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特開2024-65995トレー送り機構、及びこれを用いた搬送装置並びに機械式駐車装置
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  • 特開-トレー送り機構、及びこれを用いた搬送装置並びに機械式駐車装置 図1
  • 特開-トレー送り機構、及びこれを用いた搬送装置並びに機械式駐車装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065995
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】トレー送り機構、及びこれを用いた搬送装置並びに機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 25/08 20060101AFI20240508BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20240508BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B65G25/08
E04H6/18 611A
E04H6/18 612A
B65G1/04 565
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175157
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】米村 聖次
(72)【発明者】
【氏名】村 武志郎
【テーマコード(参考)】
3F022
3F036
【Fターム(参考)】
3F022EE01
3F022FF29
3F022MM01
3F036DC02
3F036DD03
(57)【要約】
【課題】狭小の敷地又は狭小の建物でも搬送装置又は機械式駐車装置を設置できるトレー送り機構を提供することを目的とする。
【解決手段】トレー送り機構50は、トレー40の下面40Bに、トレー40の移動方向に交差する方向に沿ってトレー40における1台分の送り量の半分の寸法で間隔を隔てて平行に設置される2本の送りガイド52と、2本の送りガイド52の長手方向の両端部にそれぞれ係合する2個の車輪56Aが両端部に設置され、2本の送りガイド52の仮想中間線と、2本の送りガイド52のそれぞれの両端部を結ぶ仮想直線とが交差する位置に旋回中心を有して、トレー40が移動するフレーム上に旋回可能に固定されてトレー40の下面40Bに平行な面上を旋回する旋回腕56と、を含んで構成され、旋回腕56が2回転することでトレー40が1台分の送り量で移動される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結器によって互いに連結される複数のトレーを移動させるトレー送り機構であって、
前記トレー送り機構は、前記トレーの下面に、前記トレーの移動方向に交差する方向に沿って前記トレーにおける1台分の送り量の半分の寸法で間隔を隔てて平行に設置される2本の送りガイドと、前記2本の送りガイドの長手方向の両端部にそれぞれ係合する2個の車輪が両端部に設置され、前記2本の送りガイドの仮想中間線と、前記2本の送りガイドのそれぞれの両端部を結ぶ仮想直線とが交差する位置に旋回中心を有して、前記トレーが移動するフレーム上に旋回可能に固定されて前記トレーの前記下面に平行な面上を旋回する旋回腕と、を含んで構成され、
前記旋回腕が2回転することで前記トレーが1台分の送り量で移動される、
トレー送り機構。
【請求項2】
前記送りガイドは、前記車輪の回転直径より僅かに大きな寸法の間隔で平行に延びる2本の直線部材と、前記直線部材が互いに対向し、前記車輪が往復する2つのガイド面を有する、請求項1に記載のトレー送り機構。
【請求項3】
前記送りガイドは、長手方向の両端部に前記車輪の挿入を案内する挿入部と、前記挿入部の内部に前記車輪が前記2つのガイド面の間で停止する停止部と、を有する、請求項1又は2に記載のトレー送り機構。
【請求項4】
前記送りガイドは、前記トレーにおいて、前記旋回腕の旋回半径の寸法より内側に前記挿入部が位置される、請求項1又は2に記載のトレー送り機構。
【請求項5】
前記送りガイドは、前記トレーにおいて、前記旋回腕の旋回半径の寸法より内側に前記挿入部が位置される、請求項3に記載のトレー送り機構。
【請求項6】
前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される請求項1又は2に記載されたトレー送り機構と、を備え、
前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される、搬送装置。
【請求項7】
前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される請求項3に記載されたトレー送り機構と、を備え、
前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される、搬送装置。
【請求項8】
前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される請求項4に記載されたトレー送り機構と、を備え、
前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される、搬送装置。
【請求項9】
前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される請求項1又は2に記載されたトレー送り機構と、を備え、
前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される、機械式駐車装置。
【請求項10】
前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される請求項3に記載されたトレー送り機構と、を備え、
前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される、機械式駐車装置。
【請求項11】
