(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065867
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】組立容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/24 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
B65D5/24 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174940
(22)【出願日】2022-10-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】515312117
【氏名又は名称】小倉 光香子
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小倉 光香子
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA07
3E060AB15
3E060AB18
3E060BA05
3E060BA08
3E060BC04
(57)【要約】
【課題】接着剤などを用いなくても容易に組み立てられる組立容器を提供する。
【解決手段】平面状のシートを折って形成される組立容器であって、略四角形であり底壁を構成する底面部と、前記底面部の各辺に対して折り線部を介して接続し、側壁を構成する4つの側面部と、前記底面部の各頂点に対応して配置され、前記頂点に隣接する2つの前記側面部を接続しており、前記底面部の対角線の延長線に沿って折り畳まれる4つの係合片部と、を有し、4つの前記側面部のうち少なくとも2つには、切り込みが形成されており、4つの前記係合片部は、前記側面部の外側に折り返され、各前記係合片部における先端部分が前記切り込みに挿入され、前記側面部に係合されている組立容器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状のシートを折って形成される組立容器であって、
略四角形であり底壁を構成する底面部と、
前記底面部の各辺に対して折り線部を介して接続し、側壁を構成する4つの側面部と、
前記底面部の各頂点に対応して配置され、前記頂点に隣接する2つの前記側面部を接続しており、前記底面部の対角線の延長線に沿って折り畳まれる4つの係合片部と、を有し、
4つの前記側面部のうち少なくとも2つには、切り込みが形成されており、
4つの前記係合片部は、前記側面部の外側に折り返され、各前記係合片部における先端部分が前記切り込みに挿入され、前記側面部に係合されている組立容器。
【請求項2】
4つの前記側面部は、互いに対向しており前記切り込みが形成されている第1側面部および第2側面部と、前記第1側面部および前記第2側面部とは略垂直方向を向き互いに対向する第3側面部および第4側面部とにより構成され、
4つの前記係合片部のうち2つは前記第1側面部に係合されており、4つの前記係合片部のうち他の2つは前記第2側面部に係合されている請求項1に記載の組立容器。
【請求項3】
前記第1側面部および前記第2側面部における上辺部から前記底面部までの長さL1は、前記第3側面部および前記第4側面部における上辺部から前記底面部までの長さL2より長いことを特徴とする請求項2に記載の組立容器。
【請求項4】
前記切り込みは、前記第1側面部および前記第2側面部において上辺部側の3分の1以内の領域に形成されている請求項2に記載の組立容器。
【請求項5】
前記切り込みは、切り込み中央部と前記底面部との距離が、切り込み両端部と前記底面部との距離に比べて遠い湾曲形状を有する請求項2に記載の組立容器。
【請求項6】
平面状に前記シートを展開した状態において、各前記係合片部のうち前記底面部の中心から最も離れている外縁部離間位置から前記底面部の中心までの長さL3は、前記第3側面部および前記第4側面部において前記底面部の中心から最も離れている上辺部離間位置から前記底面部の中心までの長さL4より長いことを特徴とする請求項2に記載の組立容器。
【請求項7】
それぞれの前記係合片部の外縁部には、前記係合片部を通る前記延長線に対して略対称に配置される少なくとも一対の外縁切り込みまたは外縁切り欠きが形成されており、
平面状に前記シートを展開した状態において、前記外縁切り込みまたは前記外縁切り欠きのうち前記底面部の中心に最も近い最深部分から前記底面部の中心までの長さL5は、前記係合片部と前記係合片部が接続する前記側面部との接続辺部の外端部から前記底面部の中心までの長さL6より短い、請求項1に記載の組立容器。
【請求項8】
平面状のシートを折って形成される組立容器であって、
略四角形であり底壁を構成する底面部と、
前記底面部の各辺に対して折り線部を介して接続し、側壁を構成する4つの側面部と、
前記底面部の各頂点に対応して配置され、前記頂点に隣接する2つの前記側面部を接続しており、前記底面部の対角線の延長線に沿って折り畳まれる4つの係合片部と、を有し、
4つの前記側面部のうち少なくとも2つには、前記側面部の上辺部から延びる側面接合片が備えられ、
4つの前記係合片部は前記側面部の外側に折り返され、前記側面接合片が前記係合片部に係合し、前記係合片部が前記側面部の外側に係合されている組立容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状のシートを折って組み立てられる組立容器に関する。
【背景技術】
【0002】
アウトドアやインドアにおいて、小物入れや食器、飲み物の容器などとして、多様な用途に、紙製などの組立容器が用いられている。従来の組立容器は、立体成型容器などに比べて、比較的安価に製造することが可能である。
【0003】
従来の組立容器としては、たとえば平面状の紙を所定の形に折り、折った部分の所定箇所を、接着剤や樹脂溶着などにより接合し、容器の形に組み立てるものが多用されている。しかしながら、このような従来の組立容器は、接着剤や溶着のための加熱装置などを準備しておく必要があるため組み立てに手間がかかる問題がある。また、容器に食品を入れる場合には、接着剤や溶着樹脂の一部が食品に付着する恐れがあり、衛生面での課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3608647号明細書
