(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066020
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】情報伝達方法及び情報伝達システム
(51)【国際特許分類】
G09C 1/00 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
G09C1/00 610Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175199
(22)【出願日】2022-11-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】522427899
【氏名又は名称】田中 太人
(74)【代理人】
【識別番号】100209886
【弁理士】
【氏名又は名称】金森 寛
(72)【発明者】
【氏名】田中 太人
(57)【要約】
【課題】
新たな情報伝達方法を提供することである。
【解決手段】
送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いた情報伝達方法であって、送信者が、第一秘密鍵を用いて平文データを暗号化して第一暗号データを生成する、又は、公開鍵を用いて平文データを暗号化して第二暗号データを生成し、第一秘密鍵を用いて第二暗号データを暗号化して第三暗号データを生成し、送信者は第一暗号データ又は第三暗号データを受信者に送信し、送信者は第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信し、受信者が第一暗号データ又は第三暗号データを受信し、受信した前記第一秘密鍵を用いて第一暗号データ又は第三暗号データを復号し、前記第一暗号データ又は第三暗号データを生成するステップにおいて前記平文データ又は前記第二暗号データの桁数を減少させる、情報伝達方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達方法であって、
送信者が、第一秘密鍵を用いて平文データを暗号化して第一暗号データを生成するステップと、
送信者が前記第一暗号データを受信者に送信する第一送信ステップと、
送信者が前記第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信する第二送信ステップと、
受信者が前記第一暗号データを受信する第一受信ステップと、
受信者が前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信ステップと、
受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて前記第一暗号データを復号し、前記平文データを取得するステップと
を有し、
前記第一暗号データを生成するステップにおいて前記平文データの桁数を減少させる、情報伝達方法。
【請求項2】
送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達方法であって、
受信者端末装置において受信者の第二秘密鍵を作成するステップと、
作成した第二秘密鍵に対応する受信者の公開鍵を作成するステップと、
受信者の公開鍵を取得するステップと、
送信者が取得した公開鍵を用いて平文データを暗号化して第二暗号データを生成するステップと、
送信者が第一秘密鍵を用いて第二暗号データを暗号化して第三暗号データを生成するステップと、
送信者が第三暗号データを受信者に送信する第一送信ステップと、
送信者が前記第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信する第二送信ステップと、
受信者が前記第三暗号データを受信する第一受信ステップと、
受信者が前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信ステップと、
受信者が受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて前記第三暗号データを復号し、前記第二暗号データを取得する第二復号ステップと、
受信者が前記公開鍵に対応する第二秘密鍵を用いて前記第二暗号データを復号し、前記平文データを取得する第三復号ステップと
を有し、
前記第三暗号データを生成するステップにおいて前記第二暗号データの桁数を減少させる、情報伝達方法。
【請求項3】
前記第一暗号データの生成において、
という変数を用いる、請求項1に記載の情報伝達方法。
【請求項4】
前記第三暗号データの生成において、
という変数を用いる、請求項2に記載の情報伝達方法。
【請求項5】
前記第一送信ステップと前記第二送信ステップとは、異なる経路で送信する、請求項1又は2に記載の情報伝達方法。
【請求項6】
第一暗号データを生成するステップにおいて、第一秘密鍵を用いた平文の暗号化の可否を判断するステップ
をさらに有し、
前記平文の暗号化が可能な場合に第一暗号データを生成する、請求項1に記載の情報伝達方法。
【請求項7】
第三暗号データを生成するステップにおいて、第一秘密鍵を用いた第二暗号データの暗号化の可否を判断するステップ
をさらに有し、
前記第二暗号データの暗号化が可能な場合に第三暗号データを生成する、請求項2に記載の情報伝達方法。
【請求項8】
情報伝達方法がさらに、第一暗号データの生成後又は第三暗号データの生成後に、暗号データを生成したか否かを判定するステップを有する、請求項1又は2に記載の情報伝達方法。
【請求項9】
送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達システムであって、
情報伝達システムが、
第一秘密鍵を用いて平文データを暗号化して第一暗号データを生成する第一暗号生成手段と、
前記第一暗号データを受信者に送信する第一送信手段と、
前記第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信する第二送信手段と、
前記第一暗号データを受信する第一受信手段と、
前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信手段と、
受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて前記第一暗号データを復号し、平文データを取得する第一復号手段と
を備え、
前記第一暗号生成手段が、前記平文データの桁数を減少させて第一暗号データを生成する、情報伝達システム。
【請求項10】
送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達システムであって、
情報伝達システムが、
受信者の第二秘密鍵を生成する第二秘密鍵生成手段と、
作成した第二秘密鍵に対応する受信者の公開鍵を作成する公開鍵作成手段と、
受信者の公開鍵を取得する公開鍵取得手段と、
