(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065933
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】フライヤー、及び、そのフライヤーに取り付けられる蓄熱体
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A47J37/12 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175056
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】507166391
【氏名又は名称】林 廣美
(71)【出願人】
【識別番号】522427165
【氏名又は名称】東山 克基
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】林 廣美
(72)【発明者】
【氏名】東山 克基
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AB02
4B059AD14
4B059AE03
4B059BA01
(57)【要約】
【課題】ヒーターと油槽の底との間の空間に収容される油を削減できるフライヤーを提供する。
【解決手段】このフライヤー1は、油30を収容する油槽3と、油槽3内の油30の油面31と略平行な面内に配設され油30を加熱する管状のヒーター4と、複数の管状部材からなりそれらの管状部材の一端にヒーター4が設けられ他端がフライヤー1の筐体2と回動自在に接続されて、その回動によりヒーター4を油30中に出し入れするヒーター支持部材5と、油30の深さ方向の上下からヒーター4を挟み込むようにそのヒーター4に取り付けられる蓄熱体取付部材7の下側の下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる、所定の体積を有する蓄熱体10とを備える。この蓄熱体10は、ヒーター支持部材5の回動によりヒーター4とともに油30中に沈没され、蓄熱体10の体積により油30中に空間が生じて油30が押し出され、油面31が上昇し調理に適正な深さになる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の油の中で食材を加熱調理するフライヤーであって、
前記油を収容する油槽と、
前記油槽内の前記油の油面と略平行な面内に配設され前記油を加熱する管状のヒーターと、
複数の管状部材からなり前記油面に対して略垂直をなす面内に配設され、前記管状部材の一端に前記ヒーターが設けられ他端が前記フライヤーの筐体と回動自在に接続されて、前記回動により前記ヒーターを前記油中に出し入れするヒーター支持部材と、
前記油の深さ方向の上下から前記ヒーターを挟み込むように該ヒーターに取り付けられる蓄熱体取付部材の下方に取り付けられる、所定の体積を有する蓄熱体とを備え、
前記蓄熱体は、
前記ヒーター支持部材の前記回動により前記ヒーターとともに前記油中に沈没されることを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
前記蓄熱体は、本体部を有し、
該本体部には、前記蓄熱体取付部材に取り付けられる結合部が延出するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフライヤー。
【請求項3】
前記本体部は、略直方体形状をなし、
前記本体部の底面部には、前記結合部が延出するように一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のフライヤー。
【請求項4】
前記本体部には、貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のフライヤー。
【請求項5】
前記蓄熱体は、熱伝導部材で前記ヒーターと接続され、前記ヒーターの熱が前記熱伝導部材を介して前記蓄熱体に伝導するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のフライヤー。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のフライヤーの前記蓄熱体取付部材の下方に取り付けられる、前記所定の体積を有する蓄熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高温の油の中で食材を加熱調理するフライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットなどでは揚げ物などが調理され、総菜コーナー等で提供されている。この揚げ物の調理には、油槽に高温の調理油が収容され、その調理油の中で食材を加熱調理するフライヤーと呼ばれる装置が用いられる。フライヤーの油槽には、ヒーターが設けられ、このヒーターが調理油を加熱する構造になっている。ヒーターの上部には、調理空間の底面となる調理網が設置されており、食材はこの調理網より下に沈むことなく、ヒーターより上の位置で調理が行われる。フライヤーのヒーターの下部には、油槽の底との間に下部空間が設けられており、油槽内のこの空間も油で満たされているが、この下部空間内で食材が調理されることはない。従来、このヒーターの下部の空間を有効に活用する発明がなされており、例えば、下記特許文献1に記載のフライヤーが知られている。この特許文献1に記載のフライヤーは、油槽内の底部に油温を維持する熱容量を有する蓄熱体が配置され、この蓄熱体の上にヒーターが配置される。このヒーターの熱により蓄熱体が加熱され、加熱された蓄熱体の熱で油温が所定時間の間、所定温度に維持されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、調理油の価格が高騰しており、フライヤーにおいても調理油の節約の要求が高まっている。ヒーター下部の空間の油は、直接調理に使用されないため、この下部空間を満たす油を削減する構造について、本発明者が試行錯誤を繰り返して開発を行った結果、油槽の底部をヒーターに近づけて下部空間の容積を減少させ、この下部空間に収容される油の量を削減しても、調理に支障をきたすことなく、従来のフライヤーと同等の品質の揚げ物が揚がることが判明した。この知見を活かして、今後開発するフライヤーは、油槽の底をヒーターに接近させヒーター下部の空間の容積を減少させた構造を採用することになる。しかしながら、これまでに下部空間の容積の大きい多数の製品が販売されており、すでに販売した従来の製品に対しても、ヒーターと油槽の底との間の下部空間を満たす油の削減が求められている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、ヒーターと油槽の底との間の空間に収容される油を削減できるフライヤーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、高温の油の中で食材を加熱調理するフライヤーであって、前記油を収容する油槽と、前記油槽内の前記油の油面と略平行な面内に配設され前記油を加熱する管状のヒーターと、複数の管状部材からなり前記油面に対して略垂直をなす面内に配設され、前記管状部材の一端に前記ヒーターが設けられ他端が前記フライヤーの筐体と回動自在に接続されて、前記回動により前記ヒーターを前記油中に出し入れするヒーター支持部材と、前記油の深さ方向の上下から前記ヒーターを挟み込むように該ヒーターに取り付けられる蓄熱体取付部材の下方に取り付けられる、所定の体積を有する蓄熱体とを備え、前記蓄熱体は、前記ヒーター支持部材の前記回動により前記ヒーターとともに前記油中に沈没されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記蓄熱体は、本体部を有し、該本体部には、前記蓄熱体取付部材に取り付けられる結合部が延出するように設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の構成に加えて、前記本体部は、略直方体形状をなし、前記本体部の底面部には、前記結合部が延出するように一体に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3の何れか一項に記載の構成に加えて、前記本体部には、貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の構成に加えて、前記蓄熱体は、熱伝導部材で前記ヒーターと接続され、前記ヒーターの熱が前記熱伝導部材を介して前記蓄熱体に伝導するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の構成のフライヤーの前記蓄熱体取付部材の下方に取り付けられる、前記所定の体積を有する蓄熱体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、所定の体積を有する蓄熱体が油中に沈没されると、油中に蓄熱体の体積分の空間が生じ、その体積分の油が押し出されて油面が上昇する。このように油面が上昇した状態で調理が行われるため、この油面が上昇する分の油を削減できる。