【特許文献2】特許第6967262号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、接着剤などを用いなくても容易に組み立てられる組立容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る組立容器は、平面状のシートを折って形成される組立容器であって、
略四角形であり底壁を構成する底面部と、
前記底面部の各辺に対して折り線部を介して接続し、側壁を構成する4つの側面部と、
前記底面部の各頂点に対応して配置され、前記頂点に隣接する2つの前記側面部を接続しており、前記底面部の対角線の延長線に沿って折り畳まれる4つの係合片部と、を有し、
4つの前記側面部のうち少なくとも2つには、切り込みが形成されており、
4つの前記係合片部は、前記側面部の外側に折り返され、各前記係合片部における先端部分が前記切り込みに挿入され、前記側面部に係合されている。
【0007】
本発明に係る組立容器は、側面部を接続する係合片部の先端部分が、側面部に形成される切込みに挿入されて、側面部に係合されている。これにより、本発明に係る組立容器は、接着剤などを用いなくても、平面上のシートを所定の方法で折るだけで作製でき、かつ、しっかりと箱型の形状が維持される。また、組み立てに接着剤等を用いなくてもよいため、衛生面に関しても良好な安全性を有する。
【0008】
また、たとえば、4つの前記側面部は、互いに対向しており前記切り込みが形成されている第1側面部および第2側面部と、前記第1側面部および前記第2側面部とは略垂直方向を向き互いに対向する第3側面部および第4側面部とにより構成されていてもよく、
4つの前記係合片部のうち2つは前記第1側面部に係合されており、4つの前記係合片部のうち他の2つは前記第2側面部に係合されていてもよい。
【0009】
このような組立容器では、第3側面部と第4側面部の2つの側面部には、いずれの係合片部も係合せず、切り込みも形成する必要がない。したがって、このような組立容器は、たとえば液体を入れるためのコップ等として使用する場合も、第3側面または第4側面を飲み口や注ぎ口として使用することにより、係合片部などが使用時において邪魔になることを避け、好適に使用できる。
【0010】
また、たとえば、前記第1側面部および前記第2側面部における上辺部から前記底面部までの長さL1は、前記第3側面部および前記第4側面部における上辺部から前記底面部までの長さL2より長くてもよい。
【0011】
このような組立容器は、切り込みが形成される第1側面部および第2側面部の長さが長いため、切り込みの周辺部分の強度を適切に確保することができる。そのため、このような組立容器は、切り込みが係合片部を適切に保持し、良好な強度と耐久性を有する。
【0012】
また、たとえば、前記切り込みは、前記第1側面部および前記第2側面部において上辺部側の3分の1以内の領域に形成されていてもよい。
【0013】
このような組立容器は、切り込みが容器の上端側に形成されていることにより、たとえば液体等を容器に注いだ場合に、少なくとも注がれる液体の液面が容器の深さの3分の2未満までは、切り込みを介して容器から液体が漏れ出る問題を防止することができる。
【0014】
また、たとえば、前記切り込みは、切り込み中央部と前記底面部との距離が、切り込み両端部と前記底面部との距離に比べて遠い湾曲形状を有してもよい。
【0015】
このような切り込み形状とすることにより、切り込みに挿入される2つの係合片部の先端部が、いずれも切り込みに対して、より深く挿入されるため、このような組立容器は、切り込みが係合片部を適切に保持し、良好な強度と耐久性を有する。
【0016】
また、たとえば、平面状に前記シートを展開した状態において、各前記係合片部のうち前記底面部の中心から最も離れている外縁部離間位置から前記底面部の中心までの長さL3は、前記第3側面部および前記第4側面部において前記底面部の中心から最も離れている上辺部離間位置から前記底面部の中心までの長さL4より長くてもよい。
【0017】
このような組立容器は、係合片部の長さが長いため、係合片部の先端部分を切り込みに深く挿入することが可能であり、切り込みが係合片部を適切に保持し、良好な強度と耐久性を有する。
【0018】
また、たとえば、それぞれの前記係合片部の外縁部には、前記係合片部を通る前記延長線に対して略対称に配置される少なくとも一対の外縁切り込みまたは外縁切り欠きが形成されていてもよく、
平面状に前記シートを展開した状態において、前記外縁切り込みまたは前記外縁切り欠きのうち前記底面部の中心に最も近い最深部分から前記底面部の中心までの長さL5は、前記係合片部と前記係合片部が接続する前記側面部との接続辺部の外端部から前記底面部の中心までの長さL6より短くてもよい。
【0019】
このような組立容器では、係合片部の外縁部に形成される外縁切り込みまたは外縁切り欠きが、側面部の切り込みに対して係合することができるため、係合片部が側面部に対して強固に固定される。したがって、このような組立容器は、接着剤等を使用しなくても、非常に良好な強度と耐久性を奏する。
【0020】
本発明の第2の観点に係る組立容器は、平面状のシートを折って形成される組立容器であって、
略四角形であり底壁を構成する底面部と、
前記底面部の各辺に対して折り線部を介して接続し、側壁を構成する4つの側面部と、
前記底面部の各頂点に対応して配置され、前記頂点に隣接する2つの前記側面部を接続しており、前記底面部の対角線の延長線に沿って折り畳まれる4つの係合片部と、を有し、
4つの前記側面部のうち少なくとも2つには、前記側面部の上辺部から延びる側面接合片が備えられ、
4つの前記係合片部は前記側面部の外側に折り返され、前記側面接合片が前記係合片部に係合し、前記係合片部が前記側面部の外側に係合されている。
【0021】
