IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パワーサプライテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電動作業車 図1
  • 特開-電動作業車 図2
  • 特開-電動作業車 図3
  • 特開-電動作業車 図4
  • 特開-電動作業車 図5
  • 特開-電動作業車 図6
  • 特開-電動作業車 図7
  • 特開-電動作業車 図8
  • 特開-電動作業車 図9
  • 特開-電動作業車 図10
  • 特開-電動作業車 図11
  • 特開-電動作業車 図12
  • 特開-電動作業車 図13
  • 特開-電動作業車 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024066172
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240508BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240508BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240508BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240508BHJP
   B60L 58/18 20190101ALI20240508BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
E02F9/00 C
E02F9/26 B
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/18
H02J7/00 P
H02J7/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175550
(22)【出願日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】515037818
【氏名又は名称】パワーサプライテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 貴行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 薫
【テーマコード(参考)】
2D015
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
2D015HA03
5G503AA01
5G503BA04
5G503CA08
5G503EA05
5G503FA06
5H125AA12
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC08
5H125BC29
5H125BC30
5H125CD02
5H125EE27
5H125EE41
5H125EE55
(57)【要約】
【課題】本発明は電動作業車に関するもので、作業効率を高めることを目的とする。
【解決手段】電動作業車1は、主電源12で作業中に、主電源12の電池残量が、帰路電力量算出手段17によって算出した帰路必要電力量に到達すると、表示部14に、帰路と補助電源21の補充を選択する表示を行わせる。この状態で、操作部13により、補助電源21の補充が選択された場合には、前記表示部14に補助電源補充指示を表示させ、補助電源21の補充作業が行われる。補助電源21の補充後は、補助電源21の電池残量を第1の電池残量検出手段16によって検出し、補助電源21の電池残量が、帰路電力量算出手段17によって算出した帰路必要電力量、またはそれよりも低い第1の所定電力量に到達すると、表示部14に帰路表示を行わせ、操作部で帰路が選択されると、移動用モータ4に補助電源21から電力供給を行い、帰路動作が行われる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動用手段と作業用手段を有する作業車本体と、前記移動手段を駆動する移動用モータと、前記作業用手段を駆動する作業用モータと、前記移動用モータおよび前記作業用モータに駆動電力を供給する主電源と、この主電源から前記移動用モータおよび前記作業用モータへの駆動電力供給を制御する制御部とを備え、
