(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066048
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】機器操作盤
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
G08B17/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175268
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】松浦 正幸
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA06
5G405BA01
5G405CA09
5G405CA25
5G405CA27
5G405CA53
(57)【要約】
【課題】動作確認を実施する際に、機器の誤選択により動作確認対象以外の機器を動作させてしまうミスの発生を抑制することのできる機器操作盤を得る。
【解決手段】火災監視モードにおいて火災監視エリアに設置された複数の防災機器を制御するとともに、複数の防災機器の動作確認を行う動作点検モードにおいて所望の防災機器に対して起動指令を出力することで動作確認を行う機器操作盤であって、複数の防災機器の起動順序があらかじめ設定された起動順序プログラムに従って、複数の防災機器のそれぞれに対する起動指令を順次出力する順序制御部を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災監視モードにおいて火災監視エリアに設置された複数の防災機器を制御するとともに、前記複数の防災機器の動作確認を行う動作点検モードにおいて所望の防災機器に対して起動指令を出力することで前記動作確認を行う機器操作盤であって、
前記複数の防災機器の起動順序があらかじめ設定された起動順序プログラムに従って、前記複数の防災機器のそれぞれに対する前記起動指令を順次出力する順序制御部を有する
機器操作盤。
【請求項2】
前記順序制御部は、前記複数の防災機器のそれぞれに対する起動指令の出力時刻が個別に設定された前記起動順序プログラムに従って前記起動指令を順次出力する
請求項1に記載の機器操作盤。
【請求項3】
前記順序制御部は、
前記複数の防災機器のそれぞれに対する起動指令の出力順番が前記起動順序プログラムとしてあらかじめ設定されており、
外部から起動許可指令を受信するごとに、前記起動順序プログラムに従って前記起動指令を順次出力する
請求項1に記載の機器操作盤。
【請求項4】
前記順序制御部は、外部から順序制御停止指令を受信することで、前記起動順序プログラムの実行を停止する
請求項1から3のいずれか1項に記載の機器操作盤。
【請求項5】
前記順序制御部は、前記起動指令を出力したことにより機器操作盤側で実施される表示処理内容を外部に出力する
請求項1から3のいずれか1項に記載の機器操作盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防災機器の動作確認に適した機器操作盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災受信機、発信機、中継器、音響装置、感知器、防排煙機器等を備えて構成され、防火対象である建物内の火災監視エリアで発生する火災を迅速に検知し、消火作業、避難誘導等を行う自動火災報知設備がある(例えば、非特許文献1参照)。自動火災報知設備では、感知器が熱や煙を感知することで、火災受信機に対して火災信号を送信する。
【0003】
火災信号を受信した火災受信機は、火災発生場所に応じて、警報を発し、音響装置を鳴動させ、建物内にいる人に火災の発生を知らせる。さらに、火災信号を受信した火災受信機は、炎あるいは煙の拡大を防ぐために、火災発生場所に応じて、防排煙機器を連動動作させる。
【0004】
このように、火災受信機は、自動火災報知設備に含まれる種々の防災機器に関する集中制御を行う。なお、このような集中制御は、総合操作盤など、その他の設備でも行うことができる。そこで、本開示では、種々の防災機器に関する集中制御を行う火災受信機、総合操作盤などの設備のことを、機器操作盤と総称することとする。
【0005】
種々の防災機器の中には、火災信号を受信した機器操作盤から起動指令を出力することで、火災信号を出力した機器と連動して動く連動機器群が含まれている。定期点検などにおいては、連動機器群に含まれる防災機器に対して機器操作盤から起動指令を出力することで、動作確認が実施される。
【0006】
