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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065876
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ショベル、及びショベル制御システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240508BHJP
   E02F 3/43 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F9/20 Q
E02F3/43 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174949
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】呉 春男
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA03
2D003BA04
2D003BB04
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】操作者の負担を軽減できる。
【解決手段】一実施形態に係るショベルは、下部走行体と、下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、アタッチメントの先端に設けられるバケットと、操作装置と、外部装置との間で情報の送信及び受信が可能に構成されている通信装置と、操作装置が受け付けた第1操作情報に従って上部旋回体、アタッチメント、及びバケットのうち少なくとも一つ以上を制御する第1制御と、上部旋回体、アタッチメント、及びバケットのうち少なくとも一つ以上を制御する制御信号を外部装置から受信し、受信した制御信号に従って制御する第2制御と、を切り替え可能に構成されている制御装置と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
電気式操作レバーを有する操作装置と、
外部装置との間で情報の送信及び受信が可能に構成されている通信装置と、
前記操作装置が受け付けた第1操作情報に従って前記下部走行体、前記上部旋回体、及び前記アタッチメントのうち少なくとも一つ以上を制御する第1制御と、前記下部走行体、前記上部旋回体、前記上部旋回体、及び前記アタッチメントのうち少なくとも一つ以上を制御する制御信号を前記外部装置から受信し、受信した前記制御信号に従って制御する第2制御と、を切り替え可能に構成されている制御装置と、
を備えるショベル。
【請求項2】
前記通信装置は、前記第2制御を行う場合に、前記操作装置が受け付けた第2操作情報を前記外部装置に送信し、前記第2操作情報に基づいた前記制御信号を前記外部装置から受信する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記アタッチメントの位置を検出するための検出装置をさらに備え、
前記通信装置は、前記第2制御を行う場合に、前記検出装置による位置の検出結果を前記外部装置に送信し、前記検出結果に基づいて前記アタッチメントの制御を行う前記制御信号を前記外部装置から受信する、
請求項1に記載されたショベル。
【請求項4】
前記第1制御は、施工対象の3次元形状が示された施工情報に基づいた前記ショベルの制御を含まず、
前記第2制御は、前記施工情報に基づいて施工対象の3次元形状を形成するための前記ショベルの制御を含む、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載されたショベル。
【請求項5】
ショベルと外部装置と空間認識装置とで構成されたショベル制御システムであって、
前記空間認識装置は、前記ショベルの周辺を測定した測定情報を前記外部装置に送信する第1通信装置を備え、
前記ショベルは、
下部走行体と、前記下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、操作装置と、前記外部装置との間で情報の送信及び受信が可能に構成されている第2通信装置と、前記操作装置が受け付けた第1操作情報に従って前記下部走行体、前記上部旋回体、及び前記アタッチメントのうち少なくとも一つ以上を制御する第1制御と、前記下部走行体、前記上部旋回体、及び前記アタッチメントのうち少なくとも一つ以上を制御する制御信号を前記外部装置から受信し、受信した前記制御信号に従って制御する第2制御と、を切り替え可能に構成されている第1制御装置と、を備え、
前記外部装置は、
前記空間認識装置から前記測定情報を受信する第3通信装置と、前記測定情報に基づいて前記制御信号を生成する第2制御装置と、を備え、
前記第3通信装置は前記制御信号を前記第2通信装置に送信する、
ショベル制御システム。
【請求項6】
前記ショベルは、前記アタッチメントの位置を検出するための検出装置をさらに備え、
前記第2通信装置は、前記第2制御を行う場合に、前記検出装置による位置の検出結果を前記外部装置に送信し、前記検出結果に基づいて前記アタッチメントの制御を行う前記制御信号を前記外部装置から受信する、
前記外部装置の前記第2制御装置は、前記検出結果及び前記測定情報に基づいて前記制御信号を生成する、
請求項5に記載のショベル制御システム。
【請求項7】
前記外部装置は、
施工対象の3次元形状が示された施工情報を記憶する記憶装置をさらに備え、
前記第2制御装置は、さらに、前記検出結果、前記測定情報及び前記施工情報に基づいた前記制御信号を生成する、
請求項6に記載のショベル制御システム。
【請求項8】
前記ショベル制御システムは、さらに、遠隔制御装置を備え、
前記遠隔制御装置は、第4通信装置と、遠隔操作装置と、を有し、
前記第4通信装置は、遠隔操作装置が受け付けた遠隔操作情報を、前記外部装置に送信し、
前記第2制御装置は、さらに、前記遠隔操作情報に基づいて前記制御信号を生成する、
請求項5乃至7のいずれか一つに記載のショベル制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベル、及びショベル制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GNSS(グローバル衛星測位システム)による位置情報と3次元の設計情報と、に基づいて操作を半自動化又は全自動化した、いわゆるICT(Information and Communication Technology)ショベルが提案されている。例えば、特許文献1には、設定画面で設定された項目に従って施工支援を実現可能なICTショベルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/164152号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、特許文献1に記載されたようなICTショベルは、様々なセンサを搭載すると共に、当該センサの検出結果に基づいてICTショベルの作業部位の位置等の算出し、算出結果に基づいた制御を行うために処理性能の高いコントローラを搭載する必要があるので、コストが高くなる。これは、特許文献1に記載されたような半自動制御又は全自動制御を行うICTショベルに制限するものではなく、例えば遠隔制御を行うなど、高度な制御を実現しているICTショベルであれば該当する。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、ICTショベルのような処理性能の高いコントローラ等の装備が搭載されていない標準ショベルであっても、外部装置による支援によって、高度な制御を可能として、操作者の操作負担を軽減する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態に係るショベルは、下部走行体と、下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、アタッチメントの先端に設けられるバケットと、操作装置と、外部装置との間で情報の送信及び受信が可能に構成されている通信装置と、操作装置が受け付けた第1操作情報に従って上部旋回体、アタッチメント、及びバケットのうち少なくとも一つ以上を制御する第1制御と、上部旋回体、アタッチメント、及びバケットのうち少なくとも一つ以上を制御する制御信号を外部装置から受信し、受信した制御信号に従って制御する第2制御と、を切り替え可能に構成されている制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上述の実施形態によれば、第1制御と第2制御とを切り替え可能としたことで、作業状況に応じて制御を切り替えることで操作者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るショベル制御システムの一例を示す概要図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るショベルの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るショベルの駆動制御系の構成例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るショベルの油圧システムの構成の一例を概略的に示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るショベルのマシンコントロール機能に関する構成の詳細を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るショベル制御システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る作業現場空間生成部により生成された仮想的な作業現場空間を説明するための概念図である。
図8図8は、第1の実施形態に係るショベルが、受信した制御信号に従って行われる動作を示した図である。
図9図9は、第1の実施形態に係るショベル制御システムにおいてショベルの半自動制御を行う場合の処理の流れを示したシーケンス図である。
図10図10は、第2の実施形態に係るショベル制御システムにおいてショベルの全自動制御を行う場合の処理の流れを示したシーケンス図である。
図11図11は、第3の実施形態に係るショベル制御システムの構成例を示す概略図である。
図12図12は、第3の実施形態に係るショベル制御システムにおいてショベルの半自動制御を遠隔操作で行う場合の処理の流れを示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して、ショベル制御システムSYSの概要を説明する。図1は、第1の実施形態に係るショベル制御システムSYSの一例を示す概要図である。
【0011】
図1に示すように、第1の実施形態に係るショベル制御システムSYSは、ショベル100と、管理装置300(外部装置の一例)と、定点計測装置400と、を含んでいる。ショベル100、管理装置300、及び定点計測装置400は、通信回線NWを介して情報の送受信を可能としている。
【0012】
ショベル制御システムSYSに含まれるショベル100は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。ショベル制御システムSYSは、複数のショベル100の各々について制御等を行うことができる。
【0013】
また、ショベル制御システムSYSに含まれる管理装置300は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。これにより、ショベル制御システムSYSは、各種機能を複数台の管理装置300により分散して実現することができる。
【0014】
また、ショベル制御システムSYSに含まれる定点計測装置400は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。これにより、ショベル制御システムSYSは、複数台の定点計測装置400によって、ショベル100が作業を行う作業現場の空間を測定し、測定結果に基づいて作業現場全体の状況を認識できる。なお、本実施形態は、作業現場の測定を行う空間認識装置の一例として、定点計測装置400を用いた例について説明するが、ドローン又は作業者が所有する空間認識装置等を用いてもよい。
【0015】
<ショベルの概要>
図2を参照して、本実施形態に係るショベル100の概要について説明する。図2は、第1の実施形態に係る掘削機としてのショベル100の側面図である。ショベル100の下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載される。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられる。エンドアタッチメントは、法面用バケット又は浚渫用バケット等であってもよい。
