(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065944
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】タッチパネルコントローラ、タッチパネルシステム、タッチパネルコントローラの制御方法、制御プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240508BHJP
G06F 3/045 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G06F3/041 590
G06F3/045 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175073
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】512093491
【氏名又は名称】株式会社アスコ
(71)【出願人】
【識別番号】393019436
【氏名又は名称】株式会社デイ・エム・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】市瀬 浩
(57)【要約】
【課題】抵抗膜方式のタッチパネルにおいて、利用者が意図しない動作を軽減する。
【解決手段】タッチパネルコントローラ(10)は、タッチパネル(20)へのタッチが1点から2点、または2点から1点への変更があったか否かを判定するタッチ判定部(11)と、タッチが1点から2点、または2点から1点へと変更された場合、全てのタッチが外れたことを示す信号を出力した後、変更後のタッチ位置を出力するタッチ処理部(12)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗膜方式のタッチパネルへのタッチを検出し、検出したタッチ位置を出力するタッチパネルコントローラであって、
前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点への変更があったか否かを判定するタッチ判定部と、
前記タッチ判定部が前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点へと変更されたと判定した場合、全てのタッチが外れたことを示す信号を出力した後、変更後のタッチ位置を出力するタッチ処理部と、を備えるタッチパネルコントローラ。
【請求項2】
前記タッチ位置の検出および出力は、所定のサイクルで行われており、
前記タッチ処理部は、前記信号を出力した後、数サイクル後に変更後のタッチ位置を出力する、請求項1に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項3】
前記タッチ処理部は、前記信号を出力した後、所定時間経過後に変更後のタッチ位置を出力する、請求項1に記載のタッチパネルコントローラ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のタッチパネルコントローラと、
前記タッチパネルコントローラによってタッチが検出される抵抗膜方式のタッチパネルと、含むタッチパネルシステム。
【請求項5】
タッチパネルコントローラの制御方法であって、
前記タッチパネルコントローラは、抵抗膜方式のタッチパネルへのタッチを検出し、検出したタッチ位置を出力するものであり、
前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点への変更があったか否かを判定するタッチ判定ステップと、
前記タッチ判定ステップで前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点へと変更されたと判定した場合、全てのタッチが外れたことを示す信号を出力した後、変更後のタッチ位置を出力するタッチ処理ステップと、を含むタッチパネルコントローラの制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載のタッチパネルコントローラとしてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記タッチ判定部、および前記タッチ処理部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗膜方式のタッチパネルの出力を制御するタッチパネルコントローラ等に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルにおけるタッチを検出する方式として抵抗膜方式と呼ばれる方式がある。抵抗膜方式のタッチパネルは、抵抗膜と呼ばれる、透明電極が形成された透明のフィルム等の基板を、透明電極が向かい合うように貼り合わせた2層構造になっている。タッチパネルが押されると上部基板がたわみ、上下の電極が接触して導通することによりタッチ位置を検知するものである。
【0003】
特許文献1には、抵抗膜方式のタッチパネルを備えたタッチパネル装置であって、タッチパネルにタッチされた2点における中点座標を記憶して、タッチ位置の座標を出力するタッチパネル装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、タッチパネルに圧力をかけられた位置と、所定時間以内に再度、圧力をかけられた位置とが所定距離内にある場合に、圧力がかけられた位置を特定するタッチパネル制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-92351号公報
