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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006603
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】仮想通貨のマイニングシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240110BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20240110BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q20/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107661
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】520466272
【氏名又は名称】合同会社エリサ
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】石川 せいや
(72)【発明者】
【氏名】若林 秀一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L055AA12
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、安価な電力を用いて、ローコストなマイニングシステムを提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、電力を蓄電及び放電する蓄電池を有する無停電電源装置と、前記蓄電池から放電された放電電力を用いて仮想通貨をマイニングする仮想通貨マイニングマシンと、を備えたマイニングシステムを提供する。
このマイニングシステムによれば、安価な電力を用いて、ローコストなマイニングシステムを提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想通貨のマイニングシステムであって、
電力を蓄電及び放電する蓄電池を有する無停電電源装置と、
前記蓄電池から放電された放電電力を用いて仮想通貨をマイニングする仮想通貨マイニングマシンと、
を備えたことを特徴とする、仮想通貨のマイニングシステム。
【請求項2】
前記マイニングマシンの作業に関する環境因子を検知する検知部と、
前記マイニングマシンの作業を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記環境因子のデータに基づいて前記マイニングマシンの作業を最適化することを特徴とする、請求項1に記載のマイニングシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想通貨のマイニングシステムに関する。より詳しくは、無停電電源装置の有する蓄電池から放電された電力を用いた仮想通貨のマイニングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、硬貨や紙幣などの現実の貨幣による物品の取引だけでなく、電子マネー等の仮想通貨を用いた商取引が行われている。なかでも、ビットコイン(登録商標)と呼ばれている仮想通貨(暗号資産)を用いた取引が盛んに行われている。
ビットコイン等による仮想通貨取引では、ブロックチェーンと呼ばれる技術が使用されており、その取引においては、ハッシュ関数と公開鍵暗号方法とを用いて取引データの安全性を担保している。上記を用いた取引はトランザクションと呼ばれ、ビットコインを利用する全端末にブロードキャストで配信される。
配信されたトランザクションは、マイナー(採掘者)と呼ばれる端末ソフトウェアがマイニング(採掘)と呼ばれる計算処理を行うことにより検証され、取引の安全性が確保されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、マイニングを行ったマイナーには、行った処理に応じて採掘手数料が与えられるが、このマイニングを効果的に行うためには膨大な計算量が必要なため(例えば特許文献2参照)、それに係る端末は大量に電力を消費するといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5858507号公報
