(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065889
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体
(51)【国際特許分類】
F16L 39/04 20060101AFI20240508BHJP
F16L 27/12 20060101ALI20240508BHJP
F16L 59/12 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F16L39/04
F16L27/12 B
F16L59/12
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174966
(22)【出願日】2022-10-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】509250342
【氏名又は名称】辻本 敦信
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】辻本 敦信
【テーマコード(参考)】
3H036
3H104
3J106
【Fターム(参考)】
3H036AA01
3H036AB33
3H036AC06
3H036AE07
3H104JA08
3H104JB02
3H104JC05
3H104JD09
3H104LB18
3H104LD03
3H104LG03
3H104LG30
3J106AA04
3J106AB03
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC06
3J106BC11
3J106BD01
3J106CA01
3J106FA08
(57)【要約】
【課題】内管と外管との熱による軸線方向の伸長差を吸収できる手段を備える低温流体用真空断熱二重管の伸縮吸収構成体を提供することを課題とする。
【解決手段】低温液化流体用真空層断熱二重管の内管及び外管の軸線方向の熱による伸縮をそれぞれ専用の継手で吸収可能な伸縮吸収構成体であって、伸縮吸収構成体は、少なくとも、内管同士を密閉構造で連通接続する内管用継手と、内管用継手とは別体で離隔された、外管同士を密閉構造で連通接続する外管用継手と、を備え、内管用継手は中空筒状の筒状継手構造体を備え、外管用継手は筐体状の筐体継手構造体を備え、筒状継手構造体及び筐体継手構造体のうちの少なくともいずれかの継手構造体の軸線方向の所定の範囲を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とすることにより課題解決できた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温液化流体を流動させる内管と、前記内管の外周を覆う外管との間に真空層を形成した低温液化流体用真空層断熱二重管の前記内管及び前記外管の軸線方向の熱による伸縮をそれぞれ専用の継手で吸収可能な伸縮吸収構成体であって、
前記伸縮吸収構成体は、少なくとも、前記内管同士を密閉構造で連通接続する内管用継手と、前記内管用継手とは別体で離隔された、前記外管同士を密閉構造で連通接続する外管用継手と、を備え、
前記内管用継手は、前記内管の管端部に固設したフランジ継手と、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結可能なフランジ継手を両端部に固設した中空筒状の筒状継手構造体を備え、
前記外管用継手は、前記外管の管端部近傍に固設したフランジ継手と、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結可能なフランジ継手を両端部に固設した筐体状の筐体継手構造体を備え、
前記筒状継手構造体及び前記筐体継手構造体のうちの少なくともいずれかの継手構造体の軸線方向の所定の範囲を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とすることを特徴とする低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体。
【請求項2】
前記筐体継手構造体は、前記外管の軸線方向で所定の範囲を、前記外管の軸心を通る中心面を基準として対称となるように2分割可能で、かつ前記2分割した分割体のそれぞれの分割端部に固設したフランジ継手によりシール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結可能な構造を備え、
前記エキスパンション構造部の配設形態が、
前記内管用継手の軸線方向を所定の長さで両側の側部と中央部との3つに区分けした範囲のうち両側の側部のみを前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造体とし、又は、前記内管用継手の軸線方向を所定の長さで2つに区分けした範囲のうち一方の区分け部分のみを前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造体とし、並びに、前記外管用継手にはエキスパンション構造体を設けない内管円筒型形態、
前記外管用継手の軸線方向を所定の長さで2分割可能な両側の側部と分割不可能な一体型の中央部とに3分割し、前記中央部のみを前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造体とし、前記3分割されたそれぞれの分割端部に固設したフランジ継手同士を、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結し、前記内管用継手にはエキスパンション構造体を設けない外管筐体型形態、あるいは、
前記内管用継手の軸線方向を所定の長さで両側の側部と中央部との3つに区分けした範囲のうち両側の側部のみを前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とし、前記外管用継手の軸線方向を所定の長さで2分割可能な両側の側部と分割不可能な一体型の中央部とに3分割し、前記中央部のみを前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とし、前記3分割されたそれぞれの分割端部に固設したフランジ継手同士を、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結した内管外管型形態であることを特徴とする請求項1に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体。
【請求項3】
前記伸縮吸収構成体は、前記エキスパンション構造部を設けていない外管用継手に外周を覆われている内管用継手の、軸線方向の移動を抑制する内管用継手移動抑制手段を備え、
前記内管用継手移動抑制手段が、内周壁側に高断熱部材の層を有する2層構造の筒状体と、前記筒状体の孔部に挿入させる円柱体とを有し、前記筒状体又は前記円柱体のうちのいずれか一方を前記内管用継手の外周面から突設させ、他方を前記外管用継手の内周面から突設させたことを特徴とする請求項2の記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体。
