(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066045
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 35/04 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A01B35/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175265
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 智之
(72)【発明者】
【氏名】黒田 将仁
(72)【発明者】
【氏名】倉田 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】小山 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】嶋形 祐汰
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴史
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA03
2B034BA10
2B034BB01
2B034BC06
2B034EA02
2B034EB08
2B034EB34
(57)【要約】
【課題】作業者の負担軽減を図ることができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、耕耘作業をする耕耘体32と、この耕耘体32の後方で整地作業をする整地体33とを備える。また、整地体33は、第1整地体43と、この第1整地体43の下端部に回動可能に連結した第2整地体44とを有する。そして、第2整地体44は、支持部材61と、この支持部材61に着脱可能に取り付けた整地部材62とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘作業をする耕耘体と、
前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記整地体は、
支持部材と、
前記支持部材に着脱可能に取り付けられた整地部材とを有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
耕耘作業をする耕耘体と、
前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記整地体は、
支持部材と、
前記支持部材に着脱可能に取り付けられた整地部材と、
前記支持部材を前記整地部材とともに挟持する補強部材とを有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項3】
前記整地部材は、前記補強部材が挿通された挿通孔を有する
ことを特徴とする請求項2記載の農作業機。
【請求項4】
前記整地部材は、第1状態では整地作業をし、第2状態では土引き作業をする
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【請求項5】
前記整地体は、被埋込物を圃場の土中に埋め込む埋込部材を有し、
前記埋込部材は、前記整地部材に着脱可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者の負担軽減を図ることができる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、この整地体は、第1整地体(均平板)と、この第1整地体の後端部に設けられた第2整地体(レーキ)とを有している。
【0004】
そして、第2整地体は、左右方向に長手方向を有する略板状に形成され、水平姿勢で整地作業をする整地本体板部と、この整地本体板部の後端部に左右方向に沿って互いに間隔をおいて並設され、前記整地本体板部の下面より下方に突出する複数の突出部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の農作業機では、例えば第2整地体は、複数の部材が溶接固定されて一体化されたものであるから、変形、摩耗或いは損傷等により交換が必要となった場合には、その全体を交換しなければならない。それゆえ、整地体の交換に要するコストが高く、農家等の作業者にとって負担が大きくなりがちである。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業者の負担軽減を図ることができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、前記整地体は、支持部材と、前記支持部材に着脱可能に取り付けられた整地部材とを有するものである。
【0009】