【特許文献2】特許第6345871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、仮想通貨の取引は時価取引であり、マイニングによって得られた利益が使用した電力量の料金(電気料金)より安い場合、いわゆるコスト割れといった現象が起こるという問題がある。
そこで本発明の課題は、安価な電力を用いて、ローコストなマイニングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは、無停電電源装置に内蔵された蓄電池の、劣化状況等を診断する際に蓄電池内の電力を無停電電源装置の外部に放電することに着目し、該放電電力をマイニングに利用することにより、ローコストでマイニングが可能であるマイニングシステムを完成させた。
すなわち本発明は、以下のマイニングシステムである。
【0007】
上記課題を解決するための本発明のマイニングシステムは、仮想通貨のマイニングシステムであって、電力を蓄電及び放電する蓄電池を有する無停電電源装置と、前記蓄電池から放電された放電電力を用いて仮想通貨をマイニングする仮想通貨マイニングマシンと、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
このマイニングシステムによれば、無停電電源装置に内蔵された蓄電池の劣化状況の診断等により発生する放電電力をマイニングマシンに供給することで、安価な電力で仮想通貨のマイニングを行うことができる。
【0009】
また、本発明のマイニングシステムの一実施態様としては、マイニングマシンの作業に関する環境因子を検知する検知部と、前記マイニングマシンの作業を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記環境因子のデータに基づいて前記マイニングマシンの作業を最適化することを特徴とするものである。
【0010】
この特徴によれば、マイニングマシンや蓄電池の発熱量、仮想通貨の為替レート、気温などの環境因子を検知し、その情報をもとに、制御部がマイニングマシンの作業を制御するため、環境因子に応じてマイニングマシンの作業を最適に管理することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマイニングシステムによれば、無停電電源装置より発生する放電電力をマイニングマシンに供給することで、ローコストで安定したマイニングを可能にするという仮想通貨のマイニングシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施態様のマイニングシステムの構成を表す概略説明図である。
図2】本発明の第2の実施態様のマイニングシステムの構成を表す概略説明図である。
図3】本発明の第3の実施態様のマイニングシステムの構成を表す概略説明図である。
図4】本発明の第4の実施態様のマイニングシステムの構成を表す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る好適な実施態様について、添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、実施態様に記載するマイニングシステムについては、本発明に係るマイニングシステムを説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0014】
本発明のマイニングシステムは、仮想通貨のマイニングシステムであって、電力を蓄電及び放電する蓄電池を有する無停電電源装置と、前記蓄電池から放電された放電電力を用いて仮想通貨をマイニングする仮想通貨マイニングマシンと、を備えたことを特徴とするものである。対象となる仮想通貨は特に限定されないが、例えば、ビットコイン、リップル、イーサリアム等が挙げられる。
【0015】
(仮想通貨)
仮想通貨とは、特定の国家による価値の保証のない通貨であって、主にインターネット上で「お金」のように取引されているものである。仮想通貨は一部の商品やサービスの決済に利用できるが、紙幣や硬貨のような目に見える形では存在せず、電子データとして存在する。このように、仮想通貨は実体のない電子データとして存在していることから、仮想通貨は「デジタル通貨」、「暗号通貨」とよばれることもある。
そのような性格上、仮想通貨は不正防止のために暗号技術を用い、ネット上の複数のコンピュータで記録を共有及び相互監視する管理、いわゆる「ブロックチェーン」で管理されている。
【0016】
(マイニング)
