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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066134
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/06 20060101AFI20240508BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240508BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240508BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240508BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240508BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20240508BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20240508BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20240508BHJP
   G11C 5/04 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G06F12/06 524
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
H01L25/08 E
H01L25/08 G
H05K1/14 G
G06K19/077 164
G06K19/077 188
G06K7/00 056
G06K19/077 180
G11C5/04 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175478
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広田 章展
(72)【発明者】
【氏名】原嶋 志郎
【テーマコード(参考)】
5B160
5E344
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B160MM09
5E344AA02
5E344AA19
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB06
5E344CC24
5E344CD09
5E344DD02
5E344EE12
5F083EP02
5F083EP17
5F083EP22
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER22
5F083GA09
5F083GA10
5F083JA37
5F083MA06
5F083MA16
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
(57)【要約】
【課題】メモリデバイスをコンパクトに実装できる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】一つの実施形態によれば、メモリデバイスと第1の基板と第2の基板とを有する半導体記憶装置が提供される。メモリデバイスは、チップ、又はチップ接合体を含む。第1の基板は、第1の主面と第2の主面とを有する。第1の主面は、メモリデバイスが配される。第2の主面は、第1の主面の反対側の主面である。第2の基板は、中空部と第3の主面と第4の主面とコネクタ部とを有する。中空部は、メモリデバイスが内側に配される。第3の主面は、中空部より外側で第1の主面に接触する。第4の主面は、第3の主面の反対側の主面である。コネクタ部は、中空部より外側の縁部に配される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリチップを含むメモリデバイスと、
前記メモリデバイスが配される第1の主面と前記第1の主面の反対側の第2の主面とを有する第1の基板と、
前記第1の主面に対面する第3の主面と前記第3の主面の反対側の第4の主面と前記第3の主面から前記第4の主面まで貫通し前記メモリデバイスが内側に配される中空部と外縁に配されるコネクタ部とを有する第2の基板と、
を備えた半導体記憶装置。
【請求項2】
側端に開口を有する箱型の筐体をさらに備え、
前記メモリデバイス、前記第1の基板及び前記第2の基板は、前記筐体の内部空間に収容され、
前記コネクタ部は、前記第2の基板における前記開口に対応する外縁に配される
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記メモリデバイスが装着可能であり、前記第1の基板の前記第1の主面に配され、前記第2の基板における前記中空部の内側に配されるソケットをさらに備えた
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記コネクタ部は、所定のフォームファクタ規格に対応する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1の基板の厚さと前記第2の基板の厚さと前記メモリデバイスの厚さとの合計は、前記内部空間の高さより大きく、
前記第1の基板の厚さと前記メモリデバイスの厚さとの合計は、前記内部空間の高さより小さい
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1の基板の厚さと前記第2の基板の厚さと前記ソケットの高さとの合計は、前記内部空間の高さより大きく、
前記第1の基板の厚さと前記ソケットの高さとの合計は、前記内部空間の高さより小さい
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1の基板の厚さと前記メモリデバイスの厚さとの合計は、前記所定のフォームファクタ規格で規定される所定の高さ以下である
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記メモリデバイスの厚さは、前記第2の基板の厚さより大きい
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記ソケットの高さは、前記第2の基板の厚さより大きい
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記コネクタ部は、前記内部空間における高さ方向中央付近に位置する
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第2の基板の長手方向における寸法は、前記第1の基板の長手方向における寸法より大きい
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記コネクタ部は、前記第2の基板の長手方向における縁部に配される
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記メモリデバイスは、複数のメモリチップを含み、前記複数のメモリチップが積層される
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記メモリチップは、
複数の導電層が絶縁層を介して積層された積層体と、
半導体柱と、
を含み、
前記メモリチップでは、前記積層体が前記半導体柱と前記半導体柱の側面を覆う絶縁膜とで積層方向に貫通されて3次元メモリが構成され、
前記3次元メモリでは、前記導電層と前記半導体柱とが交差する部分に形成されるメモリセルが3次元的に配列される
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記メモリデバイスは、前記メモリチップを制御するコントローラチップをさらに含む
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記メモリデバイスに隣接する位置で前記第1の基板の前記第1の主面に配され且つ前記第2の基板の前記中空部の内側に配されるコントローラチップをさらに備えた
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
半導体記憶装置と、
ケースと前記ケースに収容され前記半導体記憶装置が装着可能であるボードとを有するホストと、