取得した公開鍵を用いて平文データを暗号化して第二暗号データを生成する第二暗号生成手段と、
第一秘密鍵を用いて第二暗号データを暗号化して第三暗号データを生成する第三暗号生成手段と、
第三暗号データを受信者に送信する第一送信手段と、
前記第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信する第二送信手段と、
前記第三暗号データを受信する第一受信手段と、
前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信手段と、
受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて前記第三暗号データを復号し、前記第二暗号データを取得する第二復号手段と、
前記公開鍵に対応する第二秘密鍵を用いて前記第二暗号データを復号し、前記平文データを取得する第三復号手段と
を備え、
前記第三暗号生成手段が、前記第二暗号データの桁数を減少させて第三暗号データを生成する、情報伝達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新たな情報伝達方法及び情報伝達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報通信におけるセキュリティ対策として、情報を暗号化する技術が用いられてきた。例えば、共通鍵暗号方式や公開鍵暗号方式がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし昨今、ハードウェアの性能の向上に伴い、従来の暗号化技術ではセキュリティが脅かされる事態となりつつある。
【0004】
本発明の少なくとも1つの実施の形態の目的は、新たな情報伝達方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
非限定的な観点によると、本発明に係る情報伝達方法は、送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達方法であって、送信者が、第一秘密鍵を用いて平文データを暗号化して第一暗号データを生成するステップと、送信者が前記第一暗号データを受信者に送信する第一送信ステップと、送信者が前記第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信する第二送信ステップと、受信者が前記第一暗号データを受信する第一受信ステップと、受信者が前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信ステップと、受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて前記第一暗号データを復号し、前記平文データを取得するステップとを有し、前記第一暗号データを生成するステップにおいて前記平文データの桁数を減少させる、情報伝達方法である。
【0006】
非限定的な観点によると、本発明に係る情報伝達方法は、送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達方法であって、受信者端末装置において受信者の第二秘密鍵を作成するステップと、作成した第二秘密鍵に対応する受信者の公開鍵を作成するステップと、受信者の公開鍵を取得するステップと、送信者が取得した公開鍵を用いて平文データを暗号化して第二暗号データを生成するステップと、送信者が第一秘密鍵を用いて第二暗号データを暗号化して第三暗号データを生成するステップと、送信者が第三暗号データを受信者に送信する第一送信ステップと、送信者が前記第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信する第二送信ステップと、受信者が前記第三暗号データを受信する第一受信ステップと、受信者が前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信ステップと、受信者が受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて前記第三暗号データを復号し、前記第二暗号データを取得する第一復号ステップと、受信者が前記公開鍵に対応する第二秘密鍵を用いて前記第二暗号データを復号し、前記平文データを取得する第二復号ステップとを有し、前記第三暗号データを生成するステップにおいて前記第二暗号データの桁数を減少させる、情報伝達方法である。
【0007】
非限定的な観点によると、本発明に係る情報伝達システムは、送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達システムであって、情報伝達システムが、第一秘密鍵を用いて平文データを暗号化して第一暗号データを生成する第一暗号生成手段と、前記第一暗号データを受信者に送信する第一送信手段と、前記第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信する第二送信手段と、前記第一暗号データを受信する第一受信手段と、前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信手段と、受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて前記第一暗号データを復号し、平文データを取得する第一復号手段とを備え、前記第一暗号生成手段が、前記平文データの桁数を減少させて第一暗号データを生成する、情報伝達システムである。
【0008】
非限定的な観点によると、本発明に係る情報伝達システムは、送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達システムであって、情報伝達システムが、受信者の第二秘密鍵を生成する第二秘密鍵生成手段と、作成した第二秘密鍵に対応する受信者の公開鍵を作成する公開鍵作成手段と、受信者の公開鍵を取得する公開鍵取得手段と、取得した公開鍵を用いて平文データを暗号化して第二暗号データを生成する第二暗号生成手段と、第一秘密鍵を用いて第二暗号データを暗号化して第三暗号データを生成する第三暗号生成手段と、第三暗号データを受信者に送信する第一送信手段と、前記第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信する第二送信手段と、前記第三暗号データを受信する第一受信手段と、前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信手段と、受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて前記第三暗号データを復号し、前記第二暗号データを取得する第二復号手段と、前記公開鍵に対応する第二秘密鍵を用いて前記第二暗号データを復号し、前記平文データを取得する第三復号手段とを備え、前記第三暗号生成手段が、前記第二暗号データの桁数を減少させて第三暗号データを生成する、情報伝達システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の各実施形態により1または2以上の不足が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達システムの概要を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達システムの機能を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達処理に関するフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、第一暗号生成処理に関するフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ノゼ変換を説明する図である。