【0013】
また、蓄熱体が、油の深さ方向の上下からヒーターを挟み込むようにヒーターに取り付けられる蓄熱体取付部材の下方に取り付けられるため、ヒーターと油槽の底との間の空間に蓄熱体が沈められ、蓄熱体の体積分の油が押し出される。このように、ヒーターと油槽の底との間の空間に収容される油を削減できる。
【0014】
また、熱容量を有する蓄熱体が熱を蓄熱するため、油中に食材を投入するなどして蓄熱体周囲の油温が低下しても、蓄熱体からの熱が周囲の油に供給され、すばやく油温が上昇し、調理に適した油温に回復する。
【0015】
また、蓄熱体が、油の深さ方向の上下からヒーターを挟み込むようにヒーターに取り付けられる蓄熱体取付部材に取り付けられるため、蓄熱体をフライヤーに安定して、確実に取り付けることができる。
【0016】
また、ヒーター支持部材の回動によりヒーターと蓄熱体とを油中に出し入れできるため、調理時にはヒーターと蓄熱体とを油中に沈没させ、汚れを取り除く際にはヒーターと蓄熱体とを油中から引き上げることができ清掃がしやすい。
【0017】
また、蓄熱体を蓄熱体取付部材の下方に取り付ければヒーターと油槽の底との間の空間に収容される油を削減できるため、蓄熱体が取り付けられていないフライヤーに対しても後から蓄熱体を取り付けることで同様の効果を得ることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、蓄熱体の本体部に蓄熱体取付部材に取り付けられる結合部が延出するように設けられているため、蓄熱体の取り付けがしやすく、蓄熱体を安定して取り付けることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、蓄熱体の本体部の底面部に結合部が延出するように一体に形成されているため、取り扱いが容易で、蓄熱体の取り付け方法も分かりやすい。また、鋳造などで蓄熱体を安価に製造できる。
【0020】
請求項4の発明によれば、蓄熱体の本体部に貫通孔が形成されているため、調理の際に発生する調理かすが貫通孔を通過して油槽の底に落ち、調理かすが回収しやすい。また、蓄熱体と周囲の油との接触面積が大きくなるため、油温が低下したときに蓄熱体の熱が効率的に油に供給される。また、油の流動が妨げられることなく、この貫通孔を油が流れることができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、蓄熱体とヒーターが熱伝導部材で接続され、ヒーターの熱が熱伝導部材を介して蓄熱体に伝導する。ヒーターの熱が伝わり蓄熱体の温度が上昇するため、蓄熱体の周囲の油温が低下しても、すばやく熱が供給され油温が上昇し調理に適した油温に回復する。
【0022】
請求項6の発明によれば、蓄熱体が取り付けられていない状態で販売されたフライヤーに対して、販売後に蓄熱体を取り付けることができ、ヒーターと油槽の底との間の空間に収容される油を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るフライヤーの概略図であり、(a)は正面図、(b)は底板を図示しない平面図、(c)はB-B線に沿う断面図である。
【
図2】同実施の形態1に係るフライヤーのヒーター、ヒーター支持部材、底板、蓄熱体取付部材及び蓄熱体を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図である。
【
図3】同実施の形態1に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【
図4】同実施の形態1に係るフライヤーのヒーター、底板、蓄熱体取付部材及び蓄熱体の位置関係を示す概略図であり、(a)は
図1(b)の領域PについてのA-A線に沿う断面図、(b)は領域Pについて底板の直下のC-C線に沿う断面図である。
【
図5】同実施の形態1にフライヤーの概略図であり、(a)はヒーターと蓄熱体を引き上げた状態で蓄熱体側から見た図、(b)はヒーターを引き上げた状態で蓄熱体が取り付けられていないときの図、(c)はヒーターを下した状態で底板側から見た図である。
【
図6】同実施の形態1に係るフライヤーの概略斜視図であり、(a)はヒーターと蓄熱体を油中から引き上げた状態の図、(b)はヒーターと蓄熱体を油中に沈没させた状態の図である。
【
図7】この発明の実施の形態2に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【
図8】この発明の実施の形態3に係るフライヤーの概略図であり、(a)は底板を図示しない平面図、(b)はヒーターと蓄熱体を引き上げた状態で蓄熱体側から見た図である。
【
図9】同実施の形態3に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【
図10】同実施の形態3に係るフライヤーのヒーター、底板、蓄熱体取付部材及び蓄熱体の位置関係を示す概略図であり、(a)は
図8(a)の領域QについてのD-D線に沿う断面図、(b)は領域Qについて底板の直下のE-E線に沿う断面図である。
【
図11】この発明の実施の形態4に係るフライヤーの概略図であり、(a)は底板を図示しない平面図、(b)はヒーターと蓄熱体を引き上げた状態で蓄熱体側から見た図である。
【
図12】同実施の形態4に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【
図13】この発明の実施の形態5に係るフライヤーの概略図であり、(a)は底板を図示しない平面図、(b)はヒーターと蓄熱体を引き上げた状態で蓄熱体側から見た図である。
【
図14】同実施の形態5に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【
図15】この発明の実施の形態6に係るフライヤーの概略図であり、(a)は底板を図示しない平面図、(b)はヒーターと蓄熱体を引き上げた状態で蓄熱体側から見た図である。
【
図16】同実施の形態6に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【
図17】同実施の形態6に係るフライヤーの熱伝導部材の概略図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。
【
図18】同実施の形態6に係るフライヤーのヒーター、底板、蓄熱体取付部材及び蓄熱体の位置関係を示す概略図であり、(a)は
図15(a)の領域RについてのF-F線に沿う断面図、(b)は領域Rについて底板の直下のG-G線に沿う断面図である。
【
図19】この発明の実施の形態7に係るフライヤーの概略図であり、(a)は底板を図示しない平面図、(b)はヒーターと蓄熱体を引き上げた状態で蓄熱体側から見た図である。
【
図20】同実施の形態7に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【
図21】同実施の形態7に係るフライヤーのヒーター、底板、蓄熱体取付部材及び蓄熱体の位置関係を示す概略図であり、(a)は
図19(a)の領域SについてのH-H線に沿う断面図、(b)は領域Sについて底板の直下のJ-J線に沿う断面図である。
【
図22】この発明の実施の形態8に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【
図23】この発明の実施の形態9に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【
図24】この発明の実施の形態10に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【
図25】この発明の実施の形態11に係るフライヤーの蓄熱体の概略図であり、(a)は本体部の上面部方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部の底面部方向から見た背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[発明の実施の形態1]
この発明の実施の形態1について、
図1~
図6を用いて説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態1に係るフライヤー1の概略図であり、(a)は正面図、(b)は底板6を図示しない平面図、(c)はB-B線に沿う断面図である。ただし、
図1(a)の正面図では、油槽3の前面となる前壁部14の部分を図示せず、その部分については油槽3内部を図示している。
【0026】
このフライヤー1は、油槽3内の高温の油30の中で食材を加熱調理する装置である。
図1に示すように、フライヤー1の筐体2の上部には、調理油30を収容する油槽3が設けられており、この油槽3は、前面の前壁部14、左右の側壁部15、後面の後壁部16、油槽3の底面となる底壁部17により構成される。この油槽3の底壁部17の中央部分には、前後方向に延びる油30の排出口18が設けられている。排出口18の上部には、底壁部17と連続する位置に水平に調理かすを取り除くかす取り網24が設置される。筐体2の中間部には、油30の排出レバー20があり、このレバー20を90°回転させると、油槽3内の油30が排出口18から排出管19を通って筐体2の下部に設置される油缶21に排出される。この油缶21の上部には、かす受けかご22が置かれており、油30中の調理かすが取り除かれる。