【特許文献2】特開平9-44308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような抵抗膜方式のタッチパネルにおいては、1点にタッチされた場合と、2点にタッチされた場合とで、タッチされた位置の座標を算出する方法が異なるため、1点タッチから2点タッチへと遷移した場合、または2点タッチから1点タッチへと遷移した場合に、利用者の意図しない動作が発生するおそれがある。
【0007】
しかし、上述した従来技術では、この利用者の意図しない動作についての対策はとられていない。
【0008】
本発明の一態様は、この問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、抵抗膜方式のタッチパネルにおいて、1点タッチから2点タッチへと遷移した場合、または2点タッチから1点タッチへと遷移した場合に発生する利用者が意図しない動作を軽減するタッチパネルコントローラ等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラは、抵抗膜方式のタッチパネルへのタッチを検出し、検出したタッチ位置を出力するタッチパネルコントローラであって、前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点への変更があったか否かを判定するタッチ判定部と、前記タッチ判定部が前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点へと変更されたと判定した場合、全てのタッチが外れたことを示す信号を出力した後、変更後のタッチ位置を出力するタッチ処理部と、を備える。
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るタッチパネルコントローラの制御方法は、前記タッチパネルコントローラが、抵抗膜方式のタッチパネルへのタッチを検出し、検出したタッチ位置を出力するものであり、前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点への変更があったか否かを判定するタッチ判定ステップと、前記タッチ判定ステップで前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点へと変更されたと判定した場合、全てのタッチが外れたことを示す信号を出力した後、変更後のタッチ位置を出力するタッチ処理ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、1点タッチから2点タッチへと遷移した場合、または2点タッチから1点タッチへと遷移した場合に発生する利用者が意図しない動作を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムの要部構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】タッチ数の変更の判定およびタッチ位置の検出を行う方法を説明するための図である。
【
図3】タッチパネルコントローラにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】抵抗膜方式のタッチパネルにおいて、1点タッチおよび2点タッチにおける利用者がタッチした位置とタッチパネルが算出するタッチ位置との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔課題が発生する理由〕
まず、
図4を参照して、本発明が解決する課題が発生する理由について説明する。
図4は、1点タッチおよび2点タッチにおける利用者がタッチした位置とタッチパネルが算出するタッチ位置との関係を示す図である。
図4の401は、1点タッチにおける、利用者がタッチした位置とタッチパネルが算出するタッチ位置との関係を示す。
図4の402は、2点タッチにおける利用者がタッチした位置とタッチパネルが算出するタッチ位置との関係を示す。
【0014】
抵抗膜方式のタッチパネルでは、1点タッチがあった場合、計測された電圧値によって座標の算出が行われる。
タッチされた位置によって測定される電圧値は変わるため、予め電圧値とタッチ位置との関係を認識しておけば、電圧値によりタッチされた位置を特定できる。よって、1点タッチの場合、
図4の401に示すように、利用者がタッチした位置Taと、タッチパネルで算出した座標Px(Xa1,Ya1)は一致する。
【0015】
一方、2点タッチがあった場合、計測された電圧値と電流値によって座標の算出が行われる。この電圧値は、タッチされた位置を示すものではなく、タッチされた2点の中点を示す。よって、2点タッチの場合、
図4の402に示すように、利用者がタッチした位置Ta、Tbと、タッチパネルで算出した座標Pa(Xa2,Ya2)、Pb(Xb2,Yb2)とには、ずれが生じる。
【0016】
利用者が2点タッチを行う場合、利用者が意識しない程度の若干のずれが生じるがことが多い。すなわち、利用者が同時にタッチしたと考えていたとしても、実際には1点タッチ→2点タッチの順でタッチすることが多い。
図4に示す例で言えば、利用者は、1点目のタッチ位置Taにタッチしたまま、2点目のタッチ位置Tbにタッチすることにより2点タッチを行うことになる。
【0017】
しかし、利用者が位置Taは変わっていないと考えていたとしても、タッチパネルは、点Pxに1点タッチがあり、その後、点Paと点Pbとの2点タッチがあったと認識してしまう。すなわち、利用者は指の位置を変更していないにもかかわらず、1点目のタッチ位置が点Pxから点Paに変更されてしまう。これにより、タッチパネルで起動されているアプリケーションで、利用者が意図しない動作が行われてしまう可能性がある。
【0018】
