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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065943
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】評価装置および評価方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/10 20170101AFI20240508BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240508BHJP
【FI】
A01K61/10
G06T7/60 150D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175071
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岡本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】大渕 隆文
(72)【発明者】
【氏名】三宅 寿英
【テーマコード(参考)】
2B104
5L096
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104AA22
2B104CF01
2B104GA00
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA32
5L096FA62
5L096FA66
5L096GA51
5L096HA11
(57)【要約】
【課題】被養殖生物の遊泳状態を詳細に評価する。
【解決手段】評価装置(5)は、被養殖生物である養殖魚が遊泳する周回軌道の中心を、養殖魚が遊泳している範囲の少なくとも一部を撮影した動画像から特定する中心特定部(31)と、動画像から養殖魚の遊泳速度を特定する速度特定部(32)と、中心の周りにおいて遊泳速度が所定範囲内である評価対象領域を中心からの距離に応じて区分した複数の区分領域ごとに、前記遊泳速度の代表値を算出する算出部(33)と、区分領域ごとに、代表値に基づいて養殖魚の遊泳状態を評価する評価部(34)と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被養殖生物が遊泳する周回軌道の中心を、前記被養殖生物が遊泳している範囲の少なくとも一部を撮影した動画像から特定する中心特定部と、
前記動画像から前記被養殖生物の遊泳速度を特定する速度特定部と、
前記中心の周りにおいて前記遊泳速度が所定範囲内である評価対象領域を前記中心からの距離に応じて区分した複数の区分領域ごとに、前記遊泳速度の代表値を算出する算出部と、
前記区分領域ごとに、前記代表値に基づいて前記被養殖生物の遊泳状態を評価する評価部と、を備えている評価装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記区分領域ごとに設けられた前記代表値の閾値と、算出された前記代表値との大小関係に基づいて前記評価を行う請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記代表値が前記閾値未満である場合、前記被養殖生物に対する給餌量を現在の量よりも減少するように制御する給餌制御部をさらに備えている請求項2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記代表値の単位周期あたりの変化量に基づいて前記被養殖生物の異常の有無を判定する判定部をさらに備え、
前記評価部は、前記判定の結果に応じて前記評価を行う請求項1から3のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項5】
前記動画像から前記被養殖生物の遊泳方向を示すベクトルを生成する生成部と、
前記周回軌道に沿わない前記ベクトルの数に応じて前記被養殖生物の異常の有無を判定する判定部と、をさらに備え、
前記評価部は、前記判定の結果に応じて前記評価を行う請求項1から3のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項6】
被養殖生物が遊泳する周回軌道の中心を、前記被養殖生物が遊泳している範囲の少なくとも一部を撮影した動画像から特定する中心特定工程と、
前記動画像から前記被養殖生物の遊泳速度を特定する速度特定工程と、
前記中心の周りにおいて前記遊泳速度が所定範囲内である評価対象領域を前記中心からの距離に応じて区分した複数の区分領域ごとに、前記遊泳速度の代表値を算出する算出工程と、