を備え、
前記半導体記憶装置は、
メモリチップを含むメモリデバイスと、
前記メモリデバイスが配される第1の主面と前記第1の主面の反対側の第2の主面とを有する第1の基板と、
前記第1の主面に対面する第3の主面と前記第3の主面の反対側の第4の主面と前記第3の主面から前記第4の主面まで貫通し前記メモリデバイスが内側に配される中空部と外縁に配されるコネクタ部とを有する第2の基板と、
を有する
情報処理システム。
【請求項18】
前記ケースは、ベース及びカバーを含み、
前記第1の基板の厚さと前記メモリデバイスの厚さとの合計は、前記カバーと前記ボードとの間隔より小さい
請求項17に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置は、メモリデバイスが基板に配されて実装されることがある。このとき、メモリデバイスをコンパクトに実装することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第11272617号明細書
【特許文献2】米国特許第6734539号明細書
【特許文献3】米国特許第10064287号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、メモリデバイスをコンパクトに実装できる半導体記憶装置及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、メモリデバイスと第1の基板と第2の基板とを有する半導体記憶装置が提供される。メモリデバイスは、チップ、又はチップ接合体を含む。第1の基板は、第1の主面と第2の主面とを有する。第1の主面は、メモリデバイスが配される。第2の主面は、第1の主面の反対側の主面である。第2の基板は、中空部と第3の主面と第4の主面とコネクタ部とを有する。中空部は、メモリデバイスが内側に配される。第3の主面は、中空部より外側で第1の主面に接触する。第4の主面は、第3の主面の反対側の主面である。コネクタ部は、中空部より外側の縁部に配される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す斜視図。
図2】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す断面図。
図3】第1の実施形態における半導体記憶装置の構成を示す正面図。
図4】第1の実施形態における構造体の構成を示す斜視図。
図5】第1の実施形態における構造体の構成を示す分解斜視図。
図6】第1の実施形態におけるメモリデバイスの構成を示す断面図。
図7】第1の実施形態におけるメモリチップの構成を示す断面図。
図8】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す斜視図。
図9】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す斜視図。
図10】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す斜視図。
図11】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す断面図。
図12】第2の実施形態における筐体の構成を示す分解斜視図。
図13】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す斜視図。
図14】第3の実施形態における半導体記憶装置の構成を示す正面図。
図15】第3の実施形態にかかる構造体の構成を示す斜視図。
図16】第3の実施形態における構造体の構成を示す分解斜視図。
図17】第3の実施形態におけるメモリデバイス及びソケットの構成を示す斜視図。
図18】第3の実施形態におけるメモリデバイスの構成を示す断面図。
図19】第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す斜視図。
図20】第4の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す斜視図。
図21】第4の実施形態における半導体記憶装置の構成を示す断面図。
図22】第4の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す斜視図。
図23】第5の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す斜視図。
図24】第5の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す断面図。
図25】第5の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す斜視図。
図26】第1の実施形態~第5の実施形態の変形例における構造体の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体記憶装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかる半導体記憶装置は、メモリデバイスが基板に配されて実装されるが、メモリデバイスをコンパクトに実装するための工夫が施される。半導体記憶装置は、フォームファクタ規格の制約を受ける。半導体記憶装置では、フォームファクタ規格の制約の範囲内で、メモリデバイスが実装される。
【0009】
半導体記憶装置1は、例えば、SSD(Solid State Drive)であり、SSDのフォームファクタ規格に従って構成され得る。フォームファクタ規格は、1.8インチ、2.5インチ、E3.S、E1.S、M.2、mSATA、U.2などであってもよい。
【0010】
半導体記憶装置1は、第1のフォームファクタ規格に従って、図1に示すように構成され得る。図1は、半導体記憶装置1の構成を示す斜視図である。第1のフォームファクタ規格は、基板が半導体記憶装置自身の筐体に収容されるフォームファクタ規格であり、2.5インチ規格であってもよい。以下では、メモリデバイスの長手方向をY方向とし、メモリデバイスの主面に垂直な方向をZ方向とし、Y方向及びZ方向に垂直な方向をX方向とする。
【0011】
半導体記憶装置1は、メモリデバイス2、ベース基板5、穴あき基板4、及び筐体3を有する。図1に示すメモリデバイス2、ベース基板5、穴あき基板4は、図2(a)、図2(b)及び図3に示すように、筐体3に収容される。
【0012】
図2は、半導体記憶装置1の構成を示すYZ断面図である。図2(a)は、半導体記憶装置1のメモリデバイス2を含む断面の構成を示すYZ断面図であり、図1をA-A線に沿って切った場合のYZ断面を示す。図2(b)は、半導体記憶装置1のメモリデバイス2を含まない断面の構成を示すYZ断面図であり、図1をB-B線に沿って切った場合のYZ断面を示す。図2(c)は、ホストのコネクタCNの断面の構成を示すYZ断面図である。図3は、半導体記憶装置1の構成を示す正面図であり、半導体記憶装置1を+Y側から見た正面図である。
【0013】
筐体3は、+Y側に開口32を有し、+Y側から内部空間31が観察可能である。筐体3は、第1のフォームファクタ規格の高さ制約を受け、所定の高さをHth以下にするように制約される。この場合、筐体3は、そのZ高さH3が次の数式1を満たすように構成される。
H3≦Hth・・・数式1
【0014】
筐体3は、その外面と内部空間31の内面との間に所定の肉厚T3を有する。筐体3の内部空間31のZ高さH31は、次の数式2を満たす。
H31=H3-2×T3≦Hth-2×T3・・・数式2
【0015】
ここで、半導体記憶装置1は、ホストのコネクタCNに電気的に接続可能であり、ホストに対する記憶媒体として機能し得る。ホストへの接続端子は、第1のフォームファクタ規格に従って、基板の外縁にコネクタ部として設けられる。コネクタ部は、内部空間31内に位置するように設けられ得る。コネクタ部は、図2(c)に示すようなホストのコネクタCNに装着可能にするため、筐体3の内部空間31におけるZ方向中央付近に収容される基板に設けられることになる。Z方向中央付近に収容される基板を仮に基板15(図示せず)とする。
【0016】
例えば、基板15の上面にメモリデバイス2が実装されるとする。基板15の厚さをH15とする。メモリデバイス2の厚さH2(図3参照)が厚くなると、次の数式3に示すように、メモリデバイス2の厚さH2と基板15の厚さH15との合計が内部空間31の高さH31の半分より大きくなる。例えば、基板15上にメモリデバイス2が装着された状態で基板15を内部空間31におけるZ方向中央付近に位置させながら内部空間31に収容できない可能性がある。