【
図7】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ノゼ変換を説明する図である。
【
図8】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、第一復号処理に関するフローチャートである。
【
図9】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達システムの概要を示す図である。
【
図10】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達システムの機能を示すブロック図である。
【
図11】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達処理に関するフローチャートである。
【
図12】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、第三暗号生成処理に関するフローチャートである。
【
図13】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ノゼ変換を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。また、以下で説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同である。
【0012】
[第一の実施の形態]
本発明の第一の実施の形態の概要について説明をする。以下では、送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いた情報伝達方法であって、秘密鍵を1つ用いる方法を例示して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達システムの構成を示すブロック図である。情報伝達システム4は、少なくとも1の送信者端末装置1と、通信ネットワーク2と、少なくとも1の受信者端末装置3とを備える。送信者端末装置1及び受信者端末装置3は複数台から構成されても構わない。
【0014】
送信者端末装置1は、通信ネットワーク2を介して受信者端末装置3と接続されている。なお、送信者端末装置1と受信者端末装置3とは常時接続していなくてもよく、必要に応じて、接続が可能であればよい。
【0015】
送信者端末装置1及び受信者端末装置3は、一例として、制御部、RAM、ストレージ部、サウンド処理部、グラフィックス処理部、通信インタフェース、インタフェース部を備え、それぞれ内部バスにより接続されている。グラフィックス処理部は表示部に接続されている。表示部は、表示画面と、表示部に対する、プレイヤによる接触により入力を受け付けるタッチ入力部とを有しても良い。
【0016】
タッチ入力部は、例えば、タッチパネルに用いられる抵抗膜方式、静電容量方式、超音波表面弾性波方式、光学方式、又は、電磁誘導方式等、いずれの方式を用いて、接触した位置を検知できるものであってもよく、ユーザのタッチ操作により操作を認識できれば方式は問わない。タッチ入力部の上面を指やスタイラス等により押圧や移動等の操作をした場合に、指等の位置を検知可能なデバイスである。
【0017】
インタフェース部には外部メモリ(例えば、SDカード等)が接続され得る。外部メモリから読み込まれたデータはRAMにロードされ、制御部により演算処理が実行される。
【0018】
通信インタフェースは無線又は有線により通信ネットワークに接続が可能であり、通信ネットワークを介してデータを受信することが可能である。通信インタフェースを介して受信したデータは、外部メモリから読み込まれたデータと同様に、RAMにロードされ、制御部により演算処理が行われる。
【0019】
送信者端末装置1及び受信者端末装置3は、近接センサ、赤外線センサ、ジャイロセンサ、又は、加速度センサ等のセンサを備えるものであってもよい。また、送信者端末装置1及び受信者端末装置3は、レンズを有し、レンズ介して撮像する撮像部を備えるものであってもよい。さらに、送信者端末装置1及び受信者端末装置3は、身体に装着可能(ウェアラブル)な端末装置であってもよい。
【0020】
[システム概要]
図2は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達システムの概要を示す図である。送信者と受信者との間で通信を行う情報伝達システムを前提とする。
【0021】
送信者が所有する平文データを、ノゼを含む秘密鍵で暗号化し、暗号データを生成する。ノゼは、実数以外の数(虚偏数ともいう)であり、次の数式(1)を満たすように定義される。
【0022】
【0023】
虚偏数時間をビッグバン宇宙論である「無境界仮説」等の虚数時間と実数時間に導入する事で、より宇宙誕生の瞬間に、空間と時間の区別が無くなる。こうする事で、宇宙のはじまりが他の時期と区別されることはより無くなり、宇宙誕生の謎を解き明かす一助となる。
【0024】
次に、前記暗号データ及び前記ノゼを含む秘密鍵を含む情報を受信者に送信する。ここで、暗号データとノゼを含む秘密鍵を含む情報とは、異なる経路で送信することが好ましい。
【0025】
受信者は、前記暗号データ及び前記ノゼを含む秘密鍵を受信する。次に、前記暗号データ及び前記ノゼを含む秘密鍵を用いて復号し、受信者は平文データを取得する。
【0026】
[機能説明]
図3は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達処理に関するフローチャートである。情報伝達システム4は、平文入力受付機能101、第一暗号生成機能102、暗号化有無判定機能103,第一送信機能104、第二送信機能105、第一受信機能106、第二受信機能107、及び第一復号機能108を備え得る。
【0027】
平文入力受付機能101は、送信者端末装置1が送信者による平文データの入力を受け付ける機能を有する。第一暗号生成機能102は、情報伝達システム4が第一秘密鍵を用いて、平文入力受付機能101により受け付けた平文データを暗号化して第一暗号データを生成する機能を有する。
