(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006586
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子部品搭載装置、および電子部品搭載方法
(51)【国際特許分類】
B65B 15/00 20060101AFI20240110BHJP
H05K 13/04 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
B65B15/00
H05K13/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107628
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 知佳
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353PP01
5E353QQ11
5E353QQ30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ノズルに生じた磁気を除去し、電子部品の装着ミスを抑制する。
【解決手段】電子部品搭載装置は、電子部品を吸着するノズル84と、ノズルによって吸着された電子部品を所定位置まで搬送する搬送部と、搬送部によって所定位置まで電子部品が搬送されると、電子部品の吸引をオフするように切り替える吸引切替部と、ノズルの脱磁を実行する脱磁部86と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を吸着するノズルと、
前記ノズルによって吸着された前記電子部品を所定位置まで搬送する搬送部と、
前記搬送部によって前記所定位置まで前記電子部品が搬送されると、前記電子部品の吸引をオフするように切り替える吸引切替部と、
前記ノズルの脱磁を実行する脱磁部と、
を備える、電子部品搭載装置。
【請求項2】
前記脱磁部は、前記電子部品の吸引のオンオフを実行する処理を所定回数実行した後に、前記ノズルの脱磁を実行する、請求項1に記載の電子部品搭載装置。
【請求項3】
前記脱磁部は、前記電子部品の吸引のオンオフを実行する処理を実行する度に、前記ノズルの脱磁を実行する、請求項1に記載の電子部品搭載装置。
【請求項4】
圧空を吐出することによって、前記電子部品の吸引をオフする処理を強制的に実行する圧空吐出部を備える、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品搭載装置。
【請求項5】
前記脱磁部は、前記ノズルの残留磁気を所定の値の10分の1となるように設定する、請求項1に記載の電子部品搭載装置。
【請求項6】
前記ノズルが磁気を帯びているかどうかを判断する磁化判定部を備え、
前記脱磁部は前記磁化判定部の判定結果に応じて、前記ノズルの脱磁を実行する、請求項1に記載の電子部品搭載装置。
【請求項7】
ノズルが電子部品を吸着する第1ステップと、
前記ノズルによって吸着された前記電子部品を所定位置まで搬送する第2ステップと、
前記第2ステップによって前記所定位置まで前記電子部品が搬送されると、前記電子部品の吸引をオフするように切り替える第3ステップと、
前記ノズルの脱磁を実行する第4ステップと、
を実行する、電子部品搭載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を搭載するための装置、および電子部品を搭載する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子部品搭載装置が記載されている。電子部品搭載装置は、部品吸着ノズル(以下、単にノズルと略称する)が電子部品を吸着し、所定位置(所定角度)に到着すると当該電子部品を外す。このことによって、電子部品は、所定の位置に装着される。この電子部品搭載装置は、ノズルに異物が詰まった場合、この異物を除去するための吸引手段を備えている。
【0003】