マイニングとは、仮想通貨の取引に必要な承認作業のことである。仮想通貨は銀行のような取引を確認する機関をもたず、その取引は多数のコンピュータが膨大な計算式を解いて承認作業を行うことにより成り立っている。そのため、多数のユーザーがコンピュータを用いて承認作業に協力することが必要であり、承認作業に協力したユーザーは、新規発行された仮想通貨を報酬として得る仕組みが存在する。
【0017】
〔第1の実施態様〕
(無停電電源装置の放電を利用したマイニングシステム)
図1は、第1の実施態様のマイニングシステム100の構成を表す概略説明図である。
本実施態様におけるマイニングシステム100は、図1に示すように、無停電電源装置Cとマイニングマシン2を備えている。また、無停電電源装置Cは、電源Aと負荷装置Bに接続され、電源Aから電力を充電し、停電時等に負荷装置Bに電力を供給するものである。なお、図1中の破線の矢印は、入出力可能又は制御可能に情報の送受信ができるように接続されていることを表し、実線の矢印は電気ケーブル等で電力の受け渡しが可能に接続されていることを表す。
【0018】
(電源A)
電源Aは、負荷装置Bや無停電電源装置Cに外部からの電力の供給を行うものである。
電源Aは、負荷装置B及び無停電電源装置Cに電力を供給するものであればよく、その規模や形態等は特に限定されない。例えば、一般的な家庭用電源や発動機によって発電する発電機でもよい、さらに供給する電流の種類も直流電源や交流電源のどちらでもかまわない。
【0019】
(負荷装置B)
負荷装置Bは、電源A又は無停電から電力の供給をうけて動作する電気機器である。
負荷装置Bは電力の供給により稼働する電気機器であれば特に限定されない。一般的には、停止することの許されない携帯電話の基地局のコンピュータや、マンション等の建物に設置されたエレベーターなどである。
【0020】
(無停電電源装置C)
無停電電源装置Cは、電源Aに接続され、災害時等予期せぬ停電時に内蔵された蓄電池により電力の供給を行い、PC等の負荷装置Bがシャットダウンすることを防ぐために設置されている。無停電電源装置Cは、電源Aと負荷装置Bに接続されていれば、形態や規模は特に限定されない。たとえば、携帯電話の基地局のコンピュータなどに使用される大規模なものから、マンション等の建物に設置されたエレベーターに使用されるものなど比較的小規模なものなどがあげられる。
【0021】
本実施態様における無停電電源装置Cは、電力を貯蓄し必要に応じて電力を供給する蓄電池1、蓄電池1の電力をマイニングマシン2へ供給する放電部3、放電部3のからの情報を元に蓄電池1の劣化状況等を診断する診断部4、蓄電池1の蓄電量等を測定する蓄電池測定部5、電源Aの電圧等を測定する電源測定部6、電源Aの電力を蓄電池1へ供給する給電部7、蓄電池1の電力を負荷装置Bへ供給する送電部8を備えている。さらに、無停電電源装置Cは、無停電電源装置制御部(以下UPS制御部と呼称)9を備えており、UPS制御部9は、無停電電源装置内の各構成の間における電流の供給、停止等の制御を行うものである。
【0022】
UPS制御部9の行う制御としては、給電部7、送電部8及び放電部3を通過する電流量の増減を制御するものである。なお、電流の通過を開始又は停止するオンオフ制御でもよい。給電部7、送電部8及び放電部3における制御は、状況に応じて適宜設定されるものであり、例えば、蓄電池1に蓄電することが必要な場合には、給電部7を介して電源Aからの電力を蓄電池1へ給電するという制御を行い、電源Aが停止した場合には、送電部8を介して蓄電池1の電力を負荷装置Bへ送るという制御を行い、蓄電池1の診断等を行う場合には、診断用の電力を蓄電池1から放電部3を介してマイニングマシン2に放電するという制御を行う。
【0023】
蓄電池1は電力を貯蓄しており、電源Aが災害時等予期せぬ停電や規定電圧の低下などが生じた場合に負荷装置Bに電力を供給するものである。
蓄電池1は、電力を蓄えることのできる二次電池であればよく、形態や種類については特に限定されず、例えばNi-MH電池やLiイオン電池、鉛蓄電池等が挙げられる。
【0024】
蓄電池1は、設置期間や使用頻度に応じて性能が劣化するものである。そのため、使用時に規定の性能を発揮しうるか、常時又は定期的に劣化状況等を診断する必要がある。この劣化状況等の診断方法としては、例えば、蓄電池1に蓄電された電力を一定量放電し、その放電電力の電圧又は電流を測定することにより蓄電池1が規定の性能を有するかを診断する方法がある。そして、この診断で生じる放電電力は、負荷装置Bに利用するものではなく、後述する放電部3を介してマイニングマシン2に供給されるものである。
【0025】
