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特開2024-66070照射強度決定装置、制御方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066070
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】照射強度決定装置、制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175329
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】林 亮太郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB58
2C056EC14
2C056EC28
2C056FA10
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】印刷においてUVインクの硬化のために照射する紫外線の照射強度を精度よく求めることが要望されていた。
【解決手段】印刷データに基づいて、前記印刷データに基づく印刷において印刷媒体に吐出されるUVインクの硬化に要するエネルギーの量である硬化エネルギー量を決定する硬化エネルギー量決定部と、前記硬化エネルギー量に基づいて、前記UVインクが吐出された前記印刷媒体に照射する紫外線の照射強度を決定する照射強度決定部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づいて、前記印刷データに基づく印刷において印刷媒体に吐出されるUVインクの硬化に要するエネルギーの量である硬化エネルギー量を決定する硬化エネルギー量決定部と、
前記硬化エネルギー量に基づいて、前記UVインクが吐出された前記印刷媒体に照射する紫外線の照射強度を決定する照射強度決定部と、
を備える照射強度決定装置。
【請求項2】
前記照射強度決定部は、前記UVインクを吐出する吐出部およびUVランプを備える印刷ヘッドを介した前記印刷媒体への前記印刷データに基づく印刷において、前記印刷媒体における印刷対象の領域内の各画素に対して前記印刷ヘッドによる前記UVインクの吐出を伴う走査を何回行うかを示す印刷パス数と、前記硬化エネルギー量と、に基づいて、印刷パスごとの前記照射強度を決定する請求項1に記載の照射強度決定装置。
【請求項3】
前記照射強度決定部は、前記硬化エネルギー量を、前記印刷パス数で除することで、印刷パスごとの前記照射強度を決定する請求項2に記載の照射強度決定装置。
【請求項4】
前記硬化エネルギー量決定部は、前記印刷媒体における前記印刷データが印刷される領域である印刷領域が分割された複数の分割領域それぞれについて、前記硬化エネルギー量を決定し、
前記照射強度決定部は、前記分割領域ごとに、前記照射強度を決定する請求項1に記載の照射強度決定装置。
【請求項5】
前記硬化エネルギー量が、前記印刷媒体への前記印刷データに基づく印刷に併せて照射可能な前記紫外線のエネルギーの最大値よりも大きい前記分割領域に対して、追加で前記紫外線の照射を行うよう制御する追加照射制御部を更に備える請求項4に記載の照射強度決定装置。
【請求項6】
前記最大値は、前記印刷媒体への前記印刷データを行うプリンターに備えられたUVランプの最大の照射強度と、前記印刷媒体への前記印刷データに基づく印刷において同じ箇所を何回に分けて印刷するかを示す印刷パス数と、に基づいて定まる請求項5に記載の照射強度決定装置。
【請求項7】
複数のUVランプが備えられた印刷ヘッドを複数の前記分割領域上で走査させる場合、前記分割領域ごとに、前記分割領域に応じた前記UVランプを用いて、前記分割領域への前記照射強度の前記紫外線の照射を行うよう制御する照射制御部を更に備える請求項4に記載の照射強度決定装置。
【請求項8】
前記硬化エネルギー量決定部は、前記印刷媒体への前記印刷データに基づく印刷において吐出される前記UVインクの量に基づいて、前記硬化エネルギー量を決定する請求項1に記載の照射強度決定装置。
【請求項9】
前記硬化エネルギー量決定部は、前記UVインクの特性と前記印刷媒体の特性との少なくとも1つと、前記印刷媒体への前記印刷データに基づく印刷において吐出される前記UVインクの量と、に基づいて、前記硬化エネルギー量を決定する請求項8に記載の照射強度決定装置。
【請求項10】
前記硬化エネルギー量決定部は、前記印刷媒体における前記印刷データが印刷される領域である印刷領域が分割された複数の分割領域それぞれについて、前記UVインクの特性と、前記印刷媒体への前記印刷データに基づく印刷において吐出される前記UVインクの量と、に基づいて、前記硬化エネルギー量を決定する請求項1に記載の照射強度決定装置。
【請求項11】
照射強度決定装置が実行する制御方法であって、
印刷データに基づいて、前記印刷データに基づく印刷において印刷媒体に吐出されるUVインクの硬化に要するエネルギーの量である硬化エネルギー量を決定する硬化エネルギー量決定ステップと、
前記硬化エネルギー量に基づいて、前記UVインクが吐出された前記印刷媒体に照射する紫外線の照射強度を決定する照射強度決定ステップと、
を含む制御方法。
【請求項12】
コンピューターに、