H2+H15>H31/2・・・数式3
【0017】
筐体3のZ高さH3が所定の高さHthに等しい場合、H31=H3-2×T3=Hth-2×T3となるから、この式を数式3に代入して、次の数式4が成り立つ。
H2+H15>Hth/2-T3・・・数式4
【0018】
数式4に示されるように、第1のフォームファクタ規格による所定の高さHthの制約を受けて、メモリデバイス2及び基板15が筐体3内に収容できない可能性がある。基板15は、ホストへの接続用の基板とメモリデバイス2の実装用の基板とを兼ねている。
【0019】
それに対して、本実施形態では、ホストへの接続用の基板とメモリデバイス2の実装用の基板とを別々の基板にする。すなわち、図2(a)、図2(b)に示すように、穴あき基板4の外縁にコネクタ部4dが設けられ、図4及び図5に示すように、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装された構造体10が構成される。図4は、構造体10の構成を示す斜視図である。図5は、構造体10の構成を示す分解斜視図である。
【0020】
構造体10において、ベース基板5の厚さH5と穴あき基板4の厚さH4とメモリデバイス2の厚さH2との合計は、図3及び次の数式5に示すように、内部空間31の高さH31より大きくなり得る。例えば、メモリデバイス2の厚さH2が穴あき基板4の厚さH4より大きくなると、数式5で示す傾向が顕著になる。
H2+H4+H5>H31・・・数式5
【0021】
筐体3のZ高さH3が所定の高さHthに等しい場合、次の数式6が成り立つ。
H2+H4+H5>Hth-2×T3・・・数式6
【0022】
それに対して、構造体10は、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装されるため、その高さがベース基板5の厚さH5とメモリデバイス2の厚さH2との合計で済む。例えばメモリデバイス2の厚さH2が穴あき基板4の厚さH4より大きくなっても、穴あき基板4の厚さH4がメモリデバイス2の厚さH2に含まれるため、構造体10の高さがベース基板5の厚さH5とメモリデバイス2の厚さH2との合計で済む。ベース基板5の厚さH5とメモリデバイス2の厚さH2との合計は、図3及び次の数式7に示すように、内部空間31の高さH31より小さくなり得る。
H2+H5<H31・・・数式7
【0023】
筐体3のZ高さH3が所定の高さHthに等しい場合、H31=H3-2×T3=Hth-2×T3となるから、この式を数式7に代入して、次の数式7’が成り立つ。
H2+H5<Hth-2×T3・・・数式7’
【0024】
数式7及び数式7’に示されるように、構造体10は、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装されることで、筐体3の内部空間31に収容され得る。構造体10は、等価的に、第1のフォームファクタ規格による所定の高さHthの制約(数式6参照)を超えてメモリデバイス2が実装される構造とみなすこともできる。
【0025】
なお、筐体3の内部空間31の+X側の内面には、穴あき基板4に対応する溝314とベース基板5に対応する溝315とが設けられてもよい。同様に、筐体3の内部空間31の-X側の内面には、穴あき基板4に対応する溝314とベース基板5に対応する溝315とが設けられてもよい。
【0026】
+X側の溝314、-X側の溝314は、互いに対応するZ位置を有し、それぞれ、Z方向中央付近に位置する。+X側の溝314、-X側の溝314は、それぞれ、Y方向に延びる。これにより、+X側の溝314、-X側の溝314は、構造体10が内部空間31に収納される際に、穴あき基板4をZ方向中央付近に位置させながらY方向に進むように案内することができる。
【0027】
+X側の溝315、-X側の溝315は、互いに対応するZ位置を有し、それぞれ、-Z側底面付近に位置する。+X側の溝315、-X側の溝315は、それぞれ、Y方向に延びる。これにより、+X側の溝315、-X側の溝315は、構造体10が内部空間31に収納される際に、ベース基板5を-Z側底面付近に位置させながらY方向に進むように案内することができる。
【0028】
構造体10において、穴あき基板4は、図2(a)、図2(b)、図3に示すように、内部空間31におけるZ方向中央付近に位置する。穴あき基板4は、+Z側に主面4aを有し、-Z側に主面4bを有する。穴あき基板4は、図4及び図5に示すように、XY方向中央を含む領域に主面4aから主面4bまで貫通する中空部4cを有する。穴あき基板4は、+Y側の外縁にコネクタ部4dが設けられ、-Y側の外縁に切り欠き部4eが設けられる。コネクタ部4dの+Y側の端部は、筐体31の開口32の端部より若干-Y側に位置してもよい。コネクタ部4dは、複数の電極41を含む。図2(a)、図2(b)に示すように、穴あき基板4は、主面4bにおける中空部4cの付近に、複数の電極42を有する。複数の電極42は、穴あき基板4内の配線で電極41に接続される。切り欠き部4eは、外縁におけるXY平面視で略半円状に窪んだ部分近傍であり、電極43を含む。穴あき基板4は、プリント配線基板(PCBA:Printed Circuit Board Assembly)に対して中空部4cに相当する領域を穴あけ加工することで構成可能である。
【0029】
ホストのコネクタCNは、図2(c)に示すように、コネクタ部4dが嵌合すべき凹部CVを有し、凹部CVの+Z側の内面に複数の電極ELを有する。複数の電極ELは、コネクタ部4dの複数の電極41に対応する。
【0030】
図2(a)、図2(b)に示すように、筐体3の-Y側の内壁には、電極43に対応する位置に、内部空間31に突出する導体凸部35を有してもよい。導体凸部35は、筐体3の導体部に接続され、筐体3の基準電位(例えば、グランド電位)を有する。構造体10が内部空間31に収容された際に、電極43は、導体凸部35に接触することなどにより、穴あき基板4内のグランド層を筐体3の基準電位に電気的に接続可能である。
【0031】
ベース基板5は、図2(a)、図2(b)、図3に示すように、内部空間31の-Z側の内面付近に位置する。ベース基板5は、+Z側に主面5aを有し、-Z側に主面5bを有する。ベース基板5は、主面5aにメモリデバイス2が配される。主面5aにおける中空部4cに対応する領域には、図5に示す複数の電極51が配される。各電極51は、メモリデバイス2の外部電極25(図6参照)に対応した形状を有していてもよく、XY平面視で矩形状を有してもよい。主面5aにおける中空部4cのXY方向外側に対応する領域には、複数の電極52が配される。ベース基板5は、プリント配線基板で構成可能である。
【0032】
穴あき基板4とベース基板5とを比較すると、図2(a)、図2(b)に示すように、穴あき基板4の+Y側の端部は、ベース基板5の+Y側の端部より+Y側に位置している。これにより、ホストのコネクタCNを穴あき基板4のコネクタ部4dに装着することが容易である。
【0033】
穴あき基板4の-Y側の端部は、ベース基板5の-Y側の端部より-Y側に位置していてもよい。穴あき基板4のY方向長さは、ベース基板5のY方向長さより短くてもよい。図3に示すように、穴あき基板4のX方向長さは、ベース基板5のX方向長さと均等でもよいし、ベース基板5のX方向長さより長くてもよい。穴あき基板4のX方向長さは、筐体3の内部空間31に収まり且つ溝314に収まるような長さであることが望ましい。
【0034】
メモリデバイス2は、穴あき基板4の中空部4cの内側に配されるとともに、ベース基板5の主面5aに配される。メモリデバイス2は、-Z側に複数の外部電極25(図6参照)を有し、複数の外部電極25が複数の電極51に接合されることで、主面5aに実装される。複数の電極51は、ベース基板5内の図示しない配線により電極52に接続される。複数の電極52は、複数の電極42に対応する。穴あき基板4は、複数の電極42が導電体45を介して複数の電極52に接合されることで、メモリデバイス2の外側で主面5aに実装される。
【0035】
すなわち、メモリデバイス2の外部電極25は、電極51、ベース基板5内の配線、電極52、導電体45、電極42、穴あき基板4内の配線経由でコネクタ部4dの電極41に接続される。
【0036】
穴あき基板4とメモリデバイス2とを比較すると、図2(a)、図2(b)に示すように、穴あき基板4の+Y側の端部は、メモリデバイス2の+Y側の端部より+Y側に位置している。穴あき基板4の-Y側の端部は、メモリデバイス2の-Y側の端部より-Y側に位置している。穴あき基板4のY方向長さは、メモリデバイス2のY方向長さより長い。