前記制御部に、操作部、表示部、メモリ、前記主電源の電池残量を検出する第1の電池残量検出手段と、作業現場から充電地点に戻る帰路で、前記移動用モータが必要な帰路必要電力量を算出する帰路電力量算出手段を接続し、
前記制御部は、前記第1の電池残量検出手段で検出した主電源の電池残量が、前記帰路電力量算出手段によって算出した帰路必要電力量に到達すると、前記表示部に、帰路と補助電源の補充とを選択する表示を行わせ、
前記操作部によって前記補助電源の補充が選択された場合には、前記表示部に補助電源補充指示を表示させ、
前記補助電源の電池残量を前記第1の電池残量検出手段、またはこれとは別の第2の電池残量検出手段によって検出し、前記補助電源の電池残量が、前記帰路電力量算出手段によって算出した帰路必要電力量、またはそれよりも低い第1の所定電力量に到達すると、前記表示部に帰路操作表示を行わせ、
前記操作部で帰路が操作されると、前記移動用モータには前記補助電源から電力が供給される構成とした電動作業車。
【請求項2】
前記制御部は、前記補助電源の電池残量が、前記帰路必要電力量または前記第1の所定電力量に対して、それよりも低い第2の所定電力量に到達すると、前記移動用モータには、前記主電源から電力供給を行う構成とした請求項1に記載の電動作業車。
【請求項3】
前記作業車本体に、補助電源設置部を設け、
前記制御部は、前記操作部により補助電源の補充が選択された場合には、前記表示部に前記補助電源の補助電源設置場所を表示させ、この補助電源設置場所に補助電源が設置されると、前記表示部の補助電源設置場所表示を補助電源設置済み表示に変更する構成とした請求項1または2に記載の電動作業車。
【請求項4】
前記制御部は、前記操作部によって補助電源の補充が選択された場合には、前記表示部に、作業量と補助電源容量の関係を表示させる構成とした請求項1または2に記載の電動作業車。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作部によって補助電源の補充が選択された場合には、前記表示部に、作業量と補助電源容量の関係を表示させる構成とした請求項3に記載の電動作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場や農耕作業地などで活躍する電動作業車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境対策、騒音対策として、電動作業車が脚光を浴びるようになってきた。
電動作業車は、例えば、移動用手段と作業用手段を有する作業車本体と、前記移動手段を駆動する移動用モータと、前記作業用手段を駆動する作業用モータと、前記移動用モータおよび作業用モータに接続された主電源と、この主電源から前記移動用モータおよび作業用モータへの電力供給を制御する制御部とを備えた構成であり、化石燃料を用いたエンジンによる排ガス排出、騒音が無いことが、評価されている。
この電動作業車の課題の一つとして、作業中の電池切れで、電動作業車を充電可能な地点まで戻せないということがあげられる。
【0003】
そこで、特開平11―107320号公報(特許文献1)では、バッテリ残量検出手段によって検出された検出値が第二のバッテリ設定値に達したときに警報が発する構成とし、充電設備まで油圧作業機械を移動させる必要があることを認識することができるようにしている。
また、特開平10―317428号公報(特許文献2)や、特開2007―288894号公報(特許文献3)には、バッテリ残量と、このバッテリ残量で、その後、どの程度使用できるかの使用時間とを、表示することが開示されている。
さらに、特開2011―227050号公報(特許文献4)には、経路の長さ及び経路の勾配などのデータから、該経路を走行するために必要とされるバッテリの消費量を算出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11―107320号公報
【特許文献2】特開平10―317428号公報
【特許文献3】特開2007―288894号公報
【特許文献4】特開2011―227050号公報