このような組立容器は、側面部の上辺部から延びる側面接合片が、係合片部に対して係合することにより、係合片部が側面の外側に係合され、接着剤などを用いなくても、平面上のシートを所定の方法で折るだけで作製でき、かつ、しっかりと箱型の形状が維持される。また、容器の側面部に対して切り込み等を形成しなくてもよいため、たとえば液体等を容器に注いだ場合において、側面部から液体が漏れ出る問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る組立容器の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す組立容器の展開図に、折り方を示す折り線を追加した概念図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す組立容器の折り方を示す第1の概念図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す組立容器の折り方を示す第2の概念図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す組立容器の折り畳み状態における形状を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係る組立容器を表す斜視図である。
【
図9】
図9は、第1変形例に係る組立容器の展開図である。
【
図10】
図10は、第2変形例に係る組立容器の展開図および斜視図である。
【
図11】
図11は、第3変形例に係る組立容器の斜視図である。
【
図12】
図12は、第4および第5変形例に係る組立容器の展開図である。
【
図13】
図13は、第4および第5変形例に係る組立容器の斜視図である。
【
図14】
図14は、第6変形例に係る組立容器の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る組立容器10を示す斜視図である。組立容器10は、
図2に示すような平面状のシートを折って形成される。組立容器10を構成するシートは、折ることができる薄い平面体であれば特に限定されないが、たとえば、植物繊維その他の繊維を膠着させた紙や、プラスチック製その他のシートなどが挙げられる。また、組立容器10を構成するシートが平面状の紙であり、組立容器10が紙製容器であることが、作り易さやサステナビリティの観点で好ましく、この場合、シートを構成する紙として厚手または耐水性の紙を使用することにより、紙製容器としての組立容器10の強度が向上する。また、紙製容器としての組立容器10を構成する紙に使用される繊維は、化学繊維や無機繊維であってもよいが、植物性天然繊維を用いることが、良好な生分解性を奏し、環境に優しいため好ましい。
【0024】
図1に示すように、組立容器10は、天面が開口しており底面部20および側面部30の各面が略四角形である箱型形状を有する。
図2は、
図1に示す組立容器10の展開図である。
図2に示すように、底面部20は、組立容器10を展開した状態において略中央に位置する。底面部20は、略四角形であり、
図1に示す組立容器10の底壁を構成する。
【0025】
図1に示すように、4つの側面部30は、第1側面部31と、第2側面部32と、第3側面部33と、第4側面部34とからなり、組立容器10の側壁を構成する。
図2に示すように、第1側面部31、第2側面部32、第3側面部33および第4側面部34は、底面部20の各辺21に対して折り線部21aを介して接続されている。
【0026】
図3は、
図2に示す組立容器10の展開図に、折り方を示す折り線を追加した概念図である。
図3において、一点鎖線は山折りされる部分を示しており、破線は谷折りされる部分を示している。なお、
図2および
図3は、紙面上面が、
図1に示す組立容器10の状態になったときに表面となる側を示している。
【0027】
図3に示すように、第1側面部31、第2側面部32、第3側面部33および第4側面部と底面部20の各辺21との接続部分に形成される折り線部21aは、山折り線である。
【0028】
図1~
図3に示すように、組立容器10の4つの側面部31~34は、互いに対向しており切り込み31a、32aが形成されている第1側面部31および第2側面部32と、第1側面部31および第2側面部32とは略垂直方向を向き互いに対向する第3側面部33および第4側面部34とにより構成される。このように、組立容器10では、4つの側面部31~34のうち少なくとも2つである第1側面部31および第2側面部32に切り込み31a、32aが形成されており、残りの第3側面部33および第4側面部34には切り込みが形成されていない。ただし、組立容器10とは異なり、4つの側面部である第1~第4側面部のすべてに切り込みが形成されていてもよい(
図7および
図8参照)。
【0029】
図1に示すように、組立容器10の切り込み31aは、第1側面部31の中にある所定の2点間を結ぶように、第1側面部31に形成された切断線で構成される。また、切り込み32aについても、第2側面部32の中にある所定の2点間を結ぶように、第2側面部32に形成された切断線で構成される。
図2に示すように、切り込み31a、32aの両端には小さい孔が形成されていてもよい。このような孔が形成されていることにより、組立容器10では、後述する組み立て時等において、切り込み31a、32aの両端における狭い領域に力が集中し、切り込み31a、32aの両端部が裂けてしまう問題を防止できる。
【0030】
図1に示すように、切り込み31a、32aには、係合片部40の先端部分が挿入される。4つの係合片部40は、切り込み部31a、32aに係合した状態で、第1側面部31および第2側面部32保持されることにより、
図1に示すような箱型の形状を保つことができる。切り込み31a、32aの詳細形状については、後ほど詳述する。
【0031】
図2に示すように、4つの係合片部40は、第1係合片部41と、第2係合片部42と、第3係合片部43と、第4係合片部44とからなる。係合片部41~44は、底面部20の各頂点22に対応して配置され、頂点22に隣接する2つの側面部31~34を接続している。すなわち、第1係合片部41は、第1側面部31と第3側面部33とを接続しており、第2係合片部42は、第2側面部32と第3側面部33とを接続している。また、第3係合片部43は、第2側面部32と第4側面部34とを接続しており、第4係合片部44は、第1側面部31と第4側面部34とを接続している。
【0032】
図2および
図1に示すように、組立容器10において、第1~第4係合片部41~44は、底面部20の対角線23の延長線41b、42b、43b、44bに沿って折り畳まれる。各延長線41b、42b、43b、44bは、対応する第1~第4係合片部41~44の中央を通っているため、第1~第4係合片部41~44は、延長線41b、42b、43b、44bに沿って二つ折りに折り畳まれる。