具体的には、管理室等に設置されている機器操作盤から、点検対象である機器を選択して起動指令を出力する操作が行われることで、所望の機器の動作確認を管理室からの操作に基づいて行うことができる。
【0007】
このような機器操作盤では、操作者が、所望の機器を選択して起動操作をする際に、起動スイッチが配置された画面において「起動してもよいか」といった確認メッセージを表示させ、操作者にリマインドさせる確認機能を備えたものがある。
【0008】
確認メッセージを表示させることで、操作者は、起動させるべき本来の機器を正しく選択することができたかを確認でき、管理室において誤って間違った機器を選択し起動させてしまうミスが発生することを防止している(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】能美防災株式会社 ホームページ、自動火災報知設備(URL:https://www.nohmi.co.jp/product/materiel/fid.html)
【非特許文献2】能美防災株式会社 ホームページ、総合操作盤(URL:https://www.nohmi.co.jp/product/crt_display_system/c13_001.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
起動スイッチを操作すると、選択された機器に対して機器操作盤から起動指令が送信され、点検のための動作を開始する。点検対象となる自動火災報知設備では、同一フロアの異なる場所に同じタイプの機器が設置されている場合、あるいは複数のフロアで機器の配置が類似している場合が考えられる。
【0011】
このような場合には、単純に確認メッセージを表示させるだけでは、操作者の確認不足により、同一フロアで異なる場所に配置された機器、あるいは点検対象以外のフロアに配置された機器を選択して動作させてしまうミスが発生するおそれがある。そして、予想外の機器を動作させてしまうことで、器物の損傷、けが人の発生などを招いてしまうおそれがある。
【0012】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、動作確認を実施する際に、機器の誤選択により動作確認対象以外の機器を動作させてしまうミスの発生を抑制することのできる機器操作盤を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係る機器操作盤は、火災監視モードにおいて火災監視エリアに設置された複数の防災機器を制御するとともに、複数の防災機器の動作確認を行う動作点検モードにおいて所望の防災機器に対して起動指令を出力することで動作確認を行う機器操作盤であって、複数の防災機器の起動順序があらかじめ設定された起動順序プログラムに従って、複数の防災機器のそれぞれに対する起動指令を順次出力する順序制御部を有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、動作確認を実施する際に、機器の誤選択により動作確認対象以外の機器を動作させてしまうミスの発生を抑制することのできる機器操作盤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る機器操作盤に相当する火災受信機を含む自動火災報知設備の全体構成図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る機器操作盤の機能ブロック図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る起動順序プログラムに関する第1の具体例を示した説明図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る起動順序プログラムに関する第2の具体例を示した説明図である。
【
図5】本開示の実施の形態1に係る順序制御部によって、第1の具体例として示した起動順序プログラムを実行する場合のフロー図である。
【
図6】本開示の実施の形態1に係る順序制御部によって、第2の具体例として示した起動順序プログラムを実行する場合のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の機器操作盤の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る機器操作盤は、複数の防災機器のそれぞれに対する起動指令をあらかじめ設定した起動順序プログラムに従って順次出力することで、動作確認対象の機器を順次選択する操作を不要としたことを技術的特徴とするものである。なお、以下では、機器操作盤の一例を火災受信機として、火災受信機を備えた自動火災報知設備を具体例として、詳細な説明を行うこととする。
【0017】
実施の形態1.
