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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065969
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】電力変換装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
H02M7/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175108
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】小林 尚斗
(72)【発明者】
【氏名】越智 健次
(72)【発明者】
【氏名】金 寛烈
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA02
5H006CB01
5H006DB01
5H006DC02
5H006DC05
(57)【要約】
【課題】3相交流電源及び単相交流電源の双方に対応した電力変換装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】電力変換装置10は、接続経路44と、接続経路44に設けられた単相充電スイッチ45と、第1~第3コンデンサ161~163と、接続スイッチ151と、第1,第2直流側コンデンサ34A,34Bと、制御装置70とを備えている。制御装置70は、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4に単相交流電源が接続されていると判定した場合、単相充電スイッチ45をオンするとともに接続スイッチ151をオフした状態において、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4と高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLとの間で電力変換を行うべく、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lのスイッチング制御を行う。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1交流端子(Tac1)、第2交流端子(Tac2)、第3交流端子(Tac3)及び第4交流端子(Tac4)と、
高電位側直流端子(TdcH)及び低電位側直流端子(TdcL)と、
を備え、
前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に3相交流電源(21)が接続可能に構成され、前記第1交流端子及び前記第4交流端子に単相交流電源(22)が接続可能に構成された電力変換装置(10)において、
第1上アームスイッチ(S1H)及び第1下アームスイッチ(S1L)の直列接続体と、
第2上アームスイッチ(S2H)及び第2下アームスイッチ(S2L)の直列接続体と、
第3上アームスイッチ(S3H)及び第3下アームスイッチ(S3L)の直列接続体と、
上アーム整流部(S4H,D4H)及び下アーム整流部(S4L,D4L)の直列接続体と、
前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチの接続点と、前記第1交流端子とを電気的に接続する第1インダクタ(31)と、
前記第2上アームスイッチ及び前記第2下アームスイッチの接続点と、前記第2交流端子とを電気的に接続する第2インダクタ(32)と、
前記第3上アームスイッチ及び前記第3下アームスイッチの接続点と、前記第3交流端子とを電気的に接続する第3インダクタ(33)と、
前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部の接続点と、前記第4交流端子とを電気的に接続する接続経路(44)と、
前記接続経路に設けられた単相充電スイッチ(45)と、
第1コンデンサ(161)と、
第2コンデンサ(162)と、
第3コンデンサ(163)と、
接続スイッチ(151)と、
直流側接続部(34A,34B,34)と、
制御部(70)と、
を備え、
前記第1,第2,第3上アームスイッチの高電位側端子と、前記上アーム整流部の高電位側端子とが、前記高電位側直流端子に電気的に接続されており、
前記第1,第2,第3下アームスイッチの低電位側端子と、前記下アーム整流部の低電位側端子とが、前記低電位側直流端子に電気的に接続されており、
前記第1コンデンサの第1端に、前記第1インダクタの前記第1交流端子側が電気的に接続されており、
前記第2コンデンサの第1端に、前記第2インダクタの前記第2交流端子側が電気的に接続されており、
前記第3コンデンサの第1端に、前記第3インダクタの前記第3交流端子側が電気的に接続されており、
前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサそれぞれの第2端同士が電気的に接続されており、
前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサそれぞれの第2端が前記接続スイッチを介して前記直流側接続部に電気的に接続されており、
前記直流側接続部は、
前記高電位側直流端子と前記低電位側直流端子とを電気的に接続する直列接続された第1直流側コンデンサ(34A)及び第2直流側コンデンサ(34B)の接続点、
前記高電位側直流端子、又は
前記低電位側直流端子
のいずれかであり、
前記制御部は、前記第1交流端子及び前記第4交流端子に前記単相交流電源が接続されていると判定した場合、前記単相充電スイッチをオンするとともに前記接続スイッチをオフした状態において、前記第1交流端子及び前記第4交流端子と前記高電位側直流端子及び前記低電位側直流端子との間で電力変換を行うべく、前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチのスイッチング制御を行う、電力変換装置。
【請求項2】
前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサそれぞれの第2端が、前記接続経路のうち前記単相充電スイッチよりも前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部の接続点側に電気的に接続されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部は、自身の低電位側端子から高電位側端子への電流の流通を許容する、請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記上アーム整流部は、逆並列接続されたダイオードを有する第4上アームスイッチ(S4H)であり、
前記下アーム整流部は、逆並列接続されたダイオードを有する第4下アームスイッチ(S4L)であり、
前記制御部は、
前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に前記3相交流電源が接続されていると判定した場合、前記第4上アームスイッチ及び前記第4下アームスイッチをオフし、
前記第1交流端子及び前記第4交流端子に前記単相交流電源が接続されていると判定した場合、前記第4上アームスイッチ及び前記第4下アームスイッチを交互にオンするスイッチング制御を行う、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
第1交流端子(Tac1)、第2交流端子(Tac2)、第3交流端子(Tac3)及び第4交流端子(Tac4)と、
高電位側直流端子(TdcH)及び低電位側直流端子(TdcL)と、
コンピュータ(71)と、
を備える電力変換装置(10)であって、