図1(a)に示すように、筐体2正面の中間部には、操作部23が設けられ、フライヤー1の電源の投入や切断、油温の設定などが行われる。操作部23の操作によりフライヤー1の電源が投入されると、油槽3内に配設されるヒーター4が発熱し、油槽3内の油30の加熱が開始される。食材が調理される位置(油面31付近)に設置される図示しない温度計38で油温が測定され、油温が設定温度に達するとヒーター4の発熱が停止し、その後、油温が設定温度から例えば1℃低くなるとヒーター4の発熱が再度開始するように制御される。このように、油温が設定温度に保持される。
【0027】
ヒーター4は、形状が管状をなしており、油槽3内の油30の油面31と略平行な面内に折り曲げられるように配設される。このヒーター4は、ヒーター支持部材5により支持されているが、このヒーター支持部材5は、複数の管状部材からなり油面31に対して略垂直をなす面内に配設される。ヒーター支持部材5を構成する複数の管状部材の一端にはヒーター4が設けられ、これら管状部材の他端は回動部26に接続されている。
【0028】
図1(c)に示すように、この回動部26が回転軸13まわりに回動すると、ヒーター支持部材5も筐体2に対して回動し、ヒーター支持部材5に設けられているヒーター4が油30中から出し入れされる。この図に示すように、ヒーター4の下方には所定の体積を有する蓄熱体10が取り付けられる。ヒーター支持部材5の回動により、ヒーター4と蓄熱体10が油30中に沈没すると、蓄熱体10はヒーター4と油槽3の底壁部17との間の下部空間36に収容される。蓄熱体10が油30中に沈められると、蓄熱体10の体積が占める空間の油30が押し出されて油面31が上昇し、食材の調理に必要な深さが確保される。すなわち、蓄熱体10を油30中に保持することにより油面31が上昇した状態を維持したまま調理できる。このように、蓄熱体10の体積分の油30を削減して節約できる。そして、削減される油30は、ヒーター4と油槽3の底壁部17との間の下部空間36に収容される油30である。
【0029】
ここで、蓄熱体10の「所定の体積」とは、油量の削減量に相当する体積のことである。例えば、3.6リットルの油量を削減するには、蓄熱体10の体積をその削減油量に相当する体積とする。ヒーター4下部の空間36の油30は、直接調理に使用されないため、ヒーター4と油槽3の底壁部17との間の深さについて、本発明者が試行錯誤を繰り返して開発を行った結果、底壁部17をヒーター4に近づけて下部空間36の容積を減少させ、この下部空間36に収容される油30の量を削減しても、調理に支障をきたすことなく、従来のフライヤーと同等の品質の揚げ物が揚がることが判明している。すなわち、ヒーター4上方の調理が行われる調理空間35の油30の深さが適正であれば、下部空間36の深さを減少させても従来のフライヤーと同等の調理が行える。この結果に基づくと、蓄熱体10の体積は、できる限り大きくすることが好ましいといえる。したがって、蓄熱体10の深さ方向の寸法は、ヒーター4を油槽3から出し入れしたり、ヒーター4を油槽3に投入して調理したりする際に、蓄熱体10が底壁部17に接触しない程度に大きくすることが好ましい。そして、蓄熱体10を油30中に沈めたときの油面31が調理に適正な高さになるように設定する。実際には、回動させてヒーター4を油槽3に入れた状態にしてから、油槽3内に記されている適正油面ラインまで油30を注ぎ入れる。
【0030】
蓄熱体取付部材7がヒーター4に取り付けられており、蓄熱体10がこの蓄熱体取付部材7の下方に取り付けられる。このようにして、蓄熱体10がヒーター4の下方に設置される。
【0031】
蓄熱体10は、熱容量を有し熱を蓄積するため、油30中に食材を投入したときなど蓄熱体10周囲の油温が低下しても、蓄熱体10からの熱が周囲の油30に供給され、すばやく油温が上昇し、調理に適した油温に回復する。油温は、調理が行われる油面31付近の浅い位置で高温であり、油30中深くなるにつれて低下していく。蓄熱体10はヒーター4の近傍に取り付けられるため、ヒーター4に近い蓄熱体10の上部の温度も高温となり、周囲の油温が低下したときに蓄熱体10からの熱が周囲の油30に効率よく供給される。
【0032】
蓄熱体取付部材7をヒーター4に取り付ける構造は、ヒーター4の上に油槽3内の調理空間35の底面を形成する底板6が載置され、この底板6とヒーター4とを油30の深さ方向の上下から挟み込むような形で蓄熱体取付部材7が取り付けられる構造になっている。この蓄熱体取付部材7は、底板6の上側に取り付けられる上側蓄熱体取付板材8と、ヒーター4の下側に取り付けられる下側蓄熱体取付板材9とから構成される。この上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9で底板6とヒーター4を上下に挟み、上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9とをボルト70とナット71で締結することにより、上側蓄熱体取付板材8、底板6、ヒーター4、下側蓄熱体取付板材9が結合される。このようにして、ヒーター4に上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9が強固に取り付けられる。
【0033】
蓄熱体10は、油の深さ方向の上下からヒーター4を挟み込むようにヒーター4に取り付けられる蓄熱体取付部材7(下側蓄熱体取付板材9)に取り付けられるため、蓄熱体10をフライヤー1に安定して、確実に取り付けることができる。
【0034】
図1(c)に示す底板6の上部には、二点鎖線で示す食材の落下を防止する調理網34が設置される。
【0035】
図1(b)は、フライヤー1の概略平面図であるが、ヒーター4の概略形状と蓄熱体10の概略形状を示すため、底板6を図示していない。本実施形態1では、管状のヒーター4が3本で構成されており、3個の蓄熱体10が取り付けられている。また、蓄熱体取付部材7を構成する上側蓄熱体取付板材8の平面形状は、フライヤー1の一方の側壁部15から他方の側壁部15に向かう方向に略平行に延びる二枚の板材をフライヤー1の前後方向に略平行に延びる二枚の板材でつないだ形状になっている。この図には示されていないが、蓄熱体取付部材7を構成する下側蓄熱体取付板材9の平面形状も、この上側蓄熱体取付板材8と同様の形状になっている。また、上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9には、ヒーター昇降レバー11が溶接により接合されており、このヒーター昇降レバー11の先端には把持部12が設けられている。調理者が、この把持部12を掴んでヒーター昇降レバー11を引き上げると、ヒーター支持部材5が回動し、ヒーター4と蓄熱体10が油30中から引き上げられる。ヒーター支持部材5の回動によりヒーター4と蓄熱体10を油30中に出し入れできるため、ヒーター4と蓄熱体10を油30中に沈没させて調理を行い、汚れを取り除く際にはヒーター4と蓄熱体10を油30中から引き上げることができる。このように清掃がしやすいという利点も生ずる。
【0036】
図2は、フライヤー1のヒーター4、ヒーター支持部材5、底板6、蓄熱体取付部材7(上側蓄熱体取付板材8、下側蓄熱体取付板材9)及び蓄熱体10を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図である。油槽3内の油面31と略平行な面内に油30を加熱する管状のヒーター4が配設されている。また、複数の管状部材からなり油面31に対して略垂直をなす面内にヒーター支持部材5が配設され、複数の管状部材の一端にヒーター4が設けられている。この構造を詳しく説明すると、管状部材である複数のステンレス管が折り曲げられ、油面31と略平行な面内となるステンレス管部分の内部にニクロム線や鉄クロム線などの電熱線が挿入され、この部分がヒーター4を構成している。また、このステンレス管は、管の先端に外力が加えられ、この外力によりステンレス管全体が回動させられるのに十分な高い剛性を有するように管の肉厚が設計されており、この折り曲げられたステンレス管の油面31に対して略垂直をなす面内となる部分が、ヒーター支持部材5を構成している。このように、折り曲げられたステンレス管の一部がヒーター4を構成し、その他の部分がヒーター支持部材5を構成している。
【0037】
なお、ヒーター4の種類は、電熱線ヒーターだけでなく、遠赤外線ヒーターなどその他の種類のヒーターを用いてもよい。
【0038】
図2(c)に示すように、ヒーター4の上に取り付けられる底板6には、複数の円形の開孔37が形成されている。この開孔37を通過して、油30が流動したり、調理かすが底板6の下側に落ちていったりする。
【0039】
また、
図2(a)や(b)に示すように、ヒーター4に底板6が載置された状態で、上側から上側蓄熱体取付板材8で底板6を挟み、下側から下側蓄熱体取付板材9でヒーター4を挟んで結合される。そして、蓄熱体10は、下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる。