まず始めに、自動火災報知設備の全体像について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係る機器操作盤に相当する火災受信機を含む自動火災報知設備の全体構成図である。火災受信機10は、信号線SG1を介して、アドレッサブル発信機20、火災感知器31、32、感知器用中継器40、および防排煙制御用中継器50と接続されている。
【0018】
感知器用中継器40には、火災感知器が複数台接続されている。
図1では、2台の火災感知器41、42を例示している。また、防排煙制御用中継器50には、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54が接続されている。
【0019】
また、火災受信機10は、信号線SG2を介して、音響装置61、62、および音響装置用中継器70と接続されている。さらに、音響装置用中継器70には、音響装置が複数台接続されている。
図1では、2台の音響装置71、72を例示している。
【0020】
また、火災受信機10は、非常放送盤80とも接続されている。非常放送盤80には、スピーカが複数台接続されている。
図1では、2台のスピーカ81、82を例示している。
【0021】
ここで、火災感知器31、32、および火災感知器41、42は、あらかじめ設定されたそれぞれの火災監視エリアにおいて火災の発生を感知する複数の火災感知器に相当する。複数の火災感知器により感知器群が構成される。
【0022】
また、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54は、複数の火災感知器のそれぞれの感知結果と連動して動作し、火災、煙等の拡散を防止するために機能する複数の端末設備に相当する。複数の端末設備により、端末設備群が構成される。
【0023】
また、音響装置61、62、および音響装置71、72は、あらかじめ設定されたそれぞれの地区において火災の発生を報知する複数の地区音響装置に相当する。複数の地区音響装置により、音響設備群が構成される。
【0024】
また、スピーカ81、82は、あらかじめ設定されたそれぞれの地区において火災の発生、避難誘導などのメッセージ出力を行う複数の放送設備に相当する。複数の放送設備により、放送設備群が構成される。
【0025】
複数の火災感知器のそれぞれは、個々の火災感知器を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。そして、複数の火災感知器のそれぞれは、火災を感知した場合には、自身に割り付けられたアドレス情報を含めた信号として、火災信号を火災受信機10に対して送信することができる。一方、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の火災感知器に対して必要な情報を送信することができる。
【0026】
また、複数の端末設備のそれぞれにも、個々の端末設備を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の端末設備を稼働させる起動指令を送信することができる。
【0027】
また、複数の音響装置のそれぞれにも、個々の音響装置を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の音響装置を鳴動させる起動指令を送信することができる。
【0028】
さらに、複数の放送設備のそれぞれにも、個々の放送設備を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、非常放送盤80を介して、所望の放送設備から所望の音声メッセージを出力させる起動指令を送信することができる。
【0029】
このような構成により、火災受信機10は、あらかじめ決められた種々の火災監視エリアに設置されている複数の火災感知器、およびアドレッサブル発信機20から火災信号を収集する。そして、火災受信機10は、収集した火災信号に基づいて、火災警報を行い、端末設備群を作動させることができる。
【0030】
また、火災受信機10は、収集した火災信号に基づいて、警報が必要な地区に設置された音響装置のベルを鳴動させることができ、音声メッセージによる避難誘導が必要な地区に設置された放送設備から所望の音声メッセージを出力させることができる。なお、複数の音響装置のそれぞれ、および複数の放送設備のそれぞれは、どの火災感知器の感知結果と連動して動作するかがあらかじめ規定されている。
【0031】