【0028】
暗号化有無判定機能103は、情報伝達システム4が第一暗号生成機能102により暗号を生成したか否かを判定する機能を有する。第一送信機能104は、情報伝達システム4が第一暗号データを受信者に送信する機能を有する。第二送信機能105は、情報伝達システム4が第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信する機能を有する。
【0029】
第一受信機能106は、第一暗号データを受信する機能を有する。第二受信機能107は、第一秘密鍵を含む情報を受信する機能を有する。第一復号機能108は、第二受信機能107により受信した第一秘密鍵を含む情報を用いて、第一受信機能106により受信した第一暗号データを復号する機能を有する。
【0030】
第一暗号生成機能102、暗号化有無判定機能103、第一送信機能104、及び第二送信機能105は、送信者端末装置1が備えてもよく、他のサーバ装置等により提供されるサービスを利用しても良い。第一受信機能106、第二受信機能107、及び第一復号機能108は、受信者端末装置3が備えてもよく、他のサーバ装置等により提供されるサービスを利用しても良い。
【0031】
第一暗号生成機能102は、指定受付機能111、暗号化可否判定機能112、ノゼ変換機能113、及び情報出力機能114を備え得る。
【0032】
指定受付機能111は、送信者又は情報伝達システム4から、暗号化する桁に関する指定を受け付ける機能を有する。暗号化可否判定機能112は、指定受付機能111により受け付けた桁に対応する情報を用いて暗号化の可否を判定する機能を有する。ノゼ変換機能113は、指定受付機能111により指定された桁数に対応する数値に関して、ノゼ変換を行う機能を有する。ノゼ変換については、後述する。情報出力機能114は、暗号化した桁数に関する情報を出力する機能を有する。
【0033】
第一復号機能108は、情報読込機能121及び逆ノゼ変換機能122を備え得る。情報読込機能121は、情報出力機能114により出力された情報に含まれる、暗号化した桁数に関する情報を読み込む機能を有する。逆ノゼ変換機能122は、情報読込機能121により読み込んだ情報を用いて、暗号データに対して逆ノゼ変換を行う機能を有する。逆ノゼ変換については後述する。
【0034】
[情報伝達処理]
図4は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達処理に関するフローチャートである。
【0035】
送信者端末装置1は、送信者から平文の入力を受け付ける(ステップS1)。次に、送信者端末装置1は、第一秘密鍵を用いて平文データを暗号化して第一暗号データの生成処理を実行する(ステップS2)。
【0036】
[第一暗号生成処理]
第一秘密鍵を用いた暗号化処理について説明する。暗号化の一例として、ノゼ変換を挙げる。ノゼ変換とは、例えば、数列において指定された箇所の数値を分子、その後に続く数値を分母として計算することをいう。
【0037】
図5は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、第一暗号生成処理に関するフローチャートである。送信者端末装置1は、暗号化する桁数の指定を受け付ける(ステップS101)。指定する主体は、送信者であってもよいし、送信者端末装置1がランダムな数値を選定し、桁数の指定としてもよい。
【0038】
次に、送信者端末装置1は、指定された桁に対応する数値及びその後に続く数値を用いて、ノゼ変換の実行可否を判定する(ステップS102)。ノゼ変換の実行可否については、後述のノゼ変換の説明の記載において詳述する。
【0039】
送信者端末装置1がノゼ変換を実行可能と判定した場合(ステップS102においてYES)には、指定された桁数に対してノゼ変換を実行する(ステップS103)。送信者端末装置1がノゼ変換を実行不可と判定した場合(ステップS102においてNO)には、ステップS101において指定された桁数における暗号化処理をスキップする。
【0040】
[ノゼ変換(その1)]
図6は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ノゼ変換を説明する図である。
図6(A)に示すように、桁数mからm+4までの数列がある。このとき、m桁目に対してノゼ変換を実行する場合について説明する。
【0041】
m桁目は「0」で、m+1桁目は「0」である。
図6(B)に示すように、指定されたm桁目の数値を分子に、その後に続くm+1桁目の数値を分母に配置し、上述した数式(1)に当てはめると、0/0=-0=0となる。
【0042】
図6(C)に示すように、ノゼ変換を実行後に0となった場合には、m桁目とm+1桁目の「0」を、m桁目の「0」に統合する。すなわち、桁数を1減じる。m+1桁目には、
図6(A)においてm+2桁目に存在していた数値が繰り上がって配置される。
【0043】
ノゼ変換が実行できない場合もある。例えば、
図6(A)でm+1桁目にノゼ変換を実施した場合には、分子が「0」、分母が「1」となり、数式(1)には当てはめられない。このような場合には、ノゼ変換不可とし、桁数を減じることなくノゼ変換処理を終了する。
【0044】
ノゼ変換は、一例として、0/0となる場合、すなわち、0が連続した場合にのみ結果が0となる。結果が0となった場合に、桁数を減じる。
【0045】
ステップS102におけるノゼ変換の可否に関する判断は、ステップS101において指定された桁数の数値及び指定された桁の直後の数値がともに0である場合に、ノゼ変換可能と判断することになる。
【0046】
ノゼ変換を実行する前に、平文データを予めp進数(pは自然数、以下同じ)に変換しておき、p進数の桁数を指定するように設計してもよい。特に、予め二進数に変換しておくことが好ましい。
【0047】
[ノゼ変換(その2)]
図7は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ノゼ変換を説明する図である。ここでは、暗号化の対象である文字列に対し、文字を他の文字に一文字ずつ置き換え、置き換え後の値に対してノゼ変換を行う、「換字方式」を用いたノゼ変換を説明する。
【0048】
図7(A)は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、暗号化の対象である文字を他の文字に置き換える表を表す。換字前の文字に対応する換字後の文字に置き換える。
【0049】
図7(B)は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、換字の例を示した図である。平文の例として、「the elephant」という文字列を想定する。この文字列に対し、換字対応表を参照して変換した結果が換字後の文字列である。このとき、換字後の文字列には、少なくとも除算を実施するための記号(図中の例では「÷」)を含むことが好ましい。