【0040】
図3は、蓄熱体10の概略図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。
【0041】
この蓄熱体10は、略直方体形状をなす本体部40を有し、この本体部40の底面部44には、下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる結合部41が延出するように一体に形成されている。結合部41は、本体部40の短手方向に左右一対として形成され、一対の結合部41が、本体部40の長手方向の2箇所に形成されている。また、左右一対の結合部41の間で本体部40の底面部44となる部分は分離しており、底面部44の部分に間隙が形成されている。蓄熱体10の材料は、熱伝導率の高い銅やアルミニウムを用いてもよいし、熱伝導率の低いステンレスやセラミックを用いることもできる。
【0042】
図3(a)は、本体部40の上面部43側の方向から見た正面図である。本体部40の左右の側面部45からは短手方向に板状の結合部41が延出しており、それぞれの結合部41には結合孔47が形成されている。この結合部41の結合孔47は貫通しており、この結合孔47を貫通させたボルト70とナット71を締め付けることにより結合部41と下側蓄熱体取付板材9が結合される。ただし、結合部41と下側蓄熱体取付板材9との結合は、ボルト70とナット71以外にも、固定ねじ72等を用いてもよい。
【0043】
本体部40に結合部41が延出するように設けられているため、下側蓄熱体取付板材9への取り付けの作業性がよく、蓄熱体10を安定して取り付けることができる。
【0044】
図3(b)や(c)に示す結合部41の接触面部42が、下側蓄熱体取付板材9の表面に接触する部位である。
【0045】
図3(f)は、本体部40の底面部44側の方向から見た背面図である。
図3(b)~(e)にも示されるように、結合部41は、本体部40の底面部44に一体に形成されている。結合部41が、本体部40と一体に形成されているため、取り扱いが容易で、蓄熱体10の取り付け方法も分かりやすい。
【0046】
また、
図3(f)に示すように、左右の側面部45から短手方向に延びる結合部41は、底面部44の中央部分で連続しておらず、それぞれが分離している。このような構造になっているため、この分離している空間に上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9を結合するボルト70とナット71を配置することができ、干渉を回避して結合部41を下側蓄熱体取付板材9に結合できる。
【0047】
図3(b)や(c)に示すように、本体部40の底面部44と、結合部41の接触面部42との間に段差48を有している。この段差48により、底面部44が対面するヒーター4や下側蓄熱体取付板材9とこの底面部44との間に十分な空隙が形成され、油30の流動が妨げられることなく、この空隙を抵抗なく油30が流れることができる。
【0048】
図3に示すこの蓄熱体10は、シンプルな構造であるため、製造がしやすく、鋳造などの製造方法により安価に作ることができる。
【0049】
図4は、ヒーター4、底板6、蓄熱体取付部材7(上側蓄熱体取付板材8、下側蓄熱体取付板材9)及び蓄熱体10の位置関係を示す概略図であり、(a)は
図1(b)の領域PについてのA-A線に沿う断面図、(b)は領域Pについて底板6の直下のC-C線に沿う断面図である。
【0050】
図4(a)に示すように、ヒーター4と底板6を蓄熱体取付部材7である上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9で挟み込んだ位置関係になっている。上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9は、ボルト70とナット71により締結され、この締結力によりヒーター4、底板6、上側蓄熱体取付板材8及び下側蓄熱体取付板材9が結合されている。そして、蓄熱体10の結合部41と下側蓄熱体取付板材9とがボルト70とナット71により締結され、蓄熱体10が下側蓄熱体取付板材9に取り付けられている。
【0051】
図4(b)に示すように、ヒーター4の下方に下側蓄熱体取付板材9が配置され、この下側蓄熱体取付板材9に蓄熱体10が取り付けられている。蓄熱体10の結合部41の接触面部42が下側蓄熱体取付板材9に接触するように取り付けられるため、蓄熱体10の本体部40の底面部44が、ヒーター4や下側蓄熱体取付板材9に対面するように配置される。
【0052】
あらかじめ下側蓄熱体取付板材9に蓄熱体10を締結するためのボルト70を貫通させる貫通孔が設けられていれば、その下側蓄熱体取付板材9の貫通孔と蓄熱体10の結合部41の結合孔47とにボルト70を貫通させて、下側蓄熱体取付板材9と蓄熱体10とを締結すればよい。一方、下側蓄熱体取付板材9にボルト70を貫通させる貫通孔が設けられていない状態で販売されたフライヤー1の場合には、販売後に、下側蓄熱体取付板材9に貫通孔を形成して、その貫通孔を用いて蓄熱体10を取り付けてもよい。または、上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9とを締結しているボルト70とナット71を一旦外し、再度、蓄熱体10の結合部41の結合孔47にもボルト70を貫通させて、上側蓄熱体取付板材8、下側蓄熱体取付板材9、蓄熱体10を締結するようにしてもよい。すなわち、上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9の締結に用いる貫通孔を、蓄熱体10を締結する貫通孔として兼用してもよい。
【0053】
図5は、フライヤー1の概略図であり、(a)はヒーター4と蓄熱体10を引き上げた状態で蓄熱体10側から見た図、(b)はヒーター4を引き上げた状態で蓄熱体10が取り付けられていないときの図、(c)はヒーター4を下した状態で底板6側から見た図である。
【0054】
図5(a)に示すように、下側蓄熱体取付板材9に3個の蓄熱体10が取り付けられている。
図5(b)に示すように、下側蓄熱体取付板材9の平面形状は、フライヤー1の一方の側壁部15から他方の側壁部15に向かう方向に平行に延びる二枚の板材と、これら二枚の板材をフライヤー1の前後方向に平行に延びる二枚の板材でつないだ形状になっている。蓄熱体10の結合部41は、同図の左右方向に延びる略平行の二枚の板材の部分に取り付けられる。
【0055】
図5(c)に示すように、底板6の上部に配置される上側蓄熱体取付板材8の平面形状と、
図5(b)に示す下側蓄熱体取付板材9の平面形状とはほぼ同様の形状をなしている。
【0056】
図6は、フライヤー1の概略斜視図であり、(a)はヒーター4と蓄熱体10を油30中から引き上げた状態の図、(b)はヒーター4と蓄熱体10を油30中に沈没させた状態の図である。
【0057】
図6(a)に示すように油30の中から蓄熱体10が取り出された状態では、油面31が低下して、食材の調理に要する油面31の高さを下回っている。一方、
図6(b)に示すように蓄熱体10を油30中に沈没させると、蓄熱体10の体積分の空間が油30中に生じ、その体積分の油量に相当する油面31の上昇が生じ、調理に適正な油30の深さになる。このように、蓄熱体10の沈没に伴う、油面31の上昇により、使用する油を削減できる。
【0058】
また、蓄熱体10が熱を蓄積するため、油温が低下しても、蓄熱体10からの熱が周囲の油に供給され、油温が上昇し、すばやく調理に適した油温に回復する。
【0059】
次に、本実施の形態1に係るフライヤー1の使用方法について説明する。
【0060】
まず、調理者は、ヒーター昇降レバー11の先端に設けられている把持部12を掴んで、ヒーター4と蓄熱体10を油槽3内に下ろして調理する状態にする。その後、油30を油槽3に注ぎ入れて、油面31が調理に適正な高さになるようにする。次に、調理者は、フライヤー1の筐体2正面に配置されている操作部23を操作して、フライヤー1の電源を投入するとともに、油温を設定する。この操作により、油温が設定温度を維持するように制御される。調理者は、油温が設定温度に達した後、食材を油30で揚げる調理を開始する。
【0061】
次に、本実施の形態1の効果について説明する。
【0062】
本実施の形態1によれば、所定の体積を有する蓄熱体10が油30中に沈没されると、油30中に蓄熱体10の体積分の空間が生じ、その体積分の油30が押し出されて油面31が上昇する。このように油面31が上昇した状態で調理が行われるため、この油面31が上昇する分の油30を削減できる。
【0063】
また、蓄熱体10が、油30の深さ方向の上下からヒーター4を挟み込むようにヒーター4に取り付けられる蓄熱体取付部材7(下側蓄熱体取付板材9)の下方に取り付けられるため、ヒーター4と油槽3の底(底壁部17)との間の空間に蓄熱体10が沈み込み、蓄熱体10の体積分の油30が押し出される。このように、ヒーター4と油槽3の底との間の空間に収容される油30を削減できる。
【0064】
