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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065883
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】美容器及び美容方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/12 20060101AFI20240508BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20240508BHJP
   A45D 44/22 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A61H33/12 B
A61H23/02 340
A45D44/22 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174957
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昌志
(72)【発明者】
【氏名】青木 雅代
(72)【発明者】
【氏名】大神 信孝
(72)【発明者】
【氏名】倉地 亜子
(72)【発明者】
【氏名】武田 壮司
【テーマコード(参考)】
4C074
4C094
【Fターム(参考)】
4C074AA05
4C074BB01
4C074CC03
4C074DD07
4C074HH01
4C094AA04
4C094DD08
4C094DD37
4C094EE02
4C094EE33
4C094GG06
(57)【要約】
【課題】肌に向けてスチームを放出する美容器において、スチームの放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を抑制することができる美容器を提供すること。
【解決手段】美容器1は、スチーム放出部10及び音波放出部20を備える。スチーム放出部10は、肌Pに向けてスチームSを放出する。音波放出部20は、肌Pに音刺激を付与するための音波Wを肌Pに向けて放出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌に向けてスチームを放出するスチーム放出部と、
上記肌に音刺激を付与するための音波を上記肌に向けて放出する音波放出部と、
を備える美容器。
【請求項2】
上記スチーム放出部による上記スチームの放出期間と、上記音波放出部による上記音波の放出期間とが互いに重複するように、上記スチーム放出部及び上記音波放出部の動作制御をする制御部を備える、請求項1に記載の美容器。
【請求項3】
上記制御部は、上記スチームの放出期間と上記音波の放出期間とが互いに一致するように、上記動作制御をする、請求項2に記載の美容器。
【請求項4】
上記音波放出部から放出される音波は、20~250Hzの範囲内の周波数を有する音波を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の美容器。
【請求項5】
上記音波放出部から放出される音波におけるZ特性音圧は、70~95dBの範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の美容器。
【請求項6】
肌に向けてスチームを放出し、上記肌に音刺激を付与するための音波を上記肌に向けて放出する、美容方法。
【請求項7】
上記スチームの放出期間と上記音波の放出期間とが互いに重複する、請求項6に記載の美容方法。
【請求項8】
上記スチームの放出期間と上記音波の放出期間とが互いに一致する、請求項7に記載の美容方法。
【請求項9】
上記音波は、20~250Hzの範囲内の周波数を有する音波を含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の美容方法。
【請求項10】
上記音波におけるZ特性音圧は、70~95dBの範囲内である、請求項6~8のいずれか一項に記載の美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容器及び美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肌に美容効果をもたらす美容器として、例えば、特許文献1には、水などを加熱して得られるスチームを肌に向けて放出する構成が開示されている。当該構成によれば、暖かいスチームが肌に触れることにより、加湿されて肌に潤いがもたらされるとともに、肌が加温されて血管が拡張して血流が増加する。これにより、肌からの老廃物の排出や肌のターンオーバーを促し、肌の美容効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-298340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、スチームの放出中は肌の加温と血流促進の効果が維持されるが、スチームの放出を停止すると肌の温度は低下し、これに伴って血流も低下する。さらに、肌に付着したスチーム由来の水分が蒸発する際の気化熱により、肌から熱が奪われ、その結果、肌の温度はスチームを当てる前と同等かそれ以上に早期に低下して、これに伴って血流も早期に低下することとなる。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、肌に向けてスチームを放出する美容器において、スチームの放出停止後において肌温度及び血流の早期低下を抑制することができる美容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、肌に向けてスチームを放出するスチーム放出部と、