前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に3相交流電源(21)が接続可能に構成され、前記第1交流端子及び前記第4交流端子に単相交流電源(22)が接続可能に構成された電力変換装置に適用されるプログラムにおいて、
前記電力変換装置は、
第1上アームスイッチ(S1H)及び第1下アームスイッチ(S1L)の直列接続体と、
第2上アームスイッチ(S2H)及び第2下アームスイッチ(S2L)の直列接続体と、
第3上アームスイッチ(S3H)及び第3下アームスイッチ(S3L)の直列接続体と、
上アーム整流部(S4H,D4H)及び下アーム整流部(S4L,D4L)の直列接続体と、
前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチの接続点と、前記第1交流端子とを電気的に接続する第1インダクタ(31)と、
前記第2上アームスイッチ及び前記第2下アームスイッチの接続点と、前記第2交流端子とを電気的に接続する第2インダクタ(32)と、
前記第3上アームスイッチ及び前記第3下アームスイッチの接続点と、前記第3交流端子とを電気的に接続する第3インダクタ(33)と、
前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部の接続点と、前記第4交流端子とを電気的に接続する接続経路(44)と、
前記接続経路に設けられた単相充電スイッチ(45)と、
第1コンデンサ(161)と、
第2コンデンサ(162)と、
第3コンデンサ(163)と、
接続スイッチ(151)と、
直流側接続部(34A,34B,34)と、
を備え、
前記第1,第2,第3上アームスイッチの高電位側端子と、前記上アーム整流部の高電位側端子とが、前記高電位側直流端子に電気的に接続されており、
前記第1,第2,第3下アームスイッチの低電位側端子と、前記下アーム整流部の低電位側端子とが、前記低電位側直流端子に電気的に接続されており、
前記第1コンデンサの第1端に、前記第1インダクタの前記第1交流端子側が電気的に接続されており、
前記第2コンデンサの第1端に、前記第2インダクタの前記第2交流端子側が電気的に接続されており、
前記第3コンデンサの第1端に、前記第3インダクタの前記第3交流端子側が電気的に接続されており、
前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサそれぞれの第2端同士が電気的に接続されており、
前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサそれぞれの第2端が前記接続スイッチを介して前記直流側接続部に電気的に接続されており、
前記直流側接続部は、
前記高電位側直流端子と前記低電位側直流端子とを電気的に接続する直列接続された第1直流側コンデンサ(34A)及び第2直流側コンデンサ(34B)の接続点、
前記高電位側直流端子、又は
前記低電位側直流端子
のいずれかであり、
前記コンピュータに
前記第1交流端子及び前記第4交流端子に前記単相交流電源が接続されているか否かを判定する処理と、
前記第1交流端子及び前記第4交流端子に前記単相交流電源が接続されていると判定した場合、前記単相充電スイッチをオンするとともに前記接続スイッチをオフした状態において、前記第1交流端子及び前記第4交流端子と前記高電位側直流端子及び前記低電位側直流端子との間で電力変換を行うべく、前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチのスイッチング制御を行う処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、3相交流電源に接続可能な電力変換装置が知られている。この電力変換装置は、3相分の上,下アームスイッチの直列接続体を備えている。各上アームスイッチの高電位側端子は、高電位側直流端子に電気的に接続され、各下アームスイッチの低電位側端子は、低電位側直流端子に電気的に接続されている。
【0003】
電力変換装置は、第1~第3インダクタを更に備えている。第1インダクタは、第1上,下アームスイッチの接続点と、第1交流端子とを電気的に接続し、第2インダクタは、第2上,下アームスイッチの接続点と、第2交流端子とを電気的に接続し、第3インダクタは、第3上,下アームスイッチの接続点と、第3交流端子とを電気的に接続する。
【0004】
電力変換装置は、第1交流端子、第2交流端子及び第3交流端子に3相交流電源が接続されている場合、第1交流端子、第2交流端子及び第3交流端子から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子及び低電位側直流端子から出力すべく、各上,下アームスイッチのスイッチング制御を行う。
【0005】
電力変換装置は、Xコンデンサである第1~第3コンデンサを更に備えている。第1コンデンサの第1端には、前記第1交流端子が電気的に接続され、第2コンデンサの第1端には、第2交流端子が電気的に接続され、第3コンデンサの第1端には、第3交流端子が電気的に接続されている。第1,第2,第3コンデンサそれぞれの第2端同士は中性点において電気的に接続され、中性点は、高電位側直流端子と低電位側直流端子とを電気的に接続する直列接続された一対の直流側コンデンサの接続点に接続されている。これにより、上記スイッチング制御が行われる場合において、コモンモードノイズを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6636219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
3相交流電源に加え、単相交流電源に対応した電力変換装置が望まれている。
【0008】
本発明は、3相交流電源及び単相交流電源の双方に対応した電力変換装置及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1交流端子、第2交流端子、第3交流端子及び第4交流端子と、
高電位側直流端子及び低電位側直流端子と、
を備え、
前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に3相交流電源が接続可能に構成され、前記第1交流端子及び前記第4交流端子に単相交流電源が接続可能に構成された電力変換装置において、
第1上アームスイッチ及び第1下アームスイッチの直列接続体と、
第2上アームスイッチ及び第2下アームスイッチの直列接続体と、
第3上アームスイッチ及び第3下アームスイッチの直列接続体と、
上アーム整流部及び下アーム整流部の直列接続体と、
前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチの接続点と、前記第1交流端子とを電気的に接続する第1インダクタと、
前記第2上アームスイッチ及び前記第2下アームスイッチの接続点と、前記第2交流端子とを電気的に接続する第2インダクタと、
前記第3上アームスイッチ及び前記第3下アームスイッチの接続点と、前記第3交流端子とを電気的に接続する第3インダクタと、
前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部の接続点と、前記第4交流端子とを電気的に接続する接続経路と、
前記接続経路に設けられた単相充電スイッチと、
第1コンデンサと、
第2コンデンサと、
第3コンデンサと、
接続スイッチと、
直流側接続部と、
制御部と、
を備え、
前記第1,第2,第3上アームスイッチの高電位側端子と、前記上アーム整流部の高電位側端子とが、前記高電位側直流端子に電気的に接続されており、
前記第1,第2,第3下アームスイッチの低電位側端子と、前記下アーム整流部の低電位側端子とが、前記低電位側直流端子に電気的に接続されており、
前記第1コンデンサの第1端に、前記第1インダクタの前記第1交流端子側が電気的に接続されており、
前記第2コンデンサの第1端に、前記第2インダクタの前記第2交流端子側が電気的に接続されており、
前記第3コンデンサの第1端に、前記第3インダクタの前記第3交流端子側が電気的に接続されており、
