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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065894
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】通信装置及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/54 20230101AFI20240508BHJP
   H04W 72/20 20230101ALI20240508BHJP
   H04W 74/08 20240101ALI20240508BHJP
【FI】
H04W72/08
H04W72/04 136
H04W74/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174977
(22)【出願日】2022-10-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、総務省、車載ハーネスの軽量化を実現する有線/無線連携通信技術の研究開発委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗岡 伸行
(72)【発明者】
【氏名】奥原 誠
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD11
5K067EE02
(57)【要約】
【課題】UWB無線通信における通信品質の低下を抑止すること。
【解決手段】実施形態の一態様に係る通信装置は、UWB通信方式による無線通信を制御するコントローラを備える。コントローラは、周囲の通信状況を推定し、推定した通信状況に応じて、無線通信において使用されるプリアンブルのプリアンブル長である使用プリアンブル長を変更する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UWB通信方式による無線通信を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、
周囲の通信状況を推定し、
推定した前記通信状況に応じて、無線通信において使用されるプリアンブルのプリアンブル長である使用プリアンブル長を変更する
通信装置。
【請求項2】
前記通信状況は、自己の通信における通信状況であって、
前記コントローラは、
自己の通信における通信状況が悪化した際に、使用プリアンブル長を変更する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信状況は、検出された周囲で実行中の通信におけるプリアンブル使用状況で、
前記コントローラは、
検出された前記プリアンブル使用状況に基づき使用プリアンブル長を決定して、当該決定した使用プリアンブル長に変更する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
検出された前記プリアンブル使用状況に基づき、検出された通信に使用されていないプリアンブルのプリアンブル長の内から使用プリアンブル長を決定する
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
検出された前記プリアンブル使用状況に基づき、各プリアンブル長のプリアンブルの使用頻度に基づき使用プリアンブル長を決定する
請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
無線通信を行なっていない期間に、周囲で実行中の通信におけるプリアンブル使用状況を検出する
請求項3に記載の通信装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記使用プリアンブル長を、使用可能なプリアンブル長の内、最も短く、かつ使用中のプリアンブルのプリアンブル長より長いプリアンブル長に決定する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記使用プリアンブル長を変更した後、予め定めた時間が経過した後に、プリアンブルの長さを初期設定されたプリアンブル長である初期設定長に変更する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記使用プリアンブル長を変更した後、使用中のプリアンブルのプリアンブル長より短いプリアンブル長のプリアンブルによる通信状況が良好な場合に、前記使用プリアンブル長を通信状況が良好な通信のプリアンブル長に変更する
請求項3に記載の通信装置。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記プリアンブル長の変更に関するプリアンブル変更情報を無線通信の相手先である通信対象装置に対して送信し、
前記プリアンブル変更情報の送信した後における、予め定めた所定期間の経過後に、又は前記プリアンブル変更情報の送信に対する前記通信対象装置からの応答信号の受信後に、変更後の使用プリアンブル長のプリアンブルを使用した通信を開始する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
前記プリアンブル変更情報には、変更後の使用プリアンブル長のプリアンブルを使用した通信を開始するタイミングの情報が含まれ、
前記コントローラは、
前記タイミングの情報に基づき、変更後の使用プリアンブル長のプリアンブルを使用した通信を開始する
請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記コントローラは、
前記通信対象装置からのプリアンブル変更情報に基づき前記使用プリアンブル長を変更する
請求項10に記載の通信装置。
【請求項13】
UWB通信方式による無線通信を行なう第1の通信装置と、第2の通信装置と、を含む通信システムであって、
前記第1の通信装置は、
前記第2の通信装置との間の通信状況を推定し、
推定した前記通信状況に応じて、前記第2の通信装置との間の無線通信において使用されるプリアンブルのプリアンブル長である使用プリアンブル長を変更し、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置との間の通信状況を推定し、
推定した前記通信状況に応じて、前記第1の通信装置との間の無線通信において使用される使用プリアンブル長を変更する、
通信システム。
【請求項14】
前記第1の通信装置は、使用プリアンブル長の変更後、予め定めた待機時間経過後に変更後の使用プリアンブル長のプリアンブルを使用した無線通信を開始し、
前記第2の通信装置は、使用プリアンブル長の変更後、予め定めた待機時間経過後に変更後の使用プリアンブル長のプリアンブルを使用した無線通信を開始する、
請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
前記第1の通信装置は、
使用プリアンブル長を変更する際に、プリアンブル長の変更に関するプリアンブル変更情報を、変更前のプリアンブル長のプリアンブルを使用した無線通信で前記第2の通信装置に送信し、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置から送信されたプリアンブル変更情報を受信し、
前記受信したプリアンブル変更情報に基づき使用プリアンブル長を変更する、
請求項13に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の方式としてUWB(Ultra Wide Band)方式が知られている。UWB方式による無線通信(以下、UWB無線通信)には、低消費電力、広帯域という特徴がある。例えば、UWB無線通信は、近距離での高速通信を実現できる。
【0003】
また、UWB無線通信では、複数の機器が同一周波数を使用することから、電波干渉が起きやすい。
【0004】