前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される請求項4に記載されたトレー送り機構と、を備え、
前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される、機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレー送り機構、及びこれを用いた搬送装置並びに機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車を載置する複数のトレーが横列に、かつ複数列平行に配置され、各トレー列を横送りする複数のトレー横行路と各トレー横行路の両端部間で各トレーを縦送りする複数のトレー縦行路とによりトレー循環路を形成された複数階層からなる自動車の格納部と、各階層の自動車の格納部と自動車の乗入部との間に設置され、各トレーを昇降移送するリフトとを備え、自動車の格納部で、相互に隣り合う各トレー列間における一方の対角線上の端部にそれぞれトレー1台分の空きスペースが形成されて各トレー列をその空きスペースに向けて横送りする工程と、この横送りにより各トレー列間における他方の対角線上の端部に形成された空きスペースに向けてトレーを縦送りする工程とにより、トレーを循環移動する水平循環式駐車装置において、リフトの昇降路が、全階層の自動車の格納部間に、トレー横行路の中間部でトレー循環路を中断して貫通形成され、リフトは、リフトの昇降路上を昇降可能な昇降台と、この昇降台上に形成され、各階層の自動車の格納部のトレー横行路に連結可能なトレー横行手段とを備え、リフトの昇降路上をトレーを載せた昇降台が昇降され、そのトレー横行手段が全階層の自動車の格納部のうち、1階層の自動車の格納部のトレー横行路に連結されることにより、当該階層の自動車の格納部でトレー循環路が形成されるとともにトレー列が循環可能に連続される一方、その他の階層の自動車の格納部で、リフトの昇降路が開通され、トレー循環路が中断されるとともにトレー列がリフトの昇降路の両側に分割されることを特徴とする水平循環式駐車装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、自動車を載置する複数のトレーからなるトレー列を横行可能に支持するトレー横行路と、トレー列の横行を案内するトレー横行ガイドと、トレー列を横行駆動するトレー横行駆動手段とを有し、トレー列を横送りするトレー横行手段と、トレー横行路上の所定の位置でトレー列のトレーを縦行可能に支持するトレー縦行路と、トレーの縦行を案内するトレー縦行ガイドと、トレーを縦行駆動するトレー縦行駆動手段とを有し、トレーを縦送りするトレー縦行手段とを備え、トレーの移送路を形成するトレー縦横送り機構において、トレーに、トレー横行駆動手段に係合可能な第1のトレー送りガイドと、トレー縦行駆動手段に係合可能な第2のトレー送りガイドとを備え、トレー横行ガイドがトレーの第2のトレー送りガイドに係合可能に形成され、トレー縦行ガイドがトレーの第1のトレー送りガイドに係合可能に形成されたことを特徴とするトレー縦横送り機構が記載されている。
【0004】
特許文献3には、自動車を載置する複数のトレーを相互にカップラを介して横方向に連結されたトレー列が複数列平行に配置され、各トレー列を横送りする複数のトレー横送り手段と各トレー横送り手段の両端部間で各トレーを縦送りする複数のトレー縦送り手段とによりトレー循環路を形成された複数階層からなる自動車の格納部と、各階層の自動車の格納部と自動車の入出庫部との間に設置され、各トレーを昇降移送するリフトとを備え、自動車の格納部で、トレーの基本レイアウトとして相互に隣り合う各トレー列間における一方の対角線上の端部にそれぞれトレー1台分の空きスペースが形成され、各トレー列をその空きスペースに向けて横送りする工程と、この横送りにより各トレー列間における他方の対角線上の端部に形成された空きスペースに向けてトレーを縦送りする工程とにより、トレーを循環移動する水平循環式駐車装置において、リフトの昇降路が、全階層の自動車の格納部間に、トレー横送り手段の中間部を貫通して形成されるとともに、リフトは、リフトの昇降路上を昇降可能な昇降台と、この昇降台上に形成され、各階層の自動車の格納部のトレー横送り手段に連絡可能なトレー横行手段とを備え、各階層の自動車の格納部は、トレー横送り手段がリフトの昇降路で中断されてそのトレー横送り手段上のトレー列がリフトの昇降路の両側に分割配置されるとともに、リフトの昇降路に隣接する位置にトレーを縦送り方向に変位してこれに隣接するトレーに対してカップラを係脱するカップラ係脱手段を備え、自動車の入庫運転又は出庫運転又はその準備運転に際して、リフトの昇降台の昇降により、そのトレー横行手段が各階層の自動車の格納部のうち、いずれか1階層の自動車の格納部のトレー横送り手段に連絡されて当該階層の自動車の格納部にトレー循環路が形成されるとともに、カップラ係脱手段によりリフトの昇降路の片側一方のトレーが縦送り変位されるカップラの係合又は離脱動作と、トレー横送り手段によりリフトの片側他方のトレー又はトレー列がリフトの昇降台へ寄せられるトレーの横送り動作とにより、当該トレー循環路上でトレー列が循環可能に連続され、その他の階層の自動車の格納部でリフトの昇降路が開通されることを特徴とする水平循環式駐車装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-201811号公報
【特許文献2】特開2002-227447号公報
【特許文献3】特開2004-036188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、トレー横送り装置が、1台のトレーのカップラ係合中心間の寸法と同じ寸法(以下、「トレー1台分」又は「1ピッチ」と言う。)で設けられたクランクアームの一対のローラと、該ローラの一方のローラが係合するトレー縦横送りガイドと、を備え、該クランクアームの1回転の水平旋回によってトレーを1台分横方向に移動させる構成となっている(段落[0013]、図2等を参照)。これにより、トレー横送り装置が位置するトレーと一方のトレー縦行路との間のトレーの台数は2台が最小単位であり、昇降路からトレー横送り装置を挟む一方のトレー縦行路までのトレー列のトレーの台数は都合4台が最小単位となる。これは、図2の記載からも理解できるように、水平旋回されるクランクアームは、昇降路に設置されるリフトやトレー縦行路に設置される縦送り装置に隣接する位置に配置すると、リフト又は縦送り装置と干渉してしまう。よって、トレー横送り装置のクランクアームがリフト又は縦送り装置と干渉しない位置に配置することが必要条件となっているから、昇降路からトレー横送り装置を挟む一方のトレー縦行路までのトレー列のトレー台数を3台にすることができない。すなわち、上記トレー横送り装置を採用した機械式駐車装置では、トレー列にトレーを4台並べることができない狭小の建物又は敷地に対応することができない。