また、図示は省略しているが、火災受信機10は、収集した火災信号に基づいて、移報信号を出力し、消火設備を起動して消火作業を開始したり、ネットワークを介して上位装置に対して火災信号を伝送したりすることができる。
【0032】
本実施の形態1において、
図1に示した端末設備群、音響設備群、放送設備群に含まれる各防災機器は、感知器群あるいはアドレッサブル発信機20から火災信号が収集されることで、火災受信機10からの起動指令により連動動作をする機器に相当する。
【0033】
なお、消火設備および上位装置は、感知器群あるいはアドレッサブル発信機20から火災信号が収集されることで、火災受信機10からの移報信号(起動指令に相当)により連動動作をする機器に相当する。そこで、本開示においては、消火設備および上位装置についても、火災受信機10からの起動指令により連動動作をする機器に含まれるものとして説明する。
【0034】
動作点検モードにおいては、自動火災報知設備に含まれる個々の機器の動作確認が行われる。このような動作点検モードでは、通常の火災監視モードとは異なり、火災信号を受信しない状態で、火災受信機10から強制的に起動指令を出力することで、端末設備群、音響設備群、放送設備群に含まれる各防災機器、消火設備、上位装置などの動作確認を実施する場合がある。
【0035】
冒頭でも説明したように、現状では、火災受信機10において、動作確認対象の機器を順次選択し、起動指令を出力する操作を繰り返し行う必要がある。これに対して、本実施の形態1では、複数の防災機器のそれぞれに対する起動指令を出力する順序をあらかじめ設定した起動順序プログラムを活用することで、動作確認対象の機器を順次選択する操作を不要とすることを実現しており、詳細な構成について図面を用いて説明する。
【0036】
図2は、本開示の実施の形態1に係る機器操作盤の機能ブロック図である。なお、本開示における機器操作盤は、
図1に示したような火災受信機10、あるいは総合操作盤などに相当し、火災監視モードにおける監視制御、および動作点検モードにおける点検制御を実施する。
【0037】
図2では、
図1に対応して、機器操作盤が火災受信機10であるものとして示している。また、
図2では、火災受信機10に対して外部から各種指令を与える機器として、点検員が所持している携帯端末301を例示している。また、火災信号の発信元を、発信機群201および感知器群202として例示している。
【0038】
さらに、火災監視モード時および動作点検モード時において、火災受信機10から出力される起動指令に基づいて動作する各種機器を、動作点検モード時における順序制御対象機器100として例示している。順序制御対象機器100は、火災監視モードにおける連動動作対象機器に相当する。順序制御対象機器100には、上位装置101、消火設備102、端末設備群103、放送設備群104、および音響設備群105が含まれる。
【0039】
なお、図示は省略しているが、監視対象設備にエレベータ、エスカレータ等が設置されている場合には、火災受信機10からの起動指令により、エレベータ、エスカレータ等に関して、例えば動作を停止させる、あるいは動作を制限させることが考えられる。従って、エレベータ、エスカレータ等も、順序制御対象機器100に含まれる機器に相当する。
【0040】
機器操作盤に相当する火災受信機10は、火災判定処理部11、順序制御部12、および記憶部13を備えて構成されている。火災判定処理部11は、以下のような機能1を有している。
機能1:火災監視モードにおいて、発信機群201あるいは感知器群202から火災信号を受信した場合には、連動動作対象機器に相当する順序制御対象機器100を起動制御し、情報伝達、消火作業、報知処理、火災、煙等の拡散防止処理など、一連の防災作業を実施する機能。
【0041】
機能1を有することにより、火災受信機10は、火災監視エリアを監視中に火災信号を受信した場合には、所望の順序制御対象機器100に対して起動指令を出力することで、適切な防災作業を実施することができる。
【0042】
また、順序制御部12は、以下のような機能2~機能4を有している。
機能2:動作点検モードにおいて、順序制御対象機器100に含まれる複数の防災機器のそれぞれに対して、あらかじめ設定した起動順序プログラムに従って順次、起動指令を出力する機能。
【0043】
起動順序プログラムは、点検員によってあらかじめ作成され、記憶部13に記憶されている。なお、起動順序プログラムは、機器操作盤を用いて作成することができるが、上位装置、携帯端末等、その他の装置を用いて作成し、記憶部13に記憶させることも可能である。起動順序プログラムとして設定される具体的な項目については、
