IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シンフォニアテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-基板搬送装置 図1
  • 特開-基板搬送装置 図2
  • 特開-基板搬送装置 図3
  • 特開-基板搬送装置 図4
  • 特開-基板搬送装置 図5
  • 特開-基板搬送装置 図6
  • 特開-基板搬送装置 図7
  • 特開-基板搬送装置 図8
  • 特開-基板搬送装置 図9
  • 特開-基板搬送装置 図10
  • 特開-基板搬送装置 図11
  • 特開-基板搬送装置 図12
  • 特開-基板搬送装置 図13
  • 特開-基板搬送装置 図14
  • 特開-基板搬送装置 図15
  • 特開-基板搬送装置 図16
  • 特開-基板搬送装置 図17
  • 特開-基板搬送装置 図18
  • 特開-基板搬送装置 図19
  • 特開-基板搬送装置 図20
  • 特開-基板搬送装置 図21
  • 特開-基板搬送装置 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066089
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】基板搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240508BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240508BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 F
H01L21/68 G
B25J9/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175375
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】圓藤 博明
(72)【発明者】
【氏名】三重野 靖理
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS03
3C707BS15
3C707BS26
3C707CV07
3C707CW07
3C707DS01
3C707ES03
3C707HS27
3C707KS05
3C707KS06
3C707KV12
3C707LS14
3C707LS15
3C707LV14
3C707MT03
5F131AA02
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA37
5F131DA22
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB82
5F131DD42
5F131DD52
5F131DD82
5F131GA14
5F131GA33
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA72
5F131KB05
5F131KB07
5F131KB12
5F131KB53
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】センサ部の個数を抑えつつ、複数のポートの各々に基板を適切に搬送できる技術の提供。
【解決手段】搬送ロボット2は、搬送対象となるポートPiについて、ハンド部22を旋回させて、先端部221を該ポートPiと対向しない非対向位置Qiと該ポートPiと対向する対向位置Riとの間で移動させる旋回動作と、ハンド部22を直進させて、先端部221を対向位置Riと該ポートPiとの間で移動させる直進動作とを行う。センサ部3は、旋回動作においてハンド部22に保持されている基板Wの周縁を検出する。搬送対象となるポートPiについて行われる旋回動作においてハンド部22に保持されている基板Wが通過する領域を、該ポートPiの通過弧状領域Miと呼ぶとき、センサ部3の検出ポイント30が、複数のポートPiのうちから選択された複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに配置される。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートに対して基板を搬送する基板搬送装置であって、
先端部で基板を保持するハンド部と、前記ハンド部が旋回自在に連結されたアーム部と、を備え、搬送対象となるポートについて、前記ハンド部を旋回させて、前記先端部を該ポートと対向しない非対向位置と該ポートと対向する対向位置との間で移動させる旋回動作と、前記ハンド部を直進させて、前記先端部を前記対向位置と該ポートとの間で移動させる直進動作とを行う、搬送ロボットと、
前記旋回動作において、前記ハンド部に保持されている基板の周縁を検出するセンサ部と、
前記センサ部での検出結果に基づいて、前記ハンド部に保持されている基板の位置ずれ量を特定する位置ずれ量特定部と、
前記位置ずれ量に基づいて、前記直進動作において前記ハンド部を移動させる移動経路を補正する経路補正部と、
を備え、
搬送対象となるポートについて行われる前記旋回動作において、前記ハンド部に保持されている基板が通過する領域を、該ポートの通過弧状領域と呼ぶとき、
前記センサ部の検出ポイントが、前記複数のポートのうちから選択された複数のポートの通過弧状領域が重なる領域に、配置される、
ことを特徴とする、基板搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板搬送装置であって、
前記搬送ロボットが、
前記アーム部に対して共通の旋回中心の周りで旋回自在に連結された一対の前記ハンド部、
を備え、
前記旋回動作において、前記一対のハンド部が互いに逆向きに旋回して互いの位置を入れ替えるものであり、
前記一対のハンド部のうちの一方のハンド部に保持されている基板が前記検出ポイントを横断する時間帯と、前記一対のハンド部のうちの他方のハンド部に保持されている基板が前記検出ポイントを横断する時間帯とが、重ならない、
ことを特徴とする、基板搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板搬送装置であって、
前記検出ポイントが、前記選択された複数のポートの各々の通過弧状領域の円弧中心から等距離の位置に、配置されている、
ことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板搬送装置であって、
前記センサ部が、
検出光を投光する投光部と、
前記投光部から投光された前記検出光の反射光を受光する受光部と、
を備えることを特徴とする、基板搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板搬送装置であって、
前記センサ部が、
前記投光部から投光された前記検出光を前記受光部に向けて反射させる反射部、
をさらに備え、
前記アーム部が、基端部において所定の旋回中心の周りで旋回自在に配設されており、
前記反射部が、前記アーム部の前記基端部に設けられる、
ことを特徴とする、基板搬送装置。
【請求項6】
請求項4に記載の基板搬送装置であって、
上部が開口した本体部と、前記本体部に対して着脱自在に設けられて前記開口を閉鎖する蓋部と、を備え、内部に前記搬送ロボットが収容される、搬送チャンバーと、
前記本体部の側壁に設けられた支持部材と、
を備え、
前記投光部および前記受光部が前記支持部材に支持される、
ことを特徴とする、基板搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポート(搬送先)に対して基板を搬送する基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程などにおいて、基板に対して各種の処理を行う基板処理装置は、例えば、基板を格納する格納容器との間での基板の出し入れを行うためのインターフェースであるEFEM(Equipment Front End Module)と、基板に対して各種の処理を行う1個以上の処理部とが、基板搬送装置を介して接続された構成を備える。基板搬送装置は、例えば、搬送チャンバーと、その内部に配置された搬送ロボットとを備えており、搬送ロボットが、未処理の基板(例えば、EFEMに設けられたロードポートに載置されている格納容器に格納されていた未処理の基板)を、EFEMの側から処理部の側に搬送する動作(送り動作)、処理部で処理された処理済みの基板を、処理部の側からEFEMの側に搬送する動作(戻り動作)、などを繰り返して行うことで、基板が次々と処理されていく。
【0003】
ところで、基板処理装置において基板に対して適切に処理が施されるように担保するためには、搬送ロボットが、搬送先(ポート)における定められた移載位置に、ずれなく正確に基板を搬送することが求められる。例えば、基板が搬送ロボットのハンド上の定められた保持位置(正規保持位置)に正しく保持されている場合、ハンドが予め定められた経路どおりに移動されることで、ハンドに保持されている基板が、定められた移載位置にずれなく正確に移載される。ところが、基板が、正規保持位置からずれた位置でハンドに保持されてしまった場合、ハンドが定められた経路どおりに移動されると、基板は定められた移載位置からずれた位置に移載されてしまう。すなわち、基板が適切に搬送されない。そうなると、基板に対する適切な処理が担保されないおそれがある。
【0004】
例えば、特許文献1の搬送ロボットは、アームが折りたたまれて、ハンドに保持されている基板がポートの近傍に配置されている状態から、アームを伸びた状態に変形させることで、ハンドをポートに向けて直線軌道に沿って移動させて(エクステンド動作)、ハンドに保持されている基板をポートに移載する。特許文献1には、搬送ロボットがエクステンド動作を行う際に、ハンドに保持されている基板の周縁をセンサで検出し、該検出された周縁の位置に基づいて、基板の位置ずれ量(ハンド上に基板が実際に保持されている位置と正規保持位置との差異)を算出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5685875号公報
【特許文献2】特許第5605132号公報
【特許文献3】特開2015-5684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、ポートに向けてハンドを直進させるエクステンド動作が行われる際にハンドに保持されている基板の周縁をセンサで検出するため、センサがポートの入り口付近に配置される。したがって、複数のポートが存在する場合には、各ポートの近傍にセンサを個別に設けなければならない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、センサ部の個数を抑えつつ、複数のポートの各々に基板を適切に搬送できる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、複数のポートに対して基板を搬送する基板搬送装置であって、先端部で基板を保持するハンド部と、前記ハンド部が旋回自在に連結されたアーム部と、を備え、搬送対象となるポートについて、前記ハンド部を旋回させて、前記先端部を該ポートと対向しない非対向位置と該ポートと対向する対向位置との間で移動させる旋回動作と、前記ハンド部を直進させて、前記先端部を前記対向位置と該ポートとの間で移動させる直進動作とを行う、搬送ロボットと、前記旋回動作において、前記ハンド部に保持されている基板の周縁を検出するセンサ部と、前記センサ部での検出結果に基づいて、前記ハンド部に保持されている基板の位置ずれ量を特定する位置ずれ量特定部と、前記位置ずれ量に基づいて、前記直進動作において前記ハンド部を移動させる移動経路を補正する経路補正部と、を備え、搬送対象となるポートについて行われる前記旋回動作において、前記ハンド部に保持されている基板が通過する領域を、該ポートの通過弧状領域と呼ぶとき、前記センサ部の検出ポイントが、前記複数のポートのうちから選択された複数のポートの通過弧状領域が重なる領域に、配置される、ことを特徴とする。
