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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066019
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 333Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175198
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100184550
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 珠美
(74)【代理人】
【識別番号】100166785
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 智也
(72)【発明者】
【氏名】西村 仁
【テーマコード(参考)】
2C088
2C333
【Fターム(参考)】
2C088AA79
2C333AA11
2C333CA13
2C333CA15
2C333CA77
2C333CA79
2C333EA04
2C333EA10
(57)【要約】
【課題】保留表示を用いて遊技の興趣をさらに向上させることができる遊技機を提供する。
【解決手段】サブ制御基板のCPUは、主制御基板から受信した保留情報コマンドを解析し、保留情報を取得する。サブ制御基板のCPUは、取得した保留情報の示す期待度に応じて、取得した保留情報に対応する保留表示の表示態様を決定する(S556)。S556で決定される表示態様には、特殊保留表示を所定の規則性を有して表示する表示態様が含まれる。一方、サブ制御基板のCPUは、遊技状態の設定状況に応じて、取得した保留情報に対応する保留表示の表示態様を決定する場合がある(S558)。S558では、特殊保留表示を所定の規則とは乖離する態様で表示する態様が決定される。
【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の契機の成立に応じて取得された数値情報に基づいて、遊技者にとって有利な有利状態を生起するかを判定する有利判定を実行する判定手段と、
前記有利判定の実行が保留されている前記数値情報を保留情報として記憶する保留手段と、
前記保留手段によって記憶された前記保留情報のそれぞれを示す保留表示を表示する保留表示手段と、
前記保留情報に対して実行される前記有利判定によって前記有利状態が生起されると判定される期待度を取得する取得手段と、
遊技者にとっての有利度が異なる複数の遊技状態のうちいずれかを設定する設定手段と、
前記保留表示の表示態様を決定する決定手段と
を備え、
前記決定手段は、
前記期待度に応じて、前記保留表示を所定の規則性を有する表示態様である第一態様で表示することを決定し、
前記遊技状態の設定状況に応じて、前記保留表示を第二態様で表示することを決定することができ、
前記第二態様は、前記第一態様と外観上の共通性を有しつつ、前記第一態様の有する前記所定の規則性から乖離するものである
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第一態様における前記所定の規則性は、前記保留手段によって前記保留情報が記憶された順のそれぞれに応じた特定の前記保留表示である特定保留表示を表示することによって設けられており、
前記第二態様は、前記所定の規則性とは乖離した態様で前記特定保留表示のいずれかを表示するものであることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記所定の契機は、前記保留手段が前記保留情報を記憶することができる状態において、遊技球が入球可能に構成された所定の入球部に遊技球が入球することに応じて成立し、
前記決定手段は、前記保留手段に前記保留情報が記憶されていない状態が継続している客待ち状態に、前記保留表示の表示態様を前記第二態様に決定することができることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
遊技機の性能として遊技者にとっての前記有利度が異なる性能である遊技性能を複数記憶する性能記憶手段と、
前記性能記憶手段によって記憶されている複数の前記遊技性能のうちからいずれかを設定する性能設定手段と
を備え、
前記遊技状態の設定状況には、複数の前記遊技性能のうちいずれが設定されているかが含まれることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記判定手段によって前記有利判定が実行された回数に応じて、複数の前記遊技状態のうち第一遊技状態から、前記第一遊技状態とは異なる第二遊技状態に前記遊技状態を移行する遊技状態移行手段を備え、
前記決定手段は、前記第一遊技状態において、前記第一遊技状態から前記第二遊技状態に移行するまでに必要な前記有利判定の実行回数に応じて、前記保留表示の表示態様を前記第二態様に決定することができることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の条件の成立に応じて取得された数値情報に基づいて所定の判定を実行するとともに、所定の判定の実行を保留する数値情報を保留情報として記憶し、記憶した保留情報を所定の図柄等で示す保留表示を表示部に表示する遊技機が知られている。特許文献1は、所定の入賞口への入球に基づいて数値情報を取得し、取得した数値情報を所定の上限数まで記憶するとともに、記憶された数値情報に対応する演出保留画像を表示する遊技機を開示する。演出保留画像の表示態様は、大当たりの当選の期待度を示す態様に変化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-58590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の遊技機は、演出保留画像を4個表示する場合に、それぞれの演出保留画像に、「準」「備」、「O」、「K」の4つの文字のそれぞれを表示し、4つの文字を組合せて「準備OK」と表示することがある。このように、保留表示を用いて遊技の興趣を向上するさらなる演出が待望されている。
【0005】
本発明は、保留表示を用いて遊技の興趣をさらに向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る遊技機は、所定の契機の成立に応じて取得された数値情報に基づいて、遊技者にとって有利な有利状態を生起するかを判定する有利判定を実行する判定手段と、前記有利判定の実行が保留されている前記数値情報を保留情報として記憶する保留手段と、前記保留手段によって記憶された前記保留情報のそれぞれを示す保留表示を表示する保留表示手段と、前記保留情報に対して実行される前記有利判定によって前記有利状態が生起されると判定される期待度を取得する取得手段と、遊技者にとっての有利度が異なる複数の遊技状態のうちいずれかを設定する設定手段と、前記保留表示の表示態様を決定する決定手段とを備え、前記決定手段は、前記期待度に応じて、前記保留表示を所定の規則性を有する表示態様である第一態様で表示することを決定し、前記遊技状態の設定状況に応じて、前記保留表示を第二態様で表示することを決定することができ、前記第二態様は、前記第一態様と外観上の共通性を有しつつ、前記第一態様の有する前記所定の規則性から乖離するものであることを特徴とする。
【0007】
保留表示において、有利判定によって有利状態が生起されると判定される期待度に応じて表示態様が変化することは、従来から行われている。本発明に係る遊技機は、期待度に応じて保留表示の表示態様を所定の規則性を有する第一態様に決定する。このため、本発明に係る遊技機を遊技する遊技者は、保留表示が期待度に応じて第一態様を採ることが前提であると認識することができる。一方、本発明に係る遊技機は、遊技者にとっての有利度が異なる複数の遊技状態を備え、遊技状態の設定状況に応じて保留表示の表示態様を第二態様に決定し、決定した第二態様の保留表示を表示することができる。第二態様は、第一態様と外観上の共通性を有しているが、第一態様の有する所定の規則性から乖離する態様である。このため、本発明に係る遊技機は、第二態様の保留表示を見た遊技者に、保留表示が第一態様でないことに気づかせて、保留表示に注目させることができる。本発明に係る遊技機は、遊技状態の設定状況に応じて保留表示を第二態様で表示する。これにより、本発明に係る遊技機は、保留表示が第一態様ではなく第二態様であることに気がついた遊技者に、遊技状態の設定状況を示唆することができる。したがって、本発明に係る遊技機は、保留表示を用いて遊技の興趣をさらに向上させることができる。
【0008】
前記第一態様における前記所定の規則性は、前記保留手段によって前記保留情報が記憶された順のそれぞれに応じた特定の前記保留表示である特定保留表示を表示することによって設けられており、前記第二態様は、前記所定の規則性とは乖離した態様で前記特定保留表示のいずれかを表示するものであってもよい。
【0009】
この場合、遊技機は、保留情報が記憶された順のそれぞれに応じた特定保留表示とは異なる態様で特定保留表示を表示する場合に、保留表示が第二態様で表示されていることを遊技者に認識させることができる。したがって、遊技機は、第一態様によって保留表示が表示されることに対して遊技者の注目を集めつつ、第二態様によって保留表示が表示される場合には、そのことを遊技者に気づかせて、遊技状態の設定状況に対して遊技者に興味を抱かせることができる。
【0010】
前記所定の契機は、前記保留手段が前記保留情報を記憶することができる状態において、遊技球が入球可能に構成された所定の入球部に遊技球が入球することに応じて成立し、前記決定手段は、前記保留手段に前記保留情報が記憶されていない状態が継続している客待ち状態に、前記保留表示の表示態様を前記第二態様に決定することができてもよい。
【0011】
この場合、遊技機は、客待ち状態に保留表示の表示態様を第二態様に決定し、第二態様の保留表示を表示することができる。したがって、遊技機は、客待ち状態から遊技を行う遊技者に対して、保留表示が第二態様で表示されるか否か、すなわち、遊技状態の設定状況に対して興味を抱かせることができる。
【0012】
前記遊技機は、遊技機の性能として遊技者にとっての前記有利度が異なる性能である遊技性能を複数記憶する性能記憶手段と、前記性能記憶手段によって記憶されている複数の前記遊技性能のうちからいずれかを設定する性能設定手段とを備え、前記遊技状態の設定状況には、複数の前記遊技性能のうちいずれが設定されているかが含まれてもよい。
【0013】
この場合、遊技機は、保留表示を用いて、有利状態が生起されると判定される期待度だけではなく、複数の遊技性能のうちいずれが設定されているかについても遊技者に示唆することができる。したがって、遊技機は、保留表示の機能を拡張して、遊技の興趣を向上することができる。
【0014】
前記遊技機は、前記判定手段によって前記有利判定が実行された回数に応じて、複数の前記遊技状態のうち第一遊技状態から、前記第一遊技状態とは異なる第二遊技状態に前記遊技状態を移行する遊技状態移行手段を備え、前記決定手段は、前記第一遊技状態において、前記第一遊技状態から前記第二遊技状態に移行するまでに必要な前記有利判定の実行回数に応じて、前記保留表示の表示態様を前記第二態様に決定することができてもよい。
【0015】
この場合、遊技機は、保留表示を用いて、有利状態が生起されると判定される期待度だけではなく、第一遊技状態から第二遊技状態への移行のしやすさも遊技者に示唆することができる。したがって、遊技機は、保留表示の機能を拡張して、遊技の興趣を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】パチンコ機1の正面図である。
図2】パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。
図3】RAM52の特図1大当たり関係情報記憶エリアを示す概念図である。
図4】ROM53に記憶されている大当たり判定テーブルを示す概念図である。
図5】ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルを示す概念図である。
図6】ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルを示す概念図である。
図7】主制御基板41において行われるメイン処理のフローチャートである。
図8】メイン処理において行われる電源投入時処理のフローチャートである。
図9図8に続くフローチャートである。
図10】メイン処理において行われる特別図柄処理のフローチャートである。
図11図10に続くフローチャートである。
図12図11に続くフローチャートである。
図13】特別図柄処理において行われる遊技状態移行処理のフローチャートである。
図14図13に続くフローチャートである。
図15】メイン処理において行われる特別電動役物処理のフローチャートである。
図16】サブ制御基板58において行われるサブ制御基板処理のフローチャートである。
図17図16に続くフローチャートである。
図18】サブ制御基板処理において行われるサブ電源投入時処理のフローチャートである。
図19】待機中画像119の例を示す説明図である。
図20】サブ電源投入時処理において行われるサブ復帰処理のフローチャートである。
図21】サブ制御基板処理において行われる保留表示処理のフローチャートである。
図22】ROM583に記憶されている保留表示態様決定テーブルを示す概念図である。
図23】ROM583に記憶されている設定段階示唆決定テーブルを示す概念図である。
図24】サブ制御基板処理において行われる報知演出実行処理のフローチャートである。
図25】第一保留表示が表示される場合の例を示す説明図である。
図26図25に続く説明図である。
図27】第二実施形態のROM583に記憶されている必要回数決定テーブルを示す概念図である。
図28】第二実施形態において第一保留表示が表示される場合の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る遊技機の第一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。パチンコ機1は、特別図柄を備えた、いわゆる旧1種タイプの遊技機である。本願が開示する技術は、大当たり判定、普通当たり判定等、遊技機において行われる判定が実行されずに保留されている保留乱数に対応する表示を、画像を表示する表示手段に表示できる遊技機であれば、旧2種タイプ、1種2種混合タイプ、一般電役タイプ等、様々な遊技仕様の遊技機に適用できる。
【0018】
図1に示すように、パチンコ機1は、遊技機枠30と遊技盤2とを備える。遊技機枠30は、前面枠31と、図示しない本体枠及び外枠を備える。外枠は、パチンコ機1をホールの島設備に固定するための枠部材である。本体枠は、遊技盤2等を取り付けるための枠体である。本体枠は、外枠に対して開閉可能に装着されている。前面枠31は、本体枠に対して開閉可能に装着されている。前面枠31には、図示しない透明板が着脱可能に固定されている。透明板は、例えばガラス板である。前面枠31は、透明板とともに遊技盤2を前方から覆う。
【0019】
前面枠31は、発射ハンドル32、上皿33、下皿34、演出ボタン35、演出レバー36、枠ランプ38及びスピーカ39を備える。発射ハンドル32は、前面枠31の右下部に設けられている。発射ハンドル32は、遊技者が回転操作をできるように構成されている。遊技者が発射ハンドル32を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル32の回転角度に応じた強度で、図2に示す遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。上皿33は、前面枠31の中央下部に設けられている。上皿33は、遊技球発射装置37に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。下皿34は、上皿33の下方に設けられている。下皿34は、賞球を受ける。演出ボタン35は、上皿33の上面に設けられている。演出ボタン35は、遊技者が押下操作をできるように構成されている。演出レバー36は、前面枠31の左下部に設けられている。演出レバー36は、遊技者が左右方向への回転操作及び後方への押込操作をできるように構成されている。枠ランプ38は、前面枠31の上部、左部及び右部等に設けられる装飾部である。枠ランプ38は、LED等の光源を内蔵し、光を用いた各種の演出を実行する。スピーカ39は、前面枠31の上部の左右の角部に設けられている。スピーカ39は、音楽、音声、効果音等の各種の音を出力する。
【0020】
遊技盤2は正面視略正方形の板状である。遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。ガイドレール3は、遊技領域4の左側に形成されている。遊技領域4の略中央には、センター飾り21が設けられている。遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、センター飾り21の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、センター飾り21の右側を流下する。以下、遊技球がセンター飾り21の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と、遊技球がセンター飾り21の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。
【0021】
センター飾り21は、表示画面28を主に備える。表示画面28は、センター飾り21の略中央に配置される。表示画面28は、例えばLCD等によって構成される画像表示手段であり、数字・文字、様々な動画等を表示可能である。表示画面28には、有機EL、ドットマトリクス等、種々のものが用いられてよい。表示画面28は、報知演出を実行可能である。報知演出は、図25に示す演出用の図柄である演出図柄100を変動させた後に、後述する大当たり判定の結果を示す演出図柄100の組合せを確定表示させる図柄変動を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出である。また、センター飾り21は、LED等の光源を有して構成される、図2に示す盤ランプ27を内蔵している。センター飾り21は、盤ランプ27によって、光を用いた各種の演出を実行する。
【0022】
センター飾り21の略中央下方には、第一始動口14が設けられている。第一始動口14は、後述する第一特別図柄の始動口として機能する。第一始動口14の右下方には、大入賞口16が設けられている。大入賞口16は、いわゆる特別電動役物(大当たり判定の結果に基づき入賞口の大きさを変化する役物)に係る入賞口として構成されている。大入賞口16は、左右方向に長手方向を有して延び、大入賞口16の入口を開閉可能に構成された開閉部材161を備える。遊技球は、開閉部材161が開放された場合にのみ、大入賞口16に入賞することができる。大入賞口16の開閉部材161は、図2に示す大入賞口ソレノイド70によって電気的に開閉される。大入賞口16の開閉部材161は、後述する大当たり遊技において開放する。
【0023】
センター飾り21の右方には、遊技球が通過可能なゲート12が設けられている。ゲート12は、普通図柄の作動ゲートである。ゲート12の下方には、第二始動口15が設けられている。第二始動口15は、後述する第二特別図柄の始動口として機能する。第二始動口15は、いわゆる普通電動役物(普通当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変更する役物)に係る入賞口として構成されている。第二始動口15は、片羽根状であり、第二始動口15の入口を開閉可能に構成された開閉部材151を備える。遊技球は、開閉部材151が開放された場合にのみ、第二始動口15に入賞することができる。第二始動口15の開閉部材151は、図2に示す第二始動口ソレノイド69によって電気的に開閉される。第二始動口15の開閉部材151は、後述する普通当たり遊技において開放される。
【0024】
遊技盤2の右下部には、図柄表示部29が設けられている。図柄表示部29は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED及び普通図柄記憶数表示LED等を備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、それぞれ複数個のLEDからなる。第一特別図柄表示部は、LEDを点滅表示すること等による変動表示をした後に、LEDの点灯及び消灯を所定の組合せとして確定表示することによって、第一始動口14に遊技球が入賞したことを契機として実行された大当たり判定の結果を報知する。第一特別図柄表示部に確定表示される組合せのそれぞれを、第一特別図柄という。以下、第一始動口14に遊技球が入賞したことを契機として実行される大当たり判定を、「特図1大当たり判定」という。第二特別図柄表示部は、第一特別図柄表示部と同様の変動表示をした後に、LEDの点灯及び消灯を所定の組合せとして確定表示することによって、第二始動口15に遊技球が入賞したことを契機として実行された大当たり判定の結果を報知する。第二特別図柄表示部に確定表示される組合せのそれぞれを、第二特別図柄という。以下、第二始動口15に遊技球が入賞したことを契機として実行される大当たり判定を、「特図2大当たり判定」という。以下では、第一特別図柄及び第二特別図柄を総称する場合、単に特別図柄という。
【0025】
普通図柄表示部は、特別図柄の変動表示と同様の変動表示をした後に、LEDの点灯及び消灯を所定の組合せとして確定表示することによって、遊技球がゲート12を通過することを契機として実行される普通当たり判定の結果を報知する。普通図柄表示部に確定表示される組合せのそれぞれを、普通図柄という。第一保留数表示LEDは、特図1大当たり判定の実行が保留されている数である第一保留数を表示する。第二保留数表示LEDは、特図2大当たり判定の実行が保留されている数である第二保留数を表示する。普通保留数表示LEDは、普通当たり判定の実行が保留されている数である普通保留数を表示する。
【0026】
遊技領域4には、上記以外に、アウト口19、各種の装飾部材、その他の入賞口及び図示しない遊技くぎ等が設けられている。アウト口19は、遊技盤2の下部に設けられている。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口14、第二始動口15、大入賞口16及びその他の入賞口のいずれにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、アウト口19を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
【0027】
なお、遊技領域4において、各遊技部材が上記のように配設されるため、左打ちされた遊技球は、右打ちされた遊技球よりも、第一始動口14へ入賞しやすい。右打ちされた遊技球が第一始動口14へ入賞することは困難である。また、右打ちされた遊技球は、左打ちされた遊技球よりも、ゲート12、第二始動口15及び大入賞口16を通過又は入賞しやすい。左打ちされた遊技球がゲート12、第二始動口15及び大入賞口16を通過又は入賞することは困難である。したがって、遊技者は、後述する確変状態、時短状態及び大当たり遊技中には右打ちによって遊技を進め、それ以外の場合は左打ちによって遊技を進める。
【0028】
図1を参照して、パチンコ機1における遊技の概要について説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられている。大当たり遊技について説明する。大当たり遊技は、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動することにより実行される。条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置である。役物連続作動装置とは、特別電動役物を連続して作動させるための装置である。本実施形態において、条件装置は、大当たりであることを示す特別図柄が図柄表示部29に確定表示された場合に作動する。本実施形態において、役物連続作動装置は、条件装置が作動した場合に作動する。役物連続作動装置が作動することによって、特別電動役物に係る大入賞口16の開閉部材161が所定の開放パターンで開放されることが所定回数繰り返される、大当たり遊技が実行される。以下、大当たり遊技において大入賞口16の開閉部材161が、連続して開放状態にされる繰り返しの一単位を、「大当たりラウンド」という。また、1回の大当たり遊技を構成する大当たりラウンドの合計数を、以下、「ラウンド数」という。また、条件装置及び役物連続作動装置が作動している状態、すなわち、大当たり遊技が実行中の状態を、大当たり遊技状態という。本実施形態では、ラウンド数は「4」又は「8」である。以下、大当たり判定の結果が大当たりであることを示す特別図柄を、大当たり図柄という。大当たり判定の結果がはずれであることを示す特別図柄を、はずれ図柄という。
【0029】
パチンコ機1は、確変状態又は非確変状態を設定できる。確変状態とは、大当たり判定において大当たりであると判定される確率が通常よりも高い確率に変動している遊技状態である。大当たり判定において大当たりであると判定される確率を、以下、「大当たり確率」という。非確変状態は、確変状態が設定されておらず、大当たり確率が通常の確率である状態である。パチンコ機1は、非確変状態における大当たり確率と、確変状態における大当たり確率との組合せによる確率設定を複数段階備える。確率設定の詳細については後述する。本実施形態では、大当たり遊技の終了後に60%の割合で確変状態が設定される。大当たり遊技の終了後に確変状態が設定されるか否かは、後述する特別図柄決定乱数の値に応じて決定される特別図柄の種別によって定まる。以下では、大当たり遊技の終了後に確変状態が設定される種別の特別図柄を、「確変大当たり図柄」という。大当たり遊技の終了後に非確変状態が設定される種別の特別図柄を、「非確変大当たり図柄」という。設定された確変状態は、次回に大当たり遊技が実行されるまでの間継続する。本実施形態において、大当たり遊技が実行された場合、大当たり遊技の終了後に、確変状態の他、後述の時短状態が設定されることがある。