より具体的には、次の構成を備える。この電子部品搭載装置は、ノズルに対して、真空吸引力を発生させるノズル清掃ユニットを備えている。このノズル清掃ユニットによって、ノズル内の異物を排出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すような電子部品搭載装置においては、ノズル内の異物を排出する機構を備えているのみである。例えば、当該電子部品搭載装置が搬送する電子部品が磁性材料を含む場合やノズルが静電気を帯びてしまう場合、ノズルが磁化してしまう。電子部品は、この磁力によってノズルに不必要に吸着されてしまう。すなわち、ノズルは、当該電子部品を所定の位置で外し難い、または所定の位置に装着することができないことがある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、ノズルに生じた磁気を除去し、電子部品の装着ミスを抑制する電子部品搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の電子部品搭載装置は、電子部品を吸着するノズルと、ノズルによって吸着された電子部品を所定位置まで搬送する搬送部と、搬送部によって所定位置まで電子部品が搬送されると電子部品の吸引をオフするように切り替える吸引切替部と、ノズルの脱磁を実行する脱磁部と、を備える。
【0008】
この構成を備えることで、ノズルは脱磁される。そして、ノズルは所定位置において電子部品を外すことができる。
【発明の効果】
【0009】
したがって、本発明によれば、ノズルに生じた磁気を除去し、電子部品の装着ミスを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置の概要図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置の構造の概要図である。
【
図4】
図4(A)、
図4(B)は、第1の実施形態に係るノズルの構造を示すイメージ図である。
【
図5】
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)、
図5(D)は、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置の処理の流れを示す概要図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置を適用した結果を示すグラフである。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る電子部品搭載装置のブロック図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る電子部品搭載装置のノズルが圧空を吐出するイメージを示す図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係る電子部品搭載装置の概要図である。
【
図11】
図11は、第3の実施形態に係る電子部品搭載装置のブロック図である。
【
図12】
図12は、第3の実施形態に係る電子部品搭載装置が電子部品の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第4の実施形態に係る電子部品搭載装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る電子部品搭載装置、および部品装着方法について、図を参照して説明する。
【0012】
(電子部品搭載装置の構造)
まず、本発明の実施形態に係る電子部品搭載装置の構造について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置の概要図である。
図2は、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置のブロック図である。以下に示す電子部品搭載装置の例は、カム駆動式ピック&プレイス装置である。また、この電子部品搭載装置は、旋回型を例として示す。しかしながら、電子部品搭載装置は旋回型に限らず、直進型であってもよい。
【0013】
電子部品搭載装置は、電子部品をマガジンに装填する装置である。より具体的な例として、電子部品がチップ部品(例えばアルミ電解コンデンサ)であり、このチップ部品をマガジンに装填する。
【0014】
図1、
図2に示すように、電子部品搭載装置1は、制御部10、モータ20、ロータリエンコーダ30、インデックスユニット40、搬送部50、上下駆動部60、吸引切替部70、カム機構部80を備える。なお、それぞれの構造は説明を分かりやすくするため、各構成を拡大し、かつ誇張して表現している。
【0015】
カム機構部80は、主軸81、カム板82、スライダ83、ノズル84を備える。また、カム機構部80は、機能的に脱磁部86、部品吸着部87、部品搭載部88を備える。以下に示す例では、部品吸着部87が電子部品を吸着する部品吸着位置に該当し、部品搭載部88が電子部品をマガジンに搭載する部品搭載位置に該当する。
