(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066113
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】半導体基板及びその設計方法、ならびに半導体基板の製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/82 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
H01L21/82 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175436
(22)【出願日】2022-11-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度 総務省「電波資源拡大のための研究開発 ~100GHz以上の高周波数帯通信デバイスに関する研究開発~」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大島 直樹
【テーマコード(参考)】
5F064
【Fターム(参考)】
5F064EE60
5F064HH06
(57)【要約】
【課題】プロセスルールを満たしつつ、高周波回路とその周辺に設けられたダミーメタルを加味した状態における解析の困難性を解決する半導体基板及びその設計方法、ならびに半導体基板の製造装置を提供すること。
【解決手段】本開示に係る半導体基板100は、高周波回路を備え、高周波回路を構成する配線101の内側である第1の領域にあるダミーメタル群は、高周波回路の周辺領域よりも外側にあるダミーメタル群に比べて、ダミーメタル単体のサイズ及び配置間隔がn倍で、個数が1/n
2倍で、nは1より大きい実数である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波回路を備え、
前記高周波回路を構成する配線の内側である第1の領域にあるダミーメタル群は、前記高周波回路の周辺領域よりも外側にあるダミーメタル群に比べて、ダミーメタル単体のサイズ及び配置間隔がn倍で、個数が1/n2倍で、nは1より大きい実数である
半導体基板。
【請求項2】
前記第1の領域にあるダミーメタル群の金属密度は、前記周辺領域よりも外側にあるダミーメタル群の金属密度と同程度である
請求項1に記載の半導体基板。
【請求項3】
前記第1の領域よりも外側かつ前記周辺領域よりも内側である第2の領域にあるダミーメタル群は、前記周辺領域よりも外側にあるダミーメタル群に比べて、ダミーメタル単体のサイズ及び配置間隔がm倍で、個数が1/m2倍で、mは1より大きい実数である
請求項1又は2に記載の半導体基板。
【請求項4】
前記第2の領域にあるダミーメタル群の金属密度は、前記周辺領域よりも外側にあるダミーメタル群の金属密度と同程度である
請求項3に記載の半導体基板。
【請求項5】
前記mは、前記nと同じである請求項3に記載の半導体基板。
【請求項6】
高周波回路とダミーメタル群を備える半導体基板の設計方法であって、
解析対象に対して、メッシュサイズを設定し、メッシュ数を計算し、
前記メッシュ数から算出される必要メモリ量が計算機から割り当て可能なメモリ量を上回る場合において、前記ダミーメタル群のダミーメタル単体のサイズと配置間隔がn倍で、個数が1/n2倍となるようにし、
nは1より大きい実数である
半導体基板の設計方法。
【請求項7】
前記ダミーメタル群の金属密度は、前記高周波回路よりも外側にあるダミーメタル群の金属密度と同程度である
請求項6に記載の半導体基板の設計方法。
【請求項8】
高周波回路とダミーメタル群を備える半導体基板の製造装置であって、
解析/判定部と、設計部と、通信部と、製造部と、を備え、
前記解析/判定部は、解析対象に対して、メッシュサイズを設定し、メッシュ数を計算し、前記メッシュ数から算出される必要メモリ量が計算機から割り当て可能なメモリ量を上回るかどうかを判定し、
前記設計部は、前記ダミーメタル群のダミーメタル単体のサイズと配置間隔がn倍で、個数が1/n2倍となるように前記ダミーメタル群を設計し、
nは1より大きい実数であり、
前記通信部は、設計データの通信を行い、
前記製造部は、前記設計データに基づいて、半導体基板を製造する
半導体基板の製造装置。
【請求項9】
前記ダミーメタル群の金属密度は、前記高周波回路よりも外側にあるダミーメタル群の金属密度と同程度である
