(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065981
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】データ送受信管理方法及びデータ送受信管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240508BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175135
(22)【出願日】2022-10-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】307010867
【氏名又は名称】越村 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】越村 邦生
(72)【発明者】
【氏名】越村 菖
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】送受信される電子データの信頼性と秘匿性を高める電子データ送受信管理方法及び電子データ送受信管理システムを提供する。
【解決手段】電子データ送受信管理方法100において、従業者用アプリEa1、Eb1では、伝票番号採番ステップと、暗号化ステップと、送信申請ステップを備えるとともに、閲覧ステップを備える。使用者用アプリUa、Ubでは、自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合には身元確認ステップと、送信承認ステップを備えるとともに、自組織に所属する従業者が電子データの送信先となる場合には身元確認回答ステップと、受信承認ステップを備える。サービスアプリSaでは、通信先特定ステップと、中継ステップを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリケーション(以降はアプリケーションをアプリと記載する)から使用者用アプリとサービスアプリを経由して別の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリに電子データを受け渡す電子データ送受信管理方法であって、
従業者用アプリでは、
電子データの送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番ステップと、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化ステップと、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請ステップを備えるとともに、
電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧ステップを備え、
使用者用アプリでは、
自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認ステップと、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認ステップを備えるとともに、
他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答ステップと、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認ステップを備え、
サービスアプリでは、
前記伝票番号を可逆して相手先の組織を特定する通信先特定ステップと、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継)ステップを備えることを特徴とする電子データ送受信管理方法。
【請求項2】
前記使用者用アプリでは、自組織の従業者が利用する従業者用アプリの送信申請を実行すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリと連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証ステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項3】
前記使用者用アプリでは、送信承認及び受信承認を行うために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを、一時的に復号化・可視化して閲覧可能にする一時閲覧ステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項4】
前記使用者用アプリでは、電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって作成された伝票番号を基に電子データの送受信時に送信履歴及び受信履歴として記録して管理するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項5】
前記使用者用アプリでは、前記従業者用アプリからネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合ステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項6】
組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリは、当該従業者の従業者用アプリの機能を無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除依頼を実施する削除依頼ステップを備え、サービスアプリでは削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除指示を実施する削除指示ステップを備え、当該組織の使用者用アプリでは削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除命令を作成する削除命令ステップを備え、削除命令の対象となった従業者用アプリでは次の使用者用アプリとの連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除ステップを備えることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項7】
前記サービスアプリでは、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実行する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期ステップを備えることを特徴とする請求項1記載の企業間の電子データ送受信管理方法。
【請求項8】
ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリから使用者用アプリとサービスアプリを経由して別の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリに電子データを受け渡す電子データ送受信管理システムであって、
従業者用アプリは、
電子データの送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番機能と、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化機能と、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請機能と、
電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧機能を備え、
使用者用アプリは、
自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認機能と、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認機能を備えるとともに、
他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答機能と、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認機能を備え、
サービスアプリは、
前記伝票番号を可逆して相手先の組織を特定する通信先特定機能と、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継機能を備えることを特徴とする電子データ送受信管理システム。
【請求項9】
前記使用者用アプリは、自組織の従業者が利用する従業者用アプリの送信申請機能を実行すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリと連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証機能を備えることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項10】
使用者用アプリが備える送信承認機能及び受信承認機能には、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを一時的に復号化・可視化して閲覧できる一時閲覧機能を備えていることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項11】
前記使用者用アプリは、送信元となる従業者用アプリによって作成された伝票番号を基に送信履歴及び受信履歴として記録して管理する履歴管理機能を備えることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項12】
前記使用者用アプリは、前記従業者用アプリからネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合機能を備えることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項13】
組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリは、当該従業者の従業者用アプリの機能を無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除依頼を実施する削除依頼機能を備え、サービスアプリは削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除指示を実施する削除指示機能を備え、当該組織の使用者用アプリでは削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除命令を作成する削除命令機能を備え、削除命令の対象となった従業者用アプリは次の使用者用アプリとの連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除機能を備えることを特徴とする請求項8から12のうちいずれか一項に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項14】
前記サービスアプリは、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実行する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期機能を備えることを特徴とする請求項8記載の企業間の電子データ送受信管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の組織間での電子データの受け渡しに関し、送信元、送信先となる従業者の身元の確認や、送受信の対象となる電子データの内容に対する承認が行われなければ、組織間の電子データの受け渡しを成立させないデータ送受信管理方法及び企業間のデータ送受信管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子データの受け渡しに関しては、種々様々ものが開示されているが、例えば、名刺に係る情報の管理に特化したものとしては、特許文献1記載の技術が知られている。
特許文献1記載の技術は、企業認証と構成員認証の2段階の認証技術を備え、蓄積した名刺に係る情報および企業情報を活用して、名刺に係る情報を管理する機能を備えた名刺に係る情報管理システムである。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の技術においては、情報の管理方法の特徴から、最新の相手企業情報の取得およびグローバル規模(ワールドワイド)での実現は困難である。さらに、以下の課題(1)~(4)が解決できない。
(1)電子データの受け渡しを、当事者間の判断のみで実施することで、企業が意図しない範囲への情報流出等の問題が発生する可能性があった。
(2)当該受信者のみの閲覧を意図した電子データを第三者に拡散させる可能性があるという問題があった。
(3)企業認証と構成員認証の2段階認証では、なりすましを完全に防ぐことはできず、当事者ではない第三者が身元(在籍)を偽って、電子データ受け渡し行為を不正に実施する可能性があるという問題があった。
(4)退職等で企業内の身元(在籍)を喪失した者が、過去に受け渡しを実施した電子データが意図しない状態で相手側に残存する可能性があるという問題があった。
【0004】
また、特許文献2と3は、一般利用者(私的利用)を識別する一般利用者識別データと従業者を識別する従業員識別データとが予め対応付けるものであり、その場合に使用される連携サーバープログラム、業者用サーバープログラム、及びデータ連携システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6328867号公報
【特許文献2】特開2019-105913号公報
【特許文献3】特許第7107979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般利用者(私的利用)の電子データ送受信についても、その情報漏洩等はあってはならないが、企業と企業の間で取引を行う場合には、個人的な場合とは異なる要求や法的規制(法令順守)が求められる。法的規制としては、企業間では、商法や会社法の遵守が必要になり、利益相反取引の禁止や、コーポレートガバナンスや内部統制システムの構築等が求められる。なお、近年は、メールでの議決権行使や、貸借対照表のホームページでの決算公告が可能になっている。
しかしながら、建築業界とソフトウェア業界というように各々の業界で最新の技術による高度なセキュリテリィを維持するとなると、非常に高価な費用が必要になったり、操作が複雑になるなどの問題を有するのみならず、問題が生じるとその責任の所在が問題になり、企業は重い責任が課される。特に、電子データの送受信が企業間で安全に行われたとしても、その後の保存や閲覧を一定の範囲に広げると、情報の漏洩の原因になることが高くなる。
さらに、世界的なCOVIT-19の感染拡大に伴う、リモートワーク化等のワークスタイルの変更により、従来の組織主導で行われてきたビジネス判断の一部が従業者裁量にシフトする傾向にあるため、先にあげた課題が発生しやすい状況を作り出している。
【0007】
そこで、本発明の目的は、企業間取引(ビジネス目的)のように、組織間での電子データの送受信(受け渡し)をするに際して、送信元、送信先となる従業者に対して組織として身元の確認を行い、各組織の責任において電子データの内容に対して承認されたものだけが送信と受信が実行されるとともに、前記送受信の対象となる電子データは、取引関係にある組織であっても、送信元と送信先となる従業者が利用する専用のアプリケーション(以降はアプリケーションをアプリと記載する。)でのみ閲覧できるようにして、送受信される電子データの信頼性と秘匿性を高めることが可能な電子データ送受信管理方法及び電子データ送受信管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子データ送受信管理方法では、ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリから使用者用アプリとサービスアプリを経由して別の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリに電子データを受け渡す電子データ送受信管理方法であって、従業者用アプリでは、送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番ステップと、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化ステップと、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請ステップを備えるとともに、電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧ステップを備え、使用者用アプリでは、自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認ステップと、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認ステップを備えるとともに、他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答ステップと、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認ステップを備え、サービスアプリでは、前記伝票番号を可逆して相手先の組織を特定する通信先特定ステップと、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継ステップを備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、「使用者」とは、使用者、法人、国又は地方公共団体を含むものであり、「従業者」とは、法人の役員、国家公務員又は地方公務員を含むものである。このため、「組織」とは、民間法人のみならず公法的な法人を含むもので、組織的な集まりを含むものである。すなわち、ここでの用語の適用は、特許法第35条(職務発明)の規定に準拠する。
そして、アプリケーション(アプリ)とは、アプリケーションソフトウェアの略であり、特定の目的をもって、メインフレームやパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンのような電子計算機の基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)上やクラウドコンピューティング上で動作するように開発された専用のプログラムのことであり、上記のようなステップを単独あるいは他のアプリケーションと連携して実行できる機能を備えたものである。
また、「使用者用アプリ」とは当該組織の責任者として、組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリによる電子データ送受信に関する操作を管理、監督する権限を持ち、上記送信承認ステップや受信承認ステップを実行できるものが利用する。
そして、電子データとは、テキストデータ、文書ファイルデータ、アプリケーションソフトウェアなど、電子的なデータのすべてを意味するものであり、例えば電子マネーを用いた電子決済サービスや契約書等における電子署名がされたもの等を広く含むものとする。(本発明では、企業間の取り引き契約書のような重要書の機密性を図ることを想定している。)
【0010】
本発明の電子データ送受信管理方法における使用者用アプリでは、自組織の従業者が利用する従業者用アプリから送信申請を実行すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリと連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証ステップ、
送信承認及び受信承認を行うために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを、一時的に復号化・可視化して閲覧可能にする一時閲覧ステップ、
さらに、電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによる送信準備ステップの過程で作成される伝票番号を基に電子データの送受信時に送信履歴及び受信履歴として記録して管理するステップと、
前記従業者用アプリからネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合ステップを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明における電子データ送受信管理方法では、組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリは、当該従業者の従業者用アプリの機能を無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除依頼を実施する削除依頼ステップを備え、サービスアプリでは削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除指示を実施する削除指示ステップを備え、当該組織の使用者用アプリでは削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除命令を作成する削除命令ステップを備え、削除命令の対象となった従業者用アプリでは次の使用者用アプリとの連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除ステップを備えることを特徴とする。
【0012】
そして、本発明の電子データ送受信管理方法におけるサービスアプリでは、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実行する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期ステップを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の電子データ送受信管理システムは、ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリから使用者用アプリとサービスアプリを経由して別の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリに電子データを受け渡す電子データ送受信管理システムであって、従業者用アプリは、送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、電子データの送信のための伝票番号を採番する伝票番号採番機能と、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化機能と、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請機能を備えるとともに、電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧機能を備え、使用者用アプリは、自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認機能と、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認機能を備えるとともに、他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答機能と、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認機能を備え、サービスアプリは、前記伝票番号を可逆して相手先の組織を特定する通信先特定機能と、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継機能を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の電子データ送受信管理システムにおける使用者用アプリは、自組織の従業者が利用する従業者用アプリの送信申請機能を実行すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリと連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証機能と、
送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを一時的に復号化・可視化して閲覧できる一時閲覧機能と、
送信元となる従業者用アプリによる送信準備機能の過程で作成される伝票番号を基に送信履歴及び受信履歴として記録して管理する履歴管理機能と、