また、蓄電池1は、単数又は複数個の電池セルにより構成され、複数個の電池セルを有する場合には、各電池セルは直列及び/又は並列に接続する。本発明において、蓄電池1は、複数個の電池セルを備え、並列に接続することが好ましい。複数個の電池セルを並列に接続することにより、蓄電池1全体としては常時放電可能な状態としつつ、各電池セルを順次診断することが可能となる。そうすると、診断時に放電される放電電力が常時発生するため、後述するマイニングマシン2に安定して電力を供給することができるという効果を奏する。
【0026】
放電部3は、蓄電池1に蓄えられた電力の放電を行い、放電で発生する電力をマイニングマシン2へと送るものである。放電部3は、蓄電池1の蓄電された電力を放電することができれば、形態や種類においては特に限定されない。例えば電流をオンオフ制御するスイッチのようなものでもよく、放電量を段階又は無段階にボリューム調整制御するものでもよい。
【0027】
放電部3で放電される放電電力としては、蓄電池1から放電される電力であればよく、上記蓄電池1の劣化状況等を診断する際に生じるものに限定されない。例えば、蓄電池1がNi-MH電池の場合には、完全に蓄電された電力を使い切っていないうちに充電する、いわゆる継ぎ足し充電を行うと、継ぎ足し充電を開始した付近で顕著に起電力の低下が生じる。そのため、Ni-MH電池に充電する時には、あらかじめ蓄電池1に蓄電された電力を全て放電し、空にしておく必要がある。また、蓄電池1がLiイオン電池である場合には、蓄電容量が一杯となるまで蓄電された状態が続くと蓄電容量の低下などの劣化が生じるため、定期的な放電が必要となる。本発明のマイニングシステム100は、このようなNi-MH電池やLiイオン電池を使用した場合における放電電力をマイニングマシン2へ供給してもよい。
【0028】
診断部4は、蓄電池1の劣化状況等の診断を行うものである。劣化状況等の診断とは、蓄電池1に劣化等があるか、若しくは蓄電池1が規定の性能を備えているかを診断することである。診断部4は放電部3と接続され、放電部3で行った放電を基に、蓄電池1の劣化状況等の診断を行う。
【0029】
劣化状況等の診断方法としては、例えば、蓄電池1に蓄えられた電力を放電部3から一定量放電することで、蓄電池1の端子電圧(二次電池の端子間に現れる電圧)を測定し、その結果を基に蓄電池1の劣化状況等を診断するハーフサイクル診断法が知られている。
診断部4は、放電部3と接続され、放電部3で行った放電を基に、蓄電池1の劣化状況等の診断を行うことができれば、種類や形態を問わず、例えば、放電部3で行った放電の電流値、電圧などを測定する計測器のようなもの等が挙げられる。また、計測器の測定結果を基に蓄電池1が継続使用可能か判断するコンピュータを備えていてもよい。
【0030】
蓄電池測定部5は、蓄電池1の蓄電量が使用時に必要な規定量を満たしているかを確認するため測定を行うものである。蓄電池測定部5は、蓄電池1の蓄電量を測定することができれば、種類や形態は問わない。例えば、蓄電量の測定では、アナログ式の抵抗器を用いたバッテリーテスターや、デジタル式の抵抗器を用いたバッテリーテスターが挙げられる。
蓄電池測定部5は、蓄電池1に接続され、蓄電池1の蓄電量を測定した結果をUPS制御部9へ送る。そして、UPS制御部9は上記結果を基に、蓄電池1を充電又は放電するための指示を各部へ送る。
【0031】
電源測定部6は、電源Aが正常に機能しているかを確認するため、電源Aの電圧や電流等を測定するものである。電源測定部6は、電源Aの電力を測定することができれば、種類や形態を問わない例えば、蓄電量の測定では、アナログ式の抵抗器を用いたバッテリーテスターや、デジタル式の抗器を用いたバッテリーテスターが挙げられる。
電源測定部6は電源Aに接続され、電源Aの電力、例えば電圧や電流等を測定し結果をUPS制御部9へ送る。そして、UPS制御部9は上記結果を基に、蓄電池1に蓄電された電力を負荷装置Bに供給する等の指示を各部へ送る。
【0032】
給電部7は、蓄電池1に電力を送り、蓄電池1に給電を行うものである。給電部7は、電源Aの電力を蓄電池1に送ることができれば、形態や種類においては特に限定されない。例えば電流をオンオフ制御するスイッチのようなものでもよく、給電量を段階又は無段階にボリューム調整制御するものでもよい。
【0033】
図1に表すように給電部7は、電源Aと蓄電池1に接続されており、蓄電池1に充電が必要になった場合に、電源Aの電力を蓄電池1へ給電する。また、給電部7はUPS制御部9とも接続されており、蓄電池1の蓄電量が規定値を下回る場合にUPS制御部9から電源Aの電力を蓄電池1へ給電する指示を受け取る。なお、UPS制御部9との接続は電線等により直接結線されていてもよいし、電波等による無線での接続であってもよい。
