(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066075
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】副生燃料利用システム
(51)【国際特許分類】
F22B 35/00 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
F22B35/00 H
F22B35/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175349
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】山田 和也
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021AA05
3L021BA08
3L021DA04
3L021DA26
3L021DA38
3L021FA12
3L021FA21
(57)【要約】
【課題】副生燃料消費制御とヘッダ圧力制御を両立する副生燃料利用システム100を提供する。
【解決手段】副生燃料を燃焼させることで蒸気を生成するボイラ20からなるボイラ群2と、生成された蒸気を集合する蒸気ヘッダ6と、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧センサ7と、副生燃料を貯蔵する副生燃料ホルダー30と、副生燃料の貯蔵量を検知し、レベル信号を出力するレベルセンサ31と、台数制御装置5と、を備え、台数制御装置5は、レベル信号に基づいて指定される台数分のボイラ20を燃焼させる副生燃料消費制御部511と、レベル信号に基づいて指定される台数を最大燃焼台数として、ヘッダ圧力値に基づいて比例分配制御方式によりボイラ群2の燃焼状態を制御するヘッダ圧力制御部512と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
副生燃料を燃焼させて消費することで蒸気を生成する1つ以上の燃焼装置からなる燃焼装置群であって、生成した蒸気を蒸気集合部に集合させる燃焼装置群と、
副生燃料貯蔵部に貯蔵された前記副生燃料を前記燃焼装置に供給する副生燃料供給ラインと、
前記副生燃料貯蔵部に貯蔵された副生燃料の貯蔵量を検知し、レベル信号を出力するレベルセンサと、
前記蒸気集合部の内部の蒸気圧値である集合部圧力値を測定する蒸気圧測定手段と、
前記燃焼装置における副生燃料の消費量を制御する制御部と、を備える副生燃料利用システムであって、
前記制御部は、
前記レベルセンサにより出力されるレベル信号に基づいて指定される台数分の燃焼装置を燃焼させる副生燃料消費制御部と、
前記蒸気圧測定手段により測定される集合部圧力値が予め設定された最大設定圧力値を上限値とし予め設定された制御幅により規定される制御圧力帯域の範囲内におさまるように、前記レベルセンサにより出力されるレベル信号に基づいて指定される台数を最大燃焼台数として前記燃焼装置群の燃焼状態を制御するヘッダ圧力制御部と、
を備え、
前記集合部圧力値が予め設定された圧力値を下回る場合、前記副生燃料消費制御部により前記燃焼装置群の燃焼状態を制御させ、
前記集合部圧力値が予め設定された圧力値を上回る場合、前記ヘッダ圧力制御部により前記燃焼装置群の燃焼状態を制御させる、副生燃料利用システム。
【請求項2】
前記予め設定された設定値は、前記制御圧力帯域の下限値とする、請求項1に記載の副生燃料利用システム。
【請求項3】
前記蒸気集合部には、別のメインの蒸気発生装置又はメインの蒸気発生システムにおける蒸気が集合し、
前記制御圧力帯域は、前記メインの蒸気発生装置又はメインの蒸気発生システムにおける常用圧力よりも上方に設定される、請求項1に記載の副生燃料利用システム。
【請求項4】
レベルセンサにより出力されるレベル信号に基づいて指定される台数は、前記レベル信号毎に異なる値に設定される、請求項1に記載の副生燃料利用システム。
【請求項5】
前記燃焼装置は、副生燃料の消費量を段階的に変更して燃焼可能であり、
前記ヘッダ圧力制御部は、前記制御圧力帯域に基づいて比例分配制御を行う、請求項1に記載の副生燃料利用システム。
【請求項6】
前記燃焼装置は、副生燃料の消費量を連続的に変更して燃焼可能な連続制御燃焼装置であり、
前記ヘッダ圧力制御部は、
前記集合部圧力値が前記制御圧力帯域の範囲内に収まるように設定された目標蒸気圧力値を保つように前記レベルセンサにより出力されるレベル信号に基づいて指定される台数を最大燃焼台数として前記燃焼装置群の燃焼状態を制御する、請求項1に記載の副生燃料利用システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記集合部圧力値が前記制御圧力帯域の下限を上回る場合であって、前記ヘッダ圧力制御部により前記燃焼装置群の燃焼状態を制御しているとき、前記レベルセンサにより出力されるレベル信号が切り替わった場合、前記レベルセンサにより出力されるレベル信号に基づいて指定される台数を最大燃焼台数として変更する、請求項1に記載の副生燃料利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、副生燃料利用システムに関する。より詳細には、例えばプラント設備等の副生設備から製品製造に伴って発生する副生燃料を燃料として用いるボイラ等の燃焼装置(以下「副生燃料焚きボイラ」、又は単に「ボイラ」ともいう)を備える副生燃料利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラシステムが設置されるプラント等では、プラントの運転に伴い副生燃料として例えば水素ガスやバイオガス等のガスや油(以下、「副生燃料」ともいう)が発生する場合がある。例えば、特許文献1には、プラントにおいて発生した水素ガス(副生燃料)を燃料の一部として用いるボイラシステムが提案されている。