【0033】
図1に示すように、二つ折りにされた4つの係合片部41、42、43、44は、切り込み31a、32aが形成されている第1側面部31または第2側面部32の外側に折り返される。すなわち、第1係合片部41および第4係合片部44は、第1側面部31の外側に折り返され、第2係合片部42および第3係合片部43は、第2側面部32の外側に折り返される。
【0034】
さらに、第1側面部31の外側に折り返された第1係合片部41および第4係合片部44の先端部分41a、44aが、第1側面部31に形成してある切り込み31aに挿入され、第1側面部31に係合される。同様に、第2側面部32の外側に折り返された第2係合片部42および第3係合片部43の先端部分42a、43aが、第2側面部32に形成してある切り込み32aに挿入され、第2側面部32に係合される。このようにして、
図1に示す組立容器10は、
図2に示すような平面状のシートの状態から折り畳まれて形成される。なお、組立容器10の折り畳み方については、後ほど詳述する。
【0035】
図1~
図2に示すように、第1側面部31および第2側面部32に形成される切り込み31a、32aは、第1側面部31および第2側面部32において、高さ方向に関して上辺部31b、32b側の3分の1以内の領域R1(
図3においてグレーで表示)に形成されることが好ましい。切り込み31a、32aを上辺部31b、32bの近くに配置することにより、液体を入れる容器として組立容器10を使用するような場合において、収容した液体が切り込み31a、32aに接触しにくくなる。
【0036】
図2に示すように、切り込み31a、32aが形成されている第1側面部31および第2側面部32における上辺部31b、32bから底面部20までの長さL1は、切り込み31a、32aが形成されていない第3側面部33および第4側面部34における上辺部33b、34bから底面部20までの長さL2より長い。第1側面部31および第2側面部32の高さが、第3側面部33および第4側面部34より高い組立容器10では、切り込み31a、32aを、より底面部20から離れた位置に形成することが可能となる。そのため、組立容器10は、液体を入れる容器として使用するような場合において、切り込み31a、32aに対して、収容した液体が接触しにくくなり、切り込み31a、32aから収容物が漏れ出る問題を防止できる。また、このような組立容器10では、切り込み31a、32aを底面部20から離れた位置に形成しても、切り込み31a、32aから上辺部31b、32bまでの幅を適切に確保し、組立容器10の強度を高めることができる。
【0037】
なお、
図2に示す組立容器10のように、第1および第2側面部31、32の上辺部31b、32bが、その第1および第2側面部31、32が接続する底面部20の辺21に対して平行でない場合は、上辺部31b、32bから底面部20までの長さL1は、全体の平均値で考えればよい。長さL2についても同様である。
【0038】
また、
図1に示す組立容器10では、4つの係合片部41、42、43、44のうち2つである第1係合片部41および第4係合片部44が第1側面部31に係合されており、4つの係合片部41、42、43、44のうち他の2つである第2係合片部42および第3係合片部43は、第2側面部32に係合されている。そのため、組立容器10では、上述したように、第1側面部31および第2側面部32に関する長さL1と、第3側面部33および第4側面部34に関する長さL2とを異なる長さとしている。しかし、組立容器としてはこのような形状のみには限定されず、長さL1と長さL2とが同じであってもよい(たとえば、
図7に示す組立容器110等参照)。
【0039】
図2に示すように、組立容器10を構成するシートを平面状に展開した状態において、4つの係合片部41、42、43、44は、底面部20の対角線23方向に配置されているのに対して、4つの側面部31、32、33、34は、底面部20の各辺21に接続している。
図2に示すように、第1係合片部41のうち底面部20の中心24から最も離れている外縁部離間位置41caから、底面部20の中心24までの長さL3は、第3側面部33および第4側面部34において底面部20の中心24から最も離れている上辺部離間位置33cから、底面部20の中心24までの長さL4より長いことが好ましい。第1係合片部41以外の第2~第4係合片部42~44についても同様である。
【0040】
長さL3および長さL4がこのような関係にある組立容器10では、延長線41b~44bで2つ折りにされた係合片部41~44の先端部分41a~44aを、
図1に示すように切り込み31a、32aに対して深く挿入することができる。したがって、組立容器10は、たとえば収容物の重さなどによって組立容器10に撓みが生じたような場合にでも、係合片部41~44と切り込み31a、32aとの係合が予期せず解除される問題を防止することができる。
【0041】
図2に示すように、ぞれぞれの第1および第2係合片部41、42の外縁部41c、42cには、第1および第2係合片部41、42を通る延長線41b、42bに対して略対称に配置される少なくとも一対の外縁切り欠き41d、42dが形成されている。一対の外縁切り欠き41d、42dは、延長線41b、42bに対して略対称に配置されることにより、
図1に示すように係合片部41、42を延長線41b、42bに沿って二つ折りにした状態において、互いに重なる。
【0042】
また、
図2に示すように、組立容器10を構成するシートを平面状に展開した状態において、第1係合片部41に形成される外縁切り欠き41dのうち底面部20の中心24に最も近い最深部分41daから底面部20の中心24までの長さL5は、第1係合片部41と第1係合片部41が接続する第1側面部31との接続辺部51aの外端部51aaから底面部20の中心24までの長さL6より短い。このような関係は、第2係合片部42に形成される外縁切り欠き42dについても同様である。また、第4係合片部44は第1係合片部41と対称な形状を有しており、第3係合片部43は、第2係合片部42と対称な形状を有している。
【0043】
このような外縁切り欠き41d、42dが各係合片部41~44に形成されていることにより、係合片部41~44の先端部分41a~44aを、