【0030】
普通当たり遊技について説明する。普通当たり遊技は、普通当たり判定の判定結果が当たりであることを示す普通図柄が図柄表示部29に確定表示された場合に実行される。普通当たり判定は、ゲート12を遊技球が通過することを契機として行われる。普通当たり遊技は、普通電動役物に係る第二始動口15の開閉部材151が所定の開放パターンで開放されることによって実行される。
【0031】
パチンコ機1は、非時短状態及び時短状態のいずれかを設定する。非時短状態は、第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる割合が通常の頻度である遊技状態である。時短状態は、非時短状態よりも第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる頻度が高くなる遊技状態である。
【0032】
時短状態は、時短状態の開始の契機に応じて、A時短状態又はB時短状態に分類される。A時短状態は、大当たり遊技の終了後に設定される時短状態である。A時短状態は、確変状態においては確変状態が継続する間、非確変状態においてはA時短状態において行われた大当たり判定の回数、すなわち特図1大当たり判定の実行回数と特図2大当たり判定の実行回数との合計が、予め定められたA時短回数に到達するまで継続する。特図1大当たり判定の実行回数と特図2大当たり判定の実行回数との合計を、以下、判定回数という。A時短状態は、大当たり遊技状態が再び設定されるか、A時短状態における判定回数がA時短回数に到達すると終了し、非時短状態が設定される。本実施形態において、A時短回数は100回である。
【0033】
B時短状態は、大当たり遊技が終了し、非確変状態における大当たり判定の実行が開始されたこと及び後述するRAMクリア処理が行われたことを起点として計数された判定回数が、予め定められた上限回数に到達することに応じて設定される時短状態である。本実施形態において、上限回数は601回である。B時短状態は、B時短状態における判定回数が、予め定められたB時短回数に達するまで継続する。B時短状態は、大当たり遊技状態が再び設定されるか、B時短状態における判定回数がB時短回数に到達すると終了し、非時短状態が設定される。本実施形態において、B時短回数は300回である。
【0034】
本実施形態において、非時短状態において行われる普通当たり遊技による第二始動口15の開閉部材151の開放パターンは、約0.1秒×1回である。普通当たり判定において当たりであると判定される確率を、以下では「普通当たり確率」という。非時短状態における普通当たり確率は、約1/11である。また、非時短状態における普通図柄の変動時間は、約10秒である。時短状態において行われる普通当たり遊技による第二始動口15の開閉部材151の開放パターンは、約1.2秒×3回である。時短状態における普通当たり確率は、約10/11である。また、時短状態における普通図柄の変動時間は、約2秒である。このため、遊技者は、時短状態において、非時短状態よりも第二始動口15に遊技球を容易に入賞させることができる。
【0035】
本実施形態において、パチンコ機1は、大当たり遊技の終了後に時短状態を設定する。設定された時短状態は、確変状態が継続する間又は時短状態において行われた大当たり判定の回数、すなわち特図1大当たり判定の実行回数と特図2大当たり判定の実行回数との合計が、予め定められた時短回数に達するまで継続する。すなわち、パチンコ機1は、いわゆるA時短状態を設定できる。本実施形態において、時短回数は100回である。パチンコ機1は、この他に、いわゆるC時短状態を設定できるように構成されていてもよい。C時短状態は、非確変状態において、はずれ図柄のうち特定のはずれ図柄が確定表示されたことを契機として設定される時短状態である。
【0036】
パチンコ機1は、これら確変状態、非確変状態、時短状態及び非時短状態を組合せて、遊技者にとっての有利度が異なる複数種類の遊技状態を設定できる。本実施形態では、「通常状態」、「確変時短状態」、「非確変時短状態」の3種類の遊技状態のうちのいずれかが設定される。通常状態は、非確変状態と非時短状態との組合せによる。確変時短状態は、確変状態と時短状態との組合せによる。非確変時短状態は、非確変状態と時短状態との組合せによる。なお、パチンコ機1における初回電源投入後の初期状態には、通常状態が設定される。この他、パチンコ機1は、確変状態と非時短状態との組合せによる「確変非時短状態」等を含めた4種類以上の遊技状態を備えてもよい。
【0037】
図2を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主制御基板41、サブ制御基板58、ランプ制御基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継端子板47及び電源基板42を主に備える。
【0038】
主制御基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主制御基板41のCPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。RAM52は、確変状態、時短状態等の遊技状態を示すフラグ等の情報、大当たり判定の結果を示す情報、第一保留数、第二保留数等、遊技に関する処理のための遊技処理情報を記憶する。CPUユニット50には、乱数発生回路56及び割込信号発生回路57が接続されている。乱数発生回路56は、所定範囲の乱数を発生させる。割込信号発生回路57は、一定周波数のクロック信号を出力する図示しないクロック回路からクロック信号が入力される毎に割込信号を発生させる。主制御基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎に、後述する主制御プログラムのメイン処理を実行する。
【0039】
また、主制御基板41には、RAMクリアスイッチ412、設定キースイッチ415及び設定値表示部416が実装されている。RAMクリアスイッチ412は、RAMクリア処理を行う際に操作されるスイッチである。RAMクリア処理は、RAM52に記憶されている遊技処理情報を消去し、RAM52の初期設定を行うために行われる。なお、RAMクリアスイッチ412は、電源基板42に設けられても良い。RAMクリアスイッチ412は、主制御基板41、電源基板42等とは別に設けられる専用の基板に設けられてもよい。
【0040】
設定キースイッチ415は、専用の設定キーを用いてON状態とOFF状態とを切り替えることができるスイッチである。設定キースイッチ415は、パチンコ機1における確率設定の段階の変更を行うためのスイッチである。確率設定の段階の変更を、以下、設定変更という。パチンコ機1において、RAMクリアスイッチ412は、RAMクリア処理を行う際に操作されるスイッチとして機能し、設定変更において確率設定の段階を変更するために操作されるスイッチとしても機能する。本実施形態では、RAMクリアスイッチ412が上記の二つの機能を兼用するが、例えば、RAMクリア処理を行うためのスイッチと、確率設定の段階を変更するためのスイッチとが、個別に設けられていてもよい。設定キースイッチ415及びRAMクリアスイッチ412は、パチンコ機1の本体枠の内部において主制御基板41を覆う主制御基板ケースの内部に設けられている。ホール店員等の作業者は、前面枠31を開放することによって、設定キースイッチ415及びRAMクリアスイッチ412を外部から操作できる。遊技者等、作業者以外の者は、前面枠31を開放することができないため、設定キースイッチ415及びRAMクリアスイッチ412を操作できない。
【0041】
設定値表示部416は、主制御基板41に実装される7セグメントLEDによって構成される。設定値表示部416は、設定キースイッチ415及びRAMクリアスイッチ412とともに主制御基板ケースの内部に設けられ、設定変更の際等にその時点の確率設定の段階を示す値である設定値を表示する。本実施形態では、設定値は、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」のいずれかである。主制御基板ケースは、無色透明の合成樹脂製であるので、作業者は、主制御基板ケースの外部から設定値表示部416に表示される情報を視認することができる。
【0042】
主制御基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継端子板47、図柄表示部29、外部端子板55、第一始動口スイッチ61、第二始動口スイッチ62に接続している。図柄表示部29の表示制御は、CPU51によって行われる。外部端子板55は、パチンコホールに設置されている遊技機を統括的に管理する遊技場管理用コンピュータ(いわゆるホールコンピュータ、図示略)にパチンコ機1の情報を接点出力する。第一始動口スイッチ61は、第一始動口14に設けられており、第一始動口14への遊技球の入賞を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。第二始動口スイッチ62は、第二始動口15に設けられており、第二始動口15への遊技球の入賞を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。
【0043】
サブ制御基板58は、各種の演算処理を行うCPU581、データを一時的に記憶するRAM582、制御プログラム等を記憶したROM583及びパチンコ機1における音出力を制御する音制御回路585を備える。サブ制御基板58は、ランプ制御基板46、演出制御基板43及びスピーカ39に接続している。サブ制御基板58は、主制御基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。
【0044】
ランプ制御基板46は、演出ボタン35、演出レバー36、枠ランプ38及び盤ランプ27に接続している。ランプ制御基板46は、図示しないLEDドライバ等を備える。ランプ制御基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、枠ランプ38及び盤ランプ27の発光動作等を制御する。演出ボタン35は押下操作をされた場合、押下操作をされたことを示す信号を出力する。演出レバー36は回転操作及び押込操作をされた場合、回転操作及び押込操作をされたことを示す信号を出力する。ランプ制御基板46は、演出ボタン35から受信した信号及び演出レバー36から受信した信号を、サブ制御基板58に中継する。
【0045】
演出制御基板43は、各種の演算処理を行うCPU431、表示画面28に対する画像出力を制御する画像制御回路435及び画像データを記憶するCGROM(図示略)等を備える。演出制御基板43は、サブ制御基板58から送信されるコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。
【0046】
払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主制御基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を賞球として賞球払出装置49に払い出させる。
【0047】
中継端子板47は、第二始動口ソレノイド69、大入賞口ソレノイド70、ゲートスイッチ74、大入賞口スイッチ76に接続している。第二始動口ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口15の開閉部材151を開閉する。大入賞口ソレノイド70は、大当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材161を開閉する。ゲートスイッチ74は、ゲート12に設けられており、ゲート12への遊技球の通過を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。大入賞口スイッチ76は、大入賞口16に設けられており、大入賞口16への遊技球の入賞を検出した場合、検出信号を主制御基板41に出力する。
【0048】
電源基板42は、主制御基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では約0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。電源基板42には、電源スイッチ423が設けられている。電源スイッチ423は、パチンコ機1の電源をON、OFFするために操作されるスイッチである。
【0049】
図3を参照して、RAM52の特図1大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。特図1大当たり関係情報記憶エリアは、図10から図12において後述するメイン処理の特別図柄処理において使用される。特図1大当たり関係情報記憶エリアには、最大第一保留数に対応する複数の記憶エリアが設けられている。本実施形態において、記憶可能な第一保留数の上限である最大第一保留数は「4」である。このため、特図1大当たり関係情報記憶エリアには、No.1からNo.4の4つの記憶エリアが設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞した際に第一保留数が4未満、すなわち0~3であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。
【0050】
第一保留数は、第一始動口14へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、特図1大当たり判定の実行、第一特別図柄の変動時間を示す第一変動パターンの決定等が保留された状態で特図1大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている第一保留乱数の個数である。CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数を、図示しない判定エリアにシフトする。判定エリアは、大当たり判定を行う乱数を格納するために、RAM52に設けられている記憶エリアであり、特図1大当たり判定と特図2大当たり判定とで共通に用いられる。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について特図1大当たり判定等の各種処理を行う。最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数が、判定エリアにシフトされると、次の番号以降の記憶エリアに記憶されている乱数が、1つ小さな番号の記憶エリアにシフトされる。以降は、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数が判定エリアに順次シフトされて、特図1大当たり判定等の処理が繰り返される。判定エリアに記憶されている乱数についての各種処理には、例えば、特図1大当たり判定の結果を報知する報知演出の決定、及び判定結果に応じて実行される大当たり遊技のラウンド数に関する処理等が含まれる。なお、判定エリアの乱数は、大当たり判定等の処理が終了した後に消去される。
【0051】
各記憶エリアには、大当たり乱数の値が記憶される特図1大当たり乱数欄、特別図柄決定乱数の値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄、及び変動パターン決定乱数の値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄が設けられている。遊技球が第一始動口14へ入賞すると、その時点で乱数発生回路56によって乱数の種類毎に生成されている乱数がハード回路によってラッチされて、各欄に記憶される。特図1大当たり乱数欄に記憶される大当たり乱数は、特図1大当たり判定のために用いられる。第一特別図柄決定乱数欄に記憶される特別図柄決定乱数は、第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数欄に記憶される変動パターン決定乱数は、図柄表示部29の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間等を示す第一変動パターンを決定するために用いられる。大当たり乱数と、大当たり乱数とともに取得されて特図1大当たり関係情報記憶エリアに記憶される特別図柄決定乱数及び変動パターン決定乱数を総称して、第一乱数ともいう。特図1大当たり判定、第一変動パターンの決定、第一特別図柄の決定が実行されず保留された状態で特図1大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている第一乱数を、第一保留乱数という。また、特図1特別図柄の変動時間を、第一変動時間ともいう。この他、報知演出を後述するリーチ演出として行うか否かを決定するためのリーチ乱数等、上記以外の乱数が、遊技球が第一始動口14へ入賞することを契機として第一乱数として取得されてもよい。
【0052】
図示しないが、RAM52には、特図2大当たり関係情報記憶エリアが設けられている。特図2大当たり関係情報記憶エリアも、メイン処理の特別図柄処理において使用される。本実施形態では、特図2大当たり関係情報記憶エリアに、最大第二保留数に対応する4つの記憶エリアが設けられている。第二保留数は、第二始動口15へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、特図2大当たり判定の実行、第二特別図柄の変動時間を示す第二変動パターンの決定等が保留された状態で記憶されている第二保留乱数の個数である。第二始動口15に遊技球が入賞すると、その時点で乱数発生回路56によって乱数の種類毎に生成されている乱数がハード回路によってラッチされて、特図2大当たり関係情報記憶エリアの各欄に記憶される。特図2大当たり関係情報記憶エリアには、特図1大当たり関係情報記憶エリアと同様に、大当たり乱数の値が記憶される特図2大当たり乱数欄、特別図柄決定乱数の値が記憶される第二特別図柄決定乱数欄、及び変動パターン決定乱数の値が記憶される第二変動パターン決定乱数欄が設けられている。
【0053】
CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数を、前述の判定エリアにシフトする。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について特図2大当たり判定等の各種処理を行う。大当たり乱数と、大当たり乱数とともに取得されて特図2大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている特別図柄決定乱数及び変動パターン決定乱数を総称して、第二乱数ともいう。また、第二特別図柄の変動時間を、第二変動時間ともいう。
【0054】
以下の説明では、大当たり乱数のうち特図1大当たり判定のために用いられるものを、特図1大当たり乱数ともいう。大当たり乱数のうち特図2大当たり判定のために用いられるものを、特図2大当たり乱数ともいう。変動パターン決定乱数のうち第一変動パターンを決定するために用いられるものを、第一変動パターン決定乱数ともいう。変動パターン決定乱数のうち第二変動パターンを決定するために用いられるものを、第二変動パターン決定乱数ともいう。特別図柄決定乱数のうち第一特別図柄を決定するために用いられるものを、第一特別図柄決定乱数ともいう。特別図柄決定乱数のうち第二特別図柄を決定するために用いられるものを、第二特別図柄決定乱数ともいう。
【0055】
パチンコ機1において、第一変動時間及び第二変動時間は、特図1大当たり判定及び特図2大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主制御基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主制御基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。主制御基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動開始に同期して、演出図柄100の変動表示の開始を制御する。主制御基板41は、第一変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄を、所定の特別図柄確定表示時間の間、確定表示させる。本実施形態において、特別図柄確定表示時間は0.8秒である。また、主制御基板41は、第二特別図柄の変動時間が終了すると、変動させていた第二特別図柄を、所定の特別図柄確定表示時間の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄確定表示時間に同期して、演出図柄100を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄100による他、表示画面28、盤ランプ27、枠ランプ38、スピーカ39等によっても、特別図柄の変動時間と同期した報知演出の実行を制御する。以下では、第一特別図柄の変動時間と同期した報知演出を、第一報知演出という。第二特別図柄の変動時間と同期した報知演出を、第二報知演出という。
【0056】
なお、図示しないが、RAM52には、ゲート12を遊技球が通過することを契機として取得される普通当たり乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、特図1大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。本実施形態では、普通当たり関係情報記憶エリアには、記憶可能な普通保留数の上限である最大普通保留数「4」に対応する4つの記憶エリアが設けられている。記憶エリアには、普通当たり乱数の値が記憶される普通当たり乱数欄、普通図柄決定乱数の値が記憶される普通図柄決定乱数欄が設けられている。普通当たり乱数は、普通当たり判定のために用いられる。普通図柄決定乱数は、普通当たり図柄を決定するために用いられる。
【0057】
図4を参照して、ROM53に記憶されている大当たり判定テーブルについて説明する。大当たり判定テーブルは、0~65535の値を採る大当たり乱数のうち、大当たりの判定結果が導出される大当たり乱数の値である大当たり判定値を定義している。これにより、判定テーブルは、大当たり判定によって大当たりと判定される大当たり確率を定義する。パチンコ機1は、大当たり判定テーブルを参照することで、大当たり判定の結果が大当たり又ははずれであるかを判定する。
【0058】
大当たり判定テーブルは、特図1大当たり判定テーブルと、特図2大当たり判定テーブルとを備える。特図1大当たり判定テーブルは、非確変状態における大当たり確率と、確変状態における大当たり確率との組合せによる確率設定を複数段階備える。本実施形態では、設定1から設定6の、6段階の確率設定が設けられている。6段階からなる確率設定の段階は、設定6が最も大当たり確率が高く、設定5、設定4、設定3、設定2、設定1の順に段階を示す数字が小さくなるほど大当たり確率が段階的に低くなる。通常状態において大当たり判定によって大当たりであると判定されることを、以下では、「初当たり」という。非確変状態における大当たり確率が高いほど、通常状態から遊技を開始してから大当たりと判定されるまでに行われる大当たり判定の回数が少なくなりやすい。すなわち、確率設定が設定6の場合、最も初当たりしやすい。確率設定が設定1の場合、最も初当たりしにくい。また、確変状態における大当たり確率が高いほど、確変状態が設定された後に大当たりと判定されるまでに行われる大当たり判定の回数が少なくなりやすい。すなわち、確率設定が設定6の場合、確変状態が設定された後に行われる大当たり判定の回数がより少ない段階で、大当たりの判定結果が得られやすい。したがって、確率設定の段階が高いほど、遊技者にとって有利な状態が設定されていることとなる。
【0059】
図1大当たり判定テーブルは、大当たり判定値を定義することによって、設定1では、非確変状態における大当たり確率を、1/240.059、確変状態における大当たり確率は、1/24.006と定義している。設定1において、確変状態における大当たり確率は、非確変状態における大当たり確率の約10倍である。この倍率は、いずれの確率設定の段階においても共通する。設定2では、非確変状態における大当たり確率は、1/230.761であり、確変状態における大当たり確率は、1/23.076である。設定3では、非確変状態における大当たり確率は、1/222.912であり、確変状態における大当たり確率は、1/22.291である。設定4では、非確変状態における大当たり確率は、1/214.872であり、確変状態における大当たり確率は、1/21.487である。設定5では、非確変状態における大当たり確率は、1/207.392であり、確変状態における大当たり確率は、1/20.739である。設定6では、非確変状態における大当たり確率は、1/200.415であり、確変状態における大当たり確率は、1/20.042である。特図2大当たり判定テーブルも、特図1大当たり判定テーブルと同様に、設定1から設定6の各確率設定の段階について、大当たり確率を定義している。
【0060】