また、次のような操作であっても、同様の問題が生じる。すなわち、1点目のタッチ位置を固定したまま、2点目をタッチするとともに、1点目のタッチ位置から距離を広げ、一旦、2点目のタッチを外す。次に、2点目のタッチを、前回の2点目のタッチと同じくらいの位置に行い、1点目のタッチ位置から距離を広げる。この操作を繰り返す。この操作は、1点タッチから2点タッチ、および2点タッチから1点タッチへの遷移が頻繁に発生することになる。よって、この場合、利用者が意図しない動作が頻繁に発生することになる。このような操作は、画面が大きいタッチパネルで起こりやすい。また、指の短い子供等による操作でも起こりやすい。
【0019】
利用者が意図しない動作としては、アプリケーション画面の拡大、縮小、点滅、ちらつき等が挙げられる。
【0020】
〔本願発明の構成〕
次に、
図1を参照して、本実施形態に係るタッチパネルコントローラ10について説明する。
図1は、タッチパネルコントローラ10を含むタッチパネルシステム1の要部構成を示す機能ブロック図である。
【0021】
タッチパネルコントローラ10は、タッチパネル20へのタッチを検出し、検出したタッチ位置を算出する。そして、算出した位置を示す座標をアプリケーション処理部30へ出力するものである。アプリケーション処理部30は、タッチパネル20で表示されているアプリケーションを処理するものである。
【0022】
タッチパネル20は、抵抗膜方式のタッチパネルである。すなわち、タッチパネル20は、抵抗膜と呼ばれる、透明電極が形成された透明のフィルム等の基板を、電極が向かい合うように貼り合わせた2層構造になっている。タッチパネル20が押されると上部基板がたわみ、上下の電極が接触して導通するものである。
【0023】
タッチパネルコントローラ10は、予め定められた所定のサイクルでタッチパネル20へのタッチの検出を行い、タッチ位置を示す座標をアプリケーション処理部30へ出力する。
【0024】
図1に示すように、タッチパネルコントローラ10は、タッチ判定部11、タッチ処理部12、タッチ位置算出部13、およびタッチパネル制御部14を含む。
【0025】
タッチ判定部11は、タッチパネル20へのタッチが1点タッチから2点タッチへと変更されたか、または2点タッチから1点タッチへと変更されたかを判定する。
【0026】
より詳細には、タッチ判定部11は、抵抗膜に流れる電流の値の違いを用いて、前記の判定を行う。
図2を参照して説明する。
図2は、タッチ数の変更の判定およびタッチ位置の検出を行う方法を説明するための図である。
【0027】
図2には、抵抗膜MAおよび抵抗膜MBを含むタッチパネル20が示されており、抵抗膜MAの一端に抵抗RSを介して電圧Vccがかけられるとともに、他端が電流計を介して接地されている。また、抵抗膜MBの一端に抵抗RLを介して電圧Vccがかけられ、電圧計を介して接地されている。ここで、抵抗膜MA、抵抗膜MBの全体の抵抗をRMとしたとき、RL>>RM>>RSである。
【0028】
まず、
図2の201に示すように、タッチパネル20にタッチがない場合、電流計の値は、Ic(=Vcc/(RS+RM))となる。ここで、RMは、抵抗膜MA全体の抵抗値である。また、電圧計の値は、Vccのままである。
【0029】
タッチパネル20に1点タッチがある場合、タッチがない場合と同様に電流計の値は、Ic(=Vcc/(RS+RM))となる。一方、電圧計の値は、タッチされた位置に基づく電圧V1(<Vcc)を示す。
【0030】
また、
図2の202に示すようタッチパネル20に2点タッチ(Qa、Qb)があった場合、電流計の値は以下の通りとなる。抵抗膜MAにおいて電圧Vccが印加されている側からタッチ位置Qaまでの抵抗をRa、タッチ位置Qaからタッチ位置Qbまでの抵抗をR2、タッチ位置Qbから接地側までの抵抗をRbとする。タッチ位置Qaとタッチ位置Qbでは、抵抗膜MAと抵抗膜MBとが接触しているので、タッチ位置Qaからタッチ位置Qbまでは、抵抗R2が並列になっていることになるので、電流計の値は、
Ic2=Vcc/(RS+Ra+R2/2+Rb)となる。
ここで、Ra+R2+Rb=RM、Ic=Vcc/(RS+RM)なので、
Ic2=Vcc/(RS+RM-R2/2)>Icとなる。
【0031】
したがって、Ic2は、Icよりも大きな値となる。よって、タッチ判定部11は電圧値の変化を取得することにより、タッチがあるか否かを判定することができ、さらに、電流値の変化を取得することにより、1点タッチから2点タッチへの変更、または2点タッチから1点タッチへの変更があったか否かを判定することができる。例えば、タッチ判定部11は、電流値の変化が閾値を超えるか否かを判定することにより、1点タッチから2点タッチへの変更、または2点タッチから1点タッチへの変更があったか否かを判定することができる。
【0032】
タッチ処理部12は、タッチ判定部11が1点タッチから2点タッチへの変更があったと判定した場合、または2点タッチから1点タッチへの変更があったと判定した場合、タッチ位置算出部13が算出したタッチ位置を外部のアプリケーション処理部30にそのまま出力するのではなく、一旦、タッチが外れた状態、すなわちタッチが外れたことを示す信号(情報)を出力した後、変更後のタッチ位置の座標を出力する。タッチ処理部12は、タッチが外れたこと示す信号を出力した後、数サイクル後に、変更後のタッチ位置の座標を出力してもよい。また、タッチが外れたこと示す信号を出力した後、所定時間(例えば数ミリ秒)経過後に、変更後のタッチ位置の座標を出力してもよい。ここでいうサイクルとは、上述したように、タッチパネルコントローラ10がタッチ検出、およびタッチ位置の座標出力を行うサイクルである。
【0033】