【0016】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられる。掘削アタッチメントには、バケットチルト機構が設けられていてもよい。
【0017】
ブーム角度センサS1はブーム4の回動角度を検出する。本実施形態では、ブーム角度センサS1は加速度センサであり、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度であるブーム角度を検出できる。ブーム角度は、例えば、ブーム4を最も下げたときに最小角度となり、ブーム4を上げるにつれて大きくなる。
【0018】
アーム角度センサS2はアーム5の回動角度を検出する。本実施形態では、アーム角度センサS2は加速度センサであり、ブーム4に対するアーム5の回動角度であるアーム角度を検出できる。アーム角度は、例えば、アーム5を最も閉じたときに最小角度となり、アーム5を開くにつれて大きくなる。
【0019】
バケット角度センサS3はバケット6の回動角度を検出する。本実施形態では、バケット角度センサS3は加速度センサであり、アーム5に対するバケット6の回動角度であるバケット角度を検出できる。バケット角度は、例えば、バケット6を最も閉じたときに最小角度となり、バケット6を開くにつれて大きくなる。
【0020】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3は、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、又は、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ等であってもよい。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3は、掘削アタッチメントの姿勢を検出する姿勢センサを構成する。
【0021】
上部旋回体3には運転室であるキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載される。また、上部旋回体3には機体傾斜センサS4、及び旋回角速度センサS5が取り付けられる。また、上部旋回体3には、通信装置T1及び測位装置S6が取り付けられている。
【0022】
機体傾斜センサS4は所定の平面に対する上部旋回体3の傾斜を検出するように構成されている。本実施形態では、機体傾斜センサS4は、水平面に関する上部旋回体3の前後軸回りの傾斜角及び左右軸回りの傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。
【0023】
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS5は、レゾルバ又はロータリエンコーダ等であってもよい。旋回角速度センサS5は、旋回速度を検出してもよい。旋回速度は、旋回角速度から算出されてもよい。
【0024】
通信装置T1は、ショベル100と外部との間の通信を制御する装置である。通信装置T1は、例えば、外部のGNSS(Global Navigation Satellite System)測量システムとショベル100との間の無線通信を制御する。ショベル100は、通信装置T1を用いることで無線通信を介して設計データを取得できる。但し、ショベル100は、半導体メモリ等を用いて設計データを取得してもよい。なお、設計データは、三次元設計データを含む。
【0025】
測位装置S6は、ショベル100の位置に関する情報を取得するように構成されている。本実施形態では、測位装置S6は、ショベル100の位置及び向きを測定するように構成されている。具体的には、測位装置S6は、電子コンパスを組み込んだGNSS受信機であり、ショベル100の現在位置の緯度、経度、及び高度を測定し、且つ、ショベル100の向きを測定する。測位装置S6が取得する位置情報は、基準座標系で表現されている。基準座標系は、例えば、世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、そして、Z軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。
【0026】
キャビン10内には、入力装置D1、音出力装置D2、表示装置D3、記憶装置D4、ゲートロックレバーD5、及びコントローラ30が設置される。
【0027】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施形態では、コントローラ30は、CPU及び内部メモリ等を含む演算処理装置で構成される。コントローラ30の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0028】
入力装置D1は、ショベル100の操作者がコントローラ30に各種情報を入力するための装置である。本実施形態では、入力装置D1は、表示装置D3の周囲に取り付けられるメンブレンスイッチである。入力装置D1は、表示装置D3のそれぞれに対応付けられて個別に設置されていてもよい。この場合、入力装置D1はタッチパネルであってもよい。
【0029】
音出力装置D2は、コントローラ30からの音出力指令に応じて各種音声情報を出力する。本実施形態では、音出力装置D2は、コントローラ30に直接接続された車載スピーカである。音出力装置D2はブザー等の警報器であってもよい。
【0030】
表示装置D3は、コントローラ30からの指令に応じて各種画像情報を出力する。本実施形態では、表示装置D3は、コントローラ30に直接接続される車載液晶ディスプレイである。
【0031】
記憶装置D4は、各種情報を記憶するための装置である。本実施形態では、記憶装置D4として、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体が用いられる。記憶装置D4は、設計データ等を記憶する。記憶装置D4は、コントローラ30等が出力する各種情報を記憶してもよい。
【0032】
ゲートロックレバーD5は、ショベル100が誤って操作されるのを防止する機構である。本実施形態では、ゲートロックレバーD5は、キャビン10のドアと運転席10Sとの間に配置される。ゲートロックレバーD5が引き上げられた場合、各種操作装置は操作可能となる。一方、ゲートロックレバーD5が押し下げられた場合、各種操作装置は操作不能となる。
【0033】
図3は、図2のショベル100の駆動制御系の構成例を示す図である。図3において、機械的動力伝達系は二重線、作動油ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は点線でそれぞれ示される。
【0034】
本実施形態に係るショベル100の駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1L,1R、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。
【0035】
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。具体的には、エンジン11は、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。
【0036】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(傾転角)を調節する。レギュレータ13は、例えば、後述の如く、レギュレータ13L,13Rを含む。
【0037】
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30による制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることでピストンのストローク長が調整され、吐出流量(吐出圧)が制御される。メインポンプ14は、例えば、後述の如く、メインポンプ14L,14Rを含む。
【0038】
コントロールバルブ17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。本実施形態では、コントロールバルブ17は、制御弁171~176を含む。制御弁175は制御弁175L及び制御弁175Rを含み、制御弁176は制御弁176L及び制御弁176Rを含む。コントロールバルブ17は、制御弁171~176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。制御弁171~176は、例えば、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行油圧モータ1L、1R、及び旋回油圧モータ2Aを含む。より具体的には、制御弁171は、左走行油圧モータ1Lに対応し、制御弁172は、右走行油圧モータ1Rに対応し、制御弁173は、旋回油圧モータ2Aに対応する。また、制御弁174は、バケットシリンダ9に対応し、制御弁175は、ブームシリンダ7に対応し、制御弁176は、アームシリンダ8に対応する。また、制御弁175は、例えば、後述の如く、制御弁175L,175Rを含み、制御弁176は、例えば、後述の如く、制御弁176L,176Rを含む。制御弁171~176の詳細は、後述する。
【0039】
パイロットポンプ15は、パイロット圧生成装置の一例であり、パイロットラインを介して油圧制御機器に作動油を供給できるように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロット圧生成装置は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給する機能に加え、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給する機能を備えていてもよい。この場合、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。
【0040】
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも一方を含む。
【0041】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出するように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。吐出圧センサ28は、例えば、後述の如く、吐出圧センサ28L,28Rを含む。
【0042】
操作センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出するように構成されている。本実施形態では、操作センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。本実施形態では、コントローラ30は、操作センサ29の出力に応じて比例弁31の開口面積を制御する。そして、コントローラ30は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、原則として、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。このように、操作装置26は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。
【0043】
マシンコントロール用制御弁として機能する比例弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17内の制御弁のパイロットポートとを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、コントロールバルブ17内の制御弁のパイロットポートに供給できる。比例弁31は、例えば、後述の如く、比例弁31AL,31AR,31BL,31BR,31CL,31CRを含む。
【0044】
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。
【0045】
例えば、コントローラ30は、操作者等の所定操作により予め設定される作業モード等に基づき、目標回転数を設定し、エンジン11を一定回転させる駆動制御を行う。
【0046】
また、例えば、コントローラ30は、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。
【0047】
また、例えば、コントローラ30は、例えば、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能に関する制御を行う。また、コントローラ30は、例えば、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能に関する制御を行う。
【0048】
