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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065874
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
E02F9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174947
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 琢人
(72)【発明者】
【氏名】清野 稜太
(57)【要約】
【課題】整備時における作業性の向上を図ることが可能な作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、リフティングマグネット6を有し、上部旋回体3に取り付けられたアタッチメントATと、上部旋回体3に搭載されたキャブ10と、上部旋回体3に搭載され、キャブ10を昇降可能に支持するエレベータブラケット120と、上部旋回体3に搭載された配電盤200と、を備え、配電盤200は、エレベータブラケット120よりも左側に配置されている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
リフティングマグネットを有し、前記上部旋回体に取り付けられたアタッチメントと、
前記上部旋回体に搭載されたキャブと、
前記上部旋回体に搭載され、前記キャブを昇降可能に支持するエレベータブラケットと、
前記上部旋回体に搭載された配電盤と、を備え、
前記配電盤は、前記エレベータブラケットよりも左側に配置されている、作業機械。
【請求項2】
前記配電盤は、前記キャブよりも後方であり、平面視において、前記上部旋回体における左側の部分に配置されている、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記上部旋回体に搭載された駆動源と、
前記上部旋回体に搭載され、前記駆動源を上方から覆うフードと、を備え、
前記配電盤は、前記フードよりも下方に配置されている、請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記配電盤の筐体は、前記上部旋回体の左側から開放可能である、請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記上部旋回体に搭載され、前記配電盤と電気的に接続された発電機を備え、
前記発電機は、前記配電盤の下方に配置されている、請求項1に記載の作業機械。
【請求項6】
前記上部旋回体に搭載され、前記配電盤を下方から支持する配電盤サポートと、
前記配電盤サポートを収容する配電盤サポート用のカバーと、を備える、請求項1に記載の作業機械。
【請求項7】
前記上部旋回体に搭載され、前記配電盤よりも下方に配置され、前記キャブを降下する際に操作されるレバーと、
前記レバーを覆う第2カバーと、を備え、
前記第2カバーは、前記上部旋回体の左側から開閉可能である、請求項1に記載の作業機械。
【請求項8】
前記配電盤の筐体は、平面視において、前記上部旋回体のフレームから外側にはみ出していない、請求項1に記載の作業機械。
【請求項9】
前記上部旋回体に搭載され、前記配電盤を下方から支持する配電盤サポートを備え、
前記配電盤サポートは、前記エレベータブラケットに固定されている、請求項1に記載の作業機械。
【請求項10】
前記上部旋回体を側方から見た場合に、前記配電盤は、前記エレベータブラケットに重なる位置に配置されている、請求項1に記載の作業機械。
【請求項11】
前記配電盤は、前記上部旋回体の幅方向において、前記キャブの側面よりも外側に張り出している、請求項1に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
リフティングマグネットを備える作業機械は、リフティングマグネットに供給する電力を発電する発電機を備える(例えば、特許文献1参照)。このような作業機械の上部旋回体には、リフティングマグネットを制御可能な配電盤が搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/170243号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係る作業機械では、上部旋回体の右側の前部に配電盤が配置されていた。作業機械の上部旋回体における配電盤を搭載する位置については、改善の余地があった。本開示は、配電盤の整備時などにおける作業性の向上を図ることが可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る作業機械は、下部走行体と、下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、リフティングマグネットを有し、上部旋回体に取り付けられたアタッチメントと、上部旋回体に搭載されたキャブと、上部旋回体に搭載され、キャブを昇降可能に支持するエレベータブラケットと、上部旋回体に搭載された配電盤と、を備え、配電盤は、エレベータブラケットよりも左側に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
上述の手段により、整備時における作業性の向上を図ることが可能な作業機械を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】一実施形態に係る作業機械の側面図であり、キャブが降下した状態を示す図である。
図1B】一実施形態に係る作業機械の側面図であり、キャブが上昇した状態を示す図である。
図2】一実施形態に係る作業機械の平面図である。
図3】一実施形態に係る作業機械の駆動系の構成例を示すブロック図である。
図4】配電盤を支持する配電盤サポート、及び配電盤サポートの周囲に配置された機器類を示す図である。
図5】配電盤を支持する配電盤サポートを示す分解斜視図である。
図6】配電盤に搭載された機器類を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。図1Aは、一実施形態に係る作業機械の概略側面図であり、キャブが降下した状態を示す図である。図1Bは、一実施形態に係る作業機械の側面図であり、キャブが上昇した状態を示す図である。