【0007】
また、特許文献2に記載された発明も特許文献1に記載された発明と同様に、トレー横送り装置が位置するトレーと一方のトレー縦行路との間のトレーの数は2台が最小単位であり、昇降路から一方のトレー縦行路までのトレー列のトレー台数は都合4台が最小単位となる(段落[0023]、図2等を参照)。よって、特許文献2に記載された機械式駐車装置も、上記特許文献1に記載されたトレー横送り装置を採用しているため、トレー列にトレーを4台並べることができない狭小の建物又は敷地に対応することができない。
【0008】
また、特許文献3に記載された発明もまた、特許文献1又は特許文献2に記載された発明と同様に、トレー横送り装置が位置するトレーと一方のトレー縦行路との間のトレーの数は2台が最小単位であり、昇降路から一方のトレー縦行路までの列数は都合4台が最小単位となる(段落[0015]、図2等を参照)。また、図17、18に示されるような昇降路を挟んで左右両側にトレー横送り装置を配置する場合も、トレー横送り装置が位置するトレーと一方又は他方のトレー縦行路との間のトレーの数はそれぞれ2台が最小単位であり、昇降路から一方のトレー縦行路までのトレー列のトレー台数はそれぞれ都合4台が最小単位となる(段落[0044]、図17、18を参照)。よって、特許文献3に記載された機械式駐車装置も、上記特許文献1に記載されたトレー横送り装置を採用しているため、トレー列にトレーを4台並べることができない狭小の建物又は敷地に対応することができない。
【0009】
この従来のトレー横送り装置の技術は、特許文献1乃至特許文献3で詳細に記載されていないため、図7を参照しながらより詳細に説明する。
【0010】
図7に示すように、トレー240は、連結器246を介して4台並んで配置されている。トレー240は、トレー240の下面240Bには、トレー長手方向D及びトレー短手方向Wの方向に骨部材242を複数備え、トレー240の4隅近傍に縦送り車輪244Aと横送り車輪244Bとが一組となる車輪244が設けられている。トレー240の短手方向Wには、雄連結器246Aと雌連結器246Bとが一組として連結器246が設けられ、この連結器246がトレー長手方向に間隔を隔てて設けられている。連結器246が設けられる位置は、いずれのトレー240でも同じ位置である。また、トレー240の長手方向の一方には、トレー240がトレー短手方向に移動する際に図示しない横送り案内部材に係合して案内される縦横送り部材248がトレー短手方向に間隔を隔てて一対設けられている。縦横送り部材248は、トレーが短手方向、すなわち、装置幅方向Wの方向に沿う方向に移動される際は、図示しない横送り案内部材に係合されて案内されてトレーの短手方向のいずれかに移動され、トレーが長手方向、すなわち、装置奥行方向Dに沿う方向に移動される際は、図示しない縦送り装置に係合されてトレーの長手方向のいずれかの方向に駆動される。
【0011】
図7では、図示しない縦送り装置が、4台のトレー240の列の両端部、すなわち、トレー短手方向Wの両端部に一対設けられている。縦送り装置は、前述したトレーの長手方向への移動を行う駆動部を有している。なお、一対の縦送り装置の一方の側に、トレー縦行路の機能を兼ねる昇降装置30を配置してもよい(図1も参照)。
【0012】
このトレー240のトレー短手方向に移動させる従来のトレー送り機構250について説明する。従来のトレー送り機構250は、4台が連結器246で連結されたトレー240の列の中央の2台に跨るように設けられる。ここで、トレー240とトレー送り機構250との関係について説明する。
【0013】
トレー240の下面240Bに設けられた複数の骨部材242には、トレー240のトレー短手方向W及びトレー長手方向の中央に、トレー長手方向に沿って送りガイド252が設けられている。送りガイド252は、トレー短手方向に間隔を隔てて対向するガイド面252Aを有する一対の構成となっている。相対向するふたつのガイド面252Aの間隔は、後述する旋回フレーム256に設けられる車輪256Aの直径より若干大きな寸法とされている。また、ガイド面252Aのトレー長手方向の両端部には、車輪256Aの挿入動作に支障がないようにする挿入部252Bが、車輪256が停止する停止部252Cの位置まで形成されている。換言すれば、送りガイド252の挿入部252Bは、相対向するふたつのガイド面252Aが、トレー長手方向に沿う方向でそれぞれ開く方向のテーパ部として形成されている。
【0014】
一方、旋回フレーム256は、2台のトレー240におけるそれぞれの送りガイド252の停止部252Cを結ぶ仮想中心線に沿って設けられ、この旋回フレーム256の旋回中心は、連結器246の雄連結器246Aと雌246Bとが連結しているときの連結中心において装置高さ方向Hの方向に回転中心が設定され、トレー240の下面240Bに平行に旋回する。この旋回フレーム256は、トレー長手方向に、送りガイド252の装置奥行方向Dの両端部に位置するそれぞれの停止部252Cの位置に合わせて間隔を隔てて一対設けられている。また、旋回フレーム256の両端部には、前述した送りガイド252と係合する車輪256Aがそれぞれ設けられている。車輪256Aは、旋回フレーム256に対して装置高さ方向Hに沿う回転中心を有して、旋回フレーム256の旋回面に平行に回転する。トレー240が停止しているとき、旋回フレーム256に設けられるそれぞれの車輪256Aは、トレー240に設けられる送りガイド252の停止部252Cに停止状態で挿入されている。
【0015】
