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  • 特開-透保水性舗装構造およびその工法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066138
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】透保水性舗装構造およびその工法
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/26 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
E01C7/26
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175487
(22)【出願日】2022-11-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】597104053
【氏名又は名称】日本建設技術株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】原 裕
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA02
2D051AE06
2D051AF06
2D051AG01
2D051AH01
2D051EA01
2D051EB04
(57)【要約】
【課題】地下水を利用して路面の温度上昇を抑制することが可能な透保水性舗装構造およびその工法の提供。
【解決手段】透保水性舗装構造1は、路床2を貫通して地下水位以下の深さまで形成された穴10内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11が充填されて形成された吸水柱5と、路床2上に形成された路盤3であり、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11を含む路盤3と、路盤3上に形成された透水性舗装4とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路床を貫通して地下水位以下の深さまで形成された穴内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスが充填されて形成された吸水柱と、
前記路床上に形成された路盤であり、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを含む路盤と、
前記路盤上に形成された透水性舗装と
を含む透保水性舗装構造。
【請求項2】
前記透水性舗装上に敷均された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを含む請求項1記載の透保水性舗装構造。
【請求項3】
前記路盤は、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された下部層と、前記下部層上に粒径5.0mm~10mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された中間層と、前記中間層上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された上部層とから構成されたものである請求項1または2に記載の透保水性舗装構造。
【請求項4】
前記吸水柱の直径は、100mm~300mmである請求項1または2に記載の透保水性舗装構造。
【請求項5】
前記吸水柱は、平面1m2当たり1~5本である請求項4記載の透保水性舗装構造。
【請求項6】
前記吸水柱の長さは、1.5m~3.5mである請求項1または2に記載の透保水性舗装構造。
【請求項7】
前記下部層の厚さは、2cm~5cmであり、
前記中間層の厚さは、10cm~30cmであり、
前記上部層の厚さは、2cm~5cmである
請求項3記載の透保水性舗装構造。
【請求項8】
路床を貫通して地下水位以下の深さまで穴を形成すること、
前記穴内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを充填して吸水柱を形成すること、
前記路床上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより路盤を形成すること、
前記路盤上に透水性舗装を形成すること
を含む透保水性舗装工法。
【請求項9】
前記路盤は、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより下部層を構成し、前記下部層上に粒径10mm~50mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより中間層を構成し、前記中間層上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより上部層を構成することにより形成することを特徴とする請求項8記載の透保水性舗装工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透水性および保水性を備えた透保水性舗装構造およびその工法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化に対する関心が高まり様々な方式の地球温暖化防止技術が開発されている。その一つとして、夏場における舗装道路の温度上昇を抑制することによって沿道の環境改善を図り、地球温暖化を防止しようとするものがある。例えば、特許文献1には、砂質土等を埋め立てて形成された路床上に設けられる透水性アスファルト舗装構造であり、保水性骨材を主材料とする路盤材料によって形成された保水性路盤と、この保水性路盤の上方に敷設された透水性アスファルト舗装とからなる透水性アスファルト舗装構造が開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、連続空孔を有する粒状乃至塊状の発泡ガラスを路床上に敷設して形成した保水層と、保水層上に形成した下層路盤と、下層路盤と保水層との間に敷設された透水性を有する土木工事用シート材と、下層路盤上に形成した上層路盤と、上層路盤上に形成した透水性アスファルト層とを備えた道路舗装構造が開示されている。
【0004】
上記従来の舗装構造によれば、透水性アスファルト層等を通過した雨水などの水分が保水層等に貯留され、日照などにより路面の温度が上昇した際には、この保水層等に貯留されている水分が透水層等を通過して上昇し、路面で気化して大気中へ蒸発していくため、このときの気化熱によって道路の温度上昇が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-120010号公報
【特許文献2】特許第3888978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の舗装構造では保水層等に水分を貯留し、この貯留された水分のみを利用して道路の温度上昇を抑制するものであるため、保水層にどれだけ多くの水分を貯留できるかが重要となっている。