前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサそれぞれの第2端同士が電気的に接続されており、
前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサそれぞれの第2端が前記接続スイッチを介して前記直流側接続部に電気的に接続されており、
前記直流側接続部は、
前記高電位側直流端子と前記低電位側直流端子とを電気的に接続する直列接続された第1直流側コンデンサ及び第2直流側コンデンサの接続点、
前記高電位側直流端子、又は
前記低電位側直流端子
のいずれかであり、
前記制御部は、前記第1交流端子及び前記第4交流端子に前記単相交流電源が接続されていると判定した場合、前記単相充電スイッチをオンするとともに前記接続スイッチをオフした状態において、前記第1交流端子及び前記第4交流端子と前記高電位側直流端子及び前記低電位側直流端子との間で電力変換を行うべく、前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチのスイッチング制御を行う。
【0010】
本発明では、上アーム整流部及び下アーム整流部の接続点と、第4交流端子とを電気的に接続する接続経路に単相充電スイッチが設けられている。制御部は、第1交流端子及び第4交流端子に単相交流電源が接続されていると判定した場合、単相充電スイッチをオンした状態において、第1交流端子及び第4交流端子と高電位側直流端子及び低電位側直流端子との間で電力変換を行うべく、第1上アームスイッチ及び第1下アームスイッチのスイッチング制御を行う。このように、本発明によれば、3相交流電源及び単相交流電源の双方に対応した電力変換装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明では、単相交流電源が接続された場合における上記スイッチング制御時において、第1~第3コンデンサそれぞれの第2端と直流側接続部とを電気的に接続する接続スイッチがオフされる。このため、上記スイッチング制御に伴い第1~第3コンデンサに過電流が流れる事態の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
図2】3相交流電源が接続された車載充電器を示す図。
図3】単相交流電源が接続された車載充電器を示す図。
図4】蓄電池の充電制御の手順を示すフローチャート。
図5】3相充電制御処理のブロック図。
図6】3相充電制御時における電流,電圧の推移を示すタイムチャート。
図7】比較例に係る3相充電制御時における電流,電圧の推移を示すタイムチャート。
図8】単相充電制御処理のブロック図。
図9】単相充電制御時における電流,電圧の推移を示すタイムチャート。
図10】第1実施形態の過電流防止効果を示すタイムチャート。
図11】比較例に係る過電流が流れる場合のタイムチャート。
図12】第2実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
図13】第3実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
図14】蓄電池の充電制御の手順を示すフローチャート。
図15】第4実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
図16】蓄電池の充電制御の手順を示すフローチャート。
図17】その他の実施形態に係るインターリーブ駆動を示すタイムチャート。
図18】インターリーブ駆動なしの場合のスイッチング態様等を示すタイムチャート。
図19】その他の実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
図20】その他の実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分及び/又は関連付けられる部分には同一の参照符号、又は百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分及び/又は関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る電力変換装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電力変換装置は、電気自動車などの車両に備えられ、具体的には車載充電器を構成するAC-DCDCコンバータである。車載充電器は、オンボードチャージャとも呼ばれる。
【0015】
電力変換装置は、交流端子及び直流端子を備えている。電力変換装置は、車両外部の交流電源に接続された交流端子を介して入力された交流電力を直流電力に変換して直流端子から出力する機能を備えている。直流端子から出力された直流電力は、車両に備えられた蓄電池に供給される。また、電力変換装置は、直流端子から入力された直流電力を交流電力に変換して交流端子から出力する機能を備えている。交流端子から出力された交流電力は、外部の交流電源を介して外部の電力系統に供給される。電力変換装置は、3相交流電源又は単相交流電源に接続可能である。
【0016】
図1に示すように、電力変換装置10は、交流端子として第1交流端子Tac1、第2交流端子Tac2、第3交流端子Tac3及び第4交流端子Tac4を備えている。第1~第4交流端子Tac1~Tac4のうち第1~第3交流端子Tac1~Tac3は、図2に示すように、外部の3相交流電源21に接続可能である。第1~第4交流端子Tac1~Tac4のうち第1,第4交流端子Tac1,Tac4は、図3に示すように、外部の単相交流電源22に接続可能である。
【0017】
電力変換装置10は、直流端子として高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLを備えている。高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLは、車載充電器を構成するDCDCコンバータ24の入力部に接続されている。DCDCコンバータ24の出力部は、車両に搭載された充放電可能な蓄電池20に接続されている。DCDCコンバータ24は、高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから入力された直流電圧を変圧し、変圧した直流電圧を蓄電池20に供給する。また、DCDCコンバータ24は、蓄電池20から入力された直流電圧を変圧して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLに供給する。DCDCコンバータ24は、例えば、入力部と出力部とが電気的に絶縁された絶縁型DCDCコンバータであり、入力部と出力部とを接続するトランスを備えている。
【0018】
電力変換装置10は、4相分の上,下アームスイッチとして、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lの直列接続体と、第2上アームスイッチS2H及び第2下アームスイッチS2Lの直列接続体と、第3上アームスイッチS3H及び第3下アームスイッチS3Lの直列接続体と、第4上アームスイッチS4H及び第4下アームスイッチS4Lの直列接続体とを備えている。本実施形態において、各上,下アームスイッチS1H~S4Lは、ボディダイオードを有するNチャネルMOSFETである。このため、各上,下アームスイッチS1H~S4Lにおいて、高電位側端子はドレインであり、低電位側端子はソースである。第1~第3相のうち、例えば、第1相がU相であり、第2相がV相であり、第3相がW相である。なお、第4上アームスイッチS4Hが「上アーム整流部」に相当し、第4下アームスイッチS4Lが「下アーム整流部」に相当する。
【0019】