【0037】
穴あき基板4の中空部4c+Y側の端部は、メモリデバイス2の+Y側の端部より+Y側に位置している。穴あき基板4の中空部4cの-Y側の端部は、メモリデバイス2の-Y側の端部より-Y側に位置している。穴あき基板4の中空部4cのY方向長さは、メモリデバイス2のY方向長さに対応し、メモリデバイス2のY方向長さより若干長い。
【0038】
図3に示すように、穴あき基板4のX方向長さは、メモリデバイス2のX方向長さより長い。穴あき基板4の中空部4cのX方向長さは、メモリデバイス2のX方向長さに対応し、メモリデバイス2のX方向長さより若干長い。
【0039】
ベース基板5とメモリデバイス2とを比較すると、図2(a)、図2(b)に示すように、ベース基板5の+Y側の端部は、メモリデバイス2の+Y側の端部より+Y側に位置している。ベース基板5の-Y側の端部は、メモリデバイス2の-Y側の端部より-Y側に位置している。ベース基板5のY方向長さは、メモリデバイス2のY方向長さより長い。
【0040】
図3に示すように、ベース基板5のX方向長さは、メモリデバイス2のX方向長さより長い。
【0041】
メモリデバイス2は、複数のメモリチップ21-1~21-4及びコントローラチップ22を含む。メモリデバイス2は、複数のメモリチップ21-1~21-4及びコントローラチップ22が積層されていてもよい。例えば、メモリデバイス2は、図6に示すようなスペーサ構造で実装されてもよい。図6は、メモリデバイス2の構成を示す断面図である。なお、メモリチップ21-1~21-4を互いに区別しない場合、単に、メモリチップ21と表記する。
【0042】
図6に示すメモリデバイス2は、基板23、封止樹脂24、複数のスペーサ26-1~26-2、複数の接着フィルム27-1~27-6、複数のバンプ28、ボンディングワイヤ29をさらに有する。
【0043】
メモリデバイス2では、基板23の上にコントローラチップ22及び複数のメモリチップ21-1~21-4が接着フィルム27-1~27-4を介して順に積層される。コントローラチップ22は、複数のメモリチップ21-1~21-4における最下のメモリチップ21-1と基板23との間に配される。複数のスペーサ26-1~26-2は、接着フィルム27-5~27-6を介して、コントローラチップ22の側方の基板23上に配される。コントローラチップ22は、フェイスダウン状態で基板23に複数のバンプ28を介してフリップチップ実装される。各バンプ28は、コントローラチップ22のパッド電極と基板23の電極とを接続する。複数のメモリチップ21-1~21-4は、フェイスアップ状態で基板23に複数のボンディングワイヤ29を介してワイヤボンド実装される。各メモリチップ21-1~21-4は、パッド電極が露出するようにXY方向にずれた位置に積層される。各ボンディングワイヤ29は、メモリチップ21のパッド電極と基板23の電極23aとを接続する。コントローラチップ22は、コントローラチップ22のパッド電極、バンプ28、基板23の電極、基板23内の配線、電極23a、ボンディングワイヤ29経由でメモリチップ21のパッド電極に接続される。
【0044】
なお、図示しないが、メモリデバイス2において、図6に示すスペーサ構造の実装形態に代えて、TSV(Through Silicon Via)構造の実装形態が採用されてもよい。この場合、複数のメモリチップ21-1~21-4及びコントローラチップ22が積層されTSV(貫通電極)で貫通される。TSV構造では、各ボンディングワイヤ29が省略され、各メモリチップ21-1~21-4は、XY方向に揃った位置に積層され得る。
【0045】
各メモリチップ21は、NAND型フラッシュメモリなどの不揮発性メモリのチップであってもよい。各メモリチップ21は、3次元メモリのチップであってもよい。例えば、各メモリチップ21では、図7(a)に示すような構造が採用されてもよいし、図7(b)に示すような構造が採用されてもよい。図7は、メモリチップ21の構成を示すYZ断面図である。
【0046】
図7(a)に示す構造、図7(b)に示す構造は、いずれも、積層体LM、半導体柱PLを有する。積層体LMは、複数の導電層CLが絶縁層を介して積層される。積層体LMが半導体柱PLと半導体柱PLの側面を覆う絶縁膜とで積層方向に貫通される。これにより、3次元メモリが構成される。このメモリチップ21は、積層数を増やすことによって記憶容量の増加が可能なため、より高度なパターニング技術を利用する必要性を低減でき、ビット当たりのコストを容易に削減できる。この3次元メモリでは、導電層CLと半導体柱PLとが交差する部分がメモリセルとして機能するように構成され、複数のメモリセルが3次元的に配列されたメモリセルアレイ領域が構成される。
【0047】
図7(a)に示す構造では、メモリチップ21を高集積化するために、メモリセルアレイ領域の下方に周辺回路領域が設けられる。半導体柱PLは、上層配線及び複数のコンタクトプラグCP及び導電膜CFを介して周辺回路PRに接続される。
【0048】
図7(b)に示す構造では、メモリチップ21を高集積化するために、メモリセルアレイ領域21aを含むウェハと周辺回路領域21bを含むウェハとを貼り合わせることでメモリチップ21を作製する。半導体柱PLは、メモリセルアレイ領域21aのコンタクトプラグCP、メモリセルアレイ領域21aの電極EL、周辺回路領域21bの電極EL、及び周辺回路領域21bの複数のコンタクトプラグCP及び導電膜CFを介して周辺回路PRに接続される。電極ELは、例えば、銅(Cu)である。
【0049】
図6図7(a)、又は図7(b)に示す構成により、メモリデバイス2のZ方向の厚さH2が厚くなりやすい。
【0050】
次に、半導体記憶装置1の製造方法について図8及び図9を用いて説明する。図8(a)~図9(b)は、半導体記憶装置1の製造方法を示す斜視図である。
【0051】
図8(a)に示す工程では、ベース基板5の主面5aにメモリデバイス2が実装される。メモリデバイス2は、複数の外部電極25(図6参照)が複数の電極51(図5参照)に接合されることで、主面5aに実装される。接合は、各電極の加熱による合金接合であってもよいし、電極間に半田を加熱溶融して接合させる半田接合であってもよい。
【0052】
図8(b)に示す工程では、メモリデバイス2がベース基板5に実装された構造体の+Z側に穴あき基板4が配される。穴あき基板4は、中空部4cがメモリデバイス2に対応したXY位置になり、コネクタ部4dが+Y側になるように位置合わせされる。穴あき基板4がZ方向にベース基板5に近付けられ、ベース基板5の主面5aに穴あき基板4が実装される。穴あき基板4は、複数の電極42(図6参照)が複数の導電体45を介して複数の電極52に接合されることで、メモリデバイス2の外側で主面5aに実装される。接合は、各電極の加熱による合金接合であってもよいし、電極間に半田を加熱溶融して接合させる半田接合であってもよい。
【0053】
これにより、図8(c)に示す構造体10が得られる。構造体10では、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装される。
【0054】
図9(a)に示す工程では、構造体10が筐体3の+Y側から内部空間31に収納される。このとき、筐体3の内部空間31の+X側の溝314、-X側の溝314(図3参照)は、穴あき基板4をZ方向中央付近に位置させながらY方向に進むように案内する。+X側の溝315、-X側の溝315は、ベース基板5を-Z側底面付近に位置させながらY方向に進むように案内する。
【0055】
これにより、図9(b)に示す半導体記憶装置1が得られる。半導体記憶装置1では、構造体10が筐体3の内部空間31に収容される。
【0056】
以上のように、第1の実施形態では、半導体記憶装置1において、例えば第1のフォームファクタ規格に従って、穴あき基板4の外縁にコネクタ部4dが設けられ、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装された構造体10が構成される。これにより、メモリデバイス2をコンパクトに実装でき、メモリデバイス2を含む構造体10を筐体3内に収容できる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる半導体記憶装置1jについて説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0058】