【0007】
ところで、軟弱地盤においては地下水位が高いところがある。本発明は、この地下水を利用して路面の温度上昇を抑制することが可能な透保水性舗装構造およびその工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の透保水性舗装構造は、路床を貫通して地下水位以下の深さまで形成された穴内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスが充填されて形成された吸水柱と、路床上に形成された路盤であり、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを含む路盤と、路盤上に形成された透水性舗装とを含むものである。
【0009】
本発明の透保水性舗装構造によれば、吸水柱内の粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスが、すなわち路床を貫通して地下水位以下の深さまで形成された穴内に充填された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスが、毛細管現象を発現して地下水を吸い上げ、路盤の粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスに吸水および保水される。そして、日照などにより路面の温度が上昇した際には、この路盤上に形成された透水性舗装を通過して上昇し、路面で気化して大気中へ蒸発し、このときの気化熱によって路面の温度上昇が抑制される。
【0010】
また、降雨や打ち水などによって路面に供給された水分は、透水性舗装を通過し、路盤および吸水柱の粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスに吸水および保水される。粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスは、透水係数が1×10-1[m/s]程度と非常に大きく、透水性が清浄な礫程度に高いため、水分を容易に吸水柱から路床下へと通過させる。そして、吸水柱内の粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスと地下水が接触混合され、一体化される。その後、地下水の水分は、上述のように毛細管現象により常時吸い上げられ、路盤の粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスに吸水および保水される。
【0011】
路盤は、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された下部層と、下部層上に粒径5.0mm~10mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された中間層と、中間層上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された上部層とから構成されたものとすることができる。この構成によっても、降雨や打ち水などによって路面に供給された水分は、透水性舗装を通過し、路盤および吸水柱の粒径1.0mm~10mmの連続間隙構造の発泡ガラスに吸水および保水される。そして、吸水柱内の粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスと地下水が接触混合され、一体化される。その後、地下水の水分は、毛細管現象により常時吸い上げられ、路盤の粒径1.0mm~10mmの連続間隙構造の発泡ガラスに吸水および保水される。
【0012】
本発明の透保水性舗装構造は、透水性舗装上に敷均された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを含む構成とすることができる。これにより、透水性舗装表面の間隙に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスが充填され、透水性舗装表面の間隙において毛細管現象が発現し、この透水性舗装表面の間隙においても保水機能が発揮され、路面での気化を促進することができる。
【0013】
吸水柱の直径は100mm~300mm、好ましくは100mm~200mm、より好ましくは100mm~150mmであることが望ましい。吸水柱の直径が100mm~300mmであることにより、吸水柱を通じて地下水を常に路盤まで吸い上げておくことが可能となる。なお、直径が100mm未満では、地下水を常に路盤まで吸い上げておく量が極端に減少する。一方、直径が300mm超では、水分が横方向に分散されるため、路盤に水分を保持する効果が薄くなってしまう。
【0014】
吸水柱は、平面1m2当たり1~5本であることが望ましい。吸水柱が平面1m2当たり1~5本であることにより、吸水柱を通じて路盤まで常に適切な量の地下水を吸い上げておくことが可能となる。なお、吸水柱が平面1m2当たり6本以上では、隣り合う吸水柱の距離が近すぎて水を吸い上げる力が干渉し、吸い上げる水の量が減る可能性がある。
【0015】
本発明の透保水性舗装工法は、路床を貫通して地下水位以下の深さまで穴を形成すること、穴内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを充填して吸水柱を形成すること、路床上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより路盤を形成すること、路盤上に透水性舗装を形成することを含むことを特徴とする。これにより、前述の本発明の透保水性舗装構造が得られる。
【0016】
また、本発明の透保水性舗装工法において、路盤は、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより下部層を構成し、下部層上に粒径10mm~50mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより中間層を構成し、中間層上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより上部層を構成することにより形成することを特徴とする。これにより、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された下部層と、下部層上に粒径5.0mm~10mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された中間層と、中間層上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された上部層とから構成された地盤を形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