【0009】
作業機械100は、下部走行体1、旋回機構2、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、リフティングマグネット6、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、エンドアタッチメントシリンダ9、キャブ10、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、エンドアタッチメント角度センサS3、キャブ高さセンサS4等を有する。ブーム4及びアーム5はアタッチメントATを構成する。
【0010】
作業機械100の下部走行体1上には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3の前方中央部には作業要素としてのブーム4が回動可能に連結されている。ブーム4の先端部には作業要素としてのアーム5が回動可能に連結されている。アーム5の先端部にはエンドアタッチメントとしてのリフティングマグネット6が回動可能に連結されている。エンドアタッチメントとして、リフティングマグネット6からバケット、グラップル、積み込み用フォーク等に付け替えて使用してもよい。
【0011】
作業機械100は、例えば後方超小旋回型の作業機械であり、上部旋回体3の後部は、下部走行体1よりも後方に存在していない。なお、作業機械100は、後方超小旋回型の作業機械に限定されず、上部旋回体3が下部走行体1よりも後方に張り出していてもよい。
【0012】
上部旋回体3上には運転室としてのキャブ10がキャブ昇降装置12を介して昇降可能に設けられている。このように昇降可能なキャブは「エレベータキャブ」と呼ばれる。図1Aは、キャブ10が降下した状態の作業機械100を示す。図1Bは、キャブ昇降装置12によりキャブ10が最高位置まで上昇した状態を示す。キャブ10は、ブーム4の側方(通常、左側)に配置されている。
【0013】
ブーム角度センサS1は、ブーム角度を取得するセンサである。ブーム角度は、例えば、ブームフートピン4a回りのブーム4の回動角度である。ブーム角度は、例えば、ブーム4を最も下降させたときをゼロ度とする。図示例では、ブーム角度センサS1は、ブームフートピン4aの近傍に取り付けられている。ブーム角度は、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサ、水平面に対するブーム4の傾斜角度を検出する傾斜(加速度)センサ等の出力に基づいて算出されてもよい。
【0014】
アーム角度センサS2は、アーム角度を取得するセンサである。アーム角度は、例えば、アームフートピン5a回りのアーム5の回動角度である。アーム角度は、例えば、アーム5を最も閉じたときをゼロ度とする。図示例では、アーム角度センサS2は、ブーム角度センサS1と同様、アームフートピン5aの近傍に取り付けられている。アーム角度は、アームシリンダ8のストローク量を検出するストロークセンサ、水平面に対するアーム5の傾斜角度を検出する傾斜(加速度)センサ等の出力に基づいて算出されてもよい。
【0015】
エンドアタッチメント角度センサS3は、エンドアタッチメント角度を取得するセンサである。エンドアタッチメント角度は、例えば、エンドアタッチメントフートピン6a回りのリフティングマグネット6の回動角度である。エンドアタッチメント角度は、例えば、リフティングマグネット6を最も閉じたときをゼロ度とする。図示例では、エンドアタッチメント角度センサS3は、ブーム角度センサS1及びアーム角度センサS2とは異なり、エンドアタッチメントフートピン6aの近傍ではなく、エンドアタッチメントシリンダ9のフートピン9aの近傍に取り付けられている。エンドアタッチメントフートピン6aの近傍に取り付けられると、スクラップ材等の作業対象物と接触する機会が増えて破損し易いためである。エンドアタッチメント角度は、エンドアタッチメントシリンダ9のストローク量を検出するストロークセンサ、水平面に対するリフティングマグネット6の傾斜角度を検出する傾斜(加速度)センサ等の出力に基づいて算出されてもよい。
【0016】
キャブ高さセンサS4は、キャブ10の高さを取得するセンサである。キャブ10の高さは、例えば、上部旋回体3のベースフレームからの高さである。キャブ10の高さは、例えば、昇降可能なキャブ10がベースフレームと接触しているとき(キャブ10を最も下降させたとき)を高さゼロとする。図示例では、キャブ高さセンサS4は、キャブ昇降装置12における平行リンク機構のリンク13のリンクフートピン13a回りの回動角度を検出する角度センサであり、リンク13のリンクフートピン13aの近傍に取り付けられている。リンク13の回動角度は、例えば、キャブ10を最も下降させたときをゼロ度とする。キャブ高さセンサS4は、リンク13の回動角度からキャブ10の高さを導き出す。キャブ高さセンサS4は、リンク13の回動角度をコントローラ30に対して出力してもよい。この場合、コントローラ30は、リンク13の回動角度に基づいてキャブ10の高さを算出する。キャブ10の高さは、キャブ昇降シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、水平面に対するリンク13の傾斜角度を検出する傾斜(加速度)センサ等の出力に基づいて算出されてもよい。
【0017】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、エンドアタッチメント角度センサS3、及び、キャブ高さセンサS4の少なくとも1つは、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されていてもよい。
【0018】
次に図3を参照し、作業機械100の駆動系の構成例について説明する。図3は、一実施形態に係る作業機械の駆動系の構成例を示すブロック図である。図3において、機械的動力伝達ラインは二重線、作動油ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気制御ラインは一点鎖線、電気駆動ラインは太点線でそれぞれ示されている。
