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  • 特開-処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066124
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/17 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A47J27/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175461
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】福田 昌史
(72)【発明者】
【氏名】松川 泰三
(72)【発明者】
【氏名】牟田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松本 宏典
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054BA05
4B054BC06
4B054CD05
4B054CH01
4B054CH11
(57)【要約】
【課題】加熱に伴う被処理物の吹きこぼれを抑制可能な処理装置1を提供する。
【解決手段】
本発明によれば、被処理物を処理する処理装置1であって、処理槽2と、加熱手段4と、泡検知手段5と、制御手段7とを備え、処理槽2は、被処理物を収容するように構成され、加熱手段4は、処理槽2内の被処理物を加熱するように構成され、泡検知手段5は、電極部51を備え、電極部51と泡92との接触に伴う電気的導通の有無に基づき処理槽2内の被処理物の液面上の泡立ちを検知可能に構成され、制御手段7は、泡検知手段5による検知結果に基づき、加熱手段4を制御可能に構成される、処理装置1が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を処理する処理装置であって、
処理槽と、加熱手段と、泡検知手段と、制御手段とを備え、
前記処理槽は、前記被処理物を収容するように構成され、
前記加熱手段は、前記処理槽内の前記被処理物を加熱するように構成され、
前記泡検知手段は、電極部を備え、前記電極部と泡との接触に伴う電気的導通の有無に基づき前記処理槽内の前記被処理物の液面上の泡立ちを検知可能に構成され、
前記制御手段は、前記泡検知手段による検知結果に基づき、前記加熱手段を制御可能に構成される、処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の処理装置であって、
撹拌機を備え、
前記撹拌機は、撹拌軸と前記撹拌軸に取り付けられた撹拌羽根とを備え、前記処理槽内の前記被処理物を撹拌するように構成され、
前記電極部は、その下端が前記被処理物の撹拌時における前記撹拌羽根の上限位置よりも上方に位置するように配置される、処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の処理装置であって、
前記電極部は、電極棒を備え、
前記泡検知手段は、前記電極棒の下端と泡との接触に伴う電気的導通の有無に基づき前記液面上の泡立ちを検知可能に構成される、処理装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の処理装置であって、
前記電極部は、電極棒と、前記電極棒の下端に設けられた電極板とを備え、
前記電極板は、前記液面と対向するように配置された検知面を備え、
前記泡検知手段は、前記検知面と泡との接触に伴う電気的導通の有無に基づき前記液面上の泡立ちを検知可能に構成される、処理装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の処理装置であって、
前記処理槽の外側には、ジャケットが設けられ、
前記加熱手段は、前記処理槽と前記ジャケットとの間に設けられた空間に蒸気を供給するように構成される給蒸手段である、処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の調理等を目的として、被処理物を処理槽に収容し加熱処理を行う処理装置が用いられている。例えば、特許文献1には、釜本体の外側に設けられた蒸気室内に蒸気を供給することで、釜内の食品を加熱可能な蒸気釜が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2889169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体(例えば、調味料等を加えた水)の被処理物を加熱する際、加熱に伴い液面状に泡立ちが発生し、高温域において泡立ちが上昇して処理槽から吹きこぼれる場合がある。