印刷データに基づいて、前記印刷データに基づく印刷において印刷媒体に吐出されるUVインクの硬化に要するエネルギーの量である硬化エネルギー量を決定する硬化エネルギー量決定ステップ、
前記硬化エネルギー量に基づいて、前記UVインクが吐出された前記印刷媒体に照射する紫外線の照射強度を決定する照射強度決定ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射強度決定装置、制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線の照射により硬化するインクを用いて印刷を行う印刷装置がある。このような印刷装置は、印刷の際に、吐出されたインクに紫外線を照射することで、吐出されたインクを硬化させる。特許文献1には、画像記録速度に応じて照射する紫外線の照射条件を変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-136707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような印刷装置において、印刷後に、インクが硬化しきれていなかったり、硬化しすぎてインクが剥がれてしまったりする場合がある。このような場合に、追加で紫外線の照射が行われたり、印刷のやり直しが行われたりする。このような事態を防ぐために、印刷においてUVインクの硬化のために照射する紫外線の照射強度を精度よく求めることが要望されるが、特許文献1では、このような照射強度を求めることができなった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、照射強度決定装置は、印刷データに基づいて、前記印刷データに基づく印刷において印刷媒体に吐出されるUVインクの硬化に要するエネルギーの量である硬化エネルギー量を決定する硬化エネルギー量決定部と、前記硬化エネルギー量に基づいて、前記UVインクが吐出された前記印刷媒体に照射する紫外線の照射強度を決定する照射強度決定部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】照射強度決定装置等の構成の一例を示す図である。
図2】印刷ヘッドの構成を説明する図である。
図3】印刷領域の分割を説明する図である。
図4】各分割領域への紫外線の照射を説明する図である。
図5】照射強度決定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここでは、下記の順序に従って本発明の一実施形態について説明する。
(1)照射強度決定装置等の構成:
(2)照射強度決定処理:
(3)他の実施形態:
【0008】
(1)照射強度決定装置等の構成:
図1は、本実施形態にかかる照射強度決定装置100、印刷装置200の構成の一例を示す図である。本実施形態の照射強度決定装置100は、UVインクを用いる印刷装置200において吐出されるUVインクに照射される紫外線の照射強度を決定し、決定した照射強度で紫外線を照射させるよう印刷装置200を制御する。UVインクとは、紫外線の照射により硬化する性質を持つインクであり、本実施形態の印刷装置200による印刷に用いられる。照射強度決定装置100は、例えば、パーソナルコンピューター、タブレット装置、スマートホン等である。印刷装置200は、照射強度決定装置100からの指示に応じて、印刷媒体(例えば、アクリル板、ガラス板、樹脂製の媒体(例えば、樹脂製のスマホケース等)、印刷用紙等)に画像を印刷する印刷装置(プリンター、複合機等)である。本実施形態では、印刷装置200は、既定のインクを印刷媒体に吐出することで、印刷媒体への印刷を行う。本実施形態では、この既定のインクは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色の色材である。ただし、印刷装置200は、白色のインク、表面効果を得るためのインク(例えば、クリアインク、ワニス等)の他のインクについても印刷に使用してもよい。本実施形態の印刷装置200により用いられる各種のインクは、UVインクである。本実施形態では、印刷装置200は、印刷媒体へのUVインクの吐出、及び、吐出したUVインクに対する紫外線の照射を行うことで印刷を行う。照射強度決定装置100と印刷装置200とは、有線、又は無線により互いに通信可能に接続されている。
【0009】
照射強度決定装置100、及び、印刷装置200に含まれるハードウェアについて説明する。
照射強度決定装置100は、プロセッサー110と、通信部120と、記憶媒体130と、UI部140と、を備える。また、照射強度決定装置100は、不図示のRandom Access Memory(RAM)、Read Only Memory(ROM)を備える。プロセッサー110は、ROM、記憶媒体130等に記憶される各種プログラムを実行することで、照射強度決定装置100を制御する。プロセッサー110は、単一のチップで構成されていてもよいし、複数のチップで構成されていてもよい。また、本実施形態では、プロセッサー110は、Central Processing Unit(CPU)であるとするが、ASIC等により構成されてもよいし、CPUとASICとにより構成されてもよい。通信部120は、印刷装置200等の外部機器との間での有線又は無線の各種の通信プロトコルに従った通信に用いられる回路を備える。記憶媒体130は、印刷装置200を介した印刷を制御する処理を実行するための印刷制御プログラム111等の各種プログラム、画像データ130a、印刷条件130b、特性情報130c等の各種情報を記憶する。