(1)本発明の透保水性舗装構造によれば、吸水柱内の粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスが、毛細管現象を発現して地下水を吸い上げ、路盤の粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスに吸水および保水され、日照などにより路面の温度が上昇した際には、この路盤上に形成された透水性舗装を通過して上昇し、路面で気化して大気中へ蒸発するので、このときの気化熱によって路面の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0018】
(2)透水性舗装上に敷均された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを含む透保水性舗装構造とすることにより、透水性舗装表面の間隙において毛細管現象が発現し、この透水性舗装表面の間隙においても保水機能が発揮され、路面での気化を促進することができるので、さらに路面の温度上昇を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態における透保水性舗装構造を示す切欠き断面斜視図である。
図2】土中水サクションと水分保持量を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の実施の形態における透保水性舗装構造を示す切欠き断面斜視図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態における透保水性舗装構造1は、路床2上に発泡ガラスからなる路盤3が形成され、この路盤3上に透水性舗装4が形成されたものである。透水性舗装4は、少なくとも透水性を有するアスファルト舗装、コンクリート舗装やインターロッキングブロックなどである。なお、透水性舗装4は、透水性に加えて保水性を有するものとしても良い。
【0021】
また、透保水性舗装構造1は、路床2を貫通して地下水位WL以下の深さまで形成された穴10内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11が充填されて形成された吸水柱5を備える。吸水柱5の長さは地下水位WLの深さによるが、地下水位WLの変動幅に対応できる長さとし、例えば1.0m~3.5m、好ましくは1.5m以上、2.5m以下の長さとする。吸水柱5の直径は100mm~300mmである。また、吸水柱5は平面1m2当たり1~5本設けられている。
【0022】
路盤3は、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11により形成された下部層3Aと、下部層3A上に粒径5.0mm~10mmの連続間隙構造の発泡ガラス12により形成された中間層3Bと、中間層3B上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11により形成された上部層3Cとから構成される。なお、本実施形態における透保水性舗装構造1に使用する発泡ガラス11,12は、比重0.3~0.5、吸水率100%以上135%以下である。
【0023】
下部層3Aは、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより、2cm~5cmの厚さに形成する。中間層3Bは、下部層3A上に粒径10mm~50mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより、10cm~30cmの厚さに形成する。上部層3Cは、中間層3B上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより2cm~5cmの厚さに形成する。
【0024】
なお、中間層3Bを形成する際の粒径10mm~50mmの連続間隙構造の発泡ガラスは、転圧することにより粉砕され、粒径5.0mm~10mmの連続間隙構造の発泡ガラス12となる。一方、下部層3Aおよび上部層3Cを形成する際の粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスは、転圧によってもあまり粉砕されないため、粒径はほぼ変わらず、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11となる。
【0025】
上記構成の透保水性舗装構造1では、吸水柱5内の発泡ガラス11が、すなわち路床2を貫通して地下水位WL以下の深さまで形成された穴10内に充填された連続間隙構造の発泡ガラス11が、毛細管現象を発現して地下水を吸い上げ、路盤3の発泡ガラス11,12に吸水および保水される。そして、日照などにより路面の温度が上昇した際には、この路盤3上に形成された透水性舗装4を通過して上昇し、路面で気化して大気中へ蒸発し、このときの気化熱によって路面の温度上昇が抑制される。
【0026】
また、降雨や打ち水などによって路面に供給された水分は、透水性舗装4を通過し、路盤3および吸水柱5の発泡ガラス11,12に吸水および保水される。粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11は、透水係数が1×10-1[m/s]程度と非常に大きく、透水性が清浄な礫程度に高いため、水分を容易に吸水柱5から路床2下へと通過させる。そして、吸水柱5内の発泡ガラス11と地下水が接触混合され、一体化される。その後、地下水の水分は、毛細管現象により常時吸い上げられ、路盤3の発泡ガラス11,12に吸水および保水される。
【0027】
また、本実施形態における透保水性舗装構造1では、吸水柱5の直径が100mm~300mmであることにより、吸水柱5を通じて地下水を常に路盤3まで吸い上げておくことが可能となっている。さらに、吸水柱5は平面1m2当たり1~5本配置しているため、吸水柱5を通じて路盤3まで常に適切な量の地下水を吸い上げておくことが可能となっている。
【0028】
上記透保水性舗装構造1は、例えば以下の手順により形成する。
(1)路床2からφ100~300mmのオーガにて地下水位WL(=約0.4~0.7m)以下の深さ1.0mまで掘削し、掘削した穴10に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11を孔口10Aまで埋設することにより、吸水柱5を形成する。このとき、吸水柱5は、例えば平面1m2当たり1~5本形成する。
【0029】
(2)路床2上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより、例えば粒径1.0mm~2.0mm、厚さ2cmの連続間隙構造の発泡ガラス11からなる下部層3Aを形成する。この下部層3A上に粒径10mm~50mmの連続間隙構造の発泡ガラス12を撒いて敷き均し、転圧することにより、例えば粒径5.0mm~10mm、厚さ10cmの連続間隙構造の発泡ガラス12からなる中間層3Bを形成する。この中間層3B上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11を撒いて敷き均し、転圧することにより、例えば粒径1.0mm~2.0mm、厚さ3cmの連続間隙構造の発泡ガラス11からなる上部層3Cを形成することにより路盤3を形成する。