ただし、UWB無線通信を測距及び測位に利用する場合、通信間隔及び通信頻度が少ないこと、干渉で通信が失敗しても再実行すればよい仕様であることが多いことから、電波干渉による通信品質低下が問題となりにくい。
【0005】
一方で、UWB無線通信をデータ通信用途で使用する場合は、電波干渉による通信品質の低下が致命的な問題になり得る。
【0006】
これに対し、従来、通信品質の向上を目的として、無線通信において送受信されるフレームのプリアンブルの長さを変化させる技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-49694号公報
【特許文献2】特開2010-252049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術には、UWB無線通信における通信品質の低下を抑止できない場合があるという問題がある。
【0009】
前述の通り、UWB無線通信においては電波干渉が発生しやすい。これに対し、特許文献1及び特許文献2に記載された技術では、電波干渉による通信品質の低下に対応できない場合がある。
【0010】
例えば、特許文献1に記載の技術は、通信相手に向かってビーム・パターンが形成されるか否かに応じてプリアンブルの長さを変化させるものである。また、例えば、特許文献2に記載の技術は、無線フレームにおける同期用のプリアンブルを最適化させるために、プリアンブルの長さを変化させるものである。
【0011】
しかし、通信環境は刻々と変化するものであり、特許文献1及び特許文献2に記載された技術は、いずれも通信環境の変化(通信環境悪化)による通信品質の低下に対応するためのものではない。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、UWB無線通信における通信品質の低下を抑止できる通信装置及び通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本願の通信装置は、UWB通信方式による無線通信を制御するコントローラを備える。コントローラは、周囲の通信状況を推定し、推定した通信状況に応じて、無線通信において使用されるプリアンブルのプリアンブル長である使用プリアンブル長を変更する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、UWB無線通信における通信品質の低下を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
図2図2は、通信フレームについて説明する図である。
図3図3は、UWB無線通信における電波干渉について説明する図である。
図4図4は、実施形態に係る通信装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、プリアンブルテーブル121の構成を示す図である。
図6図6は、UWB無線通信の状態遷移例を示す通信状態遷移図である。
図7図7は、第1の実施例の処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、UWB無線通信状態例を示す状態遷移タイムチャートである。
図9図9は、第2の実施例の処理手順を示すフローチャートである。
図10図10は、UWB無線通信状態例を示す状態遷移タイムチャートである。
図11図11は、第3の実施例の処理手順を示すフローチャートである。
図12図12は、UWB無線通信状態例を示す状態遷移タイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する通信装置及び通信システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本願の発明が限定されるものではない。
【0017】
以下ではまず、実施形態に係る通信制御装置を含む通信システムについて、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【0018】
なお、図1等には、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素が示されており、一般的な構成要素についての記載が省略されている。
【0019】
換言すれば、図1等に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0020】
また、図1以降の説明では、既に説明済みの構成要素については、同じ符号を付す等して、説明を簡略化するか、省略する場合がある。
【0021】
図1に示すように、通信システム1は、車両V1に搭載された通信装置10及び通信装置20を備える。
【0022】
通信装置10及び通信装置20は、UWB方式による無線通信(UWB無線通信)により、互いにデータの送受信を行う。なお、UWB無線通信では、例えば3.4~4.8GHz、7.25~10.25GHz、24.25~29GHzといった周波数帯域が利用される。また、UWB無線通信では、例えばIEEE 802.15.4zといった規格に従って通信が行われる。
【0023】
なお、通信装置10と通信装置20とは、後述するUWB無線通信機能を実現するのに必要な機能を有しているが、同じUWB無線通信機能を実現する構成、あるいは一部が異なったUWB無線通信機能を実現する構成であってもよい。
【0024】
例えば、通信装置10及び通信装置20は、ECU(Electronic Control Unit)により実現される。また、通信装置10及び通信装置20は、エアコン、オーディオビジュアルシステム、ナビゲーションシステム、表示操作パネル、パワーウインドウ、パワーシート、ワイパーといった車載機器を制御するための装置である。
【0025】
ここで、通信装置10が、ユーザの操作に応じたパワーウインドウの制御信号を送信する場合を考える。この場合、通信装置20は、受信した制御信号を基に、パワーウインドウの駆動を制御する。
【0026】
まず、車両V1のユーザがパワーウインドウの操作ボタン等を操作すると、通信装置10は、操作に応じた開閉信号をUWB無線通信で送信する。通信装置20は、通信装置10によって送信された開閉信号を受信し、受信した開閉信号に応じてパワーウインドウの駆動モータを駆動し、パワーウインドウを開閉する。
【0027】
また、通信装置10と通信装置20との間では、開閉信号等の各種制御信号の送受信の他に、例えば通信(データ)の受信を確認する応答信号等、各種信号の送受信がUWB無線通信を介して適宜行われる。
【0028】
また、通信装置10と通信装置20との間では、機器の制御に関する信号だけでなく、制御(制御信号の生成に用いられる)や表示等に利用される画像ファイルのような各種データも送受信される。
【0029】
ここで、図1に示すように、車両V1とは別の車両V2が存在するものとする。車両V2には、通信システム1と同様のUWB無線通信を行うシステムが備えられている。このとき、車両V1と車両V2の位置関係によっては、車両V2において行われるUWB無線通信の電波が、通信システム1のUWB無線通信に対して電波干渉を引き起こす場合がある。なお、車両V1に同時に通信が行われる装置が存在する場合も、同様に電波干渉を引き起こすことがある。
【0030】
図2を用いてUWB無線通信について説明する。図2は、UWB無線通信における送受信されるデータの単位、所謂通信フレームについて説明する図である。
【0031】
図2に示すように、UWB無線通信で用いられるフレームには、プリアンブル、ヘッダ部、及びデータ部が含まれる。プリアンブルは、特定の長さのシンボル列(又はビット列)である。ヘッダ部及びデータ部は通信接続用の情報部分及び通信対象のデータ部分で、例えばイーサネット(登録商標)フレームにおけるヘッダ部及びデータ部に、相当する。
【0032】
プリアンブルの長さ(以下、プリアンブル長)は、プリアンブルに含まれるシンボルの数によって決まる。プリアンブル長は、例えば64シンボル、128シンボル、256シンボル、512シンボル、1024シンボルといったパターンの中から選択される。
【0033】