【0010】
この構成によると、センサ部の検出ポイントが、選択された複数のポートの通過弧状領域が重なる領域に配置されるので、該選択された複数のポートの各々に搬送される基板の周縁を同じセンサ部で検出することができる。すなわち、該選択された複数のポートの間でセンサ部を共用することができる。したがって、センサ部の個数を抑えつつ、複数のポートの各々に基板を適切に搬送することができる。
【0011】
好ましくは、前記基板搬送装置において、前記搬送ロボットが、前記アーム部に対して共通の旋回中心の周りで旋回自在に連結された一対の前記ハンド部、を備え、前記旋回動作において、前記一対のハンド部が互いに逆向きに旋回して互いの位置を入れ替えるものであり、前記一対のハンド部のうちの一方のハンド部に保持されている基板が前記検出ポイントを横断する時間帯と、前記一対のハンド部のうちの他方のハンド部に保持されている基板が前記検出ポイントを横断する時間帯とが、重ならない、ことを特徴とする。
【0012】
この構成においては、旋回動作において一対のハンド部の位置の入れ替えがなされるところ、このときに、各ハンド部に保持されている基板が検出ポイントを横断する時間帯が重ならないので、基板の周縁を適切に検出することができる。
【0013】
好ましくは、前記基板搬送装置において、前記検出ポイントが、前記選択された複数のポートの各々の通過弧状領域の円弧中心から等距離の位置に、配置されている、ことを特徴とする。
【0014】
この構成によると、センサ部の検出ポイントと、選択された複数のポートの各々の通過弧状領域の円弧中心(すなわち、旋回動作においてハンド部の旋回中心が配置される位置)との離間距離が、互いに等しいものとなる。したがって、例えば、センサ部の検出結果に基づいて基板の位置ずれ量を特定する演算処理において、旋回中心と検出ポイントとの離間距離が定数の一つとして用いられる場合、選択された複数のポートの各々に基板を搬送する際に行われる各演算処理の間でこの定数を共通化することができるので、位置ずれ量を特定するための演算処理に係る処理負担を低減することができる。
【0015】
好ましくは、前記基板搬送装置において、前記センサ部が、検出光を投光する投光部と、前記投光部から投光された前記検出光の反射光を受光する受光部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、センサ部が反射型の光電センサであるので、投光部と受光部とを、ハンド部に対して同じ側に配置することができる。したがって、センサ部の調整に係る作業負担を低減することができる。また、センサ部を設置できる位置(ひいては、検出ポイントを配置できる位置)の自由度が高まるので、選択された複数のポートの通過弧状領域が重なる領域に検出ポイントを難なく配置することができる。
【0017】
好ましくは、前記基板搬送装置において、前記センサ部が、前記投光部から投光された前記検出光を前記受光部に向けて反射させる反射部、をさらに備え、前記アーム部が、基端部において所定の旋回中心の周りで旋回自在に配設されており、前記反射部が、前記アーム部の前記基端部に設けられる、ことを特徴とする。
【0018】
この構成によると、反射部で検出光を反射することで、受光部において検出光を安定して受光することが可能となり、検出光が基板の周縁で遮られた際に、受光部で受光される反射光に十分な変化が生じる。したがって、基板の周縁を十分な精度で検出することができる。特に、アーム部の基端部は、アーム部の旋回に伴う変位が比較的小さいので、ここに反射部を設けておけば、アーム部の姿勢にかかわらず、検出光を安定して受光部に受光させることができる。
【0019】
好ましくは、前記基板搬送装置において、上部が開口した本体部と、前記本体部に対して着脱自在に設けられて前記開口を閉鎖する蓋部と、を備え、内部に前記搬送ロボットが収容される、搬送チャンバーと、前記本体部の側壁に設けられた支持部材と、を備え、前記投光部および前記受光部が前記支持部材に支持される、ことを特徴とする。
【0020】
この構成によると、投光部および受光部が、本体部の側壁に設けられた支持部材に支持されるので、例えば、蓋部が本体部から着脱されても、投光部および受光部の位置がずれることがない。したがって、センサ部の調整に係る作業負担を低減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、センサ部の個数を抑えつつ、複数のポートの各々に基板を適切に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る基板搬送装置およびこれを備える基板処理装置の概略構成を模式的に示す平面図。
図2】基板搬送装置およびこれを備える基板処理装置の概略構成を模式的に示す側断面図。
図3】制御部の構成を示す図。
図4】リトラクト位置、入れ替え位置、ポート内位置を説明するための図。
図5】第1ポートの通過弧状領域を示す図。
図6】第2ポートの通過弧状領域を示す図。
図7】第3ポートの通過弧状領域を示す図。
図8】第4ポートの通過弧状領域を示す図。
図9】第1ポートと第2ポートとが共用ポートとされる場合を示す図。
図10】第1ポートと第3ポートとが共用ポートとされる場合を示す図。
図11】第1ポートと第4ポートとが共用ポートとされる場合を示す図。
図12】第1ポート、第2ポート、第3ポート、および、第4ポートが共用ポートとされる場合を示す図。
図13】位置ずれ量を特定する態様を説明するための図。
図14】移動経路を補正する態様を説明するための図。
図15】搬送ロボットがポートに基板を搬送する動作を説明するための図。
図16】一対のハンド部を備える搬送ロボットがポートに基板を搬送する動作を説明するための図。
図17】基板搬送装置の斜視図。
図18】基板搬送装置の平面図および側断面図。
図19】ロードロック側のポートの通過弧状領域を示す図。
図20】ロードロック側のポートの通過弧状領域を示す図。
図21】ロードロック側のポートが共用ポートとされる場合を示す図。
図22】別の形態に係る基板搬送装置の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
<1.基板処理装置>
実施形態に係る基板搬送装置10を備える基板処理装置100の概略構成を、図1図2を参照しながら説明する。図1は、基板処理装置100の概略構成を模式的に示す平面図である。図2は、基板処理装置100の概略構成を模式的に示す側断面図である。
【0025】
基板処理装置100は、例えば、基板Wを搬送する基板搬送装置10と、基板搬送装置10とEFEM101とを接続するロードロックLと、基板搬送装置10に接続された1個以上(図の例では4個)の処理部Pと、を備える。基板搬送装置10での搬送対象(つまりは、基板処理装置100での処理対象)となる基板Wは、具体的には例えば、ウェハ(例えば、半導体ウェハ)である。以下の説明においては、基板Wの形状は円形であるとする。基板Wには、オリエンテーションフラット、ノッチ、などといった切り欠きが形成されていてもよい。
【0026】
ロードロックLは、基板搬送装置10とEFEM101の間に設けられる。EFEM101は、基板Wを格納する格納容器(例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod))との間での基板Wの出し入れを行うためのインターフェースであり、格納容器を載置するロードポート、ロードポートに載置されている格納容器とロードロックLとの間で基板Wを搬送する搬送ロボット、などを含んで構成される(いずれも図示省略)。基板搬送装置10は、ロードロックLに対する基板Wの搬入、および、ロードロックLからの基板Wの搬出を行う。つまり、ロードロックL(具体的には例えば、ロードロックLに設けられた基板Wの載置部)が、基板Wの搬送先(ポート)Liとされる。例えば、ロードロックLが2個の載置部を備えている場合、一方の載置部が一方のポートL1となり、他方の載置部が他方のポートL2となる。つまり、ロードロックLにおいて、2個のポートLi(i=1,2)が形成される。
【0027】
処理部Pは、基板Wに対して各種の処理を行う装置であり、処理対象となる基板Wを載置する処理ステージなどを含んで構成される。処理部Pで行われる処理は何であってもよく、基板処理装置100に複数の処理部Pが設けられる場合に、各処理部Pで行われる処理が互いに異なるものであってもよい。基板搬送装置10は、処理部Pに対する基板Wの搬入、および、処理部Pからの基板Wの搬出を行う。つまり、処理部P(具体的には例えば、処理ステージ、など)が、基板Wの搬送先(ポート)Piとされる。例えば、基板搬送装置10に4個の処理部Pが接続されている場合、4個のポートPi(i=1,2,3,4)が形成される。
【0028】
基板搬送装置10(具体的には、後述する搬送ロボット2)は、その周囲に設けられた複数のポートLi,Piに対して基板Wを搬送する。例えば、基板搬送装置10が、ロードロックLのポートLiにある基板Wを、処理部PのポートPiに搬送することによって、ロードロックLにある未処理の基板Wが、処理部Pに搬入される(送り動作)。また例えば、基板搬送装置10が、処理部PのポートPiにある基板Wを、ロードロックLのポートLiに搬送することによって、処理部Pで処理された処理済みの基板Wが、ロードロックLに搬入される(戻り動作)。基板搬送装置10がこのような送り動作と戻り動作とを繰り返して行うことで、基板Wが次々と処理されていく。もっとも、基板搬送装置10が行う搬送動作は、送り動作および戻り動作に限られるものではない。例えば、基板搬送装置10が、ある処理部PのポートPiにある基板Wを、別の処理部PのポートPiに搬送することによって、ある処理部Pで処理を施された基板Wが、別の処理部Pに搬入されて、ここでさらなる処理を施されるものとしてもよい。
【0029】
<2.基板搬送装置>
基板搬送装置10の構成について、引き続き図1図2を参照しながら説明する。基板搬送装置10は、搬送チャンバー1と、搬送チャンバー1の内部に配置された搬送ロボット2と、搬送チャンバー1の内部に配置されたセンサ部3と、搬送ロボット2の動作を制御する制御部4と、を備える。
【0030】
(搬送チャンバー1)
搬送チャンバー1は、内部に搬送ロボット2を収容するチャンバーである。搬送チャンバー1の内部空間は、搬送ロボット2の動作空間(搬送空間)を形成する。搬送チャンバー1にはロードロックLおよび各処理部Pが接続されており、各接続部分には、搬送ロボット2を各ポートLi,Piにアクセスさせるための開口11が設けられる。また、搬送チャンバー1は、いわゆる真空チャンバーであり、その内部空間は真空環境とされる。