図3および
図4を用いて後述する。
【0044】
機能2を有することにより、点検員は、動作確認対象の機器を順次選択する煩わしい操作を行う必要がなく、動作対象機器が設置されている場所で、順次実行される動作を確認することができる。
【0045】
機能3:外部から順序制御停止指令を受信することで、起動順序プログラムの実行を停止する機能。機能3を有することにより、点検員は、設置現場で動作確認中に不具合等が発生した際にも、所持している携帯端末301を用いて順序制御停止指令を順序制御部12に送信することで、直ちに起動順序プログラムに基づく一連動作を終了させることができる。
【0046】
機能4:起動指令を出力したことにより火災受信機10側で実施される表示処理内容を外部に出力する機能。機能4を有することにより、点検員は、設置現場で動作確認を行っている際に、所持している携帯端末301で表示処理内容を受信することで、設置現場にいながら表示処理内容を把握することが可能となる。
【0047】
次に、起動順序プログラムに関する具体例について説明する。
図3は、本開示の実施の形態1に係る起動順序プログラムに関する第1の具体例を示した説明図である。
図3に示した第1の具体例では、順序制御対象機器として、
図1における端末設備群内の4つの機器、放送設備群内の2つの機器、音響設備群内の4つの機器、の合計10台の機器を例示している。
【0048】
点検員は、動作確認を行う前に、所望の起動順序に対応付けて、順序制御対象機器および起動指令出力時刻を、
図3に示したような表形式で個別に設定できる。第1の具体例では、起動順序ごとに、順序制御対象機器に関する階床と機器名、および起動指令出力時刻が設定できる。
【0049】
従って、点検員は、火災受信機10に画面表示されたレイアウトから、順次、機器を選択し、起動指令を出力する手間を解消できる。また、点検員は、表形式で入力し、その内容を確認することができ、例えば、他の階床の機器に対して起動指令を出力してしまう操作ミスを未然に防ぐことができる。
【0050】
なお、
図3の例では、起動順序ごとに1つの機器に対して起動指令が出力される場合を例示しているが、同一の起動順序の欄に複数の順序制御対象機器を設定することも可能である。この場合には、順序制御部12は、同一の起動順序として設定された複数の順序制御対象機器に対して同時刻に起動指令を出力し、点検員は、複数の順序制御対象機器の動作確認を並行して行うことができる。
【0051】
動作点検モードにおいて、火災受信機10内の順序制御部12は、
図3に示した起動順序プログラムに従って、2022年10月10日22時0分0秒になった時点で、起動順序1として設定されている1階の防火戸51に対して起動指令を出力する。
【0052】
この場合、点検員は、火災受信機10での選択操作、起動指令出力操作を行うことなしに、1階の防火戸51の近傍で、周囲の状況を確認した上で、防火戸51の動作確認を直ちに行うことができる。
【0053】
その後、順序制御部12は、
図3に示した起動順序プログラムとして設定されている起動指令出力時刻になるごとに、起動順序2以降の順序制御対象機器に対して起動指令を順次出力していく。
【0054】
これに対して、点検員は、起動順序に従って順次動作する順序制御対象機器について、それぞれの設置場所で効率的に動作確認することができる。
【0055】
順序制御部12は、最終的に、順序制御対象機器の設定がないことを示す「END」情報を読み取ることで、起動順序プログラムによる一連動作を終了させる。
【0056】
点検員は、起動順序プログラムによる一連動作中に、設置現場において、何らかの不具合などが生じたことを発見した場合には、所持している携帯端末301を利用して順序制御停止指令を送信することができる。これに対して、順序制御部12は、順序制御停止指令を受信した場合には、機能3を実行することで、直ちに一連動作を終了させることができる。
【0057】
すなわち、機能3を活用することで、点検員は、設置現場での動作確認状況に応じて、起動順序プログラムの実行を直ちに停止することができる。従って、器物の損傷、けが人の発生などを未然に防止することができる。
【0058】
次に、
図4は、本開示の実施の形態1に係る起動順序プログラムに関する第2の具体例を示した説明図である。
図3に示した第1の具体例では、起動指令出力時刻の欄に、所望の時刻を事前設定していた。
【0059】
これに対して、