【特許文献5】特開2013―129976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行文献によれば、帰路に必要なバッテリ容量を算出し、その値までバッテリ容量が低下すると警報を発する構成とすることが出来るので、作業中の電池切れで、電動作業車を充電可能な地点まで戻せないという課題を解決することができる。
【0006】
しかしながら、現場作業を中断し、電動作業車を充電可能な地点まで戻すのは、作業効率の観点で望ましくない場合も発生する。
例えば、工事と充電可能地点が離れている場合、本日の作業を、ここまで仕上げたいと考えているにも拘らず、作業を中断し、電動作業車を充電可能な地点まで戻し、充電後に、再び、作業を開始しようとした場合、日没になったり、雨が降り出したりすることもあり、これは作業現場において作業効率を大幅に低下させてしまうことになる。
【0007】
そこで、特開2013―129976号公報(特許文献5)では、1つの電動式油圧ショベルのバッテリ装置の蓄電残量が低下した場合に、他の電動式油圧ショベルのバッテリ装置から給電することができるようにしている。
【0008】
しかしながら、1つの電動式油圧ショベルのバッテリ装置と、他の電動式油圧ショベルのバッテリ装置とをケーブルで接続する場合、使用電流が大きいので、ケーブルが太くなり、太いケーブルが接続された状態では、支援された電動式油圧ショベルの作業は煩雑なものとなる。
そこで、本発明は作業効率を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために本発明の電動作業車は、移動用手段と作業用手段を有する作業車本体と、前記移動手段を駆動する移動用モータと、前記作業用手段を駆動する作業用モータと、前記移動用モータおよび作業用モータに駆動電力を供給する主電源と、この主電源から前記移動用モータおよび作業用モータへの駆動電力供給を制御する制御部とを備える。
【0010】
前記制御部には、操作部、表示部、メモリ、前記主電源の電池残量を検出する第1の電池残量検出手段、作業現場から充電地点に戻る帰路で、前記移動用モータが必要な帰路必要電力量を算出する帰路電力量算出手段を接続する。
前記制御部は、前記電池残量検出手段で検出した主電源の電池残量が、前記帰路電力量算出手段によって算出した帰路必要電力量に到達すると、前記表示部に、帰路と補助電源の補充とを選択する表示を行わせ、前記操作部により、補助電源の補充が選択された場合には、前記表示部に補助電源補充指示を表示させる。
【0011】
前記補助電源の電池残量を前記第1の電池残量検出手段、または第1の電池残量検出手段とは別の第2の電池残量検出手段によって検出し、前記補助電源の電池残量が、前記帰路電力量算出手段によって算出した帰路必要電力量、またはそれよりも低い第1の所定電力量に到達すると、前記表示部に、帰路操作表示を行わせ、前記操作部で、帰路が操作されると、前記移動用モータには、前記補助電源から電力供給を行う構成とした。
【0012】
また、本発明の電動作業車の制御部は、前記補助電源の電池残量が、前記帰路必要電力量または前記第1の所定電力量に対して、それよりも低い第2の所定電力量に到達すると、前記移動用モータには、前記主電源から電力供給を行う構成とした。
【0013】
さらに、本発明の電動作業車は、前記作業車本体に、補助電源設置部を設け、前記制御部は、前記操作部により、補助電源の補充が選択された場合には、前記表示部に前記補助電源の補助電源設置場所を表示させ、この補助電源設置場所に補助電源が設置されると、前記表示部の補助電源設置場所表示を、補助電源設置済み表示に変更する構成とした。
また、本発明の電動作業車の制御部は、前記操作部により、補助電源の補充が選択された場合には、前記表示部に作業量と補助電源容量の関係を表示させる構成とした。
【発明の効果】
【0014】
以上の様に本発明の電動作業車は、主電源で作業中に、主電源の電池残量が、帰路電力量算出手段によって算出した帰路必要電力量に到達すると、表示部に、帰路と補助電源の補充を選択する表示を行わせ、操作部により、補助電源の補充が選択された場合には、前記表示部に補助電源補充指示を表示させ、前記補助電源の電池残量を前記第1の電池残量検出手段または第2の電池残量検出手段によって検出し、補助電源の電池残量が、帰路電力量算出手段によって算出した帰路必要電力量、またはそれよりも低い第1の所定電力量に到達すると、前記表示部に、帰路操作表示を行わせ、前記操作部で帰路が選択されると、前記移動用モータには補助電源から電力供給を行う構成とした。