【0031】
(搬送ロボット2)
搬送ロボット2は、いわゆる、水平多関節ロボットであり、アーム部21と、ハンド部22と、を備える。
【0032】
アーム部21は、第1アーム部分211と第2アーム部分212とを備える。第1アーム部分211は、略水平姿勢で延在する長尺の部材であり、基端部において、基台部(図示省略)に対して、旋回中心2110の周りで水平旋回自在に連結される。ただし、基台部は、搬送ロボット2の基台となる部分であり、例えば、搬送チャンバー1の床面の下方に設けられて、床面に設けられた貫通孔などを通じて、第1アーム部分211と連結される。一方、第2アーム部分212は、略水平姿勢で延在する長尺の部材であり、基端部において、第1アーム部分211の先端部に対して、旋回中心2120の周りで水平旋回自在に連結される。
【0033】
アーム部21には、第1アーム部分211(ひいては、アーム部21の全体)を昇降させる駆動機構、第1アーム部分211を旋回中心2110の周りで旋回させる駆動機構、および、第2アーム部分212を旋回中心2120の周りで旋回させる駆動機構、が連結される。各駆動機構は、具体的には例えば、駆動源となるモータ、駆動源から提供される動力を各アーム部分211,212に伝達するための伝達機構(例えば、プーリおよびベルト)、などを含んで構成される。各駆動機構は、基台部の内部に収容されてもよいし、アーム部21の内部に収容されてもよい。
【0034】
ハンド部22は、略水平姿勢で延在する長尺の部材であり、基端部において、アーム部21の先端部(すなわち、第2アーム部分212の先端部)と、旋回中心220の周りで水平旋回自在に連結される。ハンド部22は、その先端部221において搬送対象となる基板Wを保持する部材であり、エンドエフェクタなどとも呼ばれる。ハンド部22は、具体的には例えば、先端部221が二股状に分岐したフォーク状を呈している。もっとも、ハンド部22の形状は、後述するセンサ部3がハンド部22に保持された基板Wの周縁を検出する際に、その妨げとならない限りにおいて、どのような形状であってもよい。例えば、先端部221が平面視略矩形状であってもよい。
【0035】
ハンド部22には、これを旋回中心220の周りで旋回させる駆動機構が連結される。駆動機構は、具体的には例えば、駆動源となるモータ、駆動源から提供される動力をハンド部22に伝達するための伝達機構(例えば、プーリおよびベルト)、などを含んで構成される。駆動機構は、基台部の内部に収容されてもよいし、アーム部21の内部に収容されてもよい。
【0036】
このように、搬送ロボット2は、各アーム部分211,212をそれぞれの旋回中心2110,2120の周りで旋回させることができ、ハンド部22を旋回中心220の周りで旋回させることができる。また、搬送ロボット2は、第1アーム部分211の旋回中心2110の周りでの旋回動作、第2アーム部分212の旋回中心2120の周りでの旋回動作、および、ハンド部22の旋回中心220の周りでの旋回動作を、互いに独立して行うことができる。アーム部分211,212およびハンド部22の各々が、制御部4からの指示に応じて互いに独立して駆動されて、互いに独立して旋回動作を行うことによって、搬送ロボット2がさまざまな搬送動作(例えば、上記に例示したような、ロードロックLのポートLiと処理部PのポートPiとの間で基板Wを搬送する搬送動作(送り動作および戻り動作)、処理部PのポートPiと別の処理部PのポートPiとの間で基板Wを搬送する搬送動作、など)を行うことができる。すなわち、搬送ロボット2にこれらの搬送動作を行わせるために、各アーム部分211,212およびハンド部22の各々が、それぞれの旋回中心2110,2120,220の周りで、互いに独立して、旋回自在に構成されている。
【0037】
(センサ部3)
センサ部3は、光を用いて検出対象物を検出する光電センサであり、検出対象物に向けて光(検出光)を投光する投光部31と、投光部31から投光された検出光を受光してその光量を検出する受光部32と、を備える。投光部31は、例えば発光素子を含んで構成され、受光部32は、例えば受光素子を含んで構成される。投光部31から投光される検出光はどのような光であってもよく、例えば、レーザ光を用いることができる。
【0038】
センサ部3は、具体的には、反射光に基づいて検出を行うもの(いわゆる、反射型の光電センサ)である。すなわち、受光部32は、検出対象物に対して投光部31と同じ側に配置されて、投光部31から投光された検出光の反射光を受光する。ここでは、検出対象物は、搬送ロボット2によって搬送される基板W(すなわち、ハンド部22で保持されている基板W)であり、より具体的には、該基板Wの周縁である。したがって、投光部31と受光部32(具体的には例えば、投光部31と受光部32とが一体化された投受光ユニット300)は、ハンド部22に対して同じ側(図の例では、ハンド部22の上側)に配設される。
【0039】
センサ部3が反射型の光電センサである場合、センサ部3が、投光部31から投光された検出光を受光部32に向けて反射させる反射部33を、さらに備えることも好ましい。反射部33は、検出光を反射できるものであればどのような構成であってもよく、一例として、一方の主面が反射面を形成する板状部材であってもよい。反射部33は、ハンド部22に対して、投光部31および受光部32と逆の側(図の例では、ハンド部22の下側)に配設される。例えば、搬送ロボット2において、ハンド部22の下側にアーム部21が配設されている場合、反射部33は、アーム部21の上面に配設してもよい。この場合、反射部33は、アーム部21の基端部(すなわち、第1アーム部分211の基端部)に設けることが好ましく、特に、該基端部に規定される旋回中心2110と重なる位置に設けることが好ましい。
【0040】
投光部31から投光される検出光の光軸位置(検出ポイント)30に、ハンド部22で保持される基板Wが存在しない状態では、検出光は反射部33で反射され、その反射光が受光部32に到達する。一方、検出ポイント30に、ハンド部22で保持される基板Wが存在する状態では、検出光は基板Wで反射され、その反射光が受光部32に到達する。したがって、これら2つの状態が切り替わるタイミング、すなわち、検出ポイント30に、ハンド部22で保持される基板Wの周縁が到達したタイミングで、受光部32に到達する光(例えば、光が受光される位置、あるいは、受光される光量)が変化する。受光部32は、例えば、ここで受光される光が変化した時点で、ON信号とOFF信号との間で切り替わる電気信号(二値化信号)を、制御部4に出力する。これによって、ハンド部22で保持される基板Wの周縁の位置が検出される。センサ部3(ひいては、その検出ポイント30)が配置される位置については、後に説明する。
【0041】
(制御部4)
制御部4は、基板搬送装置10が備える各部の動作を制御するとともに、各種の演算処理を行う要素であり、例えば、電気回路を有する一般的なコンピュータ、あるいは、マイクロコンピュータ、などによって構成される。制御部4は、具体的には例えば、図3に示されるように、データ処理を担う中央演算装置としてのCPU(Central Processor Unit)41といったプロセッサ、基本プログラムなどが格納されるROM(Read Only Memory)42、CPU41が所定の処理(データ処理)を行う際の作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)43、フラッシュメモリ、ハードディスク装置、などの不揮発性記憶装置によって構成される記憶装置44、これらを相互に接続するバスライン45、などを含んで構成される。制御部4は、例えば、記憶装置44に格納されたプログラムをCPU41が実行することによって、該プログラムによって規定された処理を実行する。もっとも、制御部4が実行する処理の一部または全部が、専用の論理回路などのハードウェア(例えば、専用プロセッサ)によって実行されてもよい。また、制御部4は、搬送ロボット2およびセンサ部3と電気的に接続されており、センサ部3から取得した電気信号などに基づいて、搬送ロボット2を制御する。
【0042】
<3.旋回動作・直進動作>
搬送ロボット2は、例えば、各ポートPiに基板Wを搬送するにあたって、旋回動作と直進動作を行う。旋回動作は、搬送ロボット2を、リトラクト位置と入れ替え位置との間で移動させる動作であり、直進動作は、搬送ロボット2を、リトラクト位置とポート内位置との間で移動させる動作である。リトラクト位置、入れ替え位置、および、ポート内位置は、いずれも、搬送ロボット2が一連の搬送動作の中でとる位置(アーム部21およびハンド部22の姿勢から規定される搬送ロボット2の姿勢)の一種であり、複数のポートPiの各々について規定される。図4には、第1ポートP1について規定された、リトラクト位置(図4(a))、入れ替え位置(図4(b))、ポート内位置(図4(c))が、それぞれ例示されている。
【0043】
リトラクト位置は、ハンド部22の先端部221が、対象となるポートPiと対向する位置(以下「対向位置」という)Ri(i=1,2,3,4)に配置されるとともに、ハンド部22が、ポートPiと対向位置Riとを結ぶ直線Di(i=1,2,3,4)上に延在するような位置である。つまり、リトラクト位置は、ハンド部22の旋回中心220が、ポートPiと対向位置Riとを結ぶ直線Di上の位置Ci(i=1,2,3,4)にあり、ハンド部22の先端部221が、対向位置Riに配置されるような位置である。
【0044】
入れ替え位置は、リトラクト位置と対応して規定される。入れ替え位置では、ハンド部22の旋回中心220が、対応するリトラクト位置においてハンド部22の旋回中心220が配置されていた位置Ciにあり、ハンド部22の先端部221が、対象となるポートPiと対向しない(すなわち、対向位置Riとは異なる位置である)非対向位置Qi(i=1,2,3,4)に、配置される。つまり、入れ替え位置は、ハンド部22の旋回中心220が、ポートPiと対向位置Riとを結ぶ直線Di上の位置Ciにあり、ハンド部22の先端部221が、非対向位置Qiに配置されるような位置である。非対向位置Qiは、適宜に規定されてよい。ただし、リトラクト位置におけるハンド部22の延在方向と、入れ替え位置におけるハンド部22の延在方向とがなす角度は大きいほど好ましいため、非対向位置Qiは、ここに配置された先端部221に保持される基板Wが、搬送チャンバー1の側壁に対して、非接触状態で近接するような位置とされることが好ましい。
【0045】
ポート内位置は、ハンド部22の先端部221が、対象となるポートPiに配置されるとともに、ハンド部22が、ポートPiと対向位置Riとを結ぶ直線Di上に延在するような位置である。つまり、ポート内位置は、ハンド部22の旋回中心220が、ポートPiと対向位置Riとを結ぶ直線Di上にあり、ハンド部22の先端部221が、ポートPiに配置されるような位置である。
【0046】