第1の実施形態では、穴あき基板4のコネクタ部4dが筐体3内に収まる構成について例示するが、第2の実施形態では、筐体3jがベース33j及びカバー34jから成り且つ穴あき基板4のコネクタ部4dが筐体3j外に突出する構成について例示する。
【0059】
半導体記憶装置1jは、第1のフォームファクタ規格に従って、図10に示すように構成され得る。図10は、半導体記憶装置1jの構成を示す斜視図である。図10に示すメモリデバイス2、ベース基板5、穴あき基板4は、図11(a)、図11(b)に示すように、筐体3jに収容される。
【0060】
図11は、半導体記憶装置1jの構成を示すYZ断面図である。図11(a)は、半導体記憶装置1jのメモリデバイス2を含む断面の構成を示すYZ断面図であり、図10をC-C線に沿って切った場合のYZ断面を示す。図11(b)は、半導体記憶装置1jのメモリデバイス2を含まない断面の構成を示すYZ断面図であり、図10をD-D線に沿って切った場合のYZ断面を示す。
【0061】
このとき、穴あき基板4のコネクタ部4dは、筐体3jの開口32より+Y側に位置し、筐体3jの内部空間31の外部に配される。これにより、ホストのコネクタCN(図2(c)参照)がさらに容易に装着され得る。
【0062】
筐体3jは、図11(a)、図11(b)、図12に示すように、ベース33j及びカバー34jを含んでもよい。図12は、筐体3jの構成を示す分解斜視図である。ベース33j及びカバー34jは、互いに対応する形状を有する。ベース33jは、+Z側が開放された箱型の形状を有し、カバー34jは-Z側が開放された箱型の形状を有する。ベース33jは、+Y側の壁部33j2の+Z側の端部において、両端33j22,33j23より若干-Zへ凹んだ凹部33j21が設けられる。カバー34jは、+Y側の壁部34j2の-Z側の端部において、両端34j22,34j23より若干+Zへ凹んだ凹部34j21が設けられる。ベース33j及びカバー34jは、互いに嵌合した状態で凹部34j21及び凹部33j21が結合し開口32(図13(b)参照)を形成する。ベース33jは、底面における-Y側の端部近傍に締結部材9j(図11(a)参照)に対応する穴33j1を有する。締結部材9jがねじである場合、穴33j1の内面にはねじ溝が形成されてもよい。
【0063】
カバー34jは、-Z側及び+Y側が開放された箱型の形状を有する。カバー34jの-X側、-Y側、+X側の側面は、ベース33jの-X側、-Y側、+X側の側面に結合され、筐体3jの内部空間31(図11(a)、図11(b)参照)が形成される。
【0064】
また、半導体記憶装置1jの製造方法が、図13に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。図13(a)~図13(b)は、半導体記憶装置1jの製造方法を示す斜視図である。
【0065】
図8(a)~図8(c)の工程が行われ、構造体10が形成された後、図13(a)に示す工程が行われる。図13(a)に示す工程では、締結部材9jにより構造体10がベース33jにねじ止めされる。このとき、締結部材9jの頂部の-Z側の面が電極43に接触するようにねじ止めが行われる。これにより、切り欠き部4eの電極43は、穴あき基板4内のグランド層を筐体3jの基準電位(例えば、グランド電位)に電気的に接続可能である。
【0066】
カバー34jの-X側、-Y側、+X側の側面の-Z側端部と、ベース33jの-X側、-Y側、+X側の側面の+Z側端部とには、それぞれ嵌合構造が設けられている。カバー34jの-X側、-Y側、+X側の側面は、嵌合構造を介して、ベース33jの-X側、-Y側、+X側の側面に結合される。ベース33jの+Z側の開口がカバー34jで覆われる。カバー34jの-Z側の開口がベース33jで覆われる。これにより、筐体3jが構成される。
【0067】
これにより、図13(b)に示すように、穴あき基板4のコネクタ部4dが筐体3jの内部空間31外に突出した状態で構造体10が筐体3jの内部空間31に収容される。筐体3jの内部空間31は、+Y側が開口32で解放され+Y側以外がベース33j及びカバー34jで閉塞される(図11(a)、図11(b)参照)。
【0068】
以上のように、第2の実施形態では、半導体記憶装置1jにおいても、例えば第1のフォームファクタ規格に従って、穴あき基板4の外縁にコネクタ部4dが設けられ、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装された構造体10が構成される。これによっても、メモリデバイス2をコンパクトに実装でき、メモリデバイス2を含む構造体10を筐体3j内に収容できる。
【0069】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる半導体記憶装置1kについて説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0070】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、メモリデバイス2がベース基板5に実装される構成について例示するが、第3の実施形態では、メモリデバイス2kがソケット6kを介してベース基板5に実装される構成について例示する。
【0071】
半導体記憶装置1kは、第1のフォームファクタ規格に従って、図14図16に示すように構成されてもよい。図14は、半導体記憶装置1kの構成を示す正面図であり、半導体記憶装置1kを+Y側から見た正面図である。図15は、構造体10kの構成を示す斜視図である。図16は、構造体10kの構成を示す分解斜視図である。
【0072】
図14図16に示すように、メモリデバイス2kが装着されたソケット6kが穴あき基板4を通してベース基板5に実装された構造体10kが構成される。メモリデバイス2kは、SDカードなどのメモリカードであってもよい。メモリデバイス2kは、ソケット6kに着脱可能である。図15,16では、メモリデバイス2kがソケット6kに装着された状態が例示され、図17では、メモリデバイス2kがソケット6kから取り外された状態が例示される。
【0073】
構造体10kにおいて、ソケット6kの厚さH6kは、メモリデバイス2kの厚さH2kに加えて、蓋部61(図17参照)等の部材の厚さを含む。ソケット6kの厚さH6kは、次の数式8に示すように、メモリデバイス2kの厚さH2kを含み、メモリデバイス2kの厚さH2kより厚い。
H6k>H2k・・・数式8
【0074】
ベース基板5の厚さH5と穴あき基板4の厚さH4とソケット6kの厚さH6kとの合計は、図14及び次の数式9に示すように、内部空間31の高さH31(図3参照)より大きくなり得る。例えば、ソケット6kの厚さH6kが穴あき基板4の厚さH4より厚い場合、数式9で示される傾向が顕著になる。
H6k+H4+H5>H31・・・数式9
【0075】
筐体3のZ高さH3が所定の高さHthに等しい場合、次の数式10が成り立つ。
H6k+H4+H5>Hth-2×T3・・・数式10
【0076】
それに対して、構造体10kは、例えば、ソケット6kの厚さH6kが穴あき基板4の厚さH4より厚くても、ソケット6kが穴あき基板4を通してベース基板5に実装されるため、その高さがベース基板5の厚さH5とソケット6kの厚さH6kとの合計で済む。ベース基板5の厚さH5とソケット6kの厚さH6kとの合計は、図14及び次の数式11に示すように、内部空間31の高さH31より小さくなり得る。
H6k+H5<H31・・・数式11
【0077】
数式11に示されるように、構造体10kは、ソケット6kが穴あき基板4を通してベース基板5に実装されることで、筐体3の内部空間31に収容され得る。構造体10kは、等価的に、第1のフォームファクタ規格による所定の高さHthの制約(数式10参照)を超えてソケット6kが実装されるとみなすこともできる。
【0078】
構造体10kにおいて、図15図16に示すように、ベース基板5は、主面5aにソケット6kが配される。主面5aにおける中空部4cに対応する領域には、図16に示す複数の電極53k、複数の電極54k、複数の電極55kが配される。各電極53kは、ソケット6kの接続端子65(図17参照)に対応した形状を有していてもよく、XY平面視でY方向に延びた短冊形状を有してもよい。各電極54kは、ソケット6kの接続端子66(図17参照)に対応した形状を有していてもよく、XY平面視でY方向に延びた短冊形状を有してもよい。各電極55kは、ソケット6kの接続端子67(図17参照)に対応した形状を有していてもよく、XY平面視でY方向に延びた短冊形状を有してもよい。