図4に示した第2の具体例では、起動指令出力時刻の欄に「起動許可指令待ち」が設定されており、外部から起動許可指令を受信するごとに、順序制御部12が起動順序に従った出力順番で、順次、起動指令を出力する構成となっている。
【0060】
点検員は、動作確認を行う前に、所望の起動順序に対応付けて、順序制御対象機器および起動指令出力時刻を、
図4に示したような表形式で個別に設定できる。第2の具体例では、起動順序ごとに、順序制御対象機器に関する階床と機器名が設定でき、起動指令出力時刻としては、「起動許可指令待ち」が設定されることとなる。
【0061】
従って、点検員は、火災受信機10に画面表示されたレイアウトから、順次、機器を選択し、起動指令を出力する手間を解消できる。また、点検員は、表形式で入力し、その内容を確認することができ、例えば、他の階床の機器に対して起動指令を出力してしまう操作ミスを未然に防ぐことができる。
【0062】
なお、
図4の例では、起動順序ごとに1つの機器に対して起動指令が出力される場合を例示しているが、同一の起動順序の欄に複数の順序制御対象機器を設定することも可能である。この場合には、順序制御部12は、同一の起動順序として設定された複数の順序制御対象機器に対して同時刻に起動指令を出力し、点検員は、複数の順序制御対象機器の動作確認を並行して行うことができる。
【0063】
動作点検モードにおいて、火災受信機10内の順序制御部12は、
図4に示した起動順序プログラムに従って、外部から起動許可指令を受信した時点で、起動順序1として設定されている1階の防火戸51に対して起動指令を出力する。
【0064】
この場合、点検員は、火災受信機10での選択操作、起動指令出力操作を行うことなしに、1階の防火戸51の近傍で、周囲の状況を確認した上で、防火戸51の動作確認を直ちに行うことができる。なお、点検員は、確認準備ができ次第、起動順序1として設定されている1階の防火戸51に関する起動許可指令を送信することで、起動開始タイミングを容易に把握することができる。
【0065】
その後、順序制御部12は、
図4に示した起動順序プログラムに従って、外部から起動許可信号を受信するごとに、起動順序2以降の順序制御対象機器に対して起動指令を順次出力していく。
【0066】
これに対して、点検員は、起動順序に従って順次動作させる予定の順序制御対象機器について、確認準備ができ次第、携帯端末301から起動許可指令を送信し、それぞれの設置場所で所望のタイミングで効率的に動作確認することができる。
【0067】
順序制御部12は、最終的に、順序制御対象機器の設定がないことを示す「END」情報を読み取ることで、起動順序プログラムによる一連動作を終了させる。
【0068】
点検員は、起動順序プログラムによる一連動作中に、設置現場において、何らかの不具合などが生じたことを発見した場合には、所持している携帯端末301を利用して順序制御停止指令を送信することができる。これに対して、順序制御部12は、順序制御停止指令を受信した場合には、機能3を実行することで、直ちに一連動作を終了させることができる。
【0069】
すなわち、機能3を活用することで、点検員は、設置現場での動作確認状況に応じて、起動順序プログラムの実行を直ちに停止することができる。従って、器物の損傷、けが人の発生などを未然に防止することができる。
【0070】
なお、
図3、
図4に示した具体例は一例であり、起動順序プログラムとしては、以下のような設定を行うことも可能である。
・移報信号の出力対象である上位装置101。消火設備102に関しても、順序制御対象機器として設定可能である。
・順序制御対象機器として、階床が異なる機器を含めることも可能である。
【0071】
次に、
図3に示した起動順序プログラムに関する第1の具体例、および
図4に示した起動順序プログラムに関する第2の具体例に関する一連処理を、フロー図を用いて説明する。
図5は、本開示の実施の形態1に係る順序制御部12によって、第1の具体例として示した起動順序プログラムを実行する場合のフロー図である。
【0072】
なお、それぞれの起動順序において起動される機器は異なるが、
図5のフロー図では、起動される個々の機器を、「所望の順序制御対象機器100」としてまとめて記載している。
【0073】
まず初めに、ステップS501において、順序制御部12は、記憶部13にあらかじめ記憶されている起動順序プログラムを読み込む。
図5の例では、先の
図3に示した第1の具体例による起動順序プログラムが読み込まれることになる。そこで、以下では、
図3に記載された第1の具体例を用いて説明する。
【0074】