このような従来のトレー送り機構250は、一対の旋回フレーム256がそれぞれ反対方向(時計回り方向と反時計回り方向)に旋回して、旋回フレーム256の一方の端部に設けられる車輪256Aの一方が送りガイド252のガイド面252Aに係合したままガイド面252Aに沿ってガイド面252Aの内部を内方に向けて移動し、旋回フレーム256が90°旋回すると車輪256Aはガイド面252Aの内部を外方に向けて移動し、送りガイド252の停止部252Cに停止する。一方、旋回フレーム256の他方の端部に設けられる車輪256Aは送りガイド252から離脱して空間を旋回移動し、隣接するトレー240の送りガイド252の挿入部252Bに挿入して停止部252Cに停止する。このような動作によって、4台のトレー240は連結器246に連結されたままトレー短手方向Wにトレー1台分(1ピッチ)移動される。
【0016】
この状態のトレー列を1台分削減してトレー列をトレー3台分にしようとすると、トレー送り機構250における旋回フレーム256の一方端が、トレー列の一方又は他方の図示しない縦送り装置又は昇降装置と干渉してしまい、機械式駐車装置として機能しない。
【0017】
以上、詳述したとおり、従来のトレー送り機構250を用いた機械式駐車装置では、トレー240のトレー短手方向に沿うトレー列のトレー台数又はトレー列は都合4台分が最小単位となっており、トレー列のトレー台数を3台分にすることができない。
【0018】
本発明は、トレー列のトレー台数を3台分に設定しても、トレー列の移動が可能となるトレー送り機構、又はこれを用いた搬送装置並びに機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1態様に係るトレー送り機構は、連結器によって互いに連結される複数のトレーを移動させるトレー送り機構であって、前記トレー送り機構は、前記トレーの下面に、前記トレーの移動方向に交差する方向に沿って前記トレーにおける1台分の送り量の半分の寸法で間隔を隔てて平行に設置される2本の送りガイドと、前記2本の送りガイドの長手方向の両端部にそれぞれ係合する2個の車輪が両端部に設置され、前記2本の送りガイドの仮想中間線と、前記2本の送りガイドのそれぞれの両端部を結ぶ仮想直線とが交差する位置に旋回中心を有して、前記トレーが移動するフレーム上に旋回可能に固定されて前記トレーの前記下面に平行な面上を旋回する旋回腕と、を含んで構成され、前記旋回腕が2回転することで前記トレーが1台分の送り量で移動される。
【0020】
第2態様に係るトレー送り機構は第1態様に係るトレー送り機構において、前記送りガイドは、前記車輪の回転直径より僅かに大きな寸法の間隔で平行に延びる2本の直線部材と、前記直線部材が互いに対向し、前記車輪が往復する2つのガイド面を有する。
【0021】
第3態様に係るトレー送り機構は第1態様又は第2態様に係るトレー送り機構において、前記送りガイドは、長手方向の両端部に前記車輪の挿入を案内する挿入部と、前記挿入部の内部に前記車輪が前記2つのガイド面の間で停止する停止部と、を有する。
【0022】
第4態様に係るトレー送り機構は第1態様又は第2態様に係るトレー送り機構において、前記送りガイドは、前記トレーにおいて、前記旋回腕の旋回半径の寸法より内側に前記挿入部が位置される。
【0023】
第5態様に係るトレー送り機構は第3態様に係るトレー送り機構において、前記送りガイドは、前記トレーにおいて、前記旋回腕の旋回半径の寸法より内側に前記挿入部が位置される、請求項3に記載のトレー送り機構。
【0024】
第6態様に係る搬送装置は、前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される第1態様又は第2態様に係るトレー送り機構と、を備え、前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される。
【0025】
第7態様に係る搬送装置は、前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される第3態様に係るトレー送り機構と、を備え、前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される。
【0026】
第8態様に係る搬送装置は、前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される第4態様に係るトレー送り機構と、を備え、前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される。
【0027】
第9態様に係る機械式駐車装置は、前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される第1態様又は第2態様に係るトレー送り機構と、を備え、前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される。
【0028】
第10態様に係る機械式駐車装置は、前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される第3態様に係るトレー送り機構と、を備え、前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される。
【0029】
第11態様に係る機械式駐車装置は、前記トレーがトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、前記トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画が形成されるトレー列と、前記トレー列にそれぞれ設置される第4態様に係るトレー送り機構と、を備え、前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される。
【発明の効果】
【0030】
第1態様に係るトレー送り機構によれば、旋回腕の旋回経路がトレーの送り方向の幅の範囲内にあるため、トレー送り機構が設置される位置のトレーに隣接するトレー又は昇降装置に旋回腕が干渉しない。これにより、トレー列のトレー台数を3台分にすることができ、狭小の敷地又は狭小の建物にも対応させることができる。
【0031】