【0079】
メモリデバイス2kは、図14図16に示すように、ソケット6kに装着された際にソケット6k内に位置する。メモリデバイス2kは、図17に示すように、+Z側に主面2akを有し、-Z側に主面2bkを有する。図17は、メモリデバイス2k及びソケット6kの構成を示す斜視図である。メモリデバイス2kは、主面2bkに、端子群TG1、端子群TG2、端子群TG3を有する。端子群TG1、端子群TG2、端子群TG3は、主面2bk内でY方向に離間している。
【0080】
端子群TG1は、複数の電極端子121を含む。複数の電極端子121は、主面2bk内でX方向に配列される。各電極端子121は、例えばY方向を長手方向とする略矩形状である。
【0081】
端子群TG2は、複数の電極端子122を含む。複数の電極端子122は、主面2bk内でX方向に配列される。各電極端子122は、例えばY方向を長手方向とする略矩形状である。
【0082】
端子群TG3は、複数の電極端子123を含む。複数の電極端子123は、主面2bk内でX方向に配列される。各電極端子123は、例えばY方向を長手方向とする略矩形状である。
【0083】
メモリデバイス2kは、図18に示すように、メモリチップ21k-1~21k-4、コントローラチップ22k、バッファチップ128k、封止部24k、基板23kをさらに有する。図18は、メモリデバイス2kの構成を示す断面図である。図18は、図17をE-E線に沿って切った場合の断面を示す。
【0084】
基板23kは、+Z側の面に、複数のメモリチップ21k-1~21k-4が積層されるとともにコントローラチップ22kが配される。最も+Z側のメモリチップ21k-4の+Z側には、バッファチップ128kがさらに積層されてもよい。基板23kは、-Z側の面に、端子群TG1、端子群TG2及び端子群TG3が配される。
【0085】
封止部24kは、基板23kの+Z側を覆って、メモリチップ21k-1~21k-4、コントローラチップ22k、バッファチップ128k、及び基板23kを収容する。封止部24kは、モールド樹脂等の熱可塑性を有する絶縁材料で形成され得る。封止部24kは、基板23kの-Z側を覆うとともに端子群TG1、端子群TG2及び端子群TG3を露出する。封止部24kは、-Z側の面がメモリデバイス2kの主面2bkを形成し、+Z側の面がメモリデバイス2kの主面2akを形成する。封止部24kは、モールド樹脂で形成され得る。
【0086】
ソケット6kは、図17に示すように、蓋部61、壁部62、梁部63、接続端子群TG11、接続端子群TG12、及び接続端子群TG13を有する。
【0087】
壁部62は、ベース基板5の主面5aに配される。壁部62は、XY平面視で略矩形枠形状である。壁部62は、メモリデバイス2kに対応する凹空間を形成する。凹空間は、X方向幅がメモリデバイス2kのX方向幅に対応し、Y方向幅がメモリデバイス2kのY方向幅に対応する。
【0088】
梁部63は、壁部62による凹空間内をY方向中央付近の位置でX方向に延びる。これにより、梁部63は、壁部62の+X側の部分と-X側の部分とを接続する。
【0089】
接続端子群TG11は、壁部62の-Y側の内側面に配され、凹空間内に位置する。接続端子群TG11は、複数の接続端子65を含む。複数の接続端子65は、メモリデバイス2kにおける端子群TG1の複数の電極端子121に対応する。各接続端子65は、メモリデバイス2kが装着された際に、対応する電極端子121に接触可能な位置に向けて、壁部62の-Y側の内側面から+Y側及び+Z側に突出している。
【0090】
接続端子群TG12は、梁部63の+Y側の内側面に配され、凹空間内に位置する。接続端子群TG12は、複数の接続端子66を含む。複数の接続端子66は、メモリデバイス2kにおける端子群TG2の複数の電極端子122に対応する。各接続端子66は、メモリデバイス2kが装着された際に、対応する電極端子122に接触可能な位置に向けて、梁部63の-Y側の内側面から-Y側及び+Z側に突出している。
【0091】
接続端子群TG13は、壁部62の+Y側の内側面に配され、凹空間内に位置する。接続端子群TG13は、複数の接続端子67を含む。複数の接続端子67は、メモリデバイス2kにおける端子群TG3の複数の電極端子123に対応する。各接続端子67は、メモリデバイス2kが装着された際に、対応する電極端子123に接触可能な位置に向けて、壁部62の+Y側の内側面から-Y側及び+Z側に突出している。
【0092】
蓋部61は、壁部62の+Y側のX方向両端部に回動可能に取り付けられている。蓋部61は、図17に示すように、+Z側に引き上げられ開いた状態で凹空間を開放する。蓋部61は、図15に示すように、-Z側に引き下げられ閉じた状態で凹空間を閉塞する。
【0093】
また、半導体記憶装置1kの製造方法が、図17及び図19に示すように、次の点で第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる。図19(a)~図19(c)は、半導体記憶装置1kの製造方法を示す斜視図である。図17は、メモリデバイス2k及びソケット6kの構成を示す斜視図であるが、半導体記憶装置1kの製造方法を示す斜視図として流用する。
【0094】
図19(a)に示す工程では、ベース基板5の主面5aにソケット6kが実装される。ソケット6kは、複数の接続端子65(図17参照)が複数の電極53k(図16参照)に接合され、複数の接続端子66が複数の電極54kに接合され、複数の接続端子67が複数の電極55kに接合されることで、主面5aに実装される。接合は、各電極の加熱による合金接合であってもよいし、電極間に半田を加熱溶融して接合させる半田接合であってもよい。
【0095】
図17に示す工程では、蓋部61が+Z側に引き上げられ開いた状態で、メモリデバイス2kが凹空間にはめ込まれ、メモリデバイス2kがソケット6kに装着される。その後、蓋部61が閉じられ、メモリデバイス2kがソケット6k内に収容され、メモリデバイス2kのソケット6kへの装着が完了する。
【0096】
なお、蓋部61は、その自重により、又は、閉じた状態で壁部62の所定の嵌合部に嵌合することにより、メモリデバイス2kを-Z側へ押し付け可能である。これに伴い、メモリデバイス2kの主面2bkにおける端子群TG1の各電極端子121が対応する接続端子群TG11の接続端子65に接触する。メモリデバイス2kの主面2bkにおける端子群TG2の各電極端子122が対応する接続端子群TG12の接続端子66に接触する。メモリデバイス2kの主面2bkにおける端子群TG3の各電極端子123が対応する接続端子群TG13の接続端子67に接触する。
【0097】
図19(b)に示す工程では、メモリデバイス2kが装着されたソケット6kがベース基板5に実装された構造体の+Z側に穴あき基板4が配される。穴あき基板4は、中空部4cがソケット6kに対応したXY位置になり、コネクタ部4dが+Y側になるように位置合わせされる。穴あき基板4がZ方向にベース基板5に近付けられ、ベース基板5の主面5aに穴あき基板4が実装される。穴あき基板4は、複数の電極42(図6参照)が複数の導電体45を介して複数の電極52に接合されることで、ソケット6kの外側で主面5aに実装される。接合は、各電極の加熱による合金接合であってもよいし、電極間に半田を加熱溶融して接合させる半田接合であってもよい。
【0098】
これにより、図19(c)に示す構造体10kが得られる。構造体10kでは、メモリデバイス2kが装着されたソケット6kが穴あき基板4を通してベース基板5に実装される。
【0099】
その後、図9(a)~図9(b)に示す工程と同様にして、構造体10kが筐体3の内部空間31に収容され、半導体記憶装置1kが構成される。
【0100】
以上のように、第3の実施形態では、半導体記憶装置1kにおいて、例えば第1のフォームファクタ規格に従って、穴あき基板4の外縁にコネクタ部4dが設けられ、メモリデバイス2kが装着されたソケット6kが穴あき基板4を通してベース基板5に実装された構造体10kが構成される。これによっても、メモリデバイス2kをコンパクトに実装でき、メモリデバイス2kを含む構造体10kを筐体3内に収容できる。
【0101】
なお、構造体10kが収容される筐体は、筐体3(図14参照)である代わりに、筐体3j(図10参照)であってもよい。この場合、穴あき基板4のコネクタ部4dが筐体3jの内部空間31外に配されてもよい。
