(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065936
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】3-レベル双方向DC-DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175064
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】521342739
【氏名又は名称】ブイシーテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン ウォン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジン ヨン シン
(72)【発明者】
【氏名】イ スン テ
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB82
5H730BB88
5H730BB89
5H730DD03
5H730DD16
5H730EE13
5H730FG05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】脈動電流を低減する3-レベル双方向DC-DCコンバータを提供する。
【解決手段】3-レベル双方向DC-DCコンバータは、並列に連結されて動作する第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールを備える。該コンバータモジュールのそれぞれは、ブーストモードで第1電源部471から供給される電気エネルギを第2電源部472に伝達し、バックモードで第2電源部から供給される電気エネルギを第1電源部に伝達するために一時貯蔵するエネルギ貯蔵部410と、一端が第1電源部の正極端子に連結される上端インダクタ420と、一端が第1電源部の負極端子に連結される下端インダクタ430と、上端インダクタの他端に連結されてエネルギ貯蔵部の上端点及び中性点にそれぞれ連結される上端レッグ440と、下端インダクタの他端に連結されて中性点及びエネルギ貯蔵部の下端点にそれぞれ連結される下端レッグ450と、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に連結されて動作する第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールを備え、
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールのそれぞれは、
ブーストモードで第1電源部から供給される電気エネルギを第2電源部に伝達し、バックモードで前記第2電源部から供給される電気エネルギを前記第1電源部に伝達するために一時貯蔵するエネルギ貯蔵部と、
一端が前記第1電源部の正極端子に連結される上端インダクタと、
一端が前記第1電源部の負極端子に連結される下端インダクタと、
前記上端インダクタの他端に連結されて前記エネルギ貯蔵部の上端点及び中性点にそれぞれ連結される上端レッグと、
前記下端インダクタの他端に連結されて前記中性点及び前記エネルギ貯蔵部の下端点にそれぞれ連結される下端レッグと、を含むことを特徴とする3-レベル双方向DC-DCコンバータ。
【請求項2】
前記エネルギ貯蔵部は、前記第2電源部の正極端子と負極端子との間に直列連結される上端キャパシタ及び下端キャパシタを含むことを特徴とする請求項1に記載の3-レベル双方向DC-DCコンバータ。
【請求項3】
前記上端レッグは、
前記上端インダクタの他端と前記中性点との間に連結される第1上端スィッチと、
前記上端インダクタの他端と前記上端点との間に連結される第2上端スィッチと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の3-レベル双方向DC-DCコンバータ。
【請求項4】
前記下端レッグは、
前記中性点と前記下端インダクタの他端との間に連結される第1下端スィッチと、
前記下端インダクタの他端と前記下端点との間に連結される第2下端スィッチと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の3-レベル双方向DC-DCコンバータ。
【請求項5】
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールは、インターリービング動作の時、各コンバータモジュールの上端と下端との間に90度の位相差が発生してコンバータモジュール間に180度の位相差が発生し、単一周期に対して前記コンバータモジュールの個数だけの位相差が発生することを特徴とする請求項1に記載の3-レベル双方向DC-DCコンバータ。
【請求項6】
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールは、インターリービング動作の時、前記第1コンバータモジュールの上端インダクタと前記第2コンバータモジュールの下端インダクタとに前記第1電源部から供給される入力電圧が均等に分配され、前記上端キャパシタ及び下端キャパシタの電圧が均等に分圧された結果、前記第2電源部に供給される出力電圧が形成されることを特徴とする請求項2に記載の3-レベル双方向DC-DCコンバータ。
【請求項7】
