(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066047
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】機器操作盤
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
G08B17/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175267
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】松浦 正幸
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA06
5G405AD06
5G405BA01
5G405CA22
5G405CA25
5G405CA27
5G405CA51
(57)【要約】
【課題】火災監視時における連動・遮断の設定状態に容易に復元することのできる機器操作盤を得る。
【解決手段】火災監視エリアに設置された複数の防災機器と、火災監視モードにおいて火災監視エリアに設置された複数の防災機器を制御するとともに、複数の防災機器の動作確認を行う動作点検モードにおいて防災機器に対して起動指令を出力することで動作確認を行う機器操作盤であって、複数の防災機器のそれぞれに対する起動指令を強制的に遮断するか否かを設定切り換えする操作入力を受け付けるとともに、起動指令を強制的に遮断するか否かに関する設定状態を一覧表示する状態設定確認部を有しており、記憶指令信号を受信したタイミングにおける設定状態を記憶部に記憶させる状態記憶処理部をさらに有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災監視エリアに設置された複数の防災機器と、
火災監視モードにおいて火災監視エリアに設置された複数の防災機器を制御するとともに、前記複数の防災機器の動作確認を行う動作点検モードにおいて防災機器に対して起動指令を出力することで前記動作確認を行う機器操作盤であって、
前記複数の防災機器のそれぞれに対する前記起動指令を強制的に遮断するか否かを設定切り換えする操作入力を受け付けるとともに、前記起動指令を強制的に遮断するか否かに関する設定状態を一覧表示する状態設定確認部を有しており、
記憶指令信号を受信したタイミングにおける前記設定状態を記憶部に記憶させる状態記憶処理部をさらに有する
機器操作盤。
【請求項2】
前記状態記憶処理部は、
前記火災監視モードから前記動作点検モードにモードが切り換わったタイミングを示すトリガ信号を前記記憶指令信号として受信し、前記火災監視モードにおける前記設定状態を監視時設定状態として前記記憶部に記憶させ、
比較指令信号を受信した場合には、現状の設定状態を一覧表示するとともに、前記現状の設定状態の中で前記監視時設定状態と異なる項目に関して識別表示を行う
請求項1に記載の機器操作盤。
【請求項3】
前記状態記憶処理部は、前記識別表示を行っている状態で状態復元信号を受信した場合には、前記現状の設定状態を前記監視時設定状態に復元させる設定切り換えを行う
請求項2に記載の機器操作盤。
【請求項4】
前記状態記憶処理部は、
前記動作点検モードから前記火災監視モードにモードが切り換わったタイミングを示すトリガ信号を受信した場合には、前記火災監視モードに復帰後の設定状態を復帰後設定状態として監視し、
前記復帰後設定状態と前記監視時設定状態とが完全に一致しない状態があらかじめ設定した判定時間にわたって継続した場合には、あらかじめ設定された通報先に不一致状態であることを示す異常通報を送信する
請求項2または3に記載の機器操作盤。
【請求項5】
前記状態記憶処理部は、前記記憶指令信号を受信したタイミングにおける前記設定状態を、前記記憶指令信号を受信した日時と関連付けて前記記憶部に記憶させる
請求項1から3のいずれか1項に記載の機器操作盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防災機器の動作確認に適した機器操作盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災受信機、発信機、中継器、音響装置、感知器、防排煙機器等を備えて構成され、防火対象である建物内の火災監視エリアで発生する火災を迅速に検知し、消火作業、避難誘導等を行う自動火災報知設備がある(例えば、非特許文献1参照)。自動火災報知設備では、感知器が熱や煙を感知することで、火災受信機に対して火災信号を送信する。
【0003】
火災信号を受信した火災受信機は、火災発生場所に応じて、警報を発し、音響装置を鳴動させ、建物内にいる人に火災の発生を知らせる。さらに、火災信号を受信した火災受信機は、炎あるいは煙の拡大を防ぐために、火災発生場所に応じて、防排煙機器を連動動作させる。
【0004】
このように、火災受信機は、自動火災報知設備に含まれる種々の防災機器に関する集中制御を行う。なお、このような集中制御は、総合操作盤など、その他の設備でも行うことができる。そこで、本開示では、種々の防災機器に関する集中制御を行う火災受信機、総合操作盤などの設備のことを、機器操作盤と総称することとする。