【0102】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態にかかる半導体記憶装置1nについて説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0103】
第1の実施形態~第3の実施形態では、第1のフォームファクタ規格に従った構成について例示するが、第4の実施形態では、第2のフォームファクタ規格に従った構成について例示する。第2のフォームファクタ規格は、基板がホストHSのケースCSに収容されるフォームファクタ規格であり、M.2規格であってもよい。
【0104】
半導体記憶装置1nは、第2のフォームファクタ規格に従って、図20に示すように構成され得る。図20は、半導体記憶装置1nの構成を示す斜視図である。半導体記憶装置1nは、第1の実施形態の構造体10(図4参照)と同様の構成であるが、図21に示すように、第2のフォームファクタ規格の高さ制約を受ける点で第1の実施形態の構造体10と異なる。図21は、半導体記憶装置1nの構造体10の構成を示す断面図であり、後述の図22(c)をF-F線で切った断面に対応する。
【0105】
ここで、半導体記憶装置1nは、ホストHSのマザーボードMBに装着可能である。半導体記憶装置1nは、ホストHSのマザーボードMBに装着された状態で、ホストHSのケースCS内に収容される。ケースCSは、-Z側のベースCS2と+Z側のカバーCS1とを含む。このうち、図21では、ホストHSのカバーCS1とマザーボードMBとの間の空間が示されている。
【0106】
第2のフォームファクタ規格では、図21に示すように、コネクタ部4dが設けられる基板(この場合、穴あき基板4)の+Z側高さH41、基板厚さH及び-Z側高さH42の合計は、所定の高さHthn以下にするように制約される。それに応じて、半導体記憶装置1nの設置されるホストHSのマザーボードMBとカバーCS1とのZ間隔H31nは、次の数式12を満たすように構成される。
H31n≦Hthn・・・数式12
【0107】
半導体記憶装置1nでは、穴あき基板4の外縁にコネクタ部4dが設けられ、図20図21に示すように、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装された構造体10が構成される。
【0108】
構造体10は、マザーボードMBに装着され、ケースCS内に収容される。構造体10は、マザーボードMBに装着されケースCS内に収容された状態で、マザーボードMBとカバーCS1との間の空間に配される。
【0109】
構造体10において、ベース基板5の厚さH5と穴あき基板4の厚さH4とメモリデバイス2の厚さH2との合計は、図21及び次の数式13に示すように、マザーボードMBとカバーCS1とのZ間隔H31nより大きくなり得る。例えば、メモリデバイス2の厚さH2が穴あき基板4の厚さH4より大きくなると、数式13で示す傾向が顕著になる。
H2+H4+H5>H31n・・・数式13
【0110】
マザーボードMBとカバーCS1とのZ間隔H31nが所定の高さをHthnに等しい場合、次の数式14が成り立つ。
H2+H4+H5>Hthn・・・数式14
【0111】
それに対して、構造体10は、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装されるため、その高さがベース基板5の厚さH5とメモリデバイス2の厚さH2との合計で済む。例えばメモリデバイス2の厚さH2が穴あき基板4の厚さH4より大きくなっても、穴あき基板4の厚さH4がメモリデバイス2の厚さH2に含まれるため、構造体10の高さがベース基板5の厚さH5とメモリデバイス2の厚さH2との合計で済む。ベース基板5の厚さH5とメモリデバイス2の厚さH2との合計は、図21及び次の数式15に示すように、マザーボードMBとカバーCS1とのZ間隔H31nより小さくなり得る。
H2+H5<H31n・・・数式15
【0112】
筐体3のZ高さH3nが所定の高さHthnに等しい場合、H31n=H3n-T4n-T5n=Hthn-T4n-T5nとなるから、この式を数式15に代入して、次の数式15’が成り立つ。
H2+H5<Hthn-T4n-T5n・・・数式15’
【0113】
数式15及び数式15’に示されるように、構造体10は、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装されることで、マザーボードMBとカバーCS1とのZ間隔H31n内に収容され得る。構造体10は、等価的に、第2のフォームファクタ規格による所定の高さHthnの制約(数式14参照)を超えてメモリデバイス2が実装される構造とみなすこともできる。
【0114】
また、半導体記憶装置1nの製造方法が、図22に示すように、次の点で第1の実施形態~第3の実施形態と異なる。図22(a)~図22(c)は、半導体記憶装置1nの製造方法を示す斜視図である。図22では、半導体記憶装置1nの設置先であるホストHSがスマートフォンなどの携帯端末である場合を例示するが、ホストHSは、第2のフォームファクタ規格に対応する任意の機器又は装置であってもよく、ノート型パーソナルコンピュータであってもよい。
【0115】
図8(a)~図8(c)の工程が行われ、構造体10が形成された後、図22(a)に示す工程が行われる。図22(a)に示す工程では、構造体10が、マザーボードMBの+Z側の面に設けられたソケットSCに-Y側から差し込むように装着される。ソケットSCには、図示しないが、コネクタ部4dが嵌合すべき凹部を有し、凹部の+Z側の内面に複数の電極を有する。その複数の電極は、コネクタ部4dの複数の電極41に対応する。
【0116】
図22(b)に示す工程では、ホストHSのカバーCS1の-X側、-Y側、+X側、+Y側の側面の-Z側端部と、ホストHSのベースCS2の-X側、-Y側、+X側、+Y側の側面の+Z側端部とには、それぞれ嵌合構造が設けられている。カバーCS1の-X側、-Y側、+X側、+Y側の側面は、嵌合構造を介して、ベースCS2の-X側、-Y側、+X側、+Y側の側面に結合される。ベースCS2の+Z側の開口がカバーCS1で覆われる。カバーCS1の-Z側の開口がベースCS2で覆われる。これにより、ホストHSのケースCSが構成される。
【0117】
これにより、図22(c)に示すように、半導体記憶装置1nがホストHSのケースCS内に収容される情報処理システムSYSが構成される。情報処理システムSYSでは、穴あき基板4のコネクタ部4dがマザーボードMBのソケットSCに装着された状態で構造体10がホストHSのケースCS内に収容される。ホストHSのケースCSは、箱型で構成されてもよい。
【0118】
以上のように、第4の実施形態では、半導体記憶装置1nにおいて、例えば第2のフォームファクタ規格に従って、穴あき基板4の外縁にコネクタ部4dが設けられ、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装された構造体10が構成される。これにより、メモリデバイス2をコンパクトに実装でき、メモリデバイス2を含む構造体10をホストHSのマザーボードMBとカバーCS1との間の空間内に収容できる。
【0119】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態にかかる半導体記憶装置1pについて説明する。以下では、第1の実施形態~第4の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0120】
第1の実施形態~第3の実施形態では、第1のフォームファクタ規格に従った構成について例示し、第4の実施形態では、第2のフォームファクタ規格に従った構成について例示するが、第5の実施形態では、第3のフォームファクタ規格に従った構成について例示する。
【0121】
第3のフォームファクタ規格は、フラッシュドライブに対応するフォームファクタ規格であり、USB Type-A規格、USB Mini-A規格、USB Mini-B規格、USB Micro-A規格、USB Micro-B規格、及びUSB Type-C規格であってもよい。
【0122】
半導体記憶装置1pは、第3のフォームファクタ規格に従って、図23に示すように構成され得る。図23は、半導体記憶装置1pの構成を示す斜視図である。半導体記憶装置1pは、筐体3(図1参照)に代えて筐体3pを有し、変換回路チップ7p及びコネクタ8pをさらに有する。構造体10(図4参照)に対して変換回路チップ7p及びコネクタ8pが追加されて構造体10pが構成される。
【0123】
