IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オンキヨー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電子機器 図1
  • 特開-電子機器 図2
  • 特開-電子機器 図3
  • 特開-電子機器 図4
  • 特開-電子機器 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066058
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20240508BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H04R1/00 317
H04R1/10 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175300
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 武士
【テーマコード(参考)】
5D005
5D017
【Fターム(参考)】
5D005BA02
5D005BA15
5D017AB12
(57)【要約】
【課題】ユーザーが外音を聴取可能な手段を提供すること。
【解決手段】イヤホン1は、イヤホン1の外殻を構成するシェル2と、シェル2の内部に設けられ、振動面4aがシェル2から外部に露出する骨伝導デバイス4と、を備える。また、装着時に耳の内部に向けて延びる、シェル2の先端部分に、シェル2の内部から外部に貫通する貫通孔21aが設けられている。また、シェル2の先端部分に、スリット21bが設けられている。シェル2は、装着時に耳側に位置する第1シェル21と、第1シェル21に対して、装着時に耳の反対側に位置する第2シェル22と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機器の外殻を構成するシェルと、
前記シェルの内部に設けられ、振動面が前記シェルから外部に露出する骨伝導デバイスと、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
装着時に耳の内部に向けて延びる、前記シェルの先端部分に、前記シェルの内部から外部に貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
装着時に耳の内部に向けて延びる、前記シェルの先端部分に、スリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記シェルの内部において、前記骨伝導デバイスと空洞により接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
装着時に耳の内部に向けて延びる、前記シェルの先端部分であって、前記貫通孔の周囲に、複数のスリットが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記スリットは、前記シェルの先端部分から後方に向かって延び、
前記スリットの深さは、先端部分から後方に向かって浅くなることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項7】
前記シェルは、
装着時に耳側に位置する第1シェルと、
前記第1シェルに対して、装着時に耳の反対側に位置する第2シェルと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1シェルは、耳甲介の形状に基づくことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
装着時に前記シェルの耳に近い側と反対側に位置する装着部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記装飾部は、前記シェルに対して、着脱可能であることを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記シェルは、前記装飾部を着脱可能に固定するための着脱部を有し、
前記装飾部は、自部を着脱可能に固定するための被着脱部することを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項12】
前記着脱部、及び、前記被着脱部は、それぞれ、マグネットであることを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
音源からの音を出力するプラグが接続されるコネクタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項14】
前記骨伝導デバイスは、ダイナミック型の加振器であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項15】
イヤホンであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項16】
補聴器であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項17】