副生燃料焚きボイラは、客先工場での生産において副生物として発生するガスや油を燃料としている。副生ガスや油等の副生燃料の発生量はそれほど多くないため、タンクやホルダーに貯蔵し、貯蔵量に応じてボイラを燃焼させる制御が必要となる。これまで、タンクやホルダーの貯蔵量をレベル信号として受け取り、レベルに応じて各ボイラの燃焼量を決定する台数制御システム(以下「副生燃料消費制御」ともいう)が構築されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、副生燃料利用システムを運用する場合、副生燃料の発生量はそれほど多くなく、また必ずしも一定の量が発生するものでもない。このため、副生燃料利用システムを運用する場合、メインとなる蒸気発生装置が設けられ、その装置が例えば工場全体の蒸気量を制御しているケースが多い。そうすることで、副生燃料焚きボイラは燃料貯蔵量に応じて成り行きで燃焼したとしても、例えば工場全体への蒸気供給の影響はないことを前提とすることができる。
しかしながら、工場全体の蒸気負荷が極端に下がった場合に、仮にメインとなる蒸気発生装置又はシステムを停止させると、メインとなる蒸気発生装置を再起動する際に、再起動されるまでの間、工場全体の蒸気量を制御することができないこととなる。このため、工場全体の蒸気負荷が仮に極端に下がった場合であっても、メインとなる蒸気発生装置又はシステムを停止させないように、副生燃料焚きボイラの燃焼量を下げるか、又は副生燃料焚きボイラを燃焼停止することが強く望まれている。
これに対して、前述したように、副生燃料焚きボイラシステムにおいては、通常、タンクやホルダーの貯蔵量をレベル信号として受け取り、レベルに応じて各ボイラの燃焼量を決定する副生燃料消費制御(燃料貯蔵量に応じて成り行きで燃焼する制御)がなされており、工場全体の蒸気負荷が仮に極端に下がった場合に、仮にタンクやホルダーの貯蔵量を示すレベル信号により全てのボイラをフル燃焼させる制御状態となっていた場合には、上記要望にこたえることができなくなる。
【0005】
本発明は、例えばプラント設備等の副生設備における製品製造過程において発生する副生燃料を燃料として燃焼可能な燃焼装置を1つ以上含む燃焼装置群と、前記燃焼装置における副生燃料の消費量を制御する制御部と、を備える副生燃料利用システムにおいて、燃焼装置群から生成された蒸気を集合させる蒸気集合部の内部の圧力値である集合部圧力値が予め設定された圧力値を下回る場合に副生燃料タンク又は副生燃料ホルダーに貯蔵された副生燃料の貯蔵量に応じて予め対応づけられた台数分の燃焼装置を燃焼させる副生燃料消費制御部と、集合部圧力値が予め設定された圧力値を上回る場合に予め設定された制御幅により規定される制御圧力帯域の範囲内におさまるように燃焼装置群の燃焼状態を制御するヘッダ圧力制御部と、を切替え制御することができる副生燃料利用システムを提供することを目的とする。
これにより、例えば蒸気負荷が極端に下がった場合(すなわち、集合部圧力値が極端に上がった場合)には、副生燃料を燃焼する燃焼装置群の燃焼量を下げるか、又は燃焼停止させることが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る副生燃料利用システムは、副生燃料を燃焼させて消費することで蒸気を生成する1つ以上の燃焼装置からなる燃焼装置群であって、生成した蒸気を蒸気集合部に集合させる燃焼装置群と、
副生燃料貯蔵部に貯蔵された前記副生燃料を前記燃焼装置に供給する副生燃料供給ラインと、
前記副生燃料貯蔵部に貯蔵された副生燃料の貯蔵量を検知し、レベル信号を出力するレベルセンサと、
前記蒸気集合部の内部の蒸気圧値である集合部圧力値を測定する蒸気圧測定手段と、
前記燃焼装置における副生燃料の消費量を制御する制御部と、を備える副生燃料利用システムであって、
前記制御部は、
前記レベルセンサにより出力されるレベル信号に基づいて指定される台数分の燃焼装置を燃焼させる副生燃料消費制御部と、
前記蒸気圧測定手段により測定される集合部圧力値が予め設定された最大設定圧力値を上限値とし予め設定された制御幅により規定される制御圧力帯域の範囲内におさまるように、前記レベルセンサにより出力されるレベル信号に基づいて指定される台数を最大燃焼台数として前記燃焼装置群の燃焼状態を制御するヘッダ圧力制御部と、
を備え、
前記集合部圧力値が予め設定された圧力値を下回る場合、前記副生燃料消費制御部により前記燃焼装置群の燃焼状態を制御させ、
前記集合部圧力値が予め設定された圧力値を上回る場合、前記ヘッダ圧力制御部により前記燃焼装置群の燃焼状態を制御させる。
【0007】