【請求項4】
前記伸縮吸収構成体は、前記エキスパンション構造部を設けた前記外管用継手の一端側のフランジ継手の軸線方向の移動を可能とし、かつ前記外管用継手を支持する外管用継手移動式支持手段、及び、前記エキスパンション構造部を設けていない前記外管用継手のフランジ継手の軸線方向の移動を抑制し、かつ前記外管用継手を支持する外管用継手移動抑制支持手段、を備え、
前記外管用継手移動抑制支持手段又は前記外管用継手移動式支持手段が、前記外管用継手の所定の外周面から半径方向に突設させた板状の外管継手突設部材と、
基礎部に埋め込まれた段付きアンカーボルトと、
前記外管継手突設部材を締結手段で固設する垂直方向の平板状部と、前記段付きアンカーボルトを挿通させるボルト孔を設けた水平方向の平板状部とを有する略逆T字状又は略逆ゲタ形状の連結支持部材と、を備え、
平板状の高断熱部材を、前記外管継手突設部材と前記連結支持部材の垂直方向の平板状部との間、及び/又は、前記連結支持部材の水平方向の平板状部と前記基礎部との間に介装させ、
前記連結支持部材の水平方向の平板状部の上面と、基礎部に埋め込まれた前記段付きアンカーボルトの段の上面に固着させた板部材の下面との上下方向の間に隙間を形成させ、
前記水平方向の平板状部のボルト孔の形状を、前記外管用継手移動抑制支持手段の場合は略真円形状とし、前記外管用継手移動式支持手段の場合は軸線方向に長い長孔形状としたことを特徴とする請求項2に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体。
【請求項5】
前記内管と前記外管との間の真空層を確保し、前記内管の揺れを抑制する手段として、
前記内管の外周面と前記外管の内周面との間隙が軸線方向で略同一となるように、前記内管1本当たり軸線方向で少なくとも離隔した2か所に、前記内管の外周面に2つの所定の厚みと幅を有する半環状体を締結手段で締着させ、かつ前記真空層を前記内管の軸線方向に連通可能な空間部を形成した内管支持手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温流体を流動させる内管同士を接続させ、前記内管を真空層で包囲する外管同士を接続させる、低温流体用真空断熱二重管の伸縮吸収構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内管と、この内管との間に真空層を空けて外嵌された外管とを有する低温流体用真空断熱二重管の継手構造において、1対の真空断熱二重管の接続端部に夫々設けた1対の継手フランジを複数の締結部材により締結するフランジ継手部と、1対の真空断熱二重管の接続端側所定長さ部分と前記フランジ継手部の外周側を環状空間を空けて囲む外周側包囲体であって、前記フランジ継手部の締結と締結解除を可能にするように少なくとも一部が着脱可能に構成された外周側包囲体と、前記環状空間に形成した真空層とを備えた低温流体用真空断熱二重管の継手構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は、低温流体用真空断熱二重管の継手構造において、内管と外管の端部を同じフランジ接合部の同一面に直角方向に接合しているため、内管と外管とは一体的に固定されている。そのため、例えば内管と外管とが熱により、軸線方向に伸長長さの差異が生じる可能性が大であるので前記フランジ接合部の内管又は外管が接合箇所で破損するという問題があった。
【0005】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、内管と外管との熱による軸線方向の伸長差が生じたときに、内管と外管の軸線方向の伸長差を吸収できる手段を備える低温流体用真空断熱二重管の伸縮吸収構成体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体は、低温液化流体を流動させる内管と、前記内管の外周を覆う外管との間に真空層を形成した低温液化流体用真空層断熱二重管の前記内管及び前記外管の軸線方向の熱による伸縮をそれぞれ専用の継手で吸収可能な伸縮吸収構成体であって、前記伸縮吸収構成体は、少なくとも、前記内管同士を密閉構造で連通接続する内管用継手と、前記内管用継手とは別体で離隔された、前記外管同士を密閉構造で連通接続する外管用継手と、を備え、前記内管用継手は、前記内管の管端部に固設したフランジ継手と、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結可能なフランジ継手を両端部に固設した中空筒状の筒状継手構造体を備え、前記外管用継手は、前記外管の管端部近傍に固設したフランジ継手と、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結可能なフランジ継手を両端部に固設した筐体状の筐体継手構造体を備え、前記筒状継手構造体及び前記筐体継手構造体のうちの少なくともいずれかの継手構造体の軸線方向の所定の範囲を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とすることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体は、請求項1において、前記筐体継手構造体は、前記外管の軸線方向で所定の範囲を、前記外管の軸心を通る中心面を基準として対称となるように2分割可能で、かつ前記2分割した分割体のそれぞれの分割端部に固設したフランジ継手によりシール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結可能な構造を備え、前記エキスパンション構造部の配設形態が、前記内管用継手の軸線方向を所定の長さで両側の側部と中央部との3つに区分けした範囲のうち両側の側部のみを前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とし、又は、前記内管用継手の軸線方向を所定の長さで2つに区分けした範囲のうち一方の区分け部分のみを前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造体とし、並びに、前記外管用継手にはエキスパンション構造体を設けない内管円筒型形態、前記外管用継手の軸線方向を所定の長さで2分割可能な両側の側部と分割不可能な一体型の中央部とに3分割し、前記中央部のみを前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造体とし、前記3分割されたそれぞれの分割端部に固設したフランジ継手同士を、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結し、前記内管用継手にはエキスパンション構造部を設けない外管筐体型形態、あるいは、前記内管用継手の軸線方向を所定の長さで両側の側部と中央部との3つに区分けした範囲のうち両側の側部のみを前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とし、前記外管用継手の軸線方向を所定の長さで2分割可能な両側の側部と分割不可能な一体型の中央部とに3分割し、前記中央部のみを前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