旋回動作は、搬送ロボット2を、いずれかのポートPiについて規定されたリトラクト位置(図4(a))と、該ポートPiについて規定された入れ替え位置(図4(b))との間で移動させる動作である。つまり、旋回動作は、ハンド部22の旋回中心220を移動させずに(すなわち、アーム部21を動かさずに)、ハンド部22だけを旋回させて(すなわち、単軸駆動して)、先端部221を、対向位置Riと非対向位置Qiとの間で移動させる動作である。ただし、旋回動作には、搬送ロボット2を入れ替え位置からリトラクト位置へと移動させる動作(すなわち、ハンド部22を所定方向(図4の例では反時計回り方向)に旋回させて、先端部221を非対向位置Qiから対向位置Riに移動させる動作)である往路旋回動作と、搬送ロボット2をリトラクト位置から入れ替え位置へと移動させる動作(すなわち、ハンド部22を往路旋回動作とは逆の方向(図4の例では時計回り方向)に旋回させて、先端部221を対向位置Riから非対向位置Qiに移動させる動作)である復路旋回動作と、が含まれる。
【0047】
また、直進動作は、搬送ロボット2を、いずれかのポートPiについて規定されたリトラクト位置(図4(a))と、該ポートPiのポート内位置(図4(c))との間で移動させる動作である。つまり、直進動作は、ハンド部22を、その延在方向に沿って(すなわち、ポートPiと対向位置Riとを結ぶ直線Diに沿って)直進させて、先端部221を、対向位置RiとポートPiとの間で移動させる動作である。ただし、直進動作には、搬送ロボット2をリトラクト位置からポート内位置へと移動させる動作(すなわち、ハンド部22をポートPiに近づく方向に直進させて、先端部221を対向位置RiからポートPiに移動させる動作)である往路直進動作と、搬送ロボット2をポート内位置からリトラクト位置へと移動させる動作(すなわち、ハンド部22をポートPiから離れる方向に直進させて、先端部221をポートPiから対向位置Riに移動させる動作)である復路直進動作と、が含まれる。往路直進動作は、エクステンド動作と呼ばれる場合もある。
【0048】
搬送ロボット2は、搬送対象となるポートPiについて、旋回動作と直進動作とを行って、該ポートPiに基板Wを搬送する。いま、搬送対象となるポートPiについて行われる旋回動作において、ハンド部22に保持されている基板Wが通過する弧状の領域を、該ポートPiの通過弧状領域Mi(i=1,2,3,4)と呼ぶ。つまり、ハンド部22を旋回させて、その先端部221を、ポートPiと対向する対向位置Riと、これに対応する非対向位置Qiとの間で移動させる旋回動作において、先端部221に保持されている基板Wが通過する弧状領域を、該ポートPiの通過弧状領域Miと呼ぶ。図5には、第1ポートP1の通過弧状領域M1が、図6には、第2ポートP2の通過弧状領域M2が、図7には、第3ポートP3の通過弧状領域M3が、図8には、第4ポートP4の通過弧状領域M4が、それぞれ示されている。
【0049】
各ポートPiの通過弧状領域Miは、円弧状の領域であり、その円弧中心は、旋回動作においてハンド部22の旋回中心220が配置される位置Ciである。ただし、ここでいう円弧中心とは、該円弧を規定する円(その一部が該円弧であるような円)の中心である。また、通過弧状領域Miの中心角は、非対向位置Qiがどこに規定されるかによって決まってくる。複数のポートPiの各々の通過弧状領域Miの円弧中心は、互いに異なる位置であってよく、各ポートPiの通過弧状領域Miの中心角は、互いに異なる値であってよい。一方、通過弧状領域Miの内径は、旋回中心220から、ハンド部22に保持されている基板Wの一方の周縁(旋回中心220に最も近い周縁)までの長さに相当し、通過弧状領域Miの外径は、旋回中心220から、該基板Wの他方の周縁(旋回中心220から最も遠い周縁)までの長さに相当する。各ポートPiの通過弧状領域Miの内径は互いに同じ値であり、各ポートPiの通過弧状領域Miの外径も互いに同じ値である。
【0050】
<4.センサ部3の位置>
センサ部3の検出ポイント30は、複数のポートPi(i=1,2,3,4)のうちから選択された複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置される。すなわち、検出ポイント30がこのような領域MDに配置されるように、センサ部3の配設位置が規定される。このような構成によって、該選択された複数のポートPiの間でセンサ部3を共用することが可能となる。以下において、選択された各ポートPi、すなわち、検出ポイント30が配置される領域MDにおいて通過弧状領域Miが重なっている各ポートPiであり、互いにセンサ部3を共用する各ポートPiを、「共用ポート」ともいう。
【0051】
センサ部3を共用させるポートPiの組み合わせ(すなわち、どのような組み合わせのポートPiの各通過弧状領域Miが重なる領域MDに検出ポイント30を配置するか)は、適宜に選択することができる。また、センサ部3を共用させるポートPiの個数も、適宜に規定することができる。センサ部3を共用するポートPiの個数が多いほど、ポートPiの総数に対するセンサ部3の個数を減らすことができる。逆に、センサ部3を共用するポートPiの個数が少ないほど、検出ポイント30を配置するべき領域MDが大きくなり、センサ部3の配設位置の自由度が高まる。
【0052】
例えば、搬送チャンバー1を挟んで対向する各ポートPiが共用ポートとされてもよい。つまり、検出ポイント30は、搬送チャンバー1を挟んで対向する複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置されてもよい。一例として、図9に示されるように、検出ポイント30は、第1ポートP1の通過弧状領域M1と第2ポートP2の通過弧状領域M2とが重なる領域MDに、配置されてもよい。また、検出ポイント30は、第3ポートP3の通過弧状領域M3と第4ポートP4の通過弧状領域M4とが重なる領域MDに、配置されてもよい。
【0053】
また、搬送チャンバー1の側壁に沿って隣り合う各ポートPiが共用ポートとされてもよい。つまり、検出ポイント30は、搬送チャンバー1の側壁に沿って隣り合う複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置されてもよい。一例として、図10に示されるように、検出ポイント30は、第1ポートP1の通過弧状領域M1と第3ポートP3の通過弧状領域M3とが重なる領域MDに、配置されてもよい。また、検出ポイント30は、第2ポートP2の通過弧状領域M2と第4ポートP4の通過弧状領域M4とが重なる領域MDに、配置されてもよい。
【0054】
また、搬送チャンバー1の対角線方向に対向する各ポートPiが共用ポートとされてもよい。つまり、検出ポイント30は、搬送チャンバー1の対角線方向に対向する複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置されてもよい。一例として、図11に示されるように、検出ポイント30は、第1ポートP1の通過弧状領域M1と第4ポートP4の通過弧状領域M4とが重なる領域MDに、配置されてもよい。また、検出ポイント30は、第2ポートP2の通過弧状領域M2と第3ポートP3の通過弧状領域M3とが重なる領域MDに、配置されてもよい。
【0055】
また、3個以上のポートPiが共用ポートとされてもよい。つまり、検出ポイント30は、3個以上のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置されてもよい。一例として、図12に示されるように、検出ポイント30は、第1ポートP1の通過弧状領域M1と、第2ポートP2の通過弧状領域M2と、第3ポートP3の通過弧状領域M3と、第4ポートP4の通過弧状領域M4と、が重なる領域MDに、配置されてもよい。また、検出ポイント30は、これら4個のポートP1~P4のうちから選択された3個のポートPiの各通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置されてもよい。
【0056】
上記のとおり、各ポートPiの通過弧状領域Miの円弧中心は、該ポートPiについて行われる旋回動作においてハンド部22の旋回中心220が配置される位置Ciである。ここで、検出ポイント30は、共用ポートとして選択された複数のポートPiの各々の通過弧状領域Miの円弧中心から等距離の位置に、配置されることが好ましい。すなわち、共用ポートとして選択された複数のポートPiの各々について行われる旋回動作における、検出ポイント30と旋回中心220との離間距離が、互いに等しくなるように、検出ポイント30の位置が規定されることが好ましい。
【0057】
例えば、第1ポートP1と第2ポートP2とが共用ポートとされる場合(図9)、検出ポイント30は、第1ポートP1および第2ポートP2の各通過弧状領域M1,M2が重なる領域MD内であって、かつ、各通過弧状領域M1,M2の円弧中心(すなわち、位置C1,C2)から等距離の位置に、配置されることが好ましい。すなわち、検出ポイント30は、第1ポートP1および第2ポートP2の各通過弧状領域M1,M2が重なる領域MD内であって、かつ、各通過弧状領域M1,M2の円弧中心(すなわち、位置C1,C2)を結ぶ線分の垂直二等分線N上に、配置されることが好ましい。この垂直二等分線Nは、別の言い方をすると、第1ポートP1について行われる旋回動作で基板Wが移動される円弧軌道を規定する円と、第2ポートP2について行われる旋回動作で基板Wが移動される円弧軌道を規定する円とが、互いに交わる交点を結んだ弦に相当する。図10図11の各例においても同様である。
【0058】
また例えば、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、および、第4ポートP4が共用ポートとされる場合(図12)、検出ポイント30は、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、および、第4ポートP4の各通過弧状領域M1,M2,M3,M4が重なる領域MD内であって、かつ、各通過弧状領域M1,M2,M3,M4の円弧中心(すなわち、位置C1,C2,C3,C4)から等距離の位置に、配置されることが好ましい。すなわち、検出ポイント30は、第1ポートP1と第2ポートP2の各通過弧状領域M1,M2の円弧中心(すなわち、位置C1,C2)を結ぶ線分の垂直二等分線Nと、第1ポートP1と第3ポートP3の各通過弧状領域M1,M3の円弧中心(すなわち、位置C1,C3)を結ぶ線分の垂直二等分線Nとの交点上に、配置されることが好ましい。
【0059】
<5.機能部>
次に、制御部4が備える機能的な要素について説明する。制御部4には、位置ずれ量特定部401、および、経路補正部402が実現されている(図3)。これら各部は、例えばCPU41がプログラムに従って動作することによって実現される機能的な要素である。もっとも、制御部4が備える機能的な要素の一部または全部は、専用の論理回路などといったハードウェアで実現されてもよい。
【0060】
(位置ずれ量特定部401)
位置ずれ量特定部401は、センサ部3での検出結果に基づいて、ハンド部22に保持されている基板Wの位置ずれ量を特定する。以下において、位置ずれ量特定部401が基板Wの位置ずれ量を特定する態様の一例を、図13を参照しながら説明する。図13は、位置ずれ量を特定する態様を説明するための図である。
【0061】
搬送ロボット2が旋回動作を行う際(すなわち、ハンド部22が旋回中心220の周りで旋回される際)に、ハンド部22に保持されている基板Wは、円弧状の軌道に沿って移動する。このときに基板Wが通過する通過弧状領域Miにセンサ部3の検出ポイント30がある場合、該円弧状の軌道に沿って移動する基板Wが、検出ポイント30を横断する。別の見方をすると、基板Wを横断する円弧軌道mに沿って、検出ポイント30が基板Wを横断する。