上記肌に音刺激を付与するための音波を上記肌に向けて放出する音波放出部と、
を備える美容器にある。
【0007】
本発明の他の態様は、肌に向けてスチームを放出し、上記肌に音刺激を付与するための音波を上記肌に向けて放出する美容方法にある。
【発明の効果】
【0008】
本願発明者らは、肌に所定の音刺激を付与すると血流が増加するが、当該音刺激を停止すると、上昇していた血流は音刺激の付与前と同程度まで早期に低下することを見出していた。そして、今回、スチームと音刺激を積極的に組み合わせ、これらを肌に付与すると、スチーム及び音刺激の停止後において肌温度及び肌の血流の早期低下が抑制されるという新たな知見を得た。上記一態様及び上記他の態様は、上述の新たな知見に基づくものである。
【0009】
すなわち、上記一態様の美容器では、肌に向けてスチームを放出するとともに、肌に音刺激を付与するための音波を放出する。放出されたスチームが肌に触れることにより、肌が加湿されて肌に潤いがもたらされるとともに、肌が加温されて血管が拡張して血流が増加する。これにより、肌からの老廃物の排出や肌のターンオーバーを促し、肌の美容効果が得られる。さらに、肌に音刺激が付与されるため、これによっても血管が拡張して血流が増加することが見込まれるため、上述の血流増加による効果をさらに奏することが期待できる。
【0010】
また、上記他の態様の美容方法では、上記美容器による上述の作用効果を奏することができる。
【0011】
以上のごとく、上記一態様及び上記他の態様によれば、肌に向けてスチームを放出する美容器において、スチームの放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を抑制することができる美容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1における、美容器のブロック図。
図2】実施形態1における、(a)被験者の正面から見たときの美容器の第1の使用態様を説明する概念図、(b)被験者の側面から見たときの美容器の第1の使用態様を説明する概念図。
図3】実施形態1における、(a)確認試験1の結果を示す図、(b)確認試験1でのスチーム放出の制御態様を説明する図、(c)確認試験1での音波放出の制御態様を説明する図。
図4】実施形態1における、(a)確認試験2の結果を示す図、(b)確認試験2でのスチーム放出の制御態様を説明する図、(c)確認試験2での音波放出の制御態様を説明する図。
図5】実施形態1における、(a)被験者の側面から見たときの美容器の第2の使用態様を説明する概念図、(b)被験者の正面から見たときの美容器の第2の使用態様を説明する概念図。
図6】実施形態1における、確認試験5でのスチーム及び音波放出の制御態様を説明する図。
図7】実施形態1における、確認試験5の角質水分量の結果を示す図。
図8】実施形態1における、確認試験5の粘弾性の結果を示す図。
図9】実施形態1における、確認試験5の戻り時間の結果を示す図。
図10】変形形態1における、(a)スチーム放出の制御態様を説明する図、(b)音波放出の制御態様を説明する図。
図11】変形形態2における、(a)スチーム放出の制御態様を説明する図、(b)音波放出の制御態様を説明する図。
図12】変形形態3における、美容器のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記一態様の美容器において、上記スチーム放出部による上記スチームの放出期間と、上記音波放出部による上記音波の放出期間とが互いに重複するように、上記スチーム放出部及び上記音波放出部の動作制御をする制御部を備える。この場合には、スチームの放出期間と音波の放出期間とが互いに重複しているため、同時期に肌にスチームと音刺激が付与されることとなる。その結果、スチーム及び音波の放出停止後における肌温度と肌の血流の早期低下が抑制されて、肌に音刺激を付与せずにスチームのみを放出した場合に比べて、肌温度と血流が高い状態に維持されることとなる。
【0014】
上記一態様の美容器において、上記制御部は、上記スチームの放出期間と上記音波の放出期間とが互いに一致するように、上記動作制御をすることが好ましい。この場合は、肌へのスチーム及び音刺激の付与が同時になされる期間が十分に確保されるため、スチーム及び音波の放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を抑制する効果を確保することができる。
【0015】
上記一態様の美容器において、上記音波放出部から放出される音波は、20~250Hzの範囲内の周波数を有する音波を含むことが好ましい。この場合には、音波放出部から放出される当該周波数範囲内の音波によって肌に充分な音刺激を付与することができるため、スチーム及び音波の放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を一層抑制することができる。
【0016】
上記一態様の美容器において、上記音波放出部から放出される音波におけるZ特性音圧は、70~95dBの範囲内であることが好ましい。この場合には、音波放出部から放出される当該音圧範囲内の音波によって肌に充分な音刺激を付与することができるため、スチーム及び音波の放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を一層抑制することができる。