従業者用アプリからネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合機能を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の電子データ送受信管理システムは、組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリは、当該従業者の従業者用アプリの機能を無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除依頼を実施する削除依頼機能を備え、サービスアプリは削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除指示を実施する削除指示機能を備え、当該組織の使用者用アプリでは削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除命令を作成する削除命令機能を備え、削除命令の対象となった従業者用アプリは次の使用者用アプリとの連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除機能を備えることを特徴とする。
【0016】
そして、本発明の電子データ送受信管理システムにおけるサービスアプリは、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信を実施することを前提とした電子データの送受信を実行する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期機能を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、送信元となる従業者から送信先となる従業者への電子データの送受信に対し、送信元となる従業者が所属する組織の使用者用アプリから、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、送信先となる従業者の身元確認を行うステップ、及び機能を備えているため、万が一、送信先の従業者がなりすましの場合や、離職等により既に従業者の資格を喪失している場合に電子データ送受信の成立を未然に防ぐことが可能となる。
また、本発明によれば、使用者アプリによって送受信しようとする電子データの内容を組織の責任者が確認して承認するステップ、及び機能を備えているため、電子データの送受信の成立前に電子データの内容が組織の責任において送信の可否判断、受信の可否判断が可能となる。
そして、本発明によれば、自組織の従業者が利用する従業者用アプリから送信申請を実行すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリと連携して当該組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して送信元となる従業者の身元を保証する身元保証ステップ、及び機能を備えているので、なりすましでないことを確認可能となる。
このように送信先となる従業者の身元確認、送受信しようとする電子データに対する組織の責任者による承認、送信元となる従業者の身元保証や、従業者用アプリからネットワークを介して連携された際に確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合を行うので、企業の責任において電子データの確実な送受信を実現する。
【0018】
そして、本発明の使用者アプリによって、送信元となる従業者用アプリによって送信元および送信先双方の情報を基に採番される伝票番号は、それを可逆して送信元および送信先双方の情報を抽出でき、この伝票番号を送信履歴及び受信履歴として記録して管理する履歴管理することにより従業者用アプリ、使用者用アプリとの関係で種々様々な機能を実現する。
【0019】
上述のように、本発明により、企業間取引(ビジネス目的)のように、組織間での電子データの送受信(受け渡し)をするに際して、送信元、送信先となる従業者に対して組織として身元の確認と保証を行い、各組織の責任において送受信が承認された電子データのみ送受信が実行されるとともに、前記送受信の対象となる電子データは、取引関係にある組織であっても、送信元および送信先の組織の送受信に関与する者のみがアプリを利用する条件に限定して閲覧できるようにすることで、送受信される電子データの信頼性と秘匿性を高めることが可能な電子データ送受信管理方法及び電子データ送受信管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態の電子データの送受信管理方法の概要を示す図である。
【
図2】上記実施の形態の電子データ送受信管理方法の概要を示す図である。
【
図3】上記実施の形態の電子データ送受信管理方法の概要を示す別図である。
【
図4】上記実施の形態の電子データの送受信管理に係るサービスの利用開始までの流れを示す図である。
【
図5】上記実施の形態の電子データの送受信に係る手続の流れと受領連絡の流れを示す図である。
【
図6】上記実施の形態の送信申請手続を示す図である。
【
図7】上記実施の形態の送信承認及び受信承認手続を示す図である。
【
図8】上記実施の形態の受信した電子データの閲覧を示す図である。
【
図10】上記実施の形態の従業者用アプリの利用資格喪失時の手続を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図を用いて具体的に説明するが、本実施の形態において、「企業」を電子データの送受信の管理を行う主体となる「組織」に設定して説明を進める。
【0022】
(電子データ送受信管理方法の基本構成)
図1ないし
図3は、本発明の実施の形態における電子データ送受信管理方法100の概要を説明する図である。
図1は、サービス提供者Spが、本実施の形態の形態において利用される従業者用アプリ、使用者用アプリ、サービスアプリにより信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信サービスを提供する事業者であり、当該電子データDを送受信するサービスを利用するA社及びB社において、使用者用アプリUと従業者用アプリEが利用されていることを示している。
また、本実施の形態における使用者用アプリUは各組織(各企業)に1つであり、従業者用アプリEは少なくとも1つ以上であり、例えばA社における従業者用アプリEは、Ea1、Ea2、Ea3・・・と複数利用が想定されることを示している。
なお、各アプリや機能の詳細ついては後述する。
【0023】
(アプリについて)
本実施の形態において、アプリとはアプリケーションソフトウェアの略であり、特定の目的をもって、メインフレームやパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンのような電子計算機の基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)上やクラウドコンピューティング上で動作するように開発された専用のプログラムのことであり、上記のようなステップを単独あるいは他のアプリケーションと連携して実行できる機能を備えたものであり、サービス提供者Spは、本発明の目的である信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信を行うために必要な機能を備えたアプリを利用者に供給してサービスを提供する。
【0024】
図2、
図3はA社に所属する(在籍する)従業者Lが送信元、B社に所属する(在籍する)従業者Oが送信先となる電子データの送受信を示しているとともに、従業者用アプリE(送信元となる従業者Lの従業者用アプリEa1、送信先となる従業者Oの従業者用アプリEb1)、使用者用アプリU(送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUa、送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUb)、サービスアプリSaがネットワークを介して連携動作していることを示している。
【0025】
(サービスアプリについて)
また、本実施の形態の電子データ送受信管理方法では、A社とB社のように組織を跨ぐ電子データDの送受信を行う場合に、送受信の対象となる電子データDだけでなく、後述する身元確認や身元確認回答といった組織を跨いだ種々の情報のやり取りについてもサービスアプリSaを経由するように構成されている。
なお、本実施の形態では電子データDの実体そのものがアプリ間を流通する形態を記載しているが、ネットワークのトラフィック増加を抑止する目的で、電子データDの実体は、中立かつ安全なストレージに格納し、各アプリでは電子データDへの参照情報(リンク情報)が流通する形態を適宜選択可能とする。
【0026】
(使用者用アプリ及び従業者用アプリの取得)
図4は、本実施の形態における電子データDの送受信サービスの利用申請から利用開始までの手順を示した図であり、まず、本実施の形態における電子データの送受信サービスの利用を希望するA社は、サービスを利用する従業者に対して固有に付与した従業者識別番号と、各従業者が利用する情報端末固有の識別番号であるMACアドレスを対にして、サービス提供者Spに当該サービスの利用申請を行う。
次にサービス提供者Spは、A社固有の識別番号である組織識別番号を採番して、A社に対してA社を代表する一つの使用者用アプリUと、利用申請を行った各従業者(と各従業者に関連付られた情報端末)用の従業者用アプリEをセットアップして供給する。
A社はサービス提供者Spから供給された使用者用アプリUに、各従業者の承認処理を実施する責任者を設定し、各従業者に従業者用アプリEを供給する。
これにより、使用者用アプリU及び従業者用アプリEが識別可能な状態となる(
図1、
図2参照)。
そして供給された使用者用アプリU及び従業者用アプリEを使用することにより当該サービスの利用が可能となる。
サービスの利用にあたり、使用者用アプリUはサービスアプリSpと、従業者用アプリEは使用者用アプリと連携している間のみ、機能を使用することが可能である。
なお、本実施の形態では当該サービスの利用申請方法や各アプリの供給手段にはネットワークを介した手続が想定されているが、既知の供給手段を適宜選択可能である。
【0027】
(送信元となる従業者用アプリについて)
図2及び
図5が示すように、A社に所属する従業者Lが送信元、B社に所属する従業者Oが送信先となる電子データDの送受信では、従業者Lが従業者用アプリEa1において、送信先を指定することで、伝票番号採番機能により(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号と、従業者用アプリEa1が内部に保持している、(3)送信元となる従業者Lが所属するA社の組織識別番号と(4)送信元となる従業者Lの従業者識別番号と、さらに後述する(5)送信申請を実施した日時を基に、当該電子データ固有の伝票番号を採番し(伝票番号採番ステップ)、暗号化機能により採番された伝票番号で送信対象となる電子データDを暗号化する(暗号化ステップ)。
ここで、従業者用アプリE(Ea1)による電子データの暗号化については、送信元となる従業者Lが上記の(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と、(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号を指定すると、従業者用アプリEa1が残りの(3)(4)(5)を自動検出する機能を備えている。
そして、送信申請機能により、所属するA社の使用者用アプリUaに対して、当該電子データDの送信を申請する(送信申請ステップ)(
図6参照)。
本実施の形態において、送信先の指定とは、送信元の従業者Lが従業者用アプリEa1に、当該電子データDの送信先となる従業者Oから事前に情報開示された、従業者Oの従業者識別番号とB社の組織識別番号を入力して指定することであり、送信の申請とは、従業者Lが従業者用アプリEa1で前記送信先の指定後に送信申請ボタンを押下することであるが、その手法(ユーザインタフェース)は特に限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0028】
(所属する従業者が送信元となる場合の使用者用アプリについて)
次に、従業者Lの従業者用アプリEa1において電子データDの送信申請が実行されると、使用者用アプリUaでは、身元確認機能により送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbに対して、サービスアプリSaを経由して送信先となる従業者Oが在籍しているか否か身元を確認する(身元確認ステップ)。
そして、送信承認機能により従業者Lが送信しようとする電子データDの内容をA社の責任者が確認して送信の可否を判断する(送信承認ステップ)。
ここで、本実施の形態における使用者用アプリUは、ネットワークを介して従業者用アプリEとネットワークを介して連携を行うに際して、従業者用アプリEの利用資格を有する従業者に付されている従業者識別番号から自組織に所属する従業者であることを確認する身元照会機能を備えており、上記のように、A社に所属する従業者Lが送信元、B社に所属する従業者Oが送信先となる電子データDの送受信を行う場合に、A社の使用者用アプリUaの送信先となる従業者Oに関する身元確認に対して、B社の使用者用アプリUbは身元照会機能によって得られている情報から従業者Oが(B社に)所属している従業者であるか否かの身元確認回答を行う。
【0029】
つぎに、本実施の形態におけるA社の使用者用アプリUaは、送信申請された電子データDについて、A社の責任において、B社に所属する従業者Oに当該電子データ送信の可否を判断する。
A社の従業者Lが従業者用アプリEa1で送信申請した電子データは伝票番号によって暗号化され、A社の使用者用アプリUaに届き、使用者用アプリUaは送信の可否を判断する責任者に承認依頼を通知し、責任者は使用者用アプリUaを使用して承認または否決の判断を行う。
このとき、責任者は使用者用アプリUaにより、承認判断に必要な電子データの内容確認のために一時的に暗号化された電子データを復号化し一時的に閲覧する(一時閲覧ステップ)。
この送信承認ステップにおいて、使用者用アプリUaは、責任者が上位職責の責任者に承認判断を仰ぐことができるように、承認ルートの追加や変更を柔軟に行うための機能を備えている。
【0030】
このように、従業者Lの従業者用アプリEa1が行う送信申請は、A社の使用者用アプリUaによる身元確認を行ってB社の使用者用アプリUbによる送信先となる従業者Oが確かにB社に所属しているという身元確認回答を受けるとともに、A社責任者による電子データDの内容確認のうえ送信承認を受けなければ送信の手続きは継続されない。
【0031】
さらに、本実施の形態における使用者用アプリUaは、A社に所属する従業者Lが従業者用アプリEa1から送信申請を実行すると、身元保証機能によりネットワークを介して前記従業者用アプリEa1と通信連携してA社によって予め付された従業者固有の従業者識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者Lがなりすましでないことを確認して身元を保証する(身元保証ステップ)ので、送信先だけでなく、送信元にもなりすまし等の不正がない安全な電子データの送受信を担保できる。
【0032】
(所属する従業者が送信先となる場合の使用者用アプリについて)
電子データDの送信元となる従業者Lが従業者用アプリEa1で、電子データDの伝票番号採番ステップと暗号化ステップを実行し、A社の使用者用アプリUaに対して送信申請を行うと、A社の使用者用アプリUaは、サービスアプリSa経由で身元確認ステップを実行する。このときサービスアプリSaは、前記伝票番号から可逆して、送信先となるB社の組織識別番号を特定し、B社の使用者用アプリUbに依頼を中継し、B社の使用者用アプリUbは前記伝票番号から可逆して、送信先となる及び従業者Oの従業者識別番号を特定して身元確認ステップを実行する。
そうすると、本実施の形態におけるB社の使用者用アプリUbは、サービスアプリSa経由で身元確認を依頼されるが、このとき、A社の使用者用アプリUaが電子データDに採番された伝票番号から特定する従業者Oの従業者識別番号と、上述のようにB社の使用者用アプリUbの身元照会機能によって保持されている従業者Oの従業者識別番号とが照合される。
そして、従業者Oの従業者識別番号の照合の結果を身元確認回答機能によりサービスアプリSa経由でA社の使用者用アプリUaに回答する(身元確認回答ステップ)。
【0033】
つぎに、本実施の形態におけるB社の使用者用アプリUbは、受信した電子データDについて、B社の責任において、所属するOの当該電子データ受信の可否を判断する(
図7参照)。
B社の使用者用アプリUbは、送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUaによって送信承認された電子データDを、サービスアプリSaを介して受信する。
B社の使用者用アプリUbは、受け取った電子データの受信の可否を判断する責任者に承認依頼を通知し、責任者は使用者用アプリUbを使用して承認または否決の判断を行う。
このとき、責任者は使用者用アプリUbにより、承認判断に必要な電子データの内容確認のために一時的に暗号化された電子データを復号化し一時的に閲覧する(一時閲覧ステップ)。
この受信承認ステップにおいて、使用者用アプリUbは、責任者が上位職責の責任者に承認判断を仰ぐことができるように、承認ルートの追加や変更を柔軟に行うことができる。
【0034】
(送信先となる従業者用アプリについて)
B社の使用者用アプリUbにおいて、電子データDの受信承認がなされると、送信先となる従業者Oの従業者用アプリEb1が電子データDを受信する。
そして、従業者用アプリE(Eb1)が備える閲覧機能により、暗号化されて送信された電子データDを復号化・可視化して閲覧することができるようになる(閲覧ステップ)(
図8参照)。
このように、送信元であるA社の従業者Lから送信先であるB社の従業者Oに電子データDを受け渡すに際し、A社の責任において送信承認がなされ、B社の責任において受信承認がなされることで、電子データの送受信や送受信された電子データの内容に問題があった場合の責任の所在が明らかとなり、信頼性の高い電子データの送受信の実現に貢献する。
【0035】
(使用者用アプリの履歴管理について)
これまで、送信元となるA社に所属する従業者Lから送信先となるB社に所属する従業者Oへの電子データDの受け渡しを説明してきたが、本実施の形態における使用者用アプリUでは、送信元となる従業者の従業者用アプリEにおいて、送信申請が行われると、送信しようとする電子データに採番される伝票番号に基づき、以後の当該電子データに関するアクションが履歴として管理される機能を備えている(
図9(b)参照)。
本実施の形態では、送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUaおよび送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbは電子データDの送受信の承認が完了したタイミングでその履歴を管理する。
ここで、履歴の管理には送信元となる従業者Lの従業者用アプリの伝票番号採番機能により採番された電子データ固有の伝票番号を使用するが、具体的には伝票番号は、(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と、(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号と、従業者用アプリEa1が内部に保持している、(3)送信元となる従業者Lが所属するA社の組織識別番号と(4)送信元となる従業者Lの従業者識別番号に加え、(5)送信申請を行った日時を基に採番する(
図9(a)参照)。
これにより、各電子データの伝票番号は識別力を有するので、履歴を管理することが可能となり、電子データの送受信に問題があった場合や、従業者の離職等により従業者用アプリEの利用資格の喪失に伴う処理が必要な場合など、遡って当該電子データに関連した履歴の抽出が可能となる。
また、各電子データの伝票番号が識別力を有する事で、使用者用アプリU内に電子データそのものを履歴として格納する必要がなく、秘匿性の向上だけでなく蓄積データの肥大化防止にも奏効する。
本実施の形態では、履歴の管理に使用される電子データの伝票番号は上記(1)~(5)の要素により採番されるが、電子データの題名(「契約書」や「仕様書」、「見積書」)などの別の要素を組み込むことも可能で、その内容は適宜選択可能である。
【0036】
(従業者のサービス利用資格喪失時の手続について)
ここでは本実施の形態における電子データ送受信サービスを利用する組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリEの利用資格を喪失した場合の手続を
図10に基づき説明する。
また、
図1を参照し、離職した従業者を従業者M、従業者Mが所属していた組織をA社、離職した従業者が電子データの送信先となった従業者を従業者P、従業者Pが所属する組織をB社とする。
まず、A社は、離職した従業者Mの従業者用アプリEa2の機能を無効化する。これにより、従業者Mが利用していた従業者用アプリEa2がこれまでに受信した電子データは削除される。
そして使用者用アプリUaは、管理している履歴から従業者Mが過去に行った電子データの送信を抽出してサービスアプリSaに当該電子データの削除依頼を実施する削除依頼機能を備えており、削除依頼を受けたサービスアプリSaが備える削除指示機能により、削除依頼を送信する送信先であったB社を特定して使用者用アプリUbに当該電子データの削除指示を実施する(削除指示ステップ)。
このとき、サービスアプリSaでは削除依頼が行われた電子データの伝票番号の要素となっている送信先の組織識別番号とサービスアプリSaにて保持している組織識別番号との照合が行われ、該当する組織の使用者用アプリに対して削除指示の電文が送信される。
そして、サービスアプリSaから送信された削除指示を受けたB社の使用者用アプリUbは、削除指示の対象となる電子データを受信した従業者Pを特定して、削除命令機能によって従業者用アプリEb2に対する対象となる電子データの削除命令を実施する(削除命令ステップ)。
このとき、使用者用アプリUbでは、削除命令の対象となる電子データの伝票番号の要素となっている送信先の従業者Pの従業者識別番号と、使用者用アプリUbにて保持している従業者Pの従業者識別番号との照合が行われ、削除命令の電文が作成される。
そして、当該従業者用アプリEb2は次の使用者用アプリUbとの連携時に削除命令を受けると対象となる電子データを削除する(削除)機能を備えており、当該電子データが従業者用アプリEb2から削除される。
これにより、離職者が悪意を持って送受信した電子データを持ち出すことや、過去に電子データを送信した相手から譲り受けることが困難になり、安全で秘匿性の高い電子データの管理が可能となる。
【0037】
また、過去に送受信された電子データが時間の経過や、内容の訂正・更新等により陳腐化した場合には、使用者用アプリからだけでなく従業者用アプリEを起点とする削除が可能である。
送信した電子データDが内容の訂正や更新が行われたことで陳腐化した場合に、過去に当該電子データの送信元となった従業者Lが、従業者用アプリEa1により当該電子データDを選択して削除申請を行う。
このとき、従業者Lは従業者用アプリEa1において削除対象となる電子データDの送信申請を実施した際の伝票番号を選択して削除申請を行うが、それ以後は上述した通り、削除対象となる電子データDの伝票番号を基に、削除申請を受けた使用者用アプリUaからサービスアプリSaに対して削除依頼が行われ、削除依頼を受けたサービスアプリSaから当該電子データDに関する履歴を管理している使用者用アプリUbに対して削除指示が行われ、削除指示を受けた使用者用アプリEbが当該電子データDの送信先であった従業者Oの従業者用アプリEb1と通信連携した際に削除命令が行われ、従業者用アプリEb1において削除が完了する。
また、このような手法を用いれば、削除対象となる電子データDの送信元である従業者Lからだけではなく、送信先であった従業者Oからの削除申請も可能である。
【0038】
(名刺交換等の電子データの相互同時送信について)
本実施の形態の電子データの送受信管理を利用する、A社に所属する従業者LとB社に所属する従業者Oが名刺(データ)の交換を行う場合を説明する。
名刺交換のように2者が相互かつ同時に電子データの送受信を実現するために、従業者用アプリE(の伝票番号採番機能)は、当該電子データの送信先を指定するとともに、当該電子データの送信が上述したような一方向の電子データの送信であるのか、名刺交換のような双方向の電子データの送信であるのかを選択する機能を備えている。
名刺交換を行う従業者Lは、電子データDの送信先の指定を行う際に、送信先となる従業者Oとの双方向の電子データの送信を選択する。
このとき、送信元となる従業者Lが従業者用アプリEa1において、当該電子データDaの送信を双方向として選択すると、電子データDaの伝票番号に双方向の送信である情報が付加される。
送信申請を受けた使用者用アプリUaでは、一方向の送信と同様に送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbに対して身元確認を行ってB社の使用者用アプリUbからの身元確認回答を受けるとともに、一時閲覧機能により責任者による電子データDaの内容確認を経て送信承認が実行される。
サービスアプリSaは、前記伝票番号から当該電子データDaの送信が双方向であることを識別すると、承認確認同期機能によりB社の使用者用アプリUbからの送信承認が実行されるまで、当該電子データDaの送信を成立させず保留状態とする(承認確認同期ステップ)。