【0010】
画像データ130aは、印刷対象となる画像のデータである。以下では、画像データ130aが示す印刷対象の画像を印刷画像とする。本実施形態では、画像データ130aは、既定の画素数(例えば、640×480、1200×1600等)で分割された印刷画像の各画素をRGB3チャンネルの階調値で表したRGBデータである。
【0011】
印刷条件130bは、画像データ130aの印刷にかかる各種条件(例えば、印刷媒体中の印刷領域(印刷画像が印刷される領域)の位置等)を示す。本実施形態では、印刷条件130bは、印刷画像の印刷の際の印刷パス数、及び、印刷画像の印刷の際の画像解像度を少なくとも示す。ここで、印刷パスとは、後述する印刷装置200の印刷ヘッド240が印刷媒体上で主走査方向に印刷領域の端から他方の端まで移動しながら行う1ラインの印刷である。ここで、主走査方向について説明する。印刷装置200は、印刷ヘッド240を介して、印刷媒体へのライン単位での印刷を繰り返すことで、印刷を行う。このラインの方向が、主走査方向である。また、以下では、主走査方向と垂直な方向であって、印刷の際に配置された印刷媒体と平行な方向を、副走査方向とする。また、印刷パス数とは、印刷領域における同じ領域の印刷に要する印刷パスの回数である。すなわち、印刷パス数は、印刷ヘッド240を介した印刷媒体への印刷画像の印刷において、印刷領域内の各画素に対して前記印刷ヘッドによる前記UVインクの吐出を伴う走査を何回行うかを示す。例えば、印刷パス数が3である場合、印刷される画像における各画素上を、印刷ヘッド240が3回走査することとなる。また、画像解像度とは、印刷媒体におけるインクの塗布の密度(画素の密度)を示す指標であり、例えば、dot per inch(dpi)単位で表される。なお、印刷の際の印刷パス数と画像解像度とが対応付けられている場合、印刷条件130bは、印刷画像の印刷の際の印刷パス数と、印刷画像の印刷の際の画像解像度と、の何れか一方を示すこととしてもよい。これにより、プロセッサー110は、印刷条件130bから印刷画像の印刷の際の印刷パス数、及び、画像解像度を特定できる。
【0012】
また、本実施形態では、プロセッサー110は、印刷媒体に形成される印刷画像の画質についてユーザーから指定された指定値に基づいて、印刷画像の印刷の際の印刷パス数、及び、画像解像度を決定する。本実施形態では、画質の値(例えば、通常画質、高画質等)と、印刷パス数、画像解像度が予め対応付けられている。プロセッサー110は、指定された画質の指定値に対応付けられた印刷パス数、画像解像度を、印刷画像の印刷の際の印刷パス数、画像解像度として決定する。なお、なお、印刷の際の印刷パス数と画像解像度とが対応付けられている場合、プロセッサー110は、画質の指定値に基づいて、印刷パス数と画像解像度との何れか一方を決定してもよい。これにより、プロセッサー110は、指定された画質を実現するための印刷条件を決定できる。本実施形態では、印刷条件130bは、後述するUI部140を介してユーザーから入力された情報に基づいてプロセッサー110により予め決定されるとするが、既定のものであってもよい。
【0013】
特性情報130cは、既定の各種のUVインクの特性を示す情報である。本実施形態では、この特性は、紫外線の照射によるUVインクの硬化のしやすさを示す性質である。本実施形態では、特性情報130cは、既定の単位量(例えば、1g、1mg、1μg等の重量、1l、1ml、1μl、1pl等の容量等)当たりの各種のUVインクを硬化させるために、紫外線の照射によるどれだけの量のエネルギーの照射を要するかを示す情報である。以下では、紫外線の照射により照射対象に照射されるエネルギーを、照射エネルギーとする。また、以下では、UVインクの硬化に要する照射エネルギーの量を、硬化エネルギー量とする。本実施形態の特性情報130cは、各種のUVインクについての、単位量当たりの硬化エネルギー量を示す情報である。以下では、単位量当たりのUVインクの硬化エネルギー量を、そのUVインクの単位硬化エネルギー量とする。本実施形態では、特性情報130cは、各種のUVインクそれぞれの型番と、単位硬化エネルギー量と、の対応情報である。ただし、同じ色の色材について一種類の色材しか用いられない場合、色材についての特性情報130cは、各種の色材それぞれの色と、単位硬化エネルギー量と、の対応情報であってもよい。特性情報130cは、例えば、予め、単位量の各種のUVインクそれぞれに各種の照射エネルギーを照射し、硬化したか否かを測定することで求まる。
【0014】
UI部140は、マウス、キーボード、タッチパッド、タッチパネルの操作部等のユーザーからの入力を受け付ける入力部と、モニター、タッチパネルの表示部、スピーカー等のユーザーに対する情報の提示に用いられる出力部と、を備える。
【0015】