とし、前記3分割されたそれぞれの分割端部に固設したフランジ継手同士を、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結した内管外管型形態であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体は、請求項2において、前記伸縮吸収構成体は、前記エキスパンション構造部を設けていない外管用継手に外周を覆われている内管用継手の、軸線方向の移動を抑制する内管用継手移動抑制手段を備え、前記内管用継手移動抑制手段が、内周壁側に高断熱部材の層を有する2層構造の筒状体と、前記筒状体の孔部に挿入させる円柱体とを有し、前記筒状体又は前記円柱体のうちのいずれか一方を前記内管用継手の外周面から突設させ、他方を前記外管用継手の内周面から突設させたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体は、請求項2において、前記伸縮吸収構成体は、前記エキスパンション構造部を設けた前記外管用継手の一端側のフランジ継手の軸線方向の移動を可能とし、かつ前記外管用継手を支持する外管用継手移動式支持手段、及び、前記エキスパンション構造部を設けていない前記外管用継手のフランジ継手の軸線方向の移動を抑制し、かつ前記外管用継手を支持する外管用継手移動抑制支持手段、を備え、前記外管用継手移動抑制支持手段又は前記外管用継手移動式支持手段が、前記外管用継手の所定の外周面から半径方向に突設させた板状の外管継手突設部材と、基礎部に埋め込まれた段付きアンカーボルトと、前記外管継手突設部材を締結手段で固設する垂直方向の平板状部と、前記段付きアンカーボルトを挿通させるボルト孔を設けた水平方向の平板状部とを有する略逆T字状又は略逆ゲタ形状の連結支持部材と、を備え、平板状の高断熱部材を、前記外管継手突設部材と前記連結支持部材の垂直方向の平板状部との間、及び/又は、前記連結支持部材の水平方向の平板状部と前記基礎部との間に介装させ、前記連結支持部材の水平方向の平板状部の上面と、基礎部に埋め込まれた前記段付きアンカーボルトの段の上面に固着させた板部材の下面との上下方向の間に隙間を形成させ、前記水平方向の平板状部のボルト孔の形状を、前記外管用継手移動抑制支持手段の場合は略真円形状とし、前記外管用継手移動式支持手段の場合は軸線方向に長い長孔形状としたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体は、請求項1又は2において、前記内管と前記外管との間の真空層を確保し、前記内管の揺れを抑制する手段として、前記内管の外周面と前記外管の内周面との間隙が軸線方向で略同一となるように、前記内管1本当たり軸線方向で少なくとも離隔した2か所に、前記内管の外周面に2つの所定の厚みと幅を有する半環状体を締結手段で締着させ、かつ前記真空層を前記内管の軸線方向に連通可能な空間部を形成した内管支持手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1又は2に記載の発明は、例えば-253℃の水素液体等の低温液化流体を流動させる内管の熱と、大気中に露出し太陽光の照射を受ける外管との熱の差によって、前記内管と前記外管との軸線方向の伸縮長さに差が生じたときに、内管と外管とで別体で離隔された継手でそれぞれ単独に軸線方向の伸縮の長さを吸収できるので、内管及び外管の端部の接続部を破損させないという効果を奏する。
【0012】
請求項3の発明は、内管用継手のエキスパンションの伸縮を自在にさせても、前記内管用継手の配設位置を固定させることができる。これにより内管が熱で軸線方向に伸縮しても内管の配設位置を一定の位置に維持できるという効果を奏する。
【0013】
請求項4の発明は、外管用継手のエキスパンションの伸縮を自在にさせても、前記外管用継手の配設位置を固定させることができる。これにより外管が熱で軸線方向に伸縮しても外管の配設位置を一定の位置に維持できるという効果を奏する。
【0014】
請求項5の発明は、外管に挿入した内管の半径方向の位置を安定化でき、前記内管の揺れを抑制でき、熱による前記外管と前記内管との軸線方向の伸縮差が生じたときに外管に対する内管を軸線方向に摺動でき、前記外管と前記内管をとの間に真空層を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体の1例の構成説明図である。
【
図2】エキスパンションの配設形態が内管円筒型形態で、内管用継手の軸線方向を所定の長さで両側の側部と中央部との3つに区分けした範囲のうち両側の側部を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とした事例で、内管用継手移動抑制手段を上下方向に設けた形態の説明図である。
【
図3】
図2における説明図で、(a)はA1―A1矢視の説明図で、(b)はB1―B1矢視の説明図である。
【
図4】エキスパンションの配設形態が内管円筒型形態で、内管用継手の軸線方向を所定の長さで両側の側部と中央部との3つに区分けした範囲のうち両側の側部を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とした事例で、内管用継手移動抑制手段を横方向に設けた形態の説明図である。
【
図5】
図4における説明図で、(a)はA2―A2矢視の説明図で、(b)はB2―B2矢視の説明図である。
【
図6】
図3(b)又は
図5(b)におけるC部拡大の説明図である。
【
図7】エキスパンションの配設形態が外管筐体型形態の説明図である。
【
図9】
図7におけるM1部又はM2部の形態を軸線方向の移動を可能にした場合の外管用継手移動式支持手段の拡大説明図で、(a)はM1部の拡大説明図で、(b)は
図9(a)におけるJ1-J1矢視説明図で、(c)はM2部の拡大説明図で、(d)は
図9(c)におけるJ2-J2矢視説明図である。
【
図10】
図2におけるN部の拡大説明図で軸線方向の移動を抑制した場合の外管用継手移動抑制支持手段の説明図で、(a)は逆ゲタ形状の連結支持部材の場合の説明図で、(b)は
図2の図示とは異なる形状の逆T字形状の連結支持部材の場合の説明図である。
【
図11】外管用継手移動抑制支持手段の説明図で、(a)は
図10(a)又は(b)におけるD1―D1矢視の説明図で、(b)は
図10(a)又は(b)におけるD2部の拡大説明図である。
【
図12】本発明の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体の熱影響吸収手段の配設形態が内管外管型形態の説明図である。
【
図13】本発明の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体の内管用の熱影響吸収手段の伸縮のときに必要となる不動の部位として拘束点を、エキスパンション構造部を設けていない、T字方向に配設された内管を接続する内管用継手に設けた場合の事例の説明図である。
【
図16】内管と外管との間の真空層を形成させる内管支持手段を、バルブと接続される内管の端部近傍に設けた事例の説明図である。
【