【0015】
このため、作業中に主電源の電池切れを起こして充電地点に戻れないというトラブルを回避できる。
また、補助電源の補充をした場合には、その作業地点での作業を継続することができ、作業効率を高めることができる。
【0016】
さらに、補助電源での作業中でも、補助電源の電池残量が、帰路電力量算出手段によって算出した帰路必要電力量、またはそれよりも低い第1の所定電力量に到達すると、表示部に帰路操作表示を行わせ、操作部で帰路が選択されると、移動用モータには補助電源から電力供給を行う構成とした。
このため、帰路時には先ず、補助電源からの電力消費を行わせるので、補助電源の劣化を抑制することができる。つまり、補助電源を、高容量状態で、長時間保管すると劣化の虞がるので、帰路で十分に使用消費するようにしたものである。
【0017】
また、帰路に補助電源から移動用モータを供給するようにしていても、この帰路で補助電源の容量が減少した場合には、移動用モータには、主電源から電力供給することが出来るので、着実に充電地点にまで戻れることになる。
【0018】
つまり、主電源には、予め、帰路必要電力量が残った状態とはしているが、例えば、気温が低下した場合には、予定した電力量を移動用モータに供給することができなくなる。
それに対して、本発明では、帰路に補助電源から使用するようにし、この帰路で補助電源の容量が減少した場合には、移動用モータには、主電源から電力供給を行うので、主電源の帰路必要電力量が予定よりも低くなっていても、着実に充電地点にまで戻れることになる。
以上の結果から本発明では、作業効率を高めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る電動作業車の構成例を示す図である。
図2】同、電動作業車の制御ブロック図である。
図3】同、電動作業車の補助電源を示す正面図である。
図4】同、電動作業車の補助電源の設置部分を示す正面図である。
図5】同、電動作業車の補助電源の設置部分に補助電源を設置した状態を示す正面図である。
図6】同、電動作業車の表示部を示す図である。
図7】同、電動作業車の表示部を示す図である。
図8】同、電動作業車の表示部を示す図である。
図9】同、電動作業車の表示部を示す図である
図10】同、電動作業車の表示部を示す図である。
図11】同、電動作業車の表示部を示す図である。
図12】同、電動作業車の動作フロチャートである。
図13】同、電動作業車の動作フロチャートである。
図14】同、電動作業車の動作フロチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の一実施形態にかかる電動作業車1の、作業環境の一例を示すものである。
丘の上に充電設備を備えた作業管理所2が設けられ、長い坂を下って作業現場が有るという作業環境である。
電動作業車1は、作業管理所2から出発し、長い坂を下って作業現場に到達し、作業を行い、作業後は、作業管理所2に戻るという設定である。
電動作業車1は、一例として、パワーショベルと言われるもので、作業車本体3に、移動用手段としての移動用モータ4と、作業用手段としての作業用モータ5、6を設けたものである。
【0021】
図2に示すように、リレー7、8、9、10の開閉を、制御部11で制御することで、主電源12から移動用モータ4、作業用モータ5、6への電力供給制御が行われる。作業用モータ5は図1の作業車本体3の運転席3aとアームの回転用であり、作業用モータ6はアーム駆動用である。
【0022】
また、制御部11には、図2に示すように、操作部13、表示部14、メモリ15、前記主電源12の電池残量を検出する第1の電池残量検出手段16、作業現場から充電地点に戻る帰路で、前記移動用モータ4が必要な帰路必要電力量を算出する帰路電力量算出手段17、起動SW18を接続している。このうち、操作部13、表示部14、起動SW18は、作業車本体3の運転席3a内に配置されている。また、操作部13は、表示部14内に表示される操作キーなどにより、構成されている。
第1の電池残量検出手段16は、制御部11のモニター端子19を介して、主電源12の電池残量を検出している。
【0023】
また、制御部11にはリレー20を介して補助電源21を接続することができる。後述するが、補助電源21使用時には、リレー10がオフで、リレー20がオンとなるので、第1の電池残量検出手段16は制御部11のモニター端子19を介して、補助電源21の電池残量を検出することができる。