例えば、タッチ判定部11が1点タッチから2点タッチへの変更があったと判定した場合、タッチ処理部12は、その時点まで、タッチ位置算出部13が算出していた1点タッチの座標に続けて2点タッチの座標をそのまま出力するのではなく、一旦、タッチが外れたことを示す信号を出力し、その後に2点タッチの座標を出力する。
【0034】
また、タッチ判定部11が2点タッチから1点タッチへの変更があったと判定した場合、タッチ処理部12は、その時点まで、タッチ位置算出部13が算出していた2点タッチの座標に続けて1点タッチの座標をそのまま出力するのではなく、一旦、タッチが外れたことを示す信号を出力し、その後に1点タッチの座標を出力する。
【0035】
タッチ位置算出部13は、タッチパネル20におけるタッチ位置を算出する。より詳細には、タッチ位置算出部13は、1点タッチの場合、
図2に示した電圧計により測定された電圧値によりタッチ位置を算出する。1点タッチの場合、電圧値はタッチ位置に基づくものであるためである。
【0036】
また、タッチ位置算出部13は、2点タッチの場合、
図2に示した電流計により測定された電流値、および電圧計により測定された電圧値によりタッチ位置を算出する。2点タッチの場合、電圧値はタッチされた2点の中点を示す。
【0037】
タッチパネル制御部14は、タッチパネル20に供給する電圧等を制御して、タッチパネル20に対するタッチの検出を可能とするものである。タッチパネル20の制御については、公知の技術を用いて可能であるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
【0038】
アプリケーション処理部30は、タッチパネル20にて表示されているアプリケーションを処理する。アプリケーション処理部30にて処理されるアプリケーションはどのようなものであってもよく、タッチパネルコントローラ10から出力されたタッチ位置に基づいて、様々な処理が実行される。
【0039】
〔タッチパネルコントローラ10における処理の流れ〕
次に、
図3を参照して、タッチパネルコントローラ10における処理の流れを説明する。
図3は、タッチパネルコントローラ10における処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
図3に示すように、タッチパネルコントローラ10は、タッチパネル20へのタッチを検出すると(S101でYES)、タッチ位置算出部13は、1点タッチであるか否かを判定し(S102)、1点タッチであれば(S102でYES)、当該1点のタッチ位置の座標を算出する(S103)。また、1点タッチでなければ(S102でNO)、後述するステップS107に進む。そして、タッチパネルコントローラ10は、アプリケーション処理部30に算出した座標(タッチ位置)を出力する(S104)。
【0041】
この状態で、タッチ判定部11が、もう1点のタッチ有りと判定すると(S105でYES、タッチ判定ステップ)、タッチ処理部12は、1点目のタッチが外れた状態とするすなわち、タッチが外れたことを示す信号を出力する(S106、タッチ処理ステップ)。そして、タッチ位置算出部13は、2点のタッチ位置の座標を算出する(S107)。その後、タッチパネルコントローラ10は、算出した2点の座標を出力する(S108)。
【0042】
さらに、この状態で、タッチ判定部11が、1点タッチに変更された判定すると(S109でYES、タッチ判定ステップ)、タッチ処理部12は、2点のタッチが外れた状態とする。すなわち、2点両方のタッチが外れたことを示す信号を出力する(S110、タッチ処理ステップ)。そして、タッチ位置算出部13は、タッチされている1点のタッチ位置の座標を算出する(S111)。その後、タッチパネルコントローラ10は、算出した1点の座標を出力する(S112)。その後は、ステップS105に戻る。
【0043】
一方、ステップS105でもう1点のタッチがなく(S105でNO)、そのままタッチが外れた場合(S121でYES)、タッチが外れたことを示す信号を出力し(S122)、ステップS101に戻る。
【0044】
また、ステップS109で1点タッチに変更されることなく(S109でNO)、2点ともタッチが外れると(S131でYES)、2点両方のタッチが外れたことを示す信号を出力し(S132)、ステップS101に戻る。
【0045】
以上が、タッチパネルコントローラ10における処理の流れである。
【0046】
以上のように本実施形態に係るタッチパネルコントローラ10は、抵抗膜方式のタッチパネル20へのタッチを検出し、検出したタッチ位置を出力するタッチパネルコントローラ10である。そして、タッチパネルコントローラ10は、タッチパネル20へのタッチが1点から2点、または2点から1点への変更があったか否かを判定するタッチ判定部11と、タッチ判定部11が前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点へと変更されたと判定した場合、全てのタッチが外れたことを示す信号を出力した後、変更後のタッチ位置を出力するタッチ処理部12と、を備える。
【0047】
前記の構成によれば、1点タッチを検出後、2点タッチが検出された場合、そのまま2点タッチのタッチ位置を出力することは行わず、一旦、タッチが外れたという状態とする。その後、2点タッチの2点の座標を出力する。
【0048】
これにより、1点目の座標が変わってしまうことによる影響をなくすことができるので、出力先となるアプリケーションでは、2点タッチの座標に基づいた処理のみを行うことになる。よって、1点タッチから2点タッチとなったときに生じる、利用者が意図しない動作を軽減することができる。
【0049】