図5を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルについて説明する。パチンコ機1は、特図1大当たり判定の結果を示す第一特別図柄と、特図2大当たり判定の結果を示す第二特別図柄とを、特別図柄決定テーブルを参照することで決定する。特に、特別図柄決定テーブルは、第一特別図柄及び第二特別図柄の大当たり図柄を定義している。特別図柄決定テーブルは、複数の大当たり図柄のそれぞれに、特別図柄決定乱数の値(0~99)を対応付けている。なお、大当たり判定の結果がはずれである場合には、所定のはずれ種別が決定される。
【0061】
第一特別図柄は、「4R通常大当たりA」及び「4R確変大当たりA」の2種類の図柄名称の大当たり図柄を含む。「4R通常大当たりA」は、非確変大当たり図柄である。「4R確変大当たりA」は、確変大当たり図柄である。第一特別図柄の大当たり図柄の割合は、「4R通常大当たりA」が40%、「4R確変大当たりA」が60%である。「4R通常大当たりA」及び「4R確変大当たりA」が決定されたことに応じて実行される大当たり遊技のラウンド数は、「4」である。
【0062】
第二特別図柄は、「4R通常大当たりB」、「4R確変大当たりB」及び「8R確変大当たり」の3種類の図柄名称の大当たり図柄を含む。「4R通常大当たりB」は、非確変大当たり図柄である。「4R確変大当たりB」及び「8R確変大当たり」は、確変大当たり図柄である。第二特別図柄の大当たり図柄の割合は、「4R通常大当たりB」が40%、「4R通常大当たりB」が30%、「4R通常大当たりB」が40%、「8R通常大当たり」が30%である。「4R通常大当たりB」及び「4R確変大当たりB」が決定されたことに応じて実行される大当たり遊技のラウンド数は、「4」である。「8R確変大当たり」が決定されたことに応じて実行される大当たり遊技のラウンド数は、「8」である。なお、これらの図柄名称の大当たり図柄が決定される割合は一例であり、任意に変更されてもよい。
【0063】
特別図柄決定テーブルは、「大当たり遊技終了後の遊技状態」欄を設け、大当たり図柄が決定されたことに起因して大当たり遊技の終了後に設定される遊技状態を、図柄名称に対応付けて定義している。特別図柄決定テーブルは、設定された遊技状態が終了する条件である終了条件も、図柄名称に対応付けて定義されている。
【0064】
第一特別図柄として4R通常大当たりAが決定された場合、対応する大当たり遊技の終了後にA時短状態として非確変時短状態が設定される。設定された非確変時短状態は、非確変時短状態における判定回数がA時短回数である100回に到達するまで継続する。その後は時短状態が終了し、遊技状態は通常状態に移行する。第一特別図柄として4R確変大当たりAが決定された場合、対応する大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定される。設定された確変時短状態は、次回に大当たり遊技が実行されるまでの間継続する。
【0065】
第二特別図柄として4R通常大当たりBが決定された場合、対応する大当たり遊技の終了後に非確変時短状態が設定される。設定された非確変時短状態は、非確変時短状態における判定回数がA時短回数である100回に到達するまで継続する。その後は時短状態が終了し、遊技状態は通常状態に移行する。第二特別図柄として4R確変大当たりB又は8R確変大当たりが決定された場合、対応する大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定される。設定された確変時短状態は、次回に大当たり遊技が実行されるまでの間継続する。
【0066】
図6を参照して、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルについて説明する。変動パターン決定テーブルは、大当たり判定による判定結果及び変動パターンが決定される時点における遊技状態に応じて、複数のテーブルを設けている。複数のテーブルのそれぞれには、1又は複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンに変動パターン決定乱数の値(0~511)及び特別図柄の変動時間が対応付けられている。
【0067】
図1大当たり判定が行われた場合、その時点の遊技状態と特図1大当たり判定による判定結果とに応じたテーブル区分が参照され、特図1大当たり乱数とともに取得されている第一変動パターン決定乱数の値に対応する第一変動パターンが1つ決定される。通常状態における特図1大当たり判定の判定結果が大当たりの場合、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄100のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がはずれの場合、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。したがって、通常状態において特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度は、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に高くなる。同様に、確変時短状態において特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度は、「リーチ演出F」、「リーチ演出G」の順に高くなる。非確変時短状態において特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度は、「リーチ演出H」、「リーチ演出I」の順に高くなる。
【0068】
なお、本実施形態において、「非リーチ演出A」等の「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく終了する報知演出である。本実施形態では、「非リーチ」の変動パターンは、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。「非リーチ」の第一変動パターンは、第一特別図柄の変動開始時における第一保留数に応じて、第一変動時間が変動する。図5において、保留数「0」は、第一保留数が「0」の状態において遊技球が第一始動口14へ入賞したことを契機として第一特別図柄が変動を開始する場合を示す。保留数「1」、「2」又は「3」は、第一保留数が「1」、「2」又は「3」である状態において、第一乱数に基づいて第一特別図柄が変動を開始する場合を示す。
【0069】
遊技状態が確変時短状態及び非確変時短状態である場合においても、通常状態の場合と同様に、大当たり判定による判定結果に応じて、特図1大当たり乱数とともに取得されている第一変動パターン決定乱数の値に対応する第一変動パターンが1つ決定される。図示を省略するが、第二変動パターンについても第一変動パターンと同様に、遊技状態に応じた複数のテーブルのそれぞれに、1又は複数種類の第二変動パターンが割り当てられている。各変動パターンには、第二変動パターン決定乱数の値(0~511)及び第二変動時間が対応付けられている。特図2大当たり判定が行われた時点の遊技状態と特図2大当たり判定による判定結果とに応じたテーブル区分が参照され、特図2大当たり乱数とともに取得されている第二変動パターン決定乱数の値に対応する第二変動パターンが1つ決定される。
【0070】
主制御基板41は、決定した変動パターンに応じて定められている変動時間だけ、第一特別図柄又は第二特別図柄を変動させる。また、主制御基板41は、変動パターンが決定されると、変動パターンを指定するコマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンに応じて、報知演出を制御する。
【0071】
図7から図15を参照して、パチンコ機1の主制御基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。図7に示す制御プログラムのメイン処理は、電源スイッチ423がON状態に操作されることによってパチンコ機1の電源がONになると、CPU51において実行が開始される。その後は、CPU51は、図2に示す割込信号発生回路57が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が検知した際に、メイン処理を実行する。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
【0072】
メイン処理で使用されるフラグについて説明する。メイン処理では、稼働中フラグ、大当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ、確変フラグ、A時短フラグ、B時短フラグ及び客待ちフラグ等が使用される。これらのフラグは、RAM52に記憶される遊技処理情報である。稼働中フラグは、パチンコ機1が稼働中であるかを示すフラグである。稼働中フラグは、電源スイッチ423がOFF状態に操作されることによってパチンコ機1の電源がOFFにされるときに「OFF」になる。稼働中フラグは、電源スイッチ423がON状態に操作されることによってパチンコ機1の電源がONにされるときに実行される後述する電源投入時処理(S2)の実行に伴って「ON」になる。以下では、メイン処理のうち、稼働中フラグが「ON」の場合に実行されるS11からS20の処理を、稼働中処理ともいう。
【0073】
大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技状態であるかを示すフラグであり、大当たり遊技状態に「ON」になり、大当たり遊技状態でない場合に「OFF」になる。特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれか一方が変動している場合(変動中)に「1」、いずれか一方が確定表示されている場合(確定表示中)に「2」、いずれも変動中でも確定表示中でもない場合に「0」が記憶される。確変フラグは、確変状態であるかを示すフラグであり、確変状態に「1」が記憶されて「ON」になり、非確変状態に「0」が記憶されて「OFF」になる。A時短フラグは、前述のA時短状態であるかを示すフラグであり、A時短状態が設定される場合に「1」が記憶されて「ON」になり、A時短状態が終了する場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。B時短フラグは、前述のB時短状態であるかを示すフラグであり、B時短状態が設定される場合に「1」が記憶されて「ON」になり、B時短状態が終了する場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。以下では、A時短フラグとB時短フラグとを総称する場合、単に時短フラグという。客待ちフラグは、大当たり判定を実行するために記憶された第一保留乱数及び第二保留乱数が無く、遊技が行われていない状態である客待ち状態であることを識別するためにセットされるフラグである。客待ちフラグは、パチンコ機1が客待ち状態である場合に「1」が記憶されて「ON」になり、客待ち状態でない場合には「0」が記憶されて「OFF」になる。
【0074】
メイン処理が開始されると、CPU51は、稼働中フラグが「ON」であるかを判断する(S1)。パチンコ機1の電源がONにされた直後は稼働中フラグが「OFF」である。稼働中フラグが「OFF」の場合(S1:NO)、電源投入時処理が実行されて(S2)、メイン処理が終了する。
【0075】
図8及び図9を参照して、図7のS2で示した電源投入時処理の詳細について説明する。電源投入時処理が開始されると、CPU51は、電源投入に伴う初期化処理を実行する(S21)。具体的には、CPU51は、サブ制御基板58等が動作可能な状態になるのを待つためのウエイト処理等を実行する。CPU51は、RAM52へのアクセス許可設定を行う(S22)。これにより、RAM52に対する遊技処理情報の書き込み及び読み出しが可能になる。CPU51は、RAM52に記憶されている確率設定の段階がいずれかを示す設定値を参照し、設定値を通知するための設定値通知コマンドを生成する。CPU51は、生成した設定値通知コマンドを、RAM52に設けられるコマンドバッファにセットする(S23)。本実施形態では、「設定1」の確率設定の段階に対応する設定値は「1」である。同様に、「設定2」から「設定6」の確率設定の段階に対応する設定値は、それぞれ「2」から「6」である。
【0076】
RAM52のコマンドバッファにセットされたコマンドは、コマンドバッファにセットされた順に、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継端子板47等に送信される。なお、前回実施されたメイン処理においてコマンドバッファにセットされたコマンドをサブ制御基板58等へ送信するコマンド送信処理が、メイン処理に設けられていてもよい。この場合、コマンド送信処理によって、コマンドバッファにセットされたコマンドがコマンドバッファにセットされた順に、メイン処理の1割込毎にサブ制御基板58等へ送信されてもよい。
【0077】
CPU51は、設定キースイッチ415がON状態であるかを判断する(S24)。この処理において、CPU51は、パチンコ機1の電源投入時に、設定キースイッチ415がON状態になっているかを判断する。設定キースイッチ415がON状態である場合(S24:YES)、CPU51は、RAMクリアスイッチ412がON状態であるかを判断する(S25)。この処理において、CPU51は、電源スイッチ423がON状態に操作されてパチンコ機1の電源がOFFからONに切り替わったときに、設定キースイッチ415とRAMクリアスイッチ412とが、ともにON状態になっているかを判断する。
【0078】
RAMクリアスイッチ412がON状態である場合(S25:YES)、RAM52の使用領域に記憶されている遊技処理情報がクリアされ、所定の初期値がRAM52に記憶される等のRAM52の初期設定、すなわち、RAMクリア処理が行われる(S26)。RAMクリア処理が行われることによって、RAM52に記憶される大当たり遊技状態フラグ、確変フラグ及び時短フラグ等の各種のフラグが「OFF」になる。RAM52には、後述するA時短回数カウンタ、B時短回数カウンタ等の各種のカウンタが設けられる。RAMクリア処理が行われることによって、これらのカウンタに記憶される値が「0」にクリアされる。また、判定回数計数カウンタには初期値として、前述の上限回数である「601」がセットされる。CPU51は、RAMクリア処理を実行したことを通知するためのRAMクリア通知コマンドを生成し、生成したRAMクリア通知コマンドをコマンドバッファにセットする(S28)。
【0079】
CPU51は、RAM52に記憶されている設定値を参照し、参照した設定値を設定値表示部416に表示させる(S29)。なお、本実施形態において、RAM52に記憶されている設定値は、RAMクリア処理によっては消去されずに保持される。
【0080】
CPU51は、所定期間内にRAMクリアスイッチ412が操作されたかを判断する(S31)。CPU51は、所定期間内にRAMクリアスイッチ412が操作された場合(S31:YES)、設定値表示部416に表示される表示値を一段階更新する(S32)。すなわち、CPU51は、S29において設定値表示部416に「1」を表示していた場合、設定値を「2」に、一段階更新する。CPU51は、S29において設定値表示部416に「2」を表示していた場合、設定値を「3」に、一段階更新する。CPU51は、S29において設定値表示部416に「6」を表示していた場合、設定値を「1」に、一段階更新する。CPU51は、処理をS29に戻し、その後にS31の判断においてNOと判断されるまで、S29、S31及びS32の処理を繰り返して行う。これにより、CPU51は、パチンコ機1の設定値を変更するための設定変更操作を、作業者等に行わせることができる。
【0081】
設定変更操作の終了は、設定キースイッチ415がOFF状態にされることで行われる。所定期間内にRAMクリアスイッチ412が操作されなかった場合(S31:NO)、CPU51は、設定キースイッチ415がOFF状態にされているかを判断する(S33)。設定キースイッチ415がON状態である場合(S33:NO)、CPU51は、処理をS31の判断へ戻す。その後、S33の判断において「YES」と判断されるまで、S31の判断が繰り返して行われる。
【0082】
設定キースイッチ415がOFF状態にされている場合(S33:YES)、CPU51は、設定値表示部416に表示されている表示値を設定値に変換してRAM52に記憶する(S35)。すなわち、RAM52に記憶されていた設定値が変更される。CPU51は、変更された設定値を通知するために設定値通知コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S36)。コマンドバッファにセットされた設定値通知コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。その後、CPU51は、設定変更操作が終了していることを示す所定のベース値を設定値表示部416に表示する(S38)。CPU51は、稼働中フラグを「ON」にして(S39)、電源投入時処理を終了する。このようにして、設定変更操作が終了する。
【0083】
一方、RAMクリアスイッチ412がOFF状態である場合(S25:NO)、CPU51は、RAM52に記憶されている設定値を参照し、参照した設定値を設定値表示部416に表示する(S41)。CPU51は、設定キースイッチ415がOFF状態にされているかを判断する(S42)。設定キースイッチ415がON状態のままである場合(S42:NO)、CPU51は、設定キースイッチ415がOFF状態になるまでS42の判断を繰り返す。設定キースイッチ415がOFF状態にされている場合(S42:YES)、CPU51は、サブ制御基板58等を電源遮断前の状態に復帰させるための処理である復帰処理を実行する(S45)。パチンコ機1の電源が完全に遮断された後にも、電源基板42から主制御基板41へRAM52のデータ記憶保持電力が供給される。したがって、電源が遮断されるよりも前にRAM52に記憶されていたデータは、所定期間内はそのまま保持、すなわちバックアップされる。復帰処理では、電源遮断前の状態に復帰した主制御基板41のRAM52にバックアップされているデータに応じて、サブ制御基板58等を電源遮断前の状態に復帰させるための各種のコマンドが生成される。電源遮断前の状態に復帰した主制御基板41のRAM52にバックアップされているデータを、以下、バックアップデータという。バックアップデータは、コマンドバッファにセットされているコマンド、電源遮断前にRAM52に記憶されていたフラグ等の情報を含む。
【0084】
復帰処理では、大当たり遊技状態フラグ、確変フラグ及び時短フラグの状態に基づいて、遊技の状態を通知するための遊技状態コマンドが生成され、生成された遊技状態コマンドがRAM52のコマンドバッファにセットされる。詳細は後述するが、稼働中処理においては、大当たり遊技状態フラグが「OFF」から「ON」になり大当たり遊技状態が開始する場合に、大当たり遊技状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる。大当たり遊技状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、大当たり遊技状態開始通知という。復帰処理においては、バックアップデータにおいて大当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、大当たり遊技状態が既に開始されていることをサブ制御基板58に通知するために、大当たり遊技状態開始通知が行われる。
【0085】
稼働中処理において、確変フラグが「OFF」から「ON」になり、確変状態が開始する場合に、確変状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる。また、稼働中処理においては、確変フラグが「ON」から「OFF」になり、確変状態が終了する場合に、確変状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドが生成及びセットされる。確変状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、確変状態開始通知という。確変状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、確変状態終了通知という。復帰処理においては、バックアップデータにおいて確変フラグが「ON」である場合、現時点に確変状態が設定されていることをサブ制御基板58に通知するために、確変状態開始通知が行われる。また、復帰処理においては、バックアップデータにおいて確変フラグが「OFF」である場合、現時点に通常状態が設定されていることをサブ制御基板58に通知するために、確変状態終了通知が行われる。
【0086】
稼働中処理において、時短フラグが「OFF」から「ON」になり、時短状態が開始する場合に、時短状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる。また、稼働中処理においては、時短フラグが「ON」から「OFF」になり、時短状態が終了する場合に、時短状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドが生成及びコマンドバッファにセットされる。時短状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、時短状態開始通知という。時短状態が終了することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、時短状態終了通知という。復帰処理においては、バックアップデータにおいて時短フラグが「ON」である場合、現時点に時短状態が設定されていることをサブ制御基板58に通知するために、時短状態開始通知が行われる。また、復帰処理においては、バックアップデータにおいて時短フラグが「OFF」である場合、現時点に通常状態が設定されていることをサブ制御基板58に通知するために、時短状態終了通知が行われる。
【0087】
稼働中処理において、大当たり判定の結果に応じて特別図柄が決定された場合に、特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の種類をサブ制御基板58に通知するための停止図柄指定コマンドが生成及びコマンドバッファにセットされる。復帰処理においては、決定された特別図柄の種類をサブ制御基板58に通知するために、バックアップデータに含まれる停止図柄指定コマンドがサブ制御基板58に送信される。第一特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の種類をサブ制御基板58に通知するための停止図柄指定コマンドを、第一停止図柄指定コマンドという。第二特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の種類をサブ制御基板58に通知するための停止図柄指定コマンドを、第二停止図柄指定コマンドという。バックアップデータの示す電源遮断前の状態が、第一特別図柄の変動中に対応するとき、バックアップデータに含まれる第一停止図柄指定コマンドは、変動中の第一特別図柄が変動表示を終了した後に停止(確定表示)する図柄の種類を示す。バックアップデータの示す電源遮断前の状態が、第一特別図柄の非変動中に対応する場合、バックアップデータに含まれる第一停止図柄指定コマンドは、最後に確定表示した第一特別図柄の種類を示す。バックアップデータの示す電源遮断前の状態が、第二特別図柄の変動中に対応するとき、バックアップデータに含まれる第二停止図柄指定コマンドは、変動中の第二特別図柄が変動表示を終了した後に停止(確定表示)する図柄の種類を示す。バックアップデータの示す電源遮断前の状態が、第二特別図柄の非変動中に対応する場合、バックアップデータに含まれる第二停止図柄指定コマンドは、最後に確定表示した第二特別図柄の種類を示す。
【0088】
RAM52は、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間を計測するための時間カウンタである特別図柄変動時間カウンタを備える。稼働中処理においては、第一変動パターンが決定されて第一特別図柄が変動を開始する場合、決定された第一変動パターンに対応する第一特別図柄の変動時間が特別図柄変動時間カウンタに記憶される。また、第二変動パターンが決定されて第二特別図柄が変動を開始する場合、決定された第二変動パターンに対応する第二特別図柄の変動時間が特別図柄変動時間カウンタに記憶される。これに応じて、特別図柄表示状態フラグに「1」がセットされる。バックアップデータは、特別図柄変動時間カウンタの値を含む。すなわち、バックアップデータは、電源遮断前の特別図柄の変動時間の残り時間を記憶している。その後、第一特別図柄又は第二特別図柄の変動時間の経過に応じて特別図柄変動時間カウンタの値が減算され、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」になった場合に第一特別図柄又は第二特別図柄の変動時間が終了したと判断される。これに伴い、第一特別図柄停止コマンド又は第二特別図柄停止コマンドが生成及びセットされ、特別図柄表示状態フラグに「2」がセットされる。復帰処理においては、バックアップデータに含まれる第一特別図柄停止コマンド及び第二特別図柄停止コマンドが、サブ制御基板58に送信される。また、復帰処理において、電源遮断前の状態において第一特別図柄及び第二特別図柄がともに変動中でない場合には、第一特別図柄停止コマンド及び第二特別図柄停止コマンドが、サブ制御基板58に送信される。
【0089】
CPU51は復帰処理(S45)を実行した後、前述のS38及びS39の処理を行い、電源投入時処理を終了する。すなわち、CPU51は、パチンコ機1の電源投入時に、設定キースイッチ415がON状態であり、RAMクリアスイッチ412がOFF状態である場合に、現在設定されている確率設定の段階を設定値表示部416に表示する。これにより、CPU51は、現在設定されている確率設定の段階を確認させる設定確認操作を、作業者に行わせることができる。