【0030】
図2は土中水サクションと水分保持量を示した図である。図2のサンプルAは転圧後の粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11、サンプルBは転圧後の粒径5.0mm~10mmの連続間隙構造の発泡ガラス12、サンプルCは粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスと粒径10mm~50mmの連続間隙構造の発泡ガラスとを3:7で混合して転圧した粒径1.0~10mmの連続間隙構造の発泡ガラスである。図2に示すように、サンプルAの粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11のみが、サンプルBの粒径5.0mm~10mmの連続間隙構造の発泡ガラス12に対して水分保持量3倍であった。また、サンプルCでは、サンプルBに対して水分保持量が約2倍であった。しかしながら、粒径の小さな発泡ガラス11のみで路盤3を構成すると施工単価が高くなる。そこで、厚さ3cmの上部層3Cと厚さ2cmの下部層3Aを粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス11とし、厚さ10cmの中間層3Bを粒径10mm~50mmの連続間隙構造の発泡ガラス12としている。
【0031】
(3)路盤3上に透水性舗装4を形成する。なお、透水性舗装4としての透水性アスファルトは間隙が多いため、路床2や路盤3の発泡ガラス11,12に保水した水分が舗装表面まで上昇しない。そこで、透水性舗装4上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均すことが望ましい。これにより、透水性舗装4表面の間隙において毛細管現象が発現し、この透水性舗装4表面の間隙においても保水機能が発揮され、路面での気化を促進することができるので、さらに路面の温度上昇を抑制することが可能となっている。
【実施例0032】
上記実施形態における透保水性舗装構造1について試験施工を行い、常温アスファルト混合物(株式会社NIPPO製レミファルト(商品名))を用いた従来舗装との温度比較を行った。
【0033】
実施例1~4は透水性舗装4として透保水性インターロッキングブロックを使用したものである。実施例5~7は透水性舗装4として透保水性アスファルト舗装を使用したものである。試験結果はそれぞれ表1および表2に示したとおりである。
【0034】
<透保水性インターロッキングブロック>
【0035】
【表1】
【0036】
(1)透保水性インターロッキングブロックでは、レミファルト舗装との温度差が実施例3,4で最も大きく、-13.5℃であった。
(2)実施例1,2から、インターロッキングブロックの色では、白の方が0.3℃低かった。
(3)実施例1,4から、吸水柱がm2当たり1本と2本では、2本の方が2.1℃低かった。日中(9:00~18:00)の比較でも、m2当たり2本の方が全ての区間で低い値(最大2.6℃)を示した。
(4)実施例3,4からインターロッキングブロック(白)の吸水柱直上部と外れでは差が見られなかった。
【0037】
<透保水性アスファルト舗装>
【0038】
【表2】
【0039】
(1)透保水性アスファルト舗装では、レミファルト舗装との温度差が実施例7で最も大きく、-9.9℃であった。
(2)実施例5,6から吸水柱直上部と外れでは、温度差が1.7℃とほとんど差がなかった。
(3)実施例5,6,7から吸水柱がm2当たり1本と2本では、2本の方が2.0℃低かった。日中(9:00~18:00)の比較でも、m2当たり2本の方が温度が低くなる傾向が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、透水性および保水性を備えた透保水性舗装構造およびその工法として有用であり、特に、地下水を利用して路面の温度上昇を抑制することが可能な透保水性舗装構造およびその工法として好適である。
【符号の説明】
【0041】
1 透保水性舗装構造
2 路床
3 路盤
3A 下部層
3B 中間層
3C 上部層
4 透水性舗装
5 吸水柱
10 穴
11,12 発泡ガラス
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路床を貫通して地下水位以下の深さまで形成された穴内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスが充填されて形成された吸水柱と、
前記路床上に形成された路盤であり、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された下部層と、前記下部層上に粒径5.0mm~10mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された中間層と、前記中間層上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより形成された上部層とから構成された路盤と、
前記路盤上に形成された透水性舗装と
を含む透保水性舗装構造。
【請求項2】
前記透水性舗装上に敷均された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを含む請求項1記載の透保水性舗装構造。
【請求項3】
前記吸水柱の直径は、100mm~300mmである請求項1または2に記載の透保水性舗装構造。
【請求項4】
前記吸水柱は、平面1m2当たり1~5本である請求項記載の透保水性舗装構造。
【請求項5】
前記吸水柱の長さは、1.5m~3.5mである請求項1または2に記載の透保水性舗装構造。
【請求項6】
前記下部層の厚さは、2cm~5cmであり、
前記中間層の厚さは、10cm~30cmであり、
前記上部層の厚さは、2cm~5cmである
請求項1または2に記載の透保水性舗装構造。
【請求項7】
路床を貫通して地下水位以下の深さまで穴を形成すること、
前記穴内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを充填して吸水柱を形成すること、
前記路床上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより下部層を構成し、前記下部層上に粒径10mm~50mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより中間層を構成し、前記中間層上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷き均し、転圧することにより上部層を構成して路盤を形成すること、
前記路盤上に透水性舗装を形成すること
を含む透保水性舗装工法。