前記区分領域ごとに、前記代表値に基づいて前記被養殖生物の遊泳状態を評価する評価工程と、を含んでいる、評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陸上養殖における被養殖生物の遊泳状態を評価する評価装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
陸上での魚介類等の被養殖生物の養殖においては、水槽に発生させた水流に逆らう方向に被養殖生物を遊泳させており、その遊泳状態を監視し、遊泳状態から被養殖生物の給餌タイミング、異常行動などを判断している。例えば、特許文献1には、陸上養殖とは異なるが、水質監視のための水棲生物の状態監視について、撮影した水棲生物の遊泳状態が存在するエリアに基づいて水質を判定することが記載されている。水棲生物は回転水流に逆らって遊泳し、特に生きている平静な状態の水棲生物は外周部エリアと中心部エリアとを除いた中間部エリアに存在することが多く、異常状態の水棲生物は外周部エリアまたは中心部エリアに存在することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-242154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中間部エリアにおいても、水棲生物によっては速度などの遊泳状態が異なる場合がある。しかしながら、特許文献1に記載されたような監視方法では、中間部エリアの水棲生物の遊泳状態をより詳細に評価することができない。
【0005】
本発明の一態様は、被養殖生物の遊泳状態を詳細に評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る評価装置は、被養殖生物が遊泳する周回軌道の中心を、前記被養殖生物が遊泳している範囲の少なくとも一部を撮影した動画像から特定する中心特定部と、前記動画像から前記被養殖生物の遊泳速度を特定する速度特定部と、前記中心の周りにおいて前記遊泳速度が所定範囲内である評価対象領域を前記中心からの距離に応じて区分した複数の区分領域ごとに、前記遊泳速度の代表値を算出する算出部と、前記区分領域ごとに、前記代表値に基づいて前記被養殖生物の遊泳状態を評価する評価部と、を備えている。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る評価方法は、被養殖生物が遊泳する周回軌道の中心を、前記被養殖生物が遊泳している範囲の少なくとも一部を撮影した動画像から特定する中心特定工程と、前記動画像から前記被養殖生物の遊泳速度を特定する速度特定工程と、前記中心の周りにおいて前記遊泳速度が所定範囲内である評価対象領域を前記中心からの距離に応じて区分した複数の区分領域ごとに、前記遊泳速度の代表値を算出する算出工程と、前記区分領域ごとに、前記代表値に基づいて前記被養殖生物の遊泳状態を評価する評価工程と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、被養殖生物の遊泳状態を詳細に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る養殖設備の概略構成を示す図である。
図2】上記養殖設備のシステム構成を示すブロック図である。
図3】上記養殖設備における評価装置による魚の遊泳状態の評価を行う処理の手順を示すフローチャートである。
図4図3に示す処理の手順における中心特定処理を具体的に示すフローチャートである。
図5図3に示す処理の手順における代表値算出処理を具体的に示すフローチャートである。
図6】上記養殖設備における水槽内を魚が遊泳する状態を示す図である。
図7】上記水槽内を遊泳する魚を各領域で区分した状態を示す図である。
図8図7に示す中間領域をさらに区分した状態を示す図である。
図9】上記水槽内を遊泳する魚を各領域で区分した他の状態を示す図である。
図10】上記評価装置による遊泳状態の評価対象となる評価対象領域における一区分領域の遊泳速度の変化を示すグラフである。
図11】上記評価装置による遊泳状態の評価対象となる評価対象領域における他の区分領域の遊泳速度の変化を示すグラフである。
図12】上記評価装置による遊泳状態の評価対象となる評価対象領域におけるさらに他の区分領域の遊泳速度の変化を示すグラフである。
図13】実施形態の変形例1に係る上記評価装置の構成を示すブロック図である。
図14】実施形態の変形例2に係る上記評価装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔養殖設備の構成〕
本発明の一実施形態に係る養殖設備の構成を図1に基づいて説明する。図1は、養殖設備の概略構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、養殖設備100は、閉鎖循環式陸上養殖を行うための設備である。閉鎖循環式陸上養殖は、濾過システムを用いて飼育水を浄化しながら、飼育水を循環利用する養殖方式である。養殖設備100は、水生生物、特に貝類を除く魚介類の飼育に適用可能である。養殖設備100の養殖対象としては、水流に逆行するように遊泳する回遊魚であるサバ、サーモンなどが挙げられる。