【0005】
自動火災報知設備の点検作業では、例えば、感知器の動作確認を行う際に、他の機器が連動動作しないように、機器操作盤からの指令を遮断することがある。連動動作を遮断する具体例としては、シャッタ等の防排煙機器が連動しないように連動遮断したり、音声警報を停止したり、地区ベルが鳴動しないように地区音響遮断をしたり、他設備への移報出力をしないように移報遮断したりすることが挙げられる。
【0006】
動作点検モードでは、必要に応じて連動動作を遮断するために、特定の機器に対して動作指令を出力しないように、個別に遮断の設定が行われる。そして、動作点検モードから火災監視モードに戻した場合には、通常の火災監視時に連動動作が行われるように、遮断の設定を解除し、元の設定状態に戻す必要がある。
【0007】
連動・遮断に関する設定状態の戻し忘れがあった場合には、火災監視時に正常な連動動作が行われない状況が発生してしまう。そこで、このような戻し忘れを防止するために、動作点検を行う前に、火災監視モードにおける設定状態を設定状態表に手書きで記入しておき、動作点検が終了した際に、設定状態表を見ながら元の状態に戻す作業が点検員によって行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】能美防災株式会社 ホームページ、自動火災報知設備(URL:https://www.nohmi.co.jp/product/materiel/fid.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
防災の観点からは、火災監視モードにおいては、すべての動作に関する遮断が解除されていることが推奨されている。ただし、実際の設置環境によっては、運用上の制約などから、例えば、ある位置に設置されている防排煙機器に関しては、火災監視モードにおいても、故意に連動動作を遮断しているような場合が考えられる。
【0010】
従って、火災監視モードにおいて一律に遮断を解除することが適切でない場合があり、動作点検が完了して火災監視モードに戻す際に、設置環境に応じて、確実に動作点検前の設定状態に戻すことが重要となる。
【0011】
現状では、動作点検前の設定状態に戻すために設定状態表を用いており、点検員による手作業に頼っている。しかしながら、このような現状の復元作業では、点検員に作業負担が掛かるとともに、場合によってはヒューマンエラーにより、状態設定表への記入ミス、連動・遮断の設定状態に関する戻し忘れ、などが発生してしまうおそれがあった。
【0012】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、火災監視時における連動・遮断の設定状態に容易に復元することのできる機器操作盤を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係る機器操作盤は、火災監視エリアに設置された複数の防災機器と、火災監視モードにおいて火災監視エリアに設置された複数の防災機器を制御するとともに、複数の防災機器の動作確認を行う動作点検モードにおいて防災機器に対して起動指令を出力することで動作確認を行う機器操作盤であって、複数の防災機器のそれぞれに対する起動指令を強制的に遮断するか否かを設定切り換えする操作入力を受け付けるとともに、起動指令を強制的に遮断するか否かに関する設定状態を一覧表示する状態設定確認部を有しており、記憶指令信号を受信したタイミングにおける設定状態を記憶部に記憶させる状態記憶処理部をさらに有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、火災監視時における連動・遮断の設定状態に容易に復元することのできる機器操作盤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る機器操作盤に相当する火災受信機を含む自動火災報知設備の全体構成図である。
【
図2】動作点検作業時に用いられている設定状態表の一例を示した説明図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る機器操作盤の機能ブロック図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る状態記憶処理部により、識別表示を行った具体例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の機器操作盤の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る機器操作盤は、記憶指令信号を受信したタイミングにおいて、起動指令を強制的に遮断するか否かに関する現状の設定状態を記憶させることができる機能を備えていることを技術的特徴とするものである。なお、以下では、機器操作盤の一例を火災受信機として、火災受信機を備えた自動火災報知設備を具体例として、詳細な説明を行うこととする。
【0017】
実施の形態1.