上述の副生燃料利用システムにおいて、前記予め設定された設定値は、前記制御圧力帯域の下限値とするようにしてもよい。
【0008】
上述の副生燃料利用システムにおいて、前記蒸気集合部には、別のメインの蒸気発生装置又はメインの蒸気発生システムにおける蒸気が集合し、
前記制御圧力帯域は、前記メインの蒸気発生装置又はメインの蒸気発生システムにおける常用圧力よりも上方に設定されるようにしてもよい。
【0009】
上述の副生燃料利用システムにおいて、前記レベルセンサにより出力される前記レベル信号に基づいて指定される台数は、前記レベル信号毎に異なる値に設定されるようにしてもよい。
【0010】
上述の副生燃料利用システムにおいて、前記燃焼装置は、副生燃料の消費量を段階的に変更して燃焼可能であり、
前記ヘッダ圧力制御部は、前記制御圧力帯域に基づいて比例分配制御を行うようにしてもよい。
【0011】
上述の副生燃料利用システムにおいて、前記燃焼装置は、副生燃料の消費量を連続的に変更して燃焼可能な連続制御燃焼装置であり、
前記ヘッダ圧力制御部は、
前記集合部圧力値が前記制御圧力帯域の範囲内に収まるように設定された目標蒸気圧力値を保つように前記レベルセンサにより出力されるレベル信号に基づいて指定される台数を最大燃焼台数として前記燃焼装置群の燃焼状態を制御するようにしてもよい。
【0012】
上述の副生燃料利用システムにおいて、前記制御部は、
前記集合部圧力値が前記制御圧力帯域の下限を上回る場合であって、前記ヘッダ圧力制御部により前記燃焼装置群の燃焼状態を制御しているとき、前記レベルセンサにより出力されるレベル信号が切替わった場合、前記レベルセンサにより出力されるレベル信号に基づいて指定される台数を最大燃焼台数として変更するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば蒸気負荷が極端に下がった場合(すなわち、集合部圧力値が極端に上がった場合)には、副生燃料を燃焼する燃焼装置群の燃焼量を下げるか、又は燃焼停止させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態におけるボイラシステムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるボイラシステムにおける台数制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるボイラシステムにおけるホルダーレベル信号と燃焼台数との対比表の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるボイラシステムにおける、ヘッダ圧力値及びレベル信号に基づいて切替えられる、ボイラ群2の燃焼制御方式による燃焼制御の推移を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態における制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の副生燃料利用システム100の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態の副生燃料利用システム100に係るボイラシステム1の構成について説明する。ボイラシステム1は、
図1に示すように、例えばプラント設備等の副生設備から製品製造に伴って発生する副生燃料を貯蔵する副生燃料貯蔵部としての副生燃料ホルダー30と、副生燃料ホルダー30に貯蔵された副生燃料の貯蔵量を測定するレベルセンサ31と、副生燃料ホルダー30から供給される副生燃料を燃焼させて消費することで蒸気を生成する1つ以上の燃焼装置としてのボイラ(副生燃料焚きボイラ)20からなるボイラ群2(ここでは3台を例示)と、ボイラ群2から生成された蒸気を集合させる蒸気集合部としての蒸気ヘッダ6と、蒸気ヘッダ6の内部の集合部圧力値としてのヘッダ圧力値を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部51を有する台数制御装置5と、を備える。なお、ボイラ20は、段階値制御ボイラを例示する。
【0016】
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数の段階値制御ボイラ20に接続されている。蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備9に接続されている。
【0017】
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留する。蒸気ヘッダ6は、燃焼させる1又は複数の段階値制御ボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、蒸気圧力値が一定に調整された蒸気を蒸気使用設備9に供給する。
【0018】
蒸気圧測定手段としての蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置5に電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値であるヘッダ圧力値を測定し、その蒸気圧力値に対応する蒸気圧信号を、信号線13を介して台数制御装置5に送信する。
【0019】
