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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006594
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】液体収容体
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/19 20060101AFI20240110BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J2/19
B41J2/175 143
B41J2/175 141
B41J2/175 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107640
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 政弘
(72)【発明者】
【氏名】平田 和之
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA15
2C056FA10
2C056KC02
2C056KC09
2C056KC14
2C056KC15
2C056KD02
(57)【要約】
【課題】消費されずに液体が残存することを低減した、気体吸収装置を備える液体収容体を提供すること。
【解決手段】液体収容体であって、可撓性を有し、内部に液体を収容するための袋と、袋の一端部に取り付けられ、液体を液体噴射装置へ導出するための液体導出部を有する液体導出部材と、袋内に移動可能に配置される気体吸収ユニットであって、(i)気体吸収ユニットの内部空間を形成する空間保持部材と、(ii)内部空間が大気圧より低い圧力に減圧された状態で、内部空間の内側と外側とを区画する気体透過フィルムと、を有する気体吸収ユニットと、液体導出部と接続されて袋内に配置される複数の液体導出管であって、複数の液体導出管のそれぞれは、導入口を有し、導入口から導入された液体を液体導出部へ流すための複数の液体導出管と、を備え、複数の液体導出管のそれぞれの長さは、互いに異なる、液体収容体。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容体であって、
可撓性を有し、内部に液体を収容するための袋と、
前記袋の一端部に取り付けられ、前記液体を液体噴射装置へ導出するための液体導出部を有する液体導出部材と、
前記袋内に移動可能に配置される気体吸収ユニットであって、(i)前記気体吸収ユニットの内部空間を形成する空間保持部材と、(ii)前記内部空間が大気圧より低い圧力に減圧された状態で、前記内部空間の内側と外側とを区画する気体透過フィルムと、を有する気体吸収ユニットと、
前記液体導出部と接続されて前記袋内に配置される複数の液体導出管であって、前記複数の液体導出管のそれぞれは、導入口を有し、前記導入口から導入された前記液体を前記液体導出部へ流すための複数の液体導出管と、を備え、
前記複数の液体導出管のそれぞれの長さは、互いに異なる、液体収容体。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容体であって、
前記袋は、前記一端部と対向する他端部を有し、
前記複数の液体導出管の延在方向は、前記一端部から前記他端部へ向かう方向であり、
前記複数の液体導出管は、第1液体導出管と第2液体導出管とを含み、
前記第1液体導出管の長さは、前記袋の前記一端部から前記他端部までの長さの半分より長い、液体収容体。
【請求項3】
請求項2に記載の液体収容体であって、
前記第2液体導出管の長さは、前記袋の前記一端部から前記他端部までの長さの半分以下である、液体収容体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の液体収容体であって、
前記空間保持部材は、前記内部空間を形成する本体部と、前記本体部の内側と外側とを繋ぐ開口部と、を有し、
前記気体透過フィルムは、前記空間保持部材を収容することにより、前記内部空間の内側と外側とを区画する、液体収容体。
【請求項5】
請求項4に記載の液体収容体であって、
前記気体吸収ユニットは、さらに、
気体透過性を有し、前記開口部を封止する封止フィルムを備える、液体収容体。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の液体収容体であって、
前記空間保持部材は、前記内部空間を形成する本体部と、前記本体部の内側と外側とを繋ぐ開口部と、を有し、
前記気体透過フィルムは、前記内部空間が減圧された状態で前記開口部を封止することにより、前記内部空間の内側と外側とを区画する、液体収容体。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載の液体収容体であって、
前記空間保持部材は、前記内部空間を形成する本体部と、前記本体部の内側と外側とを繋ぐ開口部と、を有し、円筒形状である、液体収容体。
【請求項8】
請求項7に記載の液体収容体であって、
前記空間保持部材は、前記本体部の内壁面に設けられたリブを有する、液体収容体。
【請求項9】
請求項7に記載の液体収容体であって、
前記袋は、
第1面と、前記第1面と対向する第2面と、を有し、
重ね合わされた前記第1面と前記第2面との周囲が封止されて液体収容空間が形成され、