また、本実施の形態1によれば、熱容量を有する蓄熱体10が熱を蓄熱するため、油30中に食材を投入するなどして蓄熱体10周囲の油温が低下しても、蓄熱体10からの熱が周囲の油30に供給され、すばやく油温が上昇し、調理に適した油温に回復する。
【0065】
また、本実施の形態1によれば、蓄熱体10が、油30の深さ方向の上下からヒーター4を挟み込むようにヒーター4に取り付けられる蓄熱体取付部材7(上側蓄熱体取付板材8、下側蓄熱体取付板材9)に取り付けられるため、蓄熱体10をフライヤー1に安定して、確実に取り付けることができる。
【0066】
また、本実施の形態1によれば、ヒーター支持部材5の回動によりヒーター4と蓄熱体10とを油30中に出し入れできるため、調理時にはヒーター4と蓄熱体10とを油30中に沈没させ、汚れを取り除く際にはヒーター4と蓄熱体10とを油30中から引き上げることができ清掃がしやすい。
【0067】
また、本実施の形態1によれば、蓄熱体10の本体部40に蓄熱体取付部材7である下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる結合部41が延出するように設けられているため、蓄熱体10の取り付けがしやすく、蓄熱体10を安定して取り付けることができる。
【0068】
また、本実施の形態1によれば、蓄熱体10の本体部40の底面部44に結合部41が延出するように一体に形成されているため、取り扱いが容易で、蓄熱体10の取り付け方法も分かりやすい。また、鋳造などで蓄熱体10を安価に製造できる。
【0069】
また、本実施の形態1によれば、蓄熱体10が取り付けられていない状態で販売されたフライヤー1に対して、販売後に蓄熱体10を取り付けることができ、ヒーター4と油槽3の底との間の空間に収容される油を削減することができる。
【0070】
[発明の実施の形態2]
この発明の実施の形態2について、
図7を用いて説明する。なお、上述の実施形態1と同一又は対応する要素については、同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0071】
図7は、本発明の実施の形態2に係るフライヤー1の蓄熱体10Aの概略図であり、(a)は上面部43方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は底面部44方向から見た背面図である。
【0072】
図7に示す蓄熱体10Aと、上述の実施形態1に係る蓄熱体10との相違は、本体部40Aに形成されている複数の貫通孔49Aの有無である。
【0073】
図7(a)や(f)などに示すように、本体部40Aに貫通孔49Aが形成されているため、調理の際に発生する調理かすがこの貫通孔49Aを通過して油槽3の底に落ち、調理かすが回収しやすい。また、蓄熱体10Aと周囲の油30との接触面積が大きくなるため、油温が低下したときに蓄熱体10Aの熱が効率的に油30に供給される。また、油30の流動が妨げられることなく、この貫通孔49Aを油30が流れることができる。
【0074】
また、本体部40Aの円形の貫通孔49Aと底板6の開孔37の位置や大きさを一致させるようにしてもよい。そうすると、底板6の開孔37を通過した調理かすが、本体部40Aの貫通孔49Aもそのまま通過して、蓄熱体10Aに積もることなく、油槽3の底壁部17に落ちるようになり、調理かすが取り除きやすくなったり、回収しやすくなったりする。
【0075】
次に、本実施の形態2の効果について説明する。
【0076】
本実施の形態2によれば、本実施の形態1と同様の効果を生ずる。
【0077】
また、本実施の形態2によれば、蓄熱体10Aの本体部40Aに貫通孔49Aが形成されているため、調理の際に発生する調理かすが貫通孔49Aを通過して油槽3の底に落ち、調理かすが回収しやすい。また、蓄熱体10Aと周囲の油30との接触面積が大きくなるため、油温が低下したときに蓄熱体10Aの熱が効率的に油30に供給される。また、油30の流動が妨げられることなく、この貫通孔49Aを油が流れることができる。
【0078】
[発明の実施の形態3]
この発明の実施の形態3について、
図8~
図10を用いて説明する。なお、上述の実施形態と同一又は対応する要素については、同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0079】
図8は、本発明の実施の形態3に係るフライヤー1Bの概略図であり、(a)は底板6を図示しない平面図、(b)はヒーター4と蓄熱体10Bを引き上げた状態で蓄熱体10B側から見た図である。
【0080】
図8(a)は、フライヤー1Bの概略平面図であるが、ヒーター4の概略形状と蓄熱体10Bの概略形状を示すため、底板6を図示していない。蓄熱体10Bは、大部分がかくれ線として破線で示されている。本実施形態3では、4個の蓄熱体10Bが取り付けられている。また、
図8(b)に示すように、下側蓄熱体取付板材9の内、左右に延びる板材部分にこの4個の蓄熱体10Bが取り付けられる。
【0081】
図9は、蓄熱体10Bの概略図であり、(a)は本体部40Bの上面部43B方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部40Bの底面部44B方向から見た背面図である。
【0082】
蓄熱体10Bは、略直方体形状をなす本体部40Bを有し、この本体部40Bの底面部44Bには、下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる結合部41Bが延出するように一体に形成されている。蓄熱体10Bの材料には、銅、アルミニウム、ステンレス、セラミックなどが用いられる。
【0083】
図9(a)に示すように、本体部40Bの上下の端面部46Bからは長手方向に板状の結合部41Bが延出しており、それぞれの結合部41Bには結合孔47Bが形成されている。この結合孔47Bは貫通しており、この結合孔47Bを貫通させたボルト70をナット71で締め付けることにより結合部41Bと下側蓄熱体取付板材9が結合される。なお、結合部41Bと下側蓄熱体取付板材9との結合には、ボルト70とナット71以外にも、固定ねじ72等を用いてもよい。
【0084】
本体部40Bの長手方向に結合部41Bが延出するように設けられているため、下側蓄熱体取付板材9への取り付けの作業性がよく、蓄熱体10Bを安定して取り付けることができる。また、本体部40Bの短手方向には延出する部分が形成されていないため、幅の狭い部分でも取り付けることができる。
図9(b)や(c)に示す結合部41Bの接触面部42Bが、下側蓄熱体取付板材9の表面に接触する部位である。
【0085】
図9(b)~(f)に示されるように、結合部41Bは、本体部40Bの長手方向の両方の端面部46Bの付近に一対として分離して形成されており、一対の結合部41Bの間の底面部44Bの部分に間隙を有している。この結合部41Bは、本体部40Bの底面部44Bに一体に形成されている。結合部41Bが、本体部40Bと一体に形成されているため、取り扱いが容易で、蓄熱体10Bの取り付け方法も分かりやすい。
【0086】
図9(b)や(c)に示すように、本体部40Bの底面部44Bと、結合部41Bの接触面部42Bとの間に段差48Bを有している。この段差48Bにより、底面部44Bが対面するヒーター4や下側蓄熱体取付板材9とこの底面部44Bとの間に十分な空隙が形成され、油30の流動が妨げられることがない。
【0087】
また、
図9(a)や(f)などに示すように、本体部40Bに円形の貫通孔49Bが形成されているため、調理かすがこの貫通孔49Bを通過して油槽3の底に落ち、調理かすが回収しやすい。また、蓄熱体10Bと周囲の油30との接触面積が大きくなるため、油温が低下したときに蓄熱体10Bの熱が効率的に油30に供給される。また、油30が、この貫通孔49Bを流動可能である。
【0088】
また、本体部40Bの貫通孔49Bと底板6の開孔37の位置や大きさを一致させるようにしてもよい。そうすると、底板6の開孔37を通過した調理かすが、本体部40Bの貫通孔49Bもそのまま通過して、蓄熱体10Bに積もることなく、油槽3の底壁部16に落ちるようになり、調理かすが取り除きやすくなったり、回収しやすくなったりする。
【0089】
図9に示すこの蓄熱体10Bは、シンプルな構造であるため、製造がしやすく、鋳造など製造方法などにより安価に作ることができる。
【0090】
図10は、ヒーター4、底板6、蓄熱体取付部材7(上側蓄熱体取付板材8、下側蓄熱体取付板材9)及び蓄熱体10Bの位置関係を示す概略図であり、(a)は
図8(a)の領域QについてのD-D線に沿う断面図、(b)は領域Qについて底板6の直下のE-E線に沿う断面図である。
【0091】
図10(a)に示すように、ヒーター4と底板6を蓄熱体取付部材7である上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9で挟み込んだ位置関係になっている。上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9は、ボルト70とナット71により締結され、この締結力によりヒーター4、底板6、上側蓄熱体取付板材8及び下側蓄熱体取付板材9が結合されている。そして、蓄熱体10Bの結合部41Bと下側蓄熱体取付板材9とがボルト70とナット71により結合され、蓄熱体10Bが下側蓄熱体取付板材9に取り付けられている。