また、副生燃料貯蔵部としての副生燃料ホルダー30に貯蔵された副生燃料の貯蔵量を検知しレベル信号を出力するレベルセンサ31は、信号線14を介して、台数制御装置5に電気的に接続されている。なお、後述するように、レベルセンサ31は、レベル信号を例えば信号変換盤32を介して変換された台数制御パターン番号を台数制御装置5に送信する。
【0020】
台数制御装置5は、信号線16を介して、複数の段階値制御ボイラ20と電気的に接続され、後述するように台数制御装置5は段階値制御ボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)を制御する。
ボイラ群2は、副生燃料貯蔵部としての副生燃料ホルダー30から副生燃料供給ライン(図示せず)から供給される副生燃料を燃焼させて、蒸気ヘッダ6を介して負荷機器としての蒸気使用設備9に供給する蒸気を発生する。
【0021】
本実施形態では、ボイラ群2に含まれるボイラ20は、燃焼停止位置(第1燃焼位置:0%)、低燃焼位置L(第2燃焼位置:50%)、高燃焼位置H(第3燃焼位置:100%(最大燃焼量))の段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラ(「3位置制御ボイラ」ともいう)を例示して説明する。ボイラ20は、副生燃料を燃料として燃焼が行われるボイラ本体21と、ボイラ20の燃焼位置を制御するローカル制御部22と、を備える。
ボイラ本体21は、水管やバーナを備え、図示せぬ水源(給水タンク)から供給された缶水を水管内で加熱し、蒸気を生成する。
ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置5から送信される台数制御信号に基づいて、段階値制御ボイラ20の燃焼位置を制御する。また、ローカル制御部22は、台数制御装置5で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置5に送信する。台数制御装置5で用いられる信号としては、段階値制御ボイラ20の実際の燃焼位置、及びその他のデータ等が挙げられる。
【0022】
また、台数制御装置5は、レベルセンサ31から出力されるレベル信号を台数制御パターン番号に変換する信号変換盤32を介して受け取るようにしてもよい。以下の説明では、単に「台数制御装置5は副生燃料ホルダー30の貯蔵量をレベル信号として受け取る」という。
【0023】
また、図示しないが、ボイラシステム1とは別にメインとなる蒸気発生装置(図示せず)が設けられ、その装置が例えば工場全体の蒸気量を制御しているものとしてもよい。そして、蒸気発生装置(図示せず)で生成した蒸気を蒸気ヘッダ6に集合させて、蒸気使用設備9に供給するように構成されている。
前述したように、有機廃棄物の処理により発生するバイオガス、化学製品等の生産過程から副産物として発生するガスや油等の副生燃料は発生量が安定せず、副生燃料の発生量はそれほど多くないため、ボイラシステム1は、通常例えば副生燃料ホルダー30に貯蔵された副生燃料の貯蔵量に応じてボイラ20を燃焼させる制御がなされる。
具体的には、台数制御装置5は副生燃料ホルダー30の貯蔵量をレベル信号として受け取り、レベルに応じて各ボイラ20の燃焼量を決定する副生燃料消費制御方式が取られている。このように、メインとなる蒸気発生装置が設けられ、その装置が例えば工場全体の蒸気量を制御している場合、副生燃料焚きボイラは燃料貯蔵量に応じて成り行きで燃焼したとしても、蒸気供給の影響はないことを前提としている。
しかしながら、仮に蒸気負荷が極端に下がった場合(ヘッダ圧力値が極端に上がった場合)に、仮にメインとなる蒸気発生装置又はシステムを停止させると、メインとなる蒸気発生装置を再起動する間、工場全体の蒸気量を制御することができないこととなる。このため、仮に蒸気負荷が極端に下がった場合には、メインとなる蒸気発生装置又はシステムを停止させないように、ボイラシステム1におけるボイラ20の燃焼量を下げるか、又はボイラ20を燃焼停止する必要がある。
このため、本発明の実施形態に係るボイラシステム1は、ヘッダ圧力値が後述するように予め設定された所定圧力値を上回る場合に、副生燃料消費制御方式に加えて、副生燃料ホルダー30の貯蔵量に基づいて指定される台数を最大燃焼台数として、ヘッダ圧力値が予め設定された最大設定圧力値を上限値とする予め設定された制御幅により規定される制御圧力帯域の範囲内におさまるように、ボイラ群2の燃焼状態を制御する比例分配制御方式を行うことを特徴としている。
【0024】
次に台数制御装置5の構成について詳細に説明する。
図2は、台数制御装置5の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、台数制御装置5は、制御手段としての制御部51と、記憶部52と、を備える。
【0025】
制御部51は、前述したように通常はボイラ群2を副生燃料ホルダー30の貯蔵量をレベル信号として受け取り、レベルに応じて各ボイラの燃焼量を決定する副生燃料消費制御方式による燃焼制御を行うが、蒸気負荷の状態に応じて、予め設定された比例分配設定圧力値と比例分配制御幅とに基づいて、各ボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)を制御する比例分配制御方式による燃焼制御を行う。