【0017】
また、上記他の態様の美容方法において、上記スチームの放出期間と上記音波の放出期間とが互いに重複することが好ましい。この場合には、同時期に肌にスチームと音刺激が付与されることとなるため、スチーム及び音波の放出停止後における肌温度と肌の血流の早期低下が抑制されて、肌に音刺激を付与せずにスチームのみを放出した場合に比べて、肌温度と血流が高い状態に維持されることとなる。
【0018】
また、上記他の態様の美容方法において、上記スチームの放出期間と上記音波の放出期間とが互いに一致することが好ましい。この場合は、肌へのスチーム及び音刺激の付与が同時になされる期間が十分に確保されるため、スチーム及び音波の放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を抑制する効果を確保することができる。
【0019】
また、上記他の態様の美容方法において、上記音波は、20~250Hzの範囲内の周波数を有する音波を含むことが好ましい。この場合には、当該範囲内の周波数を有する音波によって肌に充分な音刺激を付与することができるため、スチーム及び音波の放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を一層抑制することができる。
【0020】
また、上記他の態様の美容方法において、上記音波におけるZ特性音圧は、70~95dBの範囲内であることが好ましい。この場合には、当該音圧範囲内の音波によって肌に充分な音刺激を付与することができるため、スチーム及び音波の放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を一層抑制することができる。
【実施例0021】
(実施形態1)
上記美容器の実施形態1について、図1図7を用いて説明する。
本実施形態1の美容器1は、図1に示すように、スチーム放出部10、音波放出部20を備える。
スチーム放出部10は、肌Pに向けてスチームSを放出する。
音波放出部20は、肌Pに音刺激を付与するための音波Wを肌Pに向けて放出する。
【0022】
そして、本実施形態1の美容器1を用いて、以下の美容方法を提供することができる。すなわち、図1に示すように、肌Pに向けてスチームSを放出し、肌Pに音刺激を付与するための音波Wを肌Pに向けて放出する美容方法である。
【0023】
以下、本実施形態の美容器1及び美容方法について、詳述する。
図1に示すように、美容器1における施術の対象となる肌Pは特に限定されず、人体における顔のいずれかの肌とすることができる。また、例えば、顔における頬、額、瞼、顎など特定の部位の肌を施術の対象としてもよい。
【0024】
図1に示すように、スチーム放出部10は、タンク11、加熱部12、送風部13、スチーム吐出口14を備える。タンク11はスチームSの原料となる水等を貯留する、タンク11は、美容器1に着脱可能な容器とすることができる。タンク11の容量は限定されず、適宜設定することができる。スチームSの原料となる水等は、特に限定されず、水道水、蒸留水、イオン交換水等の水が主成分であるものとすることができ、また、水に美容剤が含まれた化粧水、美容液などとすることもできる。
【0025】
加熱部12は、タンク11内の水等が供給されるように構成されており、供給された水等を加熱して蒸気(スチーム)を生成する。加熱部12の構成は限定されず、例えば、図示しない電熱線からなるヒータが設けられた浴槽内で当該ヒータにより水等を加熱する構成とすることができる。なお、加熱部12は、タンク11から供給された水等から図示しない超音波発生器によりミストを生成し、当該ミストを加熱したものをスチームとして生成することとしてもよい。タンク11から加熱部12への水等の供給量や加熱部12の動作は後述の制御部30により制御することができる。
【0026】
送風部13は、加熱部12により生成されたスチームをスチーム吐出口14に送り出す。送風部13は図示しない所定のファンと当該ファンを駆動するモータにより構成することができる。送風部13に設けられたファン等の駆動は後述する制御部30により制御することができる。なお、加熱部12で水等が気化する際の蒸気圧を利用してスチームをスチーム吐出口14に送り出す場合は、送風部13はスチームが流通する流路を構成するものであってもよい。
【0027】
スチーム吐出口14は、送風部13により送り込まれたスチームを肌Pに向けて吐出する。スチーム吐出口14の数は限定されず、単一でもよいし、複数設けられていてもよい。スチーム吐出口14の形態は限定されず、肌Pに向けて延びてスチームを肌Pに向けて誘導するガイドを備えていてもよい。また、当該ガイドは変位又は変形可能であってもよく、美容器1の本体に対して着脱可能であってもよい。
【0028】
次に、図1に示すように、音波放出部20は、音波生成部21と音波放出口22とを備える。音波生成部21は、肌Pに対する音刺激となる音波を生成する。本明細書において「音波」とは、人間の可聴周波数を有する弾性波である。当該音波は、人間が聴覚器官によって音として認識することができるものであることが好ましい。また、音刺激とは、後述する音波放出口22から放出された音波が、音波放出口22と肌Pとの間の媒体(例えば、空気)を振動させ、当該媒体の振動が肌Pに伝播したときに、当該肌Pが受ける振動のエネルギーをいう。音刺激は、音波生成部21により生成される音波の成分、例えば、周波数、音波の振幅(音圧)及び音波の長さのうちの少なくとも一つに基づいて規定することができる。