プリアンブルは、「10101010…」のような予め定められたパターンのビット列であり、プリアンブル長はビット列のサイズである。また、ヘッダ部は、「1010101011」のような固定された長さのビット列であり、通信形態、通信相手先等を示すデータに応じたものとなっている。なお、プリアンブルの終端は予め定められた所定パターンのビット列となっており、当該所定パターンのビット列の検出によりプリアンブルの終端が検出され、その後の信号(ビット列)がデータフレーム(ヘッダ部及びデータ部)となる。
【0034】
また、UWB無線通信を行う機器間では、同じプリアンブル長が利用される必要がある。機器間で異なるプリアンブル長が利用されている場合、プリアンブル(UWB無線通信)の有無判定に差が生じる等によりUWB無線通信が正常に行われないことが生じる(通信NG)。
【0035】
図3は、プリアンブル長と通信タイミングが異なる2つのUWB無線通信が干渉している状況例を示す図である。図3に示すように、先に始めたUWB無線通信では、プリアンブルの前半部分は電波干渉が無い状態のため、当該通信のプリアンブルのビット列を検出でき通信同期を取れる可能性が高い。このため、それ以降に電波干渉が発生しても取れている同期に基づいて同期を維持することができ、その後のデータを受信できる可能性が高くなる。
【0036】
また、プリアンブル長が長いUWB無線通信の場合、電波干渉の対象となっている通信におけるプリアンブル部分と重ならないプリアンブル部分が存在するので、当該重なっていないプリアンブル部分でプリアンブルのビット列を検出でき通信同期を取れる可能性が高くなる。なお、ヘッダ部分やデータ部分とはビット列パターンが違うので、検出してもプリアンブルではないと判断して同期処理から除外できる。プリアンブルが重なった場合は、プリアンブルのビット列パターンを検出しても、どちらの通信のプリアンブルか判別できないので、同期処理等が適切に行えなくなる。
【0037】
このように、UWB無線通信の場合、通信確立の面からは、早く行った通信が通信を確立しやすく、またプリアンブル長が長い通信が通信を確立しやすくなる特性がある。他方、プリアンブル長が長い通信の場合、データ通信容量はプリアンブル長が長い分だけ大きくなり、通信速度が遅くなる欠点がある。
【0038】
そこで、本実施形態の通信装置10は、通信システム1で利用されているプリアンブル長L1を、通信状況に応じて変更することで電波干渉を回避し、UWB無線通信が正常に行われるようにする(通信OK)。
【0039】
通信装置10の構成について図4を参照して説明する。図4は、実施形態に係る通信装置の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、通信装置10は、通信部11と記憶部12と制御部13とを備える。
【0040】
通信部11は、UWB無線通信を行うための通信モジュールで、UWB無線通信の送信回路、受信回路等で構成される。通信部11は、制御部13の制御により、選択された長さのプリアンブルとその後に続くヘッダ部及びデータ部とからなる通信データ(フレーム)を送信する。
【0041】
記憶部12は、例えば不揮発性メモリ、データフラッシュで構成された記憶装置である。記憶部12は、プリアンブル情報PD及び各種プログラム等を記憶する。記憶部12にはプリアンブル情報PDを記憶するプリアンブルテーブル121が設けられる。
【0042】
図5は、プリアンブルテーブル121の構成を示す図である。なお、図5は、プリアンブルテーブル121の概念を示す図で、実際にはメモリ管理システム(オペレーティングシステム)により各データが当該概念を実現するように記憶部12に記憶される。
【0043】
プリアンブルテーブル121には、「プリアンブル種別」、「プリアンブル長」、「使用状況」、「選択状態」の項目があり、それぞれの項目に対応するデータが各データレコードに記憶されることになる。
【0044】
「プリアンブル種別」はプリアンブルの種別で、プリアンブルの識別コードあるいはプリアンブル名(図ではプリアンブルP1等で表記)等のデータが記憶される。なお、プリアンブル種別データは、データレコードの識別データ、所謂主キーデータとなっている。
【0045】
「プリアンブル長」はプリアンブルの長さ(プリアンブルのビット数)で、UWB無線通信の場合は「64」,「128」,「256」,「512」,「1024」ビットのデータが記憶される。「使用状況」は通信装置10の周囲で行われている通信(通信装置10が検出した通信)において当該プリアンブルが使用されているかを示すデータ項目で、「使用有」、「使用無」のデータが記憶される。「選択状態」は通信装置10が当該プリアンブルを選択している(無線通信での使用するプリアンブルであるか否か)か否か(無線通信での使用するプリアンブルであるか否か)を示すデータ項目で、「選択中」、「非選択中」のデータが記憶される。
【0046】
例えば、図5のプリアンブルテーブル121において、「プリアンブルP1」は、プリアンブル長が「64ビット」のプリアンブルで、周囲の通信で使用されておらず、通信装置10が選択中(使用中)のプリアンブル、と言うことになる。
【0047】
なお、「使用状況」のデータは、後述の通信状況の判断(推定)において、通信装置10の周囲で行われている通信(の有無)による判断を行わない場合は不要となるので、その場合は削除して良い。
【0048】
制御部13は、通信装置10の各種動作を制御する、所謂コントローラである。制御部13は、判定部131、変更部132及び通信制御部133を備える。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート等を有するコンピュータ及び各種の回路により実現される。
【0049】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部13の判定部131、変更部132及び通信制御部133として機能する。また、制御部13の判定部131、変更部132及び通信制御部133の少なくともいずれか一部又は全部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されていてもよい。
【0050】
判定部131は、電波干渉が発生状態にあるか否かを判定する。電波干渉が発生状態にあるか否かは、通信状況の判定の一例である。
【0051】
例えば、判定部131は、通信装置20との間のUWB無線通信において、通信エラーが連続して予め定めた所定回数以上発生した場合、又は予め定めた所定期間における通信エラーの発生率(割合)が予め定めた閾値以上である場合に、電波干渉が発生状態にあると判定する。この通信エラーは、データ送信を行ったにも係わらず、送信先からの送信に対する応答信号を受信できない場合等に、検出されることになる。なお、後述の処理では通信を行う両方の通信装置(10,20)が電波干渉の発生状態を判定する必要があるので、各通信装置(10,20)は適当なタイミング(良好な通信を行えるような処理(後述のプリアンブル変更処理)となる間隔)で送信(通常の通信、あるいはダミーの通信)を行うことになる。
【0052】
また、電波干渉の発生状態の判定方法には、通信装置10の周囲の通信状況(周囲で行われている通信)に基づき判定する方法もある。この方法では、判定部131は、通信装置10の周囲で通信装置10が関わる通信以外の通信が多く(高い頻度)存在するか否かで、電波干渉が発生状態である判定する(通信装置10が関わる通信以外の通信が多く(高い頻度)存在する場合は電波干渉が発生状態であると判定する)。
【0053】
変更部132は、判定部131によって電波干渉が発生状態であると判定された場合、後述する予め定められた選択(変更)ルールに従い、通信に使用するプリアンブルの選択を行う。
【0054】