蓄電池1は、放電部3による蓄電池1の劣化状況等の診断のための放電等による電力の消費以外にも以下の理由で給電を行う場合がある。
蓄電池1は蓄電された電力を、特に使用することがなくても自然放電によって電力を常に消費しているため、定期的な給電が必要である。
また、蓄電池1が鉛蓄電池である場合、蓄電量が少ない状態で放置すると、サルフェーションと呼ばれる現象によって性能が著しく低下し、最悪の場合は使用不能の状態になる場合がある。そこで、絶えず微小電流により充電する、いわゆるトリクル充電のため、常時給電を行うこともある。
【0034】
送電部8は、蓄電池1の電力を負荷装置Bへ送電するものである。例えば、電源Aが予期せぬ停電や電圧降下等により、規定の電力を発生させることができなくなった場合に、UPS制御部9からの指示により蓄電池に蓄えられた電力を負荷装置Bに送電するものである。
送電部8は、蓄電池1の電力を負荷装置に送ることができれば、形態や種類においては特に限定されない。例えば電流をオンオフ制御するスイッチのようなものでもよく、放電量を段階又は無段階にボリューム調整制御するものでもよい。
【0035】
図1に表すように送電部8は、蓄電池1と負荷装置Bに接続されており、蓄電池1に蓄電された電力を負荷装置Bへ送電する。また、送電部8はUPS制御部9とも接続されており、電源Aが停電等した場合に負荷装置Bへ送電する指示を受け取る。なお、UPS制御部9との接続は電線等により直接結線されていてもよいし、電波等による無線での接続であってもよい。
【0036】
UPS制御部9は、無停電電源装置C内の電力の移動を制御するものである。例えば、制御として、以下の制御がある。
<蓄電池1の蓄電量の制御>
常時又は定期的に蓄電池測定部5から蓄電池1の蓄電量に関する情報がUPS制御部9へ送られており、その結果、UPS制御部9は、蓄電池1の蓄電量が規定量を下回る場合は、給電部7に電源Aの電力を蓄電池1へ給電する指示を送る。それと並行して放電部3に蓄電池1の放電を停止又は減少する指示を送る。これにより、蓄電池1の蓄電量を規定量まで回復することができる。
<蓄電池1を診断する場合の制御>
蓄電池1の蓄電量が規定量以上の場合であって、蓄電池1の劣化状況等を診断する場合は、放電部3へ蓄電池1の電力を放電する指示を送る。これにより、放電部3で行った放電の結果を基に、診断部4で蓄電池1の劣化状況等を診断することができる。
<電源Aが停電等した場合の制御>
常時、電源測定部6から電圧電流等の電源Aの電力に関する情報がUPS制御部9へ送られており、その結果、電源Aが停電又は規定電力を下回る電力低下が認められる場合は、UPS制御部9は、送電部8に蓄電池1の電力を負荷装置Bへ送電する指示を送る。それと並行して、放電部3へ蓄電池1の放電を停止する指示をおくる。
これにより、負荷装置Bの稼働を停止させることなく、負荷装置Bの稼働を継続させる
ことができる。
【0037】
(マイニングマシン2)
本実施態様におけるマイニングマシン2は、放電部3からの電力により仮想通貨のマイニングを行うものである。
マイニングマシン2は、仮想通貨のマイニングに必要な計算を行うプログラムを動作させる機能を有するコンピュータであり、その種類や規模は特に限定されない。例えばパソコンのような小規模なものから、スーパーコンピュータのような大規模なものでもよい。また、コンピュータ単体でもよいし、複数のコンピュータを組み合わせた構成でもよい。
【0038】
図1に示すように、マイニングマシン2は、放電部3と接続されており、放電部3から送られる電力により稼働する。なお、特別に図示してはいないが、放電部3からの電力に加えて、電源Aや蓄電池1以外の蓄電池等から供給される電力で稼働してもよい。
【0039】
(マイニングシステム100の動作)
本実施態様のマイニングシステム100の動作について、例示して説明する。なお、この動作における説明については実施態様に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0040】
本実施態様のマイニングシステム100において、無停電電源装置C内の蓄電池1の劣化状況等を診断部4で診断するため、蓄電池1の電力を放電部3から放電する。
ここで、上記放電部3からの放電による電力を、放電部3と電気的に接続されたマイニングマシン2へと送り、マイニングマシン2を稼働させることにより仮想通貨のマイニングを行う。