【0012】
なお、養殖設備100は、天然環境から海水等を継続的に引き込み、飼育水として使用するかけ流し式陸上養殖の設備として構成されてもよい。このような構成では、後述する水処理装置4が省かれる。
【0013】
養殖設備100は、水槽1と、カメラ2と、給餌装置3と、水処理装置4と、評価装置5と、制御装置6と、端末装置7とを備えている。
【0014】
水槽1は、養殖対象となる魚F(被養殖生物)に好適な水(淡水、海水、汽水など)を貯留することができる。水槽1における養殖環境は、魚Fの種類、魚Fの成長過程などに応じて設定されている。水槽1は、屋内および屋外の何れに設置されてもよい。図1に示す水槽1は、円柱形状を成しているが、その形状や大きさは特に限定されない。
【0015】
カメラ2は、水槽1を上方から撮像し、撮像した動画像(動画像データ)を評価装置5に送信する。動画像は、水槽1の水面を平面視した状態を示し、魚Fが遊泳している範囲の少なくとも一部を撮影する。具体的には、カメラ2が撮影する撮影範囲Rは、図1に示すように、魚Fの遊泳範囲の一部であってもよいし全部であってもよい。また、カメラ2は、遊泳範囲の一部を撮影する場合、撮影位置が固定されていてもよいし、動作機構により魚Fの周回軌道の中心を追尾するように構成されていてもよい。また、1台以上のカメラ2が常に撮影した動画中に周回軌道の中心が映るようにカメラ2が設置または設定されていてもよい。また、カメラ2は、水槽1における撮影範囲Rとは異なる範囲を撮像するように構成されていてもよい。
【0016】
カメラ2は、可視光領域および赤外光領域の両領域において対象物を撮像できる装置であってもよい。養殖設備100では、夜間に消灯する運用形態がある。そのため、カメラ2は、昼間は可視画像を撮像し、夜間は赤外画像を撮像してもよい。評価装置5における画像処理(後述)は、可視画像と赤外画像とを区別せずに行われてよい。
【0017】
給餌装置3は、水槽1の上方に設置されており、水槽1に餌を供給する。給餌装置3は、通常、制御装置6による制御を受けることなく、予め設定された時刻になると一定量の給餌を開始・停止する。ただし、給餌装置3は、制御装置6の指令を受けた場合には、当該指令に基づいて、給餌を開始・停止すること、および/または給餌量を調整することを通常の給餌動作よりも優先して行う。
【0018】
水処理装置4は、水槽1の水を浄化するための濾過処理、脱窒素処理、殺菌処理などを行う装置である。水処理装置4は、水槽1の排水口から排水される水を浄化した後、水槽1の給水口から水槽1に供給する。給水口は、水槽1の円形を成す外周壁の接線方向に向けて水を水槽1内に供給できるような外周壁の位置に設けられている。排水口は、外周壁の給水口とは反対側の、外周壁の接線方向に向けて水を水槽1内から排出できるような位置に設けられている。これにより、水槽1において回転する水流が発生する。
【0019】
評価装置5は、カメラ2によって撮影された動画像に基づいて、魚Fの遊泳状態を評価する装置である。評価装置5については、後に詳しく説明する。
【0020】
制御装置6は、給餌装置3の動作を制御するとともに、養殖環境を維持するように、水槽1内に配置された各種のセンサからデータを取得して水処理装置4の動作を制御する。制御装置6については、後に詳しく説明する。
【0021】
端末装置7は、評価装置5が蓄積した評価データを取得して、閲覧可能に表示する。また、端末装置7は、評価データに基づいて、グラフの作成、統計データの作成などの処理を行う。
【0022】
〔評価装置および制御装置の詳細〕
評価装置5および制御装置6について、より詳しく説明する。図2は、養殖設備100のシステム構成を示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、評価装置5は、中心特定部51と、速度特定部52と、算出部53と、評価部54と、記憶部55と、出力部56とを有している。
【0024】
中心特定部51は、カメラ2が撮影した魚Fが遊泳している範囲の少なくとも一部を撮影範囲Rとして撮影した動画像から、魚Fが遊泳する周回軌道の中心を特定する。中心特定部51は、周回軌道の中心が撮影範囲Rに含まれている場合、画像認識により中心を特定する。
【0025】
ここで、回遊性の魚Fは、水流に逆らうように遊泳する性質を有している。このため、魚Fは、水槽1において水流と逆方向の周回軌道を描くように遊泳する。また、魚Fは、常に一定の周回軌道を描くように遊泳することはなく、給餌のときなど、周回軌道が変動するように遊泳することがある。カメラ2が魚Fの遊泳範囲の一部を撮影範囲Rとして撮影する場合、周回軌道が変動してカメラ2により撮影された動画像に中心が含まれていなくても、中心特定部51は当該中心を推定して特定することができる。