吹きこぼれにより、製品の歩留まりが低下する他、処理槽の外面に被処理物が付着すると処理後の洗浄作業の手間が増加し処理効率が低下してしまう。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、加熱に伴う被処理物の吹きこぼれを抑制可能な処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]被処理物を処理する処理装置であって、処理槽と、加熱手段と、泡検知手段と、制御手段とを備え、前記処理槽は、前記被処理物を収容するように構成され、前記加熱手段は、前記処理槽内の前記被処理物を加熱するように構成され、前記泡検知手段は、電極部を備え、前記電極部と泡との接触に伴う電気的導通の有無に基づき前記処理槽内の前記被処理物の液面上の泡立ちを検知可能に構成され、前記制御手段は、前記泡検知手段による検知結果に基づき、前記加熱手段を制御可能に構成される、処理装置。
[2][1]に記載の処理装置であって、撹拌機を備え、前記撹拌機は、撹拌軸と前記撹拌軸に取り付けられた撹拌羽根とを備え、前記処理槽内の前記被処理物を撹拌するように構成され、前記電極部は、その下端が前記被処理物の撹拌時における前記撹拌羽根の上限位置よりも上方に位置するように配置される、処理装置。
[3][1]又は[2]に記載の処理装置であって、前記電極部は、電極棒を備え、前記泡検知手段は、前記電極棒の下端と泡との接触に伴う電気的導通の有無に基づき前記液面上の泡立ちを検知可能に構成される、処理装置。
[4][1]又は[2]に記載の処理装置であって、前記電極部は、電極棒と、前記電極棒の下端に設けられた電極板とを備え、前記電極板は、前記液面と対向するように配置された検知面を備え、前記泡検知手段は、前記検知面と泡との接触に伴う電気的導通の有無に基づき前記液面上の泡立ちを検知可能に構成される、処理装置。
[5][1]から[4]のいずれか1つに記載の処理装置であって、前記処理槽の外側には、ジャケットが設けられ、前記加熱手段は、前記処理槽と前記ジャケットとの間に設けられた空間に蒸気を供給するように構成される給蒸手段である、処理装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る処理装置においては、泡検知手段により処理槽内の被処理物の液面上の泡立ちを検知し、検知結果に基づき制御手段が加熱手段を制御する。このような構成により、泡立ちを検知した時点で加熱手段による加熱量を調整し吹きこぼれを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る処理装置の構成を示す概略図である。
図2】処理装置を正面から見た場合の処理槽の内部の構成を示す概略図である。
図3】処理装置を図2の右側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
1.処理装置の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る処理装置1の構成を示す概略図である。処理装置1は、被処理物を処理するためのものである。本実施形態の処理装置1は、被処理物の一例である食品を撹拌しながら加熱処理可能に構成された蒸気釜であり、図1に示すように、処理槽2と、加熱手段4と、泡検知手段5と、ドレン排出手段6と、制御手段7とを備える。
【0011】
処理槽2は、被処理物を収容するように構成される。本実施形態の処理槽2は、上方へ開口する有底の金属製中空容器である。具体的には、処理槽2の下側は横向きの略円筒状の円筒部21により、処理槽2の上側はホッパー22により構成されており、ホッパー22の上部が開口している。処理槽2には、処理状態を検出するための各種センサ(不図示)が設けられる。当該センサとしては、内部に収容された被処理物の重量を検出する重量センサや、被処理物の温度を検出するための温度センサが例示される。
【0012】
また、処理槽2の外側には、処理槽2の底部の少なくとも一部を覆うようにジャケット3が設けられる。図2に示すように、処理槽2とジャケット3との間には、蒸気を導入可能な空間である蒸気室31が設けられる。また、ジャケット3の底壁には、蒸気供給口23とドレン排出口24とが設けられる。この他、蒸気室31内の圧力を検出するための圧力センサ(不図示)を蒸気室31内に設けてもよい。
【0013】
図1に示すように、処理槽2の側面には、処理槽2を両側から挟み込むように一対の軸部25が設けられる。軸部25は支持部材(不図示)に支持されており、これにより、処理槽2は床面から浮いた状態で配置される。
