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  • 特開-引戸用引き込みハンドル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066140
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】引戸用引き込みハンドル
(51)【国際特許分類】
   E05C 3/04 20060101AFI20240508BHJP
   E06B 5/20 20060101ALI20240508BHJP
   E06B 7/16 20060101ALI20240508BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20240508BHJP
   E05B 15/02 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
E05C3/04 B
E06B5/20
E06B7/16 C
E05B1/00 311K
E05B15/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175493
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】509170202
【氏名又は名称】有限会社小林スチール工業
(74)【代理人】
【識別番号】100178102
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100145425
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和由
(72)【発明者】
【氏名】古屋 聡
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA05
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB07
2E036GA02
2E036HB02
2E036HC03
2E239BB01
(57)【要約】
【課題】簡易な装置により防音引戸の扉を枠に引き込むことが可能で高い遮音性を実現する引戸用引き込みハンドルを提供する。
【解決手段】防音引戸の扉本体2に配設された引き込みハンドル1であって、防音引戸の閉鎖時に、扉本体2を縦枠3に扉本体2の進行方向Aに引き込む扉引き込み手段として、扉本体2を垂直に貫通する軸部1aと、軸部1aの両端に軸部1aと垂直に直線状に配設される各1つの把手1b、1cと、把手1b、1cの内の一方の把手1bの、軸部1aを介して反対側に配設され、把手1bの中心軸1dと垂直に交わる軸1eを有するローラー1fを有しており、防音引戸の縦枠3は扉引き込み手段に対応する装置として縦枠3内部に配設されローラー1fとの当接面1gを有する受け座3aを有しており、引き込まれた扉本体2との間隙4を密閉する遮音手段として、縦枠3の内部に上下に亘って配設されたくさび状に成型されたATゴム5を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防音引戸において、
扉本体に配設された引き込みハンドルであって、該引き込みハンドルは、
上記防音引戸の閉鎖時に、上記扉本体を上記防音引戸の枠に上記扉本体の進行方向に引き込む扉引き込み手段を具備しており、
上記防音引戸の枠は上記扉引き込み手段に対応する装置と、引き込まれた上記扉本体との間隙を密閉する遮音手段を具備している、
ことを特徴とする引戸用引き込みハンドル。
【請求項2】
上記引き込みハンドルの上記扉引き込み手段は、上記扉本体を垂直に貫通する軸部と、該軸部の両端に該軸部と垂直に直線状に配設される各1つの把手と、該把手の内の一方の把手の上記軸部を介して反対側に配設され、上記把手の中心軸と垂直に交わる軸を有するローラーを有しており、
上記防音引戸の枠の上記扉引き込み手段に対応する装置は、上記枠に配設され
上記ローラーとの当接面を有する受け座を有しており、
上記遮音手段は、上記縦枠部の内部に上下に亘って配設されたくさび状の樹脂部材を有していることを特徴とする、請求項1に記載の引戸用引き込みハンドル。
【請求項3】
上記ローラーは、該ローラーの長手方向が上記把手の中心軸に対して対称に配設され、上記受け座は上記ローラーの上記対称に配設された部分の各々に当接することを特徴とする、請求項2に記載の引戸用引き込みハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸用引き込みハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
高い遮音性が必要な部屋へ設置する防音扉には回転扉型と引戸型があり、用途に応じて採用されている。
従来の引戸型防音扉としては、扉本体を落下させて遮音を確保するものや、新幹線の扉のように扉を面方向へ移動して遮音をするものが知られている。
【0003】
一般の引戸は枠と扉本体と扉の横移動に必要なレールが必要となるが、防音引戸は更に縦横方向にATゴムを枠側へ設置し、扉が密着することで隙間を無くし音を遮音する構造となっている。
扉に対し平面方向に引き寄せるハンドルは従来から多々存在していたが、扉の進行方向に力が作用する構造の引戸ハンドルは従来製品として存在していなかった。
特許文献1の防音引戸には上記の扉本体を落下させて遮音を確保する構造について開示されている。また、特許文献2の引戸用密閉ロックハンドル装置には表裏2枚の引戸扉を引き寄せて密閉する機構について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-173973号公報
【特許文献2】特開2002-317576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような構成では扉の遮音部に扉の重量以上の十分な押し付け力を得ることはできない場合がある。実用上問題になるのは女性等力が無い人が使用する場合、扉を開ける際にかなり力が必要となるため専用の扉起こしのためのテコ式ハンドルが必要となるなど使い勝手に問題がある。