【0026】
中心特定部51は、魚Fの遊泳範囲を規定する水槽1の平面視において所定の座標系を設定し、特定した中心の当該座標系における座標を決定して出力する。
【0027】
速度特定部52は、カメラ2が撮影した上記の動画像から魚Fの遊泳速度を特定する。速度特定部52は、例えば、オプティカルフローを用いて遊泳速度を特定する。具体的には、速度特定部52は、上記の2次元ベクトルから魚Fの特定の画素についての移動量を求め、当該移動量を2フレーム間の時間で除算することにより遊泳速度を特定する。また、速度特定部52は、オプティカルフロー以外の公知技術、フレーム間差分法のような移動体検出方法を利用して魚Fの移動量を求め、遊泳速度を特定してもよい。
【0028】
算出部53は、中心特定部51によって特定された中心の周りにおいて、速度特定部52によって特定された遊泳速度が所定範囲内である評価対象領域を中心からの距離に応じて区分した複数の区分領域ごとに、遊泳速度の代表値を算出する。遊泳速度の代表値としては、移動平均、中央値などが用いられる。
【0029】
魚Fの遊泳速度は、周回軌道の中心に対して中心付近の中心領域と、中心から最も遠い外周領域と、中心領域と外周領域との中間の中間領域とで異なるように分布する傾向がある。一般に、中間領域で遊泳する魚Fが最も活発に遊泳することから、算出部53は、中間領域を評価対象領域として遊泳速度の代表値を算出する。評価対象領域の区分領域については、後に詳しく説明する。
【0030】
評価部54は、上記の区分領域ごとに、算出部53によって算出された遊泳速度の代表値に基づいて魚Fの遊泳状態を評価する。具体的には、評価部54は、区分領域ごとに設けられた代表値の閾値と、算出された代表値との大小関係に基づいて評価を行う。評価部54は、評価した結果を評価データとして出力する。
【0031】
記憶部55は、評価部34から出力された評価データを蓄積するように記憶する。
【0032】
出力部56は、記憶部55に記憶されている評価データを端末装置7の要求に応じて端末装置7が閲覧可能な形態で出力する。また、出力部56は、評価部54から出力される評価データを即時的に端末装置7が閲覧可能な形態で出力してもよい。
【0033】
制御装置6は、給餌制御部61と、水処理制御部62とを有している。
【0034】
給餌制御部61は、算出部53によって算出された代表値が区分領域ごとの上記の閾値未満である場合、魚Fに対する給餌量を現在の量よりも減少するように給餌装置3を制御する。
【0035】
水処理制御部62は、評価部54からの評価データを必要に応じて参考指標として利用することにより水処理装置4を制御する。例えば、遊泳状態が極端に不良であるという評価が示された場合、水質の悪化が疑われる。この場合、水処理制御部62は、当該評価を参考に水処理装置4を制御する。
【0036】
〔評価装置による遊泳速度の評価〕
評価装置5による遊泳速度の評価方法について詳細に説明する。図3は、評価装置5による魚Fの遊泳状態の評価を行う処理の手順を示すフローチャートである。図4は、図3に示す処理の手順における中心特定処理を具体的に示すフローチャートである。図5は、図3に示す処理の手順における代表値算出処理を具体的に示すフローチャートである。
【0037】
図3に示すように、まず、中心特定部51は、カメラ2より取得した、魚Fが遊泳している範囲の少なくとも一部を撮影した動画像から周回軌道の中心を特定する(ステップS1,中心特定工程)。次いで、速度特定部52は、カメラ2より取得した動画像から魚Fの遊泳速度を特定する(ステップS2,速度特定工程)。
【0038】
なお、ステップS1の処理の次にステップS2の処理が行われることに限定されず、ステップS1,S2の処理が同時に行われてもよいし、ステップS2の処理がステップS1の処理より先に行われてもよい。
【0039】
中心および遊泳速度が特定されると、算出部53は、中心周りにおいて、評価対象領域を中心からの距離に応じて区分した複数の区分領域ごとに遊泳速度の代表値を計算する(ステップS3,算出工程)。さらに、評価部54は、区分領域ごとに、算出された代表値に基づいて魚Fの遊泳状態を評価する(ステップS4,評価工程)。
【0040】
続いて、ステップS1の中心特定処理について、詳細に説明する。図4に示すように、中心特定部51は、カメラ2からの動画像が周回軌道の中心を含んでいるか否かを判定する(ステップS11)。中心特定部51は、ステップS11において、動画像が周回軌道の中心を含んでいると判定する場合(YES)、動画像に基づいて周回軌道の中心を特定して(ステップS12)、処理を図3に示すメインルーチンに戻す。