電力変換装置10は、第1,第2,第3,第4上アームスイッチS1H,S2H,S3H,S4Hの高電位側端子と高電位側直流端子TdcHとを接続する電気経路である高電位側経路30Hと、第1,第2,第3,第4下アームスイッチS1L,S2L,S3L,S4Lの低電位側端子と低電位側直流端子TdcLとを接続する電気経路である低電位側経路30Lとを備えている。高電位側経路30H及び低電位側経路30Lは、例えばバスバー等の導電部材である。
【0020】
電力変換装置10は、第1直流側コンデンサ34A及び第2直流側コンデンサ34Bの直列接続体を備えている。この直列接続体は、高電位側経路30Hと低電位側経路30Lとを接続している。なお、本実施形態において、第1直流側コンデンサ34A及び第2直流側コンデンサ34Bが「直流側接続部」に相当する。
【0021】
電力変換装置10は、第1経路41、第2経路42、第3経路43を備えている。第1経路41は、第1上アームスイッチS1Hの低電位側端子及び第1下アームスイッチS1Lの高電位側端子と、第1交流端子Tac1とを接続する電気経路である。第2経路42は、第2上アームスイッチS2Hの低電位側端子及び第2下アームスイッチS2Lの高電位側端子と、第2交流端子Tac2とを接続する電気経路である。第3経路43は、第3上アームスイッチS3Hの低電位側端子及び第3下アームスイッチS3Lの高電位側端子と、第3交流端子Tac3とを接続する電気経路である。
【0022】
電力変換装置10は、第1経路41に設けられた第1インダクタ31、第2経路42に設けられた第2インダクタ32、及び第3経路43に設けられた第3インダクタ33を備えている。本実施形態において、各インダクタ31~33は、同一仕様である。このため、各インダクタ31~33のインダクタンス値が同じである。また、各インダクタ31~33の定格電流(具体的には、温度上昇定格電流)が同じである。
【0023】
電力変換装置10は、交流側フィルタ35を備えている。交流側フィルタ35は、各経路41~43のうち各インダクタ31~33よりも各交流端子Tac1~Tac3側に設けられている。交流側フィルタ35は、例えばコモンモードノイズを低減するために設けられている。
【0024】
電力変換装置10は、第4上アームスイッチS4Hの低電位側端子及び第4下アームスイッチS4Lの高電位側端子と、第4交流端子Tac4とを接続する電気経路である接続経路44を備えている。電力変換装置10は、接続経路44に設けられた単相充電スイッチ45を備えている。単相充電スイッチ45は、オンされている場合に双方向の電流の流通を許可し、オフされている場合に双方向の電流の流通を阻止する。
【0025】
電力変換装置10は、Xコンデンサとして、第1コンデンサ161、第2コンデンサ162、第3コンデンサ163及び接続スイッチ151を備えている。第1コンデンサ161の第1端は、第1経路41のうち、第1インダクタ31と交流側フィルタ35との間の部分に接続されている。第2コンデンサ162の第1端は、第2経路42のうち、第2インダクタ32と交流側フィルタ35との間の部分に接続されている。第3コンデンサ163の第1端は、第3経路43のうち、第3インダクタ33と交流側フィルタ35との間の部分に接続されている。第1コンデンサ161、第2コンデンサ162及び第3コンデンサ163それぞれの第2端同士は中性点で接続されている。各コンデンサ161~163の中性点は、接続スイッチ151を介して、第1直流側コンデンサ34Aと第2直流側コンデンサ34Bとの接続点に接続されている。接続スイッチ151は、オンされている場合に双方向の電流の流通を許可し、オフされている場合に双方向の電流の流通を阻止する。
【0026】
電力変換装置10は、直流側電圧センサ50及び交流側電圧センサ51を備えている。直流側電圧センサ50は、第1,第2直流側コンデンサ34A,34Bの直列接続体の端子電圧を検出し、交流側電圧センサ51は、第1交流端子Tac1と第4交流端子Tac4との電圧差を検出する。
【0027】
電力変換装置10は、第1~第3電流センサ61~63を備えている。第1電流センサ61は、第1インダクタ31に流れる電流を検出し、第2電流センサ62は、第2インダクタ32に流れる電流を検出し、第3電流センサ63は、第3インダクタ33に流れる電流を検出する。各センサ50,51,61~63の検出値は、電力変換装置10が備える制御部としての制御装置70に入力される。
【0028】
制御装置70は、マイコン71を主体として構成され、マイコン71は、CPUを備えている。マイコン71が提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、マイコン71がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコン71は、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する図4,5,8等に示す処理のプログラムが含まれる。プログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えばOTA(Over The Air)等、インターネット等の通信ネットワークを介して更新可能である。
【0029】
制御装置70は、3相充電制御又は単相充電制御を行う。以下、図4のフローチャートを用いて、充電制御について説明する。
【0030】
ステップS10では、3相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。本実施形態では、図2に示すように、第1~第3交流端子Tac1~Tac3に3相交流電源21が接続されていると判定した場合、3相充電制御の指示がなされていると判定する。3相交流電源21において、3相の出力電圧の振幅及び周波数は同じであり、出力電圧及び出力電流の位相は各相で120°ずつずれている。なお、図2では、3相交流電源21の中性点が第4交流端子Tac4に接続されているが、中性点が第4交流端子Tac4に接続されていなくてもよい。
【0031】
ステップS10において肯定判定した場合には、ステップS11,S12において3相充電制御を行う。詳しくは、ステップS11では、単相充電スイッチ45、第4上アームスイッチS4H及び第4下アームスイッチS4Lをオフにする。また、接続スイッチ151をオンにする。
【0032】
ステップS12では、第1交流端子Tac1、第2交流端子Tac2及び第3交流端子Tac3から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力すべく、第1,第2,第3上アームスイッチS1H,S2H,S3H及び第1,第2,第3下アームスイッチS1L,S2L,S3Lのスイッチング制御を行う。各相において、上アームスイッチと下アームスイッチとはデッドタイムを挟みつつ交互にオンされる。各相において、上,下アームスイッチの1スイッチング周期は同じである。
【0033】
接続スイッチ151がオンされていることにより、3相交流電源21の中性点の電圧(以下、グラウンド電圧)に対する各直流端子TdcH,TdcLの電圧である対地電圧が安定する。その結果、高電位側経路30H及び低電位側経路30Lとグラウンドとの間の浮遊容量等に起因するコモンモードノイズを低減できる。
【0034】
ステップS10において否定判定した場合には、ステップS13に進み、単相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。本実施形態では、図3に示すように、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4に単相交流電源22が接続されていると判定した場合、単相充電制御の指示がなされていると判定する。本実施形態において、単相交流電源22の出力電圧の振幅は3相交流電源21の出力電圧の振幅と同じである。また、単相交流電源22の出力電圧の周波数は3相交流電源21の出力電圧の周波数と同じである。
【0035】
ステップS13において肯定判定した場合には、ステップS14,S15において単相充電制御を行う。詳しくは、ステップS14では、単相充電スイッチ45をオンにする。また、接続スイッチ151をオフにする。