また、本発明に係る農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、前記整地体は、支持部材と、前記支持部材に着脱可能に取り付けられた整地部材と、前記支持部材を前記整地部材とともに挟持する補強部材とを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業者の負担軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の側面図である。
【
図4】同上農作業機の第2整地体の部分背面図である。
【
図5】同上農作業機の延長作業部における第2整地体の分解斜視図である
【
図6】同上延長作業部における第2整地体の平面図である。
【
図8】同上農作業機の中央作業部における第2整地体の分解斜視図である。
【
図9】同上中央作業部における第2整地体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態について
図1ないし
図10を参照して説明する。
【0013】
図中の1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、そのトラクタの走行により水田等の圃場を前方(進行方向)に移動しながら農作業、すなわち例えば代掻作業(耕耘整地作業)及び土引き作業(土寄せ作業)を選択的に行うことが可能な代掻機である。
【0014】
農作業機1は、例えば折畳み可能な3分割構造の折畳み作業機で、トラクタの後部の3点リンク部に着脱可能に連結(装着)される中央作業部2と、この中央作業部2の左右方向両端部に回動中心軸5を中心として上下方向に回動可能に設けられた延長作業部(サイド作業部)3と、この延長作業部3を中央作業部2に対して上下方向に回動させる回動駆動手段である電動油圧シリンダ(シリンダ部)4とを備えている。
【0015】
そして、左右の延長作業部3の各々は、いずれも伸縮可能な電動油圧シリンダ4の伸縮動作に基づいて、一方向への回動(開方向への略180度回動)により展開状態となり、他方向への回動(閉方向への略180度回動)により折畳状態となる。
【0016】
それゆえ、農作業機1は、中央作業部2のみで作業を行う状態と、中央作業部2と左右両方の延長作業部3とで作業を行う状態と、中央作業部2と左右いずれか一方のみの延長作業部3とで作業を行う状態とに選択的に切換可能である。なお、左側の延長作業部3と右側の延長作業部3とは、左右対称に構成されている点が異なるのみで、基本的な構成は同一である。
【0017】
中央作業部2は、トラクタの3点リンク部に着脱可能に連結される機体(中央機体)11と、この機体11に回転可能に設けられ、所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体(中央耕耘体)12と、機体11の耕耘カバー部15の後端部に上下方向に回動可能に設けられ、耕耘体12の後方で整地作業をする整地体(中央整地体)13とを備えている。
【0018】
機体11は、トラクタの3点リンク部に着脱可能に連結される3点連結部16を有し、この3点連結部16はトップマスト17及び左右のロワアーム18等で構成されている。また、機体11は、左右方向中央部にミッションケース部19を有し、このミッションケース部19には入力軸20が回転可能に設けられている。入力軸20は、トラクタのPTO軸にジョイントを介して接続される。そして、入力軸から入力されたPTO軸側からの動力は、不図示の動力伝達手段によって耕耘体12に伝達される。
【0019】
耕耘体12は、その動力伝達手段からの動力に基づいて所定方向に駆動回転する左右方向の耕耘軸21と、この耕耘軸21に着脱可能に取り付けられた複数の耕耘爪22とを有している。なお、耕耘体12の上方部は、機体11の耕耘カバー部15で覆われている。
【0020】
整地体13は、機体11の耕耘カバー部15の後端部に左右方向の軸26を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた略板状の第1整地部である第1整地体(中央均平板)23と、この第1整地体23の下端部に左右方向の軸27を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた略板状の第2整地部である第2整地体(中央レーキ)24とを有している。なお、第1整地体23は、被埋込物(例えば草や稈等の雑物)を圃場の土中に埋め込む大型の埋込部材28を有している。
【0021】
左右の各延長作業部3は、中央作業部2の機体11に対して回動中心軸(回動支点)5を中心として上下方向に回動可能な機体(延長機体)31と、この機体31に回転可能に設けられ、延長作業部3の展開状態時に中央作業部2の耕耘体12と一体となって耕耘作業をする耕耘体(延長耕耘体)32と、機体31の耕耘カバー部35の後端部に上下方向に回動可能に設けられ、延長作業部3の展開状態時に中央作業部2の整地体13と一体となって整地作業をする整地体(延長整地体)33とを備えている。
【0022】