他方、従業者Oも従業者Lと同様に、電子データDの送信を行う際に、当該電子データDbの送信が送信先となる従業者Lとの双方向の電子データの送信を選択して送信申請を行う。
B社の使用者用アプリUbでも、一方向の送信と同様のステップを経て電子データDbに対する送信承認が実行され、A社とB社双方の送信承認が揃うとサービスアプリSaから、承認確認同期機能により電子データDa及びDbの送信が相互かつ同時に成立する。
このように、本実施の形態の電子データの送受信管理方法やシステムを利用することで、一方向の電子データの送受信だけでなく、昨今のワークスタイルの変更により、従来の組織主導で行われてきたビジネス判断の一部が従業者裁量にシフトする傾向の中で、リモートワークを行っていても、所属する組織の承認を受けた電子データの相互かつ同時で平等な送受信が可能となる。
【0039】
なお、本実施の形態では、電子データの送受信を行う組織をA社、B社として説明を行ったが、本発明における「組織」を、企業内の「部門」に置換することや、A社、B社のように2者間だけでなく、3者以上の複数の組織の電子データの送受信に拡張が可能であるため、本発明により様々な場面で信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信が実現できる。
【符号の説明】
【0040】
100 電子データ送受信管理方法、
D,Da,Db 電子データ、
E,Ea1,Ea2,Ea3,Eb1,Eb2 従業者用アプリ、
L,M,O,P 従業者、
Sa サービスアプリ、
Sp サービス提供者、
U,Ua,Ub 使用者用アプリ、
【手続補正書】
【提出日】2022-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の組織間での電子データの受け渡しに関し、送信元、送信先となる従業者の身元の確認や、送受信の対象となる電子データの内容に対する承認が行われなければ、組織間の電子データの受け渡しを成立させないデータ送受信管理方法及び企業間のデータ送受信管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子データの受け渡しに関しては、種々様々ものが開示されているが、例えば、名刺に係る情報の管理に特化したものとしては、特許文献1記載の技術が知られている。
特許文献1記載の技術は、企業認証と構成員認証の2段階の認証技術を備え、蓄積した名刺に係る情報および企業情報を活用して、名刺に係る情報を管理する機能を備えた名刺に係る情報管理システムである。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の技術においては、情報の管理方法の特徴から、最新の相手企業情報の取得およびグローバル規模(ワールドワイド)での実現は困難である。さらに、以下の課題(1)~(4)が解決できない。
(1)電子データの受け渡しを、当事者間の判断のみで実施することで、企業が意図しない範囲への情報流出等の問題が発生する可能性があった。
(2)当該受信者のみの閲覧を意図した電子データを第三者に拡散させる可能性があるという問題があった。
(3)企業認証と構成員認証の2段階認証では、なりすましを完全に防ぐことはできず、当事者ではない第三者が身元(在籍)を偽って、電子データ受け渡し行為を不正に実施する可能性があるという問題があった。
(4)退職等で企業内の身元(在籍)を喪失した者が、過去に受け渡しを実施した電子データが意図しない状態で相手側に残存する可能性があるという問題があった。
【0004】
また、特許文献2と3は、一般利用者(私的利用)を識別する一般利用者識別データと従業者を識別する従業員識別データとが予め対応付けるものであり、その場合に使用される連携サーバープログラム、業者用サーバープログラム、及びデータ連携システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6328867号公報
【特許文献2】特開2019-105913号公報
【特許文献3】特許第7107979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般利用者(私的利用)の電子データ送受信についても、その情報漏洩等はあってはならないが、企業と企業の間で取引を行う場合には、個人的な場合とは異なる要求や法的規制(法令順守)が求められる。法的規制としては、企業間では、商法や会社法の遵守が必要になり、利益相反取引の禁止や、コーポレートガバナンスや内部統制システムの構築等が求められる。なお、近年は、メールでの議決権行使や、貸借対照表のホームページでの決算公告が可能になっている。
しかしながら、建築業界とソフトウェア業界というように各々の業界で最新の技術による高度なセキュリテリィを維持するとなると、非常に高価な費用が必要になったり、操作が複雑になるなどの問題を有するのみならず、問題が生じるとその責任の所在が問題になり、企業は重い責任が課される。特に、電子データの送受信が企業間で安全に行われたとしても、その後の保存や閲覧を一定の範囲に広げると、情報の漏洩の原因になることが高くなる。
さらに、世界的なCOVIT-19の感染拡大に伴う、リモートワーク化等のワークスタイルの変更により、従来の組織主導で行われてきたビジネス判断の一部が従業者裁量にシフトする傾向にあるため、先にあげた課題が発生しやすい状況を作り出している。
【0007】
そこで、本発明の目的は、企業間取引(ビジネス目的)のように、組織間での電子データの送受信(受け渡し)をするに際して、送信元、送信先となる従業者に対して組織として身元の確認を行い、各組織の責任において電子データの内容に対して承認されたものだけが送信と受信が実行されるとともに、前記送受信の対象となる電子データは、取引関係にある組織であっても、送信元と送信先となる従業者が利用する専用のアプリケーション(以降はアプリケーションをアプリと記載する。)でのみ閲覧できるようにして、送受信される電子データの信頼性と秘匿性を高めることが可能な電子データ送受信管理方法及び電子データ送受信管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子データ送受信管理方法では、ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリから使用者用アプリとサービスアプリを経由して別の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリに電子データを受け渡す電子データ送受信管理方法であって、従業者用アプリでは、送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番ステップと、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化ステップと、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請ステップを備えるとともに、電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧ステップを備え、使用者用アプリでは、自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認ステップと、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認ステップを備えるとともに、他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答ステップと、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認ステップを備え、サービスアプリでは、前記伝票番号を可逆して相手先の組織を特定する通信先特定ステップと、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継ステップを備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、「使用者」とは、使用者、法人、国又は地方公共団体を含むものであり、「従業者」とは、法人の役員、国家公務員又は地方公務員を含むものである。このため、「組織」とは、民間法人のみならず公法的な法人を含むもので、組織的な集まりを含むものである。すなわち、ここでの用語の適用は、特許法第35条(職務発明)の規定に準拠する。
そして、アプリケーション(アプリ)とは、アプリケーションソフトウェアの略であり、特定の目的をもって、メインフレームやパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンのような電子計算機の基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)上やクラウドコンピューティング上で動作するように開発された専用のプログラムのことであり、上記のようなステップを単独あるいは他のアプリケーションと連携して実行できる機能を備えたものである。
また、「使用者用アプリ」とは当該組織の責任者として、組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリによる電子データ送受信に関する操作を管理、監督する権限を持ち、上記送信承認ステップや受信承認ステップを実行できるものが利用する。
そして、電子データとは、テキストデータ、文書ファイルデータ、アプリケーションソフトウェアなど、電子的なデータのすべてを意味するものであり、例えば電子マネーを用いた電子決済サービスや契約書等における電子署名がされたもの等を広く含むものとする。(本発明では、企業間の取り引き契約書のような重要書の機密性を図ることを想定している。)
【0010】
本発明の電子データ送受信管理方法における使用者用アプリでは、自組織の従業者が利用する従業者用アプリから送信申請を実行すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリと連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証ステップ、
送信承認及び受信承認を行うために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを、一時的に復号化・可視化して閲覧可能にする一時閲覧ステップ、
さらに、電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによる送信準備ステップの過程で作成される伝票番号を基に電子データの送受信時に送信履歴及び受信履歴として記録して管理するステップと、
前記従業者用アプリからネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合ステップを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明における電子データ送受信管理方法では、組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリは、当該従業者の従業者用アプリの機能を無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除依頼を実施する削除依頼ステップを備え、サービスアプリでは削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除指示を実施する削除指示ステップを備え、当該組織の使用者用アプリでは削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除命令を作成する削除命令ステップを備え、削除命令の対象となった従業者用アプリでは次の使用者用アプリとの連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除ステップを備えることを特徴とする。
【0012】
そして、本発明の電子データ送受信管理方法におけるサービスアプリでは、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実行する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期ステップを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の電子データ送受信管理システムは、ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリから使用者用アプリとサービスアプリを経由して別の組織に所属する従業者が利用する端末にインストールされた従業者用アプリに電子データを受け渡す電子データ送受信管理システムであって、従業者用アプリは、送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、電子データの送信のための伝票番号を採番する伝票番号採番機能と、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化機能と、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請機能を備えるとともに、電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧機能を備え、使用者用アプリは、自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認機能と、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認機能を備えるとともに、他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答機能と、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認機能を備え、サービスアプリは、前記伝票番号を可逆して相手先の組織を特定する通信先特定機能と、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継機能を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の電子データ送受信管理システムにおける使用者用アプリは、自組織の従業者が利用する従業者用アプリの送信申請機能を実行すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリと連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証機能と、
送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを一時的に復号化・可視化して閲覧できる一時閲覧機能と、
送信元となる従業者用アプリによる送信準備機能の過程で作成される伝票番号を基に送信履歴及び受信履歴として記録して管理する履歴管理機能と、
従業者用アプリからネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合機能を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の電子データ送受信管理システムは、組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリは、当該従業者の従業者用アプリの機能を無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除依頼を実施する削除依頼機能を備え、サービスアプリは削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除指示を実施する削除指示機能を備え、当該組織の使用者用アプリでは削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除命令を作成する削除命令機能を備え、削除命令の対象となった従業者用アプリは次の使用者用アプリとの連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除機能を備えることを特徴とする。
【0016】
そして、本発明の電子データ送受信管理システムにおけるサービスアプリは、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信を実施することを前提とした電子データの送受信を実行する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期機能を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、送信元となる従業者から送信先となる従業者への電子データの送受信に対し、送信元となる従業者が所属する組織の使用者用アプリから、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、送信先となる従業者の身元確認を行うステップ、及び機能を備えているため、万が一、送信先の従業者がなりすましの場合や、離職等により既に従業者の資格を喪失している場合に電子データ送受信の成立を未然に防ぐことが可能となる。
また、本発明によれば、使用者アプリによって送受信しようとする電子データの内容を組織の責任者が確認して承認するステップ、及び機能を備えているため、電子データの送受信の成立前に電子データの内容が組織の責任において送信の可否判断、受信の可否判断が可能となる。
そして、本発明によれば、自組織の従業者が利用する従業者用アプリから送信申請を実行すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリと連携して当該組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して送信元となる従業者の身元を保証する身元保証ステップ、及び機能を備えているので、なりすましでないことを確認可能となる。
このように送信先となる従業者の身元確認、送受信しようとする電子データに対する組織の責任者による承認、送信元となる従業者の身元保証や、従業者用アプリからネットワークを介して連携された際に確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合を行うので、企業の責任において電子データの確実な送受信を実現する。
【0018】
そして、本発明の使用者アプリによって、送信元となる従業者用アプリによって送信元および送信先双方の情報を基に採番される伝票番号は、それを可逆して送信元および送信先双方の情報を抽出でき、この伝票番号を送信履歴及び受信履歴として記録して管理する履歴管理することにより従業者用アプリ、使用者用アプリとの関係で種々様々な機能を実現する。
【0019】
上述のように、本発明により、企業間取引(ビジネス目的)のように、組織間での電子データの送受信(受け渡し)をするに際して、送信元、送信先となる従業者に対して組織として身元の確認と保証を行い、各組織の責任において送受信が承認された電子データのみ送受信が実行されるとともに、前記送受信の対象となる電子データは、取引関係にある組織であっても、送信元および送信先の組織の送受信に関与する者のみがアプリを利用する条件に限定して閲覧できるようにすることで、送受信される電子データの信頼性と秘匿性を高めることが可能な電子データ送受信管理方法及び電子データ送受信管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態の電子データの送受信管理方法の概要を示す図である。
【
図2】上記実施の形態の電子データ送受信管理方法の概要を示す図である。
【
図3】上記実施の形態の電子データ送受信管理方法の概要を示す別図である。
【
図4】上記実施の形態の電子データの送受信管理に係るサービスの利用開始までの流れを示す図である。
【
図5】上記実施の形態の電子データの送受信に係る手続の流れと受領連絡の流れを示す図である。
【
図6】上記実施の形態の送信申請手続を示す図である。
【
図7】上記実施の形態の送信承認及び受信承認手続を示す図である。
【
図8】上記実施の形態の受信した電子データの閲覧を示す図である。
【
図10】上記実施の形態の従業者用アプリの利用資格喪失時の手続を示す図である。
【
図11】
上記実施の形態の同時かつ双方向の電子データの送受信の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図を用いて具体的に説明するが、本実施の形態において、「企業」を電子データの送受信の管理を行う主体となる「組織」に設定して説明を進める。
【0022】
(電子データ送受信管理方法の基本構成)
図1ないし
図3は、本発明の実施の形態における電子データ送受信管理方法100の概要を説明する図である。
図1は、サービス提供者Spが、本実施の形態の形態において利用される従業者用アプリ、使用者用アプリ、サービスアプリにより信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信サービスを提供する事業者であり、当該電子データDを送受信するサービスを利用するA社及びB社において、使用者用アプリUと従業者用アプリEが利用されていることを示している。
また、本実施の形態における使用者用アプリUは各組織(各企業)に1つであり、従業者用アプリEは少なくとも1つ以上であり、例えばA社における従業者用アプリEは、Ea1、Ea2、Ea3・・・と複数利用が想定されることを示している。
なお、各アプリや機能の詳細ついては後述する。
【0023】
(アプリについて)
本実施の形態において、アプリとはアプリケーションソフトウェアの略であり、特定の目的をもって、メインフレームやパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンのような電子計算機の基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)上やクラウドコンピューティング上で動作するように開発された専用のプログラムのことであり、上記のようなステップを単独あるいは他のアプリケーションと連携して実行できる機能を備えたものであり、サービス提供者Spは、本発明の目的である信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信を行うために必要な機能を備えたアプリを利用者に供給してサービスを提供する。
【0024】
図2、
図3はA社に所属する(在籍する)従業者Lが送信元、B社に所属する(在籍する)従業者Oが送信先となる電子データ
Dの送受信を示しているとともに、従業者用アプリE(送信元となる従業者Lの従業者用アプリEa1、送信先となる従業者Oの従業者用アプリEb1)、使用者用アプリU(送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUa、送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUb)、サービスアプリSaがネットワークを介して連携動作していることを示している。
【0025】
(サービスアプリについて)
また、本実施の形態の電子データ送受信管理方法では、A社とB社のように組織を跨ぐ電子データDの送受信を行う場合に、送受信の対象となる電子データDだけでなく、後述する身元確認や身元確認回答といった組織を跨いだ種々の情報のやり取りについてもサービスアプリSaを経由するように構成されている。
なお、本実施の形態では電子データDの実体そのものがアプリ間を流通する形態を記載しているが、ネットワークのトラフィック増加を抑止する目的で、電子データDの実体は、中立かつ安全なストレージに格納し、各アプリでは電子データDへの参照情報(リンク情報)が流通する形態を適宜選択可能とする。
【0026】
(使用者用アプリ及び従業者用アプリの取得)
図4は、本実施の形態における電子データDの送受信サービスの利用申請から利用開始までの手順を示した図であり、まず、本実施の形態における電子データの送受信
管理サービスの利用を希望するA社は、サービスを利用する従業者に対して固有に付与した従業者識別番号と、各従業者が利用する情報端末固有の識別番号であるMACアドレスを対にして、サービス提供者Spに当該サービスの利用申請を行う。
次にサービス提供者Spは、A社固有の識別番号である組織識別番号を採番して、A社に対してA社を代表する一つの使用者用アプリUと、利用申請を行った各従業者(と各従業者に関連付られた情報端末)用の従業者用アプリEをセットアップして供給する。
A社はサービス提供者Spから供給された使用者用アプリUに、各従業者の承認処理を実施する責任者を設定し、各従業者に従業者用アプリEを供給する。
これにより、使用者用アプリU及び従業者用アプリEが識別可能な状態となる(
図1、
図2参照)。
そして供給された使用者用アプリU及び従業者用アプリEを使用することにより当該サービスの利用が可能となる。
サービスの利用にあたり、使用者用アプリUはサービスアプリSpと、従業者用アプリEは使用者用アプリと連携している間のみ、機能を使用することが可能である。