【0062】
このとき、まず、センサ部3の検出ポイント30に基板Wの周縁Waが到達すると、検出光が反射部33で反射される状態から基板Wで反射される状態に切り替わるため、受光部32に到達する光が変化し、制御部4に所定の電気信号が出力される。位置ずれ量特定部401は、センサ部3から電気信号を取得すると、その時点でのハンド部22の角度を取得する。その後、センサ部3の検出ポイント30に基板Wの周縁Wbが到達すると、検出光が基板Wで反射される状態から反射部33で反射される状態に切り替わるため、受光部32に到達する光が変化し、制御部4に所定の電気信号が出力される。位置ずれ量特定部401は、センサ部3から電気信号を取得すると、その時点でのハンド部22の角度を取得する。ハンド部22の角度は、例えば、ハンド部22を駆動するモータ、あるいは、該モータに設けられたエンコーダから取得してもよいし、搬送ロボット2の外部に配置された変位センサ(例えば、レーザ変位センサ)から取得されるハンド部22の位置情報から特定してもよい。
【0063】
続いて、位置ずれ量特定部401は、検出ポイント30に基板Wの周縁Wa,Wbが到達した各時点でのハンド部22の角度に基づいて、ハンド部22に保持されている基板Wの位置ずれ量を特定する。
【0064】
例えば、ハンド部22に保持されている基板Wの中心Wcが存在する角度は、検出ポイント30に一方の周縁Waが到達した時点でのハンド部22の角度と、検出ポイント30に他方の周縁Wbが到達した時点でのハンド部22の角度とを平均した角度から求めることができる。そこで、位置ずれ量特定部401は、検出ポイント30に基板Wの周縁Wa,Wbが到達した各時点でのハンド部22の角度を平均した角度が、予め教示された正規の角度(すなわち、ハンド部22上の定められた保持位置(正規保持位置)に基板Wが保持されている場合(図13の二点鎖線)に、該基板Wの中心Wcが存在する角度)からどれだけずれているかを算出することで、ハンド部22の旋回方向についての基板Wの位置ずれ量を特定する。
【0065】
また、ハンド部22の延在方向についての基板Wの位置ずれ量は、ハンド部22に保持されている基板Wの中心Wcと旋回中心220との離間距離と、予め教示された正規の離間距離(すなわち、正規保持位置に保持されている基板Wの中心Wcと旋回中心220との離間距離)との差分から特定することができる。基板Wの中心Wcと旋回中心220との離間距離は、旋回中心220に対して各周縁Wa,Wbの位置がなす角度(すなわち、検出ポイント30に一方の周縁Waが到達した時点でのハンド部22の角度と、検出ポイント30に他方の周縁Wbが到達した時点でのハンド部22の角度との差分値)と、旋回中心220と検出ポイント30との離間距離と、基板Wの半径と、を用いて、幾何学計算によって特定することができる。
【0066】
もっとも、位置ずれ量特定部401が基板Wの位置ずれ量を特定する態様は、上記に例示したものに限られるものではなく、適宜の態様で基板Wの位置ずれ量を特定することができる。
【0067】
(経路補正部402)
上記のとおり、搬送ロボット2が旋回動作を行う際に、ハンド部22に保持されている基板Wの各周縁Wa,Wbがセンサ部3によって検出され、位置ずれ量特定部401が、センサ部3での検出結果に基づいて、該基板Wの位置ずれ量を特定する。経路補正部402は、位置ずれ量特定部401が特定した位置ずれ量に基づいて、直進動作においてハンド部22を移動させる移動経路を補正する。以下において、経路補正部402が移動経路を補正する態様の一例を、図14を参照しながら説明する。図14は、移動経路を補正する態様を説明するための図である。
【0068】
搬送ロボット2には、各ポートPiの位置が予め教示されている。例えば、各ポートPiには、該ポートPiにおいて基板Wの中心Wcが配置されるべき位置である移載位置Pio(i=1,2,3,4)が規定されており、各ポートPiの移載位置Pioが、予め搬送ロボット2に教示される。その一方で、基板Wがハンド部22上の正規保持位置に保持された場合に、該基板Wの中心Wcが配置される位置が、ハンド部22における先端中心2211として記憶される。そして、往路直進動作におけるハンド部22の移動経路(正規の移動経路)は、ハンド部22の先端中心2211が、教示された移載位置Pioに配置されるように規定されている。基板Wが正規保持位置に保持されている場合、このような移動経路にしたがってハンド部22が移動されることで、該基板Wの中心Wcが、教示された移載位置Pioに配置される(図14(a))。つまり、基板WがポートPiに適切に搬送される。
【0069】
基板Wに位置ずれが生じている場合、経路補正部402は、位置ずれ量特定部401が特定した基板Wの位置ずれ量に基づいて、往路直進動作におけるハンド部22の移動経路を補正する。具体的には例えば、経路補正部402は、まず、移載位置Pioを、基板Wの位置ずれ量に応じてオフセットした位置を、補正移載位置Pimとして取得する。例えば、経路補正部402は、ハンド部22に保持されている基板Wの中心Wcの、先端中心2211からの変位量(すなわち、ハンド部22に保持されている基板Wの中心Wcの、正規保持位置に保持された場合の基板Wの中心Wcからの変位量)ΔWを特定する。そして、経路補正部402は、移載位置Pioを、位置ずれ量ΔWと同じ大きさだけ、位置ずれ量ΔWと逆の向きに、変位させた位置を、補正移載位置Pimとして取得する。そして、経路補正部402は、往路直進動作において、ハンド部22の先端中心2211が、移載位置Pioではなく補正移載位置Pimに配置されるように、往路直進動作の移動経路(具体的には、ハンド部22および各アーム部分211,212の旋回角度)を補正する。補正された移動経路にしたがってハンド部22が移動されると、ハンド部22の先端中心2211が補正移載位置Pimに配置され、このとき、ハンド部22に保持されている基板Wの中心Wcが、移載位置Pioに配置される(図14(b))。すなわち、位置ずれを生じた状態でハンド部22に保持されている基板Wが、本来の移載位置Pioに対してずれなく正確に移載される。つまり、基板WがポートPiに適切に搬送される。
【0070】
もっとも、経路補正部402が移動経路を補正する態様は、上記に例示したものに限られるものではなく、適宜の態様で移動経路を補正することができる。
【0071】
<6.搬送ロボット2の動作>
搬送ロボット2が、ポートPiに基板Wを搬送する動作について、図15を参照しながら説明する。図15は、該動作を説明するための図である。以下に行われる一連の動作は、制御部4が、搬送ロボット2を制御することによって進行する。いうまでもなく、搬送ロボット2は、基板処理装置100が備える複数のポートPiの各々に対して、基板Wを搬送することが可能であり、各ポートPiに対して行われる動作は基本的に同じである。図15では、第1ポートP1に対して基板Wを搬送する場合が例示されている。
【0072】
搬送ロボット2は、搬送対象となるポートPi(図15では第1ポートP1)について、旋回動作と直進動作とを行って、該ポートPiに基板Wを搬送する。
【0073】
具体的には、まず、搬送ロボット2は、搬送対象となるポートPiについて規定される入れ替え位置に配置される(図15(a))。つまり、ハンド部22の旋回中心220が、ポートPiと対向位置Riとを結ぶ直線Di上の位置Ciに配置され、ハンド部22の先端部221が、非対向位置Qiに配置される。このとき、ハンド部22の先端部221には、ポートPiに搬送するべき基板Wが保持されている。
【0074】
続いて、往路旋回動作が行われて、搬送ロボット2が入れ替え位置からリトラクト位置へと移動される。すなわち、ハンド部22が、旋回中心220の周りで旋回されて、先端部221が非対向位置Qiから対向位置Riに移動される(図15(b))。この往路旋回動作において、ハンド部22に保持されている基板Wが通過する通過弧状領域Miにセンサ部3の検出ポイント30がある場合、円弧状の軌道に沿って移動する基板Wが検出ポイント30を横断し、該基板Wの周縁Wa,Wbがセンサ部3によって検出される。
【0075】
上記のとおり、センサ部3の検出ポイント30は、共用ポートとして選択された複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置されている。例えば、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、および、第4ポートP4が共用ポートとして選択されている場合、センサ部3の検出ポイント30が配置される位置は、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、および、第4ポートP4の各通過弧状領域M1,M2,M3,M4が重なる領域MD内となっている(図12)。この場合、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、および、第4ポートP4の各々に基板Wを搬入する際の各旋回動作(例えば、各往路旋回動作)において、同じセンサ部3が基板Wの周縁Wa,Wbを検出する。つまり、センサ部3が、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、および、第4ポートP4の間で共用される。
【0076】
ハンド部22に保持されている基板Wの周縁Wa,Wbがセンサ部3によって検出されると、位置ずれ量特定部401が、センサ部3での検出結果に基づいて、該基板Wの位置ずれ量を特定し、該特定した位置ずれ量を経路補正部402に通知する。
【0077】
続いて、往路直進動作が行われて、搬送ロボット2がリトラクト位置からポート内位置へと移動される。すなわち、ハンド部22が、ポートPiに近づく方向に直進されて、先端部221が対向位置RiからポートPiに移動される(図15(c))。
【0078】
基板Wに位置ずれが生じていない場合、往路直進動作において、ハンド部22は正規の移動経路にしたがって移動され、ハンド部22の先端中心2211が移載位置Pioに配置される(図14(a)参照)。これによって、基板Wの中心Wcが移載位置Pioに配置される。つまり、基板WがポートPiに適切に搬送される。
【0079】
一方、基板Wに位置ずれが生じている場合、経路補正部402が、位置ずれ量特定部401から通知された位置ずれ量に基づいて、往路直進動作におけるハンド部22の移動経路を補正する。すなわち、往路直進動作において、ハンド部22が補正された移動経路にしたがって移動され、ハンド部22の先端中心2211が補正移載位置Pimに配置される(図14(b)参照)。これによって、位置ずれを起こした状態でハンド部22に保持されている基板Wの中心Wcが、移載位置Pioに配置される。つまり、基板WがポートPiに適切に搬送される。
【0080】
続いて、ハンド部22の先端部221に保持されている基板WがポートPiに移載される。ここでは、ポート内位置において、ハンド部22に保持されている基板Wの中心Wcが移載位置Pioに配置されているので、該基板Wがずれなく正確に移載位置Pioに移載される。
【0081】
その後、復路直進動作が行われて、搬送ロボット2がポート内位置からリトラクト位置へと移動される。すなわち、ハンド部22が、ポートPiから離れる方向に直進されて、先端部221がポートPiから対向位置Riに移動される(図15(d))。以上で、ポートPiに基板Wを搬送する動作が終了する。