【0090】
一方、設定キースイッチ415がOFF状態である場合(S24:NO)、図9に示すように、CPU51は、RAMクリアスイッチ412がON状態であるかを判断する(S51)。すなわち、設定キースイッチ415がOFF状態でパチンコ機1の電源がOFFからONに切り替わった場合の、RAMクリアスイッチ412の操作状況が判断される。RAMクリアスイッチ412がOFF状態であると判断された場合(S51:NO)、CPU51は、RAM判定値を算出する(S52)。RAM判定値は、例えばRAM52の使用領域のチェックサム値である。CPU51は、S52で算出したRAM判定値が正常であるかを判断する(S53)。CPU51は、パチンコ機1の電源遮断時に、RAM判定値を算出して、その値を保存する。電源遮断時に算出するRAM判定値は、S52で算出するRAM判定値と同様に、例えばRAM52の使用領域のチェックサム値である。CPU51は、S52で算出したRAM判定値が、電源遮断時に保存されたRAM判定値と一致する場合には算出されたRAM判定値が正常であると判断し(S53:YES)、S45と同様の復帰処理を実行する(S59)。図8に示すように、CPU51は、稼働中フラグを「ON」にし(S39)、電源投入時処理を終了する。すなわち、パチンコ機1の電源投入時に、設定キースイッチ415及びRAMクリアスイッチ412がともにOFF状態のときには、RAM判定値が正常であれば、パチンコ機1が電源遮断時の状態で復電する。
【0091】
一方、RAMクリアスイッチ412がON状態であると判断された場合(S51:YES)、又は算出されたRAM判定値が、電源遮断時に保存されたRAM判定値と一致せず算出されたRAM判定値が正常でないと判断された場合(S53:NO)、CPU51は、S26と同様のRAM52の初期設定を実行する(S55)。CPU51は、RAMクリア通知コマンドを生成し、生成したRAMクリア通知コマンドをコマンドバッファにセットする(S56)。コマンドバッファにセットされたRAMクリア通知コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。その後、CPU51は、図8に示すように、稼働中フラグを「ON」にし(S39)、電源投入時処理を終了する。すなわち、パチンコ機1の電源投入時に、設定キースイッチ415がOFF状態であり、RAMクリアスイッチ412がON状態のとき、RAMクリア処理が行われるが、設定変更は行われない。
【0092】
図7の説明に戻る。次の割込信号でメイン処理が開始されると、稼働中フラグが「ON」であるので(S1:YES)、CPU51は、スイッチ読込処理を実行する(S11)。スイッチ読込処理では、図2で示したゲートスイッチ74,第一始動口スイッチ61、第二始動口スイッチ62、大入賞口スイッチ76及びその他の入賞口に設けられた各スイッチの検出結果から、遊技球の通過又は入賞を検知するための処理が行われる。RAM52は、各スイッチに対応するフラグを記憶する。各スイッチが遊技球の通過を検出すると、RAM52に記憶されている各スイッチに対応するフラグが「ON」になる。
【0093】
次いで、CPU51は、カウンタ更新処理を実行する(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタ及び特別図柄確定表示時間を計測するための特別図柄確定表示時間カウンタの値が減算される。
【0094】
次いで、CPU51は、特別電動役物処理を実行する(S13)。詳細は図15を参照して後述するが、特別電動役物処理では、大当たり遊技の動作を制御するための処理、大当たり遊技の終了後に設定される遊技状態に関する処理等が行われる。大当たり遊技の動作とは、主に、大当たり遊技における大入賞口16の開閉部材161の開閉動作である。
【0095】
次いで、特別図柄処理が行われる(S15)。詳細は図10から図12を参照して後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の決定及び遊技状態移行処理等が行われる。
【0096】
次いで、CPU51は、普通電動役物処理を実行する(S16)。普通電動役物処理では、普通当たり判定の結果が当たりとなった場合に、普通当たり遊技の動作(主に第二始動口15の開閉部材151の開閉動作)を制御するための処理が行われる。前述したように、CPU51は、時短状態が設定されている場合、第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる頻度を非時短状態よりも高くする。
【0097】
次いで、CPU51は、普通図柄処理を実行する(S17)。普通図柄処理では、ゲートスイッチ74が遊技球の通過を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの生成等の処理が行われる。前述したように、時短状態中の普通図柄の変動時間は、非時短中の普通図柄の変動時間よりも短い。
【0098】
次いで、CPU51は、払出処理(S18)、エラーチェック(S19)及び情報出力処理(S20)を実行し、メイン処理を終了する。払出処理では、スイッチ読込処理によって各スイッチに対応するフラグが「ON」にされた場合に、各スイッチに対応する入賞口へ遊技球が入賞したことを示すコマンドが、払出制御基板45に送信される。このコマンドを受信した払出制御基板45のCPU45aは、コマンドに対応する入賞口について予め定められている個数の賞球を、入賞口への入賞球数に応じて賞球払出装置49に払い出させる。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28及びスピーカ39等を用いてエラーを報知するためのコマンドが、サブ制御基板58に送信される。情報出力処理では、外部端子板55を介して、前述の遊技場管理用コンピュータに対して各種の情報が出力される。
【0099】
図10から図12を参照して、図7のS15で示した特別図柄処理の詳細について説明する。特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。特別図柄処理では、前述の大当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ、確変フラグ及び時短フラグ等が使用される。
【0100】
図10に示すように、特別図柄処理が開始されると、CPU51は、第一始動口14に遊技球が入賞したかを判断する(S61)。第一始動口スイッチ61が遊技球の入賞を検知すると、図6のS11で示したメイン処理のスイッチ読のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において第一始動口スイッチ61に対応するフラグが「ON」にされる。このフラグが「OFF」の場合には、CPU51は、第一始動口14に遊技球が入賞していないと判断し(S61:NO)、処理をS71の判断へ移行する。
【0101】
このフラグが「ON」の場合には、CPU51は、第一始動口14に遊技球が入賞したと判断し(S61:YES)、第一保留数が「4」であるかを判断する(S63)。RAM52は、第一保留数を記憶する第一保留数記憶エリアを備える。第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数が「4」である場合(S63:YES)、第一保留数が最大第一保留数に達しているため、CPU51は、処理をS71の判断へ移行する。第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数が「4」でない場合(S63:NO)、CPU51は、第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数に「1」を加算する(S65)。CPU51は、第一乱数を取得し、図3で示した特図1大当たり関係情報記憶エリアにおける空の記憶エリアのうち番号が最も小さい記憶エリアに、取得した第一乱数の各乱数値を記憶する(S66)。具体的には、特図1大当たり乱数欄には大当たり乱数の乱数値が、第一特別図柄決定乱数欄には第一図柄決定乱数の乱数値が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定乱数の乱数値が、それぞれ記憶される。
【0102】
次いで、CPU51は、S66で取得された第一乱数に関する情報である第一保留情報を参照する(S68)。CPU51は、参照した情報をサブ制御基板58へ通知するための第一保留情報コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S69)。第一保留情報は、S66で取得及び記憶された第一乱数について大当たり判定等の処理がなされる前に、その第一乱数を参照することによって得られる情報であり、いわゆる先読み情報である。本実施形態において、第一保留情報は、第一保留乱数に含まれる特図1大当たり乱数、第一特別図柄決定乱数及び第一変動パターン決定乱数に基づく情報である。
【0103】
第一保留情報に含まれる情報のうち、特図1大当たり乱数に関する情報を、特図1大当たり先読み情報という。第一保留情報に含まれる情報のうち、第一特別図柄決定乱数に関する情報を、第一特別図柄先読み情報という。第一保留情報に含まれる情報のうち、第一変動パターン決定乱数に関する情報を、第一変動パターン先読み情報という。第一乱数が前述のリーチ乱数等を含む場合には、第一保留情報は、それらの乱数を参照して得られる情報も含む。第一保留球情報コマンドは、S66で取得及び記憶された第二保留情報をサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。第一保留情報コマンドは、第一保留情報に含まれる情報のうち、特図1大当たり先読み情報及び第一変動パターン先読み情報を、少なくとも含んで生成される。また、第一保留情報コマンドは、第一乱数に関する先読み情報に加えて、第一保留数を示す情報を含んで生成される。第一保留数を示す情報は、第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数に基づく。
【0104】
CPU51は、第二始動口15に遊技球が入賞したかを判断する(S71)。第二始動口スイッチ62が遊技球の入賞を検知すると、図5のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において第二始動口スイッチ62に対応するフラグが「ON」になる。このフラグが「OFF」の場合には、CPU51は、第二始動口15に遊技球が入賞していないと判断し(S71:NO)、処理を図8に示すS81の判断へ移行する。
【0105】
このフラグが「ON」の場合には、CPU51は、第二始動口15に遊技球が入賞したと判断し(S71:YES)、第二保留数が「4」であるかを判断する(S72)。RAM52は、第二保留数を記憶する第二保留数記憶エリアを備える。第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数が「4」である場合(S72:YES)、第二保留数が最大第二保留数に達しているため、CPU51は、処理をS81の判断へ移行する。第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数が「4」でない場合(S72:NO)、CPU51は、第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数に「1」を加算する(S75)。CPU51は、第二乱数を取得し、第二大当たり関係情報記憶エリアにおける空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに、取得した第二乱数の各乱数値を記憶する(S76)。具体的には、特図2大当たり乱数欄には特図2大当たり乱数の乱数値が、第二特別図柄決定乱数欄には第二特別図柄決定乱数の乱数値が、第二変動パターン決定乱数欄には第二変動パターン決定乱数の乱数値が、それぞれ記憶される。
【0106】
次いで、CPU51は、S76で取得された第二乱数に関する情報である第二保留情報を参照する(S78)。CPU51は、参照した情報をサブ制御基板58へ通知するための第二保留情報コマンドを生成し、RAM52に設けられるコマンドバッファにセットする(S79)。第二保留情報は、S76で取得及び記憶された第二乱数について大当たり判定等の処理がなされる前に、その第二乱数を参照することによって得られる先読み情報である。本実施形態において、第二保留情報は、第二保留乱数に含まれる特図2大当たり乱数、第二特別図柄決定乱数及び第二変動パターン決定乱数に基づく情報である。
【0107】
第二保留情報に含まれる情報のうち、特図2大当たり乱数に関する情報を、特図2大当たり先読み情報という。第二保留情報に含まれる情報のうち、第二特別図柄決定乱数に関する情報を、第二特別図柄先読み情報という。第二保留情報に含まれる情報のうち、第二変動パターン決定乱数に関する情報を、第二変動パターン先読み情報という。第二乱数が前述のリーチ乱数等を含む場合には、第二保留情報は、それらの乱数を参照して得られる情報も含む。第二保留球情報コマンドは、S76で取得及び記憶された第二保留情報をサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。第二保留情報コマンドは、第二保留情報に含まれる情報のうち少なくとも第二変動パターン先読み情報と、第二保留数を示す情報とを含んで生成される。第二保留数を示す情報は、第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数に基づく。コマンドバッファにセットされた第二保留球情報コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、処理をS81の判断へ移行する。以下では、第一保留情報と、第二保留情報とを総称する場合、単に保留情報という。また、第一保留情報コマンドと、第二保留情報コマンドとを総称する場合、単に保留情報コマンドという。
【0108】
図11に示すように、CPU51は、大当たり遊技状態であるかを判断する(S81)。大当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、CPU51は、大当たり遊技状態であると判断し(S81:YES)、処理をメイン処理へ戻す。大当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合、CPU51は、大当たり遊技状態でないと判断し(S81:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄が変動中であるか否かを判断する(S82)。特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合、CPU51は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも変動中でないと判断し(S82:NO)、第一特別図柄又は第二特別図柄が停止状態中であるか否かを判断する(S83)。特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合、CPU51は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも確定表示中でないと判断し(S83:NO)、処理を図12に示すS91へ移行し、大当たり判定等の処理を実行する。
【0109】
本実施形態では、大当たり判定において、特図2大当たり判定が特図1大当たり判定よりも優先して行われる。図12に示すように、CPU51は、第二保留数が「1」以上であるかを判断する(S91)。RAM52の第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数が「1」以上である場合(S91:YES)、特図2大当たり判定が行われるが、詳細は後述する。第二保留数が「0」である場合(S91:NO)、CPU51は、第一保留数が「1」以上であるかを判断する(S92)。RAM52の第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数が「0」である場合(S92:NO)、CPU51は、客待ち状態であるかを判断する(S97)。CPU51は、客待ちフラグが「ON」である場合には客待ち状態であると判断して(S97:YES)、処理をメイン処理へ戻す。
【0110】
CPU51は、客待ちフラグが「OFF」である場合には客待ち状態でないと判断して(S97:NO)、客待ちコマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S98)。客待ちコマンドは、客待ち状態が開始されたことを通知するためのコマンドである。コマンドバッファにセットされた客待ちコマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、客待ちフラグを「ON」にして(S99)、処理をメイン処理へ戻す。
【0111】
一方、第一保留数が「1」以上である場合(S92:YES)、CPU51は、第一保留数記憶エリアに記憶されている第一保留数を「1」減算する(S93)。CPU51は、図3で示した特図1大当たり関係情報記憶エリアにおいて最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第一保留乱数の各乱数値を、判定エリアにシフトする(S94)。また、CPU51は、特図1大当たり関係情報エリアに記憶されている第一保留乱数の各乱数値を、一つ番号の小さい記憶エリアにシフトする。
【0112】
CPU51は、特図1大当たり判定処理を実行する(S95)。特図1大当たり判定処理は、現在設定されている確率設定の段階と、確変状態が設定されているかとに応じて、図4で示した大当たり判定テーブルが参照されて行われる。特図1大当たり判定処理において、CPU51は、RAM52に記憶されている設定値を参照し、現在設定されている確率設定の段階を特定する。また、CPU51は、確変フラグの状態を参照し、現時点において確変状態が設定されているかを特定する。CPU51は、特定した確率設定の段階及び確変状態が設定されているか否かに応じて特図1大当たり判定テーブルを参照して、S94で判定エリアにシフトされた特図1大当たり乱数が「大当たり」及び「はずれ」のいずれに対応するかを判定する。これにより、RAM52に記憶された未判定の特図1大当たり乱数に基づく特図1大当たり判定が、特図1大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0113】
CPU51は、S95で導出された特図1大当たり判定の結果に応じた第一特別図柄を決定する(S96)。S96の処理では、CPU51は、図5で示した特別図柄決定テーブルを参照して、S94で判定エリアにシフトされた第一特別図柄決定乱数の値に応じて、大当たり又ははずれの判定結果を示す第一特別図柄を決定する。決定された第一特別図柄の内容を示す情報は、RAM52に記憶される。CPU51は、処理をS111へ移行する。
【0114】
一方、第二保留数が「1」以上である場合(S91:YES)、CPU51は、第二保留数記憶エリアに記憶されている第二保留数を「1」減算する(S101)。CPU51は、特図2大当たり関係情報記憶エリアにおいて最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている第二保留乱数の各乱数値を、判定エリアにシフトする(S102)。また、CPU51は、特図2大当たり関係情報エリアに記憶されている第二保留乱数の各乱数値を、一つ番号の小さい記憶エリアにシフトする。
【0115】
CPU51は、特図2大当たり判定処理を実行する(S103)。特図2大当たり判定処理は、特図1大当たり判定処理と同様に、現在設定されている確率設定の段階と、確変状態が設定されているかとに応じて、図4で示した大当たり判定テーブルが参照されて行われる。特図2大当たり判定処理において、CPU51は、RAM52に記憶されている設定値を参照し、現在設定されている確率設定の段階を特定する。また、CPU51は、確変フラグの状態を参照し、現時点において確変状態が設定されているかを特定する。CPU51は、特定した確率設定の段階及び確変状態が設定されているか否かに応じて特図2大当たり判定テーブルを参照して、S102で判定エリアにシフトされた特図2大当たり乱数が「大当たり」及び「はずれ」のいずれに対応するかを判定する。これにより、RAM52に記憶された未判定の第二大当たり乱数に基づく第二大当たり判定が、第二大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0116】
CPU51は、S103で導出された特図2大当たり判定の結果に応じた第二特別図柄を決定する(S105)。S105の処理では、CPU51は、S102で判定エリアにシフトされた第二特別図柄決定乱数の値に応じて、大当たり又ははずれの判定結果を示す第二特別図柄を決定する。決定された第二特別図柄の内容を示す情報は、RAM52に記憶される。CPU51は、処理をS111へ移行する。
【0117】
CPU51は、停止図柄指定コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S111)。停止図柄指定コマンドは、S96又はS105の処理で特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の内容をサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。以下、第一特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の内容をサブ制御基板58に通知するためのコマンドを、第一停止図柄指定コマンドという。第二特別図柄として決定された大当たり図柄又ははずれ図柄の内容をサブ制御基板58に通知するためのコマンドを、第二停止図柄指定コマンドという。コマンドバッファにセットされた第一停止図柄指定コマンド及び第二停止図柄指定コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。
【0118】
CPU51は、変動パターンを決定する(S112)。S112では、CPU51は、確変フラグ及び時短フラグの状態を参照し、現時点において通常状態、確変時短状態又は非確変時短状態のいずれの遊技状態が設定されているかを特定する。そして、CPU51は、図5で示した変動パターン決定テーブルを参照して、特定した遊技状態と、大当たり判定による判定結果にと応じて、変動パターン決定乱数に対応する変動パターンを決定する。
【0119】
CPU51は、S112で決定した変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S113)。以下、S112で決定された変動パターンが第一変動パターンである場合において、第一変動パターンを指定するコマンドを第一変動パターン指定コマンドという。S111で決定された変動パターンが第二変動パターンである場合において、第二変動パターンを指定するコマンドを第二変動パターン指定コマンドという。第一変動パターン指定コマンドと、第二変動パターン指定コマンドとを総称する場合、単に変動パターン指定コマンドという。変動パターン指定コマンドは、決定された変動パターンの種類及び変動パターンに対応する特別図柄の変動時間の情報を含む。コマンドバッファにセットされた変動パターン指定コマンドは、中継端子板47及びサブ制御基板58に送信される。中継端子板47を介して第一変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部29は、第一特別図柄表示部における第一特別図柄の変動を開始する。第二変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部29は、第二特別図柄表示部における第二特別図柄の変動を開始する。第一変動パターン指定コマンド及び第二変動パターン指定コマンドを受信したサブ制御基板58は、表示画面28の演出図柄100の変動開始を指示する。
【0120】
CPU51は、S112で決定された変動パターンに対応する特別図柄の変動時間を、特別図柄変動時間カウンタに記憶する(S115)。CPU51は、特別図柄が変動中であることを示す「1」を特別図柄表示状態フラグに記憶し(S116)、客待ち状態であるかを判断する(S118)。CPU51は、客待ちフラグが「OFF」である場合には客待ち状態でないと判断して(S118:NO)、処理をメイン処理へ戻す。CPU51は、客待ちフラグが「ON」である場合(S118:YES)、客待ちフラグを「OFF」にして(S119)、処理をメイン処理へ戻す。
【0121】
また、図11に示すS82の判断において、特別図柄表示フラグに「1」が記憶されている場合には、CPU51は、特別図柄が変動中であると判断し(S82:YES)、第一変動時間又は第二変動時間が経過したかを判断する(S121)。この判断は、S115において記憶された特別図柄変動時間カウンタの値に応じて行われる。CPU51は、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でない場合には第一変動時間又は第二変動時間がまだ経過していないと判断し(S121:NO)、処理をメイン処理へ戻す。
【0122】