なお、本実施の形態では当該サービスの利用申請方法や各アプリの供給手段にはネットワークを介した手続が想定されているが、既知の供給手段を適宜選択可能である。
【0027】
(送信元となる従業者用アプリについて)
図2及び
図5が示すように、A社に所属する従業者Lが送信元、B社に所属する従業者Oが送信先となる電子データDの送受信では、従業者Lが従業者用アプリEa1において、送信先を指定することで、伝票番号採番機能
Fe1により(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号と、従業者用アプリEa1が内部に保持している、(3)送信元となる従業者Lが所属するA社の組織識別番号と(4)送信元となる従業者Lの従業者識別番号と、さらに後述する(5)送信申請を実施した日時を基に、当該電子データ固有の伝票番号を採番し(伝票番号採番ステップ)、暗号化機能
Fe2により採番された伝票番号で送信対象となる電子データDを暗号化する(暗号化ステップ)。
ここで、従業者用アプリE(Ea1)による電子データの暗号化については、送信元となる従業者Lが上記の(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と、(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号を指定すると、従業者用アプリEa1が残りの(3)(4)(5)を自動検出する機能を備えている。
そして、送信申請機能
Fe3により、所属するA社の使用者用アプリUaに対して、当該電子データDの送信を申請する(送信申請ステップ)(
図6参照)。
本実施の形態において、送信先の指定とは、送信元の従業者Lが従業者用アプリEa1に、当該電子データDの送信先となる従業者Oから事前に情報開示された、従業者Oの従業者識別番号とB社の組織識別番号を入力して指定することであり、送信の申請とは、従業者Lが従業者用アプリEa1で前記送信先の指定後に送信申請ボタンを押下することであるが、その手法(ユーザインタフェース)は特に限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0028】
(所属する従業者が送信元となる場合の使用者用アプリについて)
次に、従業者Lの従業者用アプリEa1において電子データDの送信申請が実行されると、使用者用アプリUaでは、身元確認機能Fu1により送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbに対して、サービスアプリSaを経由して送信先となる従業者Oが在籍しているか否か身元を確認する(身元確認ステップ)。
そして、送信承認機能Fu2により従業者Lが送信しようとする電子データDの内容をA社の責任者が確認して送信の可否を判断する(送信承認ステップ)。
ここで、本実施の形態における使用者用アプリUは、ネットワークを介して従業者用アプリEとネットワークを介して連携を行うに際して、従業者用アプリEの利用資格を有する従業者に付されている従業者識別番号から自組織に所属する従業者であることを確認する身元照会機能Fu3を備えており、上記のように、A社に所属する従業者Lが送信元、B社に所属する従業者Oが送信先となる電子データDの送受信を行う場合に、A社の使用者用アプリUaの送信先となる従業者Oに関する身元確認に対して、B社の使用者用アプリUbは身元照会機能Fu3によって得られている情報から、身元確認回答機能Fu4により従業者Oが(B社に)所属している従業者であるか否かの身元確認回答を行う(身元確認回答ステップ)。
【0029】
そして、上記送信承認ステップでは本実施の形態におけるA社の使用者用アプリUaは、送信申請された電子データDについて、A社の責任において、B社に所属する従業者Oに対する当該電子データ送信の可否を判断するが、A社の従業者Lが従業者用アプリEa1で送信申請した電子データは伝票番号によって暗号化され、A社の使用者用アプリUaに届き、使用者用アプリUaは送信の可否を判断する責任者に承認依頼を通知し、責任者は使用者用アプリUaを使用して承認または否決の判断を行う。
このとき、責任者は使用者用アプリUaの一時閲覧機能Fu5により、承認判断に必要な電子データの内容確認のために一時的に暗号化された電子データを復号化し一時的に閲覧する(一時閲覧ステップ)。
この送信承認ステップにおいて、使用者用アプリUaは、責任者が上位職責の責任者に承認判断を仰ぐことができるように、承認ルートの追加や変更を柔軟に行うための機能を備えている。
【0030】
このように、従業者Lの従業者用アプリEa1が行う送信申請は、A社の使用者用アプリUaによる身元確認を行ってB社の使用者用アプリUbによる送信先となる従業者Oが確かにB社に所属しているという身元確認回答を受けるとともに、A社責任者による電子データDの内容確認のうえ送信承認を受けなければ送信の手続きは継続されない。
【0031】
さらに、本実施の形態における使用者用アプリUaは、A社に所属する従業者Lが従業者用アプリEa1から送信申請を実行すると、身元保証機能Fu6によりネットワークを介して前記従業者用アプリEa1と通信連携してA社によって予め付された従業者固有の従業者識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者Lがなりすましでないことを確認して身元を保証する(身元保証ステップ)ので、送信先だけでなく、送信元にもなりすまし等の不正がない安全な電子データの送受信を担保できる。
【0032】
(所属する従業者が送信先となる場合の使用者用アプリについて)
電子データDの送信元となる従業者Lが従業者用アプリEa1で、電子データDの伝票番号採番ステップと暗号化ステップを実行し、A社の使用者用アプリUaに対して送信申請を行うと、A社の使用者用アプリUaは、サービスアプリSa経由で身元確認ステップを実行する。このときサービスアプリSaは、前記伝票番号から可逆して、送信先となるB社の組織識別番号を特定し、B社の使用者用アプリUbに依頼を中継し、B社の使用者用アプリUbは前記伝票番号から可逆して、送信先となる従業者Oの従業者識別番号を特定して身元確認ステップを実行する。
そうすると、本実施の形態におけるB社の使用者用アプリUbは、サービスアプリSa経由で身元確認を依頼されるが、このとき、A社の使用者用アプリUaが電子データDに採番された伝票番号から特定する従業者Oの従業者識別番号と、上述のようにB社の使用者用アプリUbの身元照会機能によって保持されている従業者Oの従業者識別番号とが照合される。
そして、従業者Oの従業者識別番号の照合の結果を身元確認回答機能Fu4によりサービスアプリSa経由でA社の使用者用アプリUaに回答する(身元確認回答ステップ)。
【0033】
つぎに、本実施の形態におけるB社の使用者用アプリUbは、受信した電子データDについて、B社の責任において、所属する
従業者Oの当該電子データ受信の可否を判断する(
図7参照)。
B社の使用者用アプリUbは、送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUaによって送信承認された電子データDを、サービスアプリSaを介して受信する。
B社の使用者用アプリUbは、
受信承認機能Fu7により受け取った電子データの受信の可否を判断する責任者に承認依頼を通知し、責任者は使用者用アプリUbを使用して承認または否決の判断を行う
(受信承認ステップ)。
このとき、責任者は使用者用アプリUb
の一時閲覧機能Fu5により、承認判断に必要な電子データの内容確認のために一時的に暗号化された電子データを復号化し一時的に閲覧する(一時閲覧ステップ)。
この受信承認ステップにおいて、使用者用アプリUbは、責任者が上位職責の責任者に承認判断を仰ぐことができるように、承認ルートの追加や変更を柔軟に行うことができる。
【0034】
(送信先となる従業者用アプリについて)
B社の使用者用アプリUbにおいて、電子データDの受信承認がなされると、送信先となる従業者Oの従業者用アプリEb1が電子データDを受信する。
そして、従業者用アプリE(Eb1)が備える閲覧機能
Fe4により、暗号化されて送信された電子データDを復号化・可視化して閲覧することができるようになる(閲覧ステップ)(
図8参照)。
このように、送信元であるA社の従業者Lから送信先であるB社の従業者Oに電子データDを受け渡すに際し、A社の責任において送信承認がなされ、B社の責任において受信承認がなされることで、電子データの送受信や送受信された電子データの内容に問題があった場合の責任の所在が明らかとなり、信頼性の高い電子データの送受信の実現に貢献する。
【0035】
(使用者用アプリの履歴管理について)
これまで、送信元となるA社に所属する従業者Lから送信先となるB社に所属する従業者Oへの電子データDの受け渡しを説明してきたが、本実施の形態における使用者用アプリUでは、送信元となる従業者の従業者用アプリEにおいて、送信申請が行われると、送信しようとする電子データに採番される伝票番号に基づき、以後の当該電子データに関するアクションが履歴として管理される機能を備えている(
図9(b)参照)。
本実施の形態では、送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUaおよび送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbは電子データDの送受信の承認が完了したタイミングでその履歴を管理する
(履歴管理機能Fu10)。
ここで、履歴の管理には送信元となる従業者Lの従業者用アプリの伝票番号採番機能
Fe1により採番された電子データ固有の伝票番号を使用するが、具体的には伝票番号は、(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と、(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号と、従業者用アプリEa1が内部に保持している、(3)送信元となる従業者Lが所属するA社の組織識別番号と(4)送信元となる従業者Lの従業者識別番号に加え、(5)送信申請を行った日時を基に採番する(
図9(a)参照)。
これにより、各電子データの伝票番号は識別力を有するので、履歴を管理することが可能となり、電子データの送受信に問題があった場合や、従業者の離職等により従業者用アプリEの利用資格の喪失に伴う処理が必要な場合など、遡って当該電子データに関連した履歴の抽出が可能となる。
また、各電子データの伝票番号が識別力を有する事で、使用者用アプリU内に電子データそのものを履歴として格納する必要がなく、秘匿性の向上だけでなく蓄積データの肥大化防止にも奏効する。
本実施の形態では、履歴の管理に使用される電子データの伝票番号は上記(1)~(5)の要素により採番されるが、電子データの題名(「契約書」や「仕様書」、「見積書」)などの別の要素を組み込むことも可能で、その内容は適宜選択可能である。
【0036】
(従業者のサービス利用資格喪失時の手続について)
ここでは本実施の形態における電子データ送受信サービスを利用する組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリEの利用資格を喪失した場合の手続を
図10に基づき説明する。
また、
図1を参照し、離職した従業者を従業者M、従業者Mが所属していた組織をA社、離職した従業者が電子データの送信先となった従業者を従業者P、従業者Pが所属する組織をB社とする。
まず、A社は、離職した従業者Mの従業者用アプリEa2の機能を無効化する。これにより、従業者Mが利用していた従業者用アプリEa2がこれまでに受信した電子データは削除される。
そして使用者用アプリUaは、管理している履歴から従業者Mが過去に行った電子データの送信を抽出してサービスアプリSaに当該電子データの削除依頼を実施する削除依頼機能
Fu8を備えており、削除依頼を受けたサービスアプリSaが備える削除指示機能
Fs1により、削除依頼を送信する送信先であったB社を特定して使用者用アプリUbに当該電子データの削除指示を実施する(削除指示ステップ)。
このとき、サービスアプリSaでは削除依頼が行われた電子データの伝票番号の要素となっている送信先の組織識別番号とサービスアプリSaにて保持している組織識別番号との照合が行われ、該当する組織の使用者用アプリに対して削除指示の電文が送信される。
そして、サービスアプリSaから送信された削除指示を受けたB社の使用者用アプリUbは、削除指示の対象となる電子データを受信した従業者Pを特定して、削除命令機能
Fu9によって従業者用アプリEb2に対
して対象となる電子データの削除命令を実施する(削除命令ステップ)。
このとき、使用者用アプリUbでは、削除命令の対象となる電子データの伝票番号の要素となっている送信先の従業者Pの従業者識別番号と、使用者用アプリUbにて保持している従業者Pの従業者識別番号との照合が行われ、削除命令の電文が作成される。
そして、当該従業者用アプリEb2は次の使用者用アプリUbとの連携時に削除命令を受けると対象となる電子データを削除する
削除機能
Fe5を備えており、当該電子データが従業者用アプリEb2から削除される。
これにより、離職者が悪意を持って送受信した電子データを持ち出すことや、過去に電子データを送信した相手から譲り受けることが困難になり、安全で秘匿性の高い電子データの管理が可能となる。
【0037】
また、過去に送受信された電子データが時間の経過や、内容の訂正・更新等により陳腐化した場合には、使用者用アプリからだけでなく従業者用アプリEを起点とする削除が可能である。
送信した電子データDが内容の訂正や更新が行われたことで陳腐化した場合に、過去に当該電子データの送信元となった従業者Lが、従業者用アプリEa1により当該電子データDを選択して削除申請を行う。
このとき、従業者Lは従業者用アプリEa1において削除対象となる電子データDの送信申請を実施した際の伝票番号を選択して削除申請を行うが、それ以後は上述した通り、削除対象となる電子データDの伝票番号を基に、削除申請を受けた使用者用アプリUaからサービスアプリSaに対して削除依頼が行われ、削除依頼を受けたサービスアプリSaから当該電子データDに関する履歴を管理している使用者用アプリUbに対して削除指示が行われ、削除指示を受けた使用者用アプリEbが当該電子データDの送信先であった従業者Oの従業者用アプリEb1と通信連携した際に削除命令が行われ、従業者用アプリEb1において削除が完了する。
また、このような手法を用いれば、削除対象となる電子データDの送信元である従業者Lからだけではなく、送信先であった従業者Oからの削除申請も可能である。
【0038】
(名刺交換等の電子データの相互同時送信について)
本実施の形態の電子データの送受信管理を利用する、A社に所属する従業者LとB社に所属する従業者Oが名刺(データ)の交換を行う場合を説明する。
名刺交換のように2者が相互かつ同時に電子データの送受信を実現するために、従業者用アプリE(の伝票番号採番機能Fe1)は、当該電子データの送信先を指定するとともに、当該電子データの送信が上述したような一方向の電子データの送信であるのか、名刺交換のような双方向の電子データの送信であるのかを選択する機能を備えている。
名刺交換を行う従業者Lは、電子データDの送信先の指定を行う際に、送信先となる従業者Oとの双方向の電子データの送信を選択する。
このとき、送信元となる従業者Lが従業者用アプリEa1において、当該電子データDaの送信を双方向として選択すると、(従業者Lから送信される)電子データDaの伝票番号に双方向の送信である情報が付加される。
送信申請を受けた使用者用アプリUaでは、一方向の送信と同様に送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbに対して身元確認を行ってB社の使用者用アプリUbからの身元確認回答を受けるとともに、一時閲覧機能Fu5により責任者による電子データDaの内容確認を経て送信承認が実行される。
サービスアプリSaは、前記伝票番号から当該電子データDaの送信が双方向であることを判断すると、承認確認同期機能Fs2によりB社の使用者用アプリUbからの送信承認が実行されるまで、当該電子データDaの送信を成立させず保留状態とする(承認確認同期ステップ)。
他方、従業者Oも従業者Lと同様に、従業者用アプリEb1において電子データDの送信を行う際に、当該電子データDの送信が送信先となる従業者Lとの双方向の電子データDbの送信を選択して送信申請を行う。
B社の使用者用アプリUbでも、一方向の送信と同様のステップを経て電子データDbに対する送信承認が実行され、A社とB社双方の送信承認が揃うとサービスアプリSaから、承認確認同期機能Fs2により電子データDa及びDbの送信が相互かつ同時に成立する。
このように、本実施の形態の電子データの送受信管理方法やシステムを利用することで、一方向の電子データの送受信だけでなく、昨今のワークスタイルの変更により、従来の組織主導で行われてきたビジネス判断の一部が従業者裁量にシフトする傾向の中で、リモートワークを行っていても、所属する組織の承認を受けた電子データの相互かつ同時で平等な送受信が可能となる。
【0039】
なお、本実施の形態では、電子データの送受信を行う組織をA社、B社として説明を行ったが、本発明における「組織」を、企業内の「部門」に置換することや、A社、B社のように2者間だけでなく、3者以上の複数の組織の電子データの送受信に拡張が可能であるため、本発明により様々な場面で信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信が実現できる。
【符号の説明】
【0040】
100 電子データ送受信管理方法、
D,Da,Db 電子データ、
E,Ea1,Ea2,Ea3,Eb1,Eb2 従業者用アプリ、
Fe1 伝票番号採番機能、
Fe2 暗号化機能、
Fe3 送信申請機能、
Fe4 閲覧機能、
Fe5 削除機能、
Fs1 削除指示機能、
Fs2 承認確認同期機能、
Fu1 身元確認機能、
Fu2 送信承認機能、
Fu3 身元照会機能、
Fu4 身元確認回答機能、
Fu5 一時閲覧機能、
Fu6 身元保証機能、
Fu7 受信承認機能、
Fu8 削除依頼機能、
Fu9 削除命令機能、
Fu10 履歴管理機能、
L,M,O,P 従業者、
Sa サービスアプリ、
Sp サービス提供者、
U,Ua,Ub 使用者用アプリ、
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2023-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリケーション(以降はアプリケーションをアプリと記載する)がインストールされた端末から使用者用アプリがインストールされた電子計算機とサービスアプリがインストールされた電子計算機を経由して別の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末に電子データを受け渡す電子データ送受信管理方法であって、
従業者用アプリがインストールされた端末では、
電子データの送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番ステップと、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化ステップと、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請ステップを実行するとともに、
電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧ステップを実行し、
使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、
自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認ステップと、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認ステップを実行するとともに、
他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答ステップと、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認ステップを実行し、
サービスアプリがインストールされた電子計算機では、
前記伝票番号の採番時に使用した情報から相手先情報を抽出して相手先の組織を特定する通信先特定ステップと、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継ステップを実行することを特徴とする電子データ送受信管理方法。
【請求項2】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、自組織の従業者が利用する従業者用アプリで送信申請を実施すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリがインストールされた端末と連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項3】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、送信承認ステップ及び受信承認ステップを実行するために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを、一時的に復号化・可視化して閲覧可能にする一時閲覧ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項4】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって作成された伝票番号を基に電子データの送受信時に送信履歴及び受信履歴を記録して管理する履歴管理ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項5】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、前記従業者用アプリがインストールされた端末からネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項6】
組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、当該従業者の従業者用アプリを無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除を依頼する削除依頼ステップを実行し、サービスアプリがインストールされた電子計算機では削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除を指示する削除指示ステップを実行し、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機では削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除を命令する削除命令ステップを実行し、削除命令の対象となった従業者用アプリがインストールされた端末では次の使用者用アプリがインストールされた電子計算機との連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除ステップを実行することを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項7】
前記サービスアプリがインストールされた電子計算機では、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実施する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期ステップを実行することを特徴とする請求項1記載の企業間の電子データ送受信管理方法。
【請求項8】
ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末から使用者用アプリがインストールされた電子計算機とサービスアプリがインストールされた電子計算機を経由して別の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末に電子データを受け渡す電子データ送受信管理システムであって、
従業者用アプリがインストールされた端末は、
電子データの送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番機能と、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化機能と、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請機能を実現させるとともに、
電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧機能を実現させ、
使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、
自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認機能と、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認機能を実現させるとともに、