図1に示すように切り込み31a、32aに対して深く挿入することができる。また、外縁切り欠き41d、42dが形成されていることにより、係合片部41~44と切り込み31a、32aとの係合がより強くなるため、係合片部41~44と切り込み31a、32aとの係合が予期せず解除される問題を防止することができる。
【0044】
さらに、
図2に示すように、組立容器10において、第1側面部31に形成される切り込み31aは、切り込み中央部31aaと底面部20との距離が、切り込み両端部31abと底面部20との距離に比べて遠い湾曲形状を有する。第2側面部32に形成される切り込み32aについても同様である。切り込み31a、32aがこのような湾曲形状を有することにより、組立容器10では、係合片部41~44のより多くの領域を、切り込み31a、32aより上方に挿入した状態とすることができる。また、切り込み両端部31abと、係合片部41~44との距離を、適度に近づけることができる。したがって、このような組立容器10では、係合片部41~44と切り込み31a、32aとの係合がより確実になり、係合片部41~44と切り込み31a、32aとの係合が予期せず解除される問題を、より効果的に防止することができる。
【0045】
図3~
図5を用いて、組立容器10の作製方法を説明する。組立容器10の作製方法では、まず、
図2に示すような形状を有する平面状のシートを準備する。切り込み31a、32aは、シートを折る始める前に、所定の位置に形成されていることが好ましいが、シートを折り始めた後に形成することも可能である。また、シートの表面または裏面には、底面部20、側面部31~34および係合片部41~44の境界が、印刷線または型押し溝などで示されていてもよい。ただし、シートの表面には、境界線以外の模様、柄、絵、写真などが表示されていてもよく、また、シートの表面は無地であってもよい。
【0046】
また、
図3に示すように、組立容器10の原材料となるシートの表面には、底面部20、側面部31~34および係合片部41~44の境界が、山折り線または谷折り線を区別して表示されていてもよい。
【0047】
次に、
図2および
図3に示すようなシートを所定の形状に折る。より具体的には、
図3において一点鎖線で示すように、底面部20の各辺21と、第3側面部33および第4側面部34の両側の接続辺部51bと、係合片部41~44の中央を通る延長線41b~44bを山折りにする。また、
図3において破線で示すように、第1側面部31および第2側面部32の両側の接続辺部51aを、谷折りにする。なお、底面部20の対角線23は、延長線41b~43を山折りにする際に一緒に山折りにされてもよいが、
図1に示す組立容器10の状態では、対角線23の山折りは元に戻され、底面部20は平面状になる。
【0048】
図4は、
図1に示す組立容器10の折り方を示す第1の概念図である。
図4は、
図2および
図3に示す平面状のシートの状態から、
図1に示す組立容器10になるまでの中間の状態を示している。
図3と
図4との比較から理解できるように、底面部20の各辺21を山折りすることにより、第1~第4側面部31~34が底面部20に対して上方に立ち上がる。また、係合片部41~44を、延長線41b~44bで二つ折りにする。さらに、
図5において矢印61で示すように、二つ折りにした第1係合片部41および第4係合片部44を、第1側面部31の外側に折り返し、矢印62で示すように、二つ折りにした第2係合片部42および第3係合片部43を、第2側面部32の外側に折り返す。
【0049】
最後に、第1係合片部41および第4係合片部44の先端部分41a、44aを、第1側面部31の切り込み31aに対して外側から内側へ挿入し、第2係合片部42および第3係合片部43の先端部分42a、43aを、第2側面部32の切り込み32aに対して外側から内側へ挿入することにより、
図1に示す組立容器10を得る。
【0050】
図5は、
図1に示す組立容器10の折り方を示す第2の概念図である。
図5に示すように、組立容器10では、隣接する2つの側面部31~34を接続する係合片部41~44が、第1側面部31の切り込み31aまたは第2側面部32の切り込み32aに挿入されて係合される。
図5では、第1係合片部41が第1側面部31の切り込み31aに係合している状態と、第2係合片部42および第3係合片部43とが第2側面部32の切り込み32aに係合している状態とが、仮想線(2点鎖線)で示されている。
【0051】
このような組立容器10は、接着剤を使わなくても、また、熱溶着等を行わなくても、
図2に示す平面状のシートの状態から、
図1に示す箱型の形状に、容易に組み立てることができる。また、組立容器10では、第3側面部33と第4側面部34には切り込みが形成されておらず、コップ等として使用される場合において、第3側面部33や第4側面部34を飲み口として好適に使用できる。また、組立容器10は、接着剤等を使用していないにも関わらず、係合片部41~44が切り込み31a、32aに挿入され、係合片部41~44が、第1側面部31または第2側面部32に対して確実に固定される。したがって、組立容器10は、様々な用途に耐えられる良好な強度を奏する。
【0052】
また、組立容器10は、必要な時に、
図2に示すような平面状のシートの状態から容易に作製することができるため、持ち運びが便利であり、また、コンパクトに収納して繰り返し使用することも可能である。
図6は、
図1に示す組立容器10を、平たく折り畳んだ状態を示している。組立容器10は、底面部20と、2つの対向する第3側面部33および第4側面部34とが、折り重ねられていない1重の壁で構成されているため、係合片部41~44と切り込み31a、32aとの係合を解除しなくても、
図6に示すように、容易にコンパクトに折り畳むことができる。このような観点でも、組立容器10は、キャンプや野外バーベキューなどのアウトドアを含む多様な場面で、コンパクトで便利な容器として使用することができる。
【0053】
第2実施形態
図7は、本発明の第2実施形態に係る組立容器110の斜視図であり、
図8は組立容器110の展開図である。
図7および
図8に示す組立容器110は、第1~第4側面部131~134のすべてに切り込み131a~134aが形成されており、1つの切り込み131a~134aに対して、1つの第1~第4係合片部141~144が挿入される点で、
図1および