【0041】
中心特定部51は、動画像に基づく中心の特定において、深層学習などを活用した物体検出処理により、同心円状の周回軌道を回遊する魚Fの動画像から魚群の中心部を検出することにより、最も小さい周回軌道の内側を中心と特定する。ここで、物体検出処理としては、YOLO(Your Only Look Once)、SSD(Single Shot Multibox Detector)などと呼ばれる技術が公知となっている。
【0042】
中心特定部51は、ステップS11において、動画像が周回軌道の中心を含んでいないと判定する場合(NO)、動画像から魚Fのベクトルを作成する(ステップS13)。中心特定部51は、魚Fのベクトルの作成においてオプティカルフローの手法を用いる。具体的には、中心特定部51は、動画像において魚Fの特定の画素に注目し、当該画素について連続する2つのフレーム間のオプティカルフローを推定して、2フレーム間の魚の動きを2次元ベクトルで表現する。
【0043】
次いで、中心特定部51は、ベクトルに基づいて周回軌道の中心を特定して(ステップS14)、処理を図3に示すメインルーチンに戻す。中心特定部51は、中心の特定において、ステップS13の処理において求められた時間経過に応じた複数のベクトルを繋げた円または円弧の曲率半径から周回軌道の中心を求める。
【0044】
引き続き、ステップS3の代表値算出処理について、詳細に説明する。図5に示すように、算出部53は、速度特定部52によって特定された遊泳速度(代表値)が第1閾値より高いか否かを判定する(ステップS41)。算出部53は、ステップS41において、遊泳速度が第1閾値より高いと判定する場合(YES)、さらに遊泳速度が第2閾値より低いか否かを判定する(ステップS42)。ここで、第1閾値は第2閾値より小さい。
【0045】
算出部53は、ステップS42において、遊泳速度が第2閾値より低いと判定する場合(YES)、当該遊泳速度を上述した中間領域に区分して(ステップS43)、当該中間領域を遊泳速度の評価対象領域と特定する(ステップS44)。そして、算出部53は、評価対象領域について遊泳速度の代表値を上述した区分領域ごとに算出し(ステップS45)、処理を図3に示すメインルーチンに戻す。
【0046】
また、算出部53は、ステップS41において、遊泳速度が第1閾値より高くないと判定する場合(NO)、当該遊泳速度を上述した中心領域に区分する(ステップS46)。そして、算出部53は、当該中心領域を遊泳速度の評価対象外と特定し(ステップS47)、評価対象外の領域について遊泳速度の代表値を算出せずに処理を図3に示すメインルーチンに戻す。
【0047】
また、算出部53は、ステップS42において、遊泳速度が第2閾値より低くないと判定する場合(NO)、当該遊泳速度を上述した外周領域に区分して(ステップS48)、処理をステップS47に移行する。
【0048】
〔遊泳速度の区分の具体例〕
評価装置5による遊泳速度の区分の具体例について詳細に説明する。図6は、水槽1内を魚Fが遊泳する状態を示す図である。図7は、水槽1内を遊泳する魚Fを各領域で区分した状態を示す図である。図8は、図7に示す中間領域A3をさらに区分した状態を示す図である。図9は、水槽1内を遊泳する魚Fを各領域で区分した他の状態を示す図である。
【0049】
図6に示すように、魚Fは矢印に示す方向に遊泳している。この状態では、図6において二点鎖線にて示す長方形を成す撮影範囲Rに、魚Fの周回軌道の中心Oが含まれている。これにより、中心特定部51は、動画像から魚Fの周回軌道の中心Oを特定することができる。速度特定部52は、動画像から判別可能な全ての魚Fの遊泳速度を特定する。
【0050】
図7に示すように、算出部53は、特定された魚Fの遊泳速度を上述したステップS41~S43,S46,S48によって、中心領域A1と、外周領域A2と、中間領域A3に区分し、中間領域A3を評価対象領域として特定する。ここで、中心領域A1は、中心Oを含む円形の領域である。外周領域A2は、中心Oから最も離れた水槽1の内周壁付近の環状の領域である。中間領域A3は、中心領域A1と外周領域A2との間に挟まれる環状の領域である。中心領域A1、外周領域A2および中間領域A3は、ほぼ円形を成している。
【0051】
図8に示すように、算出部53は、中間領域A3を中心Oからの距離に応じて3つの区分領域A31~A33に区分する。区分領域A31は、中間領域A3における最も内周側の、中心領域A1の外周の位置と中心Oから距離D1離れた位置との間の幅を有する環状の領域である。区分領域A32は、中間領域A3における中間の、中心Oから距離D1離れた位置と中心Oから距離D2離れた位置との間の幅を有する環状の領域である。区分領域A33は、中間領域A3における外周側の、中心Oから距離D2離れた位置と中心Oから距離D3離れた位置との間の幅を有する環状の領域である。ここで、距離D1,D2,D3は、D1<D2<D3の関係を有している。