延長作業部3の耕耘体32は、中央作業部2の耕耘体12と同様、左右方向の耕耘軸41と、この耕耘軸41に着脱可能に取り付けられた複数の耕耘爪42とを有している。なお、耕耘体32の上方部は、機体31の耕耘カバー部35で覆われている。
【0023】
延長作業部3の整地体33は、中央作業部2の整地体13と同様、機体31の耕耘カバー部35の後端部に左右方向の軸を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた略板状の第1整地部である第1整地体(延長均平板)43と、この第1整地体43の下端部に左右方向の軸を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた略板状の第2整地部である第2整地体(延長レーキ)44とを有している。
【0024】
なお、第2整地体44の外端部には補助整地板(補助レーキ)45が回動可能に設けられており、この補助整地板45は、モータ等の駆動源を有する切換装置(サイドキット)46によって展開状態及び折畳状態に選択的に切り換えられる。また、第1整地体43は、被埋込物(例えば草や稈等の雑物)を圃場の土中に埋め込む大型の埋込部材48を有している。
【0025】
また一方、中央作業部2は、第2整地体24,44を整地作業状態(上下回動可能な水平姿勢のフリー状態)及び土引き作業状態(上下回動不能な傾斜姿勢のロック状態)に選択的に切り換えるための切換手段51を備えている。
【0026】
そして、切換手段51は、モータ等の駆動源からの動力に基づいて第2整地体24,44を第1整地体23,43に対して回動させることにより、第1状態である整地作業状態及び第2状態である土引き作業状態に選択的に切換可能(設定可能)なものであり、この切換手段51の切換アーム52の下端部が中央作業部2の第2整地体24に回動可能に取り付けられている。
【0027】
なお、圃場に接地する接地部である第2整地体24,44は、特に土引き作業状態では圃場の土(小石等を含む)を引き摺る土引き作業を行うため、圃場の土との接触により摩耗及び変形し易い部品(整地体の少なくとも一部を構成する部品)である。
【0028】
さらに、延長作業部3は、機体31と第2整地体44とを連結する連結手段53を備えており、この連結手段53の連結アーム54の下端部が延長作業部3の第2整地体44に回動可能に取り付けられている。
【0029】
ここで、まず、
図5ないし
図7を参照しつつ、右側の延長作業部3の整地体33における第2整地体(右レーキ)44の構成について詳細に説明する。なお、左側の延長作業部3の整地体33における第2整地体(左レーキ)44については、その第2整地体(右レーキ)44と左右対称の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0030】
図5ないし
図7に示すように、第2整地体44は、左右方向長手状の長手部材である支持部材(フレーム部材)61と、この支持部材61に着脱可能に取り付けられ、第2整地体44の整地作業状態時には第1姿勢である水平姿勢(整地作業状態)で整地作業をし、第2整地体44の土引き作業状態時には第2姿勢である傾斜姿勢(土引き作業状態)で土引き作業をする左右方向長手状で板状の整地部材62とを有している。
【0031】
また、第2整地体44は、支持部材61を整地部材62とともに挟持して当該支持部材61を補強する複数(例えば3つ)の補強部材63と、整地部材62に着脱可能に取り付けられ、第2整地体44の整地作業状態時において被埋込物(例えば草や稈等の雑物)を圃場の土中に埋め込む小型の複数(例えば3つ)の埋込部材64を有している。
【0032】
なお、第2整地体44は、例えば複数のボルト66及びナット67からなる取付手段68を有し、この取付手段68を用いることによって、整地部材62、補強部材63及び埋込部材64がベース部材である支持部材61に対してそれぞれ個別に着脱可能に取り付けられて固定されている。また、これら互いに分離可能な各部材61,62,63,64は、例えば金属製のものである。
【0033】
支持部材61は、左右方向長手状で四角筒状の筒状部71を有し、この筒状部71の長手方向端部(内端部)には、中央作業部2の嵌合凸部132と嵌脱可能に嵌合する嵌合凹部72が一体的に設けられている。なお、例えば嵌合凹部(嵌合部材)72が筒状部(筒状部材)71に着脱可能に取り付けられた構成等でもよい。
【0034】
また、筒状部71は、上板部分73、下板部分74、前板部分75及び後板部分76を有し、この筒状部71の上板部分73には、均平板連結部81、アーム取付部82及び補助整地板取付部83が一体的に設けられている。そして、均平板連結部81には第1整地体(延長均平板)43が回動可能に連結され、アーム取付部82には連結アーム54が回動可能に取り付けられ、補助整地板取付部83には補助整地板45が回動可能に取り付けられる。
【0035】
整地部材62は、例えば1枚状の板状部材のみからなるもので、支持部材61の筒状部71の下板部分74の下面に接触してその下面全体を覆う整地板部(整地作業又は土引き作業を行う作業板部)91を有している。