【0019】
作業機械100の駆動系は、主に、エンジン11、オルタネータ11a、メインポンプ14、リフティングマグネット用油圧ポンプ14G、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、及びコントローラ30で構成される。
【0020】
エンジン11は、作業機械100の駆動源であり、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、オルタネータ11a、メインポンプ14、リフティングマグネット用油圧ポンプ14G、及びパイロットポンプ15の入力軸のそれぞれに接続されている。
【0021】
メインポンプ14は、作動油ライン16を介して作動油をコントロールバルブ17に供給する油圧ポンプであり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0022】
レギュレータ14aはメインポンプ14の吐出量を制御する装置である。本実施例では、レギュレータ14aは、メインポンプ14の吐出圧、コントローラ30からの制御信号等に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調整することによって、メインポンプ14の吐出量を制御する。
【0023】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して操作装置26を含む各種油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプであり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
【0024】
コントロールバルブ17は、作業機械100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、エンドアタッチメントシリンダ9、右側走行用油圧モータ1A、左側走行用油圧モータ1B、及び旋回用油圧モータ2Aのうちの1又は複数のものに対し、メインポンプ14が吐出する作動油を選択的に供給する。以下では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、エンドアタッチメントシリンダ9、右側走行用油圧モータ1A、左側走行用油圧モータ1B、及び旋回用油圧モータ2Aを集合的に「油圧アクチュエータ」と称する。
【0025】
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。本実施例では、操作装置26は、パイロットポンプ15からの作動油をコントロールバルブ17内にある対応する流量制御弁のパイロットポートに供給してパイロット圧を生成する。具体的には、操作装置26は、旋回操作レバー、ブーム操作レバー、アーム操作レバー、リフティングマグネット操作レバー、走行用ペダル(何れも図示せず。)等を含む。パイロット圧は、操作装置26の操作内容に応じて変化する。操作内容は、例えば、操作方向及び操作量を含む。
【0026】
圧力センサ29は、操作装置26が生成するパイロット圧を検出する。本実施例では、圧力センサ29は、操作装置26が生成したパイロット圧を検出し、その検出値をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、圧力センサ29の出力に基づいて操作装置26のそれぞれの操作内容を把握する。
【0027】
コントローラ30は、作業機械100を制御するための制御装置であり、例えば、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータで構成される。コントローラ30は作業機械100の動作や機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードし、それらプログラムのそれぞれに対応する処理をCPUに実行させる。
【0028】
作業機械100は、リフティングマグネット用油圧モータ60、リフティングマグネット用発電機63、及び電力制御装置64を備える。
【0029】
リフティングマグネット用油圧ポンプ14Gは作動油ライン16aを介して作動油をリフティングマグネット用油圧モータ60に供給する。本実施例では、リフティングマグネット用油圧ポンプ14Gは固定容量型油圧ポンプであり、切替弁61を通じてリフティングマグネット用油圧モータ60に作動油を供給する。
【0030】
切替弁61は、リフティングマグネット用油圧ポンプ14Gが吐出する作動油の流れを切り替える。本実施例では、切替弁61はコントローラ30からの制御指令に応じて切り替わる電磁弁であり、リフティングマグネット用油圧ポンプ14Gとリフティングマグネット用油圧モータ60との間を連通させる第1位置と、リフティングマグネット用油圧ポンプ14Gとリフティングマグネット用油圧モータ60との間を遮断する第2位置とを有する。
【0031】
コントローラ30は、モード切替スイッチ62が操作されて作業機械100の動作モードがリフティングマグネットモードに切り替えられると、切替弁61に対して制御信号を出力して切替弁61を第1位置に切り替える。コントローラ30は、モード切替スイッチ62が操作されて作業機械100の動作モードがリフティングマグネットモード以外に切り替えられると、切替弁61に対して制御信号を出力して切替弁61を第2位置に切り替える。図3は、切替弁61が第2位置にある状態を示す。
【0032】
モード切替スイッチ62は、作業機械100の動作モードを切り替えるスイッチである。本実施例では、キャブ10内に設置されるロッカスイッチである。操作者はモード切替スイッチ62を操作してショベルモードとリフティングマグネットモードとを二者択一的に切り替える。ショベルモードは作業機械100をショベルとして作動させるときのモードであり、例えばリフティングマグネット6の代わりにグラップルが取り付けられているときに選択される。リフティングマグネットモードは作業機械100をリフティングマグネット付き作業機械100として作動させるときのモードであり、リフティングマグネット6がアーム5の先端に取り付けられているときに選択される。コントローラ30は各種センサの出力に基づいて作業機械100の動作モードを自動的に切り替えてもよい。