第2態様に係るトレー送り機構によれば、ガイド面がひとつのものに比べて、車輪の往復が確実に案内され、トレーの移動及び停止精度が向上される。
【0032】
第3態様に係るトレー送り機構によれば、挿入部がないものに比べて、車輪の送りガイドへの挿入が安定され、挿入された車輪が確実に停止部に停止される。
【0033】
第4態様及び第5態様に係るトレー送り機構によれば、送りガイドの挿入部が旋回腕の旋回半径の寸法より外側にあるものに比べて、挿入部がトレーの両端部から突出することがない。
【0034】
第6態様から第8態様に係る搬送装置は、トレーがトレー送り方向に4台分配置されるものに比べて、トレー送り方向の所要寸法が小さくでき、従来の最低4台分の所要寸法を有する搬送装置では設置ができない狭小の敷地又は建物等に対応させることができる。
【0035】
第9態様から第11態様に係る機械式駐車装置は、トレーがトレー送り方向に4台分配置されるものに比べて、トレー送り方向の所要寸法が小さくでき、従来の最低4台分の所要寸法を有する搬送装置では設置ができない狭小の敷地又は狭小の建物等に対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態における機械式駐車装置の全体構成を示す平面図である。
図2図1における正面断面図である。
図3】本発明の一実施形態におけるトレー下面のトレー送り機構の構成を示す底面図である。
図4】本発明の一実施形態におけるトレー送り機構の駆動部の構成を示す平面図である。
図5】本発明の変形例における機械式駐車装置の格納部の全体構成を示す平面図である。
図6図5における正面断面図である。
図7】従来のトレー送り装置におけるトレー下面のトレー送り機構の構成を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態に係るトレー送り機構、及びこれを用いた搬送装置並びに機械式駐車装置の一例について図面を参照しながら説明する。なお、図中に示す矢印Wは装置幅方向を示し、矢印Dは装置奥行方向を示し、矢印Hは装置高さ方向を示す。また、装置幅方向Wは「トレーの短手方向」又は「横送り方向」と、また、装置奥行方向Dは「トレーの長手方向」又は「縦送り方向」と、また、装置高さ方向Hの側から見ることを「平面視」と、また、装置高さ方向Hの方向を「上方」と、またその反対の方向を「下方」と、それぞれ言い換えることがある。
【0038】
[実施形態]
<搬送装置並びに機械式駐車装置の全体構成>
本発明の第一実施形態として、搬送装置又は機械式駐車装置の格納部の全体構成を図1に示す。搬送装置は、トレーに載置する物品は様々な種類のものを対象とする装置である。また、機械式駐車装置は、トレーには車両が載置され、車両は、4輪車、2輪車、無限軌道車等を対象とする装置である。ここでは、搬送装置の一例として機械式駐車装置を例に挙げて説明する。
【0039】
図1及び図2には、搬送装置並びに機械式駐車装置の一例として水平循環式駐車装置1を例示する。
水平循環式駐車装置1は、トレー40がトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器46で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画22が形成されるトレー列と、トレー列にそれぞれ設置されるトレー送り機構50と、を備え、2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される。
【0040】
水平循環式駐車装置1は、建物の地下又は地上の格納部20に設置され、本実施例の場合、格納区画22が、昇降装置30を有する側の装置幅方向Wに沿ったトレー列に昇降装置30の部分を含んで3箇所形成され、昇降装置30を有しない側の装置幅方向Wに沿ったトレー列に3箇所、それぞれ形成されている。6箇所の格納区画22は、装置幅方向Wに沿った方向にそれぞれ横送り部22Bを有し、横送り部22Bの両側端部に、装置奥行方向Dに沿う方向に縦送り部22Aを有する。
【0041】
縦送り部22Aは、昇降装置30有する側のトレー列と昇降装置30を有しない側のトレー列との間でトレー40を移動させる部分である。横送り部22Bは、昇降装置30有する側のトレー列又は昇降装置30を有しない側のトレー列のそれぞれでトレー40を装置幅方向Wに沿う方向に移動させる部分である。
【0042】
機械式駐車装置1は、図2に示すような多層構造が一般的であり、全体がフレーム28で構築され、フレーム28に縦送りフレーム24及び横送りフレーム26が設置され、それぞれに設けられるレール上をトレー40が移動する。1層構造の場合は、フレーム28は不要であり、1層目の縦送りフレーム24及び横送りフレーム26を支持する脚部材を含むフレーム構造としてよい。
【0043】
また、横送り部22Bの中央に位置するトレー40の下方には、本発明の要部であり、後述するトレー送り機構50が設置されている。
【0044】
昇降装置30は、縦送り部22Aの一部に設けられ、昇降装置30が縦送りフレーム24の機能を兼ねている。昇降装置30は、図2に示すように、格納部20の上方に形成される乗降室11と連絡しており、ガイド柱32に案内されて昇降体33が駆動部34の駆動によって昇降される。駆動部34はモータ34Aと、モータ34Aに作動連結される減速機34Bを含んで構成され、図2には図示していないが、ガイド柱32の上下にそれぞれ設けられる回転部材に索状体が巻き掛けられ、索状体に昇降装置30が昇降可能に固定されている。
【0045】
水平循環式駐車装置1の運転動作の一例について図1を参照しながら説明する。
水平循環式駐車装置1は、6箇所の格納区画22を有する。6箇所の格納区画22は、装置幅方向Wに沿う方向にそれぞれ3箇所ずつのトレー列、すなわち、装置奥行方向Dに並ぶ2列の横送り部22Bを有し、2列の横送り部22Bの両側端部にそれぞれ、装置奥行方向Dに沿う方向にトレー40を移動させる2つの縦送り部22Aを有する。
【0046】