【0036】
ステップS15では、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力すべく、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lのスイッチング制御を行う。第1上アームスイッチS1Hと第1下アームスイッチS1Lとは、デッドタイムを挟みつつ、同期して交互にオンされる。第1上,下アームスイッチS1H,S1Lの1スイッチング周期は同じであり、3相充電制御時の1スイッチング周期と同じである。接続スイッチ151をオフにするのは、第1~第3コンデンサ161~163に過電流が流れる事態の発生を抑制するためである。
【0037】
また、ステップS15では、第4交流端子Tac4から単相交流電源22を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に交流電流が流れている第1期間において、第4下アームスイッチS4Lをオンするとともに第4上アームスイッチS4Hをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源22を介して第4交流端子Tac4へと向かう方向に電流が流れている第2期間において、第4上アームスイッチS4Hをオンするとともに第4下アームスイッチS4Lをオフする。現在のタイミングが第1期間及び第2期間のいずれに含まれているかは、例えば、第1電流センサ61の検出値に基づいて判定されればよい。
【0038】
なお、第4上,下アームスイッチS4H,S4Lの1スイッチング周期は、単相交流電源22の出力電圧1周期と同じ周期であり、第1上、下アームスイッチS1H,S1Lの1スイッチング周期よりも長い。これは、第1相については、第1インダクタ31に流れる電流のリプルを低減するための高周波数(例えば、数十kHz~数百kHz)のスイッチングが必要な一方、第4相については、単相交流電源22の出力電圧の基本周波数(例えば、50Hz又は60Hz)と同等の周波数のスイッチングで足りるためである。このため、本実施形態において、第4上,下アームスイッチS4H,S4Lは、第1上,下アームスイッチS1H,S1Lよりもターンオン時間及びターンオフ時間が長い半導体スイッチング素子である。これにより、第4上,下アームスイッチS4H,S4Lとして高性能なスイッチを用いる必要がなく、電力変換装置10のコストを削減できる。
【0039】
ちなみに、単相充電制御時において、第1上,下アームスイッチS1H,S1Lのスイッチング制御により各直流端子TdcH,TdcLから入力された直流電力を交流電力に変換して交流端子Tac1,Tac4から出力する場合、ステップS15において、第4交流端子Tac4から単相交流電源22を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に電流が流れている第1期間において、第4上アームスイッチS4Hをオンするとともに第4下アームスイッチS4Lをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源22を介して第4交流端子Tac4へと向かう方向に電流が流れている第2期間において、第4下アームスイッチS4Lをオンするとともに第4上アームスイッチS4Hをオフする。
【0040】
続いて、図5を用いて、3相充電制御について説明する。図5は、制御装置70により実行される3相充電制御のブロック図である。
【0041】
電圧制御部80は、直流側電圧センサ50により検出された端子電圧(以下、直流電圧検出値Vdcr)を目標直流電圧Vdcrefに制御するためのd軸目標電流Idrefを算出する。詳しくは、電圧制御部80は、電圧偏差算出部81と、電圧フィードバック制御部82とを備えている。電圧偏差算出部81は、目標直流電圧Vdcrefから直流電圧検出値Vdcrを差し引くことにより、電圧偏差ΔVを算出する。目標直流電圧Vdcrefは、例えば、各上,下アームスイッチS1H~S4L及びDCDCコンバータ24の定格電圧に基づいて設定されればよい。
【0042】
電圧フィードバック制御部82は、電圧偏差ΔVを0にフィードバック制御するための操作量としてd軸目標電流Idrefを算出する。電圧フィードバック制御部82におけるフィードバック制御は、例えば比例積分制御である。
【0043】
電気角算出部83は、交流側電圧センサ51により検出された電圧(以下、交流電圧検出値V1r)に基づいて、電気角θeを算出する。本実施形態では、交流電圧検出値V1rのゼロクロスタイミング(具体的には例えば、ゼロアップクロスタイミング)の電気角θeを0°とし、次のゼロアップクロスタイミングにおける電気角θeを360°とする。これにより、交流電圧検出値V1rの1周期が電気角1周期(0°~360°)に対応する。本実施形態において、交流電圧検出値V1rは、第4交流端子Tac4の電圧よりも第1交流端子Tac1の電圧が高い場合を正とする。
【0044】
2相変換部84は、第1,第2,第3電流センサ61,62,63により検出された電流(以下、第1,第2,第3電流検出値i1r,i2r,i3r)と、電気角θeとに基づいて、3相固定座標系における第1,第2,第3電流検出値i1r,i2r,i3rを、2相回転座標系(dq軸座標系)におけるd,q軸電流Idr,Iqrに変換する。本実施形態において、第1,第2,第3電流検出値i1r,i2r,i3rは、第1,第2,第3交流端子Tac1,Tac2,Tac3側から第1,第2,第3インダクタ31,32,33側に向かって流れる場合を正とする。
【0045】
電流制御部85は、d軸偏差算出部86、d軸フィードバック制御部87、q軸偏差算出部88及びq軸フィードバック制御部89を備えている。
【0046】
d軸偏差算出部86は、d軸目標電流Idrefからd軸電流Idrを差し引くことにより、d軸電流偏差ΔIdを算出する。d軸フィードバック制御部87は、d軸電流偏差ΔIdを0にフィードバック制御するための操作量としてd軸目標電圧Vdrefを算出する。d軸フィードバック制御部87におけるフィードバック制御は、例えば比例積分制御である。
【0047】
q軸偏差算出部88は、q軸目標電流Iqrefからq軸電流Iqrを差し引くことにより、q軸電流偏差ΔIqを算出する。q軸目標電流Iqrefは、無効電流の目標値であり、本実施形態では力率を1にするために0に設定されている。力率を1にするとは、3相交流電源21の第1,第2,第3出力電圧V1,V2,V3と、第1,第2,第3電流検出値i1r,i2r,i3rとの位相差を0にすることである。q軸フィードバック制御部89は、q軸電流偏差ΔIqを0にフィードバック制御するための操作量としてq軸目標電圧Vqrefを算出する。q軸フィードバック制御部89におけるフィードバック制御は、例えば比例積分制御である。
【0048】
3相変換部90は、d,q軸目標電圧Vdref,Vqref及び電気角θeに基づいて、2相回転座標系におけるd,q軸目標電圧Vdref,Vqrefを、3相固定座標系における第1,第2,第3目標電圧Vleg1ref,Vleg2ref,Vleg3refに変換する。第1,第2,第3目標電圧Vleg1ref,Vleg2ref,Vleg3refは、電気角で位相が120°ずつずれており、正弦波状の信号である。正弦波状の信号は、電気角180°毎に0となる信号である。
【0049】
PWM生成部91は、第1,第2,第3目標電圧Vleg1ref,Vleg2ref,Vleg3refと、キャリア信号との大小比較に基づくパルス幅変調(PWM)により、第1上,下アームスイッチS1H,S1Lのゲートに供給する第1上,下アーム駆動信号と、第2上,下アームスイッチS2H,S2Lのゲートに供給する第2上,下アーム駆動信号と、第3上,下アームスイッチS3H,S3Lのゲートに供給する第3上,下アーム駆動信号とを生成する。キャリア信号は、例えば三角波信号であり、キャリア信号の1周期は、電気角1周期(0°~360°)よりも十分に短い。電気角1周期において、第1上,下アームスイッチS1H,S1Lのスイッチングパターン、第2上,下アームスイッチS2H,S2Lのスイッチングパターン、及び第3上,下アームスイッチS3H,S3Lのスイッチングパターンは、位相が120°ずつずれている。