図17】本発明の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体の熱影響吸収手段の配設形態が内管円筒型形態で、内管用継手の軸線方向を所定の長さで2つに区分けした範囲のうち一方側を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とした事例の説明図である。
【
図18】本発明の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体の内管用の熱影響吸収手段の伸縮のときに必要となる不動の部位として拘束点を、エキスパンション構造部を設けていない、直角に配設された内管を接続する内管用継手に設けた場合の事例の説明図である。
【
図19】2本の二重管同士が直線状に接続される場合の外管用継手の筐体状継手構造の分割可能な上半分の形状説明図である。
【
図20】3本の二重管同士がT字状に接続される場合の外管用継手の筐体状継手構造の分割可能な上半分の形状説明図である。
【
図21】
図7におけるE部に設けた内管支持手段の説明図で、(a)は内管支持手段の環状体の直径が外管の内径より空間部を設けるように小さくした形態の説明図で、(b)は内管支持手段の環状体の直径と外管の内径とが略同一にした形態の説明図である。
【
図22】
図7におけるE部に設けた内管支持手段の説明図で、(a)は真空層の通気路が環状体の外周面と外管の内周面との隙間とした場合の説明図で、(b)は真空層の通気路が通気溝の場合の説明図で、(c)は真空層の通気路が通気孔の場合の説明図である。
【
図23】内管の中心軸を通る上下方向の断面での断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、
図1に示すように、例えば-253℃の水素液体等の低温流体を流動させる内管2同士を接続させる内管用継手20、及び、前記内管2の外周を覆う、大気中に露出し太陽光の照射を受ける外管3同士を接続させる外管用継手30a又は30bを備えた低温流体用真空断熱二重管の伸縮吸収構成体1である。前記低温流体としては、液化温度-253℃の水素、液化温度-269℃のヘリウム、液化温度-196℃の窒素、液化温度-186℃のアルゴン、液化温度-183℃の酸素、液化温度-246℃のネオン等がある。前記内管2の外周面と前記外管3の内周面との間の間隙に真空層10が形成される。
【0017】
本発明の低温流体用真空断熱二重管の伸縮吸収構成体1は、
図1に示すように、低温流体を流動させる内管2、前記内管2の外面を覆う外管3、内管2同士を連通接続する内管用継手20、外管3同士を連通接続する外管用継手30a又は30b、エキスパンション構成部4の伸縮にかかわらず内管用継手20の所定の部位の軸線方向の移動を抑制する内管用継手移動抑制手段6、エキスパンション構成部5を備えていない外管用継手30aの所定の部位の軸線方向の移動を抑制する外管用継手移動抑制支持手段7a、エキスパンション構成部5を備えている外管用継手30bの軸線方向の移動を可能にする外管用継手移動式支持手段7b、及び、内管2と外管3との間の真空層10を形成する内管支持手段8とを備える構成体である。
【0018】
また、本発明の低温流体用真空断熱二重管の伸縮吸収構成体1は、
図1、
図2、
図4、
図7又は
図12に示すように、低温液化流体を流動させる内管2と、前記内管2の外周を覆う外管3との間に真空層10を形成した低温液化流体用真空層断熱二重管90の前記内管2及び前記外管3の軸線方向の熱による伸縮をそれぞれ専用の継手4、5で吸収可能な伸縮吸収構成体1であって、前記伸縮吸収構成体1は、少なくとも、前記内管2同士を密閉構造で連通接続する内管用継手20と、前記内管用継手20とは別体で離隔された、前記外管3同士を密閉構造で連通接続する外管用継手30a又は30bと、を備え、前記内管用継手20は、前記内管2の管端部に固設したフランジ継手21と、シール手段(図示なし)を介装させ突合せ接合させて締結手段71により締結可能なフランジ継手22を両端部に固設した中空筒状の筒状継手構造体を備え、前記外管用継手30a又は30bは、前記外管3の管端部近傍に固設したフランジ継手31と、シール手段(図示なし)を介装させ突合せ接合させて締結手段72により締結可能なフランジ継手32を両端部に固設した筐体状の筐体継手構造体を備え、前記筒状継手構造体及び前記筐体継手構造体のうちの少なくともいずれかの継手構造体の軸線方向の所定の範囲を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部4、5とする。
【0019】
前記低温液化流体用真空層断熱二重管90は、液化水素等の低温流体を流動させる内管2と、太陽光に照射される範囲もある、前記内管2の外周を覆う外管3との二重管であって、前記内管2と前記外管3との間には熱伝達を抑制する真空層10を形成している二重管である。なお、真空層10は、熱伝導及び対流による熱伝達は発生しないが、熱放射による熱伝達が発生するので、熱放射を反射させる鏡面加工などの一般的な処理が内管や外管に施工されている場合がある。
【0020】
内管2又は外管3に使用される材質としては、例えばステンレスを使用する。低温流体を流動させる、例えば材質がステンレス等の内管2と、太陽光に照射される範囲がある、例えば材質がステンレス等の外管3とは、加えられる温度に大きな差があるので、同じ材質であっても前記内管2と前記外管3との熱による軸線方向の長さに差が生じる。
【0021】
本発明の低温流体用真空断熱二重管90の伸縮吸収構成体1は、内管2と外管3との熱により生じる軸線方向の長さの差を、内管2専用の伸縮吸収構成体1、及び/又は、外管3専用の伸縮吸収体1でそれぞれ別個に吸収する技術である。すなわち、前記伸縮吸収構成体1は、前記内管2専用の伸縮吸収構成体1として前記内管用継手20及び前記内管用継手移動抑制手段6を備え、前記外管3専用の伸縮吸収体1として前記外管用継手30a、30b、前記外管用継手移動抑制支持手段7a及び前記外管用支持手段7bを備え、並びに、前記外管3の中における前記内管2の挿入状態を維持し、前記外管3に対して前記内管2を軸線方向で熱による伸縮時に摺動可能にする内管支持手段8を備える。そして、前記内管用継手20にはエキスパンション構造部4を備え、前記外管用継手30bにはエキスパンション構造部5を備えている。なお、前記外管用継手30aにはエキスパンション構造部5を備えていない。
【0022】
前記内管用継手20は、
図2、
図4又は
図12に示すように、前記内管2の管端部に固設した、軸線と直交する方向のフランジ継手21と、シール手段(図示なし)を介装させ突合せ接合させてボルト・ナット等の締結手段71により締結可能な、軸線と直交する方向のフランジ継手22を軸線方向で両端部に固設した中空筒状の筒状継手構造体を有する。前記筒状継手構造体の筒状部の軸線方向で所定の範囲を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部4にしている。
【0023】
前記外管用継手30a、30bは、
図2、
図7又は
図12に示すように、前記外管3の管端部近傍に固設した、軸線と直交する方向のフランジ継手31と、シール手段(図示なし)を介装させ突合せ接合させてボルト・ナット等の締結手段72により締結可能な、軸線と直交する方向のフランジ継手32を軸線方向で両端部に固設した筐体状の筐体継手構造体を有する。