【0050】
図7(C)は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、換字後の文字列に対して適用するノゼ変換を表す式である。
図7(C)の数式は、数式(1)に示した数式の一部である。分子に「ノゼ」、分母に「ノゼ」として計算した場合に、結果は「-1」となる。
【0051】
図7(D)は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ノゼ変換後の文字列を表す。ステップS101において指定された桁数が「4」であった場合に、
図7(B)に示すように、「÷」の記号が指定される。
【0052】
ノゼ変換は、一例として、指定された桁の直前の文字を分子、指定された直後の文字を分母に配置し、
図7(C)の数式に当てはめるものとする。すると、3桁目に位置する「ノゼ」を5桁目に位置する「ノゼ」で除する。つまり、
図7(C)の表す数式に合致し、結果は「-1」となる。
【0053】
ここで得られた結果「-1」を3桁目の値とする。4桁目及び5桁目はノゼ変換に使用したため、6桁目の「7」を4桁目に、7桁目の「ノゼ」を5桁目にそれぞれ繰り上げ、以降の値も繰り上げて配置する。
【0054】
このようにすると、換字後の段階で12桁まで存在したデータは、ノゼ変換を経て10桁のデータとなる。つまり、桁数が減じられている。
【0055】
ノゼ変換が実行できない場合もある。例えば、
図7(B)で6桁目を指定した場合には、
図7(C)の数式には当てはめられない。このような場合には、ノゼ変換不可とし、桁数を減じることなくノゼ変換処理を終了する。
【0056】
ノゼ変換は、一例として、指定した桁の換字後の値が「÷」であり、直前と直後の桁の値がともに「ノゼ」である場合にのみ結果が「-1」となる。つまり、情報伝達システム4は、結果が「-1」となった場合に、桁数を減じることになる。
【0057】
ステップS102におけるノゼ変換の可否に関する判断は、ステップS101において指定された桁数の値並びに指定された桁の直前及び直後の数値から判断するようにしてもよい。すなわち、
図7(A)の例示に基づいて説明するならば、指定した桁の換字前の値が「(半角スペース)」、指定した桁の直前及び直後の値が「e」である場合に、ノゼ変換可と判断してもよい。
【0058】
図5のフローチャートに戻る。送信者端末装置1は、情報を出力する(ステップS104)。出力する情報には、ステップS101にて指定された桁数の情報を含む。
【0059】
ステップS104において出力される情報は、ノゼ変換された順番がわかるように記録されることが好ましい。ノゼ変換された順番がわかることで、暗号データを復号可能となる。
【0060】
送信者からノゼ変換を実行する桁数の指定の受付が完了するまで、ステップS101からステップS104の処理を繰り返し実行する。指定が完了すると、第一暗号生成処理は完了する。
【0061】
第一暗号生成処理は、送信者端末装置1にて実行されるように記載したが、これに限定されない。すなわち、情報伝達システム4を構成するいずれかの装置で実行されればよく、クラウドサービスを利用するように構成されていてもよい。
【0062】
ステップS101の桁数の指定は、送信者からの指示により指定を受け付けるように記載したが、これに限定されない。例えば、送信者端末装置1又は情報伝達システム4が所定のプログラムを実行することで、桁数を自動で指定するように構成してもよい。
【0063】
図4のフローチャートに戻る。送信者端末装置1は、ステップS2において第一暗号生成機能102により暗号を生成したか否かを判定する(ステップS3)。第一暗号が生成されたか否かの判定には、例えば、ステップS104において情報が出力されたか否かで判定してもよい。
【0064】
第一暗号が生成されたと判定した場合(ステップS3においてYES)には、送信者端末装置1は、生成された第一暗号データを受信者端末装置3に送信する(ステップS4)。受信者端末装置3は、送信された第一暗号データを受信する(ステップS5)。
【0065】
第一暗号が生成されなかったと判定した場合(ステップS3においてNO)には、一例として、送信者端末装置1は、エラーを出力したうえで、ステップS1に戻り、平文の入力を受け付けてもよい。暗号化されずに送信されるというセキュリティレベルを下げる事象を予防するためである。
【0066】
次に、送信者端末装置1は、第一秘密鍵を含む情報を受信者端末装置3に送信する(ステップS6)。第一秘密鍵を含む情報とは、例えば、ノゼに関する数式(1)の情報、及び、ステップS104で出力された、ノゼ変換が実行された桁数に関する情報を含むものであり得る。
【0067】
受信者端末装置3は、送信された第一秘密鍵を含む情報を受信する(ステップS7)。ステップS4における第一送信と、ステップS6における第二送信は、異なる経路で送信することが好ましい。
【0068】
次に、受信者端末装置3は、ステップS7において受信した第一秘密鍵を含む情報を用いて、ステップS5において受信した第一暗号データを復号して平文を取得し(ステップS8)、終了する。
【0069】
[第一復号処理]
図8は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、第一復号処理に関するフローチャートである。受信者端末装置3は、ステップS7で受信された第一秘密鍵を含む情報を読み込む(ステップS111)。次に、受信者端末装置3は、ステップS111において読み込んだ情報にしたがって、逆ノゼ変換を実行する(ステップS112)。
【0070】
[逆ノゼ変換処理(その1)]
図6を用いて逆ノゼ変換処理を説明する。受信者端末装置3が受信した第一秘密鍵を含む情報には、m桁目にノゼ変換を実施したことがわかる情報が含まれ得る。そこで、
図6(C)に示すm桁目の「0」に対して逆ノゼ変換を行う。すなわち、0=-0=0/0となる。ここでm桁目及びm+1桁目が「0」であったことがわかるようになる。
【0071】
そこで、m+1桁目に「0」を挿入し、桁数を増やす処理を実行する。復号化処理は、暗号化処理の逆の順番に実行することで、平文データを取得できる。
【0072】
[逆ノゼ変換処理(その2)]
次に、
図7を用いて逆ノゼ変換処理を説明する。受信者端末装置3が受信した第一秘密鍵を含む情報には、「-1」を配置した桁数が含まれ得る。そこで、
図7(D)に示す3桁目の「-1」に対して逆ノゼ変換を行う。すなわち、-1=「ノゼ」/「ノゼ」となる。ここで3桁目及び5桁目が「ノゼ」、4桁目が「÷」であったことがわかるようになる。
【0073】
そこで、3桁目及び5桁目に「ノゼ」を、4桁目に「÷」を挿入し、桁数を増やす処理を実行する。さらに、
図7(A)に示す換字対応表を参照しつつ、換字前の文字に変換する処理を行う。復号化処理は、すなわち、暗号化処理の逆の順番に実行することで、平文データを取得できる。
【0074】