【0033】
リフティングマグネットモードの場合、切替弁61は第1位置に設定され、リフティングマグネット用油圧ポンプ14Gが吐出する作動油をリフティングマグネット用油圧モータ60に流入させる。一方、リフティングマグネットモード以外の場合、切替弁61は第2位置に設定され、リフティングマグネット用油圧ポンプ14Gが吐出する作動油をリフティングマグネット用油圧モータ60に流入させることなく作動油タンクに流出させる。
【0034】
リフティングマグネット用油圧モータ60の回転軸はリフティングマグネット用発電機63の回転軸に機械的に連結されている。リフティングマグネット用発電機63は、リフティングマグネット6を励磁するための電力を生成する発電機である。本実施例では、リフティングマグネット用発電機63は電力制御装置64からの制御指令に応じて動作する交流発電機である。
【0035】
電力制御装置64はリフティングマグネット6を励磁するための電力の供給・遮断を制御する装置である。本実施例では、電力制御装置64は、コントローラ30からの発電開始指令・発電停止指令に応じてリフティングマグネット用発電機63による交流電力の発電の開始・停止を制御する。電力制御装置64はリフティングマグネット用発電機63が発電した交流電力を直流電力に変換してリフティングマグネット6に供給する。電力制御装置64はリフティングマグネット6に印加される直流電圧の大きさを制御できる。
【0036】
コントローラ30は、リフティングマグネットスイッチ65がオン操作されてオン状態になると電力制御装置64に対して吸着指令を出力する。吸着指令を受けた電力制御装置64は、リフティングマグネット用発電機63が発電した交流電力を直流電力に変換してリフティングマグネット6に供給し、リフティングマグネット6を励磁する。励磁されたリフティングマグネット6は対象物を吸着可能な吸着状態となる。
【0037】
コントローラ30は、リフティングマグネットスイッチ65がオフ操作されてオフ状態になると電力制御装置64に対して釈放指令を出力する。釈放指令を受けた電力制御装置64は、リフティングマグネット用発電機63による発電を中止させ、吸着状態にあるリフティングマグネット6を非吸着状態(釈放状態)にする。
【0038】
リフティングマグネットスイッチ65は、リフティングマグネット6の吸着・釈放を切り替えるスイッチである。本実施例では、リフティングマグネットスイッチ65は、旋回機構2、ブーム4、アーム5、及びリフティングマグネット6を操作するための左右一対の操作レバーの少なくとも一方の頂部に設けられる押しボタンスイッチである。リフティングマグネットスイッチ65は、ボタンが押下される度にオン状態とオフ状態が交互に切り替わる構成であってもよく、オン操作用のボタンとオフ操作用のボタンが別々に用意される構成であってもよい。
【0039】
この構成により、作業機械100は、メインポンプ14が吐出する作動油によって油圧アクチュエータを動作させながら、リフティングマグネット6によって対象物の吸着、運搬等の作業を行うことができる。
【0040】
作業機械は、画像表示装置40を備える。画像表示装置40は、各種情報を表示する装置である。本実施例では、画像表示装置40は、運転席が設けられたキャブ10のピラー(図示せず。)に固定されている。画像表示装置40は、作業機械100の運転状況、制御情報等を画像表示部41に表示して操作者に情報を提供できる。画像表示装置40は、入力部としてのスイッチパネル42を含む。操作者はスイッチパネル42を利用して情報や指令を作業機械100のコントローラ30に入力できる。
【0041】
画像表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。蓄電池70はオルタネータ11aで発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び画像表示装置40以外の作業機械100の電装品72等にも供給される。エンジン11のスタータ11bは蓄電池70からの電力で駆動されてエンジン11を始動する。
【0042】
制御弁50は、操作装置26とコントロールバルブ17内にある流量制御弁との間のパイロットラインの連通・遮断を制御する。図3の例では、制御弁50は、コントローラ30からの指令に応じて動作する電磁比例弁である。
【0043】
図1A図1B、及び図2に示されるように、作業機械100は、リフティングマグネット6を制御する配電盤200を備える。配電盤200は、図3に示される電力制御装置64を含む。配電盤200は、リフティングマグネット用発電機63の動作を制御できる。配電盤200は、リフティングマグネット用発電機63の状態を監視できる。リフティングマグネット用発電機63は、リフティングマグネット用油圧モータ60の動力を用いて発電する。
【0044】
次に図1A図1B、及び図2を参照して配電盤200の配置について説明する。
【0045】
図1A図1B、及び図2では、互いに直交する3方向として、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向が、適宜、矢印で示されている。X軸方向は、X1方向及びX2方向を含み、前後方向に沿う。X1方向を示す矢印は、前方を向く。X2方向を示す矢印は、後方を向く。図2に示されるように、Y軸方向は、Y1方向及びY2方向を含む。Y軸方向は、上部旋回体3の幅方向に沿う。Y1方向を示す矢印は、左方向を向く。Y2方向を示す矢印は、右方向を向く。例えば、上部旋回体3の旋回中心に対して、キャブ10が配置されている側を左側とする。図1A及び図1Bに示されるように、Z軸方向は、Z1方向及びZ2方向を含み、上下方向に沿う。Z1方向を示す矢印は、上方を向く。Z2方向を示す矢印は、下方を向く。なお、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、任意の方向でよい。
【0046】