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールは、前記並列に連結されるために、前記上端インダクタの一端、前記下端インダクタの一端、前記上端点、前記中性点、及び前記下端点がそれぞれ連結されることを特徴とする請求項1に記載の3-レベル双方向DC-DCコンバータ。
【請求項8】
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールは、前記並列に連結された状態で、前記中性点間の連結が解除されることを特徴とする請求項7に記載の3-レベル双方向DC-DCコンバータ。
【請求項9】
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールは、前記上端インダクタ及び前記下端インダクタのそれぞれの一端に共振キャパシタが並列に連結されることを特徴とする請求項1に記載の3-レベル双方向DC-DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3-レベルDC-DCコンバータの具現技術に関し、より詳しくは、コンバータモジュールの並列連結にもインターリービング運転が可能で、脈動電流の低減効果を提供することができる3-レベル双方向DC-DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
DC-DCコンバータは、直流(DC)電圧源を一つの電圧レベルから他の電圧レベルに変換する装置である。DC-DCコンバータは、高い入力電圧に対して低い出力電圧を生成するバック(Buck)DC-DCコンバータだけではなく、入力電圧に比べて高い出力電圧を生成するブースト(boost)DC-DCコンバータ、及び入力電圧に対して高いか又は低い出力電圧を生成するバック-ブースト(buck-boost)DC-DCコンバータを含む。
【0003】
通常のDC-DCコンバータは、入力電圧に対して出力電圧比が高い場合、パワー効率が低くなるという短所がある。そこで、3-レベルDC-DCコンバータが提案された。3-レベルDC-DCコンバータは、複数のパワースィッチ、フライング(flying)キャパシタ、及びインダクタを含むフェーズ(phase)で構成される。
【0004】
3-レベルブーストコンバータ(TLB:3-Level Boost Converter)は、高い電圧が要求される場合に用いられる。また、大きい出力電流が必要な場合、TLBを並列に連結して用いることができる。一方、バッテリやキャパシタに対する応用の場合、入出力電流の脈動を低減するために、スィッチの位相角調整を通じたモジュール間インタリーブ技法を適用して、入力電流のリップル及びスイチング損失を減らすことができる。
【0005】
しかし、従来のTLBを並列に連結してインターリービング技法を適用すると、一方のキャパシタが短絡されて、出力電圧が上端と下端とに分圧されない現象が発生する。
【0006】
また、コンバータを並列連結する時、モジュール間の上端キャパシタと下端キャパシタとの間の中性点に対する連結がキャパシタの寿命の観点及び制御においてどのような差が存在するかに対する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、インターリービング運転が可能で、脈動電流を低減することができる3-レベル双方向DC-DCコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様における3-レベル双方向DC-DCコンバータは、並列に連結されて動作する第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールを備え、前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールのそれぞれは、ブースト(boost)モードで第1電源部から供給される電気エネルギを第2電源部に伝達し、バック(buck)モードで前記第2電源部から供給される電気エネルギを前記第1電源部に伝達するために一時貯蔵するエネルギ貯蔵部と、一端が前記第1電源部の正極端子に連結される上端インダクタと、一端が前記第1電源部の負極端子に連結される下端インダクタと、前記上端インダクタの他端に連結されて前記エネルギ貯蔵部の上端点及び中性点にそれぞれ連結される上端レッグと、前記下端インダクタの他端に連結されて前記中性点及び前記エネルギ貯蔵部の下端点にそれぞれ連結される下端レッグと、を含む。
【0010】
前記エネルギ貯蔵部は、前記第2電源部の正極端子と負極端子との間に直列連結される上端キャパシタ及び下端キャパシタを含み得る。
前記上端レッグは、前記上端インダクタの他端と前記中性点との間に連結される第1上端スィッチと、前記上端インダクタの他端と前記上端点との間に連結される第2上端スィッチと、を含み得る。
前記下端レッグは、前記中性点と前記下端インダクタの他端との間に連結される第1下端スィッチと、前記下端インダクタの他端と前記下端点との間に連結される第2下端スィッチと、を含み得る。
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールは、インターリービング動作の時、各コンバータモジュールの上端と下端との間に90度の位相差が発生してコンバータモジュールの間に180度の位相差が発生し、単一周期に対して前記コンバータモジュールの個数だけの位相差が発生し得る。