【0014】
また、本実施形態の処理装置1は、図2に示すように、撹拌機8をさらに備える。撹拌機8は、撹拌軸81と、撹拌軸81に取り付けられた撹拌羽根82とを備え、処理槽2内の被処理物を撹拌するように構成される。本実施形態では、処理槽2の内部に、その水平方向の両端を架け渡すように撹拌軸81が設けられ、撹拌軸81に複数の撹拌羽根82が取り付けられている。撹拌軸81は、駆動機構(不図示)により回転可能に構成される。撹拌軸81が回転することで撹拌羽根82が撹拌軸81と一体的に回転し、処理槽2内の被処理物を撹拌する。
【0015】
加熱手段4は、処理槽2内の被処理物を加熱するように構成される。本実施形態の加熱手段4は、蒸気室31に蒸気を供給するように構成された給蒸手段である。加熱手段4は、図1に示すように、給蒸ライン41を備える。給蒸ライン41は、蒸気の流れに沿って上流側がボイラ(不図示)に接続され、下流側がジャケット3の蒸気供給口23に接続される。また、給蒸ライン41の中途に給蒸弁42が設けられている。給蒸弁42を開くことでボイラから蒸気室31へ高温高圧の蒸気を供給し、給蒸弁42の開度を調整することで蒸気の供給量を調整し、給蒸弁42を閉じることで蒸気の供給を停止することができる。蒸気室31に蒸気を導入することにより、処理槽2内の被処理物を間接的に可能である。
【0016】
ドレン排出手段6は、ドレン排出ライン61と、蒸気トラップ62と、ドレン排出弁63とを備え、蒸気室31へ供給された蒸気の凝縮水(ドレン)を外部に排出するように構成される。ドレン排出ライン61は、ドレンの流れに沿って上流側がジャケット3のドレン排出口24に接続され、蒸気トラップ62及びドレン排出弁63は上流側からこの順でドレン排出ライン61に設けられる。
【0017】
なお、処理装置1は、本実施形態のような被処理物の加熱処理専用の構成に限定されず、被処理物の加熱及び冷却処理が可能な加熱・冷却兼用の構成としてもよい。処理装置1が加熱・冷却兼用の場合、蒸気室31に冷却水を導入することで処理槽2内の被処理物を間接的に冷却することができる。この場合、冷却水を導入するための冷却水供給口と冷却水を排出するための冷却水排出口とをジャケット3に設け、冷却水循環手段によりチラー等の冷却源と蒸気室31との間で冷却水を循環させてもよい。
【0018】
泡検知手段5は、図2に示すように電極部51を備え、電極部51と泡92との接触に伴う電気的導通の有無に基づき処理槽2内の被処理物の液面91上の泡立ちを検知可能に構成される。本実施形態では、電極部51が電極棒52を備え、泡検知手段5は、電極棒52の下端と泡92との接触に伴う電気的導通の有無に基づき前記液面上の泡立ちを検知可能に構成される。
【0019】
本実施形態の泡検知手段5は、処理槽2に取り付けられている。具体的には、図2に示すように、ホッパー22の開口の縁に電極保持器53が設けられ、電極棒52は、上端側が電極保持器53に保持され、略鉛直方向に沿って配置されている。また、電極棒52の上端側は、電極保持器53を介して金属製の処理槽2と電気回路において電気的に接続されており、当該電気回路には、電流検知手段(例えば、電流計や、フロートレススイッチによる微弱電流検知機構)と電源とが設けられている。なお、本実施形態では、図3においてホッパー22の開口の背面側の縁に泡検知手段5が取り付けられているが、泡検知手段5の取り付け位置はこれに限定されるものではなく、ホッパー22の開口の縁の任意の位置に取り付け可能である。
【0020】
電極部51の下端(本実施形態では、電極棒52の下端)は、処理槽2の開口の縁よりも下方、且つ被処理物の液面91よりも上方に配置される。液面91上に泡92が存在しないか、又は泡92が存在していても電極棒52の下端まで上昇していない状態では、電気回路は電極棒52の下端において開放された開回路となり、電流が流れない。一方、液面91上に発生した泡92が上昇して電極棒52の下端に接触すると、処理槽2内の被処理物、液面91上の泡92、電極棒52、及び処理槽2を含む閉回路となった電気回路に電流が流れる。また、電極棒52の下端に接触していた泡92が下降して非接触となると、電気回路は再び開回路となり、電流が流れない状態となる。
【0021】
従って、電流検知手段が電流を検出しない場合には、泡92が電極棒52の下端に到達していないと判断でき、電流を検知した場合には、泡92が電極棒52の下端に到達していると判断できる。本実施形態の泡検知手段5は、電流検知手段が電流を検知した場合に制御手段7に対して警報信号を出力する。警報信号を受け取った制御手段7は、加熱手段4を制御して加熱量を調整する。これにより、被処理物の吹きこぼれを防止することができる。
【0022】