同様に、2点タッチを検出後、1点タッチが検出された場合、2点タッチのうちの1点のタッチが継続中であっても、そのまま1点タッチのタッチ位置を出力することは行わず、2点のタッチの両方が外れたという状態とする。その後、1点タッチの座標を出力する。
【0050】
これにより、2点タッチから1点タッチに変更されたときのタッチ位置の座標の変更による影響をなくすことができるので、出力先となるアプリケーションでは、1点タッチの座標に基づいた処理のみを行うことになる。よって、2点タッチから1点タッチとなったときに生じる、利用者が意図しない動作を軽減することができる。
【0051】
また、本実施形態では、タッチパネルコントローラ10の処理のみで、利用者が意図しない動作を軽減することができるので、座標の出力先であるアプリケーションにおいて特定の処理を行う必要がない。よって、従来のアプリケーションをそのまま利用しつつ、利用者が意図しない動作を軽減することができる。
【0052】
〔ソフトウェアによる実現例〕
タッチパネルコントローラ10(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特にタッチ判定部11、タッチ処理部12、タッチ位置算出部13、タッチパネル制御部14)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0053】
この場合、前記装置は、前記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により前記プログラムを実行することにより、前記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0054】
前記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、前記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、前記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して前記装置に供給されてもよい。
【0055】
また、前記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、前記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより前記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0056】
また、前記実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは前記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0057】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るタッチパネルコントローラは、抵抗膜方式のタッチパネルへのタッチを検出し、検出したタッチ位置を出力するタッチパネルコントローラであって、前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点への変更があったか否かを判定するタッチ判定部と、前記タッチ判定部が前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点へと変更されたと判定した場合、全てのタッチが外れたことを示す信号を出力した後、変更後のタッチ位置を出力するタッチ処理部と、を備える。
【0058】
本発明の態様2に係るタッチパネルコントローラは、前記態様1において、前記タッチ位置の検出および出力は、所定のサイクルで行われており、前記タッチ処理部は、前記信号を出力した後、数サイクル後に変更後のタッチ位置を出力する。
【0059】
本発明の態様3に係るタッチパネルコントローラは、前記態様1において、前記タッチ処理部は、前記信号を出力した後、所定時間経過後に変更後のタッチ位置を出力する。
【0060】
本発明の態様4に係るタッチパネルシステムは、前記タッチパネルコントローラと、前記タッチパネルコントローラによってタッチが検出される抵抗膜方式のタッチパネルと含む。
【0061】
本発明の態様5に係るタッチパネルコントローラの制御方法は、前記タッチパネルコントローラが、抵抗膜方式のタッチパネルへのタッチを検出し、検出したタッチ位置を出力するものであり、前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点への変更があったか否かを判定するタッチ判定ステップと、前記タッチ判定ステップで前記タッチパネルへのタッチが1点から2点、または2点から1点へと変更されたと判定した場合、全てのタッチが外れたことを示す信号を出力した後、変更後のタッチ位置を出力するタッチ処理ステップと、を含む。
【0062】
本発明の各態様に係るタッチパネルコントローラは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記タッチパネルコントローラが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記タッチパネルコントローラをコンピュータにて実現させるタッチパネルコントローラの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0063】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 タッチパネルシステム
10 タッチパネルコントローラ
11 タッチ判定部
12 タッチ処理部
13 タッチ位置算出部
14 タッチパネル制御部
20 タッチパネル
30 アプリケーション処理部