン110に着信表示が生じた後の処理の流れを説明するための図である。
図4に示す例では、着信表示を受けて、着信者Bが通話許諾の操作を実行している(S2)。
【0033】
着信者Bが通話を許諾すると、スマートフォン110は、Webサーバ140に対して受諾通知を送信する(21)。これに応じ、Webサーバ140は受諾通知を行ってきたスマートフォン110以外のURL(チーム)に登録されたすべての他のスマーフォン、この場合はスマートフォン120に対し、発呼を停止する処理を行う。
【0034】
Webサーバ140は、上記の受諾通知を受信すると、A-B待ち合わせ情報をスマートフォン110に返信する(22)。A-B待ち合わせ情報は、シグナリングサーバ150において、発信者Aのスマートフォン100と着信者Bのスマートフォン110とが、通信の開設に必要な情報を交換するために必要な情報である。
【0035】
A-B待ち合わせ情報を受け取ると、スマートフォン110は、先ず、シグナリングサーバ150に対するWebソケットを開設する(23)。次に、A-B待ち合わせ情報が示す領域に「入室」する(24)。尚、「入室」とは、その領域での情報授受が可能な状態で待機することを意味する。以下の説明においても「入室」はこの意味で用いられているものとする。
【0036】
Webサーバ140は、スマートフォン110からの受諾通知を受け取った際に、発信者Aのスマートフォン100にも、A-B待ち合わせ情報を送信する(25)。この送信は、開設済みのWebソケット11を用いて行われる(
図3参照)。
【0037】
A-B待ち合わせ情報を受け取ったスマートフォン100は、スマートフォン110と同様に、シグナリングサーバ150に対するWebソケットを開設して(26)、待ち合わせ領域に入室する(27)。
【0038】
図5は、発信者Aのスマートフォン100と着信者Bのスマートフォン110が、共にシグナリングサーバ150の待ち合わせ領域に入室した後の処理の流れを説明するための図である。シグナリングサーバ150は、同じ待ち合わせ情報を持つ複数のスマートフォンが入室してきた場合に、遅れて入室してきたスマートフォンに、入室済みのスマートフォンが存在することを通知する。そして、その通知を受けたスマートフォンは、ブラウザの機能により、入室済みのスマートフォンに対して情報交換のオファーを投げかける。
【0039】
図5に示す例では、着信者Bのスマートフォン110が先に入室し、発信者Aのスマートフォン100が遅れて入室することになる。この場合、発信者Aのスマートフォン100から着信者Bのスマートフォン110に向けて上記のオファーが送信される(28)。このオファーには、スマートフォン100のIPアドレス、ポート番号、通信帯域など、スマートフォン100との通信を確立するために必要なSDP(Session Description Protocol)が含まれている。
【0040】
着信者Bのスマートフォン110は、上記のオファーを受け取ると、自身との通信に必要なSDPを含むアンサーを返信する(29)。以上の処理により、二台のスマートフォン100および110は、互いに相手方との通信に必要な情報を入手した状態となる。
【0041】
図6は、上記の情報交換が終わった後の状態を示す。
図6に示すように、スマートフォン100および110は、お互いのSDPに基づいて、両者間での通信を可能とするP2P経路を開設する(30)。以後、両者は、このP2P経路を介して音声による通話を開始することができる。これに伴い、Webサーバ140は別の着信を待ち受ける状態に戻る。
【0042】
[IP電話の引き継ぎ]
図7は、発信者Aが、着信者Bに、Cさんへの電話の取り次ぎを依頼した(S3)場合の処理の流れを説明するための図である。発信者Aと着信者Bは、音声による通話中であるから、取り次ぎの依頼は「Cさんへの取り次ぎをお願いします」のように音声により行うことができる。
【0043】
発信者Aからの取り次ぎ依頼を受けた着信者Bは、Cさんが電話の引き継ぎを承諾するか否かを確認するために、スマートフォン110においてCさんへの発信操作、すなわちCさんのスマートフォン120だけが紐づけられた固有のURL(C)へのアクセスを行う(S4)。以後、着信者Bのスマートフォン110と、引継ぎ者Cのスマートフォン120との間で上述した処理が繰り返されて両者間にP2P経路が開設される。
【0044】
具体的には、先ず、着信者Bのスマートフォン110によりWebサーバ140に対するWebソケットが開設される(41)。
【0045】
着信者Bと引継ぎ者Cは、共にIP電話アプリの利用者であり、それぞれのURL(B)およびURL(C)は、事前に相互に交換されている。このため、スマートフォン110には、スマートフォン120のURL(C)が登録されている。そして、スマートフォン110は、上記のWebソケットを開設したら、次に、URL(C)の情報を含むB→C呼び出しをWebサーバ140に送信する(42)。