請求項8に記載の半導体基板の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板及びその設計方法、ならびに半導体基板の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高周波配線を含む半導体装置において、ダミーメタルをメッシュ状に配置した半導体基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信の需要の増加に伴い、より高周波を使用する通信方法及び通信装置の開発が求められている。高集積化された半導体基板を用いた通信装置は、高周波を使用する通信に適しており、無線通信のさらなる普及のために期待されている。
【0005】
半導体プロセスにおける所望の回路の設計は、回路シミュレータ及び半導体ベンダが提供する高周波モデルの発達によって高精度化されてきた。マイクロ波領域、特にミリ波より高い周波数においては、提供されるモデルに含まれない回路やモデル間の接続配線などに関して、電磁界解析を用いて設計することが一般的である。
【0006】
シリコン系半導体は、特に高集積化に適しているが、高集積化及び微細化が進むにつれて、プロセスルールは厳しくなる。高い製造精度を維持するためには、所定の金属密度を満たすために、回路動作には本来必要のないダミーメタルを追加することが多い。
【0007】
一般的なシリコン系半導体プロセスにおいて、ダミーメタルの配置は、設計ソフトなどによる自動生成にて決められている。一方で、高周波回路においては、回路の特性への影響を回避するため、所望の回路から離れた領域にダミーメタルを設けるよう、手動で配置することが行われてきた。
【0008】
ダミーメタルは、微細な金属片であるものの、回路内及び回路周辺に多数配置されるため、解析を行うには大量の計算リソースを要するだけでなく、設計値と実際の値がずれてしまうことも多い。微細化を要するプロセスになるほど、当該回路の隣接区画との金属密度の平滑化の観点から、ダミーメタルのサイズも小さくなり、解析がより困難となる。
【0009】
上述の電磁界解析の計算量は、解析する範囲と所望の周波数に比例するメッシュ数とに大きく依存する。メッシュ内に、例えばダミーメタルと誘電材のような異種材料が混在すると、境界条件が複雑となるため、より細かいサイズのメッシュが必要となる。即ち、ダミーメタルのサイズが小さく、かつ大量になると、メッシュサイズが膨大になり、電磁界解析が困難となる。
【0010】
また、より微細化が要求される半導体プロセスにおいて、金属密度が通常のプロセスルールを満たさない場合が増える。その対策として、例えば特許文献1では、金属密度の影響が大きいインダクタやトランスなどの高周波回路の周辺においては、金属密度を下げるプロセスルールを適用することが開示されている。しかしながら、この対策方法では、半導体ベンダ側においてプロセスルールの緩和措置が必要となる。
【0011】
本開示は、これらの課題を鑑みてなされたものであり、プロセスルールを満たしつつ、高周波回路とその周辺に設けられたダミーメタルを加味した状態における解析の困難性を解決する半導体基板及びその設計方法、ならびに半導体基板の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示に係る半導体基板は、高周波回路を備え、前記高周波回路を構成する配線の内側である第1の領域にあるダミーメタル群は、前記高周波回路の周辺領域よりも外側にあるダミーメタル群に比べて、ダミーメタル単体のサイズ及び配置間隔がn倍で、個数が1/n2倍で、nは1より大きい実数である半導体基板である。
【0013】
本開示に係る半導体基板の設計方法は、高周波回路とダミーメタル群を備える半導体基板の設計方法であって、解析対象に対して、メッシュサイズを設定し、メッシュ数を計算し、前記メッシュ数から算出される必要メモリ量が計算機から割り当て可能なメモリ量を上回る場合において、前記ダミーメタル群のダミーメタル単体のサイズと配置間隔がn倍で、個数が1/n2倍となるようにし、nは1より大きい実数である半導体基板の設計方法である。
【0014】
本開示に係る半導体基板の製造装置は、高周波回路とダミーメタル群を備える半導体基板の製造装置であって、解析/判定部と、設計部と、通信部と、製造部と、を備え、前記解析/判定部は、解析対象に対して、メッシュサイズを設定し、メッシュ数を計算し、前記メッシュ数から算出される必要メモリ量が計算機から割り当て可能なメモリ量を上回るかどうかを判定し、前記設計部は、前記ダミーメタル群のダミーメタル単体のサイズと配置間隔がn倍で、個数が1/n2倍となるように前記ダミーメタル群を設計し、nは1より大きい実数であり、前記通信部は、設計データの通信を行い、前記製造部は、前記設計データに基づいて、半導体基板を製造する半導体基板の製造装置である。
【発明の効果】
【0015】