【0050】
図6に、3相充電制御時における3相交流電源21の第1,第2、第3出力電圧V1,V2,V3、第1,第2,第3電流検出値i1r,i2r,i3r、高電位側対地電圧Vdcp及び低電位側対地電圧Vdcnの推移を示す。第1,第2、第3出力電圧V1,V2,V3は、3相交流電源21の中性点の電圧よりも第1,第2,第3交流端子Tac1,Tac2,Tac3の電圧が高い場合を正とする。高電位側対地電圧Vdcpは、上記グラウンド電圧に対する高電位側直流端子TdcHの電圧の差であり、低電位側対地電圧Vdcnは、グラウンド電圧に対する低電位側直流端子TdcLの電圧の差である。
【0051】
図6に示す例では、3相交流電源21の出力電圧V1~V3の周波数が50Hzであり、目標直流電圧Vdcrefが800Vに設定されている。
【0052】
図6に示すように、第1,第2,第3出力電圧V1,V2,V3と、第1,第2,第3電流検出値i1r,i2r,i3rとの位相差が0(つまり、力率が1)になるような3相充電制御が実行されている。
【0053】
3相充電制御時において、高電位側対地電圧Vdcp及び低電位側対地電圧Vdcnが、第1上,下アームスイッチS1H,S1Lの高周波のスイッチング周波数成分で振動していない。これは、Xコンデンサである第1~第3コンデンサ161~163の第2端側の接続点が仮想的な中性点として機能するためである。これにより、高電位側経路30H及び低電位側経路30Lとグラウンドとの間の浮遊容量等に起因するコモンモードノイズを低減でき、ひいては交流側フィルタ35の小型化が可能となる。
【0054】
なお、図7には、比較例として、3相充電制御時において接続スイッチ151がオフされる場合を示す。この場合、第1~第3コンデンサ161~163の第2端側の接続点と各直流側コンデンサ34A,34Bの接続点との間が電気的に遮断される。このため、高電位側対地電圧Vdcp及び低電位側対地電圧Vdcnが、第1上,下アームスイッチS1H,S1Lの高周波のスイッチング周波数成分で振動する、その結果、交流側フィルタ35を大型化する必要がある。
【0055】
ちなみに、制御装置70は、3相充電制御として、図5に示す制御に代えて、平均電流モード制御等に基づく第1上,下アームスイッチS1H,S1Lのスイッチング制御を行ってもよい。
【0056】
続いて、図8を用いて、単相充電制御について説明する。図8は、制御装置70により実行される単相充電制御のブロック図である。
【0057】
制御装置70において、フィルタ部112は、直流電圧検出値Vdcrにローパスフィルタ処理を施す。これにより、直流電圧検出値Vdcrに含まれる、単相交流電源22の出力電圧の高調波成分を除去する。高調波成分は、例えば、出力電圧の2次周波数(例えば、100Hz又は120Hz)の成分である。
【0058】
電圧制御部101は、電圧偏差算出部102と、電圧フィードバック制御部103とを備えている。電圧偏差算出部102は、フィルタ部112において高調波成分が除去された目標直流電圧Vdcrefから、直流電圧検出値Vdcrを差し引くことにより、電圧偏差ΔVを算出する。電圧フィードバック制御部103は、電圧偏差ΔVを0にフィードバック制御するための操作量として目標電流振幅Iamprefを算出する。電圧フィードバック制御部103におけるフィードバック制御は、例えば比例積分制御である。
【0059】
電気角算出部83は、交流電圧検出値V1rに基づいて、電気角θeを算出する。正弦波生成部109は、電気角θeに基づいて、正弦波信号「sin×θe」を生成する。
【0060】
電流制御部105は、目標電流算出部106、電流偏差算出部107及び電流フィードバック制御部108を備えている。
【0061】
目標電流算出部106は、目標電流振幅Iamprefに正弦波信号「sin×θe」を乗算することにより、目標電流Iacrefを算出する。目標電流Iacrefは、交流電圧検出値V1rと同じ周期で変動する。
【0062】
電流偏差算出部107は、目標電流Iacrefから、第1電流検出値i1r及び第2電流検出値i2rの加算値を差し引くことにより、電流偏差ΔIを算出する。第1電流検出値i1r及び第2電流検出値i2rの加算値は、電流加算部110において算出される。
【0063】
電流フィードバック制御部108は、電流偏差ΔIを0にフィードバック制御するための操作量として第1目標電圧Vleg1refを算出する。電流フィードバック制御部108におけるフィードバック制御は、例えば比例積分制御である。
【0064】
PWM生成部111は、第1目標電圧Vleg1refと、キャリア信号との大小比較に基づくパルス幅変調により、第1上,下アームスイッチS1H,S1Lのゲートに供給する第1上,下アーム駆動信号を生成する。
【0065】
図9に、単相充電制御時における単相交流電源22の出力電圧Vac,出力電流iac、高電位側対地電圧Vdcp及び低電位側対地電圧Vdcnの推移を示す。単相交流電源22の出力電圧Vacは、第4交流端子Tac4側の電圧よりも第1交流端子Tac1側の電圧が高い場合を正とする。単相交流電源22の出力電流iacは、第4交流端子Tac4側から第1交流端子Tac1側に向かって流れる場合を正とする。
【0066】
図9に示す例では、単相交流電源22の出力電圧Vacの周波数が50Hzであり、出力電圧Vacの実効値は230Vrmsであり、目標直流電圧Vdcrefが800Vに設定されている。
【0067】
第1上,下アームスイッチS1H,S1Lの高周波スイッチング制御及び第4上,下アームスイッチS4H,S4Lの50Hzのスイッチング制御により、単相交流電源22の出力電圧Vacと出力電流iacとの位相差が0(つまり、力率が1)になるような単相充電制御が実行されている。
【0068】
図10に、本実施形態に係る単相充電制御時における単相交流電源22の出力電圧Vac、高電位側対地電圧Vdcp、低電位側対地電圧Vdcn、第1上アームスイッチS1Hのスイッチング状態、第1コンデンサ161の端子電圧Vcx1、及び第1コンデンサ161に流れる電流icx1の推移を示す。本実施形態では、単相充電制御時において接続スイッチ151がオフされているため、第1上,下アームスイッチS1H,S1Lのスイッチング制御に伴い第1コンデンサ161に過電流は流れない。
【0069】
図11に、比較例に係る単相充電制御時における図10に対応するタイムチャートを示す。比較例では、単相充電制御時において接続スイッチ151がオンされたままである。
【0070】
比較例では、第4上,下アームスイッチS4H,S4Lのスイッチング状態が切り替わるたびに、第1コンデンサ161の端子電圧が急変し、その急変に伴い第1コンデンサ161に共振電流が流れ、第1コンデンサ161に過電流が流れてしまう。図11に示す例では、第1コンデンサ161に流れる電流が第1コンデンサ161の許容上限電流Ilimを超えている。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1~第3コンデンサ161~163によって3相充電制御時におけるコモンモードノイズを低減しつつ、単相充電制御時において第1~第3コンデンサ161~163に過電流が流れる事態の発生を抑制できる。
【0072】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図12に示すように、各コンデンサ161~163の中性点が、接続スイッチ151の一端に加え、接続経路44のうち単相充電スイッチ45よりも各直流側コンデンサ34A,34B側の部分に接続されている。これは、第1~第3コンデンサ161~163を単相充電制御時においてもXコンデンサとして機能させ、高電位側対地電圧Vdcp及び低電位側対地電圧Vdcnの変動を低減するためである。