前記空間保持部材は、軸方向が前記第1面と平行に配置されている、液体収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
気体吸収装置を内部に有する液体容器が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載の気体吸収装置は、液体を外部へと供給するための供給口部とは別体である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-82532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、気体吸収装置が供給口部とは別体である場合、気体吸収装置は液体収容体内を自由に動く。気体吸収装置が供給口部とは離れた位置にある状態で液体収容体内の液体が消費されると、液体容器内に閉塞領域が生じ、気体吸収装置の周りの液体が消費されずに残存するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、液体収容体が提供される。この液体収容体は、可撓性を有し、内部に液体を収容するための袋と、前記袋の一端部に取り付けられ、前記液体を液体噴射装置へ導出するための液体導出部を有する液体導出部材と、前記袋内に移動可能に配置される気体吸収ユニットであって、(i)前記気体吸収ユニットの内部空間を形成する空間保持部材と、(ii)前記内部空間が大気圧より低い圧力に減圧された状態で、前記内部空間の内側と外側とを区画する気体透過フィルムと、を有する気体吸収ユニットと、前記液体導出部と接続されて前記袋内に配置される複数の液体導出管であって、前記複数の液体導出管のそれぞれは、導入口を有し、前記導入口から導入された前記液体を前記液体導出部へ流すための複数の液体導出管と、を備え、前記複数の液体導出管のそれぞれの長さは、互いに異なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】液体噴射装置の斜視図。
図2】液体噴射装置を前方から視た概略構成図。
図3】液体供給部を上から視た概略平面図。
図4】液体供給部の概略斜視図。
図5】ケースから液体収容体を取り出した状態の概略分解斜視図。
図6】アダプター部を液体導出部材から取り外した状態の概略分解斜視図。
図7】アダプター部が装着された液体導出部材の斜視図。
図8】液体が収容されていない状態の液体収容体の平面図。
図9】空間保持部材の斜視図。
図10】空間保持部材の正面図。
図11】第2実施形態に係る気体吸収ユニットを示す模式図。
図12】第3実施形態に係る気体吸収ユニットを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
A1.液体噴射装置の構成:
図1は、本実施形態の液体噴射装置10の斜視図である。図1には、互いに直交する3つの方向を示す矢印X,Y,Zが図示されている。なお、矢印X,Y,Zは、他の各図においても、図1に対応するように、適宜、図示されている。
【0008】
矢印X,Y,Zが示す方向は、通常の使用状態にあるときの液体噴射装置10の配置姿勢に対応している。液体噴射装置10の通常の使用状態は、液体噴射装置10が水平面に配置されて使用されるときの状態である。以下では、矢印X,Y,Zが示す方向をそれぞれ「X方向」、「Y方向」、「Z方向」と呼ぶ。Z方向は、鉛直方向である。各X方向のうち、ひとつの方向を「+X方向」と呼び、他の方向を「-X方向」と呼ぶ。Y,Z方向についても、同様に、ひとつの方向を「+Y方向」および「+Z方向」と呼び、他の方向を「-Y方向」および「-Z方向」と呼ぶ。以下の説明において、-Y方向を「前方向」とも呼び、+Y方向を「後方向」とも呼ぶ。-X方向を「右方向」とも呼び、+X方向を「左方向」とも呼ぶ。-Z方向を「上方向」とも呼び、+Z方向を「下方向」とも呼ぶ。
【0009】
液体噴射装置10は、インクジェットプリンターである。液体噴射装置10において噴射によって消費される液体はインクである。本実施形態において、インクは、アゾ基を有する染料を含む。液体噴射装置10は、インク滴を吐出して、媒体MPに印刷画像を形成する。媒体MPは、例えば、布帛や印刷用紙である。本実施形態の液体噴射装置10は、液体噴射装置10の外装を構成する樹脂製の中空箱体であるハウジング10cを備えている。ハウジング10cは、略直方体形状を有する。ハウジング10cの前面部12には、操作部13と、媒体排出口14と、媒体受部15と、カバー部材18とが設けられている。
【0010】
操作部13は、ユーザーに対する情報を表示する表示部と、ユーザーの操作を受け付ける複数の操作ボタンとを有する。媒体排出口14は、液体噴射装置10の内部から繰り出される媒体MPの出口である。媒体排出口14は、X方向に幅の広いスリット状の開口である。媒体受部15は、媒体排出口14の下側において-Y方向に庇状に張り出しており、媒体排出口14から排出された媒体MPを受け止める。
【0011】
カバー部材18は、液体噴射装置10の外装の一部を構成する樹脂製の板状部材である。カバー部材18は、ハウジング10cに対して着脱可能に取り付けられている。カバー部材18は、液体噴射装置10の内部に収納されている図2に示す装着体105を被覆して保護する。
【0012】
図2は、液体噴射装置10を前方から視た概略構成図である。図2に示すように、液体噴射装置10は、制御部20と、吐出実行部30と、搬送ローラー36と、液体供給部40と、ケース収納部60とを備えている。
【0013】