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールは、インターリービング動作の時、前記第1コンバータモジュールの上端インダクタと前記第2コンバータモジュールの下端インダクタとに前記第1電源部から供給される入力電圧が均等に分配され、前記上端キャパシタ及び下端キャパシタの電圧が均等に分圧された結果、前記第2電源部に供給される出力電圧が形成され得る。
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールは、前記並列に連結されるために、前記上端インダクタの一端、前記下端インダクタの一端、前記上端点、前記中性点、及び前記下端点がそれぞれ連結され得る。
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールは、前記並列に連結された状態で、前記中性点間の連結が解除され得る。
前記第1コンバータモジュール及び前記第2コンバータモジュールは、前記上端インダクタ及び前記下端インダクタのそれぞれの一端に共振キャパシタが並列に連結され得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明による3-レベル双方向DC-DCコンバータは、コンバータモジュールの下端に新たなインダクタを追加することで、コンバータモジュールの並列連結でもインターリービング技法が適用可能になる。また、コンバータモジュール間の並列連結時に、中性点の連結を通じて電流実効値をより小さくすることにより、キャパシタの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】コンバータモジュールの並列運転回路状態を説明する図である。
【
図2】コンバータモジュールの並列運転中のインターリービング動作の回路状態及び等価回路を説明する図である。
【
図3】コンバータモジュールの並列運転中のインターリービング動作を説明する波形図である。
【
図4】本発明の一実施形態による単一コンバータモジュールの構成を説明する図である。
【
図5a】本発明の一実施形態によるコンバータモジュールの並列連結構成の回路状態を説明する図である。
【
図5b】本発明の一実施形態によるコンバータモジュールの並列連結構成の等価回路を説明する図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるコンバータモジュールの並列運転中のインターリービング動作を説明する波形図である。
【
図7a】コンバータモジュール間の中性点の連結と分離とによる比較を説明する図である。
【
図7b】コンバータモジュール間の中性点の連結と分離とによる比較を説明する図である。
【
図8】
図7の比較によるキャパシタ電流を説明する図である。
【
図9】
図7の比較によるキャパシタ電流のFFT分析を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本発明に関する説明は、構造的又は機能的説明のための実施形態に過ぎないため、本発明の権利範囲は本明細書に記載された実施形態によって制限されるものと解釈してはならない。即ち、実施形態は、多様な変更が可能であり、様々な形態を有し得るため、本発明の権利範囲は、技術的思想を実現することができる均等物を含むことを理解すべきである。また、本発明の効果は、特定の実施形態がこれを全部含むか、又はそのような効果のみを含むべきであるという意味ではないため、本発明の権利範囲はこれによって制限されるものと理解してはならない。
【0015】
一方、本明細書に記載される用語の意味は、次のように理解すべきである。
【0016】
「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するためのものであり、これらの用語によって権利範囲が限定されてはならない。例えば、第1構成要素は第2構成要素に命名され、同様に第2構成要素も第1構成要素に命名され得る。
【0017】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いると言及する場合には、その他の構成要素に直接連結されても良いが、中間に他の構成要素が存在しても良いことを理解すべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いると言及する場合には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解すべきである。また、構成要素間の関係を説明する他の表現、即ち「~間に」と「直~間に」、又は「~に隣接する」と「~に直接隣接する」なども同様に解釈すべきである。
【0018】
単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含むものと理解すべきであり、「含む」又は「有する」などの用語は、実施する特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0019】
各段階において、識別符号(例えば、a、b、cなど)は、説明の便宜のために用いられるものであり、識別符号は各段階の順序を説明するものではなく、各段階は、文脈上明白に特定の順序を記載しない限り、明記した順序と異なるように発生し得る。即ち、各段階は、明記された順序と同一に実施されてもよく、実質的に同時に実施されてもよく、逆順に実施されてもよい。