第一の実施の形態において、ノゼ変換を実行する回数を送信者が指定できるように設計してもよい。
【0075】
第一の実施の形態において、実行するノゼ変換の方法は、予め送信者と受信者との間で取り決めておいてもよく、秘密鍵を含む情報に変換方法を含めていてもよい。
【0076】
第一の実施の形態の一側面として、新たな情報伝達方法を提供することができる。
【0077】
第一の実施の形態において、「送信者端末装置」及び/又は「受信者端末装置」とは、例えば、ウェアラブル型端末、デスクトップ型又はノート型パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、又は、PDA等をいい、表示画面にタッチパネルセンサを備えるスマートフォン等の携帯型端末であってもよい。「異なる経路で送信する」とは、例えば、一方がメールを使用して、他方が郵送あるいはFAXを使用して送信するように、送信手段が異なることをいう。「ノゼ」は、例えば、実数以外の数(虚偏数)を示す記号をいい、発明者が独自に考案した記号である。
【0078】
[第二の実施の形態]
次に、本発明の第二の実施の形態の概要について説明をする。以下では、送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いた情報伝達方法であって、秘密鍵を2つ用いる方法を例示して説明する。
【0079】
本発明の第二の実施の形態では、2つの暗号化を組み合わせた態様、すなわち、発明者が考案したノゼ変換と、公開鍵暗号方式(具体的にはRSA暗号)とを組み合わせた例を用いて説明する。本発明の第二の実施の形態における情報伝達システムの構成は、
図1に示したシステムの構成を必要な範囲で採用できる。
【0080】
[システム概要]
図9は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達システムの概要を示す図である。送信者と受信者との間で通信を行う情報伝達システムを前提とする。
【0081】
情報伝達システム4は、公開鍵暗号方式を利用するために、受信者の公開鍵及び該公開鍵に対応する秘密鍵(以下、第二秘密鍵という)を生成又は取得し、保持するものとする。第二秘密鍵は、受信者端末装置3内に秘密に管理され、あるいは、受信者が紙等に印刷することで秘密に管理されるものとし、他者には公開されない。公開鍵は、送信者端末装置1から取得可能に配置されていればよい。
【0082】
続いて、
図9の処理の流れについて説明する。送信者が所有する平文データを、受信者の公開鍵で暗号化し、第二暗号データを生成する。
【0083】
次に、生成した第二暗号データを、ノゼを含む秘密鍵で暗号化し、第三暗号データを生成する。ノゼは、実数以外の数(虚偏数ともいう)であり、上述した数式(1)を満たすように定義される。
【0084】
次に、前記第三暗号データ及び前記ノゼを含む秘密鍵を含む情報を受信者に送信する。ここで、第三暗号データとノゼを含む秘密鍵を含む情報とは、異なる経路で送信することが好ましい。
【0085】
受信者は、前記第三暗号データ及び前記ノゼを含む秘密鍵を含む情報を受信する。次に、前記第三暗号データに対して、前記ノゼを含む秘密鍵を用いて復号し、前記第二暗号データを取得する。
【0086】
次に、前記第二暗号データに対して、公開鍵に対応する第二秘密鍵を用いて復号し、受信者は平文データを取得する。
【0087】
[機能説明]
図10は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達システムの機能を示すブロック図である。情報伝達システム4は、平文入力受付機能201、第二暗号生成機能202、第三暗号生成機能203、暗号化有無判定機能204、第一送信機能205、第二送信機能206、第一受信機能207、第二受信機能208、第二復号機能209、及び第三復号機能210を備え得る。
【0088】
平文入力受付機能201は、送信者端末装置1が送信者による平文データの入力を受け付ける機能を有する。第二暗号生成機能202は、情報伝達システム4が受信者の公開鍵を用いて前記平文データを暗号化して第二暗号データを生成する機能を有する。
【0089】
第三暗号生成機能203は、情報伝達システム4が第一秘密鍵を用いて、第二暗号生成機能202により生成された第二暗号データを暗号化して第三暗号データを生成する機能を有する。
【0090】
暗号化有無判定機能204は、情報伝達システム4が第三暗号生成機能203により暗号を生成したか否かを判定する機能を有する。第一送信機能205は、情報伝達システム4が第三暗号データを受信者に送信する機能を有する。第二送信機能206は、情報伝達システム4が第一秘密鍵を含む情報を受信者に送信する機能を有する。
【0091】
第一受信機能207は、第三暗号データを受信する機能を有する。第二受信機能208は、第一秘密鍵を含む情報を受信する機能を有する。
【0092】
第二復号機能209は、第二受信機能208により受信した第一秘密鍵を含む情報を用いて、第一受信機能207により受信した第三暗号データを復号する機能を有する。第三復号機能210は、前記公開鍵に対応する第二秘密鍵を用いて、第二復号機能209により復号した第二暗号データを復号する機能を有する。
【0093】
第二暗号生成機能202、第三暗号生成機能203、暗号化有無判定機能204、第一送信機能205、及び第二送信機能206は、送信者端末装置1が備えてもよく、他のサーバ装置等により提供されるサービスを利用しても良い。第一受信機能207、第二受信機能208、第二復号機能209、及び第三復号機能210は、受信者端末装置3が備えてもよく、他のサーバ装置等により提供されるサービスを利用しても良い。
【0094】
第三暗号生成機能203は、指定受付機能211、暗号化可否判定機能212、ノゼ変換機能213、及び情報出力機能214を備え得る。
【0095】
指定受付機能211は、送信者又は情報伝達システム4から、暗号化する桁に関する指定を受け付ける機能を有する。暗号化可否判定機能212は、指定受付機能211により受け付けた桁に対応する情報を用いて暗号化の可否を判定する機能を有する。
【0096】
ノゼ変換機能213は、指定受付機能211により指定された桁数に対応する数値に関して、ノゼ変換を行う機能を有する。ノゼ変換については後述する。情報出力機能214は、暗号化した桁数に関する情報を出力する機能を有する。
【0097】
第二復号機能209は、情報読込機能221、及び逆ノゼ変換機能222を備え得る。情報読込機能221は、暗号化した桁数に関する情報を読み込む機能を有する。逆ノゼ変換機能222は、情報読込機能221により読み込んだ情報を用いて、暗号データに対して逆ノゼ変換を行う機能を有する。逆ノゼ変換については、第一の実施の形態における逆ノゼ変換に関する説明、
図6、及び
図7に記載の内容を必要な範囲で採用することができる。
【0098】
[情報伝達処理]
図11は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、情報伝達処理に関するフローチャートである。