【0024】
なお、制御部11は半導体素子で構成されているので、第1の電池残量検出手段16、帰路電力量算出手段17を、この制御部11内に構成することもできる。
本実施の形態の特徴の一つは、作業車本体3に主電源12を設置しており、また、必要に応じて、作業車本体3に補助電源21を搭載することが出来るということである。
【0025】
図3は補助電源21の一例を示している。
補助電源21と雖も、電動作業車1の駆動、作業に使用するものであるので、大型で、大重量となり、フォークリフトにより搬送し、作業車本体3に設置し、また、フォークリフトにより取り外しを行うものである。
【0026】
したがって、図3に示すように、補助電源21の下辺左右には、フォークリフトの爪が差し込まれる凹部22が配置され、また下辺中央部には接続端子23が配置されている。
なお、接続端子23は補助電源21の下辺よりも上方、具体的には、凹部22の天面よりもさらに上方に配置し、管理時に、異物に接触し、変形しないようにしている。
【0027】
一方、作業車本体3の補助電源設置場所には、図4に示すように補助電源21の接続端子24が設けられている。
この接続端子24は上方に突出し、図5に示すように、補助電源21が作業車本体3の補助電源設置場所に設置された状態で、この接続端子24に、補助電源21の接続端子23が接続されるようになっている。
【0028】
次に、動作説明を行う。
電動作業車1は、図1に示す作業管理所2から出発する。
作業管理所2において、運転者は先ず、起動SW18をオンとする(図12のS1)。
すると、制御部11によって、リレー7、10のみがオン状態となり、また操作部13、表示部14、メモリ15、第1の電池残量検出手段16、帰路電力量算出手段17もオン状態となる(図12のS2)。
【0029】
この状態で、作業現場から充電地点である作業管理所2に戻る帰路で、前記移動用モータ4が必要な帰路必要電力量を、帰路電力量算出手段17によって算出する操作が行われる。
作業現場から充電地点である作業管理所2に戻る帰路で、前記移動用モータ4が必要な帰路必要電力量を算出する技術は、例えば、上記特開2011―227050号公報(特許文献4)のようにGPSデータや、地図情報データ等から求めることが出来る公知の技術であるので、説明の煩雑化を避けるために、本実施形態では簡単な説明にとどめる。
【0030】
本実施形態では、先ず、表示部14に表示されている帰路電力算出開始SW(操作部13の一つであるが、図示せず)をオンとし(図12のS3)、次に、電動作業車1を移動用モータ4によって図1に示す作業現場へと移動させ、この移動途中には、1秒ごとに傾斜計(図示せず)によって傾斜を測定し、また、移動距離も、例えば地図データにより測定し、これらの測定データをメモリ15に記録する(図12のS4)。
【0031】
図1の作業現場に到着すると、運転者は表示部14に表示されている帰路電力算出終了SW(操作部13の一つであるが、図示せず)をオンとし(図12のS5)、帰路電力算出用測定を終了させる(図12のS6)。
【0032】
帰路電力量算出手段17は、メモリ15に記憶された傾斜データ、距離データを参照して、帰路必要電力量を算出し、制御部11を介してメモリ15に帰路必要電力量を記録する(図12のS7)。
【0033】
制御部11は、帰路必要電力量がメモリ15に記録されると、リレー8、9もオン状態とするので、作業用モータ5、6による作業を開始できることになる(図12のS8、S9)。
第1の電池残量検出手段16は、制御部11のモニター端子19を介して、主電源12の電池残量を検出している。
【0034】
図1の現場で作業を行っている状態で、第1の電池残量検出手段16によって検出した主電源12の電池残量が、前記帰路電力量算出手段17によって算出し、メモリ15に記録された帰路必要電力量に到達すると(帰路必要電力量まで減少すると)、制御部11は、表示部14に図6に示す作業選択画面1の表示を行う(図13のS1、S2)。
【0035】
図6に示した表示部14の表示は、帰路と補助電源の補充を選択する表示である。
真直ぐの矢印は「無理」と表示され、これ以上の作業を行うことが出来ない旨を知らせるものである。
また、反転矢印は「帰る」と表示され、作業を終了し、図1に示す作業管理所2への帰還を促すものである。