図2に示す組立容器10とは異なる。ただし、組立容器110は、底面部20の構造等については、第1実施形態に係る組立容器10と同様である。組立容器110の説明は、組立容器10との相違点を中心に行い、組立容器10との共通点については、説明を省略する。
【0054】
図7および
図8に示す組立容器110は、
図1および
図2に示す組立容器10と同様に、略四角形であり容器の底壁を構成する底面部20と、底面部20の各辺21に接続し側壁を構成する4つの側面部130と、隣接する2つの側面部を接続する4つの係合片部140を有する。4つの側面部130は、第1側面部131、第2側面部132、第3側面部133および第4側面部134からなり、4つの係合片部140は、第1係合片部141、第2係合片部142、第3係合片部143および第4係合片部144からなる。
【0055】
図8に示すように、第1側面部131に切り込み131aが形成されており、第2側面部132には切り込み132aが形成されており、第3側面部133には切り込み133aが形成されており、第4側面部134には切り込み134aが形成されている。すなわち、4つの側面部131~134のそれぞれに、1か所ずつ切り込み131a~134aが形成されている。
【0056】
図8に示すように、第1係合片部141は、底面部20の頂点22の1つに接続し、かつ、その頂点22に隣接する第1側面部131と第3側面部133とを接続している。第1係合片部141は、底面部20の対角線23の延長線141bに沿って折り畳まれ、さらに、
図8において右回転方向に隣接する第1側面部131の外側に折り返される。また、第1係合片部141における先端部分141aが第1側面部131の切り込み131aに挿入され、
図7に示すように、第1係合片部141が第1側面部131に係合されている。
【0057】
図8に示す第2係合片部142、第3係合片部143および第4係合片部144についても、第1係合片部141と同様に延長線142b、143b、144bで二つ折りにされ、
図8において右回転方向に隣接する第3側面部133、第2側面部132、第4側面部134に係合される。すなわち、第2係合片部142の先端部分142aは、第3側面部133の切り込み133aに挿入され、第3係合片部143の先端部分143aは第2側面部132の切り込み132aに挿入され、第4係合片部144の先端部分144aは第4側面部134の切り込み134aに挿入される。
【0058】
図8に示すように、第1係合片部141の外縁部141cには、延長線141bに対して略対称に配置される一対の外縁切り欠き(または外縁切り込み)141dが形成されている。第1係合片部141の外縁部141cに外縁切り欠き141dが形成されていることにより、
図7に示すように、第1係合片部141と切り込み131aとの係合が意図せず外れる問題を好適に防止することができる。第2~第4係合片部142~144の外縁部142c~144cにも、第1係合片部141と同様の外縁切り欠き142d~144dが形成されている。
【0059】
図7に示す組立容器110は、各側面部131~134が、互いに回転対称であるため、組立容器110の部分的な強度に関して偏りが少なく、強度や耐久性において優れている。そのほか、組立容器110は、組立容器10との共通点については、組立容器10と同様の効果を奏する。
【0060】
なお、
図1~
図8に示す組立容器10、110は例示にすぎず、本発明の技術的範囲には、他の多くの実施形態や変形例などが含まれることは言うまでもない。たとえば、
図1および
図7に示すように、組立容器10、110の側面部30、130は若干外側に傾斜しており、底面部20に対して容器上方の開口の面積が広くなる形状を有している。ただし、このような組立容器10、110の形状は、例えば
図2に示す接続辺部51a、51bの角度を調整することにより変更可能であり、側面部30、130がより外側に傾斜する形状としてもよく、側面部30、130が底面部20に対して完全に垂直な形状としてもよい。
【0061】
また、組立容器110の各側面部131~134には、複数の切り込みが形成されていてもよく、側面部130の傾斜角度に応じて、各側面部131~134を挿入する切り込みを選択可能であってもよい。
【0062】
図9は、
図1および
図2に示す組立容器10の第1変形例に係る組立容器210の展開図である。組立容器210は、係合片部241~244の外縁部に外縁切り込み241d~244dが形成されている点で、外縁部41c~42cに外縁切り欠き41d~42dが形成されている組立容器10とは異なるが、その他の点では
図2に示す組立容器10と同様である。組立容器210の説明では、組立容器10との相違点のみを説明し、組立容器10との共通点については、説明を省略する。
【0063】
図9に示す組立容器210は、係合片部241~244の外縁部に外縁切り込み241d~244dが形成されているため、係合片部241~244の切り込み31a、32aに対する係合強度を高めることができる。したがって、このような組立容器では、たとえ係合片部241~244の切り込み31a、32aに対する挿入深さが浅い場合であっても、係合片部241~244と切り込み31a、32aとの係合が意図せず解除される問題を防止できる。
【0064】
その他、第1変形例に係る組立容器210は、組立容器10との共通点については、組立容器10と同様の効果を奏する。
【0065】
図10(a)は、第2変形例に係る組立容器310の展開図であり、
図10(b)は組立容器310の斜視図である。組立容器310は、表面に絵柄が印刷されている点と、第1係合片部341および第3係合片部343に取っ手部341e、343eが形成されている点などが、第1実施形態に係る組立容器10とは異なる。組立容器310の説明では、組立容器10との相違点のみを説明し、組立容器10との共通点については、説明を省略する。
【0066】
図10に示すように、組立容器310の表面には絵柄や模様が印刷されていてもよい。組立容器310の絵柄や模様は、容器の外観を変化させて価値を付加するとともに、シートの状態から組立容器310を作製する際の目印にもなる。
【0067】
図10(a)に示すように、組立容器310の第1係合片部341および第3係合片部343の先端部分には取っ手部341e、343eが形成されている。取っ手部341e、343eは、延長線41b、43bを基準として対称に形成されているため、組み立て状態において重なり二重構造となるため、強度を高めることができる。