【0092】
図10(b)に示すように、ヒーター4の下方に下側蓄熱体取付板材9が配置され、この下側蓄熱体取付板材9に蓄熱体10Bが取り付けられている。蓄熱体10Bの結合部41Bの接触面部42Bが下側蓄熱体取付板材9に接触するように取り付けられるため、蓄熱体10Bの本体部40Bの底面部44Bが、ヒーター4や下側蓄熱体取付板材9に対面するように配置される。
【0093】
本実施の形態3によれば、本実施の形態1と2と同様の効果を生ずる。
【0094】
[発明の実施の形態4]
この発明の実施の形態4について、
図11~
図12を用いて説明する。なお、上述の実施形態と同一又は対応する要素については、同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0095】
図11は、本発明の実施の形態4に係るフライヤー1Cの概略図であり、(a)は底板6を図示しない平面図、(b)はヒーター4と蓄熱体10Cを引き上げた状態で蓄熱体10C側から見た図である。
【0096】
本実施形態4では、底板6の広い範囲を覆うように1個の蓄熱体10Cが取り付けられている。また、
図11(b)に示すように、下側蓄熱体取付板材9の内、左右に延びる板材部分に蓄熱体10Cが取り付けられる。
【0097】
図12は、蓄熱体10Cの概略図であり、(a)は本体部40Cの上面部43C方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部40Cの底面部44C方向から見た背面図である。
【0098】
蓄熱体10Cは、貫通孔49Cが形成された略直方体形状をなす本体部40Cを有し、この本体部40Cの底面部44Cには、下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる結合部41Cが延出するように一体に形成されている。
【0099】
この蓄熱体10Cは、体積が大きいため、1個の蓄熱体10Cを下側蓄熱体取付板材9に取り付けるだけでよく、取り付けの作業量が少なくて済むという利点がある。
【0100】
本実施の形態4によれば、本実施の形態1と2と同様の効果を生ずる。
【0101】
[発明の実施の形態5]
この発明の実施の形態5について、
図13~
図14を用いて説明する。なお、上述の実施形態と同一又は対応する要素については、同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0102】
図13は、本発明の実施の形態5に係るフライヤー1Dの概略図であり、(a)は底板6を図示しない平面図、(b)はヒーター4と蓄熱体10Dを引き上げた状態で蓄熱体10D側から見た図である。
【0103】
本実施形態5では、3個の本体部40Dが連結部材50Dにより連結された蓄熱体10Dが取り付けられている。また、
図13(b)に示すように、下側蓄熱体取付板材9の内、左右に延びる板材部分に蓄熱体10Dの連結部材50Dが取り付けられる。
【0104】
図14は、蓄熱体10Dの概略図であり、(a)は本体部40Dの上面部43D方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部40Dの底面部44D方向から見た背面図である。
【0105】
蓄熱体10Dは、略直方体形状をなす3個の本体部40Dを有し、この3個の本体部40Dが2個の連結部材50Dにより連結されている。この連結部材50Dは、本体部40Dの短手方向に沿って配置され、連結部材50Dに形成された貫通孔に固定ねじ72を挿通させて、本体部40Dの上面部43Dに形成されたねじ孔にこの固定ねじ72を締め付けて固定している。このように本体部40Dと連結部材50Dとの間の連結には、固定ねじ72が用いられている。もちろん、このような固定ねじ72による連結に限らず、本体部40Dに貫通孔を形成し本体部40Dと連結部材50Dとをボルト70とナット71を用いて連結するようにしてもよい。また、連結部材50Dの両端部は、略90度に2回折り曲げられて、下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる結合部41Dが形成されている。連結部材50Dと本体部40Dとが連結され蓄熱体10Dが構成されているため、この本体部40Dには、下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる結合部41Dが延出するように設けられている。具体的には、本体部40Dの底面部44Dの側に、下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる結合部41Dが延出するように設けられている。この連結部材50Dの材料には、ステンレスなどが用いられる。
【0106】
この結合部41Dには結合孔47Dが形成されており、結合孔47Dは貫通し、この結合孔47Dを貫通させたボルト70とナット71を締め付けることにより結合部41Dと下側蓄熱体取付板材9が結合される。
【0107】
このように、3個の本体部40Dが2個の連結部材50Dにより連結されているため、少ない結合部41Dで下側蓄熱体取付板材9に取り付けることができ、取り付けの作業量が少なくて済むという効果がある。
【0108】
図14に示す本体部40Dには、
図7に示した蓄熱体10Aの本体部40Aに形成された貫通孔49Aのような貫通孔が形成されていないが、もちろん、
図7に示した蓄熱体10Aのように貫通孔を設けるようにしてもよい。
【0109】
本実施の形態5によれば、本実施の形態1と同様の効果を生ずる。
【0110】
[発明の実施の形態6]
この発明の実施の形態6について、
図15~
図18を用いて説明する。なお、上述の実施形態と同一又は対応する要素については、同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0111】
図15は、本発明の実施の形態6に係るフライヤー1Eの概略図であり、(a)は底板6を図示しない平面図、(b)はヒーター4と蓄熱体10Eを引き上げた状態で蓄熱体10E側から見た図である。
【0112】
本実施形態6では、3個の蓄熱体10Eが取り付けられている。また、
図15(b)に示すように、下側蓄熱体取付板材9の左右に延びる板材部分に蓄熱体10Eが取り付けられる。
【0113】
本実施形態6に係る蓄熱体10Eは、高い熱伝導率を有する熱伝導部材28Eでヒーター4と接続され、ヒーター4の熱が熱伝導部材28Eを介して蓄熱体10Eに伝導するように構成されている。
【0114】
図16は、蓄熱体10Eの概略図であり、(a)は本体部40Eの上面部43E方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部40Eの底面部44E方向から見た背面図である。
【0115】
この蓄熱体10Eの概略図は、上述の実施形態1の蓄熱体10の形状と一致する点が多い(
図3参照)。相違点は、まず、蓄熱体10Eの結合部41Eの結合孔47Eの形状が長孔になっている点である。この長孔は、蓄熱体10Eの本体部40Eの短手方向に形成されており、結合孔47Eに貫通されたボルト70や固定ねじ72に対して、蓄熱体10Eの位置をこの長孔の範囲で短手方向に移動させることができる。すなわち、蓄熱体10Eを下側蓄熱体取付板材9に取り付ける際に、蓄熱体10Eの位置を結合孔47Eの長孔の方向に調整できる。
【0116】
また、この蓄熱体10Eと、上述の実施形態1の蓄熱体10との相違点は、蓄熱体10Eの左右の側面部45Eに2個のねじ孔51Eが形成されていることである。この2個のねじ孔51Eは、本体部40Eの底面部44Eから上面部43Eに向かう方向に並べて設けられている。同様に、蓄熱体10Eの前後の端面部46Eに2個のねじ孔52Eが形成されている。この2個のねじ孔52Eも、本体部40Eの底面部44Eから上面部43Eに向かう方向に並べて設けられている。ねじ孔51E又はねじ孔52Eは、後述する熱伝導部材28Eを固定ねじ72で固定するために用いられる。
【0117】
図17は、熱伝導部材28Eの概略図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。この熱伝導部材28Eは、熱伝導率の高い銅やアルミニウムなどで作られ、ヒーター4と蓄熱体10Eとを接続し、ヒーター4の熱を蓄熱体10Eに熱伝導させる。
【0118】
図17(a)に示すように、この熱伝導部材28Eには、蓄熱体10Eに接触する蓄熱体接触面部57Eと、ヒーター4に接触するヒーター接触面部56Eが設けられており、この内の蓄熱体接触面部57Eは、蓄熱体10Eの側面部45Eや端面部46Eに接触するため平面となっている。一方のヒーター接触面部56Eは、管状のヒーター4の側面の一部に沿って接触するように略円筒側面形状をしている。また、蓄熱体接触面部57Eには、熱伝導部材28Eの上下方向に長孔55Eが形成されている。この長孔55Eに固定ねじ72を貫通させて、蓄熱体10Eの側面部45Eのねじ孔51E又は端面部46Eのねじ孔52Eに締め付けることにより、この熱伝導部材28Eを蓄熱体10Eに接触させた状態で固定する。