図7又は
図12に示すように、前記外管用継手30bは、前記筐体継手構造体の筐体部の、軸線方向で所定の範囲を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部5を備え、一方、
図2に示すように、前記外管用継手30aは、エキスパンション構造部5を備えていない。
【0024】
そして、前記筐体継手構造体は、前記外管用継手30aの場合は
図2、
図3(b)、
図4、
図5(b)、
図13、
図19又は
図20に示すように、あるいは、前記外管用継手30bの場合は、
図7又は
図12に示すように、前記外管3の軸線方向で所定の範囲を、前記外管3の軸心を通る中心面を基準として対称となるように2分割可能で、かつ前記2分割した分割体33a、33bのそれぞれの分割端部に固設したフランジ継手37a、37bによりシール手段(図示なし)を介装させ突合せ接合させてボルト・ナット等の締結手段73により締結可能な構造としている。前記外管3の軸心を通る中心面を基準として対称となるように2分割可能とすることにより、前記内管用継手20を取り付け後に、前記外管用継手30a又は30bを密閉された筐体に形成することができる。
【0025】
そして、前記エキスパンション構造部4、5の配設形態としては、
図2又は
図4に示すように、前記内管用継手20の筒状部のみに設けた内管円筒型形態、
図7に示すように、前記外管用継手30bの筐体部のみに設けた外管筐体型形態、あるいは、
図12に示すように、前記内管用継手20の筒状部、及び、前記外管用継手30bの筐体部の両方に設けた内管外管型形態がある。
【0026】
次に、前記内管円筒型形態について説明する。前記内管円筒型形態は、
図2又は
図4に示すように、前記内管用継手20の軸線方向を所定の長さの範囲で両側の2つの側部24、26と中央部25との3つに区分けした範囲のうち両側の2つの側部24、26を前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部4とし、又は、例えば
図17に示すように、略L字形の前記内管用継手20の軸線方向を所定の長さで2つに区分けした範囲のうち一方側を前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部4とし、並びに、前記外管用継手30aにはエキスパンション構造部5を設けない形態である。前記内管円筒型形態は、
図2又は
図4に示すように直線形、又は、
図17に示すように略L字形等があり、一部を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部4とすることができればいずれでもよい。
【0027】
次に、前記外管筐体型形態について説明する。前記エキスパンション構造部5を備える前記外管用継手30bの前記外管筐体型形態は、
図7に示すように、前記外管用継手30bの軸線方向を所定の長さの範囲で、前記外管3の軸心を通る中心面を基準として対称となるように2分割可能な両側の2つの側部34、36と分割不可能な一体型の中央部35とに3分割し、前記中央部35を前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部5とし、前記3分割されたそれぞれの分割端部に固設した、軸線方向に直交する方向に設けたフランジ継手32aと外管3のフランジ継手31、フランジ継手32bとフランジ継手32c、フランジ継手32dとフランジ継手32e、フランジ継手32fと外管3のフランジ継手31を、シール手段(図示なし)を介装させ突合せ接合させてボルト・ナット等の締結手段72により締結し、前記内管用継手20にはエキスパンション構造部4を設けない形態である。
【0028】
また、2分割可能な前記側部34、及び、2分割可能な前記側部36は、
図3又は
図5に示すように、分割体33aと分割体33bにそれぞれ分割可能で、それぞれ分割体33a又は33bのそれぞれのフランジ継手37aと37bとをシール手段(図示なし)を介装させ突合せ接合させてボルト・ナット等の締結手段73により締結している。よって、前記側部34、及び、前記側部36は、前記内管用継手20の外周を覆うときに分割状態から環状体に形成される。
【0029】
そして、環状体に形成された前記側部34、前記側部36、及び、前記中央部35を、前外管3のフランジ継手31と前記側部34のフランジ継手32aとを、前記側部34のフランジ継手32bと前記中央部35のフランジ継手32cとを、前記中央部35のフランジ継手32dと前記側部36のフランジ継手32eとを、前記側部36のフランジ継手32fと前記外管3のフランジ継手31とを、それぞれ接合させてボルト・ナット等の締結手段72により締結する。
【0030】
前記エキスパンション構造部5を備えない前記外管用継手30aの前記外管筐体型形態も、
図2又は
図3に示すように、前記外管3の軸心を通る中心面を基準として対称となるように2分割可能であり、例えば2本の前記外管3同士が直線状に接続される場合は、
図19に示すように、断面が略半円状の形態の分割体33a、33bとなり、例えば3本の前記外管3同士がT字状に接続させる場合は、
図20に示すように、2本の前記外管3同士が直線状に接続させる範囲は平面状で、残りの1本の前記外管3の側は半円状の形態の分割体33cがある。
【0031】
次に、前記内管外管型形態について説明する。前記内管外管型形態は、
図12に示すように、
図2に示すような前記内管円筒型形態のエキスパンション構造部4と、
図7に示すような前記外管筐体型形態のエキスパンション構造部5との両方のエキスパンション構造部4、5を備える形態であり、前記内管用継手20の軸線方向を所定の長さで両側の2つの側部24、26と中央部25との3つに区分けした範囲のうち両側の2つの側部24、26を前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部4とし、前記外管用継手30bの軸線方向を所定の長さで、前記外管3の軸心を通る中心面を基準として対称となるように2分割可能な側部34、36と分割不可能な一体型の中央部35とに3分割し、前記中央部35を前記軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部5とし、前記3分割されたそれぞれの分割端部に固設したフランジ継手32同士を、又は、前記フランジ継手32と前記外管3のフランジ継手31とを、シール手段を介装させ突合せ接合させてボルト・ナット等の締結手段72により締結した形態である。
【0032】
すなわち、前記内管外管型形態は、前記エキスパンション構造部4を備えた前記内管用継手20の前記内管円筒型形態、及び、前記エキスパンション構造部5を備えた前記外管用継手30bの前記外管筐体型形態を備えた形態である。
【0033】
次に、前記内管用継手移動抑制手段6について説明する。前記内管用継手移動抑制手段6は、前記伸縮吸収構成体1の構成部分であり、
図3、
図5又は
図6に示すように、内周壁側に高断熱部材43の層を有する2層構造の筒状体41と、前記筒状体41の孔部に挿入させる円柱体42とを有し、前記筒状体41又は前記円柱体42のうちのいずれか一方を前記内管用継手20の外周面から突設させ、他方を前記外管用継手30aの内周面から突設させた形態をしている。