図10(b)に示すように、組立容器310の組み立て状態では、第1係合片部341および第3係合片部343は、第1および第2側面部31、32に形成される切り込み31a、32aを挿通しており、先端部に形成された取っ手部341e、343eが、組立容器310の上方に延びている。
【0068】
図10(a)に示すように、組立容器310の第2係合片部342および第4係合片部344では、
図2に示す組立容器10とは異なり、外縁切り込み342d、344dが形成されている。これに対して、組立容器310の第1係合片部341および第3係合片部343では、
図2に示す組立容器10と同様に、外縁切り欠き341d、343dが形成されている。
【0069】
第2係合片部342および第4係合片部344は、取っ手部が形成されておらず、切り込み31a、32aに対する先端部の挿入深さが浅いため、外縁切り込み342d、344dを形成して切り込み31a、32aに対する係合強度を高めることができる。一方、第1係合片部341および第3係合片部343には取っ手部341e、343eが形成されており、切り込み31a、32aに対する先端部の挿入深さが深いため、外縁切り欠き341d、343dを形成し、取っ手部341e、343eの適度な動きを許容する。
【0070】
組立容器310は、第1係合片部341および第3係合片部343の先端部分に取っ手部341e、343eが形成されていることにより、持ち運びが便利であり、かつ、第1および第3係合片部341、343と第1および第2側面部31、32との係合が予期せず解除される問題を防止できる。その他、第2変形例に係る組立容器310は、組立容器10との共通点については、組立容器10と同様の効果を奏する。
【0071】
図11は、本発明の第3変形例に係る組立容器410の斜視図である。
図11に示す組立容器410は、4つの係合片部440に対して、側面部430の上辺部430bから延びる側面接合片430が係合する点で、
図7および
図8に示す組立容器110とは異なる。ただし、組立容器410は、底面部20の構造等については、第2実施形態に係る組立容器110と同様である。組立容器410の説明は、組立容器110との相違点を中心に行い、組立容器110との共通点については、説明を省略する。
【0072】
図11に示すように、組立容器410は、
図7および
図8に示す組立容器110と同様に、略四角形の底面部に接続する4つの側面部430と、隣接する2つの側面部を接続する4つの係合片部440を有する。4つの係合片部440は、二つ折りにされて、右回転方向に隣接する側面部430の外側に折り返されている。
【0073】
4つの側面部430のうち少なくとも2つ(実施形態では4つ全て)には、側面部430の上辺部430bから延びる側面係合片430fが備えられる。組立容器410では、側面係合片430fが係合片部440に係合することにより、係合片部440が側面部430の外側に係合されている。より具体的には、側面係合片430fが、係合片部440に形成される係合片切り込み440fに挿入されていることで、係合片部440が側面部430の外側に固定されている。
【0074】
図11に示す組立容器410は、
図7および
図8に示す組立容器110と同様に、接着剤等を使わなくても、平面状のシートの状態から、
図11に示す箱型の形状に、容易に組み立てることができる。組立容器410は、係合片部440の固定に関しては組立容器110に比べて弱い傾向があるものの、側面部430に切り込みを形成しないでよいため、液体を含むものを収容した場合にも、側面部の一部から内容物が漏れる問題を防止することができる。
【0075】
なお、組立容器410としては、
図7および
図8に示す組立容器110と同様に、1つの側面部430に1つの係合片部440を固定する
図11に示す形態のみには限定されず。
図1および
図2に示す組立容器10と同様に、一対の対向する側面部に、それぞれ係合片部を2つずつ固定する態様を採用することも可能である。その他、組立容器410は、組立容器110との共通点については、組立容器110と同様の効果を奏する。
【0076】
図12(a)は、第4変形例に係る組立容器510の展開図であり、
図12(b)は、第5変形例に係る組立容器610の展開図である。組立容器510、610は、表面に絵柄が印刷されている点と、蓋部571、572、671を有する点などが、第1実施形態に係る組立容器10とは異なるが、その他の点では、組立容器10と同様である。組立容器510、610の説明では、組立容器10との相違点のみを説明し、組立容器10との共通点については、説明を省略する。
【0077】
図12(a)に示すように、組立容器510は、第3側面部33の上辺部33bに接続する蓋部571と、第4側面部34の上辺部34bに接続する蓋部572とを有する。
図13は、組立容器510、610の斜視図である。
図13に示すように、蓋部571、572は、上辺部33b、34bで山折りに折られて、組立容器510の開口を塞ぐ蓋として機能する。蓋部571、572には、蓋部切り込み571a、572aが形成されている。
図13に示すように蓋部571、572により組立容器510の開口を塞いだ際、蓋部切り込み571a、572aを、互いに係合させることができる。このように、蓋部切り込み571a、572aが、蓋部571、572が簡単に開くことを防止するストッパーとして機能する。
【0078】
図12(b)に示すように、組立容器610は、第3側面部33の上辺部33bに接続する蓋部671を有する。
図13に示すように、蓋部671は、上辺部33bで山折りに折られて、組立容器610の開口を塞ぐ蓋として機能する。蓋部671には、蓋部切り込み671aが形成されている。
図13に示すように、蓋部切り込み671aを開くことにより、蓋部切り込み671aの周辺部分が、蓋部671を開閉する際のつまみとして機能する。
【0079】
組立容器510、組立容器610は、蓋部571、572、671を有するため、収容物の外気等への露出を抑制することが可能である。その他、組立容器510、組立容器610は、組立容器10との共通点については、組立容器10と同様の効果を奏する。
【0080】
図14は、本発明の第6変形例に係る組立容器710の概念図である。