印刷装置200は、プロセッサー210と、通信部220と、記憶媒体230と、印刷ヘッド240と、を備える。また、印刷装置200は、不図示のRAM、ROMを備える。プロセッサー210は、ROM、記憶媒体230等に記憶される各種プログラムを実行することで、印刷装置200を制御する。プロセッサー210は、単一のチップで構成されていてもよいし、複数のチップで構成されていてもよい。また、本実施形態では、プロセッサー210は、CPUであるとするが、ASIC等により構成されてもよいし、CPUとASICとにより構成されてもよい。通信部220は、照射強度決定装置100等の外部機器との間での有線又は無線の各種の通信プロトコルに従った通信に用いられる回路を備える。記憶媒体230は、印刷の実行を制御するための印刷実行プログラム211等の各種プログラム、各種情報を記憶する。
【0016】
印刷ヘッド240は、印刷媒体に対するUVインクの吐出、及び、紫外線の照射を行う。プロセッサー210は、印刷ヘッド240を、印刷ヘッド240の駆動機構を介して移動させつつ、印刷媒体に対してUVインクの吐出及び紫外線の照射を行う。プロセッサー210は、印刷ヘッド240を介して、印刷媒体への主走査方向のライン単位での印刷を繰り返すことで、印刷を行う。
【0017】
印刷ヘッド240は、各種UVインクの吐出に用いられる吐出部241、吐出部241により印刷媒体に吐出されたUVインクに対する紫外線の照射を行う照射部242を備える。本実施形態では、吐出部241は、印刷装置200により用いられる各種のUVインク(本実施形態では、CMYKの各色材)の吐出に用いられるノズルであり、各種のUVインクを印刷媒体に吐出することで各種のUVインクを印刷媒体に塗布する。照射部242は、吐出部241の主走査方向の両側に配置された紫外線を照射するランプ(以下では、UVランプ)である。本実施形態では、吐出部241の主走査方向の両側それぞれには、照射部242として、図2に示すように、副走査方向に並んだ複数のUVランプが備えられている。プロセッサー210は、印刷ヘッド240の走査の際に、吐出部241により印刷媒体に吐出され、印刷媒体に着弾したUVインクに対して、印刷ヘッド240の走査方向後部に位置する照射部242を介して、吐出されるUVインクに紫外線を照射する。本実施形態では、照射部242は、印刷パス1回の印刷ヘッド240の走査の際に、走査対象の領域に対して、照射強度決定装置100により決定された強度の紫外線を照射する。また、照射部242は、UVランプごとに照射強度を調整可能である。すなわち、照射部242は、UVランプごとに異なる照射強度で紫外線の照射ができる。本実施形態では、照射部242の各UVランプについて、1回の印刷パスで印刷媒体の単位面積当たりに照射するエネルギー量と、1回の印刷パスで印刷媒体の単位面積当たりにこのエネルギー量を照射するためのUVランプの照射強度と、の対応関係(以下では、照射強度対応関係とする)が予め求められている。照射強度対応関係は、例えば、照射部242のUVランプを用いて予め様々な照射強度で印刷媒体への紫外線の照射を行い、照射されたエネルギー量を測定することで求まる。ただし、照射強度対応関係は、UVランプの照射強度と、UVランプと印刷媒体との位置関係と、から求めてもよい。また、本実施形態では、1回の印刷パス(主走査方向への走査)において、照射部242の各UVランプにおける照射強度は、固定された状態となる。
【0018】
続いて、照射強度決定装置100、及び、印刷装置200の機能について説明する。
照射強度決定装置100のプロセッサー110は、記憶媒体130に記憶された印刷制御プログラム111を実行することで、硬化エネルギー量決定部111a、照射強度決定部111b、及び、印刷・照射制御部111cとして機能する。
【0019】
硬化エネルギー量決定部111aは、印刷画像の印刷データに基づいて、印刷装置200による印刷画像の印刷において印刷媒体に吐出されるUVインクの硬化に要するエネルギーの量である硬化エネルギー量を決定する機能である。
プロセッサー110は、硬化エネルギー量決定部111aの機能により、画像データ130aと印刷条件130bとに基づいて、印刷画像の印刷データを生成する。ここで、印刷データとは、印刷装置200に実行させる印刷の態様を示すデータであり、本実施形態では、印刷媒体における印刷領域、画像解像度、印刷パス数、各画素に吐出される各種のUVインクの量等を示す。より具体的には、プロセッサー110は、印刷条件130bが示す画像解像度に基づいて、画像データ130aが示す印刷画像のRGBデータの拡大縮小を行う。そして、プロセッサー110は、拡大縮小を行ったRGBデータを、印刷装置200で用いられる既定のUVインクの色(本実施形態では、C、M、Y、K)毎の階調データに変換する。そして、プロセッサー110は、変換した階調データに基づいて、ハーフトーン処理を行い、印刷画像の色を実現するために、印刷領域中の各画素にどのUVインクをどれだけの量、吐出すればよいかを決定する。プロセッサー110は、決定した、印刷媒体中のどの画素にどのUVインクをどれだけの量、吐出すればよいかを示すデータを、印刷画像の印刷データとして生成する。以下では、ここで生成された印刷画像の印刷データを、単に印刷データとする。
【0020】
ここで、図3に示すように、印刷媒体における画像データ130aの画像が印刷される領域(印刷領域)が、副走査方向に複数に等分割された領域を分割領域とする。本実施形態では、各分割領域の副走査方向の幅は、印刷において、印刷ヘッド240が副走査方向への1回の移動により移動する距離と同じ長さである。