【0029】
本実施形態1では、音波生成部21は、周波数設定部211、音圧設定部212及び出力設定部213、信号生成増幅部214を備える。周波数設定部211は、音波生成部21で生成される音波の周波数を設定する。周波数は限定されないが、例えば、20~250Hzの範囲とすることができ、好ましくは30~200Hzの範囲、さらに好ましくは60~105Hzの範囲とすることができる。これにより、肌Pに対する音刺激として有効な音波としやすい。本実施形態1では、周波数設定部211は単一の周波数が設定され、音波生成部21により作成される音波は、当該単一の周波数を有する正弦波からなる音波(純音)であって、当該単一の周波数の整数倍の周波数を有する音波(倍音)を含まないものとしている。
【0030】
なお、音波生成部21により生成される音波には、周波数設定部211により設定された周波数以外の周波数を含む音波が含まれていてもよい。周波数設定部211により設定された音波以外の周波数の音波は限定されず、例えば、周波数設定部211により設定された音波以外の周波数の音波が所望の楽曲を構成していてもよい。
【0031】
また、音圧設定部212は、音波生成部21で生成される音波の振幅である音圧を設定する。なお、本実施形態1では、音圧設定部212により設定される音圧は、音波生成部21で生成された音波が肌Pに到達したときの音圧とする。例えば、肌Pの近傍に設置した音圧計により取得される音圧が所望の音圧となるように、音圧設定部212により音波生成部21で生成される音波の振幅を設定することができる。当該音圧は、限定されないが、例えば、Z特性音圧として、70~95dBとすることができる。これにより、肌Pに対する音刺激として有効な音波としやすい。Z特性は何ら重み付けをしない周波数特性であり、FLAT特性ともいう。なお、周波数が80Hzの音波について、Z特性音圧が70~95dBの場合、人間の聴覚を考慮した周波数の重みづけにより補正したA特性音圧では、47、5~72.5dBであり、通常の生活において全く支障のない音圧であるといえる。
【0032】
なお、音波生成部21で生成された音波の振幅(音圧)は、肌Pに到達するまでに減衰することを考慮して、音波放出口22と肌Pとの距離を検出する距離検出部を設けて、当該距離検出部により検出された音波放出口22と肌との距離に応じて、音圧設定部212により音波生成部21で生成される音波の振幅(音圧)を設定することとしてもよい。
【0033】
また、出力設定部213は、音波生成部21で生成される音波の長さを設定する。具体的には、後述する制御部30により設定された音波放出期間において、放出する音波の出力パターンを設定する。周波数設定部211、音圧設定部212及び出力設定部213は所定のプログラムを実行するコンピュータからなる。
【0034】
信号生成増幅部214は、上記周波数設定部211により設定された周波数を有する電気信号を生成し、音圧設定部212により設定された音圧に増幅して、出力設定部213により設定された出力パターンの音波を生成する。信号生成増幅部214は所定の信号発生器からなる。
【0035】
音波放出口22は、音波生成部21で生成された音波Wを肌Pに向けて放出する。音波放出口22はスピーカにより構成することができる。スピーカの種類は特に限定されないが、肌Pに確実に到達させるために、指向性の高いものが好ましい。音波放出口22の数は限定されず、単一でもよいし、複数設けられていてもよい。
【0036】
本実施形態1では、スチーム放出部10及び音波放出部20の動作制御をする制御部30を備える。制御部30は、スチーム放出部10及び音波放出部20にそれぞれ接続される。制御部30は、スチーム放出部10から放出されるスチームの放出開始及び放出停止を制御する。スチームの放出開始から放出停止までの期間をスチーム放出期間という。スチームの放出開始及び放出停止は、加熱部12及び送風部13の駆動制御により行われる。スチーム放出開始タイミングが到来すると加熱部12及び送風部13を駆動してスチーム吐出口14からスチームを放出させる。スチーム放出停止タイミングが到来すると加熱部12及び送風部13を停止してスチーム吐出口14からのスチームの放出を停止させる。また、制御部30は、送風部13の駆動制御によりスチーム吐出口14から放出されるスチームの放出量、放出速度を制御することができる。
【0037】
さらに、制御部30は、音波放出部20から放出される音波の放出開始及び放出停止を制御する。音波の放出開始から放出停止までの期間を音波放出期間という。音波の放出開始及び放出停止は、音波生成部21の駆動制御により行われる。音波放出開始タイミングが到来すると音波生成部21を駆動して、音波放出口22から音波を放出させる。音波放出停止タイミングが到来すると音波生成部21を停止することにより、音波放出口22から音波の放出を停止させる。
【0038】
制御部30によるスチーム及び音波の放出開始タイミング及び放出停止タイミングは限定されないが、スチーム放出期間と音波放出期間とが重複するようにしたり、スチーム放出期間と音波放出期間とを交互に切り替えたりすることができる。スチーム放出期間と音波放出期間とを交互に切り替える場合は、両者を切り替える回数及びタイミングは限定されず、適宜設定することができる。また、スチーム放出期間と音波放出期間とを交互に切り替える場合は、スチーム放出期間と音波放出期間との間にスチーム及び音波を放出しない休止期間を設けてもよいが、当該休止期間の継続時間は過度に長くならないようにすることが好ましく、例えば、当該休止期間の継続時間は、スチーム放出期間及び音波放出期間の継続時間よりも短い時間としたり、実質的に無視できる程度の短い時間としたりすることができる。