なお、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散される態様で実現されてもよい。例えば、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能は、専用のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。
【0049】
[ショベルの油圧システム]
次に、図4を参照して、本実施形態に係るショベル100の油圧システムについて説明する。
【0050】
図4は、本実施形態に係るショベル100の油圧システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【0051】
なお、図4において、機械的動力系、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御系は、図3等の場合と同様、それぞれ、二重線、実線、破線、及び点線で示されている。
【0052】
当該油圧回路により実現される油圧システムは、エンジン11により駆動されるメインポンプ14L,14Rのそれぞれから、センタバイパス油路C1L,C1R、パラレル油路C2L,C2Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
【0053】
センタバイパス油路C1Lは、メインポンプ14Lを起点として、コントロールバルブ17内に配置される制御弁171,173,175L,176Lを順に通過し、作動油タンクに至る。
【0054】
センタバイパス油路C1Rは、メインポンプ14Rを起点として、コントロールバルブ17内に配置される制御弁172,174,175R,176Rを順に通過し、作動油タンクに至る。
【0055】
制御弁171は、メインポンプ14Lから吐出される作動油を走行油圧モータ1Lへ供給し、且つ、走行油圧モータ1Lが吐出する作動油を作動油タンクに排出させるスプール弁である。
【0056】
制御弁172は、メインポンプ14Rから吐出される作動油を走行油圧モータ1Rへ供給し、且つ、走行油圧モータ1Rが吐出する作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0057】
制御弁173は、メインポンプ14Lから吐出される作動油を旋回油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0058】
制御弁174は、メインポンプ14Rから吐出される作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0059】
制御弁175L,175Rは、それぞれ、メインポンプ14L,14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出させるスプール弁である。
【0060】
制御弁176L,176Rは、メインポンプ14L,14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出させる。
【0061】
制御弁171,172,173,174,175L,175R,176L,176Rは、それぞれ、パイロットポートに作用するパイロット圧に応じて、油圧アクチュエータに給排される作動油の流量を調整したり、流れる方向を切り換えたりする。
【0062】
パラレル油路C2Lは、センタバイパス油路C1Lと並列的に、制御弁171,173,175L,176Lにメインポンプ14Lの作動油を供給する。具体的には、パラレル油路C2Lは、制御弁171の上流側でセンタバイパス油路C1Lから分岐し、制御弁171,173,175L,176Rのそれぞれに並列してメインポンプ14Lの作動油を供給可能に構成される。これにより、パラレル油路C2Lは、制御弁171,173,175Lの何れかによってセンタバイパス油路C1Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0063】
パラレル油路C2Rは、センタバイパス油路C1Rと並列的に、制御弁172,174,175R,176Rにメインポンプ14Rの作動油を供給する。具体的には、パラレル油路C2Rは、制御弁172の上流側でセンタバイパス油路C1Rから分岐し、制御弁172,174,175R,176Rのそれぞれに並列してメインポンプ14Rの作動油を供給可能に構成される。パラレル油路C2Rは、制御弁172,174,175Rの何れかによってセンタバイパス油路C1Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0064】
レギュレータ13L,13Rは、それぞれ、コントローラ30による制御下で、メインポンプ14L,14Rの斜板の傾転角を調節することによって、メインポンプ14L,14Rの吐出量を調節する。
【0065】
吐出圧センサ28Lは、メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出された吐出圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。吐出圧センサ28Rについても同様である。これにより、コントローラ30は、メインポンプ14L,14Rの吐出圧に応じて、レギュレータ13L,13Rを制御することができる。
【0066】
センタバイパス油路C1L,C1Rには、最も下流にある制御弁176L,176Rのそれぞれと作動油タンクとの間には、ネガティブコントロール絞り(以下、「ネガコン絞り」)18L,18Rが設けられる。これにより、メインポンプ14L,14Rにより吐出された作動油の流れは、ネガコン絞り18L,18Rで制限される。そして、ネガコン絞り18L,18Rは、レギュレータ13L,13Rを制御するための制御圧(以下、「ネガコン圧」)を発生させる。
【0067】
ネガコン圧センサ19L,19Rは、ネガコン圧を検出し、検出されたネガコン圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0068】
コントローラ30は、吐出圧センサ28L,28Rにより検出されるメインポンプ14L,14Rの吐出圧に応じて、レギュレータ13L,13Rを制御し、メインポンプ14L,14Rの吐出量を調節してよい。例えば、コントローラ30は、メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて、レギュレータ13Lを制御し、メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することにより、吐出量を減少させてよい。レギュレータ13Rについても同様である。これにより、コントローラ30は、吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14L,14Rの吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないように、メインポンプ14L,14Rの全馬力制御を行うことができる。
【0069】
また、コントローラ30は、ネガコン圧センサ19L,19Rにより検出されるネガコン圧に応じて、レギュレータ13L,13Rを制御することにより、メインポンプ14L,14Rの吐出量を調節してよい。例えば、コントローラ30は、ネガコン圧が大きいほどメインポンプ14L,14Rの吐出量を減少させ、ネガコン圧が小さいほどメインポンプ14L,14Rの吐出量を増大させる。
【0070】
具体的には、ショベル100における油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態(図4に示す状態)の場合、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油は、センタバイパス油路C1L,C1Rを通ってネガコン絞り18L,18Rに至る。そして、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油の流れは、ネガコン絞り18L,18Rの上流で発生するネガコン圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、メインポンプ14L,14Rの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油がセンタバイパス油路C1L,C1Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。
【0071】
一方、何れかの油圧アクチュエータが操作装置26を通じて操作された場合、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、メインポンプ14L,14Rから吐出される作動油の流れは、ネガコン絞り18L,18Rに至る量を減少或いは消失させ、ネガコン絞り18L,18Rの上流で発生するネガコン圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、メインポンプ14L,14Rの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータを確実に駆動させることができる。
【0072】
操作装置26は、左操作レバー26L、右操作レバー26R及び走行レバー26Dを含む。走行レバー26Dは、左走行レバー26DL及び右走行レバー26DRを含む。
【0073】
左操作レバー26Lは、旋回操作とアーム5の操作に用いられる。左操作レバー26Lが、前後方向に操作された場合、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁176のパイロットポートに導入させる。また、左操作レバー26Lが、左右方向に操作された場合、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁173のパイロットポートに導入させる。
【0074】
具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向に操作された場合に、制御弁176Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向に操作された場合には、制御弁176Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、左旋回方向に操作された場合に、制御弁173の左側パイロットポートに作動油を導入させ、右旋回方向に操作された場合に、制御弁173の右側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0075】
右操作レバー26Rは、ブーム4の操作とバケット6の操作に用いられる。右操作レバー26Rは、前後方向に操作された場合、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁175のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作された場合、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁174のパイロットポートに導入させる。
【0076】
具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向に操作された場合に、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向に操作された場合には、制御弁175Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向に操作された場合に、制御弁174の右側パイロットポートに作動油を導入させ、バケット開き方向に操作された場合に、制御弁174の左側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0077】
以下では、左右方向に操作される左操作レバー26Lは、「旋回操作レバー」と称され、前後方向に操作される左操作レバー26Lは、「アーム操作レバー」と称される場合がある。また、左右方向に操作される右操作レバー26Rは、「バケット操作レバー」と称され、前後方向に操作される右操作レバー26Rは、「ブーム操作レバー」と称される場合がある。
【0078】
左走行レバー26DLは、左クローラ1CLの操作に用いられる。左走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。左走行レバー26DLは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁171のパイロットポートに導入させる。右走行レバー26DRは、右クローラ1CRの操作に用いられる。右走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。右走行レバー26DRは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁172のパイロットポートに導入させる。