本実施形態では、電極部51は、その下端が被処理物の撹拌時における撹拌羽根82の上限位置よりも上方に位置するように配置される。つまり、図2に示すように処理槽2の開口の縁を原点とする深さ方向(鉛直下向き)を正の向きとする座標軸(z軸)を設定した場合、電極棒52の下端の位置z=d1、及び撹拌羽根82の上限位置z=d2について、d1<d2が成立する。このような構成により、撹拌羽根82が撹拌軸81周りに回転して被処理物を撹拌する際に、撹拌羽根82が電極棒52に接触することを回避することができる。
【0023】
電極部51の下端の位置は、上述のような撹拌機8の構成の他、処理槽2のサイズ、被処理物の条件、加熱手段4の構成、撹拌機8の構成等を考慮して適宜設定することができる。例えば、d1が小さすぎると、泡立ちの検知に伴う加熱量の制御が追いつかず吹きこぼれを回避できない可能性があるため、加熱量制御における応答速度を考慮して電極部51の下端の位置を設定してもよい。また、電極部51の下端が被処理物の液面91の位置z=d3に近すぎると、撹拌時に液面91が波打って電極部51に接触し泡立ちと誤検知されやすくなるため、液面91の位置を考慮して電極部51の下端の位置を設定してもよい。
【0024】
また、撹拌時の液面91が波打って電極部51に接触することを抑制するために、電極部51の側方(電極部51の上側及び下側以外の面(側面)の側)の少なくとも一部を囲むように遮蔽材を設けてもよい。遮蔽材は、例えば、複数の板状部材を用いて構成可能であり、板状部材の素材として、例えば処理槽2と同じ金属を用いることができる。遮蔽材を設けることで、遮蔽材に覆われていない電極部51の下方から上昇するように近づく泡92と電極部51との接触を可能としつつ、電極部51の側方から近づく液面91の波打ちと電極部51との接触を抑制することができる。
【0025】
制御手段7は、処理槽2に設けられたセンサからの検出信号や、泡検知手段5からの警報信号、及び処理開始後の経過時間等に基づき、処理装置1の各構成要素を制御する。具体的には、制御手段7は、後述するような所定の手順(プログラム)に従い、給蒸弁42及びドレン排出弁63等を制御して、処理槽2内の被処理物の加熱処理を実行する。
【0026】
なお、上述の構成の制御手段7は、具体的には例えば、CPU、メモリ(例えばフラッシュメモリ)、入力部及び出力部を備えた情報処理装置により構成することができる。そして、情報処理装置により構成された制御手段7の上述した各構成要素による処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで行われる。情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PLC(プログラマラブルロジックコントローラ)あるいはマイコンが用いられる。ただし、制御手段7の一部の機能を、任意の通信手段により接続されたクラウド上で実行されるよう構成しても良い。
【0027】
2.処理装置1の動作
次に、本実施形態の処理装置1の動作について説明する。制御手段7は、所定の手順(プログラム)に従い処理装置1の各構成要素を制御することで、被処理物の加熱処理を行う。
【0028】
処理槽2内に被処理物を収容後、加熱を開始する際には、制御手段7は、加熱手段4の給蒸弁42を開く。これにより、ボイラからの蒸気が給蒸ライン41を介して蒸気室31へ供給される。加えて、制御手段7は、ドレン排出手段6のドレン排出弁63を開く。これにより、ドレンがドレン排出ライン61を介して外部へ排出される。
【0029】
制御手段7は、蒸気室31を設定加熱圧力(設定加熱温度)にした後、その状態を保つことで、処理槽2内の被処理物を加熱する。例えば、蒸気室31内に圧力センサを設ける場合、検出圧力を設定加熱圧力に維持するように、給蒸弁42の開度を調整するか、又は給蒸弁42の開閉を切り替える。
【0030】
また、制御手段7は、泡検知手段5による検知結果に基づき、加熱手段4を制御する。具体的には、泡検知手段5により被処理物の液面91上の泡立ちが検知され警報信号が出力されると、制御手段7は、加熱量が減少するように加熱手段4を制御する。この際、給蒸弁42の開度を小さくして蒸気室31への蒸気の供給量を減少させてもよく、給蒸弁42を閉じて蒸気室31への蒸気の供給を停止させてもよい。
【0031】
加熱量の減少に伴い、処理槽2内において液面91上の泡92が下降する。泡92が電極部51の下端よりも下方に下降した後、制御手段7は、加熱量が増加するように加熱手段4を制御する。具体的には、給蒸弁42の開度を大きくして蒸気室31への蒸気の供給量を増加させるか、又は閉じた給蒸弁42を開いて蒸気室31への蒸気の供給を再開する。なお、加熱量を増加させるタイミングは、泡92が電極部51の下端よりも下方に下降して泡検知手段5からの警報信号が停止した時点としてもよく、警報信号が停止してから所定時間経過後としてもよい。