図14(a)は、組立容器710を折るための平面状のシートを構成する複数の部材を示しており、
図14(b)は、
図14(a)に示す部材を接合して、組立容器710を形成するための平面状のシートを完成させた状態を示している。組立容器710は、平面状のシートが、もともとは分離していた複数の部分である第1部分710a、第2部分710b、第3部分710cおよび第4部分710dを繋ぎ合わせて作製している点で、
図1に示す組立容器10とは異なるが、その他の点では組立容器10と同様である。
【0081】
図14(a)および
図14(b)に示すように、第1部分710a、第2部分710b、第3部分710cおよび第4部分710dを別々に準備して、これをたとえば粘着テープのような接合材770を用いて繋ぎ合わせることにより、サイズの大きい組立容器710を作製することができる。サイズの大きい組立容器710は、たとえば子供や大人が中に入れる程度の大きさとすることも考えられ、たとえば公共の場所や非難所などで、プライバシーの保護等を目的とする簡易シェルターとして用いることも考えられる。このように、組立容器710を形成するための平面状のシートは、一体のもののみには限定されず、複数の部分710a~710dを繋ぎ合わせたものであってもよい。その他、組立容器710は、組立容器10との共通点については、組立容器10と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0082】
10、110、210、310、410、510、610、710…組立容器
20…底面部
21…辺
21a…折り線部
22…頂点
23…対角線
24…中心
30、130、430…側面部
31、131…第1側面部
32、132…第2側面部
33、133…第3側面部
34、134…第4側面部
31a、32a、131a、132a、133a、134a…切り込み
31aa…切り込み中央部
31ab…切り込み両端部
31b、32b、33b、34b、430b…上辺部
33c…上辺部離間位置
L1、L2、L3、L4、L5、L6…長さ
R1…3分の1の領域
40、140、440…係合片部
41、141、241、341…第1係合片部
42、142、242、342…第2係合片部
43、143、243、343…第3係合片部
44、144、244、344…第4係合片部
41a、42a、141a、142a、143a…先端部分
41b、42b、141b、142b、143b…延長線
41c、42c、141c、142c、143c…外縁部
41ca…外縁部離間位置
41d、42d、141d、142d、143d、341d、343d…外縁切り欠き
241d、242d、243d、244d、342d、344d…外縁切り込み
41da…最深部分
51a、51b…接続辺部
51aa…外端部
61、62…矢印
341e、343e…取っ手部
430f…側面係合片
440f…係合片切り込み
571、572、671…蓋部
571a、572a、671a…蓋部切り込み
【手続補正書】
【提出日】2023-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状のシートを折って形成される組立容器であって、
略四角形であり底壁を構成する底面部と、
前記底面部の各辺に対して折り線部を介して接続し、側壁を構成する4つの側面部と、
前記底面部の各頂点に対応して配置され、前記頂点に隣接する2つの前記側面部を接続しており、前記底面部の対角線の延長線に沿って折り畳まれる4つの係合片部と、を有し、
4つの前記側面部のうち少なくとも2つには、切り込みが形成されており、
4つの前記係合片部は、前記側面部および前記切り込みの外側に折り返され、各前記係合片部における先端部分が前記切り込みに挿入され、前記側面部に係合されている組立容器。
【請求項2】
4つの前記側面部は、互いに対向しており前記切り込みが形成されている第1側面部および第2側面部と、前記第1側面部および前記第2側面部とは略垂直方向を向き互いに対向する第3側面部および第4側面部とにより構成され、
4つの前記係合片部のうち2つは前記第1側面部に係合されており、4つの前記係合片部のうち他の2つは前記第2側面部に係合されている請求項1に記載の組立容器。
【請求項3】
前記第1側面部および前記第2側面部における上辺部から前記底面部までの長さL1は、前記第3側面部および前記第4側面部における上辺部から前記底面部までの長さL2より長いことを特徴とする請求項2に記載の組立容器。
【請求項4】
前記切り込みは、前記第1側面部および前記第2側面部において上辺部側の3分の1以内の領域に形成されている請求項2に記載の組立容器。
【請求項5】
前記切り込みは、切り込み中央部と前記底面部との距離が、切り込み両端部と前記底面部との距離に比べて遠い湾曲形状を有する請求項2に記載の組立容器。
【請求項6】
平面状に前記シートを展開した状態において、各前記係合片部のうち前記底面部の中心から最も離れている外縁部離間位置から前記底面部の中心までの長さL3は、前記第3側面部および前記第4側面部において前記底面部の中心から最も離れている上辺部離間位置から前記底面部の中心までの長さL4より長いことを特徴とする請求項2に記載の組立容器。
【請求項7】
それぞれの前記係合片部の外縁部には、前記係合片部を通る前記延長線に対して略対称に配置される少なくとも一対の外縁切り込みまたは外縁切り欠きが形成されており、
平面状に前記シートを展開した状態において、前記外縁切り込みまたは前記外縁切り欠きのうち前記底面部の中心に最も近い最深部分から前記底面部の中心までの長さL5は、前記係合片部と前記係合片部が接続する前記側面部との接続辺部の外端部から前記底面部の中心までの長さL6より短い、請求項1に記載の組立容器。
【請求項8】
平面状のシートを折って形成される組立容器であって、
略四角形であり底壁を構成する底面部と、
前記底面部の各辺に対して折り線部を介して接続し、側壁を構成する4つの側面部と、
前記底面部の各頂点に対応して配置され、前記頂点に隣接する2つの前記側面部を接続しており、前記底面部の対角線の延長線に沿って折り畳まれる4つの係合片部と、を有し、
4つの前記側面部のそれぞれには、前記側面部の上辺部から延びる側面接合片が備えられ、
4つの前記係合片部は前記側面部の外側に折り返され、前記側面接合片が前記係合片部に係合し、前記係合片部が前記側面部の外側に係合されている組立容器。