ケース収納部60は、図1に示すカバー部材18の内側に配置されており、液体噴射装置10の最下段に配置されている。ケース収納部60には、4つの装着体105が収納される。4つの装着体105は、具体的には、3つの第1装着体105aと、1つの第2装着体105bとを含む。第1装着体105aと第2装着体105bとは、大きさが互いに異なる。第2装着体105bは、第1装着体105aよりも大きい。装着体105は、ケース61と、ケース61に収納された液体収容体100とにより構成されている。装着体105と同様に、4つのケース61は、3つの第1ケース61aと、1つの第2ケース61bとを含む。4つの液体収容体100は、3つの第1液体収容体100aと、1つの第2液体収容体100bとを含む。第1装着体105aは、第1ケース61aに第1液体収容体100aが収納されて構成されている。第2装着体105bは、第2ケース61bに第2液体収容体100bが収納されて構成されている。そして、第2液体収容体100bは、第1液体収容体100aよりも大きい。例えば、3つの第1液体収容体100aのそれぞれには、シアン、マゼンタ、イエローのインクが収容され、第2液体収容体100bには、ブラックのインクが収容されてもよい。
【0014】
吐出実行部30は、液体吐出部31と、複数のチューブ32と、キャリッジ34とを備える。液体吐出部31の底面には、下方に向かって開口するノズル33が設けられている。液体吐出部31は、例えば、ピエゾ素子によるインクへの圧力の印加などにより、液体をノズル33から吐出する。キャリッジ34に液体吐出部31が搭載されている。キャリッジ34は、X方向に直線的に往復移動する。搬送ローラー36は、液体吐出部31の下方においてX方向に架設されている。搬送ローラー36は、媒体MPを搬送する。複数のチューブ32は、Y方向に配列されており、液体吐出部31と接続されている。
【0015】
液体供給部40は、4つの供給配管42と、継手部43と、吸引部45とを有する。4つの供給配管42のそれぞれは、4つの液体収容体100のそれぞれに接続されている。継手部43は、4つの供給配管42のそれぞれと、複数のチューブ32のそれぞれとを接続する。液体吐出部31には、4つの供給配管42、継手部43、および複数のチューブ32を介して、液体収容体100に収容されたインクが供給される。吸引部45は、液体収容体100から供給配管42にインクを送出するための圧力を発生する。
【0016】
制御部20は、液体噴射装置10における各部の駆動を制御する。制御部20は、少なくとも、中央処理装置と、主記憶装置と、を備えるマイクロコンピューターによって構成され、中央処理装置が主記憶装置に種々のプログラムを読み込んで実行することによって種々の機能を発揮する。
【0017】
図3は、液体供給部40を上から視た概略平面図である。図4は、液体供給部40の概略斜視図である。図3に示すように、ケース収納部60には、装着体105が外方から+Y方向に向かって差し込まれる。ケース収納部60には、4つの装着体105がX方向に配列されて収納される。図3には、ケース収納部60における装着体105の配置位置である配置領域LAが一点鎖線で示されている。
【0018】
液体供給部40は、上述した構成の他に、4つの切替機構50と、圧力伝達配管46とを有する。4つの切替機構50は、配置領域LAの+Y方向側に配置されている。4つの切替機構50のそれぞれは、4つの配置領域LAのそれぞれに対応して配置されている。4つの切替機構50は、具体的には、3つの第1切替機構50aと、1つの第2切替機構50bとを含む。3つの第1切替機構50aのそれぞれは、3つの第1液体収容体100aのそれぞれに対応する。第2切替機構50bは、第2液体収容体100bに対応する。
【0019】
図4に示すように、各切替機構50は、供給針51を有する。供給針51は、液体収容体100に着脱可能に装着される。供給針51は、-Y方向に直線的に延びる管状の形状を有する。供給針51は、その先端部51tが、液体収容体100内に挿入されることによって、液体収容体100に接続される。そして、供給針51の内部を液体収容体100に収容されたインクが流通する。圧力伝達配管46は、吸引部45が発生した圧力を伝達する。
【0020】
A2.液体収容体の構成:
図5は、第1ケース61aから第1液体収容体100aを取り出した状態における概略分解斜視図である。図6は、アダプター部を液体導出部材から取り外した状態における概略分解斜視図である。第2装着体105bは、第1装着体105aと同様の構成を有する。よって、以下では、代表して第1装着体105aについて説明し、第2装着体105bの説明は省略する。
【0021】
ケース61は、上方が開放されたトレー状の容器である。ケース61は、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂部材によって作製される。ケース61には、上方から液体収容体100が着脱可能に収納される。ケース61の+Y方向の端部には、ケース61の下面から上に向かって立ち上がる円柱形状の2つの案内部62が設けられている。2つの案内部62は、ケース61に液体収容体100が収容される場合に、後述するアダプター部130を案内する。
【0022】