【0052】
ところで、図9において一点鎖線にて示す給餌領域FDに給餌装置3によって給餌が行われると、魚Fは、給餌領域FDに近づくように遊泳する。このため、中心Oも給餌領域FDに近づくことにより、周回軌道が楕円状に変形する。周回軌道の変形に伴い、中心領域A1、外周領域A2および中間領域A3も楕円状に変形する。この場合、中心領域A1、外周領域A2および中間領域A3のそれぞれの面積は、図8に示す円形状の中心領域A1、外周領域A2および中間領域A3のそれぞれの面積と比較して大きくは変化しない。
【0053】
算出部53は、図9に示す場合においても、図8に示す場合と同様にして、中間領域A3を区分領域A31~A33に区分する。ただし、図9に示す場合では、距離D1~D3が図8に示す場合と異なるので、中間領域A3の最も広い幅に基づいて、当該幅を有する部位において距離D1~D3を決定する。
【0054】
なお、中間領域A3を区分する形態については、図8および図9に示す例では、中間領域A3を環状の区分領域A31~A33に区分しているが、この例に限定されない。例えば、中心Oから左右に中間領域A3を区分してもよいし、中心Oからの距離に関係なく升目状に中間領域A3を区分してもよい。
【0055】
〔遊泳速度の評価の具体例〕
評価装置5による遊泳速度の評価の具体例について詳細に説明する。図10は、評価装置5による遊泳状態の評価対象となる評価対象領域における一区分領域の遊泳速度の変化を示すグラフである。図11は、評価対象領域における他の区分領域の遊泳速度の変化を示すグラフである。図12は、評価対象領域におけるさらに他の区分領域の遊泳速度の変化を示すグラフである。
【0056】
図10に示すように、評価部54は、区分領域A31における遊泳速度の移動平均(平均速度)の値を、区分領域A31について設定された所定の閾値Th1と比較する。そして、評価部54は、区分領域A31における移動平均の値と閾値Th1との大小関係に基づいて、区分領域A31を遊泳する魚Fの遊泳状態を評価する。
【0057】
具体的には、評価部54は、移動平均が閾値Th1以上である場合に遊泳状態が良好であると評価し、移動平均が閾値Th1未満である場合に遊泳状態が不良であると評価する。あるいは、評価部54は、閾値Th1の設定によっては、移動平均が閾値Th1以上である場合に遊泳状態が不良であると評価し、移動平均が閾値Th1未満である場合に遊泳状態が良好であると評価する場合もある。
【0058】
図11に示すように、評価部54は、区分領域A32における遊泳速度の移動平均(平均速度)の値を、区分領域A32について設定された所定の閾値Th2と比較する。そして、評価部54は、区分領域A32における移動平均の値と閾値Th2との大小関係に基づいて、区分領域A32を遊泳する魚Fの遊泳状態を評価する。
【0059】
具体的には、評価部54は、移動平均が閾値Th2以上である場合に遊泳状態が良好であると評価し、移動平均が閾値Th2未満である場合に遊泳状態が不良であると評価する。あるいは、評価部54は、閾値Th2の設定によっては、移動平均が閾値Th2以上である場合に遊泳状態が不良であると評価し、移動平均が閾値Th2未満である場合に遊泳状態が良好であると評価する場合もある。
【0060】
図12に示すように、評価部54は、区分領域A33における遊泳速度の移動平均(平均速度)の値を、区分領域A33について設定された所定の閾値Th3と比較する。そして、評価部54は、区分領域A33における移動平均の値と閾値Th3との大小関係に基づいて、区分領域A33を遊泳する魚Fの遊泳状態を評価する。
【0061】
具体的には、評価部54は、移動平均が閾値Th3以上である場合に遊泳状態が良好であると評価し、移動平均が閾値Th3未満である場合に遊泳状態が不良であると評価する。あるいは、評価部54は、閾値Th3の設定によっては、移動平均が閾値Th3以上である場合に遊泳状態が不良であると評価し、移動平均が閾値Th3未満である場合に遊泳状態が良好であると評価する場合もある。
【0062】
中間領域A3においては、区分領域A31~A33の間で遊泳速度が異なる場合があることから、閾値Th1~Th3は、区分領域A31~A33のそれぞれで独自に設定されることが好ましい。例えば、区分領域A31では閾値Th1を高めに設定したり、区分領域A32では閾値Th2を低めに設定したりというようにする。
【0063】
ところで、例えば1年というような長期的な観点では、生育や水質についての問題の有無を評価する必要がある。水槽1は、数万匹という魚Fがいるために高密度になりがちである。このため、給餌の仕方によっては、水槽1におけるCOの濃度が上昇する結果、魚Fの成長が停滞することがある。その成長停滞の予兆を、遊泳状態の評価から探ることができる。