【0034】
そして、前記内管用継手移動抑制手段6は、前記エキスパンション構造部5を設けていない外管用継手30aと、前記外管用継手30aに外周を覆われている内管用継手20のエキスパンション構造部4を設けていない範囲との間に設ける。
【0035】
前記内管用継手移動抑制手段6は、例えば、
図2又は
図4に示すように、前記エキスパンション構造部5を設けていない外管用継手30aと内管用継手20の前記中央部25との間に設けられ、
図13~
図15に示すように、前記エキスパンション構造部5を設けていない略T字形の外管用継手30aと前記エキスパンション構造4を設けていない略T字形の内管用継手20との間に設けられ、又は、
図18に示すように、前記エキスパンション構造部5を設けていない略L字形の外管用継手30aと前記エキスパンション構造部4を設けていない略L字形の内管用継手20との間に設けられる。
【0036】
前記内管用継手移動抑制手段6により、前記内管用継手20の前記エキスパンション構造部4を形成していない範囲を、前記内管2の熱による伸縮時に軸線方向で移動しないように拘束することができる。これにより、内管2の熱による伸縮があっても前記内管2の配設位置を所定の範囲内での往復動に収めることができる。
【0037】
次に、前記外管用継手移動抑制支持手段7a又は前記外管用継手移動式支持手段7bについて説明する。前記エキスパンション構造部5を備えていない前記外管用継手30aには前記外管用継手移動抑制支持手段7aが設けられ、前記エキスパンション構造部5を備えている前記外管用継手30bには前記外管用継手移動式支持手段7bが設けられる。
【0038】
前記外管3の一端側に前記エキスパンション構造部5を備えている前記外管用継手30bを接続させ、かつ他端側に前記エキスパンション構造部5を備えていない前記外管用継手30aを接続させて、前記外管3の熱による伸縮を前記エキスパンション構造部5のエキスパンションが伸縮して吸収するときに、前記外管3の一端側の軸線方向の位置を定置化させるようにしている。
【0039】
前記外管用継手移動抑制支持手段7aと前記外管用継手移動式支持手段7bとは、連結支持部材53の平板状部55のボルト孔59の形状が、前記外管用継手移動抑制支持手段7aの場合は、
図11(b)に示すように、段付きアンカーボルト52の直径と略同じ大きさの略真円形状であるのに対して、前記外管用継手移動式支持手段7bの場合は、
図9(a)~(d)に示すように、平板状部55が移動可能な長孔形状である点は異なる。他の部位については、前記外管用継手移動抑制支持手段7aと前記外管用継手移動式支持手段7bの構成は同じである。
【0040】
前記外管用継手移動抑制支持手段7aは、
図1、
図2又は
図10に示すように、前記エキスパンション構造部5を備えていない前記外管用継手30aを前記略真円形状のボルト孔59等を利用して固定化して支持し、伸縮する前記外管3の一端側を定置化する。一方、前記外管用継手移動式支持手段7bは、
図1、
図7、
図9又は
図12に示すように、前記外管3が熱により伸縮すると直ちに前記外管用継手30bのエキスパンション構造部5が伸縮するが、そのエキスパンション構造部5の伸縮に対応して前記外管用継手移動式支持手段7bが前記長孔形状のボルト孔59a等を利用して軸線方向に移動するのを可能にしており、前記外管3を、軸心を変化させずに軸線方向の伸縮のみを発生させることができる。
【0041】
次に、前記外管用継手移動抑制支持手段7aと前記外管用継手移動式支持手段7bとの構成が同じ部分について説明する。
【0042】
前記外管用継手移動抑制支持手段7aは、
図1、
図2又は
図10に示すように、あるいは、前記外管用継手移動式支持手段7bは、
図1、
図7又は
図9に示すように、前記外周用継手30a又は30bの部位と、土台などの基礎部80との間に設けられる。
【0043】
前記外管用継手移動式支持手段7bは、例えば
図7又は
図12に示すように、外管用継手30bのエキスパンション構造部5を構成していない分割部34又は分割部36の外周面と土台などの基礎部80との間に設けられ、前記外管用継手移動抑制支持手段7aは、例えば
図16に示すように、バルブ85を接続している継手であることからエキスパンション構造部5を構成していない外管用継手30aの外周面と土台などの基礎部80との間に設けられる。なお、前記バルブ85は、前記低温液化流体用真空層断熱二重管90に使用される機器であればよく、前記機器としては前記バルブ85の他に、流量計、温度計、圧力計、ポンプ又は流速計などが含まれる。
【0044】
前記外管用継手移動抑制支持手段7a又は前記外管用継手移動式支持手段7bの構成は、
図9、
図10又は
図11に示すように、前記外管用継手30a又は30bの所定の外周面から半径方向に突設させた板状の外管継手突設部材51と、基礎部80に埋め込まれた段付きアンカーボルト52と、前記外管継手突設部材51を締結手段58で固設する垂直方向の平板状部54と、前記段付きアンカーボルト52を挿通させるボルト孔59又は59aを設けた水平方向の平板状部55とを有する、
図10(a)に示すように逆ゲタ形状、あるいは、
図9又は
図10(b)に示すように逆T字形状の連結支持部材53と、を備え、平板状の高断熱部材56を前記外管継手突設部材51と前記連結支持部材53の垂直方向の平板状部54との間、及び/又は、平板状の高断熱部材57を前記連結支持部材53の水平方向の平板状部55と前記基礎部80との間に介装させ、前記連結支持部材53の水平方向の平板状部55の上面と、基礎部80に埋め込まれた前記段付きアンカーボルト52の段の上面にナットで固着させた板部材65、例えば平板材又はワッシャの下面との上下方向の間に隙間61を形成させている。前記板部材65は前記段付きアンカーボルト52の段の上面にナット等で固着され、下面が平面を形成しており、前記下面の周縁の大きさが、前記段付きアンカーボルト52の段の上面の周縁より半径方向で大きい範囲まで延出した範囲の大きさを有する板部材であればよく、例えば平板材又はワッシャ等がある。
【0045】
次に、前記外管用継手移動抑制支持手段7aと前記外管用継手移動式支持手段7bとの構成が異なる部分について説明する。
【0046】
前記異なる部分は、前記連結支持部材53の平板状部55の略真円形状の前記ボルト孔59と長孔形状のボルト孔59aが異なる構成の部分である。前記外管用継手移動抑制支持手段7aの場合は、
図2、
図10又は
図11に示すように、略真円形状の前記ボルト孔59に前記ボルト孔59の直径と略同じ外径を有する前記段付きアンカーボルト52を挿通されるので、前記ボルト孔59で前記連結支持部材53が前記外管3の軸線方向の移動を抑制され、前記外管3の前記外管用継手移動抑制支持手段7aが接続されている端部は定置化される。
【0047】
前記外管用継手移動式支持手段7bの場合は、
図9(a)~(d)に示すように、前記外管3の軸線方向と同じ向きを長く形成した長孔形状の前記ボルト孔59aに、基礎部80に固定された前記段付きアンカーボルト52が挿通されるので、前記段付きアンカーボルト52を固定点として長孔の前記ボルト孔59aを形成した前記連結支持部材53が軸線方向に移動可能になる。