【0079】
操作センサ29は、操作者による操作装置26の操作の内容を検出できるように構成されている。本実施形態では、操作センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0080】
操作センサ29は、操作センサ29LA、29LB、29RA、29RB、29DL、29DRを含む。操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作の内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
【0081】
同様に、操作センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29DLは、操作者による左走行レバー26DLに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29DRは、操作者による右走行レバー26DRに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0082】
コントローラ30は、操作センサ29の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。また、コントローラ30は、絞り18の上流に設けられた制御圧センサ19の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。絞り18は左絞り18L及び右絞り18Rを含み、制御圧センサ19はネガコン圧センサ19L、19Rを含む。
【0083】
[ショベルのマシンコントロール機能に関する構成の詳細]
次に、図5を参照して、ショベル100のマシンコントロール機能に関する構成の詳細について説明する。
【0084】
図5は、油圧システムの一部を抜き出した図である。具体的には、図5(A)は、アームシリンダ8の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、図5(B)は、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。図5(C)は、バケットシリンダ9の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、図5(D)は、旋回油圧モータ2Aの操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
【0085】
図5に示すように、油圧システムは、比例弁31を含む。比例弁31は、比例弁31AL~31DL及び31AR~31DRを含む。
【0086】
比例弁31は、マシンコントロール用制御弁として機能する。比例弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートとを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。そして、コントローラ30は、比例弁31が生成するパイロット圧を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。
【0087】
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。また、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われている場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータの動作を強制的に停止させることができる。
【0088】
例えば、図5(A)に示すように、左操作レバー26Lは、アーム5を操作するために用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁176のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの右側パイロットポートと制御弁176Rの左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの左側パイロットポートと制御弁176Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0089】
操作装置26にはスイッチSWが設けられている。本実施形態では、スイッチSWは、スイッチSW1及びスイッチSW2を含む。スイッチSW1は、左操作レバー26Lの先端に設けられた押しボタンスイッチである。操作者は、スイッチSW1を押しながら左操作レバー26Lを操作できる。スイッチSW1は、右操作レバー26Rに設けられていてもよく、キャビン10内の他の位置に設けられていてもよい。スイッチSW2は、左走行レバー26DLの先端に設けられた押しボタンスイッチである。操作者は、スイッチSW2を押しながら左走行レバー26DLを操作できる。スイッチSW2は、右走行レバー26DRに設けられていてもよく、キャビン10内の他の位置に設けられていてもよい。
【0090】
操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0091】
比例弁31ALは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31ALを介して制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ARは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31ARを介して制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ALは、制御弁176L及び制御弁176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、比例弁31ARは、制御弁176L及び制御弁176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0092】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作に応じ、或いは、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、アーム5を閉じることができる。
【0093】
また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作に応じ、或いは、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、アーム5を開くことができる。
【0094】
また、この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、制御弁176の閉じ側のパイロットポート(制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポート)に作用するパイロット圧を減圧し、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させることができる。操作者によるアーム開き操作が行われているときにアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0095】
コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、比例弁31ARを制御し、制御弁176の閉じ側のパイロットポートの反対側にある、制御弁176の開き側のパイロットポート(制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポート)に作用するパイロット圧を増大させ、制御弁176を強制的に中立位置に戻すことで、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させてもよい。操作者によるアーム開き操作が行われている場合にアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0096】
また、以下の図5(B)~図5(D)を参照しながらの説明を省略するが、操作者によるブーム上げ操作又はブーム下げ操作が行われている場合にブーム4の動作を強制的に停止させる場合、操作者によるバケット閉じ操作又はバケット開き操作が行われている場合にバケット6の動作を強制的に停止させる場合、及び、操作者による旋回操作が行われている場合に上部旋回体3の旋回動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0097】
また、操作者による走行操作が行われている場合に下部走行体1の走行動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0098】
また、図5(B)に示すように、右操作レバー26Rは、ブーム4を操作するために用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁175のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Lの右側パイロットポートと制御弁175Rの左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0099】
操作センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0100】
比例弁31BLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31BLを介して制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31BRを介して制御弁175Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BLは、制御弁175L及び制御弁175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。また、比例弁31BRは、制御弁175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0101】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作に応じ、或いは、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、ブーム4を上げることができる。
【0102】
また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作に応じ、或いは、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、ブーム4を下げることができる。
【0103】
また、図5(C)に示すように、右操作レバー26Rは、バケット6を操作するためにも用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁174のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、バケット開き方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の右側パイロットポートに作用させる。
【0104】
操作センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0105】
比例弁31CLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31CLを介して制御弁174の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31CRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31CRを介して制御弁174の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31CLは、制御弁174を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、比例弁31CRは、制御弁174を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0106】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CLを介し、制御弁174の左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CLを介し、制御弁174の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作に応じ、或いは、操作者によるバケット閉じ操作とは無関係に、バケット6を閉じることができる。
