(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065935
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】名前を認識しにくい表札の設計方法
(51)【国際特許分類】
G09F 7/00 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
G09F7/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175063
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】500501373
【氏名又は名称】株式会社美濃クラフト
(72)【発明者】
【氏名】都竹 隆広
(57)【要約】
【課題】表札としての存在感は損なわず名前を認識されにくい表札を設計することができる。
【解決手段】名前以外の文字、イラストの少なくともひとつと名前の文字を表札として表示し、名前以外の文字、イラストの文字サイズを読むのに適したサイズにしたり、文字色を背景色との対比で認識しやすいものとし、それと比較して名前の文字を読むのに適さない文字サイズとしたり、文字色を背景色との対比で認識しにくいものとして設計することで表札としての存在感は損なわず名前が認識しにくい表札とすることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
名前と名前以外の文字、イラストを表示する表札において名前以外の文字、イラストの中で一番大きいものの1文字または1イラストを認識するのに必要十分な部分の大きさを縦、横どちらか大きいほうで30mm以上69.8mm以下とし名前の全ての文字において1文字を認識するのに必要十分な部分の大きさを縦、横どちらか大きいほうで6mm以上、10.5mm以下とする表札。
【請求項2】
名前と名前以外の文字、イラストを表示する表札において名前以外の文字、イラストの少なくともその一部で名前以外の文字、イラストを表示する場所の色と名前以外の文字、イラストの色間の色差を13以上とするか、名前以外の文字、イラストを表示する場所の表面処理状態と名前以外の文字、イラストの表面処理状態を異なる状態とし、名前の文字の少なくともその一部で名前を表示する場所の色と名前の文字の色間の色差を13より小さくするか、名前を表示する場所の表面処理状態と名前の文字の表面処理状態を同じ状態とする表札
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表札の設計にかかわるものである
【背景技術】
【0002】
表札には居住している住民の名前を明確にすることで地域住民が居住者を認識することや郵便配達人、宅配業者が正しく配達できるようにする利点がある。そのため従来は誰にでも名前がすぐに読み取れるように設計されてきた(
図1)。しかし近年誰にでも名前が読み取れてしまうことを嫌がって表札を掲げないという選択を取る人もいる。そうした場合、通信販売で物を購入したときに郵便物、宅配物が正しく届かなくなることや、宅配ボックスの活用や置き配ができずに届くのが遅くなるという問題があった。
【0003】
この問題を解決するために人が近付くと名前が光って表示される表札や(特許文献1)、名前の文字を読みにくくしたデザイン文字を使用したり(
図2)、正面からは名前が読み取れないような立体形状にした表札(
図3)が開発されているが、これらの技術には表札の設計が制限される問題があった。また別の方法として目立たない小さな表札(
図4)とすることも行われているが、表札がそこにあることに気づかれない場合があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sharma, Wu, Dalal, “The CIDE2000 Color-Difference Formula: Implementation Notes, Supplementary Test Data, and Mathematical Observations”, COLOR research and application, Vol.30, Number 1, February 2005, pp.21-30.
【非特許文献2】Apple Inc. , “Typography”, Human Interface Guidelines, https://developer.apple.com/design/human-interface-guidelines/foundations/typography/,
【非特許文献3】LEGGE,PELLI,RUBIN,SCHLESKE “PSYCHOPHYSICS OF READING: I. NORMAL VISION”, Vision Research Vol.25, No. 2, pp.239-252, 1985
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、表札の設計自由度を保ちながら表札の存在は認識させつつ名前を認識しにくくする設計手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表札に名前より容易に判別できる文字情報(追加の文字情報)を表示したうえで前記追加の文字情報より名前を読み取りにくく表示するよう設計することで表札の存在は明確にしたうえで名前を認識しにくくする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば表札の存在は明確にしたうえで、通行人や通行する車に乗っている第三者は読みやすい追加の文字情報のみを認識し、宅配業者のように宅配先を探して注意深く表札を見る者には名前が認識できる表札が設計できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】従来技術による読み取りにくい文字の例である。
【
図3】従来技術によるプライバシー配慮型表札の例である。
【
図4】従来技術によるプライバシー配慮型表札の例である。
【
図11】幅員4mの道路から表札までの距離の説明の図である。
【
図12】文字に飾りがついた場合の説明の図である。
【
図13】非特許文献2から文字サイズ表を抜粋したものである。
【
図16】視角と距離から文字サイズを計算する式である。
【
図17】CIE DE2000の色差の算出式である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。
【実施例0011】
図5に示される実施例は名前以外の文字として町名と番地を表示した表札である。本実施例では縦15cm、横15cmの素材上に町名と番地と名前を表示している。住所の一部の文字の中で最大の文字の大きさを30mm以上かつ69.8mm以下で表示し名前の文字の中で最大の文字の大きさを10.5mm以下で、名前の文字の中で最小の文字の大きさを6mm以上で表示したものである。
実施例1,実施例2では住所の一部がアルファベット、名前もアルファベットで表示されているがこれはどちらかが漢字になることや両方漢字になる場合もある。また住所の変わりにイラストと名前となることも考えられる、また表札の中での住所の表示場所、名前の表示場所は一例である。本実施例では住所の最後の町名と番地を名前以外の情報として表示しているがこれも一例であり、市から表示したり、最後の番地のみを表示したりすることも考えられる。また住所の先頭文字だけ大きな文字としているがこれも一例である。
また名前以外の文字の最低サイズが名前の文字のサイズより大きくなっているがこれも一例であり、表札によっては住所の文字の最低サイズが名前の文字より小さくなる場合もあり得る。