【0073】
本実施形態における3相充電制御及び単相充電制御は、第1実施形態の図4,5,8に示した制御と同じである。単相充電制御時においては、第1コンデンサ161により第1経路41と第4上,下アームスイッチS4H,S4Lの接続点とが電気的に接続される。これにより、ノーマルモードノイズ及びコモンモードノイズを低減するフィルタ効果を奏することができる。
【0074】
一方、3相充電制御時においては、第4上,下アームスイッチS4H,S4Lがオフに維持されているため、第1コンデンサ161により第1経路41と第4上,下アームスイッチS4H,S4Lの接続点とが電気的に接続されていても、第1~第3コンデンサ161~163によるフィルタ性能に悪影響を及ぼすことはない。
【0075】
以上説明した本実施形態によれば、3相充電制御時及び単相充電制御時においてXコンデンサを共用することができる。このため、単相充電制御において専用のXコンデンサを新たに設ける必要がなく、電力変換装置10の小型化が可能となる。
【0076】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図13に示すように、電力変換装置10は、第2単相充電スイッチ46を備えている。第2単相充電スイッチ46は、第1経路41のうち第1インダクタ31よりも第1交流端子Tac1側の部分と、第2経路42のうち第2インダクタ32よりも第2交流端子Tac2側の部分とを接続する。第2単相充電スイッチ46は、オンされている場合に双方向の電流の流通を許可し、オフされている場合に双方向の電流の流通を阻止する。なお、第2単相充電スイッチ46は、例えば、第1交流端子Tac1と第2交流端子Tac2とを接続していてもよい。また、本実施形態では、単相充電スイッチ45を第1単相充電スイッチ45と称すこととする。
【0077】
図14を用いて、制御装置70により実行される3相充電制御又は単相充電制御について説明する。
【0078】
ステップS20では、ステップS10と同様に、3相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。
【0079】
ステップS20において肯定判定した場合には、ステップS21,S22において3相充電制御を行う。詳しくは、ステップS21では、第1単相充電スイッチ45、第2単相充電スイッチ46、第4上アームスイッチS4H及び第4下アームスイッチS4Lをオフにする。また、接続スイッチ151をオンにする。
【0080】
ステップS22では、ステップS12と同様に、第1交流端子Tac1、第2交流端子Tac2及び第3交流端子Tac3から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力すべく、第1,第2,第3上アームスイッチS1H,S2H,S3H及び第1,第2,第3下アームスイッチS1L,S2L,S3Lのスイッチング制御を行う。
【0081】
ステップS20において否定判定した場合には、ステップS23に進む。ステップS23では、ステップS13と同様に、単相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。
【0082】
ステップS23において肯定判定した場合には、ステップS24,S25において単相充電制御を行う。詳しくは、ステップS24では、第1単相充電スイッチ45及び第2単相充電スイッチ46をオンにする。また、接続スイッチ151をオフにする。
【0083】
ステップS25では、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力すべく、第1上アームスイッチS1H、第1下アームスイッチS1L、第2上アームスイッチS2H及び第2下アームスイッチS2Lのスイッチング制御を行う。各相において、上アームスイッチと下アームスイッチとは、デッドタイムを挟みつつ、同期して交互にオンされる。各相において、上,下アームスイッチの1スイッチング周期は同じであり、3相充電制御時の1スイッチング周期と同じである。
【0084】
また、ステップS25では、第4交流端子Tac4から単相交流電源22を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に交流電流が流れている第1期間において、第4下アームスイッチS4Lをオンするとともに第4上アームスイッチS4Hをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源22を介して第4交流端子Tac4へと向かう方向に電流が流れている第2期間において、第4上アームスイッチS4Hをオンするとともに第4下アームスイッチS4Lをオフする。
【0085】
以上説明した本実施形態によれば、単相充電制御時において第2単相充電スイッチ46がオンされるため、第1,第2インダクタ31,32を電力伝達経路として用いることができる。これにより、高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力される直流電力を増加させることができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、単相充電制御時において第2コンデンサ162もフィルタ性能を発揮することができ、コモンモードノイズの低減効果を向上できる。
【0087】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第3実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図15に示すように、電力変換装置10は、各直流端子TdcH,TdcLから出力される直流電力の脈動を低減するための構成として、補償用コンデンサ47及び補償用スイッチ48の直列接続体を備えている。補償用コンデンサ47及び補償用スイッチ48の直列接続体は、高電位側経路30Hと、第3経路43のうち第3インダクタ33よりも第3交流端子Tac3側の部分とを接続する。補償用コンデンサ47は、例えばフィルムコンデンサである。補償用スイッチ48は、オンされている場合に双方向の電流の流通を許可し、オフされている場合に双方向の電流の流通を阻止する。なお、補償用コンデンサ47及び補償用スイッチ48の直列接続体は、高電位側経路30Hと第3交流端子Tac3とを接続してもよい。また、補償用コンデンサ47が補償用スイッチ48よりも高電位側経路30H側に設けられていてもよい。
【0088】
電力変換装置10は、補償用電圧センサ52を備えている。補償用電圧センサ52は、補償用コンデンサ47の端子電圧を検出する。補償用コンデンサ47の検出値は、制御装置70に入力される。
【0089】
図16を用いて、制御装置70により実行される3相充電制御又は単相充電制御について説明する。
【0090】
ステップS30では、ステップS20と同様に、3相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。
【0091】
ステップS30において肯定判定した場合には、ステップS31,S32において3相充電制御を行う。詳しくは、ステップS31では、第1単相充電スイッチ45、第2単相充電スイッチ46、補償用スイッチ48、第4上アームスイッチS4H及び第4下アームスイッチS4Lをオフにする。また、接続スイッチ151をオンにする。
【0092】
ステップS32では、ステップS22と同様に、第1交流端子Tac1、第2交流端子Tac2及び第3交流端子Tac3から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力すべく、第1,第2,第3上アームスイッチS1H,S2H,S3H及び第1,第2,第3下アームスイッチS1L,S2L,S3Lのスイッチング制御を行う。
【0093】
ステップS30において否定判定した場合には、ステップS33に進み、ステップS23と同様に、単相充電制御の指示がなされているか否かを判定する。