液体収容体100は、図5に示す、袋110と、アダプター部130と、複数の液体導出管140と、気体吸収ユニット150と、図6に示す液体導出部材120とを備える。複数の液体導出管140は、後述する液体導出部121と接続されて袋110内に配置される。複数の液体導出管140は、第1液体導出管140aと、第2液体導出管140bとを含む。袋110は、液体としてのインクを内部の液体収容空間に収容する。袋110は、一端部621から他端部622へ向かう-Y方向に長く、扁平な外形を有する。袋110は、袋状であり、可撓性を有する複数のフィルムが貼り付けることで形成されている。具体的には、複数のフィルムを重ね合わせて、周縁部の一部同士、および、周縁部の他の一部とアダプター部130とを熱溶着などの方法により接合することで袋110が形成される。本実施形態では、袋110は、後述する第1面111のフィルムと第2面112のフィルムと、X方向の両端部の各々に配置されたマチとなる2枚のフィルムとで形成されたいわゆるガゼットタイプの袋である。なお、袋110はガゼットタイプに限られず、2枚のフィルムにより形成された、いわゆるピロータイプの袋でもよい。袋110を構成するフィルムは、可撓性とガスバリア性を有する素材で形成されている。例えば、フィルムの素材としてはポリエチレンテレフタレート(PET),ナイロン,ポリエチレンなどが挙げられる。また、これらの素材で構成されたフィルムを複数積層した積層構造を用いてフィルムが形成されてもよい。このような積層構造では、例えば、外層を耐衝撃性に優れたPET又はナイロンによって形成し、内層を耐インク性に優れたポリエチレンによって形成してもよい。さらに、アルミニウムなどを蒸着した層を有するフィルムを積層構造の1つの構成部材としてもよい。
【0023】
袋110は、上面を形成する第1面111と、第1面111と対向し、底面を形成する第2面112とを有する。第1面111および第2面112は、それぞれ1枚のフィルムで形成されている。上記のように、重ね合わされた第1面111と第2面112との周囲が封止されて液体収容空間が形成されている。袋110は、一端部621と、一端部621と対向する他端部622とを有する。一端部621は、+Y方向側の端部である。他端部622は、-Y方向側の端部である。袋110内のインクが消費されるに伴って、袋110は、第1面111と第2面112とが互いに近づくように変形する。
【0024】
袋110内には、気体吸収ユニット150が移動可能に配置されている。気体吸収ユニット150は、後に詳述するように、袋110の内のインクに溶存する気体分子を吸収する。
【0025】
アダプター部130は、袋110の一端部621に位置する。アダプター部130は、袋110に溶着された液体導出部材120に着脱可能に装着される。アダプター部130は、液体収容体100が液体噴射装置10に装着された装着状態において、液体噴射装置10の切替機構50に接続される。アダプター部130は、+Y方向に開口している貫通孔部131を有する。貫通孔部131は、液体導出部121を挿通させるための、Y方向に貫通する孔である。アダプター部130は、接続端子132を有する。接続端子132は、例えば回路基板の表面に設けられる。この回路基板は、液体収容体100に関する各種の情報を記憶する記憶部を含む。液体収容体100に関する情報には、例えば、液体収容体100の種類や液体の収容量等を表す情報が含まれる。
【0026】
図7は、アダプター部130が装着された液体導出部材120の斜視図である。図8は、液体が収容されていない状態の液体収容体100の平面図である。
【0027】
図6に示すように、アダプター部130は、上から覆うように液体導出部材120に装着される。図7に示すように、アダプター部130の下面には、Z方向に突出する2つの位置決め突起133が設けられている。そして、液体導出部材120には、2つの位置決め突起133のそれぞれが挿通されるZ方向に貫通する2つの位置決め孔122が設けられている。アダプター部130は、2つの位置決め孔122のそれぞれに、2つの位置決め突起133のそれぞれが挿通されて、液体導出部材120に装着される。
【0028】
図7に示すように、液体導出部材120は、上記構成に加え、液体を液体噴射装置10へ導出するための液体導出部121と、溶着部124とを有する。液体導出部121は、2つの円筒部123を有する。液体導出部121は、袋110の一端部621に取り付けられている。
【0029】
図6に示すように、溶着部124に、袋110の一端部621が溶着される。図7に示すように、2つの円筒部123は、液体導出部121の-Y方向の端部に配置されている。溶着部124は、液体導出部121の+Y方向の端部と、-Y方向の端部との間に配置されている。溶着部124に袋110が溶着された状態では、2つの円筒部123は袋110内に位置し、液体導出部121の+Y方向の端部は、袋110の外に位置する。2つの円筒部123は、それぞれ、軸方向がY方向に平行な円筒形状を有する。2つの円筒部123は、X方向に並んでいる。液体導出部121の内部空間は、途中で2つに分岐して、2つの内部空間が形成されている。そして、2つの内部空間のそれぞれは、2つの円筒部123のそれぞれの内部空間と連通している。
【0030】
液体導出部121の2つの円筒部123のそれぞれには、図8に示す、第1液体導出管140aと、第2液体導出管140bとが装着される。各液体導出管140は、可撓性を有するチューブであり、導入口141を有する。各液体導出管140は、導入口141から導入したインクを液体導出部121へ流す。具体的には、各液体導出管140の導入口141から導入されたインクは、各円筒部123の内部空間を流通し、液体導出部121の内部で合流した後、液体導出部121の+Y方向の端部まで流通する。第1液体導出管140aおよび第2液体導出管140bの延在方向は、一端部621から他端部622へ向かう-Y方向である。