まず始めに、自動火災報知設備の全体像について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係る機器操作盤に相当する火災受信機を含む自動火災報知設備の全体構成図である。火災受信機10は、信号線SG1を介して、アドレッサブル発信機20、火災感知器31、32、感知器用中継器40、および防排煙制御用中継器50と接続されている。
【0018】
感知器用中継器40には、火災感知器が複数台接続されている。
図1では、2台の火災感知器41、42を例示している。また、防排煙制御用中継器50には、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54が接続されている。
【0019】
また、火災受信機10は、信号線SG2を介して、音響装置61、62、および音響装置用中継器70と接続されている。さらに、音響装置用中継器70には、音響装置が複数台接続されている。
図1では、2台の音響装置71、72を例示している。
【0020】
また、火災受信機10は、非常放送盤80とも接続されている。非常放送盤80には、スピーカが複数台接続されている。
図1では、2台のスピーカ81、82を例示している。
【0021】
ここで、火災感知器31、32、および火災感知器41、42は、あらかじめ設定されたそれぞれの火災監視エリアにおいて火災の発生を感知する複数の火災感知器に相当する。複数の火災感知器により感知器群が構成される。
【0022】
また、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54は、複数の火災感知器のそれぞれの感知結果と連動して動作し、火災、煙等の拡散を防止するために機能する複数の端末設備に相当する。複数の端末設備により、端末設備群が構成される。
【0023】
また、音響装置61、62、および音響装置71、72は、あらかじめ設定されたそれぞれの地区において火災の発生を報知する複数の地区音響装置に相当する。複数の地区音響装置により、音響設備群が構成される。
【0024】
また、スピーカ81、82は、あらかじめ設定されたそれぞれの地区において火災の発生、避難誘導などのメッセージ出力を行う複数の放送設備に相当する。複数の放送設備により、放送設備群が構成される。
【0025】
複数の火災感知器のそれぞれは、個々の火災感知器を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。そして、複数の火災感知器のそれぞれは、自身に割り付けられたアドレス情報を含めた信号として、火災信号を火災受信機10に対して送信することができる。一方、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の火災感知器に対して必要な情報を送信することができる。
【0026】
また、複数の端末設備のそれぞれにも、個々の端末設備を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の端末設備を稼働させる起動指令を送信することができる。
【0027】
また、複数の音響装置のそれぞれにも、個々の音響装置を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の音響装置を鳴動させる起動指令を送信することができる。
【0028】
さらに、複数の放送設備のそれぞれにも、個々の放送設備を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、非常放送盤80を介して、所望の放送設備から所望の音声メッセージを出力させる起動指令を送信することができる。
【0029】
このような構成により、火災受信機10は、あらかじめ決められた種々の火災監視エリアに設置されている複数の火災感知器、およびアドレッサブル発信機20から火災信号を収集する。そして、火災受信機10は、収集した火災信号に基づいて、火災警報を行い、端末設備群を作動させることができる。
【0030】
さらに、火災受信機10は、収集した火災信号に基づいて、警報が必要な地区に設置された音響装置のベルを鳴動させることができ、音声メッセージによる避難誘導が必要な地区に設置された放送設備から所望の音声メッセージを出力させることができる。なお、複数の音響装置のそれぞれ、および複数の放送設備のそれぞれは、どの火災感知器の感知結果と連動して動作するかがあらかじめ規定されている。