【0099】
送信者端末装置1は、送信者から平文の入力を受け付ける(ステップS11)。次に、送信者端末装置1は、受信者の公開鍵を用いて、ステップS11において受け付けた平文データを暗号化して第二暗号データを生成する(ステップS12)。
【0100】
公開鍵を用いた公開鍵暗号化方式は、例えばRSA暗号を使用することができる。RSA暗号は、桁数が大きい合成数の素因数分解が現実的な時間内で困難であることを安全性の根拠とした公開鍵暗号であり、既知の技術であるためここでは説明を省略する。
【0101】
次に、送信者端末装置1は、第一秘密鍵を用いて第二暗号データをさらに暗号化して第三暗号データの生成処理を実行する(ステップS13)。
【0102】
[第三暗号生成処理]
図12は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、第三暗号生成処理に関するフローチャートである。送信者端末装置1は、暗号化する桁数の指定を受け付ける(ステップS201)。指定する主体は、送信者であってもよいし、送信者端末装置1がランダムな数値を選定し、桁数の指定としてもよい。
【0103】
次に、送信者端末装置1は、指定された桁に対応する数値及びその後に続く数値を用いて、ノゼ変換の実行可否を判定する(ステップS202)。
【0104】
送信者端末装置1がノゼ変換を実行可能と判定した場合(ステップS202においてYES)には、指定された桁数に対してノゼ変換を実行する(ステップS203)。送信者端末装置1がノゼ変換を実行不可と判定した場合(ステップS202においてNO)には、ステップS201において指定された桁数における暗号化処理をスキップする。
【0105】
図13は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ノゼ変換を説明する図である。
図13(A)は、公開鍵暗号方式により暗号化された数値であり、桁数nからn+4までの数列がある。このとき、n+3桁目に対してノゼ変換を実行する場合について説明する。
【0106】
n+3桁目は「0」で、n+4桁目は「0」である。
図13(B)に示すように、指定されたn+3桁目の数値を分子に、その後に続くn+4桁目の数値を分母に配置し、上述した数式(1)に当てはめると、0/0=-0=0となる。
【0107】
図13(C)に示すように、ノゼ変換を実行後に0となった場合には、n+3桁目とn+4桁目の「0」を、n+3桁目の「0」に統合する。すなわち、桁数を1減じる。n+4桁目には、
図13(A)においてn+5桁目に存在していた数値が繰り上がって配置される。
【0108】
ノゼ変換が実行できない場合もある。例えば、
図13(A)でn桁目にノゼ変換を実施した場合には、分子が「1」、分母が「0」となり、数式(1)には当てはめられない。このような場合には、ノゼ変換不可とし、桁数を減じることなくノゼ変換処理を終了する。
【0109】
ノゼ変換は、一例として0/0となる場合、すなわち、0が連続した場合にのみ結果が0となる。結果が0となった場合に、桁数を減じる。
【0110】
ノゼ変換を実行する前に、第二暗号データを予めp進数(pは自然数、以下同じ)に変換しておき、p進数の桁数を指定するように設計してもよい。特に、予め二進数に変換しておくことが好ましい。
【0111】
ノゼ変換については、第一の実施の形態において説明した、ノゼ変換(その2)に示す換字方式と組み合わせた方式を採用してもよい。
【0112】
図12のフローチャートに戻る。送信者端末装置1は、情報を出力する(ステップS204)。出力する情報には、ステップS201にて指定された桁数の情報を含む。
【0113】
ステップS204において出力される情報は、ノゼ変換された順番がわかるように記録されることが好ましい。ノゼ変換された順番がわかることで、暗号データを復号可能となる。
【0114】
送信者からノゼ変換を実行する桁数の指定の受付が完了するまで、ステップS201からステップS204の処理を繰り返し実行する。指定が完了すると、第三暗号生成処理は完了する。
【0115】
第三暗号生成処理は、送信者端末装置1にて実行されるように記載したが、これに限定されない。すなわち、情報伝達システム4を構成するいずれかの装置で実行されればよく、クラウドサービスを利用するように構成されていてもよい。
【0116】
ステップS201の桁数の指定は、送信者からの指示により指定を受け付けるように記載したが、これに限定されない。例えば、送信者端末装置1又は情報伝達システム4が所定のプログラムを実行することで、桁数を自動で指定するように構成してもよい。
【0117】
図11のフローチャートに戻る。送信者端末装置1は、ステップS13において第三暗号生成機能203により暗号を生成したか否かを判定する(ステップS14)。第三暗号が生成されたか否かの判定には、例えば、ステップS204において情報が出力されたか否かで判定してもよい。
【0118】
第三暗号が生成されたと判定した場合(ステップS14においてYES)には、送信者端末装置1は、生成された第三暗号データを受信者端末装置3に送信する(ステップS15)。受信者端末装置3は、送信された第三暗号データを受信する(ステップS16)。
【0119】
第三暗号が生成されなかったと判定した場合(ステップS14においてNO)には、一例として、送信者端末装置1は、エラーを出力したうえで、ステップS11に戻り、平文の入力を受け付けてもよい。暗号化されずに送信されるというセキュリティレベルを下げる事象を予防するためである。
【0120】
次に、送信者端末装置1は、第一秘密鍵を含む情報を受信者端末装置3に送信する(ステップS17)。第一秘密鍵を含む情報とは、例えば、ノゼに関する数式(1)の情報、及び、第三暗号生成処理において出力された、ノゼ変換が実行された桁数に関する情報を含むものであり得る。
【0121】
受信者端末装置3は、送信された第一秘密鍵を含む情報を受信する(ステップS18)。ステップS15における第一送信と、ステップS17における第二送信は、異なる経路で送信することが好ましい。
【0122】
次に、受信者端末装置3は、ステップS18において受信した第一秘密鍵を含む情報を用いて、ステップS16において受信した第三暗号データを復号して第二暗号データを取得する(ステップS19、第二復号処理)。第二復号処理は、第一の実施の形態における第一復号処理の記載及び
図8に記載された内容を必要な範囲で採用することができる。逆ノゼ変換処理は、第一の実施の形態における逆ノゼ変換処理の記載内容を必要な範囲で採用することができる。
【0123】
次に、受信者端末装置3は、前記公開鍵に対応する第二秘密鍵を用いて、ステップS19において復号した第二暗号データを復号して平文データを取得し(ステップS20、第三復号処理)、終了する。
【0124】
第二の実施の形態において、ノゼ変換を実行する回数を送信者が指定できるように設計してもよい。
【0125】