これにより、従来、利用されることのなかった蓄電池の診断時の放電電力をマイニングマシンの稼働に使用することで、低コストでマイニングを行うことが可能となる。
【0041】
また、上記放電を行うことにより、蓄電池1の蓄電量が規定量を下回る時は、蓄電池1に接続された蓄電池測定部5がその情報をUPS制御部9へ送ることにより、UPS制御部9は、放電部3に放電量を減らす又は放電を止める指示を送る。そして、放電部3からの電力が減少又は停止するため、マイニングマシン2は稼働量を減少又は停止する。
また、上記に並行してUPS制御部9からの指示が給電部7へ送られ、電源Aと電気的に接続された給電部7は、蓄電池1へ電源Aの電力を給電し、蓄電池1を充電する。
これにより、蓄電池1は一定の蓄電量を保つことが可能となる。
【0042】
さらに、電源Aが何らかの理由で停電又は、電源Aの電力が一定の基準より低下した場合、電源Aと電気的に接続されている電源測定部6が、UPS制御部9へ電源Aの電力に関する情報を送り、UPS制御部9は送電部8へ蓄電池1の電力を負荷装置Bへ送るように指示し、これと並行して放電部3に放電量を減らす又は放電を止める指示を送る。
これにより、予期せぬ停電等の場合に、停止することの許されない負荷装置Bの稼働を維持することが可能となる。
【0043】
〔第2の実施態様〕
図2は、本発明の第2の実施態様のマイニングシステム101の構成を表す概略説明図である。
本発明の第2の実施態様のマイニングシステム101は、第1の実施態様のマイニングシステム100に、マイニングマシン2の制御を行うマイニングマシン制御部10を追加し、さらに仮想通貨のマイニングに最適な環境因子を検出し、その情報をマイニングマシン制御部10へ送る環境因子検出部11を備えた構成である。
ここで、マイニングマシン2には、マイニングマシン2の稼働を補助する蓄電池12を内蔵してもよい。
なお、第2の実施態様におけるマイニングシステム101の構成のうち、第1の実施態様のマイニングシステム100の構成と同じものについては、説明を省略する。
【0044】
第2の実施態様のマイニングシステム101によれば、環境因子検出部11により検出された環境因子情報により、マイニングマシン2の動作を管理することで、最適な仮想通貨のマイニングを行うことができる。
【0045】
(環境因子)
環境因子とは、マイニングのコストと仮想通貨の取引に関する因子である。マイニングのコストに関する環境因子としては、作業の効率化に関するものであり、例えば、マイニングマシン2の発熱量や、蓄電池1の発熱量等の機器に関する環境因子のほか、気温や湿度などの環境因子なども挙げられる。また、仮想通貨の取引に関する環境因子としては、仮想通貨の為替レートなどが挙げられる。最適な仮想通貨のマイニングに必要な仮想通貨の為替レートや気温、を指すものである。
【0046】
マイニングマシン制御部10は、マイニングマシン2を制御するものであり、好ましくは、環境因子のデータに基づいてマイニングマシン2の作業を最適化するものである。マイニングマシン2の制御は、特に限定されないが、例えば、環境因子検出部11の情報を基にマイニングマシン2の稼働量の変更又は動作の停止を行う制御などがある。具体例としては、以下の場合がある。
【0047】
<マイニングマシンの稼働を停止又は減少する場合の制御>
マイニングマシン制御部10が、環境因子検出部11から、仮想通貨の為替レートが低い状態である場合やマイニングマシン2の発熱量が規定の範囲を超えている場合などの環境因子の情報を受け取り、マイニングマシン2の稼働を停止又は減少するべきであると判断した場合、マイニングマシン2を停止する制御を行う。
なお、その場合、放電部3へマイニングマシン2に送る電力を、無停電電源装置Cの外へ放電するように指示を送るか、又は、蓄電池12に供給するように指示を送るとしてもよい。これにより、マイニングマシン2の動作を停止した場合であっても、放電部3からの放電電力を安全に装置外に排出できる。又は、蓄電池12を充電することができる。
【0048】
マイニングマシン制御部10は、環境因子検出部11からの情報を基に、マイニングマシン2を制御できればどのような種類や形態であってもよい。例えば、制御用のプログラム及び加熱したマイニングマシン2の冷却をおこなう冷却器を備えたサブコンピュータが考えられる。なお、マイニングマシン制御部10は、マイニングマシン2を制御するためマイニングマシン2の内部に設置しても、外部に設置してもよい。
【0049】