【0031】
また、図示は省略しているが、火災受信機10は、収集した火災信号に基づいて、移報信号を出力し、消火設備を起動して消火作業を開始したり、ネットワークを介して上位装置に対して火災信号を伝送したりすることができる。
【0032】
本実施の形態1において、
図1に示した端末設備群、音響設備群、放送設備群に含まれる各防災機器は、感知器群あるいはアドレッサブル発信機20から火災信号が収集されることで、火災受信機10からの起動指令により連動動作をする機器に相当する。
【0033】
動作点検モードにおいては、自動火災報知設備に含まれる個々の機器の動作確認が行われる。このような動作点検モードでは、通常の火災監視モードとは異なり、連動動作を強制的に禁止して火災受信機から起動指令が出力されることを遮断した上で、感知器などの単体での動作確認を実施する場合がある。
【0034】
機器の動作確認は、火災受信機10を操作して個々の機器に対して起動指令を出力させるようにしてもよい。また、火災受信機10から感知器群などに起動指令を出力して、感知器群に火災を感知したときと同じ状態の動作を行わせて、その火災信号に基づき端末設備群などを連動動作させて、端末設備群の動作確認をするようにしてもよい。また、実際に感知器群に煙や熱を与えて火災信号を出力させて、端末設備群などを連動動作させて、端末設備群の動作確認をするようにしてもよい。
【0035】
冒頭でも説明したように、現状では、動作点検前における起動指令を強制的に遮断するか否かに関する設定状態に戻すために、設定状態表を用いており、動作点検モードから火災監視モードに戻す際には、点検員による手作業に頼って、設定状態の復元が行われている。
【0036】
図2は、動作点検作業時に用いられている設定状態表の一例を示した説明図である。
図2に示した設定状態表では、火災受信機から起動指令が出力されることを強制的に遮断することで連動動作を遮断するか否かを切り換えることができる遮断対象項目として、以下の項目が具体的に示されている。
・一括連動移報遮断:「遮断」が設定された状態では、消火設備を起動させるための移報信号、および上位装置に対して火災が検知されたことを知らせる移報信号が遮断される。
【0037】
・放送設備群遮断:「遮断」が設定された状態では、放送設備群からのメッセージ出力が遮断される。
・音響設備群遮断:「遮断」が設定された状態では、音響設備群からの音響出力が遮断される。
・個別連動遮断:「遮断」が設定された状態では、端末設備群内の防火戸51、排煙機52、シャッタ53、たれ壁54のそれぞれの起動が個別に遮断される。
【0038】
なお、すべての項目において、「定位」側に設定されている場合には、遮断が行われずに、連動動作の起動指令が出力されることとなる。
【0039】
従来の点検作業において、点検員は、このような設定状態表を用いて、点検前の各項目の状態が、「定位」であるか「遮断」であるかを記入しておき、火災監視モードに戻す際における点検後の各項目の状態を再度記入し、点検前の状態と点検後の状態とが一致していることを確認していた。
【0040】
本実施の形態1に係る機器操作盤は、このような手作業による確認作業に関する点検員の作業負荷を軽減し、ヒューマンエラーにより設定状態の戻し忘れをなくすことを目的としており、詳細な構成について図面を用いて説明する。
【0041】
図3は、本開示の実施の形態1に係る機器操作盤の機能ブロック図である。なお、本開示における機器操作盤は、
図1に示したような火災受信機10、あるいは総合操作盤などに相当し、火災監視モードにおける監視制御、および動作点検モードにおける点検制御を実施する。
【0042】
図3では、
図1に対応して、機器操作盤が火災受信機10であるものとして示している。また、
図3では、火災受信機10に対して操作入力を与える者を操作者として記載しており、操作者は、点検員を含む者を意味している。
【0043】
機器操作盤に相当する火災受信機10は、火災判定処理部11、状態設定確認部12、および状態記憶処理部13を備えて構成されている。火災判定処理部11は、以下のような機能1を有している。
機能1:火災監視モードにおいて、発信機群201あるいは感知器群202から火災信号を受信した場合には、連動動作対象機器100を起動制御し、情報伝達、消火作業、報知処理、火災、煙等の拡散防止処理など、一連の防災作業を実施する機能。