集音器であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤホン、補聴器、集音器等の音を聴取するための電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
イヤホンの中には、カスタムIEM(In Ear Monitor)と呼ばれているイヤホンがある。特許文献1~3には、カスタムIEMについての記載がある。カスタムIEMイヤホンにおいては、ユーザーの耳型が採取され、シェル化して使用される。図4は、カスタムIEMイヤホンの一例を示す図である。図5は、ユーザーがカスタムIEMイヤホンをオーダーする流れを示すフローチャートである。シェルは、ユーザーから採取された耳型に基づいて作成され、イヤホンの外殻となる部分である。フェイスプレートは、イヤホンを装飾する部分である。コネクタには、ケーブルが接続される。コネクタは、例えば、「T2」と呼ばれるタイプのコネクタ、「MMCX」と呼ばれるタイプのコネクタである。一般に、カスタムIEMイヤホンにおいては、以下のようなメリット、及び、デメリットが存在する。
【0003】
メリット
(1)フィット感がよく、イヤホンが、耳から外れにくい。
(2)遮音性が高く、ユーザーは、小音量でもしっかりと聴けるため、ユーザーの鼓膜へのダメージが少ない。
(3)フェイスプレート等、好きな色を組み合わせて、自分だけのデザインを楽しめる。
(4)イヤーピースを使用しないため、音質変化・イヤホンが耳に合わない等の悩みが解消する。
【0004】
デメリット
(1)補聴器等を扱っている専門店での耳型採取が必要。
(2)納品まで時間が必要(2~4か月程度)。
(3)多様なユーザーに汎用的なユニバーサルモデルに比べて高価である(最低でも3~5万円)。
(4)外音が遮断されるため、ユーザーは、外出時に危険を伴う。
(5)オーダーメイド製品であるため、返金や返品の対応ができず、ただひとつの製品となってしまい、デザインのフレキシビリティが低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-201786号公報
【特許文献2】特許第5872722号公報
【特許文献3】特許第5849296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イヤホンは、耳を塞いでしまうため、特に、耳への密着度が高い、上述のカスタムIEMイヤホンでは、ユーザーは、外音を聴取できずに危険であるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、ユーザーが外音を聴取可能な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明の電子機器は、自機器の外殻を構成するシェルと、前記シェルの内部に設けられ、振動面が前記シェルから外部に露出する骨伝導デバイスと、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、骨伝導デバイスの振動面は、シェルから外部に露出している。このため、電子機器を装着したユーザーの耳に、直接、骨伝導デバイスの振動が伝わるため、ユーザーは、電子機器から発生される音を十分に聴取することができる。このため、ユーザーは、耳を塞ぐことなく、電子機器から発生される音を聴取することができ、外音(外からの音)を十分に聴取することができる。これにより、ユーザーは、外出時に危険を伴うことがない。さらに、ユーザーは、電子機器を耳穴に入れる必要がないため、長時間装着による耳の痛みを伴うことがない。
【0010】
第2の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、装着時に耳の内部に向けて延びる、前記シェルの先端部分に、前記シェルの内部から外部に貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、装着時に耳の内部に向けて延びる、シェルの先端部分に、シェルの内部から外部に貫通する貫通孔が設けられている。貫通孔により、骨伝導に加え、骨伝導デバイスからの気導音の音道も確保することができる。
【0012】
第3の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、装着時に耳の内部に向けて延びる、前記シェルの先端部分に、スリットが設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明では、装着時に耳の内部に向けて延びる、シェルの先端部分に、スリットが設けられている。ユーザーは、スリットにより、さらに、十分に外音を認識することができる。
【0014】
第4の発明の電子機器は、第2の発明の電子機器において、前記貫通孔は、前記シェルの内部において、前記骨伝導デバイスと空洞により接続されていることを特徴とする。
【0015】