プロセッサー110は、印刷データから印刷領域を特定し、特定した印刷領域が副走査方向に等分割された分割領域を特定する。プロセッサー110は、印刷データから、印刷において、印刷ヘッド240が副走査方向への1回の移動により移動する距離を特定し、特定した距離の幅を、分割領域の副走査方向の幅とする。また、プロセッサー110は、印刷データ及び特性情報130cに基づいて、分割領域ごとに、印刷画像の印刷において吐出されるUVインクの硬化に要するエネルギーを決定する。より具体的には、プロセッサー110は、分割領域ごとに、以下の処理を行う。
【0021】
プロセッサー110は、分割領域に吐出されたUVインクの特性と、分割領域に吐出されたUVインクの量と、に基づいて、分割領域についての硬化エネルギー量を決定する。より具体的には、プロセッサー110は、印刷データから、分割領域に吐出されるUVインクの種類及び量を特定する。プロセッサー110は、特性情報130cから、特定した種類それぞれのUVインクの特性(単位硬化エネルギー量)を特定する。そして、プロセッサー110は、分割領域に吐出される各種のUVインクそれぞれについて、分割領域に吐出される量と単位硬化エネルギー量とを乗じることで、分割領域に吐出されるこの種類のUVインクの硬化に要するエネルギーの量を決定する。プロセッサー110は、分割領域に吐出される各種のUVインクそれぞれについて決定したエネルギーの量の合計を、分割領域についての硬化エネルギー量として決定する。
プロセッサー110は、以上の処理を行うことで、分割領域ごとに硬化エネルギー量を決定する。
【0022】
照射強度決定部111bは、硬化エネルギー量決定部111aの機能により決定された硬化エネルギー量に基づいて、印刷データに基づく印刷においてUVインクが吐出された印刷媒体に照射される紫外線の照射強度を決定する機能である。
プロセッサー110は、照射強度決定部111bの機能により、分割領域ごとに、以下の処理を行うことで、分割領域に対する照射部242による紫外線の照射強度を印刷パスごとに決定する。
【0023】
本実施形態では、プロセッサー110は、分割領域の硬化エネルギー量と、印刷画像の印刷における印刷パス数とに基づいて、印刷パスごとに、分割領域に対する照射部242の紫外線の照射強度を決定する。より具体的には、プロセッサー110は、印刷データから、印刷画像の印刷における印刷パス数を特定する。そして、プロセッサー110は、分割領域の硬化エネルギー量を、特定した印刷パス数で除することで、1回の印刷パスで分割領域に吐出されたUVインクに照射するエネルギー量を特定する。プロセッサー110は、印刷画像の印刷における分割領域に対する照射部242の照射強度を、特定したエネルギー量の紫外線を1回の印刷パスで分割領域に対して照射する照射強度に決定する。より具体的には、プロセッサー110は、特定したエネルギー量を分割領域の面積で除した値を、1回の印刷パスで分割領域の単位面積当たりに照射するエネルギー量として求める。プロセッサー110は、照射強度対応関係から、求めたエネルギー量に対応する照射強度を求める。そして、プロセッサー110は、求めた照射強度を、分割領域に紫外線の照射を行う照射部242のUVランプの照射強度として決定する。
【0024】
印刷・照射制御部111cは、印刷画像の印刷を印刷装置200に指示することで、印刷画像の印刷を制御する機能である。プロセッサー110は、印刷・照射制御部111cの機能により、通信部120を介して、印刷画像の印刷データを印刷装置200に送信し、印刷画像の印刷媒体への印刷を指示する。また、プロセッサー110は、印刷領域における各分割領域について、印刷パスごとに、照射強度決定部111bの機能により決定された照射強度で紫外線を照射するよう印刷装置200に指示する。このようにして、プロセッサー110は、分割領域ごとに、照射部242のUVランプのうち、分割領域に応じたUVランプを用いて、分割領域への決定された照射強度での紫外線の照射を行うよう制御する。
【0025】
続いて印刷装置200の機能について説明する。印刷装置200のプロセッサー210は、記憶媒体230に記憶された印刷実行プログラム211を実行することで、印刷・照射実行部211aとして機能する。プロセッサー210は、印刷・照射実行部211aとして機能により、照射強度決定装置100からの印刷画像の印刷及び、決定された照射強度での紫外線の照射の指示に応じて、照射強度決定装置100から送信された印刷データに基づいて、印刷ヘッド240を介して印刷画像を印刷媒体に印刷する。
【0026】
また、プロセッサー210は、印刷画像の印刷において、印刷パスに併せて、照射部242を介して、分割領域ごとに、照射強度決定装置100により分割領域ごとに決定された照射強度で紫外線の照射を行う。より具体的には、プロセッサー210は、以下のようにする。本実施形態では、印刷ヘッド240は、一回の印刷パスで、複数の分割領域について併せて印刷する。また、本実施形態では、照射部242は、副走査方向に並んだ複数のUVランプである。そのため、照射部242は、図4に示すように、一回の印刷パスで、複数の分割領域に紫外線の照射を行うこととなる。この場合、プロセッサー210は、分割領域ごとに、印刷パスにおいて紫外線の照射を行う照射部242のUVランプのうち、分割領域上を走査するUVランプ(分割領域に紫外線照射を行うUVランプ)を特定する。ここで、分割領域ごとに特定されたUVランプは、それぞれ、各分割領域に紫外線を照射するUVランプである。以下では、分割領域ごとに特定されたUVランプを各分割領域に応じたUVランプとする。プロセッサー210は、印刷パスにおいて、以下のようにする。すなわち、プロセッサー210は、各分割領域に応じたUVランプの照射強度を、照射強度決定装置100により各分割領域について決定された照射強度にし、各分割領域に吐出されたUVインクに紫外線の照射を行う。