【0044】
ここで、連動動作対象機器100には、上述したように、上位装置101、消火設備102、端末設備群103、放送設備群104、および音響設備群105が含まれる。機能1を有することにより、火災受信機10は、火災監視エリアを監視中に火災信号を受信した場合には、所望の連動動作対象機器100に対して起動指令を出力することで、適切な防災作業を実施することができる。
【0045】
また、状態設定確認部12は、以下のような機能2~機能4を有している。
機能2:操作者からの操作入力に基づいて、火災監視エリアを監視するための火災監視モードと、点検員によって防災機器の動作確認を行うための動作点検モードとの切り換えを行う機能。
【0046】
なお、状態設定確認部12は、モード切り換えを行うに当たっては、種々のインターロック条件を考慮し、インターロック条件が成立しない限り、モード切り換えを実行しないように切り換え制御を実施する。
【0047】
インターロック条件の一例として、火災発生中があり、発信機群201あるいは感知器群202から火災信号を受信している場合には、火災監視モードから動作点検モードに切り換えられないようになっている。
【0048】
機能2を有することにより、操作者は、所望のモードへ切り換えることが可能となる。なお、このようなモード切り換え制御の機能は、状態設定確認部12で実施する代わりに、火災判定処理部11あるいは状態記憶処理部13で実施する構成とすることも可能である。
【0049】
機能3:連動動作対象機器100に含まれるそれぞれの機器に対して、連動動作を行う際に出力する起動指令を強制的に遮断するか否かを設定切り換えする操作入力を操作者から受け付け、連動動作に関する設定状態を切り換える処理を実行する機能。
【0050】
機能3を有することにより、火災監視モードおよび動作確認モードのいずれにおいても、連動動作を遮断すべき機器を選定することが可能となる。
【0051】
機能4:操作者からの操作入力に応じて、起動指令を強制的に遮断するか否かに関する設定状態の一覧表示を、操作者に提供する機能。機能4を有することにより、操作者は、現状の設定状態を容易に確認することができる。
【0052】
また、状態記憶処理部13は、以下のような機能5~機能9を有している。
機能5:記憶指令信号を受信したタイミングにおける設定状態を記憶部に記憶させる機能。なお、状態記憶処理部13は、設定状態を記憶させる際に、記憶指令信号を受信した日時と関連付けた設定状態として記憶部に記憶させることができる。
【0053】
機能5を有することにより。操作者は、所望のタイミングにおける設定状態を、手書きすることなしに記憶部にデータとして記憶させておき、必要に応じて読み出すことができる。さらに、日時と関連付けられた設定状態を記憶しておくことで、操作者は、どの時点でどのような設定状態であったかを容易に確認することができる。
【0054】
機能6:火災監視モードから動作点検モードにモードが切り換わったタイミングを示すトリガ信号を記憶指令信号として受信し、火災監視モードにおける現在の設定状態を監視時設定状態として記憶部に記憶させる機能。
【0055】
機能6を有することで、動作点検作業を行う前における火災監視モードでの設定状態を、監視時設定状態として自動的に記憶部に記憶させておくことができる。
【0056】
機能7:比較指令信号を受信した場合には、現状の設定状態を一覧表示するとともに、現状の設定状態の中で監視時設定状態と異なる項目に関して識別表示を行う機能。
機能8:機能7による識別表示を行っている状態で状態復元信号を受信した場合には、現状の設定状態を監視時設定状態に復元させる設定切り換えを行う機能。
【0057】
機能7を有することで、操作者は、特に、動作確認モード中における現状の設定状態と、監視時設定状態とを容易に比較し、火災監視モードにおける設定状態に容易に復元することができる。さらに、機能8を有することで、火災監視モードにおける設定状態に一括した1つの操作で容易に復元することができる。
【0058】