従来の骨伝導デバイスを用いた電子機器(例えば、イヤホン)では、骨部に振動を伝達させる方式のため、こもり音が生じていた。本発明では、貫通孔は、シェルの内部において、骨伝導デバイスと空洞により接続されている。これにより、骨伝導デバイスからの気導音の音道も確保されるため、気導音を利用している一般のイヤホン同様、ワイドレンジ化を図ることができる。
【0016】
第5の発明の電子機器は、第2の発明の電子機器において、装着時に耳の内部に向けて延びる、前記シェルの先端部分であって、前記貫通孔の周囲に、複数のスリットが設けられていることを特徴とする。
【0017】
第6の発明の電子機器は、第3の発明の電子機器において、前記スリットは、前記シェルの先端部分から後方に向かって延び、前記スリットの深さは、先端部分から後方に向かって浅くなることを特徴とする。
【0018】
第7の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、前記シェルは、装着時に耳側に位置する第1シェルと、前記第1シェルに対して、装着時に耳の反対側に位置する第2シェルと、を有することを特徴とする。
【0019】
第8の発明の電子機器は、第7の発明の電子機器において、前記第1シェルは、耳甲介の形状に基づくことを特徴とする。
【0020】
本発明では、第1シェルは、耳甲介の形状に基づいている。従って、骨伝導デバイスを用いたイヤホン等で懸念される、骨部との接触圧による音質への悪影響が解消される。
【0021】
第9の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、装着時に前記シェルの耳に近い側と反対側に位置する装着部をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
本発明では、電子機器は、装着時にシェルの耳に近い側と反対側に位置する装飾部を備える。このため、装飾部によって、電子機器を装飾することができる。
【0023】
第10の発明の電子機器は、第9の発明の電子機器において、前記装飾部は、前記シェルに対して、着脱可能であることを特徴とする。
【0024】
例えば、従来のカスタムIEMイヤホンでは、オーダーメイド製品であるため、好みのデザインを自由に選ぶことができるが、例えば、その日の気分にデザインを変えること等はできない。本発明では、装飾部は、シェルに対して、着脱可能である。このため、ユーザーは、様々な装飾部を、その日の気分、服装に合わせて、自由に選択することが可能となる。
【0025】
第11の発明の電子機器は、第9の発明の電子機器において、前記シェルは、前記装飾部を着脱可能に固定するための着脱部を有し、前記装飾部は、自部を着脱可能に固定するための被着脱部することを特徴とする。
【0026】
第12の発明の電子機器は、第11の発明の電子機器において、前記着脱部、及び、前記被着脱部は、それぞれ、マグネットであることを特徴とする。
【0027】
第13の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、音源からの音を出力するプラグが接続されるコネクタをさらに備えることを特徴とする。
【0028】
本発明では、音源からの音を出力するプラグが接続されるコネクタを備える。これにより、プラグを有するケーブルを接続すれば、電子機器を有線仕様とすることができる。また、プラグを有するワイヤレスレシーバーを接続すれば、電子機器を無線仕様とすることができる。
【0029】
第14の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、前記骨伝導デバイスは、ダイナミック型の加振器であることを特徴とする。
【0030】
第15の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、イヤホンであることを特徴とする。
【0031】
第16の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、補聴器であることを特徴とする。
【0032】
第17の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、集音器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ユーザーは、耳を塞ぐことなく、電子機器から発生される音を聴取することができ、外音(外からの音)を十分に聴取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態に係るイヤホンを示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るイヤホンを示す分解斜視図である。
図3】耳の一例を示す模式図である。
図4】カスタムIEMイヤホンの一例を示す図である。
図5】ユーザーがカスタムIEMイヤホンをオーダーする流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、音を聴取するための電子機器として、イヤホンを例示して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るイヤホン1を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係るイヤホン1を示す分解斜視図である。イヤホン1(電子機器)は、カスタムIEM(In Ear Monitor)イヤホンである。図示するように、イヤホン1は、シェル2、フェイスプレート3、骨伝導デバイス4等を備える。