【0031】
第1液体導出管140aと第2液体導出管140bとは、長さが互いに異なる。ここで、液体導出管140の長さとは、各円筒部123に装着される液体導出管140の一端端部から、導入口141までの長さである。第1液体導出管140aは、第2液体導出管140bよりも長い。本実施形態では、第1液体導出管140aの長さは、袋110の一端部621から他端部622までの長さLの半分より長い。また、第2液体導出管140bの長さは、長さLの半分以下である。ここで、長さLとは、インクが収容されていない袋110の第1面111と第2面112とを密着するように配置した場合における、袋110を形成するフィルムの溶着されていない、液体収容部分のY方向の長さである。第1液体導出管140aの長さと第2液体導出管140bの長さとが互いに異なることにより、後に詳述するように、袋110に消費されずに残存する液体を低減することができる。図8では、理解のため、長さLの半分の位置である中央位置CPを破線で示している。
【0032】
図5に示すように、気体吸収ユニット150は、円筒形状の空間保持部材151と、空間保持部材151を内部に収容する袋状の気体透過フィルム152とを有する。空間保持部材151は、気体吸収ユニット150の内部空間を形成する。気体透過フィルム152は、気体吸収ユニット150の内部空間が大気圧より低い圧力に減圧された状態で、内部空間の内側と外側とを区画する。気体吸収ユニット150の内部空間が減圧されていることにより、液体収容体100に収容されているインクに溶存するNなどの気体分子は、気体透過フィルム152を透過して、気体吸収ユニット150内に取り込まれる。
【0033】
上記のように、液体収容体100収容される液体は、アゾ基を有する染料を含むインクである。アゾ基は、化学反応によりNを発生させる。また、大気中のNやOが、袋110を形成するフィルムを透過して液体収容体100内に入り込む場合がある。インクにNなどの気体分子が多く溶存している状態でノズル33からインクを吐出させての印刷動作が行われると、インク中に気泡が発生し、印刷品質を低下させるおそれがある。この点、本実施形態では、袋110内に気体吸収ユニット150が配置されることで、インクに溶存する気体分子は気体吸収ユニット150に吸収されるため、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0034】
図9は、空間保持部材151の斜視図である。図10は、空間保持部材151の正面図である。図9に示す空間保持部材151は、気体吸収ユニット150の減圧空間を保持することができる程度の剛性を有する。本実施形態において、空間保持部材151は、射出成型によって成型された樹脂により形成されている。樹脂として、ポリプロピレンやポリエチレンを用いることができ、本実施形態では、ポリプロピレンが用いられている。
【0035】
空間保持部材151は、気体吸収ユニット150の内部空間である減圧空間を形成する本体部153と、本体部153の内側と外側とを繋ぐ開口部154と、本体部153の内壁面153aに設けられたリブ155と、を有する。空間保持部材151の中心軸CX方向における長さは90mm程度である。空間保持部材151の外径は、27mm程度である。空間保持部材151の内径は、25mm程度である。空間保持部材151は円筒形状であることにより、外圧による応力の集中を抑制し、気体吸収ユニット150の内部空間と外部との圧力差による本体部153の変形を抑制できる。また、空間保持部材151は円筒形状であることにより、角を有する形状と比較して、袋110を内側から押して傷付けることを抑制できる。空間保持部材151は、中心軸CX方向が第1面111と平行に配置されている。ここで、第1面111と平行とは、第1面111と中心軸CXとのなす角度が、-10度以上+10度以下の範囲に入っている場合が該当する。これにより、空間保持部材151の中心軸CX方向の端部が袋110の内側から押し、袋110を傷付けることを抑制できる。また、袋110のZ方向のサイズを拡張することがないため、液体収容体100を適切にケース61に収容することができる。
【0036】
図10に示す様に、リブ155は、内壁面153aから減圧空間の内方に向って延びている。リブ155は、中心軸CX方向から見た場合に、内壁面153aの異なる複数の箇所に接続されている。具体的には、リブ155は、中心軸CX方向に延在する3つの平板が中心軸CXにて結合された形状を有する。そして、リブ155を成す3つの平板の各々の径方向の端部は、内壁面153aの異なる複数の箇所に接続されている。中心軸CX方向から見た場合に、リブ155を成す3つの平板は、中心軸CXを中心として等角度間隔で配置されている。気体吸収ユニット150は、リブ155を有するため、減圧空間と外部との圧力差による本体部153の変形を抑制できる。このため、本体部153の変形による減圧空間の体積減少に伴う気体吸収ユニット150の脱気能力の低下を抑制できる。また、リブ155の中心軸CX方向における両端部の位置は、本体部153の中心軸CX方向における両端部の位置と一致する。このため、減圧空間と外部との圧力差によって気体透過フィルム152が開口部154から減圧空間側に侵入することを抑制できる。
【0037】