作業機械100は、上部旋回体3に搭載された配電盤200を備える。配電盤200は、エレベータブラケット120よりも左側に配置されている。キャブ昇降装置12は、リンク13を支持するエレベータブラケット120を有する。エレベータブラケット120は、キャブ10を昇降可能に支持する。エレベータブラケット120は、板状を成し、エレベータブラケット120の板厚方向は、上部旋回体3の幅方向に沿う。上部旋回体3の幅方向は、図2に示す状態において、Y軸方向に沿う。エレベータブラケット120は、上部旋回体3のベースフレーム(旋回フレーム)に対して固定されている。
【0047】
配電盤200は、キャブ10よりも後方であり、図2に示すような平面視において、上部旋回体3における左側の部分に配置されている。「平面視」とは、上方から見ることをいう。配電盤200は、平面視において、上部旋回体3の旋回中心よりも左側に配置されている。配電盤200は、上部旋回体3の前後方向において、キャブ10とカウンターウエイトとの間に配置されている。
【0048】
作業機械100は、上部旋回体3に搭載されるとともにエンジン11を上方から覆うエンジンフード3bを備える。配電盤200は、エンジンフード3bよりも下方(低い位置)に配置されている。エンジンフード3bは、駆動源を上方から覆うフードの一例である。
【0049】
作業機械100では、図1A及び図1Bに示すように上部旋回体3を側方から見た場合に、配電盤200は、エレベータブラケット120に重なる位置に配置されている。ここでいう「側方から見た場合」とは、Y軸方向に上部旋回体3を見た場合である。
【0050】
図4は、配電盤200を支持する配電盤サポート210、及び配電盤サポート210の周囲に配置された機器類201を示す図である。図5は、配電盤200を支持する配電盤サポート210を示す分解斜視図である。図6は、配電盤200に搭載された機器類201を示す図である。配電盤200は、機器類201と、機器類201を収容する筐体202とを備える。筐体202は、上部旋回体3の左側から開放可能である。なお、図4図6には、図1A図1B、及び図2と同様に、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を示す矢印が図示されている。
【0051】
筐体202は、正面カバー202a、一対の側板202b、天板202c、及び背面板202d(図6参照)を有する。正面カバー202aは、配電盤200の機器類201を左方から覆う。図6では、正面カバー202aが取り外された状態の配電盤200が示されている。図6に示されるように、一対の側板202bは、上部旋回体3の前後方向(X軸方向)に離れて配置されている。一対の側板202bは、上部旋回体3の前後方向から機器類201を覆う。
【0052】
天板202cは、機器類201を上方から覆う。背面板202dは、上部旋回体3の幅方向(Y軸方向)において、正面カバー202aと対向する。背面板202dは、機器類201を右方から覆う。正面カバー202aは、一対の側板202bに対して着脱可能となっている。操作者(作業者)は、正面カバー202aを取り外すことにより、機器類201を外部に対して開放することができる。これにより、作業者は、上部旋回体3の左側から、機器類201にアクセスできる。なお、筐体202は、その他の方向から、開放可能な構成でもよい。また、筐体202は、正面カバー202aが、ヒンジを介して、一対の側板202bに取り付けられて、開閉可能な構成でもよい。筐体202は、底部に開口が形成され、下方に開放されている。また、正面カバー202aには、鍵が設けられ、施錠することができる。
【0053】
図2に示されるように、配電盤200の筐体202は、平面視において、上部旋回体3のフレームから外側にはみだしていない。すなわち、筐体202の左端は、上部旋回体3の幅方向において、上部旋回体3の左端よりも内側(右側)に配置されている。上部旋回体3のフレームは、上部旋回体3の幅方向における端部に設けられたフレームである。筐体202は、平面視において、上部旋回体3のフレームに対して面一に設けられていてもよい。「面一」とは、例えば、上部旋回体3の幅方向において、筐体202の正面カバー202aの外面と、上部旋回体3のフレームの左側の端面とが揃っていることでもよい。なお、配電盤200は、上部旋回体3のフレームに対して、面一に設けられているものに限定されない。配電盤200は、例えば作業機械100の輸送時の最大幅以内であれば、上部旋回体3のフレームよりも、外側に張り出していてもよい。
【0054】
配電盤200は、上部旋回体3の幅方向において、キャブ10よりも外側に張り出すように配置されている。配電盤200の正面カバー202aは、上部旋回体3の幅方向において、キャブ10の左側の側面よりも外側に配置されている。キャブ10の左側の側面は、上部旋回体3のフレームよりも、上部旋回体3の幅方向において内側に配置されている。なお、配電盤200は、上部旋回体3の幅方向において、キャブ10よりも外側に張り出すように配置されているものに限定されない。配電盤200は、キャブ10の左側の側面と面一に配置されていてもよく、キャブ10の左側の側面よりも、上部旋回体3の幅方向において内側に配置されていてもよい。
【0055】
図5に示されるように、作業機械100は、上部旋回体3に搭載され、配電盤200を支持する配電盤サポート210を備える。
【0056】
配電盤サポート210は、例えば、一対のマウントブラケット211、複数の配電盤マウント212、マウントサポート213、及びサポートフレーム214を有する。マウントブラケット211、マウントサポート213、及びサポートフレーム214は、例えば、板状の金属プレート、溝形鋼、及び山形鋼等から構成されている。配電盤マウント212は、例えば円柱状を成し、振動を減衰可能なものである。
【0057】
一対のマウントブラケット211は、Y軸方向に延在し、X軸方向に離れて配置されている。一対のマウントブラケット211は、配電盤200を下方から支持する。複数の配電盤マウント212は、一対のマウントブラケット211を下方から支持する。マウントサポート213は、複数の配電盤マウント212を下方から支持する。マウントサポート213には、配線や配管等を通過させるための開口が形成されていてもよい。サポートフレーム214は、マウントサポート213を下方から支持する。
【0058】