CPU51は、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっている場合には第一変動時間又は第二変動時間が経過したと判断し(S121:YES)、特別図柄停止コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S122)。特別図柄停止コマンドは、特別図柄の変動を停止することを図柄表示部29及びサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。コマンドバッファにセットされた特別図柄停止コマンドは、中継端子板47及びサブ制御基板58に送信され、図柄表示部29における第一特別図柄又は第二特別図柄の変動停止及び表示画面28の演出図柄100の変動停止を指示する。以下、第一特別図柄の変動停止を指定するコマンドを第一特別図柄停止コマンドという。第二特別図柄の変動停止を指定するコマンドを第二特別図柄停止コマンドという。第一特別図柄停止コマンドと、第二特別図柄停止コマンドとを総称する場合、単に特別図柄停止コマンドという。
【0123】
CPU51は、特別図柄確定表示時間を、RAM52の特別図柄確定表示時間カウンタに記憶する(S123)。CPU51は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが確定表示中であることを示す「2」を特別図柄表示状態フラグに記憶する(S124)。CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。
【0124】
また、S83の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合(S83:YES)、CPU51は、S113において記憶された特別図柄確定表示時間カウンタの値に応じて、特別図柄確定表示時間が経過したかを判断する(S126)。CPU51は、特別図柄確定表示時間カウンタの値が「0」でない場合には特別図柄確定表示時間が経過していないと判断し(S126:NO)、処理をメイン処理へ戻す。CPU51は、特別図柄確定表示時間カウンタの値が「0」の場合には特別図柄確定表示時間が経過したと判断し(S126:YES)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれも変動中でも確定表示中でもないことを示す「0」を、特別図柄表示状態フラグに記憶する(S127)。その後、CPU51は、遊技状態移行処理を実行し(S128)、処理をメイン処理へ戻す。
【0125】
図13及び図14を参照して、図11のS128で示した遊技状態移行処理の詳細について説明する。遊技状態移行処理では、大当たり判定によって大当たりと判定された場合に、遊技を大当たり遊技状態に移行させるための処理が行われる。また、遊技状態移行処理では、時短フラグ及び確変フラグの制御も適宜行われる。
【0126】
遊技状態移行処理が開始されると、CPU51は、特別図柄が大当たり図柄で確定表示したかを判断する(S131)。特別図柄が大当たり図柄で確定表示した場合(S131:YES)、CPU51は、判定回数計数カウンタの値を「0」にクリアする(S132)。判定回数計数カウンタは、非確変状態における大当たり判定の実行の開始及びRAMクリアの実行を起点として、その後に非確状態において実行された大当たり判定の回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。
【0127】
CPU51は、時短状態が設定されているかを判断する(S133)。CPU51は、A時短フラグ及びB時短フラグのいずれも「OFF」である場合には時短状態が設定されていないと判断して(S133:NO)、処理をS141の判断へ移行する。CPU51は、A時短フラグ及びB時短フラグのいずれかが「ON」である場合には時短状態が設定されていると判断して(S133:YES)、A時短回数計数カウンタ及びB時短回数計数カウンタのいずれも「0」にクリアする(S135)。A時短回数計数カウンタは、A時短状態において実行された大当たり判定の回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。B時短回数計数カウンタは、B時短状態において実行された大当たり判定の回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。CPU51は、時短状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S136)。CPU51は、A時短フラグ及びB時短フラグのいずれも「OFF」にする(S138)。
【0128】
CPU51は、確変状態が設定されているかを判断する(S141)。CPU51は、確変フラグが「OFF」である場合には確変状態が設定されていないと判断して(S141:NO)、処理をS145へ移行する。CPU51は、確変フラグが「ON」である場合には確変状態が設定されていると判断して(S141:YES)、確変状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S142)。CPU51は、確変フラグを「OFF」にする(S143)。つまり、大当たり遊技中は、遊技状態が通常状態に設定される。
【0129】
CPU51は、大当たり図柄に対応するラウンド数を、Rカウンタにセットする(S145)。Rカウンタは、ラウンド数を記憶するカウンタとしてRAM52に設けられている。前述したように、本実施形態において、大当たり図柄に対応するラウンド数は「4」又は「8」である。CPU51は、大当たり遊技状態開始通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S146)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、大当たり遊技状態フラグを「ON」にする(S148)。CPU51は、処理を特別図柄処理へ戻す。
【0130】
一方、CPU51は、特別図柄がはずれ図柄で確定表示した場合(S131:NO)、図14に示すように、A時短フラグが「ON」であるかを判断する(S151)。A時短フラグが「ON」である場合(S151:YES)、CPU51は、A時短回数計数カウンタの値を「1」減算する(S152)。CPU51は、A時短回数計数カウンタの値が「0」であるかを判断する(S153)。A時短回数計数カウンタの値が「0」でない場合(S153:NO)、以降もA時短状態が継続する。この場合、CPU51は、処理をS171の判断へ移行する。A時短回数カウンタの値が「0」である場合(S153:YES)、判定回数がA時短回数に到達している。CPU51は、確変状態が設定されているかを判断する(S155)。CPU51は、確変フラグが「OFF」である場合には確変状態が設定されていないと判断する(S155:NO)。この場合、A時短状態における大当たり判定の実行回数がA時短回数に到達したことにより、非確変時短状態が終了する。CPU51は、時短状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S156)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、A時短フラグを「OFF」にし(S158)、処理をS171の判断へ移行する。一方、S155の判断において確変フラグが「ON」である場合(S155:YES)、遊技状態は確変時短状態であり、確変状態が終了するまで時短状態が継続する。この場合、CPU51は、S156及びS158の処理を実行せず、処理をS171の判断へ移行する。
【0131】
一方、CPU51は、A時短フラグが「OFF」である場合(S151:NO)、B時短フラグが「ON」であるかを判断する(S161)。B時短フラグが「ON」である場合(S161:YES)、CPU51は、B時短回数計数カウンタの値を「1」減算する(S162)。CPU51は、B時短回数計数カウンタの値が「0」であるかを判断する(S163)。B時短回数計数カウンタの値が「0」でない場合(S163:NO)、以降もB時短状態が継続するので、CPU51は、処理をS171の判断へ移行する。B時短回数カウンタの値が「0」である場合(S163:YES)、判定回数がB時短回数に到達している。CPU51は、時短状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S165)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、B時短フラグを「OFF」にし(S166)、処理をS171の判断へ移行する。また、CPU51は、B時短フラグが「OFF」である場合(S161:NO)、処理をS171の判断へ移行する。
【0132】
CPU51は、確変状態が設定されているかを判断する(S171)。CPU51は、確変フラグが「ON」である場合には確変状態が設定されていないと判断して(S171:YES)、処理を特別図柄処理へ戻す。CPU51は、確変フラグが「OFF」である場合には確変状態が設定されていないと判断して(S171:NO)、判定回数計数カウンタの値が「0」よりも大きいかを判断する(S172)。判定回数計数カウンタの値が「0」である場合(S172:NO)、CPU51は、処理を特別図柄処理へ戻す。
【0133】
判定回数計数カウンタの値が「0」よりも大きい場合(S172:YES)、CPU51は、判定回数計数カウンタの値を「1」減算する(S173)。CPU51は、判定回数計数カウンタの値が「0」であるかを判断する(S175)。判定回数計数カウンタの値が「0」でない場合(S175:NO)、CPU51は、処理を特別図柄処理へ戻す。判定回数計数カウンタの値が「0」である場合(S175:YES)、判定回数が前述の上限回数に到達している。CPU51は、B時短状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S176)。S176で生成される遊技状態コマンドは、時短状態開始通知に対応し、特にB時短が開始することを通知するために生成される。B時短状態が開始することを通知する内容の遊技状態コマンドがサブ制御基板58に送信されることを、遊タイム開始通知という。CPU51は、B時短回数計数カウンタに、B時短回数に対応する「300」をセットする(S178)。CPU51は、B時短フラグを「ON」にして(S179)、処理を特別図柄処理へ戻す。
【0134】
図15を参照して、図7のS13で示した特別電動役物処理の詳細について説明する。特別電動役物処理で使用されるフラグについて説明する。特別電動役物処理では、前述の各種フラグに加えて、開放中フラグ等が使用される。開放中フラグは、大入賞口16が開放状態であるか否かを示すフラグであり、RAM52に記憶される。開放中フラグは、大入賞口16の開閉部材161が開放状態にある場合に「1」が記憶されて「ON」になり、開閉部材161が開放状態にない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。
【0135】
特別電動役物処理が開始されると、CPU51は、大当たり遊技状態であるかを判断する(S181)。この判断は、大当たり遊技状態フラグの状態に基づいて行われる。CPU51は、大当たり遊技状態フラグが「OFF」の場合には大当たり遊技状態でないと判断して(S181:NO)、処理をメイン処理へ戻す。CPU51は、大当たり遊技状態フラグが「ON」の場合には大当たり遊技状態であると判断して(S181:YES)、大当たりラウンドが全て終了しているか、すなわち、Rカウンタの値が「0」であるかを判断する(S182)。Rカウンタの値は、後述のS197の処理で、大当たりラウンドが1回終了する毎に「1」減算される。すなわち、Rカウンタの値が「0」であれば、大当たり遊技における最終ラウンドが終了していることとなる。
【0136】
Rカウンタの値が「0」でない場合(S182:NO)、CPU51は、大入賞口16が開放中であるかを判断する(S183)。この判断は、開放中フラグの状態に基づいて行われる。CPU51は、開放中フラグが「ON」である場合には大入賞口16が開放中であると判断して(S183:YES)、処理をS191の判断へ移行する。CPU51は、開放中フラグが「OFF」である場合には大入賞口16が開放中でないと判断して(S183:NO)、大入賞口16を開放させるための大入賞口開放コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S185)。セットされた大入賞口開放コマンドは、中継端子板47に順次送信される。中継端子板47を介して大入賞口開放コマンドを受信した大入賞口ソレノイド70は、大入賞口16の開閉部材161を開放させる。CPU51は、大当たり遊技における大入賞口16の開放時間である大入賞口開放時間(本実施形態では29秒)を、RAM52の大入賞口開放時間カウンタに記憶する(S186)。CPU51は、開放中フラグを「ON」にする(S188)。CPU51は、処理をS191の判断へ移行する。
【0137】
CPU51は、大入賞口16へ遊技球が入賞したかを判断する(S191)。大入賞口スイッチ76が遊技球の入賞を検知すると、図7のS11で示したメイン処理のスイッチ読のS11で示したメイン処理のスイッチ読込処理において大入賞口スイッチ76に対応するフラグが「ON」にされる。CPU51は、このフラグが「OFF」である場合には大入賞口16へ遊技球が入賞していないと判断し(S191:NO)、処理をS193の判断へ移行する。CPU51は、このフラグが「ON」である場合には大入賞口16へ遊技球が入賞したと判断し(S191:YES)、大入賞口16へ入賞した遊技球の個数を計数するRAM52の入賞球数カウンタに「1」を加算する(S192)。CPU51は、処理をS193の判断へ移行する。
【0138】
CPU51は、入賞球数カウンタに記憶されている入賞球数が、「10」以上であるかを判断する(S193)。入賞球数カウンタの値が「10」未満の場合(S193:NO)、CPU51は、大入賞口開放時間が経過したかを、大入賞口開放時間カウンタの値に基づいて判断する(S194)。大入賞口開放時間が経過していない場合(S194:NO)、CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。以降に行われる特別電動役物処理において、大当たり遊技状態であり(S181:YES)、Rカウンタの値が「0」でない場合(S182:NO)、大入賞口16に10個以上の遊技球が入賞するか、又は大入賞口開放時間が経過するまで、S193及びS194の判断が繰り返して実行される。
【0139】
大入賞口16へ10個以上の遊技球が入賞するか(S193:YES)、又は大入賞口開放時間が経過した場合(S194:YES)、大入賞口閉鎖コマンドが生成され、コマンドバッファにセットされる(S195)。大入賞口閉鎖コマンドは、開放している大入賞口16の開閉部材161を閉鎖させるためのコマンドである。セットされた大入賞口閉鎖コマンドは、中継端子板47に順次送信される。中継端子板47を介して大入賞口閉鎖コマンドを受信した大入賞口ソレノイド70は、大入賞口16の開閉部材161を閉鎖させる。CPU51は、開放中フラグを「OFF」にする(S196)。CPU51は、Rカウンタの値を「1」減算する(S197)。CPU51は、処理をメイン処理へ戻す。
【0140】
一方、Rカウンタの値が「0」である場合(S182:YES)、大当たり遊技が終了するので、CPU51は、大当たり遊技状態終了通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S201)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58へ順次送信される。CPU51は、大当たり遊技状態フラグを「OFF」にする(S202)。
【0141】
CPU51は、RAM52に記憶されている大当たり図柄の内容を示す情報を参照し、参照した情報が確変大当たり図柄を示すかを判断する(S203)。参照した情報が確変大当たり図柄を示す場合(S203:YES)、CPU51は、確変状態開始通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S205)。CPU51は、確変フラグを「ON」にする(S206)。CPU51は、時短状態開始通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S208)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58へ順次送信される。CPU51は、処理をS216へ移行する。
【0142】
一方、CPU51は、参照した情報が非確変大当たり図柄を示す場合(S203:NO)、時短状態開始通知に対応する遊技状態コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S211)。コマンドバッファにセットされた遊技状態コマンドは、サブ制御基板58へ順次送信される。CPU51は、A時短回数計数カウンタに、A時短回数に対応する「100」をセットする(S212)。CPU51は、判定回数計数開始コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S213)。判定回数計数開始コマンドは、大当たり遊技が終了し、非確変状態における大当たり判定の実行が開始されたことに応じて、判定回数の計数を開始したことを通知するためのコマンドである。コマンドバッファにセットされた判定回数計数開始コマンドは、サブ制御基板58に順次送信される。CPU51は、判定回数計数カウンタに、前述の上限回数である「601」をセットする(S215)。CPU51は、A時短フラグを「ON」にして(S216)、処理をメイン処理へ戻す。
【0143】
図16及び図17を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理では、主制御基板41から送信されるコマンドに従って、各種の演出を制御する処理が行われる。特に、サブ制御基板処理では、保留表示に関する制御が行われる。サブ制御基板58は、所定の周期でクロック信号を出力するクロック回路(図示略)及び割込信号発生回路(図示略)を備える。割込信号発生回路は、クロック回路からクロック信号が入力される毎に割込信号を発生させる。サブ制御基板58のCPU581は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、割込信号発生回路から割込信号が入力される毎にサブ制御基板処理を実行する。
【0144】
サブ制御基板処理では、サブ確変フラグ、サブ時短フラグ、サブ稼働中フラグ、設定値フラグ、サブ客待ちフラグ、客待ち計測中フラグ等が使用される。これらのフラグはRAM582に記憶される。サブ確変フラグは、確変状態であるかを示すフラグであり、確変状態に「1」が記憶されて「ON」になり、非確変状態に「0」が記憶されて「OFF」になる。サブ時短フラグは、時短状態であるかを示すフラグであり、時短状態に「1」が記憶されて「ON」になり、非時短状態に「0」が記憶されて「OFF」になる。サブ稼働中フラグは、電源スイッチ423の操作によってパチンコ機1の電源がOFFにされるときに「OFF」になり、図16のS402で後述するサブ電源投入時処理の実行が完了した場合に「ON」になる。設定値フラグは、サブ制御基板58において設定値を把握するために設けられている。設定値フラグは、主制御基板41から送信される設定値通知コマンド及び設定変更通知コマンドに含まれる設定値を記憶する。
【0145】
サブ客待ちフラグは、客待ち状態であることを識別するためにセットされるフラグである。サブ客待ちフラグは、パチンコ機1が客待ち状態である場合に「1」が記憶されて「ON」になり、客待ち状態でない場合には「0」が記憶されて「OFF」になる。客待ち計測中フラグは、後述する客待ち演出開始時間の計測中であることを示すフラグである。客待ち計測中フラグは、客待ち演出開始時間の計測中に「1」が記憶されて「ON」になり、客待ち演出開始時間の計測中出ない場合に「0」が記憶されて「OFF」になる。
【0146】
図16に示すように、パチンコ機1の電源スイッチ423がON状態に操作されることによって、パチンコ機1の電源がONにされると、CPU581は、サブ制御基板処理を開始する。サブ制御基板処理が開始されると、CPU581は、サブ稼働中フラグが「ON」であるかを判断する(S401)。サブ稼働中フラグが「OFF」である場合(S401:NO)、CPU581は、サブ電源投入時処理を実行し(S402)、処理をS403の判断へ移行する。サブ稼働中フラグが「ON」である場合(S401:YES)、CPU581は、処理をS403の判断へ移行する。
【0147】
図18を参照して、図16のS402で示したサブ電源投入時処理の詳細について説明する。サブ電源投入時処理では、サブ制御基板58がパチンコ機1を稼働できる状態にするための各種の処理が実行される。サブ電源投入時処理で使用されるフラグについて説明する。サブ電源投入時処理では、サブ待機中フラグ等が使用される。サブ待機中フラグはRAM582に記憶される。サブ待機中フラグは、サブ制御基板58が電源遮断前の状態に復帰する準備をしている復帰中の状態である場合に「ON」になり、そうでない場合に「OFF」になる。
【0148】
サブ電源投入時処理が開始されると、CPU581は、電源投入に伴う初期化処理を実行する(S501)。具体的には、CPU581は、演出制御基板43等が動作可能な状態になるのを待つためのウエイト処理等を実行する。CPU581は、主制御基板41からRAMクリア通知コマンドを受信したかを判断する(S502)。RAMクリア通知コマンドを受信していない場合(S502:NO)、CPU581は、待機中画像表示コマンドを生成し、RAM582に設けられるコマンドバッファにセットする(S503)。コマンドバッファにセットされたコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。
【0149】
待機中画像表示コマンドは、図19に示す待機中画像119を表示画面28に表示させるためのコマンドである。待機中画像表示コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、待機中画像119を示す情報に対応する画像データをCGROMから読み出す。そしてCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、読み出した画像データを表示画面28に表示させることによって、待機中画像119を表示する。図19に示すように、待機中画像119は、「表示復帰待機中」、「しばらくお待ち下さい」等、パチンコ機1が電源遮断前の状態に復帰する準備をしている、復帰中の状態であることを報知するために用いられる。待機中画像119は、「準備中」、「復電中」等、パチンコ機1が復帰中であることを報知する内容を示す画像であれば任意の画像を採用できる。CPU581は、サブ待機中フラグを「ON」にする(S505)。
【0150】
CPU581は、サブ復帰処理を実行する(S506)。CPU581は、サブ待機中フラグが「ON」であるかを判断する(S508)。CPU581は、サブ待機中フラグが「ON」である場合(S508:YES)、サブ復帰処理の実行を繰り返す。CPU581は、サブ待機中フラグが「OFF」である場合(S508:NO)、処理をサブ制御基板処理へ戻す。
【0151】
図20を参照して、図18のS506で示したサブ復帰処理の詳細について説明する。サブ復帰処理では、図8のS45及び図9のS59で示した復帰処理によって、バックアップデータに基づいて主制御基板41から送信された各種のコマンドに応じて、パチンコ機1の演出内容を電源遮断前の状態に復帰させるための処理が行われる。
【0152】
サブ復帰処理が開始されると、CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信したかを判断する(S531)。CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信していない場合(S531:NO)、処理をS533の判断へ移行する。CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信した場合(S531:YES)、遊技状態コマンドによって通知される各種の状態に応じた処理を実行する(S532)。例えば、CPU581は、遊技状態コマンドによって確変状態開始通知が行われた場合、サブ確変フラグを「ON」にし、確変状態終了通知が行われた場合には、サブ確変フラグを「OFF」にする。CPU581は、遊技状態コマンドによって時短状態開始通知が行われた場合、サブ時短フラグを「ON」にし、時短状態終了通知が行われた場合には、サブ時短フラグを「OFF」にする。CPU51は、処理をS533の判断へ移行する。
【0153】
CPU581は、主制御基板41から停止図柄指定コマンドを受信したかを判断する(S533)。停止図柄指定コマンドを受信していない場合(S533:NO)、CPU581は、処理をS536の判断へ移行する。停止図柄指定コマンドを受信した場合(S533:YES)、CPU581は、停止図柄指定コマンドを解析して、コマンドの示す特別図柄の種類を取得する。CPU581は、取得した特別図柄の種類(大当たり図柄又ははずれ図柄)に応じた演出図柄100の組合せを決定する(S535)。決定された確定図柄は、RAM582に記憶される。
【0154】
S535で取得される特別図柄の種類は、電源遮断前に主制御基板41において最後に決定された特別図柄の種類に相当する。電源遮断時に第一特別図柄が変動中であった場合、取得される特別図柄の種類は、変動中の特別図柄が変動表示を終了した後に確定表示する特別図柄の種類に相当する。電源遮断時に特別図柄が非変動中であった場合、取得される特別図柄の種類は、最後に確定表示した特別図柄の種類を示す。処理はS536の判断へ移行する。
【0155】
CPU581は、主制御基板41から特別図柄停止コマンドを受信したかを判断する(S536)。電源遮断前の状態において特別図柄が変動中である場合には、特別図柄停止コマンドが主制御基板41から送信されない。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S536:NO)、CPU581は、処理をサブ電源投入時処理へ戻す。この場合、サブ待機中フラグが「ON」であるので、CPU581は、サブ復帰処理の実行を繰り返す。