基本的なプリアンブルの選択方法として、通信装置10は、電波干渉が生じていない場合、選択可能なプリアンブルの中でプリアンブル長が最も短いものを選択する。つまり、電波干渉は生じていないので、電波干渉耐性は考慮せず通信容量が小さい、即ちプリアンブル長が短いプリアンブルを選択する。また、通信装置10は、電波干渉が生じている場合、選択可能なプリアンブルの中でプリアンブル長が長いものを選択する。つまり、電波干渉が生じているので、電波干渉耐性を考慮してプリアンブル長が長いプリアンブルを選択する。なお、プリアンブルの詳細な選択方法については、その数例を後述する。
【0055】
通信制御部133は、通信部11を制御してUWB無線通信を実行する。通信制御部133は、UWB無線通信を実行する際、選択された種類のプリアンブル(選択されたプリアンブル長のプリアンブル)を用いたUWB無線通信を行うように通信部11を制御する。具体的には、通信制御部133は、送付すべきデータのデータ部のデータと、送付先データ等のヘッダ部のデータと、選択されたプリアンブルのデータとで送信用のデータフレームを生成し、通信部11に送信データとして出力する。
【0056】
このように、制御部13は、通信状況に応じて、UWB無線通信において使用されるプリアンブルの長さ(使用プリアンブル長)を変更する。その結果、本実施形態によれば、UWB無線通信において電波干渉による通信品質の低下を抑止できる。
【0057】
以下、通信装置10による数例の具体的な制御の方法を、本実施形態の実施例として順次説明する。
【0058】
[第1の実施例]
第1の実施例では、制御部13は、初期設定(通常使用)のプリアンブルを使用したUWB無線通信において通信状況が悪化した(悪い)場合に、プリアンブルの長さが選択できる1段階長いプリアンブルに変更する制御を行う。初期設定のプリアンブルは、通信効率を考慮して通信装置10が選択可能として設定されプリアンブル長の中で最も短いプリアンブル長のプリアンブルとなる。なお、プリアンブル変更後においても通信状況が悪化した(悪い)場合、制御部13は、さらにプリアンブルの長さが長いプリアンブルに変更する制御を行う。
【0059】
また、制御部13は、通信状況が悪化を判定した時点から予め定めた待機時間経過後に変更したプリアンブルを使用したUWB無線通信を開始する。第1の実施例では、通信相手側の通信装置(20)と非同期(通信等を用いて変更タイミングを合わせる処理を行わない)でプリアンブルを変更する。このため、通信相手側の通信装置(20)が同様の処理によりプリアンブルを変更するのを待つために、制御部13は待機時間の処理を行う。
【0060】
また、通信効率を考慮して、制御部13は、プリアンブルの変更後の予め定めた所定時間後(通信状況の回復が期待できる時間)に初期設定のプリアンブルに戻す。
【0061】
なお、これら動作は通信相手となる通信システム1における各通信装置(10,20等)の全部、あるいは一部(通信干渉対応を行うと設定した通信装置)も実行することになる。
【0062】
次に、図6を用いて具体的動作例を説明する。図6は、UWB無線通信の状態遷移例を示す通信状態遷移図である。なお、この通信遷移例は、プリアンブル長が短いプリアンブルP1及びプリアンブル長が長いプリアンブルP2が選択可能なプリアンブルである通信システム例である。また、この通信遷移例は、プリアンブルP1で通信を行っている際に通信状態が悪化し、プリアンブルP2による通信に変更した遷移例である。なお、通信装置10と通信相手先の通信装置(20)は、タイミングの差が若干あるものの、同様の動作を行うこととなる。
【0063】
図6に示すように、期間[t11,t12](時刻t11から時刻t12までの期間)において、通信装置10はプリアンブルP1で通信を行っている通信状態である。また、期間[t11,t12]において、通信状態の悪化(電波干渉の発生)は発生していない(通信OK)。
【0064】
次の期間[t12,t13]において、使用が設定されているプリアンブルP1での通信状態が悪化したとする。この際、通信装置10は、データ受信状態や周囲の(他通信システムの)通信状態から通信状態の悪化を判定し(通信NG)、使用するプリアンブルをプリアンブルP2に変更する。これにより、通信装置10はプリアンブルP2による通信の受信が可能となる。
【0065】
通信装置10は、プリアンブルP2による通信の送信動作については、予め定めた時間長の待機期間[t13,t14]、行わずに待機する。この待機は、同様の動作を行う通信相手先の通信装置(20)におけるプリアンブルP2への切替動作のタイミングの違いを吸収するために行う。なお、この待機時間長は、プリアンブルP2への切替動作のタイミングの違いを充分に吸収できる時間に設定される。
【0066】
そして、送信の待機期間[t13,t14]経過後に、通信装置10は送信要求に応じてプリアンブルP2を用いた通信(送信)を行う。その後、通信装置10はプリアンブルの切替タイミングt13から予め定めた復帰時間が経過した後t15に使用するプリアンブルをプリアンブルP1に変更する(復帰させる)。なお、通信装置10は、プリアンブルの変更タイミングが通信中であった場合は、通信の終了を待ってプリアンブルを変更する。また、復帰時間は、通信状況の悪化が解消したと期待できる時間で、例えば設計者等が実験等により設定した時間である。
【0067】
また、通信装置10は、通信状況の悪化が解消したこと周囲に通信状態から判定し、その判定後適当な余裕時間を持ってプリアンブルを変更しても良い。
【0068】
通信装置10は、プリアンブルP1による通信の送信動作については、予め定めた時間長の待機期間[t15,t16]、送信を行わずに待機する。この待機は、同様の動作を行う通信相手先の通信装置(20)におけるプリアンブルP2への切替動作のタイミングの違いを吸収するために行う。なお、この待機時間長は、プリアンブルP2への切替動作のタイミングの違いを充分に吸収できる時間に設定される。
【0069】
そして、送信の待機期間[t15,t16]経過後に、通信装置10は送信要求に応じてプリアンブルP1を用いた通信(送信)を行う。以降、以上の動作と同様に通信状態に応じてプリアンブルを適宜変更したUWB無線通信が行われる。
【0070】
次に、上述の動作を実現するために、制御部13が実行する処理について説明する。図7は、制御部13が実行するプリアンブル変更処理で、通信装置10の起動時(ユーザによる電源オン操作等に基づく)に実行される。なお、制御部13は、別途データ送信処理を適宜実行し、プリアンブル変更処理で設定されたプリアンブルを使用して送信対象のデータを送信する。また、各プリアンブル(選択可能なプリアンブル)は図5で示したプリアンブル種別のプリアンブルとする(プリアンブルPnの数値nが大きくなるほどプリアンブル長が長い)。
【0071】
制御部13は、ステップS101において、使用するプリアンブルを特定するパラメータnを1(選択可能な最短のプリアンブルを対応するパラメータ)に設定し、ステップS102に移る。制御部13は、ステップS102において、プリアンブルPn(P1)での送受信を可能とし(送受信の実行を許可し)ステップS103に移る。これにより、通信装置10は他通信装置20からの送信および自装置の送信要求に応じてプリアンブルPn(P1)での通信を行なう。なお、他の通信装置20も、同様の処理により電源導入直後はプリアンブルP1での通信を行なうことになる。
【0072】
制御部13は、ステップS103において、通信状況が悪化したか判定し、通信状況が悪化していればステップS104に移り、通信状況が悪化していなければステップS109に移る。なお、ステップS103において、使用中のプリアンブルがプリアンブルP1の場合は、ステップS109には移らずステップS103に戻り通信状況の悪化判定を継続する。
【0073】
制御部13は、ステップS104において、送信の禁止設定を行い、ステップS105に移る。この処理により送信の許可設定が行われるまで、通信装置10は送信ができなくなる。制御部13は、ステップS105において、使用するプリアンブルのパラメータnに1を加算してステップS106に移る。制御部13は、ステップS106において、プリアンブルPn(起動後の最初のプリアンブル変更ではプリアンブルP2となる)での受信を可能とし(送信は禁止を維持)ステップS107に移る。
【0074】