サポートフレーム214は、フレーム214a及びブラケット214bを有する。フレーム214aの板厚方向は、Z軸方向に沿う。フレーム214aは、Z軸方向に見て例えばU字形を成すように形成されている。ブラケット214bの板厚方向は、Y軸方向に沿う。ブラケット214bは、フレーム214aから下方に延びる。ブラケット214bには、Y軸方向に貫通するボルト孔214cが形成されている。ボルト孔214cにボルト214dが挿通されて、ブラケット214bがエレベータブラケット120に対してボルト接合される。なお、サポートフレーム214の構造はこれに限定されない。サポートフレーム214は、リブ及び切欠きが適宜形成されていてもよい。サポートフレーム214は、Z軸方向に延びるプレート有していてもよい。
【0059】
サポートフレーム214は、図1A及び図1Bに示されるエレベータブラケット120に固定されている。サポートフレーム214は、エレベータブラケット120に対して、ボルト接合されている。なお、配電盤サポート210は、エレベータブラケット120に固定されるものに限定されない。配電盤サポート210は、上部旋回体3に搭載されていればよく、上部旋回体3のその他の部分に固定されていてもよい。配電盤サポート210は、例えば上部旋回体3のベースフレームに対して固定されていてもよい。配電盤サポート210は、エレベータブラケット120に対してボルト接合されている。配電盤サポート210は、例えば、溶接によりエレベータブラケット120に接合されていてもよく、その他の方法により、取り付けられていてもよい。
【0060】
図4に示されるように、作業機械100は、配電盤サポート210を収容する配電盤サポートカバー215を備える。配電盤サポートカバー215は、配電盤サポート用のカバーの一例である。配電盤サポートカバー215は、配電盤サポート210以外の物体を収容できる。
【0061】
配電盤サポートカバー215は、例えば、正面板、背面板、及び一対の側板を有する。配電盤サポートカバー215の内部には、例えば、油圧機器類216が配置されている。油圧機器類216は、例えば、切替弁61及び油圧配管218を含む。切替弁61は、油圧配管218を介して、リフティングマグネット用油圧ポンプ14Gと接続されている。切替弁61は、油圧配管218を介して上記のリフティングマグネット用油圧ポンプ14Gに接続されている。配電盤サポートカバー215は、配電盤200の下方に配置されている。
【0062】
配電盤200の下方には、上記のリフティングマグネット用発電機63が配置されている。リフティングマグネット用発電機63は、配電盤200と電気的に接続されている。リフティングマグネット用発電機63は、配電盤サポートカバー215よりも下方に配置されている。リフティングマグネット用発電機63は、第2カバー220によって覆われている。
【0063】
第2カバー220の内部には、操作レバー221が設けられている。操作レバー221は、例えば緊急時において、上昇した状態のキャブ10を降下させるためのレバーである。例えば、作業者は、操作レバー221を操作することにより、キャブ昇降装置12の油圧機器を減圧して、キャブ10を降下させることができる。
【0064】
第2カバー220には、操作レバー221を外部に対して露出させるための開口、及びこの開口を覆う扉220a(図1A参照)が設けられている。扉220aは、例えばヒンジを介して、第2カバー220に開閉可能に取り付けられている。扉220aは、上部旋回体3の左側から開閉可能となっている。扉220aを開けることにより、作業者は、操作レバー221を操作して、キャブ10を降下させることができる。第2カバー220は、上部旋回体3の左側から開閉可能であり、作業者は、上部旋回体3の左側から操作レバー221に容易にアクセスすることができる。なお、第2カバー220は、扉220aを備えていない構成でもよい。例えば、第2カバー220の一部分を取り外すことにより、操作レバー221にアクセス可能な構成でもよい。
【0065】
図6に示されるように、配電盤200の機器類201は、表示部231、及びスイッチ232~234を含む。表示部231は、例えば液晶モニタでもよい。表示部231は、例えば、電流値、電圧値、温度、周波数、及び異常の情報を表示できる。電流値は、例えば、リフティングマグネット用発電機63の出力電流の値である。電圧値は、例えば、リフティングマグネット用発電機63の出力電圧の値である。温度は、例えば、リフティングマグネット用発電機63の温度である。周波数は、リフティングマグネット用発電機63の出力の周波数である。異常の情報は、これらの電流値、電圧値、温度、周波数の異常に関する情報である。表示部231は、その他の情報を表示してもよい。
【0066】
配電盤200は、例えば制御基板を含む。制御基板は、例えば、CPU、ROM、RAMを備える。制御基板は、リフティングマグネット用発電機63の動作を制御する。制御基板のCPUは、リフティングマグネット用発電機63の動作や機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードし、それらプログラムのそれぞれに対応する処理を実行する。配電盤200は、リフティングマグネット用発電機63によって発電された電力をリフティングマグネット6に供給するか否かを制御できる。
【0067】
スイッチ232~234は、例えば、上スイッチ、下スイッチ、SETスイッチ、吸着・釈放スイッチなどを含む。上スイッチは、例えば、キャブ10を上昇させるためのスイッチでもよい。下スイッチは、例えば、キャブ10を降下させるためのスイッチでもよい。SETスイッチは、例えば、リフティングマグネット6に関する情報を設定する際に操作されるスイッチでもよい。吸着・釈放スイッチは、リフティングマグネット6による吸着及び釈放を切り替える際に操作されるスイッチでもよい。また、表示部231は、操作入力可能なタッチパネルでもよい。作業者は、表示部231に表示された操作入力部を介して操作を行うことにより、各種操作を行うことができる。例えば、作業者は、表示部231を用いて、リフティングマグネット6の吸着・釈放を操作することができる。
【0068】
また、配電盤200の機器類201は、その他のスイッチ、ボタン、計器類、電気機器類、油圧機器類を備えるものでもよい。配電盤200は、機器類201として、筐体202の内部を空冷するためのファンを備える。ファンは、筐体202の内部に空気を流入させる。筐体202の内部の空気は、筐体202に設けられた通気口から筐体202の外部に流出する。通気口は、例えば、筐体202の側板202bに設けられていてもよい。