【0016】
主軸81の略中心を貫通するようにカム板82が取り付けられている。カム板82の外周には、複数のスライダ83が取り付けられている。このスライダ83の先端にはノズル84が取り付けられている。
【0017】
ノズル84は、吸引切替部70によって、電子部品の吸着のオンオフを切り替える機能を有している。より具体的には、吸引切替部70が吸引をオンすることによって、ノズル84は電子部品を吸着する。また、吸引切替部70が吸引をオフすることによって、ノズル84は電子部品の吸着をオフする。ノズル84は、部品吸着部87(部品吸着位置)で電子部品(この場合はアルミ電解コンデンサ)を吸着し、部品搭載部88(部品搭載位置)で電子部品をマガジン等に搭載する。
【0018】
脱磁部86は、カム板82の外周に沿う位置に配置されている。脱磁部86は、スライダ83、およびノズル84と対向する位置に形成されている。脱磁部86は、ノズル84を内部で上下駆動させるための略円筒形状の空間を有している。この空間内をノズル84が上下駆動することによって脱磁が行われる。なお、脱磁部86は、ノズル84が脱磁を実行できる構造であればよく、形状は限定されない。より具体的な構造については後述する。
【0019】
脱磁部86は、配置されたノズル84の残留磁気を取り除く。脱磁部86の脱磁方式は距離減衰方法であることが好ましい。このことから、脱磁部86を小型化することができる。また、脱磁部86の電流方式は、交流方式であることが好ましい。このことから、脱磁部86の脱磁コイルをノズル84に常に近づけておく必要がない。本発明における「脱磁」の定義について詳細は後述する。
【0020】
制御部10は、モータ20に対して制御信号を出力する。モータ20は、この制御信号に応じて回転する。モータ20の回転はインデックスユニット40に伝達される。インデックスユニット40は、搬送部50にこのインデックス信号を出力する。搬送部50は、このインデックス信号を主軸81に出力する。主軸81はインデックス駆動する。より具体的には、モータ20の回転は、プーリ、タイミングベルト(図示を省略)を介して主軸81に伝達される。
【0021】
主軸81の回転は、カム板82に伝達される。なお、カム板82の回転角度は、ロータリエンコーダ30によって検出される。ロータリエンコーダ30は、回転角度を制御部10に出力する。制御部10は、この回転角度をモータ20に出力する。モータ20は、この回転角度に応じた制御信号(この場合は、上下駆動信号および吸引オンオフ信号)を上下駆動部60および吸引切替部70に出力する。
【0022】
このことによって、上下駆動部60は、スライダ83を上下方向に駆動させる。吸引切替部70は、ノズル84が電子部品の吸着オンオフを切り替える動作を制御する。言い換えれば、スライダ83は、脱磁部86の位置で上下方向に駆動する。また、スライダ83は部品吸着部87の位置で下降し、ノズル84は電子部品を吸着する。さらに、スライダ83はカム板82が所定角度を回転すると下降し、ノズル84は部品搭載部88で電子部品を外す。
【0023】
図3、
図4(A)、
図4(B)、
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)、
図5(D)を用いて、電子部品搭載装置1の処理の流れ、および脱磁部86の詳細な処理について説明する。
図3は、電子部品搭載装置1の処理の流れを示すイメージ図である。
図4(A)、
図4(B)は脱磁部86がノズル84の脱磁を実行する処理を模式的に表した図である。
図5(A)、
図5(B)、
図5(C)、
図5(D)は、ノズル84が電子部品を吸着(吸着オン)し、電子部品の吸着を解除(吸着オフ)するまでの流れを模式的に示した図である。
【0024】
図3に示すように、カム板82の外周に複数のノズル84が取り付けられている。脱磁部86、部品吸着部87、部品搭載部88は、回転方向にこの順で位置する。言い換えれば、回転方向に沿って、脱磁位置、部品吸着位置、部品搭載位置は順番に並んで配置されている。
【0025】
図4(A)に示すように、スライダ83は、脱磁位置に到達する。次に、
図4(B)に示すように、スライダ83は上下駆動する。言い換えれば、ノズル84は脱磁部86の内部を上下駆動する。このことによって、ノズル84の残留磁気は除去される。この脱磁部86は、ノズル84が電子部品を吸着する部分(例えば、ノズル84の先端)を収容可能な大きさ、および形状であればよい。