図5に示す、気体吸収ユニット150は、空間保持部材151を収容した気体透過フィルム152の開口部が、減圧容器内で溶着されて製造される。これにより、気体吸収ユニット150の内部空間は減圧された空間となる。減圧容器内の圧力は、ゲージ圧で、-40kPa以上-95kPa以下の圧力であることが好ましく、-50kPa以上-85kPa以下の圧力であることがより好ましい。本実施形態において、減圧容器内の圧力は、-85kPaまたは-70kPaである。
【0038】
減圧空間の圧力が低いほど、気体吸収ユニット150が外側から取り込める気体の量を多くできる。一方、減圧空間の圧力が低いほど、気体吸収ユニット150の製造コストが高くなる傾向がある。このため、気体吸収ユニット150に要求される脱気能力と、製造コストとを考慮して、減圧空間の圧力を決定することが好ましい。
【0039】
図5に示す気体透過フィルム152は、気体透過性を有するとともに、液体の浸入を阻む。気体透過フィルム152の材料は、袋110内のインクとの反応性を有さない熱可塑性樹脂、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンやポリスチレンが好ましい。さらに、気体透過フィルム152は、単層フィルムであることが好ましい。同等の材料で形成された単層フィルムと積層フィルムとを比較した場合、一般に、単層フィルムは、積層フィルムより気体透過性が高いからである。本実施形態において、気体透過フィルム152として、ポリエチレンの単層フィルムが用いられている。
【0040】
図5に示すように、気体吸収ユニット150は、袋110内に移動可能に配置されている。上記の様に、袋110内のインクが消費されるにつれ、袋110の内部空間は減少し、第1面111と第2面112とが近づくように袋110の外形は変形する。空間保持部材151は袋110を形成するフィルムよりも剛性が高いため、インクが消費されていくにつれ、第1面111および第2面112のそれぞれは、空間保持部材151の外形に沿って変形する。よって、空間保持部材151の周りには、空間保持部材151を支柱とするような、インクが留まる空間が形成され易い。ここで、第1液体導出管140aと第2液体導出管140bとは長さが互いに異なるため、空間保持部材151の袋110内の位置にかかわらず、空間保持部材151の近くには、第1液体導出管140aまたは第2液体導出管140bの導入口141が存在することになる。よって、気体吸収ユニット150の周りのインクは、最寄りの導入口141に導入される。このため、気体吸収ユニット150の周りのインクが消費されずに取り残されることによるインクの残存を抑制できる。
【0041】
第1液体導出管140aは、袋110の長さLの半分よりも長い。これにより、気体吸収ユニット150が他端部622の近くに位置した状態でインクが消費されることによる、閉塞領域の発生を抑制することができる。仮に第1液体導出管140aの長さが、第2液体導出管140bの長さと同程度であり、気体吸収ユニット150が他端部622の近くに位置する場合、気体吸収ユニット150の周りに閉塞領域が形成されるおそれがある。閉塞領域とは、具体的には、袋110の第1面111と第2面112とが、導入口141と気体吸収ユニット150との間で、袋110のX方向の一端部から他端部に亘って密着することにより形成される、導入口141までのインクの流路が断たれた領域をいう。この点、本実施形態によれば、気体吸収ユニット150が他端部622の近くに位置した場合であっても、気体吸収ユニット150の近くには、第1液体導出管140aの導入口141が位置するため、閉塞領域の形成を抑制できる。なお、第1液体導出管140aの長さは、袋110の長さLの3/4よりも長いことが好ましい。閉塞領域が形成される可能性をより低減できるからである。
【0042】
第2液体導出管140bの長さは、袋110の長さLの半分以下である。これにより、一端部621近傍に閉塞領域が形成される可能性を低減することができる。
【0043】
以上説明した第1実施形態によれば、第1液体導出管140aと第2液体導出管140bとの長さは、互いに異なる。このため、気体吸収ユニット150の袋110内の位置にかかわらず、気体吸収ユニット150の近くには、第1液体導出管140aまたは第2液体導出管140bの導入口141が存在することになる。よって、気体吸収ユニット150の周りのインクは、最寄りの液体導出管140から導出されるため、気体吸収ユニット150の周りのインクが消費されずに取り残されることによるインクの残存を抑制できる。
【0044】
また、第1液体導出管140aの長さは、袋110の長さLの半分より長い。これにより、気体吸収ユニット150が他端部622の近くにある場合に、第1液体導出管140aを用いて気体吸収ユニット150周りの液体を導出することができる。よって、気体吸収ユニット150周りの液体が消費されずに残存することを抑制できる。
【0045】
また、第2液体導出管140bの長さは、袋110の長さLの半分以下である。これにより、第2液体導出管140bを用いて、一端部621近傍の液体を導出することができる。よって、一端部621近傍の液体が消費されずに残存することを抑制できる。
【0046】
また、空間保持部材151は、内部空間を形成する本体部153と、開口部154とを有する。気体透過フィルム152は、空間保持部材151を収容することにより、内部空間の内側と外側とを区画する。これにより、気体透過フィルム152に空間保持部材151を収容することで、インクに溶存する気体を取り込む気体吸収ユニット150を形成することができる。
【0047】