本開示により、プロセスルールを満たしつつ、高周波回路とその周辺に設けられたダミーメタルを加味した状態における解析の困難性を解決する半導体基板及びその設計方法、ならびに半導体基板の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1に係る半導体基板及びダミーメタルの配置を説明する図である。
【
図2】実施の形態1に係る半導体基板及びダミーメタルの配置を説明する図である。
【
図3】実施の形態1に係る半導体基板の設計方法を表すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1に係る半導体基板の製造装置を説明する図である。
【
図5】実施の形態2に係る半導体基板の設計方法を表すフローチャートである。
【
図6】実施の形態3に係る半導体基板の設計方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)、(b)は、本実施の形態に係る半導体基板及びダミーメタルの配置を表している。
【0018】
本実施の形態に係る半導体基板100は、高周波回路を実装した半導体基板であり、高周波回路を構成する配線101、及びダミーメタル102、103、104を備える。図中の点線は、高周波回路の周辺領域110を表している。
【0019】
本実施の形態において、高周波回路を構成する配線101よりも内側の領域を、第1の領域とし、第1の領域内に配置されるダミーメタル102の集合を、第1のダミーメタル群と称する。第1の領域よりも外側の領域、かつ周辺領域110よりも内側の領域を、第2の領域とし、第2の領域内に配置されるダミーメタル103の集合を、第2のダミーメタル群と称する。周辺領域110よりも外側の領域を、第3の領域とし、第3の領域内に配置されるダミーメタル104の集合を、第3のダミーメタル群と称する。
【0020】
図1(a)は、第1及び第2のダミーメタル群を構成するダミーメタル102、103のサイズと、ダミーメタルの配置間隔が、第3のダミーメタル群を構成するダミーメタル104に比べて2倍であり、個数が1/2
2倍、即ち1/4倍である例を示している。
【0021】
図1(b)は、第1及び第2のダミーメタル群を構成するダミーメタル102、103のサイズと、ダミーメタルの配置間隔が、第3のダミーメタル群を構成するダミーメタル104に比べて4倍であり、個数が1/4
2倍、即ち1/16倍である例を示している。
【0022】
このような構成とすることにより、第1及び第2の領域における金属密度と、第3の領域における金属密度とを、同程度とすることができる。即ち、高周波回路とその周辺の金属密度を一定に保つことができる。これにより、プロセスルールを満たしつつ、ダミーメタルを含んだ状態における解析を容易にすることが可能となる。
【0023】
上述のダミーメタル102、103とダミーメタル104のサイズ及び配置間隔の関係は、あくまで一例であり、サイズがn倍で、個数が1/n2倍で、nは1より大きい実数であれば、本実施の形態に示される効果は得られる。即ち、ダミーメタル104に比べて、ダミーメタル102、103のサイズ及び配置間隔を大きくすることが、本実施の形態において重要である。また、上述のダミーメタルの形状は、正方形として記載されているが、長方形など、正方形以外の形状でも同様の効果は得られる。
【0024】
図1(a)、(b)においては、ダミーメタル102とダミーメタル103のサイズ及び配置間隔を概略同一としているが、これに限らない。即ち、ダミーメタル104に比べて、ダミーメタル102とダミーメタル103のサイズ及び配置間隔が大きければ、ダミーメタル102とダミーメタル103とのサイズ及び配置間隔の大小関係は任意である。
【0025】
図2に示される半導体基板100は、ダミーメタル104に比べて、ダミーメタル102のサイズと配置間隔が2倍で、個数が1/4倍であり、ダミーメタル103のサイズと配置間隔が4倍で、個数が1/16倍である例を示している。このような構成においても、第1の領域、第2の領域、及び第3の領域における金属密度は、全て同程度となるため、同様の効果が得られる。
【0026】
換言すれば、
図2に示される半導体基板100は、ダミーメタル104に比べて、ダミーメタル102のサイズと配置間隔がn倍で、個数が1/n
2倍で、ダミーメタル103のサイズと配置間隔がm倍で、個数が1/m
2倍で、n及びmは1より大きい実数である。nとmは、異なってもよいし、同じでもよい。
【0027】
図2においては、ダミーメタル102の方がダミーメタル103よりもサイズが大きい例を示したが、ダミーメタル103の方がダミーメタル102よりもサイズが大きい場合においても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0028】