制御部13は、ステップS107において、プリアンブルPnの変更から予め定めた待機時間が経過したか、または変更したプリアンブルPnでの自己宛の通信を検出したかを判定する。そして、制御部13は、待機時間が経過した、または変更したプリアンブルPnでの自己宛の通信を検出した場合、ステップS108に移り、そうでなければ(待機時間経過前、かつ変更したプリアンブルPnでの自己宛の通信を検出していない)ステップS107に戻り、ステップS107の判定処理を継続する。制御部13は、ステップS108において、変更したプリアンブルPnでの送信を可能と(許可)しステップS103に移る。
【0075】
制御部13は、ステップS109において、プリアンブルPnの変更から予め定めた復帰時間が経過したか判定し、経過すればステップS110に移り、経過していなければステップS111に移る。制御部13は、ステップS110において、使用するプリアンブルのパラメータnを1に変更してステップS106に戻る。
【0076】
制御部13は、ステップS111において、プリアンブルPnのパラメータnが上限値、つまり設定可能な上限(最長)のプリアンブルPnに対するパラメータn(図5のテーブルでは5)に達しているかどうか判定し、上限値に達していればステップS109に戻り、達していなければステップS103に戻る。
【0077】
なお、制御部13は、ステップS109において、周囲の通信状況から通信状態が良化したか否かを判断して、良化していればステップS110に移り、良化していなければステップS111に移る処理としてもよい。この場合、通信状態が良化検知により、プリアンブルが最短のものに変更される(初期状態に戻る)ことになる。
【0078】
次に、上述に処理における代表的な通信状態例について説明する。図8は、UWB無線通信状態例を示す状態遷移タイムチャートである。
【0079】
この例では、期間[tb1,tb3]においてプリアンブルP1の通信の通信状態が悪く、期間[tb2,tb3]においてプリアンブルP2の通信の通信状態が悪く、プリアンブルP3の通信の通信状態は表示された全期間で良好であるとする。
【0080】
通信装置10は、時刻t0において起動し(使用者の電源操作等に応じて起動)、そして時刻t3において初期設定処理が終わり、プリアンブルP1を用いた送受信を開始する。また、通信装置20は、時刻t2おいて起動し(使用者の電源操作等に応じて起動)、そして時刻t4において初期設定処理が終わり、プリアンブルP1を用いた送受信を開始する。これにより時刻t4以降、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP1を用いた送受信を行う。
【0081】
時刻tb1においてプリアンブルP1を用いた通信の状態が悪化すると、通信装置10は通信装置20からの応答信号が受信できないこと等から通信状態の悪化を判定し、時刻t5(処理に要する時間経過後)でプリアンブルP2を用いた通信に変更する。なお、通信装置10は時刻t5においてプリアンブルP2を用いた受信動作は行うが、プリアンブルP2を用いた送信動作は禁止状態となる。そして、時刻t5から待機期間が経過した時刻t8に、通信装置10はプリアンブルP2を用いた送信動作も可能(許可状態)となる。
【0082】
他方、通信装置20は通信装置10からの応答信号が受信できない(時刻t6)こと等から通信状態の悪化を判定し、時刻t7(処理に要する時間経過後)でプリアンブルP2を用いた通信に変更する。なお、通信装置20は時刻t7においてプリアンブルP2を用いた受信動作は行うが、プリアンブルP2を用いた送信動作は禁止状態となる。そして、時刻t7から待機期間が経過した時刻t9に、通信装置20はプリアンブルP2を用いた送信動作も可能(許可状態)となる。
【0083】
そして、プリアンブルP2を用いた通信(送受信)が共に可能となった、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP2を用いた送受信を適宜行う(時刻t9~)。
【0084】
時刻tb2においてプリアンブルP2を用いた通信の状態が悪化すると、通信装置20は通信装置10からの応答信号が受信できないこと等から通信状態の悪化を判定し、時刻t10でプリアンブルP3を用いた通信に変更する。なお、通信装置20は時刻t10においてプリアンブルP3を用いた受信動作は行うが、プリアンブルP3を用いた送信動作は禁止状態となる。そして、時刻t10から待機期間が経過した時刻t13に、通信装置20はプリアンブルP3を用いた送信動作も可能(許可状態)となる。
【0085】
他方、通信装置10は通信装置20からの応答信号が受信できない(時刻t11)ことから通信状態の悪化を判定し、時刻t12でプリアンブルP3を用いた通信に変更する。なお、通信装置10は時刻t12においてプリアンブルP3を用いた受信動作は行うが、プリアンブルP3を用いた送信動作は禁止状態となる。そして、通常は時刻t12から待機期間が経過した時刻t17に、通信装置10はプリアンブルP3を用いた送信動作も可能(許可状態)となる。
【0086】
しかし、本例では、時刻t13にプリアンブルP3による送受信が許可された通信装置20から通信装置10にプリアンブルP3による送信が行われる。時刻t13でプリアンブルP3による受信は可能となっている通信装置10は、時刻t14で通信装置20からのプリアンブルP3による送信の受信を検知し、この検知に基づき時刻t15で通信装置20はプリアンブルP3を用いた送信動作も可能(許可状態)となる。
【0087】
そして、プリアンブルP3を用いた通信(送受信)が共に可能となった、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP3を用いた送受信を適宜行う(時刻t15~)。
【0088】
プリアンブルP3を用いた通信に変更した後、プリアンブルP3を用いた通信が良好な期間が復帰期間継続した時、本例では、通信装置20は時刻t18にプリアンブルP1を用いた通信に変更し、通信装置10は時刻t19にプリアンブルP1を用いた通信に変更する。なお、通信装置20は時刻t18においてプリアンブルP1を用いた受信動作は行うが、プリアンブルP1を用いた送信動作は禁止状態となる。そして、時刻t18から待機期間が経過した時刻t20に、通信装置20はプリアンブルP1を用いた送信動作も可能(許可状態)となる。また、通信装置10は時刻t19においてプリアンブルP1を用いた受信動作は行うが、プリアンブルP1を用いた送信動作は禁止状態となる。そして、時刻t19から待機期間が経過した時刻t21に、通信装置10はプリアンブルP1を用いた送信動作も可能(許可状態)となる。
【0089】
そして、プリアンブルP1を用いた通信(送受信)が共に可能となった、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP1を用いた送受信を適宜行う(時刻t21~)。以降、通信状態に応じたプリアンブルを用いた通信が適宜行われることになる。
【0090】
このように、第1の実施例では、通信装置(10,20)は独立して、つまり通信相手の通信装置の動作状態に関係無く、通信に用いるプリアンブルを変更することができるので、プリアンブル変更処理が比較的簡単なものとなる利点がある。また、通信相手の通信装置の動作状態等を確認する必要が無いので、通信量を低減することができる。
【0091】
[第2の実施例]
前述の第1の実施例では、通信装置10と通信装置20がそれぞれ独立にプリアンブルの切り替えを行っているため、互いのプリアンブルが合致しないプリアンブル不整合が発生する期間がある。そして、この期間に通信を行なうと通信の不具合が発生するので、通信装置10と通信装置20はプリアンブルを一致させるための待機期間を設けている。従って、第1の実施例では、この待機期間により通信効率が低下する課題がある。
【0092】
第2の実施例では、通信装置10と通信装置20とで、プリアンブル不整合期間の短縮化を図り、通信効率の低下の抑制を図る。
【0093】