【0026】
そして、脱磁部86は、スライダ83およびノズル84の回転方向(外周に沿って移動する方向)において部品吸着位置、部品搭載位置の直前に配置される。よって、脱磁部86は、部品を吸着する前にノズル84の残留磁気を除去できる。
【0027】
図5(A)に示すように、ロータリエンコーダ30は、カム板82の回転角度を検出する。ロータリエンコーダ30は、この回転角度が所定角度に達したと判断すると、当該結果を制御部10に出力する。
【0028】
制御部10は、ノズル84に電子部品を吸着するよう制御信号を出力する。より具体的には、上下駆動部60は、電子部品を吸着するためにスライダ83を下降させる。この際、吸引切替部70は電子部品を吸着するようにノズル84を負圧の状態(吸引オン)にする。これにより、ノズル84は電子部品を吸着する。
【0029】
図5(B)に示すように、制御部10は、電子部品が所定位置にスライダ83(ノズル84)を移動させるように制御信号を出力する。
【0030】
次に、
図5(C)に示すように、制御部10は、所定位置においてノズル84を上昇させる。
【0031】
図5(D)に示すように、ノズル84は電子部品を外す。この際、吸引切替部70は電子部品を外すようにノズル84を正圧の状態(吸引オフ)にする。このことによって、電子部品は所定位置に配置される。
【0032】
このように構成することで、電子部品のピック&プレイスの操作を繰り返して静電気等によってノズル84が仮に磁気を帯びたとしても、脱磁部86はノズル84の残留磁気を除去することができる。すなわち、
図5(D)の状態において、ノズル84から電子部品を正常に外すことができる。
【0033】
図6は、脱磁部86がノズル84の脱磁を実行する前、および脱磁を実行した後のピック&プレイスのエラーを比較したグラフである。ノズル84が脱磁される前はミス発生率が0.12%程度であったが、ノズル84が脱磁された後はミス発生率が0%に近い状態となった。このことから、ノズル84の脱磁が実行されることによって、ピック&プレイスによるミス発生率を抑制できることがわかる。
【0034】
(脱磁の定義)
ここで、本願における脱磁の定義を行う。上述したとおり、ノズル84には残留磁気が存在する。脱磁部90はノズル84の残留磁気を除去する。脱磁とは、残留磁気が0に近くなることが好ましい。しかしながら、本発明においては、90%程度の残留磁気が除去されていれば脱磁ができていると判定してもよい。機能的に言えば、本願における脱磁とは、対象の電子部品を確実に外せる程度に磁気を低下させることである。
【0035】
(電子部品搭載装置の処理の流れ)
図7は、電子部品搭載装置1の処理の流れを示すフローチャートである。なお、このフローチャートでは、ノズル84が電子部品の吸引オンオフを行い、脱磁を実行するまでの処理の流れを示している。
【0036】
脱磁部86は、ノズル84の脱磁を実行する(S101)。
【0037】
上下駆動部60は、電子部品を吸着するためにスライダ83を下降させる。この際、吸引切替部70は電子部品を吸着するようにノズル84を負圧の状態(吸引オン)にする(S102)。
【0038】
ロータリエンコーダ30は、カム板82が所定角度回転することによって、言い換えれば電子部品を搭載する位置にノズル84が到達することを検知する(S103)。ロータリエンコーダ30は、当該結果を制御部10に出力する。制御部10は、ノズル84を下降させる。
【0039】
制御部10は、電子部品が所定位置に配置されたことを検知し、スライダ83を上昇させるように制御信号を出力する(S104)。制御部10は、当該制御信号を吸引切替部70に出力する。
【0040】
吸引切替部70は、ノズル84に電子部品を外させる(S105)。具体的には、吸引切替部70は電子部品を外すようにノズル84を正圧の状態(吸引オフ)にする。
【0041】
このように構成することで、残留磁気を除去されたノズル84を用いて、電子部品のピック&プレイス操作を実行することが可能となる。すなわち、電子部品搭載装置のピック&プレイス操作におけるミスは抑制される。さらには、操作者はノズルの交換回数を減らすことが可能となる。
【0042】
上述の構成では、脱磁を実行した後にピック&プレイス操作を実行する方法を示した。しかしながら、ピック&プレイス操作を実行された後に脱磁を行ってもよい。言い換えれば、ピック&プレイス操作を実行する段階で脱磁が実行されていればよい。