他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答機能と、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認機能を実現させ、
サービスアプリがインストールされた電子計算機は、
前記伝票番号の採番時に使用した情報から相手先情報を抽出して相手先の組織を特定する通信先特定機能と、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継機能を実現させることを特徴とする電子データ送受信管理システム。
【請求項9】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、自組織の従業者が利用する従業者用アプリで送信申請を実施すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリがインストールされた端末と連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証機能を実現させることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項10】
使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、送信承認機能及び受信承認機能を実現させるために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを一時的に復号化・可視化して閲覧できる一時閲覧機能を実現させることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項11】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって作成された伝票番号を基に電子データの送信履歴及び受信履歴を記録して管理する履歴管理機能を実現させることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項12】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、前記従業者用アプリがインストールされた端末からネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合機能を実現させることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項13】
組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、当該従業者の従業者用アプリを無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除を依頼する削除依頼機能を実現させ、サービスアプリがインストールされた電子計算機は削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除を指示する削除指示機能を実現させ、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機では削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除を命令する削除命令機能を実現させ、削除命令の対象となった従業者用アプリがインストールされた端末は次の使用者用アプリがインストールされた電子計算機との連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除機能を実現させることを特徴とする請求項8から12のうちいずれか一項に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項14】
前記サービスアプリがインストールされた電子計算機は、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実施する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期機能を実現させることを特徴とする請求項8記載の企業間の電子データ送受信管理システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の組織間での電子データの受け渡しに関し、送信元、送信先となる従業者の身元の確認や、送受信の対象となる電子データの内容に対する承認が行われなければ、組織間の電子データの受け渡しを成立させないデータ送受信管理方法及び企業間のデータ送受信管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子データの受け渡しに関しては、種々様々ものが開示されているが、例えば、名刺に係る情報の管理に特化したものとしては、特許文献1記載の技術が知られている。
特許文献1記載の技術は、企業認証と構成員認証の2段階の認証技術を備え、蓄積した名刺に係る情報および企業情報を活用して、名刺に係る情報を管理する情報管理システムである。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の技術においては、情報の管理方法の特徴から、最新の相手企業情報の取得およびグローバル規模(ワールドワイド)での実現は困難である。さらに、以下の課題(1)~(4)が解決できない。
(1)電子データの受け渡しを、当事者間の判断のみで実施することで、企業が意図しない範囲への情報流出等の問題が発生する可能性があった。
(2)当該受信者のみの閲覧を意図した電子データを第三者に拡散させる可能性があるという問題があった。
(3)企業認証と構成員認証の2段階認証では、なりすましを完全に防ぐことはできず、当事者ではない第三者が身元(在籍)を偽って、電子データ受け渡し行為を不正に実施する可能性があるという問題があった。
(4)退職等で企業内の身元(在籍)を喪失した者が、過去に受け渡しを実施した電子データが意図しない状態で相手側に残存する可能性があるという問題があった。
【0004】
また、特許文献2と3は、一般利用者(私的利用)を識別する一般利用者識別データと従業者を識別する従業員識別データとが予め対応付けるものであり、その場合に使用される連携サーバープログラム、業者用サーバープログラム、及びデータ連携システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6328867号公報
【特許文献2】特開2019-105913号公報
【特許文献3】特許第7107979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般利用者(私的利用)の電子データ送受信についても、その情報漏洩等はあってはならないが、企業と企業の間で取引を行う場合には、個人的な場合とは異なる要求や法的規制(法令順守)が求められる。法的規制としては、企業間では、商法や会社法の遵守が必要になり、利益相反取引の禁止や、コーポレートガバナンスや内部統制システムの構築等が求められる。なお、近年は、メールでの議決権行使や、貸借対照表のホームページでの決算公告が可能になっている。
しかしながら、建築業界とソフトウェア業界というように各々の業界で最新の技術による高度なセキュリテリィを維持するとなると、非常に高価な費用が必要になったり、操作が複雑になるなどの問題を有するのみならず、問題が生じるとその責任の所在が問題になり、企業は重い責任が課される。特に、電子データの送受信が企業間で安全に行われたとしても、その後の保存や閲覧を一定の範囲に広げると、情報の漏洩の原因になることが高くなる。
さらに、世界的なCOVIT-19の感染拡大に伴う、リモートワーク化等のワークスタイルの変更により、従来の組織主導で行われてきたビジネス判断の一部が従業者裁量にシフトする傾向にあるため、先にあげた課題が発生しやすい状況を作り出している。
【0007】
そこで、本発明の目的は、企業間取引(ビジネス目的)のように、組織間での電子データの送受信(受け渡し)をするに際して、送信元、送信先となる従業者に対して組織として身元の確認を行い、各組織の責任において電子データの内容に対して承認されたものだけが送信と受信が実行されるとともに、前記送受信の対象となる電子データは、取引関係にある組織であっても、送信元と送信先となる従業者が利用する専用のアプリケーション(以降はアプリケーションをアプリと記載する。)でのみ閲覧できるようにして、送受信される電子データの信頼性と秘匿性を高めることが可能な電子データ送受信管理方法及び電子データ送受信管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子データ送受信管理方法は、ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリケーション(以降はアプリケーションをアプリと記載する)がインストールされた端末から使用者用アプリがインストールされた電子計算機とサービスアプリがインストールされた電子計算機を経由して別の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末に電子データを受け渡す電子データ送受信管理方法であって、従業者用アプリがインストールされた端末では、電子データの送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番ステップと、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化ステップと、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請ステップを実行するとともに、電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧ステップを実行し、使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認ステップと、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認ステップを実行するとともに、他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答ステップと、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認ステップを実行し、サービスアプリがインストールされた電子計算機では、前記伝票番号の採番時に使用した情報から相手先情報を抽出して相手先の組織を特定する通信先特定ステップと、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継ステップを実行することを特徴とする。
【0009】
ここで、「使用者」とは、使用者、法人、国又は地方公共団体を含むものであり、「従業者」とは、法人の役員、国家公務員又は地方公務員を含むものである。このため、「組織」とは、民間法人のみならず公法的な法人を含むもので、組織的な集まりを含むものである。すなわち、ここでの用語の適用は、特許法第35条(職務発明)の規定に準拠する。
そして、アプリケーション(アプリ)とは、アプリケーションソフトウェアの略であり、特定の目的をもって、メインフレームやパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンのような電子計算機の基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)上やクラウドコンピューティング上で動作するように開発された専用のプログラムのことであり、上記のようなステップを単独あるいは他のアプリと連携して機能を実現させるものである。
また、「使用者用アプリ」とは当該組織の責任者として、組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリによる電子データ送受信に関する操作を管理、監督する権限を持ち、上記送信承認ステップや受信承認ステップを実行できるものが利用する。
そして、電子データとは、テキストデータ、文書ファイルデータ、アプリケーションソフトウェアなど、電子的なデータのすべてを意味するものであり、例えば電子マネーを用いた電子決済サービスや契約書等における電子署名がされたもの等を広く含むものとする。(本発明では、企業間の取り引き契約書のような重要書の機密性を図ることを想定している。)
【0010】
本発明の電子データ送受信管理方法における使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、自組織の従業者が利用する従業者用アプリで送信申請を実施すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリがインストールされた端末と連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証ステップ、
送信承認ステップ及び受信承認ステップを実行するために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを、一時的に復号化・可視化して閲覧可能にする一時閲覧ステップ、
さらに、電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって作成された伝票番号を基に電子データの送受信時に送信履歴及び受信履歴を記録して管理する履歴管理ステップと、
前記従業者用アプリがインストールされた端末からネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合ステップを実行することを特徴とする。
【0011】
また、本発明における電子データ送受信管理方法では、組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、当該従業者の従業者用アプリを無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除を依頼する削除依頼ステップを実行し、サービスアプリがインストールされた電子計算機では削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除を指示する削除指示ステップを実行し、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機では削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除を命令する削除命令ステップを実行し、削除命令の対象となった従業者用アプリがインストールされた端末では次の使用者用アプリがインストールされた電子計算機との連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除ステップを実行することを特徴とする
【0012】
そして、本発明の電子データ送受信管理方法におけるサービスアプリサービスアプリがインストールされた電子計算機では、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実施する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期ステップを実行することを特徴とする。
【0013】
本発明の電子データ送受信管理システムは、ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末から使用者用アプリがインストールされた電子計算機とサービスアプリがインストールされた電子計算機を経由して別の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末に電子データを受け渡す電子データ送受信管理システムであって、従業者用アプリがインストールされた端末は、電子データの送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番機能と、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化機能と、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請機能を実現させるとともに、電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧機能を実現させ、使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認機能と、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認機能を実現させるとともに、他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答機能と、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認機能を実現させ、サービスアプリがインストールされた電子計算機は、前記伝票番号の採番時に使用した情報から相手先情報を抽出して相手先の組織を特定する通信先特定機能と、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継機能を実現させることを特徴とする。
【0014】
本発明の電子データ送受信管理システムにおける使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、自組織の従業者が利用する従業者用アプリで送信申請を実施すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリがインストールされた端末と連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証機能と、
送信承認機能及び受信承認機能を実現させるために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを一時的に復号化・可視化して閲覧できる一時閲覧機能と、
電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって作成された伝票番号を基に電子データの送信履歴及び受信履歴を記録して管理する履歴管理機能と、
従業者用アプリがインストールされた端末からネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合機能を実現させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の電子データ送受信管理システムは、組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、当該従業者の従業者用アプリを無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除を依頼する削除依頼機能を実現させ、サービスアプリがインストールされた電子計算機は削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除を指示する削除指示機能を実現させ、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機では削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除を命令する削除命令機能を実現させ、削除命令の対象となった従業者用アプリがインストールされた端末は次の使用者用アプリがインストールされた電子計算機との連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除機能を実現させることを特徴とする。
【0016】
そして、本発明の電子データ送受信管理システムにおけるサービスアプリがインストールされた電子計算機は、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実施する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期機能を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、送信元となる従業者から送信先となる従業者への電子データの送受信に対し、送信元となる従業者が所属する組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機から、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、送信先となる従業者の身元確認を行うステップの実行、及び機能の実現により、万が一、送信先の従業者がなりすましの場合や、離職等により既に従業者の資格を喪失している場合に電子データ送受信の成立を未然に防ぐことが可能となる。
また、本発明によれば、使用者アプリがインストールされた電子計算機によって送受信しようとする電子データの内容を組織の責任者が確認して承認するステップの実行、及び機能の実現により、電子データの送受信の成立前に電子データの内容が組織の責任において送信の可否判断、受信の可否判断が可能となる。
そして、本発明によれば、自組織の従業者が利用する従業者用アプリから送信申請を実行すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリと連携して当該組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して送信元となる従業者の身元を保証する身元保証ステップ、及び機能を備えているので、なりすましでないことを確認可能となる。
このように送信先となる従業者の身元確認、送受信しようとする電子データに対する組織の責任者による承認、送信元となる従業者の身元保証や、従業者用アプリからネットワークを介して連携された際に確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合を行うので、企業の責任において電子データの確実な送受信を実現する。
【0018】
そして、本発明の使用者アプリによって、送信元となる従業者用アプリによって送信元および送信先双方の情報を基に採番される伝票番号は可逆性を有しており、採番時に使用した情報から送信元および送信先双方の情報を抽出でき、この伝票番号を送信履歴及び受信履歴として記録して管理することにより従業者用アプリ、使用者用アプリとの関係で種々様々な機能を実現する。
【0019】
上述のように、本発明により、企業間取引(ビジネス目的)のように、組織間での電子データの送受信(受け渡し)をするに際して、送信元、送信先となる従業者に対して組織として身元の確認と保証を行い、各組織の責任において送受信が承認された電子データのみ送受信が実行されるとともに、前記送受信の対象となる電子データは、取引関係にある組織であっても、送信元および送信先の組織の送受信に関与する者のみがアプリを利用する条件に限定して閲覧できるようにすることで、送受信される電子データの信頼性と秘匿性を高めることが可能な電子データ送受信管理方法及び電子データ送受信管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態の電子データの送受信管理方法の概要を示す図である。
【
図2】上記実施の形態の電子データ送受信管理方法の概要を示す図である。
【
図3】上記実施の形態の電子データ送受信管理方法の概要を示す別図である。
【
図4】上記実施の形態の電子データの送受信管理に係るサービスの利用開始までの流れを示す図である。
【
図5】上記実施の形態の電子データの送受信に係る手続の流れと受領連絡の流れを示す図である。
【
図6】上記実施の形態の送信申請手続を示す図である。
【
図7】上記実施の形態の送信承認及び受信承認手続を示す図である。
【
図8】上記実施の形態の受信した電子データの閲覧を示す図である。
【
図10】上記実施の形態の従業者用アプリの利用資格喪失時の手続を示す図である。
【
図11】上記実施の形態の同時かつ双方向の電子データの送受信の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図を用いて具体的に説明するが、本実施の形態において、「企業」を電子データの送受信の管理を行う主体となる「組織」に設定して説明を進める。
【0022】
(電子データ送受信管理方法の基本構成)
図1ないし
図3は、本発明の実施の形態における電子データ送受信管理方法100の概要を説明する図である。
図1は、サービス提供者Spが、本実施の形態の形態において利用される従業者用アプリ、使用者用アプリ、サービスアプリにより信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信サービスを提供する事業者であり、当該電子データDを送受信するサービスを利用するA社及びB社において、使用者用アプリUと従業者用アプリEが利用されていることを示している。
また、本実施の形態における使用者用アプリUは各組織(各企業)に1つであり、従業者用アプリEは少なくとも1つ以上であり、例えばA社における従業者用アプリEは、Ea1、Ea2、Ea3・・・と複数利用が想定されることを示している。