【0039】
本実施形態では、制御部30は、スチーム放出期間と音波放出期間とが重複するように制御する。スチーム放出期間と音波放出期間とが重複するとは、スチーム放出期間の少なくとも一部と音波放出期間の少なくとも一部が同一時刻に存在することをいうものとする。よって、スチーム放出期間と音波放出期間とが完全に一致している場合(すなわち、両期間の開始タイミング及び停止タイミングが一致している場合)だけでなく、例えば、スチーム放出期間の開始後から停止までの間に音波放出期間が開始する場合や、音波放出期間の開始後から停止までの間にスチーム放出期間が開始する場合も含む。これらの場合、スチーム放出期間と音波放出期間の停止タイミングは一致していてもよいし異なっていてもよい。なお、スチーム放出期間と音波放出期間は、一回の施術においてそれぞれ一回又は複数回到来するものとしてもよい。また、一回のスチーム放出期間内に複数回の音波放出期間が到来することとしてもよい。
【0040】
(確認試験1)
次に、本実施形態1の美容器1における血流促進についての確認試験1を行った。
当該確認試験1において、実施例に当たる試験例1の試験条件は、図2(a)、図2(b)に示す第1の使用態様のように、被験者Eは座位とし、卓上において、被験者Eの正面に音波放出部20の音波放出口22を形成するスピーカ22を設置し、被験者Eの斜め右前側にスチーム放出部10を構成するスチーマー10を設置し、制御部30を構成するコントローラ30も卓上に設置した。スピーカ22は、被験者の右頬部の肌Pとの距離が80mmとなる位置において、被験者Eの顔に正対するように水平面に対して上方にα=40度の角度で傾けている。スチーマー10は右頬部の肌Pから230mm離れた位置において、被験者Eの顔に対してβ=40度の角度で斜め方向の位置から被験者Eの頬の肌Pに向けてスチーム吐出口14からスチームを放出するようにした。
【0041】
試験例1において、スチーマー10によるスチームSの吐出量、吐出速度、温度はそれぞれ、24ml、12ml/分、摂氏40度とした。被験者Eに音刺激を付与するためのスピーカ22から放出する音波Wの成分は、周波数を70Hzの純音とし、Z特性音圧を85dB、出力パターンは一定とした。肌Pにおける血流の検出は、図示しないレーザースペックル血流計(オメガウェーブ社製、型番OZ-2)を用いて行った。
【0042】
試験例1では、被験者は7名とした。図3(b)及び図3(c)に示すように、試験例1では、まず、試験開始時刻T0からT1までの2分間はスチームS及び音波Wを放出しない期間Bとしてベースラインを記録した。その後、時刻T1においてスチームS及び音波Wの放出を同時に開始し、2分間のスチーム放出期間S1及び音波放出期間W1が経過した後、時刻T2においてスチームS及び音波Wの放出を同時に停止してスチーム放出期間S1及び音波放出期間W1を終了するものとした。その後、時刻T2から時刻T3までの5分間そのまま放置した。そして、時刻T1~T3の期間において血流の変化を記録し、血流変化率として、ベースラインにおける血流に対する変化量を百部率で算出した。
【0043】
試験例1の効果と比較するため、比較例1-1及び比較例1-2を実施した。比較例1-1では、試験例1と同じタイムラインの全期間においてスチームS及び音波Wの放出を行わないものとした。比較例1-2では、試験例1と同じタイムラインにおいて、スチームSのみを放出する。すなわち、比較例1-2では、音波Wを放出しないため、肌Pに音刺激が付与されないこととなる。
【0044】
確認試験1の結果を図3(a)に示した。図3(a)に示すように、スチームのみの比較例1-2とスチームと音刺激の試験例1では、スチーム放出期間S1及び音波放出期間W1の重複期間である刺激付与期間S1&W1において高度の血流上昇が見られた。さらに、刺激付与期間S1&W1の終了後1分までにおいてもある程度の血流上昇が見られた。なお、刺激付与期間S1&W1では、刺激付与期間S1&W1の開始後1分に対して開始後2分において、スチームのみの比較例1-2に対してスチームと音刺激の試験例が、若干ではあるが血流上昇が見られた。
【0045】
さらに、刺激付与期間S1&W1終了後2~5分まで期間(刺激停止後期間N)においては、試験例1では、比較例1-1及びベースラインに対して血流上昇の傾向がみられた。さらに、試験例1では、刺激停止後期間Nにおいて、若干ではあるが時間が経過するほど血流が上昇する傾向があった。一方、比較例1-2では、刺激停止後期間Nにおいては、比較例1-1と同程度又はそれ以下の血流となっており、血流が上昇する傾向はみられなかった。
【0046】
確認試験1の結果から、スチームSとともに音波Wによる音刺激を肌Pに与えることで、刺激停止後期間Nにおいて血流上昇の効果が得られ、刺激停止後に血流が早期に低下することが抑制されることが確認できた。これは、スチームSのみの比較例1-2の場合では、刺激停止後期間Nにおいて肌Pに付着したスチームS由来の水分が気化するために肌Pから気化熱が奪われて肌Pが冷やされた結果、血流が低下すると推察されるが、試験例1では、刺激付与期間S1&W1で肌Pに付与された音刺激が、刺激停止後期間Nにおける肌Pからの気化熱による温度低下を補ったものと推察される。さらに、試験例1では、刺激停止後期間Nにおいて若干ではあるが時間が経過するほど血流が上昇する傾向があったことも、刺激付与期間S1&W1で肌Pに付与された音刺激が、刺激停止後期間Nに肌Pの血流を増加させる効果をもたらしたものと推察される。