【0036】
そして、
図7からも明らかなように、整地板部91の前端部からは、支持部材61の筒状部71の前板部分75の前面に接触してその前面全体を覆う前板部92が上方に向かって突出しており、またこの前板部92の上端部からは突出板部93が前方に向かって突出し、この突出板部93にボルト孔94が形成されている。
【0037】
また、整地板部91には、当該整地板部91の上下面に貫通したスリット状の挿通孔96が形成されており、この挿通孔96に補強部材63が挿脱可能に挿通されている。さらに、整地板部91には、下方に向かって膨出した前後方向長手状の凸状部分97が形成されており、この整地板部91の後端部のうち互いに隣り合う両凸状部分97間に位置する部分には、後方に向かって開口した平面視三角状の切欠部分98が形成されている。
【0038】
各補強部材63は、例えば1枚状の板状部材のみからなるもので、整地部材62の突出板部93の上面に接触する第1板部101と、支持部材61の筒状部71の上板部分73の上面に接触する第2板部102と、支持部材61の筒状部71の後板部分76の後面に接触する第3板部103と、整地部材62の整地板部91の下方側に位置してこの整地板部91の下面に近接対向する第4板部104とを有している。
【0039】
そして、第1板部101には、整地部材62の突出板部93のボルト孔94と連通するボルト孔105が形成されている。また、第3板部103の下端部が整地部材62の整地板部91の挿通孔96に挿脱可能に挿通され、かつ、第4板部104の後端部が整地部材62の整地板部91の切欠部分98よりも前方側に配置されている。
【0040】
なお、この図示した例では、第4板部104は、整地板部91の下面に接触していないが(
図7参照)、当該整地板部91の下面に接触するようにしてもよく、また例えば第4板部104が整地板部91の凸状部分97よりも下方側に突出しない構成等でもよい。さらに、例えば補強部材63が支持部材61の筒状部71に溶接固定された構成等でもよい。
【0041】
各埋込部材64は、整地部材62に着脱可能に取り付けられた取付板部111と、この取付板部111の被挿入部分116,117に挿入装着され、雑物等の被埋込物を圃場の土中に埋め込む棒状の埋込部112とを有している。
【0042】
そして、取付板部111には、整地部材62の突出板部93のボルト孔94と連通するボルト孔115が形成されている。また、埋込部112は、例えば弾性変形可能な弾性棒(スプリングレーキ)113で構成されている。
【0043】
次いで、
図8ないし
図10を参照しつつ、中央側の中央作業部2の整地体13における第2整地体(中央レーキ)24の構成について詳細に説明する。
【0044】
図8ないし
図10に示すように、中央作業部2の第2整地体24は、上述した延長作業部3の第2整地体44と同様、左右方向長手状の長手部材である支持部材(フレーム部材)121と、この支持部材121に着脱可能に取り付けられ、第2整地体24の整地作業状態時には第1姿勢である水平姿勢(整地作業状態)で整地作業をし、第2整地体24の土引き作業状態時には第2姿勢である傾斜姿勢(土引き作業状態)で土引き作業をする左右方向長手状で板状の整地部材122とを有している。
【0045】
また、この第2整地体24は、支持部材121を整地部材122とともに挟持して当該支持部材121を補強する複数(例えば6つ)の補強部材123(123a,123b)と、整地部材122に着脱可能に取り付けられ、第2整地体24の整地作業状態時において被埋込物(例えば草や稈等の雑物)を圃場の土中に埋め込む小型の複数(例えば4つ)の埋込部材124を有している。
【0046】
なお、第2整地体24は、例えば複数のボルト126及びナット127からなる取付手段128を有し、この取付手段128を用いることによって、整地部材122、補強部材123及び埋込部材124がベース部材である支持部材121に対してそれぞれ個別に着脱可能に取り付けられて固定されている。また、これら互いに分離可能な各部材121,122,123,124は、例えば金属製のものである。
【0047】
さらに、この第2整地体24においては、複数種、すなわち例えば形状が異なる2種類の補強部材123a,123bが用いられており、一方の補強部材123aが前記補強部材63と同じものである。他方の補強部材123bは、支持部材61よりも長く変形し易い支持部材121の左右方向中央側をより強固に補強するためのものであって、一方の補強部材123aよりも大きく、左右方向長手状に形成されている。
【0048】
支持部材121は、左右方向長手状で四角筒状の筒状部131を有し、この筒状部131の長手方向両端部には、延長作業部3の嵌合凹部72と嵌脱可能に嵌合する嵌合凸部132が一体的に設けられている。なお、例えば嵌合凸部(嵌合部材)132が筒状部(筒状部材)131に着脱可能に取り付けられた構成等でもよい。
【0049】