【0032】
加熱を終了する際には、制御手段7は、給蒸弁42を閉じて蒸気室31への蒸気の供給を停止し、その後ドレン排出弁63を閉じる。なお、処理装置1が加熱・冷却兼用で加熱終了後に冷却処理を行う場合には、蒸気室31へ冷却水を導入することで処理槽2内の被処理物を冷却する。
【0033】
3.作用効果
本実施形態の処理装置1は、被処理物の液面91上の泡立ちを検知可能な泡検知手段5を備える。制御手段7は、泡検知手段5による検知結果に基づき加熱手段4を制御する。これにより、液面91上の泡立ちを監視し、泡92が泡検知手段5の電極部51と接触する高さまで上昇した時点で加熱手段4による加熱量を調整して吹きこぼれを抑制することが可能となる。
【0034】
本実施形態の泡検知手段5の電極部51は、その下端が撹拌時における撹拌機8の撹拌羽根82の上限位置よりも上方に位置するように配置される。これにより、撹拌羽根82が電極棒52に接触することを回避することができる。
【0035】
4.他の実施形態
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0036】
上述の実施形態では、泡検知手段5の電極部51が電極棒52を備え、電極棒52の下端との接触により泡立ちを検知したが、泡検知手段5の構成はこれに限定されるものではない。例えば、電極部51を、電極棒52と、電極棒52の下端に設けられた電極板とを備えるように構成してもよい。この場合、電極板は、液面91と対向するように配置された検知面を備え、泡検知手段5は、検知面と泡92との接触に伴う電気的導通の有無に基づき液面91上の泡立ちを検知可能に構成される。例えば、電極棒52を上述の実施形態と同様の位置に配置し、略鉛直方向に沿って配置された電極棒52の下端に、平板状の電極板を略水平方向に沿って取り付けることができる。検知面を有する電極板を設けることにより、泡92と電極部51との接触面積が増加し、泡立ちの検知精度を向上させることが可能となる。また、電極板を電極棒52に対して着脱可能に構成し、電極棒52の下端と泡92との接触による泡立ちの検知、及び電極板の検知面と泡92との接触による泡立ちの検知を選択的に実施できるように、泡検知手段5を構成してもよい。
【0037】
上述の実施形態において、加熱手段4は蒸気室31に蒸気を供給するように構成された給蒸手段であったが、加熱手段4の構成はこれに限定されるものではない。例えば、加熱手段4を、ガスを燃焼させて加熱する構成や、電熱ヒータ又はIHヒータ等を熱源として用いる構成としてもよい。
【0038】
上述の実施形態では、処理槽2が上部開放型のいわゆる開放釜であったが、処理槽2の構成はこれに限定されるものではなく、処理槽2の開口を蓋体により開閉可能とし内部を加圧又は減圧可能に構成された加圧釜又は真空釜であってもよい。なお、蓋体を備える加圧釜及び真空釜と比較して、開放釜においては吹きこぼれが発生した際の処理槽2外部への被処理物の流出量が大きい傾向にある。従って、本発明は、開放釜に適用された場合に技術的効果が特に顕著である。
【0039】
上述の実施形態では、撹拌軸81が処理槽2の内部に水平方向に沿って設けられていたが、撹拌軸81の配置はこれに限定されるものではない。例えば、略鉛直方向に沿って撹拌軸81を設けてもよい。
【0040】
上述の実施形態では、泡検知手段5の電極部51(電極棒52)を処理槽2と電気的に接続し、電気回路を構成したが、泡検知手段5の構成はこれに限定されるものではない。例えば、泡検知手段5に2つの電極部を設け、これら2つの電極部、電流検知手段、及び電源により電気回路を構成してもよい。この場合、一方の電極部の下端を被処理物の液面91下に配置して常に被処理物と接触するように設置し、他方の電極部をその下端が被処理物の液面91よりも上方に配置されるように設置し、他方の電極部と泡92との接触に伴う電気的導通の有無に基づき泡立ちを検知するように構成することができる。
【0041】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 :処理装置
2 :処理槽
3 :ジャケット
4 :加熱手段
5 :泡検知手段
6 :ドレン排出手段
7 :制御手段
8 :撹拌機
21 :円筒部
22 :ホッパー
23 :蒸気供給口
24 :ドレン排出口
25 :軸部
31 :蒸気室
41 :給蒸ライン
42 :給蒸弁
51 :電極部
52 :電極棒
53 :電極保持器
61 :ドレン排出ライン
62 :蒸気トラップ
63 :ドレン排出弁
81 :撹拌軸
82 :撹拌羽根
91 :液面
92 :泡
図1
図2
図3