そこで、第2の実施例では、通信装置10は、通信に使用するプリアンブルを変更する場合、通信相手先の通信装置(20)に、通信に使用するプリアンブルを変更する旨を示す情報、および変更するプリアンブル種別を特定する情報を送信する。そして、通信相手先の通信装置(20)はこれらプリアンブル変更情報を受信した場合、自己が通信に使用するプリアンブルを当該プリアンブル変更情報により特定されるプリアンブルに変更する。なお、通信装置20が通信に使用するプリアンブルを変更する場合、通信装置20が通信装置10にプリアンブル変更情報を送信する。そして、当該プリアンブル変更情報を受信した通信装置10は、自己が通信に使用するプリアンブルを当該プリアンブル変更情報により特定されるプリアンブルに変更する。
【0094】
この動作により、プリアンブルを一致させるための待機期間を削除、あるいは減縮でき、通信効率の低下を抑止することが可能となる。なお、プリアンブル変更情報は小容量のデータであるため、通信状態が悪い場合でも、繰り返し通信が容易で、比較的通信は確立し易い。
【0095】
次に、上述の動作を実現するために、制御部13が実行する処理について説明する。図9は、制御部13が実行するプリアンブル変更処理で、通信装置10の起動時(ユーザによる電源オン操作等に基づく)に実行される。なお、制御部13は、別途データ送信処理を適宜実行し、プリアンブル変更処理で設定されたプリアンブルを使用して送信対象のデータを送信する。また、各プリアンブル(選択可能なプリアンブル)は図5で示したプリアンブル種別のプリアンブルとする(プリアンブルPnの数値nが大きくなるほどプリアンブル長が長い)。
【0096】
制御部13は、ステップS201において、使用するプリアンブルを特定するパラメータnを1(選択可能な最短のプリアンブルを対応するパラメータ)に設定し、ステップS202に移る。制御部13は、ステップS202において、プリアンブルPn(P1)での送受信を可能とし(送受信の実行を許可し)ステップS203に移る。これにより、通信装置10は他通信装置20からの送信および自装置の送信要求に応じてプリアンブルPn(P1)での通信を行なう。なお、他の通信装置20も、同様の処理により電源導入直後はプリアンブルP1での通信を行なうことになる。
【0097】
制御部13は、ステップS203において、通信状況が悪化したか判定し、通信状況が悪化していればステップS204に移り、通信状況が悪化していなければステップS221に移る。
【0098】
制御部13は、ステップS204において、使用するプリアンブルのパラメータnに1を加算してステップS205に移る。尚、この時点では、通信に使用されるプリアンブルは未だ変更されておらず、変更後のプリアンブルを特定するパラメータnが変更されただけである。
【0099】
制御部13は、ステップS205において、変更後のプリアンブルPnを特定するプリアンブル変更情報(例えば、パラメータnの値)を通信相手先の通信装置(20)に送信し、ステップS206に移る。制御部13は、ステップS206において、通信相手先の通信装置(20)から応答信号を受信したかどうか判断し、受信していればステップS207に移り、受信していなければステップS205に戻り、ステップS205とステップS206の処理を継続する(プリアンブル変更情報の送信を継続する)。
【0100】
制御部13は、ステップS207において、変更したプリアンブルPnでの通信(送受信)を可能と(許可)しステップS208に移る。なお、制御部13は、通信相手先の通信装置(20)の通信に使用するプリアンブルの変更処理に要する時間を考慮し、変更したプリアンブルPnでの送信を待機しても良い。また、プリアンブル変更情報にプリアンブルの変更タイミング情報を含ませて、当該変更タイミング情報に基づき、各通信装置(10、20)がプリアンブルを変更するようにしても良い。
【0101】
制御部13は、ステップS208において、プリアンブルPnの変更から予め定めた復帰時間が経過したか判定し、経過すればステップS209に移り、経過していなければステップS210に移る。制御部13は、ステップS209において、使用するプリアンブルのパラメータnを1に変更してステップS211に移る。
【0102】
制御部13は、ステップS211において、変更後のプリアンブルPn(P1)を特定するプリアンブル変更情報(例えば、パラメータnの値(1))を通信相手先の通信装置(20)に送信し、ステップS212に移る。制御部13は、ステップS212において、通信相手先の通信装置(20)から応答信号を受信したかどうか判断し、受信していればステップS202に移り、受信していなければステップS211に戻り、ステップS211とステップS212の処理を継続する(プリアンブル変更情報の送信を継続する)。
【0103】
制御部13は、ステップS210において、プリアンブルPnのパラメータnが上限値、つまり設定可能な上限(最長)のプリアンブルPnに対するパラメータn(図5のテーブルでは5)に達しているかどうか判定し、上限値に達していればステップS208に戻り、達していなければステップS203に戻る。
【0104】
なお、制御部13は、ステップS208において、周囲の通信状況から通信状態が良化したか否かを判断して、良化していればステップS209に移り、良化していなければステップS210に移る処理としてもよい。この場合、通信状態が良化検知により、プリアンブルが最短のもの(プリアンブルP1)に変更される(初期状態に戻る)ことになる。
【0105】
また、制御部13は、ステップS221において、相手方通信装置(20)からプリアンブル変更情報の通知を受けたかを判定し、受信していればステップS222に移り、受信していなければステップS208に移る。なお、使用中のプリアンブルがプリアンブルP1の場合、制御部13は、ステップS221において、相手方通信装置(20)からプリアンブル変更情報の通知を受信していなければステップS203に戻る(図示は省略する)。制御部13は、ステップS222において、相手方通信装置(20)に応答信号を送信して、ステップS223に移る。制御部13は、ステップS223において、プリアンブルのパラメータnを受信したプリアンブル変更情報に基づく値に変更し、ステップS224に移る。制御部13は、ステップS224において、変更したプリアンブルPnでの通信(送受信)を可能と(許可)し、ステップS203に移る。
【0106】
次に、上述に処理における代表的な通信状態例について説明する。図10は、UWB無線通信状態例を示す状態遷移タイムチャートである。なお、通信装置10と通信装置20とは、共に上述の図9に示した処理を行う。
【0107】
この例では、期間[tb1,tb3]においてプリアンブルP1の通信の通信状態が悪く、期間[tb2,tb3]においてプリアンブルP2の通信の通信状態が悪く、プリアンブルP3の通信の通信状態は表示された全期間で良好であるとする。
【0108】
通信装置10は、時刻t0において起動し(使用者の電源操作等に応じて起動)、そして時刻t3において初期設定処理が終わり、プリアンブルP1を用いた送受信を開始する。また、通信装置20は、時刻t2において起動し(使用者の電源操作等に応じて起動)、そして時刻t4において初期設定処理が終わり、プリアンブルP1を用いた送受信を開始する。これにより時刻t4以降、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP1を用いた送受信を行う。
【0109】
時刻tb1においてプリアンブルP1を用いた通信の状態が悪化すると、通信装置10は通信装置20からの応答信号が受信できないこと等から通信状態の悪化を判定し、通信装置20にプリアンブルP2を用いた通信に変更する旨の通知を行う。そして、このプリアンブルP2への変更通知を受信した通信装置20は、通信装置10にその応答信号を送信する(時刻t6)。なお、このプリアンブルP2への変更通知の送信とその応答信号の送信は、応答信号に対する応答信号等も含めて、確実にプリアンブルP2への変更通知が伝達されていることが確認できるまで繰り返し行うことが望ましい。
【0110】