例えば、図1において、昇降装置30が設置されている側のトレー列の2台のトレー40をトレーの短手方向の左側に形成されている空区画に向けてトレー1台分(1ピッチ)だけ移動させると同時に、昇降装置30が設置されていない側のトレー列の2台のトレー40をトレーの短手方向の右側に形成されている空区画に向けてトレー1台分(1ピッチ)だけ移動させる。そうすると、空区画の位置は、図1に示す状態と反対の対角線上に空区画が形成される。次に、昇降装置30が設置されている側のトレー列の左側に移動されたトレー40と、昇降装置30が設置されていない側のトレー列の右側に移動されたトレー40とを同時に、新たに形成された空区画に向けて縦送りする。この動作を繰り返すことによって2列のトレー列においてトレー40が循環移動される。なお、反対方向への循環移動は上記動作を反対に行うことでトレー40が反対方向に移動される。
【0047】
また、図1には記載されていないが、2つの空区画のいずれか一方にトレー40を1台追加する態様でも循環移動が可能である。例えば、昇降装置30が設置されている側のトレー列の左側の縦送り部22にトレー40が1台追加されているとする。このとき、空区画は昇降装置30が設置されていない側のトレー列の右側に形成される空区画、すなわち、昇降装置30の装置奥行方向Dの側に隣接する空区画に向けて、昇降装置30が設置されていない側のトレー列の2台のトレー40を1ピッチだけ右に移動すると、このトレー列の左側に空区画が形成される。この空区画に向けて、昇降装置30が設置されている側の左側に位置する追加されたトレー40を縦送りする。そうすると、追加されたトレー40が存在していた位置に空区画が形成され、この空区画に向けて、昇降装置30が設置されている側のトレー列の2台のトレー40を左に移動する。そして、昇降装置が設置されていない側のトレー列の右側に移動されたトレー40を昇降装置30に向けて縦送りする。これにより、5台のトレー40が格納区画20内で1回循環移動される。この動作を繰り返すことによって、トレー40は循環移動される。なお、反対方向への循環移動は上記動作を反対に行うことでトレー40が反対方向に移動される。
【0048】
水平循環式駐車装置1は、このようにして循環移動される。なお、トレー列が2列の態様で循環操作を説明したが、トレー列は3列以上でもよく、この場合も、少なくとも1箇所に空区画を形成して、その空区画に向けてトレー40を横送り又は縦送りを行って移動を繰り返すことにより、複数のトレー40を循環移動させることが可能である。
【0049】
[トレー]
次に、要部の一部であるトレーの構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、トレー40が3台並んだトレー列を、トレー40の下面40Bの側から見た底面図である。
【0050】
図3に示すように、トレー40は、それぞれ骨部材42で形成され、一部の骨部材42の装置幅方向Wの両端部に連結器(カプラ)46が設けられ、それぞれのトレー40が装置幅方向Wであるトレー列の方向に連結されている。連結器46は、装置幅方向Wの一方が雄カプラ46A、装置幅方向Wの他方が雌カプラ46Bとされ、雄カプラ46Aと雌カプラ46Bとが連結される。この連結器46は、装置奥行方向Dに沿う方向となる縦送り方向に各トレー40が移動可能に離脱される構造を有する。
【0051】
トレー40の装置奥行方向Dの端部の骨部材には、装置幅方向Wの方向に沿って縦横送り部材48が設けられている。縦横送り部材48は、トレー列が装置幅方向Wに移動される際は、図示しないトレー横送りガイドに摺動可能に係合されてトレー40の横送り動作を案内する機能を有する。また、縦横送り部材48は、縦送り部22Aを一方のトレー列から他方のトレー列に縦送り移動される際に、図示しない縦送り装置に設けられる係合部材と係合してトレー40を装置奥行方向Dに沿う縦送り方向に駆動される機能を有する。
【0052】
また、トレー40の下面40Bの4隅近傍には、縦送り車輪44Aと横送り車輪44Bとが一組とされる車輪44がそれぞれ設置されている。縦送り車輪44Aは縦送り部22Aを移動する際にレール上を走行可能に設置され、横送り車輪44Bは横送りフレーム26、すなわち、トレー列を移動する際にレール上を走行可能に設置されている。
【0053】
<要部の構成>
ここで、要部の構成について、図3及び図4を参照しながら説明する。図4は、トレー送り機構50の送り駆動部54をトレー40の上面40Aの側から見た平面図である。
[トレー送り機構]
トレー送り機構50は、トレー40は、連結器46によって互いに連結される複数のトレー40を移動させるトレー送り機構50であって、トレー送り機構50は、トレー40の下面40Bに、トレー40の移動方向に交差する方向に沿ってトレー40における1台分の送り量の半分の寸法で間隔を隔てて平行に設置される2本の送りガイド52と、2本の送りガイド52の長手方向の両端部にそれぞれ係合する2個の車輪56Aが両端部に設置され、2本の送りガイド52の仮想中間線と、2本の送りガイド52のそれぞれの停止部52Cを結ぶ仮想直線とが交差する位置に旋回中心を有して、トレー40が移動するフレーム上に旋回可能に固定されてトレー40の下面40Bに平行な面上を旋回する旋回腕56と、を含んで構成され、旋回腕56が2回転することでトレー40が1台分の送り量で移動される。
【0054】
〔送りガイド〕
図3に示すように、トレー40の下面40Bの骨部材42には、トレー短手方向の中心に対してトレーの短手方向に対象に間隔を隔てて設けられる一組の送りガイド52、52が設けられている。それぞれの送りガイド52、52は、その長手方向を、装置奥行方向D、すなわち、トレーの長手方向に平行に設けられ、一組の連結器46が位置する部位よりも内側に両端部が位置するように長さが設定されている。一組の送りガイド52、52のトレーの短手方向の離間寸法はトレーの連結器46の係合中心間の寸法の半分に設定されている。換言すれば、トレーの送り量を1ピッチと規定すると、離間寸法はトレーの送り量の半ピッチ分と言うことができる。
【0055】
1つの送りガイド52は、2本のアングル材が、後述する送り駆動部54に旋回可能に設けられる旋回腕56の両端部に回転可能に固定される車輪56Aの回転直径の寸法より若干大きな寸法で隔てられて対向してガイド面52Aが形成されて固定されている。この2本のアングル材の両端部は、車輪56Aが挿入される挿入部52Bとされ、両端部の外側に拡がるテーパ面を有している。挿入部52Bから若干内側には、車輪56Aが停止する停止部52Cを有する。なお、挿入部52Bのテーパ面は、図3では大きく表現したが、小さいテーパ面でもよく、また、テーパ状又は曲面状の面取りとしてもよい。