さらに、横方向矢印は「補充」と表示され、補助電源21の補充を行うことを検討するものである。
【0036】
運転者が、図6の「帰る」を選択すると、表示部14には「お疲れ様でした」との表示がなされ、リレー7、10がオン、リレー8、9をオフとし、主電源12により移動用モータ4を駆動し、作業管理所2への帰還動作が実行される(図13のS3、S4、S5)。
なお、作業管理所2へ帰還した状態で、次に作業現場に向かう時には、改めて表示部14に表示されている帰路電力算出開始SW(図示せず)をオンとする(図12のS3)。
すると、メモリ15に記録されていた前回の帰路必要電力量は消去され、新たに帰路必要電力量算定工程が開始される。
【0037】
次に、運転者が、図6の「補充」を選択すると、制御部11は表示部14に図8の延長作業選択画面の表示をさせる(図13のS6、S7)。
【0038】
図8の表示は、(1)先程よりも軽い作業を継続するか、(2)先程までの作業を継続するか、(3)先程の作業に別作業を加えた作業を継続するか、を選択させるものである。
この図8の表示(1)~(3)を画面選択タッチ操作すると、表示部14には、続いて図9の表示が行われる(図13のS8、S9)。
【0039】
この図9は、選択する補助電源21の電源容量の大きさで、どの程度の作業を継続できるのかの目安を示したものである。
特徴的なのは、補助電源21の一部も、帰路電源として活用することを示していることである。
【0040】
具体的には、(1)~(3)の、どの電源容量の補助電源21を使用しても左から2メモリは帰路活用としており、左から3メモリからは作業用として表示され、どの程度の時間、作業延長が出来るのかの目安も表示されている。
運転者は、図9の表示を確認し、補充する補助電源21の容量の大きさを確認し、図9下方の選択キー25をタッチ操作する(図13のS10)。
【0041】
なお、選択キー25は、運転者にタッチさせることで、自分が、どの程度の作業をするために、どのような電源容量を選択したかを確認させるもので、これによる動作は設定されていない。
したがって、選択する補助電源21は、例えば、運転者が携帯電話で作業管理所2に連絡する。もちろん、選択キー25の操作により、選択した補助電源21を、作業管理所2に連絡するようにしても良い。
【0042】
この連絡を受けて、作業管理所2からは指定された容量の補助電源21がフオークリフトで作業現場まで搬送される。
【0043】
運転者が、図9の表示を確認し、補充する補助電源21の容量の大きさを確認し、図9下方の選択キー25をタッチ操作すると、図10のように、表示部14には補助電源21の装着を待つ破線の補助電源待表示26が表示される(図14のS1)。
なお、表示部14の補助電源待表示26は、表示部14内において運転席3aの横に表示され、また、運転席後ろとの表示もあるので、補助電源設置場所表示にもなる。
【0044】
補助電源21がフオークリフトで作業現場まで搬送され、図5のように、補助電源21が作業車本体3の補助電源設置場所に設置され、接続端子24に、補助電源21の接続端子23が接続されると、補助電源21の実装完了となる。
すると、図10では破線だった補助電源待表示26が、図11のように実線表示に変更され、この状態で、運転者は補助電源21の補充を確認することが出来る(図14のS2、S3)。
【0045】
制御部11は、リレー7、8、9、20をオンし、リレー10をオフとする。
つまり、これからの作業は、補助電源21によって移動用モータ4、作業用モータ5、6を駆動し、作業を続けることになる(図14のS4)。
この作業延長状態では、補助電源21の電池残量が、制御部11のモニター端子19を介して第1の電池残量検出手段16で検出されている。
【0046】
第1の電池残量検出手段16によって検出した補助電源21の電池残量が、前記帰路電力量算出手段17によって算出し、メモリ15に記録された帰路必要電力量に到達すると(帰路必要電力量まで減少すると)、制御部11は、表示部14に図7に示す作業選択画面2の表示を行う(図14のS5、S6)。
なお、補助電源21の場合には、メモリ15に記録された帰路必要電力量よりも低い第2の所定電力量で、表示部14に図7に示す表示を行う構成としても良い。
【0047】
図7に示した表示部14の表示は、帰路だけを選択する表示である。