【0094】
ステップS33において肯定判定した場合には、ステップS34,S35において単相充電制御を行う。詳しくは、ステップS34では、第1単相充電スイッチ45、第2単相充電スイッチ46及び補償用スイッチ48をオンにする。また、接続スイッチ151をオフにする。
【0095】
ステップS35では、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力すべく、第1上アームスイッチS1H、第1下アームスイッチS1L、第2上アームスイッチS2H及び第2下アームスイッチS2Lのスイッチング制御を行う。各相において、上アームスイッチと下アームスイッチとは、デッドタイムを挟みつつ、同期して交互にオンされる。各相において、上,下アームスイッチの1スイッチング周期は同じであり、3相充電制御時の1スイッチング周期と同じである。
【0096】
また、補償用コンデンサ47の充放電によって高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力される直流電力の脈動を低減すべく、補償用電圧センサ52の検出値に基づいて、第3上アームスイッチS3H及び第3下アームスイッチS3Lのスイッチング制御を行う。第3上アームスイッチS3Hと第3下アームスイッチS3Lとは、デッドタイムを挟みつつ交互にオンされる。第3上,下アームスイッチS3H,S3Lの1スイッチング周期は同じであり、第1,第2上、下アームスイッチS1H,S1L,S2H,S2Lの1スイッチング周期と同じである。
【0097】
また、ステップS35では、ステップS25と同様に、第4交流端子Tac4から単相交流電源22を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に交流電流が流れている第1期間において、第4下アームスイッチS4Lをオンするとともに第4上アームスイッチS4Hをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源22を介して第4交流端子Tac4へと向かう方向に電流が流れている第2期間において、第4上アームスイッチS4Hをオンするとともに第4下アームスイッチS4Lをオフする。
【0098】
以上詳述した本実施形態によれば、単相充電制御時において、電力変換装置10から出力される直流電力を増加させつつ、直流電力の脈動を低減することができる。これにより、各直流側コンデンサ34A,34Bの静電容量を低減でき、各直流側コンデンサ34A,34Bを小型化できる。
【0099】
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0100】
・第3,第4実施形態で説明した構成を第2実施形態に適用してもよい。
【0101】
・第4実施形態の図15に示す構成において、高電位側経路30Hに代えて、低電位側経路30Lが、補償用コンデンサ47及び補償用スイッチ48の直列接続体を介して第3経路43に接続されていてもよい。
【0102】
・第4実施形態において、補償用コンデンサ47に代えて、例えば、充放電可能な小容量の蓄電池が備えられていてもよい。
【0103】
・第3,第4実施形態において、制御装置70は、単相充電制御時において、図17に示すように、第1,第2上,下アームスイッチS1H,S1L、S2H,S2Lをインターリーブ駆動してもよい。インターリーブ駆動は、第1上アームスイッチS1Hのオンへの切り替えタイミングと、第2上アームスイッチS2Hのオンへの切り替えタイミングとを電気角で180°ずらすスイッチング制御である。図17には、インターリーブ駆動する場合における第1,第2電流検出値i1r,i2r及び各直流側コンデンサ34A,34Bに流れる電流の推移も示す。図18には、インターリーブ駆動しないスイッチング制御を比較例として示す。図17図18に示すTsw1,Tsw2は、第1,第2上アームスイッチS1H,S2Hの1スイッチング周期を示す。
【0104】
インターリーブ駆動する場合、第1インダクタ31に流れる電流と第2インダクタ32に流れる電流とが互いの電流リプルを打ち消し合うように流れる。これにより、各直流側コンデンサ34A,34Bに流出入する、第1,第2上,下アームスイッチS1H,S1L,S2H,S2Lのスイッチング周波数で変動する電流リプル成分が低減する。その結果、各直流側コンデンサ34A,34Bのリプル電流の定格値を低減でき、ひいては各直流側コンデンサ34A,34Bの静電容量を低減するとともに各直流側コンデンサ34A,34Bを小型化できる。
【0105】
・単相充電制御時において、双方向の電力変換を行わず、交流電力から直流電力へと単方向の電力変換のみ行う場合、第4上,下アームスイッチS4H,S4Lに代えて、図19に示すように、上,下アームダイオードD4H,D4Lが設けられていてもよい。この場合、各ダイオードD4H,D4Lのカソードが高電位側端子に相当し、アノードが低電位側端子に相当する。
【0106】
図20に示すように、電力変換装置10は、第1,第2直流側コンデンサ34A,34Bの直列接続体に代えて、直流側コンデンサ34を備えていてもよい。この場合、接続スイッチ151は、第1~第3コンデンサ161~163の第2端側の接続点と、高電位側経路30Hとを接続してもよい。この場合、接続スイッチ151により、第1~第3コンデンサ161~163の第2端側の接続点と高電位側直流端子TdcH(「直流側接続部」に相当)とが電気的に接続される。
【0107】
また、接続スイッチ151は、第1~第3コンデンサ161~163の第2端側の接続点と、低電位側経路30Lとを接続してもよい。この場合、接続スイッチ151により、第1~第3コンデンサ161~163の第2端側の接続点と低電位側直流端子TdcL(「直流側接続部」に相当)とが電気的に接続される。
【0108】
・電力変換装置10は、外部の交流電源に接続された交流端子を介して入力された交流電力を直流電力に変換して直流端子から出力する第1機能、及び直流端子から入力された直流電力を交流電力に変換して交流端子から出力する第2機能のうち、第2機能のみ備えていてもよい。
【0109】
・交流側フィルタ35が設けられていなくてもよい。
【0110】
・第1上アームスイッチが複数のNチャネルMOSFETの並列接続体で構成されていてもよい。第1下アームスイッチ及び第2~第4上,下アームスイッチについても同様である。
【0111】
・上,下アームスイッチとしては、NチャネルMOSFETに限らず、例えば、フリーホイールダイオードが逆並列接続されたIGBTであってもよい。この場合、IGBTのコレクタが高電位側端子に相当し、エミッタが低電位側端子に相当する。
【0112】
・第1,第2直流側コンデンサ34A,34Bや直流側コンデンサ34に代えて、例えば、充放電可能な小容量の蓄電池が備えられていてもよい。
【0113】
・DCDCコンバータ24の出力部に接続される蓄電部としては、蓄電池に限らず、例えば、大容量の電気二重層キャパシタ、又は蓄電池及び電気二重層キャパシタの双方であってもよい。
【0114】
・電力変換装置が搭載される移動体としては、車両に限らず、例えば、航空機又は船舶であってもよい。また、電力変換装置の搭載先は、移動体に限らず、定置式の装置であってもよい。
【0115】
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0116】
10…電力変換装置、21…3相交流電源、22…単相交流電源、31~33…第1~第3インダクタ、44…接続経路、45…単相充電スイッチ、70…制御装置、151…接続スイッチ、161~163…第1~第3コンデンサ、S1H,S2H,S3H,S4H…第1~第4上アームスイッチ、S1L,S2L,S3L,S4L…第1~第4下アームスイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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