図2に表すように、第2の実施態様のマイニングシステム102では、マイニングマシン制御部10はマイニングマシン2内に設置されており、環境因子検出部11と情報の送受信を行えるように接続されている。加えて、放電部3および蓄電池12に接続されていてもよい。なお、マイニングマシン制御部10と環境因子検出部11との接続は、有線であっても、無線であってもよい。
【0050】
環境因子検出部11は、最適な仮想通貨のマイニングに必要な環境因子を検出するものである。環境因子検出部11は、マイニングマシン2の発熱量や気温、蓄電池1の発熱量並びに仮想通貨の為替レートなど、仮想通貨のマイニングに必要な情報を検出することが求められており、例えば、マイニングマシン2や蓄電池1の発熱量等を検知する温度計等がある。他には、インターネット等のネットワークに接続され、仮想通貨の為替レート等の情報により最適なマイニングのタイミングを検出するプログラムを備えたコンピュータなどがある。
【0051】
図2に表すように、環境因子検出部11はマイニングマシン制御部10に接続されており、マイニングマシン制御部10に最適なマイニングを行うために必要な情報を送る。なお、マイニングマシン制御部10との接続は電線等により直接結線されていてもよいし、電波等による無線での接続であってもよい。
【0052】
蓄電池12は、電力を貯蓄しており、マイニングマシン2に内蔵され、マイニングマシン2に適宜電力を供給するものである。蓄電池12は、電力を蓄えることのできる二次電池であればよく、形態や種類については特に限定されず、例えばNi-MH電池やLiイオン電池、鉛蓄電池等が挙げられる。
図3に示すように、蓄電池12はマイニングマシン2に内蔵されており、放電部3と接続され、放電部3より電力の供給を受ける。また、マイニングマシン制御部10と接続され、マイニングマシン制御部10からの指示により適宜、蓄電池12に蓄電された電力をマイニングマシン2へ供給する。
【0053】
〔第3の実施態様〕
図3は、本発明の第3の実施態様のマイニングシステムの構成を表す概略説明図である。第3の実施態様のマイニングシステム102は、本発明の第2の実施態様のマイニングシステム101のマイニングマシン2内に設置されたマイニングマシン制御部10と、無停電電源装置C内に設置されたUPS制御部9とを相互に情報の送受信ができるように接続した構成である。なお、第3の実施態様におけるマイニングシステム102の構成のうち、第2の実施態様のマイニングシステム101の構成と同じものについては、説明を省略する。
【0054】
第3の実施態様のマイニングシステム102によれば、マイニングマシン2に備えられたマイニングマシン制御部10と、無停電電源装置C内のUPS制御部9とを、相互に情報を送受信させることにより、無停電電源装置Cとマイニングマシン2を包括的に制御することにより最適な仮想通貨のマイニングを行うことができる。
【0055】
第3の実施態様におけるUPS制御部9は、第1の実施態様又は第2の実施態様のUPS制御部9の機能に加えて、蓄電池測定部5又は電源測定部6からの情報をマイニングマシン制御部10へ送る機能を有する。
【0056】
さらに、第3の実施態様におけるマイニングマシン制御部10は、第2の実施態様のマイニングマシン制御部10の機能に加えて、環境因子検出部11の情報を基にUPS制御部9へ指示を送る機能を有する。
【0057】
第3の実施態様のマイニングシステム102の制御は、第2の実施態様のマイニングシステム101の制御内容と基本的に共通するが、マイニングマシン制御部10とUPS制御部9を相互に送受信可能に接続したことにより、より最適な仮想通貨のマイニングを可能にすることができる。
以下、例示して説明する。
【0058】
図3に表すように、マイニングマシン2のマイニングマシン制御部10と、無停電電源装置CのUPS制御部9とが、相互に情報を送受信できるようになっており、環境因子検出部11からの情報によりマイニングマシン制御部10を介して、UPS制御部9に指示を送り、無停電電源装置Cを制御する。さらに、蓄電池測定部5又は電源測定部6からの情報を、UPS制御部9を介してマイニングマシン制御部10に送り、マイニングマシン2を制御する。
【0059】
例えば、以下の制御である。
<仮想通貨のマイニングを優先した制御>
環境因子検出部11からの情報を基に、マイニングマシン制御部10が、環境因子検出部11から仮想通貨の為替レート等の情報を受け取り、最適なマイニングのタイミングであると判断した場合、マイニングマシン2の稼働量を増加する制御を行う。
その際、マイニングマシン制御部10はUPS制御部9を介して、放電部3へ放電量を増加するように指示を送る。当該指示に従って放電部3は蓄電池1の電力をマイニングマシン2へ供給する。