【0046】
Webサーバ140には、B→C呼び出しに含まれているURL(C)に基づいて、その呼び出しが、スマートフォン120に対する呼び出しであることを認識する。そして、スマートフォン120の呼び出し要求を通知サーバ160に送信する(43)。
【0047】
スマートフォン120は、通知サーバ160から呼び出し信号を受け取る(44)と、IP電話アプリを起動する(45)と共に着信表示を生じさせる(46)。
【0048】
図8は、スマートフォン120に着信表示が生じた後の処理の流れを示す。
図8に示す例では、着信表示を受けて、引継ぎ者Cが通話許諾の操作を実行している(S5)。
【0049】
引継ぎ者Cが通話を許諾すると、スマートフォン120は、Webサーバ140に対して受諾通知を送信する(51)。
【0050】
Webサーバ140は、上記の受諾通知を受信すると、B-C待ち合わせ情報をスマートフォン120に返信する(52)。
【0051】
B-C待ち合わせ情報を受け取ったスマートフォン120は、シグナリングサーバ150に対するWebソケットを開設して(53)、待ち合わせの領域に入室する(54)。
【0052】
Webサーバ140は、引継ぎ者Cからの受諾通知を受け取った際に、着信者Bのスマートフォン110にもB-C待ち合わせ情報を送信する(55)。この送信は、開設済みのWebソケット41を用いて行われる(
図7参照)。
【0053】
B-C待ち合わせ情報を受け取ったスマートフォン110は、スマートフォン120と同様に、シグナリングサーバ150に対するWebソケットを開設して(56)、待ち合わせ領域に入室する(57)。
【0054】
図9は、着信者Bのスマートフォン110と引継ぎ者Cのスマートフォン120が、待ち合わせ領域でお互いの情報を交換している様子を示す。
図9に示すように、ここでは、着信者Bのスマートフォン110から引継ぎ者Cのスマートフォン120に向けて、着信者Bとの通信に必要なSDPを含むオファーが送信される(58)。
【0055】
引継ぎ者Cのスマートフォン120は、上記のオファーを受けて、自身との通信に必要なSDPを含むアンサーをスマートフォン120に返信する(59)。以上の処理により、スマートフォン110および120は、それぞれ互いに相手方との通信に必要な情報を入手することができる。
【0056】
図10は、上記の情報交換が終わった後の状態を示す。
図10に示すように、スマートフォン110および120は、お互いのSDPに基づいて、両者間での通信を可能とするP2P経路を開設する(60)。これにより、着信者Bのスマートフォン110は、発信者Aのスマートフォン100に通じるP2P経路30と、引継ぎ者Cのスマートフォン120に通じるP2P経路60の双方を同時に有する状態となる。
【0057】
図11は、着信者Bが、「Aさんから電話ですよ」といった引き継ぎ依頼を、P2P経路60を介して引継ぎ者Cに音声で伝達し(61)、引継ぎ者Cが「では引き継ぎます」のように引き継ぎ承諾の意思を返答(62)した後の状態を示す。着信者Bは、この場合、スマートフォン110において、発信者Aの通話相手を自身からCさんに切り換える操作を行う(S7)。尚、着信者Bは、切り替え操作に先立って再びAさんと会話することができる。このため、着信者Bは、通話相手をCさんに切り替えることをAさんに伝えてから切り替え操作を行ってもよい。
【0058】
スマートフォン110は、上記の切り替え操作が実施されると、Webサーバ140に、Aさんのスマートフォン100の情報とCさんのスマートフォン120の情報(以下、「AC情報」とする)を提供する(71)。
【0059】
Webサーバ140は、AC情報を受け取ると、その送信元であるスマートフォン110に向けて、A-C待ち合わせ情報を返信する(72)。つまり、Webサーバ140は、特定のスマートフォン(ここでは110)から、そのスマートフォンとは異なる他の二つのスマートフォンの情報(ここではAC情報)を受け取ると、それらの待ち合わせに必要な情報を、情報の送信元であるスマートフォンに返信する。
【0060】
図12は、A-C待ち合わせ情報を受信したスマートフォン110の動作を説明するための図である。スマートフォン110には、この時点で、二つのP2P経路30、60が開通している。このため、スマートフォン110は、それらのP2P経路30、60を介して、A-C待ち合わせ情報を極めて簡単に双方のスマートフォン100、120に受け渡すことができる。
【0061】
具体的には、スマートフォン110は、Webサーバ140から受け取ったA-C待ち合わせ情報を、P2P経路30を介して発信者Aのスマートフォン100に送信し(73)、その後P2P経路30を切断する(74)。また、スマートフォン110は、P2P経路60を介してA-C待ち合わせ情報を引継ぎ者Cのスマートフォン120に受け渡し(75)、その後P2P経路60を切断する(76)。