制御部51の構成については、後述する。
【0026】
記憶部52の構成について簡単に説明する。
図2に示すように、記憶部52は、ホルダーレベル信号と台数制御パターン番号と最大燃焼台数(最大使用蒸気量)との対比表521と、比例分配設定圧力値と比例分配制御幅とを記憶する制御圧力帯域記憶部522と、現時点のホルダーレベル信号に対応する台数制御パターン番号を記憶する台数制御パターン番号記憶部523とを備えてもよい。そうすることで、後述する副生燃料消費制御部511及びヘッダ圧力制御部512は、それぞれ台数制御パターン番号記憶部523に記憶された現時点の台数制御パターン番号を参照することで、燃焼制御することができる。
図3にホルダーレベル信号と燃焼台数との対比表521の一例を示す。
図3に示すように、レベルセンサ31により副生燃料ホルダー30の貯蔵量に応じて検知されるホルダーレベル信号に、最大燃焼台数を有する台数制御パターン番号を対応させる。なお、台数制御パターン番号毎に最大燃焼台数(最大使用蒸気量)を異なる値に設定するようにしてもよい。
このほか、記憶部52は、制御部51の制御により各段階値制御ボイラ20に対して行われた指示の内容、各段階値制御ボイラ20から受信した燃焼位置等の情報、及び優先順位の変更(ローテーション)に関する設定情報等を記憶する。
【0027】
制御部51の構成について説明する。
図2に示すように、制御部51は副生燃料消費制御部511と、ヘッダ圧力制御部512と、制御監視部513と、を備える。
【0028】
副生燃料消費制御部511は、ヘッダ圧力値が予め設定された所定圧力値を下回る場合、レベルセンサ31により出力されるレベル信号に対応する台数制御パターン番号により指定される最大燃焼台数(最大使用蒸気量)分の燃焼装置20をフル燃焼させる。また、ヘッダ圧力制御部512は、ヘッダ圧力値が予め設定された所定圧力値を上回る場合、レベルセンサ31により出力されるレベル信号に対応する台数制御パターン番号により指定される台数を最大燃焼台数(最大使用蒸気量)とする比例分配制御方式によりボイラ群2の燃焼状態を制御する。
【0029】
図3に一例として示すホルダーレベル信号と燃焼台数との対比表521を参照して説明する。まず、ヘッダ圧力値が予め設定された所定圧力値を下回る場合において、副生燃料消費制御部511の燃焼制御について説明する。
図3を参照すると、ホルダーレベル信号がHHの場合、台数制御パターン番号1として最大燃焼台数3台(最大使用蒸気量3000kg/h)が指定されていることから、3台のボイラ20がそれぞれ100%燃焼する。次にホルダーレベル信号がHの場合、台数制御パターン番号2として最大燃焼台数2台(最大使用蒸気量2000kg/h)が指定されていることから、2台のボイラ20がそれぞれ100%燃焼する。ホルダーレベル信号がMMの場合、台数制御パターン番号3として最大燃焼台数1.5台(最大使用蒸気量1500kg/h)が指定されていることから、1台のボイラ20が100%燃焼するとともに、1台のボイラ20が50%燃焼する。ホルダーレベル信号がMの場合、台数制御パターン番号4として最大燃焼台数1台(最大使用蒸気量1000kg/h)が指定されていることから、1台のボイラ20が100%燃焼する。ホルダーレベル信号がLの場合、台数制御パターン番号5として最大燃焼台数0.5台(最大使用蒸気量500kg/h)が指定されていることから、1台のボイラ20が50%燃焼する。最後に、ホルダーレベル信号がLLの場合、一括待機が指定されていることから、3台のボイラ20すべてが燃焼停止し待機する。
なお、ヘッダ圧力値が予め設定された所定圧力値を上回る場合、ヘッダ圧力制御部512が比例制御方式により燃焼制御するが、これについては後述する。
【0030】
制御監視部513は、ホルダーレベル信号を監視し、ホルダーレベル信号が変化したことを検知すると、現時点のホルダーレベル信号に対応する台数制御パターン番号を記憶する台数制御パターン番号記憶部523を更新するようにしてもよい。そうすることで、副生燃料消費制御部511及びヘッダ圧力制御部512は、ホルダーレベル信号に応じて台数制御パターンを切替えることができる。
また、制御監視部513は、ヘッダ圧力値を監視し、ヘッダ圧力値が予め設定された所定圧力値を下回る状態になったか、又はヘッダ圧力値が予め設定された所定圧力値を上回る状態になったか、を検知する。そうすることで、制御監視部513は、ヘッダ圧力値が予め設定された所定圧力値を下回る状態になったことを検知すると、副生燃料消費制御部511がボイラ群2の燃焼状態を制御するように設定する。逆に制御監視部513は、ヘッダ圧力値が予め設定された所定圧力値を上回る状態になったことを検知すると、ヘッダ圧力制御部512がボイラ群2の燃焼状態を制御するように設定する。
【0031】
次に、ヘッダ圧力制御部512について説明する。
前述したように、ヘッダ圧力値が予め設定された所定圧力値を上回る場合、副生燃料消費制御部511に替えてヘッダ圧力制御部512が、比例分配制御方式によりボイラ群2の燃焼状態を制御する。
比例分配制御方式とは、ユーザが望む制御圧力帯域を予め上限値(「比例分配設定圧力値」)と制御幅(「比例分配制御幅」)により設定し、当該制御圧力帯域を、台数制御を行う全てのボイラ(例えば、仮想ボイラ)毎に割り当てることで、複数のボイラの燃焼量の制御を行う燃焼制御方式である。