【0082】
<7.効果>
上記の態様は、複数のポートPiに対して基板Wを搬送する基板搬送装置10であって、先端部221で基板Wを保持するハンド部22と、ハンド部22が旋回自在に連結されたアーム部21と、を備え、搬送対象となるポートPiについて、ハンド部22を旋回させて、先端部221を該ポートPiと対向しない非対向位置Qiと該ポートPiと対向する対向位置Riとの間で移動させる旋回動作と、ハンド部22を直進させて、先端部221を対向位置Riと該ポートPiとの間で移動させる直進動作とを行う、搬送ロボット2と、旋回動作において、ハンド部22に保持されている基板Wの周縁を検出するセンサ部3と、センサ部3での検出結果に基づいて、ハンド部22に保持されている基板Wの位置ずれ量を特定する位置ずれ量特定部401と、位置ずれ量に基づいて、直進動作においてハンド部22を移動させる移動経路を補正する経路補正部402と、を備える。そして、搬送対象となるポートPiについて行われる旋回動作において、ハンド部22に保持されている基板Wが通過する領域を、該ポートPiの通過弧状領域Miと呼ぶとき、センサ部3の検出ポイント30が、複数のポートPiのうちから選択された複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置される。
【0083】
この構成によると、センサ部3の検出ポイント30が、選択された複数のポート(共用ポートとして選択された複数のポート)Piの通過弧状領域Miが重なる領域MDに配置されるので、該選択された複数のポートPiの各々に搬送される基板Wの周縁を同じセンサ部3で検出することができる。すなわち、該選択された複数のポートPiの間でセンサ部3を共用することができる。したがって、センサ部3の個数を抑えつつ、複数のポートPiの各々に基板Wを適切に搬送することができる。
【0084】
例えば、旋回動作ではなく、直進動作が行われる際に、センサ部によって基板Wの周縁を検出することも考えられる。すなわち、直進動作において基板Wが通過する直線状領域内に検出ポイントが配置されるようにセンサ部を設けて、往路直進動作において直線状の軌道に沿って移動する基板Wの周縁を検出することも考えられる。この場合であっても、センサ部で基板Wの2個の周縁を検出することができ、該検出結果に基づいて、基板Wの位置ずれ量を特定することができる。ところが、この場合、2個目の周縁は、往路直進動作がほぼ終了する時点においてようやく検出される。つまり、往路直進動作がほぼ終了するまで基板Wの位置ずれ量が特定されない。したがって、位置ずれ量が特定されて、基板Wに位置ずれが生じていることが判明した場合、往路直進動作がほぼ終了している状態から、アーム部21およびハンド部22を再び駆動して、位置ずれ量に応じて補正された移動経路にしたがってハンド部22を移動させなければならない。すなわち、基板Wの位置ずれが生じていない場合は、往路直進動作が終了した状態のままハンド部22に保持されている基板Wが移載されるのに対し、位置ずれ量が生じている場合は、往路直進動作がほぼ終了した状態から余計な動作を行わなければならない。つまり、位置ずれを補正して基板WをポートPiに適切に搬送するために、余計な動作を行わなければならない。このため、スループットの低下が避けられない。例えば、ポートPiの位置によっては、往路直進動作がほぼ終了している状態においてアーム部21がほぼ伸び切った姿勢になる場合もあるところ、このような姿勢は不感領域に近いため該状態からハンド部22を移動させるのに時間を要することもある。つまり、このような場合には、上記の余計な動作が、スループットに与える影響が特に大きくなるおそれがある。
【0085】
これに対し、上記の構成によると、直進動作ではなく、旋回動作が行われる際に、センサ部3によって基板Wの周縁を検出する。このため、センサ部3での検出結果に基づいて特定された基板Wの位置ずれ量に応じて、続く往路直進動作においてハンド部22を移動させる移動経路を補正することで、基板WをポートPiに適切に搬送することができる。すなわち、このような構成では、位置ずれを補正して基板WをポートPiに適切に搬送するために余計な動作を行う必要がない。したがって、スループットの低下を抑制しつつ、基板Wを適切に搬送することができる。
【0086】
また、上記の態様に係る基板搬送装置10において、検出ポイント30が、選択された複数のポートPiの各々の通過弧状領域Miの円弧中心から等距離の位置に、配置されることも好ましい。
【0087】
この構成によると、センサ部3の検出ポイント30と、選択された複数のポート(共用ポートとして選択された複数のポート)Piの各々の通過弧状領域Miの円弧中心(すなわち、旋回動作においてハンド部22の旋回中心220が配置される位置Ci)との離間距離が、互いに等しいものとなる。したがって、例えば、センサ部3の検出結果に基づいて基板Wの位置ずれ量を特定する演算処理において、旋回中心220と検出ポイント30との離間距離が定数の一つとして用いられる場合、選択された複数のポートPiの各々に基板Wを搬送する際に行われる各演算処理の間でこの定数を共通化することができるので、位置ずれ量を特定するための演算処理に係る処理負担を低減することができる。
【0088】
また、上記の態様に係る基板搬送装置10においては、センサ部3が、検出光を投光する投光部31と、投光部31から投光された検出光の反射光を受光する受光部32と、を備える。
【0089】
仮に、センサ部が透過型の光電センサであるとした場合、投光部と受光部とを、ハンド部22に対して異なる側に配置することになる。この場合、投光部と受光部との位置調整(光軸調整)に手間がかかる。また、ハンド部22の下側に配置する部材は、搬送ロボット2と干渉しない位置であって、かつ、配線処理が可能である位置にしか設置することができないため、センサ部を設置できる位置(ひいては、検出ポイントを配置できる位置)が大きく制限されてしまう。これに対し、上記の構成においては、センサ部3が反射型の光電センサであるので、投光部31と受光部32とを、ハンド部22に対して同じ側に配置することができる。したがって、投光部31と受光部32との位置調整に手間がかかることがなく、センサ部3の調整に係る作業負担を低減することができる。また、投光部31と受光部32を、ともにハンド部22の上側に配置することができるので、センサ部3を設置できる位置(ひいては、検出ポイント30を配置できる位置)の自由度が高く、共用ポートとして選択された複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、検出ポイント30を難なく配置することができる。別の見方をすると、共用ポートの選択の自由度が高い。
【0090】
また、上記の態様に係る基板搬送装置10においては、センサ部3が、投光部31から投光された検出光を受光部32に向けて反射させる反射部33、をさらに備え、アーム部21が、基端部において所定の旋回中心2110の周りで旋回自在に配設されており、反射部33が、アーム部21の該基端部に設けられる。
【0091】
この構成によると、反射部33で検出光を反射することで、受光部32において検出光を安定して受光することが可能となり、検出光が基板Wの周縁で遮られた際に、受光部32で受光される反射光に十分な変化が生じる。したがって、基板Wの周縁を十分な精度で検出することができる。特に、アーム部21の基端部は、アーム部21の旋回に伴う変位が比較的小さいので、ここに反射部33を設けておけば、アーム部21の姿勢にかかわらず、検出光を安定して受光部32に受光させることができる。別の見方をすると、アーム部21の姿勢にかかわらず受光部32に向けて検出光を反射するために必要な反射部33のサイズを、小さくすることができる。
【0092】
<8.他の実施形態>
<8-1.一対のハンド部>
上記の実施形態において、搬送ロボット2は、一対のハンド部22a,22bを備えるものであってもよい。この場合、例えば、一対のハンド部22a,22bの各々は、いずれも、略水平姿勢で延在する長尺の部材であり、互いに異なる高さに配置され、基端部において、第2アーム部分212の先端部と、共通の旋回中心220の周りで水平旋回自在に連結される。つまり、一対のハンド部22a,22bは、アーム部21に対して、共通の旋回中心220の周りで水平旋回自在に、連結される。
【0093】
一対のハンド部22a,22bを備える搬送ロボット2が、ポートPiに基板Wを搬送する動作について、図16を参照しながら説明する。図16は、該動作を説明するための図である。以下に行われる一連の動作も、制御部4が、搬送ロボット2を制御することによって進行する。ここでも、搬送ロボット2は、基板処理装置100が備える複数のポートPiの各々に対して、基板Wを搬送することが可能であり、各ポートPiに対して行われる動作は基本的に同じである。図16では、第1ポートP1に対して基板Wを搬送する場合が例示されている。なお、以下においては、先に説明した要素と同じ要素については、同じ符号を付すとともに説明を省略する。
【0094】
搬送ロボット2は、搬送対象となるポートPi(図16では第1ポートP1)について、旋回動作と直進動作とを行って、該ポートPiに基板Wを搬送する。
【0095】
具体的には、まず、搬送ロボット2は、一方のハンド部(以下「第1ハンド部」ともいう)22aが、搬送対象となるポートPiについて規定されるリトラクト位置に配置され、他方のハンド部(以下「第2ハンド部」ともいう)22bが、該ポートPiについて規定される入れ替え位置に配置される(図16(a))。つまり、ハンド部22の旋回中心220が、ポートPiと対向位置Riとを結ぶ直線Di上の位置Ciに配置され、第1ハンド部22aの先端部221が対向位置Riに配置され、第2ハンド部22bの先端部221が非対向位置Qiに配置される。このとき、第1ハンド部22aの先端部221には基板Wが保持されておらず、第2ハンド部22bの先端部221には、ポートPiに搬送するべき基板Wが保持されている。
【0096】
続いて、第1ハンド部22aの直進動作(往路直進動作および復路直進動作)が行われる。すなわち、第1ハンド部22aが、ポートPiに近づく方向に直進されて、先端部221が対向位置RiからポートPiに移動される(図16(b))。続いて、第1ハンド部22aの先端部221で、ポートPiにある基板Wが保持された後、第1ハンド部22aが、ポートPiから離れる方向に直進されて、先端部221がポートPiから対向位置Riに移動される(図16(c))。
【0097】
続いて、旋回動作が行われる。ここでは、第1ハンド部22aの復路旋回動作が行われ、第2ハンド部22bの往路旋回動作が行われる。つまり、一対のハンド部22a,22bが、共通の旋回中心220の周りで互いに逆向きに旋回されて、第1ハンド部22aの先端部221が対向位置Riから非対向位置Qiに移動され、第2ハンド部22bの先端部221が非対向位置Qiから対向位置Riに移動される(図16(d))。このように、この旋回動作においては、一対のハンド部22a,22bが互いに逆向きに旋回して、互いの位置を入れ替える。この旋回動作において、各ハンド部22a,22bに保持されている基板Wが通過する通過弧状領域Miにセンサ部3の検出ポイント30がある場合、円弧状の軌道に沿って互いに逆向きに移動する各基板Wの両方が、検出ポイント30を横断する。ここでは例えば、往路旋回動作を行う第2ハンド部22bに保持されている基板W(以下「往路側の基板W」ともいう)の周縁Wa,Wbが、センサ部3によって検出される。