第二の実施の形態において、実行するノゼ変換の方法は、予め送信者と受信者との間で取り決めておいてもよく、秘密鍵を含む情報に変換方法を含めていてもよい。
【0126】
第二の実施の形態の一側面として、新たな情報伝達方法を提供することができる。
【0127】
第二の実施の形態において、「送信者端末装置」、「受信者端末装置」、「異なる経路で送信する」、及び「ノゼ」は、第一の実施の形態におけるそれぞれの記載を必要な範囲で採用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 :送信者端末装置
2 :通信ネットワーク
3 :受信者端末装置
4 :情報伝達システム
【手続補正書】
【提出日】2023-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達方法であって、
送信者
端末装置が、第一秘密鍵を用いて平文データを暗号化して第一暗号データを生成するステップと、
送信者
端末装置が前記第一暗号データを受信者
端末装置に送信する第一送信ステップと、
送信者
端末装置が前記第一秘密鍵を含む情報を受信者
端末装置に送信する第二送信ステップと、
受信者
端末装置が前記第一暗号データを受信する第一受信ステップと、
受信者
端末装置が前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信ステップと、
受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて
、受信者端末装置が前記第一暗号データを復号し、前記平文データを取得するステップと
を有し、
前記第一暗号データを生成するステップにおいて前記平文データの桁数を減少させ
、
前記第一暗号データを生成するステップにおいて、
という数式を用いる、情報伝達方法。
【請求項2】
送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達方法であって、
受信者端末装置において受信者の第二秘密鍵を作成するステップと、
受信者端末装置において、作成した第二秘密鍵に対応する受信者の公開鍵を作成するステップと、
送信者端末装置が受信者の公開鍵を取得するステップと、
取得した公開鍵を用いて
、送信者端末装置が平文データを暗号化して第二暗号データを生成するステップと、
送信者
端末装置が第一秘密鍵を用いて第二暗号データを暗号化して第三暗号データを生成するステップと、
送信者
端末装置が第三暗号データを受信者
端末装置に送信する第一送信ステップと、
送信者
端末装置が前記第一秘密鍵を含む情報を受信者
端末装置に送信する第二送信ステップと、
受信者
端末装置が前記第三暗号データを受信する第一受信ステップと、
受信者
端末装置が前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信ステップと、
受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて
、受信者端末装置が前記第三暗号データを復号し、前記第二暗号データを取得する第二復号ステップと、
前記公開鍵に対応する第二秘密鍵を用いて、
受信者端末装置が前記第二暗号データを復号し、前記平文データを取得する第三復号ステップと
を有し、
前記第三暗号データを生成するステップにおいて前記第二暗号データの桁数を減少させ
、
前記第三暗号データを生成するステップにおいて、
という数式を用いる、情報伝達方法。
【請求項3】
前記第一送信ステップと前記第二送信ステップとは、異なる経路で送信する、請求項1又は2に記載の情報伝達方法。
【請求項4】
第一暗号データを生成するステップにおいて、第一秘密鍵を用いた平文の暗号化の可否を判断するステップ
をさらに有し、
前記平文の暗号化が可能な場合に第一暗号データを生成する、請求項1に記載の情報伝達方法。
【請求項5】
第三暗号データを生成するステップにおいて、第一秘密鍵を用いた第二暗号データの暗号化の可否を判断するステップ
をさらに有し、
前記第二暗号データの暗号化が可能な場合に第三暗号データを生成する、請求項2に記載の情報伝達方法。
【請求項6】
情報伝達方法がさらに、第一暗号データの生成後又は第三暗号データの生成後に、暗号データを生成したか否かを送信者端末装置が判定するステップを有する、請求項1又は2に記載の情報伝達方法。
【請求項7】
送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達システムであって、
情報伝達システムが、
送信者端末装置が第一秘密鍵を用いて平文データを暗号化して第一暗号データを生成する第一暗号生成手段と、
送信者端末装置が前記第一暗号データを受信者
端末装置に送信する第一送信手段と、
送信者端末装置が前記第一秘密鍵を含む情報を受信者
端末装置に送信する第二送信手段と、
受信者端末装置が前記第一暗号データを受信する第一受信手段と、
受信者端末装置が前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信手段と、
受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて
、受信者端末装置が前記第一暗号データを復号し、平文データを取得する第一復号手段と
を備え、
前記第一暗号生成手段が、前記平文データの桁数を減少させて第一暗号データを生成
し、
前記第一暗号生成手段が、
という数式を用いて第一暗号データを生成する、情報伝達システム。
【請求項8】
送信者の送信者端末装置及び受信者の受信者端末装置を用いる情報伝達システムであって、
情報伝達システムが、
受信者端末装置が受信者の第二秘密鍵を生成する第二秘密鍵生成手段と、
受信者端末装置が、作成した第二秘密鍵に対応する受信者の公開鍵を作成する公開鍵作成手段と、
送信者端末装置が受信者の公開鍵を取得する公開鍵取得手段と、
取得した公開鍵を用いて
、送信者端末装置が平文データを暗号化して第二暗号データを生成する第二暗号生成手段と、
送信者端末装置が第一秘密鍵を用いて第二暗号データを暗号化して第三暗号データを生成する第三暗号生成手段と、
送信者端末装置が第三暗号データを受信者
端末装置に送信する第一送信手段と、
送信者端末装置が前記第一秘密鍵を含む情報を受信者
端末装置に送信する第二送信手段と、
受信者端末装置が前記第三暗号データを受信する第一受信手段と、
受信者端末装置が前記第一秘密鍵を含む情報を受信する第二受信手段と、
受信した前記第一秘密鍵を含む情報を用いて
、受信者端末装置が前記第三暗号データを復号し、前記第二暗号データを取得する第二復号手段と、
前記公開鍵に対応する第二秘密鍵を用いて
、受信者端末装置が前記第二暗号データを復号し、前記平文データを取得する第三復号手段と
を備え、
前記第三暗号生成手段が、前記第二暗号データの桁数を減少させて第三暗号データを生成
し、
前記第三暗号生成手段が、
という数式を用いて第三暗号データを生成する、情報伝達システム。