【0119】
蓄熱体10Eを下側蓄熱体取付板材9に取り付ける際には、まず、蓄熱体接触面部57Eの長孔55Eに貫通させた固定ねじ72と、結合部41Eの結合孔47Eに貫通させたボルト70等とを緩めた状態で、ヒーター接触面部56Eがヒーター4の側面に接触するように熱伝導部材28Eの位置を長孔55Eの方向に上下に移動させたり、蓄熱体10Eの位置を結合孔47Eの長孔の方向に移動させたりする。そして、熱伝導部材28Eの蓄熱体接触面部57Eと蓄熱体10E、及び、熱伝導部材28Eのヒーター接触面部56Eとヒーター4とがそれぞれ接触するように位置を調整したところで固定ねじ72を締め付けて熱伝導部材28Eを蓄熱体10Eに固定するとともに、ボルト70等を締め付けて蓄熱体10Eを下側蓄熱体取付板材9に固定する。
【0120】
図18は、ヒーター4、底板6、蓄熱体取付部材7(上側蓄熱体取付板材8、下側蓄熱体取付板材9)及び蓄熱体10Eの位置関係を示す概略図であり、(a)は
図15(a)の領域RについてのF-F線に沿う断面図、(b)は領域Rについて底板6の直下のG-G線に沿う断面図である。
【0121】
この
図18の構成では、熱伝導部材28Eが蓄熱体10Eの一方の側面部45Eに取り付けられている例を示している。
図18(a)に示すように、ヒーター4と底板6を蓄熱体取付部材7である上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9で挟み込んだ位置関係になっている。そして、蓄熱体10Eの結合部41Eと下側蓄熱体取付板材9とがボルト70とナット71により結合され、蓄熱体10Eが下側蓄熱体取付板材9に取り付けられている。この図では、熱伝導部材28Eが蓄熱体10Eの一方の側面部45Eとヒーター4に接触するように取り付けられている。このように、熱伝導部材28Eが蓄熱体10Eとヒーター4とを接続するため、ヒーター4の熱が熱伝導部材28Eを伝導して蓄熱体10Eに伝わり、蓄熱体10Eの温度が上昇する。このように、ヒーター4の熱により蓄熱体10Eの温度が上昇するため、蓄熱体10Eの周囲の油温が低下しても、すばやく熱が供給され油温が上昇し調理に適した油温に回復する。
【0122】
次に、本実施の形態6の効果について説明する。
【0123】
本実施の形態6によれば、本実施の形態1と同様の効果を生ずる。
【0124】
また、本実施の形態6によれば、蓄熱体10Eは、熱伝導部材28Eでヒーター4と接続され、ヒーター4の熱が熱伝導部材28Eを介して蓄熱体10Eに伝導するため、蓄熱体10Eの温度が上昇し周囲の油温が低下しても、すばやく熱が供給され油温が上昇し調理に適した油温に回復する。
【0125】
この
図18に示す構成では、熱伝導部材28Eが蓄熱体10Eの側面部45Eに取り付けられる例を示したが、熱伝導部材28Eを蓄熱体10Eの端面部46Eに取り付けてもよい。この場合には、フライヤー1Eの左右の側壁部15の方向に設置されているヒーター4の側面と熱伝導部材28Eとが接触する構成になる。
【0126】
[発明の実施の形態7]
この発明の実施の形態7について、
図19~
図21を用いて説明する。なお、上述の実施形態と同一又は対応する要素については、同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0127】
図19は、本発明の実施の形態7に係るフライヤー1Fの概略図であり、(a)は底板6を図示しない平面図、(b)はヒーター4と蓄熱体10Fを引き上げた状態で蓄熱体10F側から見た図である。本実施形態7では、3個の蓄熱体10Fが取り付けられている。
図19(b)に示すように、下側蓄熱体取付板材9の内、左右に延びる板材部分にこの3個の蓄熱体10Fが取り付けられる。
【0128】
図20は、蓄熱体10Fの概略図であり、(a)は本体部40Fの上面部43F方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は本体部40Fの底面部44F方向から見た背面図である。
【0129】
この蓄熱体10Fは、
図3に示した蓄熱体10に類似した外観形状をなしており、
図3の蓄熱体10の形状に起因するのと同様の作用や効果が生ずる。本実施形態7の蓄熱体10Fと
図3に示した蓄熱体10との相違点は、下側蓄熱体取付板材9との結合構造である。
図3に示した蓄熱体10は、上述のようにボルト70とナット71の締結により下側蓄熱体取付板材9と結合される。これに対し、本実施形態7の蓄熱体10Fは、金属バンド73と蓄熱体10Fに設けられた係止部54Fとを用いて下側蓄熱体取付板材9に結合される。
【0130】
この蓄熱体10Fは、略直方体形状をなす本体部40Fを有し、この本体部40Fの底面部44Fには、下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる結合部41Fが延出するように一体に形成されている。蓄熱体10Fの長手方向の両端面が端面部46Fとなる。
図20(a)に示すように、本体部40Fの左右の側面部45Fからは短手方向に板状の結合部41Fが延出しており、それぞれの結合部41Fには細長い四角形の結合孔47Fが形成されている。この結合孔47Fは貫通しており、この結合孔47Fを貫通させたステンレスバンドなどの金属バンド73を下側蓄熱体取付板材9のヒーター4側の背後を通して巻き付け、金属バンド73を環状に形成し、金属バンド締付金具74で締付けて固定することにより結合部41Fと下側蓄熱体取付板材9が結合される。金属バンド締付金具74には、ラチェット方式で締め付けるものを用いることができる。結合孔47Fに金属バンド73を挿通させて、その挿通させた金属バンド73で結合部41Fと下側蓄熱体取付板材9を巻き付けるように結合しているため、蓄熱体10Fの下側蓄熱体取付板材9からの脱落が防止される。
【0131】
また、
図20(b)~(f)に示すように、本体部40Fの長手方向の前後に2組形成されている左右一対の結合部41Fの内の一方の一対の結合部41Fには、側面視が略L字形状の係止部54Fが形成されている。この係止部54Fは、結合部41Fの根もとの底面部44F部分の端面部46F側に略垂直に下側蓄熱体取付板材9の板厚とほぼ同じ寸法の断面形状が四角形の棒状部分が立設され、その棒状部分の先端部分が本体部40Fの中央方向に略90°折り曲げられて底面部44Fと略平行に延出するように形成されている。
【0132】
この係止部54Fの略L字形状に折り曲げられた部分を下側蓄熱体取付板材9に係止させた状態で、蓄熱体10Fを下側蓄熱体取付板材9に取り付ける。
【0133】
ヒーター支持部材5が回動し、ヒーター4と蓄熱体10Fが油30中から引き上げられると、蓄熱体10Fが係止部54Fによって下側蓄熱体取付板材9に係止され、係止部54Fが蓄熱体10Fの重量を支持する。
【0134】
また、ヒーター4と蓄熱体10Fが引き上げられた状態のときに下側蓄熱体取付板材9に接触し蓄熱体10Fの重量を支える係止部54Fの面、すなわち、結合部41Fの根もとに略垂直に立設する棒状部分の本体部40Fの中央方向を向く面と、結合部41Fに形成される結合孔47Fの本体部40Fの中央側の面との位置がほぼ直線状に形成されている。このように係止部54Fと結合孔47Fが構成されているため、係止部54Fを下側蓄熱体取付板材9に係止させた状態を保持したまま、結合孔47Fに金属バンド73を挿通して蓄熱体10Fと下側蓄熱体取付板材9とを結合できる。
【0135】
図21は、ヒーター4、底板6、蓄熱体取付部材7(上側蓄熱体取付板材8、下側蓄熱体取付板材9)及び蓄熱体10Fの位置関係を示す概略図であり、(a)は
図19(a)の領域SについてのH-H線に沿う断面図、(b)は領域Sについて底板6の直下のJ-J線に沿う断面図である。
【0136】
図21(a)に示すように、ヒーター4と底板6を上側蓄熱体取付板材8と下側蓄熱体取付板材9で挟み込んだ位置関係になっている。また、蓄熱体10Fの係止部54Fが下側蓄熱体取付板材9に係止した状態で、蓄熱体10Fの結合孔47Fに金属バンド73を挿通させ、挿通させた金属バンド73で下側蓄熱体取付板材9と蓄熱体10Fの結合部41Fを巻き付けて環状に形成して、金属バンド73を締め付けて金属バンド締付金具74で固定されている。係止部54Fが形成されていない側の結合部41Fについても、結合孔47Fに挿通させた金属バンド73を下側蓄熱体取付板材9と結合部41Fに巻き付けて締付けた状態で固定されている。
【0137】
図21(b)に示すように、ヒーター4の下方に下側蓄熱体取付板材9が配置され、この下側蓄熱体取付板材9に蓄熱体10Fが金属バンド73と係止部54Fにより取り付けられている。蓄熱体10Fの結合部41Fの接触面部42Fが下側蓄熱体取付板材9に対向するように取り付けられるため、蓄熱体10Fの本体部40Fの底面部44Fが、ヒーター4や下側蓄熱体取付板材9に対面するように配置されている。
【0138】
本実施の形態7によれば、本実施の形態1と同様の効果を生ずる。
【0139】
[発明の実施の形態8]
この発明の実施の形態8について、