これにより、印刷画像の印刷が完了した場合、各分割領域に対して、各分割領域についての硬化エネルギー量の紫外線が照射されることとなる。
【0027】
以上、本実施形態の構成により、照射強度決定装置100は、印刷データから、印刷画像の印刷において吐出されるUVインクが特定でき、特定したUVインクの硬化に要する照射エネルギーの量(硬化エネルギー量)を決定する。そして、照射強度決定装置100は、印刷において吐出されるUVインクに、硬化エネルギー量の紫外線を照射するように照射部242による紫外線の照射強度を決定する。これにより、照射強度決定装置100は、印刷においてUVインクの硬化のために照射する紫外線の照射強度を印刷データに応じて精度よく求めることができる。
【0028】
また、本実施形態では、照射強度決定装置100は、印刷において吐出されるUVインクの特性、及び量に基づいて、硬化エネルギー量を決定する。これにより、照射強度決定装置100は、より精度よく硬化エネルギー量を決定できる。
【0029】
また、本実施形態では、照射強度決定装置100は、印刷パス数と、硬化エネルギー量と、から印刷パスごとに、印刷媒体に照射する紫外線の照射強度を求めるとした。これにより、照射強度決定装置100は、印刷パスごとに、印刷における照射部242の照射強度をどのような値にすればよいかを求めることができる。
【0030】
また、本実施形態では、照射強度決定装置100は、分割領域ごとに、印刷における照射部242の照射強度を決定するとした。分割領域ごとに、吐出される各種のUVインクの量は異なる。すなわち、分割領域ごとに、硬化エネルギー量は異なる。照射強度決定装置100は、分割領域ごとに印刷における照射部242の照射強度を決定することで、分割領域それぞれについて、UVインクの硬化のために照射する紫外線の照射強度を精度よく求めることができる。
【0031】
(2)照射強度決定処理:
図5を用いて、照射強度決定装置100が実行する印刷制御処理を説明する。
照射強度決定装置100のプロセッサー110は、印刷制御処理の開始を指示されたタイミングで、図5の処理を開始する。
【0032】
ステップS100において、プロセッサー110は、硬化エネルギー量決定部111aの機能により、印刷領域を副走査方向に既定の幅(印刷ヘッド240の副走査方向への1回の移動距離)で等分割した複数の分割領域を特定する。プロセッサー110は、ステップS100の処理の完了後に、処理をステップS101に進める。
ステップS101において、プロセッサー110は、硬化エネルギー量決定部111aの機能により、画像データ130aと印刷条件130bとに基づいて、印刷画像の印刷データを生成する。プロセッサー110は、印刷データ及び特性情報130cに基づいて、分割領域ごとに、印刷画像の印刷において吐出されるUVインクの硬化に要するエネルギーを決定する。より具体的には、プロセッサー110は、分割領域ごとに、以下の処理を行う。
【0033】
プロセッサー110は、印刷データから、分割領域に吐出されるUVインクの種類及び量を特定する。プロセッサー110は、特性情報130cから、特定した種類それぞれのUVインクの単位硬化エネルギー量を特定する。そして、プロセッサー110は、分割領域に吐出される各種のUVインクそれぞれについて、分割領域に吐出される量と単位硬化エネルギー量とを乗じることで、硬化に要するエネルギーの量を決定する。プロセッサー110は、分割領域に吐出される各種のUVインクそれぞれについて決定したエネルギーの量の合計を、分割領域についての硬化エネルギー量として決定する。
プロセッサー110は、以上の処理を行うことで、分割領域ごとに硬化エネルギー量を決定する。プロセッサー110は、ステップS101の処理の完了後に、処理をステップS102に進める。
【0034】
ステップS102において、プロセッサー110は、照射強度決定部111bの機能により、印刷データから、印刷画像の印刷における印刷パス数を特定する。プロセッサー110は、ステップS102の処理の完了後に、処理をステップS103に進める。
【0035】
ステップS103において、プロセッサー110は、照射強度決定部111bの機能により、ステップS101で決定された硬化エネルギー量に基づいて、印刷画像の印刷における分割領域に対する照射部242による紫外線の照射強度を、印刷パスごとに決定する。より具体的には、プロセッサー110は、分割領域ごとに、以下の処理を行う。
【0036】