【0048】
よって、長孔の前記ボルト孔59aを有する前記連結支持部材53により前記外管3の軸線方向の伸縮が可能となり、前記外管3の前記外管用継手移動式支持手段7bが接続されている端部側は、前記外管3が熱の影響で伸縮するのに応じて軸線方向に移動し、その前記外管3の端部側の移動に連動して前記エキスパンション構造部5が伸縮する。そして、前記エキスパンション構造部5の軸線方向の長さは、前記外管3の伸縮に応じて、エキスパンションが軸線方向で圧縮されて短くなったり軸線方向で引っ張られて長くなったりする。
【0049】
次に、前記内管支持手段8について説明する。前記内管支持手段8は、
図2、
図4又は
図7に示すように、前記内管2と前記外管3との間の真空層10を確保し、熱による前記内管2は前記外管3に対して軸線方向に摺動可能にでき、前記内管2の揺れを抑制する手段として、前記内管2の外周面と前記外管3の内周面との間隙が軸線方向で略同じ間隙を維持可能に、前記内管1本当たり軸線方向で少なくとも離隔した2か所に、前記内管2の外周面に
図22(a)~(c)及び
図23に示すように2つの所定の厚みtと幅wを有する半環状体をボルト75で締着させ、かつ前記真空層10を前記内管2の軸線方向に連通可能な空間部77を形成している。前記空間部77には、
図21(a)に示すように前記外管3の内径と前記内管支持手段8の環状体の外径との差、又は、
図21(b)に示したように前記内管支持手段8に設けた通気溝78又は通気孔79等がある。
【0050】
前記内管支持手段8は、前記内管用継手20と前記外管用継手30a又は30bとを別体で離隔された構成にしたときに、
図2又は
図7に示すように、前記内管2と、前記内管2の外周を覆う外管3との間に真空層10を形成可能にする二重管にすることができる。
【0051】
前記内管支持手段8は、前記内管2の外周面と前記外管3の内周面との間隙が軸線方向で略同一となるように、1本の前記内管2につき軸線方向で少なくとも離隔した2か所に設ける。少なくとも離隔した2か所に設けることにより、前記内管2の外周面と前記外管3の内周面との隙を略均一にした二重管にすることができる。なお、1本の前記内管2につき軸線方向で3か所、4か所、5か所でも所定の数を設けることができる。
【0052】
前記内管支持手段8の構成は、
図21、
図22又は
図23に示すように、前記内管2の外周面に2つの所定の厚みtと幅wを有する半環状体70a1と70a2を、半環状体70b1と70b2を、又は、半環状体70c1と70c2をボルト75でそれぞれ締着させ、かつ前記真空層10を前記内管2の軸線方向に連通可能な空間部77を形成する形態である。前記内管支持手段8を前記内管2の端部に設ける場合は前記内管2を前記外管3の中に挿入した後に内管2の端部に半環状体70a1~70c2をボルト75で締着させて前記内管支持手段8を装着し、前記内管2の端部以外に設ける場合は、前記内管2の外周面に前記内管支持手段8をボルト75で締着させた後に前記内管2を前記外管3の中に挿入して二重管にする。
図22(a)~(c)に示すように、一方の半環状体70a1、70b1又は70c1に設けた雌ネジ部76に他方の半環状体70a2、70b2又は70c2に設けた孔から螺入したボルト75で締着するようにしている。なお、2つの前記半環状体の組み合わせである前記半環状体70a1と70a2、前記半環状体70b1と70b2、前記半環状体70c1と70c2をボルト75でそれぞれ締着すると環状体が形成される。
【0053】
また、前記内管支持手段8の形態としては、第一に、
図21(b)に示すように、前記内管支持手段8の内周面を前記内管2の外周面にボルト75で締着して密着させ、かつ前記内管支持手段8の外周面を前記外管3の内周面にほぼ接触させるようにし、前記内管支持手段8の半環状体70b1、70b2に空間部77として
図22(b)に示すように通気溝78を複数個所設けた通気溝形態、第二に、
図21(b)に示すように、前記内管支持手段8の内周面を前記内管2の外周面にボルト75で締着して密着させ、かつ前記内管支持手段8の外周面を前記外管3の内周面にほぼ接触させるようにし、前記内管支持手段8の半環状体70c1、70c2に空間部77として
図22(c)に示すように通気孔79を複数個所設けた通気孔形態、又は、第三に、
図21(a)に示すように、前記内管支持手段8の内周面を前記内管2の外周面にボルト75で締着して密着させ、かつ
図22(a)に示すように前記通気溝78又は前記通気孔79を設けない形態で、前記内管2の外径を前記外管3の内径より小さくして前記内管支持手段8の半環状体70a1、70a2の外周面と前記外管3の内周面との間に空間部77を形成する半径方向間隙形態がある。いずれの形態も前記真空層10を前記内管2の軸線方向に連通可能である。
【0054】
前記通気溝形態又は前記通気孔形態の場合は、環状体の前記内管支持手段8が内管2の外周面に密着し前記外管3の内周面にほぼ密着状態に配設できるので、外管3に挿入した内管2の半径方向の位置をより安定化でき、前記内管2の揺れをより抑制でき、熱による前記内管2と前記外管3との軸線方向の伸縮差が生じたときに外管3に対する内管2を軸線方向に摺動でき、前記外管3と前記内管2をとの間に真空層10を確保することができる。
【0055】
前記内管支持手段8の材質としては、高断熱性を有する繊維強化プラスチックであればよく、例えば、ガラス繊維強化プラスチック又は炭素繊維強化プラスチック等がある。
【0056】
次に、
図7又は
図12に示すように、前記外管用継手30bの軸線方向を、上下方向で2分割可能な側部34、36と分割不可能な一体型の中央部35のエキスパンション構造部5とに3分割したときの前記側部34、36の一方側の範囲36の軸線方向の長さを、前記一方側の範囲36の前記外管3の端部に固設したフランジ継手31と前記一方側の前記内管2の端部に固設したフランジ継手21との軸線方向の間に、前記中央部35のエキスパンション構造部5が移動により軸線方向で収納可能な長さにする。
【0057】
これにより、前記外管用継手30bに分割不可能な一体型の中央部35のエキスパンション構造部5を設けた場合に、前記内管用継手20を容易に取り外すことができ、メンテナンスの作業性を確保できる。
【符号の説明】
【0058】
1 伸縮吸収構成体
2 内管
3 外管
4 エキスパンション構造部
5 エキスパンション構造部
6 内管用継手移動抑制手段
7a 外管用継手移動抑制支持手段
7b 外管用継手移動式支持手段
8 内管支持手段
10 真空層
20 内管用継手
21 フランジ継手
22 フランジ継手
24 側部
25 中央部
26 側部
30a 外管用継手
30b 外管用継手
31 フランジ継手
32、32a~32f フランジ継手
33a~33c 分割体
34 側部
35 中央部
36 側部
37a~37b フランジ継手
41 筒状体
42 円柱体
43 高断熱部材
51 外管継手突設部材
52 段付きアンカーボルト
53 連結支持部材
54 平板状部
55 平板状部
56 高断熱部材
57 高断熱部材
58 締結手段
59 ボルト孔
59a ボルト孔
61 隙間
65 板部材
70a1~70c2 半環状体
71 締結手段
72 締結手段
73 締結手段
75 ボルト
76 雌ネジ部