真直ぐの矢印は「無理」と表示され、補助電源21もすでに補充済と表示され、帰るだけが選択でき、これ以上の作業を行うことが出来ない旨を知らせるものである。
【0048】
運転者が、図7の「帰る」を選択すると、表示部14には「お疲れ様でした」「帰還してください」との表示がなされ、リレー7、20がオン、リレー8、9、10をオフとし、補助電源21により移動用モータ4を駆動し、作業管理所2への帰還動作が実行される(図14のS7)。
【0049】
この帰路において、補助電源21の電池残量が、帰路必要電力量(または第1の所定電力量)よりも低い第2の所定電力量(例えば、満充電の5%)になると、制御部11はリレー20をオフ、リレー10をオン状態とし、主電源12により移動用モータ4を駆動し、作業管理所2への帰還動作が実行される(図14のS8、S9)。
なお、補助電源21の電池残量は第1の電池残量検出手段16とは別の第2の電池残量検出手段(図示せず)によって検出する構成としても良い。
【0050】
以上の様に本実施形態の電動作業車1は、主電源12で作業中に、主電源12の電池残量が、帰路電力量算出手段17によって算出した帰路必要電力量に到達すると、表示部14に、帰路と補助電源21の補充を選択する表示を行わせる。
この状態で、操作部13により、補助電源21の補充が選択された場合には、前記表示部14に補助電源補充指示を表示させ、補助電源21の補充作業が行われる。
【0051】
補助電源21の補充後は、前記補助電源21の電池残量を前記第1の電池残量検出手段16、または、別の第2の電池残量検出手段(図示せず)によって検出し、前記補助電源21の電池残量が、前記帰路電力量算出手段17によって算出した帰路必要電力量、またはそれよりも低い所定電力量に到達すると、前記表示部14に、帰路表示を行わせ、前記操作部で、帰路が選択されると、前記移動用モータ4には、前記補助電源21から電力供給を行い、帰路動作が行われる。
このため、作業中に主電源12の電池切れを起こして充電地点である作業管理所2に戻れないというトラブルを回避できる。
【0052】
また、補助電源21の補充をした場合には、その作業地点での作業を継続することができ、作業効率を高めることができる。
さらに、補助電源21での作業中でも、補助電源21の電池残量が、前記帰路電力量算出手段17によって算出した帰路必要電力量、またはそれよりも低い所定電力量に到達すると、前記表示部14に、帰路表示を行わせ、前記操作部13で、帰路が選択されると、前記移動用モータ4には、前記補助電源21から電力供給を行う構成とした。
【0053】
このため、帰路時には先ず、補助電源21からの電力消費を行わせるので、補助電源21の劣化を抑制することができる。つまり、補助電源21を、高容量状態で、長時間保管すると劣化の虞があるので、帰路で十分に使用消費させるようにしたものである。
【0054】
また、帰路に補助電源21から使用するようにしていても、この帰路で補助電源21の容量が減少した場合には、移動用モータ4には、主電源12から電力供給が行われるので、着実に充電地点にまで戻れることになる。
つまり、主電源12には、予め、帰路必要電力量が残った状態とはしているが、例えば、気温が低下した場合には、予定した電力量を移動用モータ4に供給することができなくなることがある。それに対して、本実施形態では、帰路では、先ず、補助電源21から使用するようにし、この帰路で補助電源21の容量が減少した場合に、次に、移動用モータ4に、主電源12から電力供給を行うので、主電源12の帰路必要電力量が、例えば、気温低下により、予定よりも低くなっていても、着実に充電地点にまで戻れることになる。
以上の結果から本実施形態では、作業効率を高めることができるのである。
【符号の説明】
【0055】
1 電動作業車
2 作業管理所
3 作業車本体
3a 運転席
4 移動用モータ
5 作業用モータ
6 作業用モータ
7 リレー
8 リレー
9 リレー
10 リレー
11 制御部
12 主電源
13 操作部
14 表示部
15 メモリ
16 第1の電池残量検出手段
17 帰路電力量算出手段
18 起動SW
19 モニター端子
20 リレー
21 補助電源
22 凹部
23 接続端子
24 接続端子
25 選択キー
26 補助電源待表示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14