また、特許文献2の構成は、回転引手であり、錠前には鎌錠のように作用するだけで引き込む力はほとんどない。さらに、これと類似した扉の面と垂直方向に力を加える方式では防音引戸装置自体の機構が複雑となり、扉の密閉操作も複雑となる傾向があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決し、簡易な装置により防音引戸の扉を枠に引き込むことが可能で高い遮音性を実現する引戸用引き込みハンドルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、防音引戸において、扉本体に配設された引き込みハンドルであって、防音引戸の閉鎖時に、扉本体を防音引戸の枠に扉本体の進行方向に引き込む扉引き込み手段を具備しており、防音引戸の枠は扉引き込み手段に対応する装置と、引き込まれた扉本体との間隙を密閉する遮音手段を具備していることを特徴とする。
請求項2の発明はさらに、引き込みハンドルの扉引き込み手段は、扉本体を垂直に貫通する軸部と、軸部の両端に軸部と垂直に直線状に配設される各1つの把手と、把手の内の一方の把手の軸部を介して反対側に配設され、把手の中心軸と垂直に交わる軸を有するローラーを有しており、防音引戸の枠の扉引き込み手段に対応する装置は、枠に配設されローラーとの当接面を有する受け座を有しており、遮音手段は、縦枠部の内部に上下に亘って配設されたくさび状の樹脂部材を有していることを特徴とする。
請求項3の発明はさらに、ローラーは、長手方向が把手の中心軸に対して対称に配設され、受け座はローラーの対称に配設された部分の各々に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、防音引戸において扉に設置されたハンドルの操作だけで扉を縦枠に強く引込むことができ、高い遮音効果を奏する引戸用引き込みハンドルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の引戸用引き込みハンドルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左右勝手違いのハンドルの平面図、(d)はその正面図を示す。
図2】第1の実施形態の防音引戸の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図を示す。
図3】第1の実施形態の防音引戸の縦断面図である。
図4】第2の実施形態の引戸用引き込みハンドルの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の引戸用引き込みハンドルの第1の実施形態について図を用いて説明する。
まず、本実施形態の構成について説明する。
図1図3に示すように、防音引戸10の扉本体2に配設された引き込みハンドル1であって、防音引戸10の閉鎖時に、扉本体2を防音引戸10の縦枠3に扉本体2の進行方向Aに引き込む扉引き込み手段として、扉本体2を垂直に貫通する軸部1aと、軸部1aの両端に軸部1aと垂直に直線状に配設される各1つの把手1b、1cと、把手1b、1cの内の一方の把手1bの、軸部1aを介して反対側に配設され、把手1bの中心軸1dと垂直に交わる軸1eを有するローラー1fを有しており、防音引戸10の縦枠3は扉引き込み手段に対応する装置として図1に示すように、縦枠3内部に配設されローラー1fとの当接面1gを有する受け座3aを有しており、引き込まれた扉本体2との間隙4を密閉する遮音手段として、縦枠3の内部に上下に亘って配設されたくさび状に成型されたATゴム5を有している。
なお、図1に示すように、引き戸の場合、閉鎖時における扉本体の進行方向が左右どちらの方向であるかによって、左右勝手違いの2種類の引き込みハンドルが必要となる。
【0011】
次に本実施形態の引戸用引き込みハンドル1の機能について説明する。
防音引戸10の閉鎖時に、扉本体2を防音引戸10の縦枠3に扉本体2の図2に示す進行方向Aに引き込む際、図1に示すように、把手1bを垂直方向から水平方向へと回転させることによりローラー1fが受け座3aに当接し、受け座3aを把手1b側に引き付ける力を働かせる。この際、同時に反作用として把手1bも受け座3a側にひきつけられる力を受ける。受け座3aは防音引戸10の縦枠3に固定されているため、把手1bを回転させることにより生じた力により、結果として把手1bが固定されている扉本体2が進行方向Aに移動して強く縦枠3に引き込まれることとなる。
この際、縦枠3の内部に上下に亘って配設されたくさび状のATゴム5と扉本体2が強く当接してATゴム5が潰れ、これにより高い遮音状態が実現する。なお、防音引戸10の閉鎖時において、扉本体2の上端部、下端部及び後端部と対応する防音引戸10の枠部の遮音機能についても、上記と同様の機構により把手1bを回転させて扉本体2とくさび状のATゴム5とが強く当接することで実現される。
【0012】
本実施形態の引戸用引き込みハンドル1の効果について説明する。
上述のように、把手1fを回転させることで、扉本体2が強く縦枠3内に引き込まれてATゴム5が潰されるのであるが、基本的にATゴム5は潰して内部の密度を上げる事で遮音性能が向上するものであるため、扉を強く縦枠3方向へ引き込むことで、縦枠3に設置した縦方向及びくさび状の上下に走るATゴムを潰すように作用するので、ただ単に引戸クローザーや自動引戸の機構で引き込む力より更に強力な力でATゴム5を潰せるため、遮音性能の向上が期待できる。
【0013】
本実施形態では、従来の防音引き戸にはなかった引き込みハンドル1という簡易な装置による容易な操作により、扉本体2を進行方向へ強く引き込むことを可能にした。従来は前述のように、防音引き戸の閉鎖時には扉本体の面に垂直方向に力を加えて扉本体と枠とを密着させる方式が採用されており、装置自体も複雑であった。
本実施形態の方式により、高い遮音性と共に装置の簡素化と作業の容易化という効果が得られる。また、市場に出回っているビル用グレモンハンドルやクレセントは、部屋内等の片側からしか操作出来なかったが、本実施形態の引き込みハンドル1は部屋の内側からでも外側からでも操作ができるものとなっている。
【0014】
次に、第2の実施形態について説明する。
まず、構成について説明する。
図4に示すように、ローラー1fは、長手方向が把手1bの中心軸1dに対して対称に配設され、受け座3aはローラー1fの対称に配設された部分の各々に当接する位置に配設される。
次に、本実施形態の機能、効果についてであるが、第1の実施形態と同様の機能、効果に加え、把手1bのローラー1fと受け座3aをこのような構成とすることで、1つの種類で左右どちらの開き勝手にも対応可能となる。
【符号の説明】
【0015】
1 引き込みハンドル
1a 軸部
1b 把手
1c 把手
1d 中心軸
1e 軸
1f ローラー
1g 当接面
2 扉本体
3 縦枠
3a 受け座
4 間隙
5 ATゴム
10 防音引戸
A 扉進行方向
図1
図2
図3
図4