【0036】
シェル2は、イヤホン1の外殻を構成する部分である。シェル2は、第1シェル21と、第2シェル22と、を有する。第1シェル21は、ユーザーの耳甲介のみの形状に基づいた部分である。このため、イヤホン1の製造者は、ユーザーの耳甲介のみの耳型を採取し、第1シェル21を作成する。図3に、耳の模式図を示す。従来のカスタムIEMイヤホンでは、耳甲介以外の部分を含めて、耳型が採取され、シェルが作成される。本実施形態では、シェル2は、2つのシェル部分21、22を含むが、従来のカスタムIEMイヤホンは、シェルは、2つのシェル部分を含まない。本実施形態では、イヤホン1における、第1シェル21側を先端側と定義し、先端側から離れる方向を、後方として説明する。言い換えれば、イヤホン1のユーザーの耳への装着時、イヤホン1の耳に近い側を先端側と定義する。
【0037】
第1シェル21の先端部分、すなわち、イヤホン1のユーザーの耳への装着時に、耳の内部に向けて延びる先端部分には、貫通孔21aと、スリット21bと、が設けられている。貫通孔21aは、第1シェル21の内部から外部にわたって貫通した孔である。貫通孔21aの周囲には、スリット21bが設けられている。本実施形態では、貫通孔21aの周囲に、5個(複数)のスリット21bが、等間隔で設けられている。なお、スリット21bの数は、5個に限られないことは、言うまでもない。スリット21bは、第1シェル21の先端から後方に向かって延びており、スリット21bの深さは、先端側が最も深く、後方に向かって浅くなっている。また、第1シェル21の内部には、貫通孔21aに通じる部分に、MMCXタイプのコネクタ21cが設けられている。
【0038】
第2シェル22は、第1シェル21の後方に位置する。第2シェル22の後方側の面には、マグネット22aが設けられている。マグネット22a(着脱部)は、シェル2にフェイスプレート3を着脱可能に固定するためのものである。
【0039】
フェイスプレート3(装飾部)は、シェル22の後方であって、イヤホン1の最も後方側に位置する。言い換えれば、フェイスプレート3は、イヤホン1のユーザーの耳への装着時に第2シェル22(シェル2)の耳に近い側と反対側に位置する。フェイスプレート3は、イヤホン1の最も後方側に位置するため、ユーザーが、イヤホン1を装着したときに、露出する部分であり、ユーザー以外の人間は、フェイスプレート3を目にすることになる。フェイスプレート3は、イヤホン1を装飾している部分とも言える。
【0040】
フェイスプレート3の先端側の面には、マグネット(不図示)が設けられている。マグネット(被着脱部)は、シェル2にフェイスプレート3を着脱可能に固定するためのものである。第2シェル22、及び、フェイスプレート3のマグネットによって、フェイスプレート3は、シェル2に着脱可能に固定される。
【0041】
骨伝導デバイス4は、骨伝導によって、ユーザーに音を聴取させるためのデバイスである。骨伝導デバイス4は、例えば、ダイナミック型の加振器であり、口径は、10mmであり、全高は、6.1mmである。骨伝導デバイス4は、第1シェル21の内部に設けられている。骨伝導デバイス4の振動面4aは、第1シェル21から外部に露出している。イヤホン1のユーザーの耳への装着時、骨伝導デバイス4の振動面4aは、ユーザーの耳の耳甲介腔に接触するように、骨伝導デバイス4は、第1シェル21に設けられている。また、上述の貫通孔21aは、第1シェル21の内部において、骨伝導デバイス4と空洞により接続されている。
【0042】
本実施形態に係るイヤホン1は、耳軟骨を振動させることで音を伝達させる、軟骨伝導を用いている。従来、音の伝わる経路は、空気伝導(気導)と骨伝導とに分類されてきたが、軟骨伝導は、気導、骨導よりも良好な聞き取りが得られることが立証されている。
【0043】
また、イヤホン1は、音源からの音を出力するプラグが接続されるコネクタ21cをさらに備えている。コネクタ21cは、本実施形態では、MMCXタイプのコネクタであるが、T2タイプのコネクタであってもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、骨伝導デバイス4の振動面4aは、第1シェル21(シェル2)から外部に露出している。このため、イヤホン1を装着したユーザーの耳に、直接、骨伝導デバイス4の振動が伝わるため、ユーザーは、イヤホン1から発生される音を十分に聴取することができる。このため、ユーザーは、耳を塞ぐことなく、イヤホンから発生される音を聴取することができ、外音(外からの音)を十分に聴取することができる。これにより、ユーザーは、外出時に危険を伴うことがない。さらに、ユーザーは、イヤホン1を耳穴に入れる必要がないため、長時間装着による耳の痛みを伴うことがない。なお、第1シェル21は、耳甲介の形状に基づいているため、ユーザーが、イヤホン1を耳に装着したとき、イヤホン1は、耳甲介に保持されることになり、ユーザーの耳穴と、第1シェル21の先端とは、接触しない。すなわち、イヤホン1のユーザーの耳への装着時、第1シェル21の先端は、ユーザーの耳穴に挿入されていない。