比例分配制御方式を適用することで、制御圧力帯域の最大設定圧力値から制御幅を減算して算出される圧力値を下限値(「制御圧力帯下限値」)としたとき、ヘッダ圧力値が上限値と下限値とにより規定される圧力制御帯域の範囲内に収まるように、ボイラ群2の燃焼状態が制御される。
ヘッダ圧力制御部512は、レベルセンサ31により出力されるレベル信号に基づいて指定される台数を最大燃焼台数として、蒸気圧センサ7により測定されるヘッダ圧力値が予め設定された比例分配設定圧力値を上限値とし予め設定された比例分配制御幅により規定される制御圧力帯域の範囲内におさまるように、ボイラ群2の燃焼状態を制御する。
【0032】
ヘッダ圧力値が予め設定された所定圧力値を上回る場合において、ヘッダ圧力制御部512の燃焼制御について説明する。以下、所定圧力値を前述した制御圧力帯下限値に等しい値とする。
図3を参照すると、ホルダーレベル信号がHHの場合、台数制御パターン番号1として最大燃焼台数3台(最大使用蒸気量3000kg/h)が指定されていることから、ヘッダ圧力制御部512は、3台のボイラ20を最大燃焼台数として、比例分配制御方式によりボイラ群2の燃焼状態を制御する。ホルダーレベル信号がHの場合、台数制御パターン番号2として最大燃焼台数2台(最大使用蒸気量2000kg/h)が指定されていることから、ヘッダ圧力制御部512は、2台のボイラ20を最大燃焼台数として、比例分配制御方式によりボイラ群2の燃焼状態を制御する。ホルダーレベル信号がMMの場合、台数制御パターン番号3として最大燃焼台数1.5台(最大使用蒸気量1500kg/h)が指定されていることから、ヘッダ圧力制御部512は、1.5台のボイラ20を最大燃焼台数として、比例分配制御方式によりボイラ群2の燃焼状態を制御する。ホルダーレベル信号がMの場合、台数制御パターン番号4として最大燃焼台数1台(最大使用蒸気量1000kg/h)が指定されていることから、ヘッダ圧力制御部512は、1台のボイラ20を比例分配制御方式により燃焼状態を制御する。ホルダーレベル信号がLの場合、台数制御パターン番号5として最大燃焼台数0.5台(最大使用蒸気量500kg/h)が指定されていることから、ヘッダ圧力制御部512は、ヘッダ蒸気圧に応じて、1台のボイラ20が50%燃焼するか、停止するかの制御がなされる。最後に、ホルダーレベル信号がLLの場合、一括待機が指定されていることから、ヘッダ圧力制御部512は、3台のボイラ20すべてを燃焼停止し待機させる。
【0033】
以上のように、ヘッダ圧力値が制御圧力帯域の下限値を下回る場合は、副生燃料消費制御部511は、レベル信号に対応する台数制御パターン番号により指定される最大燃焼台数(最大使用蒸気量)分のボイラ20をフル燃焼させる。そして、ヘッダ圧力値が上昇して制御圧力帯域の下限値を上回る場合、副生燃料消費制御部511に替えて、ヘッダ圧力制御部512が比例分配制御方式によりボイラ群2の燃焼状態を制御する。所定圧力値が制御圧力帯域の下限値に等しいことから、ヘッダ圧力制御部512による燃焼制御に切替わった時点では、レベル信号に基づいて指定される最大燃焼台数分のボイラ20のフル燃焼状態である。
【0034】
さらに、ボイラシステム1とは別にメインとなる蒸気発生装置(図示せず)が設けられ、その装置が例えば工場全体の蒸気量を制御している場合、ヘッダ圧力制御部512における制御圧力帯域をメインとなる蒸気発生装置における常用圧力(メインとなる蒸気発生装置による制御圧力)よりも上方に設定することが好ましい。すなわち、制御圧力帯下限値をメインとなる蒸気発生装置における常用圧力値よりも大きな値となるように設定する。以上をまとめると、以下のように設定することが好ましい。
【0035】
メインとなる蒸気発生装置における常用圧力値< 所定圧力値 = 制御圧力帯下限値
(式1)
こうすることにより、メインとなる蒸気発生装置が定常状態の場合(例えば、ヘッダ圧力が常用圧力近辺で推移している場合)、ヘッダ圧力値が制御圧力帯下限値(所定圧力値でもある)を下回る状態となるため、ボイラシステム1は、副生燃料ホルダー30に貯蔵された副生燃料の貯蔵量に応じて予め対応づけられた台数分のボイラ20をフル燃焼させることができる。
逆に、蒸気負荷が大きく低下し、ヘッダ圧力が大きく上昇に転じ、ヘッダ圧力値が、常用圧力値を上回り、さらに制御圧力帯域の下限値(所定圧力値でもある)を上回った場合、ボイラ群2は、レベルセンサ31により出力されるレベル信号に対応する台数制御パターン番号により指定される台数を最大燃焼台数(最大使用蒸気量)とするヘッダ圧力制御部512により比例分配制御が行われる。それにより、副生燃料を燃焼するボイラ群2の燃焼量を下げるか、又は燃焼停止させることが可能となり、メインとなる蒸気発生装置又はメインの蒸気発生システムを停止させることを避けることができる。
【0036】
図4は、ヘッダ圧力値及びレベル信号に応じて変化するボイラ群2の燃焼制御状況の推移を示す図である。
図4の横軸は時間軸であり、
図4の縦軸は、上からヘッダ圧力値の推移、副生燃料ホルダー30の貯蔵量のレベル信号とそれに対応する台数制御パターンの推移、及び燃焼台数の推移を示している。
【0037】