【0069】
また、配電盤200の筐体202、配電盤サポートカバー215、及び第2カバー220の内部空間は、互いに連通している。配電盤サポートカバー215は、上下方向において、配電盤200の筐体202と、第2カバー220との間に配置されている。
【0070】
また、配電盤200の下部には、複数のポート235a,235bが設けられている。複数のポート235a,235bは、配電盤200から下方に張り出すように配置されている。複数のポート235a,235bは、例えば、配電盤サポートカバー215の内部に配置されている。
【0071】
図4に示されるように、ポート235aには、例えば、電気配線(ケーブル)236a,236bが接続されている。電気配線236aは、例えば、配電盤200とリフティングマグネット用発電機63とを電気的に接続する。電気配線236bは、例えば、配電盤200とリフティングマグネット6とを電気的に接続する。
【0072】
ポート235bには、例えば電気配線236cが接続されている。切替弁61はソレノイドを有する。キャブ10内でリフマグのスイッチが押された場合には、ソレノイドに電流が流れることにより、切替弁61が切り替わる。これにより、リフティングマグネット用発電機63が稼働し、リフティングマグネット6に電流が流れる。操作者は、キャブ10内のロッカスイッチをONすることができる。ロッカスイッチは、リフティングマグネットの操作を行うマグネットモードへの切り替えを行う際に操作される。ロッカスイッチがONになると、配電盤200の内のマグネットモードがONになる。ソレノイドバルブである切替弁61がONになると、油圧配管218を通じて、リフティングマグネット用発電機63に圧油が供給され、発電が開始される。
【0073】
[従来技術の課題]
次に従来技術に係る作業機械について説明する。従来技術に係る作業機械において、リフティングマグネットを制御するための配電盤を備えるものがある。例えば、配電盤は、上部旋回体の右側の前部に配置されていた。リフティングマグネットを有する作業機械において、配電盤を配置するために、上部旋回体のハウスカバーを特別な仕様とした場合には、他の種類の作業機械と共通化することができず、コスト増加につながるという問題があった。リフティングマグネットを備える作業機械のみに使用可能な専用のハウスカバーを別途設計すると、コスト増加につながる。
【0074】
また、上部旋回体の右側の前部は、作業機械の整備時において、作業者が通る整備用の通路として利用される場合がある。このような場合には、作業者が通る際に配電盤が邪魔になり、整備時における作業効率が低下するおそれがあった。
【0075】
また、上部旋回体の右側の前部は、旋回中心から離れていることにより、配電盤に対する振動が増加してしまい、配電盤における耐久性に影響をおよぼすおそれがあった。
【0076】
また、上部旋回体の右側の前部ではなく、その他の搭載場所として、エレベータブラケットの背面側に、配電盤が配置されている作業機械がある。このような作業機械の場合には、エレベータブラケットの上部の背面側に配電盤が配置されているので、配電盤が地上から3m程度の高所に配置されていた。このような高所に配置された配電盤を整備する場合には、高所作業用の足場を別途組み立てる必要があった。そのため、整備コストの増加につながるという問題があった。
【0077】
また、このような足場上の作業は、高所であるため、危険作業となり、整備時における安全性の向上を図ることが求められる。また、足場上において、十分な作業スペースを確保することは、容易ではなかった。そのため、作業効率が低下するおそれがあった。
【0078】
[実施形態に係る作業機械の作用効果]
本実施形態に係る作業機械100では、配電盤200がエレベータブラケット120よりも左側に配置されている。この構成では、上部旋回体3の右側の前部に配電盤200が配置されていないので、配電盤を搭載しない他の作業機械と部品(右前ハウスカバー)の共通化を図ることができる。そのため、コスト増加を抑えることができる。また、この構成の作業機械100によれば、エレベータブラケット120の左側の領域を有効利用することができる。
【0079】
作業機械100では、上部旋回体3の右側の前部に配電盤200が配置されていないので、整備時において、整備用の通路を通る際に、配電盤200が邪魔にならない。作業者は、上部旋回体3の右前の前部を通路として利用することができ、上部旋回体3の上部へ登りやすい。そのため、作業機械100の整備時における作業効率の向上を図ることができる。
【0080】
作業機械100では、上部旋回体3の右側の前部に配電盤200が配置されていないので、上部旋回体3の旋回中心から離れた位置である右側の前部よりも、旋回中心に近い位置に配電盤200を配置することができる。これにより、配電盤200に対する振動の影響を低減することができる。その結果、配電盤200における信頼性の向上を図ることができる。エレベータブラケット120の左側の領域は、上部旋回体3の旋回中心に近い位置であり、配電盤200に対する振動の影響を抑制することができる。
【0081】
また、作業機械100では、配電盤200はキャブ10よりも後方であり、平面視において、上部旋回体3における左側の部分に配置されている。この構成の作業機械100によれば、整備時において上部旋回体3の左側から配電盤200にアクセスしやすい。これにより、整備時における作業効率の向上を図ることができる。例えば、キャブ10と同じ左側に配電盤200が配置されているので、キャブ10及び配電盤200の両方にアクセスしやすく、キャブ10及び配電盤200の両方で作業する場合には、作業効率の更なる向上を図ることができる。
【0082】
また、作業機械100では、配電盤200は、エンジンフード3bよりも下方に配置されている。この構成の作業機械100によれば、従来技術と比較して、低い位置に配電盤200を配置することができる。地上から2m以下の位置に配電盤200を配置することができる。そのため、整備時において足場を組み立てる必要をなくし、整備コストの削減を図ることができる。また、高所作業を無くすことにより、整備時における安全性の向上を図ることができる。また、地上から配電盤200にアクセスすることができるので、整備時における作業スペースを確保しやすい。その結果、整備時における作業効率の向上を図ることができる。