また、空間保持部材151は、円筒形状であるため、応力の集中を抑制し、気体吸収ユニット150の内部空間と外部との圧力差による本体部153の変形を抑制できる。また、空間保持部材151は、リブ155を有するため、気体吸収ユニット150の内部空間と外部との圧力差による本体部153の変形を抑制できる。また、空間保持部材151は、軸方向が袋110の第1面111と平行に配置されている。このため、空間保持部材151の軸方向の端部が袋110を形成するフィルムを内側から押し、袋110を内側から傷付けることを抑制できる。
【0048】
B.第2実施形態:
図11は、第2実施形態に係る気体吸収ユニット2150を示す模式図である。第2実施形態に係る気体吸収ユニット2150は、封止フィルム156を備える点が、第1実施形態に係る気体吸収ユニット150とは異なる。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
封止フィルム156は、気体透過性を有するフィルム部材であり、開口部154に溶着されている。本実施形態では、封止フィルム156には、気体透過フィルム152および空間保持部材151と同じ材料によって形成されたフィルム部材が用いられている。空間保持部材151の材料と封止フィルム156の材料とを同じにすることにより、空間保持部材151に封止フィルム156を適切に溶着することができる。具体的に本実施形態では、空間保持部材151および封止フィルム156の材料は、ポリプロピレンである。なお、空間保持部材151および封止フィルム156の材料として、ポリエチレンなどの他の樹脂を用いてもよい。
【0050】
気体吸収ユニット2150は、第1実施形態と同様に、減圧容器の内で製造される。具体的には、まず、減圧容器内において、空間保持部材151の開口部154に封止フィルム156が溶着される。次に、減圧容器内において、封止フィルム156が溶着された空間保持部材151が気体透過フィルム152の開口部から内部に挿入された後に、気体透過フィルム152の開口部が溶着によって閉じられる。これにより、封止フィルム156により区画された空間保持部材151および気体透過フィルム152の内部空間の両方が減圧された空間となる。以上により、気体吸収ユニット2150が製造される。
【0051】
以上説明した第2実施形態によれば、空間保持部材151の内部空間である減圧空間と外部とは、気体透過フィルム152に加えて封止フィルム156とによっても区画されている。これにより、減圧空間と外部との間において、気体透過性を有するフィルム部材が2重に設けられる。このため、気体吸収ユニット2150による気体の吸収速度を、第1実施形態に係る気体吸収ユニット150よりも小さくできる。したがって、封止フィルム156を備えない構成と比較して、気体吸収ユニット2150の脱気能力を発揮する期間を長くすることができる。
【0052】
C.第3実施形態:
図12は、第3実施形態に係る気体吸収ユニット3150を示す模式図である。気体吸収ユニット3150は、気体透過フィルム152を備えず、封止フィルム156を備える点が、第1実施形態に係る気体吸収ユニット150とは異なる。上記実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0053】
気体吸収ユニット3150は、気体透過フィルム152によって空間保持部材151の開口部154が封止されることによって、減圧空間の内側と外側とを区画されている。
【0054】
以上説明した第3実施形態によれば、第1実施形態に係る気体吸収ユニット150と比較して、減圧空間と外部とを区画する気体透過性を有するフィルムの面積が小さくなるため、気体吸収ユニット3150による気体の吸収速度を第1実施形態に係る気体吸収ユニット150よりも小さくできる。したがって、第1実施形態と比較して、気体吸収ユニット3150の脱気能力を発揮する期間を長くすることができる。また、気体吸収ユニット3150に使用する気体透過性を有するフィルム部材の大きさを、第1実施形態に係る気体吸収ユニット150よりも小さくできるため、製造コストを低減できる。
【0055】
D.他の実施形態:
(D1)上記第1実施形態では、第1液体導出管140aの長さは、袋110の長さLの半分よりも長く、第2液体導出管140bの長さは、袋110の長さLの半分以下である。各液体導出管140の長さはこれに限られない。第1液体導出管140aと第2液体導出管140bとの長さが互いに異なることにより、気体吸収ユニット150の周りの液体は、第1液体導出管140aまたは第2液体導出管140bから導出される。よって、気体吸収ユニット150の周りの液体の残存を抑制することができる。
【0056】
(D2)上記第1実施形態では、液体収容体100に、気体吸収ユニット150が1つ配置される。液体収容体100に配置される気体吸収ユニット150の数は1つに限られない。液体収容体100に収容される液体が多いほど、発生する気体は多くなる。よって、液体収容体100の容量に応じて、気体吸収ユニット150の数が調整されることが好ましい。
【0057】
E.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0058】