まず時間T0から時間T1の期間は、蒸気負荷が比較的高く、ヘッダ圧力値が制御圧力帯域を大きく下回っている。このため、ボイラ群2は、副生燃料消費制御部511により制御される。具体的には、レベルセンサ31により出力されるレベル信号MMに対応して台数制御パターン番号3(最大燃焼台数1.5台)が指定されていることから、1台のボイラ20を100%燃焼するとともに、1台のボイラ20を50%燃焼する状態が継続する。
【0038】
次に、時間T1において、レベルセンサ31により出力されるレベル信号がMMからHに切替わったため、レベル信号Hに対応して台数制御パターン番号2(最大燃焼台数2台)が指定され、1.5台燃焼から2台燃焼に変化する。その後、時間T2までの間、レベル信号はHを維持するとともに、ヘッダ圧力値が制御圧力帯域を大きく下回っていることから、2台のボイラ20を100%燃焼する状態が継続する。
【0039】
次に時間T2において、レベルセンサ31により出力されるレベル信号がHからHHに切替わったため、レベル信号HHに対応して台数制御パターン番号1(最大燃焼台数3台)が指定され、2台燃焼から3台燃焼に変化する。その後、時間T3までヘッダ圧力値が制御圧力帯域を下回っていることから、3台のボイラ20を100%燃焼する状態が継続する。
【0040】
次に時間T3において、蒸気負荷の減少に伴い、ヘッダ圧力が制御圧力帯域内まで上昇する。その後、時間T6までの間、レベルセンサ31により出力されるレベル信号がHHを維持し、ヘッダ圧力値は制御圧力帯域内にあるので、この間、ヘッダ圧力制御部512により、3台のボイラ20を最大燃焼台数としてヘッダ圧力値に応じて比例制御分配方式によりボイラ群2を燃焼制御する。また、T3からT4の間ヘッダ圧力値が比較的高い状態に推移したことから燃焼状態が3台燃焼から、2.5台燃焼、2台燃焼、1.5台燃焼、1台燃焼と変化している。その後、ヘッダ圧力値に応じて、1台燃焼、1.5台燃焼、2台燃焼、2.5台燃焼と変化している。同様にその後ヘッダ圧力値の変動に伴い、燃焼台数が変化している。
【0041】
次に時間T6において、レベルセンサ31により出力されるレベル信号がHHからHに切替わったため、レベル信号Hに対応して台数制御パターン番号2(最大燃焼台数2台)が指定されることから、最大燃焼台数を2台として、時間T7までの間、ヘッダ圧力値の変動に伴い、燃焼台数が変化する。
以上、台数制御装置5がヘッダ圧力値の推移、及び副生燃料ホルダー30の貯蔵量のレベル信号の推移に応じて、ボイラ群2を燃焼制御する様子を詳細に説明した。
【0042】
次に、台数制御装置5(制御部51)の燃焼制御処理に係る動作フローを説明する。
図5は制御部51の燃焼制御方式を副生燃料消費制御方式及び比例分配制御方式間で切替える処理の流れを示すフローチャートである。なお、ヘッダ圧力値の所定値は制御圧力帯の下限値が設定され、また、処理のスタート時のヘッダ圧力値は所定値以下とする。また、副生燃料消費制御部511及びヘッダ圧力制御部512はいずれも、前述した台数制御パターン番号記憶部523に記憶された台数制御パターン番号を参照するものとする。したがって、台数制御パターン番号が変更された場合、副生燃料消費制御部511及びヘッダ圧力制御部512はいずれも変更された台数制御パターン番号により燃焼制御する。
【0043】
図5を参照すると、ステップS10において、台数制御装置5(副生燃料消費制御部511)は、台数制御パターン番号により指定される最大燃焼台数(最大使用蒸気量)のボイラ20をフル燃焼するように、ボイラ群2を燃焼制御する。
ステップS11において、台数制御装置5(制御監視部513)は、ヘッダ圧力値が所定値を超えていないかどうかを検知する。ヘッダ圧力値が所定値を超える場合、ステップS12に移る。超えていない場合、ステップS10に戻る。
ステップS12において、台数制御装置5(制御監視部513)は、燃焼制御をヘッダ圧力制御部512に切替える。それにより、ステップS13に移る。
【0044】
ステップS13において、台数制御装置5(ヘッダ圧力制御部512)は、制御圧力帯域に基づいて、台数制御パターン番号により指定される台数を最大燃焼台数(最大使用蒸気量)として、ボイラ群2を比例分配制御方式により燃焼制御する。
ステップS14において、台数制御装置5(制御監視部513)は、ヘッダ圧力値が所定値を下回っているかどうかを検知する。下回っている場合、ステップS15に移る。ヘッダ圧力値が所定値を下回っていない場合、ステップS13に戻る。
ステップS15において、台数制御装置5(制御監視部513)は、制御を副生燃料消費制御部511に切替え、ステップS10に移る。
【0045】
以上のように、副生燃料利用システム100は、1つ以上のボイラ20からなるボイラ群2であって、生成した蒸気を蒸気ヘッダ6に集合させるボイラ群2と、副生燃料ホルダー30に貯蔵された副生燃料の貯蔵量を検知しレベル信号を出力するレベルセンサ31と、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ20における副生燃料の消費量を制御する制御部51と、を備え、制御部51は、レベルセンサ31により出力されるレベル信号に対応する台数制御パターン番号により指定される最大燃焼台数(最大使用蒸気量)分のボイラ20を燃焼させる副生燃料消費制御部511と、蒸気圧センサ7により測定されるヘッダ圧力値が予め設定された最大設定圧力値を上限値とし予め設定された制御幅により規定される制御圧力帯域の範囲内におさまるように、レベルセンサ31により出力されるレベル信号に対応する台数制御パターン番号により指定される台数を最大燃焼台数(最大使用蒸気量)とするボイラ群2の燃焼状態を制御するヘッダ圧力制御部512と、を備え、ヘッダ圧力値が予め設定された圧力値を下回る場合、副生燃料消費制御部511によりボイラ群2の燃焼状態を制御させ、ヘッダ圧力値が予め設定された圧力値を上回る場合、ヘッダ圧力制御部512によりボイラ群2の燃焼状態を制御させる。