そして、通信装置10と通信装置20とは、プリアンブルP2への変更通知の伝達が確認された時刻t7においてプリアンブルP2を用いた通信(送受信)に切り替える。その後、プリアンブルP2を用いた通信(送受信)が共に可能となった、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP2を用いた送受信を適宜行う(時刻t7~)。
【0111】
時刻tb2においてプリアンブルP2を用いた通信の状態が悪化すると、通信装置20は通信装置10からの応答信号が受信できないこと等から通信状態の悪化を判定し、時刻t8で通信装置10にプリアンブルP3を用いた通信に変更する旨の通知を行う。そして、このプリアンブルP3への変更通知を受信した通信装置10は、通信装置20にその応答信号を送信する(時刻t9)。なお、このプリアンブルP3への変更通知の送信とその応答信号の送信は、応答信号に対する応答信号等も含めて、確実にプリアンブルP3への変更通知が伝達されていることが確認できるまで繰り返し行うことが望ましい。
【0112】
そして、通信装置10と通信装置20とは、プリアンブルP3への変更通知の伝達が確認された時刻t10においてプリアンブルP3を用いた通信(送受信)に切り替える。その後、プリアンブルP3を用いた通信(送受信)が共に可能となった、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP3を用いた送受信を適宜行う(時刻t10~)。
【0113】
プリアンブルP3を用いた通信に変更した後、プリアンブルP3を用いた通信が良好な期間が復帰期間継続した時(時刻t11)、本例では、通信装置10は、通信装置20にプリアンブルP1を用いた通信に変更する旨の通知を行う。そして、このプリアンブルP1への変更通知を受信した通信装置20は、通信装置10にその応答信号を送信する(時刻t12)。なお、このプリアンブルP1への変更通知の送信とその応答信号の送信は、応答信号に対する応答信号等も含めて、確実にプリアンブルP1への変更通知が伝達されていることが確認できるまで繰り返し行うことが望ましい。
【0114】
そして、通信装置10と通信装置20とは、プリアンブルP1への変更通知の伝達が確認された時刻t13においてプリアンブルP1を用いた通信(送受信)に切り替える。その後、プリアンブルP1を用いた通信(送受信)が共に可能となった、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP1を用いた送受信を適宜行う(時刻t13~)。
【0115】
このように、第2の実施例では、通信装置(10,20)間のプリアンブル変更に関する情報通信に基づき通信に用いるプリアンブルを変更するので、プリアンブル変更の時間差を吸収するための待機時間を短縮することが可能となり、通信効率を高めることができる。
【0116】
[第3の実施例]
第1の実施例及び第2の実施例においては、変更後のプリアンブルでの通信が電波干渉を受けている可能性がある。このため、良好な通信が行えるようになるまでプリアンブルの変更を複数回行うこととなる場合があり、通信効率低下が懸念される。
【0117】
そこで、第3の実施例では、自己の通信環境下における各プリアンブルを用いた通信における通信状況を監視しておき、通信状況が良好な通信に用いられているプリアンブルを使用するようにする。なお、第3の実施例では、通信状況が良好な通信に用いられているプリアンブルの内、最も短いプリアンブルを優先して使用する。
【0118】
次に、上述の動作を実現するために、制御部13が実行する処理について説明する。図11は、制御部13が実行するプリアンブル変更処理で、通信装置10の起動時(ユーザによる電源オン操作等に基づく)に実行される。なお、制御部13は、別途データ送信処理を適宜実行し、プリアンブル変更処理で設定されたプリアンブルを使用して送信対象のデータを送信する。また、各プリアンブル(選択可能なプリアンブル)は図5で示したプリアンブル種別のプリアンブルとする(プリアンブルPnの数値nが大きくなるほどプリアンブル長が長い)。
【0119】
制御部13は、ステップS301において、使用するプリアンブルを特定するパラメータnを1(選択可能な最短のプリアンブルを対応するパラメータ)に設定し、ステップS302に移る。制御部13は、ステップS302において、プリアンブルPn(P1)での送受信を可能とし(送受信の実行を許可し)ステップS303に移る。なお、他の通信装置20も、同様の処理により電源導入直後はプリアンブルP1での通信を行なうことになる。これにより、通信装置10は他通信装置20からの送信および自装置の送信要求に応じてプリアンブルPn(P1)での通信を行なう。また、制御部13は、通信に用いるプリアンブルについて、プリアンブルテーブル121における該当のプリアンブルのデータレコードに「使用状況」データとして「選択中」のデータ(ここでは、プリアンブル種別「プリアンブルP1」のデータレコードに「選択中」を記憶)を記憶する。なお、以降省略するが、通信に用いるプリアンブルが変更される時に、制御部13は、通信に用いるプリアンブルに対する「使用状況」データを「選択中」に変更し、その他のプリアンブルに対する「使用状況」データを「非選択中」に変更する。
【0120】
制御部13は、ステップS303において、周囲における通信状態を計測して、各プリアンブルを用いた通信における通信状態を判定し、そして各判定結果をプリアンブルテーブル121に記憶して、ステップS304に移る。具体的には、制御部13は、各プリアンブルを用いて受信処理を行うことにより各プリアンブルを用いた通信が行われているか判断する。そして、制御部13は検出された通信で用いられているプリアンブルについて、プリアンブルテーブル121における該当のプリアンブルのデータレコードに「使用状況」データとして「使用有」(通信状況悪い:干渉有)のデータを記憶する。
【0121】
なお、制御部13は、通信動作を妨げないように、データ通信中における上述の各プリアンブルを用いた通信における通信状態の判定処理を行わず、通信が終了するまで待機する。
【0122】
制御部13は、ステップS304において、プリアンブルテーブル121の「使用状況」データを用いて、通信状況が良い(「使用状況」が使用無)プリアンブルで、プリアンブル長が最も短いプリアンブルPnを、通信に使用するプリアンブルとして選択し、ステップS305に移る。
【0123】
制御部13は、ステップS305において、選択したプリアンブルPnを特定するプリアンブル変更情報(例えば、パラメータnの値)を通信相手先の通信装置(20)に送信し、ステップS306に移る。制御部13は、ステップS306において、通信相手先の通信装置(20)から応答信号を受信したかどうか判断し、受信していればステップS307に移り、受信していなければステップS305に戻り、ステップS305とステップS306の処理を継続する(プリアンブル変更情報の送信を継続する)。
【0124】
制御部13は、ステップS307において、変更したプリアンブルPnでの通信(送受信)を可能と(許可)しステップS308に移る。なお、制御部13は、通信相手先の通信装置(20)の通信に使用するプリアンブルの変更処理に要する時間を考慮し、変更したプリアンブルPnでの送信を待機しても良い。また、プリアンブル変更情報にプリアンブルの変更タイミング情報を含ませて、当該変更タイミング情報に基づき、各通信装置(10、20)がプリアンブルを変更するようにしても良い。
【0125】
制御部13は、ステップS308において、プリアンブルPnの選択処理(ステップS304、あるいはステップS313)から予め定めた再選択時間が経過したか判定し、経過すればステップS303に戻り、経過していなければステップS309に移る。つまり、ステップS308の処理により、通信可能状態における短時間間隔でのプリアンブルの変更を抑制し、通信を安定させることができる。制御部13は、ステップS309において、現在使用中のプリアンブルPnによる通信状況を通信確立状態や通信データ復号状態等に基づき確認し、通信状況が悪化していればステップS303に戻り、悪化していなければステップS310に移る。つまり、ステップS308の処理により、通信状況の悪化に対して迅速に対応できることになる。