【0056】
〔送り駆動部〕
次に、送りガイド52に作用する送り駆動部54について、図4を参照しながら説明する。
【0057】
送り駆動部54は、平面視、概ね矩形状に組まれた駆動フレーム54Aに固定される駆動源54Bと、駆動源54Bに間隔を隔てて同期軸54Dによって連結される2つの減速機54Cが備えられている。この2つの減速機54Cのそれぞれには、旋回腕56が旋回可能に設けられている。旋回腕56は、その長さをトレーの送り量の半ピッチよりも僅かに長い平板状のアーム形状であって、その中心が減速機54Cの軸に固定されて旋回中心となし、旋回腕56の両端部から若干内側で、トレー40の送り量の半ピッチに相当する間隔を隔てて、旋回中心に対して対称に車輪56Aが自由回転可能に設けられている。図4ではトレー40の位置を表現していないが、送り駆動部54はトレー40の中心に合わせてフレーム28に設置されている。
【0058】
<要部の作用>
トレー送り機構50は、上述したトレー40に設けられる一組の送りガイド52と、送り駆動部54に設けられる旋回腕56の一組の車輪56Aとの係合状態において機能する。
【0059】
トレー40が停止している初期状態では、図3に示すように、一組の送りガイド52の両端部に位置する停止部52Cに旋回腕56の一組の車輪56Aが挿入されて停止している。トレー列を装置幅方向Wの方向に移動するには、一組の旋回腕56がそれぞれ反対方向に旋回する。具体的には、一方の旋回腕56が時計回りに旋回するとき他方の旋回腕56は反時計回りに旋回する。これにより、一組の車輪56Aのうちの一方が送りガイド52のガイド面52Aの内部に進み、旋回腕56の上死点で一方の車輪56Aは送りガイド52の停止部52Cに戻る動作となる。このとき、一組の車輪56Aのうちの他方の車輪56Aは送りガイド52の挿入部52Bから抜けて空間を旋回して、隣接するトレー40の送りガイド52に挿入するが、旋回腕56はそのまま旋回を続け、2回転する。そうすると、一組の車輪56Aは隣接するトレー40の一組の送りガイド52の停止部52Cに停止して、トレー1ピッチ分の移動が完了する。トレー列を反対方向に移動させる際は、この動作の反対を行えばよい。
【0060】
なお、図3では、トレー列に3台のトレー40が位置しているように表現したが、トレー40は図1に示すように2台の配置でもよい。トレー列の装置幅方向Wの両端に位置するトレー40の部分は縦送り部22Aであり、狭小の敷地又は狭小の建物に設置する水平循環式駐車装置1はトレー40の台数が少なくなる。このため、縦送り部22Aの空区画を、平面視で対角線上に2台分設定しない1台分の空区画とすることもでき、図3では、旋回腕56が1台のトレー40の短手方向の範囲内に収まって、隣接するトレー40の側に突出しないことを示している。
【0061】
このように、本発明のトレー送り機構50は、旋回腕56がトレー40の1台分のスペース内に収まる形式で旋回するため、隣接するトレー40の側に突出しない。すなわち、縦送り部22A又は昇降装置30に送り駆動部54が隣接する3列の形態の搬送装置又は機械式駐車装置においても、トレー40をトレー列の方向、すなわち、装置幅方向Wの方向に円滑に移動させつつ、縦送り部22Aや昇降装置30と旋回腕56との干渉を防止でき、狭小の敷地又は狭小の建物に3列形式の搬送装置又は機械式駐車装置を設置することができる。
【0062】
[多層箱型循環式駐車装置の場合]
次に、本発明のトレー送り機構50を用いた多層箱型循環式の搬送装置又は機械式駐車装置を例に挙げて、図5及び図6を参照しながら説明する。
【0063】
図5は多層箱型循環式の搬送装置又は機械式駐車装置を示す平面図である。図6はその正面断面図である。この搬送装置又は機械式駐車装置の一例である多層箱型循環式駐車装置101においても、トレー列は3台分の区画が設定されトレー140が3台配置されている。本実施形態においても多層箱型循環式駐車装置101は格納部120に格納区画122が複数形成されている。図6に示すように、トレー列の装置幅方向の両端部は、一方が乗降室111に連絡する第1昇降装置130と、格納部120内で昇降動作を行う第2昇降装置132に設定され、第1昇降装置の下段側を空区画とし、第2昇降装置132の上段側を空区画としている。図6では、第1昇降装置130の側でトレー140が乗降室111に上昇されているように表現しているが、循環動作時は、当該トレー140は、第1昇降装置130における上段側に下降して箱型循環の初期状態とする。
【0064】
第1昇降装置130及び第2昇降装置は、ガイド柱131と横送りフレーム126とを含んで立体に形成され、第1昇降装置130及び第2昇降装置132はともに第1昇降駆動部130A及び第2昇降駆動部132Aに作動連結される図示しない回転部材に索状体134が巻き掛けられ、横送りフレーム126に対応して複数の昇降レール136が設けられている。
【0065】
多層箱型循環式の装置の動作は、図6に示す2層の装置では、第1昇降装置130の下段側の空区画と第2昇降装置132の上段側の空区画とで対角線上に空区画が形成され、この空区画に対してそれぞれのトレー列を反対方向に移動する。そして、第1昇降装置130を下降させるとともに第2昇降装置132上昇させると、空区画の位置が反対の対角線上に形成される。この動作を繰り返してトレー140が循環される。また、この動作を反対にすることでトレー140の移動方向が逆転する。
【0066】
このとき、トレー列を装置幅方向Wに沿ってトレー140を移動させるのは、上述したトレー送り機構50である。この多層箱型循環式の搬送装置又は機械式駐車装置もトレー列を3列分とすることができ、狭小の敷地又は狭小の建物にも設置することができる。
【0067】