プロセッサー110は、分割領域の硬化エネルギー量を、ステップS102で特定した印刷パス数で除することで、1回の印刷パスで分割領域に吐出されるUVインクに照射するエネルギー量を特定する。プロセッサー110は、印刷画像の印刷における分割領域に対する照射部242の照射強度を、特定したエネルギー量の紫外線を1回の印刷パスで分割領域に対して照射可能な照射強度に決定する。プロセッサー110は、ステップS103の処理の完了後に、処理をステップS104に進める。
【0037】
ステップS104において、プロセッサー110は、印刷・照射制御部111cの機能により、通信部120を介して、印刷画像の印刷データを印刷装置200に送信し、印刷画像の印刷媒体への印刷を指示する。また、プロセッサー110は、印刷領域における各分割領域について、印刷パスごとに、照射強度決定部111bの機能により決定された照射強度で紫外線を照射するよう印刷装置200に指示する。
【0038】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上述の各実施形態においては、照射強度決定装置100と印刷装置200とが異なる装置によって構成されているが、両者は同一の装置として構成されてもよい。例えば、印刷装置200に照射強度決定装置100の各機能が実装されてもよい。また、照射強度決定装置100は、複数の装置によって構成されてもよい。また、図5に示すフローチャートの処理順は異なっていてもよい。
【0039】
上述の実施形態では、プロセッサー110は、印刷画像の印刷に併せて、分割領域ごとに、硬化エネルギー量決定部111aの機能により決定された硬化エネルギー量の紫外線を照射可能なように、照射部242の照射強度を決定するとした。ただし、硬化エネルギー量決定部111aの機能により決定された硬化エネルギー量が大きすぎる場合、印刷画像の印刷における印刷パス数の走査に併せた紫外線の照射だけでは、十分なエネルギー量を照射しきれない場合がある。ここで、最大の照射強度の照射部242により、一回の印刷パスにおいて印刷媒体の単位面積当たりに照射可能なエネルギー量の最大値を、単位最大照射エネルギー量とする。一度の印刷パスにおいて、照射部242により1つの分割領域に照射可能な最大のエネルギー量は、単位最大エネルギー量に分割領域の面積を乗じた値となる。印刷画像の印刷において、各分割領域に対して、印刷ヘッド240による走査が印刷パス数行われる。そのため、印刷画像の印刷において、照射部242により分割領域それぞれに照射可能なエネルギーの最大値は、単位最大エネルギー量に分割領域の面積を乗じた値に、印刷パス数を乗じた値となる。以下では、この値を、最大照射エネルギー量とする。プロセッサー110は、分割領域の硬化エネルギー量が、最大照射エネルギー量よりも大きい場合、この分割領域について、印刷画像の印刷に併せて硬化エネルギー量のエネルギーを照射できないと判断する。そして、プロセッサー110は、この分割領域に対して、追加で紫外線の照射を行うよう印刷装置200に指示することで、この分割領域に追加で紫外線を照射するよう制御する。この制御は、追加照射制御処理の一例である。この場合、例えば、プロセッサー110は、この分割領域に対して、(対応する硬化エネルギー量-印刷画像の印刷に併せて分割領域に照射された全エネルギー量)のエネルギーを照射するよう、印刷装置200に指示する。
これにより、プロセッサー110は、印刷においてUVインクが硬化しきれない事態を防止できる。
【0040】
また、上述の実施形態では、プロセッサー110は、印刷媒体に吐出されるUVインクの特性及び量に基づいて、印刷媒体に吐出されるUVインクの硬化に要するエネルギー量(硬化エネルギー量)を決定するとした。ただし、プロセッサー110は、他の方法で、印刷媒体に吐出されるUVインクについての硬化エネルギー量を決定してもよい。
例えば、プロセッサー110は、印刷媒体に吐出されるUVインクの特性を用いずに、印刷媒体に吐出されるUVインクの量に基づいて、硬化エネルギーを決定してもよい。例えば、プロセッサー110は、印刷データから、印刷媒体に吐出される全種類のUVインクの量の合計を求める。そして、プロセッサー110は、求めた量に、既定の係数を乗じた値を、印刷媒体に吐出されるUVインクについての硬化エネルギー量として決定してもよい。
【0041】
また、プロセッサー110は、印刷媒体の特性(種類、紙質等)に基づいて、印刷媒体に吐出されるUVインクについての硬化エネルギー量を決定してもよい。例えば、特性情報130cとして、印刷媒体の特性及びUVインクの種類の組と、印刷媒体に吐出されたUVインクの特性(単位硬化エネルギー量)と、の対応情報が記憶されているとする。この場合、プロセッサー110は、印刷媒体の特性、吐出されるUVインクの特性、及び吐出されるUVインクの量に基づいて、以下のようにして、印刷媒体に吐出されるUVインクについての硬化エネルギー量を決定してもよい。すなわち、プロセッサー110は、印刷データから、印刷媒体に吐出されるUVインクの種類及び量を特定する。そして、プロセッサー110は、特性情報130cから、特定したUVインクの種類及び印刷媒体の特性の組に対応する単位硬化エネルギー量を取得する。プロセッサー110は、吐出されるUVインクの種類ごとに、取得した単位硬化エネルギー量に吐出される量を乗じて、吐出されるUVインクの硬化に要するエネルギー量を求める。プロセッサー110は、UVインクの種類ごとに、求めたエネルギー量の合計を、印刷媒体に吐出されるUVインクについての硬化エネルギー量として決定してもよい。