また、筒状部131は、上板部分133、下板部分134、前板部分135及び後板部分136を有し、この筒状部131の上板部分133には、均平板連結部141及びアーム取付部142が一体的に設けられている。そして、均平板連結部141には第1整地体(中央均平板)43が回動可能に連結され、アーム取付部142には切換アーム52が回動可能に取り付けられる。
【0050】
整地部材122は、例えば1枚状の板状部材のみからなるもので、支持部材121の筒状部131の下板部分134の下面に接触してその下面全体を覆う整地板部(整地作業又は土引き作業を行う作業板部)151を有している。
【0051】
そして、
図10からも明らかなように、整地板部151の前端部からは、支持部材121の筒状部131の前板部分135の前面に接触してその前面全体を覆う前板部152が上方に向かって突出しており、またこの前板部152の上端部からは突出板部153が前方に向かって突出し、この突出板部153にボルト孔154が形成されている。
【0052】
また、整地板部151には、当該整地板部151の上下面に貫通したスリット状の挿通孔156が形成されており、この挿通孔156に補強部材123が挿脱可能に挿通されている。さらに、整地板部151には、下方に向かって膨出した前後方向長手状の凸状部分157が形成されており、この整地板部151の後端部のうち互いに隣り合う両凸状部分157間に位置する部分には、後方に向かって開口した平面視三角状の切欠部分158が形成されている。
【0053】
各補強部材(第1補強部材)123aは、補強部材63と同様に、例えば1枚状の板状部材のみからなるもので、整地部材122の突出板部153の上面に接触する第1板部161と、支持部材121の筒状部131の上板部分133の上面に接触する第2板部162と、支持部材121の筒状部131の後板部分136の後面に接触する第3板部163と、整地部材122の整地板部151の下方側に位置してこの整地板部151の下面に近接対向する第4板部164とを有している。
【0054】
そして、第1板部161には、整地部材122の突出板部153のボルト孔154と連通するボルト孔165が形成されている。また、第3板部163の下端部が整地部材122の整地板部151の挿通孔156に挿脱可能に挿通され、かつ、第4板部164の後端部が整地部材122の整地板部151の切欠部分158よりも前方側に配置されている。
【0055】
なお、この第4板部164は、整地板部151の下面に接触していないが、当該下面に接触するようにしてもよく、また例えば第4板部164が凸状部分157よりも下方側に突出しない構成等でもよい。さらに、例えば補強部材123aが支持部材61の筒状部71に溶接固定された構成等でもよい。
【0056】
各補強部材(第2補強部材)123bは、例えば1枚状の板状部材のみからなるもので、整地部材122の突出板部153の上面に接触する第1板部181と、支持部材121の筒状部131の上板部分133の上面に接触する第2板部182と、支持部材121の筒状部131の後板部分136の後面に接触する第3板部183と、整地部材122の整地板部151の下方側に位置してこの整地板部151の下面に近接対向する複数(例えば3つ)の第4板部184とを有している。
【0057】
そして、第1板部181には、整地部材122の突出板部153のボルト孔154と連通するボルト孔185が形成されている。また、第3板部183の下端部の所定部分が整地部材122の整地板部151の挿通孔156に挿脱可能に挿通され、かつ、第4板部184の後端部が整地部材122の整地板部151の切欠部分158よりも前方側に配置されている。
【0058】
なお、この第4板部184は、整地板部151の下面に接触していないが、当該下面に接触するようにしてもよい。また、例えば補強部材123bが支持部材61の筒状部71に溶接固定された構成等でもよい。さらに、図示した例では、補強部材123bは複数(例えば2枚)であるが、単数でもよい。
【0059】
各埋込部材124は、整地部材122に着脱可能に取り付けられた取付板部171と、この取付板部171の被挿入部分176,177に挿入装着され、雑物等の被埋込物を圃場の土中に埋め込む棒状の埋込部172とを有している。
【0060】
そして、取付板部171には、整地部材122の突出板部153のボルト孔154と連通するボルト孔175が形成されている。また、埋込部172は、例えば弾性変形可能な弾性棒(スプリングレーキ)173で構成されている。
【0061】
次に、上記実施の形態に係る農作業機1の作用等を説明する。
【0062】
例えば、圃場(水を入れた水田)において中央作業部2及び延長作業部3で代掻作業をする場合には、第2整地体24,44を第1状態である整地作業状態(倒伏姿勢)に設定した状態で、トラクタの走行により農作業機1を前方に移動させる。
【0063】
すると、耕耘体12,32が駆動回転しながら耕耘作業をし、かつ、その後方において整地体13,33、すなわち第1整地体(均平板)23,43及び第2整地体(レーキ)24,44が整地作業をする。こうして、農作業機1によって代掻作業が行われる。
【0064】