このように、本発明のトレー送り機構50は、連結器46によって互いに連結される複数のトレー40を移動させるトレー送り機構50であって、トレー送り機構50は、トレー40の下面40Bに、トレー40の移動方向に交差する方向に沿ってトレー40における1台分の送り量の半分の寸法で間隔を隔てて平行に設置される2本の送りガイド52と、2本の送りガイド52の長手方向の両端部にそれぞれ係合する2個の車輪56Aが両端部に設置され、2本の送りガイド52の仮想中間線と、2本の送りガイド52のそれぞれの両端部を結ぶ仮想直線とが交差する位置に旋回中心を有して、トレー40が移動するフレーム上に旋回可能に固定されてトレー40の下面40Bに平行な面上を旋回する旋回腕56と、を含んで構成され、旋回腕56が2回転することでトレー40が1台分の送り量で移動される。
【0068】
これにより、旋回腕56の旋回経路がトレー40の送り方向の幅の範囲内にあるため、トレー送り機構50が設置される位置のトレー40に隣接するトレー40又は昇降装置30に旋回腕56が干渉しない。これにより、トレー列のトレー台数を3台分にすることができ、狭小の敷地又は狭小の建物にも対応させることができる。
【0069】
また、送りガイド52は、車輪56Aの回転直径より僅かに大きな寸法の間隔で平行に延びる2本の直線部材と、直線部材が互いに対向し、車輪56Aが往復する2つのガイド面52Aを有する。
【0070】
これにより、ガイド面52Aがひとつのものに比べて、車輪56Aの往復が確実に案内され、トレー40の移動及び停止精度が向上される。
【0071】
また、送りガイド52は、長手方向の両端部に車輪56Aの挿入を案内する挿入部52Bと、挿入部52Bの内部に車輪56Aが2つのガイド面52Aの間で停止する停止部52Cと、を有する。
【0072】
これにより、挿入部52Bがないものに比べて、車輪56Aの送りガイド52への挿入が安定され、挿入された車輪56Aが確実に停止部52Cに停止される。
【0073】
また、送りガイド52は、トレー40において、旋回腕56の旋回半径の寸法より内側に挿入部52Bが位置される。
【0074】
これにより、送りガイド52の挿入部52Bが旋回腕56の旋回半径の寸法より外側にあるものに比べて、挿入部52Bがトレー40の両端部から突出することがない。
【0075】
また、トレー40がトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器46で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレー40が配置されない空区画22が形成されるトレー列と、トレー列にそれぞれ設置されるトレー送り機構50と、を備え、前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される。
【0076】
これにより、トレー40がトレー送り方向に4台分配置されるものに比べて、トレー送り方向の所要寸法が小さくでき、従来の最低4台分の所要寸法を有する搬送装置では設置ができない狭小の敷地又は建物等に対応させることができる。
【0077】
また、トレー40がトレー送り方向に3台分配置されるフレームで構成され、それぞれが連結器46で係脱自在に接続されるトレー列がトレー送り方向に交差する方向に沿って少なくとも2列配置され、トレー列の両端側の少なくとも1箇所にトレーが配置されない空区画22が形成されるトレー列と、トレー列にそれぞれ設置されるトレー送り機構50と、を備え、前記2つのトレー送り機構の両方又は一方の動作によって、トレー列の端部に形成される前記空区画に向けて、互いに接続されている2台のトレーをトレーの送り量の1台分移動される。
【0078】
これにより、トレー40がトレー送り方向に4台分配置されるものに比べて、トレー送り方向の所要寸法が小さくでき、従来の最低4台分の所要寸法を有する搬送装置では設置ができない狭小の敷地又は狭小の建物等に対応させることができる。
【0079】
以上、各実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、本実施形態は一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更をして実施でき、また、本発明の権利範囲がこれら実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0080】
例えば、送りガイド52はアングル材を用いるように説明したが、これに限らず、H鋼や他の材料を加工したものでもよい。
【0081】
また、送りガイド52及び送り駆動部54は、それぞれ、トレー40の中心に配置されるように説明したが、これに限らず、1台のトレー40の範囲内において、他の部材に干渉しない位置であればトレー40の中心からずれた位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 水平循環式駐車装置(搬送装置並びに機械式駐車装置の一例)
11 乗降室
11A 出入口部
20 格納部
22 格納区画
22A 縦送り部
22B 横送り部
24 縦送りフレーム
26 横送りフレーム
28 フレーム
30 昇降装置
32 ガイド柱
33 昇降体
34 駆動部
34A 駆動源(モータ)
34B 減速機
40 トレー
40A 上面
40B 下面
42 骨部材
44 車輪
44A 縦送り車輪
44B 横送り車輪
46 連結器(カプラ)
46A 雄カプラ
46B 雌カプラ
48 縦横送り部材
50 トレー送り機構
52 送りガイド
52A ガイド面
52B 挿入部(テーパ部)
52C 停止部
54 送り駆動部
54A 駆動フレーム
54B 駆動源
54C 減速機
54D 同期軸
56 旋回腕
56A 車輪
101 多層箱型循環式駐車装置(搬送装置並びに機械式駐車装置の一例)
111 乗降室
111A 出入口部
120 格納部
122 格納区画
126 横送りフレーム
130 第1昇降装置
130A 第1昇降駆動部
131 ガイド柱
132 第2昇降装置
132A 第2昇降駆動部
134 索状体
136 昇降レール
140 トレー
240 トレー
240B 下面
242 骨部材
244 車輪
244A 縦送り車輪
244B 横送り車輪
246 連結器(カプラ)
246A 雄カプラ
246B 雌カプラ
248 縦横送り部材
250 トレー送り機構
252 送りガイド
252A ガイド面
252B 挿入部(テーパ部)
252C 停止部
256 旋回フレーム
256A 車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7