これにより、例えば蒸気負荷が極端に下がった場合(すなわち、ヘッダ圧力値が極端に上がった場合)には、ヘッダ圧力制御部512により、レベル信号に対応する台数制御パターン番号により指定される台数を最大燃焼台数(最大使用蒸気量)とするボイラ群2の燃焼状態を比例分配制御することから、副生燃料を燃焼する燃焼装置群の燃焼量を下げるか、又は燃焼停止させることが可能となる。
【0046】
また、ボイラシステム1とは別にメインとなる蒸気発生装置(図示せず)が設けられ、その装置で生成した蒸気を蒸気ヘッダ6に集合させて、蒸気使用設備9に供給することで、例えば工場全体の蒸気量を制御しているシステムとした場合、ボイラシステム1においてヘッダ圧力制御部512に設定される制御圧力帯域を、メインとなる蒸気発生装置による制御圧力値である常用圧力値よりも上方に設定するようにしてもよい。
これにより、ヘッダ圧力値が常用圧力値近辺で推移している場合、副生燃料ホルダー30に貯蔵された副生燃料の貯蔵量に応じて予め対応づけられた台数分の燃焼装置を燃焼させるとともに、蒸気負荷が大きく低下し、ヘッダ圧力値が大きく上昇に転じた場合、ヘッダ圧力値が制御圧力帯域に入った段階で比例分配制御が行われることで、副生燃料を燃焼するボイラ群2の燃焼量を下げるか、又は燃焼停止させることが可能となり、メインとなる蒸気発生装置又はメインの蒸気発生システムを停止させることを避けることができる。
【0047】
また、副生燃料ホルダー30の貯蔵量のレベル信号に基づいて指定される台数は、レベル信号毎に異なる値に設定されるため、レベル信号に応じて副生燃料焚きボイラの最大燃焼台数を切替えることができる。
これにより、ヘッダ圧力制御部512によりボイラ群2の燃焼状態を制御しているとき、レベルセンサ31により出力されるレベル信号が切替わった場合、当該信号に基づいて最大燃焼台数を切り替えることができ、最大燃焼台数を減少させる場合、更なるヘッダ圧力の上昇を抑制できる。
【0048】
以上、本発明の副生燃料利用システム100の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0049】
<変形例1>
また、本実施形態では、副生燃料ホルダー30に副生燃料として副生油などの液体燃料が貯蔵される場合において、レベルセンサ31により液体燃料の貯蔵量を測定し、ホルダーレベル信号に最大燃焼台数を有する台数制御パターン番号を対応させる場合を例示したが、これに限られない。
例えば、副生燃料が副生水素あるいはメタン等の場合には、レベルセンサ31として燃料ガス圧力から副生燃料(燃料ガス)の貯蔵量を測定する圧力センサを備え、ホルダーレベル信号としての燃料ガス圧力(範囲)に最大燃焼台数を有する台数制御パターン番号を対応させるようにしてもよい(例えば、HHを燃料ガス圧力6、Hを燃料ガス圧力5、MMを燃料ガス圧4、Mを燃料ガス圧3、Lを燃料ガス圧力2、LLを燃料ガス圧1としてホルダーの燃料ガス圧力と台数制御パターン番号を対応させる)。
【0050】
<変形例2>
本実施形態では、蒸気集合部として、蒸気ヘッダ6を例示したが、蒸気ヘッダ6に替えて集合配管を適用してもよい。この場合、蒸気圧測定手段としての蒸気圧センサ7は集合配管に取り付けるようにしてもよい。
また、本実施形態では、副生燃料貯蔵部として副生燃料ホルダー30を例示したが、副生燃料ホルダー30に替えて副生燃料タンクを適用してもよい。
【0051】
<変形例3>
本実施形態では、本発明を3台のボイラ20からなるボイラ群2を備えるボイラシステム1を例示したが、これに限らない。すなわち、本発明を、4台以上のボイラ20からなるボイラ群2を備えるボイラシステム1に適用してもよく、また、2台以下のボイラ20からなるボイラ群2を備えるボイラシステム1に適用してもよい。
【0052】
<変形例4>
本実施形態では、ボイラ20として段階値制御ボイラ(3位置制御ボイラ)を例示したが、3位置制御に限られない。任意のN位置制御ボイラを適用してもよい。また、ボイラ20として、連続制御ボイラを適用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
100 副生燃料利用システム
1 ボイラシステム
2 ボイラ群
20 ボイラ(段階値制御ボイラ)
21 ボイラ本体
22 ローカル制御部
30 副生燃料ホルダー
31 レベルセンサ
32 信号変換盤
5 台数制御装置
51 制御部
511 副生燃料消費制御部
512 ヘッダ圧力制御部
513 制御監視部
52 記憶部
521 対比表
522 制御圧力帯域記憶部
523 台数制御パターン番号記憶部
6 蒸気ヘッダ
7 蒸気圧センサ
9 蒸気使用設備
11 蒸気管
12 蒸気管
13 信号線
14 信号線
16 信号線