なお、各アプリや機能の詳細ついては後述する。
【0023】
(アプリについて)
本実施の形態において、アプリとはアプリケーションソフトウェアの略であり、特定の目的をもって、メインフレームやパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンのような電子計算機の基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)上やクラウドコンピューティング上で動作するように開発された専用のプログラムのことであり、上記のようなステップを単独あるいは他のアプリケーションと連携して実行し、機能を実現させるものであり、サービス提供者Spは、本発明の目的である信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信を行うために必要な機能を実現させる環境を利用者に供給してサービスを提供する。
【0024】
図2、
図3はA社に所属する(在籍する)従業者Lが送信元、B社に所属する(在籍する)従業者Oが送信先となる電子データDの送受信を示しているとともに、従業者用アプリE(送信元となる従業者Lの従業者用アプリEa1、送信先となる従業者Oの従業者用アプリEb1)、使用者用アプリU(送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUa、送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUb)、サービスアプリSaがネットワークを介して連携動作していることを示している。
【0025】
(サービスアプリについて)
また、本実施の形態の電子データ送受信管理方法では、A社とB社のように組織を跨ぐ電子データDの送受信を行う場合に、送受信の対象となる電子データDだけでなく、後述する身元確認や身元確認回答といった組織を跨いだ種々の情報のやり取りについてもサービスアプリSaを経由するように構成されている。
なお、本実施の形態では電子データDの実体そのものがアプリ間を流通する形態を記載しているが、ネットワークのトラフィック増加を抑止する目的で、電子データDの実体は、中立かつ安全なストレージに格納し、各アプリでは電子データDへの参照情報(リンク情報)が流通する形態を適宜選択可能とする。
【0026】
(使用者用アプリ及び従業者用アプリの取得)
図4は、本実施の形態における電子データDの送受信サービスの利用申請から利用開始までの手順を示した図であり、まず、本実施の形態における電子データの送受信管理サービスの利用を希望するA社は、サービスを利用する従業者に対して固有に付与した従業者識別番号と、各従業者が利用する情報端末固有の識別番号であるMACアドレスを対にして、サービス提供者Spに当該サービスの利用申請を行う。
次にサービス提供者Spは、A社固有の識別番号である組織識別番号を採番して、A社に対してA社を代表する一つの使用者用アプリUと、利用申請を行った各従業者(と各従業者に関連付られた情報端末)用の従業者用アプリEをセットアップして供給する。
A社はサービス提供者Spから供給された使用者用アプリUに、各従業者の承認処理を実施する責任者を設定し、各従業者に従業者用アプリEを供給する。
これにより、使用者用アプリU及び従業者用アプリEが識別可能な状態となる(
図1、
図2参照)。
そして供給された使用者用アプリU及び従業者用アプリEを使用することにより当該サービスの利用が可能となる。
サービスの利用にあたり、使用者用アプリUはサービスアプリSpと、従業者用アプリEは使用者用アプリと連携している間のみ、機能を使用することが可能である。
なお、本実施の形態では当該サービスの利用申請方法や各アプリの供給手段にはネットワークを介した手続が想定されているが、既知の供給手段を適宜選択可能である。
【0027】
(送信元となる従業者用アプリについて)
図2及び
図5が示すように、A社に所属する従業者Lが送信元、B社に所属する従業者Oが送信先となる電子データDの送受信では、従業者Lが従業者用アプリEa1において、送信先を指定することで、伝票番号採番機能Fe1により(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号と、従業者用アプリEa1が内部に保持している、(3)送信元となる従業者Lが所属するA社の組織識別番号と(4)送信元となる従業者Lの従業者識別番号と、さらに後述する(5)送信申請を実施した日時を基に、当該電子データ固有の伝票番号を採番し(伝票番号採番ステップ)、暗号化機能Fe2により採番された伝票番号で送信対象となる電子データDを暗号化する(暗号化ステップ)。
ここで、従業者用アプリE(Ea1)による電子データの暗号化については、送信元となる従業者Lが上記の(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と、(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号を指定すると、従業者用アプリEa1
がインストールされた端末が残りの(3)(4)(5)を自動検出する機能を
実現させる。
そして、送信申請機能Fe3により、所属するA社の使用者用アプリUaに対して、当該電子データDの送信を申請する(送信申請ステップ)(
図6参照)。
本実施の形態において、送信先の指定とは、送信元の従業者Lが従業者用アプリEa1に、当該電子データDの送信先となる従業者Oから事前に情報開示された、従業者Oの従業者識別番号とB社の組織識別番号を入力して指定することであり、送信の申請とは、従業者Lが従業者用アプリEa1で前記送信先の指定後に送信申請ボタンを押下することであるが、その手法(ユーザインタフェース)は特に限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0028】
(所属する従業者が送信元となる場合の使用者用アプリについて)
次に、従業者Lの従業者用アプリEa1において電子データDの送信申請が実行されると、使用者用アプリUaでは、身元確認機能Fu1により送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbに対して、サービスアプリSaを経由して送信先となる従業者Oが在籍しているか否か身元を確認する(身元確認ステップ)。
そして、送信承認機能Fu2により従業者Lが送信しようとする電子データDの内容をA社の責任者が確認して送信の可否を判断する(送信承認ステップ)。
ここで、本実施の形態における使用者用アプリUは、ネットワークを介して従業者用アプリEとネットワークを介して連携を行うに際して、従業者用アプリEの利用資格を有する従業者に付されている従業者識別番号から自組織に所属する従業者であることを確認する身元照会機能Fu3を備えており、上記のように、A社に所属する従業者Lが送信元、B社に所属する従業者Oが送信先となる電子データDの送受信を行う場合に、A社の使用者用アプリUaの送信先となる従業者Oに関する身元確認に対して、B社の使用者用アプリUbは身元照会機能Fu3によって得られている情報から、身元確認回答機能Fu4により従業者Oが(B社に)所属している従業者であるか否かの身元確認回答を行う(身元確認回答ステップ)。
【0029】
そして、上記送信承認ステップでは本実施の形態におけるA社の使用者用アプリUaは、送信申請された電子データDについて、A社の責任において、B社に所属する従業者Oに対する当該電子データ送信の可否を判断するが、A社の従業者Lが従業者用アプリEa1で送信申請した電子データは伝票番号によって暗号化され、A社の使用者用アプリUaに届き、使用者用アプリUaは送信の可否を判断する責任者に承認依頼を通知し、責任者は使用者用アプリUaを使用して承認または否決の判断を行う。
このとき、責任者は使用者用アプリUaの一時閲覧機能Fu5により、承認判断に必要な電子データの内容確認のために一時的に暗号化された電子データを復号化し一時的に閲覧する(一時閲覧ステップ)。
この送信承認ステップにおいて、使用者用アプリUaがインストールされた電子計算機は、責任者が上位職責の責任者に承認判断を仰ぐことができるように、承認ルートの追加や変更を柔軟に行うための機能を実現させる。
【0030】
このように、従業者Lの従業者用アプリEa1が行う送信申請は、A社の使用者用アプリUaによる身元確認を行ってB社の使用者用アプリUbによる送信先となる従業者Oが確かにB社に所属しているという身元確認回答を受けるとともに、A社責任者による電子データDの内容確認のうえ送信承認を受けなければ送信の手続きは継続されない。
【0031】
さらに、本実施の形態における使用者用アプリUaは、A社に所属する従業者Lが従業者用アプリEa1から送信申請を実行すると、身元保証機能Fu6によりネットワークを介して前記従業者用アプリEa1と通信連携してA社によって予め付された従業者固有の従業者識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者Lがなりすましでないことを確認して身元を保証する(身元保証ステップ)ので、送信先だけでなく、送信元にもなりすまし等の不正がない安全な電子データの送受信を担保できる。
【0032】
(所属する従業者が送信先となる場合の使用者用アプリについて)
電子データDの送信元となる従業者Lが従業者用アプリEa1で、電子データDの伝票番号採番ステップと暗号化ステップを実行し、A社の使用者用アプリUaに対して送信申請を行うと、A社の使用者用アプリUaは、サービスアプリSa経由で身元確認ステップを実行する。このときサービスアプリSaは、前記伝票番号は可逆性を有しており、採番時に使用した情報から、送信先となるB社の組織識別番号を特定し、B社の使用者用アプリUbに依頼を中継し、B社の使用者用アプリUbは前記伝票番号から同様に、送信先となる従業者Oの従業者識別番号を特定して身元確認ステップを実行する。
そうすると、本実施の形態におけるB社の使用者用アプリUbは、サービスアプリSa経由で身元確認を依頼されるが、このとき、A社の使用者用アプリUaが電子データDに採番された伝票番号から特定する従業者Oの従業者識別番号と、上述のようにB社の使用者用アプリUbの身元照会機能によって保持されている従業者Oの従業者識別番号とが照合される。
そして、従業者Oの従業者識別番号の照合の結果を身元確認回答機能Fu4によりサービスアプリSa経由でA社の使用者用アプリUaに回答する(身元確認回答ステップ)。
【0033】
つぎに、本実施の形態におけるB社の使用者用アプリUbは、受信した電子データDについて、B社の責任において、所属する従業者Oの当該電子データ受信の可否を判断する(
図7参照)。
B社の使用者用アプリUbは、送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUaによって送信承認された電子データDを、サービスアプリSaを介して受信する。
B社の使用者用アプリUbは、受信承認機能Fu7により受け取った電子データの受信の可否を判断する責任者に承認依頼を通知し、責任者は使用者用アプリUbを使用して承認または否決の判断を行う(受信承認ステップ)。
このとき、責任者は使用者用アプリUbの一時閲覧機能Fu5により、承認判断に必要な電子データの内容確認のために一時的に暗号化された電子データを復号化し一時的に閲覧する(一時閲覧ステップ)。
この受信承認ステップにおいて、使用者用アプリUbは、責任者が上位職責の責任者に承認判断を仰ぐことができるように、承認ルートの追加や変更を柔軟に行うことができる。
【0034】
(送信先となる従業者用アプリについて)
B社の使用者用アプリUbにおいて、電子データDの受信承認がなされると、送信先となる従業者Oの従業者用アプリEb1が電子データDを受信する。
そして、従業者用アプリE(Eb1)が備える閲覧機能Fe4により、暗号化されて送信された電子データDを復号化・可視化して閲覧することができるようになる(閲覧ステップ)(
図8参照)。
このように、送信元であるA社の従業者Lから送信先であるB社の従業者Oに電子データDを受け渡すに際し、A社の責任において送信承認がなされ、B社の責任において受信承認がなされることで、電子データの送受信や送受信された電子データの内容に問題があった場合の責任の所在が明らかとなり、信頼性の高い電子データの送受信の実現に貢献する。
【0035】
(使用者用アプリの履歴管理について)
これまで、送信元となるA社に所属する従業者Lから送信先となるB社に所属する従業者Oへの電子データDの受け渡しを説明してきたが、本実施の形態における使用者用アプリU
がインストールされた電子計算機では、送信元となる従業者の従業者用アプリEにおいて、送信申請が行われると、送信しようとする電子データに採番される伝票番号に基づき、以後の当該電子データに関するアクションが履歴として管理される機能を
実現させる(
図9(b)参照)。
本実施の形態では、送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUaおよび送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbは電子データDの送受信の承認が完了したタイミングでその履歴を管理する(履歴管理機能Fu10)。
ここで、履歴の管理には送信元となる従業者Lの従業者用アプリの伝票番号採番機能Fe1により採番された電子データ固有の伝票番号を使用するが、具体的には伝票番号は、(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と、(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号と、従業者用アプリEa1が内部に保持している、(3)送信元となる従業者Lが所属するA社の組織識別番号と(4)送信元となる従業者Lの従業者識別番号に加え、(5)送信申請を行った日時を基に採番する(
図9(a)参照)。
これにより、各電子データの伝票番号は識別力を有するので、履歴を管理することが可能となり、電子データの送受信に問題があった場合や、従業者の離職等により従業者用アプリEの利用資格の喪失に伴う処理が必要な場合など、遡って当該電子データに関連した履歴の抽出が可能となる。
また、各電子データの伝票番号が識別力を有する事で、使用者用アプリU内に電子データそのものを履歴として格納する必要がなく、秘匿性の向上だけでなく蓄積データの肥大化防止にも奏効する。
本実施の形態では、履歴の管理に使用される電子データの伝票番号は上記(1)~(5)の要素により採番されるが、電子データの題名(「契約書」や「仕様書」、「見積書」)などの別の要素を組み込むことも可能で、その内容は適宜選択可能である。
【0036】
(従業者のサービス利用資格喪失時の手続について)
ここでは本実施の形態における電子データ送受信サービスを利用する組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリEの利用資格を喪失した場合の手続を
図10に基づき説明する。
また、
図1を参照し、離職した従業者を従業者M、従業者Mが所属していた組織をA社、離職した従業者が電子データの送信先となった従業者を従業者P、従業者Pが所属する組織をB社とする。
まず、A社は、離職した従業者Mの従業者用アプリEa2の機能を無効化する。これにより、従業者Mが利用していた従業者用アプリEa2がこれまでに受信した電子データは削除される。
そして使用者用アプリUaは、管理している履歴から従業者Mが過去に行った電子データの送信を抽出してサービスアプリSaに当該電子データの
削除を依頼する削除依頼機能Fu8を備えており、削除依頼を受けたサービスアプリSaが備える削除指示機能Fs1により、削除依頼を送信する送信先であったB社を特定して使用者用アプリUbに当該電子データの
削除を指示する(削除指示ステップ)。
このとき、サービスアプリSaでは削除依頼が行われた電子データの伝票番号の要素となっている送信先の組織識別番号とサービスアプリSaにて保持している組織識別番号との照合が行われ、該当する組織の使用者用アプリに対して削除指示の電文が送信される。
そして、サービスアプリSaから送信された削除指示を受けたB社の使用者用アプリUbは、削除指示の対象となる電子データを受信した従業者Pを特定して、削除命令機能Fu9によって従業者用アプリEb2に対して対象となる電子データの
削除を命令する(削除命令ステップ)。
このとき、使用者用アプリUbでは、削除命令の対象となる電子データの伝票番号の要素となっている送信先の従業者Pの従業者識別番号と、使用者用アプリUbにて保持している従業者Pの従業者識別番号との照合が行われ、削除命令の電文が作成される。
そして、当該従業者用アプリEb2は次の使用者用アプリUbとの連携時に削除命令を受けると対象となる電子データを削除する削除機能Fe5を備えており、当該電子データが従業者用アプリEb2から削除される。
これにより、離職者が悪意を持って送受信した電子データを持ち出すことや、過去に電子データを送信した相手から譲り受けることが困難になり、安全で秘匿性の高い電子データの管理が可能となる。
【0037】
また、過去に送受信された電子データが時間の経過や、内容の訂正・更新等により陳腐化した場合には、使用者用アプリからだけでなく従業者用アプリEを起点とする削除が可能である。
送信した電子データDが内容の訂正や更新が行われたことで陳腐化した場合に、過去に当該電子データの送信元となった従業者Lが、従業者用アプリEa1により当該電子データDを選択して削除申請を行う。
このとき、従業者Lは従業者用アプリEa1において削除対象となる電子データDの送信申請を実施した際の伝票番号を選択して削除申請を行うが、それ以後は上述した通り、削除対象となる電子データDの伝票番号を基に、削除申請を受けた使用者用アプリUaからサービスアプリSaに対して削除依頼が行われ、削除依頼を受けたサービスアプリSaから当該電子データDに関する履歴を管理している使用者用アプリUbに対して削除指示が行われ、削除指示を受けた使用者用アプリEbが当該電子データDの送信先であった従業者Oの従業者用アプリEb1と通信連携した際に削除命令が行われ、従業者用アプリEb1において削除が完了する。
また、このような手法を用いれば、削除対象となる電子データDの送信元である従業者Lからだけではなく、送信先であった従業者Oからの削除申請も可能である。
【0038】
(名刺交換等の電子データの相互同時送信について)
本実施の形態の電子データの送受信管理を利用する、A社に所属する従業者LとB社に所属する従業者Oが名刺(データ)の交換を行う場合を説明する。
名刺交換のように2者が相互かつ同時に電子データの送受信を実現するために、従業者用アプリE(の伝票番号採番機能Fe1)がインストールされた電子計算機は、当該電子データの送信先を指定するとともに、当該電子データの送信が上述したような一方向の電子データの送信であるのか、名刺交換のような双方向の電子データの送信であるのかを選択する機能を実現させる。
名刺交換を行う従業者Lは、電子データDの送信先の指定を行う際に、送信先となる従業者Oとの双方向の電子データの送信を選択する。
このとき、送信元となる従業者Lが従業者用アプリEa1において、当該電子データDaの送信を双方向として選択すると、(従業者Lから送信される)電子データDaの伝票番号に双方向の送信である情報が付加される。
送信申請を受けた使用者用アプリUaでは、一方向の送信と同様に送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbに対して身元確認を行ってB社の使用者用アプリUbからの身元確認回答を受けるとともに、一時閲覧機能Fu5により責任者による電子データDaの内容確認を経て送信承認が実行される。
サービスアプリSaは、前記伝票番号から当該電子データDaの送信が双方向であることを判断すると、承認確認同期機能Fs2によりB社の使用者用アプリUbからの送信承認が実行されるまで、当該電子データDaの送信を成立させず保留状態とする(承認確認同期ステップ)。
他方、従業者Oも従業者Lと同様に、従業者用アプリEb1において電子データDの送信を行う際に、当該電子データDの送信が送信先となる従業者Lとの双方向の電子データDbの送信を選択して送信申請を行う。
B社の使用者用アプリUbでも、一方向の送信と同様のステップを経て電子データDbに対する送信承認が実行され、A社とB社双方の送信承認が揃うとサービスアプリSaから、承認確認同期機能Fs2により電子データDa及びDbの送信が相互かつ同時に成立する。
このように、本実施の形態の電子データの送受信管理方法やシステムを利用することで、一方向の電子データの送受信だけでなく、昨今のワークスタイルの変更により、従来の組織主導で行われてきたビジネス判断の一部が従業者裁量にシフトする傾向の中で、リモートワークを行っていても、所属する組織の承認を受けた電子データの相互かつ同時で平等な送受信が可能となる。
【0039】
なお、本実施の形態では、電子データの送受信を行う組織をA社、B社として説明を行ったが、本発明における「組織」を、企業内の「部門」に置換することや、A社、B社のように2者間だけでなく、3者以上の複数の組織の電子データの送受信に拡張が可能であるため、本発明により様々な場面で信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信が実現できる。
【符号の説明】
【0040】
100 電子データ送受信管理方法、
D,Da,Db 電子データ、
E,Ea1,Ea2,Ea3,Eb1,Eb2 従業者用アプリ、
Fe1 伝票番号採番機能、
Fe2 暗号化機能、
Fe3 送信申請機能、
Fe4 閲覧機能、
Fe5 削除機能、
Fs1 削除指示機能、
Fs2 承認確認同期機能、
Fu1 身元確認機能、
Fu2 送信承認機能、
Fu3 身元照会機能、
Fu4 身元確認回答機能、
Fu5 一時閲覧機能、
Fu6 身元保証機能、
Fu7 受信承認機能、
Fu8 削除依頼機能、
Fu9 削除命令機能、
Fu10 履歴管理機能、
L,M,O,P 従業者、
Sa サービスアプリ、
Sp サービス提供者、
U,Ua,Ub 使用者用アプリ
【手続補正書】
【提出日】2023-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリケーション(以降はアプリケーションをアプリと記載する)がインストールされた端末から使用者用アプリがインストールされた電子計算機とサービスアプリがインストールされた電子計算機を経由して別の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末に電子データを受け渡す電子データ送受信管理方法であって、
従業者用アプリがインストールされた端末では、
電子データの送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番ステップと、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化ステップと、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請ステップを実行するとともに、
電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧ステップを実行し、
使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、
自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認ステップと、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認ステップを実行するとともに、
他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答ステップと、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認ステップを実行し、
サービスアプリがインストールされた電子計算機では、
前記伝票番号の採番時に使用した情報から相手先情報を抽出して相手先の組織を特定する通信先特定ステップと、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継ステップを実行することを特徴とする電子データ送受信管理方法。
【請求項2】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、自組織の従業者が利用する従業者用アプリで送信申請を実施すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリがインストールされた端末と連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項3】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、送信承認ステップ及び受信承認ステップを実行するために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを、一時的に復号化・可視化して閲覧可能にする一時閲覧ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項4】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって作成された伝票番号を基に電子データの送受信時に送信履歴及び受信履歴を記録して管理する履歴管理ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項5】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、前記従業者用アプリがインストールされた端末からネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項6】