【0107】
また、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CRを介し、制御弁174の右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CRを介し、制御弁174の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作に応じ、或いは、操作者によるバケット開き操作とは無関係に、バケット6を開くことができる。
【0108】
また、図5(D)に示すように、左操作レバー26Lは、旋回機構2を操作するためにも用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁173のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、左旋回方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、右旋回方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の右側パイロットポートに作用させる。
【0109】
操作センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0110】
比例弁31DLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31DLを介して制御弁173の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31DRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31DRを介して制御弁173の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31DLは、制御弁173を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、比例弁31DRは、制御弁173を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0111】
この構成により、コントローラ30は、操作者による左旋回操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DLを介し、制御弁173の左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者による左旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DLを介し、制御弁173の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者による左旋回操作に応じ、或いは、操作者による左旋回操作とは無関係に、旋回機構2を左旋回させることができる。
【0112】
また、コントローラ30は、操作者による右旋回操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DRを介し、制御弁173の右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者による右旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DRを介し、制御弁173の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者による右旋回操作に応じ、或いは、操作者による右旋回操作とは無関係に、旋回機構2を右旋回させることができる。
【0113】
また、左走行レバー26DLは、左クローラ1CLを操作するために用いられる。具体的には、左走行レバー26DLは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁171のパイロットポートに作用させる。操作センサ29DLは、操作者による左走行レバー26DLに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値を示す電流指令をコントローラ30に出力する。これにより、コントローラ30が電流指令に応じて動作する。
【0114】
そして、コントローラ30は、上述した構成と同様に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、(図示しない)比例弁を介し、制御弁171の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、左クローラ1CLを前進させることができる。また、コントローラ30は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、(図示しない)比例弁を介し、制御弁171の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、左クローラ1CLを後進させることができる。
【0115】
また、右走行レバー26DRは、右クローラ1CRを操作するために用いられる。具体的には、右走行レバー26DRは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁172のパイロットポートに作用させる。操作センサ29DRは、操作者による右走行レバー26DRに対する前後方向への操作の内容を電気的に検出し、検出した値を示す電流指令をコントローラ30に対して出力する。これにより、コントローラ30が電流指令に応じて動作する。
【0116】
そして、コントローラ30は、上述した構成と同様に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、制御弁172の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、右クローラ1CRを前進させることができる。また、コントローラ30は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、制御弁172の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、右クローラ1CRを後進させることができる。
【0117】
また、ショベル100は、バケットチルト機構を自動的に動作させる構成を備えていてもよい。この場合、バケットチルト機構を構成するバケットチルトシリンダに関する油圧システム部分は、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分等と同じように構成されてもよい。
【0118】
また、操作装置26の形態として電気式操作レバーに関する説明を記載したが、電気式操作レバーではなく油圧式操作レバーが採用されてもよい。この場合、油圧式操作レバーのレバー操作量は、圧力センサによって圧力の形で検出されてコントローラ30へ入力されてもよい。また、油圧式操作レバーとしての操作装置26と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置されてもよい。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、油圧式操作レバーとしての操作装置26を用いた手動操作が行われると、操作装置26は、レバー操作量に応じてパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。また、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
【0119】
図6は、本実施形態に係るショベル制御システムSYSの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。管理装置300及び定点計測装置400の構成について説明する。なお、ショベル100の構成については上述した通りなので、説明を省略する。
【0120】
<管理装置の構成>
管理装置(外部装置の一例)300は、通信装置301と、記憶装置302と、コントローラ303とを含む。
【0121】
通信装置301は、通信回線NWを通じて、ショベル100、及び定点計測装置400等の外部と通信を行うためのインタフェースである。通信装置301は、例えば、LTE、4G、5G等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールであってよい。
【0122】
コントローラ303は、管理装置300に関する制御を行う。コントローラ303は、例えば、任意のハードウェア、又は、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等によりその機能が実現されてよい。コントローラ303は、例えば、CPU等のプロセッサ装置、RAM等のメモリ装置(主記憶装置)、ROM等の補助記憶装置、及び外部とのインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成されてよい。例えば、コントローラ303は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードし、CPU上で実行することにより各種機能を実現する。プログラムのデータは、例えば、所定の外部インタフェースを通じて、所定の記憶媒体からコントローラ303により取得され、補助記憶装置にインストールされる。
【0123】
記憶装置302は、読み書き可能な不揮発性の記憶媒体とする。記憶装置302は、施工情報記憶部321と、作業現場情報記憶部322と、を備える。
【0124】
施工情報記憶部321は、ショベル100が作業現場で作業を行うための施工情報を記憶する。施工情報とは、作業現場に存在する土砂等の施工後の形状を表した3次元データとする。施工情報は、施工後の物体の3次元形状及び位置を、上述した基準座標系で表現されている。
【0125】
作業現場情報記憶部322は、定点計測装置400による測定情報に基づいて生成された仮想的な作業現場空間の3次元形状を表現した作業現場情報を記憶する。当該作業現場情報は、作業現場の現在の物体の3次元的形状及び位置を、上述した基準座標系で保持している。
【0126】
<定点計測装置の構成>
定点計測装置400は、通信装置401と、位置情報記憶部402と、空間認識装置403と、コントローラ404とを含む。
【0127】
通信装置401は、通信回線NWを通じて、ショベル100、及び管理装置300等の外部と通信を行うためのインタフェースである。通信装置401は、例えば、LTE、4G、5G等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールであってよい。
【0128】
位置情報記憶部402は、定点計測装置400の位置情報を記憶している。位置情報は、例えば、GNSSで取得する位置情報と同様の基準座標系で表現されている。基準座標系は、例えば、上述した世界測地系である。
【0129】
空間認識装置403は、ショベル100が作業している作業現場に存在する物体を検出するためにLIDARを用いる。LIDARは、例えば、監視範囲内にある100万点以上の点とLIDARとの間の距離を測定する。なお、本実施形態は、LIDARを用いる手法に制限するものではなく、物体との間の距離を計測可能な空間認識装置であればよい。例えば、ステレオカメラを用いてもよいし、距離画像カメラ、又はミリ波レーダなどの測距装置を用いてもよい。空間認識装置403としてミリ波レーダ等が利用される場合には、空間認識装置403から多数の信号(レーザ光等)を物体に向けて発信し、その反射信号を受信することで、反射信号から物体の距離及び方向を導き出してもよい。
【0130】
コントローラ404は、定点計測装置400に関する制御を行う。コントローラ404は、例えば、任意のハードウェア、又は、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等によりその機能が実現されてよい。コントローラ404は、例えば、CPU等のプロセッサ装置、RAM等のメモリ装置(主記憶装置)、及びROM等の補助記憶装置等を含むコンピュータを中心に構成されてよい。例えば、コントローラ404は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードし、CPU上で実行することにより各種機能を実現する。