【0043】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る電子部品搭載装置について、図を参照して説明する。
図8は、第2の実施形態における電子部品搭載装置のブロック図である。
図9は、ノズル84から圧空を吐出する構造を示す概念図である。
【0044】
図8、
図9に示すように、第2の実施形態に係る電子部品搭載装置1Aは、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置1に対して、圧空吐出部75を備えている点において異なる。電子部品搭載装置1Aの他の構成は、電子部品搭載装置1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0045】
圧空吐出部75は、ノズル84に対して圧空を吐出する。より具体的には、第1の実施形態の
図5(D)において、吸引切替部70がノズル84に電子部品を外す際、圧空吐出部75はノズル84に対して圧空を吐出する。より具体的には、
図9に示すように、圧空吐出部75は、ノズル84に対して圧空を出力する。このことによって、ノズル84から電子部品は外れやすくなる。
【0046】
なお、この際の圧空の流量は、4.0L/minから8.5L/minの間で調整することが好ましい。より好ましくは、流量が8.0L/minであれば、電子部品の搭載は安定する。
【0047】
このような構成であっても、残留磁気を除去されたノズル84を用いて、電子部品のピック&プレイス操作を実行することが可能となる。すなわち、電子部品搭載装置のピック&プレイス操作におけるミスは抑制される。さらには、ノズル84から圧空を吐出するので、電子部品は所定の位置でノズル84から外れやすくなる。
【0048】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る電子部品搭載装置について、図を参照して説明する。
図10は、第3の実施形態における電子部品搭載装置の概要図である。
図11は、第3の実施形態に係る電子部品搭載装置のブロック図である。
図12は、第3の実施形態における電子部品搭載装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
図10、
図11に示すように、第3の実施形態に係る電子部品搭載装置1Bは、第1の実施形態に係る電子部品搭載装置1に対して、脱磁部90がカム機構部80に含まれず別体で構成されている点において異なる。電子部品搭載装置1Bの他の構成は、電子部品搭載装置1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。なお、それぞれの構造は説明を分かりやすくするため、各構成を拡大し、かつ誇張して表現している。
【0050】
図10、
図11に示すように、脱磁部90は、カム機構部80とは別体の構造である。作業者は、カム機構部80からノズル84を取り外す。次に、作業者は脱磁部90を用いてノズル84の脱磁を実行し、脱磁を実行した後のノズル84をカム機構部80に取り付ける。
【0051】
この際、作業者は、ノズル84によるピック&プレイス操作が所定回数実行された後、脱磁を実行するとよい。
【0052】
図12を用いて、電子部品搭載装置1Bの処理の流れを説明する。上下駆動部60は、電子部品を吸着するためにスライダ83を下降させる。この際、吸引切替部70は電子部品を吸着するようにノズル84を負圧の状態(吸引オン)にする(S201)。
【0053】
ロータリエンコーダ30は、カム板82が所定角度回転することによって、言い換えれば電子部品を搭載する位置にノズル84が到達することを検知する(S202)。ロータリエンコーダ30は、当該結果を制御部10に出力する。制御部10は、ノズル84を下降させる。
【0054】
制御部10は、電子部品が所定位置に配置されたことを検知し、スライダ83を上昇させるように制御信号を出力する(S203)。制御部10は、当該制御信号を吸引切替部70に出力する。
【0055】
吸引切替部70は、ノズル84に電子部品を外させる(S204)。具体的には、吸引切替部70は電子部品を外すようにノズル84を正圧の状態(吸引オフ)にする。
【0056】
制御部10は、ステップS201からステップS204の処理(以下、ピック&プレイス処理ステップ)が所定回数実行されたかどうかを判定する(S205)。
【0057】
制御部10は、ピック&プレイス処理ステップを実行した回数が所定回数を超えて実行されたと判断した場合(S205:Yes)、作業者はノズル84を取り外し、脱磁を実行する(S206)。