【0156】
その後、バックアップデータに記憶されている特別図柄変動時間カウンタの値が減算され、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」になった場合に、主制御基板41のCPU51は、特別図柄の変動時間が終了したと判断する。この場合に、主制御基板41のCPU51は、特別図柄停止コマンドを生成し、サブ制御基板58へ送信する。また、電源遮断前の状態において特別図柄が非変動中である場合には、特別図柄停止コマンドが主制御基板41から送信される。なお、電源遮断前の状態において特別図柄が変動中でない場合には、特別図柄停止コマンドが主制御基板41から送信されている。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S536:YES)、報知演出の実行終了を指示するためのコマンドを生成し、生成したコマンドをコマンドバッファにセットする(S538)。コマンドバッファにセットされたコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。このコマンドは、S535で決定した確定図柄の情報を含む。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、演出図柄100の変動表示を終了し、演出図柄100を確定図柄で確定表示する。これにより、報知演出の実行が終了する。
【0157】
その後、CPU581は、サブ待機中フラグを「OFF」にする(S542)。CPU581は、サブ稼働中フラグを「ON」にして(S543)、処理をサブ電源投入時処理へ戻す。すなわち、CPU581は、復電した場合に特別図柄が変動中のときには、変動中の特別図柄が図柄変動を終了した後に稼働状態に復帰する。
【0158】
図18の説明に戻る。CPU581は、RAMクリア通知コマンドを受信した場合(S502:YES)、主制御基板41から設定値通知コマンドを受信したかを判断する(S511)。設定値通知コマンドを受信していない場合(S511:NO)、CPU581は、処理をS513へ移行する。設定値通知コマンドを受信した場合(S511:YES)、CPU581は、サブ制御基板58のRAM582の使用領域に記憶されている遊技処理情報をクリアし、所定の初期値をRAM582に記憶する等のRAM582の初期設定、すなわち、RAMクリア処理を実行する(S513)。
【0159】
CPU581は、演出図柄100を予め定められた演出図柄100の組合せ(いわゆる朝一出目)で表示することを指示するためのコマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S515)。コマンドバッファにセットされたコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、演出図柄100を予め定められた朝一出目の組合せで表示する。
【0160】
CPU581は、サブ判定回数計数カウンタに、前述の上限回数に対応する「601」をセットする(S516)。サブ判定回数計数カウンタは、非確変状態における大当たり判定の実行の開始及びRAMクリアの実行を起点として、その後に非確状態において実行された大当たり判定の回数をサブ制御基板58において計数するカウンタである。サブ判定回数計数カウンタは、RAM582に記憶される。その後、CPU581は、サブ待機中フラグを「OFF」にする(S518)。CPU581は、サブ稼働中フラグを「ON」にして(S519)、処理をサブ電源投入時処理へ戻す。CPU581は、処理をサブ電源投入時処理へ戻す。
【0161】
図16の説明に戻る。CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信したかを判断する(S403)。CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信していない場合(S403:NO)、処理をS415の判断へ移行する。
【0162】
CPU581は、主制御基板41から遊技状態コマンドを受信した場合(S403:YES)、受信した遊技状態コマンドが遊タイム開始通知であるかを判断する(S405)。受信した遊技状態コマンドが遊タイム開始通知である場合(S405:YES)、CPU581は、遊タイム開始演出の実行開始を制御する(S406)。具体的には、CPU581は、遊タイム開始演出の実行開始を指示するためのコマンドを生成し、コマンドバッファにセットする。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、遊タイム開始演出に対応する画像データをCGROMから読み出す。そしてCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、読み出した画像データを表示画面28に表示させることによって、遊タイム開始演出を実行する。CPU51は、処理をS415の判断へ移行する。
【0163】
遊タイム開始演出は、B時短状態が開始することを示唆するために実行される演出である。前述したように、B時短状態は、大当たり遊技が終了し、非確変状態における大当たり判定の実行が開始されたこと及びRAMクリアが行われたことを起点として計数された大当たり判定の実行回数が、前述の上限回数に到達することに応じて設定される。B時短状態には、第二始動口15の開閉部材151が開放状態にされる割合が通常状態よりも高くなる。すなわち、B時短状態は、B時短状態が開始する前に設定されている通常状態に比べて、遊技者にとって有利な遊技状態である。したがって、パチンコ機1は、遊タイム開始演出を実行することによって、遊技者にとって有利な遊技状態が開始することを遊技者に示唆する。
【0164】
受信した遊技状態コマンドが遊タイム開始通知でない場合(S405:NO)、CPU581は、受信した遊技状態コマンドが大当たり遊技状態開始通知であるかを判断する(S411)。受信した遊技状態コマンドが大当たり遊技状態開始通知である場合(S411:YES)、CPU581は、サブ判定回数計数カウンタの値を「0」にクリアする(S412)。CPU51は、処理をS415の判断へ移行する。
【0165】
受信した遊技状態コマンドが大当たり遊技状態開始通知でない場合(S411:NO)、CPU581は、遊技状態コマンドによって通知される各種の状態に応じた処理を実行する(S413)。遊技状態コマンドによって大当たり遊技状態開始通知が行われた場合、CPU581は、大当たり遊技のための大当たり遊技演出の実行開始を制御する。CPU51は、遊技状態コマンドによって大当たり遊技状態終了通知が行われた場合、大当たり遊技演出の実行終了を制御する。CPU581は、遊技状態コマンドによって確変状態開始通知が行われた場合、サブ確変フラグを「ON」にし、確変状態終了通知が行われた場合には、サブ確変フラグを「OFF」にする。CPU581は、遊技状態コマンドによって時短状態開始通知が行われた場合、サブ時短フラグを「ON」にし、時短状態終了通知が行われた場合には、サブ時短フラグを「OFF」にする。CPU581は、確変フラグの状態に応じて各種の演出を制御する。CPU51は、処理をS415の判断へ移行する。
【0166】
CPU581は、主制御基板41から客待ちコマンドを受信したかを判断する(S415)。CPU581は、主制御基板41から客待ちコマンドを受信した場合(S415:YES)、サブ客待ち演出開始カウンタに、客待ち演出開始時間を示す値をセットする(S416)。客待ち演出開始時間は、パチンコ機1が客待ち状態に至ってから、パチンコ機1が客待ち状態にあることを遊技者等に示すための客待ち演出の実行を開始するまでの時間である。サブ客待ち演出開始カウンタは、客待ち演出開始時間を計測するためにRAM582に設けられるタイマカウンタである。本実施形態において、客待ち演出開始時間は10秒である。CPU581は、サブ客待ちフラグを「ON」にする(S418)。CPU581は、客待ち計測中フラグを「ON」にして(S419)、処理を図17に示すS426の判断へ移行する。
【0167】
CPU581は、主制御基板41から客待ちコマンドを受信していない場合(S415:NO)、客待ち演出開始時間の計測中であるかを判断する(S421)。CPU581は、客待ち計測中フラグが「OFF」の場合には客待ち演出開始時間の計測中でないと判断して(S421:NO)、処理をS426の判断へ移行する。CPU581は、客待ち計測中フラグが「ON」の場合には客待ち演出開始時間の計測中であると判断して(S421:YES)、客待ち演出開始時間が経過したかを判断する(S422)。CPU581は、サブ客待ち演出開始カウンタの値が0でない場合には客待ち演出開始時間がまだ経過していないと判断して(S422:NO)、処理をS426の判断へ移行する。
【0168】
CPU581は、サブ客待ち演出開始カウンタの値が「0」である場合には客待ち演出開始時間が経過したと判断して(S422:YES)、客待ち演出コマンドを生成し、コマンドバッファにセットする(S423)。客待ち演出コマンドは、客待ち演出の実行開始を指示するためのコマンドである。客待ち演出コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、客待ち演出に対応する画像データをCGROMから読み出す。そしてCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、読み出した画像データを表示画面28に表示させることによって、客待ち演出を実行する。CPU581は、客待ち計測中フラグを「OFF」にして(S425)、処理をS426の判断へ移行する。
【0169】
図17に示すように、CPU581は、主制御基板41から判定回数計数開始コマンドを受信したかを判断する(S426)。CPU581は、主制御基板41から判定回数計数開始コマンドを受信していない場合(S426:NO)、処理をS431の判断へ移行する。CPU581は、主制御基板41から判定回数計数開始コマンドを受信した場合(S426:YES)、サブ判定回数計数カウンタに上限回数である「601」をセットする(S428)。CPU581は、処理をS431の判断へ移行する。
【0170】
CPU581は、主制御基板41から保留情報コマンドを受信したかを判断する(S431)。CPU581は、主制御基板41から保留情報コマンドを受信していない場合(S431:NO)、処理をS433の判断へ移行する。CPU581は、主制御基板41から保留情報コマンドを受信した場合(S431:YES)、保留表示処理を実行し(S432)、処理をS433の判断へ移行する。
【0171】
図21を参照して、図17のS432で示した保留表示処理の詳細について説明する。保留表示処理では、保留表示の表示制御のための処理が行われる。保留表示とは、第一保留乱数に対応する先読み情報である第一保留情報、第二乱数に対応する先読み情報である第二保留情報を、表示画面28において所定の図柄等で示すものである。CPU581は、図17のS431で取得した保留情報コマンドの示す保留情報に対応する保留表示を表示画面28に表示するための処理を実行する。これにより、パチンコ機1は、第一保留情報を示す第一保留表示及び第二保留情報を示す第二保留表示のそれぞれを、表示画面28に表示できる。また、パチンコ機1は、このような保留表示を用いて、保留情報の期待度を示唆することができる。保留情報の期待度とは、保留情報に対して大当たり判定が行われた場合に、その結果が大当たりとなる期待度である。また、パチンコ機1は、保留表示を用いて、遊技状態の決定状況を示唆することもできる。本実施形態では、パチンコ機1は、第一保留表示を用いて、遊技状態の決定状況を示唆することができる。
【0172】
パチンコ機1は、図25図26及び図28に示すように、特別図柄の変動表示に同期して演出図柄100の変動表示を行い、特別図柄の確定表示に同期して演出図柄100を確定表示することで、報知演出を実行する。演出図柄100は、左図柄101、中図柄102及び右図柄103を備える。左図柄101は、表示画面28の左部の変動ラインに主に表示される。中図柄102は、表示画面28の中央部の変動ラインに主に表示される。右図柄103は、表示画面28の右部の変動ラインに主に表示される。図25(A),(B)に示すように、左図柄101、中図柄102及び右図柄103をそれぞれの変動ラインにおいて「1」図柄から「8」図柄が上方から下方に順にスクロールされることによって、演出図柄100の図柄変動が行われる。矢印Y1は、演出図柄100のそれぞれがスクロールを継続していることを模式的に示す。図25(C)に示すように、左図柄101、中図柄102及び右図柄103をそれぞれの変動ラインの中央部において停止表示させることによって、演出図柄100の確定表示が行われる。図26(L)は、演出図柄100がゾロ目の組合せで確定表示することで、大当たり判定の結果が大当たりであることが報知された例を示す。図26(M)は、演出図柄100がゾロ目以外の組合せで確定表示することで、大当たり判定の結果がはずれであることが報知された例を示す。
【0173】
パチンコ機1は、表示画面28において、図3で示した主制御基板41のRAM52の特図1大当たり関係情報記憶エリアに第一保留乱数が記憶された順に、第一保留乱数に対応する第一保留情報を示す第一保留表示を表示する。図25(A),(B)に示すように、本実施形態では、第一保留表示は、円形のシンボルで構成される。第一保留表示は、円形以外の各種の形状等を有していてもよい。第一保留表示は、その表示色の違い、形状の違い等によって、第一保留情報の期待度の高低を示すものであってもよい。本実施形態においては、第一保留表示は、後述する通常保留表示NHの表示色の違いによって第一保留情報の期待度を遊技者に示唆することができる。第一保留情報に含まれる特図1大当たり先読み情報及び第一変動パターン先読み情報等に基づいて、第一保留情報の期待度が定まる。また、パチンコ機1は、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いても、第一保留情報の期待度を示唆することができる。
【0174】
パチンコ機1の第一保留表示は、図24(A)等に示す通常保留表示NHと、図25(B)等に示す特殊保留表示SH4をはじめとする特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4とを少なくとも含む。通常保留表示NHは、保留情報の期待度を特に示唆しない場合又は保留表示の期待度が所定未満である場合には、デフォルトの色である黄色の円形のシンボルで構成される。通常保留表示NHは、保留情報の期待度に応じて、青色、緑色又は赤色の円形のシンボルで表示される。図25図28では、通常保留表示NHが黄色以外の色で表示される場合にはハッチを付して、通常保留表示NHの色がデフォルトの黄色以外の色であることを示している。
【0175】
特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4は、第一保留情報の期待度が所定以上である場合に表示される可能性がある第一保留表示の態様である。特殊保留表示SH1は、アルファベットの「K」を模ったシンボルで表示される。特殊保留表示SH2は、アルファベットの「U」を模ったシンボルで表示される。特殊保留表示SH3は、アルファベットの「M」を模ったシンボルで表示される。特殊保留表示SH4は、アルファベットの「A」を模ったシンボルで表示される。これらのアルファベットは、パチンコ機1がモチーフとする架空のアニメ作品である「正義の味方 KUMA」の主人公キャラクタの名前である「KUMA」に因む。
【0176】
表示画面28の左下部には、第一保留表示を表示する位置を示す位置H1~位置H4が設けられている。位置H1,H2,H3,H4のそれぞれには、図3で示した特図1大当たり関係情報記憶エリアのNo.1,2,3,4のそれぞれに記憶されている第一保留乱数に対応する第一保留表示が表示される。図24(A)において、第一特別図柄の変動時間と同期して第一報知演出の実行が開始された状態であり、第一保留数が「3」であり、3個の通常保留表示NHが、位置H1,H2,H3のそれぞれに表示されている。位置H1,H3に表示されているハッチが付されない通常保留表示NHの表示色は黄色であり、位置H2に表示されているハッチが付された通常保留表示NHの表示色は緑色であるとする。
【0177】
図25に示すように、パチンコ機1は、第一保留情報の期待度が所定以上であることを示す場合において、位置H1に特殊保留表示SH1、位置H2に特殊保留表示SH2、位置H3に特殊保留表示SH3、位置H4に特殊保留表示SH4を、それぞれ表示する。すなわち、パチンコ機1は、第一保留情報の期待度が所定以上である場合には、位置H1に「K」、位置H2に「U」、位置H3に「M」、位置H4に「A」を表示することを、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示する場合の規則としている。これにより、パチンコ機1は、第一保留情報の期待度が所定以上である場合には、モチーフの主人公キャラクタの名前の「KUMA」を、第一保留表示を用いて位置H1,H2,H3,H4のそれぞれに示すことができる。すなわち、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4は、モチーフの主人公キャラクタの名前の「KUMA」を可読性、視認性を有して示すものである。特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4は、単なる円形のシンボルである通常保留表示NHとは異なり、パチンコ機1のモチーフの主人公キャラクタを示す、意味を持った言葉として示される。パチンコ機1は、このような特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を所定の規則性を有して表示することによって、第一保留情報の期待度が所定以上であることを遊技者にアピールし、遊技者の期待感を大いに高めることができる。
【0178】
パチンコ機1は、表示画面28に、第二保留乱数を示す第二保留表示を表示する。図示しないが、本実施形態では、第二保留表示は、三角形のシンボルで構成される。第二保留表示は、三角形以外の各種の形状等を有していてもよい。第二保留表示は、その表示色の違い、形状の違い等によって、第二保留情報の期待度の程度を示すものであってもよい。第二保留情報の期待度は、第一保留情報の期待度と同様に、第二保留情報に基づくものである。表示画面28の右下部には、第二保留表示を表示する位置を示す位置H5~位置H8が設けられている。位置H5,H6,H7,H8のそれぞれには、特図2大当たり関係情報記憶エリアのNo.1,2,3,4のそれぞれに記憶されている第二保留乱数に対応する第二保留表示が表示される。
【0179】
図21に示すように、保留表示処理が開始されると、CPU581は、主制御基板41から受信した保留情報コマンドを解析し、保留情報を取得する(S551)。取得された保留情報は、RAM582に記憶される。S551の処理においては、保留情報コマンドの示す保留情報に含まれる全ての情報が取得及び記憶されてもよいし、保留情報コマンドの示す保留情報に含まれる一部の情報が取得及び記憶されてもよい。本実施形態では、S551の処理においては、保留情報が第一保留情報及び第二保留情報のいずれの場合にも、変動パターン先読み情報が少なくとも取得及び記憶される。
【0180】
CPU581は、S551で取得した保留情報が第一保留情報であるかを判断する(S552)。取得した保留情報が第二保留情報である場合(S552:NO)、CPU581は、処理をS556の判断へ移行する。取得した保留情報が第一保留情報である場合(S552:YES)、CPU581は、現在の遊技状態が通常状態であるかを判断する(S553)。この判断は、サブ確変フラグ及びサブ時短フラグの状態に応じて行われる。CPU581は、現在の遊技状態が通常状態でない場合(S553:NO)、処理をS556へ移行する。
【0181】
現在の遊技状態が通常状態である場合(S553:YES)、CPU581は、客待ち状態であるかを判断する(S555)。CPU581は、サブ客待ちフラグが「OFF」である場合には客待ち状態でないと判断して(S555:NO)、保留情報に基づいて保留表示の表示態様を決定する(S556)。CPU581は、処理をS559へ移行する。
【0182】
図22を参照して、サブ制御基板58のROM583に記憶されている保留表示態様決定テーブルについて説明する。保留表示態様決定テーブルは、図21に示したS556の処理において、保留表示の表示態様を決定するために設けられている。保留表示態様決定テーブルは、新たに表示画面28に表示する保留表示の表示態様を、対応する保留情報に応じて定義している。本実施形態において、保留情報として変動パターン先読み情報が用いられる。具体的には、保留表示態様決定テーブルは、第一変動パターン先読み情報の示す第一変動パターンのそれぞれに対して、通常保留表示NHとするか特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4とするかを定義している。また、保留表示態様決定テーブルは、通常保留表示NHとする場合には、通常保留表示NHの表示色を黄、青、緑、赤のいずれにするかを、第一変動パターン先読み情報の示す第一変動パターンのそれぞれに応じて定義している。
【0183】
前述したように、通常状態において特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度は、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に高くなる。保留表示態様決定テーブルは、特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度が最も低い「リーチ演出A」については、黄色のみが決定されるように、表示色の決定割合を定義している。保留表示態様決定テーブルは、特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度が「リーチ演出A」よりも高い「リーチ演出B」については、黄色が決定される割合が80%と最も高く、青色が決定される割合を15%、緑色が決定される割合を5%と定義している。保留表示態様決定テーブルは、特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度が「リーチ演出B」よりも高い「リーチ演出C」については、黄色が決定される割合が65%と最も高く、青色が決定される割合を20%、緑色が決定される割合を40%、赤色が決定される割合を5%と定義している。保留表示態様決定テーブルは、特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度が「リーチ演出C」よりも高い「リーチ演出D」については、黄色が決定される割合を20%、青色が決定される割合を30%、緑色が決定される割合を40%、赤色が決定される割合を10%として、緑色が決定される割合を最も高く定義している。保留表示態様決定テーブルは、「リーチ演出A」から「リーチ演出D」については、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4と決定しないことも定義している。一方、保留表示態様決定テーブルは、特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度が最も高い「リーチ演出E」については、赤色が決定される割合が50%と最も高く、緑色が決定される割合を30%、青色が決定される割合を10%、黄色が決定される割合を5%と定義している。また、保留表示態様決定テーブルは、「リーチ演出E」については、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が決定される割合を5%で設けている。
【0184】
前述したように、確変時短状態において特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度は、「リーチ演出F」、「リーチ演出G」の順に高くなる。非確変時短状態において特図1大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度は、「リーチ演出H」、「リーチ演出I」の順に高くなる。図示を省略するが、保留表示態様決定テーブルは、第一変動パターン先読み情報の示す第一変動パターンが「リーチ演出F」、「リーチ演出G」、「リーチ演出H」、「リーチ演出I」の場合についても、通常保留表示NHとするか特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4とするか、通常保留表示NHとする場合の表示色の決定割合を定義している。また、保留表示態様決定テーブルは、第二変動パターン先読み情報の示す第二変動パターンについても同様に、通常保留表示NHの表示色の決定割合を定義している。なお、本実施形態において、第二保留表示については特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が決定されることはない。以上の通常保留表示NHの表示色及び特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4の決定割合は一例である。したがって、通常保留表示NHの表示色及び特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4の決定割合は、任意に変更されてよい。ただし、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4は、変動パターン先読み情報の示す変動パターンの大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度が所定以上の場合に決定されるようにすることが好ましい。特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4に対する遊技者の期待感を効果的に向上させるためである。CPU581は、決定した保留表示の表示態様をRAM582に記憶する。