【0062】
このような引継ぎの手順によれば、Webサーバ140は、発信者Aのスマートフォン100との間、並びに引継ぎ者Cのスマートフォン120との間に、A-C待ち合わせ情報を提供するための接続を新たに開設する必要がない。このため、本実施形態のWEB電話システムによれば、IP電話に引き渡しを、極めて短時間でスムーズに進めることができる。
【0063】
発信者Aのスマートフォン100は、A-C待ち合わせ情報を受け取ると、シグナリングサーバ150にWebソケットを開設して(77)、待ち合わせ領域に入室する(78)。同様に、引継ぎ者Cのスマートフォン120も、A-C待ち合わせ情報を受け取ると、シグナリングサーバ150にWebソケットを開設して(79)、待ち合わせ領域に入室する(80)。
【0064】
図13は、発信者Aのスマートフォン100と引継ぎ者Cのスマートフォン120が、待ち合わせ領域でお互いの情報を交換している様子を示す。ここでは、引継ぎ者Cのスマートフォン120が先に待ち合わせ領域に入室し、次いで発信者Aのスマートフォン100がその領域に遅れて入室してきたものとする。この場合、シグナリングサーバ150は、スマートフォン120が入室済みであることをスマートフォン100に通知する。そして、その通知を受けたスマートフォン100が、引継ぎ者Cのスマートフォン120に向けてオファーを発する(81)。
【0065】
また、オファーを受けたスマートフォン120は、スマートフォン100にアンサーを返信する(82)。オファーとアンサーには、それぞれ送信元の通信情報を含むSDPが含まれている。このため、以上の処理により、スマートフォン100と120との間で、相手方との通信に必要な情報が相互に交換される。
【0066】
図14は、上記の情報交換に続いて、発信者Aのスマートフォン100と、引継ぎ者Cのスマートフォン120との間にP2P経路(83)が開設された様子を示す。以後、両者は、P2P経路83を介して音声による通話を行うことができる。
【0067】
以上説明した通り、本実施形態のWEB電話システムによれば、発信者Aは、自身のスマートフォン100に特別なIP電話アプリをインストールすることなく、特定の相手をIP電話で発呼することができる。必然的に、IP電話アプリの利用者は、自身のURLを周知しておくだけで、特別なIP電話アプリのインストールを相手方に求めることなく、受信電話をIP電話で待ち受けることができる。
【0068】
更に、IP電話アプリの利用者間では、着信したIP電話を、極めて短時間でスムーズに他者に引き渡すことができる。ビジネスの場面では、電話の取り次ぎや引き継ぎが頻繁に求められる。本実施形態のWEB電話システムによれば、その機能を極めて安価に実現することができる。このため、このシステムは、組織的な導入を図ることにより、ビジネス用の電話として極めて有効に用いることができる。
【0069】
また、本実施形態のWEB電話システムでは、Webサーバ140が、URL(B)に結び付けられた端末特定識別子に基づいて着信者Bのスマートフォン110を呼び出すための処理を行う。このため、スマートフォン100のSIMが交換されていても、また、有効なSIMが挿入されていなくても、IP電話の呼び出しが確実に行われる。この点で、本実施形態のWEB電話システムは、機種交換や海外での利用に際して、極めた高い利便性をユーザに提供することができる。
【0070】
[実施の形態1の変形例]
ところで、上述した実施の形態1では、発信者Aは、二次元バーコードをスキャンして着信者のURLを読み取ることとしている。しかしながら、二次元バーコードを用いることは必須ではなく、着信者のURLはブラウザに直接入力してもよい。また、着信者のURLをブラウザに登録しておき、登録データを用いて着信者を呼び出すこととしてもよい。
【0071】
また、上述した実施の形態1では、発信者Aが着信者Bの個人IDを特定するURL(B)に対してIP電話を発呼することとしているが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、発呼先を特定するURLは、個人IDではなくグループIDであってもよい。そして、発呼されたIP電話は、グループに属する複数の着信者の端末を鳴動させ、複数の着信者のだれもがIP電話に応答できる構成であってもよい。このような態様によれば、本開示のWEB電話システムは、会社の代表電話、部署単位に割り当てられた部署代表電話、店舗ごとに割り当てられた店舗代表電話等として有効に使用することができる。
【符号の説明】
【0072】
100 発信者Aのスマートフォン
110 着信者Bのスマートフォン
120 引継ぎ者Cのスマートフォン
130 カード
140 Webサーバ
150 シグナリングサーバ
160 通知サーバ