【0126】
また、制御部13は、ステップS310において、相手方通信装置(20)からプリアンブル変更情報の通知を受けたかを判定し、受信していればステップS311に移り、受信していなければステップS308に移る。制御部13は、ステップS311において、相手方通信装置(20)に応答信号を送信して、ステップS312に移る。制御部13は、ステップS312において、プリアンブルのパラメータnを受信したプリアンブル変更情報に基づく値に変更し、ステップS313に移る。制御部13は、ステップS313において、変更したプリアンブルPnでの通信(送受信)を可能と(許可)し、ステップS308に移る。
【0127】
次に、上述に処理における代表的な通信状態例について説明する。図12は、UWB無線通信状態例を示す状態遷移タイムチャートである。なお、通信装置10と通信装置20とは、共に上述の図11に示した処理を行う。
【0128】
この例では、期間[t0,tb1]以外の期間においてプリアンブルP1の通信の通信状態が悪く、期間[tb2,tb3]においてプリアンブルP2の通信の通信状態が悪く、プリアンブルP3の通信の通信状態は表示された全期間で良好であるとする。
【0129】
通信装置10は、時刻t0において起動し(使用者の電源操作等に応じて起動)、そして時刻t3において初期設定処理が終わり、プリアンブルP1を用いた送受信を開始する。また、通信装置20は、時刻t2において起動し(使用者の電源操作等に応じて起動)、そして時刻t4において初期設定処理が終わり、プリアンブルP1を用いた送受信を開始する。これにより時刻t4以降、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP1を用いた送受信を行う。また、通信装置10と通信装置20とは、通信中以外の期間において適当な時間間隔(実験等により定められた、良好な通信が行える制御に適切な通信状態検出間隔)で、周囲における各プリアンブルを用いた通信状況(有無等)を検出し、プリアンブルテーブル121に記憶する。
【0130】
時刻tb1において通信状況(電波状況)が変化すると(プリアンブルテーブル121のデータから判断)、通信装置10は周囲の通信で使用されていないプリアンブルの中で最もプリアンブル長が短いプリアンブルP2を選択する。そして、通信装置10は通信装置20に選択したプリアンブルP2を用いた通信に変更する旨の通知を行う(時刻t5)。そして、このプリアンブルP2への変更通知を受信した通信装置20は、通信装置10にその応答信号を送信する(時刻t6)。なお、このプリアンブルP2への変更通知の送信とその応答信号の送信は、応答信号に対する応答信号等も含めて、確実にプリアンブルP2への変更通知が伝達されていることが確認できるまで繰り返し行うことが望ましい。
【0131】
そして、通信装置10と通信装置20とは、プリアンブルP2への変更通知の伝達が確認された時刻t7においてプリアンブルP2を用いた通信(送受信)に切り替える。その後、プリアンブルP2を用いた通信(送受信)が共に可能となった、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP2を用いた送受信を適宜行う(時刻t7~)。
【0132】
時刻tb2において通信状況(電波状況)が変化すると(プリアンブルテーブル121のデータから判断)、通信装置20は周囲の通信で使用されていないプリアンブルの中で最もプリアンブル長が短いプリアンブルP3を選択する。そして、通信装置20は通信装置10に選択したプリアンブルP3を用いた通信に変更する旨の通知を行う(時刻t8)。そして、このプリアンブルP3への変更通知を受信した通信装置10は、通信装置20にその応答信号を送信する(時刻t9)。なお、このプリアンブルP3への変更通知の送信とその応答信号の送信は、応答信号に対する応答信号等も含めて、確実にプリアンブルP3への変更通知が伝達されていることが確認できるまで繰り返し行うことが望ましい。
【0133】
そして、通信装置10と通信装置20とは、プリアンブルP3への変更通知の伝達が確認された時刻t10においてプリアンブルP3を用いた通信(送受信)に切り替える。その後、プリアンブルP3を用いた通信(送受信)が共に可能となった、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP3を用いた送受信を適宜行う(時刻t10~)。
【0134】
時刻tb3において通信状況(電波状況)が変化すると(プリアンブルテーブル121のデータから判断)、通信装置10は周囲の通信で使用されていないプリアンブルの中で最もプリアンブル長が短いプリアンブルP2を選択する(プリアンブルP1の通信は良化しておらず、選択されない)。そして、通信装置10は通信装置20に選択したプリアンブルP2を用いた通信に変更する旨の通知を行う(時刻t11)。そして、このプリアンブルP2への変更通知を受信した通信装置20は、通信装置10にその応答信号を送信する(時刻t12)。なお、このプリアンブルP2への変更通知の送信とその応答信号の送信は、応答信号に対する応答信号等も含めて、確実にプリアンブルP2への変更通知が伝達されていることが確認できるまで繰り返し行うことが望ましい。
【0135】
そして、通信装置10と通信装置20とは、プリアンブルP2への変更通知の伝達が確認された時刻t13においてプリアンブルP2を用いた通信(送受信)に切り替える。その後、プリアンブルP2を用いた通信(送受信)が共に可能となった、通信装置10と通信装置20とはプリアンブルP2を用いた送受信を適宜行う(時刻t13~)。
【0136】
このように、第3の実施例では、通信装置(10,20)周辺の通信状況を監視し、当該通信状況に応じて通信に用いるプリアンブルを通信状況に応じた適切なプリアンブルに変更するので、プリアンブル変更後の通信を確実に良好なものとすることができ、迅速な通信確立が可能となり、また通信効率を高めることができる。
【0137】
なお、第3の実施例では、通信装置10は周囲の通信で使用されていないプリアンブルの中で最も短いプリアンブルを選択して通信を行なっているが、周囲の通信で使用頻度(予め定めた時間長の直近の期間で計測)が最も低いプリアンブル(その中で最も短いプリアンブル)を選択して通信を行なう方法も有効である。
【0138】
例えば、周囲の通信状況の計測の結果、直近の1分間の他システムの通信によるプリアンブルP2の使用回数が100回、他システムによるプリアンブルP3の使用頻度が10回、他システムによるプリアンブルP4の使用頻度が50回であった場合を考える。この場合、通信装置10は、プリアンブルP2、プリアンブルP3、プリアンブルP4のうち他システムによる使用頻度が最も低いプリアンブルP3に切り替える。
【0139】
また、周囲の通信での使用頻度とプリアンブル長とを用いて予め定めた所定の評価式(実験等に基づき評価式を作成する)に基づき評価値を算出し、当該評価値が最も良好な値(例えば最大値)であるプリアンブルを選択して通信を行なう方法も有効である。
【0140】
また、通信装置10は周囲の通信で使用されていないプリアンブルが存在しない場合は、プリアンブルを変更せずに通信を行なう方法、あるいは上述のように、周囲の通信での使用頻度、または周囲の通信での使用頻度とプリアンブル長とに基づきプリアンブルを選択して通信を行なう方法が有効である。
【0141】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0142】
V1、V2 車両
1 通信システム
10、20 通信装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
121 プリアンブルテーブル
131 判定部
132 変更部
図1
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