【0045】
また、本実施形態では、装着時に耳の内部に向けて延びる、第1シェル21(シェル2)の先端部分に、第1シェル21の内部から外部に貫通する貫通孔21aが設けられている。貫通孔21aにより、骨伝導に加え、骨伝導デバイス4からの気導音の音道も確保することができる。
【0046】
また、本実施形態では、装着時に耳の内部に向けて延びる、第1シェル21(シェル2)の先端部分に、スリット21bが設けられている。ユーザーは、スリット21bにより、さらに、十分に外音を認識することができる。
【0047】
従来の骨伝導デバイスを用いた電子機器(例えば、イヤホン)では、骨部に振動を伝達させる方式のため、こもり音が生じていた。本実施形態では、貫通孔21aは、第1シェル21(シェル)の内部において、骨伝導デバイス4と空洞により接続されている。これにより、骨伝導デバイス4からの気導音の音道も確保されるため、気導音を利用している一般のイヤホン同様、ワイドレンジ化を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態では、第1シェル21は、耳甲介の形状に基づいている。従って、骨伝導デバイスを用いたイヤホン等で懸念される、骨部との接触圧による音質への悪影響が解消される。
【0049】
また、本実施形態では、電子機器は、装着時にシェルの耳に近い側と反対側に位置する装飾部を備える。このため、装飾部によって、電子機器を装飾することができる。
【0050】
例えば、従来のカスタムIEMイヤホンでは、オーダーメイド製品であるため、好みのデザインを自由に選ぶことができるが、例えば、その日の気分にデザインを変えること等はできない。本実施形態では、フェイスプレート3は、シェル2に対して、着脱可能である。このため、ユーザーは、様々なフェイスプレート3を、その日の気分、服装に合わせて、自由に選択することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態では、音源からの音を出力するプラグが接続されるコネクタ21cを備える。これにより、プラグを有するケーブルを接続すれば、電子機器を有線仕様とすることができる。また、プラグを有するワイヤレスレシーバーを接続すれば、イヤホン1を無線仕様とすることができる。
【0052】
なお、特開2020-174294号公報(要約、及び、図1参照)には、電気信号を機械振動に変換する電気機械変換器12と、機械振動を伝達する振動部材13とを備える軟骨伝導イヤホンが開示されている。振動部材13は、電気機械変換器12と係合した状態で機械振動に応じて厚さ方向に振動する平板状の振動板20と、振動板20の複数の端部からそれぞれ厚さ方向に突出する複数の当接部21とを有している。軟骨伝導イヤホンの装着時に、複数の当接部21のそれぞれが耳甲介腔の側壁に当接され、かつ振動板20が外耳道に対向する状態で振動部材13が支持される。
【0053】
特開2020-174294号公報に記載された発明では、電気機械変換器12からの機械振動を伝達する振動部材13は、電気機械変換器12と係合した状態で機械振動に応じて厚さ方向に振動する平板状の振動板20と、振動板20の複数の端部からそれぞれ厚さ方向に突出する複数の当接部21とを有しているため、厚さ方向の寸法が大きくなり、装置が大型化している。また、振動部材13を介して、電気機械変換器12からの機械振動が伝達されるため、振動が十分に伝達できない。
【0054】
これに対し、本実施形態に係るイヤホン1では、骨伝導デバイス4の振動面4aは、第1シェル21(シェル2)から外部に露出しているため、直接、耳に接触させることで、十分に振動を伝達可能であり、また、外部に露出している骨伝導デバイス4の振動面4aを、直接、耳に接触させるため、余計な部材が必要なく、イヤホン1が大型化することがない。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0056】
上述の実施形態においては、音を聴取するための電子機器として、イヤホンを例示した。これに限らず、音を聴取するための電子機器であれば、集音器、補聴器等であってもよい。また、イヤホンとして、ユーザーから採取した耳型から作成されるカスタムIEMイヤホンを例示したが、カスタムIEMイヤホン以外であってもよい。
【0057】
上述の実施形態では、フェイスプレート3を着脱可能に固定するための着脱部、及び、被着脱部として、マグネット22aを例示したが、これに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、イヤホン、補聴器、集音器等の音を聴取するための電子機器に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0059】
1 イヤホン(電子機器)
2 シェル
21 第1シェル
21a 貫通孔
21b スリット
21c コネクタ
22 第2シェル
22a マグネット(着脱部)
3 フェイスプレート(装飾部)
4 骨伝導デバイス
4a 振動面
図1
図2
図3
図4
図5