このようにして、プロセスルールを満たしつつ、高周波回路とその周辺に設けられたダミーメタルを加味した状態における解析の困難性を解決する半導体基板を提供することができる。
【0029】
次に、本実施の形態に係る半導体基板を設計するための設計方法について説明する。
図3は、本実施の形態に係る半導体基板の設計方法を表すフローチャートである。当該設計方法は、大きく分けて、電磁界解析などによる解析工程と、解析結果を反映する設計工程からなる。
【0030】
まず、解析対象、即ち、本実施の形態における高周波回路に対して、小さい領域(メッシュ)に分割し、メッシュのサイズを設定してメッシュ数を計算する(S101)。メッシュ数は、シミュレータのアルゴリズムや、周波数、メッシュ形状などに依存する。メッシュの形状は、三次元での解析において正四面体などの形状を取ることが多い。
【0031】
次に、メッシュ数から必要とされるメモリ量を算出し、算出された必要メモリ量が、計算機から割り当てられたメモリ量を上回るかどうかを判定する(S102)。下回る場合は、解析可能であるため、解析を実行する。上回る場合や、そもそもメッシュ数の算出が困難である場合は、解析ができないので、次のステップに移行する。
【0032】
次に、高周波回路を構成する配線の内側、及び高周波回路の周辺領域の内側に設けられたダミーメタル群に対し、サイズと配置間隔をn倍にする(S103)。nは1より大きい実数である。このようにすると、高周波回路を構成する配線の内側、及び高周波回路の周辺領域の内側のダミーメタルの総数は、元のダミーメタルの総数に比べて1/n2倍になる。
【0033】
上述のようにダミーメタルのサイズと配置間隔と個数を変更することによって、ダミーメタルの個数を減らしながら、ダミーメタルの総面積(ここでは、上面視における面積)を一定に保つことができる。したがって、ダミーメタルの金属密度も、変更前後において一定に保つことができる。
【0034】
次に、ダミーメタルのサイズを変更した、即ち、ダミーメタルを再配置した解析対象に対して、メッシュ数を算出する。メッシュ数から必要とされるメモリ量を算出し、算出された必要メモリ量が、計算機から割り当てられたメモリ量を下回るかどうかを判定し、下回る場合は、解析を実行する(S104)。計算機から割り当てられたメモリ量よりも大きい場合は、算出可能なメッシュ数となるまでダミーメタルのサイズ変更を繰り返す。最終的に、所望の特性となれば回路として完成するので、その解析結果を設計に反映する。
【0035】
また、
図4に示されるように、当該工程を半導体基板の製造装置にて行ってもよい。半導体基板の製造装置200は、解析及び判定を行う解析/判定部201、得られた解析結果を基に回路及びダミーメタルの配置など設計を行う設計部202、設計データの通信を行う通信部203、設計データに基づいて半導体基板の製造を行う製造部204を備える。製造装置200は、設計データに基づいて、半導体基板210に回路などが形成された領域211などを形成する。
【0036】
なお、説明を簡潔にするため、高周波回路を構成する配線の内側、及び高周波回路の周辺領域の内側のダミーメタルのサイズを同時にn倍するように示したが、これに限定されず、それぞれのダミーメタル群を独立してサイズ変更してもよい。
【0037】
換言すれば、高周波回路を構成する配線の内側のダミーメタル群に対するサイズと配置間隔をn倍にし、高周波回路の周辺領域の内側のダミーメタルのサイズと配置間隔がm倍にしてもよい。nとmは1より大きい実数であり、それぞれ異なってもよいし、同じでもよい。
【0038】
このようにして、プロセスルールを満たしつつ、高周波回路とその周辺に設けられたダミーメタルを加味した状態における解析の困難性を解決する半導体基板の設計方法を提供することができる。また、半導体基板の製造における電気特性や精度の向上、設計リードタイム短縮に寄与するなど、その効果は大きい。
【0039】
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1に係る半導体基板の設計方法の変形例について説明する。実施の形態1と同様の構成要素及び工程は、説明の重複を避けるために割愛する場合がある。
【0040】
ダミーメタルは、大きいほど電磁界解析などの解析において、メッシュのサイズを大きくすることができるため、解析の負荷を小さくすることができる。一方で、メッシュのサイズが微細であるほど、所望の回路の周囲への影響が小さい。
【0041】