【0098】
ただし、ここでは、2個の基板Wが、同じ通過弧状領域Miを互いに逆向きに通過することになるため、往路側の基板Wが検出ポイント30を横断している間に、該往路側の基板Wが、他方の基板W(すなわち、復路旋回動作を行う第1ハンド部22aに保持されている基板Wであり、以下「復路側の基板W」ともいう)と上下に重なる可能性がある。両基板Wが上下に重なるタイミングによっては、往路側の基板Wの周縁Wa,Wbが正しく検出されないおそれがある。そこで、往路側の基板Wが検出ポイント30を横断する時間帯と、復路側の基板Wが検出ポイント30を横断する時間帯とが、重ならないように、各ハンド部22a,22bが旋回動作を開始するタイミングが規定されることが好ましい。特に、検出対象とされる基板W(ここでは、往路側の基板W)が検出ポイント30を横断する時間帯が、他方の基板W(ここでは、復路側の基板W)が検出ポイント30を横断する時間帯よりも先に到来するように、各ハンド部22a,22bが旋回動作を開始するタイミングが規定されることが好ましい。すなわち、往路側の基板Wの2個目の周縁Wbが検出ポイント30に到達した後に、復路側の基板Wの1個目の周縁Waが検出ポイント30に到達するように、各ハンド部22a,22bが旋回動作を開始するタイミングが規定されることが好ましい。
【0099】
なお、ここでも、センサ部3の検出ポイント30は、共用ポートとして選択された複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置されている。例えば、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、および、第4ポートP4が共用ポートとして選択されている場合、センサ部3の検出ポイント30が配置される位置は、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、および、第4ポートP4の各通過弧状領域M1,M2,M3,M4が重なる領域MD内となっている(図12)。この場合、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、および、第4ポートP4の各々に基板Wを搬入する際の各旋回動作において、同じセンサ部3が、一対のハンド部22a,22bのうちの少なくとも一方に保持されている基板W(例えば、往路旋回動作を行う第2ハンド部22bに保持されている往路側の基板W)の周縁Wa,Wbを検出する。つまり、センサ部3が、第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3、および、第4ポートP4の間で共用される。
【0100】
第2ハンド部22bに保持されている往路側の基板Wの周縁Wa,Wbがセンサ部3によって検出されると、位置ずれ量特定部401が、センサ部3での検出結果に基づいて、該基板Wの位置ずれ量を特定し、該特定した位置ずれ量を経路補正部402に通知する。
【0101】
続いて、第2ハンド部22bの往路直進動作が行われる。すなわち、第2ハンド部22bが、ポートPiに近づく方向に直進されて、先端部221が対向位置RiからポートPiに移動される(図16(e))。ここでも、基板Wに位置ずれが生じていない場合、往路直進動作において、第2ハンド部22bは正規の移動経路にしたがって移動され、第2ハンド部22bの先端中心2211が移載位置Pioに配置される(図14(a)参照)。これによって、基板Wの中心Wcが移載位置Pioに配置される。一方、基板Wに位置ずれが生じている場合、経路補正部402が、位置ずれ量特定部401から通知された位置ずれ量に基づいて、往路直進動作における第2ハンド部22bの移動経路を補正する。すなわち、往路直進動作において、第2ハンド部22bが補正された移動経路にしたがって移動され、第2ハンド部22bの先端中心2211が補正移載位置Pimに配置される(図14(b)参照)。これによって、位置ずれを起こした状態で第2ハンド部22bに保持されている基板Wの中心Wcが、移載位置Pioに配置される。
【0102】
続いて、第2ハンド部22bの先端部221に保持されている基板WがポートPiに移載される。ここでは、ポート内位置において、第2ハンド部22bに保持されている基板Wの中心Wcが移載位置Pioに配置されているので、該基板Wがずれなく正確に移載位置Pioに移載される。
【0103】
その後、第2ハンド部22bの復路直進動作が行われる。すなわち、第2ハンド部22bが、ポートPiから離れる方向に直進されて、先端部221がポートPiから対向位置Riに移動される(図16(f))。以上で、ポートPiに基板Wを搬出入する動作が終了する。
【0104】
上記の態様に係る基板搬送装置10は、搬送ロボット2が、アーム部21に対して共通の旋回中心220の周りで旋回自在に連結された一対のハンド部22a,22b、を備える。そして、旋回動作において、一対のハンド部22a,22bが互いに逆向きに旋回して互いの位置を入れ替えるものであり、一対のハンド部22a,22bのうちの一方のハンド部22aに保持されている基板Wが検出ポイント30を横断する時間帯と、一対のハンド部22a,22bのうちの他方のハンド部22bに保持されている基板Wが検出ポイント30を横断する時間帯とが、重ならない。
【0105】
この構成においては、旋回動作において一対のハンド部22a,22bの位置の入れ替えがなされるところ、このときに、各ハンド部22a,22bに保持されている基板Wが検出ポイント30を横断する時間帯が重ならないので、基板Wの周縁Wa,Wbを適切に検出することができる。
【0106】
<8-2.センサ部の取り付け態様>
上記の実施形態において、センサ部3を配設する態様の一例について、図17図18を参照しながら説明する。図17は、基板搬送装置10の斜視図であり、蓋部13が閉じられた状態(図17(a))と、蓋部13が開かれた状態(図17(b))とが、それぞれ示されている。図18は、基板搬送装置10の平面図(図18(a))および側断面図(図18(b))である。ただし、図18では、窓部131を閉鎖するカバー板132が取り外された状態が示されている。
【0107】
基板搬送装置10が備える搬送チャンバー1は、上記のとおり、内部に搬送ロボット2を収容するチャンバーである。この搬送チャンバー1は、具体的には例えば、上部が開口した本体部12と、本体部12に対して着脱自在に設けられて、本体部12の開口を閉鎖する蓋部13と、を備える。
【0108】
本体部12は、例えば、矩形の底板121と、底板121の各辺から立設された側壁122とを含んで構成される。側壁122には、ロードロックLおよび各処理部Pが接続される。上記のとおり、各接続部分には、搬送ロボット2を各ポートLi,Piにアクセスさせるための開口11が設けられる。
【0109】
蓋部13は、例えば板状の部材であり、その面内には、搬送ロボット2のメンテナンス作業などを行うための窓部131と、窓部131を塞ぐように取り付けられた開閉自在のカバー板132と、が設けられる。もっとも、窓部131およびカバー板132は、必須の要素ではなく、これらが省略されてもよい。
【0110】
搬送チャンバー1には、投光部31および受光部32(具体的には、これらが一体化された投受光ユニット300)を支持する支持部材5が、設けられる。支持部材5は、具体的には例えば、本体部12の側壁122に設けられる構造物であり、支持部材5の適宜の位置に、投受光ユニット300が取り付けられる。投受光ユニット300は、取り付け部材51を介して支持部材5に取り付けられることによって、支持部材5に支持されてもよいし、支持部材5に対して直接に取り付けられることによって、支持部材5に支持されてもよい。
【0111】
支持部材5は、具体的には例えば、長尺な棒状であって、対向する一対の側壁122,122の間に架け渡して設けられ、投受光ユニット300は、支持部材5の延在方向の適宜の位置に取り付けられる。このような構成であれば、支持部材5のサイズ(つまりは、搬送チャンバー1の内部空間において支持部材5が占有する領域)を小さく抑えることができる。これによって、搬送チャンバー1の内部空間を広く使用することが可能となる。また、搬送ロボット2のメンテナンス作業などにおいて、支持部材5が邪魔になりにくい。特に、蓋部13に窓部131が設けられる場合、支持部材5は、上方から見て、窓部131と重ならない位置に配設されることが好ましい。このような構成であれば、窓部131を介して行われるメンテナンス作業の際に、支持部材5が邪魔になることがない。
【0112】
支持部材5の各端部を側壁122に固定する態様はどのようなものであってもよい。例えば、各側壁122に、支持部材5の端部に沿うような形状の段差部1221を形成しておき、各段差部1221に支持部材5の各端部を嵌め入れて、さらに、各段差部1221に嵌め入れられた支持部材5の端部を、ボルト52などを用いて段差部1221に対して固定してもよい。このような構成によると、支持部材5の位置(ひいては、これに支持される投受光ユニット300の位置)がずれること十分に防止することができる。
【0113】
上記のとおり、センサ部3の検出ポイント30は、共用ポートとして選択された複数のポートPiの各々の通過弧状領域Miの円弧中心から等距離の位置に、配置されることが好ましい。すなわち、検出ポイント30は、共用ポートとして選択された複数のポートPiの各々の通過弧状領域Miの円弧中心(すなわち、位置Ci)を結ぶ線分の垂直二等分線N上に、配置されることが好ましい。そこで、支持部材5は、上方から見て、検出ポイント30が配置されるべき垂直二等分線Nと平行に延在するような姿勢で、配設されることが好ましい。例えば、少なくとも第1ポートP1と第3ポートP3とが共用ポートとされる場合(図10図12)、支持部材5は、第1ポートP1および第3ポートP3の各通過弧状領域M1,M3の円弧中心(すなわち、位置C1,C3)を結ぶ線分の垂直二等分線Nと平行に延在するような姿勢で、配設されることが好ましい。このような構成によると、投受光ユニット300、ひいては、検出ポイント30を、該垂直二等分線N上に難なく配置することができる。
【0114】
なお、支持部材5とこれと平行に延在する垂直二等分線Nとを上方から見たときの離間距離は、例えば、投受光ユニット300を支持部材5に取り付けるために用いられる取り付け部材51の寸法に応じて規定すればよい。すなわち、取り付け部材51を介して投受光ユニット300を支持部材5に取り付けたときに、投受光ユニット300が、上方から見て、垂直二等分線Nと重なる位置に配設されるように、支持部材5と垂直二等分線Nとの離間距離を規定すればよい。いうまでもなく、投受光ユニット300を支持部材5の真下に取り付ける場合などにおいては、支持部材5と垂直二等分線Nとの上方から見たときの離間距離はゼロであってよい。
【0115】
上記の態様に係る基板搬送装置10は、上部が開口した本体部12と、本体部12に対して着脱自在に設けられて該開口を閉鎖する蓋部13と、を備え、内部に搬送ロボット2が収容される、搬送チャンバー1と、本体部12の側壁122に設けられた支持部材5と、を備える。そして、投光部31および受光部32が支持部材5に支持される。