【0020】
ここで用いられる全ての用語は、異なるように定義されない限り、本発明が属する分野において通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。通常用いられる辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈で有する意味に一致するものと解釈すべきであり、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味を有するものと解釈してはならない。
【0021】
図1は、コンバータモジュールの並列運転回路状態を説明する図である。
【0022】
図1を参照すると、3-レベルブーストコンバータ(以下、TLB)の並列運転のための回路状態が確認される。2つのTLB(モジュール1及びモジュール2)は、互いに並列に連結され、並列連結によってパワー素子が同時にオン-オフ(on-off)されるため、
図1(a)又は(b)のように正常に動作する。一方、コンバータモジュールの回路状態は、各TLBのスィッチに対する制御を通じて運転状態が変更される。TLBの並列運転において、キャパシタの脈動を低減するためのインターリービング動作を実行する場合、並列連結された2つのTLBが短絡される現象が発生する。
【0023】
図1において、各TLBは、モジュール1及びモジュール2に対応し、第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールに対応する。第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールは、同じ単一コンバータモジュールで具現され、並列連結のために電源部の正極端子に互いに連結される。また、第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールは、電気エネルギを一時的に貯蔵するキャパシタの両端で互いに連結され、2つ以上のキャパシタが直列連結された場合、キャパシタ間の中性点でも互いに連結される。
【0024】
図2は、コンバータモジュールの並列運転中のインターリービング動作の回路状態及び等価回路を説明する図であり、
図3は、コンバータモジュールの並列運転中のインターリービング動作を説明する波形図である。
【0025】
図2及び
図3を参照すると、2つのTLBは、並列連結されてインターリービング動作を実行する。並列連結された2つのTBLに対するインターリービング動作の時、各コンバータモジュールの上端と下端との間に90度の位相差が発生し、コンバータモジュール間に180度の位相差が発生する。また、単一周期に対してコンバータモジュールの個数だけの位相差を有する状態でインターリービング動作が実行される。
【0026】
図2で、コンバータモジュールを並列連結してインターリービング動作を実行する場合、等価回路(b)のように、インピーダンスが中性点を基準として上端側のみに存在する。従って、下端キャパシタC
Lはキルヒホフ(Kirchhoff)電圧法則によって0Vになり、出力電圧V
outは上端キャパシタ(CH)のみにかかる現象が発生する。
【0027】
それにより、
図3に示したように、従来の3レベル双方向DC-DCコンバータにおいて、モジュール1(M1)の上端スィッチS3及びモジュール2(M2)の下端スイッチS4が「ターンオン(Turn-On)」されて導通するインターリービング区間で、また反対にモジュール1(M1)の下端スィッチS4及びモジュール2(M2)の上端スィッチS3が「ターンオン(Turn-On)」されて導通するインターリービング区間で、インダクタLの電流がスィッチに注入されながら同じスィッチ動作に2つの電流状態が発生して上端キャパシタと下端キャパシタとの間の電圧に不平衡が発生する。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態による単一コンバータモジュールの構成を説明する図である。
【0029】
図4は、単一コンバータモジュールを示し、本発明による3-レベル双方向DC-DCコンバータは、2つの単一コンバータモジュールが並列に連結されて動作する。2つの単一コンバータモジュールは、それぞれ第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールに対応する。第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールのそれぞれは、エネルギ貯蔵部410、上端インダクタ420、下端インダクタ430、上端レッグ440、及び下端レッグ450を含む。
【0030】
エネルギ貯蔵部410は、コンバータの動作過程で、出力として伝達される電気エネルギを一時的に貯蔵する役割をする。例えば、3-レベル双方向DC-DCコンバータは、ブースト(boost)モード又はバック(buck)モードによって双方向に動作する。エネルギ貯蔵部410は、ブースト(boost)モードで第1電源部471から供給される電気エネルギを第2電源部472に伝達し、バック(buck)モードで第2電源部472から供給される電気エネルギを第1電源部471に伝達する。このために、少なくとも一つのキャパシタを通じて電気エネルギを貯蔵する。
【0031】