77 空間部
78 通気溝
79 通気孔
80 基礎部
85 バルブ
90 低温液化流体用真空層断熱二重管
100 低温液化流体配管構成
t 厚み
w 幅
【手続補正書】
【提出日】2023-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項1に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体は、低温液化流体を流動させる内管と、前記内管の外周を覆う外管との間に真空層を形成した低温液化流体用真空層断熱二重管の前記内管及び前記外管の軸線方向の熱による伸縮をそれぞれ専用の継手で吸収可能な伸縮吸収構成体であって、前記伸縮吸収構成体は、少なくとも、前記内管同士を密閉構造で連通接続する内管用継手と、前記内管用継手とは別体で離隔された、前記外管同士を密閉構造で連通接続する外管用継手と、を備え、前記内管用継手は、前記内管の管端部に固設したフランジ継手と、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結可能なフランジ継手を両端部に固設した中空筒状の筒状継手構造体を備え、前記外管用継手は、前記外管の管端部近傍に固設したフランジ継手と、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結可能なフランジ継手を両端部に固設した筐体状の筐体継手構造体を備え、前記筒状継手構造体及び前記筐体継手構造体のうちの少なくともいずれかの継手構造体の軸線方向の所定の範囲を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とし、前記エキスパンション構造部の配設形態としては、前記内管用継手の筒状部のみに設けた内管円筒型形態、及び、前記外管用継手の筐体部のみに設けた外管筐体型形態、あるいは、前記内管用継手の筒状部、及び、前記外管用継手の筐体部の両方に設けた内管外管型形態を備え、前記エキスパンション構造部を設けた前記外管用継手の一端側のフランジ継手の軸線方向の移動を可能とし、かつ前記外管用継手を支持する外管用継手移動式支持手段、及び、前記エキスパンション構造部を設けていない前記外管用継手のフランジ継手の軸線方向の移動を抑制し、かつ前記外管用継手を支持する外管用継手移動抑制支持手段を設けたことを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項3に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体は、請求項2に記載の前記エキスパンション構造部を設けていない外管用継手を備えた前記伸縮吸収構成体は、前記エキスパンション構造部を設けていない外管用継手に外周を覆われている内管用継手の、軸線方向の移動を抑制する内管用継手移動抑制手段を備え、前記内管用継手移動抑制手段が、内周壁側に高断熱部材の層を有する2層構造の筒状体と、前記筒状体の孔部に挿入させる円柱体とを有し、前記筒状体又は前記円柱体のうちのいずれか一方を前記内管用継手の外周面から突設させ、他方を前記外管用継手の内周面から突設させたことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項5に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体は、請求項1又は2において、前記内管と前記外管との間の真空層を確保し、前記内管の揺れを抑制する手段として、前記内管の外周面と前記外管の内周面との間隙が軸線方向で略同一となるように、前記内管1本当たり軸線方向で少なくとも離隔した2か所に、前記内管の外周面に2つの所定の厚みと幅を有する半環状体を締結手段で締着させ、かつ前記真空層を前記内管の軸線方向に連通可能な空間部を形成した、高断熱性を有する繊維強化プラスチック製の内管支持手段を設けたことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
低温液化流体を流動させる内管と、前記内管の外周を覆う外管との間に真空層を形成した低温液化流体用真空層断熱二重管の前記内管及び前記外管の軸線方向の熱による伸縮をそれぞれ専用の継手で吸収可能な伸縮吸収構成体であって、
前記伸縮吸収構成体は、少なくとも、前記内管同士を密閉構造で連通接続する内管用継手と、前記内管用継手とは別体で離隔された、前記外管同士を密閉構造で連通接続する外管用継手と、を備え、
前記内管用継手は、前記内管の管端部に固設したフランジ継手と、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結可能なフランジ継手を両端部に固設した中空筒状の筒状継手構造体を備え、
前記外管用継手は、前記外管の管端部近傍に固設したフランジ継手と、シール手段を介装させ突合せ接合させて締結手段により締結可能なフランジ継手を両端部に固設した筐体状の筐体継手構造体を備え、
前記筒状継手構造体及び前記筐体継手構造体のうちの少なくともいずれかの継手構造体の軸線方向の所定の範囲を軸線方向に伸縮可能なエキスパンション構造部とし、
前記エキスパンション構造部の配設形態としては、前記内管用継手の筒状部のみに設けた内管円筒型形態、及び、前記外管用継手の筐体部のみに設けた外管筐体型形態、あるいは、前記内管用継手の筒状部、及び、前記外管用継手の筐体部の両方に設けた内管外管型形態を備え、
前記エキスパンション構造部を設けた前記外管用継手の一端側のフランジ継手の軸線方向の移動を可能とし、かつ前記外管用継手を支持する外管用継手移動式支持手段、及び、前記エキスパンション構造部を設けていない前記外管用継手のフランジ継手の軸線方向の移動を抑制し、かつ前記外管用継手を支持する外管用継手移動抑制支持手段を設けたことを特徴とする低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
請求項2に記載の前記エキスパンション構造部を設けていない外管用継手を備えた前記伸縮吸収構成体は、前記エキスパンション構造部を設けていない外管用継手に外周を覆われている内管用継手の、軸線方向の移動を抑制する内管用継手移動抑制手段を備え、
前記内管用継手移動抑制手段が、内周壁側に高断熱部材の層を有する2層構造の筒状体と、前記筒状体の孔部に挿入させる円柱体とを有し、前記筒状体又は前記円柱体のうちのいずれか一方を前記内管用継手の外周面から突設させ、他方を前記外管用継手の内周面から突設させたことを特徴とする低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
前記内管と前記外管との間の真空層を確保し、前記内管の揺れを抑制する手段として、
前記内管の外周面と前記外管の内周面との間隙が軸線方向で略同一となるように、前記内管1本当たり軸線方向で少なくとも離隔した2か所に、前記内管の外周面に2つの所定の厚みと幅を有する半環状体を締結手段で締着させ、かつ前記真空層を前記内管の軸線方向に連通可能な空間部を形成した、高断熱性を有する繊維強化プラスチック製の内管支持手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の低温液化流体用真空層断熱二重管の伸縮吸収構成体。