【0131】
[ショベルに対して提供するサービスの説明]
本実施形態に係るショベル100は、空間認識装置等が備えておらず、当該ショベル100のショベルコントローラ50は、操作装置26で所定のレバーが傾けられた場合に、施工情報に従って動作させるような半自動制御などの高度な制御するためのプログラムを備えていない。
【0132】
これは、上述した半自動制御を実現可能なショベルはコストが高いために導入が控えられる場合などが存在するためである。
【0133】
しかしながら、ショベル100であっても、作業工程によっては、半自動制御等を利用したい場合が存在する。
【0134】
そこで、本実施形態においては、管理装置300が、ショベル100に対して、施工情報に従って動作させるような半自動制御等の支援を行う。
【0135】
具体的には、定点計測装置400がショベル100の作業現場を測定し、測定結果を管理装置300に送信する。これにより、管理装置300は、ショベル100の周辺の状況を3次元形状で認識できる。換言すれば、管理装置300は、ショベル100が空間認識装置を備えていなくとも、ショベル100の周辺の状況を認識できる。なお、本実施形態は、ショベル100の周辺の状況を計測する装置を、定点計測装置400に制限するものではなくドローン等であってもよい。
【0136】
また、ショベル100は、測位装置S6で測定された位置情報を、管理装置300に送信する。これにより管理装置300は、作業現場におけるショベル100の位置を認識できる。
【0137】
さらに、管理装置300は、施工後の土砂等の3次元形状を表した施工情報を保持している。これにより、管理装置300は、ショベル100から操作信号を受信した場合に、当該操作信号に対応して、施工情報に従って作業を行うための制御信号を生成し、ショベル100に送信する。
【0138】
本実施形態に係るショベル100は、上述したように、操作装置26の形態として電気式操作レバーを備えている。このため、ショベル100のショベルコントローラ50は、管理装置300から制御信号を受信した場合に、当該制御信号に基づいて、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のうち少なくとも一つ以上について半自動制御を行うことができる。
【0139】
つまり、本実施形態に係るショベル100のショベルコントローラ50は、操作装置26が受け付けた操作情報(第1操作情報の例)に従って上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のうち少なくとも一つ以上を動作させるマニュアル制御(第1制御の例)と、制御信号を管理装置300から受信し、受信した制御信号に従って半自動制御等を行うネットワーク制御(第2制御の例)と、の切り替えを実現する。マニュアル制御、及びネットワーク制御については後述する。
【0140】
次に、定点計測装置400のコントローラ404、ショベル100のショベルコントローラ50、及び管理装置300のコントローラ303の各々の機能ブロックについて説明する。
【0141】
<<定点計測装置の機能ブロック>>
定点計測装置400のコントローラ404内の各機能ブロックについて説明する。コントローラ404内の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにより実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。
【0142】
送信制御部411は、空間認識装置403による測定情報と、位置情報記憶部402に記憶されている位置情報と、を対応付けて管理装置300に送信する。送信制御部411による測定情報の送信は、所定時間毎に行われる。例えば、送信制御部411は、空間認識装置403によって測定情報を取得する毎(例えばフレーム更新毎)に行ってもよい。
【0143】
<<ショベルの機能ブロック>>
ショベル100のショベルコントローラ(第1制御装置の一例)50内の各機能ブロックについて説明する。ショベルコントローラ50内の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにより実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。ショベルコントローラ50は、プログラムを実現することで、切替制御部501と、送信制御部502と、受信制御部503と、信号出力部504と、を備える。
【0144】
切替制御部501は、入力装置D1に対する入力操作に従って、マニュアル制御と、ネットワーク制御とを切り替える。
【0145】
マニュアル制御(第1制御の例)は、操作装置26が受け付けた操作に従って、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、又はバケット6を動作させる制御をいう。例えば、左操作レバー26Lが、前後方向に操作された場合、アーム5を閉じ方向に動作させる、又はアーム5を開き方向に動作させる制御とする。つまり、操作レバーの操作方向に割り当てられた構成を、傾き量に応じて動作させる制御とする。このように、マニュアル制御は、施工対象の3次元形状が示された施工情報に基づいたショベル100の制御を含まない。
【0146】
ネットワーク制御(第2制御の例)は、管理装置300からの制御信号を受信し、当該制御信号に基づいて、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のうち少なくとも一つ以上を動作させる制御をいう。例えば、ネットワーク制御で管理装置300から送信される制御信号は、施工情報に基づいて、施工対象の3次元形状を形成するために、ショベル100を制御(例えば半自動制御又は全自動制御)させる信号であってもよい。
【0147】
例えば、ネットワーク制御は、バケット6に土砂を積載した後に、ブーム4を開く方向への操作を示した操作情報を、管理装置300に送信することで、バケット6に土砂の積載状態を維持するようにバケット6の開口面の水平状態を維持した状態で、ブーム4上げを行うためのブーム4、アーム5、及びバケット6の各々を動作させるための制御信号を受信し、当該制御信号に基づいて、ブーム4、アーム5、及びバケット6の各々を動作させる。
【0148】
ネットワーク制御の他の例としては、施工情報に従って施工対象に対して定められた3次元形状を形成する際、例えば、土砂に対して法面を形成する際に、アーム5を開く方向への操作を示した操作情報を、管理装置300に送信することで、バケット6の底面が、当該法面に沿って移動するようなブーム4、アーム5、及びバケット6の各々を動作させる制御信号を受信し、当該制御信号に基づいて、ブーム4、アーム5、及びバケット6を動作させる半自動制御を行う。
【0149】
なお、ネットワーク制御は、上述した制御に制限するものではなく、操作装置26が受け付けた操作に対して、管理装置300が半自動制御等の動作の支援を行う制御であればよい。
【0150】
送信制御部502は、通信装置T1を介して、様々な情報を、管理装置300に送信するための制御を行う。例えば、切替制御部501によって、ネットワーク制御に切り替えられていた場合、送信制御部502は、操作装置26が受け付けた操作を示す操作情報(第2操作情報の一例)、ショベル100に設けられた各種センサからの検出結果を示した検出情報、及び、測位装置S6により取得されたショベル100の位置情報(向きを含む)を、管理装置300に送信する。検出情報には、例えば、ブーム4、アーム5、及びバケット6(アタッチメント)の位置を特定するための情報、例えば、ブーム角度センサ(検出装置の一例)S1により検出されたブーム4の回動角度、アーム角度センサ(検出装置の一例)S2により検出されたアーム5の回動角度、バケット角度センサ(検出装置の一例)S3により検出されたバケット6の回動角度が含まれている。
【0151】
受信制御部503は、通信装置T1を介して、様々な情報を、管理装置300から受信するための制御を行う。例えば、送信制御部502が操作情報を送信した場合、受信制御部503は、管理装置300から、操作情報に従ってショベル100の半自動制御等を行うための制御信号を受信する。また、検出情報が管理装置300に送信されている場合、当該制御信号は、検出情報から定められるブーム4、アーム5、及びバケット6の位置、換言すればショベル100の現在の動作状況に基づいた制御を行う制御信号となる。
【0152】
信号出力部504は、油圧システム等を制御するための制御信号を、油圧システム等に出力する。例えば、切替制御部501によって、マニュアル制御に切り替えられていた場合、信号出力部504は、操作装置26が受け付けた操作に対応して、当該操作方向に対応する構成を動作させるための制御信号を油圧システムに対して出力する。
【0153】
例えば、切替制御部501によって、ネットワーク制御に切り替えられていた場合、信号出力部504は、管理装置300から受信した制御信号を油圧システムに対して出力する。これにより、管理装置300からの支援に基づいた半自動制御等を実現できる。
【0154】
<<管理装置の機能ブロック>>
管理装置300のコントローラ(第2制御装置の一例)303内の各機能ブロックについて説明する。コントローラ303内の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにより実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。コントローラ303は、プログラムを実現することで、受信制御部331と、作業現場空間生成部332と、移動軌跡生成部333と、信号生成部334と、送信制御部335と、を備える。
【0155】
管理装置300は、ショベル100が行う作業を支援するために設けられた装置である。管理装置300は、サーバなどの装置で実現してもよい。なお、管理装置300は、サーバ等から提供される態様に制限するものではなく、クラウドサービスで実現されてもよい。
【0156】
管理装置300は、ショベル100がネットワーク制御に切り替えられた場合に、作業を行うための制御指令を生成し、生成した制御指令をショベル100に送信するための制御を行う。
【0157】
管理装置300は、ショベル100に対する制御の支援を、例えば有償のサービスとして提供してもよい。例えば、管理装置300は、ショベル100がネットワーク制御に切り替えられた後から、当該ネットワーク制御が終了するまでの時間を計測してもよい。そして、管理装置300の管理者は、計測された時間に対応する金額を、ショベル100の管理者に請求してもよい。請求手法は、どのような態様であってもよく、日又は月単位の定額料金であってもよい。
【0158】
受信制御部331は、通信装置T2を介して、様々な情報を、定点計測装置400及びショベル100の各々から受信するための制御を行う。
【0159】
例えば、受信制御部331は、定点計測装置400から、測定情報と位置情報とを受信する。
【0160】
他の例としては、受信制御部331は、ショベル100から、位置情報、検出情報、及び操作情報を受信する。検出情報には、各種センサの検出結果が含まれている。各種センサの検出結果としては、例えば、ブーム角度センサS1により検出されたブーム4の回動角度、アーム角度センサS2により検出されたアーム5の回動角度、バケット角度センサS3により検出されたバケット6の回動角度が含まれている。管理装置300は、予めブーム4、アーム5、及びバケット6のサイズを保持しているので、バケット6の位置を含めたショベル100のアタッチメントの現在の状況を認識できる。したがって、管理装置300は、ショベル100の現在の位置、及び、アタッチメントを含めた現在の動作状況を把握できる。検出情報としては、さらに機体傾斜センサS4、及び旋回角速度センサS5の各々の検出結果が含まれてもよい。当該検出結果が含まれている場合には、管理装置300は、当該検出結果を考慮した制御信号の生成が可能となる。
【0161】
作業現場空間生成部332は、受信制御部331が定点計測装置400から受信した測定情報及び位置情報に基づいて、作業現場の3次元形状を表した仮想的な作業現場空間を生成する。測定情報は、定点計測装置400を基準とした作業現場の物体までの距離を示した測定結果である。つまり、測定情報及び位置情報から、位置情報で示された位置からの物体までの距離を認識できる。したがって、作業現場空間生成部332は、作業現場に配置されている複数の定点計測装置400の各々からの位置情報及び測定情報から、作業現場に存在する物体の位置及び物体の形状が表された3次元マップを生成できる。生成された3次元マップは、作業現場情報記憶部322に格納される。
【0162】
移動軌跡生成部333は、ショベル100においてネットワーク制御が選択されている場合に、ショベル100のバケット6、上部旋回体3、及び下部走行体1のうち一つ以上が移動するための移動軌跡を生成する。