【0064】
養殖において、魚Fを稚魚から数カ月の育成した後に出荷する。魚Fを出荷時のサイズが大きくばらつきなく育成することが重要であるため、生育の停滞は問題である。それゆえ、遊泳状態の評価を、成長の停滞や異常の早期発見に利用することにより、問題解決を図ることが期待できる。
【0065】
〔評価に基づく給餌制御〕
魚Fは、満腹時に遊泳速度が低下する傾向がある。そこで、制御装置6の給餌制御部61は、区分領域A31~A33における移動平均のうち、いずれか1つでも対応する閾値Th1~Th3未満である場合、給餌量を通常より減少させるように給餌装置3に指令を与える。
【0066】
このように、魚Fの遊泳速度の低下に応じて給餌量を減少させることで、給餌過多を防止することができる。これにより、給餌コストを低減させることができる。
【0067】
〔変形例1〕
続いて、本実施形態に係る変形例1について説明する。図13は、本実施形態の変形例1に係る評価装置5の構成を示すブロック図である。
【0068】
図13に示すように、変形例1に係る評価装置5は、図2に示す評価装置5にさらに判定部57を有して構成されている。判定部57は、算出部53から取得した、区分領域A31~A33のそれぞれについての遊泳速度の代表値の単位周期あたりの変化量に基づいて魚Fの異常の有無を判定する。
【0069】
水槽1における水の循環などの養殖環境が適正でないとき、魚Fは、例えば遊泳速度が急激に変化するといった異常な動きをすることがある。このため、評価部54は、判定部57による判定結果に基づいて、例えば、図10図12に示す移動平均(平均速度)の単位周期ごとの異常の有無に応じて遊泳状態を評価することができる。
【0070】
〔変形例2〕
さらに、本実施形態に係る変形例2について説明する。図14は、本実施形態の変形例2に係る評価装置5の構成を示すブロック図である。
【0071】
図14に示すように、変形例2に係る評価装置5は、図2に示す評価装置5にさらに生成部58および判定部59を有して構成されている。生成部58は、カメラ2の動画像から魚Fの遊泳方向を示すベクトルを上述したオプティカルフローなどを用いて生成する。判定部59は、生成されたベクトルのうち、周回軌道に沿わないベクトルの数に応じて魚Fの異常の有無を判定する。
【0072】
評価部54は、判定部59による判定の結果に応じて評価を行う。具体的には、評価部54は、図10図12に示す移動平均(平均速度)の遊泳状態を異常の有無と組み合わせて評価する。例えば、図10に示す区分領域A31の遊泳速度の移動平均が閾値Th1以上であっても、判定部59による判定が異常であれば、評価部54は、遊泳状態について、速度は良好であるが動きは異常であるという評価をする。
【0073】
水の循環などの養殖環境が適正でないとき、魚Fは、例えば周回軌道に沿わない方向に遊泳するといった異常な動きをすることがある。したがって、周回軌道に沿わないベクトルの数に基づいて魚Fの異常の有無を判定することにより、その結果に応じて遊泳状態を評価することができる。
【0074】
〔SDGsへの貢献〕
上述の実施形態の構成によれば、養殖設備100は、評価装置5を備えることにより、魚Fの遊泳状態を詳細に評価することで、養殖の効率を向上させることができる。その結果として養殖魚の出荷量を増加させることができれば、天然魚の乱獲制御に寄与することができる。したがって、持続可能な開発目標(SDGs)の目標14「海の豊かさを守ろう(脱プラスチック、農林水産関係)」の達成に貢献できる。
【0075】
〔ソフトウェアによる実現例〕
評価装置5(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。当該プログラムは、当該装置の各ブロック(特に中心特定部51、速度特定部52、算出部53、評価部54、判定部57,59および生成部58)としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0076】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置および記憶装置を用いて上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0077】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0078】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0079】
また、上記実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0080】
〔まとめ〕