【0083】
また、配電盤200を整備する際に、足場や作業用の台を設置してもよい。作業機械100では、従来技術と比較して低い位置に、配電盤200が配置されているので、足場や作業台を従来よりも低い位置に設置することができる。そのため、作業機械100では、安全性及び作業性の向上を図ることができる。
【0084】
作業機械100では、配電盤200の筐体202は、上部旋回体3の左側から開放可能である。この構成の作業機械100では、作業者が上部旋回体3の左側から筐体202の内部の機器類201に容易にアクセスすることができる。その結果、整備時における作業効率の向上を図ることができる。
【0085】
作業機械100では、リフティングマグネット用発電機63は、配電盤200の下方に配置されている。この構成によれば、配電盤200に近い位置にリフティングマグネット用発電機63を配置することができる。配電盤200とリフティングマグネット用発電機63とに接続される電気配線を短くすることができる。また、整備時において配電盤200とリフティングマグネット用発電機63との両方にアクセスしやすく、配電盤200及びリフティングマグネット用発電機63の両方で作業する場合には、作業効率の更なる向上を図ることができる。
【0086】
作業機械100は、上部旋回体3に搭載され、配電盤200を下方から支持する配電盤サポート210と、配電盤サポート210を収容する配電盤サポートカバー215と、を備える。この構成の作業機械100によれば、配電盤サポート210を備えることにより、配電盤200を下方から安定して支持することができる。また、配電盤サポートカバー215によって、配電盤サポート210を保護することができる。また、配電盤サポートカバー215の内部にその他の機器類として、切替弁61及び油圧配管218等を配置することができる。また、配電盤サポートカバー215の内部に、電気配線や端子などを配置することができる。
【0087】
また、作業機械100では、配電盤サポート210は、エレベータブラケット120に固定されている。具体的には、配電盤サポート210は、エレベータブラケット120の左側の側面に固定されている。この構成の作業機械100では、配電盤サポート210を上部旋回体3のベースフレームに固定せずに、エレベータブラケット120に固定することができる。そのため、上部旋回体3のベースフレームを、他の種類の作業機械と共通化しやすく、コスト削減を図ることができる。また、エレベータブラケット120に配電盤サポート210を固定することにより、配電盤サポート210及び配電盤200を安定して支持することができる。
【0088】
作業機械100は、上部旋回体に搭載され、配電盤200よりも下方に配置され、キャブ10を降下する際に操作される操作レバー221と、操作レバーを覆う第2カバー220と、を備え、第2カバー220は、上部旋回体3の左側から開閉可能である。作業機械100では、第2カバー220の扉220aを開けて、操作レバー221に容易にアクセスすることができる。例えば、緊急時において、キャブ10を降下させる必要が生じた場合には、操作レバー221を操作して、キャブ10を降下させることができる。
【0089】
また、作業機械100では、配電盤200の筐体202は、平面視において、上部旋回体3のフレームから外側にはみ出していない。この構成の作業機械100によれば、配電盤200の筐体202が、外部に張り出していないので、作業機械100の動作時において、配電盤200が外部の物体に当たるおそれが少ない。そのため、配電盤200の損傷のおそれが少ない。また、配電盤200が上部旋回体3から張り出さない構造とすることにより、輸送制限内の位置に配電盤200を配置することができる。上部旋回体3の輸送時において、配電盤200が輸送の妨げにならない。
【0090】
また、作業機械100では、上部旋回体3を側方から見た場合に、配電盤200は、エレベータブラケット120に重なる位置に配置されている。この構成の作業機械100によれば、エレベータブラケット120の左側の領域を有効利用することができる。また、上部旋回体3の旋回中心に近い位置に配電盤200を配置することができ、配電盤200に対する振動の影響を抑えることができる。
【0091】
また、作業機械100では、配電盤200は、上部旋回体3の幅方向において、キャブ10の側面よりも外側に張り出している。この構成の作業機械100によれば、上部旋回体3の左側から配電盤200にアクセスしやすく、整備時における作業効率の向上を図ることができる。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
【0093】
上記の実施形態では、配電盤サポート210を用いて配電盤200をエレベータブラケット120に固定する場合について例示しているが、配電盤200を取り付ける構造は、これに限定されない。配電盤200は、エレベータブラケット120よりも左側に配置されていればよく、エレベータブラケット120に取り付けられていない構造でもよい。
【0094】
また、配電盤200は、配電盤サポート210を介して、他の物体に取り付けられていてもよく、配電盤サポート210を用いないで、エレベータブラケット120に取り付けられていてもよい。
【0095】
また、配電盤200は、上部旋回体3を側方から見た場合に、エレベータブラケット120に重なる位置に配置されているものに限定されない。
【符号の説明】
【0096】
1・・・下部走行体
3・・・上部旋回体
3b・・・エンジンフード(フード)
6・・・リフティングマグネット
10・・・キャブ
11・・・エンジン(駆動源)
63・・・リフティングマグネット用発電機(発電機)
100・・・作業機械
120・・・エレベータブラケット
200・・・配電盤
202・・・筐体
210・・・配電盤サポート
215・・・配電盤サポートカバー(配電盤サポート用のカバー)
220・・・第2カバー
221・・・操作レバー(レバー)
AT・・・アタッチメント
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6