他方、このような代掻作業ではなく、圃場の土を引き摺って移動させる土引き作業をする場合には、第2整地体24,44を第2状態である土引き作業状態(起立姿勢)に設定した状態で、トラクタの走行により農作業機1を前方に移動させる。なおこの際、耕耘体12,32は、駆動回転させてもよいが、必ずしも駆動回転させる必要はなく、停止させてもよい。
【0065】
すると、土引き作業状態の第2整地体24,44は、傾斜状の起立姿勢を維持したまま前方に移動しながら、整地部材62,122の整地板部91,151で圃場の泥土等を前方側に押すようにして土引き作業を行う。
【0066】
ここで、第2整地体24,44を構成する部品のうち、例えば整地部材62,122が、例えば変形、摩耗或いは損傷等により交換が必要となった場合には、その交換が必要な整地部材62,122のみを交換すれば足りる。
【0067】
すなわち、整地板部91,151の一部が変形等してしまった場合には、取付手段68,128による固定を解除して、整地部材62,122を支持部材61,121から取り外す。そして、それに代えて、新品の整地部材62,122を当該支持部材61,121に取り付けて固定すればよい。
【0068】
なお、例えば支持部材61,121、補強部材63,123、埋込部材64,124が変形等した場合も同様であり、交換の必要が生じた部材だけを交換すればよい。
【0069】
そして、このような農作業機1によれば、作業部2,3における整地体13,33の第2整地体24,44は、支持部材61,121と、この支持部材61,121に着脱可能に取り付けられた整地部材62,122とを有するため、例えば支持部材と整地部材とが溶接固定により一体化された構成等とは異なり、交換の必要が生じた整地部材62,122のみを単体で交換でき、よって、全体を交換する場合に比べて交換コストが安くなり、作業者の負担軽減を図ることができる。
【0070】
また、例えば支持部材61,121と整地部材62,122とを分離してそれぞれ個別に塗装が可能であるため、各部材61,62,121,122の表面全体に塗装を施すことができ、よって、錆等の腐食の発生を適切に防止することができる。
【0071】
さらに、例えば整地部材62,122とは形状や大きさ等が異なる他の整地部材(複数種の整地部材)を予め用意しておくことで、圃場の状態や作業内容等に応じて、支持部材61,121に対して取り付ける整地部材を自由に選択変更できるため、それに応じた適切な作業を行うことができる。
【0072】
また、作業部2,3における整地体13,33の第2整地体24,44は、左右方向長手状の支持部材61,121を整地部材62,122との間で上下及び前後から挟持する補強部材63,123を有するため、支持部材61,121を適切に補強でき、当該支持部材61,121の変形等を適切に防止できる。
【0073】
なお、上記実施の形態においては、農作業機が3分割構造の折畳み作業機である場合について説明したが、例えば折畳み不可能な一本物の作業機(ハロー、ロータリー等)でもよい。
【0074】
また、整地体は、互いに回動可能に連結された2つの整地体(均平板およびレーキ)を有するものには限定されず、例えば1つの整地体からなるものでもよい。
【0075】
さらに、整地体の支持部材(支柱部材)は、角パイプで構成したものには限定されず、例えば丸棒等の棒状部材で構成したものや、軽量構造物等を用いて構成したものでもよい。
【0076】
また、整地体を構成する部材は、金属製が好ましいが、例えば硬質の樹脂等、金属以外の材質でもよい。
【0077】
さらに、補強部材は、支持部材に対して着脱可能なものには限定されず、例えば溶接等により支持部材に対して一体化されたものでもよい。
【0078】
また、整地部材や支持部材は、作業部(中央作業部、延長作業部)の作業幅に対応した左右方向長さ寸法を有した1枚状の板状部材(長尺部材)のみからなるものには限定されず、例えば左右方向に並ぶ複数の分割板(例えば左右に2分割した分割板)で構成するようにしてもよく、この場合、交換の必要が生じた分割板(整地部材の一部や支持部材の一部)のみを個別に交換可能である。
【0079】
また一方、左側の延長作業部と右側の延長作業部とは、左右対称の構成であることが好ましいが、例えば左右非対称の構成でもよい。
【0080】
また、整地体は、被埋込物を圃場の土中に埋め込む埋込部材を有することが好ましいが、例えば埋込部材を有しない構成でもよい。
【0081】
さらに、整地部材の切欠部分の形状は、平面視で三角形状が好ましいが、それ以外の形状でもよく任意である。
【0082】
また、補強部材の後端部は、整地部材の切欠部分よりも前方側に配置されることが好ましいが、例えば整地部材の切欠部分よりも後方側に配置されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 農作業機
12,32 耕耘体
13,33 整地体
61,121 支持部材
62,122 整地部材
63,123 補強部材
64,124 埋込部材
96,156 挿通孔