一方、3-レベル双方向DC-DCコンバータは、ブーストモードを通じて第1電源部471の電源を昇圧して第2電源部472に伝達し、バックモードを通じて第2電源部472の電源を減圧して第1電源部471に伝達する。また、第2電源部472は、必要に応じて抵抗素子で置き換えられて具現される。
【0032】
一実施形態において、エネルギ貯蔵部410は、第2電源部472の正極端子と負極端子との間に直列連結される上端キャパシタCH及び下端キャパシタCLを含んで構成される。この場合、上端キャパシタCHと下端キャパシタCLとの間に中性点462が形成され、当該中性点462を通じて上端レッグ440及び下端レッグ450に連結される。また、上端キャパシタCHは第2電源部472の正極端子に連結され、下端キャパシタCLは第2電源部472の負極端子に連結される。
【0033】
上端インダクタ420は、一端が第1電源部471の正極端子に連結され、第1電源部471から供給される電気エネルギを反対方向に伝達する役割をする。上端インダクタ420は、動作モードによって方向のみを変えて同じ役割をする。上端インダクタ420の他端は上端レッグ440に連結される。具体的に、上端レッグ440が2つのスィッチで構成される場合、上端インダクタ420は2つのスィッチの間に連結される。
【0034】
下端インダクタ430は、一端が第1電源部471の負極端子に連結され、電気エネルギを第1電源部471に伝達する役割をする。下端インダクタ430は、動作モードによって方向のみを変えて同じ役割をする。下端インダクタ430の他端は下端レッグ450に連結される。具体的に、下端レッグ450が2つのスィッチで構成される場合、下端インダクタ430は2つのスィッチの間に連結される。
【0035】
上端レッグ440は、上端インダクタ420の他端に連結されてエネルギ貯蔵部410の上端点461及び中性点462にそれぞれ連結される。一実施形態において、上端レッグ440は、第1上端スィッチSH1及び第2上端スィッチSH2を含む。第1上端スィッチSH1は上端インダクタ420の他端と中性点462との間に連結され、第2上端スィッチSH2は上端インダクタ420の他端と上端点461との間に連結される。
【0036】
下端レッグ450は、下端インダクタ430の他端に連結されてエネルギ貯蔵部410の中性点462及び下端点463にそれぞれ連結される。一実施形態において、下端レッグ450は、第1下端スィッチSL1及び第2下端スィッチSL2を含む。第1下端スィッチSL1は中性点462と下端インダクタ430の他端との間に連結され、第2下端スィッチSL2は下端インダクタ430の他端と下端点463との間に連結される。
【0037】
ここで、第1上端スィッチ及び第1下端スィッチ並びに第2上端スィッチ及び第2下端スィッチは、モストランジスタで具現され、別途のスィッチ制御部(図示していない)を通じて制御される。即ち、スィッチ制御部は、各スィッチのゲート電圧を制御して当該スィッチのオン-オフ(on-off)動作を制御する。一方、スィッチは、MOSFET(Metal Oxide Field Effect Transistor)を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限定されず、IGBT(Insulated Gate Bipolar mode Transistor)などの素子で具現され得る。また、各スィッチは、コンバータの動作モードによって、スィッチ素子又はボディーダイオードとして用いられる。
【0038】
図5a及び
図5bは、本発明の一実施形態によるコンバータモジュールの並列連結構成の回路状態及び等価回路を説明する図である。
【0039】
図5a及び
図5bを参照すると、3-レベル双方向DC-DCコンバータ500は、下端に新たなインダクタが追加されたコンバータモジュールを並列に構成して具現される。インダクタL
1a及びL
2b、上端キャパシタ及び下端キャパシタがそれぞれ同一であると仮定すると、次の数学式1~数学式3のように表される。
【0040】
【0041】
ここで、vi及びvoは、それぞれ入力電圧及び出力電圧に対応し、vL1a及びvL2bは、それぞれインダクタL1a及びL2bの電圧に対応する。
【0042】
また、数学式1及び数学式2によって、モジュール1(Module1)の第1上端インダクタ及びモジュール2(Module2)の第2下端インダクタの各々には入力電圧の半分が分配され、上端キャパシタ及び下端キャパシタの電圧は出力電圧が半分に分圧される。即ち、モジュール2の第2上端インダクタ及びモジュール2の第2下端インダクタは、数学式3のように表される。本発明による3-レベル双方向DC-DCコンバータ500は、TLBコンバータをインターリービング動作する時、下端にインダクタを追加することにより、回路インピーダンスが平衡になるようにすることができ、出力電圧が分圧されるように具現された点でインターリービング技法が適用される。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態によるコンバータモジュールの並列運転中のインターリービング動作を説明する波形図である。
【0044】