(1)本開示の第1形態によれば、液体収容体が提供される。この液体収容体は、可撓性を有し、内部に液体を収容するための袋と、前記袋の一端部に取り付けられ、前記液体を液体噴射装置へ導出するための液体導出部を有する液体導出部材と、前記袋内に移動可能に配置される気体吸収ユニットであって、(i)前記気体吸収ユニットの内部空間を形成する空間保持部材と、(ii)前記内部空間が大気圧より低い圧力に減圧された状態で、前記内部空間の内側と外側とを区画する気体透過フィルムと、を有する気体吸収ユニットと、前記液体導出部と接続されて前記袋内に配置される複数の液体導出管であって、前記複数の液体導出管のそれぞれは、導入口を有し、前記導入口から導入された前記液体を前記液体導出部へ流すための複数の液体導出管と、を備え、前記複数の液体導出管のそれぞれの長さは、互いに異なる。この形態によれば、複数の液体導出管のそれぞれの長さは互いに異なるため、気体吸収ユニットの袋内の位置にかかわらず、気体吸収ユニットの近くには、複数の液体導出管のいずれかの導入口が存在することになる。よって、気体吸収ユニットの周りの液体は、最寄りの液体導出管から導出されるため、気体吸収ユニットの周りの液体が消費されずに取り残されることによる液体の残存を抑制できる。
【0059】
(2)上記形態において、前記袋は、前記一端部と対向する他端部を有し、前記複数の液体導出管の延在方向は、前記一端部から前記他端部へ向かう方向であり、前記複数の液体導出管は、第1液体導出管と第2液体導出管とを含み、前記第1液体導出管の長さは、前記袋の前記一端部から前記他端部までの長さの半分より長くてもよい。この形態によれば、気体吸収ユニットが他端部近くにある場合に、気体吸収ユニットの周りの液体を、第1液体導出管を用いて導入することができる。このため、袋の他端部付近の液体の残存を抑制できる。
【0060】
(3)上記形態において、前記第2液体導出管の長さは、前記袋の前記一端部から前記他端部までの長さの半分以下であってもよい。この形態によれば、袋の一端部付近の液体の残存を抑制できる。
【0061】
(4)上記形態において、前記空間保持部材は、前記内部空間を形成する本体部と、前記本体部の内側と外側とを繋ぐ開口部と、を有し、 前記気体透過フィルムは、前記空間保持部材を収容することにより、前記内部空間の内側と外側とを区画してもよい。この形態によれば、気体透過フィルムに空間保持部材を収容することで、液体に溶存する気体を取り込む気体吸収ユニットを形成することができる。
【0062】
(5)上記形態において、前記気体吸収ユニットは、さらに、気体透過性を有し、前記開口部を封止する封止フィルムを備えてもよい。この形態によれば、気体の吸収速度を小さくして、気体吸収ユニットの脱気能力を発揮する期間を長くすることができる。
【0063】
(6)上記形態において、前記空間保持部材は、前記内部空間を形成する本体部と、前記本体部の内側と外側とを繋ぐ開口部と、を有し、前記気体透過フィルムは、前記内部空間が減圧された状態で前記開口部を封止することにより、前記内部空間の内側と外側とを区画してもよい。この形態によれば、気体の吸収速度を小さくして、気体吸収ユニットの脱気能力を発揮する期間を長くすることができる。
【0064】
(7)上記形態において、前記空間保持部材は、前記内部空間を形成する本体部と、前記本体部の内側と外側とを繋ぐ開口部と、を有し、円筒形状であってもよい。この形態によれば、応力の集中を抑制し、気体吸収ユニットの内部空間と外部との圧力差による本体部の変形を抑制できる。
【0065】
(8)上記形態において、前記空間保持部材は、前記本体部の内壁面に設けられたリブを有してもよい。この形態によれば、気体吸収ユニットの内部空間と外部との圧力差による本体部の変形を抑制できる。
【0066】
(9)上記形態において、前記袋は、第1面と、前記第1面と対向する第2面と、を有し、重ね合わされた前記第1面と前記第2面との周囲が封止されて液体収容空間が形成され、前記空間保持部材は、軸方向が前記第1面と平行に配置されていてもよい。この形態によれば、空間保持部材の軸方向の端部が袋を形成するフィルムを内側から押し、袋を内側から傷付けることを抑制できる。
【0067】
本開示は、上記形態の他に、液体収容体の製造方法、液体収容体を備えた液体噴射装置である液体噴出システムなどの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0068】
10…液体噴射装置、10c…ハウジング、12…前面部、13…操作部、14…媒体排出口、15…媒体受部、18…カバー部材、20…制御部、30…吐出実行部、31…液体吐出部、32…チューブ、33…ノズル、34…キャリッジ、36…搬送ローラー、40…液体供給部、42…供給配管、43…継手部、45…吸引部、46…圧力伝達配管、50…切替機構、50a…第1切替機構、50b…第2切替機構、51…供給針、51t…先端部、60…ケース収納部、61…ケース、61a…第1ケース、61b…第2ケース、62…案内部、100…液体収容体、100a…第1液体収容体、100b…第2液体収容体、105…装着体、105a…第1装着体、105b…第2装着体、110…袋、111…第1面、112…第2面、120…液体導出部材、121…液体導出部、122…孔、123…円筒部、124…溶着部、130…アダプター部、131…貫通孔部、132…接続端子、133…突起、140…液体導出管、140a…第1液体導出管、140b…第2液体導出管、141…導入口、150,2150,3150…気体吸収ユニット、151…空間保持部材、152…気体透過フィルム、153…本体部、153a…内壁面、154…開口部、155…リブ、156…封止フィルム、621…一端部、622…他端部、CP…中央位置、CX…中心軸、LA…配置領域、MP…媒体
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12