変換回路チップ7pは、穴あき基板4の主面4aに配され、電極52(図6参照)、ベース基板5内の配線、電極51(図6参照)を介してメモリデバイス2に接続され、穴あき基板4内の配線を介してコネクタ部4dの電極41に接続される。変換回路チップ7pは、メモリデバイス2からの信号をコネクタ8p用の信号に変換してコネクタ部4dへ供給する。
【0124】
コネクタ8pは、穴あき基板4の+Y側に配され、コネクタ部4dに接続される。コネクタ8pは、-Y側にコネクタ部4dに対応した第1のコネクタ部8p1(図25(b)参照)を有し、+Y側に第3のフォームファクタ規格に対応した第2のコネクタ部(図示せず)を有する。コネクタ8pは、コネクタ部4dに対応した第1のコネクタ部8p1の構造を第3のフォームファクタ規格に対応した第2のコネクタ部の構造に変換する変換部品とみなすことができる。
【0125】
第3のフォームファクタ規格では、図24に示す筐体3pは、その高さH3pが所定の高さをHthp以下になるように制約される。図24は、半導体記憶装置1pの構成を示す断面図であり、図23をG-G線で切った場合の断面を示す。この場合、筐体3pは、そのZ高さH3pが次の数式16を満たすように構成される。
H3p≦Hth・・・数式16
【0126】
筐体3pは、その外面と内部空間31pの内面との間に所定の肉厚T3pを有する。筐体3pの内部空間31pのZ高さH31pは、次の数式17を満たす。
H31p=H3p-2×T3p≦Hthp-2×T3p・・・数式17
【0127】
構造体10pにおいて、ベース基板5の厚さH5と穴あき基板4の厚さH4とメモリデバイス2の厚さH2との合計は、図24及び次の数式18に示すように、内部空間31pの高さH31pより大きくなり得る。例えば、メモリデバイス2の厚さH2が穴あき基板4の厚さH4より大きくなると、数式18で示す傾向が顕著になる。
H2+H4+H5>H31p・・・数式18
【0128】
筐体3pのZ高さH3pが所定の高さHthpに等しい場合、次の数式19が成り立つ。
H2+H4+H5>Hthp・・・数式19
【0129】
それに対して、構造体10pは、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装されるため、その高さがベース基板5の厚さH5とメモリデバイス2の厚さH2との合計で済む。例えばメモリデバイス2の厚さH2が穴あき基板4の厚さH4より大きくなっても、穴あき基板4の厚さH4がメモリデバイス2の厚さH2に含まれるため、構造体10pの高さがベース基板5の厚さH5とメモリデバイス2の厚さH2との合計で済む。ベース基板5の厚さH5とメモリデバイス2の厚さH2との合計は、図24及び次の数式20に示すように、内部空間31pの高さH31pより小さくなり得る。
H2+H5<H31p・・・数式20
【0130】
筐体3pのZ高さH3pが所定の高さHthpに等しい場合、H31p=H3p-2×T3p=Hthp-2×T3pとなるから、この式を数式20に代入して、次の数式20’が成り立つ。
H2+H5<Hthp-2×T3p・・・数式20’
【0131】
数式20及び数式20’に示されるように、構造体10pは、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装されることで、筐体3pの内部空間31p内に収容され得る。構造体10pは、等価的に、第3のフォームファクタ規格による所定の高さHthpの制約(数式19参照)を超えてメモリデバイス2が実装される構造とみなすこともできる。
【0132】
また、半導体記憶装置1pの製造方法が、図25に示すように、次の点で第1の実施形態~第4の実施形態と異なる。図25(a)~図25(e)は、半導体記憶装置1pの製造方法を示す斜視図である。
【0133】
図25(a)に示す工程では、ベース基板5の主面5aにメモリデバイス2が実装される。メモリデバイス2は、複数の外部電極25(図6参照)が複数の電極51(図5参照)に接合されることで、主面5aに実装される。接合は、各電極の加熱による合金接合であってもよいし、電極間に半田を加熱溶融して接合させる半田接合であってもよい。
【0134】
図25(b)に示す工程では、メモリデバイス2がベース基板5に実装された構造体の+Z側に穴あき基板4が配される。穴あき基板4は、+Z側の主面4aに変換回路チップ7pが実装される。図示しないが、+Z側の主面4aに複数の電極が配され、変換回路チップ7pの-Z側の主面に複数の電極が配され、変換回路チップ7pの複数の電極が穴あき基板4の主面4aの複数の電極に接合されてもよい。
【0135】
穴あき基板4のコネクタ部4dがコネクタ8pの第1のコネクタ部8p1に挿入されるように装着される。
【0136】
穴あき基板4は、中空部4cがメモリデバイス2に対応したXY位置になり、コネクタ部4dが+Y側になるように位置合わせされる。穴あき基板4がZ方向にベース基板5に近付けられ、ベース基板5の主面5aに穴あき基板4が実装される。穴あき基板4は、複数の電極42(図6参照)が複数の導電体45を介して複数の電極52に接合されることで、メモリデバイス2の外側で主面5aに実装される。接合は、各電極の加熱による合金接合であってもよいし、電極間に半田を加熱溶融して接合させる半田接合であってもよい。
【0137】
これにより、図25(c)に示す構造体10pが得られる。構造体10pでは、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装される。
【0138】
図25(d)に示す工程では、カバー3p1の-X側、-Y側、+X側の側面の-Z側端部と、ベース3p2の-X側、-Y側、+X側の側面の+Z側端部とには、それぞれ嵌合構造が設けられている。カバー3p1の-X側、-Y側、+X側の側面は、嵌合構造を介して、ベース3p2の-X側、-Y側、+X側の側面に結合される。ベース3p2の+Z側の開口がカバー3p1で覆われる。カバー3p1の-Z側の開口がベース3p2で覆われる。これにより、筐体3pが構成される。
【0139】
これにより、図25(e)に示す半導体記憶装置1pが得られる。半導体記憶装置1pでは、構造体10pが筐体3pの内部空間31pに収容される。
【0140】
以上のように、第5の実施形態では、半導体記憶装置1pにおいて、例えば第3のフォームファクタ規格に従って、穴あき基板4の外縁にコネクタ部4dが設けられ、メモリデバイス2が穴あき基板4を通してベース基板5に実装された構造体10pが構成される。これにより、メモリデバイス2をコンパクトに実装でき、メモリデバイス2を含む構造体10pを筐体3p内に収容できる。
【0141】
また、第1の実施形態~第5の実施形態の変形例として、図26に示すように、構造体10iにおいて、穴あき基板4の中空部4c内にメモリデバイス2iに加えて他の部品が配されてもよい。例えば、メモリデバイス2iにおける複数のメモリチップ21(図6参照)を制御するためのコントローラチップ22iは、メモリデバイス2iに含まれず、メモリデバイス2iの外部に配されてもよい。図26は、第1の実施形態~第5の実施形態の変形例における構造体10iの構成を示す斜視図である。コントローラチップ22iは、メモリデバイス2iにXY方向で隣接する位置でベース基板5の主面5aに配される。コントローラチップ22iは、メモリデバイス2iにXY方向で隣接する位置で穴あき基板4の中空部4cの内側に配される。
【0142】
この構造体10iにおいても、構造体10iの高さがベース基板5の厚さH5とメモリデバイス2iの厚さH2との合計で済むので、メモリデバイス2iをコンパクトに実装でき、メモリデバイス2iを含む構造体10iを筐体3(図3参照)内に収容できる。
【0143】
また、例えばメモリデバイス2i内でコントローラチップ22及びスペーサ26(図6参照)が削減され、そのZ高さに相当する個数のメモリチップ21を追加的に積層できる。これにより、メモリデバイス2iの厚さをH2に維持しながらメモリデバイス2iのメモリ容量を増加できる。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0145】
1,1j,1k,1n,1p 半導体記憶装置、2 メモリデバイス、3,3j,3p 筐体、4 穴あき基板、5 ベース基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図19
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図22
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図26