なお、この場合マイニングマシン制御部10が要求する電力を放電部3が供給することができない場合、マイニングマシン制御部10は、蓄電池12へ蓄電された電力をマイニングマシン2へ供給するように指示を送るとしてもよい。これにより、仮想通貨のマイニングを継続して行うことができるため、機会を逃すことなく効率よくマイニングを行うことができる。
また、蓄電池12から電力の供給を行う代わりに、特に図示していないが、電源Aの電力を供給してもよいし、蓄電池1又は12以外の蓄電池の電力を供給してもよい。
【0060】
<電源Aが停電等した場合又は蓄電池1の蓄電量が規定値を下回った場合におけるマイニングマシン2の制御>
電源Aが停電等した場合又は蓄電池1の蓄電量が規定値を下回った場合、その情報は蓄電池測定部5又は電源測定部6より、UPS制御部9を介してマイニングマシン制御部10へ送られる。この場合、放電部3は、蓄電池1に蓄電された電力の放電を停止するため、マイニングマシン制御部10は停止することになるが、UPS制御部9からの上記情報により安全にマイニングマシン2を停止することができる。
なお、マイニングマシン2の稼働に必要な電力を蓄電池12から供給するため、蓄電池12へマイニングマシン2に電力を供給するように指示を送るとしてもよい。これにより、仮想通貨のマイニングを継続して行うことができるため、機会を逃すことなく効率よくマイニングを行うことができる。
なお、蓄電池12から電力の供給を行う代わりに、特に図示していないが、電源Aの電力を供給してもよいし、蓄電池1又は12以外の蓄電池の電力を供給してもよい。
【0061】
〔第4の実施態様〕
図4は、本発明の第4の実施態様のマイニングシステム103の構成を表す概略説明図である。第4の実施態様のマイニングシステム103は、本発明の第3の実施態様のマイニングシステム102の機能に加えて、複数の他のマイニングシステム200~500の情報を管理PCに集め、管理できるように構成したものである。ここで、管理とは各マイニングシステムのマイニングマシン2や無停電電源装置Cの情報をもとに、各マイニングシステムに対して指示を送り、各マイニングシステムの負担等を調整することを指す。
なお、第4の実施態様におけるマイニングシステム103の構成のうち、第3の実施態様のマイニングシステム102の構成と同じものについては、説明を省略する。
【0062】
管理PCは、各マイニングシステムのマイニングマシン制御部10及びUPS制御部9と情報の送受信をおこなうことで各マイニングシステムの管理を行うものである。
管理PCは、各マイニングシステムを管理することができるコンピュータであれば、どのような形態でもよく例えば、複数のマイニングシステムの情報を管理する必要があるため、ある程度の容量をもった情報記憶媒体であるサーバを備えていることが望ましい。
【0063】
第4の実施態様のマイニングシステム103は、他のマイニングシステム200~50の無停電電源装置C及びマイニングマシン2の情報を管理PCに集めると共に、管理PCから各マイニングシステムへ指示を送り集中的に複数のマイニングシステムを管理することが可能となる。
【0064】
(各マイニングシステムと管理PCの動作)
図4に表すように第4の実施態様のマイニングシステム103によれば、複数のマイニングシステムのマイニングマシン制御部10が、管理PCに接続されている。これにより、管理PCは、マイニングマシン制御部10を介して、各マイニングシステムの蓄電池1の状態や電源Aの状態及び、マイニングマシン2の状態を確認し、各マイニングシステムの仮想通貨のマイニングを行う作業負担を調整することで、各マイニングシステムを統括し一つのマイニングシステムをして集中的に管理することができる。
なお、各マイニングシステムのマイニングマシン制御部10への接続は、有線でも無線であってもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のマイニングシステムは、仮想通貨のマイニングに適用できる。具体的には無停電電源装置の放電を利用した仮想通貨のマイニングに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 蓄電池、2 マイニングマシン、3 放電部、4 診断部、5 蓄電池測定部、6 電源測定部、7 給電部、8 送電部、9 UPS制御部、10 マイニングマシン制御部、11 環境因子検出部、100,101,102,103,200,300,400,500 マイニングシステム

図1
図2
図3
図4