組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、当該従業者の従業者用アプリを無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除を依頼する削除依頼ステップを実行し、サービスアプリがインストールされた電子計算機では削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除を指示する削除指示ステップを実行し、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機では削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除を命令する削除命令ステップを実行し、削除命令の対象となった従業者用アプリがインストールされた端末では次の使用者用アプリがインストールされた電子計算機との連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除ステップを実行することを特徴とする請求項4に記載の電子データ送受信管理方法。
【請求項7】
前記サービスアプリがインストールされた電子計算機では、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実施する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期ステップを実行することを特徴とする請求項1記載の企業間の電子データ送受信管理方法。
【請求項8】
ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末から使用者用アプリがインストールされた電子計算機とサービスアプリがインストールされた電子計算機を経由して別の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末に電子データを受け渡す電子データ送受信管理システムであって、
従業者用アプリがインストールされた端末は、
電子データの送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番機能と、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化機能と、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請機能を実現させるとともに、
電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧機能を実現させ、
使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、
自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認機能と、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認機能を実現させるとともに、
他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答機能と、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認機能を実現させ、
サービスアプリがインストールされた電子計算機は、
前記伝票番号の採番時に使用した情報から相手先情報を抽出して相手先の組織を特定する通信先特定機能と、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継機能を実現させることを特徴とする電子データ送受信管理システム。
【請求項9】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、自組織の従業者が利用する従業者用アプリで送信申請を実施すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリがインストールされた端末と連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証機能を実現させることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項10】
使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、送信承認機能及び受信承認機能を実現させるために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを一時的に復号化・可視化して閲覧できる一時閲覧機能を実現させることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項11】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって作成された伝票番号を基に電子データの送信履歴及び受信履歴を記録して管理する履歴管理機能を実現させることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項12】
前記使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、前記従業者用アプリがインストールされた端末からネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合機能を実現させることを特徴とする請求項8に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項13】
組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、当該従業者の従業者用アプリを無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除を依頼する削除依頼機能を実現させ、サービスアプリがインストールされた電子計算機は削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除を指示する削除指示機能を実現させ、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機では削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除を命令する削除命令機能を実現させ、削除命令の対象となった従業者用アプリがインストールされた端末は次の使用者用アプリがインストールされた電子計算機との連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除機能を実現させることを特徴とする請求項11に記載の電子データ送受信管理システム。
【請求項14】
前記サービスアプリがインストールされた電子計算機は、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実施する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期機能を実現させることを特徴とする請求項8記載の企業間の電子データ送受信管理システム。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の組織間での電子データの受け渡しに関し、送信元、送信先となる従業者の身元の確認や、送受信の対象となる電子データの内容に対する承認が行われなければ、組織間の電子データの受け渡しを成立させないデータ送受信管理方法及び企業間のデータ送受信管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子データの受け渡しに関しては、種々様々ものが開示されているが、例えば、名刺に係る情報の管理に特化したものとしては、特許文献1記載の技術が知られている。
特許文献1記載の技術は、企業認証と構成員認証の2段階の認証技術を備え、蓄積した名刺に係る情報および企業情報を活用して、名刺に係る情報を管理する情報管理システムである。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の技術においては、情報の管理方法の特徴から、最新の相手企業情報の取得およびグローバル規模(ワールドワイド)での実現は困難である。さらに、以下の課題(1)~(4)が解決できない。
(1)電子データの受け渡しを、当事者間の判断のみで実施することで、企業が意図しない範囲への情報流出等の問題が発生する可能性があった。
(2)当該受信者のみの閲覧を意図した電子データを第三者に拡散させる可能性があるという問題があった。
(3)企業認証と構成員認証の2段階認証では、なりすましを完全に防ぐことはできず、当事者ではない第三者が身元(在籍)を偽って、電子データ受け渡し行為を不正に実施する可能性があるという問題があった。
(4)退職等で企業内の身元(在籍)を喪失した者が、過去に受け渡しを実施した電子データが意図しない状態で相手側に残存する可能性があるという問題があった。
【0004】
また、特許文献2と3は、一般利用者(私的利用)を識別する一般利用者識別データと従業者を識別する従業員識別データとが予め対応付けるものであり、その場合に使用される連携サーバープログラム、業者用サーバープログラム、及びデータ連携システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6328867号公報
【特許文献2】特開2019-105913号公報
【特許文献3】特許第7107979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般利用者(私的利用)の電子データ送受信についても、その情報漏洩等はあってはならないが、企業と企業の間で取引を行う場合には、個人的な場合とは異なる要求や法的規制(法令順守)が求められる。法的規制としては、企業間では、商法や会社法の遵守が必要になり、利益相反取引の禁止や、コーポレートガバナンスや内部統制システムの構築等が求められる。なお、近年は、メールでの議決権行使や、貸借対照表のホームページでの決算公告が可能になっている。
しかしながら、建築業界とソフトウェア業界というように各々の業界で最新の技術による高度なセキュリテリィを維持するとなると、非常に高価な費用が必要になったり、操作が複雑になるなどの問題を有するのみならず、問題が生じるとその責任の所在が問題になり、企業は重い責任が課される。特に、電子データの送受信が企業間で安全に行われたとしても、その後の保存や閲覧を一定の範囲に広げると、情報の漏洩の原因になることが高くなる。
さらに、世界的なCOVID-19の感染拡大に伴う、リモートワーク化等のワークスタイルの変更により、従来の組織主導で行われてきたビジネス判断の一部が従業者裁量にシフトする傾向にあるため、先にあげた課題が発生しやすい状況を作り出している。
【0007】
そこで、本発明の目的は、企業間取引(ビジネス目的)のように、組織間での電子データの送受信(受け渡し)をするに際して、送信元、送信先となる従業者に対して組織として身元の確認を行い、各組織の責任において電子データの内容に対して承認されたものだけが送信と受信が実行されるとともに、前記送受信の対象となる電子データは、取引関係にある組織であっても、送信元と送信先となる従業者が利用する専用のアプリケーション(以降はアプリケーションをアプリと記載する。)でのみ閲覧できるようにして、送受信される電子データの信頼性と秘匿性を高めることが可能な電子データ送受信管理方法及び電子データ送受信管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子データ送受信管理方法は、ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリケーション(以降はアプリケーションをアプリと記載する)がインストールされた端末から使用者用アプリがインストールされた電子計算機とサービスアプリがインストールされた電子計算機を経由して別の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末に電子データを受け渡す電子データ送受信管理方法であって、従業者用アプリがインストールされた端末では、電子データの送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番ステップと、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化ステップと、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請ステップを実行するとともに、電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧ステップを実行し、使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認ステップと、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認ステップを実行するとともに、他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答ステップと、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認ステップを実行し、サービスアプリがインストールされた電子計算機では、前記伝票番号の採番時に使用した情報から相手先情報を抽出して相手先の組織を特定する通信先特定ステップと、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継ステップを実行することを特徴とする。
【0009】
ここで、「使用者」とは、使用者、法人、国又は地方公共団体を含むものであり、「従業者」とは、法人の役員、国家公務員又は地方公務員を含むものである。このため、「組織」とは、民間法人のみならず公法的な法人を含むもので、組織的な集まりを含むものである。すなわち、ここでの用語の適用は、特許法第35条(職務発明)の規定に準拠する。
そして、アプリケーション(アプリ)とは、アプリケーションソフトウェアの略であり、特定の目的をもって、メインフレームやパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンのような電子計算機の基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)上やクラウドコンピューティング上で動作するように開発された専用のプログラムのことであり、上記のようなステップを単独あるいは他のアプリと連携して機能を実現させるものである。
また、「使用者用アプリ」とは当該組織の責任者として、組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリによる電子データ送受信に関する操作を管理、監督する権限を持ち、上記送信承認ステップや受信承認ステップを実行できるものが利用する。
そして、電子データとは、テキストデータ、文書ファイルデータ、アプリケーションソフトウェアなど、電子的なデータのすべてを意味するものであり、例えば電子マネーを用いた電子決済サービスや契約書等における電子署名がされたもの等を広く含むものとする。(本発明では、企業間の取り引き契約書のような重要書類の機密性を図ることを想定している。)
【0010】
本発明の電子データ送受信管理方法における使用者用アプリがインストールされた電子計算機では、自組織の従業者が利用する従業者用アプリで送信申請を実施すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリがインストールされた端末と連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証ステップ、
送信承認ステップ及び受信承認ステップを実行するために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを、一時的に復号化・可視化して閲覧可能にする一時閲覧ステップ、
さらに、電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって作成された伝票番号を基に電子データの送受信時に送信履歴及び受信履歴を記録して管理する履歴管理ステップと、
前記従業者用アプリがインストールされた端末からネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合ステップを実行することを特徴とする。
【0011】
また、本発明における電子データ送受信管理方法では、組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、当該従業者の従業者用アプリを無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除を依頼する削除依頼ステップを実行し、サービスアプリがインストールされた電子計算機では削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除を指示する削除指示ステップを実行し、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機では削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除を命令する削除命令ステップを実行し、削除命令の対象となった従業者用アプリがインストールされた端末では次の使用者用アプリがインストールされた電子計算機との連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除ステップを実行することを特徴とする
【0012】
そして、本発明の電子データ送受信管理方法におけるサービスアプリがインストールされた電子計算機では、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実施する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期ステップを実行することを特徴とする。
【0013】
本発明の電子データ送受信管理システムは、ネットワークを介して所定の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末から使用者用アプリがインストールされた電子計算機とサービスアプリがインストールされた電子計算機を経由して別の組織に所属する従業者が利用する従業者用アプリがインストールされた端末に電子データを受け渡す電子データ送受信管理システムであって、従業者用アプリがインストールされた端末は、電子データの送信元となる場合に送信先となる従業者を指定して、当該電子データ固有の伝票番号を採番する伝票番号採番機能と、前記伝票番号で送信対象の電子データを暗号化する暗号化機能と、自組織の責任者が利用する使用者用アプリに対して電子データの送信を申請する送信申請機能を実現させるとともに、電子データの送信先となる場合に受信した電子データを復号化・可視化する閲覧機能を実現させ、使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、自組織に所属する従業者が電子データの送信元となる場合に、当該従業者が利用する従業者用アプリからの電子データの送信申請を受けると、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、サービスアプリを経由して送信先となる従業者が在籍しているか否か身元を確認する身元確認機能と、従業者が送信する当該電子データの内容を自組織の責任者が確認して送信の可否判断を行う送信承認機能を実現させるとともに、他組織からの前記身元確認に対して、自組織において予め付された従業者固有の識別番号を基に送信先となる従業者が当該組織に在籍しているか否かサービスアプリを経由して回答する身元確認回答機能と、他組織から送信される電子データの内容を確認して、送信先となる従業者が利用する従業者用アプリでの受信の可否判断を行う受信承認機能を実現させ、サービスアプリがインストールされた電子計算機は、前記伝票番号の採番時に使用した情報から相手先情報を抽出して相手先の組織を特定する通信先特定機能と、組織間の使用者用アプリの連携を中継する中継機能を実現させることを特徴とする。
【0014】
本発明の電子データ送受信管理システムにおける使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、自組織の従業者が利用する従業者用アプリで送信申請を実施すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリがインストールされた端末と連携して自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者がなりすましでないことを確認して身元を保証する身元保証機能と、
送信承認機能及び受信承認機能を実現させるために、送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって暗号化した電子データを一時的に復号化・可視化して閲覧できる一時閲覧機能と、
電子データの送信元となる従業者が利用する従業者用アプリによって作成された伝票番号を基に電子データの送信履歴及び受信履歴を記録して管理する履歴管理機能と、
従業者用アプリがインストールされた端末からネットワークを介して連携された際に、自組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が使用している端末のMACアドレスを照会して確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合機能を実現させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の電子データ送受信管理システムは、組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリの利用資格を喪失した場合に、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機は、当該従業者の従業者用アプリを無効化するとともに前記送信履歴から当該従業者が過去に実施した送信を抽出して前記サービスアプリに当該電子データの削除を依頼する削除依頼機能を実現させ、サービスアプリがインストールされた電子計算機は削除依頼を受けると、削除を指示する組織を特定して、当該組織の使用者用アプリに対して削除を指示する削除指示機能を実現させ、当該組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機では削除指示を受けると削除を命令する従業者を特定して削除を命令する削除命令機能を実現させ、削除命令の対象となった従業者用アプリがインストールされた端末は次の使用者用アプリがインストールされた電子計算機との連携時に削除命令を受け当該電子データを削除する削除機能を実現させることを特徴とする。
【0016】
そして、本発明の電子データ送受信管理システムにおけるサービスアプリがインストールされた電子計算機は、名刺の交換等の2つの組織の従業者が相互かつ同時に電子データの送受信することを前提とした電子データの送受信を実施する際に、双方の組織の使用者用アプリがともに電子データの送信を承認した場合にのみ、双方の組織に電子データを受け渡し、いずれか一方が承認しなかった場合には送受信を成立させない承認確認同期機能を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、送信元となる従業者から送信先となる従業者への電子データの送受信に対し、送信元となる従業者が所属する組織の使用者用アプリがインストールされた電子計算機から、送信先となる従業者が所属する組織の使用者用アプリに対して、送信先となる従業者の身元確認を行うステップの実行、及び機能の実現により、万が一、送信先の従業者がなりすましの場合や、離職等により既に従業者の資格を喪失している場合に電子データ送受信の成立を未然に防ぐことが可能となる。
また、本発明によれば、使用者アプリがインストールされた電子計算機によって送受信しようとする電子データの内容を組織の責任者が確認して承認するステップの実行、及び機能の実現により、電子データの送受信の成立前に電子データの内容が組織の責任において送信の可否判断、受信の可否判断が可能となる。