【0047】
(確認試験2)
次に、本実施形態1の美容器1における肌の温度についての確認試験2を行った。
当該確認試験2において、実施例に当たる試験例2の試験条件は確認試験1の場合と同様とし、確認試験1における血流の検出に替えて、肌Pにおける温度を検出した。肌Pにおける温度の検出は、図示しないサーモグラフィ(フリアーシステムズ社製、型番435-0006-03)を用いて行った。本確認試験2では、被験者は6名とし、比較例2-1、2-2及び試験例2の構成及び試験のタイムラインは図4(b)及び図4(c)に示すように確認試験1の比較例1-1、1-2及び試験例1と同様とした。
【0048】
確認試験2の結果を図4(a)に示した。図4(a)に示すように、確認試験1の場合と同様に、スチームのみの比較例2-2とスチームと音刺激の試験例では、刺激付与期間S1&W1において高度な温度上昇が見られた。さらに、刺激付与期間S1&W1において、比較例2-2と試験例2とを比較すると、音刺激が加わった試験例の方が比較例2-2よりも、ある程度の温度上昇が見られた。
【0049】
また、刺激停止後期間Nでは、比較例2-2及び試験例2は、刺激停止後期間Nの開始1分では、比較例2-1及びベースラインと同程度の温度変化であったが、刺激停止後期間Nの開始2分及び3分では、比較例2-2においては比較例2-1及びベースラインよりも有意に温度低下がみられたのに対して、試験例では温度低下はみられず、肌Pの温度が維持されていた。さらに試験例2では刺激停止後期間Nの開始4分以降も、わずかではあるが温度上昇の傾向も見受けられた。一方、比較例2-2では刺激停止後期間Nの開始4分以降は比較例2-1及びベースラインと同程度の温度変化となっており、温度上昇の傾向はみられなかった。
【0050】
確認試験2の結果から、確認試験1の場合と同様に、スチームSとともに音波Wによる音刺激を肌Pに与えることで、刺激停止後期間Nにおいて、肌Pにおける温度上昇の効果が得られ、刺激停止後に温度が早期に低下することが抑制されることが確認できた。これは、スチームSのみの場合では、刺激停止後期間Nにおいて肌Pに付着したスチームS由来の水分が気化するために肌Pから気化熱が奪われて肌Pの温度が低下するのに対し、試験例2では、刺激付与期間S1&W1で肌Pに付与された音刺激が、刺激停止後期間Nにおける肌Pからの気化熱による温度低下を補ったものと推察される。さらに、試験例2では、刺激停止後期間Nにおいて若干ではあるが時間が経過するほど血流が上昇する傾向があったことも、刺激付与期間S1&W1で肌Pに付与された音刺激が、刺激停止後期間Nに肌Pの温度上昇の効果をもたらしたものと推察される。
【0051】
(確認試験3)
次に、本実施形態1の美容器1における肌の温度と音刺激を付与する音波の周波数についての確認試験3を行った。
確認試験3では、試験例3及び比較例3-2の条件として、被験者Eに音刺激を付与するためのスピーカ22から放出する音波のZ特性音圧を85dBに固定して、周波数を30~400Hzの範囲で変化させた。なお、各周波数における音波は単一の周波数からなる純音とした。その他の試験条件及び肌Pにおける温度の検出方法は、確認試験2の場合と同様とした。また、確認試験3でも刺激なしの比較例3-1も実施した。
【0052】
確認試験3の結果を下記表1に示した。なお、効果の判定として、試験例3において、比較例3-1及び比較例3-2に対して、温度変化(温度上昇)が有意に高い場合を「有効」と判定し、そうでない場合は「無効」と判定した。
【0053】
【表1】
【0054】
表1に示すように、周波数30~250Hzにおいて試験例の方が比較例3-1及び比較例3-2よりも有意に温度上昇していることが確認された。なお、表1では省略したが、周波数が50Hzよりも大きく250Hzよりも小さい範囲においても試験例3において、有意に温度上昇していることが確認された。
【0055】
(確認試験4)
次に、本実施形態1の美容器1における肌の温度と音刺激を付与する音波の音圧についての確認試験4を行った。
確認試験4では、試験例4及び比較例4-2の条件として、被験者Eに音刺激を付与するためのスピーカ22から放出する音波の周波数を70Hzに固定して、Z特性音圧を65~95dBの範囲で変化させた。なお、各周波数における音波は単一の周波数からなる純音とした。その他の試験条件及び肌Pにおける温度の検出方法は、確認試験2の場合と同様とした。また、確認試験4でも刺激なしの比較例4-1も実施した。
【0056】
確認試験4の結果を下記表2に示した。なお、効果の判定として、試験例4において、比較例4-1及び比較例4-2に対して、温度変化(温度上昇)が有意に高い場合を「有効」と判定し、そうでない場合は「無効」と判定した。
【0057】
【表2】
【0058】
表2に示すように、Z特性音圧が70~95dBにおいて試験例4の方が比較例4-1及び比較例4-2よりも有意に温度上昇していることが確認された。なお、表2では省略したが、Z特性音圧が80dBよりも大きく95dBよりも小さい範囲においても試験例4において、有意に温度上昇していることが確認された。
【0059】
(確認試験5)
次に、本実施形態1の美容器1における肌の角質水分量、粘弾性、戻り時間について確認試験5を行った。