【0163】
例えば、バケット6に土砂等が積載されている状態で、ブーム4上げを示した操作情報に受信した際、移動軌跡生成部333は、バケット6の開口面を略水平に維持した状態でブーム4上げを行うためのバケット6の移動軌跡を生成する。
【0164】
他の例としては、3次元マップで表されている土砂の形状を、施工情報で示されている形状に施工するためのバケット6の移動軌跡を生成してもよい。
【0165】
信号生成部334は、検出情報で示されたショベル100の現在の状況に基づいて、ショベル100のバケット6、上部旋回体3又は下部走行体1が、生成された移動軌跡に沿って移動するための制御信号を生成する。生成される制御信号は、ブーム4、アーム5、バケット6、上部旋回体3、及び下部走行体1のうちいずれか一つ以上を動作させるための信号とする。
【0166】
送信制御部335は、信号生成部334により生成された制御信号を、ショベル100に送信する。これにより、ショベル100は、管理装置300によって生成された移動軌跡に従った半自動制御等を行うことができる。
【0167】
<具体的な作業の説明>
次に、管理装置300が制御信号を生成するための処理について説明する。図7は、作業現場空間生成部332により生成された仮想的な作業現場空間を説明するための概念図である。
【0168】
図7で示される仮想的な作業現場空間1701の3次元マップは、定点計測装置400からの測定情報及び位置情報に基づいて生成されたものである。そして、施工情報では法面1702を施工するように示されているものとする。
【0169】
作業現場空間生成部332は、ショベル100の各構成のサイズ、並びに、検出情報に含まれている、ブーム4の回動角度、アーム5の回動角度、及びバケット6の回動角度に基づいて、ショベル100の機体座標系1712における、バケット6の位置1713を示した位置座標P(xL,yL,zL)を特定できる。
【0170】
管理装置300は、ショベル100から、測位装置S6により取得されたショベル100の位置情報(向きを含む)を受信している。位置情報(向きを含む)は、ショベル100の基準座標系1711における位置及び向き、換言すれば、基準座標系1711と機体座標系1712との間の相対的な位置関係が示されている。そこで、作業現場空間生成部332は、基準座標系1711と機体座標系1712との間の相対的な位置に基づいて、基準座標系1711におけるバケット6の位置1713を示した位置座標P(xG,yG,zG)を特定できる。
【0171】
移動軌跡生成部333は、バケット6の現在の位置を開始地点として、法面1702を施工するようにバケット6を移動させる移動軌跡を生成できる。
【0172】
次に、ショベル100に対して送信する制御信号について説明する。図8は、本実施形態に係るショベル100が、受信した制御信号に従って行われる動作を示した図である。図8に示される例では、法面1801を施工するために、ショベル100のバケット6の移動軌跡1802が生成されている例とする。
【0173】
管理装置300は、バケット6を移動軌跡1802に沿って移動させるために、バケット6を回転方向1811に回転させ、アーム5を回転方向1812に回転させ、ブーム4を回転方向1813に回転させるための制御信号を生成し、送信する。
【0174】
そして、ショベル100の受信制御部503が制御信号を受信した場合に、信号出力部504が、受信した制御信号を油圧システム等に出力する。このように、本実施形態では、ショベル100に対して半自動制御等を提供することが可能となる。
【0175】
<ショベル制御システムSYSにおける処理の流れ>
次に、本実施形態に係るショベル制御システムSYSにおいてショベル100で半自動制御を行う場合の処理の流れについて説明する。図9は、本実施形態に係るショベル制御システムSYSにおいてショベル100の半自動制御を行う場合の処理の流れを示したシーケンス図である。
【0176】
まず、定点計測装置400は、空間認識装置403を用いて、周囲に存在する物体等を測定する(S1801)。そして、定点計測装置400の送信制御部411が、測定結果である測定情報を管理装置300に送信する(S1802)。
【0177】
そして、管理装置300の作業現場空間生成部332は、受信した測定情報に基づいて、仮想的な作業現場空間1701の3次元マップを生成する(S1803)。なお、S1801~S1803の処理は、定点計測装置400が測定する毎に作業現場情報記憶部322に記憶されている3次元マップを更新してよい。
【0178】
そして、ショベル100では、切替制御部501が、入力装置D1から受け付けた操作に従って、ネットワーク制御に切り替える(S1804)。
【0179】
そして、ショベル100の送信制御部502が、ネットワーク制御に切り替えられた旨を、管理装置300に通知する(S1805)。
【0180】
管理装置300の移動軌跡生成部333は、切り替えられた旨の通知に伴って、施工情報記憶部321から、ショベル100の施工情報を読み出す(S1806)。
【0181】
ショベル100のショベルコントローラ50は、各種センサの検出結果を示した検出情報及び測位装置S6から位置情報を取得する(S1807)。検出情報及び位置情報の取得は定期的に行われる。そして、送信制御部502は、検出情報及び位置情報を、管理装置300に送信する(S1808)。
【0182】
そして、管理装置300の移動軌跡生成部333は、ショベル100の現在の位置から施工情報に従って施工を行うための移動軌跡を生成する(S1809)。
【0183】
再び、ショベル100のショベルコントローラ50は、各種センサの検出結果を示した検出情報及び測位装置S6から位置情報を取得する(S1810)。さらに、ショベルコントローラ50は、操作装置26から操作を受け付ける(S1811)。
【0184】
そして、送信制御部502は、位置情報、検出情報、及び操作情報を送信する(S1812)。
【0185】
そして、管理装置300は、受信制御部331が、位置情報、検出情報、及び操作情報を受信した際に、信号生成部334は、下部走行体1又はバケット6等を現在の位置から移動軌跡に従って移動させるための制御信号を生成する(S1813)。
【0186】
送信制御部335は、信号生成部334により生成された制御信号を、ショベル100に送信する(S1814)。
【0187】
信号出力部504は、受信した制御信号を、油圧システムに出力する(S1815)。本実施形態においては、移動軌跡に沿ってショベル100を動作させるために、S1810~S1815の処理を繰り返す。
【0188】
上述した実施形態においては、管理装置300が制御信号をショベル100に送信することで、ショベル100においても、半自動制御のような高度な制御を実現できる。したがって、操作者の操作負担を軽減できる。
【0189】
(第1の実施形態の変形例1)
上述した実施形態では、管理装置300がショベル100から位置情報、及び検出情報を受信することで、ショベル100の現在の位置及び現在の動作状況(例えば、バケット6の位置)を認識する例について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、ショベル100の現在の位置及び現在の動作状況を認識する手法を、ショベル100から位置情報及び検出情報に基づく手法に制限するものではない。変形例では、定点計測装置400から測定情報に基づいて、ショベル100の位置及び動作状況を特定する例について説明する。
【0190】
本変形例に係る定点計測装置400は、測定情報を送信する。測定情報には、物体までの距離を示す情報が含まれているので、定点計測装置400を基準としたショベル100の位置、及び、ショベル100の形状も含まれている。このため、作業現場空間生成部332は、受信した測定情報に基づいて、ショベル100の位置及び形状を認識する。ショベル100の形状によって、アタッチメントの位置を認識できる。換言すれば、本変形例の管理装置300は、測定情報から、ショベル100の位置、及び、ショベル100の動作状況(例えば、バケット6の位置)を特定できる。
【0191】
また、定点計測装置400には撮像装置が設けられてもよい。そして、定点計測装置400は、撮像装置が撮像した画像情報を、管理装置300に送信してもよい。そして、管理装置300の作業現場空間生成部332は、測定情報及び画像情報の組み合わせに基づいて、ショベル100の位置及び動作状況を特定してもよい。
【0192】
(第1の実施形態の変形例2)
上述した実施形態では、定点計測装置400の測定情報に基づいて管理装置300が制御を行う場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、定点計測装置400が測定を行う場合に制限するものではない。例えば、ショベル100に対して着脱式の空間認識装置を用意してもよい。
【0193】
そして、ネットワーク制御を行う前に、ショベル100に対して空間認識装置を装着する。そして、ショベル100の通信装置T1が、空間認識装置の測定結果である測定情報を、管理装置300に送信してもよい。
【0194】
さらには、ショベル100に対して着脱可能な構成を空間認識装置に制限するものではなく、測位装置S6、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のうちいずれか一つ以上を着脱式としてもよい。
【0195】
つまり、本変形例では、空間認識装置と共に、測位装置S6、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3を、ショベル100に対して装着することで、上述した実施形態と同様の制御を実現する。
【0196】
空間認識装置、測位装置S6、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3は、例えば所定の業者から借りてもよい。そして、所定の業者から借りたこれらの構成を、ショベル100に対して装着してもよい。
【0197】
本変形例では、センシング関連の構成を標準装備としてショベル100に設けられるとコストが高くなるという問題が生じる一方、当該センシング関係を用いた半自動制御等を行いたいという要望も存在する。そこで本変形例では、必要に応じてセンシング関係の構成をショベル100に装着する手法を提案する。したがって、上述した実施形態のように定点計測装置400が作業現場に設置されていなくとも、管理装置300によって、ショベル100の制御の支援を実現できる。よって、操作者の作業負担を軽減できる。
【0198】
(第2の実施形態)
上述した実施形態では、管理装置300が、ショベル100から受信した操作情報を受信した場合に、制御信号を生成して送信する、いわゆる半自動制御を行う例について説明した。しかしながら、上述した実施形態のように半自動制御を行う例に制限するものではなく、管理装置300が、ショベル100の全自動制御を行ってもよい。そこで、第2の実施形態では、ショベル100の全自動制御を行う場合について説明する。なお、管理装置300及びショベル100の構成は、上述した実施形態と同様として説明を省略する。
【0199】
<ショベル制御システムSYSにおける処理の流れ>
次に、本実施形態に係るショベル制御システムSYSにおいてショベル100で半自動制御を行う場合の処理の流れについて説明する。図10は、本実施形態に係るショベル制御システムSYSにおいてショベル100の全自動制御を行う場合の処理の流れを示したシーケンス図である。
【0200】
まず、上述したS1801~S1803と同様の処理によって、管理装置300が作業現場の3次元マップの生成まで行う(S2001~S2003)。なお、S2001~S2003の処理は、定点計測装置400が測定する毎に3次元マップを更新してよい。
【0201】
そして、ショベル100では、切替制御部501が、入力装置D1から受け付けた操作に従って、ネットワーク制御に切り替える(S2004)。本実施形態においては、ネットワーク制御に切り替えた際に、全自動制御を行われる例とする。なお、このような切り替え手法に制限するものではなく、ネットワーク制御に切り替える際に、第1の実施形態で示した半自動制御と、本実施形態で示す全自動制御と、をユーザが選択可能としてもよい。
【0202】
なお、本実施形態は、入力装置D1からの操作によってネットワーク制御に切り替える手法に制限するものではない。例えば、切替制御部501が、作業現場の管理者が所有する通信端末からの受信した操作情報に従って、ネットワーク制御に切り替えてもよい。このように、本実施形態においては、ショベル100に搭乗してなくとも、ネットワーク制御に切り替えることができる。
【0203】
その後、S1805~S1809と同様の処理によって、管理装置300が、ショベルが作業するための移動軌跡の生成まで行う(S2005~S2009)。
【0204】