【0185】
図21の説明に戻る。一方、CPU581は、サブ客待ちフラグが「ON」である場合には客待ち状態であると判断して(S555:YES)、遊技状態の設定状況に応じて、保留表示の表示態様を決定する(S558)。CPU581は、処理をS559へ移行する。
【0186】
図23を参照して、サブ制御基板58のROM583に記憶されている設定段階示唆決定テーブルについて説明する。設定段階示唆決定テーブルは、図21に示したS558の処理において保留表示の表示態様を決定するために設けられている。本実施形態では、パチンコ機1は、遊技状態の設定状況として、確率設定の段階のいずれが設定されているかを採用し、確率設定の段階のいずれが設定されているかに応じて特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のいずれかを表示するかを決定する。設定段階示唆決定テーブルは、確率設定の段階が設定1の場合には、「K」のアルファベットに対応する特殊保留表示SH1を定義している。設定段階示唆決定テーブルは、確率設定の段階が設定2又は設定3の場合には、「U」のアルファベットに対応する特殊保留表示SH2を定義している。設定段階示唆決定テーブルは、確率設定の段階が設定4又は設定5の場合には、「M」のアルファベットに対応する特殊保留表示SH3を定義している。設定段階示唆決定テーブルは、確率設定の段階が設定6の場合には、「K」のアルファベットに対応する特殊保留表示SH4を定義している。すなわち、CPU581は、S558の処理において、設定値フラグの状態を参照して現在の確率設定の段階を取得し、取得した確率設定の段階に応じて第一保留表示の表示態様を特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のいずれとするかを決定する。CPU581は、決定した第一保留表示の表示態様をRAM582に記憶する。
【0187】
図21の説明に戻る。CPU581は、保留表示コマンドを生成し、RAM582に設けられるコマンドバッファにセットする(S559)。保留表示コマンドは、S551の処理で取得した保留情報に対応する保留表示を、第一保留表示については位置H1~位置H4のうち空いている位置に左詰めで、第二保留表示については位置H5~位置H8のうち空いている位置に左詰めで、それぞれ表示することを演出制御基板43に指示するためのコマンドである。S559の処理において、CPU581は、RAM582を参照してS556又はS558の処理で決定した保留表示の表示態様を取得して、保留表示コマンドを生成する。すなわち、保留表示コマンドは、S556又はS558の処理で決定した保留表示の表示態様を示す情報を含む。コマンドバッファにセットされた保留表示コマンドは、演出制御基板43に順次送信される。保留表示コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、表示画面28に保留表示を追加表示する。その後、CPU581は、処理をサブ制御基板処理へ戻す。
【0188】
図17の説明に戻る。CPU581は、主制御基板41から停止図柄指定コマンドを受信したかを判断する(S433)。停止図柄指定コマンドを受信していない場合(S433:NO)、CPU581は、処理をS436の判断へ移行する。停止図柄指定コマンドを受信した場合(S433:YES)、CPU581は、停止図柄指定コマンドを解析して、コマンドの示す特別図柄の種類(大当たり図柄又ははずれ図柄)を取得する。CPU581は、取得した特別図柄の種類に応じた演出図柄100の組合せを決定する(S435)。具体的には、CPU581は、受信した保留情報コマンドが第一停止図柄指定コマンドである場合、第一停止図柄指定コマンドの示す第一特別図柄の種類を取得する。CPU581は、第一特別図柄が大当たり図柄である場合、左図柄101、中図柄102及び右図柄103が変動表示を終了し確定表示するときの組合せとして、左図柄101、中図柄102及び右図柄103が同じ数字で揃うゾロ目の組合せを決定する。左図柄101、中図柄102及び右図柄103が変動表示を終了し確定表示するときの組合せを、以下、「確定図柄」という。CPU581は、第一特別図柄がはずれ図柄である場合、確定図柄として、左図柄101、中図柄102及び右図柄103が異なる数字を含む、ゾロ目以外の組合せを決定する。決定された確定図柄は、RAM582に記憶される。CPU581は、受信した停止図柄指定コマンドが第二停止図柄指定コマンドである場合、第二停止図柄指定コマンドの示す第二特別図柄の種類を取得する。CPU581は、取得した第二特別図からが大当たり図柄であるかはずれ図柄であるかに応じて、確定図柄を決定する。CPU581は処理をS436の判断へ移行する。
【0189】
CPU581は、主制御基板41から変動パターン指定コマンドを受信したかを判断する(S436)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S436:NO)、CPU581は、処理をS441の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信した場合(S436:YES)、CPU581は、報知演出実行処理を実行し(S438)、処理をS441の判断へ移行する。
【0190】
図24を参照して、図17のS438で示した報知演出実行処理の詳細について説明する。報知演出実行処理では、変動パターン指定コマンドによって指定される変動パターンに基づく報知演出の制御が行われる。
【0191】
報知演出実行処理が開始されると、CPU581は、変動パターン指定コマンドを解析して、コマンドの示す変動パターンを特定し、特定した変動パターンを取得する(S561)。CPU581は、保留表示シフトコマンドを生成し、生成した保留表示シフトコマンドをコマンドバッファにセットする(S562)。保留表示シフトコマンドは、S561で取得した変動パターンが第一変動パターンである場合には、位置H1に表示されている第一保留表示を削除し、位置H2~位置H4に表示されている第一保留表示のそれぞれを一つずつ左の位置へ繰り上げて移動することを指示する情報を含む。保留表示シフトコマンドは、S561で取得した変動パターンが第二変動パターンである場合には、位置H5に表示されている第二保留表示を削除し、位置H6~位置H8に表示されている第二保留表示のそれぞれを一つずつ左の位置へ繰り上げて移動することを指示する情報を含む。コマンドバッファにセットされた保留表示シフトコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。保留表示シフトコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、位置H1~位置H4に表示されている第一保留表示又は位置H5~位置H8に表示されている第二保留表示を、一つずつ左の位置へ繰り上げて移動する。なお、CPU431は、位置H2,H3,H4に特殊保留表示SH2,SH3,SH4がそれぞれ表示されている場合、第一保留表示のそれぞれを一つずつ左の位置へ繰り上げて移動するときに、位置H1に特殊保留表示SH1を、位置H2に特殊保留表示SH2を、位置H3に特殊保留表示SH3を、それぞれ表示する
【0192】
CPU581は、報知演出開始コマンドを生成し、生成した報知演出開始コマンドをコマンドバッファにセットする(S563)。報知演出開始コマンドは、報知演出の実行開始を指示するためのコマンドである。報知演出開始コマンドは、変動パターンに基づく報知演出の演出パターンを示す情報を含む。コマンドバッファにセットされた報知演出開始コマンドは、演出制御基板43に順次送信される。報知演出開始コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、報知演出開始コマンドが含む報知演出の演出パターンを示す情報に対応する画像データをCGROMから読み出す。そしてCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、読み出した画像データを表示画面28に表示させることによって、報知演出の演出画像の表示を開始する。また、CPU581は、ランプ制御基板46を介して、枠ランプ38及び盤ランプ27の電飾演出を制御する。また、CPU581は、音制御回路585による音処理を制御する。これにより、報知演出が実行される。
【0193】
CPU581は、報知演出の実行開始に伴い、サブ客待ち演出開始カウンタの値を「0」にクリアする(S565)。CPU581は、報知演出の実行開始に伴い客待ち状態を終了するので、サブ客待ちフラグを「OFF」にする(S566)。CPU581は、処理をサブ制御基板処理へ戻す。
【0194】
図17の説明に戻る。CPU581は、主制御基板41から特別図柄停止コマンドを受信したかを判断する(S441)。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S441:NO)、CPU581は、処理をS445の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S441:YES)、CPU581は、報知演出終了処理を実行する(S442)。
【0195】
CPU581は、S442の報知演出終了処理において、報知演出の実行を終了するための処理を実行する。具体的には、CPU581は、受信した特別図柄停止コマンドが第一特別図柄停止コマンドである場合、第一報知演出の実行終了を指示するためのコマンドを生成し、生成したコマンドをコマンドバッファにセットする。CPU581は、受信した特別図柄停止コマンドが第二特別図柄停止コマンドである場合、第二報知演出の実行終了を指示するためのコマンドを生成し、生成したコマンドをコマンドバッファにセットする。コマンドバッファにセットされたコマンドは、演出制御基板43に順次送信される。このコマンドは、S435で決定した確定図柄の情報を含む。このコマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、画像制御回路435による画像処理を制御して、演出図柄100の変動表示を終了し、演出図柄100を確定図柄で確定表示する。これにより、報知演出の実行が終了する。CPU581は、報知演出の実行終了に伴い、サブ判定回数計数カウンタの値を「1」減算する(S443)。CPU581は、処理をS445の判断へ移行する。
【0196】
CPU581は、主制御基板41からその他のコマンドを受信したかを判断する(S445)。その他のコマンドを受信していない場合(S445:NO)、CPU581は、サブ制御基板処理を終了する。その他のコマンドを受信した場合(S445:YES)、CPU581は、コマンドに応じた各種の処理を実行する(S446)。CPU581は、サブ制御基板処理を終了する。
【0197】
図25及び図26を参照して、遊技が通常に継続される場合に、第一保留表示が所定の規則性を有して特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4にて表示されることについて説明する。また、遊技状態の設定状況に応じて、第一保留表示が所定の規則性から乖離した表示態様で特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示する場合についても説明する。図25及び図26に示す例は、遊技状態が通常状態の場合であるとする。
【0198】
図25(A)に示すように演出図柄100が図柄変動を開始することによって、第一報知演出が開始される。図25(A)は、第一保留数が「3」であり、3個の第一保留表示が位置H1,H2,H3のそれぞれに通常保留表示NHで表示されている様子を示す。図25(A)において、位置H1,H3に表示されているハッチの付されていない通常保留表示NHは、デフォルトの表示色である黄色で表示されており、位置H2に表示されているハッチの付されている通常保留表示NHは、緑色で表示されていることとする。
【0199】
次いで、図25(B)に示すように、この第一報知演出における演出図柄100の図柄変動が進行する間に新たに第一保留乱数が記憶され、位置H4に第一保留表示が表示されたとする。位置H4に新たに追加表示された第一保留表示は、対応する第一保留乱数の第一変動パターン先読み情報が「リーチ演出E」であることに応じて、図21で示したS556の処理によって特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4で表示することが決定されたとする。図25(B)は、第一保留表示が位置H4に新たに表示される場合であるので、位置H4にはアルファベットの「A」を示す特殊保留表示H4が表示される。その後、図25(C)に示すように、演出図柄100が図柄変動を終了してはずれを示すバラケ目の組合せで確定表示し、実行中であった報知演出が終了したとする。この場合、図25(C)に示すように、新たに記憶された第一保留乱数に対応する第一保留表示は、この第一報知演出の終了時点まで位置H4において特殊保留表示SH4で表示される。
【0200】
図25(D)は、図25(A),(B),(C)に示した第一報知演出に引き続いて、次の第一報知演出の実行が開始される様子を示す。この第一報知演出は、図25(C)において位置H1に表示されていた第一保留表示に対応する第一保留乱数に対して特図1大当たり判定が行われ、その判定結果を報知するために実行されるものである。図25(D)に示す第一報知演出の開始に伴って、図25(C)において位置H2に表示されていた緑色の通常保留表示NHは位置H1へ、位置H3に表示されていた黄色の通常保留表示NHは位置H2へ、それぞれ移動して表示される。また、図25(D)に示すように、図25(C)において位置H4に特殊保留表示SH4で表示されていた第一保留表示は、位置H3に移動されるとともに、位置H3に対応する特殊保留表示SH3に変更されて表示される。すなわち、位置H4においてアルファベットの「A」を表示していた第一保留表示は、位置H3に移動することに伴い、アルファベットの「M」に表示態様が変化する。図25(D)に示すように開始された第一報知演出は、その後、図25(E)に示すように、演出図柄100が図柄変動を終了してはずれを示すバラケ目の組合せで確定表示することで終了したとする。この第一報知演出で位置H3の第一保留表示は、図25(D),(E)に示すように、アルファベットの「M」を示す特殊保留表示SH3のままで表示される。
【0201】
図25(F)は、図25(D),(E)に示した第一報知演出に引き続いて、次の第一報知演出の実行が開始される様子を示す。この第一報知演出は、図25(E)において位置H1に表示されていた第一保留表示に対応する第一保留乱数に対して特図1大当たり判定が行われ、その判定結果を報知するために実行されるものである。図25(E)に示す第一報知演出の開始に伴って、図25(E)において位置H2に表示されていた黄色の通常保留表示NHは位置H1へ移動して表示される。また、図25(F)に示すように、図25(E)において位置H3に特殊保留表示SH3で表示されていた第一保留表示は、位置H2に移動されるとともに、位置H2に対応する特殊保留表示SH2に変更されて表示される。すなわち、位置H3においてアルファベットの「M」を表示していた第一保留表示は、位置H2に移動することに伴い、アルファベットの「U」に表示態様が変化する。図25(F)に示すように開始された第一報知演出は、左図柄101と右図柄103とが「6」を示してリーチ状態を構成した後、図25(G)に示すように、中図柄102が「1」を示して演出図柄100が図柄変動を終了して、ゾロ目とならない組合せで確定表示することで終了したとする。この第一報知演出で位置H2の第一保留表示は、図25(F),(G)に示すように、アルファベットの「U」を示す特殊保留表示SH2のままで表示される。
【0202】
図25(H)は、図25(F),(G)に示した第一報知演出に引き続いて、次の第一報知演出の実行が開始される様子を示す。この第一報知演出は、図25(G)において位置H1に表示されていた第一保留表示に対応する第一保留乱数に対して特図1大当たり判定が行われ、その判定結果を報知するために実行されるものである。図25(H)に示す第一報知演出の開始に伴って、図25(G)において位置H2に特殊保留表示SH2で表示されていた第一保留表示は、位置H1に移動されるとともに、位置H1に対応する特殊保留表示SH1に変更されて表示される。すなわち、位置H2においてアルファベットの「U」を表示していた第一保留表示は、位置H1に移動することに伴い、アルファベットの「K」に表示態様が変化する。図25(H)に示すように開始された第一報知演出は、その後、図26(I)に示すように、演出図柄100が図柄変動を終了してはずれを示すバラケ目の組合せで確定表示することで終了したとする。この第一報知演出で位置H1の第一保留表示は、図25(H)及び図26(I)に示すように、アルファベットの「K」を示す特殊保留表示SH1のままで表示される。
【0203】
図26(J)は、図25(H)及び図26(I)に示した第一報知演出に引き続いて、次の第一報知演出の実行が開始される様子を示す。図26(J)に示すように、この第一報知演出の開始時点には、第一保留数が「0」となっており、第一保留表示が表示されない状態であるとする。図26(K)は、この第一報知演出が進行し、演出図柄100がリーチ状態を構成した様子を示す。本実施形態では、リーチ状態において左図柄101と右図柄103とは、僅かに揺れた揺れ変動をした状態にある。図26(K)に示す記号Y2は、左図柄101及び右図柄103が揺れ変動をしていることを模式的に表している。その後、特図1大当たり判定の結果が大当たりである場合には、図26(L)に示すように、演出図柄100がゾロ目の組合せで確定表示されて、第一報知演出が終了する。その後には、大入賞口16が所定のラウンド数の開放を行う大当たり遊技が実行され、大当たり遊技に同期して図示しない大当たり遊技演出が実行される。また、特図1大当たり判定の結果がはずれである場合には、図26(M)に示すように、演出図柄100がゾロ目でない組合せで確定表示されて、第一報知演出が終了する。
【0204】
このように、パチンコ機1は、第一保留情報の期待度が所定以上である場合には、その第一保留情報に対応する第一保留表示として、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いる。特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4は、位置H1から位置H4に向けて左から順にアルファベットを読むと、パチンコ機1のモチーフの主人公キャラクタの名前である「KUMA」と読むことができるように表示される。言い換えると、第一保留情報の期待度を示す場合の特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4の表示態様は、位置H1に「K」を示す特殊保留表示SH1を、位置H2に「U」を示す特殊保留表示SH2を、位置H3に「M」を示す特殊保留表示SH3を、位置H1に「A」を示す特殊保留表示SH1を、それぞれ示す規則性を有する。これにより、パチンコ機1は、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いることによって、第一保留情報の期待度が所定以上であることを遊技者に示唆することができる。したがって、パチンコ機1は、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示した場合に、遊技者の期待感を大いに向上させることができる。
【0205】
本実施形態では、図25(J),(K)のように実行された第一報知演出が、図26(M)に示すようにはずれを報知して終了したとする。その後、遊技者が遊技を中断又は中止して、パチンコ機1が客待ち状態に至ったとする。パチンコ機1は、客待ち状態に至った後、前述の客待ち演出開始時間が経過すると、客待ち演出の実行を開始する。図26(N)は、客待ち演出の例を示す。本実施形態では、客待ち演出として、パチンコ機1がモチーフとする「正義の味方 KUMA」のアニメ作品の一場面を、主人公キャラクタである「KUMA」のキャラクタCHの画像を用いて表示画面28に表示する。パチンコ機1は、客待ち演出の実行中には演出図柄100を表示せず、「デモムービー」の文字を含む所定の表示111を表示画面28に表示することによって、パチンコ機1が客待ち状態にあることを遊技者に示す。なお、客待ち演出の態様は種々に変更されてよい。例えば、客待ち演出中に停止した状態の演出図柄100が表示画面28に表示されていてもよい。また、所定の表示111のような、パチンコ機1が客待ち状態にあることを遊技者に示すための文字を含む表示を客待ち演出に用いるかどうかは任意である。
【0206】
図26(O)は、客待ち状態のパチンコ機1において遊技が再開され、客待ち演出の実行中に第一始動口14に遊技球が入賞した場合の例を示す。この場合、CPU51が第一保留乱数を取得することに応じて、取得された第一保留乱数に対応する第一保留表示が表示画面28の位置H1に表示される。客待ち状態において第一保留乱数が記憶された場合、その第一保留乱数の示す第一保留情報に対応して表示される第一保留表示の表示態様は、図21で示したS558の処理によって決定される。すなわち、客待ち状態において新たに取得された第一保留乱数に対応して位置H1に表示される第一保留表示の表示態様は、現在設定されている確率設定の段階がいずれであるかに応じて決定される。図26(O)は、前述の規則性とは乖離して、位置H1にアルファベットの「A」を示す特殊保留表示SH4が表示された例を示す。すなわち、パチンコ機1は、確率設定の段階が設定6であることを、位置H1に特殊保留表示SH4を表示することによって、遊技を再開した遊技者に示唆することができる。
【0207】
その後、図26(P)に示すように、図26(O)において位置H1に表示されていた第一保留表示に対応する第一保留乱数に対して特図1大当たり判定が行われ、その判定結果を報知する第一報知演出が開始される。図26(P)に示すように、第一報知演出が開始されることに伴って客待ち状態が終了するので、客待ち演出が終了し、演出図柄100の変動表示が開始される。なお、図26(O)において位置H1に表示されていた第一保留表示は、図26(P)に示す第一報知演出の実行開始に伴い、位置H1から消去される。
【0208】
このように、パチンコ機1は、通常状態において、客待ち状態ではなく遊技が継続されている状態で第一保留乱数が取得された場合においては、所定の規則に応じて特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示する。すなわち、パチンコ機1は、第一保留乱数の示す第一保留情報の期待度が所定以上の場合には、第一保留乱数が記憶された時点の第一保留数に応じて、位置H1にSH1を、位置H2にSH2を、位置H3に特殊保留表示SH3を、位置H1に特殊保留表示SH1を、それぞれ表示する。これにより、パチンコ機1は、位置H1,H2,H3,H4にパチンコ機1のモチーフの主人公キャラクタの名前である「KUMA」を示すように特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示することによって、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4に対応する第一保留情報の期待度が所定以上であることを遊技者に示唆することができる。また、パチンコ機1は、位置H1,H2,H3,H4に特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が表示されるか否かに対して、遊技者の注目を集めて、遊技の興趣を向上することができる。
【0209】
一方、客待ち状態で第一保留乱数が取得された場合においては、パチンコ機1は、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いるが、遊技が継続されている状態の規則とは乖離した態様で、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を位置H1に表示する場合がある。客待ち状態で第一保留乱数が取得された場合において、パチンコ機1は、遊技が継続されている状態と同様の特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のいずれかを用いて位置H1に第一保留表示を表示する。遊技者は、位置H1に特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のいずれかが表示される場合には、その特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4に注目する。遊技が継続されている状態の規則では、位置H1には特殊保留表示SH1が表示される場合しかない。しかし、客待ち状態においては、遊技状態の設定状況、すなわち、確率設定の段階がいずれであるかに応じて、特殊保留表示SH2,SH3,SH4が位置H1に表示されることがある。パチンコ機1は、遊技が継続されている状態の規則に乖離する態様で位置H1に表示される第一保留表示を見た遊技者に、位置H1に表示される第一保留表示が、客待ち状態に新たに取得された第一保留乱数の第一保留情報の期待度ではなく、その他のパチンコ機1の状態を示唆しているのではないかと思わせることができる。実際に、パチンコ機1は、この場合の第一保留表示を用いて、客待ち状態に新たに取得された第一保留乱数の第一保留情報の期待度ではなく、現在の遊技状態の設定状況として、確率設定の段階がいずれであるかを遊技者に示唆することができる。
【0210】