なお、機能8では、操作者による操作入力により、状態復元信号が状態記憶処理部13に与えられた場合に、現状の設定状態を監視時設定状態に復元させる設定切り換えを行う場合について説明した。ただし、この機能8の代替機能として、状態記憶処理部13は、動作点検モードから火災監視モードにモードが切り換わったタイミングを示すトリガ信号を状態復元信号として受信することで、自動的に現状の設定状態を監視時設定状態に復元させる設定切り換えを行うことも可能である。
【0059】
機能9:動作点検モードから火災監視モードに復帰したタイミングを示すトリガ信号を受信した場合には、火災監視モードに復帰後の設定状態を復帰後設定状態として監視し、復帰後設定状態と監視時設定状態とが完全に一致しない状態があらかじめ設定した判定時間にわたって継続した場合には、あらかじめ設定された通報先に不一致状態であることを示す異常通報を送信する機能。
【0060】
機能9を有することで、設定状態の戻し忘れがあった場合にも、判定時間が経過した後に直ちに不一致状態を通報することができ、不一致状態により火災監視モードが継続されてしまうことを防止することができる。
【0061】
本開示に係る機器操作盤は、特に、状態記憶処理部13を備えている点に技術的特徴があり、
図4を用いて補足説明する。
図4は、本開示の実施の形態1に係る状態記憶処理部13により、機能7の識別表示を行った具体例を示した説明図である。
図4では、先の
図2に示した設定状態表と同一の項目について、遮断か定位かが示されている。また、
図4では、
図2における「点検前の状態」が「監視時設定状態」となっており、
図2における「点検後の状態」が「現状の設定状態」となっている。
【0062】
図4では、状態記憶処理部13により機能7が実行されることで、機能6により記憶された「監視時設定状態」と「現状の設定状態」が表示され、設定された状態が楕円で囲まれることで識別表示が行われている。
【0063】
具体的には、
図4の「監視時設定状態」では、動作点検を行う前の直近の火災監視モードにおいて、「シャッタ」だけが「遮断」として設定されており、その他の項目に関しては「定位」として設定されていた場合を例示している。
【0064】
さらに、
図4の「現状の設定状態」では、「監視時設定状態」と異なる設定部分として、「音響設備群遮断」の項目が「遮断」となっており、「シャッタ」の項目が「定位」となっている状態が反転表示により識別表示されている。
【0065】
すなわち、
図4では、動作点検モードから火災監視モードに戻す際に、「遮断」と設定すべき「シャッタ」の項目を「定位」に設定してしまい、「定位」と設定すべき「音響設備群遮断」の項目を「遮断」のまま戻し忘れた不一致状態が発生した状況を例示している
【0066】
操作者は、
図4のような識別表示を視認した上で、「現状の設定状態」を「監視時設定状態」と一致するように、項目毎に個別に設定変更することができる。あるいは、操作者は、機能8を活用し、「状態復元信号」を状態記憶処理部13に与えることで、「現状の設定状態」を「監視時設定状態」と一致させることができる。
【0067】
なお、状態記憶処理部13は、最低限の機能として、記憶指令信号を受信したタイミングにおける設定状態を記憶部に記憶させる機能5を備えることで、火災監視時における連動・遮断の設定状態に容易に復元することのできる機器操作盤を実現することができる。
【0068】
さらに、この機能5を活用することで、モード切り換え時以外であっても、所望のタイミングにおける設定状態を記憶部に記憶させておくことができる。特に、日時と関連付けた設定状態を時系列的に記憶部に保存させておくことで、どの時点でどのような設定状態であったかを容易に管理することができる。
【0069】
以上のように、実施の形態1によれば、状態記憶処理部を備えることで、手作業で設定状態表の記入、確認を行っていた点検員の作業負荷を軽減し、火災監視時における連動・遮断の設定状態に容易に復元することのできる機器操作盤を実現できる。
【符号の説明】
【0070】
10 火災受信機、11 火災判定処理部、12 状態設定確認部、13 状態記憶処理部、20 アドレッサブル発信機、31 火災感知器、40 感知器用中継器、41 火災感知器、50 防排煙制御用中継器、51 防火戸、52 排煙機、53 シャッタ、54 壁、61 音響装置、70 音響装置用中継器、71 音響装置、80 非常放送盤、81 スピーカ、100 連動動作対象機器、101 上位装置、102 消火設備、103 端末設備群、104 放送設備群、105 音響設備群、201 発信機群、202 感知器群。