ショベル100のショベルコントローラ50は、各種センサの検出結果を示した検出情報及び測位装置S6から位置情報を取得する(S2010)。そして、送信制御部502は、検出情報及び位置情報を、管理装置300に送信する(S2011)。
【0205】
管理装置300は、受信制御部331が、位置情報、及び検出情報を受信した際に、信号生成部334は、下部走行体1又はバケット6等を現在の位置から移動軌跡に従って移動させるための制御信号を生成する(S2012)。
【0206】
送信制御部335は、信号生成部334により生成された制御信号を、ショベル100に送信する(S2013)。
【0207】
信号出力部504は、受信した制御信号を、油圧システムに出力する(S2014)。本実施形態においては、移動軌跡に沿ってショベル100を動作させるために、S2010~S2014の処理を繰り返す。
【0208】
つまり、本実施形態においては、ショベル100から受信した位置情報、及び検出情報に基づいてショベル100を移動させるための制御信号を生成し、送信する。これにより、ショベル100に操作者が搭乗していなくとも、ショベル100を用いた全自動制御によって、施工を行うことができる。
【0209】
(第3の実施形態)
上述した実施形態においては、ショベル100で半自動制御又は全自動制御を行う例について説明した。しかしながら、ショベル100で実現可能な制御を、半自動制御又は全自動制御に制限するものではない。そこで、第3の実施形態では、ショベル100で遠隔制御を行う場合について説明する。
【0210】
図11は、本実施形態に係るショベル制御システムSYS1の構成例を示す概略図である。図11に示される例では、ショベル100、管理装置300、定点計測装置400、及び遠隔操作室RCの間が通信回線NWを介して接続されている。なお、ショベル100、管理装置300の構成については上述した実施形態と同様とする。
【0211】
定点計測装置400には撮像装置が設けられてもよい。そして、定点計測装置400は、撮像装置が撮像した画像情報を含めた測定情報を、管理装置300に送信してもよい。
【0212】
ショベル100では、切替制御部501がネットワーク制御又はマニュアル制御に切り替え可能とする。本実施形態に係るネットワーク制御は、遠隔制御を示している。なお、ネットワーク制御の切り替えを行う際に、ショベル100の半自動制御、ショベル100の全自動制御、及びショベル100の遠隔制御のうちいずれか一つを選択可能としてもよい。
【0213】
そして、ネットワーク制御に切り替えられた場合に、遠隔操作室RCによる遠隔制御が開始される。なお、ネットワーク制御への切り替えは、ショベル100の入力装置D1から受け付けた操作に制限するものではなく、作業現場の管理者の通信端末からの操作情報に基づいたものであってもよい。
【0214】
切替制御部501によってネットワーク制御に切り変えられた場合に、ショベル100に設けられた通信装置T1を用いて、ショベル100に設けられた各種センサからの検出情報を、管理装置300に送信する。
【0215】
管理装置300の作業現場空間生成部332は、作業現場の3次元マップを生成するとともに、当該3次元マップ及び受信した画像情報に基づいて、ショベル100の位置からショベル100の周囲が表された表示画面を生成する。表示画面は、ショベル100のキャビン10を視点としてショベル100の周囲を表した仮想的な表示画面であってもよいし、ショベル100の周囲を表した俯瞰表示画面であってもよいし、作業現場の仮想的な3次元マップであってよいし、これらの組み合わせであってもよい。そして、送信制御部335が生成された表示画面を遠隔操作室RCに送信する。
【0216】
本実施形態に係るショベル制御システムSYS1の遠隔操作室RCには、表示装置DRと、操作装置D1Rと、圧力センサD2Rと、操作席DSと、遠隔コントローラ80と、通信装置T2と、が設けられている。操作席DSに操作者OPが搭乗する。
【0217】
遠隔コントローラ(遠隔制御装置の一例)80は、遠隔操作室RCの全体的な制御を行う。
【0218】
通信装置T2は、管理装置300及びショベル100との間で情報の送信及び受信を行う。
【0219】
表示装置DRは、通信装置T2を介して管理装置300から受信した表示画面を表示する。これにより、操作席DSに存在する操作者OPは、遠隔操作室RCに存在する場合でも、ショベル100の周囲の状況を確認できる。
【0220】
遠隔操作室RCの操作席DSに存在する操作者OPは、操作装置(遠隔操作装置の一例)D1Rに対して操作を行う。そして、圧力センサD2Rは、操作装置D1Rが受け付けた操作内容を検出する。
【0221】
本実施形態では、遠隔操作室RCから、ショベル100に対してマニュアル制御を行ってもよいし、半自動制御を行ってもよい。
【0222】
マニュアル制御を行う場合、遠隔コントローラ80は、検知された操作内容に対応する制御信号を生成する。例えば、操作装置D1Rの1つの操作レバーは、旋回操作とアーム5の操作に用いられる。遠隔コントローラ80は、当該操作レバーが前後方向に操作された場合、レバー操作量に応じた制御圧でアームシリンダ8を動作させるような制御信号を生成する。このように、遠隔コントローラ80は、操作レバーの操作量に応じてショベル100のマニュアル制御を行うための制御信号を生成する。そして、通信装置T2は、生成された制御信号を、ショベル100に送信する。遠隔コントローラ80が、制御信号を送信することで、ショベル100に対して遠隔によるマニュアル制御を実現できる。
【0223】
なお、本実施形態に係る遠隔操作室RCからのショベル100の遠隔操作は、上述したマニュアル制御に制限するものではなく、管理装置300からの支援による半自動制御であってもよい。次に半自動制御を行う場合について説明する。
【0224】
<ショベル制御システムSYS1における処理の流れ>
次に、本実施形態に係るショベル制御システムSYS1においてショベル100で半自動制御を行う場合の処理の流れについて説明する。図12は、本実施形態に係るショベル制御システムSYS1においてショベル100の半自動制御を遠隔操作で行う場合の処理の流れを示したシーケンス図である。
【0225】
まず、定点計測装置400は、空間認識装置403を用いて、周囲に存在する物体等を測定する(S2201)。本実施形態では、撮像装置を用いて周囲を撮像してもよい。そして、定点計測装置400の送信制御部411が、測定結果である測定情報を管理装置300に送信する(S2202)。当該測定情報には、撮像された画像情報も含まれる。
【0226】
そして、管理装置300の作業現場空間生成部332は、受信した測定情報に基づいて、仮想的な作業現場空間1701の3次元マップを生成する(S2203)。作業現場空間生成部332は生成された3次元形状に画像情報を張り付けてもよい。S2201~S2203の処理は、定点計測装置400が測定する毎に作業現場情報記憶部322に記憶されている3次元マップを更新してよい。
【0227】
そして、ショベル100では、切替制御部501が、入力装置D1から受け付けた入力操作又は通信端末から受信した操作情報に従って、ネットワーク制御(遠隔制御)に切り替える(S2204)。図12で示されるシーケンス図では、半自動制御を行うための設定がなされる。
【0228】
そして、ショベル100の送信制御部502が、ネットワーク制御に切り替えられた旨を、管理装置300に通知する(S2205)。
【0229】
そして、管理装置300の作業現場空間生成部332は、作業現場の3次元マップ、及び画像情報に基づいて、ショベル100の位置から参照可能な表示画面を生成する(S2206)。
【0230】
管理装置300の送信制御部335が、生成された表示画面を、遠隔操作室RCに送信する(S2207)。
【0231】
遠隔操作室RCの遠隔コントローラ80は、受信した表示画面を、表示装置DRに表示する(S2208)。
【0232】
一方、管理装置300の移動軌跡生成部333は、施工情報記憶部321から、ショベル100の施工情報を読み出す(S2209)。
【0233】
ショベル100のショベルコントローラ50は、各種センサの検出結果を示した検出情報及び測位装置S6から位置情報を取得する(S2210)。検出情報及び位置情報の取得は定期的に行われる。そして、送信制御部502は、検出情報及び位置情報を、管理装置300に送信する(S2211)。
【0234】
そして、管理装置300の移動軌跡生成部333は、ショベル100の現在の位置から施工情報に従って施工を行うための移動軌跡を生成する(S2212)。
【0235】
一方、ショベル100のショベルコントローラ50は、各種センサの検出結果を示した検出情報及び測位装置S6から位置情報を取得する(S2213)。そして、送信制御部502は、位置情報、及び検出情報を送信する(S2214)。
【0236】
一方、遠隔コントローラ80は、圧力センサD2Rを介して操作装置D1Rから操作を受け付ける(S2215)。
【0237】
そして、遠隔コントローラ80は、通信装置T2を用いて、受け付けた操作を示した操作情報(遠隔操作情報の一例)を送信する(S2216)。
【0238】
そして、管理装置300は、受信制御部331が、位置情報、及び検出情報を受信し、操作情報を受信した際に、信号生成部334は、操作に従って、下部走行体1又はバケット6等を現在の位置から移動軌跡に従って移動させるための制御信号を生成する(S2217)。
【0239】
送信制御部335は、信号生成部334により生成された制御信号を、ショベル100に送信する(S2218)。
【0240】
信号出力部504は、受信した制御信号を、油圧システムに出力する(S2219)。本実施形態においては、移動軌跡に沿ってショベル100を動作させるために、S2213~S2219の処理を繰り返す。
【0241】
本実施形態では、遠隔操作室RCと、管理装置300と、が別に設けられた例について説明した。しかしながら、本実施形態は、遠隔操作室RC及び管理装置300が別に設けられた例に制限するものではなく、遠隔操作室RCに管理装置300が設けられてもよい。
【0242】
本実施形態では、遠隔操作室RCで操作を行うことで、遠隔地からでもショベル100の制御が可能となる。したがって、作業現場が遠隔地の場合でも、ショベル100の操作者の確保が容易になる。
【0243】
<作用>
上述した実施形態及び変形例に係るショベル100は、上述した構成を備えることで、マニュアル制御とネットワーク制御とを切り替えることができる。つまり、ショベル100は、センシング関係を用いた高度な制御が不要な場合にはマニュアル制御によって作業を行い、高度な制御が必要な場合には管理装置300からの支援を受けられるネットワーク制御によって作業を行うことができる。これにより、操作者の作業負担を軽減できる。
【0244】
上述した実施形態においては、定点計測装置400によって作業現場の可視化が行われているので、管理装置300は作業現場の状況を把握できる。したがって、ショベル100は、高度なセンシング関係の構成が搭載されていなくとも、管理装置300からの制御信号に従って動作を行うことで、作業現場の状況に基づいた作業を実現できる。例えば、ショベル100は、管理装置300からの制御信号に従うことで、管理装置300が保持している施工情報に従って、作業現場の3次元形状を形成できるようにバケット6の動作を行うことができる。
【0245】
上述した実施形態及び変形例においては、ショベルは、空間認識装置などセンシング関係の構成、及びMC(machine control)制御を実現可能なコントローラを備えていなくとも、上述したような半自動制御、全自動制御、又は遠隔制御などの高度な制御を実現できるので、コストの削減を実現できる。
【0246】
以上、実施形態について詳述したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0247】
100 ショベル
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
S1 ブーム角度センサ
S2 アーム角度センサ
S3 バケット角度センサ
S4 機体傾斜センサ
S5 旋回角速度センサ
S6 測位装置
T1 通信装置
50 ショベルコントローラ
501 切替制御部
502 送信制御部
503 受信制御部
504 信号出力部
400 定点計測装置
401 通信装置
402 位置情報記憶部
403 空間認識装置
404 コントローラ
411 送信制御部
300 管理装置
301 通信装置
302 記憶装置
321 施工情報記憶部
322 作業現場情報記憶部
303 コントローラ
331 受信制御部
332 作業現場空間生成部
333 移動軌跡生成部
334 信号生成部
335 送信制御部
RC 遠隔操作室
DR 表示装置
D1R 操作装置
D2R 圧力センサ
80 遠隔コントローラ
T2 通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12