実施例に当たる試験例5の試験条件は、図5(a)、図5(b)に示す第2の使用態様のように、被験者Eは仰臥位とし、被験者Eの顔の正面にスピーカ(音波放出部20の音波放出口)22を設置し、被験者Eの斜め右前側にスチーマー(スチーム放出部)10を設置し、コントローラ(制御部)30をスピーカ22及びスチーマー10に接続した。図5(a)に示すように、スピーカ22は、被験者Eの右頬部の肌Pとの距離が80mmとなる位置において、被験者Eの顔に正対させている。図5(b)に示すように、スチーマー10は右頬部の肌Pから230mm離れた位置において、被験者Eの顔に対してγ=40度の角度で右斜め方向の位置から被験者Eの右頬の肌Pに向けてスチーム吐出口14からスチームを放出するようにした。
【0060】
試験例5において、スチーマー10によるスチームの吐出量、吐出速度、温度はそれぞれ、確認試験1における試験例1の場合と同様とした。試験例5では、被験者は5名とし、図6に示すように、まず、試験開始時刻T0からT1までの2分間はスチームS及び音波Wを放出しない期間Bとしてベースラインを記録した。その後、時刻T1においてスチームS及び音波Wの放出を同時に開始し、5分間のスチーム放出期間S1及び音波放出期間W1が経過した後、時刻T2においてスチームS及び音波Wの放出を同時に停止してスチーム放出期間S1及び音波放出期間W1を終了するものとした。そして、スチームS及び音波Wの放出を停止した時刻T2から60分経過した時刻をT3とし、スチームS及び音波Wの放出を停止した時刻T2から120分経過した時刻をT4とした。
【0061】
なお、試験例5の効果と比較するため、試験例5と同じタイムラインにおいて、スチームSのみを放出する比較例5を実施した。すなわち、比較例5では、音波Wを放出しないため、肌Pに音刺激が付与されないこととなる。
【0062】
確認試験5において、マルチパラメータ皮膚分析器(インテグラル社製、型番MPA6、CM825、コルテックス社製、DermaLab(登録商標)
Combo)を用いて時刻T3及びT4での肌Pの角質水分量、粘弾性、戻り時間を取得した。なお、肌Pの粘弾性は、肌Pのヤング率(E)と戻り時間(R)を取得し、Eを正規化したRで除した値とする。また、戻り時間(R)は、肌Pを吸引した後、肌Pが元の状態に戻るまでの時間を指す。そして、時刻T3及びT4で取得した角質水分量、粘弾性、戻り時間について、図6に示すベースラインBにおける肌Pの角質水分量、粘弾性、戻り時間に対する比を算出し、肌Pの皮膚粘弾性の評価結果として図7~9にそれぞれ示した。
【0063】
まず、肌Pの角質水分量について、図7に示すように、スチームS及び音波Wを放出した試験例5では、ベースラインBに対する肌Pの角質水分量の比は、スチームS及び音波Wの付与から60分経過した時刻T3においてスチームSのみを放出した比較例5に比べて上昇する傾向が見られ、スチームS及び音波Wの付与から120分経過した時刻T4においても比較例5に比べて有意に上昇した。
【0064】
次に、肌Pの粘弾性について、図8に示すように、スチームS及び音波Wを放出した試験例5では、ベースラインBに対する肌Pの粘弾性の比は、スチームS及び音波Wの付与から60分経過した時刻T3においてスチームSのみを放出した比較例5に比べて上昇する傾向が見られ、スチームS及び音波Wの付与から120分経過した時刻T4においてもその傾向は維持されていた。
【0065】
また、肌Pの戻り時間について、図9に示すように、スチームS及び音波Wを放出した試験例5では、ベースラインBに対する肌Pの戻り時間の比は、スチームS及び音波Wの付与から60分経過した時刻T3においてスチームSのみを放出した比較例5に比べて有意に減少しており、スチームS及び音波Wの付与から120分経過した時刻T4においてもさらに減少する傾向がみられた。
【0066】
以上の肌Pの角質水分量、粘弾性、戻り時間についての試験例5と比較例5の比較結果から、試験例5では、スチームS及び音波Wを付与した後に肌Pにおける皮膚粘弾性の向上効果が奏されるとともに、肌Pにおける皮膚粘弾性の向上効果が比較的長い時間維持されることが確認できた。これは、スチームS及び音波Wの付与によって肌Pにおける血流が上昇して毛細血管ボリュームが増加したことによるものと推察される。
【0067】
次に、本実施形態の美容器1における作用効果について、詳述する。
本実施形態1の美容器1では、肌Pに向けてスチームSを放出するとともに、肌Pに音刺激を付与するための音波Wを放出する。放出されたスチームSが肌Pに触れることにより、加湿されて肌Pに潤いがもたらされるとともに、肌Pが加温されて血管が拡張して血流が増加する。これにより、肌Pからの老廃物の排出や肌Pのターンオーバーを促し、肌Pの美容効果が得られる。さらに、肌Pに音刺激が付与されるため、これによっても血管が拡張して血流が増加することが見込まれるため、上述の血流増加による効果をさらに奏することが期待できる。
【0068】
そして、本実施形態1の美容方法では、美容器1による上述の作用効果を奏することができる。
【0069】
さらに、本実施形態1の美容器1では、スチーム放出部10によるスチームSの放出期間S1と、音波放出部20による音波Wの放出期間W1とが互いに重複するように、スチーム放出部10及び音波放出部20の動作制御をする制御部30を備える。これにより、同時期に肌PにスチームSと音波Wによる音刺激が付与されることとなる。その結果、スチームS及び音波Wの放出停止後Nにおける肌温度と肌の血流の早期低下が抑制されて、肌Pに音刺激を付与せずにスチームSのみを放出した場合に比べて、肌温度と血流が高い状態に維持される。