図22を用いて説明する。なお、上述の実施形態と同一又は対応する要素については、同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0140】
図22は、本発明の実施の形態8に係るフライヤー1Gの蓄熱体10Gの概略図であり、(a)は本体部40Gの上面部43G方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は底面部44G方向から見た背面図である。この蓄熱体10Gと、
図20に示した蓄熱体10Fとの相違は、本体部40Gに形成されている複数の貫通孔49Gの有無である。
図22(a)や(f)などに示すように、本体部40Gに貫通孔49Gが形成されているため、調理の際に発生する調理かすがこの貫通孔49Gを通過して油槽3の底に落ち、調理かすが回収しやすい。また、蓄熱体10Gと周囲の油30との接触面積が大きくなるため、油温が低下したときに蓄熱体10Gの熱が効率的に油30に供給される。また、油30の流動が妨げられることなく、この貫通孔49Gを油30が流れることができる等の
図7に示した本実施形態2と同様の効果が生ずる。
【0141】
[発明の実施の形態9]
この発明の実施の形態9について、
図23を用いて説明する。なお、上述の実施形態と同一又は対応する要素については、同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0142】
図23は、本発明の実施の形態9に係るフライヤー1Hの蓄熱体10Hの概略図であり、(a)は本体部40Hの上面部43H方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は底面部44H方向から見た背面図である。この蓄熱体10Hは、
図12に示した蓄熱体10Cに類似した外観形状をなしており、蓄熱体10Cの形状に起因するのと同様の作用や効果が生ずる。この蓄熱体10Hと
図12に示した蓄熱体10Cとの相違点は、下側蓄熱体取付板材9との結合構造である。本実施形態9の蓄熱体10Hは、結合部41Hに形成された係止部54Hと金属バンド73を用いて下側蓄熱体取付板材9に結合される。
【0143】
具体的な結合構造については、本実施形態7と同様であり、
図20~
図21に示す構造と同一である。すなわち、蓄熱体10Hの結合部41Hに形成された側面視略L字形状の係止部54Hを下側蓄熱体取付板材9に係止させるとともに、結合孔47Hに挿通させた金属バンド73を結合部41Hと下側蓄熱体取付板材9に巻き付けて締付けた状態で固定して結合される。
【0144】
[発明の実施の形態10]
この発明の実施の形態10について、
図24を用いて説明する。なお、上述の実施形態と同一又は対応する要素については、同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0145】
図24は、本発明の実施の形態10に係るフライヤー1Jの蓄熱体10Jの概略図であり、(a)は本体部40Jの上面部43J方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は底面部44J方向から見た背面図である。この蓄熱体10Jは、
図14に示した蓄熱体10Dに類似した外観形状をなしており、蓄熱体10Dの形状に起因するのと同様の作用や効果が生ずる。この蓄熱体10Jと
図14に示した蓄熱体10Dとの相違点は、下側蓄熱体取付板材9との結合構造である。本実施形態10の蓄熱体10Jは、結合部41Jに形成された略L字形状の係止部54Jと金属バンド73を用いて下側蓄熱体取付板材9に結合される。
【0146】
具体的な結合構造については、
図20~
図21に示す本実施形態7と同様である。
【0147】
[発明の実施の形態11]
この発明の実施の形態11について、
図25を用いて説明する。なお、上述の実施形態と同一又は対応する要素については、同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0148】
図25は、本発明の実施の形態11に係るフライヤー1Kの蓄熱体10Kの概略図であり、(a)は本体部40Kの上面部43K方向から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図、(e)は底面図、(f)は底面部44K方向から見た背面図である。この蓄熱体10Kは、
図20に示した蓄熱体10Fの本体部40Fの上面部43Fに複数の球体部53Kが形成された形態になっている。ただし、この実施形態11の蓄熱体10Kでは、
図20に示した蓄熱体10Fの本体部40Fの高さ(上面部43Fと底面部44Fの間の寸法)に比べて、本体部40Kの高さが低く形成されている。この蓄熱体10Kのそれ以外の構造は、
図20に示した蓄熱体10Fと同様であり、蓄熱体10Fの形状に起因するのと同様の作用や効果が生ずる。
【0149】
この蓄熱体10Kは、結合部41Kに形成された略L字形状の係止部54Kと金属バンド73を用いて下側蓄熱体取付板材9に結合される。具体的な結合構造については、
図20~
図21に示す本実施形態7と同様である。
【0150】
この蓄熱体10Kは、上面部43Kに5個の球体部53Kが形成された略直方体形状の本体部40Kを有し、この本体部40Kの底面部44Kには、下側蓄熱体取付板材9に取り付けられる結合部41Kが延出するように一体に形成されている。
図25(a)に示すように、本体部40Kの左右の側面部45Kからは短手方向に板状の結合部41Kが延出しており、それぞれの結合部41Kには細長い四角形の結合孔47Kが形成されている。この結合孔47Kは貫通しており、この結合孔47Kを挿通させた金属バンド73を下側蓄熱体取付板材9のヒーター4側の背後を通して巻き付け、金属バンド73を環状に形成し、金属バンド締付金具74で締付けて固定することにより結合部41Kと下側蓄熱体取付板材9が結合される。
【0151】
また、
図25(b)~(f)に示すように、本体部40Kの長手方向の前後に2組形成されている左右一対の結合部41Kの内の一方の一対の結合部41Kには、側面視が略L字形状の係止部54Kが形成されている。この係止部54Kの略L字形状に折り曲げられた部分を下側蓄熱体取付板材9に係止させた状態で、蓄熱体10Kを下側蓄熱体取付板材9に取り付ける。
【0152】
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述の実施形態における蓄熱体10の個数は、任意であり、実施形態で示した個数以外の蓄熱体10を取り付けるようにしてもよい。
【0153】
また、上述の複数の実施形態の蓄熱体10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10J,10Kを組み合わせて用いてもよい。
【0154】
また、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0155】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K…フライヤー、2…筐体、3…油槽、4…ヒーター、5…ヒーター支持部材、6…底板、7…蓄熱体取付部材、8…上側蓄熱体取付板材(蓄熱体取付部材)、9…下側蓄熱体取付板材(蓄熱体取付部材)、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10J,10K…蓄熱体、11…ヒーター昇降レバー、12…把持部、13…回転軸、14…前壁部、15…側壁部、16…後壁部、17…底壁部、18…排出口、19…排出管、20…排出レバー、21…油缶、22…かす受けかご、23…操作部、24…かす取り網、26…回動部、27…電源コード、28E…熱伝導部材、30…油、31…油面、34…調理網、35…調理空間、36…下部空間、37…底板の開孔、38…温度計、40,40A,40B,40C,40D,40E,40F,40G,40H,40J,40K…本体部、41,41B,41C,41D,41E,41F,41G,41H,41J,41K…結合部、42,42B,42C,42D,42E,42F,42G,42H,42J,42K…接触面部、43,43B,43C,43D,43E,43F,43G,43H,43J,43K…上面部、44,44B,44C,44D,44E,44F,44G,44H,44J,44K…底面部、45,45B,45C,45D,45E,45F,45G,45H,45J,45K…側面部、46,46B,46C,46D,46E,46F,46G,46H,46J,46K…端面部、47,47B,47C,47D,47E,47F,47G,47H,47J,47K…結合部の結合孔、48,48B,48C,48D,48E,48F,48G,48H,48J,48K…段差、49A,49B,49C,49G,49H…本体部の貫通孔、50D…連結部材、51E…側面部のねじ孔、52E…端面部のねじ孔、53K…球体部、54F,54G,54H,54J,54K…係止部、55E…熱伝導部材の長孔、56E…ヒーター接触面部、57E…蓄熱体接触面部、58E…背面部、70…ボルト、71…ナット、72…固定ねじ、73…金属バンド、74…金属バンド締付金具