図6を参照すると、本実施形態による3-レベル双方向DC-DCコンバータ500は、第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールが並列に連結されて、上端インダクタの一端、下端インダクタの一端、エネルギ貯蔵部の上端点、中性点、及び下端点でそれぞれ連結される。ここで、3-レベル双方向DC-DCコンバータ500は、それぞれの入力及び出力が並列に連結される第1コンバータモジュールM1及び第2コンバータモジュールM2の各スィッチの選択的スイチング動作で3レベルの電圧を生成する。
【0045】
モジュール1(M1)の第1上端スィッチS1H及びモジュール2(M2)の第2下端スィッチS2Lが「ターンオン(Turn-On)」されるインターリービング区間で、また反対にモジュール1の第1下端スィッチS1L及びモジュール2の第2上端スィッチS2Hが「ターンオン(Turn-On)」されるインターリービング区間で、上端キャパシタと下端キャパシタとの間の電圧が平衡に同じスィッチ動作で同じ状態が発生する。即ち、上端キャパシタ及び下端キャパシタの電圧は、それぞれ第2電源部の電圧の半分になる。
【0046】
図7a及び
図7bは、コンバータモジュール間の中性点の連結と分離とによる比較を説明する図である。
【0047】
図7a及び
図7bを参照すると、3-レベル双方向DC-DCコンバータは、第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールが並列に連結されて、上端インダクタの一端、下端インダクタの一端、エネルギ貯蔵部の上端点、中性点、及び下端点でそれぞれ連結される。一実施形態において、第1コンバータモジュール及び第2コンバータモジュールは並列に連結された状態で、
図7bのように、中性点の間の連結は解除され得る。
【0048】
図7a及び
図7bのように、TLBコンバータを並列に連結する時、モジュール間の中性点の連結方式によるキャパシタ脈動電流の差を確認することができる。
図7aの場合、モジュール中性点の連結時に、各モジュールの上端キャパシタと下端キャパシタとが並列に連結される。即ち、各上端キャパシタ及び下端キャパシタが同一に制御される。但し、
図7bのように、モジュール間の中性点を分離すると、各モジュールの上端キャパシタと下端キャパシタとが独立し、出力電圧は同一であるが、インターリービング動作の時、上端キャパシタと下端キャパシタとの各電圧は異なる。
【0049】
また、モジュール間の中性点の連結と分離とによってキャパシタに流れる電流が異なることになり、次の数学式4のように、キャパシタに流れる電流の実効値は、キャパシタの寿命に影響を及ぼす。
【0050】
【0051】
以下、
図8及び
図9で、各キャパシタに流れる電流の実効値に対して、中性点の連結と分離とによる比較を、シミュレーションを通じて説明する。
【0052】
図8は、
図7aと
図7bとの比較によるキャパシタ電流を説明する図であり、
図9は、
図7aと
図7bとの比較によるキャパシタ電流のFFT分析を説明する図である。
【0053】
図8及び
図9において、先ず、シミュレーション条件は次の通りである。
【0054】
Vin 1000[V]、Vout 1500[V]、L1a=L1b=L2a=L2b 0.25[mH]、CH=CL 900[μF]、デューティー(Duty)0.32、周波数(Frequency)10[kHz]である。
【0055】
図8は、モジュール間の中性点の連結と分離とによる一つのキャパシタに流れる電流を示す。計算値及びシミュレーション値を通じて、中性点の連結時の電流の実効値は約66[A]、分離時の実効値は約100[A]であり、中性点の連結時にキャパシタの寿命に有利であることを確認することができる。即ち、
図8(a)は中性点の分離時にキャパシタに流れる電流波形に対応し、
図8(b)は中性点の連結時にキャパシタに流れる電流波形に対応する。
【0056】
図9は、中性点の連結と分離とによるFFT分析結果を示す。分析結果、中性点の連結時に、スイチング周波数に対応する10kHz成分が現われないことを確認することができる。即ち、
図9(a)は中性点の分離時のキャパシタ電流のFFT分析波形に対応し、
図9(b)は中性点の連結時のキャパシタ電流のFFT分析波形に対応する。
【0057】
本発明による3-レベル双方向DC-DCコンバータは、並列に連結されたコンバータモジュール間のインターリービング動作のために、新たなインダクタを追加的に含めて具現される。また、コンバータモジュール間の中性点の連結の有無によって、キャパシタ脈動電流に差が発生し、本発明による3-レベル双方向DC-DCコンバータは、並列連結時に中性点が連結されるようにして脈動電流の低減効果を獲得することができる。即ち、本発明による3-レベル双方向DC-DCコンバータは、中性点の連結を通じて電流実効値をより小さくすることにより、キャパシタの寿命を延ばすことができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない範囲で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
410 エネルギ貯蔵部
420 上端インダクタ
430 下端インダクタ
440 上端レッグ
450 下端レッグ
461 上端点
462 中性点
463 下端点
471 第1電源部
472 第2電源部
500 3-レベル双方向DC-DCコンバータ
CH 上端キャパシタ
CL 下端キャパシタ
SH1 第1上端スィッチ
SH2 第2上端スィッチ
SL1 第1下端スィッチ
SL2 第2下端スィッチ