【0070】
さらに、本実施形態1の美容器1では、制御部30は、スチームSの放出期間S1と音波Wの放出期間W1とが互いに一致するように動作制御している。これにより、肌PへのスチームS及び音波Wによる音刺激の付与が同時になされる期間が十分に確保されるため、スチームS及び音波Wの放出停止後Nにおける肌温度及び血流の早期低下を抑制する効果を確保することができる。
【0071】
さらに、本実施形態1の美容器1では、音波放出部20から放出される音波Wは、20~250Hzの範囲内の周波数を有する音波を含む。これにより、音波放出部20から放出される当該周波数範囲内の音波Wによって肌Pに充分な音刺激を付与することができるため、スチームS及び音波Wの放出停止後Nにおける肌温度及び血流の早期低下を一層抑制することができる。
【0072】
さらに、本実施形態1の美容器1では、音波放出部20から放出される音波WにおけるZ特性音圧は、70~95dBの範囲内である。これにより、音波放出部20から放出される当該音圧範囲内の音波Wによって肌Pに充分な音刺激を付与することができるため、スチームS及び音波Wの放出停止後Nにおける肌温度及び血流の早期低下を一層抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態1の美容方法では、スチームSの放出期間S1と音波Wの放出期間W1とが互いに重複する。これにより、同時期に肌PにスチームSと音刺激が付与されることとなるため、スチームS及び音波Wの放出停止後における肌温度と肌の血流の早期低下が抑制されて、肌Pに音刺激を付与せずにスチームSのみを放出した場合に比べて、肌温度と血流が高い状態に維持されることとなる。
【0074】
また、本実施形態1の美容方法では、スチームSの放出期間S1と音波Wの放出期間W1とが互いに一致している。これにより、肌PへのスチームS及び音波Wによる音刺激の付与が同時になされる期間が十分に確保されるため、スチームS及び音波Wの放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を抑制する効果を確保することができる。
【0075】
また、本実施形態1の美容方法では、音波Wは、20~250Hzの範囲内の周波数を有する音波を含む。これにより、当該範囲内の周波数を有する音波Wによって肌に充分な音刺激を付与することができるため、スチームS及び音波Wの放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を一層抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態1の美容方法では、音波WにおけるZ特性音圧は、70~95dBの範囲内である。これにより、当該音圧範囲内の音波Wによって肌Pに充分な音刺激を付与することができるため、スチームS及び音波Wの放出停止後における肌温度及び血流の早期低下を一層抑制することができる。
【0077】
例えば、図10(a)及び図10(b)に示す変形形態1のように、スチームSの放出期間S1の後半において、音波Wの放出期間W1と重複しており、両期間S1、W1とが同時に終了するようにしてもよい。また、図11(a)及び図11(b)に示す変形形態2のように、音波Wが第1放出期間W1において放出された後、休止期間を経て第2放出期間W2においても放出されることとしてもよい。そして、当該変形形態2では、第1放出期間W1及び第2放出期間W2の全期間でスチームSの放出期間S1と重複している。変形形態1及び2は、例えば、音刺激を長時間付与する必要がない場合などに採用することができる。
【0078】
本実施形態1では、音波放出部20は音波生成部21で生成された音波Wのみを放出するものとしたが、これに限らず、その他の音波も合わせて放出することとしてもよい。例えば、図12に示す変形形態3では、音波放出部20は、外部入力23と増幅部24をさらに備える。外部入力23は、所望の音声データを出力可能な外部電源40と接続され、外部入力23を介して音波放出部20に入力された消耗の音声データは、増幅部24で所望の音圧に増幅されて音波放出口22から放出される。これにより、外部電源40による所望の音声データを音波生成部21で生成された音波Wとともに音波放出口22から放出(出力)することができる。あるいは、これに替えて、音波生成部21で生成された音波Wが出力されていないときに外部電源40による所望の音声データを音波放出口22から出力するようにしてもよい。
【0079】
以上のごとく、本実施形態1によれば、肌Pに向けてスチームSを放出する美容器1において、スチームSの放出停止後Nにおける肌温度及び血流の早期低下を抑制することができる美容器1を提供することができる。
【0080】
本発明は上記各実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 美容器
10 スチーム放出部(スチーマー)
11 タンク
12 加熱部
13 送風部
14 スチーム吐出口
20 音波放出部
21 音波生成部
211 周波数設定部
212 音圧設定部
213 出力設定部
214 信号生成増幅部
22 音波放出口(スピーカ)
23 外部入力
24 増幅部
30 制御部
40 外部電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12