以上のように、本発明の態様1に係る評価装置は、被養殖生物が遊泳する周回軌道の中心を、前記被養殖生物が遊泳している範囲の少なくとも一部を撮影した動画像から特定する中心特定部と、前記動画像から前記被養殖生物の遊泳速度を特定する速度特定部と、前記中心の周りにおいて前記遊泳速度が所定範囲内である評価対象領域を前記中心からの距離に応じて区分した複数の区分領域ごとに、前記遊泳速度の代表値を算出する算出部と、前記区分領域ごとに、前記代表値に基づいて前記被養殖生物の遊泳状態を評価する評価部と、を備えている。
【0081】
上記構成によれば、被養殖生物の遊泳状態を区分領域ごとに評価できる。これにより、従来の評価方法と比較して、より詳細に被養殖生物の遊泳状態を評価することができる。そして、この評価結果に基づき、養殖環境の改善を図る契機を養殖管理者に与えることができる。
【0082】
また、評価サイクルを早めることにより、養殖管理者は安定した養殖環境を維持することができ、その結果、被養殖生物の生育不良や突然死を低減させて良好な生育を促進することが可能となる。
【0083】
本発明の態様2に係る評価装置は、上記態様1において、前記評価部が、前記区分領域ごとに設けられた前記代表値の閾値と、算出された前記代表値との大小関係に基づいて前記評価を行ってもよい。
【0084】
上記構成によれば、各区分領域において、例えば、代表値が閾値以上である場合に遊泳状態は良好であり、代表値が閾値未満である場合に遊泳状態は不良であると評価することができる。
【0085】
本発明の態様3に係る評価装置は、上記態様2において、前記代表値が前記閾値未満である場合、前記被養殖生物に対する給餌量を現在の量よりも減少するように制御する給餌制御部をさらに備えていてもよい。
【0086】
被養殖生物は、満腹時に遊泳速度が低下する傾向がある。上記構成によれば、被養殖生物の遊泳速度の低下に応じて給餌量を減少させることで、給餌過多を防止することができる。これにより、給餌コストを低減させることができる。
【0087】
本発明の態様4に係る評価装置は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記代表値の単位周期あたりの変化量に基づいて前記被養殖生物の異常の有無を判定する判定部をさらに備え、前記評価部が、前記判定の結果に応じて前記評価を行ってもよい。
【0088】
水の循環などの養殖環境が適正でないとき、被養殖生物は、例えば遊泳速度が急激に変化する等の異常な動きをすることがある。上記構成によれば、代表値の単位期間あたりの変化量に基づいて被養殖生物の異常の有無を判定し、その結果に応じて遊泳状態を評価することができる。
【0089】
本発明の態様5に係る評価装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記動画像から前記被養殖生物の遊泳方向を示すベクトルを生成する生成部と、前記周回軌道に沿わない前記ベクトルの数に応じて前記被養殖生物の異常の有無を判定する判定部と、をさらに備え、前記評価部が、前記判定の結果に応じて前記評価を行ってもよい。
【0090】
水の循環などの養殖環境が適正でないとき、被養殖生物は、例えば周回軌道に沿わない方向に遊泳するといった異常な動きをすることがある。上記構成によれば、周回軌道に沿わないベクトルの数に基づいて被養殖生物の異常の有無を判定し、その結果に応じて遊泳状態を評価することができる。
【0091】
本発明の態様6に係る評価方法は、被養殖生物が遊泳する周回軌道の中心を、前記被養殖生物が遊泳している範囲の少なくとも一部を撮影した動画像から特定する中心特定工程と、前記動画像から前記被養殖生物の遊泳速度を特定する速度特定工程と、前記中心の周りにおいて前記遊泳速度が所定範囲内である評価対象領域を前記中心からの距離に応じて区分した複数の区分領域ごとに、前記遊泳速度の代表値を算出する算出工程と、前記区分領域ごとに、前記代表値に基づいて前記被養殖生物の遊泳状態を評価する評価工程と、を含んでいる。
【0092】
上記方法によれば、態様1に係る評価装置と同じく、従来の評価方法と比較して、より詳細に被養殖生物の遊泳状態を評価した結果に基づき、養殖環境の改善を図る契機を養殖管理者に与えることができる。また、被養殖生物の生育不良や突然死を低減させて良好な生育を促進することが可能となる。
【0093】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、本発明は、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
5 評価装置
51 中心特定部
52 速度特定部
53 算出部
54 評価部
61 給餌制御部
A3 中間領域(評価対象領域)
A31~A33 区分領域
F 魚(被養殖生物)
O 中心
Th1~Th3 閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14