【0042】
また、特性情報130cとして、印刷媒体の特性と、印刷媒体に吐出された標準的な既定のUVインクの単位硬化エネルギー量と、の対応情報が記憶されているとする。この場合、プロセッサー110は、印刷媒体の特性、及び吐出されるUVインクの量に基づいて、以下のようにして、印刷媒体に吐出されるUVインクについての硬化エネルギー量を決定してもよい。すなわち、プロセッサー110は、印刷データから、印刷媒体に吐出されるUVインクの量の合計値を特定する。また、プロセッサー110は、特性情報130cから、印刷媒体の特性に対応する単位硬化エネルギー量を取得する。プロセッサー110は、取得した単位硬化エネルギー量に、特定した吐出されるUVインクの合計値を乗じた値を、印刷媒体に吐出されるUVインクについての硬化エネルギー量として決定してもよい。
【0043】
また、プロセッサー110は、上述の実施形態と同様に印刷媒体に吐出されるUVインクについての硬化エネルギー量を求めて、求めた硬化エネルギー量に、印刷媒体の特性に応じて予め定められた係数を乗じた値を、硬化エネルギー量の決定値としてもよい。
このように、プロセッサー110は、印刷媒体の特性を加味することで、より精度よく硬化エネルギー量を決定できる。
【0044】
また、上述の実施形態では、プロセッサー110は、各分割領域について、各印刷パスにおける照射部242の照射強度を同じ値に決定するとした。ただし、プロセッサー110は、各印刷パスにおける照射部242の照射強度を、異なる値に決定してもよい。
複数回の印刷パスが行われる場合、先に行われた印刷パスで吐出されたUVインクは、以降に行われる印刷パスで照射される紫外線を受けることができる。対して、後に行われた印刷パスで吐出されたUVインクは、それ以降に行われた印刷パスで照射される紫外線を受けることができない。そのため、後に行われた印刷パスで吐出されるUVインクの方が硬化しにくくなる。そこで、プロセッサー110は、複数回の印刷パスが行われる印刷において、各印刷パスにおける照射部242の照射強度を、後の印刷パスの方が前の印刷パスよりも強くなるように決定してもよい。例えば、印刷パス数が4である場合、プロセッサー110は、各分割領域について、以下のようにしてもよい。すなわち、プロセッサー110は、1回目~4回目それぞれの印刷パスにおける照射強度を、それぞれ、硬化エネルギー量の10%、20%、30%、40%のエネルギーを分割領域に照射可能な照射強度に決定してもよい。これにより、プロセッサー110は、UVインクが硬化しきれない事態を防止できる。
【0045】
また、上述の実施形態では、プロセッサー110は、印刷領域を副走査方向に分割した分割領域ごとに、印刷画像の印刷における照射部242の照射強度を決定するとした。ただし、プロセッサー110は、印刷領域全体について、印刷画像の印刷における照射部242の照射強度を決定してもよい。この場合、例えば、プロセッサー110は、印刷領域全体についての硬化エネルギー量を求めて、求めた硬化エネルギー量のエネルギーを印刷と併せて印刷媒体に照射可能なように、各印刷パスにおける照射部242の照射強度を決定すればよい。
【0046】
また、プロセッサー110は、印刷領域を主走査方向に分割した領域ごとに、各印刷パスにおける照射部242の照射強度を決定してもよい。例えば、プロセッサー110は、各分割領域を主走査方向に既定の個数に等分割した領域(以下では、細分領域とする)を特定する。そして、プロセッサー110は、細分領域ごとに、印刷画像の印刷において吐出される各種のUVインクの特性及び量を特定する。プロセッサー110は、細分領域ごとに、上述の実施形態と同様に、特定したUVインクの特性及び量から硬化エネルギー量を特定する。プロセッサー110は、細分領域ごとに、上述の実施形態と同様に、特定した硬化エネルギー量から印刷画像の印刷における各印刷パスでの照射部242の照射強度を決定してもよい。そして、プロセッサー110は、印刷画像の印刷において、各印刷パスで、細分領域それぞれに、細分領域ごとに決定した照射強度で紫外線を照射するようを印刷装置200に指示する。この場合、印刷装置200のプロセッサー210は、1回の印刷パスにおいて、分割領域ごとに、照射部242を介して、各細分領域に対して細分領域に応じた照射強度での紫外線の照射を行う。
これにより、プロセッサー110は、UVインクが硬化しきれない事態を防止できる。
【0047】
さらに、本発明は、コンピューターが実行するプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、情報処理装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0048】
100…照射強度決定装置、110…プロセッサー、111…印刷制御プログラム、111a…硬化エネルギー量決定部、111b…照射強度決定部、111c…印刷制御部、120…通信部、130…記憶媒体、130a…画像データ、130b…印刷条件、130c…特性情報、140…UI部、200…印刷装置、210…プロセッサー、211…印刷実行プログラム、211a…印刷・照射実行部、220…通信部、230…記憶媒体、240…印刷ヘッド、241…吐出部、242…照射部
図1
図2
図3
図4
図5