【0116】
この構成によると、投光部31および受光部32が、本体部12の側壁122に設けられた支持部材5に支持されるので、例えば、蓋部13が本体部12から着脱されても、投光部31および受光部32の位置がずれることがない。仮に、投光部31および受光部32が蓋部13に取り付けられる場合、蓋部13が着脱される度に投光部31および受光部32の調整(例えば、検出ポイント30の位置の調整、など)を行わなければならないが、投光部31および受光部32が、本体部12に設けられた支持部材5に支持される構成であれば、蓋部13が着脱される度にこのような調整を行う必要がない。すなわち、センサ部3の調整に係る作業負担を低減することができる。また、この構成によると、センサ部3の取り付け、交換なども容易である。さらに、この構成によると、投光部31および受光部32の高さ(すなわち、ハンド部22との離間距離)の調整も容易である。したがって、該離間距離を小さくして(ひいては、センサ部3の光軸距離を短くして)、検出精度を高めることも容易である。
【0117】
<8-3.ロードロック側のポート>
上記の実施形態においては、搬送ロボット2が、処理部Pによって規定されるポートPiに基板Wを搬送する場合を例にとって説明したが、搬送ロボット2は、ロードロックLによって規定されるポートLi(i=1,2)に対しても、同様にして基板Wの搬送を行う。すなわち、ロードロックLによって規定される各ポートLiについても、リトラクト位置、入れ替え位置、および、ポート内位置が、それぞれ規定されており、搬送ロボット2は、搬送対象となるポートLiについて、旋回動作と直進動作とを行って、該ポートLiに基板Wを搬送する。
【0118】
したがって、ロードロックLの各ポートLiについても、通過弧状領域Eiが規定される。図19には、ロードロックLの一方のポートL1の通過弧状領域E1が、図20には、ロードロックLの他方のポートL2の通過弧状領域E2が、それぞれ示されている。
【0119】
当然のことながら、ロードロックLのポートLiが共用ポートとして選択されてもよい。例えば、ロードロックLの各ポートLiが共用ポートとされてもよい。すなわち、図21に示されるように、検出ポイント30は、ロードロックLの一方のポートL1の通過弧状領域E1と他方のポートL2の通過弧状領域E2とが重なる領域EDに、配置されてもよい。なお、図21に示されるように、検出ポイント30が配置される領域EDが、上方から見て、アーム部21の上面と重ならない場合、反射部33は、例えば、搬送チャンバー1の底面(具体的には例えば、本体部12の底板121の上面)に配設すればよい。
【0120】
<8-4.搬送チャンバーの外部にセンサ部>
上記の実施形態においては、投光部31および受光部32(具体的には投受光ユニット300)が、搬送チャンバー1の内部に配置されるものとしたが、投受光ユニット300は搬送チャンバー1の外部に配置されてもよい。例えば、図22に示されるように、投受光ユニット300が、搬送チャンバー1の蓋部13の上側に配置されてもよい。具体的には例えば、蓋部13の上面に支持部材5を配設し、該支持部材5に投受光ユニット300を取り付けてもよい。ただし、投受光ユニット300を蓋部13の上側に配置する場合、投光部31から投光された検出光と受光部32に戻る反射光とを透過させるための透過窓133を、蓋部13に設けておく。例えば、搬送チャンバー1の内部空間が真空環境とされる場合などにおいては、投受光ユニット300を搬送チャンバー1の外部に配置する構成を採用することで、投受光ユニット300として真空環境に対応しないものを使用することが可能となる。
【0121】
<8-5.その他>
上記の実施形態においては、投光部31および受光部32(具体的には投受光ユニット300)が、ハンド部22の上側に配置されるものとしたが、投受光ユニット300は、ハンド部22の下側に配置されてもよい。具体的には例えば、投受光ユニット300が、搬送チャンバー1の底板121に設けられてもよい。
【0122】
センサ部3において、投光部31と受光部32は必ずしも投受光ユニット300としてユニット化されていなくともよい。すなわち、互いに別体である投光部31と受光部32とが、それぞれの適宜の位置に設けられてもよい。
【0123】
センサ部3は、撮像素子が1次元あるいは2次元に配列された撮像デバイス(いわゆるカメラ)であってもよい。この場合、カメラで取得される撮像情報に基づいて、ハンド部22に保持されている基板Wの周縁Wa,Wbを検出することができる。いうまでもなく、この場合も、センサ部3の検出ポイント30(具体的には、カメラの撮像領域)は、複数のポートPiのうちから選択された複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置される。センサ部3がカメラである場合、センサ部3が反射型の光電センサである場合と同様、センサ部3をハンド部22に対して同じ側に配置することができるので、センサ部3の調整に係る作業負担を低減することができ、センサ部3を設置できる位置の自由度が高い。
【0124】
センサ部3は、透過型の光電センサであってもよい。すなわち、センサ部3は、投光部31と受光部32が検出対象物に対して異なる側に配置されて、透過光に基づいて検出を行うものであってもよい。この場合、例えば、投光部31がハンド部22の一方側(例えば上側)に配設され、受光部32がハンド部22の他方側(例えば下側)に配設される。いうまでもなく、この場合も、センサ部3の検出ポイント30は、複数のポートPiのうちから選択された複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、配置される。
【0125】
上記の実施形態において、共用ポートとして選択された複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに、複数のセンサ部3の検出ポイント30が配置されてもよい。ただし、この場合、複数の検出ポイント30の配列方向は、重なり合う各通過弧状領域Miの円弧方向(すなわち、各旋回動作において基板Wが移動される円弧軌道の延在方向)と一致しない方向に規定される。旋回動作において基板Wが通過する通過弧状領域Miに複数の検出ポイント30がある場合、円弧状の軌道に沿って移動する基板Wが、複数の検出ポイント30を横断する。別の見方をすると、基板Wを横断する複数の円弧軌道mの各々に沿って、検出ポイント30が基板Wを横断する。これにより、複数のセンサ部3の各々によって基板Wの各周縁Wa,Wbが検出される(すなわち、一対の周縁Wa,Wbが、複数組(センサ部3と同数個)、検出される)。位置ずれ量特定部401が、複数のセンサ部3での検出結果に基づいて、ハンド部22に保持されている基板Wの位置ずれ量を特定することによって、位置ずれ量の特定精度を十分に高めることができる。ひいては、経路補正部402における補正精度を十分に高めることができる。
【0126】
また、各ポートPiの通過弧状領域Miに複数のセンサ部3の検出ポイント30が配置され、該複数のセンサ部3の少なくとも一部が、他のポートPiとの間で共用される構成としてもよい。すなわち、通過弧状領域Miに複数のセンサ部3の検出ポイント30が配置され、該複数のセンサ部3の検出ポイント30の少なくとも一部が、共用ポートとして選択された複数のポートPiの通過弧状領域Miが重なる領域MDに配置されてもよい。
【0127】
上記の実施形態において、搬送ロボット2が一対のハンド部22a,22bを備える場合、旋回動作において、往路側の基板Wがセンサ部3での検出対象とされていたが、これに代えて(あるいはこれに加えて)、復路側の基板Wがセンサ部3での検出対象とされてもよい。この場合、位置ずれ量特定部401が、復路側の基板Wの位置ずれ量を特定し、位置ずれが生じている場合、経路補正部402が、該特定された位置ずれ量に基づいて、該基板WをいずれかのポートPiに搬入する際に行われる往路直進動作において第1ハンド部22aを移動させる移動経路を補正してもよい。
【0128】
上記の実施形態において、搬送ロボット2の構成はどのようなものであってもよい。例えば、第1アーム部分211と第2アーム部分212とは互いにほぼ同じ長さであってもよいし、互いに異なる長さであってもよい。
【0129】
上記の実施形態では、ロードロックL(具体的には、載置部)、および、処理部P(具体的には、処理ステージ、など)が、ポートPi,Liを構成していたが、ポートPi,Liはこれらに限られるものではない。例えば、ポートPi,Liは、別の搬送装置との間で基板Wを受け渡す受け渡し位置、基板Wを一時的に保管するバッファ装置、基板Wの格納容器、などであってもよい。また、処理部Pがロードロックを介して基板搬送装置10と接続されている場合、該ロードロック(具体的には例えば、ロードロックに設けられた基板Wの載置部)が、ポートPiとされてもよい。
【0130】
基板搬送装置10の周囲に規定されるポートPiの位置および個数は、上記の実施形態において例示したものに限られない。また、互いに異なる種類のポートPiが、共用ポートとされてもよい。例えば、上記の実施形態において、ロードロックLのポートLiの通過弧状領域Eiと、処理部PのポートPiの通過弧状領域Miとが重なる場合、ロードロックLのポートLiと処理部PのポートPiとが共用ポートとされてもよい。
【0131】
上記の実施形態において、搬送チャンバー1の内部空間は真空環境とされるものとしたが、搬送チャンバー1の内部空間は必ずしも真空環境とされる必要はなく、例えば大気圧環境とされてもよい。
【0132】
上記の実施形態において、位置ずれ量特定部401が、特定した位置ずれ量が所定の閾値よりも大きいか否かを判定し、所定の閾値よりも大きい場合に、基板Wに位置ずれが生じていると判断して、該特定された位置ずれ量を経路補正部402に通知してもよい。そして、経路補正部402が、位置ずれ量特定部401から位置ずれ量が通知された場合に、該通知された位置ずれ量に基づいて、往路直進動作におけるハンド部22の移動経路を補正してもよい。この場合、ポートPi,Liごとに(例えば、各ポートPi,Liの種類などに応じて)、閾値が個別に設定されてもよい。
【0133】
上記の実施形態において、基板Wは、ウェハに限られるものではなく、例えば、ガラス基板、テープフレームに保持されたウェハ(テープフレームウェハ)、などであってもよい。また、基板Wの形状は、円形であってもよいし、円形以外の形状(例えば、矩形)であってもよい。また、基板Wは不透明であってもよいし、透明であってもよい。基板Wが透明の場合であっても、その周縁では屈折率が異なるため、受光部32で受光される光量に変化が生じ、その変化を受光部32で検出することで、周縁を検出することができる。
【0134】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0135】
100 基板処理装置
10 基板搬送装置
1 搬送チャンバー
2 搬送ロボット
21 アーム部
22 ハンド部
22a 第1ハンド部
22b 第2ハンド部
3 センサ部
31 投光部
32 受光部
33 反射部
30 検出ポイント
4 制御部
Pi,Li ポート
Ri 対向位置
Qi 退避位置
Mi,Ei 通過弧状領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22