このように、パチンコ機1は、保留表示に、現在の遊技状態の設定状況を示唆する機能を付加して、遊技の興趣を向上させることができる。また、パチンコ機1は、客待ち状態に表示される第一保留表示を用いて、現在の遊技状態の設定状況を示唆することができる。すなわち、遊技者は、客待ち状態のパチンコ機1を遊技して保留表示を表示させることによって、現在の遊技状態の設定状況を知る機会を得ることができる。これにより、パチンコ機1は、例えば、遊技がされておらず放置されて客待ち状態になっているパチンコ機1に対する遊技意欲を向上させることができる。したがって、パチンコ機1は、保留表示に現在の遊技状態の設定状況を示唆する機能を付加することによって、パチンコ機1の稼働を向上させやすくできる。また、確率設定の段階がいずれであるかは、遊技者の関心事である。パチンコ機1は、遊技中のパチンコ機1の遊技を一旦中断してパチンコ機1を客待ち状態にした上で遊技を再開することによって、現在の遊技状態の設定状況、すなわち、確率設定の段階がいずれであるかの示唆を得る機会を得られるといった、従来にないパチンコ機1の楽しみ方を遊技者に提供することもできる。
【0211】
以上説明したように、パチンコ機1は、遊技が通常に継続される場合には、保留情報の期待度に応じて、保留情報に対応する保留表示の表示態様を変化させることができる。特に、パチンコ機1は、第一保留情報の期待度が所定以上である場合、第一保留表示を特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いて表示することができる。遊技が通常に継続される場合において、パチンコ機1は、位置H1に特殊保留表示SH1、位置H2に特殊保留表示SH2、位置H3に特殊保留表示SH3、位置H4に特殊保留表示SH4を、それぞれ表示する。パチンコ機1は、このような規則性を有して第一保留表示を表示することによって、パチンコ機1のモチーフの主人公キャラクタの名前を、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いて位置H1,H2,H3,H4に表示することができる。パチンコ機1は、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4をこのような規則性を有して表示することによって、第一保留情報の期待度が所定以上であることを遊技者にアピールし、遊技者の期待感を大いに高めることができる。また、パチンコ機1は、保留情報の期待度が所定以上の場合であること等によって遊技者にとって有利な場合に、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が所定の規則性を有して表示されうることを遊技者に認識させることができる。一方、パチンコ機1は、遊技状態として、通常状態に加えて、遊技者にとっての有利度がより高い時短状態、確変状態を設定することができる。また、パチンコ機1は、確率設定の段階を複数備え、いずれの確率設定の段階を設定するかによって、遊技者にとっての有利度を変化させることもできる。パチンコ機1は、このような遊技状態の設定状況を示唆する場合にも、保留情報の期待度を示唆する場合と外見が共通する特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いる。詳細には、パチンコ機1は、遊技が通常に継続される場合には、前述の規則性に応じて特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示する。一方、パチンコ機1は、所定の場合には、前述の規則性から乖離する態様で、遊技状態の設定状況に応じて特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のいずれかを表示することができる。これにより、パチンコ機1は、所定の規則性に乖離した態様で表示される特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4に対して、遊技者の注目を集めることができる。また、パチンコ機1は、所定の規則性に乖離した態様で特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が表示されたことに気づいた遊技者に対して、遊技状態の設定状況を示唆することができる。したがって、パチンコ機1は、保留表示を用いて遊技の興趣をさらに向上させることができる。
【0212】
パチンコ機1は、遊技が通常に継続される場合には、保留情報の期待度に応じて、位置H1に特殊保留表示SH1を、位置H2に特殊保留表示SH2を、位置H3に特殊保留表示SH3を、位置H4に特殊保留表示SH4を、それぞれ表示することができる。一方、パチンコ機1は、所定の場合には、遊技状態の設定状況に応じて、位置H1に特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のいずれかを表示することができる。このように、パチンコ機1は、遊技状態の設定状況に応じて第一保留表示を表示する場合には、所定の規則性とは乖離した態様で特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を位置H1に表示させる。パチンコ機1は、所定の規則性とは乖離した態様で特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が表示されていることを遊技者に気づかせて、遊技状態の設定状況に対して遊技者に興味を抱かせることができる。
【0213】
パチンコ機1は、客待ち状態において、遊技状態の設定状況に応じて、所定の規則性とは乖離した態様で特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を位置H1に表示することができる。したがって、パチンコ機1は、客待ち状態から遊技を行う遊技者に、保留表示への注目を集めることができる。また、パチンコ機1は、遊技中のパチンコ機1の遊技を一旦中断してパチンコ機1を客待ち状態にした上で遊技を再開することによって、現在の遊技状態の設定状況の示唆を得る機会を得られるといった従来にない楽しみ方を遊技者に提供することもできる。また、パチンコ機1は、客待ち状態にあるパチンコ機1に対する遊技者の遊技意欲を向上させることで、パチンコ機1の稼働を向上させることもできる。
【0214】
パチンコ機1は、遊技状態の設定状況として、確率設定の段階がいずれであるかを、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いて示唆することができる。パチンコ機1は、保留表示の機能を拡張して、遊技の興趣を向上することができる。
【0215】
上記実施形態において、大当たり判定が、「有利判定」の一例である。図12のS95及びS103で大当たり判定を実行する主制御基板41のCPU51が、「判定手段」の一例である。特図1大当たり関係情報記憶エリア及び特図2大当たり関係情報記憶エリアを備える主制御基板41のRAM52が、「保留手段」の一例である。図13のS513、S523、図21のS559の処理を実行するサブ制御基板58のCPU581が、「保留表示手段」の一例である。図10のS68及びS78の各処理で保留情報を取得する主制御基板41のCPU51が、「取得手段」の一例である。図13のS138、S143、図14のS158、S166、S179、図15のS206、S216で確変フラグ及び時短フラグを、図13のS135、図14のS152、S162、S178、図15のS212でA時短回数計数カウンタ又はB時短回数計数カウンタの値を、それぞれ制御する主制御基板41のCPU51が、「設定手段」の一例である。図21のS556及びS558の各処理を実行するサブ制御基板58のCPU581が、「決定手段」の一例である。特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が、「特定保留表示」の一例である。第一始動口14及び第二始動口15が、「入球部」の一例である。図4に示す大当たり判定テーブルを記憶する主制御基板41のROM53が、「性能記憶手段」の一例である。図8のS35で確率設定の設定値をRAM52に記憶する主制御基板41のCPU51が、「性能設定手段」の一例である。
【0216】
次いで、図27及び図28を参照して、本発明に係る遊技機の第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態のパチンコ機1において、以下で説明する構成以外の構成については、第一実施形態のパチンコ機1と共通する。したがって、第二実施形態における第一実施形態と共通する構成については、説明を適宜省略する。
【0217】
第二実施形態のパチンコ機1は、第一実施形態のパチンコ機1と同様に、図21で示したS558の処理において、遊技状態の設定状況に応じて保留表示の表示態様を決定する。前述したように、B時短状態は、大当たり遊技が終了し、非確変状態における大当たり判定の実行が開始されたこと及び後述するRAMクリア処理が行われたことを起点として計数された判定回数が、予め定められた上限回数に到達することに応じて設定される。第二実施形態のパチンコ機1は、遊技状態の設定状況として、B時短状態が開始されるための上限回数までに必要な判定回数を採用し、上限回数までに必要な判定回数に応じて特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のいずれかを表示するかを決定する。以下、上限回数までに必要な判定回数を、必要回数という。
【0218】
図27を参照して、ROM583に記憶されている必要回数示唆決定テーブルに付いて説明する。必要回数示唆決定テーブルは、S558の処理において保留表示の表示態様を決定するために設けられている。必要回数示唆決定テーブルは、必要回数が500回以上の場合には、「K」のアルファベットに対応する特殊保留表示SH1を定義している。必要回数示唆決定テーブルは、必要回数が300回から499回の場合には、「U」のアルファベットに対応する特殊保留表示SH2を定義している。必要回数示唆決定テーブルは、必要回数が100回から299回の場合には、「M」のアルファベットに対応する特殊保留表示SH3を定義している。必要回数示唆決定テーブルは、必要回数が1回から99回の場合には、「K」のアルファベットに対応する特殊保留表示SH4を定義している。すなわち、CPU581は、S558の処理において、サブ判定回数計数カウンタの値を参照して現在の必要回数を取得し、取得した必要回数に応じて第一保留表示の表示態様を特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のいずれとするかを決定する。CPU581は、決定した第一保留表示の表示態様をRAM582に記憶する。
【0219】
図28を参照して、客待ち状態において、第一保留表示が遊技状態の設定状況に応じて所定の規則性から乖離した表示態様で特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示する場合について説明する。図28に示す例は、遊技状態が通常状態の場合であるとする。図28(Q)に示すように、前回に実行された第一報知演出が、はずれを報知して終了したとする。その後、遊技者が遊技を中断又は中止して、パチンコ機1が客待ち状態に至ったとする。図28(R)に示すように、パチンコ機1は,客待ち状態に至った後、前述の客待ち演出開始時間が経過すると、客待ち演出の実行を開始する。
【0220】
図28(S)は、客待ち状態のパチンコ機1において遊技が再開され、客待ち演出の実行中に第一始動口14に遊技球が入賞した場合の例を示す。この場合、CPU51が第一保留乱数を取得することに応じて、取得され第一保留乱数に対応する第一保留表示が表示画面28の位置H1に表示される。客待ち状態において第一保留乱数が記憶された場合、その第一保留乱数の示す第一保留情報に対応して表示される第一保留表示の表示態様は、S558の処理によって決定される。すなわち、客待ち状態において新たに取得された第一保留乱数に対応して位置H1に表示される第一保留表示の表示態様は、サブ判定回数計数カウンタの値を参照して現在の必要回数がいずれであるかに応じて決定される。図28(S)は、遊技が通常に継続されている場合の特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4の表示の規則性とは乖離して、位置H1にアルファベットの「U」を示す特殊保留表示SH2が表示された例を示す。すなわち、パチンコ機1は、現在の必要回数が300回から499回であることを、位置H1に特殊保留表示SH2を表示することによって、遊技を再開した遊技者に示唆することができる。
【0221】
その後、図28(T)に示すように、図28(S)において位置H1に表示されていた第一保留表示に対応する第一保留乱数に対して特図1大当たり判定が行われ、その判定結果を報知する第一報知演出が開始される。図28(T)に示すように、第一報知演出が開始されることに伴って客待ち状態が終了するので、客待ち演出が終了し、演出図柄100の変動表示が開始される。なお、図28(S)において位置H1に表示されていた第一保留表示は、図28(T)に示す第一報知演出の実行開始に伴い、位置H1から消去される。
【0222】
その後、大当たり遊技状態が設定されることなく大当たり判定及び報知演出が繰り返し実行されたとする。そして、図28(U)に示すように第一報知演出が開始されたとする。この第一報知演出は、B時短状態が開始されるための上限回数目に実行されるものであるとする。図28(W)に示すように、この第一報知演出がはずれの判定結果を報知して終了したとする。上限回数の大当たり判定が実行されたことに伴い、B時短状態が設定される。これに伴い、図28(X)に示すように、遊タイム開始演出が実行される。遊タイム開始演出は、「遊タイム突入」の文字を示す画像112が表示画面28に表示されることによって行われる。また、遊技状態が通常状態から非確変時短状態に移行することに伴い、遊技を左打ちから右打ちに変更することを遊技者に指示するための右打ち表示118も、表示画面28に表示される。また、遊技状態が非確変時短状態であることを示す「チャンスモード」の文字を示す画像113も表示画面28に表示される。
【0223】
このように、パチンコ機1は、保留表示に、現在の遊技状態の設定状況を示唆する機能を付加して、遊技の興趣を向上させることができる。特に、B時短状態を備える遊技機については、必要回数が少ないほど、現在の遊技状態である通常状態よりも有利な非確変時短状態への移行契機が早く到来するのであるから、通常状態の遊技を継続する遊技者にとって必要回数は関心事である。パチンコ機1は、第一保留表示を用いて、現在の遊技状態の設定状況として、必要回数がいずれであるかの目安を知る機会を遊技者に付与することができる。また、パチンコ機1は、客待ち状態に表示される第一保留表示を用いて、現在の遊技状態の設定状況を示唆することができる。遊技者は、客待ち状態のパチンコ機1を遊技して保留表示を表示させることによって、現在の遊技状態の設定状況、すなわち、必要回数の目安を知る機会を得ることができる。したがって、パチンコ機1は、遊技がされておらず放置されて客待ち状態になっているパチンコ機1に対する遊技意欲を向上させることができる。パチンコ機1は、遊技中のパチンコ機1の遊技を一旦中断してパチンコ機1を客待ち状態にした上で遊技を再開することによって、現在の必要回数の目安を得る機会を得られるといった、従来にないパチンコ機1の楽しみ方を遊技者に提供することもできる。
【0224】
以上説明したように、パチンコ機1は、遊技状態の設定状況として、必要回数の目安を特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いて示唆することができる。パチンコ機1は、保留表示の機能を拡張して、遊技の興趣を向上することができる。非確変状態が、「第一遊技状態」の一例である。非確変時短状態が、「第二遊技状態」の一例である。図13のS132、図14のS173、図15のS215で判定回数計数カウンタの値を制御する主制御基板41のCPU51が、「遊技状態移行手段」の一例である。
【0225】
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。パチンコ機1は、遊技状態の設定状況として、第一実施形態では確率設定の段階を、第二実施形態ではB時短状態が設定されるまでに必要な大当たり判定の回数である必要回数を、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いてそれぞれ示唆することができる。この他、パチンコ機1は、遊技状態の設定状況として、確変状態が設定されているか否かを、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いて示唆してもよい。この場合、CPU581は、図21で示したS558の処理においてサブ確変フラグの状態を参照して、確変状態が設定されているかを判断する。例えば、CPU581は、確変状態が設定されていないと判断した場合には第一保留表示の表示態様を特殊保留表示SH1と決定し、確変状態が設定されていると判断した場合には第一保留表示の表示態様を特殊保留表示SH4と決定する。この場合、パチンコ機1は、位置H1に通常は表示されない特殊保留表示SH4を表示することによって、確変状態が設定されていることを遊技者に示唆することができる。パチンコ機1が、確変状態が設定されていることを遊技者に明確に報知しない、いわゆる確変非報知タイプである場合に本発明を適用すると、確変状態が設定されているかを知ることができる機会を遊技者に与えることができるので効果的である。
【0226】
パチンコ機1は、遊技状態の設定状況として、時短状態が設定されているか否かを、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を用いて示唆してもよい。この場合、CPU581は、S558の処理においてサブ時短フラグの状態を参照して、時短状態が設定されているかを判断する。例えば、CPU581は、時短状態が設定されていないと判断した場合には第一保留表示の表示態様を特殊保留表示SH1と決定し、時短状態が設定されていると判断した場合には第一保留表示の表示態様を特殊保留表示SH4と決定する。この場合、パチンコ機1は、位置H1に通常は表示されない特殊保留表示SH4を表示することによって、時短状態が設定されていることを遊技者に示唆することができる。パチンコ機1は、時短状態として、通常状態よりも容易に第二始動口15に遊技球が入賞できる遊技状態であるが、その用意度が非常に僅かであり、遊技者にとっては非時短状態に非常に近似した遊技状態を設定することができる。このような遊技状態を、微時短状態という。パチンコ機1が微時短状態を備える場合に本発明を適用すると、微時短状態が設定されているかを知ることができる機会を遊技者に与えることができるので効果的である。
【0227】
パチンコ機1は、遊技状態の設定状況として、時短状態が終了するまでに必要な判定回数を採用してもよい。時短状態が終了するまでに必要な判定回数を、時短残り回数という。パチンコ機1は、時短残り回数が所定回数よりも多い場合には保留表示の表示態様を特殊保留表示SH1と決定し、時短残り回数がそれよりも少ない場合には、保留表示の表示態様を特殊保留表示SH2,SH3,SH4に段階的に決定してもよい。例えば、パチンコ機1がA時短回数を複数通り備える場合において、複数通りのA時短回数のうちいずれが適用されているかを明確に報知しないとき、時短残り回数がいずれであるかは遊技者の関心事である。このような場合に本発明を適用すると、時短残り回数を知る機会を遊技者に与えることができるので効果的である。
【0228】
パチンコ機1は、遊技状態の設定状況として、確変状態が終了するまでに必要な判定回数を採用してもよい。確変状態が終了するまでに必要な判定回数を、確変残り回数という。パチンコ機1は、確変残り回数が所定回数よりも多い場合には保留表示の表示態様を特殊保留表示SH1と決定し、確変残り回数がそれよりも少ない場合には、保留表示の表示態様を特殊保留表示SH2,SH3,SH4に段階的に決定してもよい。例えば、パチンコ機1が、確変状態が設定された場合に、その確変状態における判定回数が所定のST回数に到達することで確変状態が終了する、いわゆるSTタイプの遊技仕様を備えるとする。パチンコ機1がST回数を複数通り備える場合において、複数通りのST回数のうちいずれが適用されているかを明確に報知しないとき、確変残り回数がいずれであるかは遊技者の関心事である。このような場合に本発明を適用すると、確変残り回数を知る機会を遊技者に与えることができるので効果的である。
【0229】
第一実施形態及び第二実施形態では、図26(O)及び図28(S)を用いて、客待ち状態には所定の規則とは乖離する態様で位置H1に特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が表示される例を説明した。パチンコ機1が所定の規則とは乖離する態様で位置H1に特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示することは、客待ち状態に行われればよい。パチンコ機1が客待ち状態に至っているが、客待ち演出開始時間が計測中であり客待ち演出の開始前の状態においても、遊技状態の設定状況に応じて所定の規則とは乖離する態様で位置H1に特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示することが行われてもよい。すなわち、遊技状態の設定状況に応じて所定の規則とは乖離する態様で位置H1に特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示することが行われるのは、図26(O)及び図28(S)に示した客待ち演出の実行中に限られない。
【0230】
パチンコ機1は、通常状態における客待ち状態中に2個以上の遊技球が連続的に第一始動口14へ入賞した場合には、まず位置H1に、遊技状態の設定状況に応じた特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のいずれかを表示することができる。この場合、パチンコ機1は、連続的に入賞した遊技球の個数に応じて、位置H1に加えて位置H2,H3,H4にも、位置H1に表示したものと同じ特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のいずれかを表示してもよい。
【0231】
パチンコ機1が、遊技状態の設定状況に応じて所定の規則とは乖離する態様で位置H1に特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4を表示することを行うのは、客待ち状態に限られない。例えば、遊技が通常に継続される場合において、保留情報の期待度に応じて所定の規則性に応じて特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が表示されるときと、遊技状態の設定状況に応じて所定の規則に乖離した態様で特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が表示されるときとが併存してもよい。例えば、CPU581は、図21のS555の判断に替えて、S556とS558のいずれの処理を実行するかを所定の抽選によって決定する処理が設けられてもよい。この場合、遊技が通常に継続される場合においても、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が所定の規則に乖離した態様で表示される場合があるので、パチンコ機1は、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4に対して遊技者の注目をより集めることができる。
【0232】
本発明は、第二保留表示を用いて実現されてもよい。また、本発明が適用される遊技状態は、確変状態、時短状態等、通常状態以外の遊技状態であってもよい。また、パチンコ機1が、RAM52の普通当たり関係情報記憶エリアに記憶される普通当たり乱数を表示する普通保留表示を設ける場合には、普通保留表示を用いて本発明が実現されてもよい。普通当たり乱数は、第一実施形態及び第二実施形態のようにゲート12等の所定のゲートを遊技球が通過することによって取得されてもよいし、ゲートではなく所定の入賞口に遊技球が入賞することによって取得されてもよい。
【0233】
特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4は、パチンコ機1のモチーフの主人公キャラクタの名前に限られない。特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4は、モチーフのタイトル、モチーフに関するキーワード、モチーフで扱われる決め台詞等を表す文字、ロゴ、記号等を示すもの等、種々に選択されてもよい。第一実施形態、第二実施形態では、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4の4種類の表示態様が設けられている。この表示態様の種類は、最大保留数と同じ個数であることが好ましい。特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4が文字を用いて構成される場合には、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4のそれぞれを並べた場合の可読性が高まり、特殊保留表示SH1,SH2,SH3,SH4に対する遊技者の注目をより集めやすいためである。
【符号の説明】
【0234】
1 パチンコ機
28 表示画面
41 主制御基板
51,581 CPU
52,582 RAM
53,583 ROM
SH1,SH2,SH3,SH4 特殊保留表示
図1
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