そこで、所望の回路の周囲に位置する回路などへのダミーメタルの影響を抑えるため、周囲の回路に隣接する、或いは十分近い位置にあるダミーメタルのサイズは変更せず、それ以外のダミーメタルのサイズのみ変更する。このようにすることにより、周囲の回路は、微細なダミーメタルを設けた時の特性のまま、所望の回路のみにおいて、低負荷での解析を行うことが可能となる。
【0042】
具体的な工程について説明する。
図5は、本実施の形態に係る半導体基板の設計方法を表すフローチャートである。解析対象に対するメッシュ分割及びメッシュサイズの設定(S201)は、実施の形態1のS101と同様である。メッシュ数から必要とされるメモリ量を算出し、算出された必要メモリ量が、計算機から割り当てられたメモリ量を上回るかどうかの判定(S202)についても、実施の形態1のS102と同様である。下回る場合は、解析可能であるため、解析を実行する。上回る場合や、そもそもメッシュ数の算出が困難である場合は、解析ができないので、次のステップに移行する。
【0043】
次に、所望の回路に隣接するダミーメタルは変更せず、さらに隣の、即ち、次隣接のダミーメタル群に対し、サイズと配置間隔をn倍にする(S203)。これにより、次隣接のダミーメタルの総数は、所望の回路に隣接するダミーメタルの総数に比べて1/n2倍になる。したがって、ダミーメタルの個数を減らしながら、ダミーメタルの総面積と金属密度を一定に保つことができる。
【0044】
次に、ダミーメタルを再配置した解析対象に対して、メッシュ数を算出し、メッシュ数から必要とされるメモリ量を算出し、算出された必要メモリ量が、計算機から割り当てられたメモリ量を下回るどうかを判定し、下回る場合は、解析を実行する(S204)。計算機から割り当てられたメモリ量よりも大きい場合は、算出可能なメッシュ数となるまでダミーメタルのサイズ変更を繰り返す。最終的に、所望の特性となれば回路として完成になるので、その解析結果を設計に反映する。
【0045】
このようにして、周囲の回路は、微細なダミーメタルを設けた時の特性のまま、所望の回路のみにおいて、低負荷での解析を行うことが可能となる半導体基板の設計方法を提供することができる。
【0046】
<実施の形態3>
本実施の形態は、実施の形態2と同様に、実施の形態1に係る半導体基板の設計方法の変形例について説明する。実施の形態1、2と同様の構成要素及び工程は、説明の重複を避けるために割愛する場合がある。
【0047】
実施の形態2において説明されたように、ダミーメタルは、微細であるほど周囲への影響が少なくなる。電磁界解析などの解析に用いる計算機に十分な余裕がある場合は、ダミーメタルを微細化することにより、周囲への影響を小さくすることができる。
【0048】
図6は、本実施の形態に係る半導体基板の設計方法を表すフローチャートである。解析対象に対するメッシュ分割及びメッシュサイズの設定を行い(S301)、メッシュ数から必要とされるメモリ量を算出し、算出された必要メモリ量が、計算機から割り当てられたメモリ量を下回るかどうかを判定する(S302)。下回る場合は、次のステップに移行する。一方、上回る場合は、実施の形態1、2と同様に、ダミーメタルのサイズと配置間隔を大きくするステップ(S306)に移行し、ダミーメタルの再配置後に算出される必要メモリ量が下回ると判定されるまで繰り返す(S307)。その後、解析を実行する。
【0049】
計算機から割り当てられたメモリ量を下回る場合、即ち、解析可能である場合において、ダミーメタルのサイズと配置間隔が1/k倍で、総数がk2倍となるようにする(S303)。kは1より大きい実数である。
【0050】
次に、ダミーメタルを再配置後に算出されるメッシュ数から算出される必要メモリ量が、計算機から割り当て可能なメモリ量を下回るかどうかを判定する(S304)。下回る場合は、計算機に余裕があるため、さらにダミーメタルのサイズと配置間隔を小さくし、判定するステップを繰り返す(S303、S304)。
【0051】
計算機から割り当て可能なメモリ量を上回るようになった場合は、ダミーメタルのサイズと配置間隔をk倍にし、総数を1/k2倍にする(S305)。即ち、この工程は、解析が可能であったサイズの状態に戻す工程を示している。その後、解析を実行する。
【0052】
このようにすることにより、ダミーメタルを微細化することができるため、周囲への影響を小さくすることができる。したがって、解析可能であり、かつ周囲への影響の少ないダミーメタルを設計することが可能となる。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
100、210 半導体基板
101 配線
102、103、104 ダミーメタル
110 周辺領域
200 製造装置
201 解析/判定部
202 設計部
203 通信部
204 製造部
211 回路などが形成された領域