次に、ステップS502において、順序制御部12は、起動順序1の起動指令出力時刻になったタイミングで、起動順序1の順序制御対象機器である1階の防火戸51に対して起動指令を出力する。
【0075】
なお、順序制御部12は、起動順序1の順序制御対象機器である1階の防火戸51に対して起動指令を出力する前に、建物管理者、点検責任者、点検員などに対してプッシュ通知し、一連の順序制御が開始されることを事前に知らせることも可能である。
【0076】
一方、ステップS503において、起動順序1の順序制御対象機器である1階の防火戸51は、起動指令を受信することで、起動する。従って、点検員は、防火戸51が設置されている場所で、防火戸51の動作確認を行うことができる。
【0077】
次に、ステップS504において、順序制御部12は、起動順序2の起動指令出力時刻になったタイミングで、起動順序2の順序制御対象機器である1階の排煙機52に対して起動指令を出力する。
【0078】
一方、ステップS505において、起動順序2の順序制御対象機器である1階の排煙機52は、起動指令を受信することで、起動する。従って、点検員は、排煙機52が設置されている場所で、排煙機52の動作確認を行うことができる。
【0079】
その後、起動順序3~起動順序9について、順次起動指令が出力され、動作確認が実施される。そして、ステップS506において、順序制御部12は、起動順序10の起動指令出力時刻になったタイミングで、起動順序10の順序制御対象機器である1階の音響装置72に対して起動指令を出力する。
【0080】
一方、ステップS507において、起動順序10の順序制御対象機器である1階の音響装置72は、起動指令を受信することで、起動する。従って、点検員は、音響装置72が設置されている場所で、音響装置72の動作確認を行うことができる。
【0081】
次に、ステップS508において、順序制御部12は、起動順序11において順序制御対象機器の設定がないことを示す「END」情報を読み取ることで、一連の順序制御を終了する。
【0082】
なお、
図5では図示を省略したが、点検員は、動作確認を実施中の任意のタイミングで、所持している携帯端末301を利用して順序制御停止指令を送信することで、一連の順序制御を、火災受信機10が設置されている場所ではなく各機器の設置現場から、強制的に終了させることができる。
【0083】
図6は、本開示の実施の形態1に係る順序制御部12によって、第2の具体例として示した起動順序プログラムを実行する場合のフロー図である。なお、それぞれの起動順序において起動される機器は異なるが、
図6のフロー図では、先の
図5のフロー図と同様に、起動される個々の機器を、「所望の順序制御対象機器100」としてまとめて記載している。
【0084】
まず初めに、ステップS601において、順序制御部12は、記憶部13にあらかじめ記憶されている起動順序プログラムを読み込む。
図6の例では、先の
図4に示した第2の具体例による起動順序プログラムが読み込まれることになる。そこで、以下では、
図4に記載された第2の具体例を用いて説明する。また、動作確認を行う点検員が携帯端末301を所持しているものとして説明する。
【0085】
次に、ステップS602において、点検員は、携帯端末301を利用して、順序制御を開始させるために、起動許可信号を出力する。ここで、点検員は、起動順序1の順序制御対象機器である1階の防火戸51の近傍に移動し、動作確認の準備が整った状態で、起動許可信号を出力することができる。
【0086】
また、順序制御部12は、起動順序1の順序制御対象機器である1階の防火戸51に対して起動指令を出力する前に、建物管理者、点検責任者などに対してプッシュ通知し、起動許可通知を受信したことで一連の順序制御が開始されることを事前に知らせることも可能である。
【0087】
次に、ステップS603において、順序制御部12は、携帯端末301から起動許可信号を受信することで、起動順序1の順序制御対象機器である1階の防火戸51に対して起動指令を出力する。
【0088】
一方、ステップS604において、起動順序1の順序制御対象機器である1階の防火戸51は、起動指令を受信することで、起動する。従って、点検員は、防火戸51が設置されている場所で、自身が送信した起動許可指令に応じて起動される防火戸51の動作確認を行うことができる。
【0089】
次に、ステップS605において、点検員は、1階の防火戸51の動作確認が完了した後に、携帯端末301を利用して、次の起動順序の順序制御対象機器を起動させるために、起動許可信号を出力する。ここで、点検員は、起動順序2の順序制御対象機器である1階の排煙機52の近傍に移動し、動作確認の準備が整った状態で、起動許可信号を出力することができる。