【0058】
なお、制御部10は、ピック&プレイス処理ステップを実行した回数が所定回数を超えていないと判断した場合(S205:No)、電子部品搭載装置1BはステップS201を再度実行する。
【0059】
このような構成であっても、残留磁気を除去されたノズル84を用いて、電子部品のピック&プレイス操作を実行することが可能となる。すなわち、電子部品搭載装置のピック&プレイス操作におけるミスは抑制される。
【0060】
なお、図示を省略しているが、ピック&プレイス処理ステップを実行した回数を表示する表示部を備えている構成であってもよい。操作者は、この表示部を参照することで、脱磁部90を用いた脱磁を実行する目安としてもよい。
【0061】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態に係る電子部品搭載装置について、図を参照して説明する。
図13は、第4の実施形態に係る電子部品搭載装置のブロック図である。
【0062】
図13に示すように、第4の実施形態に係る電子部品搭載装置1Cは、第3の実施形態に係る電子部品搭載装置1Bに対して、磁化判定部95を備えている点において異なる。電子部品搭載装置1Cの他の構成は、電子部品搭載装置1Bと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0063】
磁化判定部95は、ノズル84の残留磁気を計測する。磁化判定部95は、ノズル84の残留磁気が所定量(閾値)よりも多いと判断した場合、その結果を出力する。操作者は、この結果に応じて脱磁部90を用いて脱磁を実行するかどうかを判断するとよい。なお、磁化判定部95は、例えば、第1の実施形態の脱磁部86のように、カム機構部80の外周に沿って配置されているとよい。これにより、ピック&プレイス処理を連続的に行いながら、残留磁気を計測できる。
【0064】
このような構成であっても、残留磁気を除去されたノズル84を用いて、電子部品のピック&プレイス操作を実行することが可能となる。すなわち、電子部品搭載装置のピック&プレイス操作におけるミスは抑制される。さらに、残留磁気が所定量以上残っているかどうかに応じて脱磁を行うことができる。
【0065】
この発明に係る構成と上述した構成との対応関係を以下に記載する。
[付記]
<1>電子部品を吸着するノズルと、
前記ノズルによって吸着された前記電子部品を所定位置まで搬送する搬送部と、
前記搬送部によって前記所定位置まで前記電子部品が搬送されると、前記電子部品の吸引をオフするように切り替える吸引切替部と、
前記ノズルの脱磁を実行する脱磁部と、
を備える、電子部品搭載装置。
【0066】
<2>前記脱磁部は、前記電子部品の吸引のオンオフを実行する処理を所定回数実行した後に、前記ノズルの脱磁を実行する、<1>に記載の電子部品搭載装置。
【0067】
<3>前記脱磁部は、前記電子部品の吸引のオンオフを実行する処理を実行する度に、前記ノズルの脱磁を実行する、<1>に記載の電子部品搭載装置。
【0068】
<4>圧空を吐出することによって、前記電子部品の吸引をオフする処理を強制的に実行する圧空吐出部を備える、<1>乃至<3>のいずれかに記載の電子部品搭載装置。
【0069】
<5>前記脱磁部は、前記ノズルの残留磁気を所定の値の10分の1となるように設定する、<1>に記載の電子部品搭載装置。
【0070】
<6>前記ノズルが磁気を帯びているかどうかを判断する磁化判定部を備え、
前記脱磁部は前記磁化判定部の判定結果に応じて、前記ノズルの脱磁を実行する、<1>に記載の電子部品搭載装置。
【0071】
<7>ノズルが電子部品を吸着する第1ステップと、
前記ノズルによって吸着された前記電子部品を所定位置まで搬送する第2ステップと、
前記第2ステップによって前記所定位置まで前記電子部品が搬送されると、前記電子部品の吸引をオフするように切り替える第3ステップと、
前記ノズルの脱磁を実行する第4ステップと、
を実行する、電子部品搭載方法。
【符号の説明】
【0072】
1、1A、1B、1C…電子部品搭載装置
10…制御部
20…モータ
30…ロータリエンコーダ
40…インデックスユニット
50…搬送部
60…上下駆動部
70…吸引切替部
75…圧空吐出部
80…カム機構部
81…主軸
82…カム板
83…スライダ
84…ノズル
86…脱磁部
87…部品吸着部
88…部品搭載部
90…脱磁部
95…磁化判定部