そして、本発明によれば、自組織の従業者が利用する従業者用アプリから送信申請を実行すると、ネットワークを介して前記従業者用アプリと連携して当該組織によって予め付された従業者固有の識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して送信元となる従業者の身元を保証する身元保証ステップ、及び機能を備えているので、なりすましでないことを確認可能となる。
このように送信先となる従業者の身元確認、送受信しようとする電子データに対する組織の責任者による承認、送信元となる従業者の身元保証や、従業者用アプリからネットワークを介して連携された際に確実に当該従業者本人であることを照合する身元照合を行うので、企業の責任において電子データの確実な送受信を実現する。
【0018】
そして、本発明の使用者アプリによって、送信元となる従業者用アプリによって送信元および送信先双方の情報を基に採番される伝票番号は可逆性を有しており、採番時に使用した情報から送信元および送信先双方の情報を抽出でき、この伝票番号を送信履歴及び受信履歴として記録して管理することにより従業者用アプリ、使用者用アプリとの関係で種々様々な機能を実現する。
【0019】
上述のように、本発明により、企業間取引(ビジネス目的)のように、組織間での電子データの送受信(受け渡し)をするに際して、送信元、送信先となる従業者に対して組織として身元の確認と保証を行い、各組織の責任において送受信が承認された電子データのみ送受信が実行されるとともに、前記送受信の対象となる電子データは、取引関係にある組織であっても、送信元および送信先の組織の送受信に関与する者のみがアプリを利用する条件に限定して閲覧できるようにすることで、送受信される電子データの信頼性と秘匿性を高めることが可能な電子データ送受信管理方法及び電子データ送受信管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態の電子データの送受信管理方法の概要を示す図である。
【
図2】上記実施の形態の電子データ送受信管理方法の概要を示す図である。
【
図3】上記実施の形態の電子データ送受信管理方法の概要を示す別図である。
【
図4】上記実施の形態の電子データの送受信管理に係るサービスの利用開始までの流れを示す図である。
【
図5】上記実施の形態の電子データの送受信に係る手続の流れと受領連絡の流れを示す図である。
【
図6】上記実施の形態の送信申請手続を示す図である。
【
図7】上記実施の形態の送信承認及び受信承認手続を示す図である。
【
図8】上記実施の形態の受信した電子データの閲覧を示す図である。
【
図10】上記実施の形態の従業者用アプリの利用資格喪失時の手続を示す図である。
【
図11】上記実施の形態の同時かつ双方向の電子データの送受信の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図を用いて具体的に説明するが、本実施の形態において、「企業」を電子データの送受信の管理を行う主体となる「組織」に設定して説明を進める。
【0022】
(電子データ送受信管理方法の基本構成)
図1ないし
図3は、本発明の実施の形態における電子データ送受信管理方法100の概要を説明する図である。
図1は、サービス提供者Spが、
本実施の形態において利用される従業者用アプリ、使用者用アプリ、サービスアプリにより信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信サービスを提供する事業者であり、当該電子データDを送受信するサービスを利用するA社及びB社において、使用者用アプリUと従業者用アプリEが利用されていることを示している。
また、本実施の形態における使用者用アプリUは各組織(各企業)に1つであり、従業者用アプリEは少なくとも1つ以上であり、例えばA社における従業者用アプリEは、Ea1、Ea2、Ea3・・・と複数利用が想定されることを示している。
なお、各アプリや機能の詳細ついては後述する。
【0023】
(アプリについて)
本実施の形態において、アプリとはアプリケーションソフトウェアの略であり、特定の目的をもって、メインフレームやパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンのような電子計算機の基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)上やクラウドコンピューティング上で動作するように開発された専用のプログラムのことであり、上記のようなステップを単独あるいは他のアプリケーションと連携して実行し、機能を実現させるものであり、サービス提供者Spは、本発明の目的である信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信を行うために必要な機能を実現させる環境を利用者に供給してサービスを提供する。
【0024】
図2、
図3はA社に所属する(在籍する)従業者Lが送信元、B社に所属する(在籍する)従業者Oが送信先となる電子データDの送受信を示しているとともに、従業者用アプリE(送信元となる従業者Lの従業者用アプリEa1、送信先となる従業者Oの従業者用アプリEb1)、使用者用アプリU(送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUa、送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUb)、サービスアプリSaがネットワークを介して連携動作していることを示している。
【0025】
(サービスアプリについて)
また、本実施の形態の電子データ送受信管理方法では、A社とB社のように組織を跨ぐ電子データDの送受信を行う場合に、送受信の対象となる電子データDだけでなく、後述する身元確認や身元確認回答といった組織を跨いだ種々の情報のやり取りについてもサービスアプリSaを経由するように構成されている。
なお、本実施の形態では電子データDの実体そのものがアプリ間を流通する形態を記載しているが、ネットワークのトラフィック増加を抑止する目的で、電子データDの実体は、中立かつ安全なストレージに格納し、各アプリでは電子データDへの参照情報(リンク情報)が流通する形態を適宜選択可能とする。
【0026】
(使用者用アプリ及び従業者用アプリの取得)
図4は、本実施の形態における電子データDの送受信サービスの利用申請から利用開始までの手順を示した図であり、まず、本実施の形態における電子データの送受信管理サービスの利用を希望するA社は、サービスを利用する従業者に対して固有に付与した従業者識別番号と、各従業者が利用する情報端末固有の識別番号であるMACアドレスを対にして、サービス提供者Spに当該サービスの利用申請を行う。
次にサービス提供者Spは、A社固有の識別番号である組織識別番号を採番して、A社に対してA社を代表する一つの使用者用アプリUと、利用申請を行った各従業者(と各従業者に関連付られた情報端末)用の従業者用アプリEをセットアップして供給する。
A社はサービス提供者Spから供給された使用者用アプリUに、各従業者の承認処理を実施する責任者を設定し、各従業者に従業者用アプリEを供給する。
これにより、使用者用アプリU及び従業者用アプリEが識別可能な状態となる(
図1、
図2参照)。
そして供給された使用者用アプリU及び従業者用アプリEを使用することにより当該サービスの利用が可能となる。
サービスの利用にあたり、使用者用アプリUはサービスアプリSpと、従業者用アプリEは使用者用アプリと連携している間のみ、機能を使用することが可能である。
なお、本実施の形態では当該サービスの利用申請方法や各アプリの供給手段にはネットワークを介した手続が想定されているが、既知の供給手段を適宜選択可能である。
【0027】
(送信元となる従業者用アプリについて)
図2及び
図5が示すように、A社に所属する従業者Lが送信元、B社に所属する従業者Oが送信先となる電子データDの送受信では、従業者Lが従業者用アプリEa1において、送信先を指定することで、伝票番号採番機能Fe1により(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号と、従業者用アプリEa1が内部に保持している、(3)送信元となる従業者Lが所属するA社の組織識別番号と(4)送信元となる従業者Lの従業者識別番号と、さらに後述する(5)送信申請を実施した日時を基に、当該電子データ固有の伝票番号を採番し(伝票番号採番ステップ)、暗号化機能Fe2により採番された伝票番号で送信対象となる電子データDを暗号化する(暗号化ステップ)。
ここで、従業者用アプリE(Ea1)による電子データの暗号化については、送信元となる従業者Lが上記の(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と、(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号を指定すると、従業者用アプリEa1がインストールされた端末が残りの(3)(4)(5)を自動検出する機能を実現させる。
そして、送信申請機能Fe3により、所属するA社の使用者用アプリUaに対して、当該電子データDの送信を申請する(送信申請ステップ)(
図6参照)。
本実施の形態において、送信先の指定とは、送信元の従業者Lが従業者用アプリEa1に、当該電子データDの送信先となる従業者Oから事前に情報開示された、従業者Oの従業者識別番号とB社の組織識別番号を入力して指定することであり、送信の申請とは、従業者Lが従業者用アプリEa1で前記送信先の指定後に送信申請ボタンを押下することであるが、その手法(ユーザインタフェース)は特に限定されるものではなく、適宜選択可能である。
【0028】
(所属する従業者が送信元となる場合の使用者用アプリについて)
次に、従業者Lの従業者用アプリEa1において電子データDの送信申請が実行されると、使用者用アプリUaでは、身元確認機能Fu1により送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbに対して、サービスアプリSaを経由して送信先となる従業者Oが在籍しているか否か身元を確認する(身元確認ステップ)。
そして、送信承認機能Fu2により従業者Lが送信しようとする電子データDの内容をA社の責任者が確認して送信の可否を判断する(送信承認ステップ)。
ここで、本実施の形態における使用者用アプリUは、ネットワークを介して従業者用アプリEと連携を行うに際して、従業者用アプリEの利用資格を有する従業者に付されている従業者識別番号から自組織に所属する従業者であることを確認する身元照会機能Fu3を備えており、上記のように、A社に所属する従業者Lが送信元、B社に所属する従業者Oが送信先となる電子データDの送受信を行う場合に、A社の使用者用アプリUaの送信先となる従業者Oに関する身元確認に対して、B社の使用者用アプリUbは身元照会機能Fu3によって得られている情報から、身元確認回答機能Fu4により従業者Oが(B社に)所属している従業者であるか否かの身元確認回答を行う(身元確認回答ステップ)。
【0029】
そして、上記送信承認ステップでは本実施の形態におけるA社の使用者用アプリUaは、送信申請された電子データDについて、A社の責任において、B社に所属する従業者Oに対する当該電子データ送信の可否を判断するが、A社の従業者Lが従業者用アプリEa1で送信申請した電子データは伝票番号によって暗号化され、A社の使用者用アプリUaに届き、使用者用アプリUaは送信の可否を判断する責任者に承認依頼を通知し、責任者は使用者用アプリUaを使用して承認または否決の判断を行う。
このとき、責任者は使用者用アプリUaの一時閲覧機能Fu5により、承認判断に必要な電子データの内容確認のために一時的に暗号化された電子データを復号化し一時的に閲覧する(一時閲覧ステップ)。
この送信承認ステップにおいて、使用者用アプリUaがインストールされた電子計算機は、責任者が上位職責の責任者に承認判断を仰ぐことができるように、承認ルートの追加や変更を柔軟に行うための機能を実現させる。
【0030】
このように、従業者Lの従業者用アプリEa1が行う送信申請は、A社の使用者用アプリUaによる身元確認を行ってB社の使用者用アプリUbによる送信先となる従業者Oが確かにB社に所属しているという身元確認回答を受けるとともに、A社責任者による電子データDの内容確認のうえ送信承認を受けなければ送信の手続きは継続されない。
【0031】
さらに、本実施の形態における使用者用アプリUaは、A社に所属する従業者Lが従業者用アプリEa1から送信申請を実行すると、身元保証機能Fu6によりネットワークを介して前記従業者用アプリEa1と通信連携してA社によって予め付された従業者固有の従業者識別番号と当該従業者が利用する端末のMACアドレスを照合して、送信元となる従業者Lがなりすましでないことを確認して身元を保証する(身元保証ステップ)ので、送信先だけでなく、送信元にもなりすまし等の不正がない安全な電子データの送受信を担保できる。
【0032】
(所属する従業者が送信先となる場合の使用者用アプリについて)
電子データDの送信元となる従業者Lが従業者用アプリEa1で、電子データDの伝票番号採番ステップと暗号化ステップを実行し、A社の使用者用アプリUaに対して送信申請を行うと、A社の使用者用アプリUaは、サービスアプリSa経由で身元確認ステップを実行する。このときサービスアプリSaは、前記伝票番号は可逆性を有しており、採番時に使用した情報から、送信先となるB社の組織識別番号を特定し、B社の使用者用アプリUbに依頼を中継し、B社の使用者用アプリUbは前記伝票番号から同様に、送信先となる従業者Oの従業者識別番号を特定して身元確認ステップを実行する。
そうすると、本実施の形態におけるB社の使用者用アプリUbは、サービスアプリSa経由で身元確認を依頼されるが、このとき、A社の使用者用アプリUaが電子データDに採番された伝票番号から特定する従業者Oの従業者識別番号と、上述のようにB社の使用者用アプリUbの身元照会機能によって保持されている従業者Oの従業者識別番号とが照合される。
そして、従業者Oの従業者識別番号の照合の結果を身元確認回答機能Fu4によりサービスアプリSa経由でA社の使用者用アプリUaに回答する(身元確認回答ステップ)。
【0033】
つぎに、本実施の形態におけるB社の使用者用アプリUbは、受信した電子データDについて、B社の責任において、所属する従業者Oの当該電子データ受信の可否を判断する(
図7参照)。
B社の使用者用アプリUbは、送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUaによって送信承認された電子データDを、サービスアプリSaを介して受信する。
B社の使用者用アプリUbは、受信承認機能Fu7により受け取った電子データの受信の可否を判断する責任者に承認依頼を通知し、責任者は使用者用アプリUbを使用して承認または否決の判断を行う(受信承認ステップ)。
このとき、責任者は使用者用アプリUbの一時閲覧機能Fu5により、承認判断に必要な電子データの内容確認のために一時的に暗号化された電子データを復号化し一時的に閲覧する(一時閲覧ステップ)。
この受信承認ステップにおいて、使用者用アプリUbは、責任者が上位職責の責任者に承認判断を仰ぐことができるように、承認ルートの追加や変更を柔軟に行うことができる。
【0034】
(送信先となる従業者用アプリについて)
B社の使用者用アプリUbにおいて、電子データDの受信承認がなされると、送信先となる従業者Oの従業者用アプリEb1が電子データDを受信する。
そして、従業者用アプリE(Eb1)が備える閲覧機能Fe4により、暗号化されて送信された電子データDを復号化・可視化して閲覧することができるようになる(閲覧ステップ)(
図8参照)。
このように、送信元であるA社の従業者Lから送信先であるB社の従業者Oに電子データDを受け渡すに際し、A社の責任において送信承認がなされ、B社の責任において受信承認がなされることで、電子データの送受信や送受信された電子データの内容に問題があった場合の責任の所在が明らかとなり、信頼性の高い電子データの送受信の実現に貢献する。
【0035】
(使用者用アプリの履歴管理について)
これまで、送信元となるA社に所属する従業者Lから送信先となるB社に所属する従業者Oへの電子データDの受け渡しを説明してきたが、本実施の形態における使用者用アプリUがインストールされた電子計算機では、送信元となる従業者の従業者用アプリEにおいて、送信申請が行われると、送信しようとする電子データに採番される伝票番号に基づき、以後の当該電子データに関するアクションが履歴として管理される機能を実現させる(
図9(b)参照)。
本実施の形態では、送信元となる従業者Lが所属するA社の使用者用アプリUaおよび送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbは電子データDの送受信の承認が完了したタイミングでその履歴を管理する(履歴管理機能Fu10)。
ここで、履歴の管理には送信元となる従業者Lの従業者用アプリの伝票番号採番機能Fe1により採番された電子データ固有の伝票番号を使用するが、具体的には伝票番号は、(1)送信先となる従業者Oが所属するB社の組織識別番号と、(2)送信先となる従業者Oの従業者識別番号と、従業者用アプリEa1が内部に保持している、(3)送信元となる従業者Lが所属するA社の組織識別番号と(4)送信元となる従業者Lの従業者識別番号に加え、(5)送信申請を行った日時を基に採番する(
図9(a)参照)。
これにより、各電子データの伝票番号は識別力を有するので、履歴を管理することが可能となり、電子データの送受信に問題があった場合や、従業者の離職等により従業者用アプリEの利用資格の喪失に伴う処理が必要な場合など、遡って当該電子データに関連した履歴の抽出が可能となる。
また、各電子データの伝票番号が識別力を有する事で、使用者用アプリU内に電子データそのものを履歴として格納する必要がなく、秘匿性の向上だけでなく蓄積データの肥大化防止にも奏効する。
本実施の形態では、履歴の管理に使用される電子データの伝票番号は上記(1)~(5)の要素により採番されるが、電子データの題名(「契約書」や「仕様書」、「見積書」)などの別の要素を組み込むことも可能で、その内容は適宜選択可能である。
【0036】
(従業者のサービス利用資格喪失時の手続について)
ここでは本実施の形態における電子データ送受信サービスを利用する組織に所属する従業者が離職等により従業者用アプリEの利用資格を喪失した場合の手続を
図10に基づき説明する。
また、
図1を参照し、離職した従業者を従業者M、従業者Mが所属していた組織をA社、離職した従業者が電子データの送信先となった従業者を従業者P、従業者Pが所属する組織をB社とする。
まず、A社は、離職した従業者Mの従業者用アプリEa2の機能を無効化する。これにより、従業者Mが利用していた従業者用アプリEa2がこれまでに受信した電子データは削除される。
そして使用者用アプリUaは、管理している履歴から従業者Mが過去に行った電子データの送信を抽出してサービスアプリSaに当該電子データの削除を依頼する削除依頼機能Fu8を備えており、削除依頼を受けたサービスアプリSaが備える削除指示機能Fs1により、削除依頼を送信する送信先であったB社を特定して使用者用アプリUbに当該電子データの削除を指示する(削除指示ステップ)。
このとき、サービスアプリSaでは削除依頼が行われた電子データの伝票番号の要素となっている送信先の組織識別番号とサービスアプリSaにて保持している組織識別番号との照合が行われ、該当する組織の使用者用アプリに対して削除指示の電文が送信される。
そして、サービスアプリSaから送信された削除指示を受けたB社の使用者用アプリUbは、削除指示の対象となる電子データを受信した従業者Pを特定して、削除命令機能Fu9によって従業者用アプリEb2に対して対象となる電子データの削除を命令する(削除命令ステップ)。
このとき、使用者用アプリUbでは、削除命令の対象となる電子データの伝票番号の要素となっている送信先の従業者Pの従業者識別番号と、使用者用アプリUbにて保持している従業者Pの従業者識別番号との照合が行われ、削除命令の電文が作成される。
そして、当該従業者用アプリEb2は次の使用者用アプリUbとの連携時に削除命令を受けると対象となる電子データを削除する削除機能Fe5を備えており、当該電子データが従業者用アプリEb2から削除される。
これにより、離職者が悪意を持って送受信した電子データを持ち出すことや、過去に電子データを送信した相手から譲り受けることが困難になり、安全で秘匿性の高い電子データの管理が可能となる。
【0037】
また、過去に送受信された電子データが時間の経過や、内容の訂正・更新等により陳腐化した場合には、使用者用アプリからだけでなく従業者用アプリEを起点とする削除が可能である。
送信した電子データDが内容の訂正や更新が行われたことで陳腐化した場合に、過去に当該電子データの送信元となった従業者Lが、従業者用アプリEa1により当該電子データDを選択して削除申請を行う。
このとき、従業者Lは従業者用アプリEa1において削除対象となる電子データDの送信申請を実施した際の伝票番号を選択して削除申請を行うが、それ以後は上述した通り、削除対象となる電子データDの伝票番号を基に、削除申請を受けた使用者用アプリUaからサービスアプリSaに対して削除依頼が行われ、削除依頼を受けたサービスアプリSaから当該電子データDに関する履歴を管理している使用者用アプリUbに対して削除指示が行われ、削除指示を受けた使用者用アプリEbが当該電子データDの送信先であった従業者Oの従業者用アプリEb1と通信連携した際に削除命令が行われ、従業者用アプリEb1において削除が完了する。
また、このような手法を用いれば、削除対象となる電子データDの送信元である従業者Lからだけではなく、送信先であった従業者Oからの削除申請も可能である。
【0038】
(名刺交換等の電子データの相互同時送信について)
本実施の形態の電子データの送受信管理を利用する、A社に所属する従業者LとB社に所属する従業者Oが名刺(データ)の交換を行う場合を説明する。
名刺交換のように2者が相互かつ同時に電子データの送受信を実現するために、従業者用アプリE(の伝票番号採番機能Fe1)がインストールされた電子計算機は、当該電子データの送信先を指定するとともに、当該電子データの送信が上述したような一方向の電子データの送信であるのか、名刺交換のような双方向の電子データの送信であるのかを選択する機能を実現させる。
名刺交換を行う従業者Lは、電子データDの送信先の指定を行う際に、送信先となる従業者Oとの双方向の電子データの送信を選択する。
このとき、送信元となる従業者Lが従業者用アプリEa1において、当該電子データDaの送信を双方向として選択すると、(従業者Lから送信される)電子データDaの伝票番号に双方向の送信である情報が付加される。
送信申請を受けた使用者用アプリUaでは、一方向の送信と同様に送信先となる従業者Oが所属するB社の使用者用アプリUbに対して身元確認を行ってB社の使用者用アプリUbからの身元確認回答を受けるとともに、一時閲覧機能Fu5により責任者による電子データDaの内容確認を経て送信承認が実行される。
サービスアプリSaは、前記伝票番号から当該電子データDaの送信が双方向であることを判断すると、承認確認同期機能Fs2によりB社の使用者用アプリUbからの送信承認が実行されるまで、当該電子データDaの送信を成立させず保留状態とする(承認確認同期ステップ)。
他方、従業者Oも従業者Lと同様に、従業者用アプリEb1において電子データDの送信を行う際に、当該電子データDの送信が送信先となる従業者Lとの双方向の電子データDbの送信を選択して送信申請を行う。
B社の使用者用アプリUbでも、一方向の送信と同様のステップを経て電子データDbに対する送信承認が実行され、A社とB社双方の送信承認が揃うとサービスアプリSaから、承認確認同期機能Fs2により電子データDa及びDbの送信が相互かつ同時に成立する。
このように、本実施の形態の電子データの送受信管理方法やシステムを利用することで、一方向の電子データの送受信だけでなく、昨今のワークスタイルの変更により、従来の組織主導で行われてきたビジネス判断の一部が従業者裁量にシフトする傾向の中で、リモートワークを行っていても、所属する組織の承認を受けた電子データの相互かつ同時で平等な送受信が可能となる。
【0039】
なお、本実施の形態では、電子データの送受信を行う組織をA社、B社として説明を行ったが、本発明における「組織」を、企業内の「部門」に置換することや、A社、B社のように2者間だけでなく、3者以上の複数の組織の電子データの送受信に拡張が可能であるため、本発明により様々な場面で信頼性と秘匿性の高い電子データの送受信が実現できる。
【符号の説明】
【0040】
100 電子データ送受信管理方法、
D,Da,Db 電子データ、
E,Ea1,Ea2,Ea3,Eb1,Eb2 従業者用アプリ、
Fe1 伝票番号採番機能、
Fe2 暗号化機能、
Fe3 送信申請機能、
Fe4 閲覧機能、
Fe5 削除機能、
Fs1 削除指示機能、
Fs2 承認確認同期機能、
Fu1 身元確認機能、
Fu2 送信承認機能、
Fu3 身元照会機能、
Fu4 身元確認回答機能、
Fu5 一時閲覧機能、
Fu6 身元保証機能、
Fu7 受信承認機能、
Fu8 削除依頼機能、
Fu9 削除命令機能、
Fu10 履歴管理機能、
L,M,O,P 従業者、
Sa サービスアプリ、
Sp サービス提供者、
U,Ua,Ub 使用者用アプリ