【0090】
次に、ステップS606において、順序制御部12は、携帯端末301から起動許可信号を受信することで、起動順序2の順序制御対象機器である1階の排煙機52に対して起動指令を出力する。
【0091】
一方、ステップS607において、起動順序2の順序制御対象機器である1階の排煙機52は、起動指令を受信することで、起動する。従って、点検員は、排煙機52が設置されている場所で、自身が送信した起動許可指令に応じて起動される排煙機52の動作確認を行うことができる。
【0092】
その後、起動順序3~起動順序9について、順次、起動許可指令に応じて起動指令が出力され、動作確認が実施される。そして、ステップS608において、点検員は、起動順序9における1階の音響装置71の動作確認が完了した後に、携帯端末301を利用して、次の起動順序の順序制御対象機器を起動させるために、起動許可信号を出力する。ここで、点検員は、起動順序10の順序制御対象機器である1階の音響装置72の近傍に移動し、動作確認の準備が整った状態で、起動許可信号を出力することができる。
【0093】
次に、ステップS609において、順序制御部12は、携帯端末301から起動許可信号を受信することで、起動順序10の順序制御対象機器である1階の音響装置72に対して起動指令を出力する。
【0094】
一方、ステップS610において、起動順序10の順序制御対象機器である1階の音響装置72は、起動指令を受信することで、起動する。従って、点検員は、音響装置72が設置されている場所で、自身が送信した起動許可指令に応じて起動される音響装置72の動作確認を行うことができる。
次に、ステップS611において、順序制御部12は、起動順序11において順序制御対象機器の設定がないことを示す「END」情報を読み取ることで、一連の順序制御を終了する。
【0095】
なお、
図6では図示を省略したが、点検員は、動作確認を実施中の任意のタイミングで、所持している携帯端末301を利用して順序制御停止指令を送信することで、一連の順序制御を、火災受信機10が設置されている場所ではなく各機器の設置現場から、強制的に終了させることができる。
【0096】
なお、実施の形態1では説明を省略したが、起動順序プログラムによって規定された
図3あるいは
図4の表形式のデータに関しては、点検員が所持する携帯端末301側に表示させることで、点検員が起動順序を容易に把握することが可能となる。
【0097】
また、点検員は、携帯端末301を利用して動作確認結果等をデータ化して送信することで、不具合履歴、故障履歴等を火災受信機10内の記憶部13に蓄積することも可能である。
【0098】
また、順序制御として、シャッタのように起動制御だけではなく、復帰制御がある場合には、復帰制御も順序に含めて、起動後に復帰するかを確認するようにすることも可能である。
【0099】
以上のように、実施の形態1によれば、あらかじめ設定した起動順序プログラムに従って、所望の機器を所望のタイミングで起動させ、設置現場における動作確認を効率的に実施することができる機器操作盤を実現できる。
【0100】
従来は、機器操作盤が設置されている管理室側と、動作確認対象機器が設置されている現場とに分かれて点検員を配置する必要があった。これに対して、起動順序プログラムを用いることで、管理室側に点検員を配置する必要がなくなり、人員削減を図ることができる。
【0101】
さらに、起動順序プログラムによる事前設定を行うことで、機器操作盤に画面表示されたレイアウトから、順次、機器を選択し、起動指令を出力する手間をなくすことができるとともに、間違った機器を選択し起動させてしまう操作ミスを未然に防止することができる。
【0102】
また、監視環境に応じた種々の機器構成に対しても、適切な起動順序プログラムを作成することで、容易に順序制御による効率的な動作確認を実現することができる。
【符号の説明】
【0103】
10 火災受信機、11 火災判定処理部、12 順序制御部、13 記憶部、20 アドレッサブル発信機、31 火災感知器、40 感知器用中継器、41 火災感知器、50 防排煙制御用中継器、51 防火戸、52 排煙機、53 シャッタ、54 たれ壁、61、62 音響装置、70 音響装置用中継器、71、72 音響装置、80 非常放送盤、81、82 スピーカ、100 順序制御対象機器、101 上位装置、102 消火設備、103 端末設備群、104 放送設備群、105 音響設備群、201 発信機群、202 感知器群、301 携帯端末。